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抗凝固療法終了後のVTE、10年で3分の1以上が再発/BMJ

 非誘発性の静脈血栓塞栓症(VTE)の初回エピソードを発症し、3ヵ月を超える抗凝固療法を終了した患者における累積VTE再発率は、2年で16%、5年で25%、10年では36%に達することが、カナダ・オタワ大学のFaizan Khan氏らMARVELOUS共同研究グループの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年7月24日号に掲載された。抗凝固療法は、非誘発性VTEの初回エピソード後のVTE再発リスクの抑制において高い効果を発揮するが、この臨床的な有益性は抗凝固療法を中止すると維持されなくなる。抗凝固療法を無期限に中止または継続すべきかの判断には、中止した場合のVTE再発と、継続した場合の大出血という長期的なリスクとのバランスの考慮が求められるが、中止後のVTE再発の長期的なリスクは明確でないという。中止後の長期のVTE再発率をメタ解析で評価 研究グループは、非誘発性VTEの初回エピソード例において、抗凝固療法中止後のVTE再発を評価し、最長10年の累積VTE再発率を検討する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成による)。 2019年3月15日までに、医学データベースに登録された文献を検索した。対象は、非誘発性VTEの初回イベントを発症し、3ヵ月以上の抗凝固療法を終了した患者において、治療中止後の症候性VTEの再発について報告した、無作為化対照比較試験または前向きコホート研究とした。 2人の研究者が独立的に試験選出・データ抽出を行い、バイアスリスクを評価。適格と判定された試験のデータについて、各論文執筆者に確認を求めた。個々の研究の抗凝固療法中止後のVTE再発イベントの発生率および追跡期間の人年を算出し、変量効果メタ解析でデータを統合した。男性で再発率が高い傾向、再発による死亡は4% 18件の研究(7,515例)が解析に含まれた。4件が前向き観察コホート研究、14件は無作為化対照比較試験であった。すべての研究が、Newcastle-Ottawaスケールで「質が高い」と判定された。 抗凝固療法中止後100人年当たりのVTE再発率は、1年時が10.3件(95%信頼区間[CI]:8.6~12.1)、2年時が6.3件(5.1~7.7)、3~5年が3.8件/年(3.2~4.5)、6~10年は3.1件/年(1.7~4.9)であった。また、累積VTE再発率は、2年時が16%(13~19)、5年時が25%(21~29)、10年時は36%(28~45)であった。 男女別の抗凝固療法中止後1年の100人年当たりのVTE再発率は、男性が11.9件(95%CI:9.6~14.4)、女性は8.9件(6.8~11.3)であり、10年時の累積再発率はそれぞれ41%(28~56)および29%(20~38)であった。 VTE再発率は、孤立性肺塞栓症患者と比較して、近位深部静脈血栓症患者(率比:1.4、95%CI:1.1~1.7)および肺塞栓症+深部静脈血栓症患者(1.5、1.1~1.9)で高かった。また、遠位深部静脈血栓症患者における中止後1年時の100人年当たりのVTE再発率は1.9件(95%CI:0.5~4.3)であった。VTE再発による死亡率は4%(2~6)だった。 著者は、「これらのデータは、非誘発性VTEの診療ガイドラインの策定に役立ち、患者に予後を説明する際の信頼度を高め、長期のマネジメントに関する意思決定の支援に有用と考えられる」としている。

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循環器医もがんを診る時代~がん血栓症診療~/日本動脈硬化学会

 がん患者に起こる“がん関連VTE(Venous Thromboembolism、静脈血栓塞栓症)”というと、腫瘍科のトピックであり、循環器診療とはかけ離れた印象を抱く方は多いのではないだろうか? 2019年7月11~12日に開催された、第51回日本動脈硬化学会総会・学術集会の日本腫瘍循環器病学会合同シンポジウム『がん関連血栓症の現状と未来』において、山下 侑吾氏(京都大学大学院医学研究科循環器内科)が「がん関連静脈血栓塞栓症の現状と課題~COMMAND VTE Registryより~」について講演し、循環器医らに対して、がん関連VTE診療の重要性を訴えた。なぜ循環器医にとって、がん関連VTEが重要なのか 循環器医は、虚血性心疾患、不整脈、および心不全などの循環器疾患を主に診療しているが、血栓症/塞栓症のような“血の固まる病気”への専門家として、わが国ではVTE診療における中心的な役割を担っている。VTEは循環器医にとって日常臨床で遭遇する機会の多い身近な疾患であり、山下氏は「VTE診療は循環器医にとって重要であるが、その中でもがん関連VTEの割合は高く、とくに重要である」と述べた。発症原因のはっきりしないVTEでは、がんに要注意! 「循環器医の立場としては、VTEの発症原因が不明で、なおかつVTEを再発するような患者では、後にがんが発見される可能性があり、日常臨床で経験する事もある」と述べた同氏は、VTE患者でのがん発見・発症割合1)を示し、VTEの原因としての“がん”の重要性を注意喚起した。さらに同氏は、所属する京都大学医学部附属病院で2010~2015年の5年間に、肺塞栓症やDVT(Deep Vein Thrombosis、深部静脈血栓症)の保険病名が付けられた診療科をまとめた資料を提示し、循環器内科を除外した場合には、産婦人科、呼吸器科、消化器科および血液内科などの腫瘍を多く扱う診療科でVTEの遭遇率が高かったことを説明した。 近年では、がん治療の進歩によりがんサバイバーが増加し、経過観察期間にVTEを発症する例が増えているという。がん患者と非がん患者でVTE発症率を調査した研究2)でも、がん患者のVTE発症率が経年的に増加している事が報告されており、VTE患者全体に占めるがん患者の割合は高く、循環器医にとって、「VTEの背景疾患として、がんは重要であり、日常臨床においては、循環器医と腫瘍医との連携・協調が何よりも重要」と同氏は強調した。がん関連VTEの日本の現状と課題 本病態が重要にも関わらず、現時点での日本における、がん関連VTEに関する報告は極めて少なく、その実態は不明点が多い状況であった。そこで同氏らは、国内29施設において急性症候性VTEと診断された3,027例を対象とした日本最大規模のVTEの多施設共同研究『COMMAND VTE Registry』を実施し、以下のような結果が明らかとなった。・活動性を有するがん患者は、VTE患者の中で23%(695例)存在した(がんの活動性:がん治療中[化学療法・放射線療法など]、がん手術が予定されている、他臓器への遠隔転移、終末期の状態を示す)。・がんの原発巣の内訳は、肺16.4%(114例)、大腸12.7%(88例)、造血器8.9%(62例)が多く、欧米では多い前立腺5.2%(36例)や乳房3.7%(26例)は比較的少数であった。・がん患者のVTE再発率は非常に高く、活動性を有するがん患者ではVTE診断後1年時点で11.8%再発し、なかでも遠隔転移を起こしている患者では22.1%と極めて高い再発率であった。・がん患者の総死亡率は極めて高く、とくに活動性を有するがん患者では49.6%がVTE診断後1年時点で亡くなっていた。・死亡した活動性を有するがん患者(464例)の死因は、がん死が81.7%(379例)で最多であったが、それに次いで、肺塞栓症4.3%(20例)、出血3.9%(18例)であった。 この結果を踏まえ、「再発率だけでなく、死亡率も高いがん関連VTE患者を、どこまでどのように介入するか、今後も解決しなければならない大きな問題である」とし、がん治療中のVTEマネジメントが腫瘍医および循環器医の双方にとって今後の課題であることを示した。 欧米でVTE治療に推奨されている低分子ヘパリンは、残念ながら日本では使用できず、ワルファリンやDOACが使用されている。しかし、ワルファリンは化学療法の薬物相互作用などによりINRの変動が激しく、用量コントロールにも難渋する。また、前述の研究の結果によると、活動性を有するがん患者ではワルファリンによる治療域達成度は低かった。このような患者に対し、VTE治療のガイドライン3)では抗凝固療法の長期継続を推奨しているが、「実際は中止率が高く、抗凝固療法の継続が難しい群であった」と現状との乖離について危惧し、「DOAC時代となった日本でも、がん関連VTEに対する最適な治療方針を探索する研究が必要であり、わが国から世界に向けた情報発信も期待される」と締めくくった。

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がん患者の偶発的肺塞栓症の再発リスクは?

