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低リスク肺塞栓症の低分子量ヘパリンによる外来治療は入院治療に劣らない

低リスクの急性肺塞栓症に対する低分子量ヘパリンを用いた外来治療は、入院治療に劣らない有効性と安全性を有することが、スイス・ベルン大学病院のDrahomir Aujesky氏らの検討で示された。欧米では、症候性の深部静脈血栓症の治療では低分子量ヘパリンによる外来治療が通常治療とされる。肺塞栓症の診療ガイドラインでは、血行動態が安定した患者には外来治療が推奨されているが、現行の症候性肺塞栓症の治療の多くは入院患者を想定したものだという。Lancet誌2011年7月2日号(オンライン版2011年6月23日号)掲載の報告。外来治療の非劣性を評価する非盲検無作為化試験本研究は、4ヵ国(スイス、フランス、ベルギー、アメリカ)の19の救急診療施設の参加のもと、肺塞栓症の入院治療に対する外来治療の非劣性を評価する目的で実施された非盲検無作為化試験である。症状のみられる急性肺塞栓症で、死亡リスクが低い患者(肺塞栓症重症度インデックスでリスクがclass IあるはII)が、外来治療(看護師の指導でエノキサパリン1mg/kg×2回/日を自身で皮下投与し、24時間以内に退院)を行う群あるいは外来治療と同じレジメンを入院で施行する群に無作為に割り付けられた。外来治療群のうち自己注射が不可能な患者には、介護者あるいは訪問看護師が投与した。両群とも、経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬を早期に導入し、90日間以上継続することが推奨された。主要評価項目は、90日以内の症候性静脈血栓塞栓症の再発、14日あるいは90日以内の大出血などの安全性のアウトカムおよび90日死亡率とした。非劣性の定義は両群のイベント発生率の差が4%未満の場合とした。患者にも好評、在院期間の短縮に2007年2月~2010年6月までに344例が登録され、外来治療群に172例が、入院治療群にも172例が割り付けられた。評価可能例は、それぞれ171例、168例であった。外来治療群の171例のうち90日以内の静脈血栓塞栓症再発例は1例(0.6%)のみ、入院治療群では再発例はなく、非劣性の判定基準を満たした[95%上限信頼限界(UCL):2.7%、p=0.011]。90日死亡例は両群とも1例(それぞれ0.6%、95%UCL:2.1%、p=0.005)のみで、14日以内の大出血は外来治療群が2例(1.2%)、入院治療群では認めなかった(95%UCL:3.6%、p=0.031)。90日までに外来治療群の3例(1.8%)が大出血をきたしたが、入院治療群では認めなかった(95%UCL:4.5%、p=0.086)。平均在院期間は、外来治療群が0.5日(SD 1.0)、入院治療群は3.9日(SD 3.1)であった。著者は、「低リスク例の場合、肺塞栓症の入院治療を外来治療で用いても安全かつ有効と考えられる」と結論し、「患者にも好評で、在院期間の短縮につながるだろう」としている。(菅野守:医学ライター)

202.

静脈血栓塞栓症の抗凝固療法、至適な最短治療期間とは?

