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ブプロピオンで統合失調症患者の禁煙達成!?

 統合失調症患者では一般集団と比べて喫煙率が高く、喫煙関連の疾患の罹病率や死亡率が高い。一方で、喫煙率を低下させるために、どのような介入が効果的であるかは不明なままである。英国・Nottinghamshire Healthcare NHS TrustのDaniel T. Tsoi氏らによるシステマティックレビューの結果、ブプロピオンが精神状態への影響を及ぼすことなく禁煙達成率を高められることが示された。また、バレニクリンも禁煙達成率の改善が期待できるが、精神状態への有害な影響が除外できず、また、禁煙したら報酬を与えるといった強化随伴性(contingent reinforcement:CR)の介入は、短期的効果が期待できそうであった。その他にはエビデンスが確かな効果的な介入は見いだせなかったと報告している。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年2月28日掲載の報告。 MEDLINE、EMBASE、PsycINFO(いずれもサービス開始から2012年10月まで)とCochrane Tobacco Addiction Group Specialized Register(2012年11月)にて、禁煙または減煙に関する無作為化試験を検索した。統合失調症または統合失調感情障害を呈する成人患者について、あらゆる薬物・非薬物治療とプラセボまたはその他の治療を比較した試験を適格とし、2人の独立レビュワーが試験の適格性と質を評価してデータ抽出を行った。解析の評価項目は、禁煙達成(禁煙)、総喫煙量の減少(減煙)、あらゆる精神状態の変化とした。禁煙、減煙については、治療終了時と介入終了後6ヵ月時点のデータを抽出した。また同定義については最も厳格なものを用い、入手したデータは生化学的検証を行った。有害事象についてはあらゆる報告に注意を払い、また必要に応じてランダムエフェクトモデルも用いられた。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、34試験(禁煙試験16件、減煙試験9件、再喫煙予防試験1件、喫煙についてのアウトカムが報告されていた他の目的での試験8件)が組み込まれた。・ブプロピオンとプラセボを比較した試験(7件)のメタ解析の結果、ブプロピオン治療後の禁煙率がプラセボより有意に高かった。 治療終了時の評価(7試験・340例) リスク比(RR):3.03、95%CI:1.69~5.42 6ヵ月後の評価(5試験・214例) RR:2.78、95%CI:1.02~7.58・また両群間に、陽性・陰性症状また抑うつ症状について有意差はみられなかった。・ブプロピオン群において、てんかん発作のような重大な副作用の報告はなかった。・バレニクリンもプラセボと比較して、治療後の喫煙率が有意に高かった。 治療終了時の評価(2試験・137例) RR:4.74、95%CI:1.34~16.71 6ヵ月後の評価(1試験のみで128例、CIもエビデンスに乏しい) RR:5.06、95%CI:0.67~38.24・精神症状に関してバレニクリン群とプラセボ群には、有意な差はみられなかったが、バレニクリン群の2人で希死念慮と自殺関連行動がみられた。・金銭(money)の強化随伴性(CR)を検討していた試験(2件)の解析の結果、禁煙率の上昇と喫煙量の低下の可能性があったが、これが長期に持続するかどうかは不明であった。・統合失調症患者に対する、その他の薬物治療(ニコチン補充療法など)や、禁煙・減煙支援のための心理社会的な介入の試験はほとんどなく、有用性についてのエビデンスは得られなかった。■「ブプロピオン」関連記事禁煙補助薬として抗うつ薬は有用なのか

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うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?!