 画像診断技術の進展により、がん患者に偶発的な所見が見つかる割合は高まっており、その治療に関する検討が各種報告されている。オランダ・アムステルダム大学のNoemie Kraaijpoel氏らは、国際共同前向き観察コホート研究において、偶発的な肺塞栓症を有するがん患者で、抗凝固療法を行った場合の再発リスクについて評価した。その結果、治療を行っても静脈血栓塞栓症の再発リスクが懸念されることが示されたという。リスクは、亜区域枝の肺塞栓症患者と、より中枢部の血栓を有する患者で同等であった。がん患者における偶発的な肺塞栓症は、ルーチンの画像検査で最高5%に発見されるという。しかし、とくに遠位血栓に関して、臨床的な関連や最適な治療法は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月22日号掲載の報告。 研究グループは、がん患者で偶然発見された肺塞栓症について、現在の治療戦略と長期予後を評価する目的で、2012年10月22日~2017年12月31日に国際共同前向き観察コホート研究を行った。対象は、任意抽出された、偶発的な肺塞栓症の診断を受けた活動性のがんを有する成人患者であった。 評価項目は、追跡期間12ヵ月における静脈血栓塞栓症の再発、臨床的に著明な出血および全死因死亡で、中央判定で評価した。 主な結果は以下のとおり。・合計695例の患者が解析に組み込まれた。平均年齢66歳、58%が男性で、大腸がん(21%)が最も多く、次いで肺がん(15%)であった。・抗凝固療法は675例(97%)で開始され、うち600例(89%)は低分子ヘパリンが用いられた。・再発性静脈血栓塞栓症41例(12ヵ月累積発生率:6.0%、95%CI:4.4~8.1)、大出血39例(同:5.7%、4.1~7.7)、死亡283例(同:43%、39~46)の発生が認められた。・再発性静脈血栓塞栓症の12ヵ月発生率は、肺塞栓が中枢部の患者で6.0%に対し、亜区域枝の患者では6.4%で、有意差は認められなかった(部分分布のハザード比:1.1、95%CI:0.37~2.9、p=0.93)。

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JAK1阻害薬の単剤療法、MTX不応RAのアウトカム改善/Lancet

 メトトレキサート(MTX)の効果が不十分な関節リウマチ(RA)患者の治療において、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1阻害薬upadacitinibの単剤療法はMTXの継続投与に比べ、臨床的および機能的アウトカムを改善することが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが行ったSELECT-MONOTHERAPY試験で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年5月23日号に掲載された。upadacitinibは、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)への反応が不十分なRA患者の治療において、従来型合成DMARD(csDMARD)との併用による有効性が報告されている。2つの用量とMTX継続を比較する無作為化試験 本研究は、日本を含む24ヵ国138施設で実施された二重盲検ダブルダミープラセボ対照無作為化第III相試験であり、2016年2月~2017年5月に患者登録が行われた(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)のRAの分類基準(2010年版)を満たし、MTXによる治療を行っても活動性RAが認められる患者であった。被験者は、MTXからJAK1阻害薬upadacitinib 15mgまたは30mg(1日1回)に切り替える群、あるいは試験開始前と同一用量のMTXを継続投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、14週時のACR基準で20%の改善(ACR20)および低疾患活動性(DAS28[CRP]≦3.2)の達成割合とした。JAK1阻害薬の単剤療法は疾患コントロールを可能にする治療選択肢となりうる 648例が登録され、JAK1阻害薬upadacitinib 15mg群に217例、同30mg群に215例、MTX継続群には216例が割り付けられた。598例(92%)が試験を完遂した。 患者の約8割が女性で、平均年齢は54.3(SD 12.1)歳、RA診断からの期間は平均6.6(7.6)年であり、79%がリウマトイド因子(RF)または抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体が陽性であった。患者は、平均3年以上のMTX療法にもかかわらず高い疾患活動性を示し、ベースラインのMTXの平均用量は16.7(4.4)mg/週だった。 14週時のACR20達成率は、15mg群が68%(147/217例)、30mg群は71%(153/215例)であり、MTX継続群の41%(89/216例)に比べ有意に良好であった(2つの用量群とMTX継続群の比較:p<0.0001)。 DAS28(CRP)≦3.2の達成率は、15mg群が45%(97/217例)、30mg群は53%(114/215例)と、MTX継続群の19%(42/216例)よりも有意に優れた(2つの用量群とMTX継続群の比較:p<0.0001)。 14週時のDAS28(CRP)≦2.6、CDAI≦10(低疾患活動性)、CDAI≦2.8(寛解)、SDAI≦11(低疾患活動性)、SDAI≦3.3(寛解)のいずれの達成率も、upadacitinibの2つの用量群のほうが優れた。また、健康評価質問票による機能評価(HAQ-DI)もupadacitinib群で良好だった。 有害事象の報告は、15mg群が47%(103例)、30mg群が49%(105例)、MTX継続群は47%(102例)であった。帯状疱疹が、それぞれ3例、6例、1例に認められた。 また、悪性腫瘍が3例(15mg群2例[非ホジキンリンパ腫、乳がん]、MTX継続群1例[基底細胞がん])、主要有害心血管イベント(MACE)が3例(15mg群1例[動脈瘤破裂による出血性脳卒中で死亡]、30mg群2例[心筋梗塞、脳卒中]、いずれも試験薬との関連はないと判定)、肺塞栓症が1例(15mg群、試験薬との関連はないと判定)、死亡が1例(15mg群、動脈瘤破裂による出血性脳卒中)であった。 著者は、「MTXの効果が不十分だが、さまざまな理由で併用治療が困難な患者において、JAK1阻害薬の単剤療法は、疾患コントロールを可能にする治療選択肢となりうる」としている。

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外来がん患者でのリバーロキサバンの血栓予防効果/NEJM

 Khoranaスコアが2以上の高リスク外来がん患者に対し、リバーロキサバンの投与により、試験期間180日間において、静脈血栓塞栓症や静脈血栓塞栓症による死亡などのリスクに有意な低下はみられなかったことが報告された。一方でリバーロキサバン投与期間中については、同イベントの発生は約6割低下し、重大出血の発生も低かった。米国・クリーブランドクリニックのAlok A. Khorana氏らが、800例超を対象に行った第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌2019年2月21日号で発表した。全身性のがん治療を受けている外来患者は、静脈血栓塞栓症について異なるリスクが認められる。一方で、これらの患者の血栓予防のベネフィットについては確認されていなかった。下肢近位DVT、肺塞栓症、静脈血栓塞栓症による死亡などの複合エンドポイントを比較 研究グループは、静脈血栓塞栓症リスクの指標となるKhoranaスコアが2以上の、高リスク外来がん患者を対象に試験を行った。 スクリーニング時点で深部静脈血栓症(DVT)の認められなかった被験者を無作為に2群に分け、一方にはリバーロキサバン(10mg)を、もう一方の群にはプラセボを、最長180日間まで連日投与し、8週間ごとにスクリーニングを実施した。 主要有効性エンドポイントは、客観的に確認された下肢近位DVT、肺塞栓症、症候性上肢DVTまたは下肢遠位DVT、静脈血栓塞栓症による死亡の複合エンドポイントで、180日目まで評価した。 同集団を対象にした事前規定の補助解析では、投与期間中(試験薬の初回投与から最終投与プラス2日後まで)の同複合エンドポイントを評価した。 主要安全性エンドポイントは、重大出血とした。投与期間中のエンドポイント発生リスク、リバーロキサバン群は6割低下に 試験に登録された1,080例のうち、49例(4.5%)にスクリーニング時に血栓症が認められた。 無作為化を受けた841例のうち、180日目までに主要エンドポイントが発生したのは、リバーロキサバン群420例中25例(6.0%)、プラセボ群421例中37例(8.8%)だった(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.40~1.09、p=0.10)。 事前規定の投与期間中についての解析では、主要エンドポイントの発生は、リバーロキサバン群11例(2.6%)、プラセボ群27例(6.4%)だった(HR:0.40、95%CI:0.20~0.80)。 重大出血の発生は、リバーロキサバン群405例中8例(2.0%)、プラセボ群404例中4例(1.0%)だった(HR:1.96、95%CI:0.59~6.49)。

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アキレス腱断裂、手術・非手術とも再断裂リスクは低い/BMJ