抗凝固療法終了後の静脈血栓塞栓症の再発リスクは、治療期間を3ヵ月以上に延長しても3ヵ月で終了した場合と同等であることが、フランス・リヨン市民病院のFlorent Boutitie氏らの検討で明らかとなった。再発リスクは近位深部静脈血栓症や肺塞栓症で高かった。一般に、静脈血栓塞栓症の治療には3ヵ月以上を要し、抗凝固療法終了後は再発リスクが増大するとされる。一方、抗凝固療法を3ヵ月以上継続すれば再発リスクが低減するかは不明で、再発抑制効果が得られる最短の治療期間も明らかではないという。BMJ誌2011年6月11日号(オンライン版2011年5月24日号)掲載の報告。静脈血栓塞栓症に対する治療期間が異なる抗凝固療法後の再発リスク 研究グループは、静脈血栓塞栓症に対する抗凝固療法の期間や臨床像が治療終了後の再発リスクに及ぼす影響、および再発リスクを最小限にする最短の抗凝固療法の治療期間を検討するために、7つの無作為化試験の参加者の個々の患者データを用いてプール解析を行った。対象は、担がん状態ではなく、治療期間が異なる抗凝固療法を施行された静脈血栓塞栓症初発患者2,925例。主要評価項目は、最長で24ヵ月のフォローアップ期間中における抗凝固療法終了後の静脈血栓塞栓症の初回再発率とした。静脈血栓塞栓症の治療期間は3ヵ月で終了してよいことを示唆するデータ 再発率は、近位深部静脈血栓症よりも孤立性の遠位深部静脈血栓症で有意に低く(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.34~0.71)、肺塞栓症と近位深部静脈血栓症は同等(同:1.19、0.87~1.63)、既知のリスク因子のない自発性(特発性)近位深部静脈血栓症よりも特定のリスク因子に起因する血栓症で有意に低かった(同:0.55、0.41~0.74)。抗凝固療法を1.0あるいは1.5ヵ月で終了すると、3.0ヵ月以降に終了した場合に比べ再発率が有意に高く(ハザード比:1.52、95%信頼区間:1.14~2.02)、3ヵ月で終了した場合と6ヵ月以降に終了した場合の再発率は同等であった(同:1.19、0.86~1.65)。抗凝固療法の期間と再発率に関連がみられたのは、治療終了から6ヵ月間に限られた。著者は、「静脈血栓塞栓症に対する3ヵ月間の抗凝固療法終了後の再発リスクは、3ヵ月以上治療を継続した場合と同等であった。自発性近位深部静脈血栓症や肺塞栓症は、治療の終了時期とは無関係に再発リスクが高かった」と結論し、「再発リスクが高く治療の継続が正当化される場合を除き、抗凝固療法は3ヵ月で終了してよいと考えられる」としている。

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【阪神淡路大震災の経験を東北関東大震災に活かす】災害時循環器リスク予防スコアの活用のお願い (自治医科大学内科学講座循環器内科学 苅尾七臣先生)

自治医科大学内科学講座循環器内科学 苅尾七臣先生に「東北関東大震災での災害時循環器リスク予防スコア」をご提供頂きました。以下、苅尾先生のメッセージです。この度の東北関東大震災ではこれまでにない甚大な被害が日々報告されておりますが、先生方、ご家族並びに周囲の方々が無事であることを心より願っております。栃木県の自治医科大学では直接的には大きな被害はありませんでしたが、発生後5日目までに、震災に関連した狭心症と心不全の増悪、車中泊での深部静脈血栓症に起因する肺塞栓症の各3名患者が入院されました。著者は、16年前に阪神淡路大震災が発生した当時、震源地である淡路島北淡町の国保診療所に赴任していました。その時の継続した医療と、地元の津名郡医師会事業として行った震災後の循環器疾患調査に基づき、今回、災害時の循環器リスク予防スコア(下記、文献「災害時循環器スコア.pdf」よりダウンロードできます)を作成しました。阪神淡路大震災に比較して、東北関東大震災では被害地域が広範囲に及び、物流がうまくゆかず、制限された避難所生活が長期化することが懸念されます。まだ、被害の全容がつかめていない状況ですが、今後、問題となってくるのが、心筋梗塞や脳卒中、突然死、大動脈解離、さらに肺塞栓症などストレスに関連した循環器疾患と感染症です。特にリスクスコア4点以上のリスクが高い被災者の方には、予防スコア6点以上を目指した徹底した循環器疾患の発症予防に向けて、個人ならびに避難所単位で、本スコアをご活用いただければと思います。まだまだ食糧、薬剤やマスクなど手に入らない状況が続いていると思いますので、今後の状況に応じて、可能な限りでお役立て頂ければ幸いです。 平成23年3月16日自治医科大学内科学講座循環器内科学苅尾 七臣

204.

