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アンジェスの新型コロナワクチン、阪大病院での第I/II相試験開始

 9月8日、アンジェスは、新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンについて、大阪大学医学部附属病院で第I/II相試験を開始したと発表した。同社によると、開発は計画通り進んでおり、接種完了後、経過観察を経て、大阪市立大学医学部附属病院および大阪大学医学部附属病院での第I/II相試験成績を総合的に判断する速報結果を2020年第4四半期に公表する予定という。 大阪市立大学医学部附属病院における第I/II相試験(低用量群15 例および高用量群15 例、筋肉内に2週間間隔で2回接種)は、6月末に開始され、8月半ばに接種が完了している。今回の大阪大学医学部附属病院における第I/II相試験では、用量2mgで、10例による2週間間隔での2回接種、10例による4週間間隔での2回接種、10例による2週間間隔での3回接種の計30例を目標としている。試験期間は、1回目の接種から52週間のフォローアップ期間を含み、2021年9月30日までの予定。

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COVID-19の急性呼吸不全、ヒドロコルチゾンは有効か?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で急性呼吸不全を呈した重症患者に対し、低用量ヒドロコルチゾンの投与はプラセボと比較して、21日時点の死亡を含む治療不成功率を有意に低減しなかった。フランス・トゥール大学のPierre-Francois Dequin氏らが、149例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果が発表された。ただし同試験は、別の試験でデキサメタゾンがCOVID-19による死亡率などを減少することを示す結果が出たことを受けて、早期に中止されており、著者は、「主要アウトカムについて、統計的および臨床的に意義のある差異を見いだすための検出力が不足していた可能性がある」と、結果の妥当性について疑義を呈している。JAMA誌オンライン版2020年9月2日号掲載の報告。21日時点での治療不成功率をプラセボと比較 研究グループは、フランスで2020年3月7日~6月1日にかけて、COVID-19による急性呼吸不全でICUでの治療を要した患者を対象に、多施設共同無作為化二重盲検逐次試験(患者50例ごとに中間解析を行う)を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方には低用量ヒドロコルチゾンを14日間(200mg/日を7日間、100mg/日を4日間、50mg/日を3日間)持続点滴静注投与し、もう一方にはプラセボを投与した。最終フォローアップは2020年6月29日だった。 主要アウトカムは、21日時点での治療不成功(死亡、人工呼吸器または高流量酸素療法への継続的依存のいずれかと定義)であった。また、事前に規定した副次アウトカムは、ベースラインで気管挿管のない患者の気管挿管、腹臥位セッション・体外式膜型人工肺(ECMO)・一酸化窒素吸入療法の21日目までの累積実施率、P/F比(PaO2/FiO2、測定:1~7日、14日、21日)、ICU入室中の2次感染発生患者の割合などだった。治療不成功、ヒドロコルチゾン群42%、プラセボ群51% 同試験は、290例登録を意図していたが、データ・安全監視委員会の勧告を受けて、被験者149例(ヒドロコルチゾン群76例、プラセボ群73例)登録後に中止された。登録被験者の平均年齢は62.2歳、女性30.2%、人工呼吸器を要した患者は81.2%だった。148例(99.3%)が試験を完了し、そのうち治療不成功は69例で、死亡はヒドロコルチゾン群11例、プラセボ群20例だった。 21日時点での治療不成功率は、ヒドロコルチゾン群42.1%(32/76例)、プラセボ群50.7%(37/73例)、両群で有意差はなかった(発生率群間差:-8.6%、95.48%信頼区間:-24.9~7.7、p=0.29)。 また、事前に規定した4つの副次アウトカムについても、有意差はみられなかった。試験治療薬に関連した重篤有害事象の発生もなかった。

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COVID-19に対するスタチンの影響~メタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床経過に対するスタチンの影響については、相反する報告・見解が示されている。炎症反応の進行や肺損傷に対し保護的な役割を果たすというものと、逆に重症化やサイトカインストームに寄与しうるというものである。マレーシア・International Medical UniversityのChia Siang Kow氏らは、COVID-19の臨床転帰に対するスタチンの影響に関する4報の後ろ向き研究結果を用いてメタ解析を行った。American Journal of Cardiology誌オンライン版2020年8月12日号のCORRESPONDENCEへの報告より。スタチン使用者で新型コロナによる死亡または重症化のリスクが大幅に減少 2020年7月27日までに、スタチン使用者と非使用者との間でCOVID-19の重症度および/または死亡のリスクを評価した研究について、PubMed、Google Scholar、およびmedRxivデータベースを検索・抽出した。観察研究の質は、Newcastle-Ottawa Scale13を用いて評価された。 新型コロナに対するスタチンの影響を解析した主な結果は以下のとおり。・計8,990例のCOVID-19患者を対象とした4つの研究(中国2報、米国、イタリア)が抽出された。・プール解析の結果、スタチン非使用者と比較して、スタチン使用者では死亡または重症化のリスクが大幅に減少した(プール解析でのハザード比:0.70、95%信頼区間:0.53~0.94)。 著者らは、本解析において、COVID-19患者におけるスタチン使用による有害性は示唆されなかったとし、中強度から高強度のスタチン療法が新型コロナに効果的である可能性が示されたとしている。そのうえで、無作為化比較試験による評価が必要としている。

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selpercatinib、RET融合遺伝子陽性NSCLCに有望/NEJM

 RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療では、selpercatinibは、プラチナ製剤ベースの化学療法歴のある患者と未治療の患者の双方において、頭蓋内の効果を含む持続的な有効性をもたらし、主な毒性作用は軽度であることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのAlexander Drilon氏らが実施した「LIBRETTO-001試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年8月27日号に掲載された。RET融合遺伝子は、NSCLCの1~2%にみられるがんドライバー遺伝子で、RET融合遺伝子陽性NSCLC患者は脳転移のリスクが高いとされる。selpercatinibは、新規のATP競合的で高選択性の低分子RETキナーゼ阻害薬であり、中枢神経系にも到達するよう設計されており、前臨床モデルでは脳内での抗腫瘍活性が確認されている。selpercatinibの安全性と有効性を評価する第I/II相試験 本研究は、RET融合遺伝子陽性NSCLCの治療におけるselpercatinibの安全性と有効性を評価する第I/II相試験であり、日本を含む12ヵ国65施設が参加した(Loxo Oncologyなどの助成による)。 対象は、年齢12歳以上(規制当局や施設内倫理委員会の許諾が得られない場合は18歳以上)のRET融合遺伝子陽性進行NSCLCで、プラチナ製剤ベースの化学療法歴のある患者、または未治療の患者であった。 第I相用量漸増試験では、20mg(1日1回)~240mg(1日2回)の範囲でselpercatinibが経口投与(カプセルまたは液剤)された。第II相試験では、推奨用量(160mg、1日2回)のselpercatinibが投与された。治療は、28日を1サイクルとし、病勢進行、死亡、許容できない毒性作用、同意の撤回のいずれかが起きるまで継続された。 主要評価項目は、独立判定委員会の判定による客観的奏効(完全奏効[CR]または部分奏効[PR])とした。副次評価項目には、奏効期間、無増悪生存、安全性などが含まれた。selpercatinibの奏効割合は既治療例64%、未治療例85% 2017年5月~2018年12月の期間に、プラチナ製剤ベースの化学療法歴のあるRET融合遺伝子陽性進行NSCLC患者105例(年齢中央値61歳、女性59%、前治療レジメン数中央値3[範囲1~15]、脳転移あり38例[36%])が登録された。また、2017年12月~2019年6月の期間に、未治療のRET融合遺伝子陽性進行NSCLC患者39例(年齢中央値61歳、女性56%、脳転移あり7例[18%])が登録された。 プラチナ製剤ベースレジメンによる既治療例のselpercatinibの奏効割合は64%(95%信頼区間[CI]:54~73)であり、このうちCRが2%、PRは62%であった。奏効期間中央値は17.5ヵ月(12.0~評価不能)であり、フォローアップ期間中央値12.1ヵ月の時点で、奏効例の63%で奏効が持続していた。また、フォローアップ期間中央値13.9ヵ月の時点で、無増悪生存期間中央値は16.5ヵ月(13.7~評価不能)であり、1年無増悪生存率は66%(55~74)だった。 また、既治療例のベースライン時に脳転移を認めた38例のうち、11例が測定可能病変を有しており、このうち91%(10/11例)が客観的頭蓋内奏効(CR:3例[27%]、PR:7例[64%])を達成し、中枢神経系の奏効期間中央値は10.1ヵ月だった。 一方、未治療の39例では、selpercatinibの奏効割合は85%(95%CI:70~94)であり、CRはなく、PRが85%であった。6ヵ月の時点で、奏効例の90%で奏効が持続していた。また、奏効期間中央値(フォローアップ期間中央値7.4ヵ月)および無増悪生存期間中央値(同9.2ヵ月)には未到達で、1年無増悪生存率は75%だった。 全体で最も頻度の高いGrade3/4の有害事象は、高血圧症(14%)、ALT値上昇(12%)、AST値上昇(10%)、低ナトリウム血症(6%)、リンパ球減少症(6%)であった。Grade5の有害事象が6件(4%)(敗血症が2例、心停止、多臓器不全症候群、肺炎、呼吸器不全が1例ずつ)認められた。これらのイベントは、担当医によりselpercatinibとは関連がないと判定された。 selpercatinibの投与を受けた531例のうち、薬剤関連有害事象により160例(30%)が減量し、12例(2%)が投与を中止した。 著者は、「selpercatinibは、RET融合遺伝子陽性NSCLC患者に迅速で持続的な抗腫瘍効果をもたらし、以前にマルチキナーゼ阻害薬で達成されたアウトカムよりも優れたことから、RET融合遺伝子は肺がんにおいて実質的かつ臨床的に使用可能なドライバー遺伝子として確立された」と指摘している。

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COVID-19診療の手引きの第3版を公開/厚生労働省

 9月4日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版」を公開した。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は3月17日に、第2版は5月18日に、随時最新の内容に更新されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第3版の改訂箇所 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版の改訂では、日本小児科学会の協力を得て臨床像の更新を図ったほか、薬物療法では、最近有効性が確立したレムデシビルとデキサメタゾンの使用など中等症患者のマネジメントを修正した。 診療の手引き検討委員会では「依然COVID-19はパンデミックの状況にあるとしつつ、患者の発生にはいまだに地域差が大きい」と指摘。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きが「これまでと同様に活用され、患者の予後改善と流行制圧の一助となることに期待する」としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き目次 第3版1 病原体・疫学 病原体/伝播様式/国内発生状況2 臨床像 臨床像/画像所見/重症化のリスク因子など3 症例定義・診断・届出 症例定義/病原体診断/血清診断/届出4 重症度分類とマネジメント 重症度分類/軽症/中等症/重症5 薬物療法 日本国内で承認されている医薬品/日本国内で入手できる薬剤の適応外使用6 院内感染対策 個人防護具/非常事態におけるN95マスクの例外的取扱い/非常事態におけるサー ジカルマスク、長袖ガウンなどの例外的取扱いなど7 退院基準・解除基準 退院基準/宿泊療養等の解除基準/生活指導

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今冬の発熱患者への対応はどうするか/厚生労働省

 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、9月4日に全国の保健所設置市衛生主管部などにあて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における季節インフルエンザ流行対策に関し「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」の通知を発出した。 COVID-19とインフルエンザは、症状について臨床的に鑑別することが困難であることが指摘され、とくに発熱患者への対策では地域の医療体制の構築が待たれていた。 今回、厚生労働省では「医療提供体制整備」に関し、発熱患者などの相談または診療・検査可能な医療機関として指定される医療機関については都道府県から厚生労働省へ報告を行うとし、「検査体制の整備」に関し、次のインフルエンザ流行を見据えた検査需要、検査体制、検査(分析)能力などを都道府県毎に計画をするとしている。さらに、発熱患者などの診療または検査可能な医療機関として指定される医療機関に対する個人防護具(PPE)の配布支援を実施する必要があることから、都道府県ごとの必要物資数などにつき、都道府県から厚生労働省へ報告を明記している。詳細は、今後連絡する予定。体制整備は都道府県ごとに実施 インフルエンザ流行に備えた体制整備は、都道府県が主体となって推進し、達成することを基本とし、都道府県は、本通知による次のインフルエンザ流行に備えた体制整備を進め、10月中を目処に体制整備を完了すること。体制整備を進めるに当たっては、新型コロナウイルス感染症対策を協議する協議会などを定期的に開催し、関係者と協議することとしている。発熱患者を地域でどのように診るか 体制整備の方向性として、発熱患者の相談・受診について地域のかかりつけ医の役割に期待が示されている。また、従来COVID-19疑いの発熱患者などからのアプローチを担ってきた「帰国者・接触者相談センター」が、都道府県ごとに「受診・相談センター(仮称)」へと変更され、発熱などの症状のある患者から相談があった場合、最寄りの適切な医療機関の案内や必要に応じて受診調整を行うことが記載されている。そして、発熱患者などを診察する体制をさらに整備していくため、電話・オンライン診療によって発熱患者などを診療する体制も検討することとされている。なお、医療機関においては、院内感染防止のため、患者が医療機関と受診時間や受診方法などを事前に調整した上で、受診することが重要とされ、そのため都道府県などや医療機関は、発熱などを伴う患者の受診の際は事前に電話予約の上で受診することを徹底するよう、広く住民に周知することとしている。 医療機関が行う感染対策としては、駐車場で患者が自家用車などに乗ったままの状態やプレハブや簡易テントを設置しての診療や検査の実施が提案されている。また、こうした対応ができない場合は、時間指定での発熱など疑い患者の診察(その場合、地域の診療所などと時間帯を分担することが望ましい)、輪番制による曜日単位などで患者の診察をする医療機関を設定することなどが提案されている。 これらの他にも新しい生活様式下での三密の回避やインフルエンザのワクチン接種の励行も明記されている。

