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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(1)周術期薬物療法を内科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(1)周術期薬物療法を内科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(2)周術期・IV期薬物療法を外科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(2)周術期・IV期薬物療法を外科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(3)周術期薬物療法を外科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(3)周術期薬物療法を外科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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日本人PD-L1低発現の切除不能NSCLC、治験不適格患者へのICI+化学療法の有用性は?

 PD-L1低発現の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法の有用性は臨床試験ですでに検証されている。しかし、実臨床では臨床試験への登録が不適格となる患者も多く存在する。そこで、研究グループはPD-L1低発現の切除不能NSCLC患者を臨床試験への登録の適否で分類し、ICI+化学療法の有用性を検討した。その結果、臨床試験への登録が不適格の集団は、適格の集団よりも全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が短かったものの、ICI+化学療法が化学療法単独よりも有用であることが示唆された。ただし、PS2以上、扁平上皮がんではICI+化学療法によるOSの改善はみられなかった。本研究結果は、畑 妙氏(京都府立医科大学大学院 呼吸器内科学)らにより、Lung Cancer誌2025年2月号で報告された。 本研究は、多施設共同後ろ向きコホート研究として、日本の19施設において実施された。対象患者は、PD-L1低発現(TPS 1~49%)のStageIIIB、IIIC、IV(TNM分類第8版)のNSCLC患者のうち、ICI+化学療法または化学療法単独による治療を行った728例とした。対象患者を第III相試験への登録基準への適否で分類し(適格集団/不適格集団)、OSやPFSなどを検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者728例のうち、適格集団は333例、不適格集団は395例であった。・対象患者の年齢中央値は70歳(範囲:36~89)、男性が79%、現/元喫煙者が89%、組織型は腺がんが58%、扁平上皮がんが32%であった。・OSは適格集団、不適格集団のいずれにおいてもICI+化学療法群が化学療法群と比べて有意に長かった。しかし、不適格集団のPS2以上、扁平上皮がんに限定した解析では、有意差はみられなかった。OS中央値は以下のとおり。<適格集団> ICI+化学療法群25.1ヵ月、化学療法群18.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.54~0.97、p=0.03)<不適格集団> ICI+化学療法群18.2ヵ月、化学療法群14.9ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.59~0.95、p=0.018)<PS2以上の不適格集団> ICI+化学療法群12.2ヵ月、化学療法群9.2ヵ月(p=0.21)<扁平上皮がんの不適格集団> ICI+化学療法群12.9ヵ月、化学療法群13.1ヵ月(p=0.27)・PFSは適格集団、不適格集団のいずれにおいてもICI+化学療法群が化学療法群と比べて有意に長かった。不適格集団のうち扁平上皮がんに限定した解析では、ICI+化学療法群が有意に長かったが、PS2以上に限定した解析では有意差はみられなかった。PFS中央値は以下のとおり。<適格集団> ICI+化学療法群9.3ヵ月、化学療法群6.1ヵ月(p<0.0001)<不適格集団> ICI+化学療法群7.0ヵ月、化学療法群5.1ヵ月(p<0.0001)<PS2以上の不適格集団> ICI+化学療法群5.7ヵ月、化学療法群4.0ヵ月(p=0.17)<扁平上皮がんの不適格集団> ICI+化学療法群6.1ヵ月、化学療法群5.0ヵ月(p=0.008) 本研究結果について、著者らは「PS2以上、扁平上皮がんを除き、臨床試験への登録が不適格の集団においてもICI+化学療法の有用性が示唆された」とまとめた。

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第231回 高額療養費制度の行方、医療現場はどう変わる?