経口抗Xa薬「エドキサバン」の国内製造販売承認を申請

 第一三共株式会社は6日、経口抗Xa薬(抗凝固薬)エドキサバン(JAN:エドキサバントシル酸塩水和物)について、下肢整形外科手術患者における静脈血栓塞栓症の予防適応に関して、国内で製造販売承認申請を行ったと発表した。 エドキサバンは同社が創製した経口の抗凝固薬であり、血管内で血液凝固に関与するXa因子を直接阻害する作用メカニズムを有している。これまでの臨床試験成績から、本剤の1日1回経口投与による膝関節全置換術施行患者、股関節全置換術施行患者等における術後静脈血栓塞栓症の予防効果および安全性を確認しているという。 なお、心房細動に伴う血栓塞栓症の予防についての試験(ENGAGE AF-TIMI48)、および深部静脈血栓症、肺塞栓症患者における静脈血栓塞栓症の二次予防についての試験(HOKUSAI VTE)を、グローバル第III相臨床試験として現在、実施しているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/003666.html

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術後は静脈血栓塞栓症のリスクが著明に増大、イギリスの中年女性

中年女性では、術後の静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症)のリスクが12週にわたって増大し、特に股関節や膝関節の置換術、がんの切除術後に大きいことが、イギリス・オックスフォード大学腫瘍疫学科のSian Sweetland氏らが実施したコホート試験「Million Women Study」(http://www.millionwomenstudy.org/introduction/)で示された。肺塞栓症とその前駆病態である深部静脈血栓症は世界的に罹患率、死亡率が高く、多大な疾病負担となっている。静脈血栓塞栓症のリスクは術後早期に最も大きいことが知られているが、どのくらい持続し、手術のタイプによってどの程度異なるかは明確でなかったという。BMJ誌2010年1月2日号(オンライン版2009年12月3日号)掲載の報告。約95万人の中年女性を対象とした前向きコホート試験Million Women Studyの研究グループは、さまざまな手術の施行後における静脈血栓塞栓症のリスク増大の期間とその程度について検討するプロスペクティブなコホート試験を行った。1996~2001年までにイギリス在住の中年女性94万7,454人が登録され、質問票で得たデータと国民保健サービス(NHS)がルーチンに収集している入院および死亡のデータの関連づけを行った。フォローアップ期間中に23万9,614件の手術入院があり、静脈血栓塞栓症による入院は5,419人、そのうち270人が死亡した。経過時間および手術タイプ別に、静脈血栓塞栓症による入院および死亡の補正相対リスク(RR)、標準化発生率について評価した。術後6週の発症リスクは70倍、3週目にピーク、12週まで実質的に増大手術を受けていない女性に比べ、入院手術を受けた女性は術後6週における静脈血栓塞栓症による入院のリスクが約70倍高く(RR:69.1)、3週目にリスクのピークが見られた。日帰り手術の場合でもリスクは約10倍に達した(RR:9.6)。術後7~12週にリスクは約20倍から約6倍にまで低下(RR:19.6、5.5)したものの、非手術女性に比べ実質的に増大したままであった。このリスクのパターンは肺塞栓症(2,487人)と深部静脈血栓症(3,529人)で類似していた。術後の静脈血栓塞栓症のリスクは手術のタイプによって大きく異なり、人工股関節・膝関節の置換術やがんの切除術後に最も増大し、術後1~6週のRRはそれぞれ220.6、91.6であった。著者は、「術後の深部静脈血栓症と肺塞栓症のリスクは12週まで実質的に増大しており、リスクの程度は手術タイプによって大きな差が認められた」と結論し、「手術を受けていない中年女性が12週の間に静脈血栓塞栓症を発症する確率は6,200人に1人にすぎない一方で、日帰り手術では815人に1人、入院手術を受けた中年女性では140人に1人が発症すると予測される。なかでも、股関節・膝関節の置換術後は45人に1人が、がんの切除術後は85人に1人が発症すると考えられる」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

206.

