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全医師が遭遇しうる薬剤性肺障害、診断・治療の手引き改訂/日本呼吸器学会

 がん薬物療法の領域は、数多くの分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、抗体薬物複合体(ADC)が登場し、目覚ましい進歩を遂げている。しかし、これらのなかには薬剤性肺障害を惹起することが知られる薬剤もあり、薬剤性肺障害が注目を集めている。そのような背景から、2025年4月に『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』が発刊された。本手引きは、2018年以来の改訂となる。本手引きの改訂のポイントについて、花岡 正幸氏(信州大学病院長/信州大学学術研究院医学系医学部内科学第一教室 教授)が第65回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。いま薬剤性肺障害が注目される理由 花岡氏は、「いまほど薬剤性肺障害が注目を集めているときはない」と述べ、注目される理由として以下の5点を挙げた。(1)症例数の増加ICIなどの新規薬剤の登場に伴って薬剤性肺障害の報告が増加している。(2)人種差国際比較により、日本人で薬剤性肺障害の発症率が高い薬剤が存在する。(3)予後不良な病理組織パターン重症化するびまん性肺胞傷害(DAD)を呈する場合がある。(4)多様な病型非常に多くの臨床病型が存在し、肺胞・間質領域病変だけでなく気道病変、血管病変、胸膜病変も存在する。(5)新たな病態ICIによる免疫関連有害事象(irAE)など、新規薬剤の登場に伴う新たな病態が出現している。改訂のポイント8点 本手引きでは、改訂のポイントとして8点が挙げられている(p.viii)。これらについて、花岡氏が解説した。(1)診断・検査の詳説 今回の改訂において「図II-1 薬剤性肺障害の診断手順」が追加された(p.13)。薬剤性肺障害の疑いがあった場合には、(1)しっかりと問診を行って、原因となる薬剤の使用歴を調査し、(2)諸検査を行って他の原因疾患(呼吸器感染症、心不全、原病の悪化など)を否定し、(3)原因となる薬剤での既報を調べ、(4)原因となる薬剤の中止で改善するかを確認し、(5)再投与試験によって再発するか確認するといった流れで診断を実施することが記載されている。 肺障害の発症予測や重症化予測に応用可能なバイオマーカーの確立は喫緊の課題であり、さまざまな検討が行われている。そのなかから国内で報告されている3つのバイオマーカー候補分子(stratifin、lysophosphatidylcholine[LPC]、HMGB1)について、概説している。(2)最新の画像所見の紹介 薬剤性肺障害の画像所見が「表II-3 薬剤性肺障害の一般的なCT所見」にまとめられた(p.21)。薬剤性肺障害の代表的な画像パターンは、以下の5つに分類される。・DADパターン・OP(器質化肺炎)パターン・HP(過敏性肺炎)パターン・NSIP(非特異性間質性肺炎)パターン・AEP(急性好酸球性肺炎)パターン なお、今回の改訂において、特定の薬剤の肺障害としてALK阻害薬、ADCに関する画像所見が追加された。(3)薬物療法の例の追加 薬物療法のフローについて「図III-2 薬剤性肺障害の薬物療法の例」が追加された(p.50)。重症度別にフローを分けており、すべての症例でまず被疑薬を中止するが、無症状・軽症の場合は中止により改善がみられれば経過観察とする。被疑薬の中止による改善がみられない場合や中等症の場合は、経口プレドニゾロン(0.5~1.0mg/kg/日)を投与する。これで改善がみられる場合はプレドニゾロンを漸減し、2~3ヵ月以内に中止する。経口プレドニゾロンで改善がみられない場合や重症・DADパターンでは、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1,000mg/日×3日)を行い、経口プレドニゾロンに切り替える。改善がみられる場合は漸減し、改善がみられない場合はステロイドパルスを繰り返すか、免疫抑制薬の追加を行う(ただし、免疫抑制薬に薬剤性肺障害に対する保険適用はないことに注意)。(4)予後不良因子の追加 薬剤性肺障害の予後を規定する要因として報告されているものを以下のとおり列挙し、解説している。・背景因子(高齢、喫煙歴、喫煙指数高値、既存の間質性肺炎、喘息の既往[ICIの場合]など)・発症様式(低酸症血症、PS2~4など)・胸部画像所見(DADパターンなど)・血清マーカー(KL-6、SP-D、stratifinなど)・気管支肺胞洗浄液(BALF)所見(剥離性の反応性II型肺上皮細胞)・ICIによる肺障害と抗腫瘍効果 ICIについては、irAEがみられた集団で抗腫瘍効果が高いこと、ニボルマブによる肺障害が生じた症例のうち、腫瘍周囲の浸潤影を呈した症例は抗腫瘍効果が高かったという報告があることなどが記されている。(5)患者指導の項目の追加 薬剤の投与中に新たな症状が出現した場合は速やかに医療機関や主治医に報告するよう指導すること、とくに抗悪性腫瘍薬や関節リウマチ治療薬を使用する場合には、既存の間質性肺疾患の合併の有無を十分に検討することなどが記載された。また、抗悪性腫瘍薬の多くは医薬品副作用被害救済制度の対象外である点も周知すべきことが示された。(6)抗悪性腫瘍薬による肺障害を詳説 とくに薬剤性肺障害の頻度が高いチロシンキナーゼ阻害薬、ICI、抗体製剤(とくにADC)について詳説している。(7)irAEについて解説 ICIによって生じた間質性肺炎では、BALF中のリンパ球の増加や制御性Tリンパ球の減少、抗炎症性単球の減少、炎症性サイトカインを産生するリンパ球・単球の増加など、正常分画とは異なる所見がみられることが報告されている。このようにirAEに特異的な所見がみられる場合もあることから、irAEの発症機序について解説している。(8)医療連携の章の追加 本手引きについて、花岡氏は「非専門の先生や診療所の先生にも使いやすい手引きとなることを目指して作成した」と述べる。そこで今回の改訂で「第VI章 医療連携」を新設し、非呼吸器専門医が薬剤性肺障害を疑った際に実施すべき検査について、「図VI-1 薬剤性肺障害を疑うときの検査」にまとめている(p.123)。また、専門医への紹介タイミングや、かかりつけ医・非呼吸器専門医と呼吸器専門医のそれぞれの役割について「図VI-2 かかりつけ医と専門医の診療連携」で簡潔に示している(p.124)。すべての薬剤が肺障害を引き起こす可能性 花岡氏は、薬剤性肺障害の定義(薬剤を投与中に起きた呼吸器系の障害のなかで、薬剤と関連があるもの)を紹介し、そのなかで「薬剤性肺障害の『薬剤』には、医師が処方したものだけでなく、一般用医薬品、生薬、健康食品、サプリメント、非合法薬などすべてが含まれることが、きわめて重要である」と述べた。それを踏まえて、薬剤性肺障害の診療の要点として「多種多様な薬剤を扱う臨床医にとって、薬剤性肺障害は必ず鑑別しなければならない。すべての薬剤は肺障害を引き起こす可能性があることを念頭において、まず疑うことが重要であると考えている」とまとめた。

