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北里大、コロナへのイベルメクチン第III相の論文公表

 北里大学が主導して実施した、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象としたイベルメクチンの第III相臨床試験「CORVETTE-01」の結果については、2022年9月に同大学によって、主要評価項目においてプラセボとの統計学的有意差がなく、有効性が認められなかったことが発表されていた1)。本試験の結果が、Frontiers in Medicine誌2023年5月22日号に掲載された。 軽症~中等症COVID-19患者に対するイベルメクチンの有効性と安全性を検証するための多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験「CORVETTE-01」は、2020年8月~2021年10月の期間に、RT-PCR検査でCOVID-19と診断された国内の221例を対象に実施された。試験期間中は、アルファ株とデルタ株が優勢であった。被験者は20歳以上で、SpO2が95%以上、体重40kg以上とした。対象者をイベルメクチン群とプラセボ群に1対1で割り付け、イベルメクチン(200μg/kg)またはプラセボを絶食下で単回経口投与した。主要評価項目は、SARS-CoV-2に対するRT-PCR検査結果が陰性になるまでの期間とし、層別log-rank検定およびCox回帰モデルを用いて検証した。 主な結果は以下のとおり。・被験者のベースラインは、イベルメクチン群(106例)では、平均年齢47.9歳(SD 15.1)、男性68.9%、73.6%が肺炎を発症し、9例(8.5%)がワクチンを接種していた。プラセボ群(106例)では、平均年齢47.5歳(SD 15)、男性62.3%、肺炎発症が72.6%、ワクチン接種済7例(6.6%)であった。・RT-PCR検査陽性から治験薬の投与までの期間は、イベルメクチン群とプラセボ群ともに2.7日(SD 1.1)であった。・RT-PCR検査の陰性化について、イベルメクチン群とプラセボ群の間に有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.96※、95%信頼区間[CI]:0.70~1.32、p=0.785)。※HR<1ではプラセボが有利、HR>1ではイベルメクチンが有利。・RT-PCR検査が陰性化するまでの期間の中央値は、イベルメクチン群では14.0日(95%CI:13.0~16.0)、プラセボ群では14.0日(12.0~16.0)だった。・最長45日間の追跡調査期間において、イベルメクチン群で82.1%(87例)、プラセボ群で84%(89例)がRT-PCR検査陰性を達成した。・患者登録日から15日目までで、イベルメクチン群(17.9%)とプラセボ群(21.7%)では、同程度の割合で症状の悪化がみられた(オッズ比:0.77、95%CI:0.38~1.54、p=0.462)。・有害事象について、イベルメクチン群では29例(27.1%)、プラセボ群では28例(26.2%)で報告された。Grade3以上の有害事象は、イベルメクチン群1例(CPK上昇)、プラセボ群2例(肝機能障害)で発現した。試験中止に至る治療起因性有害事象はなかった。本試験追跡期間中における患者の死亡も報告されなかった。 本結果により、軽症~中等症COVID-19患者に対するイベルメクチンは、RT-PCR検査陰性化までの期間の短縮にはつながらないことが示された。

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成人肺炎診療ガイドラインを先取りした肺炎の予防戦略/日本呼吸器学会

 肺炎は日本人の死因の5位に位置する主要な疾患である。高齢になるにつれて発生率、死亡率が高くなり、65歳以上の高齢者が死亡者全体の95%以上を占めている。したがって、高齢者肺炎の予防が重要といえる。本邦において、医療関連肺炎(HCAP)では肺炎球菌に加えて口腔内連鎖球菌、嫌気性菌が多かったという報告もあり1)、高齢者肺炎の予防戦略は「肺炎球菌ワクチン」と「口腔ケア」が2本柱といえる。改訂中の成人肺炎診療ガイドラインでは、これに対応して「肺炎の予防に口腔ケアを推奨するか」というCQ(クリニカルクエスチョン)が設定され、システマティックレビュー(SR)が実施された。ワクチンについては、すでに確立された予防戦略と判断されたことから、2017年版の内容が引用され、「インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用接種」が推奨された。そこで、第63回日本呼吸器学会学術講演会において丸山 貴也氏(三重県立一志病院 院長)は、肺炎診療ガイドラインの改訂にあたって実施した口腔ケアのSRの結果や、それに基づく委員会での推奨、ワクチンに関する最新の情報について紹介した。成人肺炎診療ガイドラインで口腔ケアのCQ設定 改訂中の成人肺炎診療ガイドラインでは、「肺炎の予防に口腔ケアを推奨するか」というCQが設定され、人工呼吸器関連肺炎(VAP)/非VAP、クロルヘキシジン使用/不使用に分けてSRが実施された。その結果、非VAPについて、クロルヘキシジン不使用の口腔ケア実施群で、非実施群と比べて肺炎による死亡が有意に減少し、肺炎発症率も有意に低下した。以上の結果などから、推奨は「実施することを弱く推奨する」とする予定と報告された。今回、“弱く”推奨するとなっているのは、認知症や精神疾患などによって口腔ケアの実施が難しい場合が考えられるためであるという。したがって、丸山氏は「口腔ケアにはしっかりとしたエビデンスがあり、原因微生物とストラテジーもはっきりしている。侵襲性も少ないことから、ぜひ実践してほしい」と述べた。成人肺炎診療ガイドラインではワクチン併用接種を引き続き推奨 現行の成人肺炎診療ガイドライン2017では、「高齢者の肺炎予防において、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用接種は推奨されるか」というCQが設定され、併用接種が強く推奨されている2)。改訂中の成人肺炎診療ガイドラインでは、すでに確立された予防方法として2017年版でのSRの結果を引用しながら、新たなワクチンについても解説するという。 インフルエンザウイルスに感染すると、気道や全身に変化が起こり、肺炎球菌などへの2次感染が生じやすくなる。実際に、本邦においてインフルエンザウイルス感染により入院した患者の合併症として肺炎が最も多く、36.4%を占めていた。また、インフルエンザ関連肺炎の原因微生物として、肺炎球菌が多く、死亡例の80%が肺炎を合併し、インフルエンザ関連肺炎の死亡率は9.5%であった。多変量解析によっても肺炎の発症がインフルエンザウイルス感染の予後規定因子として特定されており3)、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用接種が重要といえる。 肺炎球菌ワクチンについて、日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会は、2023年3月24日に「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第4版)」を公表している。そこでは、65歳以上の健康な高齢者については「定期接種の機会を利用してPPSV23(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)を接種」、ハイリスク者については「PCV13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)またはPCV15接種後1年以内のPPSV23接種を検討(とくに免疫不全者には推奨)」としている4)。改訂中の成人肺炎診療ガイドラインでは、この内容を追随する予定と報告された。

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初夏はとくに注意!熱帯夜で死亡リスク増~47都道府県のデータ解析

 高過ぎる気温は死亡リスク上昇につながることが示唆されているが、ほとんどの研究は最高気温や平均気温を使用している。しかし、気温上昇は最高気温より最低気温のほうが速い。今回、筑波大学のSatbyul Estella Kim氏らは、最低気温が高い熱帯夜と死亡リスクとの関連を検討した。その結果、熱帯夜により死亡リスクが有意に増加し、さらに晩夏より初夏の熱帯夜で死亡リスクが高いことがわかった。Environmental Health Perspective誌2023年5月号に掲載。 本研究では、日本の47都道府県における43年間(1973~2015年)のデータから、死因や地域別に熱帯夜の死亡率への影響を推定した。熱帯夜は、1日の最低気温が25℃以上の日またはその都道府県において研究期間中の1日最低気温の95パーセンタイル以上の日と定義し、熱帯夜が発生する季節(4~11月)における都道府県別の熱帯夜と死亡率の関連を推定した。さらに、ランダム効果メタ解析モデルを用いて統合累積関連を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2,472万1,226例の死亡例を解析した。・熱帯夜ではない日に対する熱帯夜の相対死亡リスク(RR)は、最低気温25℃以上で1.09(95%信頼区間:1.08~1.10)、最低気温が95パーセンタイル以上で1.10(同:1.09~1.11)であった。・11の死因(心血管疾患、虚血性心疾患、脳血管疾患、脳出血、脳梗塞、呼吸器疾患、肺炎、COPD、喘息、腎臓病、高齢)による死亡率すべてが熱帯夜と関連していた。・熱帯夜と死亡率との関連の強さは都道府県によって異なっていた。・すべての地域で、晩夏と比べて初夏の熱帯夜の死亡リスクが高かった。 著者らは、この結果について「1日平均気温で説明可能な死亡率以上に、熱帯夜が死亡に影響するというエビデンスを裏付けるもの」としている。

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誤嚥性肺炎予防に黒こしょうが効く?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第234回

