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ピメクロリムス、乳幼児アトピーの第1選択に?

 アトピー性皮膚炎(AD)は主に乳幼児に発症する。しばしば局所ステロイド薬が処方されるが、副作用に対する懸念のためコンプライアンス不良となることが多く、非ステロイド薬が必要となる。アイスランド大学のBardur Sigurgeirsson氏らは、5年間の長期大規模非盲検試験を行い、ピメクロリムス1%クリーム(PIM、国内未承認)および局所ステロイド薬はいずれも安全で長期治療による免疫系への影響はなく、局所ステロイド薬の使用量を減少させることを示した。著者らは、「PIMは局所ステロイド薬と同程度に有効で、軽~中等症のAD乳幼児に対する第一選択の治療薬となりうることを支持する結果である」とまとめている。Pediatrics誌オンライン版2015年3月23日号の掲載報告。 軽~中等症のAD乳児2,418例を対象に検討した。PIM+増悪時の局所ステロイド薬短期併用(PIM)群(1,205例)または局所ステロイド薬群(1,213例)に無作為化し、5年間治療した。 主要評価項目は安全性とし、副次的評価項目は長期有効性であった。治療成功は、治験責任医師による皮膚症状の重症度の全般評価(Investigator's Global Assessment:IGA)スコアが0(寛解)または1(ほぼ寛解)と定義した。 主な結果は以下のとおり。・PIM群および局所ステロイド薬(TCS)群は、いずれも速やかに効果が発現し、3週までに治療成功率は50%を超えた。・5年後の治療成功率(IGAで評価)は、全体で85%超(PIM群88.7%、TCS群92.3%)、顔で95%(同:96.6%、97.2%)であった。・PIM群ではTCS群と比較し、局所ステロイド薬の使用日数が非常に少なかった(7 vs. 178日)。・有害事象のプロファイルおよび発現頻度は両群で類似しており、液性あるいは細胞性免疫機能障害の所見は認められなかった。

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~プライマリ・ケアの疑問~  Dr.前野のスペシャリストにQ!【呼吸器編】

第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? 第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う? 第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?第7回 COPDの薬物療法は何から始める?第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?第13回 結核の発見と対応のポイントは?第14回 肺塞栓を疑うポイントは?第15回 肺の聴診のコツは? 日常診療におけるジェネラリストの素朴な疑問に一問一答で回答するQ&A番組!気管支喘息や肺炎、COPDなどの実臨床でよく見る呼吸器疾患の診察、検査、治療に関する15の質問を、番組MCの前野哲博先生が経験豊富なスペシャリスト・長尾大志先生にぶつけます!第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? プライマリ・ケアで扱うことも多い気管支喘息。寛解への近道は継続した投薬です。そのため、患者のアドヒアランスを高めることも治療のキーポイント。治療の原則と併せて、最も効果がある処方例をズバリお教えいたします!第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 吸入ステロイドは気管支喘息治療薬のスタンダードですが、その剤形やデバイスは年を追うごとに進歩しています。かつて主流だったMDIと、近年数多く発売されているDPI。それぞれの特徴と使い分けをズバリお教えいたします。また、気管支喘息治療でよく使用されるDPI合剤の使い分けについても伝授。吸入ステロイドの選択はこの番組でばっちりです!第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う?気管支喘息治療では発作時の対処も重要なポイント。発作止めとしてよく使用する経口ステロイドですが、怖いものと思って、おそるおそる使っては効果も半減してしまいます。今回は、効果的に使用するために重要な投与量と中止のタイミングをズバリ解説。救急での受診後に処方する場合など発作時以外の使い方も併せてレクチャーします。第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?風邪はプライマリ・ケアで最もよく見る症状のひとつ。風邪症状から肺炎を見逃さないために、風邪の定義、そして風邪をこじらせた場合、初めから肺炎だった場合など、様々なシュチエーションに応じた見分け方のコツをズバリお教えします。第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?インフルエンザに迅速診断は必要?肺炎を疑う場合に使うのはどの検査?信頼性は?迅速診断に関する疑問にズバリお答えします。マイコプラズマ、尿中肺炎球菌、レジオネラ菌。それぞれの原因微生物ごとの迅速診断の特徴やキットの使い勝手など実臨床に役立つ情報をお届けします。第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?肺炎だけど起炎菌が同定できない!そんなときに行うのがempiric therapyです。今回はプライマリ・ケアで多い市中肺炎に焦点をあてて、empiric thearpyの進め方を解説します。その際、最も重要なのは肺炎球菌なのかマイコプラズマなのか予想すること。この2つを見分けるポイントと、またそれぞれに適した薬剤をズバリお教えします。第7回 COPDの薬物療法は何から始める?急激に患者数が増加するCOPD。2013年にガイドラインが改訂され、第1選択薬に抗コリン薬とβ2刺激薬が併記されました。でも実際に専門医はファーストチョイスにどちらを使っているのか?抗コリン薬が使えない場合はどうする?喀痰調整薬ってどんな患者に有用?COPDの薬物療法についてズバリお答えします。第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?COPD治療に必要な呼吸リハビリテーション。専門の機械や人員のいないプライマリ・ケアでもできることはあるの?答えはYES!と長尾先生は断言します。専門病院のような細かいプログラムは不要。しかもプライマリ・ケア医の強みを活かせる指導なのです。第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?専門病院で導入された在宅酸素療法。どういうときならプライマリ・ケア医の判断で酸素量を増やしてもいいの?SpO2の管理目標値はどのくらい?嫌がる患者さんに在宅酸素を継続してもらうコツはある?などの疑問にズバリ答えます!第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?長引く咳を主訴に来院する患者さん、最も多い感染後咳嗽を除外したあとに残るのは慢性咳嗽です。慢性咳嗽の原因疾患は、副鼻腔炎、後鼻漏、胃食道逆流、咳喘息と多彩。これらをどのように鑑別するのか?ズバリそのキーポイントは喀痰のありなしなのです!今回の講義ではすぐに使える鑑別のノウハウをレクチャーします。第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?慢性咳嗽の代表的な鑑別疾患である、咳喘息とアトピー咳嗽。この2つはどう違うの?アトピー咳嗽という言葉はよく耳にするけれど、実は慢性咳嗽の半数は咳喘息なのだそう。今回は両者の違いを端的に解説。咳喘息の特徴的な症状や診断と治療を兼ねた処方例まで網羅します。第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?百日咳は近年、成人の罹患率が高まり、受診する患者も増えてきました。成人では特徴的な症状が見られにくく、診断ができるころには治療のタイミングを逸しているのも診療の難しいところ。今回はそんな百日咳の鑑別のコツや検査をすべき対象について、ズバリお教えいたします!第13回 結核の発見と対応のポイントは?再興感染症とも言われる結核。早期の発見治療にはプライマリケアでの対応が重要です。今回は特徴的な感染徴候やリスク因子をレクチャー。検査はクオンティフェロンと喀痰検査どちらがいい?周囲に感染者が出たと心配する患者さんにどう対応したらいい?などの質問にもズバリお答えいたします!第14回 肺塞栓を疑うポイントは?いち早く発見したい肺塞栓症。確定診断までの流れなどのベーシックな知識はもちろん、造影CTやDダイマーなどの検査ができないときでも肺塞栓を除外できる条件をズバリお教えします!第15回 肺の聴診のコツは?肺の聴診は基本的な手技。どうやってカルテに書いたら伝わりやすい?今回は代表的な4つの肺雑音の特徴とカルテの記載方法をレクチャーします。連続性か断続性か、高音か低音かなど、聞き分けるコツと、その機序も併せて解説。仕組みの講義で病態生理の理解も深まること間違いありません!

