サイト内検索|page:23

検索結果 合計:730件 表示位置:441 - 460

441.

思い込みを正すことは難しい:MRIとペースメーカーの場合(解説:香坂俊氏)-849

 あるとき誰かが思った。 「MRIは強力な磁場を発生させるから、電子機器であるペースメーカーやICDには当然よくないだろう」 MRIでは磁場を発生させてプロトンの「回転」を計測する。しかし、体内に金属性のペースメーカーがあると、強力な磁場を周囲で発生させて先端のリード部分が熱を持ってしまう。すると「心筋への電気伝導に問題がおきるのではないか?」という危惧は当然出ることになる。また、ペースメーカーやICDのジェネレーターは、実は磁石を上に置くとスイッチオフ(※)できるようになっているので、「ジェネレーター部分のプログラムに異常が発生するのではないか?」という心配もある。※機種によって微妙に仕様が異なり、VVIという心室のみのペーシングに切り替わる設定の製品もある。 こういった経緯から、永らくペースメーカーやICDが植え込まれた患者に対するMRIは禁忌とされてきた(一部の最新の機種を除く)。しかし、かねてよりやってみればそれほど危険なものでもないのではないかということも言われており、その実証に挑んだのが、Johns Hopkins大学のNazarian医師らで、このグループはまず50例程度のペースメーカー・ICD患者を安全に行いえたということを2006年Circulation誌(循環器領域で最もインパクトのある雑誌)に報告した。その後、さらに症例データの蓄積を進め、数百という単位の報告を2011年Annals of Internal Medicine誌(一般内科領域で最もインパクトのある雑誌)に報告した。そして今回、1,509例での報告をNEJM誌(医学全領域で最もインパクトのある雑誌)に行ったという運びである。 1,509例(MRIの実施は2,103件)で安全性を担保したプロトコール下でMRIを行った結果として、最新型でないペースメーカーやICDであったとしてもMRIを行ってトラブルを起こしたのは0.4%(2,103件中9件)にとどまり、その内容はその設定がリセットされたというものであった。この9件のうち1件を除きすべてのケースで再設定可能であり、大きなトラブルとはならなかった(再設定できなかった1例はバッテリーが切れる直前のデバイス)。さらに1%でP波の減高がみられたが、長期的にはまったく影響がなかったという。 「誰か」がMRIとペースメーカーやICDの危険性について想像し、そのことをひっくり返すのに2006年の最初のNazarian医師らによる報告から10年以上を要したことになる。脳梗塞などさまざまな病態でMRIは命を救いうる検査であり、このことは多くの循環器患者にとっては朗報となる。 なお、注意事項として、すべてのMRIはすぐにペースメーカーやICDのプログラム変更を行うことができる技師か不整脈専門医の監督下で行われた。MRIの撮影を行う際のモードは、ペーシング依存の患者では非同期モード、それ以外の患者はVVI[レート40]と設定され、ICDの頻脈性不整脈の治療機能も撮影時は無効と設定された。

442.

血栓回収ハンズオン【Dr. 中島の 新・徒然草】(218)

二百十八の段 血栓回収ハンズオン「血栓回収のハンズオンをやるから興味ある方は参加してください」と大学の脳外科医局から関連病院に呼びかけがあったので、ある土曜日に出かけてきました。血栓回収というのは、脳梗塞の急性期に血管内治療により主幹動脈から血栓を機械的に除去して脳血流の再灌流を図る治療法です。これまでは t-PA を静脈注射して血栓溶解を図っていたのですが、次第に血栓回収療法がメインになりつつあるように思います。脳外科医を名乗るからにはこの治療ができなくてはならない、ということで昨年から大学の医局主催で練習会が始まりました。昨年は70人の参加、今年はそれ以上の参加者数だということで、その人気ぶりというか皆の感じている必要性がよく分かります。昨年は70代の先生も参加して周囲を驚かせていましたが、今年の最年長は60代、某病院の副院長先生でした。また医学生や初期研修医向けのブースもあり、シミュレーターやゲームを使って血管内治療の面白さを体感してもらい、できればリクルートにつなげようという試みがなされていました。会場は、とあるビルの1フロアです。現役の脳外科医用には、ガイディングカテーテルのシステム組立て用のテーブルと模型から血栓回収を行うテーブルの2種類があり、順に練習するようになっていました。私なんかは血管内治療どころか血管造影すら何年もやっていないので、三方活栓やらインサーターやらトルクデバイスやら、わけのわからないモノに囲まれて戸惑ってしまいました。それでも若いインストラクターに教えてもらいながら練習しているうちに、徐々にサマになってきたような気がします。昭和とか平成初期卒業の先生の中には遠巻きにして眺めているだけの人も大勢居たので、「取り残されているのは自分だけじゃないんだ」と、何となく安心しました。練習会の後半はガイディングカテーテルのシステム組み立てのタイムトライアルです。完全にバラバラにした部品を使ってシステムを組み立てるというものです。単に時間を測るのも面白くないので、2人で向かいあっての対決方式でした。当院のレジデント達が対決しましたが、雑談しながら2人とも手慣れた感じで組み立てていきます。感心して見ていたところに現れた某先生。ミもフタもない一言を放ちました。某先生「タイム・イズ・マネーとか言われているのに、1から組み立てるのって無駄やんか。最初から組み立ててあるパッケージとか無いわけ?」この先生は日頃パーキンソン病やてんかんなどを専門にしているだけあって、血管内治療医の汗と涙にはあまり理解がありません。でも正論といえば正論です。つい私も言ってしまいました。中島「いくらゴルゴ13だって、相手に攻撃されてからM16を組み立てているようではアカンやろ」インストラクター「確かに最初から組み立ててあるシステムがあったら便利ですよね。どうしてそういうものがないのかな?」レジデント「こうやって組み立てるのも無駄といえば無駄な気がしてきました」中島「まあまあ、若者は要らんこと考えずに頑張っといたらエエんや」そんなこんなで晴れた休日の午後、血栓回収の練習でいい汗をかくことができました。ハンズオンの後は最年長先生の挨拶です。最年長「われわれが若い時にこんな練習会があったら良かったのに、と思います。心から今の若い人が羨ましい!」まったくその通りだわい、と私も思います。ところで、ちょっと気になって調べてみたところ、急性期脳梗塞治療の場合は「タイム・イズ・マネー」じゃなくて、「タイム・イズ・ブレイン」が正しいようです。まあ、マネーでもブレインでも大事なものには違いありませんが。というわけで最後に1句血栓を 老いも若きも 回収す

443.