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ASCO2025スタート!注目演題を集めた特設サイトオープン

 5月30日~6月3日(現地時間)、世界最大の腫瘍学会であるASCO 2025(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催される。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)では、ASCO 2025のスタートにあわせ、5,000を超える演題の中から、複数のエキスパートが専門分野の注目演題をピックアップした特設サイトをオープンした。 「ASCO2025特設サイト」では、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」のカテゴリに分け、エキスパートのコメントとともに、ASCO視聴サイトの該当演題へのリンクを掲載している。 エキスパートが選定した、がん種別の注目演題の一部は以下のとおり。このほかにも多くのユーザーが注目すべき演題を紹介している。今年は各がん種のOral演題を一覧にし、ASCO視聴サイトの該当演題やエキスパートのコメント、まとめ記事へのリンクを掲載した「演題スケジュール」も作成したため、視聴の参考にしていただきたい。【肺がん】山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器内科)によるまとめ【消化器がん 食道・上部消化器がん中心】山本 駿氏(国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科)によるまとめ【消化器がん 下部消化器がん中心】中村 将人氏(相澤病院 がん集学治療センター)によるまとめ【乳がん】下井 辰徳氏(国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科)によるまとめ【泌尿器がん】竹村 弘司氏(虎の門病院 臨床腫瘍科)によるまとめ――――――――――Doctors’Picks ASCO2025 特設サイト―――――――――― 学会終了後は、聴講レポートやまとめ記事なども続々とアップしていく予定。

