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IgG4関連疾患〔IgG4-related disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義IgG4関連疾患とは、リンパ球とIgG4 陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により、同時性あるいは異時性に全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患である。罹患臓器としては膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺などが知られている。病変が複数臓器に及び、全身疾患としての特徴を有することが多いが、単一臓器病変の場合もある。臨床的には各臓器病変により異なった症状を呈し、臓器腫大、肥厚による閉塞、圧迫症状や細胞浸潤、線維化に伴う臓器機能不全など、時に重篤な合併症を伴うことがある。治療にはステロイドが有効なことが多い。ステロイド抵抗性・依存性や臓器障害を生じたIgG4関連疾患症例は、2015年7月から難病に指定された。■ 疫学IgG4関連疾患の診療は、種々の診療科にまたがるので、その患者数の推定は困難である。石川県で行われた調査では、年間336~1,300人のIgG4関連疾患の新規発症があり、わが国では2万6,000人の患者がいると推定される。わが国で2016年に行われた自己免疫性膵炎の全国調査では、自己免疫性膵炎の年間推計受療者数は1万3,436人、年間罹患患者数は3,984人、有病率10.1人/10万人と推定され、2011年の調査時の罹患患者数より倍増した。臓器によって異なるが、高齢の男性に多く発症する傾向がある。■ 病因IgG4関連疾患の病因は解明されていないが、免疫遺伝学的背景に自然免疫系、Th2にシフトした獲得免疫系、制御性T細胞などの異常が病態形成に関与する可能性が報告されている。■ 症状臨床症状・徴候は、罹患した臓器によって異なるが、臓器腫大や肥厚による閉塞・圧迫症状が主体となる。自己免疫性膵炎やIgG4関連硬化性胆管炎では膵腫大や胆管閉塞による閉塞性黄疸、IgG4関連涙腺・唾液腺炎では涙腺・唾液腺腫大、後腹膜線維症では尿管圧迫による水腎症や腎機能障害などがみられる。また、病態が持続進行すると、涙腺・唾液腺機能障害による乾燥症状や、膵内外分泌機能低下などが生じうる。■ 分類自己免疫性膵炎以外は、罹患した臓器の前に「IgG4関連」をつけて呼ぶ。IgG4関連疾患はほぼ全身の諸臓器に認められるが、現在IgG4関連疾患として明らかに認知されている疾患・病態を表1に示す。表1 IgG4関連疾患に包括される疾患・病態■ 予後IgG4関連疾患はステロイドが奏効するので、短期的予後は良好であるが、再燃する例が少なからず存在し、長期的予後は不明である。自己免疫性膵炎では、再燃を繰り返す例で、膵石が形成されることがある。また、IgG4関連疾患では、悪性腫瘍を合併しやすいとの報告もあり、注意を要する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ IgG4関連疾患包括診断基準いくつかのIgG4関連疾患には、その診断基準があるが、IgG4関連疾患を包括する診断基準が2011年に作られ、2020年に改訂された。この基準は、各臓器病変の専門医以外の臨床医の使用、各臓器の診断基準との併用、簡潔化、病理組織診断の重要視、ステロイドの診断的治療は推奨しないなどを基本的なコンセプトとして作成された。臨床的所見、血液所見、病理所見の組み合わせにより診断する(表2)。表2 2020改訂IgG4関連疾患包括診断基準できる限り組織診断を加えて、各臓器の悪性腫瘍(がんや悪性リンパ腫など)や類似疾患(原発性硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、キャッスルマン病、2次性後腹膜線維症、ウェゲナー肉芽腫、サルコイドーシス、チャーグ・ストラウス症候群など)と鑑別することが大事である。また、この基準で確定診断ができなくても、各臓器の診断基準により診断が可能である。■ 自己免疫性膵炎1型自己免疫性膵炎は、IgG4が関連する1型と、IgG4とは無関係で好中球の膵管上皮内浸潤を特徴とする2型に分かれる。自己免疫性膵炎1型は、自己免疫性膵炎臨床診断基準2018(表3)を用いて診断する。表3-1 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018表3-2 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018本症の診断においては、膵がんや胆管がんなどの腫瘍性の病変を否定することがきわめて重要である。診断基準では、膵腫大、主膵管の不整狭細像、高IgG4血症、病理所見、膵外病変とオプションとしてのステロイド治療の効果の組み合わせにより診断する。びまん性の膵腫大を呈する典型例では、高IgG4血症、病理所見か膵外病変のどれか1つを満たせば自己免疫性膵炎と診断できる。限局性膵腫大例では、膵がんとの鑑別がしばしば困難であり、ERP(内視鏡的逆行性膵管造影)による主膵管の膵管狭細像が必要であったが、改訂基準ではMRCP、EUS-FNAとステロイド治療の効果で確定診断できるようになった。膵のびまん性腫大は、本症に特異性の高い所見である。腹部ダイナミックCTでは遅延性増強パターンと被膜様構造(capsule-like rim)が特徴的である(図1)。画像を拡大するERPによる主膵管のびまん性不整狭細像も本症に特異的である。狭細像とは閉塞像や狭窄像と異なり、ある程度広い範囲に及んで、膵管径が通常より細くかつ不整を伴っている像を意味する(図2)。画像を拡大する限局性の病変では膵がんとの鑑別がとくに困難であるが、狭細部より上流側の主膵管には著しい拡張を認めない、狭細部からの分枝の派生や非連続性の複数の主膵管狭細像(skip lesions)は、膵がんとの鑑別に有用である。血中IgG4値の上昇は高率に認められるので、その診断的価値は高い。しかし、IgG4値の上昇は他疾患(アトピー性皮膚炎、天疱瘡、喘息など)や一部の膵臓がんや胆管がんでも認められるので注意を要する。病理組織像は、lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)と呼ばれる特徴的な所見で、高度のリンパ球とIgG4陽性の形質細胞の浸潤と、紡錘形細胞が錯綜配列を示す花筵状線維化(storiform fibrosis)と閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)を呈する(図3、4)。画像を拡大する画像を拡大する合併する他のIgG4関連疾患として、膵外胆管の硬化性胆管炎、涙腺・唾液腺炎と後腹膜線維症が取り上げられている。ステロイド治療の効果判定は、画像で評価可能な病変が対象であり、臨床症状や血液所見は対象としない。ステロイド開始2週間後に効果不十分の場合には、再精査が必要である。できる限り病理組織を採取する努力をすべきであり、ステロイドによる安易な診断的治療は厳に慎むべきである。■ IgG4関連硬化性胆管炎IgG4関連硬化性胆管炎の診断は、IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020(表4)に基づいて、胆道画像検査、高IgG4血症、他のIgG4関連疾患(自己免疫性膵炎、IgG4関連涙腺・唾液腺炎、IgG4関連後腹膜線維症)の合併、胆管壁の病理組織所見、オプションとしてのステロイド治療の効果の組み合わせによって診断する。表4-1 IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020表4-2 IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020IgG4関連硬化性胆管炎の胆管像では、下部胆管狭窄を呈することが多いが、上部~肝門部胆管狭窄や肝内胆管狭窄を呈する例では、肝門部胆管がんや原発性硬化性胆管炎(PSC)との鑑別が問題となる。自己免疫性膵炎を合併しないIgG4関連硬化性胆管炎では、診断がとくに困難である。PSCでよくみられる全周性の輪状狭窄(annular stricture)、数珠状変化(beaded appearance)や肝内胆管の減少(pruned-tree appearance)などはIgG4関連硬化性胆管炎ではほとんど認められない(図5)。画像を拡大するIgG4関連硬化性胆管炎では、CTやUSなどにおいて、胆管狭窄部だけでなく狭窄のない部位の胆管にも壁肥厚が高頻度に認められ、この所見は胆管がんとの鑑別に有用である。経乳頭的胆管生検では採取検体が小さいため、IgG4関連硬化性胆管炎と診断できるだけの材料を採取できる例が少ない。肝内胆管に病変が及ぶIgG4関連硬化性胆管炎では、肝生検がPSCとの鑑別に有効なこともある。ステロイドへの良好な反応性は、IgG4関連硬化性胆管炎の診断をより確実なものとするので、ステロイドトライアルも診断の一手段となる。しかし、診断目的の安易なステロイド投与は慎むべきである。■ IgG4関連涙腺・唾液腺炎従来ミクリッツ病やキュットナー腫瘍と呼ばれていた疾患で、診断にはIgG4関連ミクリッツ病の診断基準が用いられる。涙腺、耳下腺、顎下腺の持続性(3ヵ月)、対称性の2対以上の腫脹を基本として、高IgG4血症か、涙腺・唾液腺組織に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤(強拡大5視野でIgG4陽性/IgG4陽性細胞が50%以上)のいずれかを満たした場合に診断される。多くは対称性に涙腺、耳下腺、顎下腺、舌下腺、小唾液腺のいずれかが腫脹する。シェーグレン症候群との鑑別が問題となるが、シェーグレン症候群に比べて、抗SS-A/SS-B抗体が陰性であり、乾燥性角結膜炎や唾液腺分泌障害が軽度である。■ IgG4関連腎臓病IgG4関連腎臓病診断基準(表5)により診断される。表5 IgG4関連腎臓病診断基準IgG4関連腎臓病では、びまん性腎腫大、腎実質の多発性造影不良域、腎腫瘤、腎盂壁肥厚などの特徴的な画像所見を呈することが多い。腎組織は間質性腎炎が主体であるが、膜性腎症などの糸球体病変を伴う場合もある。■ IgG4関連後腹膜線維症腹部大動脈周囲や尿管周囲の軟部組織の肥厚が特徴で、腫瘤を形成したり水腎症を起こしたりする。生検困難例も多く、悪性疾患や感染症などによる2次性後腹膜線維症との鑑別が問題となる。■ IgG4関連呼吸器病変画像上、肺門縦隔リンパ節腫大、気管支壁/気管支血管束の肥厚、小葉間隔壁の肥厚、結節影、浸潤影、胸膜病変などの胸郭内病変を呈する。また、病理組織学的には、気管支血管束周囲、小葉間隔壁、胸膜などの間質に、著明なリンパ球とIgG4陽性細胞の浸潤と線維化を認める。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)経口ステロイド治療が、IgG4関連疾患の標準治療法である。経口プレドニゾロン0.6mg/kg/日の初期投与量を2~4週間投与し、その後画像検査や血液検査所見などを参考に約2週間の間隔で5mgずつ漸減し、3~6ヵ月ぐらいで維持量まで減らす。治療への反応が悪い例では悪性腫瘍などを疑診して、再検査を行う必要がある。IgG4関連疾患では、ステロイド中止後にしばしば再燃が起こるので、再燃予防に少量のプレドニゾロン(5mg/日程度)の維持療法を1年前後行うことが多い。ただし、IgG4関連疾患は基本的に予後良好な疾患であることに加え、高齢者発症が多いので、ステロイド長期投与の副作用(腰椎圧迫骨折、大腿骨頭壊死、耐糖能異常など)を考慮して、画像診断および血液検査で十分な改善が得られた症例では、ステロイド投与の早期中止が望まれる。ステロイドを中止する際には、個々の症例における活動性を見極め、できるだけ少量投与に切り替えて中止するほうが安全である。また、ステロイド治療中止後も慎重な経過観察が必要である。ステロイド治療後に再燃を来しやすい因子として、治療後の画像上の改善が不十分、治療後も血中IgG4高値が続く、治療前の血中IgG4値が著しく高値である、などが挙げられる。再燃例では、ステロイドの再投与や増量により寛解が得られることが多い。欧米では、再燃例に対して、免疫抑制薬やリツキシマブを投与して、良好な成績が報告されている。2017年に作成された自己免疫性膵炎の治療に関する国際コンセンサスでは、ステロイドに抵抗性または副作用でステロイドが投与できない症例では、リツキシマブを第1選択とすると記載された。4 今後の展望IgG4の病因の解明と確実性のより高い血清学的マーカーの開発が望まれる。治療に関しては、Bリンパ球の表面免疫グロブリンのCD20抗原に対する抗体であるリツキシマブ(キメラ型抗CD20抗体、商品名:リツキサン)が、ステロイドや免疫抑制薬使用後に再燃したIgG4関連疾患に有効であったと海外で報告されている。しかし、リツキシマブは高価な薬剤であり、また、わが国ではIgG4関連疾患に対する投与は保険適用になっていない。5 主たる診療科消化器内科、リウマチ科、内分泌科、耳鼻咽喉科、腎臓内科、呼吸器内科、泌尿器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報がん・感染症センター 都立駒込病院 IgG4関連疾患センター(世界で初めての専門外来センター)日本膵臓学会ホームページ さまざまなガイドライン(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター IgG4関連疾患(一般利用者向け、医療従事者向けのまとまった情報)1)厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 IgG4関連疾患の診断基準ならびに診療指針の確立を目指す研究班. 日内誌. 2021;110:962-969.2)日本膵臓学会 厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業) IgG4関連疾患の診断基準ならびに診療指針の確立を目指す研究班. 膵臓. 2018;33:902-913.3)中沢貴宏ほか. 胆道. 2021;35:593-601.4)IgG4関連腎臓病ワーキンググループ.日腎会誌.2011;53:1062-1073.公開履歴初回2015年10月20日更新2017年04月18日更新2022年07月28日