第1回 意識障害 その1 客観的な意識の評価方法【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+意識障害の認識意識障害のアプローチにおいて、重要なことは何でしょうか。原因検索、バイタルサインの改善、安定化はもちろんですが意外と忘れがちなことがあります。それは、「目の前の患者は意識障害」だと認識することです。当たり前のようですが、この当たり前のことができておらず、対応が遅れる、または重症度を見誤ってしまうことが少なくありません。とくに初診患者や高齢者の患者ではありがちです。発熱のせい、認知症のせい、難聴のせいなど、「普段からこんなものだろう」と軽度の意識障害は軽視されがちです。必ず、普段の意識状態と比較して判断するようにしましょう。また、主治医や家族への確認、以前のカルテ記載の検索も怠らずに行いましょう。そして、患者の以前の状態をよく知る家族や施設職員からの、「普段とは違います」というコメントを軽視してはいけません。逆に、見当識障害や失語が認められても、普段と同様であれば焦る必要はないでしょう。認知症や脳卒中後が代表的です。救急の現場において、緊急性が高い病態、重篤な病態を見逃さないようにするためには、症状や検査異常が急性のものか、慢性のものかを判断することが大切です(コラム(1)参照:急性か慢性か、それが問題だ!)。軽度であっても突然、もしくは急性発症の意識障害は早期に対応する必要があるのに対して、慢性経過の意識障害であれば原因検索は必要ですが、1分1秒を争う病態ではありません。意識障害の評価意識障害患者を診たら、まずは客観的な指標で程度を評価しましょう。意識障害の評価では、Glasgow Coma Scale(GCS)(表1)、Japan Coma Scale(JCS)(表2)が有名です。画像を拡大する画像を拡大する救急外来では他科の先生方へコンサルトすることも多く、「様子がおかしい」という表現では相手に患者さんの状況をうまく伝えられません。また、意識障害の経時的な変化は鑑別に大きく影響するため、その時々の意識障害の程度を把握し、記載しておくことも重要です。たとえば初診時にはE3V4M5/GCSであった意識状態が、薬剤などの介入がなく自然にE4V5M6/GCSへ改善したのであれば、低血糖や脳卒中は否定的です。この場合には、痙攣などが鑑別の上位に挙がるでしょう。そして、GCS、JCSはそれぞれの長所、短所を理解したうえで使用する必要があります(表3)。画像を拡大するここでは、GCS、JCSを評価する際の注意点を理解しておきましょう。どちらも開閉眼の有無が点数に大きく反映されますが、診察時に閉眼していたからといってGCSはE3以下、JCSは2桁以上というわけではありません。呼び掛けたその後が問題です。閉眼していたとしても、呼び掛け問診にきちんと応じることができる場合にはGCSではE4、JCSでは1桁ということになります。それに対して、開眼するものの、問診中に(話し掛けているにもかかわらず)閉眼してしまう場合には意識障害と捉える必要があります。私は、15秒程度開眼を維持することができなければ、意識障害ありと判断し対応しています。そのほかにもGCS、JCSの短所を解消すべく開発されたECS(Emergency Coma Scale)(表4)というものがあります。画像を拡大する救急外来で使用するために作成されたものであり、まばたきや睫毛反射の有無(まばたきが可能であれば、脳幹網様体の機能は正常)や、脇を閉じているか否かで除脳硬直、除皮質硬直を区別して分類している点が特徴です。現在、国内の救急隊はJCSを使用し、海外の論文などではGCSを採用しているのが現状であるため、ECSはわが国の救急外来では普及していないのが現状ですが、評価項目や作成に至った経緯は参考になるため、興味がある方は調べてみてください。さて、前置きが長くなりましたが、実際の症例をみてみましょう。72歳男性の意識障害の原因は何でしょうか? 多くの方が急性期脳梗塞、その中でも心原性脳塞栓症を考えるでしょう。それでは、その可能性はどの程度でしょうか? 100%ですか? それとも70%、50%…また、鑑別すべき疾患は何でしょうか? 迷わず血栓溶解療法を行ってよいのでしょうか?意識障害にかかわらず、患者さんが訴える症状や症候に対してアプローチする際には、患者さんごとにアプローチを変えていては、時間が限られている救急外来では見落としの原因となってしまいます。そこで次回は、「意識障害の具体的なアプローチ」を学んでいきましょう!コラム(1) 急性か慢性か、それが問題だ!バイタルサインや検査値の異常を拾いあげることは重要ですが、緊急性を判断するためには、その異常がいつからかを把握することが大切です。Na 126mEq/Lという結果をみて、低ナトリウム血症と判断することは簡単ですが、治療の緊急度は数値の絶対値以上に変化のスピードが重要です。1ヵ月前の検査結果で125mEq/Lであれば、著明な症状が出る可能性は低く、緊急性は高くありません。それに対して、数日前のNa値が135mEq/Lであれば、急性の変化であり、緊急性が高くなります。胸部の異常陰影や心電図変化、Hb値なども同様です。急性か慢性かを判断し、緊急性の適切な判断を行いましょう。(次回は5月23日の予定)

444.

スマートウオッチによる自動心房細動検知の精度は?【Dr.河田pick up】

 心房細動の早期検知は、血栓塞栓症を未然に防ぐという観点からも非常に重要である。残念ながら、脳梗塞を契機に心房細動が発見されるということが多い。HolterやZio patchなどのモニターよりも低コストで簡易な携帯心臓モニターは、患者にとっては便利なものである。今回はApple Watchを用いた心臓モニターに関する論文を紹介したい。 KardiaBandは、アップルのスマートウオッチ(Apple Watch)を用いて心臓リズムを記録することができる新しい技術である。専用バンドとアプリを組み合わせることで、自動で心房細動(AF)を検知することが可能である。米国クリーブランド・クリニックのJoseph M.Bumgarner氏ら研究グループは、医師による12誘導心電図とKardiaBandの記録の解釈と比較し、KardiaBandが洞調律とAFとを正確に判別できるかを検討した。Journal of American College of Cardiology誌2018年3月号に掲載。除細動で受診したAF患者100例で比較 本研究では、AFに対する除細動のために受診した、連続した患者100例が研究に組み込まれた(68歳±11歳)。患者は除細動前に心電図とKardiaBandの記録を受けた。除細動が行われた場合、除細動後の心電図とKardiaBandの記録が取得された。KardiaBandの解釈は、医師の診断による心電図と比較された。KardiaBandの記録は、患者情報を知らない不整脈専門医によって再度診断を受け、心電図の解釈と比較された。感度、特異度とK係数が求められた。169例のKardiaBandの記録のうち57例は解釈不能 100例中8例は除細動を受けなかった。169例について、心電図とKardiaBandの同時記録が得られた。KardiaBandの記録のうち、57例については解釈不能であった。心電図と比較して、KardiaBandが解釈した記録は、感度が93%、特異度が84%、K係数は0.77であった。一方、医師が解釈したKardiaBandの記録は感度99%、特異度は83%、K係数は0.83であった。解釈不能だった57例のKardiaBandの記録について不整脈専門医が診断したところ、感度100%、特異度80%、K係数は0.74であった。KardiaBandと医師ともに診断可能であった113例においては、双方の診断はかなり一致しており、K係数は0.88であった。医師のサポートによりKardiaBandによるAF検知アルゴリズムは有用 医師によって確認されたKardiaBandのAF検知アルゴリズムは、AFと洞調律の正確な区別が可能であった。この技術は、選択的除細動に先立って患者をスクリーニングする際に役立ち、不必要な手技を回避する一助となりうる。

445.