今年2月になって突然、飛び込んできた「高額療養制度の見直し」について多くの方はなぜそんなに急に? と疑念を抱かれたと思います。わが国はバブル景気の後の「失われた30年」の間、経済が停滞していた間も少子化と高齢人口の増加が続いてきました。リーマンショック後の安倍政権をきっかけに、日本経済も回復したとはいえ、2040年まで高齢化が続く中、増大する医療費や介護費のため、社会保障制度の持続可能性について検討が続いています。社会保障改革の経過の振り返り令和元(2019)年から開かれていた全世代型社会保障検討会議の最終報告からまとめられた「全世代型社会保障改革の方針」(令和2年)でも、少子化対策の子育て支援とともに、医療提供体制の改革や後期高齢者の自己負担割合の在り方について検討をすることが盛り込まれていました。これらについて政策の実際の発動は、新型コロナウイルス感染症の拡大で延期され、令和4年1月から開催された「全世代型社会保障構築会議」で、すべての世代が安心できる「全世代型社会保障制度」を目指し、働き方の変化を中心に据えながら、社会保障全般にわたる改革を検討しました。この会議の中で「給付と負担のバランス・現役世代の負担上昇の抑制」について、「高額療養費制度の見直しも併せてしっかり取り組んでいただきたい。厚生労働省からはそれを検討するという報告があったわけで、これはぜひ1つでも2つでもできるものをどんどん実現してほしい」という発言がなされていました(【第20回全世代型社会保障構築会議議事録】)。このような発言を反映してか、令和6年1月26日の社会保障審議会で「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」の中で、経済情勢に対応した患者負担などの見直し(高額療養費自己負担限度額の見直し/入院時の食費の基準の見直し)が入っていました。2月に入り厚労省の社会保障審議会医療保険部会の「令和7年8月~令和9年8月にかけて段階的に実施高額療養費制度の見直し」を行うという資料【高額療養費制度の見直しについて】をもとに国会の予算審議で大きく取り上げられたのをきっかけに大きな話題となりました。画像を拡大する当然ながら、高額療養費の対象となるがんや難病の患者さんの団体から反対の声が上がり、2月7日に厚労省で鹿沼 均保険局長と患者団体が面会を行い、いったん凍結を求められました。厚労省側から改革案を部分修正する意向を示されたものの、患者団体はこれを反対するなどしばらく予算審議を進めていく中、予定通り令和7年8月からの引き上げは難しくなっています。Financial toxicityがクローズアップされている高額療養費制度はわが国の保険診療のセーフティネットとして必要なもので、これが十分に機能しているため患者さんは安心して高額な抗がん剤や先進的な治療を受けることができますが、一方で、諸外国ではこのようなシステムがないため、すでに2000年代になって画期的な新薬の承認とともに問題となっていました。高額療養費制度の見直しが必要になったのは高額な新薬の登場です。近年登場する抗がん剤は非常に高額なため、公的な保険で十分にカバーできない問題が諸外国で話題になっていました。筆者も以前、製薬企業で勤務していたときに有害事象として報告された用語に“financial toxicity”という言葉を目にしたことがあります。Financial Toxicity(ファイナンシャル・トキシシティ:経済毒性)とは、国際医薬用語集にも掲載されている用語で、医療費による経済的負担が患者さんや家族に与える悪影響を指します。高額な新薬によって医療費が増大するのを抑制するため、欧米諸国では保険制度で新薬については、適応とする患者さんの症状によっては処方制限するなどしてアクセス制限をしています。新薬が使えない場合は、患者団体がメーカー側に働きかけて医薬品価格を引き下げさせたり、欧州では医療経済学者を中心に費用対効果を審査して、薬価と効果の面で医薬品を経済評価するようになっており、新薬として承認されても保険償還について別個で審査してアクセス制限をしています。実際にイギリスでは2009年から、新規の抗がん剤への患者アクセスを改善するためにNICE(国立保健医療研究所)によって「非推奨」とされた抗がん剤を中心に対象とする薬剤を評価後にリスト収載し、それらに対する費用をCDF(Cancer Drugs Fund:英国抗がん剤基金)から拠出してきましたが、財政負担の著しい増加に対して、2016年からは新CDFを含むNICEの抗がん剤評価に関する新スキームの運用が開始され、新薬として承認を取得するすべての新規抗がん剤は、NICEにより評価され、「推奨」とされた場合には、英国国民保健サービス(NHS)から償還を受けることができますが、「非推奨」の場合には、Individual Funding Request(IFR)による1件ごとの審議となり、使用は大きく制限されています。わが国でも2014年に承認されたニボルマブ(商品名:オプジーボ)をきっかけに、主に高額な薬価をめぐって国内で大きく取り上げられました。ニボルマブの承認時の償還薬価は100mg1瓶72万8,029円と高額でしたが、その後、適応症の拡大と処方患者の増加で急速に売り上げが伸びたため、厚労省が新たに設けた特例拡大再算定などの薬価引き下げ策で、新薬承認からわずか4年で75%も安くなり【「オプジーボ」続く受難 用量変更でまたも大幅引き下げ…薬価収載時から76%安く】、その後も薬価は低下し、現在は当初の価格から13万1,811円(2024年4月以降)と18.1%の価格になっています。過剰な薬価抑制策にはネガティブな側面もわが国では承認された新薬の保険償還の価格を引き下げることはよくありますが、国際的にみて、新薬の価格は特許がある間は開発費を回収して、さらに画期的な新薬開発への投資を行う原資を得るために保証されているのが通常で、わが国のように日本発の新薬ですら大きく価格を抑制することは、新薬を開発する製薬会社からみて市場としては魅力的には映りません。さらに日本では薬価制度で対応しつつ、同時に新薬の承認・審査するPMDA(医薬品医療機器総合機構)は「新規作用機序を有する革新的な医薬品については、最新の科学的見地に基づく最適な使用を推進する観点から、承認に係る審査と並行して最適使用推進ガイドラインを作成し、当該医薬品の使用に係る患者及び医療機関等の要件、考え方及び留意事項を示すこととしています」とあり、また、「症例ごとに適切な処方を求めるようになっています」として、処方する専門医に対して、学会や製薬企業から情報提供がなされるようになっています。現実問題として、わが国では以前、ドラッグラグ(承認の遅れ)が目立っていましたが、薬事審査に当たってのさまざまな障壁(日本人データの要求など)が業界側や患者側からの働きかけで短縮していました。一方、最近問題となっているのはドラッグロスと言って、そもそも日本市場に参入がないことです。これについては企業側の努力不足もあるとは思いますが、大手製薬企業としては日本の薬価制度がハードルになっている以外にも、近年ベンチャー創薬によって開発されているオーファンドラッグ(希少薬品)のようにニーズはあるが売り上げが大きくない医薬品の場合、企業側の体力がないため日本での薬事承認申請まで辿り着けないなどの問題も発生しています。わが国もこのままでは新規医薬品の開発力が低下してしまうのを避けるため、日本人データを必ずしも必須としないなど条件緩和を進めていますが、医療分野でのイノベーションに見合うだけの収益が得られないため、日本の製薬企業でも海外での開発や販売を優先するケースが近年目立っています。国民の生活にかかわる政策決定には透明化も必要わが国の製薬市場が欧州やアメリカより小さいながらも、中小の製薬企業がそれぞれ得意分野で活躍して開発競争を行ってきましたが、21世紀に入った今、低分子薬を中心とした生活習慣病の開発競争から、抗がん剤など中分子~高分子の医薬品に競争分野が変化し、より高い薬価の医薬品を開発する必要があります。薬価引き下げで多くの製薬企業は特許切れの長期収載品による安定した収益を失い、より新薬開発競争を国際的に進めねばならず厳しい状態が続いています。今回の見直しのように薬価は高いけれど、効果の高い新薬を使用して治療を受けたいという国民の声に政府は応える必要があり、薬価引き下げではなく、患者自己負担を増やすことで一定のバランスを得ようとしたことはある意味正しいと考えます。しかし、高薬価の新薬の開発は続いており、続々と新薬が承認されています。ニボルマブのような強制的な薬価引き下げを続けることは、国際的にみても日本の製薬市場の縮小、ひいてはわが国の制約産業の衰退を招く可能性もあり、薬価引き下げだけでは持続可能性は乏しいと考えます。医療費用の増加は高齢化もあり、やむを得ない事情があり、経済成長に見合った形であれば社会保障費の経済的な負担増大にはつながらないのですが、今回のように患者数の増加や治療費の増加をどう抑えるかは国の中でも結論がでておらず、2024年の国政選挙でもこの話題はまったく討論されず、話の持って行き方にかなり問題があったと感じています。高額療養費の引き上げについて、厚労省の審議会では「既定路線」であったものの、患者さんやその家族にとって貧困を理由に治療が中断することは、国民のコンセンサスを得ていたとは考えにくいです。今後も増え続けるキャンサーサバイバーの患者さんのニーズに応えるためには、財源を用意する必要があります。政府の中できちんと討論した上で、患者自己負担をなるべく広く薄くなるのか、それとも患者自己負担を一定の割合で求めるか、すでに問題となっている多重受診の患者さんの自己負担や軽症疾患のビタミン剤や湿布をOTC化の促進で医療費を抑制した分を回すか、あるいは別のタバコ税や酒税のような形で財源を調達するか、何らかの形で国民に問う必要があったと考えています。すでに津川 友介氏のような一部のオピニオンリーダーからは解決策を提示する意見【「国民の健康を犠牲にすることなく、2.3~7.3兆円の医療費削減が実現可能な『5つの医療改革』」】も出ていますが、他にもさまざまな方策を考えるには絶好のタイミングだと思います。今回のように国民に知らされないまま、審議会という密室で大事な政策が決められるようなやり方を日本人は好みません。わが国は民主主義国家ですから、今年の夏から患者さんの高額療養費を引き上げるのであれば、参議院議員選挙で各政党から意見を出してもらい、どういう形をとるかを決めるべき時期かと考えています。参考1)高額療養費制度の見直しについて(厚労省)2)全世代型社会保障改革の方針[令和2年](同)3)社会保障審議会(同)4)「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「こども未来戦略」について(同)5)Financial Toxicityおよびがん治療[PDQ](がん情報サイト)6)「オプジーボ」続く受難 用量変更でまたも大幅引き下げ…薬価 収載時から76%安く(Answers News)7)最適使用推進ガイドライン(PMDA)8)レカネマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドラインについて(日本精神神経学会)

