サイト内検索|page:91

検索結果 合計:1873件 表示位置:1801 - 1820

1801.

コ・トリモキサゾール予防投与、ARTを開始したHIV感染者の死亡率を低減

3剤併用抗レトロウイルス療法(ART)を開始したHIV感染者に対し、コ・トリモキサゾール[トリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST)合剤、商品名:バクタ、バクトラミンなど]を予防的に投与すると、死亡率が有意に低下することが、イギリス医学研究評議会(MRC)臨床試験ユニットのA S Walker氏らの検討で明らかとなった。コ・トリモキサゾールは、医療資源が不足する環境で市中肺炎の予防および治療に使用される安価な抗生物質である。本薬剤を予防投与すると、未治療のアフリカ人HIV感染者の死亡率が低減することが示されているが、このベネフィットは併用ARTと同時に投与しても維持されるかについては不明であったという。Lancet誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月29日号)掲載の報告。コ・トリモキサゾール投与と非投与を比較する観察研究研究グループは、アフリカ人の重症HIV感染者に対するART開始後のコ・トリモキサゾールの予防投与の有用性を評価する観察研究を実施した。対象は、2003年1月~2004年10月までにDART(Development of Anti-Retroviral Therapy in Africa)試験に登録されたCD4細胞数<200個/μLで、3剤併用ARTを開始した未治療の症候性HIV感染者(18歳以上)であった。コ・トリモキサゾール(トリメトプリム160mg+スルファメトキサゾール800mg)の予防投与(1日1回)はルーチンには行わず、無作為割り付けも実施せずに、担当医が個々に処方した。時間依存性の交絡を補正するために周辺構造モデルを用い、コ・トリモキサゾールの投与が臨床予後、CD4細胞数、BMIに及ぼす影響について検討した。死亡率が12週までは大幅に低下、効果は72週まで持続3,179例(コ・トリモキサゾール投与群1,959例、非投与群:1,220例)が登録された。全体の観察期間の総計は14,214年であり、そのうちコ・トリモキサゾール投与群は8,128人年(57%)であった。コ・トリモキサゾール使用の時間依存性の予測因子は、直近のCD4細胞数、ヘモグロビン値、BMI、ART開始後の当初の症状(WHO stage 3/4)であった。死亡率は、コ・トリモキサゾール投与群が非投与群に比べ有意に低下した(オッズ比:0.65、95%信頼区間:0.50~0.85、p=0.001)。コ・トリモキサゾール投与によって死亡リスクは12週までは大幅に低下し(同:0.41、同:0.27~0.65)、12~72週まではこれが維持された(同:0.56、同:0.37~0.86)が、72週以降は有意な差はなくなった(同:0.96、同:0.63~1.45、不均一性:p=0.02)。このような死亡率低下の変動は、コ・トリモキサゾールの投与期間や直近のCD4細胞数とは関連しなかった。コ・トリモキサゾールの予防投与によりマラリア感染の頻度が有意に低下し(オッズ比:0.74、95%信頼区間:0.63~0.88、p=0.0005)、その効果は投与期間と相関した。しかし、WHO stage 4の症状(同:0.86同:0.69~1.07、p=0.17)、CD4細胞数(非投与群との差:-3個/μL、p=0.50)、BMI(非投与群との差:-0.04kg/m2、p=0.68)には有意な効果を及ぼさなかった。著者は、「これらの結果はWHOガイドラインを補強するものである。3剤併用ARTを開始したアフリカ人HIV感染者には、少なくとも72週のコ・トリモキサゾールの予防投与を併用するという治療戦略の強い動機づけとなるだろう」と結論している。(菅野守:医学ライター)

1802.

医師の肥満患者に対する外来医療の質、対非肥満患者に劣らず

医師の肥満患者に対する外来医療サービスの質は、非肥満患者に対するものと比べて劣らない、との米国で行われた調査結果が、JAMA誌2010年4月7日号で報告されている。これまでの研究結果では、医師は、肥満患者に対して否定的な態度で接するとの報告がされていた。米国ペンシルベニア大学のVirginia W. Chang氏らが、約7万人の患者データを分析した結果による。ワクチン接種やがん検診など、8項目の実施率について調査同研究グループは、米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」受給者3万6,122人に関する1994~2006年の調査結果と、退役軍人に対する医療保険(VHA)の受給者3万3,550人に関する2003~2004年に行われた調査結果を分析した。医療サービスの質の指標としたのは、糖尿病患者に対する眼の検診、HbA1c値の検査、脂質スクリーニングや、対象者への肺炎球菌ワクチン接種、インフルエンザワクチンの接種、マンモグラフィーによる乳がん検診、大腸がん検診、子宮頸がん検診の実施について。分析結果については、社会人口統計因子、健康状態、臨床的複雑さや診察頻度に関して、補正を行った。糖尿病患者へのHbA1c値検査など、肥満患者の実施率が非肥満患者を上回る項目もその結果、肥満患者が非肥満患者に比べ、適切な医療サービスを受けていないとするエビデンスは認められなかったという。逆に、肥満患者の方が、非肥満患者よりも実施率がやや高い項目がみられた。糖尿病患者に対する脂質スクリーニングの実施率は、肥満患者が72%に対し非肥満患者は65%(オッズ比:1.37、95%信頼区間:1.09~1.73)。HbA1c値の検査実施率も、肥満患者が74%に対し、非肥満患者は62%だった(オッズ比:1.73、同:1.41~2.11)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1803.