 大うつ病の既往は、禁煙治療中あるいは治療後の禁煙継続に悪影響を及ぼすことが報告された。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学校のHitsman氏らによるメタ解析の結果で、以前(2003年)の解析のアップデート報告。当時の報告では、大うつ病既往は禁煙治療に影響しないことが示されていた。今回の解析結果を受けて著者は、大うつ病喫煙患者には、この点に注目した効果的な治療もしくは適切な治療を見極めることが必要だと提言している。Addiction誌オンライン版2012年10月16日号の報告。 以前のレビュー対象14試験と、2000~2009年に発表された論文で適格であった28試験を対象に組み込み、過去の大うつ病、最近(≦6ヵ月)の大うつ病エピソード、認知行動療法(対面法vs.自己療法)の継続期間と種類、その他の因子をコード化した。解析は、大うつ病喫煙患者に選択的ベネフィットを与える可能性がある実験的治療の影響を極力排除するため、プラセボ/最小強度対照試験のみとした。短期間(≦3ヵ月)および長期間(≧6ヵ月)の禁煙における過去の大うつ病の影響に関する試験特異的オッズ比(OR)を算出した(ランダム効果モデルを用いて統合)。試験方法論と治療因子を用いて、禁煙に関する評価を行った。主な結果は以下のとおり。・非大うつ病喫煙者よりも、大うつ病喫煙者では、短期禁煙のオッズ比が17%低く(評価対象35例、OR:0.83、95%CI:0.72~0.95、p=0.009)、長期禁煙は19%低かった(同38例、0.81、0.67~0.97、p=0.023)(この評価ではバレニクリン単独試験は抗うつ作用を有するので除外した)。・過去の大うつ病と禁煙との関連は、試験方法論(最近の大うつ病患者は除外、大うつ病評価の種類によるなど)や、治療(認知行動療法)によって異なることが認められた。関連医療ニュース ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・喫煙+糖尿病はうつ病リスクを高めるのか?! ・認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認

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バレニクリン、心血管重大有害イベントの有意な増大との関連認められず:メタ解析

米国・カリフォルニア大学のJudith J Prochaska氏らによるメタ解析の結果、禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)服用による、心血管系の重大有害イベントの有意な増大は認められなかったとの報告が発表された。解析にはこれまで発表された全データが含まれ、服用中に起きたイベントに焦点を絞り、4つの要約推定値(summary estimates)を用いて行われた。バレニクリンをめぐっては、心血管系の深刻な有害事象リスクが議論になっているが、その解析手法が適切ではないのではとの指摘があり、米国FDAがさらなる解析を行うことを求めていた。BMJ誌2012年5月12日号(オンライン版2012年5月4日号)掲載報告より。二重盲検プラセボ比較対照試験22試験をメタ解析Prochaska氏らは、Medline、Cochrane Library、オンライン臨床試験レジストリならびに特定論文参照リストをデータソースとして、メタ解析を行った。試験適格としたのは、現に喫煙中の成人を対象にバレニクリン投与と非投与を比較し、有害事象について報告をしていた無作為化試験とした。試験治療下での心血管系の重大有害事象の発現との定義は、薬物療法中または中断後30日以内に起きたもので、虚血性または不整脈性の有害な心血管イベント(心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血管再生、冠動脈疾患、不整脈、一過性脳虚血発作、脳卒中、突然死または心血管関連死、うっ血性心不全)とした。解析対象となったのは22試験で、すべてが二重盲検プラセボ比較対照試験だった。そのうち2試験は現に心血管疾患を有する被験者を対象としたもので、また11試験は心血管疾患の既往があり登録された被験者を含んでいた。イベント発生率の差、臨床的にも統計学的にも有意ではない結果、試験治療下での発現率、心血管重大有害イベントは、バレニクリン群0.63%(34/5,431)、プラセボ群0.47%(18/3,801)だった。全22試験に基づくリスク差の要約推定値は0.27%(95%信頼区間:-0.10~0.63、P=0.15)で、臨床的にも統計学的にも有意ではなかった。1つ以上のイベント発生が認められた14試験に基づく、相対リスク比(1.40、0.82~2.39、P=0.22)、マンテル-ヘンツェル・オッズ比(1.41、0.82~2.42、P=0.22)、ピート・オッズ比(1.58、0.90~2.76、P=0.11)の結果も、バレニクリン群とプラセボ群に有意差は認められなかった。Prochaska氏は、これまで発表された全試験を含み、服薬曝露期間中に起きたイベントに焦点を絞り、4つの要約推定値を使用した所見を分析したメタ解析の結果、バレニクリン服用による心血管系の重大有害イベントと有意な増大は認められなかったと結論した上で、希少アウトカムには絶対効果に基づく要約推定値が推奨され、ピート・オッズ比に基づく推定は無効とすべきであると述べた。

