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2月20日 アレルギーの日【今日は何の日?】

【2月20日 アレルギーの日】〔由来〕1966(昭和41)年の今日、石坂 公成氏、石坂 照子氏がIgE(免疫グロブリン)を発見したことにちなみ、日本アレルギー協会により制定。同協会では今日を中心とした1週間を「アレルギー週間」と定め、この期間を中心にアレルギーに関する各種啓発活動を行っている。関連コンテンツアトピー性皮膚炎の診療で役立つTIPSどうする?食物アレルギーの「学校生活管理指導表」【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】卵アレルギーが不安…、離乳食開始へのアドバイスは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】HRTってなあに?【患者説明スライド】食物アレルギーの小児患者へ安全・有効な経口免疫療法/国立成育医療研究センター

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ナノ粒子を用いた新治療でアレルギー反応を抑制できる?

 新たな標的療法により、ピーナツや花粉、猫など特定のアレルゲンに誘発される反応を抑制できる可能性が、米ノースウェスタン大学生体医工学分野のEvan Scott氏らによる研究で明らかにされた。この治療法は、ナノ粒子を用いて、即時型アレルギー反応を引き起こす免疫細胞である肥満細胞(マスト細胞)を不活性化するもの。マウスを用いた実験ではアレルギー反応を100%防ぐことに成功したという。この研究結果は、「Nature Nanotechnology」に1月16日掲載された。 人の体のほぼ全ての組織に存在する肥満細胞は、アレルギー反応に深く関与することが知られているが、血流の調節や寄生虫との戦いなど、他にも重要な役割を担っている。そのため、アレルギー反応を抑制する目的で全ての肥満細胞を除去してしまうと、健康を保つために有用な他の反応にまで悪影響が及ぶ可能性がある。 肥満細胞は、アレルゲンに反応してヒスタミンと呼ばれる生化学物質を体内に放出する。ヒスタミンは炎症反応を促進し、それが皮膚のかゆみ、くしゃみ、涙目などのアレルギー反応を引き起こす。アレルギー反応に対する治療薬としては、抗ヒスタミン薬のような症状を治療するものがあるだけで、肥満細胞を標的にしたものはないのが現状だ。 論文の共著者でノースウェスタン大学アレルギー・免疫学分野のBruce Bochner氏らは過去の研究で、肥満細胞上に高度かつ選択的に発現する抑制性の受容体であるSiglec-6(Sialic acid-binding Ig-like lectin6)の存在を特定していた。この受容体を抗体の標的とすることができれば、肥満細胞を選択的に阻害してアレルギー反応を抑制できる可能性があるが、単に抗体を導入するだけでは効果が得られなかった。 そこで、Scott氏らは今回、動的なポリマー鎖で構成されたナノ粒子(polypropylene sulfone nanoparticle;PPSU NP)を用いることにした。安定した表面を持つ通常のナノ粒子とは異なり、PPSU NPはタンパク質にさらされると、独自にその向きを変えることができる。タンパク質である抗体は、ナノ粒子の表面に結合すると構造が変化して生物活性を失うことがある。しかし、同氏らがPPSU NPと抗体を混ぜ合わせたところ、抗体は安定的にPPSU NP表面に吸着し、その構造や生物活性が損なわれないことが確認された。 次に、PPSU NPの表面に抗Siglec-6抗体などの抗体や特定のアレルゲンを持つナノメディシンを作成した。その原理は以下のようなものだ。すなわち、ナノメディシンは、アレルギーの原因となるIgE抗体を持つ肥満細胞に結合すると同時に、表面の抗体が肥満細胞上のSiglec-6受容体と結合し、肥満細胞の反応を抑制する。Siglec-6受容体は主に肥満細胞にのみ存在するため、ナノメディシンは他のタイプの細胞には結合できず、副作用を最小限に抑えることができる。Scott氏は、「この相反する2つのシグナルが与えられると、肥満細胞は自ら活性化すべきではないと判断し、特定のアレルゲンに対する反応を選択的に停止させる」と説明している。 この治療法の効果を確認するために、Scott氏らは組織にヒト肥満細胞を持つマウスを作り、これをアレルゲンにさらすと同時にこのナノ治療を行った。その結果、アナフィラキシーショックを起こしたマウスはおらず、全てのマウスの生存が確認された。Scott氏は、「アレルギー反応をモニタリングする最も簡単な方法は、体温の変化を追跡することだが、実験で使ったマウスに体温の変化は見られなかった。マウスは健康なままで、外見上、アレルギー反応の兆候が認められることもなかった」と話している。 ただし、動物実験で得られた結果がヒトを対象にした試験でも得られるとは限らない。専門家は、さらなる研究が必要だとの見方を示している。研究グループは、マストサイトーシスと呼ばれる肥満細胞の希少がんを含む、他の肥満細胞関連疾患の治療法について研究する予定であると話している。

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事例041 コレクチム軟膏の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説2ヵ月以上湿疹の続く乳児をアトピー性皮膚炎と診断し、デルゴシチニブ(商品名:コレクチム)軟膏を処方したところ、C事由(医学的理由による不適当)が適用されて査定となりました。査定理由を調べるために添付文書を参照してカルテと照らし合わせました。用法および用量、関連する注意に記載されている範囲内で使用されていました。ここまでにおいて査定の理由が見当たりません。さらに読み進めると、「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の「9.7小児等」に、「低出生体重児、新生児及び6か月未満の乳児を対象に、有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない」と記載がありました。言い換えると「6か月未満の乳児等には安全性が認められていない」ことが注意書きされていたのです。患者は6ヵ月未満の乳児です。使用月齢に達していないことを理由に査定となったことが推測できます。コンピュータ審査において添付文書の奥深くまで審査ロジックが組まれていることに驚きを禁じ得ませんでした。医師には、このことを伝え、調剤システムに使用月齢制限を登録して査定対策としました。

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花粉症、舌下免疫療法を希望する患者が来院【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第17回

花粉症、舌下免疫療法を希望する患者が来院講師日本医科大学多摩永山病院 病院教授 後藤 穣 氏【今回の症例】33歳女性。約10年前より2月下旬から4月上旬にかけて水様性鼻漏、くしゃみ、目のかゆみを自覚している。前年までは市販薬で治療していたが効果が乏しいために、2月初めにスギ花粉症に対する根治的治療として舌下免疫療法を希望し、クリニックを受診した。

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花粉症重症化を防いで経済損失をなくす/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

