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添付文書改訂:オルミエント錠に新型コロナ肺炎追加/イグザレルトがDOACで初の小児適応追加/オキシコンチンTR錠に慢性疼痛追加【下平博士のDIノート】第73回

オルミエント錠に新型コロナ肺炎の適応追加<対象薬剤>バリシチニブ錠(商品名:オルミエント錠2mg/4mg、製造販売元:日本イーライリリー)<承認年月>2021年4月<改訂項目>[追加]効能または効果SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)<Shimo's eyes>ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬バリシチニブ(商品名:オルミエント錠)の効能または効果に、新型コロナウイルスによる肺炎が追加されました。わが国では、レムデシビル、デキサメタゾンに続いて3剤目の新型コロナウイルス感染症治療薬となります。現在、新型コロナウイルス感染症に係る入院加療は全額公費負担となっており、本剤もその対象となります。投与対象は、入院下で酸素吸入、人工呼吸管理、体外式膜型人工肺(ECMO)の導入が必要な中等症から重症の患者で、レムデシビルとの併用で最長14日間投与することができます。経口投与ができない患者には、同剤を粉砕・懸濁して、胃ろうや経鼻移管などの方法で投与します。使用にあたっては、RMP資材である、「適正使用ガイド SARS-CoV-2による肺炎」を参照してください。バリシチニブの主な排泄経路は腎臓のため、透析患者または末期腎不全の患者は禁忌です。また、リンパ球数が200/mm3未満の患者にも禁忌となっています。治療成績としては、1,033人の患者が登録された国際共同第III相試験で回復までの期間を比較した結果、バリシチニブ+レムデシビルの併用群(バリシチニブ群)は7日、レムデシビル単独群(対照群)は8日と有意差がありました。また、重症患者216人に絞って評価したところ、回復までの期間は、バリシチニブ群で10日、対照群は18日とより大きな差が見られました。なお、本剤は2020年12月にアトピー性皮膚炎の追加適応も得ています。参考日本イーライリリー プレスリリースイグザレルトがDOACで初の小児適応追加<対象薬剤>リバーロキサバン(商品名:イグザレルト錠・OD錠・細粒分包10mg/15mg、製造販売元:バイエル薬品)<改訂年月>2021年1月<改訂項目>[追加]効能または効果小児:静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制<Shimo's eyes>抗凝固薬のリバーロキサバン(商品名:イグザレルト錠・OD錠・細粒分包)の効能または効果に、小児に対する「静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制」が追加され、小児適応を持つ唯一の直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)となりました。また、新生児や乳幼児の服用にも適した剤型であるドライシロップ(同:イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg/103.4mg)も承認されました。本剤は、エドキサバン(同:リクシアナ錠・OD錠)、アピキサバン(同:エリキュース錠)とともに経口活性化凝固第Xa因子阻害薬に分類されます。血液凝固系におけるXa因子の活性化部位を直接的に阻害することで、トロンビンの生成を阻害して抗凝固作用を発揮します。近年の疾患に関する認知や診断技術の向上により、静脈血栓塞栓症(VTE)と診断される小児患者数は増加しています。小児における従来のVTE治療では、ワルファリンのみが適応を持っていたため、採血による定期的な凝固系のモニタリングだけでなく、薬物相互作用や食事など多方面で配慮が必要でしたが、本剤の適応追加により、患児および介助者の負担を軽減できることが期待されています。参考バイエル薬品 プレスリリース同 イグザレルト.jp 小児:静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制(小児VTE)オキシコンチンTR錠の適応に慢性疼痛<対象薬剤>オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠(商品名:オキシコンチンTR錠5mg/10mg/20mg/40mg、製造販売元:シオノギファーマ)<改訂年月>2020年10月<改訂項目>[追加]警告慢性疼痛に対しては、本剤は、慢性疼痛の診断、治療に精通した医師のみが処方・使用するとともに、本剤のリスクなどについても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いること。また、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関を確認したうえで調剤を行うこと。[追加]効能・効果非オピオイド鎮痛薬またはほかのオピオイド鎮痛薬で治療困難な中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛[追加]用法・用量慢性疼痛に用いる場合:通常、成人にはオキシコドン塩酸塩(無水物)として1日10~60mgを2回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。<Shimo's eyes>オピオイド鎮痛薬のオキシコドン塩酸塩水和物徐放錠(商品名:オキシコンチンTR錠)の効能・効果に、慢性疼痛が追加されました。本剤は容易に砕けない硬さと、水分を含むとゲル化するという乱用防止特性を有する徐放性製剤です。本剤は、依存や不適正使用につながる潜在的なリスクがあるため、今回の適応追加に際しては、医薬品リスク管理計画を策定して適切に実施するなどの承認条件が付され、医療機関・医師・薬剤師による厳重な管理が求められています。【オキシコンチンTR錠を慢性疼痛で使用する際の確認事項】<処方する医師>1.製造販売業者が提供するeラーニングを受講し、確認テストに合格し、確認書をダウンロードする。2.処方時に確認書の内容を患者に説明し、医師・患者ともに署名をして確認書を患者に交付する。3.確認書の控えを医療機関で保管する。<調剤する薬剤師>1.患者が持参した麻薬処方箋と確認書について、処方医名、施設名、交付日が一致していることを確認する。なお、患者が確認書を持参しておらず、がん疼痛か慢性疼痛か判断できない場合は、処方医に患者の適応を問い合わせる。2.確認書の患者確認事項を説明し、患者の理解を確認し、確認書にチェックを入れ、調剤する。近年、がん患者だけでなく、非がん患者の痛みに関する身体的症状と精神症状のケアが課題となっています。このような背景から、非がん性疼痛に適応を持つオピオイド鎮痛薬が増えてきました。すでに、トラマドール、コデインリン酸塩、ブプレノルフィン貼付薬、モルヒネ塩酸塩、フェンタニル貼付薬がありますが、今回、オキシコドン製剤として初めて本剤が慢性疼痛への適応を取得しました。参考PMDA「オキシコドン塩酸塩水和物徐放製剤の使用に当たっての留意事項について」同「確認書を用いた管理体制の全体図」シオノギ製薬「オキシコンチンTR錠で慢性疼痛の治療を受けられる患者さまへ」

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片頭痛に対するeptinezumabの安全性・忍容性

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体の1つであるeptinezumabは、片頭痛患者を対象とした5つの大規模臨床試験により評価が行われている。米国・StudyMetrix ResearchのTimothy R. Smith氏らは、これらの研究結果を統合分析し、eptinezumabの包括的な安全性および忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月30日号の報告。 4つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータおよび1つのオープンラベル試験における最初の1年間のデータをプールし、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・プールされた対象は、成人片頭痛患者2,867例。eptinezumab群2,076例(投与回数:4,797回)、プラセボ群791例(投与回数:1,675回)。・1回以上の治療に起因する有害事象(TEAE)が確認された患者の割合は、eptinezumab群で54.8%(1,137例)、プラセボ群で52.3%(414例)であり、eptinezumabの各用量(10~1,000mg)間でその割合は類似していた。・TEAEの重症度は、ほとんどが軽度または中等度であり、治験責任医師は、治療薬とは無関係であると判断していた。・注射部位の有害事象は、eptinezumab群では27例(1.3%)で30回認められ、プラセボ群では7例(0.9%)で7回認められた。・注射部位の有害事象による治療中断は、eptinezumab群で19例(0.9%)、プラセボ群で5例(0.6%)に認められた。・eptinezumab 300mg群において、鼻咽頭炎の発生率が2%以上認められており、プラセボ群と比較し、2%ポイント以上高い発生率であった。しかし、多くの患者(eptinezumab群:140例中139例、プラセボ群:41例中40例)において、その発生は治療とは無関係であると考えられていた。・過敏症は、eptinezumab群の23例(1.1%)で認められたが、プラセボ群では認められなかった。・蕁麻疹、紅潮・ほてり、発疹、そう痒感などの過敏症を示す可能性のあるTEAEを考慮した場合、2つのプラセボ対照第III相試験におけるeptinezumab 100mg群および300mg群の過敏症発生率は、2%以上であった。この発生率は、いずれかの群において、プラセボ群と比較し、2%ポイント以上高かった。・ほとんどの過敏症は、深刻ではなく、通常1日以内に標準的な治療または治療なしで改善した。 著者らは「成人片頭痛患者に対する12週ごとのeptinezumabによる静脈内投与は、良好な安全性と忍容性プロファイルを有していることが確認された」としている。

