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【JSMO2016見どころ】免疫療法

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、がん免疫療法については西川 博嘉氏(国立がん研究センター研究所/先端医療開発センター 腫瘍免疫学担当/免疫TR分野)が登壇した。以下、西川氏のコメントを紹介する。【西川 博嘉氏コメント】 免疫チェックポイント阻害剤(とくに抗PD-1抗体)が悪性黒色腫、非小細胞肺がんに臨床導入され、がんに対する免疫応答を人為的に操作することで、がん治療が可能であることが示された。これに続いて腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、一部の大腸がんで従来の治療に対する優位性が示され、臨床応用が期待されている。また膀胱がんに対しては、抗PD-L1抗体がFDAに承認され、さまざまな免疫チェックポイント阻害剤の臨床導入が加速している。加えて、これらのがん免疫療法では、臨床効果が20~30%程度の患者でしかみられないことから、レスポンダーの層別化、ノンレスポンダーへの新規がん免疫療法開発の検討も急速に進んでいる。一方、レスポンダーでの投与継続の必要性、従来の抗がん剤ではみられない副作用など、解決すべき課題も多い。本学会では、世界初の免疫チェックポイント阻害剤、抗CTLA-4抗体の開発者であるJames Allison博士をはじめとする国内外の研究者を集め、現在のがん免疫療法が抱える課題について討論し、今後の展開を考える。【注目演題】 本学会では、免疫チェックポイント阻害薬企画特集として、以下7つの演題が用意されている。特別講演「がん免疫療法の進歩」日時:7月29日(金)11:00~12:00場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南) 教育講演「免疫チェックポイント阻害剤~過去、現在、今後の展望~」日時:7月28日(木)9:00~9:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)International Symposium「免疫チェックポイント阻害薬の新展開」日時:7月28日(木)13:15~14:45場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「免疫チェックポイント阻害薬の期待」日時:7月28日(木)14:55~16:55場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「免疫チェックポイント阻害薬に対するバイオマーカー研究の最前線」日時:7月29日(金)8:30~10:10場所:Room5(神戸国際展示場1号館2F展示室A) Panel Discussion「免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理」日時:7月30日(土)13:30~15:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)JSMO/ASCO Joint Symposium「Cancer Immunotherapy」日時:7月30日(土)8:50~11:50場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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失業とがん死亡の関連:世界銀行とWHOのデータから/Lancet

 失業率上昇はがん死亡率上昇と関連する。しかし、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC;http://uhcday.jp)はこの影響を阻止することが可能である。また、公的保健医療支出の増加はがん死亡率の低下と関連していることを、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMahiben Maruthappu氏らが、がん死亡率と失業率、公的保健医療支出との関連、ならびにUHCの影響を調査する縦断的研究の結果、報告した。世界経済危機は、失業率の増加、および公的保健医療支出の減少と関連することが知られる。これまでそれに関して、がん転帰との関連を分析した研究はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2016年5月25日号掲載の報告。世界各国のがん死亡と経済指標の関連を分析 研究グループは、世界銀行の2013年版データセットから経済データを得るとともに、WHO死亡データベースから1990~2010年のがん死亡に関するデータを入手した。調査したがん種は、治療可能ながんとして生存率50%超の乳がん(女性)、前立腺がん(男性)、大腸がん(男性・女性)とし、5年生存率が10%に満たない肺がんおよび膵臓がんは治療不能がんにまとめた。なお、中国、インドおよびサハラ以南のアフリカについては完全ながん死亡データを得られなかった。 多変量回帰分析を用い、がん死亡と失業、公的保健医療支出との関連をUHCの有無別に検討した。また、2008年から2010年に多くの国で急激な失業率上昇が発生したことから、それ以前の傾向に基づいた推定死亡率と観察データを比較した。失業率上昇でがん死亡率が上昇、ただし国民皆保険制度がある国を除く 失業率については75ヵ国21億600万人、公的保健医療支出については79ヵ国21億5,600万人のデータを入手。2000~10年のがん死亡データが完全であったのは61ヵ国であり、最終解析には35ヵ国のデータが包含された。 解析の結果、失業率上昇は、すべてのがん死亡率、および女性の肺がんを除く各がん種の死亡率上昇と有意に関連していた。一方で、治療不能がんの死亡率は失業率の変化との有意な関連は認められなかった。 治療可能がんの場合、有意な関連は失業率上昇後5年間持続していた。しかし、UHCがある国(日本を含む26ヵ国)では、失業率とがん死亡率との有意な関連は認められなかった。また、公的保健医療支出が増加すると、すべてのがん、治療可能がん、およびがん種別の死亡率は有意に減少する関連も認められた。 2000~07年の傾向に基づく解析の結果、2008~10年において一部の治療可能がんの過剰死亡は4万人以上と算出され、そのほとんどがUHCのない国での死亡であった。 これらの結果を踏まえて著者は、保健医療アクセスの重要性を指摘。また、「2008~10年の世界経済危機は、経済協力開発機構(OECD)加盟国だけでも推定26万人以上のがん関連死増加と関連していたと推定される」と報告をまとめている。