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Dr.光冨の肺がんキーワード解説「EGFR変異 Part1」【肺がんインタビュー】第110回

第110回 Dr.光冨の肺がんキーワード解説「EGFR変異 Part1」肺がんではさまざまなドライバー変異が解明されている。それに伴い、種々の標的治療薬が登場する。それら最新の情報の中から、臨床家が知っておくべき基本情報を近畿大学の光冨徹哉氏が解説する。

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第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025

 日本臨床腫瘍学会は2025年2月13日にプレスセミナーを開催し、3月6~8日に神戸で開催される第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)の注目演題などを紹介した。今回の会長は徳島大学の高山 哲治氏が務め、「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」というテーマが設定された。 2019年にがん遺伝子パネル検査が保険収載となり今年で5年を迎える。検査数は毎年順調に増加しているものの、「検査を受けられるのは標準治療終了後、または終了見込み時に限られる」「保険適用となる薬剤が限られ、かつ承認外薬を使うのは煩雑」などの要因から、検査後に推奨された治療に到達する患者は10%程度に限られる現状がある。日本臨床腫瘍学会をはじめとしたがん関連学会は長くこの状況を問題とし、改善を図る活動を行ってきた。今回のテーマにもそうしたメッセージが込められている。 今年の演題数は計1,267題、うち509題は海外からのものだ。また12月中旬まで臨床試験の結果を待って最新の内容を盛り込む「Late Breaking Abstract」をはじめて採用し、約20題が採択された。以下、主な演題を紹介する。プレジデンシャルセッション・全16演題Presidential Session 1 呼吸器 血液3月6日(木)8:30~11:101)PS1-1 TTF-1陰性の進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用療法の第II相試験:F1NE TUNE(LOGIK2102)2)PS1-2 完全切除後のALK遺伝子転座陽性非小細胞肺癌に対する術後Alectinibの第III相試験(ALINA試験):日本人薬物動態、安全性解析3)PS1-3 Phase I/II study of tifcemalimab combined with toripalimab in patients with previously treated advanced lung cancer4)PS1-4 In-depth Responder Analysis of PhALLCON, a Phase 3 Trial of Ponatinib Versus Imatinib in Newly Diagnosed Ph+ ALLPresidential Session 2 泌尿器 頭頸部 TR・臨床薬理3月7日(金)15:00~17:405)PS2-1 未治療切除不能尿路上皮癌に対してエンホルツマブベドチン+ペムブロリズマブ併用療法と化学療法を比較したEV-302試験:アジア人サブグループ解析6)PS2-2 Safety profile of belzutifan monotherapy in patients with renal cell carcinoma: A pooled analysis of 4 clinical trials7)PS2-3 LIBRETTO-531:RET遺伝子変異陽性甲状腺髄様癌に対する一次治療としてのSelpercatinibの有効性・安全性・生存のアップデート8)PS2-4 血中遊離DNAによりHER2遺伝子増幅が認められた固形がんに対するトラスツズマブ デルクステカンの多施設共同臨床第II相試験(HERALD/EPOC1806試験) データ アップデートPresidential Session 3 消化管3月7日(金)8:20~11:009)PS3-1 RAS野生型大腸癌におけるmodified-FOLFOXIRI+セツキシマブ療法の効果予測臨床因子:DEEPER試験(JACCRO CC-13)10)PS3-2 血中循環腫瘍DNA陽性の治癒切除後結腸・直腸がん患者を対象としたFTD/TPI療法とプラセボとを比較する無作為化二重盲検第III相試験(CIRCULATE-Japan ALTAIR/EPOC1905)11)PS3-3 再発高リスクStage II結腸癌に対するオキサリプラチン併用術後補助化学療法の至適投与期間に関する第III相試験:ACHIEVE-2試験12)PS3-4 進行食道がんに対するNivolumab+Ipilimumab or 化学療法:CheckMate648における日本人サブグループの45ヶ月フォローアップPresidential Session 4 肝胆膵 希少がん 乳腺3月8日(土)8:30~11:1013)PS4-1 CRAFITYスコア2点の肝細胞癌に対する一次薬物療法:レンバチニブと免疫療法の治療効果の比較14)PS4-2 Final Results of TCOG T5217 Trial:SLOG vs Modified FOLFIRINOX as First-Line Treatment in Advanced Pancreatic Cancer15)PS4-3 消化管・膵原発の切除不能進行・再発神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス単剤療法とエベロリムス+ランレオチド併用療法のランダム化第III相試験:JCOG190116)PS4-4 脳転移を伴う又は伴わない治療歴のあるHER2陽性の進行/転移性乳癌患者を対象とするトラスツズマブ デルクステカンの試験結果(DESTINY-Breast12)会長企画・特別セッション特別講演がんの近赤外光線免疫療法(光免疫療法)The Era of Liquid Biopsy Biomarkers and Precision Medicine in Gastrointestinal Cancers特別企画腫瘍循環器学の重要性と実態:小室班研究を踏まえて会長企画シンポジウム全ゲノムシークエンスの臨床実装ゲノム医療で推奨された保険適応外薬をどのように使うか?