中国で子どもの死亡率が大幅低減、MDG4の達成が明らかに

中国では近年、子どもの死亡率が大幅に低減し、主な死因は肺炎や早産合併症などであり、長期的には先天性異常や偶発事故、乳幼児突然死症候群(SIDS)の重要性が増大すると予測されることが、イギリスEdinburgh大学医学部公衆衛生学センターのIgor Rudan氏らWHO/UNICEFのChild Health Epidemiology Reference Group (CHERG)が実施した調査で明らかとなった。中国政府および国連の公式データによれば、中国では子どもの死亡数の低下が進み、ミレニアム開発目標4(MDG4、乳幼児死亡率の削減)を達成したとされる。しかし、以前に行われた子どもの世界疾病負担に関する調査では中国の情報が十分ではなかったためデータに大きな乖離があるという。Lancet誌2010年3月27日号掲載の報告。中国の一般公開情報を基にした系統的調査CHERGと北京大学の研究グループは、一般に公開された情報を用いて中国における新生児(生後1ヵ月未満)、乳児(1~11ヵ月)、小児(5歳未満)の主要な死亡原因について系統的な調査を行った。中国保健省統計局のウェブサイト、中国学術情報(Chinese National Knowledge Infrastructure; CNKI)データベース、中国保健統計年鑑(1990~2008年)のほか、5歳未満の子どもの死因について中国語で書かれた質の高い地域住民ベースの縦断的研究206論文からも情報を得た。地域、年齢、集団、主要な死因ごとに総死亡数を推算する統計モデルを開発した。子どもの死亡率が大幅に減少、主な死因は肺炎、出生時仮死、早産合併症1990~2008年の間に、生児出生1,000人当たりの死亡数は、新生児が34.0人から10.2人へと70%減少し、乳児は53.5人から14.9人へ72%低下、小児は64.6人から18.5人へ71%低下した。これは、MDG4のターゲット(2015年までに5歳児未満の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する)を満たすものである。2008年の主要な死因は肺炎、出生時仮死、早産合併症であり、それぞれ全死亡の15~17%を占めた。この期間中に死因として先天性異常(11%)および偶発事故(10%)の重要度が増大した。乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生率は5%であった。著者は、「中国の一般に公開されたデータベースは疾病負担を予測する情報として重要である」とし、「傾向としては、早産合併症が中国の子どもの主な死因になると予測されるが、長期的には先天性異常や事故、SIDSによる死亡の重要性が高まると考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

1804.

高齢施設入所者への肺炎球菌ワクチン接種を国策とすべき:三重大/BMJ

 三重大学大学院・呼吸器内科の丸山貴也氏ら同大研究グループは、これまで明らかにされていなかった、施設入所者に対する肺炎球菌ワクチン(23価肺炎球菌多糖体ワクチン)の有効性について、前向き無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、ワクチン接種が入所者の肺炎発症および死亡率の低下をもたらし有効性が確認されたことを報告した。BMJ誌2010年3月13日号(オンライン版2010年3月8日号)掲載より。発生率、プラセボ群が有意に高い 研究グループは、三重県内の高齢者施設(9病院および23の病院関連施設)から1,006名の被験者を登録し、前向き無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。 被験者は、2006年3月~2007年1月の間に登録され、ワクチン接種群(Pneumovax 0.5mL:502例)とプラセボ群に無作為化され、2009年3月末まで観察が行われた。 主要エンドポイントは、全原因肺炎および肺炎球菌性肺炎の発生率。副次エンドポイントは、肺炎球菌性肺炎、全原因肺炎、その他原因による死亡とした。 結果、肺炎発症が確認されたのは、ワクチン接種群63例(12.5%)、プラセボ群104例(20.6%)だった。 肺炎球菌性肺炎と診断されたのは、ワクチン接種群14例(2.8%)、プラセボ群37例(7.3%)だった(P

1805.

