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聖路加GENERAL【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】(上巻)

第1回「蕁麻疹」第2回「アトピー性皮膚炎」第3回「痛い皮膚疾患①-感染症-」第4回「痛い皮膚疾患②-炎症-」 第1回「蕁麻疹」皮膚疾患は“痒い”“痛い”“症状がない”のどれかに分類されますが、「蕁麻疹」や「アトピー性皮膚炎」には日常診療でよく遭遇する反面、専門医でないと鑑別の難しい、一見症状が似ている重症疾患が隠れている場合があり、それらを見分けることが重要になります。豊富な症例をとおして、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎と重症疾患との見分け方、診断と治療、ステロイド等薬剤の使い方、専門医へ送る判断基準などを解説します。最初の症例は、仕事が忙しく、数ヶ月寝不足が続いている32歳の女性。全身に瘙痒性皮疹が出現。蕁麻疹の原因は、ストレス、疲労、物理的な刺激など、非アレルギー性の因子によるものが多いことがわかっています。蕁麻疹は、マスト細胞がなんらかの刺激によりヒスタミンを出すことで発症します。なにがその刺激の原因になるのか、またそのヒスタミンによってどのような症状として現れるかはさまざまです。急性のもの、皮膚描記症、薬剤性蕁麻疹、蕁麻疹様血管炎などについて、具体的な症例を提示しながら紹介します。また、近年話題になった茶のしずく石鹸による小麦アレルギーについても解説します。第2回「アトピー性皮膚炎」アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下することで発症すると考えられています。近年、そのバリア機能に関係するタンパク質として、フィラグリンが注目されています。また、症状の程度を表す指標として、最近用いられるようになったTARC検査について紹介します。アトピー性皮膚炎の中には、バリア機能が正常なものもあります。また、治療に使うステロイド薬が原因で皮膚炎を起こすようなケースもあります。他に、類似した痒い疾患として、小児にみられる脂漏性皮膚炎、疥癬や、菌状息肉症などの怖い疾患との鑑別についても解説します。また、ステロイド軟膏の塗り方など基本的なことについても紹介します。第3回「痛い皮膚疾患①-感染症-」今回から「痛い」疾患について解説します。痛い皮膚疾患は、まず感染症を考えます。最初の症例は、38歳の男性。毎年夏になると趾間がじくじくして痒いという症状がありましたが、ずっと放置していました。ゴルフに行った翌日、足背が腫れて熱を持ち、痛くなってきたため受診しました。発熱もあることから感染症を疑い検査した結果、水虫から二次感染を起こした蜂巣炎であることがわかりました。足の水虫は万病の元と言われているように、水虫が原因でさまざまな疾患を発症することがあるので、要注意です。他にも、歯磨きから感染することなどもあります。更に、もっと重度な壊死性筋膜炎やうっ滞性皮膚炎などについて、具体的な症例を提示しながら詳しく解説します。第4回「痛い皮膚疾患②-炎症-」今回は炎症性のものを見ていきます。最初の症例は40歳女性。一週間前から誘因なく右腋窩に痛みと鶏卵大の紅班が出現し、受診しました。全身症状としては倦怠感と軽い発熱があり、病歴をとっていくと潰瘍性大腸炎にて治療中ということで、この方はSweet病と診断されました。最近では炎症性腸炎に伴うSweet病も増えています。痛い発疹で明らかな感染が見られなかったり結節性紅班にも当てはまらない場合に考えたい病気の一つであり、重い内臓疾患を合併する場合もあるので、注意が必要です。他にも見落としてはならない結節性紅班や血管炎の診断のポイントや、軽視してはならない重症薬疹について詳しく解説していきます。

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口腔粘膜の固定薬疹、鑑別診断で考慮すべきことは?