急性脳梗塞の血管内治療は日常診療でも有効か/BMJ

 急性虚血性脳卒中の血管内治療は、無作為化対照比較試験の結果と同様に、ルーチンの臨床診療でも有効かつ安全であることが、オランダ・アムステルダム大学学術医療センターのIvo G. H. Jansen氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年3月9日号に掲載された。前方循環系の頭蓋内血管近位部閉塞による急性虚血性脳卒中では、症状発現後6時間以内の血管内治療の有効性と安全性が無作為化試験やメタ解析で示されているが、ルーチンの臨床診療でも既報の無作為化臨床試験と同等の有用性が得られるかは不明であった。MR CLEANレジストリをMR CLEAN試験の結果と比較 研究グループは、オランダの16施設が参加・進行中の前向きコホート研究「MR CLEANレジストリ」の患者データを解析し、無作為化対照比較試験「MR CLEAN試験」の既報の結果と比較した(エラスムス大学医療センターなどの助成による)。 2014年3月~2016年6月の期間にMR CLEANレジストリに登録された急性虚血性脳卒中で、症状発現後6.5時間以内に血管内治療(ステント型血栓回収デバイス、血栓吸引デバイスなど)を受けた患者1,488例を解析の対象とした。 主要アウトカムは、症状発現後90日時の修正Rankin Scale(mRS、0[無症状]~6[死亡]点)のスコアによる機能障害とした。副次アウトカムには、90日時の機能アウトカムがexcellent(mRSスコア:0~1)、同good(0~2)、同favourable(0~3)の患者などが含まれた。臨床試験の介入群よりも機能アウトカムが良好 ベースラインの年齢中央値は、MR CLEANレジストリが71歳(IQR:60~80)、MR CLEAN試験の介入群(233例)が66歳(55~76)、同対照群(267例)は66歳(56~76)であり、男性はそれぞれ53.3%、57.9%、58.8%であった。NIHSSスコア中央値はそれぞれ16点、17点、18点であり、rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法は78.0%、87.1%、90.6%に行われていた。 90日時のmRSスコア中央値は、MR CLEANレジストリが3点(IQR:2~6)、CLEAN試験の介入群が3点(2~5)、同対照群が4点(3~5)であり、MR CLEANレジストリの機能アウトカムは、MR CLEAN試験の介入群(補正共通オッズ比:1.30、95%信頼区間[CI]:1.02~1.67、p=0.03)および同対照群(1.85、1.64~2.34、p<0.01)と比較して、いずれも有意に改善した。 90日時の機能アウトカムがexcellentの患者の割合は、MR CLEANレジストリが18.9%、MR CLEAN試験の介入群が11.6%、同対照群は6.0%であった。また、goodの患者はそれぞれ37.9%、32.6%、19.1%であり、favourableは52.1%、51.1%、35.6%だった。 再灌流の達成率(extended TICI gradeで2B-3の場合に再灌流成功と定義)は、MR CLEANレジストリとMR CLEAN試験の介入群がいずれも58.7%で、同対照群は該当なしであった。 また、脳卒中発症から、血管内治療開始までの期間中央値(MR CLEANレジストリ:208分[IQR:160~265]、MR CLEAN試験の介入群:260分[210~313])と、再灌流成功または最後の造影剤ボーラス注入までの期間中央値(267分[217~331]、339分[274~395])は、いずれもMR CLEANレジストリが約1時間短かった。 一方、症候性頭蓋内出血の発症率は、MR CLEANレジストリが5.8%と、MR CLEAN試験の介入群の7.7%、同対照群の6.4%に比べて低かった。 著者は、「この知見は、血管内治療が前方循環系の頭蓋内血管近位部閉塞による急性虚血性脳卒中の標準治療であることを裏付ける」としている。

446.

きわめて高いHDL-Cは心血管死リスク? EPOCH-JAPAN

 心血管疾患(CVD)に対するvery highやextremely highレベルの HDLコレステロール(HDL-C)の影響は十分にわかっていない。最近のいくつかの研究では、extremely highレベルのHDL-CのCVDイベントへの悪影響が報告されているが、原因別CVD死亡率との間に有意な関連はみられておらず、またアジア人集団では研究されていない。今回、日本の主要な循環器疫学コホート研究の統合データベース共同研究であるEPOCH-JAPANにおける大規模なプール解析により、extremely highレベルの HDL-Cがアテローム性CVDによる死亡率に悪影響を及ぼすことを示した。Journal of clinical lipidology誌オンライン版2018年2月8日号に掲載。 本研究では、9つの日本人コホート(40~89歳、4万3,407人)において大規模なプール解析を行った。参加者をHDL-C値により5群に分け、2.33mmol/L以上(90mg/dL以上)をextremely highとした。コホート層別Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因死亡および原因別死亡について、1.04~1.55mmol/L(40~59mg/dL)の群と比較した各群の調整ハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・12.1年の追跡期間中に、全死因死亡が4,995人、CVDによる死亡が1,280人確認された。・extremely highレベルのHDL-Cは、アテローム性CVDによる死亡リスクの増加(ハザード比:2.37、95%信頼区間:1.37~4.09)、冠動脈疾患および脳梗塞リスクの増加と有意に関連していた。・extremely highレベルのHDL-Cのリスクは、現飲酒者でより顕著であった。

447.