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喫煙者は末期腎不全リスクが約2倍

 喫煙は、糖尿病患者における慢性腎臓病(CKD)発症の主要な危険因子として確立されているが、CKDの独立した危険因子かどうかはエビデンスが一致していない。中国・上海中医薬大学のJia Xia氏らが、成人一般集団における前向きコホート研究をメタ解析したところ、喫煙がCKD発症の独立した危険因子であることが示唆された。Nephrology, dialysis, transplantation誌オンライン版2017年2月27日号に掲載。 著者らはMEDLINEとEmbaseにおいて2016年5月31日までの論文の中から、一般集団での喫煙状態とCKDの相対リスクを報告している前向きコホート研究を検索した。ランダム効果モデルを用いて、統合相対リスク(SRR)と95%信頼区間(CI)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・CKD発症例6万5,064例を含む、15件の前向きコホート研究を解析した。・生涯非喫煙者と比較して、CKD発症のSRRは、喫煙経験者で1.27(95%CI:1.19~1.35)、現在喫煙者で1.34(同:1.23~1.47)、過去喫煙者で1.15(同:1.08~1.23)であった。・末期腎不全のSRRは、喫煙経験者で1.51(95%CI:1.24~1.84)、過去喫煙者で1.44(同:1.00~2.09)、現在喫煙者で1.91(同:1.39~2.64)であった。・これらの研究にはかなりの異質性が認められた。・蛋白尿の5,747例を含む3件の前向きコホート研究を追加すると、一般集団における喫煙と蛋白尿の関連は認められなかった。

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患者・家族とのトラブル、どう解決すべき!? 2017年“モンスターペイシェント”事情