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第22回 希望者は全員無料へ 政府検討の新型コロナワクチン接種体制

<先週の動き>1.希望者は全員無料へ 政府検討の新型コロナワクチン接種体制2.季節性インフルエンザ、疑い例をかかりつけ医で診療できる体制作りへ3.新型コロナウイルス感染拡大による病床稼働率低下の実態4.厚生労働事務次官に旧・厚生省出身の樽見 英樹氏が就任5.新型コロナによる診療報酬上の臨時的対応で、病院の実績要件など緩和1.希望者は全員無料へ 政府検討の新型コロナワクチン接種体制現在、国内外で研究が進められている新型コロナウイルスワクチンだが、内閣府は8日、7,000億円超の予備支出について閣議決定した。ワクチン購入費として充てる見込み。ワクチンの優先接種については、1)新型コロナ患者に直接対応する医療従事者、2)重症化リスクの高い65歳以上の高齢者および基礎疾患がある人を接種順位上位に位置付けている。ゆくゆくは希望者全員に無料で接種できるようにする案を検討。実施主体は市町村で、費用は全額国が負担する方針。また、重篤な副反応による健康被害などが生じた場合、健康被害救済を目的とした新たな立法措置を検討している。(参考)新型コロナウイルス感染症対策分科会(第8回)議事次第(内閣府)コロナワクチン、希望者全員無料に 政府検討(日本経済新聞)2.季節性インフルエンザ、疑い例をかかりつけ医で診療できる体制作りへ厚生労働省は4日、都道府県に対して事務連絡「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」を発出した。季節性インフルエンザは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との鑑別が困難であり、インフルエンザ流行時期に備えた体制整備を行う必要がある。各都道府県に対して、発熱患者などが帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医などの身近な医療機関に相談・受診し、必要に応じて検査を受けられる体制について、10月中を目途に整備することを求めている。(参考)次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について(厚労省)3.新型コロナウイルス感染拡大による病床稼働率低下の実態厚労省は4日に今年度5月分の病院報告を発表した。報告によると、2020年3月から5月にかけて、病院の1日平均外来患者数並びに1日平均在院患者数が減少し続けていた。一般病床、介護病床をはじめ、感染病床を除くすべての病床で平均在院日数が延長していることが明らかとなった。(参考)病院報告(令和2年5月分概数)結果の概要(厚労省)4.厚生労働事務次官に旧・厚生省出身の樽見 英樹氏が就任厚労省は4日、鈴木 俊彦事務次官の退任と後任人事を発表した。新しく厚生労働事務次官に就任するのは樽見 英樹新型コロナウイルス感染症対策推進室長。今回の次官人事により、4代続けて旧・厚生省出身の官僚が就任することとなった。樽見氏の後任には吉田 学氏が就任する。通常の定期異動時期は7月であり、9月に厚労省の次官人事がずれ込んだのは新型コロナウイルス感染拡大のためで、ようやく発令となったと考えられる。(参考)厚労次官に樽見氏(時事通信)5.新型コロナによる診療報酬上の臨時的対応で、病院の実績要件など緩和厚労省は8月31日付けで、事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)」を都道府県などに発出した。今回の新型コロナウイルス感染拡大によって、診療実績などの要件が満たせなくなった場合について、新たな解釈を発表。COVID-19患者などを受け入れた医療機関では、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率および医療区分2または3の患者割合などについて、当該要件を満たさなくなった場合においても、ただちに施設基準の変更届出を行わなくてもよいなど、現場の声を反映したもの。加算要件に必要な研修会についても、実施予定を示すことで、新型コロナの影響により開催されなかったとしても、届出は可能であるとしている。(参考)新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)(厚労省)

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COVID-19での嗅覚・味覚障害、アジア人と白人で3倍の差:メタ解析

 新型コロナウイルス陽性例ではかなりの割合で嗅覚・味覚障害が認められる。しかし、発現率は報告によって大きく異なり、その理由は不明である。米国・ネバダ大学リノ校のChristopher S. von Bartheld氏らは、系統的レビューとメタ解析を実施し、嗅覚・味覚障害の有病率について統合解析を行ったところ、白人がアジア人の3倍高いことがわかった。ACS Chemical Neuroscience誌オンライン版2020年9月1日号に掲載。COVID-19の嗅覚・味覚障害の有病率は白人54.8%、アジア人17.7% 著者らは、米国国立衛生研究所のCOVID-19ポートフォリオを検索し、COVID-19患者の嗅覚・味覚障害の有病率を報告した研究を調査した。3万8,198例を含む104件の研究を適格と判断し、系統的レビューとメタ解析を行った結果、推定ランダム有病率は、嗅覚障害が43.0%、味覚障害が44.6%、全体で47.4%であった。 また、年齢、性別、疾患重症度、人種による嗅覚・味覚障害の有病率への影響を調べたところ、高齢者、男性、重症者(入院患者)で有病率が低かった。人種による差が最も大きく、白人(54.8%)がアジア人(17.7%)の3倍であった。 著者らは、ウイルス変異株(D614G)では感染力が異なる可能性のほか、宿主側ではウイルス結合侵入蛋白の人種別の変異株が嗅上皮および味蕾へのウイルス侵入を促進する可能性を挙げ、「どちらもCOVID-19パンデミックにおけるウイルス感染力、診断、管理に大きな影響を与える」としている。