脳灌流画像による選択により、発症後6~16時間の脳梗塞にも血栓除去術が有用(中川原譲二氏)-818

血栓除去術群 vs.薬物療法群で、90日後の主要アウトカムを比較 血栓除去術は、現在、発症から6時間以内に治療される適格な脳梗塞患者に推奨されている。米国・スタンフォード大学脳卒中センターのGregory W. Albers氏らが行った「DEFUSE3試験」は、発症までは元気で、梗塞に陥っていない虚血脳組織が残存する患者を対象として、発症後6~16時間の血栓除去術の有効性について検討した多施設共同無作為化非盲検試験(アウトカムは盲検評価)である。対象患者は、中大脳動脈近位部または内頸動脈の閉塞を有し、CTやMRI灌流画像で、初期の梗塞容積70mL未満、虚血/梗塞容積比1.8以上を適格とし、血管内治療(血栓除去術)+標準的薬物療法併用(血管内治療群)、または標準的薬物療法単独(薬物療法群)に無作為に割り付けられた。主要アウトカムは、90日後の修正Rankinスケール(mRS)の通常スコア(範囲:0~6、高スコアほど障害の程度が大きい)とされた。血栓除去術群で主要アウトカムの改善が有意に良好 この試験は、2016年5月~2017年5月に米国内38施設で行われた。182例が血管内治療群:92例、薬物療法群:90例に無作為に割り付けられ、中間解析で有効性が確認され早期終了となった。血管内治療群では、薬物療法群と比べて、90日後のmRSでみた機能的アウトカムの分布の良好なシフトがみられた(オッズ比[OR]:2.77、p<0.001)。また、mRSスコアで0~2と定義した「機能的に自立」の患者の割合も高かった(45% vs.17%、リスク比:2.67、p<0.001)。90日死亡率は、血管内治療群14%に対し、薬物療法群26%であった(p=0.05)。症候性頭蓋内出血(7% vs.4%、p=0.75)や、重篤な有害事象(43% vs.53%、p=0.18)については、両群間で有意差はみられなかった。 本研究では、中大脳動脈近位部または内頸動脈の閉塞、および虚血は認めるが梗塞に至っていない組織領域を有する患者では、発症後6~16時間でも、標準的薬物療法単独よりも血管内治療(血栓除去術)を併用したほうが、良好な機能的アウトカムに結びつくことが示された。一方、昨年報告されたDAWN試験では、症状出現から6~24時間が経過した急性脳梗塞で、臨床的障害と梗塞体積の重症度が一致しない患者では、標準的治療+血栓除去術の90日後のアウトカムが良好であることが示された。これら2試験は、血栓除去術のtime windowが6時間から16時間、24時間へと拡大する余地のあることを示すもので、血栓除去術の適格基準がtime-baseから脳灌流画像を用いたtissue-baseに変更する必要性についての議論が今後高まると思われる。しかし、脳梗塞の成立は、発症からの時間と残存脳血流に依存していることは自明であり、血栓除去術については、6時間以内はtime-baseの治療戦略、6時間以降はtissue-baseの治療戦略が奏功すると考えるのが妥当と思われる。

448.

チカグレロル、心筋梗塞発症から1年以上の多枝病変のイベントを減少

 アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ)は2018年2月7日、第III相PEGASUS-TIMI54試験の新たなサブ解析結果を発表した。心筋梗塞の既往があり、さらに2本以上の多枝病変(以下、MVD)を有する患者において、チカグレロル(商品名:ブリリンタ)60mgと低用量アスピリンの併用療法により、MACE(心血管死、心筋梗塞あるいは脳梗塞からなる複合リスク)リスクが19%(HR:0.81、95%CI:0.7~0.95)、冠動脈疾患死のリスクが36%(HR:0.64、95%CI:0.45~0.89)低減した。 この既定のサブ解析はJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。MVDは、初回の心筋梗塞発症時に2本以上の冠動脈に50%を超える異常狭窄が存在する病態と定義された。本試験に参加した患者2万1,162例の59.4%(1万2,558例)がMVDを呈していたことから、本結果は、イベント発症から12ヵ月後以降も、抗血小板治療を続けることで、心筋梗塞の既往歴がある高リスク患者集団にベネフィットをもたらす可能性が示すものとしている。 重大な出血事象については、アスピリン単剤治療と比較して、チカグレロル・アスピリン併用療法で多かったが、これはPEGASUS-TIMI 54試験で確認された結果全体と一貫していた。また、頭蓋内出血あるいは致死的出血リスクの増大はなかった。

449.

卵円孔開存の存在で周術期の脳梗塞リスク上昇/JAMA

 非心臓手術を受ける成人患者において、術前に卵円孔開存(PFO)の診断を受けた患者は受けなかった患者と比べて、術後30日間の周術期虚血性脳卒中リスクが有意に高いことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院(MGH)のPauline Y.Ng氏らが、18万例超を対象に行った後ろ向きコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年2月6日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「今回の所見について、さらなる確証試験を行うとともに、PFOへの介入によって術後脳卒中のリスクが低減するのかどうかを確認する必要がある」とまとめている。全身麻酔で非心臓手術を受けた18万人超を対象に検討 研究グループは、2007年1月1日~2015年12月31日に、MGHと関連のコミュニティ病院2ヵ所で、全身麻酔下で非心臓手術を受けた成人18万2,393例について、後ろ向きコホート試験を行った。 術前のPFO診断と、術後30日間に発生した周術期虚血性脳卒中との関連を調べた。脳卒中のサブタイプはOxfordshire Community Stroke Project(OCSP)分類に基づき定義し、重症度はNIH脳卒中重症度スケール(National Institute of Health Stroke Scale:NIHSS)で定義した。周術期脳梗塞推定リスク、PFO群5.9例/1,000人、対照群2.2例/1,000人 解析の対象としたのは15万198例(年齢中央値55歳[SD 16])で、そのうち術前PFO診断例は1,540例(1.0%)だった。 術後30日間に虚血性脳卒中を発症したのは全体で850例(0.6%)だった。内訳は、PFO群が49例(3.2%)、非PFO(対照)群が801例(0.5%)だった。 補正後解析の結果、PFO群は対照群に比べ、周術期虚血性脳卒中リスクが有意に高かった(オッズ比:2.66、95%信頼区間[CI]:1.96~3.63、p<0.001)。1,000人当たりの虚血性脳卒中の推定リスクは、PFO群5.9例、対照群2.2例で、補正後絶対リスク差は0.4%(95%CI:0.2~0.6)だった。 また、PFO群は大血管領域脳卒中のリスク上昇も認められた(相対リスク比:3.14、95%CI:2.21~4.48、p<0.001)。さらに、脳卒中を呈した患者においてPFO群のほうが、NIHSSで定義した脳卒中関連の神経学的障害がより重度であることも認められた(PFO群のNIHSSスコア中央値:4[IQR:2~10] vs.対照群の同値:3[1~6]、p=0.02)。

450.