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母親のFLG変異が、子のアトピーのリスクを高める

 疫学研究から、アレルギーのリスクはインプリンティング(遺伝子刷り込み)により母親から子へ遺伝することが示唆されている。アトピー性皮膚炎(AD)は、フィラグリン遺伝子(FLG)の機能喪失型変異による皮膚バリア機能の欠乏に起因する可能性が知られているが、ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のJorge Esparza-Gordillo氏らは、FLG突然変異の遺伝から独立して母親の遺伝子型の影響がみられることを明らかにした。母親における突然変異誘導性の全身免疫応答が、子のADリスクに影響している可能性を示唆している。PLoS Genetics誌2015年3月10日の掲載報告。 研究グループは、欧州における2つの家族研究(759家族および450家族)の検体を用い、欧州で最も一般的な4つのFLG突然変異(c.2282del4、p.R501X、p.R2447X、p.S3247X)について分析した。 主な結果は以下のとおり。・2つの独立した家族研究の両方において、4つのFLG突然変異のすべてについて、ADにおけるFLG遺伝の既知の役割を超える強力な母性FLG遺伝子型の影響が観察された。・全体としてFLG変異を保有している母親の子供は、ADのリスクが1.5倍に増加した。・FLG母性の影響は、母親がアレルギー感作を有する場合(アレルゲン特異的IgE抗体の血漿中濃度の上昇)のみ観察された。・母性の影響は、最近、ゲノムワイド関連解析により同定されたADで最も頻度が高い遺伝的リスク因子より強力であった。

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事例45 レボフロキサシン(商品名: クラビット)点眼液の査定【斬らレセプト】

解説事例では、レボフロキサシン(クラビット®)点眼液を外用投与したところA事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。「全身アトピー性皮膚炎であり、同皮膚炎による眼瞼部の炎症に対して処方したが、なぜ査定となったのか」と問い合わせがあった。同点眼液の添付文書を見てみる。適応症に、「眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、瞼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼科周術期の無菌化療法」とある。薬効は広範囲抗菌点眼薬に分類される。感染が明らかか、著しく疑われる傷病名の記載が必要な薬剤である。全身アトピー性皮膚炎の病名では、炎症はあるが感染を来しているかの判断はできない。また、保険診療では予防投与はできない。したがって、適応外使用もしくは不適当使用と判断されて査定となったものであろう。このことを説明し、必要を認めて投与した場合には、全身アトピー性皮膚炎の他に感染性眼瞼炎などの感染が読みとれる傷病名もしくはコメントを付与していただくようにお願いした。