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「ACC/AHA末梢動脈疾患診療ガイドライン2011」改訂のポイント

米国心臓病学会財団(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、2005年に策定した末梢動脈疾患(PAD)の診療ガイドラインを見直し、2011改訂版を公表した。5年間で集積されたエビデンスを基に下記についての見直しが図られ、患者管理と予防の新たな臨床判断の指標とすることを促している。足関節上腕血圧比(ABI)、足趾腕血圧比(TBI)検査にかかる勧告見直し禁煙指導に関する勧告見直し抗血小板療法に関する勧告見直し重症肢虚血に対する勧告見直し腹部大動脈瘤に対する勧告見直しガイドライン2011の特徴は、下肢PAD予防と早期発見の重要性がさらに強調されたことである。まず、PADの過少診断を防ぐため、足関節上腕血圧比(ABI)実施対象患者の見直しが行われた。具体的には、2005年版では、対象者のひとつに「70歳以上」があったが、2011年版では、「65歳以上」に改訂された(クラスI、エビデンスレベルB)。その上で、ABI値について、正常値は1.0~1.4、異常値は0.9以下とし、0.91~0.99は境界値と明確に定義した(クラスI、エビデンスレベルB)。また、治療においては、禁煙指導と抗血小板薬に対する変更があった。禁煙指導については、下肢PAD患者に対する心血管イベントの抑制効果のエビデンスは乏しかったものの、医師の介入による禁煙率の上昇という点を評価し、プライマリ・ケア医による積極的な禁煙プログラムの推奨強化を図っている(表1)。薬物療法については、アスピリンおよびクロピドグレルのクラスIとしての位置づけに変更はなかったが、文言の明確化が図られた。新たな推奨項目として、クラスIIaとIIbが加えられた(表2)。重症肢虚血や腹部大動脈瘤に対する、手術とバルーン血管形成術のアウトカムについては、その一方の優位性を示す長期試験結果がないため、患者の個別の状態に応じ、最も適切な動脈瘤修復の方法を選択すべきであるとされた。なお今回の改定では、腎・腸間膜動脈疾患については、新たなエビデンスが乏しいため、同分野における見直しは行われなかった。表1 禁煙指導に関する勧告【2011年勧告の主な変更ポイント】●クラスⅠ1.喫煙者または喫煙歴のある患者は、毎回の診察時にタバコ使用に関する現状について問診を受けるべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>2.(喫煙者の)患者には、禁煙のために、薬物療法や(または)禁煙プログラムへの紹介を含む禁煙のための計画策定やカウンセリングを行うべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>3.下肢PADの患者で、タバコや他の種類のタバコを使用する人は、診察を受けるすべての医師から禁煙を勧められ、行動療法や薬物療法の提供を受けるべきである。(エビデンスレベルC)<以前の勧告の変更。文言を明確化し、エビデンスレベルをBからCに変更>4.患者に禁忌や他のやむにやまれぬ臨床適応がない限り、バレニクリン、ブプロピオン、ニコチン置換療法のうち、1つ以上の薬物療法を提供するべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>表2 抗血小板薬と抗血栓薬に関する勧告【2011年勧告の主な変更ポイント】●クラスⅠ1.抗血小板療法は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する。(エビデンスレベルA)<以前の勧告の変更。文言を明確化>2.アスピリン(一般的には75~325mg/日)は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する、安全で効果的な抗血小板療法として推奨される。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。文言を明確化し、エビデンスレベルをAからBに変更>3.クロピドグレル(75mg/日)は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や虚血性脳卒中、血管死リスクを減少するための、アスピリンの代替となる安全で効果的な抗血小板療法として推奨される。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。文言を明確化>●クラスIIa1.抗血小板療法は、ABIが0.90以下の無症候性の人に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少させる可能性がある。(エビデンスレベルC)<新たな勧告>●クラスIIb1.ABIが0.91~0.99の、ボーダーラインの無症候性の人に対する抗血小板療法が、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する効果があるかどうかについては、まだ立証されていない。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>2.アスピリンとクロピドグレルの併用は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人で、出血リスクの増大がなく、既知の心血管リスクの高い人を含む、症候性アテローム性下肢PAD患者に対して、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクの減少を目的に考慮しても良い。(エビデンスレベルB)<新たな勧告>●クラスIII(利益なし)1.アテローム性下肢PADの患者に対し、有害心血管虚血イベントのリスク減少を目的に、ワルファリンを抗血小板療法へ追加投与することは、利益がなく、大出血リスクの増大のために、潜在的に有害となる。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。エビデンスレベルをCからBに変更>参照Rooke TW, et al. 2011 ACCF/AHA Focused Update of the Guideline for theManagement of Patients With Peripheral Artery Disease (updating the 2005 guideline):a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart AssociationTask Force on Practice Guidelines. J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 2020-2045.