【第234回】誤嚥性肺炎予防に黒こしょうが効く?Unsplashより使用咳嗽を誘発するものは、誤嚥性肺炎に対して予防的に働くことが知られています。ACE阻害薬は、副作用の咳嗽が誤嚥性肺炎を予防する効果があるとされています。さて今回紹介する論文で検証されたのは、黒こしょうです。黒こしょうは咽頭へのサブスタンスPの放出を増加させることによって、嚥下反射を改善して誤嚥を予防することが示されています。山口 学ほか.療養型病棟における黒胡椒を用いた誤嚥性肺炎予防.日本気管食道科学会会報. 2018;69(1):13-16.この研究では、療養型病床群に入院している患者32例を2群に分け、60日ごとに黒こしょうを使用する群と非使用群にクロスオーバーして黒こしょうを使用し、誤嚥性肺炎の発生率を調べました。研究期間中に37.5℃以上の発熱があった症例は28例で、2日以上の発熱と誤嚥性肺炎があり、抗菌薬を使用した症例は11例でした。黒こしょうを使用した群は、発熱例11例、抗菌薬使用例は2例であり、有意に抗菌薬の使用頻度および治療日数を抑制することが示されました。これと同じメカニズムで、黒こしょうオイルを吸入してもらうことで、脳卒中後遺症の105例に嚥下反射の改善がみられたという報告があります1)。なんかクシャミ出そうなので、個人的には、あまり黒こしょうは吸いたくない気もしますが…。1)Ebihara T, et al. A randomized trial of olfactory stimulation using black pepper oil in older people with swallowing dysfunction. J Am Geriatr Soc. 2006 Sep;54(9):1401-1406.

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第45回 麻疹の接種歴も抗体価も知らぬ医師

茨城県と東京都で成人麻疹8年前から日本は麻疹排除状態になり、麻疹はどちらかといえば輸入感染症としての側面を持つようになっています。茨城県でインドから持ち込まれた麻疹ウイルスに感染した事例が報告され、これと疫学的リンクがある2例が東京都でも発生したことが報道されました。新幹線のグリーン車で感染したらしいので、学会などで移動が増えているこの時期、医師の皆さんもご注意ください。接種歴を知らない医療従事者私は感染制御チームに所属しているので、麻疹の接種歴や抗体価のデータをどのように管理すればよいか日々試行錯誤しているのですが、医療従事者の中には、自分が麻疹にかかったことがあるかどうか・ワクチンを接種したことがあるかどうか・抗体価は十分あるかどうか、知らない人が結構います。意識が高い人は、印刷したデータをネームプレートに入れています。病院実習のときにワクチン接種歴を聞かれて、不十分と判断された大学では接種をすすめていたでしょう。しかし、それすらも記憶にない医師が結構多くて、びっくりします。家族が妊娠したときに、風疹については少し興味を持ってくれる人が多いようですが、麻疹はあまり興味を持たれません。混合ワクチンを接種している世代が増えてきましたが、私のように中途半端な世代もまだまだ多いと思います(表)。アフターコロナで流行国へ渡航することが増えると、麻疹ワクチンを1回のみで接種している人たちが感染するパターンが増えてくるかもしれません。画像を拡大する表. 麻疹ワクチン接種歴(筆者作成1))麻疹には特異的な治療法がなく、対症療法が中心になります。そのため、できるだけ感染しないようワクチンによる予防が重要になります。麻疹による死亡のほとんどは肺炎か脳炎です。まずは接種歴と抗体価の把握をワクチン接種歴や、麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎の抗体価については、ご自身で把握しておくことが望ましいですが、とくに医局人事で病院を転々とする人は、途中でデータが紛失してしまうこともあるため注意してください。参考文献・参考サイト1)一般社団法人日本ワクチン産業協会. 予防接種に関するQ&A集

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間質性肺炎合併肺癌の薬物療法、改訂GLの推奨は?/日本呼吸器学会

 間質性肺炎(IP)には肺癌が合併することが多く、IP合併肺癌に対する治療は急性増悪を引き起こすことが問題になる。近年、肺癌の薬物療法は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が主流となり、IP合併肺癌に対する薬物療法について、さまざまな検討がなされている。2023年4月に改訂された特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)では、これらのエビデンスを基に、合併肺癌に関して新たに3つのCQ(クリニカルクエスチョン)が設定され、合計6つとなった。合併肺癌に関するCQと関連するエビデンスについて、岸 一馬氏(東邦大学医学部内科学講座 呼吸器内科学分野 教授)が第63回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。改訂GLの合併肺癌に関するCQと推奨 特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)は、慢性期、急性増悪、合併肺癌、肺高血圧症、進行期の5つのセクションで構成され、今回から肺高血圧症と進行期が追加された。合併肺癌に関するCQは3つ追加された(CQ20-1、20-2、21)1)。 IP合併肺癌のCQとポイントは以下のとおり。CQ17:IPF(特発性肺線維症)を含むIP合併肺癌患者に外科治療は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、IP合併例肺癌手術例の予後を調べた研究では、StageIAであっても5年生存率が59%にとどまっていたことが報告されている2)。その理由として、術後急性増悪による死亡の多さがある。IP合併肺癌1,763例を対象とした後ろ向き研究では、急性増悪が9.3%に発現し、死亡率は43.9%であった3)。術後急性増悪のリスク因子からリスク予測モデルが作成され、その有用性を検討した前向きコホート研究REVEAL-IP Studyが実施された。その結果、術後急性増悪は1,094例中71例(6.5%)に発現し、そのうち39.4%が死亡したが、後ろ向き研究時よりも改善傾向にあった。CQ18:IPFを含むIP合併肺癌患者に術後急性増悪の予防投薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、ステロイドなどの術前予防投薬を行っても術後急性増悪の発現率は低下しないことが報告されている3)。その後、少数例の検討ではあるがピルフェニドンが術後急性増悪の発現リスクを低下させることが報告され、現在IPF合併肺癌患者を対象として周術期ピルフェニドン治療の有用性を検討する無作為化比較試験が実施されている4)。CQ19:IPFを含むIP合併肺癌患者に細胞傷害性抗がん薬は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、IP合併非小細胞肺癌(NSCLC)に対する初回化学療法の前向き試験が複数実施されており、急性増悪の頻度は12%以内で、近年は全生存期間中央値(MST)が15ヵ月を超えている。また、2022年12月には、化学療法とBest Supportive Care(BSC)を後ろ向きに比較した研究結果が報告された。傾向スコアマッチングを行っても、化学療法群はBSC群と比較して全生存期間(OS)が有意に延長した5)。CQ20-1:IPFを含むIP合併肺癌患者に血管新生阻害に関与する分子標的治療薬は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2 エビデンスの強さ:D(非常に低) エビデンスは少ないものの、化学療法にベバシズマブを上乗せしても急性増悪の発現は増加せず、無増悪生存期間(PFS)を延長する傾向が報告されている。また、推奨の決定に関するシステマティックレビューには含まれなかったが、世界で初めてIPF合併NSCLCを対象にニンテダニブの化学療法への上乗せ効果を検討した国内第III相無作為化比較試験(J-SONIC試験)の結果が本邦から報告された。主要評価項目の無イベント生存率(EFS)について、化学療法+ニンテダニブ群は化学療法群と比較して有意差は認められなかったが、奏効率(ORR)は化学療法群が56.0%であったのに対し、化学療法+ニンテダニブ群は69.0%と有意に高かった(p<0.05)。また、PFSについて、中央値は化学療法群が5.5ヵ月であったのに対し、化学療法+ニンテダニブ群は6.2ヵ月であり、有意に延長した(ハザード比:0.68、95%信頼区間[CI]:0.50~0.92)。OSについては、全体では両群間に有意差はなかったが、非扁平上皮NSCLC、GAP StageIのサブグループにおいて、化学療法+ニンテダニブ群が有意に改善した。急性増悪の頻度は、化学療法群1.6%、化学療法+ニンテダニブ群4.1%、全体でも2.9%と低かった6)。CQ20-2:IPFを含むIP合併肺癌患者にドライバー遺伝子変異に対する分子標的治療薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案または推奨 推奨の強さ:現段階では結論付けない エビデンスの強さ:D(非常に低) 推奨の強さについて、現段階では結論付けないとされた。これについては、パネル委員の全員が投与しないことを提案または推奨したが、一定の基準に達しなかったため、推奨の強さは決定されなかった。このような推奨となった一因として、日本人の肺癌患者を対象としてゲフィチニブと化学療法を比較した試験において、ゲフィチニブ群で間質性肺疾患(ILD)の頻度が高く(ゲフィチニブ群4.0%、化学療法群2.1%、オッズ比[OR]:3.2)、ILDによる死亡率が30%を超えたことなどが挙げられる7)。CQ21:IPFを含むIP合併肺癌患者に免疫チェックポイント阻害薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2 エビデンスの強さ:D(非常に低) IP合併肺癌に対するICIの効果を検討したメタ解析の結果が報告されている。10試験(ILDのある患者179例)が対象となり、そのうち8試験が本邦の報告であった。ORRについて、ILDのある群(34%)はILDのない群(24%)と比較して有意に良好であった(OR:1.99、95%CI:1.31~3.00)。一方、ILDのある群は免疫関連有害事象(irAE)の発現率が有意に高率であった(OR:3.23、95%CI:2.06~5.06)。ICIによる肺臓炎についても、ILDのある群(全Grade:27%、Grade3以上:15%)はILDのない群(同10%、4%)と比較して有意に高率であった(OR:2.91、95%CI:1.47~5.74)8)。また、びまん性肺疾患に関する調査研究班は、IP合併肺癌におけるICIの薬剤性肺障害に関する後ろ向き研究を実施した。その結果、200例が対象となり、薬剤性肺障害は30.5%に認められた(Grade3以上:15.5%、Grade5:4.5%)。多変量解析の結果、重篤な薬剤性肺障害の危険因子として、IPFあり、IP診断時のSP-D(肺サーファクタントプロテインD)値高値、ICI投与前のCRP値高値が同定された。また、irAEが発現した患者はPFSとOSが有意に良好であり、IP非合併NSCLCにおける過去の報告と一致していた。IP合併肺癌に関する現状のまとめ 岸氏は、IP合併肺癌に関する現状について、以下のようにまとめた。・日本からIP合併肺癌に関するステートメントと特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)が発刊された。・IP合併肺癌の発生予防、治療による急性増悪に関して抗線維化薬の有用性が報告された。・IP合併進行NSCLCに対してカルボプラチン+タキサン、小細胞肺癌(SCLC)に対してプラチナ製剤+エトポシドは標準治療と考えられる。・IP合併肺癌に対するICIにより約30%に薬剤性肺障害が生じるが、比較的良好な治療成績が報告されている。・IP合併肺癌の治療は、リスクとベネフィットを慎重に検討し、患者の希望も踏まえて決定することが重要である。特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)編集:「特発性肺線維症の治療ガイドライン」作成委員会定価:3,300円(税込)発行年月:2023年4月判型:A4頁数:140頁■参考文献1)「特発性肺線維症の治療ガイドライン」作成委員会編集. 特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版). 南江堂;20232)Sato T, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2015;149:64-70.3)Sato T, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2014;147:1604-1611.4)Sakairi Y, et al. J Thorac Dis. 2023;15:1489-1493.5)Miyamoto A, et al. Respir Investig. 2023;61:284-295.6)Otsubo K, et al. Eur Respir J. 2022;60:2200380.7)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:1348-1357.8)Zhang M, et al. Chest. 2022;161:1675-1686.