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薬剤性アナフィラキシー

概説 アナフィラキシーのtrigger(誘因)は蜂毒、食物、薬剤、運動など多彩であり、頻度が最も高いものは食物である。それに対し、アナフィラキシーによる死亡例に限ると、最も多い誘因は薬剤である。薬剤がアナフィラキシーを起こす場合には、投与直後から症状を生じ重症化しやすい(誘因に曝露されてから速やかにアナフィラキシーを発症するほど、重症化しやすいという一般的傾向がある)ということに加えて、過去に既往がなく不意打ちの形で生じるため、アドレナリン自己注射薬を携帯していないことがほとんどであるという特徴がある。 欧米の疫学調査においても、薬剤性アナフィラキシーによる死亡例は漸増傾向にあり、これは、世界的に薬剤が多様化し、薬剤総数が増加の一途をたどっていることが背景に挙げられている。薬剤によりアナフィラキシーを起こさないのは水と塩分くらいのものであり、われわれが処方する薬剤や日常の処置で曝露される物質(薬剤としては認識されない、皮膚消毒液、ラテックス、器具の消毒薬の残留にも配慮する)は無数に存在する。常識的なことであるが、必要性が曖昧な処置は行わない・薬剤は投与しないことが基本姿勢として重要である。 発症機序と分類 IgEが関与するI型反応が典型的であるが、X線造影剤やNSAIDsなどはIgEが通常関与することなくアナフィラキシーを起こす。従来は、前者(IgEが関与するもの)をアナフィラキシー、後者(IgEが関与しないもの)をアナフィラキシー様反応(anaphylactoid reaction)と呼んだが、世界的な趨勢で両者ともアナフィラキシーと呼ばれるようになってきており、日本アレルギー学会の「アナフィラキシーガイドライン1)」でもこの立場をとっている。今でもアナフィラキシーとアナフィラキシー様反応に区別する方法が用いられることはあるが、将来的にはアナフィラキシーの診断名の下でアレルギー性(IgEが関与するもの・IgE以外の免疫機構が関与するものに分けられる)、非アレルギー性に大別される方向に向かうと考えられる。 たとえば、ペニシリンとNSAIDを内服してアナフィラキシーを発症した場合、従来はアナフィラキシー(様)反応とまず診断し、後日の精査で原因がペニシリンであればアナフィラキシー、NSAIDであればアナフィラキシー様反応と診断名を書き換えていたが、「様反応」を用いないことにしておけば、救急診療で付けられたアナフィラキシーの診断名は、後日原因薬が特定されても書き換えられることなく、踏襲されていくことになる。 診療上の注意点アナフィラキシー発症時は、原因の可能性がある薬剤の中止(たとえば、点滴投与中の抗菌薬を中止し、薬剤を含まない輸液に変更する)とアドレナリン筋注を行い、循環と呼吸の状態を把握する。アナフィラキシーから回復後、あるいは既往を有する患者に対しては、再発を回避するよう、適切な指導を行う。「アナフィラキシーガイドライン」では誘因となる医薬品として、抗菌薬、解熱鎮痛薬(NSAIDs等)、抗腫瘍薬、局所麻酔薬、筋弛緩薬、造影剤、輸血等、生物学的製剤、アレルゲン免疫療法を挙げ、これらによるアナフィラキシーの特徴を簡潔に述べるとともに、手術中に生ずるアナフィラキシーの主な誘因(とくに筋弛緩薬、抗菌薬、ラテックス)にも触れているので、それらに関してはガイドラインを参照されたい。実地診療に当たっておられる先生方に留意していただきたいこととしては、以下のものが挙げられる。 内服薬を誘因とするアナフィラキシーについては、複数薬剤が誘因に挙げられ、病歴だけでは特定に至らないことが多い。また、食後に内服した場合、食事内容が誘因である可能性も念頭に置く必要がある。 医療処置に伴ってアナフィラキシーを発症した場合には、ラテックスが原因候補の1つに挙げられることが多い。ラテックスおよび交差反応性のあるシラカンバ、ハンノキ花粉の特異的IgEは、どの医師においても測定が可能であり参考になる(診断が確定するわけではないが)。 アナフィラキシーの発症前に投与された薬剤、摂取した食品と摂取時刻、症状の経過を、詳細に患者に記録しておいていただくことが重要。この情報は誘因の特定に大変に役立つ。 誘因の特定や安全に使用可能な薬剤の選定、あえて誘因となった薬剤を使わざるを得ない(脱感作が必要)といった場面では、ぜひアレルギー専門医に紹介いただきたい。アレルギー専門医にとって薬剤アレルギーへの対応は時間と労力を要するのだが、薬剤性アナフィラキシーは患者のQOLのためにも、生命予後のためにも重要な疾患であることは昔から一貫している。なお、薬剤を用いた即時型皮膚反応検査(プリックテストや皮内テスト)は、IgEが関与する反応において有用性が高いが、アナフィラキシーを起こした患者に不用意に行うとアナフィラキシーを誘発する可能性があるため、外来ですぐに施行できるわけではないことをご承知おきいただきたい。1)日本アレルギー学会監修.Anaphylaxis対策特別委員会編.アナフィラキシーガイドライン.日本アレルギー学会;2014.