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非小細胞肺がんに新たなALK阻害剤 セリチニブ発売

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(以下、ALK+ NSCLC)の治療薬として、本年(2016年)3月28日に製造販売承認を取得したセリチニブ(商品名:ジカディア カプセル150mg)の販売を本日開始した。 セリチニブは、受容体チロシンキナーゼであるALKの自己リン酸化を阻害し、がん細胞の増殖を抑制する、強力かつ選択的な経口ALK阻害剤。現在、ALK+ NSCLCの治療には、複数のALK阻害剤が用いられているが、既存のALK阻害剤に不耐容であったり、効果が十分ではない、耐性により増悪するケースが報告されている。またALK+ NSCLCでは脳転移のリスクが増加することが示唆されており、脳転移が治療上の大きな課題となっている。 セリチニブは、化学療法及び既存のALK阻害剤(クリゾチニブ)治療歴があるALK+ NSCLC患者を対象とした国際共同第II相臨床試験(日本人を含む)において、奏効率37.1%(95%CI:29.1-45.7%)で主要目的を達成し、高い抗腫瘍効果を示した。同様に、ALK+ NSCLC患者においても、脳転移病変に対するセリチニブの抗腫瘍効果が示唆された。なお、 セリチニブの主な副作用は、悪心(77.9%)、下痢(77.1%)、嘔吐(58.6%)、ALT(GPT)増加(37.9%)、食欲減退(35.7%)、AST(GOT)増加(28.6%)であった。ノバルティス ファーマ株式会社のプレスリリースはこちら

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呼吸器の薬の考え方、使い方 ver.2

呼吸器科専門医の処方センスを学ぶ吸入薬、禁煙補助薬、抗結核薬、対症療法に用いる去痰薬や鎮咳薬、肺高血圧症の治療に用いる循環器系の薬剤、肺がん治療の分子標的薬、意外に深い含嗽薬やトローチまで、呼吸器科で用いるさまざまな薬の薬剤情報、薬理と臨床試験、処方に際しての注意点など医療従事者が知っておきたい薬の必要知識+αをまとめた好評書の改訂第2版。新規薬剤の追加や吸入方法の図解描きおろしなど、ページ数大幅増加でさらに内容が充実しています。専門医はもちろんのこと、すべての呼吸器疾患を診療する医師、医療関係者必読の1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   呼吸器の薬の考え方,使い方 ver.2定価 5,200円 + 税判型 A5判頁数 454頁発行 2016年4月著者 倉原 優(近畿中央胸部疾患センター)Amazonでご購入の場合はこちら