激論!『条件付き承認制度』の活用はドラッグ・ロス対策に有用か!?ctDNAに基づくがん治療希少がんの遺伝性腫瘍がん遺伝子パネル検査は1次治療開始前に実施するべきか?大腸がんに対する新たな分子標的治療薬注目のシンポジウム 今回の学会テーマと深く関連するがん遺伝子パネル検査の課題と今後の方向性については上記シンポジウムで2つのテーマが設定されている。京都大学の武藤 学氏が関連する2つのセッションの概要を説明した。会長企画シンポジウム2:ゲノム医療で推奨された保険適用外薬をどのように使うか?3月6日(木)14:00~15:30 遺伝子変異に基づいて推奨された治療薬は日本の医療制度では保険適用外で使用困難な現状があり、治験や先進医療の活用が求められるものの、制度上の制約が多い。欧米では患者支援プログラム(PAP)やコンパッショネート・ユースの仕組みがある。東京科学大学の池田 貞勝氏が基調講演を行い、医師、患者代表、経済学者がそれぞれの立場から発表を行う。会長企画シンポジウム6:がん遺伝子パネル検査は1次治療開始前に実施するべきか?3月8日(土)14:00~15:30 日本において保険収載の遺伝子パネル検査は標準治療終了後に行うこととされているが、患者の状態が悪化し、推奨された治療を受けられないケースも多い。海外では1次治療前の検査が推奨されており、日本でも早期検査の意義が議論されている。早期のパネル検査の有効性を検討する臨床試験の結果を共有し、がん種別の検討や厚労省の見解を発表する。 さらに、昨年の学会で初めて行われたSNSを使った学会広報に関する活動に関する報告も引き続き行われる。これまでJSMOのSNSワーキンググループ(SNS-WG)は、昨年の学会において対象プログラムのスライド撮影およびSNS投稿解禁を実現し、今年の学会ではSNS投稿時の公式ハッシュタグを「#JSMO25」に統一することとした。これまで国内では「#JSMO2024」、海外では「#JSMO24」が多く使われ、SNS上で分断が起こっていたことに対処したものだ。委員会企画 禁煙推進セッション/SNSワーキンググループシンポジウム オンコロジー領域におけるSNS利用3月6日(木)8:30~10:00 インターネット上の医療情報のファクトチェックをテーマとした論文を執筆した豊川市民病院の呉山 菜梨氏、SNSを使った医療コミュニケーション経験が豊富な帝京大学ちば総合医療センターの萩野 昇氏が講演を行い、SNS-WGメンバーの東海大学・扇屋 大輔氏が昨夏の「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」においてWGが行った情報発信と成果について報告する。―――――――――――――――――――第22回日本臨床腫瘍学会 開催概要会期:2025年3月6日(木)〜8日(土)会場:神戸コンベンションセンター開催形式:現地(現地主体、一部ライブ配信+オンデマンド配信)SNSハッシュタグ:#JSMO25学会サイト:https://site2.convention.co.jp/jsmo2025/―――――――――――――――――――

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ICI関連心筋炎の診断・治療、医師の経験値や連携不足が影響

 2023年にがんと心血管疾患のそれぞれに対する疾病対策計画が公表され、その基本計画の一環として、循環器内科医とがん治療医の連携が推奨された。しかし、当時の連携状態については明らかにされていなかったため、新潟県内の状況を把握するため、新潟県立がんセンター新潟病院の大倉 裕二氏らは「免疫チェックポイント阻害薬関連心筋炎(ICIAM)についての全県アンケート調査」を実施。その結果、ICIAMではアントラサイクリン関連心筋症(ARCM)と比較し、循環器内科医とがん治療医の双方の経験や組織的な対策が少なく、部門間連携の脆弱性が高いことが明らかとなった。Circulation Report誌オンライン版2025年2月4日号掲載の報告。 本研究は新潟大学循環器内科と新潟腫瘍循環器協議会(OCAN2020)が、ICIAMとARCMに関する質問票を県内すべての循環器内科医とその病院の指導的ながん治療医に配布し行われた。 主な結果は以下のとおり。・アンケートには、病院29施設の循環器内科医124人と指導的立場にあるがん治療医41人が回答した。・ICIAMの臨床経験があると報告した循環器内科医は31.8%、指導的立場にあるがん治療医は24.4%で、ARCMの経験(循環器内科医の80.0%[p<0.001]、指導的立場にあるがん治療医の58.5%[p=0.009])よりも有意に低かった。・21年以上の勤務歴のあるベテランの循環器内科医は20年以下の循環器内科医と比較してICIAMの経験が少なかった(18.6%vs.38.5%、p=0.018)。・免疫療法を実施している20施設のうち、12施設(60%)では循環器内科医と指導的立場にあるがん治療医の間で「相談なし」と回答し、5施設(25%)では「ICIAM 発症後に相談した」と回答の一致を認めた。一方、ARCM発症前または発症後の部門間相談について、「相談なし」と回答したのは回答したのは4施設(20%)のみで、12施設(60%)で「ARCM発症後に相談した」と回答の一致を認めた。 本結果を踏まえ、大倉氏らはICIAM診療における5つのギャップを次のように示しており、(1)循環器内科医とがん治療医の経験のギャップ(2)循環器内科医とがん治療医の知識のギャップ(3)循環器内科医の若手とベテランの世代間ギャップ(4)循環器内科とがん診療科の部門間ギャップ(5)連携体制の病院間のギャップ 「病院では循環器内科医とがん治療医の連携を促進させる必要がある」としている。