 花粉飛散が気になる季節となった。今後10年を見据えた花粉症への取り組みについて、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(理事長:村上 信五氏)は、都内で「花粉症重症化ゼロ作戦」をテーマにメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、花粉症重症化の身体的、経済的、社会的弊害と鼻アレルギー診療ガイドラインの改訂内容、花粉症重症化ゼロ作戦の概要などがレクチャーされた。アレルギー性鼻炎の経済的損失は年19万円 はじめに村上氏が挨拶し、花粉症は現在10人に4人が発症する国民病であること、低年齢での発症が増加していること、花粉症により経済的損失も多大であることなどを語り、同学会が取り組む「花粉症重症化ゼロ作戦」の概要を説明した。 続いて岡野 光博氏(国際医療福祉大学耳鼻咽喉科学 教授)が「花粉症重症化の意味するもの」をテーマに花粉症による社会・患者の損失について説明した。 2023年に政府は花粉症は国民病として関係閣僚会議を立ち上げ「発生源対策」「飛散対策」「発症等対策」の3本柱で対策を施行することを決定した。具体的には、診療ガイドラインの改訂や舌下免疫療法(SLIT)の推進、リフィル処方箋の活用推進などが予定されている。 花粉症の主な症状である鼻、眼、全身、のど症状について述べ、1日にくしゃみと鼻かみが各11回以上、鼻閉による口呼吸が1日のうちでかなりを占める場合は「重症」と評価し、花粉症が重症化するとQOLが著しく悪化すると説明した。QOLの評価指標であるEQ-5D-5Lを用いた値では、重症花粉症のQOLは糖尿病や骨折、乾癬よりも悪いことが報告された。一例としてアレルギー性鼻炎(AR)の研究ではあるが、重症化が患者の健康状態と労働生産性に重大な影響を与え、とくに労働生産性についてみると平均収入日額で1万5,048円、労働時間で年12.74時間、経済的損失で年19万1,783円と見込まれるとする報告を紹介した1)。 また、重症スギ花粉症患者では、抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬の標準治療を受けていても症状ピーク期には労働や勉強の能率が約35~60%低下するという報告もあり、社会に影響を与える事態を避けるためにも花粉症重症化には対策をするべきと説明を終えた。オマリズマブなどの作用機序の図など追加 大久保 公裕氏(日本医科大学耳鼻咽喉科学 教授)が、「鼻アレルギー診療ガイドラインの改訂点:最新の治療を教えます」をテーマに今年発行が予定されているガイドラインの内容を説明した。 本ガイドラインは、1993年に初版が発行され、不定期ではあるが最新の診療エビデンスを加え改訂され、最新版は改訂第10版となる。 今版では次の内容の改訂が主に予定されている。【第1章 定義・分類】・鼻炎を「感染性」「アレルギー性」「非アレルギー性」に分類・LAR血清IgE陰性アレルギー性鼻炎を追加 【第2章 疫学】・スギ花粉症の有病率は38.8%・マスクが発症予防になる可能性の示唆【第3章 発症のメカニズム】・前段階として感作と鼻粘膜の過敏性亢進が重要・ARはタイプ2炎症【第4章 検査・診断法】・典型的な症状と鼻粘膜所見で臨床的にARと診断し早期治療開始・皮膚テストに際し各種薬剤の中止期間を提示【第5章 治療】・各治療薬の作用機序図、免疫療法の作用機序図、スギSLITの効果を追加 この中で大久保氏は、とくに治療について厚く触れ、治療目標として「症状がないか軽度、日常生活に支障がない」「症状が安定し、急性の増悪がない」「抗原誘発反応がないか軽度」の状態に患者をもっていくことが必要と語った。また、ARの治療アドヒアランスについて、患者の69%が不良であり、その一因として抗ヒスタミン薬の眠気などの作用を上げ、理想的な抗ヒスタミン薬の要件として「速効性、効果持続」「眠気など副作用が少ない」「安全で長期間投与」「1日1~2回」などを提示した。また、重症花粉症では、抗ヒトIgE抗体オマリズマブについて、症状ピーク時に有意に鼻症状のスコアを改善したことを紹介した2)。 そのほか、アレルゲン免疫療法について、症状を改善し、薬用量が減少しうること、全身的・包括的な臨床効果が期待できること、治療終了後にも効果が期待できることを示し、スギSLITについて、3年継続することで治療終了後2年間の効果持続があったことなどを説明した3)。しかし、SLITでは、即効性がなく、長期治療が必要であること、不安定喘息などには禁忌であること、アナフィラキシーの副反応など注意が必要と短所も示した。 最後に治療法の選択を示し、「主治医とよく相談し、自分に合った治療法を決めて欲しい」と述べ、レクチャーを終えた。花粉症重症化の知識を啓発してゼロにする 川島 佳代子氏(大阪はびきの医療センター 耳鼻咽喉・頭頸部外科 主任部長)が、「花粉症重症化ゼロ作戦2024:我々がこの春の花粉症で行うべきこと」をテーマに今年から始まる「花粉症重症化ゼロ作戦」について説明を行った。 先述のように花粉症では重症患者が多く、間接費用も含めると経済損失など多大な額に上るほか、患者個人にも就業や学業で大きな負担を強いるものとなっている。また、患者もありふれた疾患ゆえに自己流の対処を行っているケースが多く、重症であっても適切な治療がなされていないこともあり、こうしたことが社会的損失を起こす一因となっている。こうした背景から、学会として花粉症の正しい病態、治療について発信することが重要との認識に立ち、今回の取り組みが行われることになったと説明した。 花粉症重症化ゼロ作戦2024の診療の柱としては、・初期療法の重要性を周知・重症化したら併用療法や抗IgE抗体療法にスイッチ・根本治療としてアレルゲン免疫療法などを説明し、実践などが掲げられている。 今後、この取り組みのために特設サイトが開設され、「花粉症重症化とは」「重症化度チェック」「患者の声」などのコンテンツ公開が予定され、市民講座やポスター掲示、地元医師会との連携などを実施、2030年までには目標として「花粉症の重症化ゼロを目指す」と説明を終えた。

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開発中の外用PDE4阻害薬、アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬に有望

 軽症~中等症アトピー性皮膚炎または尋常性乾癬患者において、開発中の外用PDE4阻害薬PF-07038124は、忍容性が良好で有効性に優れることが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のLawrence F. Eichenfield氏らが海外第IIa相無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。アトピー性皮膚炎および尋常性乾癬は、外用治療薬についてアンメットニーズが存在する。外用PF-07038124は、オキサボロール骨格を有するPDE4阻害薬で、T細胞ベースアッセイにおいて免疫調節活性が確認されており、IL-4およびIL-13に対する阻害活性を有している。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年12月20日号掲載の報告。 試験は2020年12月21日~2021年8月18日に、4ヵ国の34施設で行われた(データ解析は2021年12月15日まで)。対象は、軽症~中等症アトピー性皮膚炎(病変が体表面積の5~20%)または尋常性乾癬(体表面積の5~15%)を有する18~70歳の患者とした。対象患者を1対1の割合で、PF-07038124(0.01%外用軟膏)群または溶媒群に無作為に割り付け、1日1回6週間塗布した。 主要エンドポイントは、アトピー性皮膚炎患者についてはEczema Area and Severity Index(EASI)総スコアのベースラインからの変化率、尋常性乾癬患者についてはPsoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアのベースラインからの変化で、いずれも6週時点で評価した。安全性は、治療中に発現した有害事象や塗布部位の反応などを評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体で104例が無作為化された(年齢[平均値±標準偏差]:43.0±15.4歳、女性:55例[52.9%]、アジア人:4例[3.8%]、黒人:13例[12.5%]、白人:87例[83.7%])。・内訳は、アトピー性皮膚炎患者70例、尋常性乾癬患者34例であった。・ベースラインの患者背景は、概してバランスが取れていた。・6週時点において、PF-07038124群は溶媒群と比較して、EASI総スコアのベースラインからの変化率(最小二乗平均値:-74.9% vs.-35.5%、群間差:-39.4%[90%信頼区間[CI]:-58.8~-20.1]、p<0.001)が有意に改善した。・同様に、PASIスコアのベースラインからの変化(-4.8 vs.0.1、群間差:-4.9[90%CI:-7.0~-2.8]、p<0.001)もPF-07038124群が有意に改善した。・治療中に有害事象が発現した患者数は、アトピー性皮膚炎患者の治療群間(PF-07038124群9例[25.0%]vs.溶媒群9例[26.5%])、尋常性乾癬患者の治療群間(3例[17.6%]vs.6例[35.3%])のいずれも同等であった。・PF-07038124の塗布部位反応は報告されなかった。

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乾癬への生物学的製剤、逆説的反応リスクは?