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1万人の薬剤耐性例にベネフィットを

 2016年5月16日都内にて、「肺がん個別化医療を新たなステージに導く薬剤耐性獲得後の治療選択肢」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。 EGFR変異陽性の非小細胞肺がんの治療においてEGFR-TKI(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)は有効だが、1年ほどで生じる薬剤耐性が問題となっていた。この問題を解決するために開発されたのが、第3世代EGFR-TKI「タグリッソ錠」(一般名:オシメルチニブメシル酸塩)である。 演者である大江 裕一郎氏 (国立がん研究センター中央病院 副院長 呼吸器内科 呼吸器内科部長)は本セミナーにて「肺がん診療におけるタグリッソの役割」について講演した。 以下、セミナーの内容を記載する。わずか7ヵ月で承認された、第3世代EGFR-TKI 既存のEGFR-TKIは治療開始1~1年半ほどで薬剤耐性が生じることが多く、機序として「T790M遺伝子変異」が最も多く報告されている。このT790M変異に特化して開発された薬が「タグリッソ」である。 これまでの第1、第2世代のEGFR-TKIは、腫瘍細胞のEGFR変異を阻害する力は強いものの、T790M耐性変異への阻害作用は弱かった。また、正常上皮細胞に多く存在する、野生型EGFRも阻害していた。 第3世代EGFR-TKIのタグリッソは、既存薬とは異なるユニークな構造を持ち、EGFR変異に加え、耐性要因となるEGFR T790Mに阻害活性を持つ。また、野生型EGFRへの阻害活性は従来薬よりも比較的弱いことが特徴だ。 日本でも優先審査品目に指定され、申請から7ヵ月という短い期間で製造販売承認を取得した。すでに、米国のNCCNガイドラインでは非小細胞肺がんの2次治療として推奨されており、日本でも次回のガイドライン改訂でこれに近い形になると予想される。2次治療での奏効率は66.1%、PFSは9.7ヵ月 タグリッソの有効性を検討した試験に、AURA試験およびAURA2試験の統合解析がある。T790M変異陽性の非小細胞肺がん患者411例を対象に、タグリッソ80mgを1日1回経口投与した結果、奏効率は66.1%(95%CI:61.2~70.7%)、PFS中央値は9.7ヵ月であった。 本試験には日本人患者が約20%(81例/411例)含まれており、日本人患者のPFSは9.7ヵ月と有効性に差は認められていない。継続した情報の集積が求められる 一方、同試験でグレード3以上の副作用発現率は日本人患者で多かった(日本人:24例/80例、全症例:48例/411例)。これが人種差によるものなのか、抗がん剤による前治療の影響なのか、についてはまだわかっていない。また、EGFR-TKIに限らず日本人は間質性肺炎を起こしやすく、この点には注意が必要である。また、タグリッソにおいてもすでに耐性の報告(C797S変異)があり、今後も全例調査による継続した情報の集積が求められる。1万人のEGFR T790M陽性例にベネフィットを 日本における肺がん患者数は約7万5,000人。そのうちEGFR変異陽性は2万人で、さらに1万人がEGFR T790M陽性と想定される。タグリッソは、この1万人の患者にベネフィットをもたらす新薬と考えてよいだろう。 セミナーの後半、アストラゼネカ 代表取締役社長のガブリエル・ベルチ氏も登壇し、「ベネフィットを享受できる患者さんを増やすために、製薬企業として適切な情報提供を行っていきたい」とコメントした。 現在も1次治療を検討する「FLAURA試験」、術後補助療法を検討する「ADAURA試験」が進行中で、今後、タグリッソの活用の幅は広がっていくと予想される。

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過去の大気汚染、死亡率に長期影響か

 過去の大気汚染への曝露経験は、数十年経ってからの死亡率とも関連していることが、英国・Small Area Health Statistics Unit(SAHSU)のAnna Hansell氏らにより報告された。Thorax誌2016年4月号の掲載報告。 大気汚染の短期的・中期的な死亡率に対する影響は知られているものの、10年以上の長期的な影響を検討した研究は少なく、さらに曝露状況を複数の時点で測定したものはごく限られている。1952年のロンドンスモッグ事件に象徴される重度の大気汚染を経験した英国では、1950年代から1990年代まで大気質モニタリングを実施している。著者らは、そのデータを用いて大気汚染がもたらす長期の死亡リスクを評価するため、38年にわたる前向きコホート研究を行った。 対象者はOffice for National Statistics(ONS)に登録された英国出身・在住の36万7,658人で、居住地域とその地域で測定された黒煙(BS)、SO2(1971、1981、1991年)、PM10(2001年)の大気中濃度とのマッチングを行った。アウトカムは事故死を除く全死因死亡率、心血管系および呼吸器系疾患による死亡率のオッズ比(OR)が用いられた。年齢、性別、個人と居住地域の社会経済レベル、地理的要因、喫煙によるリスクを調整したうえで、区分線形モデルによる濃度反応曲線を用いて大気汚染が死亡率へ与える影響を評価した。喫煙によるリスクは、地域レベルでの肺がん死亡の相対リスクが用いられた。 主な結果は以下のとおり。・曝露から数十年経過後も、BSおよびSO2への曝露と死亡率との間には関連がみられた。・1971年時点でのBSへの曝露が、2002~09年における全死因死亡率(OR:1.02、95%信頼区間[CI]:1.01~1.04)、ならびに呼吸器系疾患による死亡率(OR:1.05、95%CI:1.01~1.09)と有意に関連していた。・2001年時点でのPM10への曝露は、2002~09年における全アウトカムと関連しており、とくに呼吸器系疾患による死亡率との強い関連がみられた(OR:1.22、95%CI:1.04~1.44)。

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認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.1