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コロナワクチンの有効性、40試験のメタ解析結果

 将来の第9波到来を見越した新型コロナ対策として、これまでのブースター接種のタイミングや接種用量などを評価しておく必要がある。伊・Fondazione Bruno Kessler(FBK)のFrancesco Menegale氏らはワクチンの有効性(VE)の経時的変化を数学的に説明できれば、流行時に応用できる可能性があると考え、新型コロナウイルスのデルタ株およびオミクロン株に対するVEとして、VEの半減期や効果減退率に関する調査を実施した。その結果、ワクチン初回接種とブースター接種後の時間経過とともにVEが急速に低下することを示唆した。JAMA Network Open誌2023年5月3日号掲載の報告。 本研究では論文検索データベースとしてPubMedとWeb of Scienceを使用。検索開始から2022年10月19日までの期間に、新型コロナウイルス感染や症候性疾患に対する経時的なVEの推定値を報告した論文からプレプリントまでを抽出してシステマティックレビューならびにメタ解析を行った。なお、各論文で使用されていた主なワクチンはBNT162b2(ファイザー社/ビオンテック社)、mRNA-1273(モデルナ社)だった。 主な結果は以下のとおり。・検索した結果、799件の論文、査読付きジャーナルに掲載された149件のレビュー、35件のプレプリントが該当し、そのうちの40件が分析に使用された。・オミクロン株感染と症候性疾患に対するワクチン初回接種のVEに関する推定値は、最終投与から6ヵ月で20%未満だった。・ブースター接種は、初回接種の投与直後に得られたレベルに匹敵するまでにVEを回復させた。しかし、ブースター接種9ヵ月後のオミクロン株に対するVEは、感染症および症候性疾患に対して30%未満だった。・症候性感染に対するVEが半減するのは、デルタ株では316日(95%信頼区間[CI]:240~470日)、オミクロン株では87日(95%CI:67~129日)と推定された。・また、VEを若年層(18歳未満)と高齢者(60歳以上)で比較したところ、推定値での差はみられなかった(39.2%[95%CI:34.0~44.4] vs.38.7%[95%CI:14.4~63.1])。 研究者らは「本結果は、将来のワクチン接種プログラムの適切な目標とタイミング構築に役立つ可能性がある」としている。

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第44回 WHO緊急事態宣言解除、「コロナ禍終了」でOK?

緊急事態宣言が解除コロナ禍3年経って、ようやくWHOの緊急事態宣言が解除されました。感染症としての動向・予防策・治療の予測が可能となり、また以前ほど肺への毒性が強くないということで、国際的に脅威として対応し続けるよりもウィズコロナを選択するという意味合いが含まれています。しかし、「もう怖い感染症ではない」と誤認を招くのではないかという懸念もあります。実際、WHOは緊急事態宣言の解除に当たって注意を付記しています。それは以下のようなものです。「“The worst thing any country could do now is to use this news as a reason to let down its guard, to dismantle the systems it has built, or to send the message to its people that COVID19 is nothing to worry about”(今、どの国も一番やってはいけないことは、このニュースを理由に警戒を解き、構築したシステムを解いて、国民にCOVID-19は心配ないとメッセージを送ることだ)」"The worst thing any country could do now is to use this news as a reason to let down its guard, to dismantle the systems it has built, or to send the message to its people that #COVID19 is nothing to worry about"-@DrTedros— World Health Organization (WHO) (@WHO) May 5, 2023 日本では結構「緊急事態宣言が終了」というニュースが好意的に報道されたため、「5類」移行期とぴったりマッチしたこともあり、「もう大丈夫」という希望を持った人が多いと思います。ウィズコロナを続けていく上で、感染したら大変なことになるという警戒は以前ほど必要ありませんが、「一気に感染対策をゼロに」という時代が戻ってきたわけではありません。「希望は持ってよいが、油断はできない」というのがWHOの本音でしょう。日本は、欧米と違って非常に低い致死率でCOVID-19を抑えることができました。これはひとえに、日本国民の感染予防意識の高さと医療アクセスの良さによるものだろうと思っています。しかしその反作用として、苦しめられたという思いを持っている国民が多いのも事実です。患者数が増えれば、同じような医療逼迫を繰り返すことになる構図は変わりませんが、もはやそれは「禍」ではなく、1つの日常と受け取られることになるのかもしれません。医療従事者の努力私たち医療従事者は、まさに力戦奮闘、よく頑張りました。不気味な肺炎を起こす感染症には、二度と遭遇したくありません。「“At one level, this is a moment for celebration. We have arrived at this moment thanks to the incredible skill and selfless dedication of health and care workers; The innovation of vaccine researchers and developers; The tough decisions governments have had to make in the face of changing evidence; And the sacrifices that all of us have made as individuals, families, and communities to keep ourselves and each other safe”(ある意味、祝福の瞬間です。私たちがこの瞬間に立つことができたのは、医療・介護従事者の驚くべき技術と献身のおかげです。ワクチンの研究者や開発者の革新性、変化するエビデンスに直面しながらも政府が下した難しい決断、そして、私たち全員が、自身とお互いの安全を守るために、個人として・家族として・コミュニティとして、犠牲を払ってきたことによるものです)」"At one level, this is a moment for celebration.We have arrived at this moment thanks to the incredible skill and selfless dedication of health and care workers;The innovation of vaccine researchers and developers;The tough decisions governments have had to make in the face…— World Health Organization (WHO) (@WHO) May 5, 2023 コロナ禍を締めくくって感傷的になっているさなか、第9波がやってきてまた国内が混乱するということもあるかもしれません。感染対策も一気にゼロというわけではないため、各医療機関で少しずつ引き算していく苦労がしばらくは続くでしょう。とりあえず、情報発信する側に立ってきた人間として、コロナ禍はできるだけ後世に伝えていきたいと思っています。

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RA系阻害薬やアンピシリン含有製剤など、使用上の注意改訂