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化学療法誘発性末梢神経障害患者の10人に4人が慢性的な痛みを経験

 化学療法誘発性の末梢神経障害(chemotherapy induced peripheral neuropathy;CIPN)の診断を受けたがん患者の10人に4人が慢性的な痛みを抱えていることが、新たなシステマティックレビューとメタアナリシスにより明らかになった。米メイヨー・クリニックの麻酔科医であるRyan D’Souza氏らによるこの研究は、「Regional Anesthesia & Pain Medicine」に1月29日掲載された。D’Souza氏は、「われわれの研究結果は、慢性的な痛みを伴うCIPNは、末梢神経障害と診断された人の40%以上に影響を及ぼす、世界的に見ても重大な健康問題であることを明示している」と述べている。 化学療法薬はがん細胞を殺すが、同時に健康な細胞や組織、神経系にもダメージを与え、特に末梢神経への影響が大きい。CIPNの症状には、バランスや協調運動の喪失などの運動障害と、感覚の喪失、しびれ、うずき、「針で刺されたような感覚」、皮膚の灼熱感などの感覚障害がある。CIPNの有病率については、これまでにも複数の研究で報告されているが、どの程度が慢性的な痛みを経験するのかについては明らかになっていない。 この点を明らかにするために、D’Souza氏らは、28カ国でCIPNの診断を受けた計1万962人を対象に実施された77件の研究データを用いて解析を行い、慢性的な(3カ月以上)痛みを伴うCIPNの統合有病率を推定した。28カ国のうち実施研究数が最も多かったのは、米国での13件、次いで日本での10件だった。また、研究の多く(45.45%)は前向き観察研究であり、その他は、後ろ向き観察研究(37.66%)、ランダム化比較試験(16.88%)などであった。対象者のがん種としては、大腸がん(25件の研究、32.47%)、乳がん(17件の研究、22.08%)が多かった。 解析の結果、対象者における慢性的な痛みを伴うCIPNの統合有病率は41.22%であることが明らかになった。化学療法の種類別に解析を行うと、同有病率が最も高かったのはプラチナ系抗がん薬での40.44%、次いでタキサン系抗がん薬での38.35%であった。がん種別に見ると、肺がん患者を対象にした研究で最も高い有病率(60.26%)、卵巣がん患者(31.40%)とリンパ腫患者(35.98%)を対象にした研究で最も低い有病率が報告されていた。 研究グループは、「今後の研究では、化学療法が神経痛を引き起こす具体的な機序を解明するとともに、命を救うための治療を受けているがん患者をその痛みから守ることができる治療法の開発に焦点を当てるべきだ」と話している。

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在宅で痙攣に対応する【非専門医のための緩和ケアTips】第94回

在宅で痙攣に対応する脳腫瘍や脳転移をはじめとして、痙攣は進行がん患者の緩和ケアでよく遭遇する症状です。前回の髄膜播種の回でも触れました。緊急対応が必要となる症状なので、しっかり理解して、準備をしておくことが重要です。今回の質問脳転移のある肺がん患者さん。自宅で痙攣していると訪問看護師から連絡がありました。薬剤を持っていくにも時間がかかる状況で、救急搬送せざるを得ませんでした。もう少しできることがあったかと思うのですが、どう対応すれば良かったのでしょうか?脳転移のように中枢神経に病変がある場合、痙攣発作が生じることがあります。すでに脳転移がある場合は、抗けいれん薬を使用していることが多いかと思います。ただ、訪問診療で診ている状況では、病状がさらに進行することや内服が安定しなくなることがあり、入院中はコントロールできていた痙攣が在宅で再発することも珍しくありません。緩和ケアで遭遇する痙攣で難しいのは、「重積状態になりやすい」ことです。考えてみれば当然で、脳腫瘍や脳転移のように器質的な病変が中枢神経にあるのですから、痙攣の原因を除去することができません。痙攣がなかなか止まらないのも納得です。もう1つ難しい点は、「静脈路が確保しにくい」ことです。とくに在宅医療の状況下では、事前準備がないと静脈路確保に時間がかかってしまいます。また抗がん剤治療を長く頑張ってきた患者は血管がもろくなっており、ルート確保をしたくてもできないことがあります。そういった観点からは、筋肉注射などの投与経路の代替手段を多く知っておく必要があります。在宅緩和ケアで痙攣を生じやすい患者に対応するためには、事前の準備が重要です。具体的には、痙攣時に備えた薬剤の準備と、家族や訪問看護師との情報共有を大切にしましょう。痙攣時に備え、私は前もって小児用の坐薬のジアゼパムを処方しておくことがあります。一般的には成人に対して使用することは少ないのですが、痙攣が発生して訪問看護師に連絡をし、到着を待つ時間は家族にとって不安なものです。在宅医療の特性上ある程度は仕方ないものの、医療者が到着するまでに何らかの対応ができることは、本人や家族の安心につながります。家族でも投与しやすい坐薬を自宅に置き、痙攣が起こった時はまずはそれを家族に使ってもらい、その間に自宅に向かうのです。痙攣重積となり、単発の抗けいれん薬の投与では痙攣が止まらない時には、注射での持続投与が必要です。この時点で入院を勧めるかどうかは、予想される予後や患者本人・家族の状況や希望によるでしょう。ただ、痙攣は多くのご家族が在宅療養を継続することは難しいと感じる症状であり、在宅の医療者にとっても対応困難である場合も多いものです。ですので、私は「入院を検討してもよいと感じている」と率直にお伝えしながら、何が本人と家族にとっての最善かを話し合うようにしています。在宅緩和ケアで難しい対応を迫られる痙攣ですが、皆さまの経験はいかがでしょうか?今回のTips今回のTipsがん患者の痙攣には、事前の「薬剤」と「話し合い」が大切。