第1回 呼吸器 第2回 感染症 第3回 アレルギー(※正誤表) 日本内科学会の認定内科医試験を受験する先生方、必見です。出題基準ランクAの疾患を中心に各領域の予想問題を作成、出題意図と関連知識を解説していく“完全対策”DVDができました(全4巻)。講師は、若手育成に定評があり数々の資格試験を突破してきた、聖マリア病院の長門直先生。総合内科専門医試験を受ける先生方にとっては、基礎固め、総復習に最適。これを見れば、勉強するポイント、頻出のトピックがわかります!第1回 呼吸器 出題される疾患が多い呼吸器の中でも、とくに結核は疫学・検査・診断・治療・感染予防と、押さえるところが多い重要疾患です。その他、喘息の重症度分類・治療ステップ、肺がんの病期決定と治療など、必ず出題されるポイントを押さえ、しっかりと整理しておきましょう。第2回 感染症 染色の種類や菌種など、細かいところまで出題が予想される感染症。尿路感染症で膿尿と判定する数値や、菌血症とみなす場合の細菌の名前など、細部までしっかり覚えることが重要です。また、感染症法1~5類指定の疾患はきちんと確認しておきましょう。5類のうち例外としてただちに届出が必要な疾患は?過去に出題されています!第3回 アレルギー 出題数の少ないアレルギーですが、病型や好発期など、疾患ごとにきちんと暗記する必要があります。鼻アレルギーの病型によって異なる投与薬剤の違いや、各食物アレルギー患者への禁忌医薬品など、よく出題されるポイントが明確なので、これを見ればどこを押さえればよいかがすぐにわかります。

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肺がん医療は「協働」の時代

 2016年4月15日、都内で日本肺癌学会主催の第11回肺がん医療向上委員会が開催され、特別講演「医療者・社会と共に、患者が変える肺がん医療」が行われた。 本委員会は、岐阜市民病院がんセンターの診療局長で、肺がん医療向上委員会副委員長の澤 祥幸氏による、「肺がん領域においては、患者自身の努力だけでなく周囲の支援が必要」との言葉により開始された。今回の講演者は2人で、両人ともステージ4の肺がんを患っている。日本の患者にも「患者力」を 初めに、山岡 鉄也氏による講演が行われた。山岡氏は肺がんの罹患経験を生かしたペイシャント・アドボカシー(患者支援)活動を行っている。国際肺癌学会(IASLC)日本初の患者委員として選ばれた山岡氏は、昨年、世界肺癌学会議(WCLC)に参加した際に感じた海外の「患者力」の高さに驚いたという。同会議は肺がん患者ならばすべてのプログラムに参加可能となっており、まさに患者中心の考え方が実践されていたのだ。その経験を踏まえて山岡氏は、「日本国内においてもまずは患者自身が病気を理解し、主体的に治療計画に参加することが重要」と、患者力を高める必要性を強調した。肺がん医療における「協働」の可能性 続いて、長谷川 一男氏による講演が行われた。長谷川氏は、テレビディレクターという職業を生かして自身の闘病生活を描いたドキュメンタリー番組を作成するなど、メディアを通して肺がん患者の現実を伝えている。罹患発覚7年目となる現在も精力的に活動を行っており、昨年には肺がん患者の会「ワンステップ!」を立ち上げた。講演の中で長谷川氏は、「患者自身が、支えてくれようとしているものの存在に気付くこと」が重要と述べ、これからの肺がん医療が目指すべき、医療関係者・製薬業界・マスメディア・企業・行政の「協働」の可能性について言及した。 肺がん領域の患者団体が直面する困難としてはその維持の難しさがあり、いかにしてアドボカシーを持続可能なものにしていくかが今後の課題だという。その解決の糸口となるのは、長谷川氏の言葉のとおり、患者だけでなく医療者・社会全体が「協働」して行う患者支援にあるのではないだろうか。

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第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ、EGFR-TKI抵抗性の非小細胞肺がんに承認