脳内出血後の院内死亡、ワルファリンvs. NOAC/JAMA

 脳内出血(ICH)患者の院内死亡リスクを、発症前の経口抗凝固薬(OAC)で比較したところ、OAC未使用群に比べ非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)あるいはワルファリンの使用群で高く、また、NOAC使用群はワルファリン使用群に比べ低いことが示された。米国・デューク大学メディカルセンターの猪原拓氏らが、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による登録研究Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-Stroke)のデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにした。NOACは血栓塞栓症予防としての使用が増加しているが、NOAC関連のICHに関するデータは限られていた。JAMA誌オンライン版2018年1月25日号掲載の報告。脳内出血患者約14万1,000例で、抗凝固療法と院内死亡率との関連を解析 研究グループはGWTG-Strokeに参加している1,662施設において、2013年10月~2016年12月にICHで入院した患者を対象に、ICH発症前(病院到着前7日以内)の抗凝固療法による院内死亡率について解析した。 抗凝固療法は、ワルファリン群・NOAC群・OAC未使用群に分類し、2種類の抗凝固薬(ワルファリンとNOACなど)を用いていた患者は解析から除外した。また、抗血小板療法については、抗血小板薬未使用・単剤群・2剤併用(DAPT)群に分類し、3群のいずれにも該当しない患者は解析から除外した。 解析対象は14万1,311例(平均[±SD]68.3±15.3歳、女性48.1%)で、ワルファリン群1万5,036例(10.6%)、NOAC群4,918例(3.5%)。抗血小板薬(単剤またはDAPT)を併用していた患者は、それぞれ3万9,585例(28.0%)および5,783例(4.1%)であった。ワルファリン群とNOAC群は、OAC未使用群より高齢で、心房細動や脳梗塞の既往歴を有する患者の割合が高かった。NOAC群は、未使用群よりは高いがワルファリン群よりも低い 急性ICHの重症度(NIHSSスコア)は、3群間で有意差は確認されなかった(中央値[四分位範囲]:ワルファリン群9[2~21]、NOAC群8[2~20]、OAC未使用群8[2~19])。 補正前院内死亡率は、ワルファリン群32.6%、NOAC群26.5%、OAC未使用群22.5%であった。OAC未使用群と比較した院内死亡リスクは、ワルファリン群で補正後リスク差(ARD)9.0%(97.5%信頼区間[CI]:7.9~10.1)、補正後オッズ比(AOR)1.62(97.5%CI:1.53~1.71)、NOAC群でARDは3.3%(97.5%CI:1.7~4.8)、AORは1.21(97.5%CI:1.11~1.32)であった。 ワルファリン群と比較して、NOAC群の院内死亡リスクは低かった(ARD:-5.7%[97.5%CI:-7.3~-4.2]、AOR:0.75[97.5%CI:0.69~0.81])。 NOAC群とワルファリン群の死亡率の差は、DAPT群(NOAC併用群32.7% vs.ワルファリン併用群47.1%、ARD:-15.0%[95.5%CI:-26.3~-3.8]、AOR:0.50[97.5%CI:0.29~0.86])において、抗血小板薬未使用群(NOAC併用群26.4% vs.ワルファリン併用群31.7%、ARD:-5.0%[97.5%CI:-6.8%~-3.2%]、AOR:0.77[97.5%CI:0.70~0.85])より数値上では大きかったが、交互作用p値は0.07で統計的有意差は認められなかった。 なお、著者は、GWTG-Strokeの登録データに限定していることや、NOAC群の症例が少なく検出力不足の可能性があることなどを、研究の限界として挙げている。

451.

急性脳梗塞の血栓除去術、発症後6~16時間でも有用/NEJM

 近位中大脳動脈または内頸動脈の閉塞を呈し、虚血は認めるが梗塞に至っていない組織領域を認める患者では、発症後6~16時間でも、標準的薬物療法単独よりも血管内治療(血栓除去術)を併施したほうが、良好な機能的アウトカムに結びつくことが示された。米国・スタンフォード大学脳卒中センターのGregory W. Albers氏らが「DEFUSE3試験」の結果を報告した。現行、血栓除去術は画像診断での適格性に基づき、発症後6時間以内の脳卒中患者への施術が推奨されている。NEJM誌オンライン版2018年1月24日号掲載の報告。血栓除去術併用 vs.薬物療法単独、90日時点の機能的アウトカムを比較 DEFUSE3試験は、梗塞のない虚血脳組織が残存する患者への、発症後6~16時間の血栓除去術について検討した、多施設共同無作為化非盲検試験(アウトカムは盲検評価)で、2016年5月~2017年5月に米国内38施設で行われた。 対象患者は、近位中大脳動脈または内頸動脈の閉塞を呈し、CTやMRIの灌流画像診断で、初期梗塞容積70mL未満、虚血/梗塞容積比1.8以上を適格とし、血管内治療(血栓除去術)+標準的薬物療法(血管内治療群)、または標準的薬物療法のみ(薬物療法群)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、90日時点での修正Rankinスケールスコア(範囲:0~6、高スコアほど障害の程度が大きいことを示す)であった。血栓除去術併用群でアウトカム改善が有意に良好 試験は、182例が血管内治療群92例、薬物療法群90例に無作為化を受けた後、中間解析で有効性が確認され早期終了となった。 血管内治療群は薬物療法群と比べて、90日時点での修正Rankinスケールでみた機能的アウトカムの改善が良好であった(オッズ比[OR]:2.77、p<0.001)。また、修正Rankinスケールスコアで0~2と定義した「機能的に自立」の患者の割合も高かった(45% vs.17%、リスク比:2.67、p<0.001)。 90日死亡率は、血管内治療群14%に対し、薬物療法群26%であった(p=0.05)。症候性頭蓋内出血(7% vs.4%、p=0.75)や、重篤な有害事象(43% vs.53%、p=0.18)については、両群間で有意差はみられなかった。

452.

プライマリPCI実施後のプラスグレル対チカグレロル、1年後の比較

 プライマリPCIが適応の急性心筋梗塞患者において、P2Y12阻害剤であるプラスグレルとチカグレロルの有効性および安全性を比較したPRAGUE-18 trialの早期の結果では、2剤に有意差は認められなかった。チェコ共和国のZuzana Motovska氏ら研究グループによる1年フォローアップでは、さらに2剤の有効性と安全性を比較し、退院後により安価なクロピドグレルに変更することが虚血イベントの発生に影響を与えるかどうか検証した。Journal of American College of Cardiology誌11月9日号に掲載。PCI施行した1,230例をプラスグレルとチカグレロルに割り付け 本研究は、多施設共同の前向きランダム化比較試験。急性心筋梗塞でPCIを施行した1,230例をプラスグレル群もしくはチカグレロル群に割り付け、12ヵ月にわたって治療効果を評価した。複合エンドポイントは1年後における心血管に関連した死亡、心筋梗塞、脳梗塞。患者が退院後に内服薬の費用を負担しなければいけないため、患者の一部は安価なクロピドグレルに変更した。複合エンドポイントで有意差は認められず 複合エンドポイント(心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中)はプラスグレル群で6.6%、チカグレロル群で5.7%認められた(ハザード比[HR]:1.167、95%信頼区間[CI]:0.742~1.835、p=0.503)。心血管死亡(3.3% vs. 3.0%、p=0.76)、心筋梗塞(3.0% vs. 2.5%、p=0.611)、脳卒中(1.1% vs. 0.7%、p=0.423)、全死亡(4.7% vs. 4.2%、p=0.654)、確定診断されたステント血栓症(1.1% vs. 1.5%、p=0.535)、全出血(10.9% vs. 11.1%、p=0.999)、そしてTIMI出血基準による大出血(0.9% vs. 0.7%、p=0.754)において、いずれも有意差は認められなかった。 薬の費用を理由としてクロピドグレルに変更した患者はプラスグレル群で34.1%(n=216)、チカグレロル群で44.4%(n=265)であった(p=0.003)。クロピドグレルへの変更は虚血イベント増加と関連せず 本研究では、プラスグレルとチカグレロルは、心筋梗塞後1年において同等に有効であった。 また、クロピドグレルへの変更することは虚血イベントの増加と関連していなかった。ただし、薬の費用を理由としてクロピドグレルに変更した患者は、割り当てられた薬剤を継続した患者に比べて主要血管イベントのリスクは低かったが、虚血のリスクも低かった。この結果は、虚血と出血のリスクを患者ごとに評価し、治療を個別化することを支持しているとも考えられる。

453.