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NRG1融合遺伝子陽性がんへのzenocutuzumab、とくに期待できるがん種は?/NEJM

 進行ニューレグリン1(NRG1)融合遺伝子陽性がんに対するzenocutuzumab(MCLA-128)の有効性および安全性を評価した第II相臨床試験の結果が、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのAlison M. Schram氏らeNRGy Investigatorsにより報告された。とくに非小細胞肺がん(NSCLC)および膵臓がんの患者において有効性が示され、有害事象の大部分は低Gradeであった。NRG1融合遺伝子は、複数の固形がんで確認されているリカレントながんドライバー遺伝子で、NRG1がヒト上皮成長因子受容体3(HER3)に結合し、HER2とのヘテロ二量体化と下流での腫瘍成長および増殖経路の活性化を引き起こす。zenocutuzumabは、HER2およびHER3を標的とする初の二重特異性抗体薬で、前臨床試験では複数の種類の腫瘍でzenocutuzumabの抗腫瘍活性が示されていた。NEJM誌2025年2月6日号掲載の報告。腫瘍の種類を問わない進行NRG1融合遺伝子陽性がん患者を対象に試験 研究グループは、腫瘍の種類を問わない進行NRG1融合遺伝子陽性がん患者を対象に、zenocutuzumabの有効性と安全性を評価する登録制の第II相臨床試験を行った。18歳以上、進行または転移固形腫瘍の診断を受け、試験担当医師の見解でそれら腫瘍種に対する標準治療を受けたもしくは標準治療の対象外であり、次世代シークエンス法によりNRG1融合遺伝子陽性と確認された患者を適格とした。 登録被験者は、2週間ごとにzenocutuzumab 750mgを静脈内投与された。主要評価項目は、試験担当医師の評価による全奏効(完全奏効[CR]または部分奏効[PR])とした。副次評価項目は、奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、安全性などであった。30%で奏効、NSCLCでは29%、膵臓がんで42% 2019年9月25日~2024年1月31日(データカットオフ日)に、12種の腫瘍を有する204例が登録され治療を受けた。このうち、4例(乳がん2例、NSCLC 2例)は評価可能であったが測定可能病変を有していなかった。そのほか、データカットオフ日前の24週間未満に初回zenocutuzumabの投与を受けたなどの理由で、計43例が除外され、主要有効性集団には10種の腫瘍を有する161例(主にNSCLC[94例]と膵臓がん[36例])が含まれた。 測定可能病変を有し、データカットオフ日の24週間以前に登録された158例において、奏効が得られたのは30%(95%信頼区間[CI]:23~37)であった。奏効期間中央値は11.1ヵ月(95%CI:7.4~12.9)であり、データカットオフ日の時点で奏効例の19%が持続していた。 奏効は、NSCLC(27/93例、29%[95%CI:20~39])、膵臓がん(15/36例、42%[25~59])など複数種の腫瘍と、複数のNRG1融合パートナーで認められた。 PFS中央値は6.8ヵ月(95%CI:5.5~9.1)であった。 有害事象は、主にGrade1または2であった。試験担当医師判断によるzenocutuzumab関連有害事象で多くみられたのは、下痢(患者の18%)、倦怠感(12%)、悪心(11%)であった。注入に伴う反応(複合事象)は患者の14%に認められた。1例が治療関連有害事象によりzenocutuzumabを中止した。

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METエクソン14スキッピングNSCLC治療、最近の知見【肺がんインタビュー】第109回

第109回 METエクソン14スキッピングNSCLC治療、最近の知見2024年、グマロンチニブが承認され、TKIが3剤となったMETエクソン14スキッピングNSCLC。大阪国際がんセンターの西野和美氏に、同病態の臨床経験と最近の知見を紹介いただいた。

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免疫チェックポイント阻害薬関連の1型糖尿病、生存率との関連~日本人2万例を解析

 免疫チェックポイント阻害薬に関連した1型糖尿病(ICI-T1DM)の発現割合、危険因子、生存率への影響について、奈良県立医科大学の紙谷 史夏氏らが後ろ向き大規模コホートで調査した結果、ICI-T1DMは0.48%に発現し、他の免疫関連有害事象(irAE)と同様、ICI-T1DM発現が高い生存率に関連していることが示唆された。Journal of Diabetes Investigation誌2025年2月号に掲載。 本研究は、わが国の診療報酬請求データベースの1つであるDeSCデータベースを用いた後ろ向き大規模コホート研究で、2014~22年にICIを投与された2万1,121例が登録された。ICI-T1DM発現の危険因子とその特徴をロジスティック回帰分析で評価し、ICI初回投与の翌日以降の新たなirAEの発現をアウトカムとした。  主な結果は以下のとおり。・ICI投与開始後、2万1,121例中102例(0.48%)にICI-T1DMが認められた。・PD-(L)1阻害薬とCTLA-4阻害薬の併用は、PD-1阻害薬単独と比較してICI-T1DMのリスクが高かった(オッズ比[OR]:2.36、95%信頼区間[CI]:1.21~4.58、p=0.01)。・過去に糖尿病(OR:1.59、95%CI:1.03~2.46、p=0.04)または甲状腺機能低下症(OR:2.48、95%CI:1.39~4.43、p<0.01)と診断された患者はICI-T1DMリスクが高かった。・Kaplan-Meier解析では、ICI-T1DM患者はそうでない患者よりも生存率が高かった(log-lank検定p<0.01)。・多変量Cox回帰分析では、ICI-T1DM発現は低い死亡率と関連していた(ハザード比:0.60、95%CI:0.37~0.99、p=0.04)。

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がんが肺に転移しやすいのはなぜ?