 厚生労働省は5月9日、RA系阻害薬(ACE阻害薬、ARB含有製剤、直接的レニン阻害薬)、アンピシリン水和物含有製剤およびアンピシリンナトリウム含有製剤(アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウムを除く)の添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。RA系阻害薬-妊娠する可能性のある女性への注意事項を追加 RA系阻害薬の添付文書には「9.4 生殖能を有する者」の項が新設され、“妊娠する可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨、及び妊娠する可能性がある女性に投与が必要な場合の注意事項”を以下のように追記した。(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。 ・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。 ・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。[妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている] 今回、妊娠中の調査対象医薬品の曝露による児への影響が疑われる症例(児の副作用関連症例)の集積状況を評価した結果、添付文書で妊婦に投与しないよう注意喚起しているにもかかわらず症例の報告が継続していることが明らかとなり、妊娠する可能性のある女性への使用に関する注意が必要であると判断された。抗菌薬のアンピシリンなどは肝機能障害に注意 また、アンピシリン水和物含有製剤およびアンピシリンナトリウム含有製剤については、投与後の肝機能検査値の最悪値が有害事象共通用語規準(CTCAE v5.0)Grade3以上に該当する肝機能障害関連の国内症例を評価し、本剤と肝機能障害との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、以下のように使用上の注意を改訂することが適切と判断された。1.「重要な基本的注意」(新記載要領)又は「重大な副作用」(旧記載要領)の項に定期的な肝機能検査を行う旨を追記する。2. 「重大な副作用」の項に「肝機能障害」を追記する。

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FLT3-ITD変異陽性AML、キザルチニブは新たな治療選択肢/Lancet

 新規に診断されたFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)の患者(18~75歳)において、化学療法へのキザルチニブ追加による地固め療法後、最長3年間のキザルチニブ単独療法が、同種造血幹細胞移植(allo-HCT)の有無を問わず全生存期間(OS)の改善に結び付いたことを、米国・デュークがん研究所のHarry P. Erba氏らが「QuANTUM-First試験」の結果から報告した。FLT3-ITD変異陽性AML患者の予後は不良である。キザルチニブは非常に強力な選択的2型FLT3阻害薬(経口薬)で、化学療法との併用で、新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML患者に対する抗腫瘍活性が、許容できる安全性プロファイルと共に示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「QuANTUM-First試験の結果に基づき、キザルチニブは新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML成人患者における、新しい、効果的かつ、概して忍容性が良好な治療選択肢となりうることが示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月25日号掲載の報告。化学療法と併用で寛解導入・地固め療法後、単剤維持療法を最長3年間継続 QuANTUM-First試験は、欧州、北米、アジア、オーストラリア、南米の26ヵ国193病院で行われた第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。キザルチニブのOSへの有効性について、化学療法との併用による寛解導入・地固め療法後、単剤維持療法を行い、対プラセボで比較検討した。 研究グループは、適格基準を満たした新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML患者(18~75歳)を、試験地域、年齢、診断時の白血球数で層別化し、双方向Web音声応答システムを用いて、1対1の割合でキザルチニブ群またはプラセボ群に割り付けた。患者、研究者、資金提供者、受託研究機関は治療の割り付けをマスキングされた。 寛解導入療法は標準的な7+3導入レジメンで、シタラビン100mg/m2/日(または施設や地域標準に基づき200mg/m2/日を許可)持続静脈内投与(1~7日目)とアントラサイクリン(ダウノルビシン60mg/m2/日またはイダルビシン12mg/m2/日)静脈内投与(1、2、3日目)後、キザルチニブ40mgまたはプラセボを1日1回、8日目から開始し14日間経口投与した。 完全寛解および、血球数回復または血小板数回復が不完全な完全寛解の患者は、高用量シタラビン+キザルチニブ(1日1回40mgを経口投与)またはプラセボ、allo-HCT、またはその両方による標準的な地固め療法を受け、その後にキザルチニブまたはプラセボの単剤療法を最長3年間継続した。 主要評価項目はOSで、無作為化からあらゆる原因による死亡までの期間で定義し、intention-to-treat集団で評価した。安全性は、キザルチニブまたはプラセボの投与を、少なくとも1回受けた全患者で評価した。対プラセボのOSに関するハザード比0.78で有意な延長を確認 2016年9月27日~2019年8月14日に、AML患者3,468例がスクリーニングを受け、FLT3-ITD変異陽性であった539例(男性294例[55%]、女性245例[45%])がキザルチニブ群(268例)またはプラセボ群(271例)に無作為化された。キザルチニブ群148/268例(55%)とプラセボ群168/271例(62%)が試験を中途で終了し、主に死亡(133/148例[90%]、158/168例[94%])、または同意撤回(12/148例[9%]、9/168例[5%])のためであった。年齢中央値は56歳(範囲:20~75、四分位範囲[IQR]:46.0~65.0)。 追跡期間中央値39.2ヵ月(IQR:31.9~45.8)の時点で、OS中央値はキザルチニブ群31.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:21.0~推定不能[NE])、プラセボ群15.1ヵ月(13.2~26.2)であった(ハザード比[HR]:0.78、95%CI:0.62~0.98、p=0.032)。 有害事象を1回以上有した患者の割合(キザルチニブ群264/265例[100%]、プラセボ群265/268例[99%])、Grade3以上の有害事象を1つ有した患者の割合(244/265例[92%]、240/268例[90%])は、いずれも両群で同程度であった。最も多くみられたGrade3/4の有害事象は、両群では発熱性好中球減少症、低カリウム血症、肺炎であり、キザルチニブ群では好中球減少症であった。

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第43回 重症コロナのステロイドパルス、正しかった?

呼吸不全が多発したアルファ株・デルタ株オミクロン株になってから、めっきり減った重症のCOVID-19。ちらほら当院にもまだ入院が続いていますが、軽症例がほとんどであり、中等症I・IIはおろか、重症例は非常にレアな疾患となってしまいました。新型コロナワクチン接種率が高いだけでなく、既感染率が高いこと、ウイルスが変異したことが病毒性に大きな影響を及ぼしているとされています。さて、私の勤務する大阪府ではアルファ株の第4波のときが最も呼吸不全例が多い状況で、入院してくる症例のほとんどが中等症IIというありさまでした。戦乱のようなコロナ禍では、当院では稼働病床60床のうち30床がARDSという状況で、悪化を待っていられないという症例にステロイドを多用していたのも事実です。酸素不要で入院したのに短期間で呼吸不全になるケースが本当に多く、ほかに有効な手がありませんでした。ステロイドパルス療法は正しかったかそんな重症COVID-19に対して本当にステロイドパルス療法はよかったのかどうか、大阪大学の社会医学講座公衆衛生学を中心としたグループによる、日本全国のCOVID-19入院患者約6万7,000例の医療データの分析結果が報告されました1)。私たちが苦労したアルファ株・デルタ株の時期も含まれています。結果、重症例におけるステロイドパルス療法(1日当たりのメチルプレドニゾロン500mg以上)は、低用量ステロイドやステロイド非使用例と比較すると、院内死亡リスク低下と関連していることが示されました。反面、比較的軽症患者に対するステロイドパルス療法は死亡リスクを増加してしまうということも本研究で明らかにされています。子細なデータをみると、メチルプレドニゾロン40mg/日でさえも死亡リスクの上昇に関連しているので、気管挿管を必要としない症例では全身性ステロイド投与はかなり慎重になったほうがよいということになります。ステロイドパルス療法というのは、諸外国ではメチルプレドニゾロン250mg/日程度を指すことが多いと思いますが2)、日本の場合1,000mg/日とかなり多い量を投与することがあります。ウイルス性肺炎でステロイド受容体を飽和する以上の用量が本当に必要なのかどうか、国内外でもう少し腹を割った議論が必要と考えています。参考文献・参考サイト1)Moromizato T, et al. Intravenous methylprednisolone pulse therapy and the risk of in-hospital mortality among acute COVID-19 patients: Nationwide clinical cohort study. Crit Care. 2023 Feb 8;27(1):53.2)Edalatifard M, et al. Intravenous methylprednisolone pulse as a treatment for hospitalised severe COVID-19 patients: results from a randomised controlled clinical trial. Eur Respir J. 2020 Dec 24;56(6):2002808.