 生物学的製剤による治療を受けた乾癬患者が湿疹を発症する逆説的反応のリスクは、IL-23阻害薬を投与された患者で最も低かった。リスク上昇と関連する因子は、年齢上昇、女性、アトピー性皮膚炎の既往、花粉症の既往であった。全体的には逆説的反応の発生率は低かった。英国・マンチェスター大学のAli Al-Janabi氏らが前向きコホート試験の結果を報告した。生物学的製剤を用いた尋常性乾癬患者の一部で、アトピー性皮膚炎の表現型の1つである湿疹を発症することが報告されている。しかし、そのリスク因子は不明であった。今回の検討結果を踏まえて著者は、「さらなる試験を行い、今回得られた結果を再現する必要がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年12月6日号掲載の報告。 研究グループは、生物学的製剤のクラス別の逆説的反応のリスク、リスク上昇と関連する因子を検討する前向きコホート研究を行った。 対象患者は、英国およびアイルランドの皮膚科を受診し、生物学的製剤による治療を受けた18歳以上の成人の尋常性乾癬患者で、データはBritish Association of Dermatologists Biologics and Immunomodulators Registerから入手した。2007年9月~2022年12月に少なくとも1回以上のフォローアップ受診のある患者を適格とした。 逆説的反応による湿疹の発症、治療中断、最終フォローアップまたは死亡までの生物学的製剤への曝露期間を調査。生物学的製剤はTNF阻害薬(アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、インフリキシマブ)、IL-17阻害薬(ビメキズマブ、ブロダルマブ、イキセキズマブ、セクキヌマブ)、IL-12/23阻害薬(ウステキヌマブ)、IL-23阻害薬(グセルクマブ、リサンキズマブ、チルドラキズマブ)を対象とした。逆説的反応の発生率、生物学的製剤のクラス別にみた逆説的反応のリスク、逆説的反応のリスク因子を、傾向スコア加重Cox比例ハザード回帰モデルを用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・1万3,699例が2万4,997件の生物学的製剤による治療を受けた。・2万4,997件の解析対象の年齢中央値は46歳(四分位範囲:36~55)、男性が57%、総曝露期間は8万1,441患者年であった。・逆説的反応の発生は、273件(1%)であった。・10万人年当たりの補正後発生率は、IL-17阻害薬1.22、TNF阻害薬0.94、IL-12/23阻害薬0.80、IL-23阻害薬0.56であった。・TNF阻害薬との比較において、IL-23阻害薬は逆説的反応のリスクが低かった(ハザード比[HR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.19~0.81)。一方、IL-17阻害薬(同:1.03、0.74~1.42)、IL-12/23阻害薬(同:0.87、0.66~1.16)では逆説的反応との関連はみられなかった。・年齢上昇(HR:1.02、95%CI:1.01~1.03)、アトピー性皮膚炎の既往(同:12.40、6.97~22.06)花粉症の既往(同:3.78、1.49~9.53)は、逆説的反応のリスクを上昇させた。男性はリスクが低かった(同:0.60、0.45~0.78)。

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非専門医も知っておきたいアトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療では、他の疾患と同様に出口戦略が重要です。治療の目標は、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することです。そこまで到達できないときでも、できる限り軽い状態を維持することを目指していきます。「塗っているときはいいけれど、塗らないとすぐに出てくる」のは良いとはいえません。治療方法の3本柱は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の検索と対策」です。本稿では、最近の薬物療法を中心に解説いたします。なお、本文中の薬価は2023年12月現在の薬価です。インデックス

