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乳がんスクリーニングを受ける高濃度乳房の女性にとって、最も有益な補助的画像検査法は明らかになっていない。英国・ケンブリッジ大学のFiona J. Gilbert氏らは、マンモグラフィ陰性の高濃度乳房の女性における補助的画像検査として、簡易的(abbreviated)MRI(AB-MR)、全自動乳房超音波(Automated Breast Ultrasound System:ABUS)および造影マンモグラフィ(contrast-enhanced mammography:CEM)をデジタルマンモグラフィ(FFDM、標準画像検査法)と比較した無作為化試験「BRAID試験」を行った。中間解析の結果、AB-MRとCEMは、ABUSと比較して浸潤がんの検出率が3倍高く、半分のサイズのがんが検出可能であったことを報告した。著者は、「本検討では、高濃度乳房の女性において、補助的な画像検査はがんの早期発見に結び付く可能性が示されたが、過剰診断の程度は推定されていない」と述べている。Lancet誌2025年5月31日号掲載の報告。簡易的MRI(AB-MR)、ABUS、CEMを比較 研究グループは、英国の10ヵ所の乳がんスクリーニング施設で試験を行った。各施設の利用可能な検査機器によって、マンモグラフィが陰性で高濃度乳房の50~70歳の女性を、日帰り/移動スクリーニング車利用単位で、AB-MR群、ABUS群、CEM群、FFDM(標準検査)群のいずれかに割り付けた。 主要アウトカムはがん検出率で、補助的画像検査結果が陽性で、組織学的に乳がんと確認された症例数(1,000検査当たり)と定義し、3つの介入群間で比較した。がん検出率は1,000検査当たりAB-MR群17.4、ABUS群4.2、CEM群19.2 2019年10月18日~2024年3月30日に、適格女性9,361例(年齢中央値56歳)が無作為化された(AB-MR群2,318例、ABUS群2,240例、CEM群2,235例、標準検査群2,568例)。このうち補助的画像検査を完了した6,305例(AB-MR群2,130例、ABUS群2,141例、CEM群2,035例)がアウトカム解析に組み入れられた。 がん検出率は、1,000検査当たりAB-MR群17.4(95%信頼区間[CI]:12.2~23.9、37例)、ABUS群4.2(1.9~8.0、9例)、CEM群19.2(13.7~26.1、39例)であり、そのうち浸潤がん検出率は、1,000検査当たりAB-MR群15.0(10.3~21.1、32例)、ABUS群4.2(1.9~8.0、9例)、CEM群15.7(10.8~22.1、32例)であった。 AB-MR群の検出率はABUS群より有意に高率であり(p=0.047)、CEM群とは有意差がなかった(p=0.62)。 検出された浸潤がんのサイズ中央値は、AB-MR群10mm(四分位範囲8~15)、ABUS群22mm(14~35)、CEM群11mm(7~15)であった。 AB-MR群では血管外漏出が1件報告された(0.5件/1,000検査)。ABUS群では有害事象は報告されなかった。CEM群ではヨード造影剤反応24件(軽度17件[8.4件/1,000検査]、中等度6件[2.9件/1,000検査]、重度1件[0.5件/1,000検査])、血管外漏出3件(1.5件/1,000検査)が報告された。