世界で1万人以上の心房細動患者が加する新たな大規模症例登録調査が開始

仏サノフィ・アベンティス社は16日、心房細動患者を対象とした国際的な横断的観察研究であるRealiseAF症例登録調査(Real life global Survey Evaluating patients with Atrial Fibrillation:心房細動の患者を評価する実際的な世界的調査)を開始したことを発表した。同社の日本法人が19日に報告した。RealiseAFは、心房細動のコントロールについて評価し、ヨーロッパ、中南米、アジア、中東、および北アフリカの幅広い心房細動患者集団の心血管リスクプロファイルを調査することを目的として設計された。この症例登録調査では、発作性、持続性、永続性心房細動の患者さんや、一過性の原因による心房細動患者を含む、幅広い心房細動患者集団に関する新たなデータを収集することを目指す。RealiseAF症例登録調査は、心房細動の罹病歴があり、過去12ヵ月間に1件以上の心房細動エピソードを経験したか、または現在心房細動を抱える27ヵ国1926施設の1万人以上の患者について、追跡調査を行うもの。対象には、発作性、持続性、永続性心房細動の成人患者、小児患者、一過性の原因(甲状腺機能亢進症、アルコール中毒、心筋梗塞の急性期、心膜炎、心筋炎、電撃症、肺塞栓症またはその他の肺疾患、水電解質異常、代謝障害など)による心房細動患者が含まれる。収集されるデータに含まれる尺度は、家族または本人の心血管リスク因子の有無、併存疾患の罹病歴、過去12ヵ月間の入院につながる心血管イベント、心血管系の介入治療、心房細動の罹病歴・特徴、心房細動の管理、およびQOL評価である。試験に参加する心臓専門医(開業医および勤務医)と内科医は、無作為に選ばれる。患者募集は2009年10月末に開始されており、最終結果は2010年末に得られる見込み。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/CBC868FD-8DE7-430E-BF5F-60B78B3098F5.pdf

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段階的弾性ストッキングは脳卒中後の深部静脈血栓を予防しない

大腿部までの長さの段階的弾性ストッキング(GCS)の着用は、脳卒中後の深部静脈血栓(DVT)のリスクを低減しないことが、イギリスEdinburgh大学臨床神経科学部のMartin Dennis氏らが実施した無作為化試験(CLOTS 1)によって明らかとなった。脳卒中後は一般にDVTや肺塞栓症が見られるが、手術を受けた患者を対象とした小規模な試験においてGCSによるDVTリスクの低減効果が確認されている。エビデンスとしては十分でないにもかかわらず、脳卒中ガイドラインはこれらの知見を外挿して脳卒中患者に対するGCSの使用を推奨している。Lancet誌2009年6月6日号(オンライン版2009年5月27日号)掲載の報告。GCSのDVT低減効果を検証する無作為化対照比較試験CLOTS(Clots in Legs Or sTockings after Stroke)1の研究グループは、大腿部までの長さのGCSによる脳卒中後のDVTの低減効果について評価するための無作為化対照比較試験を行った。2001年3月~2008年11月までに、イギリス、イタリア、オーストラリアの64施設から急性脳卒中発症後1週間以内に入院し、活動不能な状態の患者2,518例が登録された。これらの患者は、中央無作為化システムによってルーチン治療と大腿部までのGCSを着用する群(1,256例)あるいはルーチン治療のみを施行しGCSは使用しない群(1,262例)に割り付けられた。登録後7~10日および25~30日に、治療の割り付けを知らされていない技師によって両足の圧迫Doppler超音波検査が施行された。主要評価項目は、膝窩静脈あるいは大腿静脈の症候性、無症候性のDVTの発現とした。DVT予防効果はなく、皮膚有害事象が有意に多いすべての患者が解析の対象となった。主要評価項目の発現率は、GCS使用群が10.0%(126/1,256例)、GCS非使用群は10.5%(133/1,262例)であり、絶対リスク低減率は0.5%と有意な差は認めなかった。皮膚の裂傷、潰瘍、水疱や皮膚壊死の頻度は、GCS非使用群の1.3%(16/1,256例)に対しGCS使用群は5.1%(64/1,262例)と有意に高かった(オッズ比:4.18、95%信頼区間:2.40~7.27)。これらの結果により、著者は「急性脳卒中による入院患者に対して、DVTの予防を目的とした大腿部までの長さのGCSの着用は支持されない」と結論し、「脳卒中ガイドラインは、本試験の知見に基づいて改訂を検討すべきであろう」としている。(菅野守:医学ライター)