 アキレス腱断裂の手術療法は、非手術療法に比べ、再断裂のリスクが有意に低いもののその差は小さく(リスク差:1.6%)、他の合併症のリスクが高い(リスク差:3.3%)ことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのYassine Ochen氏らの検討で示された。アキレス腱断裂は遭遇する頻度が高く、最近の研究では発生率の増加が報告されている。観察研究を含まない無作為化対照比較試験のみのメタ解析では、手術療法は非手術療法に比べ、再断裂リスクが有意に低い(リスク差:5~7%)が、他の合併症のリスクは16~21%高いとされる。BMJ誌2019年1月7日号(クリスマス特集号)掲載の報告。観察研究を加えたメタ解析 研究グループは、アキレス腱断裂の手術療法と非手術療法における再断裂、合併症、機能的アウトカムを比較する目的で、文献を系統的レビューし、メタ解析を行った(研究助成は受けていない)。 手術療法には低侵襲修復術、観血的修復術が、非手術療法にはキャスト固定、機能装具が含まれた。アキレス腱断裂以外の合併症は、創感染、腓腹神経損傷、深部静脈血栓症、肺塞栓症などであった。 医学関連データベース(2018年4月25日現在)を用いて、アキレス腱断裂の手術療法と非手術療法を比較した無作為化対照比較試験および観察研究を選出した。データの抽出は、4人のレビュアーが2人1組で、所定のデータ抽出ファイルを用いて別個に行った。アウトカムは変量効果モデルを用いて統合し、リスク差、リスク比、平均差と、その95%信頼区間(CI)を算出した。再断裂率:全体重負荷では手術が良好、加速的リハビリでは差なし 29件の研究に参加した1万5,862例が解析に含まれた。無作為化対照比較試験が10件(944例[6%])、観察研究が19件(1万4,918[94%])で、手術療法が9,375例、非手術療法は6,487例であった。全体の加重平均年齢は41歳(範囲:17~86)、男性が74%で、フォローアップ期間の範囲は10~95ヵ月だった。 再断裂率(29件[100%]で検討)は、手術群が2.3%と、非手術群の3.9%に比べ有意に低かった(リスク差:1.6%、リスク比:0.43、95%CI:0.31~0.60、p<0.001、I2=22%)。 合併症の発生率(26件[90%]で検討)は、手術群は4.9%であり、非手術群の1.6%に比し有意に高かった(リスク差:3.3%、リスク比:2.76、95%CI:1.84~4.13、p<0.001、I2=45%)。合併症発生率の差の主な原因は、手術群で創傷/皮膚感染症の発生率が2.8%と高いことであった(非手術群は0.02%)。非手術群で最も頻度の高い合併症は深部静脈血栓症(1.2%)だった(手術群は1.0%)。 スポーツ復帰までの平均期間(4件[14%]で検討)にはばらつきがみられ、手術群で6~9ヵ月、非手術群では6~8ヵ月の幅があり、メタ解析におけるデータの統合はできなかった。また、仕事復帰までの期間(9件[31%]で検討、そのうち6件は情報が不十分のため3件のデータを統合)にも、両群間に差を認めなかった。 全体重負荷による再断裂率は、早期(4週以内、9件[31%]で検討、リスク比:0.49、95%CI:0.26~0.93、p=0.03、I2=9%)および後期(5週以降、15件[52%]で検討、0.33、0.21~0.50、p<0.001、I2=0%)のいずれもが、手術群で有意に良好であった。 早期可動域訓練による加速的リハビリテーション時の再断裂率(6件[21%]で検討)は、手術群と非手術群に差を認めなかった(リスク比:0.60、95%CI:0.26~1.37、p=0.23、I2=0%)。 統合効果推定値に関して、無作為化対照比較試験と観察研究の間に差はみられなかった。 著者は、「アキレス腱断裂の管理の最終的な決定は、個々の患者に特異的な因子および共同意思決定(shared decision making)に基づいて行う必要がある」と指摘し、「本レビューは、手術療法後の客観的アウトカムの評価のメタ解析では、質の高い観察研究を加えることの潜在的な便益を強調するものである」としている。

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がん患者の静脈血栓塞栓症予防、アピキサバンが有望/NEJM

 がん患者は静脈血栓塞栓症のリスクが高いとされる。カナダ・オタワ大学のMarc Carrier氏らAVERT試験の研究グループは、中等度~高度の静脈血栓塞栓症リスク(Khoranaスコア≧2)を有し、化学療法を開始した外来がん患者では、アピキサバンにより静脈血栓塞栓症の発生が抑制されることを示し、NEJM誌オンライン版2018年12月4日号で報告した。Khoranaスコアは静脈血栓塞栓症のリスクが高いがん患者を同定し、予防治療により便益を得ると考えられる患者の選定に役立つ可能性がある。また、直接経口抗凝固薬は、がん患者の血栓予防薬として、利便性や費用も含め、非経口薬よりも優れる可能性が示唆されている。静脈血栓塞栓症の予防におけるアピキサバンの有用性を評価 本研究は、化学療法を開始した外来がん患者の静脈血栓塞栓症の予防におけるアピキサバンの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験である(カナダ保健研究機構およびBristol-Myers SquibbとPfizerの提携組織の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、新規に診断されたがんまたは完全/部分寛解後に進行した既知のがんを有し、治療期間が最短でも3ヵ月の化学療法を新たに開始する患者であった。Khoranaスコア(0~6点、点数が高いほど静脈血栓塞栓症のリスクが高い)は、≧2(中等度~高度のリスク)とした。 被験者は、アピキサバン(2.5mg×2回/日)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要な有効性評価項目は180日後の静脈血栓塞栓症(近位深部静脈血栓症、肺塞栓症)の発現であり、主な安全性評価項目は大出血エピソードとした。 2014年2月~2018年4月の期間に、カナダの13施設で574例(アピキサバン群291例、プラセボ群283例)が無作為割り付けの対象となり、563例(288例、275例)が修正intention-to-treat解析に含まれた。静脈血栓塞栓症の発生率はアピキサバン群が有意に低い 全体の平均年齢は61歳、女性が58.2%であった。がん種は多い順に、婦人科がん(25.8%)、リンパ腫(25.3%)、膵がん(13.6%)であった。転移病変を有する固形がんの患者が、アピキサバン群に73例、プラセボ群には67例含まれた。治療期間中央値はそれぞれ157日、155日、追跡期間中央値は両群とも183日だった。 追跡期間中の静脈血栓塞栓症の発生率は、アピキサバン群が4.2%(12/288例)と、プラセボ群の10.2%(28/275例)に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.26~0.65、p<0.001)。治療期間中の静脈血栓塞栓症の発生率は、それぞれ1.0%(3例)、7.3%(20例)であり、アピキサバン群で有意に低かった(0.14、0.05~0.42)。 一方、大出血エピソードの発生率は、アピキサバン群は3.5%(10/288例)であり、プラセボ群の1.8%(5/275例)に比し有意に高かった(HR:2.00、95%CI:1.01~3.95、p=0.046)。治療期間中の大出血の発生率は、それぞれ2.1%(6例)、1.1%(3例)であり、有意差は認めなかった(1.89、0.39~9.24)。 死亡率はアピキサバン群が12.2%(35例)、プラセボ群は9.8%(27例)であった(HR:1.29、95%CI:0.98~1.71)。死亡した62例中54例(87%)の死因は、がんまたはがんの進行に関連していた。 著者は、「全生存に差がないのは、最も一般的な死因である進行がんの患者が多かったという事実を反映している可能性がある。静脈血栓塞栓症の予防が死亡率の低減に結びつくのが理想だが、この課題に取り組むには、異なるデザインの、より大規模な試験を要するだろう」としている。

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マクロファージ免疫CP阻害薬、再発・難治性リンパ腫に有望/NEJM

 中悪性度および低悪性度のリンパ腫の治療において、マクロファージ免疫チェックポイント阻害薬Hu5F9-G4(以下、5F9)は、リツキシマブとの併用で有望な抗腫瘍活性をもたらし、臨床的に安全に投与できることが、米国と英国の共同研究で示された。米国・スタンフォード大学のRanjana Advani氏らが、NEJM誌2018年11月1日号で報告した。5F9は、マクロファージ活性化抗CD47抗体であり、腫瘍細胞の貪食を誘導する。CD47は、ほぼすべてのがんで過剰発現している抗貪食作用(“do not eat me[私を食べないで]”)シグナルであり、マクロファージなどの食細胞からの免疫回避を引き起こす。5F9は、リツキシマブと相乗的に作用してマクロファージが介在する抗体依存性の細胞貪食を増強し、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞を除去するとされる。3+3デザインを用い3種の用量で漸増する第Ib相試験 研究グループは、再発または難治性の非ホジキンリンパ腫患者を対象に、5F9+リツキシマブの安全性と有効性を明らかにし、第II相試験の推奨用量の提示を目的とする第Ib相試験を行った(Forty Sevenと米国白血病・リンパ腫協会の助成による)。 対象は、CD20の発現がみられるB細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[DLBCL]または濾胞性リンパ腫)で、再発または2ライン以上の前治療歴のある難治性の患者であった。全身状態(ECOG PS)は0~2とした。3+3デザインを用いて、3種の用量にそれぞれ最少3例を登録した。用量制限毒性の評価は投与開始から28日まで行った。 5F9は、全例に初回用量1mg/kg体重を静脈内投与し、1週間後からの維持用量を10、20、30mg/kg(週1回)と増量した。リツキシマブは、1サイクル目は第2週から毎週375mg/m2体表面積を静脈内投与し、2~6サイクル目は毎月1回投与した。推奨維持用量は30mg/kg、36%で完全奏効 2016年11月~2017年10月の期間に、再発・難治性のDLBCL患者15例と、濾胞性リンパ腫患者7例の合計22例が登録された。5F9の維持用量別の症例数は、10mg/kgが3例、20mg/kgが6例、30mg/kgが13例となった。 全体の年齢中央値は、59歳(範囲:44~82)、男性が12例(55%)で、21例(95%)がECOG PS 0/1、4例(18%)が自家幹細胞移植を受けていた。前治療数中央値は4(範囲:2~10)であり、21例(95%)がリツキシマブ抵抗性で、14例(64%)は直近の治療レジメンに抵抗性であった。 治療期間中央値は22週(範囲:1.7~70.7、治療中の患者を含む)で、22例全例が2剤の投与を受けた。1例が、治療開始から約2週時に有害事象(特発性血小板減少性紫斑病)により投与中止となり、有効性の評価ができなかったが、非奏効例として解析に含まれた。3例が死亡し、全死因死亡率は14%だった。 有害事象は、主としてGrade1または2であった。頻度の高い有害事象は、悪寒、頭痛、貧血、およびinfusion-related reactionsであった。貧血(予測された標的作用)は、5F9の初回投与と維持投与を調節することで軽減された。 用量制限副作用は3例(20mg/kg群の1例[Grade3の肺塞栓症]、30mg/kg群の2例[Grade4の好中球減少、Grade3の特発性血小板減少性紫斑病])に認められたが、最大耐用量には到達せず、第II相試験の5F9の推奨用量は30mg/kgとした。 5F9の初回用量1mg/kgと維持用量30mg/kgにより、循環血中の白血球と赤血球のCD47受容体占有率はほぼ100%となった。 11例(50%)で客観的奏効(完全奏効+部分奏効)が得られ、8例(36%)で完全奏効が達成された。客観的奏効率と完全奏効率は、DLBCL患者でそれぞれ40%と33%、濾胞性リンパ腫患者では71%と43%であった。奏効までの期間中央値は1.7ヵ月(範囲:1.6~6.6)で、フォローアップ期間中央値がDLBCL患者6.2ヵ月、濾胞性リンパ腫患者8.1ヵ月の時点で、奏効例の91%(10/11例)で奏効が持続しており、奏効期間中央値には未到達だった。 著者は、「新たなマクロファージ活性化抗CD47抗体は、リツキシマブとの併用で安全に投与が可能であり、持続的な完全奏効をもたらすことが示された」としている。現在、第II相試験が進行中だという。