 肺はがん細胞にとって魅力的な場所なのか、進行がん患者の半数以上で肺転移が認められる。その理由の一つとなり得る研究結果が報告された。この研究では、がんが転移した肺の中ではアミノ酸の一種であるアスパラギン酸の濃度が上昇しており、がん細胞が増殖しやすい環境が形成されている可能性のあることが示唆されたという。フランダースバイオテクノロジー研究機関(VIB、ベルギー)がん生物学センターのGinevra Doglioni氏らによるこの研究結果は、「Nature」に1月1日掲載された。 Doglioni氏は、「乳がんに罹患したマウスや患者の肺では、がんに罹患していないマウスや患者の肺に比べてアスパラギン酸のレベルが高いことが分かった。これは、アスパラギン酸が肺転移に重要な役割を果たしている可能性があることを示唆している」とVIBのニュースリリースで述べている。 この研究でDoglioni氏らはまず、肺に転移したがん細胞の遺伝子発現について調べ、通常とは異なる「翻訳プログラム」が存在することを示すエビデンスを見つけた。翻訳とは、細胞内で遺伝情報を設計図にしてタンパク質を生成するプロセスのことをいう。翻訳プログラムが変化すると生成されるタンパク質の種類も変わり、その結果、がん細胞が肺という環境で成長しやすくなっている可能性がある。 では、このような進行性のがん転移では、何が翻訳プログラムの変化を引き起こす要因となっているのだろうか。Doglioni氏らが転移性乳がんマウスのがん細胞を調べた結果、肺転移におけるがん細胞の攻撃性や増殖性の促進は、タンパク質であり翻訳開始・伸長因子でもあるeIF5Aのハイプシン化という翻訳後修飾の増加により引き起こされる可能性が示唆された。 さらに、腫瘍分泌因子(tumour-secreted factor;TSF)で前処理したマウスと対照マウスの肺間質液中の栄養素濃度を比較したところ、前者ではアスパラギン酸の濃度が顕著に増加していることが確認された。そこで、アスパラギン酸がeIF5Aのハイプシン化に及ぼす影響を検討したところ、アスパラギン酸は、がん細胞に取り込まれるのではなく、がん細胞表面にあるNMDA受容体というタンパク質を活性化させることが判明した。これによりシグナル伝達カスケードが引き起こされ、最終的にeIF5Aのハイプシン化が促進される。がん細胞は、このプロセスを通じて翻訳プログラムを変化させ、肺の環境を自らの増殖に適したものに変えていることが示唆された。 転移性乳がん患者の肺腫瘍サンプルを調査したところ、マウスで観察されたものと同様の翻訳プログラムの存在が確認された。また、肺転移では他の臓器への転移と比較して、アスパラギン酸に結合するNMDA受容体のサブユニットの発現量が増加していることも明らかになった。 論文の上席著者であるVIBのSarah-Maria Fendt氏は、「この相関関係は、臨床的な文脈において本研究結果が重要であることを強調しており、アスパラギン酸によるシグナル伝達が肺で増殖するがん細胞に共通する特徴である可能性を示唆している。さらに、今回特定されたメカニズムを標的とする薬剤はすでに存在しており、さらなる研究によって臨床に応用されるようになる可能性がある」と述べている。

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髄膜播種の症状は難しい【非専門医のための緩和ケアTips】第93回

髄膜播種の症状は難しい緩和ケアではたまに出合う難しい症状があるのですが、そのうちの1つが「髄膜播種」に関連した症状です。脳や脊髄の周りを流れている「脳脊髄液(CSF)」にがん細胞が入り込み、それが髄膜全体に広がってしまうことで起こります。病態の解決は難しいのですが、その難しさを理解し、少しでも患者さんにできることを考えてみましょう。今回の質問訪問診療で診ていたがん患者が頭痛を訴えたため、薬物療法を試してみたものの効果がなく、嘔気も出てきて基幹病院に入院となりました。その後、原疾患の髄膜播種だったとの報告をもらったのですが、疑うことができなかったと反省しています。どうすれば気付けたのでしょうか?がん患者を担当していると、まれに経験するのが髄膜播種です。今回の質問のように診断が難しく、気付かれないケースも多いと感じます。前提として原疾患の進行があり、予後が限られた状態で生じることが多いため、さらに診断を難しくします。ましてや在宅診療であれば、適切なタイミングでの診断はなかなか難しいのが現実でしょう。髄膜播種の症状としては、頭痛と嘔気が代表的です。ただ、ここに神経症状が加わるため、症状が多彩になります。意識障害、認知機能の低下はまだわかりやすいのですが、視覚・聴覚障害という局所的な神経症状があることがさらに診断を難しくします。私自身、担当するがん患者さんが難聴を訴え、調べていくと髄膜播種を併発していた、という経験を何度かしています。ほかにも下肢の感覚異常や尿閉なども髄膜播種の一症状であることがあります。典型症状だけに捉われていると、見逃しやすい病態なのです。髄膜播種の診断には、髄液検査やMRIを用います。ただし、これらは血液検査のように手軽にできるものではないため、検査前確率が高いことが求められます。進行がん患者で新規の神経症状があった際には、まずは髄膜播種を疑うことから始めましょう。髄膜播種の症状緩和はなかなか難しいのですが、一般的なオピオイドなどの疼痛緩和に加え、ステロイドの投与を考慮します。頭痛は頭蓋内圧亢進が症状を悪化させると考えられており、ステロイドによりこれらの改善が見込まれるためです。加えて、化学療法や放射線治療は原疾患への治療効果だけでなく、症状緩和の観点からも有効とされています。ただし、これは予想される予後などを含め、がん治療医の判断によることになるでしょう。私は進行した患者さんを担当することが多く、髄膜播種併発例に侵襲的な治療が適応となることは少ない印象です。最後に、こういった中枢神経に影響が及ぶ状況になると、痙攣が生じる可能性に留意する必要があります。入院していれば、抗けいれん薬をすぐに投与できるでしょうが、在宅であれば備えが必要です。在宅での痙攣の対応については次回にまとめますが、まずはベンゾジアゼピンの注射薬や坐薬を常備することを覚えておきましょう。以上、診断だけでなく、対応も難しい髄膜播種についてお話ししました。多彩で難治の症状に悩まされることも多いですが、丁寧にアセスメントをしながら対応してみてください。今回のTips今回のTips多彩な症状を特徴とする髄膜播種、まずは「疑う」ことが大切。