208.

rivaroxaban長期投与が有効、人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症予防

新たな経口第Xa因子阻害薬rivaroxabanの長期投与は、人工股関節全置換術(THA)を施行後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防において低分子ヘパリンであるエノキサパリン(商品名:クレキサン)の短期投与よりも有効なことが、21ヵ国が参加した大規模臨床試験(RECORD 2)で確認された。周術期のヘパリンベースの血栓予防療法は致死的肺塞栓症を減少させるが、THA後のVTEのリスクは退院後も持続するため、簡便な長期的抗血栓療法の探索が進められてきた。イギリスBarts and the London医科歯科大学のAjay K Kakkar氏が、Lancet誌2008年7月5日号(オンライン版2008年6月24日号)で報告した。21ヵ国、2,509例が参加した二重盲検ダブルダミー無作為化試験RECORD 2(REgulation of Coagulation in ORthopaedic surgery to prevent Deep-vein thrombosis and pulmonary embolism 2)は、THA施行例を対象にrivaroxaban(10mg/日、1日1回、経口)を31~39日投与する群(プラセボ静注、10~14日)と、エノキサパリン(40mg/日、1日1回、皮下注)を10~14日投与後プラセボを投与する群(31~39日)を比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。2006年2月~2007年4月に21ヵ国123施設から登録された2,509例が、rivaroxaban群(1,252例)あるいはエノキサパリン群(1,257例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、深部静脈血栓(両側静脈造影で検出された症候性あるいは無症候性の病変)、非致死的肺塞栓症、30~42日までの全死亡の複合エンドポイントとした。主要評価項目が有意に改善、出血の頻度は同等主要評価項目の解析対象となったのは、rivaroxaban群864例、エノキサパリン群869例。複合エンドポイントの発現率は、エノキサパリン群の9.3%(81/869例)に対し、rivaroxaban群は2.0%(17/864例)と有意に低下した(絶対リスク低下率:7.3%、95%信頼区間:5.2~9.4%、p<0.0001)。安全性評価の対象はrivaroxaban群1,228例、エノキサパリン群1,229例。治療期間中の出血の発現率は、rivaroxaban群6.6%(81/1,228例)、エノキサパリン群5.5%(68/1,229例)と両群で同等であった(p=0.25)。Kakkar氏は、「THA後の症候性のイベントを含むVTEの予防において、rivaroxaban長期投与はエノキサパリン短期投与よりも有意に高い有効性を示した」と結論し、「長期的血栓予防療法をさらに確実なものにするには、THAの予後に影響を及ぼす可能性のある出血や他の有害事象について、高リスク群に重点を置いた評価を行うべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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人工股関節置換後の血栓予防にはrivaroxabanがエノキサパリンより有効