 口腔粘膜の固定薬疹(FDE)の特性については、ほとんど知られていない。トルコ・イスタンブール大学のOzkaya E氏は、臨床的に注目すべきポイントおよび鑑別診断を提示するため後ろ向き断面研究を行った。その結果、主要所見として口腔内局所のアフタ性病変や重度の水疱性/びらん性病変と、残存性色素沈着の欠如は、鑑別診断を難しくする可能性があると述べた。そのうえで、女性患者における月経困難に関連した非ステロイド性抗炎症薬による口腔内FDEと、月経が引き起こす単純ヘルペス感染症によるもの、およびベーチェット病由来の局所のorogenitalなアフタFDAとを区別することが、とくに疾患頻度の高い国では不適切な治療を避けるために重要であると結論した。J Am Acad Dermatol誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。 後ろ向き断面研究は、口腔内FDEを有する61例を対象とした。原因となる薬品は経口誘発試験で確認した。 主な結果は以下のとおり。・被験者61例(男性23例、女性38例)の年齢範囲は7~62歳であった。・主要な誘発因子は、ナプロキセン(商品名:ナイキサン)とコトリモキサゾールであった。・14例(23%)の患者は、口腔内の局所病変が、主として舌背上や硬口蓋にみられた。舌背上の局所病変は、コトリモキサゾールの関連が統計的に有意であった。・形態学的には、水疱性/びらん性病変47例、アフタ性12例、紅斑性2例が認められた。・被験者の相当数が、単純ヘルペスとベーチェット病の診断歴があって紹介されてきた患者であり、何人かは、アシクロビル(商品名:ゾビラックスほか)とコルヒチン(商品名:コルヒチン)の長期治療を受けていた。 なお筆者は、本検討は後ろ向きに行われたという点で、結果には限りがあると言及している。

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教育講演「分子標的薬の現状と展望―副作用対策を含めて―」