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COVID-19の第3の治療薬、バリシチニブ承認/日本リリー・インサイト

 2021年4月23日、日本イーライリリー株式会社とインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社は、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤バリシチニブ(商品名:オルミエント)がSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)に対する治療薬として、適応追加の承認を取得したと発表した。 現在、バリシチニブは関節リウマチ、アトピー性皮膚炎の治療薬として承認されている。今回の適応追加では、通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブ4mgを1日1回経口投与し、総投与期間は14日間まで。本剤は、酸素吸入、人工呼吸管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うことで承認された。 バリシチニブのSARS-CoV-2による肺炎に対する有効性および安全性は、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)主導による、SARS-CoV-2による肺炎の成人入院患者1,033例を対象とした国際共同第III相臨床試験「ACTT-2試験」で確認されている。「ACTT-2試験」は、レムデシビル併用下におけるプラセボ対照二重盲検比較試験で、レムデシビル単独療法と比較し、本剤投与群では、回復までの期間を短縮するという主要評価項目を達成した。また、投与開始から15日時点の患者の転帰を完全な回復から死亡までを8段階で評価するスケールを用いて比較した主要な副次的評価項目もそれぞれ達成した。バリシチニブの概要(下線部分が今回の追加箇所)商品名:オルミエント錠(4mg/2mg)一般名:バリシチニブ効能または効果:既存治療で効果不十分な下記疾患 関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)/アトピー性皮膚炎 SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)用法および用量:<関節リウマチ、アトピー性皮膚炎>通常、成人にはバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること。<SARS-CoV-2による肺炎>通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、総投与期間は14日間までとする。薬価:オルミエント錠4mg 5,274.90円/2mg 2,705.90円(2021年4月時点)製造販売元:日本イーライリリー株式会社

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー アレルギー

第1回 食物アレルギー アナフィラキシー第2回 喘息 抗体医薬第3回 アレルギー性鼻炎 重症薬疹・薬剤アレルギー 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。アレルギーについては、聖路加国際病院リウマチ膠原病センターの岡田正人先生がレクチャーします。バイオテクノロジーの進歩によって次々と開発される抗体医薬や、より精度が上がったアレルゲン検査など、アレルギー治療の最新トレンドを解説します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 食物アレルギー アナフィラキシー アレルギーの第1回では、I型アレルギーの1つである食物アレルギーについて、例題を提示しながら、症状からアレルゲンを特定する際のポイントを解説します。近年実用化が進んでいるアレルゲンコンポーネント検査によって、感度・特異度ともに精度の高い診断が可能となりました。主な食品に対応するアレルゲンコンポーネントを確認しましょう。アナフィラキシーを起こした際は、第2層反応にも注意して適切な治療を行います。第2回 喘息 抗体医薬アレルギーの第2回は、喘息の治療法について解説します。この10年ほどで、重症喘息に対して使用できる生物学的製剤が相次いで登場しました。喘息のタイプによって、各抗体医薬を使い分ける必要があります。また、喘息の抗体医薬品が、ほかのアレルギー性疾患にも効果があることが明らかになりました。アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹への、各薬剤の適応を確認します。 第3回 アレルギー性鼻炎 重症薬疹・薬剤アレルギーアレルギーの第3回は、アレルギー性鼻炎と、重症薬疹を中心に薬剤アレルギーを取り上げます。アレルギー性鼻炎で最もよく使われる抗ヒスタミン薬。作用の仕組みと、添付文書でとくに注意する点を解説します。近年、スギ花粉症とダニアレルギーに対して、質の高い舌下免疫療法の薬が登場し、治療を希望する患者さんも増えています。薬剤アレルギーについては、SJS/TENやDIHSといった重症薬疹の、原因となる薬剤を確認します。

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第53回 批判を浴びるウレタンマスク、選ばざるを得ない人がいる事実