“モンスターペイシェント”という言葉が使われるようになって久しいですが、診療で対応した患者やその家族とのトラブルや事件は後を絶ちません。「モンスター化させないことが大切」とは言うものの、実際皆さんどのように対応していますか? 医師1,000人から聞いたその実態と、対応策とは…。結果概要2人に1人以上が暴言や暴力、“通常の域を超え、診察に著しい影響を及ぼすレベル”の要求やクレーム経験あり全体では55.1%の医師が「経験がある」と回答した。2013年にケアネットが行った同調査では67.1%であったのと比較してやや減少したものの、依然として2人に1人以上が何らかの経験があることがわかった。経験の頻度は、1年に1度以下が最も多かったが、「月に1度」以上の人があわせて11.5%にのぼり、わずかではあるが「週に2~3度以上」(1.3%)と答えた人も。暴言、ネットへの誹謗中傷の書き込み、なかには立件レベルの事案も内容としては、「スタッフの対応が気に食わないなどのクレーム」が最も多く(47.2%)、「自分を優先した診療ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く」(33.4%)、「治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張」(30.3%)、「不要な投薬・過剰な投薬を要求」(23.6%)などが続いた。とくに悪質なケースとしては、「『訴える』『殺す』『暴力団関係者を連れてくる』『マスコミに流す』などと脅迫」(18.3%)や、「自身やスタッフに暴力を振るう」(15.1%)などがあり、「看護師の首を跡が残るくらい絞めた」「病室で拳銃を発砲」といったエピソードも寄せられた。3割超で対応マニュアル・ガイドライン整備。現場では警察OBが活躍、悪質なケースでは110番通報も患者やその家族とトラブルになった場合の最終的な対応として、およそ3人に1人が「以後の診察を拒否した」と回答。以下、「他の医師と担当を交代」(18.7%)「転院させた」(17.8%)などが続いた。一方、「とくに対応はしなかった」人は33.4%にのぼり、全選択肢の中で最も多い回答だった。「なるべく話を妨げずに聞き、嵐が去るのを待つ」など、ひたすら傾聴するというコメントも少なくなかったが、「カルテに詳細を記録する」「ICレコーダーは必須」などの証拠保全策、「すぐに対応部署に介入してもらう」「警察への通報を躊躇してはいけない」などの回避策も挙がった。また、「警察OBを雇用している」との回答は14.0%で、対応を一任できる安心感があるとのコメントが多かった。このほか、ネットの掲示板への誹謗中傷の書き込みや、患者のストーカー化など、精神的負担を強いられるエピソードも複数見られた。設問詳細診療で関わった患者・家族とのトラブルが発端となった事件が後を絶ちません。医療現場では今、何が起こっているのでしょうか。そこで、患者・家族からの暴言や暴力、通常の域を超えた要求やクレームにまつわる経験や対応について、皆さんが日常診療の中で遭遇した実例や対応策を、ぜひお聞かせください。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動や要求、クレームを受けたことがありますかあるないQ2.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その頻度について最も近いものをお答え下さい週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヵ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q3.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その内容について当てはまるものをすべてお答え下さい(複数回答可)自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返す診察を受けずに投薬のみ要求不要な投薬・過剰な投薬を要求治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張検査・診察・食事・内服等を拒否入院を強要退院を拒否治療費・入院費を払わない「スタッフの対応が気に食わない」などのクレーム事実と異なることを吹聴(SNSへの書き込みなども含む)土下座など度を越した謝罪を要求「訴える」「殺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫自身やスタッフに暴力を振るうQ4.(Q1で「ある」と回答した方のみ)上記の患者・家族への対応で、ご経験があるものをお答え下さい(複数回答可)他の医師と担当を交代転院させた以後の診察を拒否弁護士・司法書士等に相談警察に相談警察に通報、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したとくに対応はしなかったQ5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい(複数回答可)対応マニュアルやガイドラインがある対策システムがある防犯・対策セミナーや訓練を実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板等を掲示しているICレコーダー・カメラ等を設置しているとくに対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内体制など何でも結構です)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)エピソード夫が暴力団関係者であると脅され、患者に有利になるよう診断書を書くことを強要された(50代、整形外科)。ほか、診断書の内容についてのクレーム・過度の要求2件。入院中に無断外出しアルコールを飲んだうえ、暴言をはかれた。スタッフの協力によって解決したが、そのために使った時間と体力、精神力は大きなものだった(30代、神経内科)。ほか、無断外出によるトラブル2件。酔っ払い相手で困った経験がある。殴られ、刑事事件とした(40代、消化器内科)。ほか、直接暴力を受けたというコメント2件。救急外来での対応に不満を持ち、いったん帰宅して包丁を持って来院した患者がおり、以来救急外来に監視カメラが設置された(50代、麻酔科)。ほか、救急・夜間診療でのトラブル5件。ミュンヒハウゼン症候群の患者への対応に苦慮。精神神経科医や臨床心理士のサポートが不足している病院が少なくないように感じる(50代、内科)。ほか、精神疾患や認知症患者への対応についてのコメント7件。生活保護受給者が、売買目的で不必要な薬を大量に要求してくることが毎日のようにある(50代、泌尿器科)。ほか、生活保護受給者に関するトラブル4件。治療が家族の見立て通りに進まないことへの苦言から、威嚇行為に発展したことがある(30代、膠原病・リウマチ科)。ほか、家族への対応でのトラブル7件。患者にストーカー状態でつきまとわれ、病棟まで追いかけてこられた(30代、皮膚科)。ほか、ストーカーまがいのトラブル1件。ネット上の口コミで辛辣な書き込みをされて困っている(50代、内科)。ほか、ネット上での誹謗中傷1件。対策<複数での対応>問題がありそうな患者に対応するときは医師以外に看護師、事務スタッフを横に置き、必ずメモを取り、カルテにも記載する(60代、産婦人科)。基本的には別のスタッフが対応したり、複数で対応することで鎮静化することが多い(50代、循環器内科)。ほか、複数での対応が有効というコメント46件。<情報共有・専任部署の設置>上位の責任者を決めておくことは必須(50代、神経内科)。ほか、上司・院長などへの報告システムが重要とのコメント12件。日ごろから問題に発展しそうな事例についての情報共有と対策検討が不可欠(40代、精神科)。ほか、情報共有が重要というコメント34件。専任の医療安全部看護師が対応する(40代、内科)。ほか、クレーム対応部署等専任者・部署の設置39件。医療安全カンファレンスを定期的に開催している(20代、臨床研修医)。ほか、研修会等の開催5件。院内放送で、職員が集まるシステムになっている(50代、糖尿病・代謝・内分泌内科)、ほか、院内放送の活用5件。<接遇・態度>理不尽な要求は対応できないとはっきり伝え、以後は警察等を通すように言う(50代、内科)。ほか、毅然とした態度が重要というコメント23件。できるだけ入院や手術治療前に対応する(40代、消化器外科)。ほか、早め早めの対応が重要というコメント7件。患者が興奮している時は、なるべく刺激するようなことを言わない(60代、リハビリテーション科)、なるべく話しを妨げずに聞いて落ち着くのを待つ(50代、皮膚科)。ほか、まずは傾聴・丁寧な姿勢で臨むというコメント30件。<記録・録音>目の前でICレコーダーで記録を取っていることを見せている(40代、腎臓内科)。ほか、ICレコーダーが有効とのコメント3件。言葉を選んで話し、カルテに詳細に記録を残す。カルテ開示を念頭に置き、冷静に記載する(50代、皮膚科)。ほか、カルテへの詳細記録が有効とのコメント6件。<マニュアル・ガイドライン>マニュアルを各部署に配布し、理不尽な要求には応じないよう徹底している(50代、消化器内科)。ほか、マニュアルについてのコメント21件。<弁護士・警察・警備会社>トラブルが起こりそうな場合は、弁護士に連絡する体制をとっている(40代、消化器内科)。ほか、弁護士への相談体制が重要とのコメント5件。病院が警察OBと契約し、暴力事例への不安が軽減された(50代、循環器内科)。ほか、警察OBの雇用・常駐が有効とのコメント15件。違法な行為があればすぐに通報する(40代、小児科)。ほか、躊躇せず、すばやい通報が重要とのコメント6件。警備会社の自動通報システムが有効(60代、精神科)。ほか、民間警備会社の活用4件。

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RAS阻害薬によるクレアチニン値増加、30%未満でもリスク/BMJ

 RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)服用開始後のクレアチニン値の上昇は、ガイドラインで閾値とされる増大幅が30%未満であっても、末期腎不全や心筋梗塞などの心・腎臓有害イベントや死亡リスクが漸増する関連があることが明らかにされた。クレアチニン値10%未満との比較で、10~19%の増加で死亡リスクは約1.2倍に、20~29%の増加で約1.4倍に増大することが示されたという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学校のMorten Schmidt氏らが、RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)の服用を開始した12万例超について行ったコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌2017年3月9日号掲載の報告。RAS阻害薬と末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連を検証 研究グループは1997~2014年の、英国プライマリケア医の電子診療録を含むデータベース「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)と病院エピソード統計「Hospital Episode Statistics」(HES)を基に、RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)の服用を開始した12万2,363例を対象に、ACE・ARB開始後のクレアチニン値上昇と、心・腎臓アウトカムとの関連を調べた。 ポアソン回帰分析法を用いて、クレアチニン値30%以上の増加や10%増加ごとと、末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連についてそれぞれ検証した。解析では、年齢、性別、歴期間、社会経済状況、生活習慣、CKD、糖尿病、心血管の併存疾患、その他の降圧薬、NSAIDsの使用で補正を行った。RAS阻害薬服用後のクレアチニン値増加に伴い心・腎イベントリスクも段階的に増加 RAS阻害薬服用後にクレアチニン値が30%以上増加したのは、被験者の1.7%にあたる2,078例だった。クレアチニン値の30%以上の増加は、評価項目としたすべての心・腎イベントの発症と関連が認められた。 クレアチニン値の増加30%未満での発生と比較した補正後罹患率比は、末期腎不全については3.43(95%信頼区間[CI]:2.40~4.91)、心筋梗塞は1.46(同:1.16~1.84)、心不全は1.37(1.14~1.65)、死亡は1.84(1.65~2.05)だった。 クレアチニン値の増加幅に応じた心・腎アウトカムについて調べたところ、10%未満、10~19%、20~29%、30~39%、40%以上と段階的にすべての評価アウトカムについてリスクが増加する傾向が認められた(いずれも傾向のp<0.001)。 死亡に関する補正後罹患率比は、クレアチニン値10%未満の増加との比較で、10~19%の増加で1.15(1.09~1.22)、20~29%の増加で1.35(1.23~1.49)だった。 これらの結果は、歴期間、サブグループ、服用継続の有無などで検討した場合も一貫して認められた。

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CKD患者に対するトルバプタン、反応予測因子は:横浜市大センター病院

 バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは、心不全患者の利尿作用を有する。しかし、慢性腎臓病(CKD)患者におけるトルバプタンの効果に関するデータは少ない。横浜市立大学附属市民総合医療センターの勝又 真理氏らは、慢性心不全およびCKD患者に対するトルバプタンの効果をレトロスペクティブに解析した。Clinical and experimental nephrology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。 対象は、慢性心不全およびCKDを有する患者21例。トルバプタンは、ほかの利尿薬と同時に投与した。トルバプタン治療前後の臨床パラメータを比較した。さらに、ベースラインデータと体重変化との相関を調査した。 主な結果は以下のとおり。・トルバプタンは、体重を減少させ、尿量を増加させた(p=0.001)。・尿浸透圧は、試験期間を通じて有意に減少した。・尿中ナトリウム/クレアチニン比およびFENa(ナトリウム排泄分画)は、4時間後に有意に変化し、8時間後にはより顕著であった(各々:p=0.003)。・血清クレアチニンは、治療1週間後、わずかに増加した(p=0.012)。・試験期間中の体重変化は、ベースラインの尿浸透圧(r=-0.479、p=0.038)、尿量(r=-0.48、p=0.028)、下大静脈径(IVCD:r=-0.622、p=0.017)と負の関連が認められた。・低ナトリウム血症は正常値に改善し、ナトリウム濃度の増加は基礎ナトリウムレベルと負の関連が認められた(p=0.01、r=-0.546)。 著者らは「トルバプタンは、CKD患者においても利尿作用を高め、低ナトリウム血症改善に有効である。尿浸透圧、尿量、IVCDのベースライン値は、トルバプタンの利尿作用の有益な予測因子となりうる」としている。