是か非か? 熱傷患者への予防的抗菌薬全身投与

熱傷患者に対する感染対策としての予防的抗菌薬全身投与は、有効性を裏づけるエビデンスに乏しいことや、耐性獲得リスクへの懸念といった理由から、患者マネジメントとして推奨されていない。しかし一方で、抗菌薬投与により、熱傷患者の全死因死亡が低下することが知られてもいる。そこでイスラエルのテル・アビブ大学Beilinson病院のTomer Avni氏らは、熱傷患者に対する予防的抗菌薬投与のエビデンスを評価する、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。BMJ誌2010年3月6日号(オンライン版2010年2月15日号)より。無作為化・準無作為化の計17試験を対象にシステマティックレビューおよびメタ解析は、熱傷患者に対して抗菌薬の予防的投与(全身、非吸収性、局所)、またはプラセボもしくは無治療介入が比較検討された、無作為化または準無作為化対照試験を選定し行われた。PubMed、コクラン・ライブラリー、LILACS、Embaseをデータ・ソースとして、2人の評価者が個々にデータを抽出。その際、言語、年月日、公表重要度による制限は課さなかった。主要評価項目は、全死因死亡とした。解析対象となったのは1968年から2008年までに報告された17試験(1,113例、年齢中央値51歳)だった。4試験は、子ども、青少年も対象に含んでいた。全死因死亡率の低下確認、しかし試験のクオリティに疑問符全死因死亡が報告されていたのは9試験。そのうち、入院後4~14日に予防的抗菌薬全身投与が行われた患者(5試験・272例)で、全死因死亡の有意な低下が認められた(リスク比:0.54、95%信頼区間:0.34~0.87)。対照群のイベント発生率は26%。治療必要数(NNT)は8(95%信頼区間:5~33)だった。一方、周術期における非吸収性および局所単独投与の試験の評価では、死亡率への有意な影響は認められなかった。有害転帰に関しては、予防的全身投与による肺炎発症の減少、および周術期予防投与では創傷感染症の減少が確認された。また、黄色ブドウ球菌の感染および定着が、抗ブドウ球菌抗菌薬の予防的投与で減少していた。予防的投与による耐性獲得の有意な増加は、3試験で認められた(リスク比:2.84、95%信頼区間:1.38~5.83)。このように一部で抗菌薬の予防的投与による全死因死亡が確認されたが、研究グループは、「全体として試験のクオリティが低い」とも報告。メタ解析の結果に疑問符を付し報告をまとめている。また、周術期は別として予防投与は今のところ重度熱傷患者には推奨されていない。その利用を正しく評価するための無作為化対照試験が求められると最後に述べている。

1806.

小児の重症感染症の危険信号となる臨床徴候を同定

外来診療における小児の臨床徴候のうち、重症感染症の危険信号(red flag)としてチアノーゼ、速い呼吸、末梢循環不全、点状出血発疹が重要であり、両親の心配や臨床医の直感も危険なことが、ベルギーLeuvenカトリック大学一般医療科のAnn Van den Bruel氏らが行った系統的なレビューで明らかとなった。小児重症感染症の死亡率や罹患率を低減するには早期の正確な診断が要件となるが、重篤な病態の罹患率は低く、また重症度が明確でない早期の時点で重篤な病態を呈する患児はほとんどいないため診断は容易でないという。プライマリ・ケアでは重篤な病態に至る患児は1%未満だが、臨床医には心配する両親を安心させ、重症患児を診断する義務がある。Lancet誌2010年3月6日号(オンライン版2010年2月3日号)掲載の報告。危険信号としての臨床徴候を尤度比で評価研究グループは、先進国における外来診療時の小児重症感染症の鑑別に有用な臨床徴候の同定を目的に系統的なレビューを行った。小児の重症感染症の臨床徴候を評価した論文を同定するために、データベース(Medline、Embase、DARE、CINAHL)を検索し、関連研究の参考文献リストに当たり、各研究者と連絡を取った。1,939の関連文献を同定し、さらに以下の6つの基準で論文の絞り込みを行った。1)診断精度や予測基準を評価する研究、2)対象は感染症以外の疾患がみられない1ヵ月~18歳の小児、3)外来診療、4)予後:重症感染症、5)外来診療で評価が可能な徴候、6)十分なデータが提示されている。試験の質の評価は、Quality Assessment of Diagnostic Accuracy Studiesの判定基準で行った。各臨床徴候について、重症感染症発現の尤度比(陽性尤度比)および非発現の尤度比(陰性尤度比)を算出した。陽性尤度比>5.0の臨床徴候を重症感染症の危険信号とし、陰性尤度比<0.2の場合は除外徴候とした。リスクのレベルに応じてとるべき臨床行動を同定すべき30の試験が解析の対象となった。チアノーゼ(陽性尤度比:2.66~52.20)、速い呼吸(同:1.26~9.78)、末梢循環不全(同:2.39~38.80)、点状出血発疹(同:6.18~83.70)が複数の研究で危険信号として同定された。プライマリ・ケアに関する一つの研究では、両親の心配(陽性尤度比:14.40、95%信頼区間:9.30~22.10)および臨床医の直感(同:23.50、同:16.80~32.70)が強力な危険信号であった。40℃以上の発熱は、重症感染症の罹患率が低い状況でも危険信号としての価値はあることが確認された。単一の臨床徴候のみで重症感染症の可能性を除外することはできなかったが、いくつかの徴候を組み合わせると可能であった。たとえば、呼吸困難がみられず、かつ両親の心配がない場合は、肺炎は高い確率で除外できた(陰性尤度比:0.07、95%信頼区間:0.01~0.46)。観察所見で重症度を判定するYale Observation Scaleは、重症感染症の確定(陽性尤度比:1.10~6.70)にも、除外(陰性尤度比:0.16~0.97)にも有効ではなかった。これらの結果を踏まえ、著者は「今回の検討で同定された重症感染症の危険信号はルーチンに用いるべきだが、効果的な予防措置を講じなければ重篤な病態は今後も見逃されるだろう」とし、「リスクのレベルに応じてとるべき臨床行動を同定する必要がある」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

1807.