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新型コロナワクチンAZD1222、日本での第I/II相臨床試験を開始/アストラゼネカ

 9月4日、アストラゼネカは、新型コロナウイルスワクチンAZD1222の日本国内における第I/II相臨床試験を開始したことを発表した。国内の複数の施設で18歳以上の被験者約250名を対象に実施し、日本人に接種した際の安全性と有効性を評価していく。 AZD1222は、アストラゼネカと英オックスフォード大学と共に開発を進めており、世界各国で治験を行っている。現在、南アフリカで第I/II相試験、英国で第II/III相試験、ブラジル・米国で第III相試験を実施している。

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ACE阻害薬とARBがCOVID-19重症化を防ぐ可能性/横浜市立大学

 新型コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を介して細胞に侵入することが明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とレニン-アンジオテンシン系(RAS)との関連が注目されている。ACE阻害薬またはARBの服用とCOVID-19患者の重症度を解析 今回、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤 泰志氏らの研究グループが、COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について、多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19 研究)を行った。Hypertension Research誌オンライン版2020年8月21日号での報告。 本研究では、2020年2月1日~5月1日の期間、神奈川県内の6医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、藤沢市民病院、神奈川県立足柄上病院、横須賀市立市民病院、横浜市立大学附属病院)に入院したCOVID-19患者151例を対象に、病態に影響を与える背景や要因の解析が行われた。 追跡調査の最終日は2020年5月20日で、すべてのデータは医療記録から遡及的に収集された。高血圧症およびほかの既往歴の情報は、通院歴、入院時の投薬、およびほかの医療機関からの提供内容に基づいている。ACE阻害薬/ARBがCOVID-19患者の意識障害を減らす可能性 COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について研究した主な結果は以下のとおり。・平均年齢は60±19歳で、患者の59.6%が男性だった。151例のうち、39例(25.8%)が高血圧症、31例(20.5%)が糖尿病、22例(14.6%)にACE阻害薬またはARBが処方されていた(ACE阻害薬:3例[2.0%]、ARB:19例[12.6%])。・151例中、14例(9.3%)の院内死があり、14例(9.3%)で人工呼吸、58例(38.4%)で酸素療法が必要だった。入院時、肺炎に関連する意識障害は14例(9.3%)、収縮期血圧<90mmHgに関連する意識障害は3例(2.0%)で観察され、少なくとも13例において、新型コロナウイルス感染が原因とされた。22例(14.6%)がICUに入院した。・患者全体を対象とした単変量解析では、65歳以上(オッズ比[OR]:6.65、95%信頼区間[CI]:3.18~14.76、p<0.001)、心血管疾患既往(OR:5.25、95%CI:1.16~36.71、p=0.031)、糖尿病(OR:3.92、95%CI:1.74~9.27、p<0.001)、高血圧症(OR:3.16、95%CI:1.50~6.82、p=0.002)が、酸素療法以上の治療を要する重症肺炎と関連していた。・多変量解析では、高齢(65歳以上)が重症肺炎と関連する独立した要因だった(OR:5.82、95%CI:2.51~14.30、p<0.001)。・高血圧症患者を対象とした解析の結果、ACE阻害薬またはARBをCOVID-19罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者よりも、主要評価項目の複合アウトカム(院内死亡、ECMO使用、人工呼吸器使用、ICU入室)における頻度が少ない傾向だった(14.3%vs.27.8%、p=0.30)。また、副次評価項目については、COVID-19に関連する意識障害が有意に少なかった(4.8%vs.27.8%、p=0.047)。 著者は「われわれの知る限りでは、これがわが国で初めてCOVID-19患者の臨床アウトカムを検討した研究だ。今回、炎症に対するRAS阻害薬の保護効果が、ACE阻害薬/ARBの使用と意識障害の発生減少を関連させる1つのメカニズムである可能性が明らかになった」と記している。

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COVID-19流行下、3次医療機関でのがん患者の入院は安全か/JCO

 オーストリア・ウィーンの3次医療機関で、COVID-19に対する政府や施設の感染対策実施後に、入院中のがん患者のSARS-CoV-2感染率を調査したところ、一般集団と同様であり、また、がん以外の患者よりも低かったことが報告された。今回の結果から、人口全体および施設の厳格な感染対策が実施された場合には、大規模な3次医療機関において積極的ながん治療や通院が実現可能で安全であることが示唆された。Medical University of ViennaのAnna S. Berghoff氏らによる報告が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年8月14日号に掲載された。 本研究の対象は、2020年3月21日~5月4日、当院で定期的に鼻腔または咽頭スワブを用いたRT-PCRによりSARS-CoV-2 RNAを検査していたがん患者。このコホートでの結果を、代表的な全国ランダムサンプル研究のコホート(対照コホート1)および当院のがん以外の患者のコホート(対照コホート2)のSARS-CoV-2の感染率と比較した。 主な結果は以下のとおり。・連続した1,016例のがん患者に1,688回のSARS-CoV-2検査を実施した。1,016例中270例(26.6%)がネオアジュバントまたはアジュバント治療を受け、560例(55.1%)が緩和療法を受けていた。・1,016例中53例(5.2%)がCOVID-19の疑われる症状を自己申告し、4例(0.4%)でSARS-CoV-2が検出された。SARS-CoV-2陽性の4例とも当科での検査時には無症状で、2人は症候性COVID-19から回復した患者であった。また4例中3例で、陽性判定から14〜56日後に陰性となった。・がんコホートの対照コホート1に対するSARS-CoV-2感染の推定オッズ比は1.013(95%CI:0.209〜4.272、p=1)、対照コホート2のがんコホートに対する推定オッズ比は18.333(95%CI:6.056〜74.157)であった。 著者らは「無症状のウイルス保有者を発見し、ウイルス蔓延を回避するために、がん患者の定期的なSARS-CoV-2検査が勧められる」としている。

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レムデシビル、中等度COVID-19への効果は?/JAMA