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喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会

 タイプ2炎症は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)や2型自然リンパ球(ILC2)が産生するIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが作用する炎症である。気道・肺疾患と密接な関係にあり、診断や治療に直結する。とくに、生物学的製剤の治療選択や効果予測に重要な役割を果たすことから、近年注目を集めている。そのような背景から、「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」が2023年4月3日に発刊された1)。第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本書の編集委員長を務めた松永 和人氏(山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座 教授)が「タイプ2炎症バイオマーカーが切り拓く未来」と題し、主に「喘息の診断と管理効率の向上」「疾患修飾による喘息寛解の展望」について、解説した。タイプ2気道炎症は喘息の診断、管理に有用 喘息の補助診断には、血中好酸球数、呼気NO濃度(FeNO)、IgEが有用である。そこで「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」では、血中好酸球数とFeNOについて、喘息の補助診断に関するカットオフ値が設定された1)。 血中好酸球数については、タイプ2炎症の有無を鑑別するカットオフ値が220cells/μLであったという報告2)、一般住民における75パーセンタイル値が210cells/μLであり、210cells/μL以上では喘息を有する割合が高かったという報告3)などがある。以上などから、喘息を疑う症状のある患者における、喘息の補助診断のカットオフ値は220cells/μL(喘息診断を支持)に設定された1)。詳細は、手引きを参照されたい。 FeNOについては、タイプ2炎症の有無を鑑別するカットオフ値が20ppbであったという報告2)、本邦で喘息患者と非喘息患者を鑑別する際のカットオフ値が22ppb(感度91%、特異度84%)であったという報告4)などがある。ただし、FeNO値22ppbを適用すると非喘息患者の約15%もこの範囲に当てはまってしまう。そこで、FeNO値37ppbを適用すると特異度は99%となる4)。以上などから、吸入ステロイド薬(ICS)未使用の喘息を疑う症状のある患者における、喘息の補助診断のカットオフ値は22ppb(喘息の可能性が高い)、35ppb(喘息診断の目安)に設定された1)。詳細は、手引きを参照されたい。 なお、血中好酸球数、FeNOを補助診断に用いる場合、いずれも最終的な喘息の診断は、治療による反応性、治療効果の再現性などの臨床経過や症状・呼吸機能の変動を含め総合的に判断する。 また、FeNOと血中好酸球数は喘息管理においても有用である。そこで「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」では、喘息管理における解釈に関するカットオフ値も設定された1)。 ICSによる治療前後のFeNOの変化と気流制限、気道過敏性には相関があり、治療効果予測への有用性が指摘されている5)。ICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)による治療中はFeNOが低下し、治療を中止するとFeNOが上昇することが報告されているため、FeNOによる炎症モニタリングは、アドヒアランスやステロイド抵抗性の評価にも有用とされる6)。また、現在の治療ステップにかかわらず、増悪歴やリスク因子(症状、呼吸機能など)に加えて血中好酸球数とFeNOが高値の患者では将来の増悪リスクが高いことが近年報告されている7)。 以上から、喘息管理におけるFeNOのカットオフ値は20ppb、35ppbに設定され、血中好酸球数のカットオフ値は150cells/μL、300cells/μLに設定された。症状がなく、これらに基づくタイプ2炎症が低レベルであれば、抗炎症治療は適切と考えられ、抗炎症薬の減量が考慮可能である。一方、高レベルであれば症状がなくとも、服薬アドヒアランス・吸入手技の不良や、抗炎症薬の減量で症状が悪化する可能性がある。また、現在の治療でも症状が続いており炎症が高レベルであれば、増悪や呼吸機能低下のリスクが高いため、抗炎症治療の強化が考慮される1)。詳細は、手引きを参照されたい。タイプ2炎症への早期介入で疾患修飾・喘息寛解の達成へ タイプ2炎症と気道機能障害は喘息の治療可能な臨床特性(Treatable Traits)であることが、近年提唱されている8)。とくに、タイプ2炎症型の重症喘息では、タイプ2炎症が強いほど喘息が重症化するという知見も得られている。重症喘息はICS抵抗性であることが多いことから、さまざまな生物学的製剤が開発され、使用可能となっている。 同じく複数の生物学的製剤の適応がある関節リウマチの治療戦略では、Bio-free-remission(生物学的製剤での早期介入によりdeep remission[臨床的寛解、機能的寛解、免疫学的寛解のすべて]を達成し、生物学的製剤なし、もしくは投与間隔を長くする)が目指されており、エビデンスも集積されつつある。しかし、重症喘息では生物学的製剤の中止に関する臨床研究のエビデンスが乏しいのが現状である。したがって、松永氏らの研究グループは、まず生物学的製剤による「疾患活動性の抑制」を達成し、「deep remission」を達成した患者ではBio-free-remissionを目指せる可能性を提唱している9)。 松永氏らの研究グループは1年間の生物学的製剤の使用により、喘息の臨床的寛解が69%、deep remissionが32%で達成できたこと、deep remissionが達成された患者の特徴は、早期かつ呼吸機能が保たれている段階での生物学的製剤の使用であったことを2023年4月に報告している10)。そのため、松永氏は「バイオマーカーを活用しながら、呼吸機能が保たれている患者に対して早期に生物学的製剤を導入し、疾患修飾をかけてほしい」と強調した。タイプ2炎症バイオマーカーの手引きはバイオマーカーと疾患を網羅 「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」は、タイプ2炎症のバイオマーカーとそれに関連する疾患を網羅した1冊となっている。松永氏は「さまざまな気道・肺疾患の診断や治療方針の決定に直結するため、タイプ2炎症が注目されている。本書は、実臨床の具体的な状況において簡便に活用できる臨床指針を提供することで、タイプ2炎症評価の適正な普及につなげ、気道・肺疾患のさらなる管理効率の向上を目指して作成したため、ぜひ活用いただきたい」とまとめた。タイプ2炎症バイオマーカーの手引き編集:タイプ2炎症バイオマーカーの手引き作成委員会/日本呼吸器学会肺生理専門委員会定価:3,190円(税込)発行日:2023年4月20日A4変型判・120頁■参考文献1)タイプ2炎症バイオマーカーの手引き作成委員会/日本呼吸器学会肺生理専門委員会編集. タイプ2炎症バイオマーカーの手引き. 南江堂;20232)McGrath KW, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2012;185:612-619.3)Hartl S, et al. Eur Respir J 2020;55:1901874.4)Matsunaga K, et al. Allergol Int. 2011;60:331-337.5)Ichinose M, et al. Eur Respir J. 2000;15:248-253.6)Bardsley G, et al. Respir Res. 2018;19:133.7)Couillard S, et al. Thorax. 2022;77:199-202.8)Shaw DE, et al. Lancet Respir Med. 2021;9:786-794.9)Hamada K, et al. J Asthma Allergy. 2021;14:1463-1471.10)Oishi K, et al. J Clin Med. 2023;12:2900.

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日本におけるオミクロン対応2価ワクチンの有効性~多施設共同研究/感染症学会・化学療法学会

 2021年7月より新型コロナワクチンの有効性を長期的に評価するために開始された多施設共同サーベイランス研究「VERSUS study [Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2]」1)の最新の結果について、4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて、長崎大学の前田 遥氏が発表した。本結果により、国内の高齢者に対するオミクロン対応2価ワクチンの発症予防および入院予防の有効性が、国内の若年者および欧米のデータよりも高いことが示唆された。 本発表では、2022年9月末に国内で接種開始されたBA.1対応、および10月中旬に開始されたBA.4/5対応のモデルナ製またはファイザー製のオミクロン対応2価ワクチンの有効性について、2022年10月1日~2023年2月28日の期間における研究結果が報告された。オミクロン対応2価ワクチンの発症予防と入院予防に対する有効性をtest-negative designを用いた症例対照研究で評価した。発症予防の有効性については、全国10都府県15施設にて、新型コロナウイルス感染症を疑う症状で受診し、新型コロナウイルス検査を受けた16歳以上が対象となった。入院予防の有効性については、9都府県11施設にて、呼吸器感染症を疑う症状が2つ以上、または肺炎像を認め入院し、新型コロナウイルス検査を受けた16歳以上が対象となった。 主な結果は以下のとおり。【発症予防における有効性】・解析対象者は7,347例で、検査陽性3,304例、検査陰性4,043例。年齢中央値43歳(四分位範囲[IQR]:29~61)、男性3,410例(46.4%)、基礎疾患を有する人が1,969例(26.8%)であった。・対象者のワクチン接種歴は、ワクチン未接種10.0%、従来型ワクチンのみ接種(2回以上)46.2%、オミクロン対応2価ワクチン接種(14日以上経過)9.8%であった。・発症予防における未接種者と比較した場合のオミクロン対応2価ワクチンの有効性は、16~64歳では54.7%(95%信頼区間[CI]:40.3~65.6)、65歳以上では75.2%(54.4~86.5)であった。・発症予防におけるオミクロン対応2価ワクチンの相対的な有効性は、16~64歳において、従来型ワクチンのみ接種者(接種後4~6ヵ月経過)と比較した場合は27.2%(95%CI:3.1~45.3)、従来型ワクチンのみ接種者(接種後7ヵ月以上経過)と比較した場合は36.1%(18.6~49.9)、65歳以上において従来型ワクチンのみ接種者と比較した場合は34.0%(0.3~56.3)であった。【入院予防における有効性】・解析対象者は1,017例で、検査陽性306例、検査陰性711例。年齢中央値82歳(IQR:73~89)、男性617例(60.7%)、基礎疾患を有する人が753例(74.0%)であった。解析対象者の約90%が65歳以上であった。・対象者のワクチン接種歴は、ワクチン未接種11.9%、従来型ワクチンのみ接種(2回以上)30.1%、オミクロン対応2価ワクチン接種(14日以上経過)10.7%であった。・入院予防における未接種者と比較した場合のオミクロン対応2価ワクチン有効性は84.9%(95%CI:65.7~93.3)であった。・入院予防におけるオミクロン対応2価ワクチンの相対的な有効性は、従来型ワクチンのみ接種者(接種後4~6ヵ月経過)と比較した場合は50.4%(95%CI:-18.4~79.2)、従来型ワクチンのみ接種者(接種後7ヵ月以上経過)と比較した場合は57.4%(-3.3~82.4)であった。 前田氏は、本結果は米国や英国の報告と比較して、未接種者と比較したオミクロン対応2価ワクチンの有効性に関して、16~64歳の発症予防の有効性はほぼ同等であるが、高齢者の発症予防および入院予防の有効性はより高値であったとし、その要因として、国内の高齢者は、若者や欧米人よりも感染による抗体保有率が低いことが影響している可能性を指摘した。国内のデータは欧米と異なる可能性が示唆されるため、引き続き国内での検証が重要だとしている。