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2型糖尿病、併存疾患ごとの超過死亡リスク

 2型糖尿病の患者は、大血管疾患・慢性腎臓病・慢性呼吸器疾患・がん・喫煙習慣を伴うことが多い。山梨大学の横道 洋司氏らは、これらを伴う2型糖尿病患者の超過死亡リスクについて、バイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータを用いて定量化した。その結果、慢性腎臓病・大血管疾患・慢性呼吸器疾患の既往、もしくは現在喫煙している糖尿病患者において高い死亡リスクが示された。著者らは、糖尿病の予後改善のために併存疾患の改善および禁煙の必要性を提言している。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年2月10日号に掲載。 著者らは、2003~07年のバイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータから、利用可能な2型糖尿病患者 3万834例のデータを分析した。追跡期間中央値は男性が8.03年、女性が8.30年であった。糖尿病患者の死亡率は、大血管疾患・慢性呼吸器疾患・慢性腎臓病・がん・喫煙習慣の有無別にCox比例ハザードモデルおよびカプランマイヤー推定を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・糖尿病患者の死亡における調整ハザード比(HR)は、男性 1.39(95%CI:1.09~1.78)、年齢10歳増あたり 2.01(同:1.78~2.26)であった。・各併存疾患および喫煙習慣の調整HRは、大きい順に慢性腎臓病 2.03(同:1.67~2.47)、大血管疾患 1.77(95%CI:1.42~2.22)、現在喫煙 1.74(同:1.30~2.31)、慢性呼吸器疾患 1.58(同:1.08~2.31)、がん 1.16(同:0.86~1.56)、であった。

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Dr.香坂のアカデミック・パスポート 「文献の引き方」から「論文の書き方」まで

第1回 「失神の鑑別疾患を知りたい」マニュアルや教科書の使い方を考える第2回 「利尿薬の量を決めたい」原著論文の使い方を考える第3回 論文を効率的に読む 第4回 前向き研究を読む 第5回 後向き研究を読む第6回 研究スタイルの使い分けの意味を知る第7回 学会発表、論文執筆にチャレンジ 学術的知見を臨床に、臨床の知見を研究に生かす。そんなアカデミックな医師を目指す方のために、臨床の第一線で活躍しながら、臨床研究のスペシャリストでもあるDr.香坂が道筋を指南します。広い話題・狭い話題の調べ方、効率的な論文・研究の読み方、そして、学会発表や論文執筆のやり方をシンプルかつ明快にレクチャーします。臨床が忙しい、現場主義という方に、見てほしい番組です。さあ、アカデミック・ドクターへの第一歩を踏み出してください。第1回 「失神の鑑別疾患を知りたい」マニュアルや教科書の使い方を考えるDr.香坂の研究室にアカデミック・ドクターを目指す1人の医師が「失神の鑑別疾患を知りたい!」と相談に訪れます。教科書、マニュアル、ガイドライン・・・・いろいろなものがあって何をどう調べればいいのかわからなくなったようです。そんな広い話題を調べるにはどうすればいいのか、Dr.香坂がお教えします。第2回 「利尿薬の量を決めたい」原著論文の使い方を考えるDr.香坂の研究室にアカデミック・ドクターを目指す1人の医師が「利尿薬の量を決めるのに、何を見ればいいですか!」と相談に訪れます。前回の広い話題のときにでた「マニュアル」や「ガイドライン」などもみたようですが・・・なかなか決められません。簡単過ぎる「マニュアル」、そして長過ぎる「ガイドライン」。こんな狭い話題を調べるのにちょうどいいこととは?現代ならではwebサービスでの調べ方や原著論文の使い方をDr.香坂が指南。英語が苦手な人でも大丈夫。第3回 論文を効率的に読むいよいよ医学論文の読み方です。有名な医学雑誌の傾向と特徴を紹介。医学絵論文の構成を考察。すると・・・論文は臨床家向けに書かれていない!?臨床に生かすための論文のどこを読むべきか、その読み方をDr.香坂が指南します。第4回 前向き研究を読むここまでで、論文を探し、そして読めるようになってきましたか?そこで、次は“統計”です。統計は複雑で難しく、誰もが1度はぶち当たる壁かもしれません。でも大丈夫!Dr.香坂がプライドをかけてお教えします!まずは、シンプルな比較研究すなわち前向きランダム化研究から始めてみましょう!第5回 後向き研究を読む手っ取り早く研究をするなら「後向き研究」?後向き研究では、条件をそろえてスタートする前向き研究とは異なり、エンドポイントを満たした時点からさかのぼって、データを分析するため、統計的にフェアな状況に当てはめることが重要となります。それが「交絡因子の補正」。えっ?「交絡因子って?」と思ったあなた、Dr.香坂がしっかりとお教えします。そのほか、「ロジスティック回帰分析」「Cox Hazard重回帰分析」など、統計やってる感満載でありながら、単純明快に解説します。第6回 研究スタイルの使い分けの意味を知るこれまで、前向き研究と後向き研究について解説してきました。やはり、前向き研究のほうがエビデンスレベルも高いから、スゴイ?後向き研究はすぐできるし、大したことない?そう思っていませんか?いやいやそんなことはありません!それぞれの研究に、得意・不得意があり、それぞれの研究にメリット・デメリットがあります。そしてそれらはお互いに相補的な役割を果たしています。そのあたりをスッキリとまとめてお教えします。第7回 学会発表、論文執筆にチャレンジアカデミック・ドクターを目指すDr.澤野が、いよいよ学会発表にチャレンジ!でも発表は1週間後。PCを片手に焦ってスライドを作ろうとするのですが、それにDr.香坂が待ったをかけます。そう、まずはPCから離れてアウトラインから始めること!スライド作成から発表の作法まで、学会発表の“キモ”をコンパクトにわかりやすく解説します。そして、学会発表のあとは論文へ。その方法も併せて指南します。

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血液透析下SHPTの新規治療薬「エテルカルセチド」―有効性、安全性は?

 二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は、慢性腎疾患に伴う骨・ミネラル代謝異常の中で高頻度に発症し、生命予後やQOLに影響を与える病態である。 本研究では、SHPTを有する日本の血液透析患者における新規静脈内投与カルシウム受容体作動薬エテルカルセチド(商品名:パーサビブ、国内未発売)の有効性と安全性が検討された。Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2017年1月5日号掲載の報告。エテルカルセチドは血液透析下におけるSHPTの新たな治療選択肢<試験デザイン> 国内第III相プラセボ対照二重盲検比較試験<方法> 試験対象は、血液透析下の血清インタクト副甲状腺ホルモン(iPTH)濃度が300 pg/mL以上のSHPT患者155例。 対象者をエテルカルセチド群、プラセボ群に無作為に割り付けた。 エテルカルセチドおよびプラセボを初回用量5mg投与開始し、その後4週間隔で2.5〜15mgの範囲で用量調整を行い、週3回合計12週間、静脈投与した。 主要評価項目は、日本透析医学会が定めるiPTH 濃度の管理指針(60~240pg/mL)を達成した患者の割合とした。 副次評価項目は、ベースラインから血清iPTHが30%以上減少した患者の割合とした。 SHPTを有する血液透析患者におけるエテルカルセチドの有効性を検討した主な結果は以下のとおり。・主要評価項目に合致したSHPT患者の割合は、エテルカルセチド群で有意に高かった(エテルカルセチド群59.0%、プラセボ群1.3%)。・副次評価項目に合致したSHPT患者の割合も、エテルカルセチド群で有意に高かった(エテルカルセチド群76.9%、プラセボ群5.2%)。・血清アルブミン補正カルシウム、リンおよびインタクト線維芽細胞増殖因子23の濃度は、エテルカルセチド群で減少した。・エテルカルセチド群において認められた悪心、嘔吐および低カルシウム血症は軽度であった。・エテルカルセチドに関連する重大な有害事象は認められなかった。 本研究において、エテルカルセチドの有効性および安全性が実証された。エテルカルセチドは唯一の静脈内投与カルシウム感受性受容体作動薬として、血液透析下におけるSHPTの新たな治療選択肢となりうる。

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食生活パターンとCKDの関係は?