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周期投与と連続投与が選択できる月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」【下平博士のDIノート】第12回

周期投与と連続投与が選択できる月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」今回は、「レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール配合剤(商品名:ジェミーナ配合錠)」を紹介します。本剤は、周期投与と連続投与の2つの服用パターンが選択でき、月経困難症に悩む女性のQOL改善が期待されています。<効能・効果>本剤は月経困難症の適応で、2018年7月2日に承認され、2018年10月4日より販売されています。<用法・用量>下記の2つの投与周期が規定されています。1)1日1錠を毎日一定の時刻に21日間連続経口投与し、その後7日間休薬(28日周期)2)1日1錠を毎日一定の時刻に77日間連続経口投与し、その後7日間休薬(84日周期)いずれの場合も出血の継続の有無にかかわらず、休薬期間終了後の翌日から次の周期を開始し、以後同様に繰り返します。<副作用>月経困難症を対象とした臨床試験では、全解析対象241例中214例(88.8%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました(承認時)。主な副作用は、不正子宮出血、希発月経、月経過多、下腹部痛、悪心、頭痛などでした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、黄体ホルモンと卵胞ホルモンを補充することで、月経時の下腹部痛や頭痛などを改善します。2.薬を飲んでいる途中に不正出血が起こることがあります。通常は飲み続けるうちに少なくなりますが、長期間にわたって出血が続いたり、出血量が多かったりする場合は、医師に相談してください。3.血栓症の主な症状である足の急激な痛み・腫れ・しびれ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛などが現れた場合は、服用を中止して救急医療機関を受診してください。これらの症状が軽い場合や体が動かせない状態、脱水になった場合も服用を中止して医療機関を受診してください。4.28日周期の場合に、2周期連続して月経が来なかった場合は妊娠している可能性が疑われますので、すぐに医療機関を受診してください。5.他の医療機関から処方されている薬剤やサプリメントなどを服用する際は、本剤を服用中であることを伝えてください。6.飲み忘れたときは、当日に気付いた場合は気付いた時点で服用し、翌日以降に気付いた場合は、前日分(1日分のみ)を気付いた時点で服用し、当日分をいつもの時間に服用してください。1日に2錠を超えて服用することはできません。<Shimo's eyes>月経困難症は、月経に随伴して起こる病的症状を言い、激しい下腹部痛および腰痛を主とした症候群です。卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤が、非ステロイド性抗炎症薬と共に月経困難症治療の第1選択薬となっています。本剤は月経困難症治療薬として、わが国で初めて第2世代黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを含有した超低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤です。本剤の特徴は、同じ製剤で周期投与(28日周期)と連続投与(84日周期)の両方に使用できることです。2種類のシートが用意されており、周期投与は21錠シート1枚分を服用した後7日間休薬し、連続投与は28錠シート2枚と21錠シート1枚分(計77日分)を服用した後に7日間休薬します。既存薬は処方された製品によって投与周期がわかりますが、本剤ではどちらの周期で使用するのか、しっかり患者さんに確認する必要があります。国内第III相長期投与比較試験において、連続投与群の月経困難スコア合計は、周期投与群と比べて、1~11周期のいずれにおいても有意な低下を示しました。また、連続投与では服薬期間中に少量の出血(不正子宮出血)が認められることがあるものの、休薬期間(月経予定)が減ることによって月経痛が生じる頻度が下がるため、一般的な月経周期で月経があるほうが望ましいと考える患者さん以外では、連続投与が選択されると考えられます。なお、連続投与群の副作用発現率が86例中85例(98.8%)と高いのは、服薬期間中の不正子宮出血や希発月経などが含まれているためです。卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤に共通の重篤な副作用である血栓症の発症に注意が必要です。ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(商品名:ヤーズ配合錠)は、2014年に血栓症に関するブルーレターの発出があり注意喚起されています。そのため本剤も類薬であることから、医薬品リスク管理計画書において、重要な特定されたリスクとして血栓症が設定されています。しかし、レボノルゲストレルを含有する配合剤は、他の黄体ホルモンを含有する配合剤に比べ、血栓症の発現リスクが低かったという海外での報告もあります。既存の卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤と同様に、禁忌薬や併用注意薬が大変多いため、処方監査の際には薬歴やお薬手帳を必ず確認しましょう。服薬指導では、休薬期間ではない日に少量の出血があっても、基本的にはそのまま服用するように伝え、喫煙により静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中などの危険性が高まることから、禁煙の厳守を理解してもらいましょう。また、生活習慣病に罹患すると血栓症のリスクが高まるため、適切な生活習慣の改善も必要です。さらに、万一飲み忘れに気付いた場合の対応が避妊薬とは異なるので、しっかり説明しましょう。

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リバーロキサバン、退院後投与の血栓予防効果は?/NEJM

 静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高い内科疾患による入院患者に対し、退院後45日間のリバーロキサバン投与はプラセボと比較して、大出血の発生率は低かったが、症候性VTEおよびVTEに起因する死亡リスクを有意に低下させることはなかった。米国・Northwell Health at Lenox Hill HospitalのAlex C. Spyropoulos氏らが、リバーロキサバンの退院後VTE予防効果を検証した多施設共同無作為化二重盲検試験「MARINER試験」の結果を報告した。内科疾患で入院した患者には退院後のVTEリスクが残るが、こうした患者における血栓予防療法の延長が果たす役割については議論の的になっていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。VTE高リスク内科疾患入院患者、約1万2,000例を対象に検討 研究グループは、2014年6月~2018年1月に36ヵ国671施設において、VTE高リスク(修正IMPROVE VTEリスクスコアが4以上、または2~3かつ血漿Dダイマーが施設基準値上限の2倍以上)で、内科疾患(左室駆出率45%以下の心不全、急性呼吸不全または慢性閉塞性肺疾患の増悪、急性虚血性脳卒中、あるいは急性感染症またはリウマチ疾患を含む炎症性疾患)により3~10日間入院した40歳以上の患者1万2,024例を対象に試験を行った。被験者は、退院時にリバーロキサバン群(10mgを1日1回45日間、ただし投与量は腎不全で調整)またはプラセボ群に、無作為に1対1の割合で割り付けられた。 主要有効性評価項目は、症候性VTE(深部静脈血栓症または非致死性肺塞栓症)もしくはVTEに起因する死亡の複合アウトカム。主な安全性評価項目は大出血であった。症候性VTEまたはVTE関連死の発生に有意差なし 無作為化された1万2,024例のうち、1万2,019例がintention-to-treat解析に組み込まれた。 複合アウトカムの発生率は、リバーロキサバン群0.83%(50/6,007例)、プラセボ群1.10%(66/6,012例)で、リバーロキサバンの優越性は示されなかった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.52~1.09、p=0.14)。事前に定義された副次評価項目である症候性非致死性VTEの発生率は、リバーロキサバン群0.18%、プラセボ群0.42%であった(HR:0.44、95%CI:0.22~0.89)。 大出血は、リバーロキサバン群で5,982例中17例(0.28%)、プラセボ群で5,980例中9例(0.15%)に認めた(HR:1.88、95%CI:0.84~4.23)。 なお、本試験は、イベントの発生が少ないため試験途中で目標症例数1万2,000例にプロトコールが変更されたが、それでもイベント数は必要とした161例に達せず、登録中止となっている。