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ガブリエル・ベルチ)は、2016年3月2日、「EGFR-TKI抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌(NSCLC)」を効果・効能としたオシメルチニブメシル酸塩(商品名:タグリッソ40mgおよび80mg錠)の国内における製造販売承認を取得したと発表。 オシメルチニブは、1日1回投与の新規経口分子標的治療薬。既存のEGFR-TKIとは異なる新規の作用機序を有し、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。また、野生型EGFRチロシンキナーゼに対する阻害作用が少ない。 本邦におけるオシメルチニブの承認は、EGFR-TKIによる治療中あるいは治療後に病勢が進行しEGFR T790M変異陽性と診断されたNSCLC患者における有効性を示した第II相試験 (AURA延長試験およびAURA2試験)のデータに基づいている。この試験における、客観的奏効率(ORR)はAURA延長試験(199例)で61.3%(95%CI:54.2~68.1%)、AURA2試験(199例)では70.9% (95%CI:64.0~77.1%)であった(2015年5月1日時点のデータに基づく)。 2つの第II相試験の併合成績における治験担当医評価による代表的な副作用は、発疹・ざ瘡等(37.7%)、下痢(36.5.%)、皮膚乾燥・湿疹等(28.5%)、爪の障害(爪周炎を含む)(23.4%)等であった。日本人患者80例における間質性肺疾患(ILD)のすべてのグレードにおける発現率は、6.3%であった(2015年5月1日時点のデータに基づく)。 EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに有効な既存のEGFR-TKIは、多くの場合、治療開始から1~1年半ほどで薬剤耐性が生じ、病勢が進行する。病勢進行したEGFR-TKI薬剤耐性患者の60%はT790M遺伝子変異を有しているが、T790M遺伝子変異に特化して開発された薬剤はなかった。そのため、本邦においても、2015年8月の製造販売承認申請後、優先審査品目の指定を経て、およそ7ヵ月で製造販売承認を取得した。アストラゼネカ株式会社のプレスリリースはこちら。

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ALK阻害剤セリチニブ、非小細胞肺がんの治療薬として承認取得

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は、2016年3月28日、経口ALK阻害剤であるセリチニブ(商品名:ジカディア カプセル150mg)について、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の治療薬として、国内における製造販売承認を取得したと発表。 セリチニブは、化学療法及び既存のALK阻害剤クリゾチニブ治療歴のあるALK陽性NSCLC患者を対象とした第II相臨床試験(日本人を含む国際共同治験)において、奏効率37.1%(95%CI:29.1-45.7)で主要目的を達成し、高い抗腫瘍効果を示した。 国際共同第II相試験におけるセリチニブの主な副作用は、悪心(77.9%)、下痢(77.1%)、嘔吐(58.6%)、ALT(GPT)増加(37.9%)、食欲減退(35.7%)、AST(GOT)増加(28.6%)であった。 セリチニブは、2013年3月に米食品医薬品局(FDA)よりブレークスルー・セラピーの指定を受け、2014年4月に米国で「クリゾチニブによる治療後に疾患が進行したクリゾチニブ不耐容のALK陽性 NSCLC」の治療薬として迅速承認を得たほか、2015年5月にはEUにおいても承認を取得し、2016年3月現在、アジアを含む世界50カ国以上で承認されている。 ジカディア カプセル150mgの効能/効果は、クリゾチニブに抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC。ノバルティス ファーマ株式会社のプレスリリースはこちら

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クリゾチニブのROS1陽性転移性非小細胞肺がんへの適応拡大を承認:FDA

 米ニューヨーク州ニューヨーク発、2016年3月1日、ファイザー社は、米国食品医薬品局(FDA)がクリゾチニブ(商品名:ザーコリ)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を承認したと発表。これまでの適応症に加え、ROS1陽性の転移性非小細胞肺がん(非小細胞肺がんは以下、NSCLC)の適応症が新たに追加された。FDAは2015年、本追加適応症をブレークスルー・セラピーおよび優先審査対象品目に指定していた。 今回の承認は、多施設共同・単群・第Ⅰ相試験(1001試験)に基づくもの。本試験は、ROS1陽性転移性NSCLC患者50名を対象に行われ、有効性の評価指標は、客観的奏効率と奏効期間。ROS1陽性転移性NSCLC患者において、クリゾチニブの顕著な抗腫瘍効果が示され、客観的奏効率は66%であった(95%CI : 51-79)。奏効期間の中央値は18.3ヵ月でしあった(95%CI:12.7ヵ月、未到達)。 ROS1陽性転移性NSCLCに対するクリゾチニブの安全性プロファイルは、ALK陽性進行NSCLCで認められた安全性プロファイルとほぼ同様であった。 ROS1遺伝子と他遺伝子が融合し、ROS1再構成が生じると、がん細胞の成長を促進する可能性がある。疫学データから、ROS1の再構成は、NSCLCのおよそ1%に生じることが示唆されている。NSCLCにおけるROS1遺伝子再構成検出のコンパニオン診断薬については、現在開発を進めているとのこと。ファイザー株式会社のプレスリリースはこちら

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