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アトピー性皮膚炎の治療総論

アトピー性皮膚炎の治療戦略アトピー性皮膚炎の治療では「寛解」という目標が重要です。それは「症状がない、もしくは症状があっても軽微で、かつ日常生活に支障がない状態」つまり「寛解」を目指すことが大切です。寛解が達成できると、患者さんのQOL(生活の質)などは大きく改善されますので、その目標をしっかり医師と患者さんの二人三脚で達成していきたいものです。寛解維持に向けて多くの患者さんは、外用薬を塗ったら良くなるけど、やめたらすぐ再燃する、ということを外来で話されます。「寛解、再燃」のスパイラルに陥ってしまうと、「やはり良くならない」「治療しても意味がない」と思われてしまい、治療を中断してしまう患者さんがいます。よく知られているように「よくなった」と感じた時点でも、皮膚の奥ではまだ炎症がくすぶっていることが多いのです。患者さんが自己判断で外用薬塗布の頻度を減らしてしまうと、皮膚症状が再燃してしまいがちです。そうならないためにも、私は、アトピー性皮膚炎の中等症~重症の患者さんに対しては、プロアクティブ療法と同時にかゆみの物質を血液で検査する「TARC検査」(保険適応あり)を希望される方に施行しています。これはアトピー性皮膚炎の症状に応じて増減することが知られていますので、TARCが正常範囲内にあることが寛解に向けた1つの数字での「見える化」となるかもしれません。治療方法の3本柱は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の検索と対策」です。1)外用薬ステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストの外用薬を用います。外用薬はFTU(finger tip unit)を考えて使用します。やさしく、すりこまないように塗るのが大切です。私はステロイド外用薬を使わなくても良い状態まで改善させることを治療目標の1つにしています。2)経口薬抗ヒスタミン薬をかゆみ止めとして使うことが多いです。経口JAK阻害薬であるバリシチニブ、ウパダシチニブ、アブロシチニブがアトピー性皮膚炎の治療薬として使用できるようになりました。多くの治療薬が登場して、重症な方にも治療が届きやすくなりました。時にシクロスポリンを用いることもありますが、長期間の使用で血圧上昇や腎臓への負担がかかりますので短期間の使用が望ましいです。3)注射薬(生物学的製剤)デュピルマブやネモリズマブ、トラロキヌマブなどが使用できます。これらの治療薬でかゆみや皮膚症状はかなりコントロールしやすくなりました。デュピルマブは、2021年のガイドラインで維持療法(寛解を維持するための治療)としても推奨されるようになりました。4)光線療法私はナローバンドUVB照射装置やエキシマランプを用いて光線療法を行っています。かゆみの強い部分にとくに効果を発揮してくれます。ステロイドなど外用薬の使用量を減らすことにも役立ちます。5)スキンケア皮膚のバリア機能および保湿因子を回復させることがスキンケアの大切な目的です。私は、スキンケアを重視しています。とくに出生直後から保湿外用剤によるスキンケアを行うことは、アトピー性皮膚炎の発症リスクを下げることも知られています1)。アトピー性皮膚炎の治療を実践していく上で、スキンケアはどの状態のアトピー性皮膚炎であっても大切です。1)Horimukai K. et al. J Allergy Clin Immunol. 2014;134:824-830.プロアクティブ療法とはアトピー性皮膚炎の治療では、炎症を抑える治療で寛解となった後、外観上ほとんど異常がないように見えても潜在的な炎症が皮膚の奥で残っている状態がしばらく続いています。ここで治療をいったん止めてしまう患者さんが多いのですが、この状態で治療を中止してしまうと、すぐに炎症が再燃してしまいます。プロアクティブ療法とは、皮膚炎が軽快した後もステロイド外用薬などの使用を中止せず、しばらくの間お薬を継続する方法です。それにより、皮膚炎やかゆみの改善状態を長期間維持することができ、再発・再燃の頻度や重症化が減ることが期待できます。プロアクティブとは「先を見越した」「予防的な」という意味で捉えられています。反対に、「かゆいときに塗る、かゆくなくなったら薬を止める」というのが「リアクティブ療法」です。軽症のアトピー性皮膚炎では、リアクティブ療法でも十分なこともあります。『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021』においても、プロアクティブ療法は「湿疹病変の寛解維持に有用かつ比較的安全性の高い治療法である」と記載され、推奨度1、エビデンスレベルAと高く推奨されています。プロアクティブ療法のやり方第1段階として、一番大切なことは「寛解導入」すなわち皮膚をツルツルの状態にしてしまうことです。そこではステロイド外用薬を1日2回、きっちりFTUを守って塗っていくことが大切です。光線療法をやる、デュピルマブの注射やJAK阻害薬の内服も重要です。ゴールはかゆみが止まることではなく、寛解することですから、しっかりツルツルの状態を作るまで頑張っていきます。寛解導入のためにはバックグラウンドとして保湿外用薬やスキンケアの継続を行ってくことも大切です。1)プロアクティブ療法を行う上で大切なことプロアクティブ療法はかゆみのあったところ、皮膚が荒れていたところにもステロイド外用薬をはじめとしたお薬を塗ることが大切です。長い期間ステロイドを塗ることへの不安もあると思いますが、20週間実施しても目立った副作用はなかったことも示されています。今はステロイド以外の治療薬もたくさんありますから、副作用が気になった場合は治りにくいところに光線療法を足す、デルゴシチニブやジファミラストなどの薬剤にスイッチするなどの対応が可能になります。2)プロアクティブ療法は患者さんには面倒くさい皮膚症状が寛解していると、お薬を塗るのは面倒くさいと患者さんは思います。ただ、プロアクティブ療法の目的は寛解を維持することですから、皮膚が荒れていたところにも塗っていくことは、再発防止のためには大切です。なお、アトピー性皮膚炎ガイドラインにはこのようにも記載されています。「外来での外用療法が主体となるアトピー性皮膚炎では、患者やその家族は治療の主体である」たしかに、プロアクティブ療法は面倒くさいですし、早く「塗らなくてもいい状態」になりたいはずの患者さんが頑張って毎日塗ることには、とても根気がいるはずですので医療従事者が、その頑張りを少しでも後押しできたらと思います。〔プロアクティブ療法FAQ〕プロアクティブ療法のメリットは?ステロイドの使用量をなるべく少なくして寛解を維持すること。プロアクティブ療法をやっていても痒い場合の対処は?まだ寛解に至っていない状況です。まず寛解導入をやり直しましょう。プロアクティブ療法を行っているとき、保湿も行ったほうが良いか?毎日行ってください!プロアクティブ療法では、いつまでステロイドを使う必要があるか?実は明確な答えがないのです。寛解導入が成功したあと、ステロイドを徐々にタクロリムスやデルゴシチニブなどの抗炎症外用薬にシフトしていき、結果としてステロイドを卒業していく、つまり「卒ステ」というのが目標になると思います。ずっと落ち着いていたのに、急にかゆくなってきた場合の対処は?再び寛解導入を目指してステロイド外用薬をしっかり塗る、光線療法を行う、などの治療を行います。かゆくなくなっても乾燥している部位への対処は?皮膚炎が治りきっていないところも多い可能性があります。しっかり治ると皮膚がツルツルとした柔らかい質感になってきます。ステロイドを終わらせることができましたが、治療薬はいつまで塗ったら良いか?しっかり治った状態をどう維持するか、明確な答えはありません。タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストは長期に外用することに伴う副作用は知られていません。寛解がしっかり維持されていれば、少しずつお薬を塗る間隔をあけながら保湿のみに移行していくのをお勧めします。佐伯秀久ほか. 日皮会誌. 2021:131;2691-2777.

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アトピー性皮膚炎の診療で役立つTIPS

口唇の乾燥アトピー性皮膚炎の患者さんで「唇が乾燥する」という訴えは多いです。それは口唇炎の症状なのですが、リップなどを長い期間使っても治らない患者さんも多数います。なぜなら「唇が乾燥する」状態の患者さんは、唇をなめるクセがあることが多いからです。子供の患者さんに多いのですが、唇やその周りをずっとなめ回すことを繰り返していると、周囲が輪を描くように赤くなります。これを「舌なめずり皮膚炎」と言います。これが長期間続くと口の周囲に色素沈着を来すこともあります。口唇のシミ唇が長い期間荒れている方は、点々とシミができてきます。“labial melanotic macules”や「口唇メラノーシス」と言われたりします。アジア人に多いとされています1)。アトピー性皮膚炎の発症時期が早い患者さんに多い傾向があり、アトピー性皮膚炎があっても、IgEが高い患者さんに唇の色素沈着が多い傾向があります2)。口唇トラブルへの治療の仕方〔口唇炎の治療〕口唇炎に関してはステロイド外用剤を中心に治療していきます。ワセリンを中心とした保湿も有効です。乾燥した感覚がある間は改善するまでステロイド外用剤を使ってみてください。しっかり治った良い状態をワセリンや患者さんに合ったリップでキープすることも大切です。〔口唇のシミの治し方〕口唇の色素沈着にはQスイッチルビーレーザーを使用します。痛み止めのクリームを塗り、レーザーを患部に照射します。治療の所要時間は数分で、1回の治療で終了することが多いです。1)Aljasser MI, et al. J Dermatol. 2019;23:86-89.2)Kang IH, et al. Int J Dermatol. 2018;57:817-821.