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無煙タバコをやめたい人にも、禁煙補助薬バレニクリンは有効

 無煙タバコの常飲が多くの国で増加しているという。特に北欧ではその地位が確立しており、スウェーデンでは常飲者が逆転(19% vs. 11%)、ノルウェーでは16~35歳の32%が毎日無煙タバコを喫煙しているという。背景には、無煙タバコは有煙タバコより有害ではないと広く信じられていることがあり、そのことが禁煙補助薬の有効性の試験で無煙タバコに関する報告をみかけないことに反映されているとして、スウェーデンFagerstrom Consulting ABのKarl Fagerstrom氏らは、無煙タバコをやめたい人を対象に禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)の有効性と安全性について検討を行った。スウェーデンではタバコをやめたい人の約30%が無煙タバコ常飲者だという。BMJ誌2010年12月11日号(オンライン版2010年12月6日号)掲載より。無煙タバコ常飲者で禁煙希望者を対象、投与12週間+14週間の禁煙率を評価 試験は、ノルウェー7つ、スウェーデン9つの医療施設(大半はプライマリ・ケア診療所)で行われた二重盲検プラセボ対照パラレル群の多施設共同無作為化試験。 参加者は新聞で公募され、18歳以上男女で、無煙タバコを1日8回以上常飲し、スクリーニング前1年以内では3ヵ月以上禁煙していた期間がなく、完全に禁煙をしたいと思っている人を被験者とした。3ヵ月以内に、有煙タバコを除く他のニコチン含有製品を常飲していた人、禁煙治療を受けていた人、その他先行する疾患治療、精神疾患治療を受けていた人は除外された。 被験者は無作為に、バレニクリン1日2回1mg(最初の1週間は滴定)投与群もしくはプラセボ投与群に割り付けられ、12週間治療され、その後14週間追跡調査された。 主要エンドポイントは、治療最終4週間(9~12週)の禁煙率で、コチニン濃度で確認した。副次エンドポイントは、9~26週間の持続性の禁煙率であった。安全性と忍容性の評価も行われた。 無作為化後に1回以上の試験薬投与を受けた被験者は431例(バレニクリン群213例、プラセボ群218例)だった。被験者の実態的人口統計学的背景、ベースラインでの無煙タバコ消費に関するデータは両群で同等だった。たとえば、男性被験者の割合はバレニクリン群89%(189例)、プラセボ群90%(196例)、平均年齢は両群とも43.9歳、無煙タバコ常飲は両群とも1日約15回、寝起き30分以内に常飲する人は両群とも約80%など。治療9~12週のバレニクリン群禁煙率の相対リスク1.60、優位性はその後も持続 結果、治療最終4週間(9~12週)の禁煙率は、バレニクリン群の方が有意に高かった。禁煙率はバレニクリン群59%(125例)に対しプラセボ群39%(85例)で両群差20ポイント、相対リスク1.60(95%信頼区間:1.32~1.87、P<0.001)、治療必要数(NNT)は5例だった。 このバレニクリン群の優位性は治療後の追跡調査期間14週の間も持続した。9~26週間の禁煙率は、バレニクリン群45%(95例)に対しプラセボ群34%(73例)で両群差11ポイント、相対リスク1.42(95%信頼区間:1.08~1.79、P=0.012)、NNTは9例だった。 プラセボ群との比較でバレニクリン群で最も共通してみられた有害事象は、嘔気(35%対6%)、疲労感(10%対7%)、頭痛(10%対9%)、睡眠障害(10%対7%)であった。治療中断に至った有害事象の発生(9%対4%)、また重篤な有害事象の発生(1%対1%)は両群ともにわずかであった。 結果を受けてFagerstrom氏は、「バレニクリンは、無煙タバコをやめたい人の安全な助けとなる」と結論。また最後に「本試験では、プラセボ群の禁煙率が高かったが、それは禁煙に後ろ向きの人が少なかったためだ」とも述べている。