 慢性腎臓病(CKD)患者の食生活パターンが、生存率と関連していることを示す新たなエビデンスが報告された。 CKD進行症例を対象とした前向きコホート研究において、食習慣と腎関連の臨床アウトカムとの関係が評価された。Journal of Renal Nutrition誌オンライン版2016年12月8日掲載の報告。<試験方法> 外来の腎臓クリニック3施設(オーストラリア、クイーンズランド州)に通院するステージ3または4(推定糸球体濾過量15~59mL/分/1.73m2)の成人CKD患者145例を対象に、前向きコホート研究を行った。 食事摂取量は、24時間思い出し法と、調理習慣および食物摂取群に関する食事パターン10項目を評価するHeartWise Dietary Habits Questionnaire(DHQ)を用いて測定した。 主要評価項目は、複合エンドポイント(全死亡率、透析療法の開始、血清クレアチニンの倍増)とした。 副次評価項目は、全死亡率のみとした。多変量cox回帰分析を用いて、DHQドメインと複合アウトカムの発生の関連についてのハザード比を算出し、合併症および腎機能を含む交絡因子の調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・36ヵ月の中央値フォローアップ中、32%(n=47)が複合エンドポイントに達し、21%(n=30)が死亡した。・DHQスコアの上昇は、複合エンドポイントのリスク低下と関連していた。・DHQスコアの上昇は、果物や野菜の摂取量増加(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.39~0.94)およびアルコール摂取の制限(ハザード比:0.79、95%信頼区間:0.65~0.96)と関連していた。・副次評価項目の全死亡率については、果物や野菜の適切な摂取と有意に関連していた(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.15~0.83)。 適量の果物や野菜の摂取とアルコール摂取量制限による、健康的な食生活を送ることで、透析療法の開始を遅らせ、ステージ3または4のCKD患者においては生存率を改善することが示唆された。

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循環器内科 米国臨床留学記 第16回

第16回 内科系フェローシップ選考の実際(前編)明けましておめでとうございます。今年も、臨床留学中の日本人医師として、日々のことや米国の循環器内科の最新事情などをお伝えしていきます。新年最初は、内科系のフェローシップ選考について書いてみたいと思います。米国では、内科のレジデンシー3年目の夏にフェローシップの選考が行われます。毎年7月頃から応募が始まり、12月にマッチングの発表があります。現在、内科のサブスペシャルティーのフェローシップには、循環器内科、内分泌内科、消化器内科、老年科、血液内科、血液/腫瘍複合プログラム、緩和医療、感染症内科、腎臓内科、腫瘍内科、呼吸器・集中治療、リューマチ膠原病内科があります。面白いことに、神経内科は内科のサブスペシャルティーではありません。神経内科医になるには、医学生の段階で3年間の内科のレジデンシーではなく、4年間の神経内科に応募しなければなりません。具体的には1年間のpreliminaryと呼ばれる内科インターンを行い、その後3年間の神経内科のトレーニングを行います。米国人に聞いても、なぜこういう区分になっているかはわからないと言っていました。このpreliminaryという1年間の内科のトレーニングは、麻酔科、眼科などに進むレジデントも経験しなければなりません。さて、このフェローシップの応募ですが、毎年の詳細な統計が発表されています。2015~16年のデータによると、応募者数がポジションを上回っている(倍率が1.0倍以上)のは消化器、循環器、血液腫瘍内科、呼吸器・集中治療、リューマチ膠原病などです。逆に、腎臓、感染症内科などは、ここ数年定員割れの状態が続いており、内科のレジデンシーを修了していない外国人を受け入れているプログラムもあるようです。一番人気は消化器内科で、466人に対して718人の応募があったようです。ちなみに循環器には、844人のポジションに対し1,108人の応募者がいたようです。選考する側は下記のような項目を使って、候補者の選別を行います。米国医学部卒業/外国医学部卒業出身大学レジデンシープログラム循環器フェローシップについては、米国の医学部の卒業者が93%の割合でポジションを得ている(マッチ)一方で、われわれのような外国の医学部卒業者のマッチ率は62%でした。つまり、外国の医学部を卒業しているというだけで、かなりのハンデがある一方、米国医学部卒業者が循環器のフェローシップに進むこと自体は、さほど難しいことではないと思われます。また、出身大学やレジデンシープログラムも重要で、Cleveland Clinic、 Stanford大学、Columbia大学などの医学部やレジデンシー出身だと、優秀と判断されて、面接に呼ばれる確率が上がります。USMLEの点数USMLEは医学生がレジデンシーとしての資格を得るために必要なテストです。USMLEは日本の国家試験と異なり、USMLEをすべてパスしてもレジデントを1~2年修了しない限り、米国医師免許を持てません(つまりUSMLEの合格=米国医師免許ではないということです)。この点数が良ければ優秀と判断され、レジデンシーの際はUSMLEの点数がとくに重要ですが、フェローの選考でもUSMLEは重要で、点数による足切りも行われます。ビザの有無米国に滞在するのにビザが必要なことは、それだけで不利になります。ビザ保有者をまったく取らないというプログラムもたくさんあります。USMLE、ビザ、米国医学部出身かどうか、卒業年度などの項目は、回答がありかなしか、または数字(点数)ですから、コンピューター上でプログラムが条件を絞れば、候補者を選別することが容易です。われわれのいるカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のプログラムでは、外部の候補者向けに3つのポジションがあり、そこに400人程度の応募があるので、すべての応募者に目を通すのは不可能です。そこで、「USMLEの点数が230点以上」、「米国人(ビザ不要)」、「卒業後○年以内」などの条件を付けて、候補者を100~200人に減らし、そのうえで書類を見ていく作業に入ります。ですから、外国医学部卒業、ビザありなどの条件があると、いくら研究歴などにアピールする材料があっても、書類すら見てもらえない可能性があるわけです。次回は、実際の面接からマッチングの発表までの過程を取り上げたいと思います。

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透析にコエンザイムQ10、どう関係する?

 酸化ストレスは、末期腎疾患患者の心血管リスク増大に関連している。酸化ストレスを軽減する治療は、透析患者の心血管イベント発生を改善する可能性がある。そこでコエンザイムQ 10(CoQ10)が維持血液透析下の患者の酸化ストレスを抑制するかが検討された。American Journal of Kidney Diseases誌オンライン版2016年12月4日号掲載の報告。<試験デザイン> プラセボ対照、3アーム、二重盲検、無作為化、臨床試験<方法> 試験対象は週に3回の維持血液透析を受けている患者65例。 対象者を、CoQ101日1回600mg投与群、1,200mg投与群、プラセボ群に無作為かつ均等に割り付けた。 ベースラインおよび1、2、4ヵ月目に、F2-イソプロスタンおよびイソフランを酸化ストレスの血漿マーカーとして、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドおよびトロポニンTを心臓バイオマーカーとして測定した。 主要評価項目は、血漿中F2-イソプロスタン濃度として定義された、血漿中の酸化ストレスとした。 副次評価項目は、血漿イソフラン、心臓バイオマーカーのレベル、透析前の血圧および安全性/忍容性とした。 主な結果は以下のとおり。・4ヵ月時点のCoQ101,200mg投与群では、プラセボ群と比較して、血漿中F2-イソプロスタン濃度が有意に低下した(調整平均変化は、1,200mg投与群:-10.7[95%信頼区間、-7.1~-14.3]pg/mL[p<0.001]、プラセボ群:-8.3[95%信頼区間、-5.5~-11.0]pg/mL[p=0.1])。・血漿イソフラン、心臓バイオマーカー、透析前の血圧においては、CoQ10治療の有意な効果は認められなかった。・治療に関連した重大な有害事象は発生しなかった。 維持血液透析下の患者において、CoQ101,200mgを毎日摂取することで酸化ストレスのマーカーである血漿中F2-イソプロスタン濃度の減少が認められた。また安全性も認められた。 今回の試験では無作為化グループ間のベースライン特性の差異があるため、小さな治療効果は検出しなかった。そのため、今後はCoQ10の摂取により臨床的アウトカムが改善されるか検討がなされるべきである。

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外来の夫婦喧嘩【Dr. 中島の 新・徒然草】(150)