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外用薬【アトピー性皮膚炎の治療】

外用薬ではステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストを用います。外用薬はFTU(finger tip unit)を考えて使用します。やさしく、すりこまないように塗ることが大切です。私はステロイド外用薬を使わなくても良い状態まで改善させることを、治療目標の1つにしていますが、ステロイドを完全に止めてしまうのではなく、継続して治療することで再燃を防ぐことに心がけています。デルゴシチニブ(商品名:コレクチム)デルゴシチニブは、2020年6月24日から使用できる外用薬であり、プロトピック(タクロリムス)以来約20年ぶりの新発売です。ヤヌスキナーゼ阻害薬という、新しいメカニズムの外用薬で、発売から1年が経過し、小児用の0.25%製剤が発売されました。デルゴシチニブは、さまざまな種類のJAKを抑える働きがあります。その効果として、IL-4/13を代表とするサイトカインを抑えることや皮膚バリア機能を回復させることに役立つという基礎研究データがあります1)。デルゴシチニブの安全性について、副作用は比較的少なく、長期投与による皮膚萎縮、多毛などといったステロイドの弱点はまだありません。適用部位の刺激感はまれにありますが、使えなくなるほどのヒリヒリ感は経験しません。また、第III相臨床試験でも副作用発現頻度は、19.6%(69/352例)であり、主な副作用として適用部位毛包炎3.1%(11/352例)、適用部位ざ瘡2.8%(10/352例)、適用部位刺激感2.6%(9/352例)などが報告されています。デルゴシチニブの用法・用量通常、成人には、1日2回、適量を患部に塗布する。なお、1回当たりの塗布量は5gまで、体表面積の30%までとする。そのほか、生後6ヵ月以上のアトピー性皮膚炎の小児にも適応がとれ、小児には2021年6月21日に発売された0.25%製剤の使用が望ましいとされています。ただし、妊婦、授乳婦への使用は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」と注意も記載されています。デルゴシチニブの薬価0.25%:1g 139.70円0.5%:1g 144.9円〔ワンポイント〕効果の強さに関してはストロングクラス、すなわちベタメタゾンやタクロリムスと同等程度と位置付けられ、症状がかなり強く、急速に寛解導入したい場合には向いていないことがあります。一方、デルゴシチニブの副作用は比較的少なく、長期投与によるものがないため、プロアクティブ療法などでの使用に向いています。また、光線療法、シクロスポリン、デュピルマブとの併用が可能で、ステロイド外用薬の副作用があるときには、光線療法と併用することでステロイド外用薬の減薬に期待できます。1)Wataru Amano W, et al. J Allergy Clin Immunol. 2015;136:667-677.2)コレクチム軟膏 電子添文(2023年1月改訂(第6版))ジファミラスト(商品名:モイゼルト軟膏)ジファミラストは、2022年6月1日に発売されたホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤の新しい外用薬です。PDE4阻害薬は、細胞の中の細胞内のサイクリックAMP(cAMP)濃度を回復させる薬で、cAMP濃度が回復することで免疫細胞の活性化が抑えられます。また、ジファミラストの第III相臨床試験結果について、投与開始後4週間でInvestigator’s Global Assessment(IGA)が0または1かつベースラインから2点以上減少を達成した患者さんの割合は、38.46%とプラセボ(12.64%)に比べて有意に高く1)、小児では0.3%製剤で44.6%、1%製剤で47.1%といずれもプラセボ(18.1%)に比べて有意に高い効果を得ていました2)。病勢の指標であるeczema area andseverity index(EASI)が50%減少した指標であるEASI50は、4週間の投与で58.24%とプラセボ(25.82%)に比べ、有意に高くなりました。同様にEASI75は42.86%(プラセボ13.19%)、EASI90は24.73%(プラセボ5.49%)でした。4週後の平均EASI改善率は−49.1%(プラセボ−10.5%)でした1)。ジファミラストの安全性としては、色素沈着障害(1.1%)、毛包炎、そう痒症、膿痂疹、ざ瘡、接触皮膚炎が記載されています3)が、明らかに多い副作用は認められませんでした1,2)。ジファミラストの用法・用量15歳以降は1%製剤を使用します。14歳以下は0.3%か1%製剤を使用します。通常、成人には1%製剤を1日2回、適量を患部に塗布します。小児は0.3%製剤を1日2回、適量を患部に塗布します。また、症状に応じて、1%製剤を1日2回、適量を患部に塗布することができます3)。ジファミラストの薬価0.3%:1g 142.00円1%:1g 152.10円〔ワンポイント〕使用感について患者さんからの評価は良く、塗った際の刺激感を訴えられることはありませんでした。効果に関しても総じて好印象でした。1)Saeki H, et al. J Am Acad Dermatol. 2022;86:607-614.2)Saeki H, et al. Br J Dermatol. 2022;186:40-49.3)モイゼルト軟膏 電子添文(2023年6月改訂(第3版))

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経口薬【アトピー性皮膚炎の治療】

経口JAK阻害薬では、ウパダシチニブ、バリシチニブ、アブロシチニブがアトピー性皮膚炎の治療薬として使用できるようになり、重症の患者さんにも治療が届きやすくなりました。時にシクロスポリンを用いることもありますが、長期間の使用で血圧上昇や腎臓への負担がかかりますので短期間の使用が望ましいです。ウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)ウパダシチニブはJAK1を阻害する薬剤です。通常は15mg錠を1日1回1錠、毎日服用しますが、患者さんの状態によっては7.5mgへの減量が可能です。アトピー性皮膚炎に限って倍量の30mgを処方することができます。ウパダシチニブの薬価7.5mg:2594.6円/錠15mg:5089.2円/錠30mg:7351.8円/錠バリシチニブ(商品名:オルミエント)バリシチニブはJAK1/JAK2を阻害する薬剤で、皮膚科領域ではアトピー性皮膚炎と円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合限定)に適応があります。用量は4mgを1日1回経口投与する。状態に応じ適宜減量となっています。相互作用がありますので、プロベネシドを内服している患者さんは減量が望ましいとされています。バリシチニブの薬価2mg:2705.9円/錠4mg:5274.9円/錠アブロシチニブ(商品名:サイバインコ)アブロシチニブはウパダシチニブと同じくJAK1を阻害する薬剤です。50mg、100mg、200mgの3剤形があり、通常用量の100mgから増やしたり減らしたりできます。状況に応じて柔軟な処方ができるのは利点です。適応はアトピー性皮膚炎のみになります。アブロシチニブの薬価50mg:2587.4円/錠100mg:5044円/錠200mg:7566.1円/錠〔アトピー性皮膚炎でのJAK阻害薬処方の注意点〕診療ガイドラインでは、次のように定められています。JAK阻害薬の内服は、「事前に十分な外用薬などの治療を行っていても難治であった方」が対象となります。今まで何もやっていない方であれば6ヵ月程度はガイドラインに沿った外用薬による治療を行い、それでも改善しない場合に使用します。投与の要否にあたっては、以下に該当する患者であることを確認する必要があります。(1)アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを参考に、アトピー性皮膚炎の確定診断がなされている。(2)抗炎症外用薬による治療では十分な効果が得られず、一定以上の疾患活動性を有する、または、ステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬に対する過敏症、顕著な局所性副作用もしくは全身性副作用により、これらの抗炎症外用薬のみによる治療の継続が困難で、一定以上の疾患活動性を有する成人アトピー性皮膚炎患者である。a)アトピー性皮膚炎診療ガイドラインで、重症度に応じて推奨されるステロイド外用薬(ストロングクラス以上)やカルシニューリン阻害外用薬による適切な治療を直近の6ヵ月以上行っている。b)以下のいずれにも該当する状態。IGAスコア3以上EASIスコア16以上、または顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する(目安として頭頸部のEASIスコアが2.4以上)体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上同時に、投与できる施設も決められております。次に掲げる医師要件のうち、本製剤に関する治療の責任者として配置されている者が該当する施設です。ア)医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上の皮膚科診療の臨床研修を行っていること。イ)医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に6年以上の臨床経験を有していること。うち、3年以上は、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床研修を行っていること。また、日本皮膚科学会でも届出制度を作っています。乾癬の生物学的製剤のように承認制度は設けていませんが、薬剤の特性上、下記の要件を満たした上で届出した上で、使用することになっています。1)皮膚科専門医が常勤していること2)乾癬生物学的製剤安全対策講習会の受講履歴があること3)薬剤の導入および維持において近隣の施設に必要な検査をお願いできること