 中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、5日間のレムデシビル投与は標準的治療に比べ、11日目の臨床状態の改善が統計学的に有意であることが示された。10日間投与は標準的治療に比べ、同改善について統計学的な有意差は認められなかったという。ドイツ・ミュンヘン工科大学Rechts der Isar大学病院のChristoph D. Spinner氏らが、596例の入院患者を対象に行った国際共同無作為化試験で明らかにした。レムデシビルは、重症COVID-19患者を対象としたプラセボ対照試験で、臨床的ベネフィットがあることが示されているが、中等度の患者への効果は不明であった。なお、5日間投与で有意差が示された結果について著者は、「示された有意差の臨床的意義については不確実である」と述べている。JAMA誌オンライン版2020年8月21日号掲載の報告。レムデシビル5日、10日投与の有効性を標準的治療と比較 研究グループは、レムデシビル5日間または10日間投与の投与開始後11日時点の臨床状態について、標準的治療と比較する非盲検無作為化試験を行った。 2020年3月15日~4月18日に、米国、欧州、アジアの105病院で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による中等度のCOVID-19肺炎を発症した入院患者を登録した。中等度COVID-19肺炎の定義は、X線所見による肺浸潤と室内気動脈血酸素飽和度94%超とした。 被験者を1対1対1の割合で無作為に3群に分け、レムデシビル(初回200mg/日、翌日から100mg/日)10日間静脈投与(197例)、同5日間静脈投与(199例)、標準的治療(200例)を、それぞれ実施した。 主要エンドポイントは、11日目の臨床状態で、7ポイント順序尺度(死亡[カテゴリー1]~退院[カテゴリー7])で評価した。レムデシビル群と標準的治療群の差については、比例オッズモデルを用いてオッズ比(OR)を求めた。 最終フォローアップは2020年5月20日であった。レムデシビル10日投与群は標準的治療群と有意差なし、5日群で有意差 無作為化を受けた596例のうち、584例が試験を開始し、レムデシビル投与または標準的治療を受けた(年齢中央値57歳[四分位範囲:46~66]、女性227例[39%]、心血管疾患56%、高血圧症42%、糖尿病40%)。試験を完了したのは533例(91%)だった。レムデシビル5日群の投与期間中央値は5日、10日群は6日だった。 11日目の臨床状態は、レムデシビル5日群が標準的治療群に比べ良好で、7ポイント順序尺度で評価したORは1.65(95%信頼区間[CI]:1.09~2.48、p=0.02)だった。 一方で、レムデシビル10日群については、11日目の臨床状態は、標準的治療群と有意差は認められなかった(Wilcoxon rank sum検定のp=0.18)。 なお、28日目までに報告された死亡は、レムデシビル5日群2例(1%)、レムデシビル10日群3例(2%)、標準的治療群4例(2%)だった。また、レムデシビル治療群では標準的治療群と比べて、悪心(レムデシビル群10%vs.標準的治療群3%)、低カリウム血症(6% vs.2%)、頭痛(5% vs.3%)の発生頻度が高かった。

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新型コロナワクチンの国内第I相試験を開始/J&J

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは2020年9月1日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するワクチン候補「Ad26.COV2.S」を用いた国内第I相臨床試験の開始について発表した。 本試験は、20~55歳までの健康な成人および65歳以上の高齢者の計250名を対象とし、「Ad26.COV2.S」の接種による安全性、反応原性、免疫原性の評価を行う。 この「Ad26.COV2.S」によるサル対象の前臨床試験は米国で行われており、一回の接種で中和抗体を含む強力な免疫反応を誘発し、接種後に感染防御することが明らかにされている。この良好なデータに基づき、7月から米国とベルギーにて第I/IIa相試験を実施しており、9月には第III相試験へと移行する予定。また、オランダ、スペイン、ドイツでの第IIa相試験も予定されている。「Ad26.COV2.S」について SARS-CoV-2のワクチン候補である「Ad26.COV2.S」は、アデノウイルスの血清型26(Ad26)を使用した組換体ベクターワクチン。同社のAdVac(R)技術(新規ワクチン候補の迅速な開発と最適なワクチン候補の大量生産を可能にする)を活用し、非増殖型アデノウイルス26をベクターとして、SARS-CoV-2に特徴的なスパイクタンパク質の遺伝子情報を組み込み、接種後に体内の免疫系を刺激してSARS-CoV-2に対する抗体を作り出す。この技術は、欧州で承認されたエボラウイルスワクチン、さらに開発中のジカウイルス、RSウイルス、およびHIVの各ワクチン候補における臨床試験でも使用され、これまで9万例以上に投与した実績を有している。

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「フラジール」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第15回

第15回 「フラジール」の名称の由来は?販売名フラジール®内服錠250mg一般名(和名[命名法])メトロニダゾール(JAN)[日局]効能又は効果◯ トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症) ◯ 嫌気性菌感染症 <適応菌種>本剤に感性のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属<適応症>深在性皮膚感染症外傷・熱傷及び手術創等の二次感染骨髄炎肺炎、肺膿瘍骨盤内炎症性疾患腹膜炎、腹腔内膿瘍肝膿瘍脳膿瘍◯ 感染性腸炎<適応菌種>本剤に感性のクロストリジウム・ディフィシル<適応症>感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)◯ 細菌性腟症<適応菌種>本剤に感性のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス・フラジリス、プレボテラ・ビビア、モビルンカス属、ガードネラ・バジナリス<適応症>細菌性腟症◯ ヘリコバクター・ピロリ感染症胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALT リンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎◯ アメーバ赤痢◯ ランブル鞭毛虫感染症用法及び用量<トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)>通常、成人にはメトロニダゾールとして、1クールとして、1回250mgを1日2回、10 日間経口投与する。<嫌気性菌感染症>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回500mgを1日3回又は4回経口投与する。<感染性腸炎>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回250mgを1日4回又は1回500mgを1日3回、10~14日間経口投与する。<細菌性腟症>通常、成人にはメトロニダゾールとして、1回250mgを1日3回又は1回500mgを1日2回7日間経口投与する。<ヘリコバクター・ピロリ感染症>アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合通常、成人にはメトロニダゾールとして1回250mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。<アメーバ赤痢>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回500mgを1日3回10日間経口投与する。なお、症状に応じて1回750mgを1日3回経口投与する。<ランブル鞭毛虫感染症>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回250mgを1日3回5~7日間経口投与する。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由1.既往に本剤の成分に対する過敏症を起こした患者2.脳、脊髄に器質的疾患のある患者(脳膿瘍の患者を除く)[中枢神経系症状があらわれる ことがある。]3.妊娠3ヵ月以内の女性(有益性が危険性を上回ると判断される疾患の場合は除く)※本内容は2020年9月2日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年7月改訂(改訂第17版)医薬品インタビューフォーム「フラジール®内服錠250mg」2)塩野義製薬:製品情報一覧