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新たなRSウイルスワクチン、高齢者と乳児の双方で効果を発揮

 ファイザー社が開発したRS(呼吸器合胞体)ウイルスワクチンは、高齢者と乳児の双方でRSウイルス感染症を安全かつ効果的に予防するという2件の臨床試験の結果が報告された。ファイザー社は、同ワクチンの高齢者に対する接種が5月までに、妊婦に対する接種が8月までに米食品医薬品(FDA)により承認されるものと見ている。これらの臨床試験の結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に4月5日掲載された。 RSウイルスに感染しても、通常は風邪様の症状が現れる程度だ。しかし米国では、1歳未満の子どもの気管支炎と肺炎の最も一般的な原因ウイルスがRSウイルスである。また、このウイルスは高齢者、特に健康状態が不良な人にリスクをもたらす。米疾病対策センター(CDC)によると、毎年、5万8,000〜8万人の5歳未満の子ども、および6万〜16万人の高齢者がRSウイルス感染症で入院し、さらに6,000〜1万人の高齢者が同感染症により死亡しているという。 RSウイルスワクチンの臨床試験は1960年代に実施されたが、ワクチンにより産生された抗体が、ウイルスへの感染や重症化を促してしまう「抗体依存性感染増強」を引き起こし、失敗に終わった。しかし、2010年代初頭、米国国立衛生研究所(NIH)の研究グループが、RSウイルスのヒト細胞への侵入に関わるウイルス表面のFタンパク質がヒト細胞の受容体と結合し、ウイルス粒子が細胞膜と融合した後に構造を変えることを突き止めた。そして、RSウイルスワクチンが効果を発揮するには、融合前のFタンパク質の構造をターゲットにする必要があることを報告した。この画期的な発見により、ファイザー社やグラクソ・スミスクライン(GSK)社をはじめとする製薬企業が、安全で効果的なRSウイルスワクチンの開発をめぐって競争を繰り広げている。 2件の臨床試験のうち、高齢者を対象にした第3相試験では、中間解析の時点で60歳以上の高齢者3万4,284人がファイザー社のRSウイルスワクチン(1万7,215人)、またはプラセボ(1万7,069人)のいずれかを接種する群にランダムに割り付けられていた。解析の結果、RSウイルスワクチン接種群では、3種類以上の兆候や症状を伴うRSウイルス感染に関連した下気道疾患の予防に85.7%、2種類以上の兆候や症状を伴う同疾患の予防に66.7%の効果を有することが明らかになった。 米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院国際保健学分野教授のRuth Karron氏は、「重症化においては入院に関心が集まるが、この中間解析では、入院に対する有効性を示すことはできなかった。しかし、2種類以上よりも3種類以上の兆候や症状を伴うRSウイルス感染症に対する有効性の方が高かったことから、重症化の予防効果も期待できるのではないか」と述べている。 一方、妊婦を対象に18カ国で実施された第3相試験では、妊娠24〜36週の妊婦にファイザー社のRSウイルスワクチン(3,682人)、またはプラセボ(3,676人)がランダムに投与された。その後、生まれた子どもの追跡調査を行い、ワクチンによって産生された母親の抗体が子どもに保護効果をもたらすのかどうかを確認した。 RSワクチン接種群の子ども3,570人、プラセボ接種群の子ども3,558人を対象にした中間解析の結果、入院を要するような重症の下気道感染症が生じたのは、生後90日以内ではRSワクチン接種群の子どもで6人、プラセボ接種群の子どもで33人(ワクチンの有効性81.8%)、生後180日以内では同順で19人と62人(ワクチンの有効性69.4%)であることが明らかになった。ファイザー社の副社長であり臨床ワクチン研究の長を務めるBill Gruber氏は、「乳児を守るためには、妊娠中の母親がワクチンを接種し、抗体を子どもに受動的に移行させる必要がある。FDAの承認が早ければ早いほど、RSウイルスワクチンを接種できる妊婦の数が増え、保護される乳児の数も増える」と話している。 なお、Gruber氏によると、ファイザー社は、ワクチン接種後の副作用の有無と、接種による保護効果の持続期間を確認するために、今後もワクチン接種者を追跡調査する予定とのことだ。

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サル痘とは?(2023年4月更新版)

サル痘とは?2023年4月版出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.サル痘とは? オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症 1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めての感染が確認され、中央アフリカ~西アフリカにかけて流行している。 国内では感染症法上の4類感染症に指定されている。 2022年5月以降、従前のサル痘流行国への海外渡航歴のないサル痘患者が世界各地で報告されているが、2023年3月時点では全体の症例の報告数は減少傾向にある。 国内では2022年7月に1例目の患者が確認され、その後散発的に発生が報告されていたが、2023年に入り患者の報告数が増加している。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.感染経路は? アフリカに生息するリスなどの齧歯類をはじめ、サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染する。 感染した人や動物の皮膚の病変・体液・血液との接触(性的接触を含む)、患者と接近した対面での飛沫への長時間の曝露、患者が使用した寝具などとの接触などにより感染する。 皮疹の痂皮をエアロゾル化することで空気感染させた動物実験の報告があるものの、実際に空気感染を起こした事例は確認されていない。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.発生状況は?<国内> 2022年7月25日に1例目の患者が報告された。 2023年以降、患者の発生が増加しており、2023年4月25日時点で120例が報告されている。<世界> 2022年5月以降の流行で8万6千人以上の感染例が報告されている(2023年3月24日時点)。 WHOによると、現在報告されている患者の大部分は男性であるが、小児や女性の感染も報告されている。※特定の集団や感染者、感染の疑いのある者等に対する差別や偏見は人権の侵害につながります。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は? 発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0~5日程度持続し、発熱1~3日後に発疹が出現する。 リンパ節腫脹は顎下、頸部、鼠径部に見られる。 皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。 多くの場合2~4週間持続し自然軽快するが、小児、曝露の程度・健康状態・合併症などにより、重症化することがある。 皮膚の2次感染、気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こすことがある。 手掌や足底にも各皮疹が出現する。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は?(続き)2022年5月以降の欧米を中心とした流行では、従来の報告とは異なる症状が指摘されている。 発熱やリンパ節腫脹などの前駆症状が見られない場合がある。 病変が局所(会陰部、肛門周囲や口腔など)に集中しており、全身性の発疹が見られない場合がある。 異なる段階の皮疹が同時に見られる場合がある。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q. 治療方法は? 対症療法(症状に応じた治療) 国内で承認された治療薬はない。 欧州では、特異的治療薬としてテコビリマットが承認されており、日本でも同薬を用いた特定臨床研究が実施されている。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.予防法は? 天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとされている。 流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切である。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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間質性肺疾患の緩和ケア、日本の呼吸器専門医の現状を調査