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アナフィラキシーの治療の実際

アナフィラキシーの診断 詳細は別項に譲る。皮膚症状がない、あるいは軽い場合が最大20%ある。 治療(表1)発症初期には、進行の速さや最終的な重症度の予測が困難である。数分で死に至ることもあるので、過小評価は禁物。 ※筆者の私見適応からは、呼吸症状に吸入を先に行う場合があると読めるが、筆者は呼吸症状が軽症でもアナフィラキシーであればアドレナリン筋注が第1選択と考える。また、適応に「心停止」が含まれているが、心停止にはアドレナリン筋注は効果がないとの報告9)から、心停止の場合は静注と考える。表1を拡大する【姿勢】ベッド上安静とし、嘔吐を催さない範囲で頭位を下げ、下肢を挙上して血液還流を促進し、患者の保温に努める。アナフィラキシーショックは、distributive shockなので、下肢の挙上は効果あるはず1)。しかし、下肢拳上を有効とするエビデンスは今のところない。有害ではないので、薬剤投与の前に行ってもよい。【アドレナリン筋肉注射】気管支拡張、粘膜浮腫改善、昇圧作用などの効果があるが、cAMPを増やして肥満細胞から化学物質が出てくるのを抑える作用(脱顆粒抑制作用)が最も大事である。α1、β1、β2作用をもつアドレナリンが速効性かつ理論的第1選択薬である2)。緊急度・重症度に応じて筋注、静注を行う。血流の大きい臀部か大腿外側が薦められる3)。最高血中濃度は、皮下注で34±14分、筋注で8±2分と報告されており、皮下注では遅い4)。16~35%で2回目の投与が必要となる。1mLツベルクリンシリンジを使うと針が短く皮下注になる。1)アドレナリン1回0.3~0.5mg筋注、5~30分間隔 [厚生労働省平成20年(2008)5)]2)アドレナリン1回0.3~0.5mg筋注、5~15分間隔 [UpToDate6)]3)アドレナリン1回0.01mg/kg筋注 [日本アレルギー学会20141)]4)アドレナリン1回0.2~0.5mgを皮下注あるいは筋注 [日本化学療法学会20047)]5)アドレナリン(1mg)を生理食塩水で10倍希釈(0.1mg/mL)、1回0.25mg、5~15分間隔で静注 [日本化学療法学会20047)]6)アドレナリン持続静脈投与5~15µg/分 [AHA心肺蘇生ガイドライン20109)]わが国では、まだガイドラインによってはアドレナリン投与が第1選択薬になっていないものもあり(図1、図2)、今後の改訂が望まれる。 ※必ずしもアドレナリンが第1選択になっていない。 図1を拡大する ※皮膚症状+腹部症状のみでは、アドレナリンが第1選択になっていない。図2を拡大する【酸素】気道開通を評価する。酸素投与を行い、必要な場合は気管挿管を施行し人工呼吸を行う。酸素はリザーバー付マスクで10L/分で開始する。アナフィラキシーショックでは原因物質の使用中止を忘れない。【輸液】hypovolemic shockに対して、生理食塩水か、リンゲル液を開始する。1~2Lの急速輸液が必要である。維持輸液(ソリタ-T3®)は血管に残らないので適さない。【抗ヒスタミン薬、H1ブロッカー】経静脈、筋注で投与するが即効性は望めない。H1受容体に対しヒスタミンと競合的に拮抗する。皮膚の蕁麻疹には効果が大きいが、気管支喘息や消化器症状には効果は少ない。第1世代H1ブロッカーのジフェンヒドラミン(ベナスミン®、レスタミン®)クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン®)5mgを静注し、必要に応じて6時間おきに繰り返す。1)マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン®)2.5~5mg静注 [日本化学療法学会20047)]2)ジフェンヒドラミン(ベナスミン®、レスタミン®)25~50mg緩徐静注 [AHA心肺蘇生ガイドライン20109)] 保険適用外3)ジフェンヒドラミン(ベナスミン®、レスタミン®)25~50mg静注 [UpToDate6)]4)経口では第2世代のセチリジン(ジルテック®)10mgが第1世代より鎮静作用が小さく推奨されている [UpToDate6)] 経口の場合、効果発現まで40~60分【H2ブロッカー】心収縮力増強や抗不整脈作用がある。蕁麻疹に対するH1ブロッカーに相乗効果が期待できるがエビデンスはなし。本邦のガイドラインには記載がない。保険適用外に注意。1)シメチジン(タガメット®)300mg経口、静注、筋注 [AHA心肺蘇生ガイドライン9)] シメチジンの急速静注は低血圧を引き起こす [UpToDate6)]2)ラニチジン(ザンタック®)50mgを5%と糖液20mLに溶解して5分以上かけて静注 [UpToDate6)]【βアドレナリン作動薬吸入】気管支攣縮が主症状なら、喘息に用いる吸入薬を使ってもよい。改善が乏しい時は繰り返しての吸入ではなくアドレナリン筋注を優先する。気管支拡張薬は声門浮腫や血圧低下には効果なし。1)サルブタモール吸入0.3mL [日本アレルギー学会20141)、UpToDate6)]【ステロイド】速効性はないとされてきたが、ステロイドのnon-genomic effectには即時作用がある可能性がある。重症例ではアドレナリン投与後に、速やかに投与することが勧められる。ステロイドにはケミカルメディエーター合成・遊離抑制などの作用により症状遷延化と遅発性反応を抑制することができると考えられてきた。残念ながら最近の研究では、遅発性反応抑制効果は認められていない10)。しかしながら、遅発性反応抑制効果が完全に否定されているわけではない。投与量の漸減は不要で1~2日で止めていい。ただし、ステロイド自体が、アナフィラキシーの誘因になることもある(表2)。とくに急速静注はアスピリン喘息の激烈な発作を生じやすい。アスピリン喘息のリスクファクターは、成人発症の気管支喘息、女性(男性:女性=2:3~4)、副鼻腔炎や鼻茸の合併、入院や受診を繰り返す重症喘息、臭覚低下。1)メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール®)1~2mg/kg/日 [UpToDate6)]2)ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(ソル・コーテフ®)100~200mg、1日4回、点滴静注 [日本化学療法学会20047)]3)ベタメタゾン(リンデロン®)2~4mg、1日1~4回、点滴静注11) 表2を拡大する【グルカゴン】βブロッカーの過量投与や、低血糖緊急時に使われてきた。グルカゴンは交感神経を介さずにcAMPを増やしてアナフィラキシーに対抗する力を持つ。βブロッカーを内服している患者では、アドレナリンの効果が期待できないことがある。まずアドレナリンを使用して、無効の時にグルカゴン1~2mgを併用で静注する12)。β受容体を介さない作用を期待する。グルカゴン単独投与では、低血圧が進行することがあるので注意。アドレナリンと輸液投与を併用する。急速静注で嘔吐するので体位を側臥位にして気道を保つ。保険適用なし。1)グルカゴン1~5mg、5分以上かけて静注 [UpToDate6)]【強力ミノファーゲンC】蕁麻疹単独には保険適用があるがアナフィラキシーには効果なし。観察 いったん症状が改善した後で、1~8時間後に、再燃する遅発性反応患者が4.5~23%存在する。24時間経過するまで観察することが望ましい。治療は急いでも退室は急ぐべきではない13)。 気管挿管 上記の治療の間に、嗄声、舌浮腫、後咽頭腫脹が出現してくる患者では、よく準備して待機的に挿管する。呼吸機能が悪化した場合は、覚醒下あるいは軽い鎮静下で挿管する。気道異物窒息とは違い準備する時間は取れる。 筋弛緩剤の使用は危険である。気管挿管が失敗したときに患者は無呼吸となり、喉頭浮腫と顔面浮腫のためバッグバルブマスク換気さえ不能になる。 気管挿管のタイミングが遅れると、患者は低酸素血症の結果、興奮状態となり酸素マスク投与に非協力的となる。 無声、強度の喉頭浮腫、著明な口唇浮腫、顔面と頸部の腫脹が生じると気管挿管の難易度は高い。喉頭展開し、喉頭を突っつくと出血と浮腫が増強する。輪状甲状靭帯穿刺と輪状甲状靭帯切開を含む、高度な気道確保戦略が必要となる9)。さらに、頸部腫脹で輪状軟骨の解剖学的位置がわからなくなり、喉頭も皮膚から深くなり、充血で出血しやすくなるので輪状甲状靭帯切開も簡単ではない。 絶望的な状況では、筆者は次の気道テクニックのいずれかで切り抜ける。米国麻酔学会の困難気道管理ガイドライン2013でも、ほぼ同様に書かれている(図3)14)。 1)ラリンゲアルマスク2)まず14G針による輪状甲状靭帯穿刺、それから輪状甲状靭帯切開3)ビデオ喉頭鏡による気管挿管 図3を拡大する心肺蘇生アナフィラキシーの心停止に対する合理的な処置についてのデータはない。推奨策は非致死的な症例の経験に基づいたものである。気管挿管、輪状甲状靭帯切開あるいは上記気道テクニックで気道閉塞を改善する。アナフィラキシーによる心停止の一番の原因は窒息だからだ。急速輸液を開始する。一般的には2~4Lのリンゲル液を投与すべきである。大量アドレナリン静注をためらうことなく、すべての心停止に用いる。たとえば1~3mg投与の3分後に3~5mg、その後4~10mg/分。ただしエビデンスはない。バソプレシン投与で蘇生成功例がある。心肺バイパス術で救命成功例が報告されている9)。妊婦対応妊婦へのデキサメタゾン(デカドロン®)投与は胎盤移行性が高いので控える。口蓋裂の報告がある15)。結語アナフィラキシーを早期に認識する。治療はアドレナリンを筋注することが第一歩。急速輸液と酸素投与を開始する。嗄声があれば、呼吸不全になる前に準備して気管挿管を考える。 1) 日本アレルギー学会監修.Anaphylaxis対策特別委員会編.アナフィラキシーガイドライン. 日本アレルギー学会;2014. 2) Pumphrey RS. Clin Exp Allergy. 2000; 30: 1144-1150. 3) Hughes G ,et al. BMJ.1999; 319: 1-2. 4) Sampson HA, et al. J Allergy Clin Immunol. 2006; 117: 391-397. 5) 厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアルアナフィラキシー.平成20年3月.厚生労働省(参照2015.2.9) 6) F Estelle R Simons, MD, FRCPC, et al. Anaphylaxis: Rapid recognition and treatment. In:Uptodate. Bruce S Bochner, MD(Ed). UpToDate, Waltham, MA.(Accessed on February 9, 2015) 7) 日本化学療法学会臨床試験委員会皮内反応検討特別部会.抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版).日本化学療法学会(参照2015.2.9) 8) 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会.第9章治療.In:食物アレルギー診療ガイドライン2012.日本小児アレルギー学会(参照2015.2.9) 9) アメリカ心臓協会.第12章 第2節 アナフィラキシーに関連した心停止.In:心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン2010(American Heart Association Guidelines for CPR & ECC). AHA; 2010. S849-S851. 10) Choo KJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012; 4: CD007596. 11) 陶山恭博ほか. レジデントノート. 2011; 13: 1536-1542. 12) Thomas M, et al. Emerg Med J. 2005; 22: 272-273. 13) Rohacek M, et al. Allergy 2014; 69: 791-797. 14) 駒沢伸康ほか.日臨麻会誌.2013; 33: 846-871. 15) Park-Wyllie L, et al. Teratology. 2000; 62: 385-392.