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天然痘の治療薬登場か/NEJM

 1980年、天然痘の撲滅が宣言されたが、天然痘ウイルス(VARV)は依然として存在する。米国・SIGA Technologies社のDouglas W. Grosenbach氏らは、天然痘の治療薬として経口tecovirimatの検討を行い、2つの動物モデルにおける有効性と、ヒトでの安全性を確認したことを、NEJM誌2018年7月5日号で報告した。天然痘に対する有効な治療はないため、tecovirimatの開発が進められている。天然痘が自然に発症する状況での臨床試験は実施できないことから、有効性と安全性を評価する他の開発法が必要とされていた。非ヒト霊長類、ウサギ、ヒトで有用性を評価 研究グループは、非ヒト霊長類(サル痘)およびウサギ(ウサギ痘)モデルにおけるtecovirimatの有効性を検討し、ヒトにおける同薬の臨床試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 本研究は、専門家諮問委員会が天然痘の治療用に解釈した、米国食品医薬品局(FDA)の動物における有効性の評価規則に従い行われた。また、成人ボランティア449例において、プラセボを対照とした薬物動態と安全性の試験を実施した。天然痘に有効な抗ウイルス薬となる可能性 サル痘モデルで90%以上の生存を達成するのに要するtecovirimatの最低用量は、10mg/kg体重の14日間投与であった。ウサギ痘モデルで同程度の効果を得るのに要する用量は、40mg/kgの14日間投与であった。 体重1kg当たりの有効用量の値はウサギのほうが高かったが、曝露量は低かった。定常状態の最高濃度(Cmax)、最低濃度(Cmin)、平均濃度(Cavg)の平均値は、ウサギではそれぞれ374ng/mL、25ng/mL、138ng/mL、非ヒト霊長類では1,444ng/mL、169ng/mL、598ng/mLであった。また、24時間の濃度-時間曲線下面積(AUC0-24hr)は、ウサギが3,318ng×時間/mL、非ヒト霊長類は14,352ng×時間/mLだった。 これらの知見から、ヒトで必要な薬物曝露量を推定するには、非ヒト霊長類のほうが、より保守的なモデルであることが示唆された。 ヒトでの試験(年齢中央値:39.0歳[範囲:18~80]、男性:41%)には、600mgの1日2回、14日間投与が選択され、非ヒト霊長類を上回る曝露量がもたらされた(定常状態のCmax:2,209ng/mL、Cmin:690ng/mL、Cavg:1,270ng/mL、AUC0-24hr:30,632ng×時間/mL)。 試験期間中に、tecovirimat群の134例(37.3%)に318件の重篤でない有害事象が発現し、このうち71例(19.8%)、176件が試験薬関連であった。試験薬とは関連しない肺塞栓症で1例が死亡した。問題となる有害事象のパターンは認められなかった。 著者は、「これら動物およびヒトに関する試験結果は、全体として、天然痘の抗ウイルス薬としてのtecovirimatの有用性を支持するものである」としている。

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第3回 乳がん術後のタモキシフェンが10年継続となった根拠【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗エストロゲン薬であるタモキシフェンは、エストロゲンを取り込んで増殖するエストロゲン受容体陽性乳がんに有効性が高く、乳がん術後の再発予防の目的でよく処方されます。術後補助療法として、タモキシフェンを5年間投与し、場合によってはさらに5年継続して計10年間投与するという治療選択肢がNCCNやASCOの診療ガイドライン、日本乳癌学会による「乳癌診療ガイドライン」に2014年以降記載されるようになりました。薬局においても、「タモキシフェンは5年よりも10年継続したほうが乳がんの再発率が低いので、10年間服用すると医師に説明を受けた」とおっしゃる患者さんに会った経験が何度もあります。薬剤の服用を5年間延長するということは、服用の手間や経済的負担が少なからず増えますから、そのメリットとデメリットについて相談を受けた経験のある薬剤師さんもいるのではないでしょうか。そこで今回は、なぜタモキシフェンを10年継続するという選択肢が診療ガイドラインに提示されるようになったのか、その背景にある試験を2つ紹介します。1つ目が、2013年にLancet誌に掲載された通称ATLAS試験です。Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years after diagnosis of oestrogen receptor-positive breast cancer: ATLAS, a randomised trial.Davies C, et al. Lancet. 2013;381:805-816.これは、すでに5年間タモキシフェン20mg/日によるホルモン療法を完了した早期乳がんの女性患者1万2,894例を、追加でさらに5年間投与した10年継続群と5年時点で中止した群にランダムに割り付けて比較検討した試験です。結論としては、10年継続群は中止群と比べて、エストロゲン受容体陽性の早期乳がん患者の死亡率および再発率を有意に低下させました。組み入れ患者1万2,894例の内訳を少し詳しく見ると、6,846例(53%)はエストロゲン受容体陽性、1,248例(10%)はエストロゲン受容体陰性、4,800例(37%)は陰性か陽性か不明とされており、治療継続に難ありと見られた場合は除外されています。患者の91%が診断から10年のフォローアップを、77%が15年のフォローアップを完遂しています。エストロゲン受容体陽性の患者に関しての結果は下表のとおりです。期間別に見ると、乳がんによる死亡のリスク比は、5~9年では0.97(95%信頼区間:0.79~1.18)、10年目以降では0.71(95%信頼区間:0.58~0.88)、再発率は5~9年では0.90(95%信頼区間:0.79~1.02)、10年目以降では0.75(95%信頼区間:0.62~0.90)と、有害アウトカムの抑制効果は10年目以降のほうが大きい傾向が見られました。なお、エストロゲン受容体陰性と受容体不明の患者における乳がんアウトカムに有意な差は見いだされませんでした。エストロゲン受容体ステータスと関係なくすべての被験者における副作用リスクの解析では、10年継続で子宮内膜がん(リスク比:1.74、95%信頼区間:1.30~2.34)と肺塞栓症(リスク比:1.87、95%信頼区間:1.13~3.07)の発生率が増加したものの、虚血性心疾患(リスク比:0.76、95%信頼区間:0.60~0.95)および対側乳がん(リスク比:0.88、95%信頼区間:0.77~1.00)は減少傾向にありました。「長く飲んだほうがいいと言っても、10年間服用しても、5年間服用したときより死亡や再発が2%程度減るだけか」と思われる方もいるかもしれませんが、10年続けることで約40~50人に1人が再発ないし死亡を免れるのですから少なからずインパクトがあります。一方で長く続けると、肺塞栓などの血栓症や子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜がんなどの発症率がやや増えることも示唆されているので注意も必要です。10年継続に有意な再発・死亡抑制効果2つ目の試験として、ATLASと並行して行われていたaTTom試験を紹介します。こちらも、基本的なデザインは似通っており、タモキシフェンによるホルモン療法を5年間受けた早期乳がん患者(6,953例)を、さらに5年間投与した10年継続群(3,468例)と5年時点で中止した群(3,485例)にランダムに割り付け、乳がんの再発率や全死亡を比較したものです。乳がんの再発は、中止群で3,468例中672例(19.3%)、10年継続群で3,485例中580例(16.7%)と2.6%の減少(p=0.003)で、これはタモキシフェン服用期間を5年から10年に延ばすと、およそ38例に1例で乳がん再発予防の恩恵を受けられるだろうという計算になります。一方で、子宮内膜がんによる死亡は中止群で20例(0.6%)、10年継続群で37例(1.1%)と服用期間が延長するとやや増える傾向にあります。10年継続したほうが良好なアウトカムであったという大まかな結果の方向性は、ATLASとそう大きくずれはなく、こうした論文が2本立て続けに出たためか、ASCOのガイドラインは2014年に改訂されています。タモキシフェンを長期服用する場合、ホットフラッシュなどの副作用はある程度認容する必要がありますし、上記で紹介してきた副作用の懸念もあることから、血栓塞栓症の初期症状である痺れ、息切れ、胸痛、めまいや、子宮系の副作用徴候である不正出血などがみられたら受診を促すということも考慮しておくことが大切です。また、何らかの理由でタモキシフェンが使えない場合の選択肢も聞かれたら答えられるとよいかもしれません。いずれにせよ、副作用リスクとベネフィットを十分理解しておきたいところです。1)Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years after diagnosis of oestrogen receptor-positive breast cancer: ATLAS, a randomised trial.Davies C, et al. Lancet. 2013;381:805-816.2)aTTom: Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years in 6,953 women with early breast cancer.Gray RG, et al. J Clin Oncol. 2013;31:suppl 5.3)ASCO Guideline Update Recommends Tamoxifen for Up to 10 Years for Women With Non-Metastatic Hormone Receptor Positive Breast Cancer4)NCCNガイドライン5)日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として、タモキシフェンおよびLH-RH アゴニストは勧められるか(薬物療法・初期治療・ID10050)