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注射薬【アトピー性皮膚炎の治療】

デュピルマブ(商品名:デュピクセント)デュピルマブは、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体の治療薬で、2018年から使用できるようになったアトピー性皮膚炎の治療薬です。2週間に1回注射をします。生物学的製剤であり、生体が作る抗体タンパクを人工的に作成しアトピーを悪化させる活性物質にピンポイントで作用させることを目的としています。デュピルマブの対象患者ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者。デュピルマブの注射の種類注射器型のシリンジと自己注射に向いているペンの2種類。デュピルマブの特徴アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみに大きく関わる蛋白であるインターロイキン4(IL-4)、IL-13の働きを抑えます。具体的には、IL-4受容体α(IL-4Rα)をブロックする薬です。ブロックすることでアトピー性皮膚炎のかゆみ、皮膚炎症状が改善します。また、IL-4、13はフィラグリンという皮膚のバリア機能を保つための重要な蛋白を作りにくくさせることが知られており、これを抑制することで皮膚バリア機能の回復も期待できます。デュピルマブの用法・用量15歳以上の成人の初回投与は600mg(2本)です。以後、2週間おきに300mg(1本)ずつ注射します。初診時は問診と診察で適応があるかどうかの確認を行います。なお、初診時にデュピルマブの投与はできません。2023年9月25日より生後6ヵ月以上の小児に適応が追加されました。また、2023年12月18日より200mgシリンジが発売されました。小児では体重ごとに用法が変わります。具体的には5kg以上15kg 未満:1回 200mgを4週間隔、15kg以上30kg未満:1回 300mgを4週間隔、30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回 200mgを2週間隔、60kg以上:初回に600mg、その後は1回 300mgを2週間隔(成人と同様の用法、用量)で投与します。デュピルマブの薬価300mgシリンジ:5万8,593円300mgペン:5万8,775円200mg シリンジ:4万3,320円〔ワンポイント〕高額療養費制度の勧め:薬剤費が高額なため、高額療養費制度を利用されることを強くお勧めします。収入や年齢により適応となる場合やそうでない場合があります。自己注射をする場合、最大6本の注射薬を処方することができ、一部の方には高額療養費制度を用いて医療費の負担軽減が可能です。デュピクセント皮下注 電子添文(2023年9月改訂(第6版))ネモリズマブ(商品名:ミチーガ)ネモリズマブは、ヒト化抗ヒトIL-31受容体A(IL-31RA)モノクローナル抗体です。IL-31は、かゆみに重要な役割を果たすサイトカインで、主にTh2細胞から作られます。ネモリズマブは、アトピー性皮膚炎に伴うかゆみを改善する新しい発想の治療薬です。IL-31とアトピー性皮膚炎、そしてかゆみIL-31は、Th2細胞から産生され、アトピー性皮膚炎の皮膚病変部では、過剰に産生されていることが知られています1)。また、血清中のIL-31の濃度はアトピー性皮膚炎患者では上昇しており、病勢と相関していることが知られています2)。IL-31は神経線維が成長することを促進し、かゆみを増強する働きもあります3)。IL-31の受容体は神経線維や表皮角化細胞に分布しています。また、IL-31はバリア低下にも働くことが知られています4)。そして、この受容体は、感覚情報の中継点として機能する脊髄後根神経節に多く発現しており、かゆみを脳に伝えることにも深く関わっています5)。つまり、IL-31はかゆみに関係する神経を刺激して脳にそのかゆみを伝え、そして神経の成長を助けてかゆみを起こしやすくする働きがあります。この受容体は、IL-31RAとオンコスタチンM受容体(OSMR)が合わさってできており、ネモリズマブはそのうちIL-31RAに結合して働きを抑えます。ネモリズマブの効果第III相臨床試験の結果6)より、かゆみに関しては、1週目より有意な差がみられています。速やかなかゆみの改善という点を期待したいところです。ネモリズマブの副作用電子添文7)によると、アトピー性皮膚炎(18.5%)、皮膚感染症(ヘルペス感染、蜂巣炎、膿痂疹、二次感染など)(18.8%)が頻度の多い副作用です。ウイルス、細菌、真菌などによる重篤な感染症が3.4%に認められ、アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、蕁麻疹など)などの重篤な過敏症が0.3%報告されています。使用上の注意ネモリズマブはかゆみを治療する薬剤であり、かゆみが改善した場合も含め、投与中はアトピー性皮膚炎に対して外用薬をはじめとした必要な治療を継続することが必要です。ネモリズマブはIgGという種類の抗体製剤ですので、胎盤や乳汁に移行することがあります。そのため、妊娠中や授乳中の投与は禁忌ではありませんが、治療上の有益性が投与の危険性を上回ると判断された場合にのみ使用することになっています。ネモリズマブの適応13歳以上のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)となっています。ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤および抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー剤による適切な治療を一定期間施行しても、そう痒を十分にコントロールできない患者さんが対象です。ネモリズマブの用法・用量ネモリズマブとして60mgを4週に1回皮下注射で投与します。在宅自己注射も可能です。ネモリズマブの薬価60mgシリンジ:11万7,181円1)Guttman-Yassky E, et al: J. Allergy Clin. 2019;143:155-172.2)Ezzat M H M, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2011;25:334-339.3)Feld M, et al. J Allergy Clin Immunol. 2016;138:500-508.4)Cornelissen C, et al. J Allergy Clin Immunol. 2012;129:426-433.5)Furue M, et.al. Allergy. 2018;73:29-36.6)Kabashima K, et al. N Engl J Med. 2020;383:141-150.7)ミチーガ皮下注 電子添文(2023年11月改訂(第3版))トラロキヌマブ(商品名:アドトラーザ)トラロキヌマブは、IL-13を選択的に阻害するヒト免疫グロブリンIgG4モノクローナル抗体であり、IL-13がその受容体に結合するのをブロックします。IL-13はアトピー性皮膚炎の病変ができ、慢性化していくのに重要な働きをしますので、IL-13をブロックするのは合理的と考えられます。2022年12月に製造販売承認を取得、2023年3月に薬価基準に収載されました。2023年9月26日、アドトラーザ皮下注150mgシリンジが発売されました。IL-13の働きアトピー性皮膚炎の病変が持続するために重要な働きをするのが、Th2細胞というリンパ球です。Th2細胞は、IL-13やIL-4を産生することで皮膚のバリア機能低下、抗菌ペプチドの産生低下、IL-31というかゆみに関連するサイトカインの産生などを起こしてアトピー性皮膚炎の特徴的な病変を作ります。IL-13はIL-4と似た働きをしていますが、アトピー性皮膚炎の病態が作られる上で、IL-4よりIL-13のほうがより中心的な働きをしていることが知られています。また、線維化に関しても重要な役割を果たすことが解明され、アトピー性皮膚炎の慢性病変では苔癬化という皮膚がゴワついた感じになる病変ができますが、それにもIL-13の働きが重要であることが判明しています。トラロキヌマブの効果ステロイド外用剤併用下で、16週間トラロキヌマブを投与することで皮膚炎の重症度指標であるEASIが75%減少した患者割合であるEASI75は56.0%でした。これに対し外用薬だけの患者は35.7%でした。トラロキヌマブの適応従来の治療(ステロイド外用剤など)で十分な効果が得られない15歳以上のアトピー性皮膚炎患者トラロキヌマブの用法・用量トラロキヌマブはシリンジ製剤で、初回4本、その後2週間隔で2本を皮下注射します。現段階では在宅自己注射はできません。トラロキヌマブの薬価150mgシリンジ:2万9,295円アドトラーザ皮下注 電子添文(2023年9月改訂(第2版))