今回のコロナ禍で多分起きている問題だろう、と個人的に思っていたことが先日ニュースで伝えられていた。それは以下のニュースだ。「『マスク拒否で雇い止め』アトピー性皮膚炎の男性提訴―大阪地裁」(時事通信)かく言う私もアトピー持ちである。ご存じのようにアトピー性皮膚炎は思春期・成人期になると症状がより上半身に移行し、顔などにも症状が出やすくなる。そこにとりわけ不織布マスクとなるとかなり大変だったのではないだろうか? 実際、私も不織布マスクの着用はかなりきつく、着用から20分ほどで猛烈な痒みを感じ、翌日、顎付近の皮膚が炎症を起こして真っ赤ということもしばしば。いろいろ試した結果、いまは布製マスクに落ち着いている。もっともこの布製マスクもあまりに長時間の着用が続くとやはり炎症を起こしてしまう。今回、提訴が報じられた男性の場合、最終的にマウスシールドを着用していたらしいが、それを上司は認めなかったという。この例に限らず、マスクを着用できない、あるいは材質を選ばないと着用が困難という人は他にもいるだろう。米国疾病予防管理センター(CDC)では▽2歳以下の小児▽呼吸に問題がある人▽(手が不自由、認知症など)で自らマスク着脱ができない人、などにはマスク着用を推奨していない。また最近では日本国内でも厚生労働省や地方自治体がマスクを着用できない人への理解を求める呼びかけを行っている。一体こうした人たちの総数がどれだけになるのかは分からない。少なくとも2019年生まれ以降の2歳以下の小児は、厚生労働省の人口動態統計から算出すれば約177万人。また、呼吸に問題がある人というのは喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全、肺高血圧症などが挙げられる。厚生労働省の「平成15年保健福祉動向調査」によると、気管支喘息などの呼吸器のアレルギー症状の推計有病率は7.5%、国内人口に当てはめると推計患者数は950万人弱。COPDに関しては2001年に順天堂大学を中心に行った疫学調査から40歳以上の推定有病率は8.6%、推計患者数は約530万人。また、日本循環器学会と日本心不全学会が合同で作成した「急性・慢性心不全診療ガイドライン」では、2020年の日本の心不全(急性・慢性)患者数について約120万人との推計値を示している。そして、認知症患者に関しては厚生労働科学研究費補助金特別研究事業「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によれば、2020年現在600万人超。アトピー性皮膚炎に関しては日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018」では、未成年での有病率は少なくとも5%、成人以降は20歳代が10.2%、30歳代が8.3%、40歳代が4.1%、50~60歳代が2.5%となっている。これから計算すると推計患者数は少なくとも約500万人となる。実際にこれらの人すべてがマスク着用を困難とは思わないが、これらの合算の半分だけでも1,200万人程度。つまり少なくとも日本人の10人に1人がマスクの着用が困難あるいはその予備群という概算が成り立つ。だが、実際に街を歩いていて10人に1人もマスクを着用していない人を見かけるだろうか? 自分自身がマスク着用に難を感じる者ゆえに、実際には本来マスク着用が困難な人たちが、材質を選定するなり、あるいは我慢に我慢を重ねてマスクをしているのが実態だろうと容易に想像がつく。その意味では科学的には正しい内容にもかかわらず、そうそう喜べないのが以下のような記事だ。「実験で新事実『ウレタンマスク』の本当のヤバさ」(東洋経済オンライン)よく見かけるウレタンマスクは不織布マスクと比べれば効果が劣るという内容だ。これについては昨年、理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」によるシミュレーション結果として公表されていた。記事内では、別の研究者が行った実測でも富岳のシミュレーションで分かっていた結果以上にウレタンマスクに効果(他人からの飛沫のカット)がないことを指摘している。確かにそうなのだろう。だが、前述のようなマスク着用が困難な人の中で、ウレタンマスクならば着用可能だとわかって選択している人もいるはず。実際私の周囲にもそうした人はいる。そうした中で、この記事は科学的に正しくともそうしたやむを得ない理由でウレタンマスクを選択している人たちへの蔑視・非難、結果としての社会分断にもつながる可能性を有している。「社会分断とはなんと大げさな」と思われる人もいるかもしれない。だが、とりわけこのマスク問題はその危険性をはらんでいる。というのも前提として、多くの人が本心では日常的なマスク着用を止められるなら止めたいと思っているはずだからだ。それゆえに「仕方なく着用しているのに、着用していない人は何なんだ」という空気があることは、すでに「マスク警察」という言葉の存在が証明している。結果として前述のようにマスク着用が困難な人たちがそこそこに存在するはずなのに、実際はほとんど見かけることはない。その意味ではこのウレタンマスク記事は「マスク警察」をさらに「ウレタンマスク警察」へと悪い意味でも進化させかねない火種をはらんでいる。一方で医学的にマスク着用が困難な人にとっては、それは相当の理由があることになる。そうなれば、マスク着用が可能な人と困難な人がそれぞれの正義を掲げて溝は深まる。社会分断とはこうしたちょっとしたきっかけで始まるものなのである。今回の提訴の一件について、あくまでマスク着用を求めた上司はおそらくそれほど悪気はなく、職場での感染を防止するうえではマスク着用がベストという基本的には正しい知識を実践しようとしたのだろうと勝手に推察している。また、私たちメディア関係者が医療について報じる時、何よりも科学的な正しさが優先される。とはいえ、正しさのみでは時に埋もれがちな少数派に対して配慮のない結果になる。今回の提訴の件そしてウレタンマスク記事はその典型例とも言える。かく言う私も、そうした「正しさを追求する結果としての少数派への配慮のなさ」という現実の存在は頭では理解していたつもりだった。しかし、それはまだまだ生兵法だったのではないかと感じ始めている。そう思うのはまさに今回、私自身が「正しさ」が持つ「諸刃の剣」をようやく身をもって実感したからに他ならない。

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新型コロナワクチンによるアナフィラキシー、高齢者での管理は?

 COVID-19ワクチンによるアナフィラキシーの発生頻度は10万回に1回~100万回に5回程度と稀であるものの、高齢者のアナフィラキシーの管理はとくに慎重に対応する必要がある。欧州アレルギー臨床免疫学会(EAACI)、欧州老年医学会(EuGMS)らは合同のワーキンググループを発足、COVID-19ワクチンによる高齢者のアナフィラキシーの管理に関する公式見解(position paper)を、Allergy誌オンライン版2021年 4月2日号に報告した。 position paperは下記5項目で構成され、それぞれ推奨事項が提案されている。1.COVID-19ワクチンとアナフィラキシー2.高齢者におけるアナフィラキシー症状3.高齢者における重度のアナフィラキシーのリスク因子4.高齢者におけるアナフィラキシーの管理5.臨床でのアナフィラキシー反応の予防と管理 本稿では、一部内容を抜粋して紹介する。「COVID-19ワクチンとアナフィラキシー」、頻度や傾向は? 米国のワクチン有害事象報告システム(VAERS)で報告されたデータの最初の分析では、ファイザー社のmRNAワクチン100万回投与当たり11.1例のアナフィラキシーが報告された。続く2021年1月18日のVAERSレポートでは、ファイザー社ワクチン接種者で100万回投与当たり5回、モデルナ社ワクチン接種者100万回投与当たり2.8回のアナフィラキシーが報告されている。ワクチンに使用されているポリエチレングリコール(PEG)がアレルギー反応を引き起こす可能性があると指摘されている。 ファイザー社ワクチンでのアナフィラキシー症例の年齢中央値は40歳(27~60歳)で、報告された症例の90%は女性。アレルギー反応は、常にではないものの、多くの場合、重度のアレルギー反応の既往歴のある人に発生した。 また、mRNAワクチンの臨床試験段階では、痛み、倦怠感、頭痛、発熱などの局所および全身性反応の発生数は、若年者よりも高齢者で少なかった。「高齢者におけるアナフィラキシー症状」、若年者との違い 2019年に報告がまとめられた欧州のアナフィラキシーレジストリでは、昆虫毒や鎮痛薬、抗生物資などによりアナフィラキシーを発症した65歳以上1,123人のデータが解析されている。発現したアナフィラキシー症状は若年成人と高齢者で類似していたが頻度は異なり、高齢者では心血管症状がより頻繁に発生していた(若年成人の75%に対して80%)。 主な心血管症状は意識喪失(33%)で、めまいと頻脈については若年成人に多くみられた。心停止は、高齢者の3%と若年成人の2%で発生。皮膚症状は最も頻繁にみられ、蕁麻疹と血管性浮腫は通常は他の症状の前に現れる。皮膚症状のない高齢患者のアナフィラキシー反応の重症度は、若年成人と比較して増加した。消化器症状は、両方のグループで同様の割合で発生していた。 呼吸器症状、とくに呼吸困難は、高齢者で頻繁にはみられていない(若年成人の70%に対して63%)。ただし、チアノーゼ、失神、めまいは、高齢者のショック発症を高度に予測していた。Ring and Messmer 分類のGrade III(47%)およびGrade IV(4%)を含む重度のアナフィラキシー反応は、65歳以上で多くみられた。 高齢患者の30%でアドレナリンが投与され、60%で入院が必要であり、19%が集中治療室(ICU)で治療された。Grade IIおよびIIIの症例では、若年および中年の成人と比較して、有意に多くの高齢者が入院およびICUケアを必要としていた。「高齢者における重度のアナフィラキシーのリスク因子」 高齢者における重度のアナフィラキシーのリスク因子として、「併存疾患」と「服用薬と多剤併用」を挙げている。併存疾患として、上述のレジストリでは高齢であることと肥満細胞症の併存が重度のアナフィラキシーのリスク増加の最も重要な予測因子であった。遺伝性α-トリプトファン血症もリスク因子となる。虚血性心筋症ではアナフィラキシーの重症化および死亡リスクが高くなる。アテローム性動脈硬化症の病変により、アナフィラキシー中の低酸素症および低血圧に対する耐性が低下することも報告されている。レジストリでは、心血管疾患、甲状腺疾患、およびがんが若年成人よりも多くみられた。 服用薬については、レジストリでは重度のアナフィラキシーリスクの補因子となる薬剤(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、アセチルコリン、プロトンポンプ阻害薬など)は、若年成人(18%)よりも高齢者(57%)で有意に多く処方されていた。年齢とは独立して、アレルゲン曝露と近い時期に投与されたβ遮断薬とACE阻害薬は、重度のアナフィラキシー発症リスクとの関連がみられたが、アスピリンとアンジオテンシンII受容体拮抗薬では確認されなかった。 そのほか、抗不安薬、抗うつ薬、催眠薬等中枢神経系に作用する薬で治療されており、アナフィラキシー症状や兆候に対する認識に影響を与えている可能性のある高齢者には、注意を払うことが重要となる。「高齢者におけるアナフィラキシーの管理」、アドレナリン使用の注意点は? EAACI および世界アレルギー機構のガイドラインでは、アナフィラキシーの第一選択療法としてアドレナリンの迅速な筋肉内注射が推奨されており、高齢者においてもアドレナリンが重度のアナフィラキシーに作用することが報告されている。ただし、アドレナリンの多くの心血管系有害事象は血管内経路を介して発生すると考えられ、血管内投与は原則として避ける必要がある。 心血管疾患の併存は、アナフィラキシー発症時のアドレナリンの使用を制限するものではない。これは、この救急措置において他の薬剤が救命効果を発揮しないためである。高齢患者やアナフィラキシーリスクがある心血管疾患のある患者においても、アドレナリン投与に絶対的な禁忌はない。アドレナリン投与後、心室性不整脈、高血圧、心筋虚血などの重篤な副作用は報告されていない。ただし、アナフィラキシー発症の高齢患者では、アドレナリン注射後に有害心イベントを経験する可能性が高く、80歳以上の患者が最もリスクが高いという報告がある。そのため、心血管疾患併存患者がアナフィラキシーを発症した場合、アドレナリン投与のリスクとベネフィットを迅速・慎重に比較検討する必要がある。