脳梗塞急性期患者に抗血小板薬の3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できない(解説:内山真一郎氏)-803

 TARDIS試験は、発症後48時間以内の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)において、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモールの3剤併用療法の有効性と安全性を、英国のガイドラインに基づくクロピドグレル単独療法かアスピリンとジピリダモールの2剤併用療法と比較する、国際共同研究による非盲検の無作為化比較試験であった。結果として、3剤併用療法は脳卒中やTIAの頻度や重症度を減少させず、重大な出血を増加させてしまった。 発症後24時間以内のTIAと軽症脳梗塞を対象にしたCHANCE試験では、アスピリンとクロピドグレルの併用療法はアスピリン単独療法に比べて、出血を増加させることなく脳卒中の再発を抑制した。TARDISでは中等症や重症の脳梗塞患者も含まれており、このような患者に対して3剤併用療法は出血を助長して危険なのかもしれない。また、TARDISでは24~48時間後の患者も含まれたため、血栓溶解療法施行患者が多く含まれた。CHANCEやSOCRATES試験では、血栓溶解療法施行例は除外された。実際、TARDISでは、血栓溶解療法が終了してから24時間以後に抗血小板療法が開始されたにもかかわらず、血栓溶解療法との相互作用は存在した。 今回用いられた3剤のうち、日本ではジピリダモールではなくシロスタゾールが用いられているが、発症後48時間以内のすべての脳梗塞・TIA患者に対する3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できないという結論になる。脳梗塞の重症度、発症からの時間、血栓溶解療法施行例以外に脳梗塞の病型も重要であり、急性期の強力な抗血小板療法はラクナ梗塞には危険であり、アテローム血栓性脳梗塞に限定すべきかもしれない。

454.

抗血小板薬3剤併用、脳梗塞急性期への有効性は/Lancet

 虚血性脳卒中(脳梗塞)や一過性脳虚血発作(TIA)の急性期患者における抗血小板薬3剤併用療法は、再発とその重症度を減少させることはなく、大出血リスクは有意に増大することを、英国・ノッティンガム大学のPhilip M Bath氏らが、無作為化非盲検第III相優越性試験「TARDIS試験」の結果、報告した。これまでの検討で、脳梗塞急性期の2次予防として抗血小板薬2剤併用療法は単剤療法より優れていることが示唆されている。3剤併用療法はそれらガイドラインで推奨されている抗血小板療法より有効である可能性があったが、結果を踏まえて著者は、「抗血小板薬3剤併用療法は、日常診療で使用されるべきではない」とまとめている。Lancetオンライン版2017年12月20日号掲載の報告。アスピリン+クロピドグレル+ジピリダモール vs.標準療法で検討 TARDIS(Triple Antiplatelets for Reducing Dependency after Ischaemic Stroke)試験は、4ヵ国(デンマーク、ニュージーランド、ジョージア、イギリス)の106施設にて実施された。 対象は、発症後48時間以内の脳梗塞またはTIAの成人患者で、抗血小板薬3剤併用療法群(アスピリン[初日300mg、以降50~150mg/日、通常75mg/日]+クロピドグレル[初日300mg、以降75mg/日]+ジピリダモール[徐放製剤200mgを1日2回、または通常製剤100mgを1日3~4回]と、標準療法群(ガイドラインに基づいた治療:クロピドグレル単剤またはアスピリン+ジピリダモール2剤併用療法、各薬剤の用法用量は3剤併用療法群と同じ)に、コンピュータを用い1対1の割合で無作為に割り付けた。 割り付けは、国およびイベント(脳梗塞、TIA)で層別化するとともに、ベースラインの予後因子(年齢、性別、発症前の機能、収縮期血圧、病型)、薬剤使用歴、無作為化までの時間、脳卒中関連因子、血栓溶解で最小化した。 主要有効性アウトカムは、90日以内の脳卒中(虚血性または出血性、修正Rankin Scale[mRS]で評価)またはTIAの再発とその重症度で、電話による追跡調査によって評価された(評価者盲検化)。解析はintention–to-treatにて行われた。3剤併用療法で再発は減少せず、出血リスクは増加 2009年4月7日~2016年3月18日の期間に、3,096例が無作為化された(3剤併用療法群1,556例、標準療法群1,540例)。 本試験は、データ監視委員会の勧告により早期中止となった。脳卒中/TIAの再発は、3剤併用療法群93例(6%)、標準療法群で105例(7%)に発生し、両群で有意差は認められなかった(補正後共通オッズ比[cOR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.67~1.20、p=0.47)。一方で、3剤併用療法は、より重度の出血と関連していた(補正後cOR:2.54、95%CI:2.05~3.16、p<0.0001)。 なお、著者は研究の限界として、幅広い患者層で検証していること、非盲検下で抗血小板薬が投与されていること、早期中止となり検出力が低いことなどを挙げている。

455.

WATCHMAN留置後の血栓症の特徴を調査

 左心耳は非弁膜症性心房細動患者における血栓塞栓症の主要な発生源と考えられ、経皮的に左心耳を閉鎖することが、長期の抗凝固療法に代わる治療として使用される頻度が増えている。米国においては、WATCHMANが米国食品医薬局(FDA)が承認した唯一の左心耳閉鎖デバイスである。しかし一方で、WATCHMAN留置後、残存するデバイス周囲からの閉鎖漏れや予期できないデバイス関連血栓が懸念されている。Cedar-Sinai 医療センターのShunsuke Kubo氏、Saibal Kar氏ら研究グループは、心房細動患者におけるWATCHMANに関連した血栓形成の特徴や、その影響を調べた。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月号に掲載。心房細動患者119例が対象、デバイス関連血栓症の発生率は3.4% 本研究では、2006~14年に連続してWATCHMANの植込みを受けた心房細動患者119例を対象とした。植込み後の経食道エコー(TEE)は、45日後、6ヵ月後、12ヵ月後に実施された。TEEで同定されたデバイス関連血栓の発生率、特徴と臨床経過が評価された。フォローアップのTEEにより、デバイス上に形成された血栓が4例(3.4%)に同定された。血栓が見つかった患者はいずれも慢性心房細動を有しており、血栓のない患者における慢性心房細動の有病率(40%)よりも高かった。また、血栓を有する患者においては、留置されたデバイスのサイズが大きかった(29.3±3.8mm vs. 25.7±3.2mm)。血栓を有するすべての症例で、研究のプロトコールで求められる抗凝固もしくは抗血小板療法が中断されていた。ワルファリンおよびアスピリンによる治療再開後、全症例で血栓の完全な消失がTEEにより確認された。全症例において、ワルファリンは6ヵ月で中止されたが、血栓の再発は認められなかった。フォローアップ期間の平均は1,456±546日で、血栓を有する患者における死亡、脳梗塞、全身の血栓症は認められなかった。短期間のワルファリン療法がデバイス関連血栓症に有効 本研究では、心房細動の頻度、デバイスのサイズ、抗凝固・抗血小板療法が、WATCHMAN留置後に生じるデバイス関連血栓に関与しうることがわかった。また、短期間のワルファリン療法はデバイス関連血栓症に有効であることが示され、その後の再発も認められなかった。■参考Incidence, Characteristics, and Clinical Course of Device-Related Thrombus After Watchman Left Atrial Appendage Occlusion Device Implantation in Atrial Fibrillation Patients(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

456.

スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

 スタチンの頸動脈内中膜複合体厚(IMT)の進行抑制効果は、脳梗塞の既往がない欧米人でのみ確認されている。今回、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、プラバスタチン(10mg/日、日本における通常用量)の頸動脈IMTへの影響を検討した結果、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制したことを国立循環器病研究センターの古賀 政利氏らが報告した。本結果から、低用量(10mg/日)でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆された。Stroke誌オンライン版2017年11月30日号に掲載。 本研究は、プラバスタチンの脳卒中再発予防効果を検討する多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験であるJ-STARS(Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke、主任研究者:松本 昌泰氏)研究のサブスタディ(J-STARS Echo)である。登録された864例のうち、ベースライン時に超音波検査がなかった71例を除外し、プラバスタチン(10mg/日)を投与する群(プラバスタチン群)に388例、スタチンを投与しない群(コントロール群)に405例を無作為に割り付けた。主要アウトカムは5年間の観察期間における総頸動脈IMTの変化で、反復測定のための混合効果モデル(mixed-effects models for repeated measures)を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインでの特性は、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア(中央値、0[四分位範囲:0~2]vs.1[同:0~2]、p=0.019)を除いて、2群間に有意な差異はなかった。・ベースラインIMT(平均±SD)は、プラバスタチン群では0.887±0.155mmであり、コントロール群では0.887±0.152mmであった(p=0.99)。・プラバスタチン群での5年時のIMTの年次変化は、コントロール群と比較し有意に減少した(0.021±0.116 vs.0.040±0.118mm、p=0.010)。4年目までは有意な差はみられなかった。

457.

出血こそが問題なのだ:減量のメリット(解説:後藤信哉氏)-775

 欧米では動脈硬化の初期症状として、冠動脈疾患が出現することが多い。アジア人では脳血管疾患が多いが、脳血管疾患は梗塞と出血の境界線が明確でないので抗血栓薬の開発は困難である。出血合併症の多い抗凝固薬が、血栓イベントの既往のない非弁膜症性心房細動に使用されているのは筆者には奇異であるが、ランダム化比較試験のエンドポイントとされた脳卒中と臨床家が恐れる心原性脳塞栓を混同させたマーケット戦略、巨大企業による徹底した情報管理の勝利であった。しかし、第III相試験にて示されたDOACによる年率3%の重篤な出血合併症は実臨床においても事実であろうから、特許切れまで企業が情報管理を継続できるか否かには疑問も残る。 一度、血栓性の心筋梗塞、脳梗塞を発症した症例の2次予防であれば、出血合併症の多いDOACにもチャンスはある。出血と梗塞の境界が微妙な脳梗塞を除いて、心筋梗塞後の症例に限局すれば、重篤な出血イベント年率0.2%、血栓イベント抑制効果25%のアスピリンの標準治療には多少抗血栓薬を追加する余地がある。心房細動例に使用する用量よりもはるかに少ない2.5mg×2/日のリバーロキサバンによる、重篤な出血の増加は年率1%であった。過去に血栓イベントの既往のない心房細動症例に使用されている、15(20)mg/日による3%に比較すればはるかに少ない。アスピリンにごく微量のリバーロキサバンを追加すれば、心房細動のときに用いるほどではないが重篤な出血が増加する。しかし、増加した出血と同じ程度の年間1%程度の血栓イベントの低下効果は期待できる。 抗Xa薬の臨床開発において、筆者は抗Xa薬には用量依存性の重篤な出血がないかもしれないと考えて各企業に協力した。第III相試験を主導している途中で、並行していた第II相試験が抗Xa薬でも用量依存性の出血を起こすことを示して、筆者の期待は急速に萎んだ。心房細動であろうと、心筋梗塞であろうと、1%の血栓イベントを予防するための用量では1%の重篤な出血合併症が、3%の血栓イベントを予防するためには3%の重篤な出血合併症が起こるDOACの価値を見いだすことは難しい。売れているから企業には危機感が少ないかもしれないが、将来に向けて出血しない薬効標的を探す努力が必要である。

458.

卵円孔開存を閉じるまでの長い道のり(解説:香坂俊氏)-762

筆者が研修を行っていた時分(10年以上前)は、まさに心エコーで「卵円孔開存(PFO)を見つけよう!」という機運が盛り上がっていたところで、下図のように細かい空気泡を静脈に打ち込んでは、右房から左房に漏れないかどうか目を凝らして見ていた(細かい空気泡はよく超音波を反射するので、静脈系の血液が流れている様子がエコーでよく見えるようになる)。こうしたとき、時に患者さんに息こらえや咳をしてもらったりすると(胸腔内圧を上げる)、たまに空気泡がパラパラと左房側に漏れていき、「結構な患者さんで卵円孔は開存しているのだなぁ」と感銘を受けたことを覚えている。実際に統計をとってみると、実に4人に1人くらいで卵円孔は開存しているとされている。そして、これが開いているだけならまだよいのだが、たまに静脈側で発生した血栓等を通してしまい(通常は肺に行くはずが左心系に迷い込む)、脳梗塞を起こしたりするのが長らく問題だと考えられてきた。下図のように実際に血栓(赤色部)が開存した卵円孔に挟まっていたというような症例報告も多数なされている。その後、とくに若年者の脳梗塞の50%以上にPFOが併存しているとする報告がなされ、とくに若年者でPFOを打倒しようという機運が盛り上がった。その黎明期には、PFO患者にアスピリンやワルファリンを使ってもまったく脳梗塞の予防にもつながらず、カテーテルでPFOを閉じるデバイス(両端に傘がついたようなデバイス)が導入された後も、いまひとつその成績はぱっとしなかった(CLOSURE I、PC Trial、RESPECT)。しかしその後もデバイスの開発が進められ、適切なプロフィールの患者を選択するための方策が練られた。今回NEJMに掲載されたのは、そうした流れの中で行われた試験である(CLOSE、RESPECT extended、REDUCEの3試験の結果が同時掲載)。この3つの試験ではカテーテルによるPFO閉鎖による脳梗塞予防効果が見事に証明された。最も大きなポイントとしては、きちんと18歳から60歳という若年者を対象としたということのほかに、右左シャントの「大きさ」を規定したことではなかったか。これまでは少しでも空気泡が左房側に漏れればそれで「PFOだ!」としてきたが、今回はたとえばCLOSE試験では、右房が空気泡で満たされてから3心拍以内に30以上の空気泡が左房に認められた場合のみ閉鎖の適応としている。そのことを反映してか、これまでの試験よりも試験全体の脳梗塞の発症率が高くなっている(コントロール群で5%前後)。注意すべき点としては術後に肺塞栓(RESPECT extended)や心房細動(REDUCE)の頻度が若干増えるところだろうか? ただ、トータルで考えると今回の脳梗塞の「劇的」ともいえる予防効果(35~50%のイベント抑制効果)の前では閉鎖することのベネフィットのほうがほとんどのケースで高くなるものと考えられる。今後コストの問題等も合わせて検討されなくてはならないが、今回ようやく適切なPFO閉鎖というところに道筋がつけられたといえるのではないか?