ディスカバリーCOPD研究会設立 ―落語家・桂歌丸氏が「肺の生活習慣病」COPD啓発大使に就任―

2010年2月25日、都内で「ディスカバリーCOPD研究会」設立プレスセミナーが行われた。その中で、同研究会理事の平田一人氏(大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器病態制御内科学教授)は「日本におけるCOPD治療の現状とディスカバリーCOPD研究会の果たす役割」について講演を行った。「タバコ病」「肺の生活習慣病」とも呼ばれるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)では、咳や痰が続いたり、階段を上るなどの労作時に息切れしたりするなどの自覚症状がみられる。平田氏は、「これらはごくありふれた症状であるため、見過ごされることも少なくない」と述べ、「COPDを放置すると、呼吸機能低下で日常的に呼吸困難が起きたり、場合によっては寝たきりになる可能性もある」ことを示唆した。さらに、「COPDはわが国の死亡原因の第10位(男性は第7位)に位置しているにもかかわらず、いまだ12%程度の患者しか診断されていない」状況についても言及した。こうした現状を受け、わが国におけるCOPD診断率向上を目的とした「ディスカバリーCOPD研究会」が設立された。同研究会では、2015年までにCOPDの診断率を25%まで引き上げることを目標とし、COPD啓発活動として、2010年1月より全国の医療関係者を対象とした「ディスカバリーCOPDセミナー」を年間で約400回開催することが決まっている。研究会の代表幹事には相澤久道氏(久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門教授)が就任した。理事には、平田氏の他に、一ノ瀬正和氏(和歌山県立医科大学内科学第三講座教授)、西村正治氏(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野教授)が名を連ねる。その他、約30名のCOPD専門医がサポートしている。講演会に続き、落語家・桂歌丸氏の「COPD啓発大使」就任式が行われたが、式には肺炎のため欠席となった歌丸氏の代理として、弟子の桂歌助氏が出席した。(ケアネット 呉 晨/吉田 直子) 

1808.

小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」2月24日発売

ワイス株式会社は、昨年10月16日に製造販売承認を受けた7価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー」(製品名:プレベナー水性懸濁皮下注)を2月24日から発売したと発表した。プレベナーは、肺炎球菌による細菌性髄膜炎、菌血症などの侵襲性感染症を予防する国内初の小児用肺炎球菌結合型ワクチン。接種対象は、生後2カ月齢から9歳以下の小児。現在101の国・地域で承認されている。●詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2010/0223.asp

1809.

人工呼吸器装着の重症疾患患者、非鎮静で非装着日数が増加

人工呼吸器装着中の重症疾患患者では、毎日中断しながら鎮静を継続する方法よりも鎮静を行わない方法が、非装着日数を増加させることが、デンマークOdense大学病院麻酔科・集中治療医学のThomas Strøm氏らが実施した無作為化試験で示された。人工呼吸器装着重症疾患患者の標準治療では、通常、持続的な鎮静が行われる。最近は毎日中断しながら鎮静を継続する方法の有用性も示されているが、Odense大学病院の集中治療室(ICU)では非鎮静のプロトコールが標準だという。Lancet誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月29日号)掲載の報告。非鎮静群と中断的鎮静群の非装着日数を比較する単施設無作為化試験研究グループは、人工呼吸器装着期間は毎日中断しながら鎮静を継続する方法よりも鎮静を行わない方法で短縮できることを検証するために、単施設における無作為化試験を実施した。24時間以上の人工呼吸器の装着を要すると考えられる成人重症疾患患者140例が登録され、非鎮静群(70例)あるいは毎日中断しながら鎮静[プロポフォール(商品名:ディプリバンなど)20mg/mLを48時間、以後ミダゾラム(同:ドルミカムなど)1mg/mL]を続ける群(70例)に無作為に割り付けられた。両群ともモルヒネ(2.5あるいは5mg)がボーラス投与された。主要評価項目は人工呼吸器装着後28日までの非装着日数とし、入院~28日までのICU収容日数および入院~90日までの入院日数も記録した。28日までの非装着日数:13.8日 vs. 9.6日48時間以内に死亡あるいは人工呼吸器が抜管された27例が試験から除外された。平均人工呼吸器非装着日数は、非鎮静群(55例)が13.8日と中断的鎮静群(58例)の9.6日に比べ有意に増加した(平均差:4.2日、p=0.0191)。非鎮静群は、ICU在室日数(ハザード比:1.86、p=0.0316)および30日までの入院日数(同:3.57、p=0.0039)がともに、中断的鎮静群よりも有意に短かった。事故による抜管、CTやMRIによる脳検査を要する症例、人工呼吸器関連の肺炎はみられなかった。激越型せん妄の頻度は、非鎮静群が20%(11/55例)と中断的鎮静群の7%(4/58例)に比べ有意に高かった(p=0.0400)。著者は、「人工呼吸器装着重症疾患患者では、毎日中断しながら鎮静を行うよりも鎮静を行わない方法が非装着日数を増加させる」と結論し、「この効果の他施設における再現性を検証するために多施設共同試験を実施すべき」としている。(菅野守:医学ライター)

1810.