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オマリズマブ、免疫チェックポイント阻害薬および抗HER2薬のそう痒症を改善/Ann Oncol

 IgE阻害薬オマリズマブ(商品名:ゾレア)はアトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのそう痒症に有効である。がん領域におけるそう痒関連皮膚有害事象(paCAE)は、免疫チェックポイント阻害薬や抗HER2薬で多くみられる。これらの薬剤による難治性paCAEを伴うがん患者に対してオマリズマブを評価する多施設後ろ向き研究の結果が発表された。・対象:免疫チェックポイント阻害薬または抗HER2薬によるGrade2〜3の掻痒を有し、局所ステロイドと1つ以上の全身療法に抵抗性の患者・介入:オマリズマブを月1回投与・主要評価項目:paCAEのGrade0〜1への改善 主な結果は以下のとおり。・34例(女性50%、年齢中央値67.5歳)、がん治療関連paCAE(免疫チェックポイント阻害薬71%、抗HER2薬29%)に対するオマリズマブ投与を受けた。・対象は、すべて固形腫瘍(乳房29%、泌尿生殖器29%、肺15%、その他26%)で、64%に蕁麻疹が認められた。 ・オマリズマブの奏効は34例中28例(82%)に認められた。 ・paCAEの支持療法として経口コルチコステロイドを投与された患者の割合は、50%から9%に減少した(P

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子宮頸がんの原因となるHPV型の約90%をカバーする「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」【下平博士のDIノート】第71回

子宮頸がんの原因となるHPV型の約90%をカバーする「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」今回は、「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス(HPV)様粒子ワクチン(商品名:シルガード9水性懸濁筋注シリンジ、製造販売元:MSD)」を紹介します。本剤は、子宮頸がんなどの原因となる7つのHPV型と、尖圭コンジローマなどの原因となる2つのHPV型の感染を予防する9価のHPVワクチンです。<効能・効果>本剤は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52および58型の感染に起因する以下の疾患の予防の適応で、2020年7月21日に承認され、2021年2月24日より発売されています。なお、本剤の予防効果の持続期間は確立していません。子宮頸がん(扁平上皮細胞がんおよび腺がん)およびその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍[CIN]1、2および3ならびに上皮内腺がん[AIS])外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2および3ならびに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2および3尖圭コンジローマ<用法・用量>9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回(2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後)、筋肉内に注射します。1年以内に3回の接種を終了することが望ましいですが、2回目は初回から少なくとも1ヵ月以上、3回目は2回目から少なくとも3ヵ月以上の間隔を置いて接種することとされています。9歳以上15歳未満の女性は、初回接種から6~12ヵ月の間隔をおいた合計2回の接種とすることができます(2023年3月改訂)。9歳以上15歳未満の女性に合計2回の接種をする場合、13ヵ月後までに接種することが望ましいとされています。なお、医師が必要と認めた場合には、他ワクチンと同時に接種することができますが、本剤と他ワクチンを混合して接種することはできません。<安全性>日本人を含む後期第II相/第III相国際共同試験(001試験)において、注射部位の副反応は、本剤接種後5日間で7,071例中6,414例(90.7%)に認められ、主なものは疼痛6,356例(89.9%)、腫脹2,830例(40.0%)、紅斑2,407例(34.0%)、そう痒感388例(5.5%)、内出血137例(1.9%)、腫瘤90例(1.3%)、出血69例(1.0%)でした。また、全身性の副反応は、本剤接種後15日間で7,071例中2,090例(29.6%)に認められ、主なものは頭痛1,033例(14.6%)、発熱357例(5.0%)、悪心312例(4.4%)、浮動性めまい211例(3.0%)、疲労166例(2.3%)、下痢87例(1.2%)、口腔咽頭痛73例(1.0%)、筋肉痛69例(1.0%)でした。日本人を対象とした国内第III相臨床試験(008試験)では、注射部位の副反応は、本剤接種後5日間で100例中95例(95.0%)に認められ、主なものは疼痛93例(93.0%)、腫脹42例(42.0%)、紅斑33例(33.0%)、そう痒感4例(4.0%)、出血3例(3.0%)、熱感3例(3.0%)でした。また、全身性の副反応は、本剤接種後15日間で100例中14例(14.0%)に認められ、主なものは発熱3例(3.0%)、頭痛2例(2.0%)、悪心2例(2.0%)、感覚鈍麻2例(2.0%)、腹痛2例(2.0%)でした。なお、重大な副作用として、過敏症反応(アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(いずれも頻度不明)が設定されています。国内外の臨床試験における安全性検討対象1万3,408例では、過敏症3例および蕁麻疹20例が副反応として報告されています。ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病およびADEMは臨床試験において認められていませんが、本剤と同一の有効成分を含むワクチン(商品名:ガーダシル)と同様に設定されました。<患者さんへの指導例>1.ワクチン接種により、子宮頸がんや尖圭コンジローマなどの原因となる9つのHPV型に対する抗体ができ、今後の感染を予防します。2.接種後に血管迷走神経反射として失神が現れることがあります。接種後30分程度は、背もたれや肘掛けのある安全ないすに座っていてください。3.本剤接種後に、注射部位だけでなくほかの部位に激しい痛み(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛みなど)やしびれ、脱力などが現れて長時間持続する場合は、速やかに医師に相談してください。4.十分な予防効果を得るために、必ず本剤を3回接種してください。通常の接種スケジュールは、初回接種の2ヵ月後に2回目、初回接種の6ヵ月後に3回目となります。<Shimo's eyes>わが国において、年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、毎年約2,900人が死亡しています。患者数・死亡者数ともに近年増加傾向にあり、子宮頸がん発症のピークが出産年齢と重なることが問題となっています。子宮頸がんの95%以上はHPV感染が原因で、感染経路は主に性的接触です。性交渉の経験がある女性のうち、50~80%が生涯で一度以上の感染を経験すると推計されていて、そのうちの一部が将来的に高度前がん病変や子宮頸がんを発症します。本剤は、わが国で3番目に発売されたHPVワクチンです。いずれの製剤も筋肉内注射で、計3回接種が必要です。既存薬の1つである2価ワクチン(商品名:サーバリックス)は、子宮頸がんの主な原因となるHPV16型と18型の感染を予防します。もう1つの既存薬である4価ワクチン(同:ガーダシル)は、上記に加えて尖圭コンジローマなどの原因となる6型と11型の感染も予防します。4価ワクチンは、2020年12月に男性も接種が可能となりました(公費助成の対象外)。本剤は、2021年2月に発売された9価ワクチンで、前述の4つのHPV型に加えて、31型・33型・45型・52型・58型の5つのHPV型のウイルス様粒子も含有することで、約90%の子宮頸がんを予防することが期待されています。既存2剤は定期接種の対象で、小学6年生~高校1年生相当の女子は公費助成によって無料で接種を受けることができます。発売当初は本剤は任意接種でしたが、2023年4月から本剤についても定期接種の対象となりました。HPVワクチンは、今後のHPVの感染を予防するものであり、すでにHPVに感染している細胞からのウイルス排除や進行抑制には効果はありません。したがって、性交渉を経験する前に接種することが最も効果的ですが、性交渉の経験があっても、予防対象のHPV型に感染していなければ効果が期待できます。HPVワクチンについては、過去に疼痛や運動障害などの副反応が大きく報道され、2013年6月に厚生労働省より「積極的な勧奨の一時差し控え」が発表されました。世界では接種完遂率が80%を超える国もある中、わが国の接種率は0.3%と非常に低い水準にとどまっています。一方で、2017年11月に、厚生労働省専門部会は、HPVワクチン接種後に報告された多様な症状とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されていないと発表しています。近年、国が地方自治体に定期接種対象者への周知を徹底するよう求めるなど、接種率向上に向けた動きがみられています。※2023年8月、厚生労働省の情報などをもとに、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 シルガード9水性懸濁筋注シリンジ2)子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために(日本産科婦人科学会)3)海外のHPVワクチンの現状(MSD)

