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<先週の動き>1.5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省2.初の国産コロナ治療薬となるか?塩野義製薬が経口薬を承認申請3.2021年の死亡数6.7万人増で戦後最多、デルタ株の影響か/厚労省4.内科や外科を目指す若手医師が減少?新制度で問題は解消されるのか5.旧優生保護法による強制不妊手術、国に初の賠償命令/大阪高裁6.乳房インプラントによるリンパ腫の国内報告が新たに2例、計4例に1.5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省厚労省は、5~11歳の小児への新型コロナウイルスワクチン接種について、副反応に対応できる医療提供体制の確保を確認の上、専門的な医療機関の見直しを検討するよう事務連絡を発出した。副反応に関する相談窓口の設置などにかかる経費は補助の対象となる。早いところでは2月末からワクチン接種が開始されるが、12歳以上への接種と異なり、有効成分量を成人の3分の1にするほか、ワクチン接種は努力義務ではなく、保護者の同意の上実施することになっている。乳幼児・小児に対して接種を行う場合は、保護者の同伴を求めることも含め、21日に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の第7版を公表した。(参考)5~11歳へのワクチン接種 自治体の必要経費 全額助成へ 厚労省(NHK)小児接種、副反応に対応可能な医療体制確保を 厚労省(CB newsマネジメント)新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の幼児児童生徒に対する実施についての学校等における考え方及び留意点等について(厚労省)2.初の国産コロナ治療薬となるか?塩野義製薬が経口薬を承認申請塩野義製薬は25日、新型コロナウイルスに対する経口薬の製造販売承認を厚労省に申請したことを発表した。本剤は新型コロナウイルスの増殖を抑制するプロテアーゼ阻害薬。12歳以上の軽症・中等症患者を対象とした臨床試験において、1日1回、5日間投与したところ、3回目の投与後に感染性ウイルスが検出された割合が10%未満となり、プラセボを服用した群よりも低かった。また、副作用も軽度だったとしている。承認されれば、軽症者向けの飲み薬としては3剤目、国内の製薬会社では初めてとなる。すでに製造を始めており、3月末までに1100万人分を生産し、4月以降は年間1,000万人分の供給体制の構築を目指す。現時点では臨床試験がすべて終了しておらず、この前に実用化できる「条件付き早期承認制度」の適用を求めている。(参考)塩野義、コロナ飲み薬を年間1000万人分供給へ…厚労省に製造販売の承認申請(読売新聞)塩野義製薬 新型コロナの飲み薬 厚労省に承認申請(NHK)塩野義がコロナ経口薬を承認申請、条件付き早期承認制度の適用を希望(日経バイオテク)新型コロナウイルス感染症治療薬S-217622の国内における製造販売承認申請について(塩野義製薬)3.2021年の死亡数6.7万人増で戦後最多、デルタ株の影響か/厚労省厚生労働省は25日、2021年12月の人口動態統計の速報を公表した。昨年亡くなった人は前年より6万7,745人(4.9%)増加し、戦後最多の145万2,289人だった。死者数の増加は2年ぶりで、新型コロナウイルスのデルタ株による影響が考えられる。死因が公表されている21年1~9月分のデータをみると、新型コロナによる死者は前年の同じ期間より1万4,563人多かった。東日本大震災の犠牲者も1万5,000人余りだったが、21年はコロナ禍の余波とみられる心臓など循環器系疾患の死亡が前年同期より1万人余り増加し、戦後最多の死亡数となった。なお、脳卒中など救急医療が必要な死因の死亡数は横ばいだったため、第5波の医療逼迫では死亡数の増加を防げたとみられる。ほかにも老衰1万5,035人、誤嚥性肺炎5,429人など増えており、いずれも高齢化が背景とみられる一方で、出生数は84万2,897人と過去最少であり、人口減少は加速している。(参考)21年の死者、戦後最多145万人 デルタ株流行が影響 厚労省速報(朝日新聞)死亡増加数は戦後最大 6万7000人増、震災時上回る 心不全などコロナ余波(日経新聞)人口動態統計速報(令和3年12月分)(厚労省)4.内科や外科を目指す若手医師が減少?新制度で問題は解消されるのか日本専門医機構は21日にオンラインで行った定例記者会見で、2022年度に専門医研修を開始する専攻医の領域ごとの採用者数を発表した。総数は9,519人と前年度より300人余り増加しているが、内科や外科が前年度に比べ減少している。地域医療の現場からは「内科医師が圧倒的に不足している」との声が強い。各学会からは「専攻医に占める内科のシェアが減少しており、将来の我が国の医療を考えたとき大きな問題である(内科)」「外科医不足は深刻で、まだまだ増やす必要がある(外科)」「ICTが発達する中で放射線科医の働き方は大きく変わっており、従前と同じ考え方で地域偏在などを議論することは難しくなってきている(放射線科)」などの意見が出ており、寺本 民生理事長は、「今後、『診療科、領域間の偏在』の是正を検討していく必要がある。ただしシーリング(採用数の上限設定)には負の面があることにも留意しなければならない」との考えを述べた。(参考)専門医を目指す医師 内科、外科が減少 診療科の偏在解消へ課題も(読売新聞)新専門医目指す「専攻医」の2022年度採用は9519名、「内科医不足の解消」などが今後の重要課題―日本専門医機構(Gem Med)5.旧優生保護法による強制不妊手術、国に初の賠償命令/大阪高裁旧優生保護法による「不良な子孫の出生防止」を目的に、知的障害などを理由に本人の同意なく不妊手術を強制された原告らの訴えに対して、憲法13条・14条に違反とし、国側に初の賠償命令がでた。これまでの地裁判決では、旧優生保護法による不妊手術を違憲としつつも、20年の除斥期間を理由に請求を退けてきた。今回の高裁判決は、被害者の救済を求めた原告らが、法改正直後であっても、社会的な差別や偏見などで原告の訴訟が難しかったことを考慮し、請求を退けた一審判決と異なり、国側に計2,750万円の賠償を命じた。(参考)除斥期間の例外を認定 被害者救済の道広がる 強制不妊訴訟の大阪高裁判決(産経新聞)旧優生保護法「違憲」、国に初の賠償命令 大阪高裁(日経新聞)6.乳房インプラントによるリンパ腫の国内報告が新たに2例、計4例に厚労省は、2019年から豊胸術や乳がん再建術に用いられるインプラント(ゲル充填人工乳房)のまれな合併症「乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)」について継続した情報提供を行っているが、このほど新たに2例の発症報告があったと発表した。国内ではこれまでに4例が報告されているが、現時点で死亡症例は認められていない。本製品は2019年7月、米国FDAの決定によりアラガン社が全世界を対象として自主回収(リコール)しており現在は流通していないが、該当する製品が挿入された患者のうち、2,200〜3,300人に1例(0.030~0.045%)でBIA-ALCLが発症している。発症までの期間は術後平均7~9年とされ、引き続き継続的な検診を呼び掛けている。(参考)人工乳房による悪性リンパ腫が国内でも散発、生涯にわたり「定期検診と自己検診」継続を―厚労省・関係学会(Gem Med)ゲル人工乳房でリンパ腫発症、国内3・4例目 継続的な検診を呼び掛け、厚労省(CB newsマネジメント)乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)についてよくあるご質問(日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会)ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(厚労省)