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禁煙補助薬バレニクリンと自殺リスク増大に関するコホート研究

バレニクリン(商品名:チャンピックス)は効果的な経口禁煙補助薬であるが、自殺行動、自殺リスクを増加させる可能性があるとの懸念が広がっている。バレニクリンが普及しだして以降、喫煙者における自殺リスクが高まっているとの報告が相次いでいるためだ。そこでイギリス・ブリストル大学社会医療部門のD Gunnell氏らの研究グループは、バレニクリンが、bupropionやニコチン置換療法など他の療法と比較して、自殺行動、自殺リスクの増加と関連があるのかを目的とした大規模な無作為化コホート研究を行った。BMJ誌2009年11月7日号(オンライン版10月1日号)掲載より。ニコチン置換療法および禁煙補助薬治療を受けた8万例を対象研究対象となったのは、General Practice Research Databaseに登録された、イギリス国内で2006年9月1日から2008年5月31日の間に、新しい禁煙治療のセッションを開始した18~95歳の男女80,660例。追跡期間中の初期治療で処方されたのは、ニコチン置換製品(n=63,265)、バレニクリン(n=10,973)、bupropion(n=6,422)だった。主要評価項目は、致死的または非致死的の自傷とし、副次評価項目は自殺念慮とうつで、すべてCox比例ハザード・モデルを使って検討された。自傷リスクは2倍、ただしエビデンスは見つからずバレニクリンが、自傷リスク(致死的自傷2例、非致死的自傷166例)の増加と関連するという明白なエビデンスは認められなかったものの、95%信頼区間値から2倍増のリスクを除外することはできなかった。ニコチン置換製品と比較して、バレニクリンを処方された者の自傷に関するハザード比は1.12(95%信頼区間:0.67~1.88)であり、bupropionを処方された者は1.17(同:0.59~2.32)だった。バレニクリンとうつ(2,244例)リスク増加との関連(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.77~1.00)、また自殺念慮(37例)リスク増加との関連(同:1.43、0.53~3.85)についても、エビデンスは認められなかった。これらから研究グループは、バレニクリンの投与に伴う自傷の2倍リスク増加は除外できないとしつつも、自殺行動との関連をうかがわせる懸念についてはいくらかの安堵感を提供するものだったと述べている。

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ニコチン補充療法、禁煙したくない・できそうもない人にも効果