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遺伝性血管性浮腫治療薬のホームデリバリーでQOL向上を目指す/CSLベーリング

 2023年12月5日、CSLベーリング主催による「遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんのQOL向上をめざして」と題したプレスセミナーが開催された。同セミナーでは、広島市民病院 病院長の秀 道広氏による「HAE病態解明と治療法の進歩について」の講演が行われたほか、NPO法人遺伝性血管性浮腫患者会(HAEJ)理事長の松山 真樹子氏が患者の家族として、日常の苦労やHAE患者の今後の課題を述べた。 また、CSLベーリングは同日付のプレスリリースで、2022年11月に発売されたHAE急性発作発症抑制薬「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター(商品名:ベリナート皮下注用2000)」による在宅治療を行っている患者に対して、医薬品配送サービス「CSLホームデリバリー」を2023年12月1日より全国で開始したと発表した。命に関わることもある指定難病のHAE HAEは、主に遺伝子の変異により血液中のC1インアクチベーターの低下もしくは機能異常により起こる疾患である。皮膚や腹部(腸)、手足や唇、喉など、体中のさまざまな部位に繰り返し腫れが起こり、とくに喉が腫れると気道をふさいで呼吸困難に陥り、命に関わる場合もある。HAEは、国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患の1つに認定されている。海外のデータでは人口の5万人に1人の割合で患者がいるといわれており1)、日本には約2,500例の患者がいると推定されている2)。しかし、日本では診断・治療中の患者は約430例にとどまるという報告3)があることから、診断に至っていない患者が国内に多くいる可能性が高いと、秀氏は講演の中で指摘した。多岐にわたる症状により診断が困難 症状が多岐にわたるため、患者は内科や胃腸科、婦人科などを受診することもある。HAEの認知度は皮膚科の医師においては高くなってきているものの、他科では低い状況もあって診断に至らず、実際、確定診断までにかかる年数は発症から14.8年という報告もある4)。長期予防薬にて治療可能だが、薬を持ち帰ることが負担 診断に至った後でも、患者の悩みは続く。急性発作を予防するために、自己注射にて長期予防薬を投与する必要があるが、その治療薬の1つである「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター」は30℃以下での保存が必須である。保冷バッグに入れる必要があり、「大きな荷物となるため持ち帰ることが大変困難」と、松山氏は患者家族の苦労を語った。ホームデリバリーシステムにより患者負担の軽減を目指す 「CSLホームデリバリー」は、薬を自宅に持ち帰る患者の負担軽減を目的に、定期受診の際に処方される医薬品、医療材料を患者の自宅に安全・確実に配送する、CSLベーリングが提供する医薬品宅配サービスだ。輸送時は適切な温度管理(保冷かつ凍結を避けて30℃以下で保存)ができるよう同社が開発した専用の輸送ボックスを用いる。また、物流面の安全確保措置として、佐川急便が所有するチャーターサービス(貸し切り)を患者ごとに手配することで、他の荷物と区別して届けることを可能とした。さらに患者の自宅に指定時間に配達後、佐川急便が配達完了の報告を保険薬局に行うことで、集荷から完了まで適切に追跡を管理する。 同社は、「本取り組みが患者にとってより満足度の高い在宅治療につながり、適正治療および患者のQOLの向上に寄与できるよう今後も尽力していく」としている。

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抗ヒスタミン薬が無効の慢性特発性蕁麻疹、ligelizumabの効果は?/Lancet

 ヒスタミンH1受容体拮抗薬(H1AH)による治療で、効果不十分な成人および青年期(12歳以上)の慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者において、ligelizumabはプラセボに対する優越性を示したが、オマリズマブに対しては示さなかった。ドイツ・Urticaria Center of Reference and Excellence(UCARE)のMarcus Maurer氏らが、ligelizumabの有効性と安全性を評価した2つの第III相無作為化二重盲検比較試験「PEARL-1試験」および「PEARL-2試験」の結果を報告した。CSU患者の多くが、現在使用可能な治療ではその症状を完全に管理することができない。ligelizumabは、第IIb相用量設定試験ではH1AHで効果不十分なCSU患者において、蕁麻疹症状を改善することが報告されていた。Lancet誌オンライン版2023年11月23日号掲載の報告。2つの第III相試験で、ligelizumab 72mg、120mg、オマリズマブ300mgまたはプラセボに割り付け PEARL-1試験およびPEARL-2試験は、同一デザインの無作為化二重盲検実薬およびプラセボ対照並行群間比較試験で、46ヵ国347施設において実施された。 研究グループは、H1AHで効果不十分な中等度から重度の成人および青年期(12歳以上)のCSU患者を、ligelizumab 72mg、ligelizumab 120mg、オマリズマブ300mg、またはプラセボ群に3対3対3対1の割合で無作為に割り付け、4週間ごとに52週間投与した。プラセボ群では、24週目からligelizumab 120mgに切り替えた。 主要アウトカムは、12週時の週間蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインからの変化量(CFB)で、試験薬を1回以上投与された成人患者を有効性解析対象集団として、無作為化された投与群に従って解析した。安全性は、試験薬を1回以上投与された青年期を含むすべての患者を安全性解析対象集団として、実際に投与された試験薬について評価した。ligelizumabの優越性、対プラセボでは示すも、対オマリズマブでは示されず 2018年10月17日~2021年10月26日に、2試験で合計2,057例が無作為に割り付けられた(ligelizumab 72mg群614例、ligelizumab 120mg群616例、オマリズマブ群618例、プラセボ群209例)。患者背景は、1,480例(72%)が女性、577例(28%)が男性で、両試験のベースラインでの平均UAS7は29.37~31.10であった。 12週時のUAS7のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)のプラセボ群との差は、PEARL-1試験およびPEARL-2試験において、それぞれligelizumab 72mg群が-8.0(95%信頼区間[CI]:-10.6~-5.4)、-10.0(-12.6~-7.4)、ligelizumab120mg群が-8.0(-10.5~-5.4)、-11.1(-13.7~-8.5)であり、両試験においてligelizumab 72mg群および120mg群のプラセボ群に対する優越性が示された。 一方、12週時のUAS7のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)のオマリズマブ群との差は、PEARL-1試験およびPEARL-2試験において、それぞれligelizumab 72mg群で0.7(95%CI:-1.2~2.5)、0.4(-1.4~2.2)、ligelizumab 120mg群で0.7(-1.1~2.5)、-0.7(-2.5~1.1)であり、ligelizumab 72mg群および120mg群のオマリズマブ群に対する優越性は示されなかった。 ligelizumab、オマリズマブのいずれも、新たな安全性シグナルは認められなかった。