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アナフィラキシーにおける皮膚症状と診断

はじめに アナフィラキシーは、狭義にはIgEを介する、複数の臓器における即時型アレルギー反応で、広義には、造影剤や非ステロイド系抗炎症剤(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs; NSAIDs)などによる、さらには明らかな誘因なく症状が出現する特発性のものを含む1-3)。皮膚症状に関する限り、誘因による表現型の違いは知られていない。 その症状は、マスト細胞が多く分布する皮膚、粘膜、気道、消化管に多く現れ、末梢血の血漿成分の漏出による循環動態の悪化と神経症状を伴うことが多い。なかでも皮膚症状はアナフィラキシーの80~90%で出現2,4)し(表1)、呼吸困難感、血圧低下など、他の生命に関わる症状に伴って出現した場合の診断的価値は高い。 表1を拡大する アナフィラキシーにおける皮膚症状アナフィラキシーによる皮膚症状は、臨床的にI型アレルギーにより生じる皮膚症状と同様である。すなわち、皮膚、粘膜に分布するマスト細胞の急速な脱顆粒により、ヒスタミンをはじめとするメディエーターが組織内に放出され、血管に作用して微小血管の拡張(紅斑)、血漿成分の漏出(膨疹)、知覚神経の刺激による瘙痒を生じる。この反応は、蕁麻疹と大きく重複するが、蕁麻疹のスペクトラムは広く、アナフィラキシーですべての蕁麻疹の臨床像が起こるわけではない。一方、もともと慢性に反復する患者がアナフィラキシーを生じた場合は、両者の皮疹を区別することは困難であり、臨床像により両者を区別することはできない。しかし、傾向として両者の違いはあり、その特性を認識しておくことは有用である。1)皮疹の範囲皮膚症状をアナフィラキシーの診断の根拠とするには、体表の広い範囲に皮疹が出現していることが大切である。果物や野菜を摂取して起こる口腔アレルギー症候群では、軽症例では口腔ならびに顔面皮膚、粘膜の発赤、腫脹などにとどまり、接触蕁麻疹でも軽度であれば皮疹は接触部位に限局した発赤ないし膨疹となる。WAO(World Allergy Organization) 3)および日本アレルギー学会のアナフィラキシーガイドライン2)では、アナフィラキシーの3項目を挙げ、そのうちのいずれかに該当する場合をアナフィラキシーと診断する。皮膚症状は、その3項目のうちの2項目に含まれ、具体的には「全身の発疹、瘙痒または紅潮」と定義されている。なお、アナフィラキシーでも皮疹がない、あるいは限局性の蕁麻疹が出現する可能性はあるが、日本アレルギー学会のガイドライン2)では、部分的な紅斑、蕁麻疹、膨疹はグレード1(軽症)に位置付けられている。2)膨疹と紅斑蕁麻疹では、初期は膨疹の周囲に広範囲の紅斑を伴うことが多く、浮腫の強い膨疹は白色になることもある。しかし、症状を繰り返すうちに紅斑の範囲は狭まり、慢性蕁麻疹の紅斑は膨疹の範囲に限局することが多い(図1)。私見ではあるが、アナフィラキシーにおける皮膚症状は紅斑が主体で、膨疹はないか、あっても散在する程度のことが多い(図2)。バンコマイシンを急速に点滴または静注することで生じるバンコマイシン症候群(またはレッドマン症候群)は、血中バンコマイシン濃度が上昇するために好塩基球からヒスタミンが遊離され、顔面、頸部に紅斑を生じる現象であるが、この場合も顔面、頸部のびまん性紅斑が主体で膨疹はその主役ではない。 図1を拡大する 図2を拡大する 図2(続き)を拡大する 一方、特発性の蕁麻疹でも体表の広い範囲に膨疹が出現することはあるが、その場合は比較的境界が明瞭で、多くの無疹部を確認できることが多い(図3)。浮腫が眼瞼、口唇に生じると、病変が深部に及び、血管性浮腫となることもある。 図3を拡大する 3)除外すべき皮膚症状アナフィラキシーに伴う皮膚症状の特徴は、個々の皮疹の形よりもむしろその経過にある。また、病態の中心は血管の拡張と浮腫にあって器質的変化を伴わないため、圧迫により消退しないことも診断の根拠にできる(図4)。なお、表在性の膨疹、紅斑を伴わない血管性浮腫は、遺伝性血管性浮腫またはアンジオテンシン変換酵素阻害薬内服中に生じる発作の可能性を考える必要がある。その場合は抗ヒスタミン薬、アドレナリンは無効で、前者には速やかなC1インヒビター(C1-INH)製剤の静注が必要である5)。 図4を拡大する おわりにアナフィラキシー様症状には、パニック発作、迷走神経発作など、アナフィラキシーとは取るべき対応がまったく異なる疾患を鑑別する必要がある。そのために、皮膚症状は重要な診断の助けになり、正確な観察を心がけたい。 1) The Centre for Clinical Practice at NICE. Anaphylaxis. NICE clinical guideline 134. NICE.(Accessed on February 9, 2015.) 2) 日本アレルギー学会監修.Anaphylaxis対策特別委員会編.アナフィラキシーガイドライン.日本アレルギー学会;2014. 3) アナフィラキシーの評価および管理に関する世界アレルギー機構ガイドライン. Estelle F, et al. 海老澤元宏ほか翻訳. アレルギー.2013; 62: 1464-1500. 4) Joint Task Force on Practice Parameters; American Academy of Allergy, Asthma and Immunology; American College of Allergy, Asthma and Immunology; Joint Council of Allergy, Asthma and Immunology. J Allergy Clin Immunol 115: S483-S523, 2005. 5) 秀 道広ほか.日皮会誌.2011; 121: 1339-1388.