ロタウイルスワクチンの接種効果:米国SCID乳児でウイルス感染例が報告

米国で、経口5価ロタウイルス生ワクチン(RV5)の接種を受けた、重症複合型免疫不全症(SCID)の乳児3児が、同ウイルスに感染したことが報告された。いずれの乳児も、同ワクチンの初回または2回目の接種後1ヵ月以内に、脱水症状や下痢を起こし、その後、SCIDであることが判明したケースだという。米国Baylor大学のNiraj C. Patel氏らの症例報告によるもので、NEJM誌2010年1月28日号で発表された。米国では2006年にRV5が承認を受け、その後、乳児へのルーチン摂取が行われるようになっている。脱水や重度下痢、成長障害など引き起こすPatel氏らの報告によると、1児は、生後2ヵ月と4ヵ月に、RV5の接種を受けたケース。その後、生後5ヵ月の時、脱水、重度の下痢、代謝性アシドーシス、成長障害、肺炎で入院した。2児目は、生後2ヵ月と4ヵ月でRV5を接種し、2回目を受けた6日後、ショック症状、脱水、水溶状の下痢を起こしたケース。3児目は、生後2ヵ月でRV5を接種後、重度の下痢、成長障害、呼吸促迫を起こしたケースだった。なおいずれの乳児も、集団保育は受けていなかった。RV5投与前にSCID検査の実施が望ましい3児の便について、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)定量法と遺伝子配列分析を行った結果、RV5ワクチンに含まれるウシロタウイルス(WC3)が検出された。RV5は親株となるWC3と4種のヒトロタウイルスを合わせ、弱毒化したもの。これまでに、WC3様のウシロタウイルスの、ヒトへの感染例は報告されていなかった。この結果を受け、Patel氏らは、SCIDの家族歴がない乳児に対し、SCIDの有無を事前に見極めずにRV5ワクチンを接種することは「あり得るかもしれない」とした上で、新生児に対して行う血液検査の中で、SCIDの有無を見極めることで、医師による乳児に対するワクチン投与の、より効果的な選択を可能にし、ワクチン投与に伴う病気の発症予防にもつながると述べている。米国では、新生児に対し、より頻度の高い遺伝性疾患に関する血液検査を行っており、その際、SCIDの有無を検査している州もあるという。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1811.

カナダ製の新型インフルエンザワクチン「Arepanrix」 WHOの事前認定を取得

英グラクソ・スミスクライン社は1日(現地時間)、同社のカナダ製新型インフルエンザワクチン 「Arepanrix」 (アジュバント添加新型インフルエンザワクチン)が、世界保健機関(WHO)より事前認定(Pre-qualification)を取得したと発表した。同社の日本法人が報告した。WHOによる新型インフルエンザワクチンの事前認定は初めてとなる。同社は先月、途上国用としてアジュバント添加H1N1ワクチン5,000万接種分をWHOに寄贈する契約を締結したことを発表したばかり。また同社は、今年11月に肺炎球菌ワクチン、7月に子宮頸がん予防ワクチン、6月にロタウイルス胃腸炎予防ワクチンについて、WHOから事前認定を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000600.html

1812.

2009新型インフル、治療の実態:アメリカの4~6月の入院患者

本論は、アメリカの「2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルス入院医療調査チーム」からの報告で、米国で2009年4月1日~6月5日にかけて新型インフルに感染し入院治療を受けた患者(生後21日~86歳)の臨床上の特性について解説したものである。NEJM誌2009年11月12日号(オンライン版2009年10月8日号)に掲載された。入院患者272例のうち、ICU入院25%、死亡7%。ICU入院患者年齢中央値は29歳調査チームは患者カルテから、インフルエンザ様疾患で24時間以上入院し、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法によって2009H1N1ウイルス陽性だった、272例の患者に関するデータを集め分析した。調査対象となった272例のうち集中治療室(ICU)に入院したのは67例(25%)、死亡は19例(7%)だった。ICU入院患者の年齢中央値は29歳(範囲:1~86)。またICUに入院した67例のうち42例(63%)が人工呼吸器を装着していた。24例が急性呼吸不全症候群(ARDS)、21例が敗血症と診断されている。ICUで治療を受けた65例のうち抗ウイルス薬治療を受けたのは56例(86%)で、発症から抗ウイルス薬治療開始までの時間の中央値は6日(範囲:0~24)、発症後48時間以内治療開始は23%だった。入院患者には抗ウイルス薬治療の早期開始が有益入院患者272例のうち、18歳未満の子どもは122例(45%)で、65歳以上の高齢者は14例(5%)だった。また、患者198例・73%(子ども60%、成人83%)は1つ以上の基礎疾患(喘息、糖尿病、心疾患、肺疾患、神経疾患、妊娠)を有していた。妊婦は18例(7%)だった。なお2つ以上の基礎疾患を有していたのは32%だった。入院時に胸部X線撮影を受けた249例のうち100例(40%)に、肺炎と同様の所見が見られた。抗ウイルス薬治療に関するデータが入手できた268例のうち、治療を受けたのは200例(75%)で、発症から治療開始までの時間の中央値は3日(範囲:0~29)、発症後48時間以内治療開始は39%だった。研究チームは、「評価期間中に、新型インフルは肺炎や死亡など入院を要する重度疾患を引き起こすこと、患者の約4分の3に1つ以上の基礎疾患があること、65歳以上では重症の報告が少ないことが確認された」と述べるとともに、「入院患者には早期からの抗ウイルス療法が有益なようだ」とまとめている。(医療ライター:朝田哲明)

1813.