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偶発腫の検出頻度が高い画像検査は?悪性の割合は?/BMJ

 偶発腫(incidentalomas)は、急速に現代の医療危機の1つになりつつあるという。英国・オックスフォード大学のJack W. O'Sullivan氏らは、偶発腫の検出頻度が高い画像検査は、胸部CT、大腸CT、心臓MRIであり、偶発腫が悪性腫瘍である可能性が高い臓器は乳房、卵巣、甲状腺であるとの研究結果を、BMJ誌2018年6月18日号で報告した。画像検査の需要が急速に増大するとともに、画像の解像度の改善が進み、偶発腫に遭遇する機会が急上昇しているが、その有病率やアウトカムの評価にはばらつきがあることが知られている。20件の系統的レビューを包括的にレビュー 研究グループは、偶発的画像所見(incidental imaging finding)として見つかった“偶発腫”の有病率とそのアウトカムの全体像を知るために、240試験(62万7,073例)に関する20件の系統的レビューについて、包括的レビュー(umbrella review)を行った(特定の研究助成は受けていない)。 2017年8月までに医学データベースに登録された論文を検索し、入手した論文の引用文献も調査した。偶発的異常(incidental abnormality)=“偶発腫”の有病率に関する観察研究の系統的レビューおよびメタ解析を対象とした。 偶発的画像所見は、健常者、無症状の患者における画像上の異常、および有症状患者における症状とは明確な関連がない画像上の異常と定義した。感度分析には、悪性腫瘍の既往歴のある患者における偶発腫の有病率を評価した試験も含めた。6種の画像法と、データが得られた10の臓器について解析した。有病率、アウトカムとも各データ間に大きな異質性 解析の対象となった20件の系統的レビューのうち、15件は偶発腫の有病率を定量的に評価し、18件は偶発腫のアウトカムを定量的に評価した研究であった(13試験は両方)。 偶発腫の有病率は、画像法によって実質的にばらつきが認められた。胸部CTによる偶発的な肺塞栓症の有病率は2%であった。X線および超音波による偶発腫の有病率を検討した系統的レビューおよびメタ解析はなかった。 偶発腫の有病率が最も低い画像法は全身PET/PET-CTの2%(甲状腺、大腸)であった。これに対し、偶発腫の有病率が最も高い画像法は、胸部CTの45%(胸部、腹部、脊椎、心臓)であり、次いで大腸CTが38%(大腸外)、心臓MRIが34%(心臓外)の順であり、3分の1を超えていた。脊椎MRIの偶発腫の有病率は22%(脊椎)、脳MRIも22%(脳)だった。 偶発腫のアウトカムについては、臓器によって悪性腫瘍が占める割合に大きなばらつきがみられた。悪性腫瘍の有病率は、脳が0%、副腎が0.0007%、耳下腺が5%と低く、大腸外が14%、前立腺が11%、大腸は17%であった。これに対し、腎臓は25%、甲状腺は28%、卵巣は28%といずれも約4分の1を占め、最も悪性腫瘍の割合が高かったのは乳房の42%であった。 研究データ間には高い異質性が認められ、20件のメタ解析のうち15件がI2>50%であった。一貫性があり、異質性のないエビデンスと大規模データを持つメタ解析はほとんどなかった。 著者は、「これらの知見は、画像検査を要請する際に、医師と患者がその長所と短所を勘案する一助となり、偶発腫診断後の管理の決定に役立つと考えられる。今回の結果は、これらの決定を支援するガイドラインの策定を支持するものである」と指摘している。

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JAK1阻害薬upadacitinibが関節リウマチ再発例の症状改善/Lancet

 疾患活動性が中等度~重度の関節リウマチ再発例の治療において、選択的JAK1阻害薬upadacitinibの12週、1日1回経口投与により、症状が著明に改善することが、米国・スタンフォード大学のMark C. Genovese氏らが行った「SELECT-BEYOND試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年6月13日号に掲載された。upadacitinibは、他のJAKファミリーのメンバーに比べJAK1に高い選択性を持つように遺伝子改変されたJAK阻害薬であり、第II相試験でメトトレキサートやTNF阻害薬の効果が不十分な患者の関節リウマチ徴候や症状を改善することが報告されている。26ヵ国153施設に499例を登録 SELECT-BEYONDは、26ヵ国153施設が参加した国際的な二重盲検無作為化対照比較試験である(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、活動性の関節リウマチを発症し、生物学的製剤(bDMARD)の効果が不十分または不耐となり、同時に従来型抗リウマチ薬(csDMARD)の投与も受けている患者であった。 被験者は、upadacitinib徐放薬15mgまたは30mgまたはそれぞれのプラセボを12週間、1日1回経口投与した後、同薬15mgまたは30mgをさらに12週間投与する群に2対2対1対1の割合でランダムに割り付けられた。 主要エンドポイントは、以下の2つとした。1)12週時に、米国リウマチ学会(ACR)基準で20%の改善を達成した患者の割合(ACR20)、2)12週時に、C反応性蛋白(CRP)で評価した28関節の疾患活動性スコア(DAS28[CRP])≦3.2点を達成した患者の割合。有効性と安全性の解析は、修正intention-to-treat集団(試験薬の投与を1回以上受けた患者)で行った。 2016年3月15日~2017年1月10日の期間に、499例(upadacitinib 15mg群:165例、同30mg群:165例、プラセボ→同15mg群:85例、プラセボ→同30mg群:84例)が登録され、15mg群の1例が治療開始前に脱落した。12週時ACR20達成率は約2倍、DAS28(CRP)≦3.2点達成率は約3倍に 全体の平均罹患期間は13.2(SD 9.5)年で、bDMARDの投与歴は1剤が47%(235/498例)、2剤が28%(137例)、3剤以上が25%(125例)であり、12週の治療を完遂したのが91%(451例)、24週の治療の完遂例は84%(419例)であった。平均年齢はupadacitinib 15mg群(164例)が56.3(SD 11.3)歳、同30mg群(165例)が57.3(SD 11.6)歳、プラセボ群(169例)は57.6(SD 11.4)歳であり、女性がそれぞれ84%、84%、85%だった。 12週時のACR20達成率は、15mg群が65%(106/164例)、30mg群は56%(93/165例)であり、プラセボ群の28%(48/169例)に比し、いずれの用量群も有意に高かった(いずれもp<0.0001)。DAS28(CRP)≦3.2点の達成率は、15mg群が43%(71/164例)、30mg群は42%(70/165例)と、プラセボ群の14%(24/169例)に比べ、いずれの用量群も有意に優れた(いずれもp<0.0001)。 12週時の有害事象の発生率は、15mg群が55%(91/164例)、プラセボ群は56%(95/169例)と類似したが、これに比べ30mg群は67%(111/165例)と頻度が高かった。最も高頻度の有害事象は、上気道感染症(15mg群:8%[13例]、30mg群:6%[10例]、プラセボ群:8%[13例])、鼻咽頭炎(4%[7例]、5%[9例]、7%[11例])、尿路感染症(9%[15例]、5%[9例]、6%[10例])、関節リウマチの増悪(2%[4例]、4%[6例]、6%[10例])であった。 重篤な有害事象は、15mg群の5%(8例)に比べ30mgは7%(12例)と、多い傾向がみられ、プラセボ群では発現を認めなかった。重篤な感染症、帯状疱疹、治療中止の原因となった有害事象も、15mg群やプラセボ群よりも30mg群で多かった。プラセボ対照期間中に、upadacitinib投与例で肺塞栓症が1例、悪性腫瘍が3例、主要有害心血管イベントが1例、死亡が1例にみられた。 著者は、「これらのデータは、再発例におけるJAK阻害薬治療のエビデンスを拡張し、upadacitinibによる治療は臨床的、機能的なアウトカムや患者報告アウトカムを大幅に、かつ迅速に改善する可能性を示すもの」としている。