 間質性肺疾患(ILD)は症状が重く、予後不良の進行性の経過を示すことがある。そのため、ILD患者のQOLを維持するためには、最適な緩和ケアが必要であるが、ILDの緩和ケアに関する全国調査はほとんど行われていない。そこで、びまん性肺疾患に関する調査研究班は、日本呼吸器学会が認定する呼吸器専門医を対象とした調査を実施した。その結果、呼吸器専門医はILD患者に対する緩和ケアの提供に困難を感じていることが明らかになった。本研究結果は、浜松医科大学の藤澤 朋幸氏らによってRespirology誌オンライン版2023年3月22日号で報告された。 日本呼吸器学会が認定する呼吸器専門医のうち、約半数に当たる3,423人を無作為に抽出し、ILDの緩和ケアの現状に関するアンケートを郵送した。アンケートは、「緩和ケアの現状や実施状況(5項目、27問)」「終末期のコミュニケーションの最適なタイミングと実際のタイミング(2問)」「緩和ケアに関するILDと肺がんの比較(6問)」「ILDの緩和ケアにおける障壁(31問)」で構成された。解析はアンケートに回答した医師のうち、過去1年以内にILD患者を診療した医師を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・1,332人(回答率38.9%)がアンケートに回答し、そのうち、1,023人が過去1年以内にILD患者を診療していた。・大多数の医師が「ILD患者はしばしば、あるいは常に呼吸困難や咳の症状を訴える」と回答したものの、「緩和ケアチームへ紹介したことがある」と回答した医師は25%にとどまった。・緩和ケアチームへ紹介したことのない医師のうち、48%は「緩和ケアチームを利用できる環境にあるが、紹介したことはない」と回答し、33%は「緩和ケアチームを利用できる環境がなかった」と回答した。・終末期のコミュニケーションについて、実際のタイミングは最適と考えるタイミングよりも遅れる傾向にあった。・ILDの緩和ケアは、症状の緩和や意思決定において肺がんと比較して困難であった。・ILD患者は肺がん患者と比較して、呼吸困難に対してオピオイドが処方される頻度が少なかった。・ILDの緩和ケアに特有の障壁として、「予後を予測できない」「呼吸困難に対する治療法が確立されていない」「心理的・社会的支援が不足している」「患者やその家族がILDの予後の悪さを受け入れるのが難しい」といった意見が挙げられた。

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重症コロナ患者、ACEI/ARBで生存率低下か/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症成人患者において、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与は臨床アウトカムを改善せず、むしろ悪化させる可能性が高いことを、カナダ・University Health NetworkのPatrick R. Lawler氏ら「Randomized, Embedded, Multifactorial, Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia trial:REMAP-CAP試験」の研究グループが報告した。レニン-アンジオテンシン系(RAS)の中心的な調節因子であるACE2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の受容体であることから、RASの過剰活性化がCOVID-19患者の臨床アウトカム不良につながると考えられていた。JAMA誌2023年4月11日号掲載の報告。RAS阻害薬または非RAS阻害薬による治療で21日間の無臓器補助日数を評価 REMAP-CAP試験は、現在も進行中の、重症市中肺炎およびCOVID-19を含む新興・再興感染症に対する複数の治療を評価する国際多施設共同無作為化アダプティブプラットフォーム試験で、今回はその治療ドメインの1つである。 研究グループは、2021年3月16日~2022年2月25日の期間に、7ヵ国69施設において18歳以上のCOVID-19入院患者を登録し、重症群と非重症群に層別化するとともに、参加施設をACEI群、ARB群、ARB+DMX-200(ケモカイン受容体2型阻害薬)群、非RAS阻害薬(対照)群に無作為に割り付け、治療を行った。治療は最大10日間または退院までのいずれか早いほうまでとした。 主要評価項目は、21日時点における無臓器補助日数(呼吸器系および循環器系の臓器補助を要しなかった生存日数)で、院内死亡は「-1」、臓器補助なしでの21日間の生存は「22」とした。 主解析では、累積ロジスティックモデルのベイズ解析を用い、オッズ比が1を超える場合に改善と判定した。無臓器補助日数はACEI群10日、ARB群8日、対照群12日 2022年2月25日で、予定された564例の安全性データの評価に基づき、対照群と比較しACEI群およびARB群で死亡および急性腎障害が高頻度であることが懸念されたため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により重症患者の登録が中止された。非重症患者の登録も同時に一時中断され、その後、2022年6月8日に試験は中止となった。最終追跡調査日は2022年6月1日であった。 全体で779例が登録され、ACEI群に257例、ARB群に248例、ARB+DMX-200群に10例、対照群に264例が割り付けられた。このうち、同意撤回やアウトカム不明、ならびにARB+DMX-200群を除く各群の重症患者計679例(平均年齢56歳、女性35.2%)が解析対象となった。 重症患者における無臓器補助日数の中央値(IQR)は、ACEI群(231例)で10日(-1~16)、ARB群(217例)で8日(-1~17)、対照群(231例)で12日(0~17)であった。 対照群に対する改善の調整オッズ比中央値は、ACEI群0.77(95%信用区間[CrI]:0.58~1.06)、ARB群0.76(0.56~1.05)であり、治療により無臓器補助日数が対照群より悪化する事後確率はそれぞれ94.9%および95.4%であった。 入院生存率は、ACEI群71.9%(166/231例)、ARB群70.0%(152/217例)、対照群78.8%(182/231)であり、対照群と比較して入院生存率が悪化する事後確率は、ACEI群95.3%、ARB群98.1%であった。

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第41回 乗り遅れるな「論文検索はもうAIの時代」

ChatGPTだけじゃないこの連載では何度かChatGPTについて取り上げてきました。この分野、1週間経つともう賞味期限切れを起こすほど進歩していて、私もちょっとついていけてないです。私はCareNetで興味深い医学論文を紹介する連載「Dr. 倉原の“おどろき”医学論文」を持っているので、普段からPubMedを使っているのですが、AIに論文を探させる手法が出てきました。ChatGPTは課金しないと現状の最新版を体験できない仕様となっていますが、今話題になっているのが「Consensus」です。これは、世界の論文を検索し、質問に対する回答をまとめて一文要約してくれます。そして回答を数値化してくれるなど、論文から得られる情報をかみ砕いて提供できる機能を持ったオープンAIとなっています。キャッチコピー通り、「Evidence-Based Answers, Faster」というのがコンセプトです。Googleアカウントがある人は、ウェブサイトから簡単にログインできるようになっているので、一度試してみてください。Consensus使い方は割と簡単で、質問のところにある程度closed questionを入力することが重要です。ただし、基本的にはYes/Noの質問に対応できるようになってます。画像を拡大する(画像:Consensusより)たとえば、これは「吸入ステロイドが骨粗鬆症を引き起こすか?」という質問を入力したものですが、「吸入ステロイドの長期使用は骨粗鬆症を誘発し骨折リスクを高めるとする研究もあるが、骨への影響は小さいか不明とする研究もあり、これで喘息をコントロールすれば骨粗鬆症を防ぐことさえある」という要約が返って来ました。参考にされた文献は5文献で、下にずらっとシステマティックレビューした結果が出てきます。画像を拡大する(画像:Consensusより)「inhaled」を「systemic」に変えると、全身性ステロイドの骨粗鬆症に対する回答が提示されます。「全身性ステロイドは、とくに長期投与や大量投与で骨粗鬆症を引き起こす可能性があることが示唆されるが、一方で、低用量や隔日投与ではそれほどリスクが高まらない可能性を示す研究結果もあります。」という回答に変わります。なるほど、有能なAIですね。ただ、あの有名論文がなんで掲載されていないんだよ、という事態はしばしばあり、本当に質の高い論文を引っ張ってきているのかちょっと疑問です。試しに重症市中肺炎に対するステロイドのことを聞いても、最近の有名な論文がヒットしませんでした。しかしまぁ、これが正しいAI検索のひな形でしょう。間違いありません。ここからさらに精度を上げていってほしいと思います。Perplexityもう一つ人気なのが、「Perplexity」です。ウェブクローリングした情報を要約する生成系AIです。出典ソースを明記して、時事性のあるテーマにも正しく回答してくれる点が魅力です。Perplexityはウェブ検索結果を分析できれば、たとえそれが架空の内容であっても回答可能ですが、ChatGPTはそのあたりが難しいという差はあるようです。対話型なのでPerplexityのほうが好まれていますが、個人的にはChatGPT4.0(有料版)もなかなかおすすめです。3.5とは全然違います。画像を拡大する(画像:Perplexityより)Mycobacterium szulgaiというまれな呼吸器感染症の治療はどうすればよいか?と聞いてみました。とくにエビデンスが集積されているわけではないのですが、しっかりと報告を引用して治療レジメンが紹介されています。こういうAIで生成された文を、論文を書くのに使っちゃダメということになっていますが、「参考程度に」AIを動かすというのは皆さん今後やっていくのではないでしょうか。果たしてわれわれ医療の世界ではどのAIが生き残っていくでしょうか。楽しみですね。