座長 清原 祥夫氏 (静岡がんセンター 皮膚科)中川 秀己氏(東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座)ビスフォスフォネートの抗腫瘍効果についてはいまだ賛否両論がある。現在までにいくつかの臨床試験の結果が報告されており、システマティックレビューとメタ分析が行われた。ここでは、主にチロシンキナーゼ阻害薬による皮膚症状の特徴と対処法、抗体医薬使用時の注意すべき副作用について前編、後編に分けてレポートする。皮膚科医とチロシンキナーゼ阻害薬・抗体医薬の関わりとは?本教育講演では、まず、自治医科大学皮膚科学教室 大槻マミ太郎氏が分子標的薬の概要について講演を行った。初めに、大槻氏は、今後、シェアを確実に伸ばしていく薬剤として低分子のチロシンキナーゼ阻害薬や高分子の抗体医薬などを挙げ、これらの薬剤がターゲットを絞り込む分子特異的治療の両輪となっていると述べた。キナーゼ阻害薬は主に抗がん剤として用いられており、皮膚科領域でも、悪性黒色腫などに対する開発に期待が高まっている一方、現時点では、その副作用として高頻度に発現する皮膚症状とその対処法に注目が集まっている。また、抗体医薬は免疫疾患のQOL改善に貢献度が高く、皮膚科では乾癬治療薬としてTNFαやIL-12、IL-23を標的とした生物学的製剤に期待が寄せられているが、ほかの適応疾患における使用により、乾癬型の薬疹の発現が報告されており、その対処も議論されている。このことを踏まえ、乾癬の治療に関しては、新しい分子標的薬は標的がピンポイントであるため、副作用も絞り込まれると期待されているが、特定の経路のみ抑制すると別の経路が活性化される可能性があり、未知なる「逆説的副作用」が生じる可能性がある。一方で、シクロスポリンなど作用点は多岐にわたるがさまざまな経路を幅広く抑制しうる薬剤は、副作用も経験的に熟知されており、古典的であるがゆえに、使い勝手の良い薬剤ともいえる、と大槻氏は述べた。EGFR阻害薬の皮膚症状と対処法:主にざ瘡様発疹について滋賀医科大学皮膚科学講座 藤本徳毅氏はEGFR(上皮増殖因子受容体)阻害薬による皮膚症状と対処法について、考察を述べた。EGFR阻害薬には、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)やエルロチニブ(同:タルセバ)などのチロシンキナーゼ阻害薬と、セツキシマブ(同:アービタックス)やパニツムマブ(同:ベクティビックス)などのモノクローナル抗体があり、非小細胞肺がんや大腸がん、膵がんなどに使用されている。これらの薬剤は、EGFRシグナルを阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制し、原疾患への効果を発揮する。一方でEGFRは正常皮膚の表皮基底細胞や外毛根鞘細胞などにも発現することがわかっており、EGFR阻害により、活性化EGFRが減少し、ケラチノサイトの角化異常、角質の菲薄化、角栓の形成が亢進することで高頻度で皮膚障害が生じると言われている。EGFR阻害薬の皮膚症状としては、主にざ瘡様発疹や乾皮症、爪囲炎などが多く、稀なものとしては脱毛性病変などが挙げられる。これら皮膚症状は、重症度が高いほど、原疾患に対するEGFR阻害薬の有効性が高い、つまり生存期間が長いことが示されており、治療効果をはかる指標となる可能性も示唆されている。ざ瘡様発疹の対処法とは?続いて、それぞれの皮膚障害の特徴や対処法について言及した。ざ瘡様発疹はEGFR阻害薬投与後、数日で発現し、4~6週でピークを迎え、6~8週で軽快するケースが多い。また、顔面や体幹に好発し、掻痒や疼痛を伴うが面疱は認められず、大半が無菌性であると言われている。藤本氏は、ざ瘡様発疹は高頻度に発現することがわかっているが、チロシンキナーゼ阻害薬よりもモノクローナル抗体のほうが重症な皮疹が出る印象がある、とつけ加えた。重症度については、日本臨床腫瘍研究グループによって公表されている「有害事象共通用語規準ver4.0 日本語訳JCOG版」(CTCAE v4.0 - JCOG)を用いるのが一般的である。ここでは、体表面積と社会的要素を中心に5段階のGradeに分類されている。ほかにも、各製品の適正使用ガイド等に、掻痒、疼痛の有無によるGradeの目安や発疹出現時の用量調節の基準などが掲載されており、参考にできるとした。対処法については、基本的に、皮膚症状による薬剤の休薬や減量は避けたいとしながら、確立していないものの経験的に実施されているいくつかの治療法について紹介した。ざ瘡様発疹の場合、炎症性ざ瘡の治療に準じて、外用抗菌薬が用いられる。また、局所療法の1つとして、ステロイド外用薬が使用されており、藤本氏は、顔面については、Grade2の場合はstrong class、Grade3でvery strong classを使用すると述べた。しかし、これまでの国内外の文献を見てみると、その評価は一定していないことにも触れ、ステロイド外用薬は即効性はあるが、上手に使いこなすことが重要であると強調した。さらに、Grade2以上または細菌感染合併例には、テトラサイクリン系抗菌薬内服(とくにミノサイクリン)が有効であることも述べた。ミノサイクリンに関しては、海外から、「6週間程度の服用を推奨する」、「皮膚症状の予防効果がある」などの報告がある一方で、「そのエビデンスレベルは不明」とする報告もあるとした。ほかにも、免疫抑制剤の外用薬を使用し、有効性が認められた報告やアダパレンゲルについても言及したが、いずれも一定の評価は得られていないとした。その他の副作用への対処法は?乾皮症は4~35%程度の発現頻度であり、EGFR阻害薬投与後、1~2ヵ月で症状が発現することが多い。治療としては、まずはヘパリン類似物質やワセリン、尿素製剤外用などによって保湿を行い、効果が得られない場合は、ステロイド外用薬を併用する。この症状に関しては、保湿による予防が重要である、と述べた。また、爪囲炎は6~12%程度の発現頻度であり、薬剤投与後2~4ヵ月くらいから見られる症状である。基本的には、浸出液が見られる場合、洗浄、クーリング、テーピング、保湿剤等による処置を行うが、発赤や腫脹が見られる場合には、初期から、very strong~strong classのステロイド外用薬を積極的に用いることが重要である。そのほか、細菌感染合併例には短期間のミノサイクリン内服、さらに外科的処置として部分抜爪や人口爪も考慮されるとした。毛髪異常に関しては、薬剤投与開始後2、3ヵ月で見られることが多いが、頻度は不明であり、中にはまつ毛や眉毛が伸びる症例も見られる。基本的には、EGFR阻害薬を中止しないことには改善しないが、患者さんからの訴えも多くはないため、中止・休薬するケースは少ないと述べた。このようなEGFR阻害薬による皮膚症状では、予防が重要であると言われている。スキンケアの指導は、清潔、保湿、刺激からの保護を基本とし、たとえば、「保湿剤はこすらずに、手のひらでおさえて塗る(スタンプ式塗布)」「外出時は日焼け止めを使用する」「爪は長く伸ばしてまっすぐ切る」などこまめな指導が必要となってくる。藤本氏は、これらスキンケアの方法を患者にわかりやすく説明し、薬剤の写真が入った説明書を配布するなどして、皮膚症状が出ても患者があわてずにすむように指導を行うことも重要である強調し、講演を締めくくった。

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