ニコチン補充療法は、禁煙したくない・できそうもないと考えている人にも、有効かつ安全に禁煙できる方法だという。英国バーミンガム大学Health and Population Sciences校のDavid Moore氏らが行ったシステマティックレビューのメタ解析の結果で、BMJ誌2009年4月11日号(オンライン版2009年4月2日号)で報告された。介入開始から6ヵ月時点での禁煙状況など評価Cochrane Library、Medlineなど6ソースで行われたシステマティックレビューは、発表・未発表を問わず、短期的に禁煙する意志はないことを断言した喫煙者も登録されており、ニコチン補充療法(動機付け支援あるなしにかかわらず)との比較が、プラセボ、未治療、その他薬物療法、あるいは動機付け支援のような心理的介入とで行われている無作為化試験で(現在進行中の試験、参照リストに登録されている試験、スポンサーが製薬会社のもの、臨床専門医のものいずれも含む)、喫煙率が報告されていることが適格条件とされた。解析の主要評価項目は、介入開始から6ヵ月時点での禁煙状況。また、追跡終了時点での禁煙状況もしくは減煙状況、および有害事象についても評価された。6ヵ月間禁煙できた割合は、プラセボ群の2倍適格条件を満たしたプラセボ対照無作為化試験は7試験(4試験はニコチンガム、2試験はニコチン吸入器、1試験はガム・吸入器・パッチから自由に選択)。いずれも禁煙については副次評価項目だった。被験者総計2,767例が、6~18ヵ月にわたり介入が行われ、12~26ヵ月間追跡されていた。6ヵ月間禁煙できていた人は、ニコチン置換療法群は6.75%で、プラセボ群3.28%の約2倍の達成率だった。また追跡終了時点で、禁煙できていた人(介入後6週目以降持続して)は、ニコチン置換療法群は1.6%、プラセボ群は0.4%。減煙できていた人は、ニコチン置換療法群は21.8%、プラセボ群は16.5%(持続的に減煙できていた人は、各6.3%、1.6%)。すべての評価項目で、ニコチン置換療法の有効性が認められた。有害事象に関しては、死亡(オッズ比:1.00)、重篤な有害事象(1.16)、有害事象による介入中断(1.25)について有意差はなかったが、悪心がニコチン置換療法群で有意に多かった(1.69)。これらからMoore氏は、ニコチン置換療法は効果的な介入であると結論したが、「今回得られたエビデンスは、定期的な行動支援とモニタリングが前提となっており、定期的支援がなくてもニコチン置換療法が効果的なものかどうかは不明である」とも述べている。

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ひょっとして抗うつ薬のほうが禁煙補助薬より有効かも?

世界中で一般的に用いられている禁煙治療の薬剤は3つある。1つは経口禁煙補助薬バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス;2008年1月承認)、あとの2つは抗うつ薬で、bupropionとノルトリプチリン(ノリトレン)である。このうちノルトリプチリンをめぐる試験結果で、禁煙補助剤+ノルトリプチリンが、禁煙補助剤単独よりも有効とする報告があり、「それが事実なら、禁煙補助剤+ノルトリプチリンはバレニクリンよりも有効では」と、英国バーミンガム大学プライマリ・ケア/公衆衛生部門のPaul Aveyard氏らが、最適治療選択を目的とするプラセボ対照無作為化試験を実施した。BMJ誌2008年5月31日号(オンライン版2008年4月27日号)掲載より。禁煙補助剤+ノルトリプチリンをプラセボ対照無作為化試験試験は英国の国民健康保険NHS(National Health Service)対象の禁煙治療クリニックで行われた。1日10本以上喫煙する18歳以上の禁煙希望者を試験適格者として参加者を募集。ノルトリプチリン・禁煙補助剤禁忌や他の抗うつ薬を服用している者を除外し対象として901例が選定された。参加者は無作為で禁煙補助剤+ノルトリプチリン(445例)もしくはプラセボ服用群(456例)に割り付けられた。禁煙補助剤の選択は対象者に行ってもらい、服薬を厳守してもらえるよう書面での情報提供や看護師による電話相談サポートを提供して実施。服薬は、禁煙開始日の1~2週前から開始。最初の3日間は25mg/日、続く4日は50mg/日、以後最大投与量として75mg/日を最大6週間、その後1週間減量投与し、試験トータル8週間として行われた。主要評価項目は6ヵ月時点で禁煙が続いているか、副次評価項目は12ヵ月時点で禁煙が続いているか、薬物の使用状況、副作用重症度評価、ニコチン離脱症状と喫煙衝動。併用療法の有効性確認できず6ヵ月時点で禁煙できていたのは、ノルトリプチリン群72例(16%)、プラセボ群55例(12%)、相対リスクは1.34(95%信頼区間:0.97~1.86)だった。 12ヵ月時点では、ノルトリプチリン群49例(11%)、プラセボ群40例(9%)で、相対リスクは1.87(0.84~1.26)。禁煙開始日以降に禁煙補助剤+薬剤(両群中央値75mg/日)を行っていたのは、ノルトリプチリン群337例(79%)、プラセボ群325例(75%)で、服薬の割合はプラセボ群のほうがノルトリプチリン群よりも低かった。副作用に関しては、口渇や便秘を訴えたのはノルトリプチリン群のほうがプラセボ群よりも顕著に高かった。ただし発汗や薬物効果への疑念を呈した割合については僅差だった。喫煙衝動は両群ともほぼ変わらない。ただしノルトリプチリン群のほうが抑うつ感や不安が抑えられていたが、離脱症状のスコアは全体として相違はなかった。これらからAveyard氏は、「ノルトリプチリン、禁煙補助剤はいずれもそれぞれに禁煙治療に効果的である。しかし組み合わせての併用療法は単独療法ほどの効果はなく、併用療法が単独療法より効果的であるとのエビデンスは得られなかった」と結論づけた。