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COVID-19治療薬レムデシビルの添付文書改訂

 8月31日、ギリアド・サイエンシズ社は同社が製造販売するレムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液/点滴静注用)の添付文書の一部記載を自主改訂した。改訂箇所は「重要な基本的注意」「相互作用」「副作用」の3つ。 改訂の詳細は以下のとおり。●重要な基本的注意 これまでの「Infusion Reaction」にかかる注意喚起を、「Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む過敏症」へ変更し、後段にこれらの発現を回避できる可能性のある方法として、本剤の緩徐な投与を考慮することについて注意喚起を追加した。 ●相互作用 本剤とヒドロキシクロロキン硫酸塩(商品名:プラケニル、国内においてSARS-CoV-2 による感染症に対して未承認)及びクロロキン(国内未承認)との相互作用について「レムデシビルの抗ウイルス活性が低下する可能性がある」と注意喚起を追加した。●副作用 重大な副作用の事象名を、「Infusion Reaction」から「過敏症(Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む)」へ変更し、これらの徴候及び症状について追加及び変更した(低血圧、嘔気、嘔吐、発汗、振戦等があらわれることがある。→ 低血圧、血圧上昇、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管性浮腫、発疹、悪心、嘔吐、発汗、悪寒等があらわれることがある)。

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第21回 検査1日20万件など、安倍首相が最後にまとめたコロナ対策

<先週の動き>1.検査1日20万件など、安倍首相が最後にまとめたコロナ対策2.経営悪化で3,500診療所、1,000病院が無利子・無担保融資を利用3.医師労働時間短縮計画策定ガイドライン案が取りまとめられた4.自民党内に国民皆保険を守る国会議員連盟が発足5.“GLP-1ダイエット”製薬メーカーからも警告1.検査1日20万件など、安倍首相が最後にまとめたコロナ対策28日、新型コロナウイルス感染症対策本部による取りまとめ結果が、安倍 晋三首相の記者会見で発表された。季節性インフルエンザとの同時流行なども踏まえ、抗原簡易キットによる検査能力を1日20万件程度まで拡充させることや病床確保を弾力的に行うことなど、トータルパッケージとして今後の対策方針を打ち出した。さらに、2類相当の指定感染症として感染症法に基づく権限の運用について、政令改正も含め、柔軟に見直しを行っていく方針を固めた。今後、国際的な人的交流を部分的・段階的に再開するため、成田・羽田・関西空港における入国時の検査能力・体制の拡充を行うことを目指し、9月までに1万人超の検査能力を確保する見込み。10月を目処にビジネス目的の出国者が市中の医療機関において検査証明を迅速に取得するのを支援目的に、インターネットで予約・マッチングすることができる仕組みを構築することが打ち出されている。(参考)新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組(新型コロナウイルス感染症対策本部)新型コロナウイルス感染症対策本部(第42回)議事次第(内閣官房)政府、検査1日20万件に拡充へ 「コロナ対策パッケージ」公表(毎日新聞)2.経営悪化で3,500診療所、1,000病院が無利子・無担保融資を利用経営が悪化した病院向けに独立行政法人 福祉医療機構が実施している、無利子・無担保融資の決定件数が明らかとなった。7月21日時点で、3,538件の診療所で1,248億円、1,077件の病院で2,779億円に上り、これは全国8,200病院の1割強に当たる。政府は新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した医療機関を支援するため、官民ファンド「地域経済活性化支援機構(REVIC)」を活用した新たな医療機関支援を開始するとし、福祉医療機構との連携協定の締結を行った。このスキームにより、REVICの経営ノウハウ提供など、地域の医療・福祉サービスの提供体制の維持・強化を図ることが可能となる。(参考)1000病院、無利子融資活用 診療所は3500件 受診減り経営悪化(日本経済新聞)地域経済活性化支援機構との連携協定の締結について~病院等事業者に対する経営支援~(福祉医療機構)病院経営動向調査(2020年6月調査) 新型コロナウイルス感染症の影響等に関する特別調査結果(同)3.医師労働時間短縮計画策定ガイドライン案が取りまとめられた28日、厚生労働省は「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開催した。これまで、2024年4月の新時間外労働規制の適用に向けて、医師の時間外労働の上限規制に関して、医事法制・医療政策における措置について、8回にわたって討議を重ねてきた。これまでの議論をもとに、今回「医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)」がまとまった。今後、ガイドラインに沿って実際に医師の労働時間を短縮していくために、各医療機関内で取り組める事項について作成し、PDCAサイクルを進めていくこととなる。ガイドラインによれば、年間の時間外・休日労働時間数が960時間を超える医師の勤務する医療機関については、2024年までになるべく早期の計画策定が求められることとなる。(参考)医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)(厚労省)第8回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料(同)4.自民党内に国民皆保険を守る国会議員連盟が発足27日、自民党有志による「国民皆保険を守る国会議員連盟」(会長・鴨下 一郎元環境相)の設立総会が自民党本部で開催された。呼びかけ人代表の鴨下一郎議員が会長として承認された。設立趣意書によると、「本議員連盟は、国民の健康を守り、安心により生活・経済を支える国民皆保険制度を、将来にわたり持続可能なものとするよう、幅広い観点から検討することを目的とする」とあり、高齢化や新型コロナウイルス対応で政府の財政悪化の状況下で、皆保険制度の持続性を高める方策を議論する方向性が打ち出されている。(参考)国民皆保険維持へ自民議連(時事ドットコム)松本純の国会奮戦記2020年8月5.“GLP-1ダイエット”製薬メーカーからも警告ダイエット目的でのGLP-1受容体作動薬の使用・処方が国内で問題になってきている。20日、製造販売元4社が共同して文書による適正使用を呼び掛け、医療機関などに周知を開始している。海外では肥満症の適応で処方可能とされているが、日本国内では適応が承認されていない。このため、日本糖尿病学会より2020年7月9日付で「GLP-1受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」が発出されている。2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は現時点では確認されておらず、低血糖による健康被害の可能性もあり、医薬品副作用被害救済制度による救済の支給対象外となるため、適正な処方が望まれる。(参考)GLP-1 受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ(PMDA)GLP-1受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(日本糖尿病学会)