459.

卵円孔開存は問題か?(解説:後藤信哉氏)-753

 胎児循環では心房中隔の一部としての卵円孔は開存している。出生とともに閉じるのが一般的である。剖検例を詳細に検討すると、20%程度の症例には機能的卵円孔開存を認めるとの報告もある。経食道心エコーでは心房の血流の詳細な検討が可能である。バブルを用いたコントラスト法により機能的卵円孔開存の診断精度も向上した。原因不明の脳梗塞の一部は、静脈血栓が開存した卵円孔を介して左房・左室と移動した血栓が原因と考えられた。とくに、出産時、潜水時などに比較的若いヒトに起こる脳塞栓には卵円孔開存を原因とするものが多いと想定された。 卵円孔が開存しても心負荷は増えない。将来の心不全を防ぐために卵円孔を閉鎖する必要はない。自分の患者が心房中隔欠損症の高齢出産のときには緊張する。1次予防は難しいとはわかっていても、入院時にできた静脈血栓が、腹圧増加時に欠損した心房中隔を介して重篤な脳卒中になるのが心配だからだ。卵円孔開存でも腹圧亢進時などには右・左シャントが起こりうる。1次予防は無理としても、卵円孔開存が明らかで、右・左シャントを介した脳梗塞を発症した後でも、われわれは診療に当たる必要がある。過去に抗血小板薬、抗凝固薬などの有効性が検証されたが明確な結論は得られなかった。卵円孔開存はまれではないが、原因不明の脳卒中を合併するリスクは少ないので、再発予防であってもランダム化比較試験を計画することは困難であった。今回はこの困難な領域において、複数のランダム化比較試験の結果が報告された。 Masらのフランスのグループは抗凝固療法よりも、抗血小板療法よりも、経カテーテル的卵円孔閉鎖と抗血小板薬の併用の予防効果が高いとした(Mas JL, et al. N Engl J Med. 2017;377:1011-1021.)。しかし、経カテーテル的卵円孔閉鎖時の合併症を考えると今後の標準治療に転換するほどのインパクトはない。難しいランダム化比較試験を完遂した努力は賞賛したい。Sondergaardらも同様のランダム化比較試験を行い、同様の結果をNEJM誌に発表した(Sondergaard L, et al. N Engl J Med. 2017;377:1033-1042.)。Saverらの結果も同様であった(Saver JL, et al. N Engl J Med. 2017;377:1022-1032.)。単独の試験の結果と比較して、複数の試験が同時に発表されれば、結果の信頼性は高い。しかし、SaverらはSt. Jude Medical社、SondergaardらはW.L. Gore & Associates社の助成研究である。自社のデバイスをうまく使える技術のある施設を選定したバイアスは否定できない。Masらの公的グラントによる研究も同様の成果を示しているので、技術の上手な術者であれば2次予防にはデバイスを考えてもよいのかもしれない。

460.

脳卒中急性期にルーチンの酸素投与は有益か?/JAMA

 低酸素血症のない脳卒中(脳梗塞、脳内出血、一過性脳虚血発作)急性期の患者に対する低用量酸素の予防的投与は、3ヵ月後の死亡または障害を減少しないことが示された。英国・キール大学のChristine Roffe氏らによる、多施設共同無作為化単盲検臨床試験「SO2S試験」(The Stroke Oxygen Study)の結果で、「これらの患者では低用量酸素療法を支持しない結果が示された」と報告している。低酸素血症は、急性脳卒中発症後の最初の数日間に生じることが多く、しばしば間欠的であったり検出されないことがある。酸素投与は、低酸素症や二次的神経機能低下を予防することによって回復を促す可能性がある一方、有害事象が生じる可能性もあった。JAMA誌2017年9月26日号掲載の報告。約8千例で、持続的酸素投与、夜間酸素投与、必要時酸素投与の機能的転帰を比較 研究グループは、ルーチンの予防的低用量酸素投与が必要時の酸素投与より90日時点の死亡や障害を減らすのか、また、低酸素症の頻度が最も高くリハビリテーションへの影響が最も少ないと思われる夜間のみの酸素投与が、持続的酸素投与よりも有効かを評価する目的で、英国136施設において単盲検無作為化比較試験を行った。 対象は、入院後24時間以内で、酸素療法の明確な適応がないまたは禁忌ではない成人急性脳卒中患者8,003例。持続的酸素投与(72時間)群、夜間酸素投与(21時~7時、3日間)群および対照群(臨床的適応がある場合のみ酸素投与)に、1対1対1の割合で無作為に割り付け(それぞれ2,668例、2,667例、2,668例)、ベースラインの酸素飽和度が93%以下の場合は3L/分、94%以上の場合は2L/分で、経鼻チューブにより酸素投与を行った(登録開始日2008年4月24日、最終追跡調査日2015年1月27日)。 主要アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケールスコア(mRS、0[症状なし]~6[死亡]、臨床的に意義のある最小変化量は1)とし、質問票を郵送して評価を実施した(被験者は非盲検、評価者は盲検)。mRSは、順序ロジスティック回帰分析を用いて、障害度が1レベル改善する共通オッズ比(OR)を算出し、ORが1より大きい場合は障害の改善を意味した。持続+夜間投与 vs.必要時投与、持続投与 vs.夜間投与、いずれも有意差なし 登録された8,003例の患者背景は男性4,398例(55%)、平均(±SD)年齢72(±13)歳、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア中央値5、ベースラインの平均酸素飽和度96.6%であった。 主要アウトカムについて回答が得られた患者は7,677例(96%)であった。未補正OR(順序ロジスティック回帰解析で算出)は、酸素投与群(持続投与群+夜間投与群) vs.対照群で0.97(95%信頼[CI]:0.89~1.05、p=0.47)、持続投与群 vs.夜間投与群は1.03(95%CI:0.93~1.13、p=0.61)であった。酸素療法が有益なサブグループも特定されなかった。 また、1件以上の重篤な有害事象が発現した被験者は、持続投与群348例(13.0%)、夜間投与群294例(11.0%)、対照群322例(12.1%)で、重大な有害性は認められなかった。 なお著者は、アドヒアランス不良の影響や、集中治療室を除き酸素投与の完全なアドヒアランスを得るのは難しいこと、主要アウトカムの評価が郵送の質問票によって実施されていることなどを研究の限界として挙げている。

検索結果 合計:730件 表示位置:441 - 460