カリフォルニア、新型インフルの入院・死亡リスクは1歳未満が最大

米国カリフォルニア州の調査によると、新型(A/H1N1)インフルエンザで入院または死亡した割合は、年齢別では1歳未満の乳幼児が最大で、10万人中11.9人に上ることが報告された。入院または死亡した人の年齢中央値は27歳(範囲:1~92歳)と、通常のインフルエンザに比べて低年齢の傾向であることも確認された。米国カリフォルニア州公衆衛生局のJanice K. Louie氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年11月4日号で発表している。入院患者の7割に、通常インフルエンザ合併症のリスク因子Louie氏ら研究グループは、カリフォルニア州で2009年4月23日~8月11日にかけて報告された、A/H1N1インフルエンザで入院または死亡した計1,088人について調べた。被験者はすべて、検査によりA/H1N1インフルエンザ感染が確認された。このうち、68%(741/1,088人)が、通常のインフルエンザ合併症のリスク因子があった。また、胸部X線撮影を行った833人のうち、66%(547/833人)に肺浸潤が認められた。集中治療を要したのは、全体の31%(340/1,088人)だった。50歳以上死亡率は約20%と高率入院患者のうち死亡に至った割合は11%(118/1,088人)で、年齢別では50歳以上が18~20%と最も高率だった。最も多い死因は、ウイルス性肺炎と急性呼吸窮迫症候群だった。 また二次的な細菌感染が見られたのは、全体の4%(46/1,088人)だった。一方、A/H1N1インフルエンザの簡易抗原検査では、偽陰性率が34%(208/618人)に上ることが確認された。なお、884人中183人(21%)は、抗ウイルス薬を服用していなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1814.

HIV感染症:進歩と進化

11月5日に開催された、アボット ジャパン株式会社 メディアセミナー「HIV/AIDS診療最前線―女性における感染の現状と対策」のレポートをお届けする。国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター センター長の岡慎一氏は、HIV/AIDS診療のこれまでの変遷と今後の展望について、最新の知見や自身の施設におけるデータも交え、講演した。近年、HIV/AIDSの治療法は目覚しい進歩を遂げ、HIV感染症は薬剤によりコントロールし得る時代となった。岡氏は、その一方で、ウイルス側の変化やHIV抗体検査の現状から、これまでの「AIDSの常識」が変容しているとし、4つの点を指摘した。1点目は、「治療法の進歩により、AIDSによる死亡者はほとんどいなくなった」というものである。1996年以前、すなわちHAART(Highly Active AntiRetroviral Therapy:多剤併用療法)の導入以前のHIV感染症診断後の平均余命は7年であったが、現在では約40年となっている(デンマーク・コホートより)。国立国際医療センターにおいて、日和見感染症で死亡する頻度は1000人に1人程度であり、2000年からほぼ変化していない。しかし、HIV感染症診断時に80%がHAARTを受けておらず、末梢血中のCD4陽性細胞は200/μl以下がほとんどを占める患者群においては、8割近くが診断後1年以内に死亡している。すなわち、HIV感染症と診断された時点でAIDSを発症している場合(いわゆる「いきなりエイズ」)では、死亡は十分にありえる。また、最近は悪性リンパ腫やカリニ肺炎などによるエイズ関連死より、非エイズ関連死が増加しており、死亡原因が変わりつつあるとのことである。岡氏は、2点目として、「治療は3剤併用である」ということを挙げた。現在の治療ガイドラインでは、全ての患者はバックボーンドラッグとして2剤のNRTIs(核酸系逆転写酵素阻害薬、2NRTIs)を必ず投与され、キードラッグとしてNNRTI(非核酸系逆転写酵素阻害薬)とPI(プロテアーゼ阻害剤)のどちらかが投与されるが、仮に初回に2NRTIsとNNRTIを投与したとすると、次の治療では2NRTIsとPIの投与となり、2NRTIsがクロスすることが弱点となる。NRTIはミトコンドリア障害を起こすため、治療の長期化が避けられない患者のリスクとなっている。岡氏は、今後、ウイルスの進入阻害やインテグラーゼ阻害など新規機序の薬剤が導入されることが期待されており、2NRTIsを入れない治療も視野に入れられるのではないかと語った。3点目は、「感染からAIDS発病まで約10年の潜伏期がある」という「常識」である。国立国際医療センターにおいて、HIV急性感染が確認された82例を対象に、CD4が350以下、もしくは治療を必要とするレベルになるまでの期間を解析したところ、半分の症例は半年でCD4が350以下となり、3年後には8割の症例が350以下となった。 350ではまだAIDSとはいえないため、ここから確定的なことは導けないが、発症までの期間が短縮している感覚がある、と岡氏は語った。また、1985年以前の非加熱製剤投与によるHIV感染血友病患者との比較においては、3年後350を維持している血友病患者が50%弱であったのに対し、最近のHIV感染患者では13%と、有意に減少している。施設による偏りなどのバイアスは否定できないが、なぜ発症が加速しているのか。岡氏は、HLA型とウイルス変異の関連があるとした。HIVの封じ込めには、細胞傷害性T細胞(CTL)が重要と考えられている。HIV感染細胞膜において、HLAとHIVの一部が複合体となり、CTLに抗原提示する。その際、HLAに遺伝子多型の1つであるB*51アリルがあると、ワイルドタイプのHIVを完全に排除できる。HIV陽性の血友病患者で10年以上進行しない、Slow Progressorと呼ばれる長期未発症症例では、B*51を持つことが確認されており、日本人では唯一のウイルス抵抗型であった。しかし、近年、ウイルス変異によって以上の機序から逃避するHIVが広まっており、むしろB*51を持っている方が早く進行するとのことである。こういったことからも、「発病前に見つかれば」の猶予が10年から3年になり、「いきなりエイズ」の増加につながっている。4点目に挙げられたのは、「抗体検査は無料匿名で保健所でできる」ことである。現在、HIVの検査件数は右肩上がりであるが、死亡者数はほとんど変化していない。現状は、保健所での検査件数は上限に近づいているが、医療機関では検査が進んでいない。国立国際医療センターの例では、ウイルス検査目的で見つかったのは3割、他の疾患精査中に発見されたのがほぼ5割と、医療機関における検査の余地が示唆された。また、性感染症(STD)既往時のHIV検査率は35%と低く、医療側にも意識が少ない、と岡氏は指摘した。STD診断時のHIV検査は保険適応となっているが、それが医療者に浸透していないことも、検査率が低い理由の一つと考えられる。検査をしなければHIV感染は判明しない。また、AIDSを発症してからでは治療の効果も期待できないことから、発症までが加速している現在、ますます早期診断が重要となっているとして、岡氏は講演を終えた。 《関連リンク》国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター: http://www.acc.go.jp/accmenu.htm (ケアネット 板坂 倫子)