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SARS-CoV-2変異株、重症度が変化/Lancet

 遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)8領域に382ヌクレオチド欠損(Δ382)を認める新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異体の感染者は、症状が軽症であることが明らかにされた。シンガポール・国立感染症センターのBarnaby E. Young氏らによる観察コホート試験の結果で、著者は「観察されたORF8における欠損の臨床的影響は、治療やワクチン開発に影響を与えるものと思われる」と述べている。ORF8領域にΔ382を有するSARS-CoV-2遺伝子変異体は、シンガポールおよびその他の国でも検出されていた。Lancet誌オンライン版2020年8月18日号掲載の報告。Δ382変異体感染者と野生型感染者の低酸素症の発生を比較 研究グループは、シンガポールの公立病院7ヵ所で2020年1月22日~3月21日に、PCR検査によりSARS-CoV-2感染が確認された患者のうち、Δ382変異のスクリーニングを受けた患者を後ろ向きに特定し、それら患者を集めた前向きコホート試験「PROTECT試験」を行った。 被験者の臨床情報や臨床検査・放射線検査データを、電子カルテおよび入院中・退院後に採取された血液・呼吸器検体情報から収集して、Δ382変異体感染者と野生型SARS-CoV-2感染者を比較。精確ロジスティック回帰法を用いて群間の関連性と、酸素補充療法を要する低酸素症の発生(主要エンドポイントで重症COVID-19の指標)について調べた。低酸素症発生リスク、Δ382変異体群は野生型群より低い 278例がPCR検査でSARS-CoV-2への感染が確認され、Δ382変異のスクリーニングを受けていた。そのうち131例がPROTECT試験に登録。92例(70%)が野生型に感染、10例(8%)が野生型とΔ382変異体の混合感染で、29例(22%)がΔ382変異体に感染していた。 酸素補充療法を要する低酸素症の発生率は、Δ382変異体感染群が野生型感染群よりも低率だった。Δ382変異体感染群は0%(0/29例)、野生型感染群は28%(26/92例)で絶対群間差は28%(95%信頼区間[CI]:14~28)だった。年齢や併存疾患について補整後、Δ382変異体感染群の酸素補充療法を要する低酸素症の発生に関するオッズは、野生型感染群と比べてより低かった(補正後オッズ比:0.07、95%CI:0.00~0.48)。(8月27日 記事の一部を修正いたしました)

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第21回 ワクチン2題。あなたはワクチン打ちますか、打たせますか?