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下肢静脈瘤で深部静脈血栓症のリスク約5倍/JAMA

 下肢静脈瘤と診断された成人患者では、深部静脈血栓症(DVT)のリスクが有意に高いことが明らかにされた。肺塞栓症(PE)と末梢動脈疾患(PAD)については、潜在的交絡因子のためはっきりしなかったという。台湾・桃園長庚紀念医院のShyue-Luen Chang氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。下肢静脈瘤は一般的にみられるが、重大な健康リスクと関連することはまれである。一方、DVT、PE、PADも血管疾患であるが、全身に重大な影響を及ぼす。これまで下肢静脈瘤とDVT、PE、PADとの関連性はほとんど知られていなかった。著者は、「下肢静脈瘤とDVTとの関連が、因果関係によるのか、あるいは共通のリスク因子があるのかについて、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年2月27日号掲載の報告。下肢静脈瘤患者約21万人について下肢静脈瘤群などの発症を比較 研究グループは、台湾の国民健康保険プログラムの請求データを用いて、後ろ向きコホート研究を実施した。2001年1月1日~2013年12月31日の間に下肢静脈瘤と診断された20歳以上の患者21万2,984例(平均[±SD]年齢54.5±16.0歳、女性69.3%)を登録し、傾向スコアを用いてマッチングした下肢静脈瘤を有しない患者(DVT、PE、PADの既往歴がある患者は除く)を対照群(21万2,984例、平均年齢54.3±15.6歳、女性70.3%)として、下肢静脈瘤の有無によるDVT、PE、PADの発症率を比較した。 追跡終了日は2014年12月31日。Cox比例ハザードモデルを用いて、対照群に対する相対ハザードを推定した。下肢静脈瘤群は対照群に比べ深部静脈血栓症のリスクが5.3倍 追跡期間中央値は、下肢静脈瘤群ではDVTに関して7.5年、PE 7.8年、PAD 7.3年、対照群ではそれぞれ7.6年、7.7年、7.4年であった。 下肢静脈瘤群では対照群と比較して、いずれも発症頻度(/1,000人年)が高く、DVTは6.55 vs.1.23(1万360例 vs.1,980例、絶対リスク差[ARD]:5.32、95%信頼区間[CI]:5.18~5.46)、PEは0.48 vs.0.28(793例 vs.451例、ARD:0.20、95%CI:0.16~0.24)、PADは10.73 vs.6.22(1万6,615例 vs.9,709例、ARD:4.51、95%CI:4.31~4.71)であった。対照群に対する下肢静脈瘤群のハザード比は、DVTが5.30(95%CI:5.05~5.56)、PEが1.73(95%CI:1.54~1.94)、PADが1.72(95%CI:1.68~1.77)であった。 なお、著者は、観察研究であるため因果関係は結論付けられないこと、下肢静脈瘤群の対照群には未診断の下肢静脈瘤を有する患者が含まれている可能性があること、下肢静脈瘤の重症度については調べていないことなどを、研究の限界として挙げている。

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人工関節全置換術後のVTE予防、アスピリンへの切り替えは有効か/NEJM

 股関節および膝関節の人工関節全置換術(THA/TKA)後にリバーロキサバンの短期投与を受けた患者では、その後アスピリンに切り替えても、リバーロキサバンを継続した場合と比較して、症候性静脈血栓塞栓症(VTE)の予防効果に差はないことが、カナダ・ダルハウジー大学のDavid R. Anderson氏らが行ったEPCAT II試験で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2018年2月22日号に掲載された。アスピリンは、安価で、副作用プロファイルが十分に確立されており、THA/TKA後のVTE(近位深部静脈血栓症、肺塞栓症)の予防効果を有する可能性が臨床試験やメタ解析で示されているが、退院後の延長投与の予防効果を直接経口抗凝固薬と比較した試験は、これまで行われていなかった。アスピリンへの切り替えの有用性を無作為化試験で評価 EPCAT II試験は、THA/TKA施行後のVTEの予防として、リバーロキサバンの短期投与を受けた患者において、アスピリンの延長投与の有効性と安全性を評価する二重盲検無作為化対照比較試験である(カナダ保健研究機構の助成による)。 待機的に、片側の初回または再置換(revision)THA/TKAを受ける患者が、術後5日までリバーロキサバン(10mg、1日1回)の投与を受けた後、アスピリン(81mg/日)へ切り替える群またはリバーロキサバンを継続する群にランダムに割り付けられた。TKA例は9日間、THA例は30日間の投与が行われ、追跡期間は90日であった。 有効性の主要アウトカムは症候性VTEであり、安全性の主要アウトカムは出血性合併症(大出血、大出血ではないが臨床的に問題となる出血)であった。VTE発生率:0.64% vs.0.70%、非劣性を確認 2013年1月~2016年4月の期間に、カナダにある15の大学関連医療センターに3,424例(THA:1,804例、TKA:1,620例)が登録され、アスピリン切り替え群に1,707例(THA:902例、TKA:805例)、リバーロキサバン継続群には1,717例(THA:902例、TKA:815例)が割り付けられた。 全体の平均年齢は62.8歳、47.8%が男性であった。初回手術例が90%以上を占め、術後の平均入院期間は3.5日だった。 VTEの発生率は、切り替え群が0.64%(11/1,707例)と、継続群の0.70%(12/1,717例)に比べ優越性は認めなかったが、非劣性が確認された(群間差:0.06ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.55~0.66、優越性:p=0.84、非劣性:p<0.001)。 大出血の発生率は、切り替え群が0.47%(8例)、継続群は0.29%(5例)であり(群間差:0.18ポイント、95%CI:-0.65~0.29、p=0.42)、大出血ではないが臨床的に問題となる出血の発生率は、それぞれ1.29%(22例)、0.99%(17例)であった(群間差:0.30ポイント、95%CI:-1.07~0.47、p=0.43)。 著者は、「症候性VTEの発生率は両群とも低く、ほぼ同じであった」とまとめ、「いくつかの限界はあるが、これらの知見は臨床的に重要である。本試験は規模が大きく、アスピリンのリバーロキサバンに対する非劣性を示すに十分な検出力を持っている」としている。

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救急での肺塞栓症の除外、PERCルールが有用/JAMA

 低リスクの肺塞栓症(PE)が疑われる患者において、肺塞栓症除外基準(PERC:Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria)を用いた場合、3ヵ月間の血栓塞栓イベント発生率は従来の方法と比較して非劣性であり、PERCルールの安全性が支持された。フランス・パリ第4大学のYonathan Freund氏らが、PERCルールを検証したPROPER試験の結果を報告した。PEを除外することを目的とした8項目からなる臨床基準PERCの安全性は、これまで無作為化試験で検証されたことはなかった。JAMA誌2018年2月13日号掲載の報告。救急受診後3ヵ月間の血栓塞栓イベント発生を、通常ルール使用と比較 研究グループは、2015年8月~2016年9月に、フランスの救急外来14施設において、臨床的に肺塞栓症の可能性が低い患者を登録し、クロスオーバークラスター無作為化非劣性試験を実施した(2016年12月まで追跡調査)。 各施設を、対照期(通常ケア)→PERC期、またはPERC期→対照期(各期6ヵ月、ウォッシュアウト2ヵ月)に無作為化した。PERC期では、PERCルール8項目(年齢50歳以上、心拍数100/分以上、SpO2が94%以下、片側下肢腫脹、血痰、最近の手術もしくは外傷、肺塞栓や深部静脈血栓の既往、エストロゲン製剤の使用)のすべてが陰性の場合、追加の検査を行わず肺塞栓症の診断は除外された。 主要評価項目は、初診で肺塞栓症と診断されなかった後の追跡3ヵ月間における血栓塞栓イベント発生(非劣性マージン1.5%に設定)。また、CT肺血管造影(CTPA)の実施率、救急外来滞在期間の中央値、入院率を副次評価項目とした。PERC群は追跡期間に血栓塞栓イベントは増加せず、CTPA実施や入院率は減少 無作為化された14施設において、登録された計1,916例(平均年齢44歳、女性980例[51%]:対照群954例、PERC群962例)のうち、1,749例が試験を完遂した。 初診で肺塞栓症と診断された患者は、対照群26例(2.7%)、PERC群14例(1.5%)であった(群間差:1.3%、95%信頼区間[CI]:-0.1~2.7%、p=0.052)。追跡期間中に、PERC群で1例(0.1%)(対照群は0例)が肺塞栓症と診断された(群間差:0.1%[95%CI:-∞~0.8%])。CTPAを実施した患者の割合はPERC群13%、対照群では23%であった(群間差:-10%、95%CI:-13%~-6%、p<0.001)。PERC群において、救急外来滞在期間の中央値(平均短縮:36分、95%CI:4~68分)と、入院率(平均減少:3.3%、95%CI:0.1~6.6%)は有意に低かった。