百五十の段 外来の夫婦喧嘩先日、外来を受診した御夫婦。70歳くらいの奥さんのほうが患者さん。何の病気だったか忘れました。いきなり御主人に対する愚痴を聞かされます。奥さん「もう旦那に腹が立って腹が立って」中島「どないしたんですか」奥さん「ポテトチップスを置いていたらね、袋を開けて1枚だけ食べているのよ」中島「開けましたか」奥さん「私はね、後で皆で食べるときに開けたらいいと思っていたのに」中島「1枚だけねえ」奥さん「ああ、腹が立つ!」確か御主人は週3回透析をしておられます。奥さん「しょうもないことや、ということはわかっているのよ」中島「確かにそうですね」奥さん「だいたい夫婦ってのは、しょうもないことでもめるのよ。大事なことではもめへんけど」中島「それ、名言ですね! カルテに書いておきます」横には何か言いたそうな御主人が。中島「しかし御主人も透析しているんだから、ポテトチップス1袋を全部食べるってわけにはイカンでしょう」御主人「そうですねん」中島「ポテトチップス食いたいけど食ったらアカン。でも食いたい、という葛藤があったんですよね」奥さん「でもね、袋を開けて1枚だけ食べるっていうのも……」中島「御主人も葛藤の末にそうされたんですよ。まさしく命の1枚、魂の1枚じゃないですか!」御主人「そうや、そうや」中島「ポテトチップスの1枚くらい、食べさせてあげましょうよ」形勢逆転です。奥さん「そう言われれば、そうかな」中島「御主人は透析開始してどのくらいですかね」御主人「始まったばっかりですわ」中島「じゃあ5年ほどのことですから、そないに夫婦喧嘩せんでもエエんと違いますか」奥さん「そうねえ」御主人「その、5年ってのは何でっか?」中島「いや、その」腎臓内科の先生が、透析患者さんの平均余命は5年くらいと言っておられたのを思い出したので、つい余計なことを言ってしまいました。中島「とにかくですね、透析が始まったらこれまで以上に清く正しく生きていくことが大切ですよ」奥さん「私はね、この人のために野菜を一生懸命食べさせているんですよ」中島「ええっ? 野菜を食べ過ぎるのはマズイんじゃなかったかな」御主人「なんか野菜にはカリウムが入っていると聞いたんですけど」奥さん「とにかく茹でてね、栄養分を抜いて食べさせているんです」中島「栄養分を抜く?」後で調べてみると、野菜を茹でて水にさらすと、カリウムを抜くことができるのだとか。奥さんのおっしゃる理屈は変ですが、行動は正しいようです。中島「とにかくですね、ポテトチップスの1枚くらい、大目に見てあげたらいいじゃないですか」奥さん「それもそうね」中島「夫婦喧嘩の原因がポテトチップスの1枚って」御夫婦「……」中島「それ、どう考えても世間様に恥ずかしいですよ」御夫婦「あっはっはっは!」中島「じゃあ次の外来は半年後。奥さんがどれだけ人間的に成長したか、それを見せてもらいましょう」奥さん「ぜひお願いします。今日は来て良かった!」というわけで、喜んで帰られました。今、カルテで調べてみると、奥さんは良性脳腫瘍の術後で、私が3人目の外来担当医だったようです。どうも私の外来は、肝心の病気をほったらかして余談になってしまうことが多いのですが、患者さんが明るく前向きになるというのも大切なことだと思い、日々続けております。ということで本年最後の1句大笑い 明日から再び 頑張ろう!1年間ありがとうございました。皆さま、良いお年をお迎えください。

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東日本大震災後の透析対応の実際は?

 東日本大震災が発生した2011年3月11日から今年で5年。2016年は地震が多く、4月に発生した熊本地震が甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しい。災害時の停電や断水などによって、命の危険にさらされるのが人工透析を受けている患者である。 そこで今回、相馬中央病院 小柴 貴明氏らが報告した、東日本大震災後の福島県、相馬中央病院における血液透析患者の増加と医療スタッフの不足を検討した調査を紹介する。Therapeutic Apheresis and Dialysis誌2016年4月号掲載の報告。 福島県の相双地区は、他の地域と隔てられており、震災前から慢性的な医療スタッフ不足であった。震災後は福島第一原子力発電所(以下、原発)の事故の影響で周辺地域が避難地域などに指定され、医療スタッフ不足はより一層深刻となった。さらに、避難区域に含まれた相双地区の透析センター6施設のうち、2施設が閉鎖した。 震災後、相双地区においてCKD患者の増加が顕著であり、透析へ移行するケースも増え、透析患者増加と医療スタッフ不足の不均衡が顕著となった。そのため、同センターでは、持続的に増加する透析患者への対応が困難となり、2014年11月に新患の受け入れを中止せざるを得なくなった。 上述した背景を踏まえ、筆者らは震災による医療スタッフの負担増大をはかる指標を振り返り、再評価した。【評価方法】 震災前後(2010年1月~2014年12月)の患者数、医療スタッフ数(看護師、臨床工学技士)、透析回数、医療スタッフの勤務日数を比較し、合計透析回数/総勤務日数を努力指標とした。【主な結果】 震災前の同センターの患者数は40~45名であったが、避難した患者や津波被害で亡くなった患者もおり、震災直後は31名となった。その後、閉鎖した透析施設の患者も受け入れ、2011年の夏までに50名に増加した。2012年末~2013年半ばにかけて、患者数は震災前と同程度となったが、2013年半ば~2014年半ばにかけて患者数が増加し、2014年後半には54名となった(表1)。<表1>2010年~2014年の平均透析患者数 2013年末から患者増加を見越して、経皮的バスキュラーアクセス拡張術(VAIVT)、2014年春にはバスキュラーアクセスの外科的再建術(VA)を開始したが、医療スタッフ数には大きな変化はなく(表2)、2014年には医療スタッフの平均勤務日数が減少していき、努力指標は相変わらず高いままであった(表3)。その結果、同センターの患者許容を超えてしまったため、同年の11月に新患の受け入れを中止した。<表2>2010年~2014年の平均医療スタッフ数<表3>2010年~2014年の努力指標 2014年夏には医療スタッフの負担が増加し、努力指標の比率は3.5と高かった。この数字は、震災前の2010年初めに医療スタッフへの負担が増大した際、2名のスタッフが追加される前の努力指標の比率3.6と同程度であったが、患者数、医療スタッフ数は各年で異なっていた。 この指標は、2010年初め~2014年末の間に筆者らが経験した患者数と医療スタッフ数の不均衡を反映していると思われる。 今回、筆者らが提案した努力指標は、医療スタッフの負担が軽減されているかを評価する参考になると考えられる。今後、その正確性を慎重に検討していく必要がある、と述べている。

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尿路結石治療でのα1遮断薬の効果を検証/BMJ

 α1遮断薬は尿管結石の保存的治療に有効であることを、米国・ミシガン大学のJohn M Hollingsworth氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。α1遮断薬は無作為化試験により結石の自然排出を促すことが示唆され、現行のガイドラインでは、同薬を用いた治療を推奨している。しかし最近、厳格な方法論を用いた大規模試験の結果、その治療効果について疑問が呈されていた。なお今回の検討では、α1遮断薬による保存療法のベネフィットは、結石が大きい患者で最大であることも示唆された。研究グループは、「結果は現行ガイドラインを支持するものであった」とまとめている。BMJ誌2016年12月1日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で自然排出効果を評価 検討は、2016年7月時点のCochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Science、Embase、LILACS、Medlineの各データベースおよび学会抄録を検索して行われた。尿管結石の治療としてα1遮断薬とプラセボまたは対照を比較した無作為化試験を適格とし、2人の研究チームメンバーがそれぞれ各包含試験からデータを抽出した。 主要アウトカムは結石が排出された患者の割合。副次アウトカムは排出にかかった期間、疼痛エピソード数、手術を受けた患者の割合、入院を要した患者の割合、有害事象を経験した患者の割合とした。 主要アウトカムは、プロファイル尤度ランダム効果モデルを用いて、プールリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出。エビデンスの質と結果の要約の質について、Cochrane Collaboration'sツールを用いてバイアスリスクとGRADEアプローチを評価した。中程度のエビデンス、結石が大きいほど排出効果が高い 検索により55の無作為化試験(被験者総数5,990例)が包含された。 解析の結果、α1遮断薬の尿管結石排出に関するエビデンスは中程度であることが示された(RR:1.49、95%CI:1.39~1.61)。 演繹的サブグループ解析の結果、尿管結石が小さい患者ではα1遮断薬治療のベネフィットは観察されなかった(1.19、1.00~1.48)。しかし大きな患者では、対照との比較で57%排出リスクが高かった(1.57、1.17~2.27)。 α1遮断薬の効果は、結石の位置で異なっていた。上部尿管と中部尿管のRRは1.48(1.05~2.10)、より下部尿管は1.49(1.38~1.63)だった。 対照との比較で、α1遮断薬治療を受けた患者は、結石排出までの期間が有意に短かった(平均差:-3.79日、95%CI:-4.45~-3.14、エビデンスの質は中程度)、また疼痛エピソードも少なく(-0.74例、-1.28~-0.21、エビデンスの質は低い)、手術介入リスクも低く(RR:0.44、0.37~0.52、エビデンスの質は中程度)、入院リスクも低かった(0.37、0.22~0.64、エビデンスの質は中程度)。 重篤な有害事象のリスクは、治療群と対照群で同程度であった(1.49、0.24~9.35、エビデンスの質は低い)。

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小児/青年ICU患者の急性腎障害、重症度と死亡リスク/NEJM