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新型コロナワクチン、予診票で確認すべきポイントは?/厚労省

 4月12日以降に予定されている高齢者への新型コロナワクチン接種開始を前に、厚生労働省は3月26日、新型コロナワクチン「予診票の確認のポイント」を公開した。予診票記載の14項目について接種前に確認すべき点がまとめられている。事務職員が確認可能な項目、最終的に医師の確認が必要な項目についても整理されている。既往症、現在の治療内容についての確認ポイント 予診票には、「現在何らかの病気にかかって治療(投薬など)を受けていますか」という問いが設けられ、抗凝固薬(血をサラサラにする薬と表記)の利用状況を問う項目が設けられている。確認ポイントとしては、とくに以下に該当するかに注意して接種の判断をするよう求めている:・基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い場合 体調が回復してから接種することが大切なため、体調が悪いときの接種は控える。体調がよくなった頃に、改めて次の接種を相談するよう説明する。接種後の軽度の副反応が重篤な転帰に繋がることのないよう、とくに慎重に予防接種の適否を判断する必要がある。・免疫不全、血が止まりにくい病気のある場合や、抗凝固薬を服用している場合 免疫不全のある方は、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクが高いとされている。米国CDCの見解では、現時点で、有効性と安全性に関する確立されたデータはないが、他の接種不適当者の条件に該当しなければ、接種は可能としている。 血が止まりにくい病気のある方や、抗凝固薬を服用している方は、筋肉内出血のリスクがあるため、接種後2分以上、強めに接種部位を圧迫してもらう必要はあるが、接種は可能(なお、抗血小板薬を服用している方は、筋肉内出血のリスクではないとされているので、接種は可能。ただし、止血に時間がかかる可能性があることに留意が必要)※なお厚労省では、「血をサラサラにする薬を飲まれている方へ」と題した情報提供用資料も公開している。・アレルギー疾患のある方 アレルギー歴についての確認ポイントを参照。アレルギー歴についての確認ポイント 予診票には、「薬や食品などで、重いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがありますか」という問いが設けられ、「薬・食品など原因となったもの」が記載できる。ここでの確認のポイントとしては、下記のようにまとめられている:・接種するワクチンの成分に対し重度の過敏症の既往のある人は、接種不適当者に該当・1回目の接種でアナフィラキシーを起こした人は、2回目の接種はできない・食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症含む)、蕁麻疹、アレルギー体質等だけでは、接種不適当者にはならず、接種するワクチンの成分に関係のないものに対するアレルギーを持つ方も接種は可能・ただし、即時型のアレルギー反応の既往歴がある人は、接種要注意者として、接種後30分間の経過観察をする さらに、「接種するワクチンの成分」について、ファイザー社のワクチンに含まれるポリエチレングリコールや、交差反応性が懸念されているポリソルベートが含まれる製品例や、接種判断の考え方が解説されている。 今回発表された「予診票の確認のポイント」では、上記2項目を含め、下記の全14項目について、確認のポイントとその解説がまとめられている。1~4、13は事務職員等が確認可能とされ、その他の項目も、記入の有無などの確認は事務職員等が行うことができるとされている。5~12、14については、最終的に医師が確認した上で接種を判断する必要があるとしたうえで、これらの項目も、記載内容を医師以外の医療従事者があらかじめ確認することで、医師の予診の時間が短縮されると考えられるとしている。[確認のポイントが示された予診票記載の14項目]1.新型コロナワクチンの接種を初めて受けますか。2.現時点で住民票のある市町村と、クーポン券に記載されている市町村は同じですか。3.「新型コロナワクチンの説明書」を読んで、効果や副反応などについて理解しましたか。4.接種順位の上位となる対象グループに該当しますか。5.現在何らかの病気にかかって治療(投薬など)を受けていますか。6.その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか。7.最近1か月以内に熱が出たり、病気にかかったりしましたか。8.今日、体に具合が悪いところがありますか。9.けいれん(ひきつけ)を起こしたことがありますか。10.薬や食品などで、重いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがありますか。11.これまでに予防接種を受けて具合が悪くなったことはありますか。12.現在妊娠している可能性(生理が予定より遅れているなど)はありますか。または、授乳中ですか。13.2週間以内に予防接種を受けましたか。14.今日の予防接種について質問がありますか。

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中等~重症アトピー性皮膚炎、abrocitinib vs.デュピルマブ/NEJM