ワクチンは高齢者、医療従事者が優先の方向こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。相変わらず猛暑が続きます。私は2週間前に越後駒ヶ岳を登った時の日焼けが思いの外ひどく、しばらく皮膚がめくれた醜い腕をさらしていたのですが、やっと収まってきました。NHKニュースでも「たかが日焼け?~甘く見ないで対策を」と、重症の日焼けについて報道していましたが、よく言われる「日焼けは皮膚がんになる」は、日本人(黄色人種)の場合、当てはまるのでしょうか?日焼けクリームがなかった昔から、農家の人は夏には真っ黒になって仕事をしてきました。でも、農業従事者に皮膚がんが多い、とは聞きません。また、登山やサーフィンを趣味にする人に皮膚がんが多い、とも聞きません。とくに肌が白い人はともかく、普通の日本人の肌の色であれば日焼けクリームはそんなに塗らなくてもいいのでは、と毎年思うのですが、皆さん、いかがでしょう?さて、今週はワクチンの話題について書きたいと思います。連日、全国各地でクラスター発生の報道がある中、8月21日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が開かれ、東北大の押谷 仁教授から、「東京都、大阪府、愛知県のいずれも7月末がピークだったとみられる」と、再流行が収束に向かう兆しがある旨の発言がありました。もっとも、「東京都は高止まりの可能性があり、急激には下がることはない」とのこと。一方、感染拡大が続いている沖縄県については「不確実だが、少しずつ減っている可能性もある」と述べました。全体として、このまま行けば徐々に収束に向かうのでは、との期待を持たせる報告でした。また、この分科会では、新型コロナウイルス感染症のワクチンが開発された場合にどのような優先順位で接種するかについて「現時点での考え方」が公表され、新聞他各メディアもそれを大きく報じました。そこでは、重症化の可能性が高い高齢者や基礎疾患を有する人、直接診療に当たる医療従事者は優先的に接種する必要性が高いと指摘。一方で、妊婦や高齢者施設で働く人は検討課題とされました。今後、政府は優先的に接種する対象をどこまで広げるかなどについて分科会で議論してもらい、秋にもワクチン接種のあり方を定めた基本方針を策定する予定とのことです。「国民が期待していない事実が出てくるかもしれない」と尾身氏この「考え方」、安全性や有効性に不確実な面があることを指摘し、情報収集と国民への正確な発信の重要性を強調するなど、全体としてかなり冷静でドライな内容となっています。例えば、「特に留意すべきリスク」として、「現在開発が進められているワクチンでは、核酸やウイルスベクター等の極めて新規性の高い技術が用いられていることである。また、ワクチンによっては、抗体依存性増強(ADE)など重篤な副反応が発生することもありうる。ワクチンの接種にあたっては、特に安全性の監視を強化して接種を進める必要がある」と、新規性の高い技術のためリスクの見極めが難しい点や、ADEの危険性にも言及しています。さらに、「一般的に、呼吸器ウイルス感染症に対するワクチンで、感染予防効果を十分に有するものが実用化された例はなかった。従って、ベネフィットとして、重症化予防効果は期待されるが、発症予防効果や感染予防効果については今後の評価を待つ必要がある」と、ワクチンが開発されたとしても当面期待できるのは重症化予防効果だけである点にも触れています。その上で、「わが国では、ワクチンの効果と副反応の関係については、長い間、国民に理解を求める努力をしてきたが、副反応への懸念が諸外国に比べて強く、ワクチンがなかなか普及しなかった歴史がある。 従って、国民が納得できるような、十分な対話を行っていくべきである」と国民への情報提供や配慮の重要性にも触れています。分科会長の尾身 茂氏も、「国民が必ずしも期待していない事実が出てくるかもしれない。100%理想のものでなかったらがっかりするが、副作用があるのかないのか透明性を持って伝えることが私どもの仕事だ」と話したとのことです。「全員接種」を強制の可能性も政府は、これまでに米国ファイザー社と英国アストラゼネカ社からワクチンの供給を受けることで合意。開発に成功した場合、来年初頭からワクチンの一部が日本に供給される予定です。今回のワクチン接種の優先順位は、とりあえず開発が先行するこの2社のワクチンを想定してのものと考えられます。さて、優先順位の上位に医療従事者が入っていますが、読者の皆さんは打ちたいと思いますか?医療関係者からは「ワクチンを打って安心して働きたい」という声の一方で、「安全性が確立していない初物のワクチンなんて打ちたくない」という声も聞こえてきます。開発を担当する製薬企業の研究者ですら、「私はちょっと…」とお茶を濁す人もいると聞きます。仮に来年、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種がスタートし、医療従事者が優先となった場合、医療機関によって「スタッフ全員接種」か「希望者のみに接種」か、対応が異なってくると思われます。先の「考え方」には、「接種を優先すべき対象者がリスクとベネフィットを考慮した結果、接種を拒否する権利も十分に考慮する必要がある」と書かれてはいますが、「あそこの病院はワクチンを全員打っていないから危険だ!」といった、意味のない風評を嫌う病院経営者(公立病院の場合は首長)が、「全員接種」を強制する可能性も考えられます。「今回のワクチンはあくまで重症化予防であり、感染予防ではない」ことを、一般人のみならず、大阪府知事など医学に疎い自治体の首長にも事前にしっかりと啓発し、ワクチンの登場までにヘルスリテラシーをしっかり高めておいて欲しいと思います。9価HPVワクチンが定期接種検討へワクチンということでは、今週はもう一つ興味深いニュースがありました。厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会「ワクチン評価に関する小委員会」が8月18日、MSDの9価HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン「シルガード9 (組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)」を、公費で接種できる定期接種に組み入れるかどうかの是非を今後検討することを了承したのです。同ワクチンは先月7月21日に製造販売が承認されたばかり。HPVワクチンは日本ではこれまで子宮頸がんになりやすいハイリスクな16型、18型への感染を防ぐ2価ワクチン(サーバリックス)と、その2つの型に加え尖圭コンジローマを起こす6型、11型も防ぐ4価ワクチン(ガーダシル)しか承認されていませんでした。シルガード9は上記に加え、やはりがんになりやすい31、33、45、52、58の5つの型も含めた9価ワクチンです。子宮頸がんの90%以上を防ぐとして先進国では主流(肛門のがんや性器イボも予防できるとして男性も接種対象)ですが、日本だけ承認が大幅に遅れていました。ちなみにMSDが製造販売の承認申請をしたのは2015年7月ですが、9価ワクチン承認に反対する団体の影響もあったのか、承認までになんと5年もかかっています。WHOからも叱られた「いい思い出がない」ワクチンHPVワクチンは日本のワクチン行政上、「いい思い出がない」ワクチンとも言えます。新型コロナウイルス感染症に関しての分科会の「考え方」で述べられた、「副反応への懸念が諸外国に比べ強く、ワクチンがなかなか普及しなかった歴史」とはHPVワクチンのことでもあるのです。2013年に予防接種法に基づき2価、4価ワクチンが定期接種化されたものの、接種後の副反応の疑い例が大々的に報道されました。その影響で自治体から接種対象者に接種時期を知らせたり、個別に接種を奨めたりするような積極的勧奨は中断したままです。現在の高校3年生以下の女子の接種率は1%未満という数字もあります。一方で、子宮頸がんの患者数は増加傾向にあり、毎年国内で約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しています。特に20~30代のAYA世代に多く、30歳代後半がピークとなっています。こうした状況下、WHOは2015年の声明で、若い女性が本来予防し得るHPV関連がんのリスクにさらされている日本の状況を危惧し、「安全で効果的なワクチンが使用されないことに繋がる現状の日本の政策は、真に有害な結果となり得る」と警告。日本産科婦人科学会も、「科学的見地に立ってHPVワクチン接種は必要」との立場で、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開を国に対して強く求める声明を繰り返し発表し、9価ワクチンについても早期承認と定期接種化を求めてきました。その定期接種化に向けての動きがやっと始まった、というわけです。既に世界で効果と安全性の評価が固まっているHPVワクチンと、これから評価待ちの新型コロナウイルスワクチン。ワクチンに対しセンシティブで過剰反応が過ぎると言われる日本人が、この2つのワクチンにこれからどのような“反応”をし、“判断”を下すのか、とても気になります。

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COVID-19、第1波・第2波の特徴と転帰を比較/JAMA

 COVID-19感染流行において、初期と2度目の流行では、患者の属性や臨床的症状、転帰に違いはあるのか。Center for Outcomes Research(米国・ヒューストン)のFarhaan S. Vahidy氏らによる分析が、JAMA誌オンライン版2020年8月13日号のリサーチレターで報告されている。 著者らは、テキサス州ヒューストンの8病院が使うヘルスケアシステム・Houston Methodistの電子カルテから、PCR検査で陽性となったCOVID-19重症患者を抽出したうえで、年齢、性別、人種/民族、併存症、投薬、ICU入院、死亡率を分析した。第1波は2020年3月13日~5月15日、第2波は5月16日~7月7日までとした。2020年7月7日時点におけるCOVID-19の入院患者のユニーク数は2,904例、第1波が774例、第2波が2,130例だった。 第1波と比較した第2波の特徴は以下のとおり。・若年者が多かった(平均年齢:57.3 vs.59.9歳、p<0.001)。・ヒスパニック系が多かった(43.3 vs.25.7%、p<0.001)。・低収入地域の居住者が多かった(ZIPコード別世帯収入中央値:6万765 vs.6万5,805ドル、p<0.001) 。・糖尿病(32.0 vs.40.3%)、高血圧(38.8 vs.55.3%)、肥満(25.7 vs.33.9%。いずれもp<0.001)などの全身および特定の併存症を有する割合が低かった。・レムデシビル(22.2 vs.11.2%、p<0.001)、エノキサパリン(72.6 vs.63.8%、p<0.001)の投与例が多かった。・入院期間中央値は短く(4.8 vs.7.1日、p<0.001)、ICU入院率も低かった(20.1 vs.38.1%、p<0.001)。・死亡率が低かった(3.5 vs.12.1%、p<0.001)。 著者らは、第2波の流行前に地域の経済活動が再開されたことから、経済活動の主体となるヒスパニック系の若年層に患者層がシフトした可能性がある、と示唆している。

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