1815.

抗生物質「VIBATIVTM(テラバンシン)」米国で新発売

アステラス製薬株式会社は6日、米国テラバンス社より導入した抗生物質「VIBATIVTM(一般名:テラバンシン)」について、当社の米国子会社アステラス ファーマ US, Inc.が「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)を含むグラム陽性菌に起因する複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI)」を適応症として新発売した。テラバンシンは、細菌の細胞壁合成を阻害するとともに細胞膜透過性の増大作用をあわせ持つ、1日1回投与の脂質化グリコペプチド系の注射剤。同剤については、2006年12月にテラバンス社がcSSSIの適応症で米国食品医薬品局(FDA)に申請しており、2009年9月に承認を取得している。また、追加適応の院内肺炎については、現在、FDAにおいて審査中とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/vibativtm-1.html

1816.

レボフロキサシン水和物注射剤を国内製造販売承認申請

第一三共株式会社は29日、レボフロキサシン水和物注射剤の国内製造販売承認申請を、10月28日に行ったことを発表した。レボフロキサシン水和物注射剤は、当社が創製したニューキノロン系注射用抗菌剤。これまでの臨床試験成績から、本注射剤は肺炎及び慢性呼吸器病変の二次感染に対して優れた臨床効果を示すことが確認されている。レボフロキサシン水和物の経口剤である「クラビット錠500mg・錠250mg・細粒10%」は、治療現場においてすでに広く認知されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/yymmdd_nn.html?b_newsrelease_n1.detail[id]=1231.1&b_newsrelease_n1.year_selector[id]=1231.1&b_newsrelease_n1.category_selector[id]=1231.1

1817.

ニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス細粒小児用15%」製造販売承認取得

富山化学工業株式会社は、10月16日にニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス細粒小児用15%」の製造販売承認を取得したと発表した。オゼックス細粒小児用15%は、1990年より経口剤(錠剤)として販売しているオゼックス錠を小児用細粒剤として開発した薬剤であり、小児の肺炎、中耳炎に適応を有する国内初の小児用ニューキノロン系合成抗菌剤である。ペニシリン耐性菌を含む肺炎球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどに優れた抗菌力を示し、他の経口抗菌剤による治療効果が期待できない症例に対しても優れた臨床効果が期待できるという。本剤は薬価収載後、同社が製造し、大正富山医薬品株式会社を通じてプロモーション、販売される。 詳細はプレスリリースへhttp://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/091016.html

1818.

抗生物質「テラバンシン」欧州にて承認申請へ

アステラス製薬株式会社は10月29日、米国テラバンス社(本社:カリフォルニア州サウス・サンフランシスコ)より導入した抗生物質「テラバンシン(一般名)」について、同社の欧州子会社アステラス ファーマヨーロッパB.V.が、成人における「人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎」および「複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSTI)」を目標適応症として10月26日(現地時間)に欧州医薬品審査庁(EMEA)に承認申請を行ったと発表した。テラバンシンは、細菌の細胞壁合成を阻害するとともに細胞膜透過性の増大作用をあわせ持つ、1日1回投与の脂質化グリコペプチド系の注射剤。米国においては、「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)を含むグラム陽性菌に起因する複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI)」の適応症について9月に承認を取得しているほか、「院内肺炎」についても現在、申請中とのこと。また、日本では「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症」を目標適応症として第I相臨床試験段階にあるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-70.html

1819.