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者において、abrocitinibは1日1回200mgまたは100mgのいずれの用量でも、プラセボと比較し12週および16週時の所見および症状を有意に改善した。デュピルマブに対しては、abrocitinib 200mgは2週時のそう痒の改善に関し優越性が認められたが、同100mgは認められなかった。ドイツ・ボン大学病院のThomas Bieber氏らが行った無作為化二重盲検第III相試験「JADE COMPARE試験」で示された。インターロイキン(IL)-4およびIL-13のシグナル伝達を抑制する経口ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬abrocitinibは、アトピー性皮膚炎の治療薬として検討されているが、デュピルマブのようなIL-4受容体を阻害するモノクローナル抗体とJAK1阻害薬を比較検証したデータには限りがあった。NEJM誌2021年3月25日号掲載の報告。中等症~重症AD患者約840例を対象に試験 研究グループは、外用薬の効果が不十分または全身療法が必要なアトピー性皮膚炎患者を、abrocitinib 200mg(1日1回経口投与)群、100mg(同)群、デュピルマブ300mg(負荷投与量600mg、隔週皮下投与)群、またはプラセボ群に、2対2対2対1の割合で無作為に割り付けた。全例に対し、外用療法も行った。 主要評価項目は、12週時点における医師による皮膚症状重症度の全般評価(Investigator's Global Assessment:IGA、スコア範囲:0~4点)での奏効率(IGAスコアが0[消失]または1[ほぼ消失]、かつベースラインから2点以上改善と定義)、ならびに湿疹面積・重症度指数(Eczema Area and Severity Index:EASI、スコア範囲:0~72点)がベースラインから75%以上改善した患者の割合(EASI-75達成率)であった。 主な副次評価項目は、2週時点におけるそう痒(Peak Pruritus Numerical Rating Scale:PP-NRS、スコア範囲:0~10点)の改善(4点以上改善と定義)、16週時点でのIGA奏効、EASI-75達成率とした。 2018年10月29日~2019年8月5日に1,234例がスクリーニングを受け、838例が無作為化された(abrocitinib 200mg群226例、abrocitinib100mg群238例、デュピルマブ群243例、プラセボ群131例)。abrocitinib 200mg群のみ2週時のかゆみをデュピルマブより改善 12週時点におけるIGA奏効率は、abrocitinib 200mg群48.4%、abrocitinib 100mg群36.6%、デュピルマブ群36.5%、プラセボ群14.0%であった(両abrocitinib群のプラセボ群に対するp<0.001)。また、12週時点におけるEASI-75達成率は、それぞれ70.3%、58.7%、58.1%および27.1%であった(両abrocitinib群のプラセボ群に対するp<0.001)。 2週時点におけるそう痒の改善(PP-NRSがベースラインから4点以上改善した患者の割合)については、abrocitinib 200mg群(49.1%)はデュピルマブ群(26.4%)に対して優越性が認められたが、abrocitinib 100mg群(31.8%)では認められなかった。また、abrocitinib両用量群は、16週時のほとんどの副次評価項目に関してデュピルマブ群と有意差はなかった。 有害事象は、悪心がabrocitinib 200mg群11.1%、abrocitinib 100mg群4.2%に、ざ瘡がそれぞれ6.6%、2.9%に認められた。

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点鼻薬 使い方と使い分けのポイントは?【ママに聞いてみよう(6)】

ママに聞いてみよう(6)点鼻薬 使い方と使い分けのポイントは?講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説OTCの点鼻薬はどれがお薦めか、花粉症の患者さんに尋ねられた沙耶華さんは、一定期間使用することから、血管収縮成分を含まないものを提案しました。ほかにどのようなことを確認、説明すべきだったのか、美智子先生が教えます。

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「アタラックス-P」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第43回

第43回 「アタラックス-P」の名称の由来は?販売名アタラックス®-Pカプセル25mg・50mg・散10%・ドライシロップ2.5%※アタラックス®-Pシロップ、アタラックス®-P注射液はインタビューフォームが異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名[命名法])ヒドロキシジンパモ酸塩(JAN)効能又は効果蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)神経症における不安・緊張・抑うつ用法及び用量皮膚科領域には、ヒドロキシジンパモ酸塩として、通常成人1日85~128mg(ヒドロキシジン塩酸塩として50~75mg)を2~3回に分割経口投与する。 神経症における不安・緊張・抑うつには、ヒドロキシジンパモ酸塩として、通常成人1日128~255mg(ヒドロキシジン塩酸塩として75~150mg)を3~4回に分割経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分、セチリジン、ピペラジン誘導体、アミノフィリン、エチレンジアミンに対し過敏症の既往歴のある患者 2.ポルフィリン症の患者3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人※本内容は2021年3月17日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年3月改訂(第6版)医薬品インタビューフォーム「アタラックス®-Pカプセル25mg・アタラックス®-Pカプセル50mg/アタラックス®-Pドライシロップ2.5% / アタラックス®-P散10%」2)Pfizer PROFESSIONALS:製品情報

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コロナ対策、二重マスクの効果は正しく着けた不織布マスク1枚と同等/理研

 新型コロナウイルス対策に加え、この時期は花粉症に悩まされる人も多い中、われわれの暮らしの必需品となったマスクの使い方には、人によってさまざまな工夫が見られる。理化学研究所などの研究チームが3月4日、マスクによる感染予防について、スーパーコンピューター「富岳」を使った行った検証結果を公表した。それによると、いわゆる「二重マスク」は、ある程度の性能向上が期待できるものの、その効果は不織布マスク1枚を正しく装着した場合と大きく変わらないことがわかった。マスク二重にしても効果は単純に足し算になるわけではない 研究チームは、4種のマスク(布、不織布、ウレタン、N95)について、それぞれの装着方法と組み合わせ(二重マスク)による飛沫予防効果を「富岳」で計算した。 このうち不織布マスクについて、鼻の金具(ノーズフィッター)を鼻の形に沿って変形させ、目元はおおむねマスクと接触している状態(タイトフィット)での飛沫捕集効果が85%だったのに対し、ノーズフィッターの折り曲げが緩く隙間がある状態(フィット)では、同効果は81%、ノーズフィッターを折り曲げずにそのまま装着した状態(ルーズフィット)では、同効果が69%まで低下した。 次に、不織布マスクのルーズフィット状態からウレタンマスクで二重にして1枚目をフィットさせると、飛沫捕集効果は89%となり、二重にすることで20%の性能向上が得られた。ただし、1枚目からフィットさせていた状態と比較すると、8%の性能向上にとどまり、タイトフィット状態と比べると、わずか4%程度の性能向上という計算になる。 本研究チームリーダーの坪倉 誠氏(神戸大学教授)は、「マスクを二重にしても性能が単純に足し算になるわけではない。フィルタ性能が向上する分、顔やマスク間の隙間から漏れが発生する。結果的に、性能の良いマスクを1枚、タイトに装着することとあまり性能は変わらない」と述べている。