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皮膚疾患へのJAK阻害薬、心血管リスクを増加させず

 無作為化比較試験35件の皮膚疾患患者2万例超を対象としたメタ解析において、JAK阻害薬の使用はプラセボ/実薬対照と比較して、主要心血管イベント(MACE)および全死亡、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク増加と関連しなかった。米国・New York University Grossman School of MedicineのJenne P. Ingrassia氏らが報告した。JAK阻害薬は、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などの皮膚疾患に対する有効な治療選択肢であるが、米国食品医薬品局(FDA)が経口・外用JAK阻害薬について、MACE、VTE、重篤な感染症、悪性新生物、死亡のリスク増加に関する枠囲み警告(boxed warning)を付している。しかし、この枠囲み警告は関節リウマチ患者を対象とした「Oral Rheumatoid Arthritis Trial(ORAL)Surveillance試験」の結果に基づくもので、皮膚疾患患者で同様の関連が観察されるかは明らかになっていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年11月1日号掲載の報告。 研究グループは、皮膚疾患患者におけるJAK阻害薬とMACE、全死亡、VTEの関連を評価するシステマティック・レビューおよびメタ解析を実施した。 データベース開始日~2023年4月1日の期間にPubMed、ClinicalTrials.govに登録された研究を検索し、皮膚疾患に対してJAK阻害薬を用いた第III相無作為化比較試験を抽出した。JAK阻害薬はFDA承認または承認申請中、あるいはEUや日本で承認されている薬剤とした。対照群の設定されていない試験、ケースレポート、観察研究、レビューに関する論文は除外した。 システマティック・レビューおよびメタ解析は、PRISMAガイドラインに則って実施した。有害事象はランダム効果モデルとDerSimonian-Laird法を用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。2人の独立した著者によりデータの抽出と質的評価が行われた。 主要アウトカムは、MACEおよび全死亡の複合、VTEであった。 主な結果は以下のとおり。・システマティック・レビューおよびメタ解析は、無作為化比較試験35件とその参加者2万651例を対象とした。・対象患者の平均年齢(標準偏差[SD])は38.5(10.1)歳、男性は54%であった。・平均追跡期間(SD)は、4.9(2.68)ヵ月であった。・MACEおよび全死亡の複合(OR:0.83、95%CI:0.44~1.57)、VTE(同:0.52、0.26~1.04)について、JAK阻害薬とプラセボ/実薬対照に有意差は認められなかった。

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ネモリズマブ、結節性痒疹のそう痒・皮膚病変を改善/NEJM

 ネモリズマブ単剤療法はプラセボとの比較において、結節性痒疹のそう痒と皮膚病変を有意に改善したことが、海外第III相二重盲検無作為化比較試験「OLYMPIA 2試験」で示された。結節性痒疹は、慢性の神経免疫疾患であり、重度のそう痒を伴い疾病負荷が大きいとされる。ネモリズマブは、インターロイキン(IL)-31受容体αを標的としたモノクローナル抗体で、結節性痒疹の発症に重要な経路を阻害する。第II相試験では、IL-31を介したシグナル伝達を阻害し、そう痒と皮膚病変の改善、Th2細胞(IL-13)とTh17細胞(IL-17)を介した免疫応答を抑制することが示されていた。本結果は、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のShawn G. Kwatra氏らによって、NEJM誌2023年10月26日号で報告された。 OLYMPIA 2試験は、9ヵ国68施設において実施され、18歳以上の中等度~重度の結節性痒疹患者が対象となった。登録は2020年9月~2021年11月に行われた。対象患者は、ネモリズマブ群(初回用量60mg、その後は30mgまたは60mg[ベースライン時の体重[90kg未満または90kg以上]に基づく]を4週ごとに16週間皮下注射)、プラセボ群へ無作為に2対1の割合で割り付けられた。 有効性の主要評価項目は、16週目のPeak Pruritus Numerical Rating Scale(PP-NRS、スコア範囲:0~10点、スコアが高いほど重度)に基づくそう痒の改善(PP-NRSスコアが4点以上低下)と、16週目のInvestigator's Global Assessment(IGA、スコア範囲:0~4点)に基づく奏効(IGAスコア0点[消失]または1点[ほとんど消失]かつベースラインから2点以上低下)であった。 主要な副次評価項目は以下の5つ。(1)4週目のPP-NRSスコアがベースラインから4点以上低下(2)4週目の週間平均PP-NRSスコアが2点未満(3)16週目の週間平均PP-NRSスコアが2点未満(4)4週目のsleep disturbance numerical rating scale(SD-NRS、スコア範囲:0~10点、スコアが高いほど重度)スコアがベースラインから4点以上低下(5)16週目のSD-NRSスコアがベースラインから4点以上低下 主な結果は以下のとおり。・合計274例が無作為化された(ネモリズマブ群183例、プラセボ群91例)。・16週目において、2つの主要評価項目に関して治療効果が示された。・16週目においてそう痒の改善を達成した患者の割合は、ネモリズマブ群56.3%、プラセボ群20.9%であり、ネモリズマブ群が有意に改善した(調整群間差:37.4パーセントポイント[95%信頼区間[CI]:26.3~48.5]、p<0.001)。・16週目においてIGAに基づく奏効を達成した患者の割合も、ネモリズマブ群37.7%、プラセボ群11.0%であり、ネモリズマブ群が有意に改善した(調整群間差:28.5パーセントポイント[95%CI:18.8~38.2]、p<0.001)。・5つの主要な副次評価項目について、いずれもネモリズマブ群が有意に改善した(いずれもp<0.001)。(1)4週目のPP-NRSスコアがベースラインから4点以上低下:41.0% vs.7.7%(2)4週目の週間平均PP-NRSスコアが2点未満:19.7% vs.2.2%(3)16週目の週間平均PP-NRSスコアが2点未満:35.0% vs.7.7%(4)4週目のSD-NRSスコアがベースラインから4点以上低下:37.2% vs.9.9%(5)16週目のSD-NRSスコアがベースラインから4点以上低下:51.9% vs.20.9%・主な有害事象(ネモリズマブ群で5%以上に発現)は、頭痛(ネモリズマブ群6.6%、プラセボ群4.4%)、アトピー性皮膚炎(それぞれ5.5%、0%)であった。

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デュピルマブによる皮膚T細胞性リンパ腫が疑われた患者の臨床・病理学的特徴

 日常診療でのアトピー性皮膚炎に対するデュピルマブの使用が増加して以降、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)やリンパ球浸潤が生じた症例が報告されているという。そこで、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのCeleste M. Boesjes氏らは、デュピルマブ治療中に臨床的にCTCLが疑われたアトピー性皮膚炎患者の臨床的および病理学的特徴の検討を目的として、後ろ向きケースシリーズ研究を実施した。その結果、デュピルマブによる治療を受けた患者は、特有の病理学的特徴を持ちながら、CTCLに類似した可逆的な良性のリンパ球集簇(lymphoid reaction:LR)が生じる可能性があることが示された。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年10月18日号掲載の報告。 本研究は、2017年10月~2022年7月にユトレヒト大学医療センターにおいて、デュピルマブによる治療中にCTCLが疑われた18歳以上のアトピー性皮膚炎成人患者14例を解析対象とした。臨床的特徴を評価し、治療前・中・後の皮膚生検のデータを収集して病理学的な再評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・解析対象患者14例の年齢中央値は56歳(四分位範囲[IQR]:36~66)、男性の割合は54.5%であった。・14例のうち3例は、CTCLの1つである菌状息肉症(MF)をデュピルマブによる治療前に有していたことが再評価により認められた。・残りの11例は、最終的にLRと診断された。・これらの患者はMF様症状を示したが、病理学的所見は異なり、表皮上層での小型の濃染性のリンパ球が点在し、CD4/CD8比の異常、CD30の過剰発現が認められたが、汎T細胞抗原(CD2、CD3、CD5)の消失はみられなかった。・臨床的な悪化までの期間の中央値は、4.0ヵ月(IQR:1.4~10.0)であった。・治療後の生検では、すべての患者でLRの完全な消失が示された。

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