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日本初の経口禁煙補助薬「チャンピックス錠」新発売

ファイザー社は、5月8日(木)にニコチン依存症の喫煙者に対する新しい禁煙補助薬「チャンピックス錠」(一般名:バレニクリン酒石酸塩)を発売すると発表した。チャンピックスは日本初の経口禁煙補助薬。既存の禁煙補助薬がタバコの代わりにニコチンを補充することによって禁煙に伴うイライラや集中できないといった離脱症状を軽減する「ニコチン代替療法」であるのに対し、チャンピックスは脳内のニコチン受容体に選択的に働き、離脱症状やタバコに対する切望感を軽減するとともに、喫煙による満足感を抑制する。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_22_02.html

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敗血症性ショックの昇圧治療、ノルアドレナリン+ドブタミンとアドレナリンの有用性は同等

敗血症性ショックは敗血症の最も重篤な病態であり、フランスではICU治療の約9%を占め、短期的な死亡率は40~60%に達する。本症では、敗血症に起因する低血圧を正常化するために昇圧治療を要する。最近の国際的ガイドラインでは、ドパミンあるいはノルアドレナリンを第一選択薬とし、奏効が得られない場合はアドレナリンが推奨されているが、これらの薬剤の大規模な比較試験は実施されていない。 フランス研究・高等教育拠点パリ南大学 UVSQレイモン・ポアンカレ病院のDjillali Annane氏らは、敗血症性ショックにおいてノルアドレナリンと必要に応じてドブタミンを併用する治療法とアドレナリン単独の有効性と安全性を比較する試験を実施、その結果を8月25日付Lancet誌上で報告した。28日目の全原因死亡率は両治療群間で同等本研究はプロスペクティブな二重盲検多施設共同無作為化試験であり、フランス国内の19のICUに収容された敗血症性ショック330例がアドレナリン単独群(161例)あるいはノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用群(169例)に無作為に割り付けられた。投与量は平均血圧70mmHg以上を維持するように調整された。主要評価項目である28日目の全原因死亡率は、単独群40%(64/161例)、併用群34%(58/169例)と、両治療群間で同等であった(p=0.31、相対リスク:0.86)。重篤な有害事象の発症率も、両治療群間に差はない両治療群間で、ICU死亡率(p=0.69)、退院時死亡率(p=0.51)、90日死亡率(p=0.73)、血行動態回復までの期間(log-rank検定:p=0.67)、昇圧治療中止までの期間(log-rank検定:p=0.09)、SOFAスコア(敗血症に伴う臓器障害の指標)の推移に有意な差は認めなかった。重篤な有害事象の発症率についても、両治療群間に差はなかった。以上により、Annane氏は「敗血症性ショックの管理において、アドレナリン単独治療とノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用治療の有効性および安全性は同等」と結論している。また、「臨床の場では、心係数が低下している敗血症性ショックに対する昇圧治療としては、アドレナリン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン+ドブタミンのいずれを施行してもよい。今後は、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンの単独治療の有効性と安全性を比較し、敗血症性ショックにおける昇圧治療の最適な血行動態目標値を明確にすべき」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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