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小児アトピー性皮膚炎へのアザチオプリンの安全性

 アザチオプリンは重度の小児アトピー性皮膚炎の治療に有効であることが知られているが、安全性に関するデータは不足していた。英国・Great Ormond Street Hospital for Children NHS Foundation Trust/St George's HospitalのNicholas R. Fuggle氏らは、臨床所見を後ろ向きに調査し、アザチオプリン経口投与を小児アトピー性皮膚炎の治療として用いた場合、重大な有害事象は少ないことを明らかにした。著者らは適切な血液モニタリングと用量調整を推奨している。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年1月号(オンライン版11月4日号)の掲載報告。 研究グループは、小児アトピー性皮膚炎患者におけるアザチオプリン投与中の血液モニタリングに関する提言をまとめるため、2010~2012年にアトピー性皮膚炎の治療でアザチオプリンが処方され前向きに血液が採取された小児82例について、有害事象などを後ろ向きに評価した。 主な結果は以下のとおり。・アザチオプリン治療の開始年齢は、平均8.3歳(標準誤差[SEM]0.4歳)であった。・アザチオプリンの最大投与量は、チオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)活性正常例で平均2.4mg/kg(SEM 0.1mg)、低活性例で1.5mg/kg(SEM 0.1mg)であった。・治療開始から中央値0.4年後において、血液検査値異常を含む有害事象が82例中34例(41%)にみられた。18例(22%)は重大な血液検査値異常(肝トランスアミナーゼ上昇、リンパ球減少および好中球減少)で、うち2例が投与中止となった。・臨床的な有害事象は82例中16例(20%)にみられ、2例が投与中止となった。・多変量解析の結果、有害事象の発現は年齢、性別、TPMT活性および投与量と関連していなかった。

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花粉を避けるためのヒント

花粉を避けるために外出時の注意飛散の多い時の外出を控えるマスク、メガネを着用する帽子をかぶる(つばの広いもの)髪を束ねたほうがよいスカーフで首筋をガードするけばだった毛織物などの衣類は避けるコンタクトレンズ使用者は花粉飛散期だけでもメガネに替えたほうがよい監修:日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器学分野 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.大久保 公裕氏花粉を避けるために帰宅時の注意玄関で衣服や髪をよく払ってから入室する洗顔・うがい・手洗いを行い、鼻をかむ監修:日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器学分野 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.大久保 公裕氏花粉を避けるために家の中での注意飛散が多い時は窓・戸を閉めておく飛散が多い時は洗濯物・布団を外に干さない掃除を励行する(とくに窓際を念入りに)■掃除の仕方 掃除機をかけた後、空気清浄機で舞い上がった花粉を取る フローリング・畳の部屋は掃除機をかけた後、雑巾で水拭き■空気清浄機の置き場所 顔の高さに空気清浄機を置く 寝るときは、ベッドや布団の近くに監修:日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器学分野 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.大久保 公裕氏花粉を避けるためにその他の注意タバコは避ける(粘膜が傷つく)規則正しい生活を送り、ストレスをためない監修:日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器学分野 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.大久保 公裕氏