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コロナ禍の中で花粉症診療へ行くべきか/アイスタット

 花粉症の季節が到来した。街中ではマスクだけでなく、花粉防止のゴーグルをかけた人を見かけるようになった。新型コロナウイルス感染症が収束をみせない中、慢性疾患や花粉症に代表される季節性疾患の診療に例年とは異なる動きはあるのであろうか。 株式会社アイスタット(代表取締役社長:志賀 保夫)は、2月25日に花粉症の理由で病医院を受診する人の割合、傾向を知る目的として、花粉症に関するアンケート調査を行い、その結果を発表した。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”の会員で20~69歳、東京・神奈川・千葉・埼玉に在住の300人を対象に実施した。同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2021年2月19日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(20~69歳)で東京・神奈川・千葉・埼玉在住者アンケート結果の概要・花粉症が「現在ない」と回答した割合は46.3%、花粉症歴が「長い」は26.0%、「中間」は16.0%、「短い」は11.7%・花粉症歴が「長い」と回答した人ほど、医療機関を「毎年、受診している」が多い結果に・花粉症の強さが「軽症」と回答した人は、医療機関を「1度も受診したことがない」が最多に。「中等症」「重症」と回答した人は、医療機関を「毎年、受診している」が最多に・花粉症の三大症状の「鼻水」「目のかゆみ・痛み・涙」「くしゃみ」は70%以上に・花粉症の症状で「鼻水」を回答した人は、医療機関を「1度も受診したことがない」が最多に・コロナ禍により、花粉症の症状で病医院の受診を控えるかは、「そう思う」42.9%が「そう思わない」24.8%を上回ったアンケート結果の概要 「花粉症と自覚した時期」について聞いたところ、「現在、花粉症でない」が46.3%で最多であり、次に「長い」(約15年超)が26.0%、「中間」(約5~15年)が16.0%、「短い」(最近~5年以内)が11.7%だった。※以下は「花粉症歴があると回答した161人」の回答 「花粉症の症状」を聞いたところ、「鼻水」、「目のかゆみ・痛み・涙」がともに77.0%で最も多く、次に「くしゃみ」が73.9%、「鼻づまり」が56.5%、「だるい、ボーっとする」が26.1%と多かった。 「花粉症の強さを自身の判断」で聞いたところ、「軽症」が47.2%で最も多く、次に「中等症」が42.2%、「重症」が8.1%だった。 「花粉症対策として病医院の処方箋・市販薬も含め服用・使用している薬」について聞いたところ、「飲み薬(1種類)」が42.9%と最も多く、次に「点眼薬」が32.9%、点鼻薬が21.1%と上位を占めた。その一方で、「薬を服用、使用していない」が29.2%いた。薬に頼らずに我慢する患者の存在もうかがわれた。 「花粉症の理由で病院に受診したことがあるか」を聞いたところ、「1度も受診したことがない」が45.3%で最も多く、「その年の症状により受診」が32.3%、「毎年、受診している」が22.4%だった。花粉症軽度の割合が多いことから医療機関へ受診につながらないことが推定された。 「今シーズン(2021年春季)、花粉症の治療のために病院を受診するか」を聞いたところ、「受診する予定はない」が70.2%と最多で、「受診する予定」が18.0%、「すでに受診した」が11.8%だった。花粉症診療へ消極的な動きが判明した。 「昨今のコロナ禍により病医院へ受診することを控えようと思うか」を聞いたところ、「非常に」「やや」を足し合わせた「そう思う」が42.9%、「どちらともいえない」が32.3%、「あまり思わない」「まったく思わない」を足し合わせた「そう思わない」の24.8%と診療を控える傾向がうかがわれた。 「花粉症で病医院を受診する決め手」を聞いたところ、「病医院で処方される薬の方がドラッグストアなどの市販薬より、効果があるから」が34.2%で最も多く、次に「病医院で処置・治療してもらうと効き目があるから」が26.7%、「病医院を受診することで安心感を得たいから」が19.9%と上位を占めた。受診の決め手となる動機では、医療機関から処方される治療薬への期待がうかがわれた。

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コロナワクチンを打った【Dr. 中島の 新・徒然草】(364)

三百六十四の段 コロナワクチンを打った早くも3月。仄かに沈丁花の香りがしてきてます。その一方で花粉がきつい。泣きながら、鼻水を垂れながら、仕事をしています。さて、今回はコロナワクチンのお話。医療従事者の端くれとして、私もワクチンを打つことになりました。アナフィラキシーとか発熱とか、いろいろと心配はありますが、結局はほとんどの医師が接種希望です。ワクチン接種は数回に分けて行われるわけですが、私は遅めの日を希望しました。というのも、ディープフリーザーで保存するようなワクチンのこと。当初は溶かすタイミングがうまくいかず、失活してしまったり、シャーベットのままで打ったりという混乱があるかもしれません。なので、ある程度システムが落ち着いてからのほうがいいと思ったからです。私より先に打った人たちは「インフルエンザより痛くなかった」とか「熱を測ったら37度台だった」とか、言いたい放題です。中には「注射してから腕が上がらなくなっちまった。アンギオを代わってくれ」とか言って周囲を恐怖に陥れている先生もいました。さて、接種当日は分単位のスケジュール。何しろ凍結させていたワクチンを溶かして、5人とか6人に分けて打つわけです。私にも金曜日の15時56分という厳密な時刻が割り当てられました。当日は、あらかじめ書き込んだ予診票とIDカードを持って30分ほど早めに会場に到着。すると、「中島先生、こっちです」と言われてすぐに中に案内されました。あの分単位の厳密なスケジュールはいずこに?ガランと広い講堂に接種ブースがまばらに設置されています。特に場所も決まっていないみたいで、目のあった担当者のブースに行き、簡単な確認の後に注射をしてもらいました。注射の後は15分間の経過観察です。講堂の奥に衝立で仕切ったスペースがあり、20脚ほどの椅子が間隔を開けて置いてありました。万一のために救急担当者が待機していますが、何も起こらないのでその人たちも暇です。持ち込んだ電子カルテの端末相手にひたすら仕事を片付けていました。一方、経過観察のために椅子に座っている人たちもすることがないので、ひたすら天井を睨んでいるか床を見つめているか。15分経過した人から順に、黙って会場を去って行きました。私自身も接種後には特に何事も起こらず。と、思っていたら翌日、土曜日の午後からなんだか寒気がしてきました。幸いなことに体温は平熱です。でも、いくら着込んでもエアコンの温度を上げても寒い。そこでラーメンを食べて風呂に入って寝ました。ワクチンとの因果関係は不明ですが、2回目を打つか否か、よく考えなくてはなりません。接種の翌々日となる日曜日は少しマシでしたが、相変わらず何もする気がしません。午前中は寝たり起きたりしていましたが、午後になって急に元気が出てきました。結局、土日を使って体調を整えたことになります。ワクチン接種が金曜日で良かった!今となっては2回目の接種もするつもりですが、何事も初めての時はわかりません。「ワクチンを打って2日間ほどはしんどかったで」そう言うと、まだ接種していない人たちは面白いくらい心配そうな顔をします。あの「腕が上がらなくなった」と言っていた先生もきっと密かに楽しんでいたのでしょうね。というわけで、コロナワクチン接種の経験を述べさせていただきました。読者の皆さんはいかがでしょうか。最後に1句沈丁花 鼻を垂れつつ ワクチンだ

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「喘息患者の受診控え」に緊急提言、花粉時期はさらなる注意を