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大腿骨骨折手術、実施は24時間以内に/JAMA

 大腿骨骨折手術を受けた成人患者において、待機時間が長いと30日死亡およびその他の合併症のリスクが増大することが明らかにされた。カナダ・トロント大学のDaniel Pincus氏らによる住民ベースの後ろ向きコホート試験の結果で、待機時間24時間が、リスクが高まる閾値と定義される可能性が示唆されたという。世界中で、大腿骨骨折手術の待機時間は死亡と関連しており、ケアの質の指標として用いられているが、合併症に結び付く待機時間については議論の的となっていた。JAMA誌2017年11月28日号掲載の報告。オンタリオ州72病院で手術を受けた4万2,230例について分析 研究グループは、合併症リスクが増大する前に大腿骨骨折手術を行うべき至適な時間帯を特定するために、住民ベースの待機時間データを用いて検討を行った。 2009年4月1日~2014年3月31日に、カナダ・オンタリオ州の72病院で同手術を受けた成人を対象とした。待機時間でみた各合併症の発生率を、リスク補正後の制限3次スプラインモデルで描出し、合併症が増大し始めた変曲点(時間)を用いて、手術実施が早期と定義されるのか、待機的と定義されるのかを調べた。また、この定義の頑健さを評価するために、傾向スコアで適合した早期手術群と待機的手術群でアウトカムの比較を(%でみた絶対リスク差[%RD]を95%信頼区間[CI]とともに用いて)行った。 待機時間は、病院到着から手術までの時間と定義。主要アウトカムは、30日以内の死亡率で、副次アウトカムは、死亡またはその他の内科的な合併症(心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症、肺炎)の複合などであった。 試験適格基準を満たした大腿骨骨折患者は4万2,230例。平均年齢(SD)80.1(10.7)歳、女性が70.5%であった。30日死亡率、合併症発生率ともに、24時間を過ぎてから手術を受けた群で有意に高率 30日時点の死亡率は、全体で7.0%であった。 待機時間が24時間より長い場合、考えられる合併症リスクはいずれも増大が認められた。 30日死亡リスクは、24時間を過ぎてから手術を受けた待機的手術群(1万3,731例)が、傾向スコアで適合した24時間以内に手術を受けた早期手術群(1万3,731例)と比較して有意に高かった。死亡件数はそれぞれ898例(6.5%)vs.790例(5.8%)で、%RDは0.79(95%CI:0.23~1.35、p=0.006)であった。また、合併症複合アウトカムの発生も待機的手術群が有意に高く、1,680件(12.2%)vs.1,383件(10.1%)、%RDは2.16(95%CI:1.43~2.89、p<0.001)であった。

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潜因性脳梗塞、PFO閉鎖術の長期的効果は?/NEJM

 原因不明の潜因性脳梗塞を発症した成人患者において、卵円孔開存(PFO)閉鎖術群は薬物療法単独群より脳梗塞の再発が低率であったことが、980例を登録して行われた多施設共同無作為化非盲検試験「RESPECT試験」の、延長追跡期間中(中央値5.9年)の解析で示された。PFO閉鎖術の無作為化試験での主要解析は、平均2~4年の期間をベースに行われている。RESPECT試験も、追跡期間中央値2.1年時点で主要解析が行われ、PFO閉鎖術群で脳梗塞の再発率が低かったことが示されたが、有意なベネフィットは示されなかった(N Engl J Med. 2013;368:1092-1100.)。RESPECT研究グループは、長期的な影響を探索的に評価するため、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJeffrey L. Saver氏らが延長フォローアップデータの解析を行った。NEJM誌2017年9月14日号掲載の報告。追跡期間中央値5.9年のアウトカムを評価 RESPECT試験は米国とカナダの69施設で、2003年8月23日~2011年12月28日に潜因性脳梗塞を発症した18~60歳の患者980例(平均年齢45.9歳)を登録して行われた。被験者は、PFO閉鎖術を受ける群(499例)または薬物療法(アスピリン、ワルファリン、クロピドグレル、アスピリン+ジピリダモール徐放薬)のみを受ける群(481例)に無作為に割り付けられ追跡を受けた。 主要有効性エンドポイントは、無作為化後の非致死的脳梗塞・致死的脳梗塞・早期死亡の複合で、エンドポイントイベントの判定は盲検下で行われた。 研究グループは、2016年5月31日時点で延長フォローアップのデータベースをロックし解析を行った。追跡期間中央値は5.9年(四分位範囲:4.2~8.0)。脱落率が薬物療法群で高く(33.3% vs.20.8%)、安全性フォローアップの期間中央値は、2群間で有意な差があった(PFO閉鎖術群3,141患者年vs.薬物療法群2,669患者年、p<0.001)。主要複合エンドポイントのハザード比0.55、原因不明の脳梗塞再発は0.38 有効性解析には、PFO閉鎖術群3,080患者年、薬物療法群2,608患者年が包含された。intention-to-treat集団において、脳梗塞の再発は、PFO閉鎖術群18例、薬物療法群28例で、発症率(100患者年当たり)は、それぞれ0.58、1.07であった(ハザード比[HR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.31~0.999、log-rank検定のp=0.046)。また、原因不明の脳梗塞の再発は、PFO閉鎖術群10例、薬物療法群23例であった(HR:0.38、95%CI:0.18~0.79、p=0.007)。 安全性の解析では、重篤有害事象の総発現率は、PFO閉鎖術群40.3%、薬物療法群36.0%であった(p=0.17)が、個別にみると、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症と深部静脈血栓症を含む)の発現頻度が、PFO閉鎖術群が薬物療法群よりも高かった。肺塞栓症のHRは3.48(95%CI:0.98~12.34、p=0.04)、深部静脈血栓症のHRは4.44(95%CI:0.52~38.05、p=0.14)であった。

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肺塞栓症診断の新アルゴリズム、CTPA施行数を低減/Lancet

 YEARSと呼ばれる新たな肺塞栓症疑い例の診断アルゴリズムは、肺塞栓症を安全に除外し、年齢を問わず、さまざまなサブグループに一貫してCT肺アンギオグラフィ(CTPA)の施行数を減少させることが、オランダ・ライデン大学医療センターのTom van der Hulle氏らが行ったYEARS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年5月23日号に掲載された。妥当性が確認されている肺塞栓症疑い例の診断アルゴリズムは、正確に使用されないことが多く、便益は一部の患者に限られるため、CTPAの濫用を招いているという。YEARSの、発症時の鑑別的なDダイマーのカットオフ値が組み込まれた臨床的意思決定基準は、迅速性や実地臨床への適合性を有し、あらゆる年齢でCTPA施行数を減少させるために開発された。3項目とDダイマー値から成る簡便なアルゴリズム 本研究は、新たに開発された急性肺塞栓症疑い例の簡便な診断アルゴリズムであるYEARSを前向きに評価する多施設共同コホート試験であり、オランダの12施設の参加の下、2013年10月5日~2015年7月9日に実施された(各参加施設の助成を受けた)。 YEARSの臨床的意思決定基準は、3つの項目(深部静脈血栓症の臨床徴候、喀血、肺塞栓症が最も可能性の高い診断名)とDダイマー値から成り、肺塞栓症疑い例はこれらの同時評価によって管理された。3項目が1つも当てはまらずDダイマー値<1,000ng/mLの患者と、3項目のうち1つ以上が確認されDダイマー値<500ng/mLの患者は、肺塞栓症の診断から除外した。これ以外の患者はCTPAの適用と判定した。 主要評価項目は、診断戦略の安全性に関するもので、肺塞栓症除外から3ヵ月間に発生した静脈血栓塞栓症のイベント数とし、per-protocol解析を行った。副次評価項目は診断戦略の有効性に関するもので、Wells診断アルゴリズムと比較した必要なCTPAの施行数とし、intention-to-diagnose解析を行った。CTPA数が14%減少、より簡便で効果的な診断管理 肺塞栓症疑いの3,465例(平均年齢53[SD 18]歳、女性62%、外来患者86%)がYEARSアルゴリズムによる管理を受けた。ベースライン時に456例(13%)で肺塞栓症が検出された(3項目が1つもなかった1,743例のうち55例[3.2%]、1つ以上を認めた1,722例のうち401例[23%])。 ベースライン時に肺塞栓症が除外され、治療が行われなかった2,946例(85%)のうち、3ヵ月間に18例(0.61%、95%信頼区間[CI]:0.36~0.96)が症候性静脈血栓塞栓症と診断され、このうち6例(0.20%、0.07~0.44)が致死的肺塞栓症であった。 CTPA非適用例の割合は、YEARSアルゴリズムが48%(1,651例)であり、Wells基準とDダイマー値の固定閾値<500ng/mLを用いた標準的診断アルゴリズムを用いた場合の34%(1,174例)に比べ、14%(95%CI:12~16)の差があった。 YEARSアルゴリズムによるCTPA非適用例(1,629例)のうち、3ヵ月間に7例(0.43%、95%CI:0.17~0.88)が静脈血栓塞栓症を発症し、このうち2例(0.12%、0.01~0.44)が致死的肺塞栓症であった。また、YEARSアルゴリズムでCTPA適用と判定され、CTPAで肺塞栓症が除外された1,317例では、3ヵ月間に11例(0.84、0.47~1.5)が症候性静脈血栓塞栓症を発症し、4例(0.30%、0.12~0.78)が致死的肺塞栓症であった。 著者は、「全年齢を通じたCTPA施行数の14%の減少は、肺塞栓症疑い例の不要な放射線被曝の回避における大きな前進である。また、YEARSは、標準的な診断アルゴリズム(Christopher Studyアルゴリズムなど)に比べ、診断管理がより簡便で効果的なアルゴリズムであることが示された」としている。

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