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花粉を避けるマスクの選び方

マスクの選び方顔の形に合うマスクを使用することが最も大切呼吸がしやすく、頬や鼻とマスクの間の隙間が少ないもの使い捨てが基本、高価なマスクを購入する必要はない花粉が多く飛散するときは、湿ったガーゼを層の間に挟むのも花粉捕集に有用監修:日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器学分野 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.大久保 公裕氏

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花粉症の薬物治療での注意点

花粉症の薬物治療にあたって初期療法で処方された薬剤をシーズンが終わるまで、きちんと服用してください。症状が出ない、症状が出たといって服用をやめると、かえって強い症状が出ます。眠気やだるさなどがあれば医師に相談してください。薬剤を服用していても、飛散が多いときは症状が出ることもあります。薬剤を継続しても効果が薄れることはありません。効果には個人差があります。監修:日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器学分野 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.大久保 公裕氏

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アナフィラキシー総論 シンプル解説

1.疾患または病態の定義、概念 アナフィラキシーは、食物、薬物、蜂毒、ラテックスなどの原因物質により誘発される即時型アレルギー反応の一型であり、その症状は複数の臓器症状が短時間のうちに全身性に現れ、生命に危機を与えるものを指す。またアナフィラキシーのうち、血圧低下やそれに伴う意識レベルの変容を伴う場合を、アナフィラキシーショックという。 2.病態生理 アナフィラキシーは、典型的には原因物質が感作マスト細胞や好塩基球上のIgEを架橋することにより、系統的なメディエーターの放出および分泌により引き起こされる。メディエーターはヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサン、プロスタグランジン、PAFなどであり、これらは平滑筋攣縮、粘液分泌、血管拡張、血管透過性亢進などの作用を示す。 3.診断基準国際的には複数の診断基準があるが、わが国で採用されている診断基準を以下に示す。3つのクライテリアがあり、そのうちいずれかに該当すればアナフィラキシーと診断する。 1)患者が数分から数時間の経過において、「皮膚・粘膜のどちらか、または両症状」と「呼吸器症状か血圧低下または末梢循環不全」の合併がある。 2)患者が抗原に曝露されて数分から数時間に以下の症状が2つもしくはそれ以上出現した場合。(1)皮膚・粘膜のどちらか、または両症状、(2)呼吸器症状、(3)血圧低下または末梢循環不全、(4)消化器症状。 3)患者が既知の抗原に曝露されて数分から数時間の間の血圧低下。4.臨床症状アナフィラキシー症状は、その定義にもあるように全身的に現れる。このため、あらゆる症状が発現しうるといっても過言ではない。しかし症状出現頻度には大きな違いがある。1)皮膚症状最も現れやすい症状である(図)。皮膚症状は掻痒を伴う蕁麻疹が典型的であるが、掻痒は軽度もしくは伴わずに紅斑のみが広がっていくこともよく経験する。 図を拡大する 2)粘膜症状皮膚症状に次いで頻度が多い。主に口唇腫脹や、眼瞼腫脹、眼球粘膜症状、また口腔咽頭粘膜症状(イガイガ感、違和感など)がよく認められる。皮膚・粘膜症状は程度が強いと、外観的な重篤感をうかがわせるが、生命維持には関与しないので、重症度は高く捉える必要はない。3)喉頭症状(上気道)喉頭は容易には視認できないので、初期は患者の主観症状に依存する。しかし、進行すると窒息から致死の転帰をたどる可能性がある。患者は胸部圧迫感や胸部・喉頭絞扼感、喉頭違和感、嚥下困難感などの主観的症状、嗄声、無声など客観的症状、さまざま訴える。しかし、小児にはこれら主観症状の表出が不得手であり、検者は常に患児の喉頭症状に注意を払うべきである。4)呼吸器症状(下気道)喉頭症状も上気道、つまり呼吸器症状に本来は包含されるが、注意点が異なるので、便宜的に分けて表記した。下気道症状として散発的な咳嗽が、じきに連続性となり咳き込む。喘鳴などraleを伴うようになると呼吸困難症状も現れてくる。5)消化器症状腹痛、嘔吐が多く、時に下痢を認める。腹痛は主観的な症状であるので、重篤度を推し量るには難しい。まれであるが、腹痛の中に膵炎を発症している症例もあり、注意を要する。6)循環器症状血圧低下を代償するために、頻脈、顔面蒼白、四肢冷感、活動性の低下が初期に認められる(プレショック)。さらに低血圧に陥ると、意識レベルの悪化が進行し、持続すると多臓器不全に至る(ショック)。循環器症状は生命維持に直結するので、迅速で適切な対応が求められる。症状は抗原に曝露されてから速やかに出現する。食物・薬物で5分以内が25.8%、30分以内が56.1%、蜂毒では5分以内が41.4%にも及ぶ。ただし、なかには抗原曝露から1~2時間後に症状が誘発される場合もある。その進行はきわめて急速である。蜂毒によるアナフィラキシーの場合は秒単位、食物アレルギーや薬物では分単位で症状悪化を認めるため、急激な変化に即応できるような意識と体制が求められる。また初期症状がいったん収まった後、しばらくして再燃する二相性反応も知られる。その頻度は報告によりさまざまであるが、アナフィラキシー反応の6%で、初期反応の後1.3~28.4時間後に再燃したとする報告がある。初期症状におけるアドレナリン投与の遅れが二相性反応を誘発する指摘もある。5.治療1)アドレナリンアドレナリンがアナフィラキシー治療の第1選択薬であることはきわめて重要な知識である。アドレナリンは、アナフィラキシーによって生じている病態を改善させる最も効果的な薬剤である。アドレナリンの効果発現は早いが、代謝も早く(10~15分)、必要に応じて反復投与する。投与量は0.01mg/kg、投与経路は筋肉注射であり、添付文書には記載されているものの皮下注射は推奨されない。吸入による循環器系に対する効果は否定的であり、挿管時の経気道的投与とは一線を画して理解するべきである。アドレナリン投与の遅れが、致死と関連があるとする報告は枚挙にいとまがない。しかし日常診療においてアドレナリンは使い慣れない薬剤であり、治療指数(治療効果を示す量と致死量との比較)が狭く、また劇薬指定であることが影響して、その投与時期が遅れることがきわめて多い。致死の可能性がある症状、すなわちショックおよびプレショック、そして呼吸器(上下気道)症状に対して、迅速積極的に投与されるべきである。わが国では、アドレナリン自己注射薬(エピペン)が平成18年に小児にも適応となり、平成20年には学校・幼稚園、平成23年には保育所における注射が認められるようになった。医師は指導的な立場で、病院外でのアドレナリンの適正使用に貢献することが求められている。アドレナリンを米国だけはエピネフリンと公称するが、その歴史の事実は、高峰 譲吉氏が1900年に発見し、結晶化に成功した物質であり、そのときの命名がアドレナリンである。2)抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)アドレナリン以外の薬剤のアナフィラキシー治療における位置づけは実は低い。それにもかかわらず漫然と使用されている臨床現場があるのも事実である。抗ヒスタミン薬の蕁麻疹や掻痒に対する効果は明らかであるが、紅斑にすらその効果は限定的である。ましてショックはもちろん、呼吸器、消化器症状に対する効果は期待できない。さらに注射薬はその鎮静効果から、かえって患者の意識レベルの評価を困難にする。このため、安易な投与はむしろ避け、投与対象を慎重に考え、使用後は継続的なモニタリングを行い急変に備える。3)ステロイド薬抗ヒスタミン薬と同様、アナフィラキシーの急性期の治療に対するステロイド薬の効果に関するエビデンスはきわめて乏しい。それにもかかわらず、経験的に多用されている特殊な薬剤である。二相性反応に対する効果を期待されて投与されることが多いが、そのエビデンスも乏しい。漫然と投与して、モニタリングもせずに経過を追うことがあってはならない。4)その他呼吸器症状にはβ2刺激薬吸入が効果的なことが多い。また十分な酸素投与および輸液管理は基本であり。ショック体位を早期から取らせ、不用意な体位変換も避けるべきである。6.臨床検査 アナフィラキシーにおける臨床検査所見の価値はきわめて限定的である。なぜなら検査結果が出た時点では、アナフィラキシー症状の趨勢は決しているからである。 事後的にアナフィラキシー症状を確認する目的としては、マスト細胞や好塩基球由来のメディエーター(血漿ヒスタミンや血清トリプターゼ、PAFなど)の上昇はアナフィラキシーの存在を支持する。特異的IgE値や皮膚テスト(プリックテスト)の結果は、アナフィラキシーのリスクと一定の相関性があるが、強くはない。 7.小児期のアナフィラキシー 小児期のアナフィラキシーの主な原因は食物である。一般的にソバや落花生のアナフィラキシーリスクが高いと考えられるが、鶏卵、牛乳、小麦のリスクが低いわけではなく、同様の管理が必要である。 症状は、小児に限って発症しやすいものはない。しかし、成人と異なり、症状の表出が十分にできないため、気道症状やショック症状の初期症状、たとえば喉頭違和感や閉塞感、立ちくらみ、元気がなくなるなどの症状を、見落とさないよう気を付ける必要がある。疫学調査で、小児期のショック発生率が成人に比べて少ないのは、こうした症状が見落とされているためと考えられる。小児のアナフィラキシーが、成人に比べて軽症であると安易に考えないほうが良い。 アナフィラキシーの治療は成人と変わらない。アドレナリンが第1選択薬であり、投与量は0.01mg/kgで0.5mgを上限とする。 自己判断ができない小児期のアナフィラキシー管理は、保護者や日々の管理者が代行することになる。このためリスクの認識と発症時の対応方法を、彼らに十分に習熟させることが求められる。