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、患者の受診控えの傾向が続いている。アストラゼネカは日本呼吸器学会と共同で「『喘息患者の受診控え』に緊急提言 ~コロナ禍が続く中で迎える花粉飛散シーズン、どう喘息悪化を防止するか~」と題したセミナーを開催した。 この中で、 高知大学の横山 彰仁氏(呼吸器・アレルギー内科学 教授)が「喘息における継続治療の重要性~ウイルスや花粉の影響~」と題した講演を行った。この中で横山氏は、・喘息は治療継続が必要な病気。受診控えや治療中断は悪化要因となる・喘息は、ウイルス感染やタバコの煙、花粉といった刺激で症状が悪化する。今年は多くの地域で昨年より花粉飛散量が大幅に増えると予測されており、注意が必要・COVID-19を理由とした受診控えが多いが、これまでの研究では喘息はCOVID-19の罹患因子でも重症化因子でもなく1)、COVID-19悪化入院患者のうち喘息患者の割合はインフルエンザ患者よりも低い2)、とし「喘息のコントロールができていればCOVID-19を過度に恐れる必要はない」と述べた。 さらに、今後予定されるCOVID-19のワクチン接種に関し、基礎疾患を持つ人は優先接種の対象となり、厚生労働省が発表した基礎疾患の基準には「慢性呼吸器疾患」が入っている。ただし、この基準に対する意見を求められた日本アレルギー学会・日本呼吸器学会は、下記の見解を伝えたことを紹介した。・気管支喘息患者は優先接種の対象とする必要はない。ただし、1)経口ステロイド薬使用患者、2)吸入ステロイド薬使用者のうち喘息コントロールが不良である(過去1年以内の入院歴がある)患者、3)過去1年以内に2回以上の予定外外来あるいは救急外来受診歴がある患者、は対象とする。・慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者、喘息患者のうちCOPD併存患者は対象とする。 続いて、慶應義塾大学の福永 興壱氏(呼吸器内科 教授)が「新型コロナウイルス流行下での喘息患者の受診状況と受診控えが喘息患者に及ぼす影響」というテーマで講演を行った。この中で福永氏はCOVID-19流行が拡大した2020年4月から10月にかけて、喘息吸入薬の処方数が激減した3)。一方で、同じ慢性疾患である糖尿病薬剤は処方数が変わっておらず3)、受診控えがさほど起きていない状況を紹介し、「喘息は症状が治まると疾患の自覚が乏しく、受診控えが起きやすいのでは」と分析した。さらに、自院での感染防止対策を紹介したうえで「治療をせずに発作を繰り返すと、リモデリングといって気管が硬化し、喘息が重症化しやすくなる。今の時期は花粉をきっかけとした重症化も多い。電話診療等を行う医療機関も増えているので、適切な受診と治療継続をしてほしい」と呼びかけた。

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コロナ禍の花粉症対策にも有用、「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版」

 今年の花粉症シーズンはコロナ禍ということもあり、耳鼻咽喉科医だけではなく、多くの非専門医にも花粉症について再認識してもらうことが重要ではないだろうか。そこで、2020年7月に改訂第9版として発刊された『鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版』の作成委員長を務めた岡野 光博氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学 教授)に鼻アレルギー診療ガイドライン2020の改訂内容やコロナ禍で注意すべき点を伺った。小児・若年層の花粉症有病率が増加、その背景とは 近年、有病率が増加傾向のアレルギー性鼻炎。その原因は未だに不明な点も多いが、日本人の生活様式の変化(マンションなど気密性の高い住居など)によるダニや昆虫の増殖、ペットの屋内飼育、花粉症産生能力が高い樹齢スギの増加などが原因で抗原量が増えているためと考えられている。 アレルギー性鼻炎のなかでも有病率の高いスギ花粉症は、「とくに20歳未満での早期発見・早期治療が重要」だと岡野は強調した。というのも、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした疫学調査(1998年・2008年・2019年に調査)結果から、10~19歳の約半数がスギ花粉症をすでに発症していたことが明らかになり、また、経時的に見た場合にも5~9歳の小児や若年層のスギ花粉症有病率割合が増えていたからである(第2章 疫学の図2、3参照)。「鼻アレルギー診療ガイドライン2020内のグラフをみると30歳以降のスギ花粉有病率も増加しているが、増加率は若年層で著しい。とくに5~9歳の約3割は10年後にスギ花粉症を新規に発症することが確認された」と同氏は説明した。 また、同氏は「アレルギー性鼻炎は50歳まで発症させないことが重要である。小児の段階でしっかり治療を行い、発症を抑えることができれば将来的にも身体への負担が少なくなる。一方で50歳以上は新規にアレルギー性鼻炎を発症しづらいことが今回の疫学調査で確認できた」とも話した。コロナと花粉症、どちらの対策にも“鼻閉”を見逃すな 風邪とアレルギー性鼻炎との鑑別には、“鼻漏時の鼻の痒み”有無の確認が有用であるが、「新型コロナとの鑑別にも有用」だという。また、問診の際には「鼻閉症状に注意することは意義がある」とも同氏は話し、「鼻閉は口呼吸につながり、口が乾燥することで新型コロナに感染しやすい環境が整ってしまう。鼻アレルギー診療ガイドライン2020の『第4章 検査・診断』(表9.アレルギー性鼻炎症状の重症度分類)にも示されているように、鼻閉の強さを口呼吸の時間で分類しているため、この症状に注目することも肝心」と解説した。口腔アレルギー症候群も視野に診断を 食物アレルギーの一種である口腔アレルギー症候群(OAS:Oral allergy syndrome)は花粉症患者に合併することが多い疾患で、主にフルーツや野菜などの食物の摂取時に口腔・咽頭粘膜を中心に生じる即時型食物アレルギーである。このなかでもシラカンバの花粉症患者がリンゴやサクランボなどのバラ科食物に交差反応してアレルギー症状を示すのは有名な話である。しかし、「小児の場合は、親御さんがこの交差反応に関する知識を持っていないと、食わず嫌いと勘違いしてしまうため、親御さんからのヒアリングに十分注意してもらいたい」とコメントした。 このほか、鼻アレルギー診療ガイドライン2020の第4章の検査・診断の項には、日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票が、第5章の治療の項にはアレルギー性鼻炎の問診票や鼻アレルギー日記のテンプレートが掲載されており、日常診療に役立つツールをたくさん備えたガイドラインに仕上がっている。

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「ゾレア」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第38回

第38回 「ゾレア」の名称の由来は?販売名ゾレア皮下注用75mg、ゾレア皮下注用150mgゾレア皮下注75mgシリンジ、ゾレア皮下注150mgシリンジ一般名(和名[命名法])オマリズマブ(遺伝子組換え) (JAN)効能又は効果○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)○季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)○特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)用法及び用量<気管支喘息>通常、オマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。<季節性アレルギー性鼻炎>通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。投与量換算表(1回投与量)4週間毎投与画像を拡大する2週間毎投与画像を拡大する投与量換算表では、本剤の臨床推奨用量である0.008mg/kg/[IU/mL]以上(2週間間隔皮下投与時)又は0.016mg/kg/[IU/mL]以上(4週間間隔皮下投与時)となるよう投与量が設定されている。<特発性の慢性蕁麻疹>通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間毎に皮下に注射する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年2月10日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年12月改訂(第16版)医薬品インタビューフォーム「ゾレア®皮下注用75mg/ゾレア®皮下注用150mg・ゾレア®皮下注75mgシリンジ/ゾレア®皮下注150mgシリンジ」2)ノバルティスファーマ:DR’sNet

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「タリオン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第37回

第37回 「タリオン」の名称の由来は?販売名タリオン錠5mgタリオン錠10mgタリオンOD錠5mgタリオンOD錠10mg一般名(和名[命名法])ベポタスチンベシル酸塩(JAN)効能又は効果<成人>アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚掻痒症)<小児>アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症)に伴う掻痒用法及び用量<成人>通常、成人にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。<小児>通常、7歳以上の小児にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。警告内容とその理由該当しない(現段階では定められていない)禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年2月3日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2018年1月改訂(第13版)医薬品インタビューフォーム「タリオン®錠5mg/タリオン®錠10mg・タリオン®OD錠5mg/タリオン®OD錠10mg」2)田辺三菱製薬:製品情報

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