 小児集中治療室に入院中の重症小児・若年成人において、急性腎障害(AKI)の発症頻度は高く、死亡率増加など予後不良と関連している。米国・シンシナティ小児病院のAhmad Kaddourah氏らによる、国際共同前向き疫学研究(Assessment of Worldwide Acute Kidney Injury, Renal Angina, and Epidemiology:AWARE)の結果、明らかになった。結果を踏まえて著者は、「ICU入室時には急性腎障害の系統的な検査が必要である」と強調している。小児および若年成人におけるAKIの疫学的特徴は、これまで単施設および後ろ向き研究で示されてきたが、AKIの定義や重症度などが異なり一貫した結果は得られていなかった。NEJM誌オンライン版2016年11月18日号掲載の報告。ICU入室の小児・若年成人を前向きに追跡しAKI発症を調査 研究グループは、2014年の連続した3ヵ月間に、アジア、オーストラリア、欧州、北米の小児ICU、32施設に、48時間以上入室した生後3ヵ月~25歳の全例について前向きに調査した。AKIの確定診断には、Kidney Disease:Improving Global Outcome criteria(KDIGO診断基準)を使用し、ステージ2および3(血清クレアチニンがベースラインの2倍以上、もしくは尿量0.5mL/kg/時未満が12時間以上持続)を重症AKIと定義して、ICU入室の最初の7日間におけるAKIを評価した。 主要評価項目は28日死亡率、副次的評価項目はICU在室期間、人工呼吸器使用の有無および期間、腎代替療法の実施などであった。ICU入室後7日間で27%がAKIを発症、重症AKIでは死亡リスクが約2倍に 解析対象は4,683例で、このうち1,261例(26.9%、95%信頼区間[CI]:25.6~28.2)がAKIを発症した。 重症AKIは543例(11.6%、95%CI:10.7~12.5)で発症が認められた。16の共変数を補正後、重症AKIは28日までの死亡リスクを有意に増加させることが確認された(補正オッズ比:1.77、95%CI:1.17~2.68、p<0.001)。死亡は、重症AKI患者で543例中60例(11.0%)に対し、非重症AKI患者では4,140例中105例(2.5%)であった(p<0.001)。 重症AKIは、人工呼吸器や腎代替療法の利用増加とも関連していた。また、AKIの重症度に応じて、28日死亡率が段階的に増加した(log-rank検定によるp<0.001)。尿量減少患者の67.2%は、血清クレアチニン値のみによるAKIの評価ではAKIと診断できなかった。

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意外に多い重病小児急性腎障害の発症―尿量チェックが大事―(解説:浦 信行 氏)-619

 従来より、種々の疾患で重病の状態にある患者は急性腎障害(AKI)を合併しやすく、これが生命予後を脅かすとの指摘がなされている。重病小児におけるAKIの生命予後に関する研究は2つあり、生命予後予測に関して一定の有用性が示されていたが、単一施設後ろ向き観察研究のみに限られていた。本研究は国際的な大規模前向き疫学研究であり、集中治療室(ICU)での治療を要する重病小児~若年成人の4分の1以上の26.9%がAKIを発症し、11.6%の重症のAKIでは死亡リスクの増加を招くことがNEJM誌に報告された。 同研究では、2014年の3ヵ月間にアジア、オーストラリア、欧米の小児ICU 32施設のいずれかに48時間以上滞在した、生後3ヵ月~25歳の4,683例を前向きに調査した。2012年のKidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)基準に従い、ICUに入室後7日間のAKIの発症頻度と重症度(ステージ)を評価し、ステージ2~3(血清Cr値がICU入室前3ヵ月間の最低値の2倍以上に上昇、または12時間以上の尿量が0.5mL/kg/時未満)のAKIを重症とした。主要評価項目は28日間の死亡率、副次評価項目の1つは腎代替療法の適用であった。ICU入室前3ヵ月以内の血清Cr値、およびICU入室後7日間と28日後の臨床および検査記録を取り、解析を行った。その結果、ICU入室7日以内にAKIを発症したのは1,261例(26.9%)で、543例(11.6%)が重症AKIと診断された。また、28日死亡率は、重症AKIの患者で11.0%と、その他(非AKIおよびステージ1のAKI)の患者の2.5%に比べ有意に高く、多変量解析の結果、重症AKIは28日以内の死亡を増加させる有意なリスクであった(オッズ比1.77、95%CI:1.17~2.68、p<0.001)。このほかに、腎代替療法の適用も強い因子だった(同3.38、1.74~6.54、p<0.001)。さらに、尿量の減少からAKIと診断された患者の67.2%は、血清Cr値が診断基準を満たしておらず、血清Cr値のみでの急性腎障害診断では患者を見落とす危険性があることが示された。 以上の結果は、成人を対象とした成績や、重病小児の2つの後ろ向き研究とほぼ一致するが、前向きで多施設国際共同試験での結果に大きな意義がある。試験プロトコルに関しては、KDIGOの診断基準(Cr値と尿量評価および判定期間が48時間ではなく7日間)がほかの基準(RIFLEやAKIN)より、生命予後を評価項目とした場合の感度が高かったとする先行研究の結果から、好ましいものである。ただし、細部に関しては、さらに検討を要することもある。 KDIGOの基準データの血清Cr値はJaffe法によるものであり、酵素法の値とは0.2 mg/dL程度差がある。また、KDIGOでの小児の基準に関しては、3ヵ月以上の小児は成人の基準とまったく同じである。しかし、小児の腎機能において、尿濃縮能が完成するのは1~2歳である。したがって、2歳まではやや希釈された尿しか作れないので、尿量の基準が同じでよいか、という疑問が残る。3ヵ月~2歳までの対象(4分位範囲の結果から少なくとも1,200例以上いるはず)のサブ解析があってもよいのではないか。また、ステージ3の腎機能評価の1項目に、eGFR 35mL/min/1.73m2以下とあるが、わが国では体格の違いなどから計算方法が違うので、そのままの値ではやや評価がずれる可能性がある。 しかし、以上のようなことを考慮しても、この研究結果の重要性はほぼ変わりないと考える。

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医師が選んだ「2016年の漢字」TOP5!【CareNet.com会員アンケート結果発表】

毎年恒例となっている日本漢字能力検定協会の『今年の漢字』。今年も漢字の日である12月12日に発表されますが、CareNet.comでは一足先に医師会員に募集してみました。その結果、2016年を言い表す漢字、1位に選ばれたのは「震」でした。2位以下にランクインした漢字にも、今年らしさがよく表れています。アンケートの結果から、トップ5を発表します。発表に当たって、今年もケアネットの達筆社員が筆を執りました。書を持つ5人も弊社社員です。1位震4月に発生した熊本地震、そして10月の鳥取地震と、同じ年に強い地震が2つも発生したことを、この字を選んだ理由に挙げる先生がとても多くいらっしゃいました。また、地震以外にも「世の中を震撼させる」「心が震える」出来事が多かった1年であった、そういう思いも込められての選出でした。 「震」を選んだ理由(コメント抜粋)地震もあるし、震撼するような事件も多いため。(50代 腎臓内科医/石川県)熊本市で熊本地震を実際に被災した経験と、その後の支援のありがたさに心が震える思いをしたから。(40代 精神科医/熊本県)熊本、鳥取の地震も含めて、世の中が「震」えたから。(30代 皮膚科医/秋田県)地震(熊本、鳥取等)もあり、東京オリンピックの問題や、築地移転問題等震える事柄が多かった。(60代 内科医/福島県)地震、噴火、爆発などが相次ぎ、大地が震えるというイメージがあった1年でした。(60代 小児科医/茨城県)2位災1位と同じく熊本地震と鳥取地震、そして阿蘇山噴火、台風の影響による東北と北海道での浸水被害など、地震以外の自然災害が複数起きたことも含めてというのが主な選出理由でした。また、築地市場の豊洲移転問題、不安定な世界情勢によって繰り返される戦闘なども、「災」の字を選んだ理由に挙げられています。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)熊本や鳥取の地震や台風による被害など大きな自然災害が目立った。(50代 整形外科医/群馬県)天災が多い年だった。(20代 臨床研修医/兵庫県)地震、豊洲問題、かけつけ警護を必要とする戦闘状態などの問題が印象深いので。(50代 小児科医/愛媛県)熊本に住んでいて、予想だにできなかった地震でした。世界を見ればIS、シリア、ソマリアなどの紛争も解決の道筋が見えません。(50代 腎臓内科医/熊本県)熊本地震、阿蘇山噴火、鳥取地震、北海道洪水被害など自然災害が目立った。(60代 小児科医/北海道)3位乱昨年のCareNet.comのアンケートで1位だった「乱」は、今年は3位にランクイン。まさに混乱した世相を表す漢字です。国内だけでも、2020年の東京オリンピック開催場所にまつわる問題、築地市場の豊洲移転に伴ってさまざまな問題が噴出したこと、また海外に至ってはいまだ予断を許さない状況が続くなど、世の中が相変わらず混乱していることを、この字に当てはめての選出です。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)気候、世界情勢、国内でいろいろあり。(60代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/宮城県)異常気象や女性新都知事の種々の既存組織への乱入(挑戦?)(50代 内科医/京都府)混乱した世相を反映して。(30代 精神科医/大分県)オリンピック関連で開催場所の変更、築地市場でのゼネコンの問題等これからもいろいろ出てきそうなので。(40代 循環器内科医/京都府)地震や台風などの天災で日本中が乱れ、中東ではシリア問題で乱れ、ヨーロッパでは移民問題からイギリスのEU離脱問題で足並みが乱れ、アメリカでは大統領選挙がお互いの中傷合戦で乱れているから。(50代 内科医/岡山県)4位金リオ五輪が開催された今年、まず「金」の字のイメージとしてオリンピックの金メダルを挙げる方が多いと思います。今回の五輪での日本のメダル獲得数は、41個と過去最多を記録しました。閉会式では安倍首相がマリオの姿で登場するというサプライズも、閉幕から3ヵ月余りたった今も記憶に新しいと思います。ほかには、2020年の東京五輪の費用問題、舛添前都知事の政治資金問題、日銀のマイナス金利政策など、喜べない「金」の話題もあり、両方の意味を含めての選出です。 「金」を選んだ理由(コメント抜粋)オリンピック・パラリンピックイヤー。(50代 循環器内科医/福井県)オリンピックの金、舛添の金、金利マイナス。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/大阪府)オリンピックの金メダルと、総額3兆円超といわれる東京五輪費用問題を引っ掛けて。(60代 内科医/東京都)リオ五輪の金メダルと、東京五輪のお金の問題。(40代 放射線科医/兵庫県)5位倫この漢字一文字が、芸能人の不倫報道をはじめ、精神保健指定医資格の大量取り消し問題など、倫理観を問う問題が一年を通じて世間を賑わせ続けていたことを物語るかのような一文字です。余談ですが、本家の今年の漢字の予想では、同じ理由で(文春砲の)「砲」も挙がっているようです。12日の発表がどうなるか楽しみですね。 「倫」を選んだ理由(コメント抜粋)医療倫理、政治倫理、不倫など、倫理観の変化がみられる。(50代 内科医/東京都)公務員倫理や芸能界の不倫が話題になったから。(30代 精神科医/埼玉県)倫理的に問題なことが多かった。(40代 外科医/愛媛県) アンケート概要アンケート名 :『2016年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2016年10月24日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :524件