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オマリズマブ、慢性特発性蕁麻疹の新たな治療選択肢?

 コロンビア・Fundacion Valle del LiliのDiana C Carrillo氏らは、慢性特発性蕁麻疹に対するオマリズマブの有効性および安全性を検討する目的で、プラセボを対照とした無作為化試験のシステマティック・レビューを行った。その結果、オマリズマブ300mgは抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1拮抗薬)が無効の慢性特発性蕁麻疹の治療に有効と考えられることを報告した。ただし、「効果的な治療期間を決定するためにさらなる検討が必要だ」とまとめている。World Allergy Organization 誌2014年12月31日号の掲載報告。 研究グループは、PubMed、Medline、EMBASE、Biomed Central、The Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Wily、OVIDおよびHighwire Pressを用いて2014年5月31日まで(新しい出版物については2014年の9月30日まで延長)のデータを検索し、論文の言語は問わず難治性の慢性特発性蕁麻疹と診断された12歳以上の患者を対象とした無作為化プラセボ対照試験を選択した。 評価項目は週単位の蕁麻疹活動性スコア(UAS7)やかゆみ重症度スコア(ISS)で、2人の研究者が独立してレビューし、論文の質はコクラン共同計画のツールを用いてバイアスリスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となった無作為化試験は5試験(合計1,117例)であった。平均年齢は42.07歳。大半が女性、白人種であった。・オマリズマブ投与群は831例(75mg投与183例、150mg投与163例、300mg投与437例、600mg投与21例)で、単回投与または4週ごと最大24週まで投与されていた。・オマリズマブ300mg投与では、3試験で主要評価項目の評価時期におけるUAS7のベースラインからの低下量がプラセボより大きかった(19.9 vs. 6.9、19 vs. 8.5、20.7 vs. 8.01;すべてp<0.01)。・また、4試験で主要評価項目の評価時期におけるISSのベースラインからの変化量がプラセボより大きく(-9.2vs.-3.5、p<0.001/-9.8vs.-5.1、p<0.01/-8.6vs.-4.0および-9.4vs.-3.63、ともにp<0.001)、2試験で血管性浮腫なしの日の割合が高かった(95.5%vs. 89.2%および91.0%vs. 88.1%、ともにp<0.001)。・オマリズマブの用法・用量、投与期間および追跡期間が異なっていたため、メタ解析は行われなかった。

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