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患者本人にがん告知する?しない?-医療者間の意見対立【こんなときどうする?高齢者診療】第9回

CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロン」で2024年12月に扱ったテーマ「医療者間のコンフリクト:医療者間の意見の対立をよりよいゴールに導くコツ」から、高齢者診療に役立つトピックをお届けします。専門性の違う職種が集まる医療チームで、意見の対立(コンフリクト)は避けられない課題です。 “対立がないことは調和ではなく無関心だ”という言葉が示すように、対立は避けるべき悪ではなく、チームがそのトピックに強い関心を持っていることの現れです。意見の対立を患者へのよりよいケアを提供するチャンスに変える方法を一緒に学んでいきましょう。コンフリクトをチャンスに変えるコンフリクトとは「複数の人が関与し、何らかの意思決定、医療行為が必要な患者の検査・治療・ケアに関する異なる意見・要求の存在、対立とそれにまつわる不和、人間関係の緊張」を指します。この内容は、大きく以下の3つに分類することができます。(1)タスク何をすべきかに関する意見の対立(2)プロセス誰がどのように役割を果たすか、認知や解釈に関する対立※同じ物事に対峙していても、考え方はさまざまであることから生じる(3)エモーション感情の対立や不一致。優越感、劣等感、満足、後悔など以下のケースが3つのコンフリクトのどれにあてはまるか想像してみてください。症例70歳男性 肺がんステージIII 家族は息子1人・娘2人場面カンファレンスメンバー看護師、医師どのような対話がされた?:看護師は「家族が本人への告知を望んでいない」と報告し、家族の意向に沿うべきと提案。一方、医師は「治療方針を決めるために本人に告知すべき」と主張し意見が対立。コンフリクトを解消する3つの鍵このケースでは、告知するか否かというタスクで対立していると考えられます。同時に現状の解釈の相違や背後にある感情的な対立も想定できます。対立要素を想定できたら、ディスカッションしやすいよう関係性を整えましょう。関係性調整のキーポイントは、共通目標・共通知識・相互尊重の3つです。共通目標の再確認医療チームの共通目標は「患者に最善の利益を提供すること」ことのはずです。この患者にとって何が大切か、最善か(Matters Most)をチームで改めて共有し直し、話し合いの土台を作ります。共通知識・認知の整備次に、全員が同じ情報を持っている状態を作ります。加えて情報の解釈がどのようなものであるかの共有も必要です。ある職種だけが知っていてほかの職種は知らない情報がないか、また同じ情報に関して解釈の相違がないかを確認します。職種間での情報格差や解釈の違いの存在に注意を払いましょう。相互尊重の姿勢自分の専門性や個人的な価値観に基づいて意見を押し付けていないか振り返りましょう。他職種の専門性や立場を尊重することで、感情的な緊張を和らげることができます。DESC法でわかりやすく伝える共通目標・共通知識・相互尊重の3つができたら、最後に話し方の型を使います。ここでのお勧めはDESC法。コンフリクト場面以外でもさまざまなタイミングで使える有用な型です。具体的に見ていきましょう。DESC法Describe状況を説明するExpress自分の感情も含めて伝えるSpecify具体的な提案を行うConsequences提案によって想定する結果を示すはじめに現在の状況を説明し(Describe)、次に意見の背景にある不安、焦り、心配などとともに懸念事項を共有します。Expressでは感情も含めて伝えることがポイントです。それらを踏まえて具体的な治療・ケアを提案し(Specify)、最後にそれによって得られる結果を示します(Consequences)。これにより、各人の現状・提案・結果を踏まえたディスカッションがしやすくなります。今回のケースでDESC法を使って医師として発言すると、例えばこのような言い方になります。「患者は肺がんステージIIIですが、ご家族は告知を希望していないとのことです。一方で、患者本人の自分自身の健康・医学的情報の共有や告知などへの希望は十分把握できていません。患者には状況を知る権利があり、治療方針が本人の意思と一致しないことを懸念しています。ご本人に情報共有の希望や共有する際の方法などを確認し、本人が知りたい場合には家族と調整して情報を共有したいと思います。希望しない場合には、希望しない理由や、それでも知っておきたいことなどを確認して、家族の意向に沿って治療を進める方向で考えることを提案します。」いかがでしょうか?最後に、今回のケースを通じて次の問いかけを考えてみてください。自分の現場で同様の対立が起きたら、どのように対応しますか?共通目標・共通知識・相互尊重の3つをどのように実践できますか?DESC法を使うことで、どのように対話を進められるでしょうか?これらをシミュレーションすることで対立をチャンスに変えるヒントが見つかるはずです。ぜひ、一緒に練習していきましょう! よくある意見の対立症例はオンラインサロンでオンラインサロンメンバー限定の講義では、サロンメンバーが体験したコンフリクト2例をもとにどのような対応が可能かディスカッションしています。また、綿貫聡氏(東京都立多摩総合医療センター救急・総合診療科医長)を迎えた対談動画で、診断エラーを減らす方法の学びもご覧いただけます。

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限局型小細胞肺がんに対する同時化学放射線療法後のデュルバルマブ地固め療法:ADRIATIC試験【肺がんインタビュー】第108回

第108回 限局型小細胞肺がんに対する同時化学放射線療法後のデュルバルマブ地固め療法:ADRIATIC試験限局型小細胞肺がんに対する同時化学放射線療後のデュルバルマブ地固め療法による生存改善が第III相ADRIATIC試験で示された。日本人サブグループ解析の結果について、共同研究者である国立がん研究センター東病院の善家 義貴氏に解説いただいた。参考Cheng Y, et al. Durvalumab after Chemoradiotherapy in Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2024;391:1313-1327.

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