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糖尿病性腎症の有病率、26年間の変遷/JAMA

 1988~2014年の26年間に、米国の糖尿病の成人患者における糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)の有病率には有意な変化はなかったが、アルブミン尿は有意に低下し、推定糸球体濾過量(eGFR)低下は有意に増加したことが、米国・ワシントン大学のMaryam Afkarian氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年8月9日号に掲載された。DKDは、糖尿病患者で持続的アルブミン尿、持続的eGFR低下あるいはその双方がみられる場合と定義される。以前は、進行性のアルブミン尿に続いてeGFR低下が発現するとされたが、最近では、アルブミン尿の発現前または発現なしにeGFRが低下する例が多く、人口動態や治療の変化の影響が示唆されている。6,000例以上の糖尿病患者で腎臓病症状の経時的変化を調査 研究グループは、米国の糖尿病の成人患者における腎臓病の臨床症状の経時的な変化の特徴を検討するために連続的な断面研究を行った(米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所[NIDDK]などの助成による)。 1988~2014年に米国国民健康・栄養調査(NHANES)に参加した20歳以上の糖尿病患者を解析の対象とした。糖尿病は、HbA1c≧6.5%、血糖降下薬(インスリン製剤、経口血糖降下薬)の使用、またはその双方と定義した。 主要評価項目として、アルブミン尿(尿中アルブミン/クレアチニン比[UACR]≧30mg/g)、顕性アルブミン尿(UACR≧300mg/g)、eGFR低下(<60mL/分/1.73m2)、重度eGFR低下(<30mL/分/1.73m2)の評価を行った。 糖尿病患者6,251例(1988~94年:1,431例、1999~2004年:1,443例、2005~08年:1,280例、2009~14年:2,097例)のデータを解析した。2008年は有意でなかったアルブミン尿の有病率が、有意に低下 DKDの有病率は、1988~94年が28.4%(95%信頼区間[CI]:23.8~32.9%)、2009~14年は26.2%(95%CI:22.6~29.9%)であり、経時的な変化に有意な差はなかった(年齢、性別、人種/民族で補正した有病率比:0.95、95%CI:0.86~1.06、傾向検定:p=0.39)。 一方、アルブミン尿の有病率は1988~94年の20.8%(95%CI:16.3~25.3%)から2009~14年には15.9%(95%CI:12.7~19.0%)へと有意に低下した(補正有病率比:0.76、95%CI:0.65~0.89、傾向検定:p<0.001)。 これに対し、eGFR低下の有病率は1988~94年の9.2%(95%CI:6.2~12.2%)から2009~14年には14.1%(95%CI:11.3~17.0%)へと有意に増加した(補正有病率比:1.61、95%:1.33~1.95、傾向検定:p<0.001)。また、重度eGFR低下にも同様のパターンが認められた(補正有病率比:2.86、95%:1.38~5.91、傾向検定:p<0.004)。 このアルブミン尿の時間的傾向の有意な異質性(heterogeneity)は、年齢(交互作用検定:p=0.049)および人種/民族(交互作用検定:p=0.007)で顕著であり、アルブミン尿の有病率の低下は65歳未満および非ヒスパニック系白人のみで観察された。これに対し、eGFR低下の有病率の増加には年齢、人種/民族による有意な差を認めなかった。 前述のように、2009~14年に糖尿病の成人患者の26.2%がDKDの基準を満たしたが、これは約820万例(95%CI:650~990万)に相当し、このうちアルブミン尿は460万例、顕性アルブミン尿は190万例、eGFR低下は450万例、重度eGFR低下は90万例であった。 著者は、「以前に、1988~2008年のデータを解析した時点では、eGFR低下の有病率は有意に増加したが、アルブミン尿の有病率には有意な変化は認めなかった。今回の2014年までのデータでは、eGFR低下の持続的な増加に加え、アルブミン尿の経時的に有意な低下が示された」としている。

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敗血症性ショックへのバソプレシンの腎不全改善効果は?/JAMA

 敗血症性ショック患者に対する昇圧薬の1次治療では、バソプレシンの腎不全の改善効果はノルエピネフリンを上回らないことが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C Gordon氏らが実施したVANISH試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年8月2日号に掲載された。敗血症性ショックには感染症治療に加え輸液および昇圧薬の投与が行われる。米国では昇圧薬の1次治療はノルエピネフリンが推奨されているが、バソプレシンは糸球体濾過量の維持や、クレアチニンクリアランスの改善の効果がより高いことが示唆されている。腎不全への効果を無作為化要因(2×2)試験で評価 VANISH試験は、敗血症性ショック患者において、バソプレシンとノルエピネフリンの早期投与による腎不全への有効性を比較する二重盲検無作為化要因(2×2)試験(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。 対象は、年齢16歳以上、発症後6時間以内に初期蘇生輸液を行ったものの昇圧薬の投与を要する病態を呈する敗血症性ショックの患者であった。 被験者は、バソプレシン(最大0.06U/分まで漸増)+ヒドロコルチゾン、バソプレシン+プラセボ、ノルエピネフリン(最大12μg/分まで漸増)+ヒドロコルチゾン、ノルエピネフリン+プラセボを投与する4つの群に無作為に割り付けられた。目標平均動脈圧(MAP)は65~75mmHgが推奨された。 主要評価項目は、割り付け後28日間の腎不全(AKIN基準ステージ3)のない日とし、(1)腎不全が発現しない患者の割合、および(2)死亡、腎不全あるいはその双方が発現した患者の生存または腎不全のない日数(中央値)の評価を行った。より大規模な試験で検証を 2013年2月~2015年5月までに、英国の18の集中治療室(ICU)に409例が登録された。全体の年齢中央値は66歳、男性が58.2%を占め、ショックの診断から昇圧薬の投与までの期間中央値は3.5時間だった。 腎不全がみられない生存者の割合は、バソプレシン群が57.0%(94/165例)ノルエピネフリン群は59.2%(93/157例)であり、両群間に有意な差を認めなかった(群間差:-2.3%、95%信頼区間[CI]:-13.0~8.5%)。 死亡、腎不全あるいはその双方が発現した患者における腎不全のない日数中央値は、バソプレシン群が9日(IQR:1~24)、ノルエピネフリン群は13日(IQR:1~25)であり、有意な差はみられなかった(群間差:-4日、95%CI:-11~5日)。 腎代替療法の導入率は、バソプレシン群が25.4%と、ノルエピネフリン群の35.3%に比べ有意に低かった(群間差:-9.9%、95%CI:-19.3~−0.6%)。 28日死亡率は、バソプレシン群が30.9%(63/204例)、ノルエピネフリン群は27.5(56/204例)であり、有意な差はなかった(群間差:3.4%、95%CI:-5.4~12.3%)。 また、重篤な有害事象の発現率は、バソプレシン群が10.7%(22/205例)、ノルエピネフリン群は8.3%(17/204例)であり、有意差はなかった(群間差:2.5%、95%CI:-3.3~8.2%)。 著者は、「これらの知見は、ノルエピネフリンの代替としてバソプレシンを使用することを支持しないが、95%CIの範囲はバソプレシンが臨床的に意味のあるベネフィットをもたらす可能性を含んでおり、より大規模な試験での検証を要すると考えられる」と指摘している。

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