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呼吸器疾患のCTスキャンでも心臓リスクの評価が可能

 大きな手術の前に、リスクを判定するための特殊な心臓スキャンを行う必要はない可能性のあることが、新たな研究で示唆された。肺炎やがんなどの肺の疾患をスクリーニングするために数カ月前に撮影された既存の胸部画像を見直すことでも、手術時の心筋梗塞や死亡のリスクを推定できる可能性があるという。米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのDaniel Choi氏らによるこの研究結果は、米国心臓病学会年次総会(ACC.23、3月4〜6日、米ニューオーリンズ)で発表されるとともに、要旨が「Journal of the American College of Cardiology」3月号(増刊号)に掲載された。 この研究ではまず、2016年1月から2020年9月までの間に、NYUランゴン・ヘルス病院で心臓には無関係の外科手術を受けた45歳以上の患者2,560人の医療記録データの評価を行った。データには手術の種類のほか、死亡や心筋梗塞の事例に関する情報が含まれていた。対象患者は全て、手術に先立つ1年以内に胸部CTスキャンを受けていた。Choi氏らは、患者の中から入院中に死亡または心筋梗塞〔これらを以下、主要有害心血管イベント(MACE)とする〕を来した患者を特定した。 次に、CT読影の正式なトレーニングを受けたことがない研究グループのメンバー4人に90分のトレーニングを行って、CT画像から冠動脈の石灰化の重症度を推測する方法を教えた。その方法は、心臓の主要な3本の冠動脈のそれぞれに沈着したプラーク(動脈硬化巣)のレベルを「なし(0点)」から「重度(3点)」までで評価し、その合計(0〜9点)を算出するというものだった。 その結果、MACEの発生リスクは、プラーク沈着のスコアが0〜2点の患者で3.6%、3〜6点の患者で9.5%、7〜9点の患者で10.8%であり、スコアが高いほどMACEの発生リスクも上昇することが明らかになった。 Choi氏は、「この結果から、既存の画像は、手術リスクを評価するために撮像されたものほど精密ではないにしても、リスクに関して実用的な判断をする上で医師に有用なことが判明した」と述べている。 研究グループの1人であるNYUグロスマン医学部内科・放射線学分野のRobert Donnino氏は、「われわれが用いた冠動脈石灰化の評価方法は簡便で、トレーニングも最小限で済むため、あらゆる医療現場で使うことができる費用対効果の高いツールとなり得る」と述べている。また研究グループは、この評価法を用いることで手術の遅れや費用の増大を回避できるとともに、放射線被曝も低減できる可能性があるとしている。 一方、同じく研究グループの1人であるNYUグロスマン医学部内科学分野のNathaniel Smilowitz氏は、「術前の心臓リスク評価は有用だが、術後の有害事象を予防し、生存率を向上させるための新たな戦略を見つけることが重要だ」と指摘している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。

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第159回 アルツハイマー病行動障害の初の承認薬誕生近し?/コロナ肺炎患者への欧米認可薬の効果示せず

アルツハイマー型認知症の難儀な振る舞いの初の承認薬誕生が近づいているアルツハイマー型認知症患者の半数近い約45%、多ければ60%にも生じうる厄介な行動障害であるアジテーション(過剰行動、暴言、暴力など)の治療薬が米国・FDAの審査を順調に進んでいます。大塚製薬がデンマークを本拠とするLundbeck社と開発した抗精神病薬ブレクスピプラゾール(商品名:レキサルティ)は昨夏2022年6月に速報された第III相試験結果でアルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(agitation associated with Alzheimer’s dementia、以下:AAD)を抑制する効果を示し1)、今年初めにその効能追加の承認申請がFDAに優先審査扱いで受理されました2)。アジテーションは誰もが生まれつき持つ感情や振る舞いが過度になることや場違いに現れてしまうことであり、多動や言動・振る舞いが攻撃的になることを特徴とします。アジテーションは患者本人の生きやすさを大いに妨げるのみならずその親しい人々をも困らせます。第III相試験では徘徊、怒鳴る、叩く、そわそわしているなどの29のアジテーション症状の頻度がプラセボと比較してどれだけ減ったかがCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)という採点法によって調べられました。29のアジテーション症状それぞれの点数は1~7点で、点数が大きいほど悪く、症状がない(Never)場合が1点で、1時間に繰り返し認められる場合(Several times an hour)は最大の7点となります。試験にはAAD患者345例が参加し、ブレクスピプラゾール投与群の12週時点のCMAI総点がプラセボ群に比べて5点ほど多く低下し、統計学的な有意差を示しました(22.6点低下 vs.17.3点低下)3)。同試験結果をもとに承認申請されたその用途での米国審査は順調に進んでおり、先週14日に開催された専門家検討会では同剤が有益な患者が判明しているとの肯定的判断が得られています4)。FDAの審査官も肯定的で、同剤の効果はかなり確からしいとの見解を検討会の資料に記しています5)。AADを治療するFDA承認薬はありません。ブレクスピプラゾールのその用途のFDA審査結果は間もなく来月5月10日までに判明します。首尾よく承認に至れば、同剤はFDAが承認した初めてのAAD治療薬の座につくことになります。その承認は歴史的価値に加えて経済的価値もどうやら大きく、その効能追加で同剤の最大年間売り上げが5億ドル増えるとアナリストは予想しています6)。重症コロナ肺炎患者へのIL-1拮抗薬anakinraの効果示せずスペインでの非盲検の無作為化第II/III相試験でIL-1受容体拮抗薬anakinraが重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎患者の人工呼吸管理への移行を防ぐことができませんでした7)。ANA-COVID-GEASという名称の同試験は炎症指標の値が高い(hyperinflammation)の重症コロナ肺炎患者を募り、179例がanakinraといつもの治療(標準治療)または標準治療のみの群に割り振られました。プラセボ対照試験ではありません。主要転帰は15日間を人工呼吸なしで過ごせた患者の割合で、解析対象の161例のうちanakinra使用群では77%、標準治療のみの群では85.9%でした。すなわちanakinraなしのほうがその割合はむしろ高く、人工呼吸の出番を減らすanakinraの効果は残念ながら認められませんでした。侵襲性の人工呼吸を要した患者の割合、集中治療室(ICU)を要した患者の割合、ICU滞在期間にも有意差はありませんでした。それに死亡率にも差はなく、28日間の生存率はanakinra使用群と標準治療のみの群とも93%ほどでした。試験の最大の欠点は非盲検であることで、他に使われた治療薬の差などが結果に影響した恐れがあります。同試験の結果はanakinraが有効だった二重盲検のプラセボ対照第III相試験(SAVE-MORE)の結果と対照的です。欧州は600例近くが参加したそのSAVE-MORE試験結果に基づいてコロナ肺炎患者へのanakinraの使用を2021年12月に承認しています8)。SAVE-MORE試験は重度呼吸不全か死亡に至りやすいことと関連する可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(suPAR)上昇(6ng/mL以上)患者を対象としました。今回発表されたスペインでの試験結果と異なり、SAVE-MORE試験では重症呼吸不全への進展か死亡がanakinra使用群ではプラセボ群に比べて少なく済みました(20.7% vs.31.7%)9)。また、生存の改善も認められ、anakinraは28日間の死亡率をプラセボ群の半分以下に抑えました(3.2% vs.6.9%)。SAVE-MORE試験の被験者選定基準にならい、欧州はsuPARが6ng/mL以上の酸素投与コロナ肺炎患者への同剤使用を認めています10)。米国もsuPARが上昇しているコロナ肺炎患者への同剤使用を取り急ぎ認可しています11)。参考1)Otsuka Pharmaceutical and Lundbeck Announce Positive Results Showing Reduced Agitation in Patients with Alzheimer’s Dementia Treated with Brexpiprazole / BusinessWire 2)Otsuka and Lundbeck Announce FDA Acceptance and Priority Review of sNDA for Brexpiprazole for the Treatment of Agitation Associated With Alzheimer’s Dementia / BusinessWire3)Otsuka Pharmaceutical and Lundbeck present positive results showing reduced agitation in patients with Alzheimer’s dementia treated with brexpiprazole at the 2022 Alzheimer's Association International Conference / BusinessWire4)Otsuka and Lundbeck Issue Statement on U.S. Food and Drug Administration (FDA) Advisory Committee Meeting on REXULTI® (brexpiprazole) for the Treatment of Agitation Associated with Alzheimer’s Dementia / BusinessWire5)FDA Briefing Document6)Otsuka, Lundbeck head into key FDA panel meeting with agency support for their Rexulti application / FiercePharma7)Fanlo P, et al. JAMA Netw Open. 2023;6:e237243.8)COVID-19 treatments: authorised / EMA9)Kyriazopoulou E, et al. Nature Medicine. 2021;27:1752-1760.10)Kineret / EMA11)Kineret® authorised for emergency use by FDA for the treatment of COVID-19 related pneumonia / PRNewswire

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