スウェーデン・Sahlgrenska大学病院のBengt I. Erikssonらが参加した抗凝固剤rivaroxaban(経口直接作用型第Xa因子阻害剤)の国際共同第III相臨床試験RECORD 1の検討結果。人工股関節全置換術を受けた患者の長期的な血栓予防について、有効性と安全性をエノキサパリン皮下注(国内販売名:クレキサン皮下注、2008年1月承認)とを比較した結果、安全性は同等で、rivaroxabanのほうが有効であると報告している。NEJM誌2008年6月26日号より。4,541例を治験薬経口投与と対照薬皮下注射に割り付け本無作為化二重盲検試験は、患者4,541例を、rivaroxaban 10mgを1日1回・術後から経口投与するグループと、エノキサパリン40mgを1日1回・手術前日夕方から皮下注するグループとに割り付け、プラセボ錠剤か注射を追加投与した。有効性の主要転帰は、深部静脈血栓症(症候性または、両側静脈造影で検出された無症候性のもの)、非致死的肺塞栓症、36日時点(範囲30~42日)での全死因死亡の複合とした。有効性の副次的転帰は、主要静脈血栓塞栓症(近位深部静脈血栓症、非致死的肺塞栓症または静脈血栓塞栓症による死亡)とした。安全性に関する主要転帰は重大な出血。静脈血栓塞栓症のリスクは1.7ポイント低下被験者のうち1,388例を除外した計3,153例については優位性解析を、108例を除外した4,433例について安全性解析を行った。その結果、rivaroxaban群1,595例中18例(1.1%)、エノキサパリン群1,558例中58例(3.7%)でそれぞれ有効性についての主要転帰が確認された(絶対リスク低下:2.6ポイント、95%信頼区間:1.5~3.7、P

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肺塞栓症の除外には、マルチスライスCTを用いれば超音波検査は不要

 肺塞栓症(PE)の診断では、Dダイマー(DD)測定とマルチスライスCT(MSCT)検査を実施すれば、下肢静脈超音波(US)を行う必要はないことが、スイスGeneva大学病院脈管/止血学のMarc Righini氏らが行った研究で明らかとなった。MSCTは肺区域・亜区域血管の可視化に優れるという。最近の大規模試験では、PEに対する感度は83%にすぎないが、PEの臨床的な疾患確率が低い症例における陰性的中率は95%、中等度の症例では89%と報告されている。Lancet誌2008年4月19日号掲載の研究。DD+MSCTのDD+US+MSCTに対する非劣性を検証 研究グループは、PEを除外するにはDD+MSCTで十分か、それともDD+US+MSCTを行う必要があるかという問題を解決するために、DD+MSCTの非劣性を検証する多施設共同無作為対照比較試験を実施した。 対象は臨床的にPEが疑われた1,819例で、DD+US+MSCT群に916例が、DD+MSCT群には903例が無作為に割り付けられた。改訂Genevaスコアで臨床的疾患確率が低い~中等度と判定された症例はDDを測定し、高いと判定された症例はDDを測定せずに画像検査が行われた。検査でPE陰性と診断された症例についてさらなる調査を行った。 主要評価項目は、診断検査でPEが除外され治療が行われなかった症例における3ヵ月後の静脈血栓塞栓症の発症リスクとした。アウトカム評価を行う研究者には割り付け状況をブラインドし、per protocol解析を行った。3ヵ月静脈血栓塞栓リスクは両群で同等 intention-to-treat解析によるPEの発症率は両群で同等であった[DD+US+MSCT群:20.6%(189/916例)、DD+MSCT群:20.6%(186/903例)]。 DD+US+MSCT群の855例、DD+MSCT群の838例に関するper protocol解析では、3ヵ月静脈血栓塞栓リスクは同等であった[DD+US+MSCT群:0.3%(2/649例、95%信頼区間:0.1~1.1)、DD+MSCT群:0.3%(2/627例、95%信頼区間:0.1~1.2)]。 DD+US+MSCT群の574例のうち、USにより53例(9%)に深部静脈血栓がみつかり、これらの症例にはMSCTは施行されなかった。 Righini氏は、「PEの除外において、DDとMSCTを併用する診断戦略の安全性および有効性は、DD測定後にUSとMSCTを実施する診断法と同等である」と結論し、「DD+MSCT群では、平均コストがPP解析で24%、ITT解析で21%削減された。CTが禁忌の症例にはUSが使用できる」と指摘している。

211.