ワクチン接種時の幼児に対する解熱薬のルーチンな予防投与は推奨されない

幼児に対するワクチン接種時のパラセタモール(別名アセトアミノフェン)の予防投与により、発熱の発症率は有意に低減するものの、ワクチン抗原に対する抗体反応を減弱させる場合があることがわかった。チェコ共和国・防衛大学陸軍保健科学部のRoman Prymula氏らの検討で判明したもので、同氏は「それゆえ、パラセタモールのルーチンの予防投与は推奨されない」としている。発熱はワクチン接種後の正常な炎症反応の一種だが、高熱や熱性痙攣の緩和を目的に解熱薬の予防投与が推奨されることがあるという。Lancet誌2009年10月17日号掲載の報告。パラセタモールの予防投与群と非予防投与群を比較する無作為化試験研究グループは、パラセタモールの予防投与がワクチン接種時の幼児の発熱やワクチン反応に及ぼす影響を評価する無作為化対照比較試験を実施した。チェコ共和国の10施設から459人の健常な幼児(登録時:生後9~16週、追加接種時:生後12~15ヵ月)が登録され、ワクチン接種後24時間以内に6~8時間毎にパラセタモールを3回予防投与する群(226人)あるいは同薬剤の予防投与を行わない群(233人)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は38℃以上の発熱の解熱効果とし、副次評価項目は免疫原性の獲得とした。予防投与群で、いくつかのワクチン抗原における抗体価の幾何平均値が有意に低下両群とも発熱が39.5℃を超える例はまれであった[初回接種時:予防投与群<1%(1/226人)、非予防投与群1%(3/233人)、追加接種時:予防投与群2%(3/178人)、非予防投与群1%(2/172人)]。少なくとも1回のワクチン接種後に38℃以上の発熱が見られた幼児は、予防投与群[初回接種時:42%(94/226人)、追加接種時:36%(64/178人)]が、非予防投与群[初回接種時:66%(154/233人)、追加接種時:58%(100/172人)]よりも、有意に少なかった。初回接種後の抗体価の幾何平均値(geometric mean concentration; GMC)は、10種の肺炎球菌ワクチンの血清型、抗ジフテリア抗体、抗破傷風抗体などで、予防投与群が非予防投与群よりも有意に低かった。追加接種後も、非予防投与群に比べ予防投与群で、全肺炎球菌ワクチン血清型、抗破傷風抗体、抗ジフテリア抗体の低い抗体価GMCが持続していた。著者は、「ワクチン接種時の解熱薬の予防投与により発熱をきたす幼児は有意に少なくなったが、いくつかのワクチン抗原に対する抗体反応を減弱させるため、ルーチンの予防投与は推奨すべきでない」と結論している。(菅野守:医学ライター)

1820.

認知症が進行した人の末期は肺炎や発熱が頻繁に起きる

 認知症が進行した患者は、肺炎、発熱エピソード、食事に関する問題が頻繁に起き、それらが6ヵ月死亡率を高めていることが明らかにされた。アメリカで認知症が主要な死因として増えていることを踏まえ、ボストンにあるHebrew SeniorLife Institute for Aging ResearchのSusan L. Mitchell氏らが、末期病態としての認知症の臨床経過を明らかにすることを目的に、ナーシングホーム入所者で認知症が進行した人を対象に調査を行った。NEJM誌2009年10月15日号より。認知症が進行した323人と意思決定代理人を18ヵ月間追跡 調査は、ボストン近郊にあるナーシングホーム22施設(いずれも60床以上)に入所する、認知症が進行した323人[中央値86.0歳、女性85.4%、白人89.5%、認知症(アルツハイマー型72.4%)と診断されてから平均6.0年、入所年数3.0年]と、彼らのケアに関する意思決定代理人(health care proxies)を対象に行われた。 被験者は、2003年2月~2007年8月の間に登録され、18ヵ月間の、認知症入所者の生存有無、合併症、症状、治療に関するデータが収集され、代理人が担当認知症入所者に関して予想される予後や合併症について理解しているかどうかを調べた。認知症末期の入所者の41.1%が肺炎を起こして52.6%に発熱エピソード 結果、18ヵ月間で、54.8%の認知症入所者が死亡した。またこの間に、41.1%が肺炎を起こし、52.6%に発熱エピソードが、85.8%に食事に関する問題があったことが報告された。 年齢、性、罹患期間で補正後、6ヵ月死亡率は、肺炎を併発した人46.7%、発熱エピソードがあった人44.5%、食事に問題があった人38.6%であった。 また被験者には、呼吸困難46.0%、疼痛39.1%といった苦痛を伴う症状が共通して見られた。 死亡前3ヵ月の間には、40.7%が、入院、ER受診、非経口治療、経管栄養療法といった負担の大きな介入を、1つ以上受けていた。ただし代理人が、予後が不良であることや合併症について理解している場合、理解していない場合と比べて、入所者がこれら負担の大きい加入を受けることは低いこともうかがえた(補正後オッズ比:0.12、95%信頼区間:0.04~0.37)。

検索結果 合計:1873件 表示位置:1801 - 1820