合剤によるホルモン補充療法は介入中止後試験でもリスクがベネフィットを上回った

Women’s Health Initiative(WHI)試験は、米国国立衛生研究所(NIH)による閉経後女性(50~79歳、16,608人)を対象としたホルモン補充療法の大規模臨床試験。心臓疾患、股関節骨折、乳癌リスク増大を予防することを期待されたが2002年7月、健康リスクがベネフィットを上回ったため、平均追跡期間5.6年で中止となった。本論は、介入中止後3年(平均2.4)時の追跡調査の結果。JAMA誌2008年3月5日号より。介入中止後15,730例を追跡WHI試験は二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、結合型エストロゲン(CEE、0.625mg/日)+酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA、2.5mg/日)の合剤(国内未承認)を用いたホルモン補充療法を、1993~1998年の間、40の医療センターで50~79歳、16,608人の女性を対象に投与された。介入後の追跡試験開始は2002年7月8日、解析対象は15,730例。半年ごとのモニタリングとアウトカムの確認が試験プロトコルに基づき継続された。主要エンドポイントは、冠動脈性心疾患および侵襲性乳癌。リスクとベネフィットのバランスの全体指標には、他の原因による脳卒中、肺塞栓症、子宮体癌、大腸癌、股関節骨折および死亡に加えて2つの主要エンドポイントも含んで解析された。心血管イベント以外、リスクがベネフィットを上回る傾向続く介入後調査期間の心血管イベントリスクは、当初行われた無作為割付で比較できた。結果はCEE+MPA群343イベントで1.97%(年率)、プラセボ群323イベントで1.91%だった。より悪性であるリスクはプラセボ群[1.26%(n=218)]よりもCEE+MPA群で高く[1.56%(n=281)]、ハザード比は1.24(95%信頼区間:1.04~1.48)。乳癌についても同様の傾向がみられ、プラセボ群0.33%(n=60)に対しCEE+MPA群0.42%(n=79)、ハザード比は1.27(95%信頼区間:0.91~1.78)。全死亡率の傾向も同様。プラセボ群1.06%(n=196)に対しCEE+MPA群1.20%(n=233)、ハザード比は1.15(95%信頼区間:0.95~1.39)。全体指標のリスクとベネフィットは、無作為化当初から2005年3月31日まで変わらず(ハザード比:1.12、95%信頼区間:1.03~1.21)、CEE+MPA投与のリスクはベネフィットを上回る結果が示された。この結果を受け、「CEE+MPA群には介入後調査期間中、心血管リスクの増大は観察されなかったが、致命的あるいは非致死性の悪性度の高いリスクが確認された。全リスク指標は12%で、プラセボと比較してCEE+MPAにランダムに割り付けられた女性でより高かった」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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肺塞栓症の画像診断でCTPAは本当に有用なのか?

 肺塞栓症が疑われる患者に対して、肺換気・血流シンチグラフィ (V/Q)とCT肺アンギオグラフィ(CTPA)は広く行われている画像診断法だが、多くの医療施設でCTPAが主流となりつつある。Dalhousie University(カナダ)のDavid R. Anderson氏らは、CTPAがV/Qスキャンより有用であるかを検討した。JAMA誌2007年12月19日号にて掲載。カナダ・アメリカ1,417例を対象にCTPAとV/Qを比較 V/QスキャンとCTPAについて正式に比較検討したものは少なく、またCTPAについては感受性が低い(臨床的に重要な肺塞栓見落としの可能性が高い)懸念が言われている。Anderson氏らは、急性肺塞栓症の診断を行う最初の肺画像診断として、CTPAがV/Qスキャンの安全な代替方法かどうかを確認するため、無作為単盲検臨床試験を実施した。 対象は、高度医療を担うカナダ4施設、米国1施設の医療機関で、2001年5月~2005年4月の間にWells clinical model score 4.5以上、Dダイマー検査陽性との結果に基づき急性肺塞栓症とみなされた1,417例の患者。 患者は、V/Q(701例)もしくはCTPA(716例)に無作為に振り分けられ、肺塞栓症と診断された患者は抗凝固療法を受け3ヵ月間フォロー。除外された患者についても、抗凝固療法を受けることなく3ヵ月間追跡調査が行われた。 主要評価項目は、肺塞栓症が除外された患者の症候性肺塞栓症または深在静脈血栓症の発現。CTPAはV/Qスキャンに劣っていない? 肺塞栓症と診断され抗凝固療法を受けたのは、CTPA群133例(19.2%)、V/Q群101例(14.2%)。初回検査による相違は5.0%(95%信頼区間:1.1%~8.9%)だった。肺塞栓症が除外された患者のうち、フォローアップ期間中に静脈血栓塞栓症を呈したのは、CTPA群2/561例(0.4%)、V/Q群6/611例(1.0%)。これには致死性肺塞栓症1例が含まれる。両群相違は-0.6%(95%信頼区間:1.6%~-0.3%)だった。研究者らは、「本研究においてCTPAは肺塞栓症を除外する際、V/Qスキャニングより劣ってはいなかった」としながらも、「CTPAアプローチで肺塞栓症と診断された患者が、かなり上回っていたが、CTPAで見つかった全ての肺塞栓症が抗凝固療法の対象としなければならないかどうか、さらなる調査が必要だ」とまとめている。

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静脈血栓症は虚血性イベントのリスク

 静脈血栓症の患者では、深部静脈血栓症、肺塞栓症を問わず、発症直後より心筋梗塞、脳卒中のリスクが増加しているとの症例・対照研究が、Lancet誌11月24日号に掲載された。筆頭著者はAarhus University Hospital(デンマーク)のHenrik Toft Sorensen氏。静脈血栓発症後1年間で脳卒中リスク2倍以上今回の「症例」群は、静脈血栓症患者で心血管系疾患既往のない42,124例、デンマーク全国患者レジストリに登録された救急病院入院患者よりピックアップされた。内訳は「深部静脈血栓症」群(25,199例)と「肺塞栓症」群(16,925例)である。一方「対照」群は住民登録システムから「年齢」、「性別」、「居住区域」をマッチさせた心血管系疾患既往のない163,566名が抽出された。深部静脈血栓症の対照群は97,773例、肺塞栓症の対照群が65,793例だった。これらのコホートで比較したところ、静脈血栓症患者では短期・長期を問わず、心血管系イベントリスクが有意に増加していた。すなわち、深部静脈血栓発症後1年間の心筋梗塞発症相対リスクは1.60(95%信頼区間:1.35~1.91)、脳卒中は2.19(95%信頼区間:1.85~2.60)と、対照群に比べ著明な増加を示した。さらに2年後から20年後までのリスクを比較しても、心筋梗塞リスクは1.18(95%信頼区間:1.11~1.26)、脳卒中も1.31(95%信頼区間:1.23~1.39)と有意な増加が維持されていた。肺塞栓症も同様である。発症後1年間の心筋梗塞リスクは2.60(95%信頼区間:2.14~3.14)、脳卒中は2.93(95%信頼区間:2.34~3.66)と著明かつ有意な増加を認め、発症2年後から20年後のリスクも有意に増加していた。「静脈血栓が心血管系動脈のイベントリスクであることを示す、強力なエビデンスである」と著者らは記している。(宇津貴史:医学レポーター)

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