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高額療養費制度見直しががん医療現場に与える影響/日本がんサポーティブケア学会

 2025年5月に開催された第10回日本がんサポーティブケア学会学術集会において、高額療養費制度の見直しに関するセッションが行われた。同セッションでは、医療者と患者双方のパネリストが登壇し議論が行われている。がん医療における高額療養費制度見直しに対する課題の多さが感じとられた。「誰一人取り残さない」というがん対策基本法の目標は守られているのか 帝京大学の渡邊 清高氏は高額療養費制度見直しの背景と、同学会が2月26日に発表した声明について説明した。制度見直しの目的は社会保障制度の持続可能性の確保であるが、提案された見直し案には高額療養費の上限額引き上げが含まれており、患者ケアに影響を与える可能性が懸念されている。実施は見送られたものの、同学会は見直し案について、さらなる議論が必要であると共に患者と学会の声を聞くことの必要性を指摘した。 支持療法の進歩によりがん患者は治療を受けながらより長く生きられるようになった。それは一方で、長期間にわたって支持療法を含むがん治療を受けざるを得ない現状を意味する。費用を理由に患者が治療を断念することは、「誰一人取り残さない」というがん対策基本法の目標に反すると指摘し、経済的安定が不可欠であると渡邊氏は訴える。患者団体と学会から発信された現場の声が国会を動かした NPO法人希望の会の轟 浩美氏からは、高額療養費上限額引き上げに関する提言活動について説明があった。轟氏は全国がん患者団体連合会(全がん連)が患者の声をまとめ、国会議員や学会との関係構築を行っていたこと、さらに緊急アンケートを通じて実際の患者の声を集めたことが提言活動の成功に繋がったと言う。 政府が上限額引き上げを発表した前日の2024年12月24日、全がん連は厚生労働省に要請を提出し、患者の月間上限額の大幅な引き上げや「多数回該当」の上限について説明した。また、国会で現行制度下でも患者が経済的に苦しんでいる現状、費用を理由とした「受診控え」や効果が不明な安価な代替療法に頼る人もいることを強調した。 国会での理解の深化と議員からの質問が増えたことでメディア報道が広がり、そこに医学系学会からの声明が加わったことでさらに大きな影響を与えたという。とはいえ、再提案の可能性について継続的な不安があることを指摘した。政策決定における「現場視点の欠如」は深刻な課題 全がん連の天野 慎介氏は、今回の上限額引き上げにおける重要な要因は、政策決定における「現場の視点の欠如」であり、高額療養費制度を実際に利用している患者や医療専門家からの十分なヒアリングがなかったことを指摘した。がん治療が短期間であると誤解している政策立案者も少なくなく、長期的な維持療法のことを理解していないと述べる。学会はがん治療の劇的な進化とその価値を今以上に伝えて費用について理解を促進させる必要があると訴えた。 同学術集会の大会長であり、日本肺癌学会理事長でもある山本 信之氏は、肺がんを例に具体例を紹介した。その1つとして、EGFR遺伝子変異陽性肺がんを挙げた。EGFR変異陽性肺がんの治療は、古く安価な薬剤から、有効性が高い新しい薬剤にスタンダードが移行している。多くの肺がん患者は75歳以上で所得が低い。高額療養費の上限が引き上げられ、患者負担が上がることで、患者は安価な選択肢を選ばざるを得なくなる可能性があると述べた。 今回のセッションでは、高額療養費制度の見直しについて、医療者と患者それぞれの立場からの意見が述べられ、今後のより良い制度設計に向けて、継続的な議論と連携が必要であることが確認された。

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EGFR陽性NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブが新たな1次治療の選択肢に/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は、2025年3月27日にアミバンタマブ(商品名:ライブリバント)とラゼルチニブ(同:ラズクルーズ)の併用療法について、「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応で、厚生労働省より承認を取得し、2025年5月21日にラゼルチニブを販売開始した。ラゼルチニブの販売開始により、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療で、アミバンタマブ+ラゼルチニブが使用可能となった。そこで、2025年5月22日にメディアセミナーが開催され、アミバンタマブ+ラゼルチニブが1次治療で使用可能となったことの意義や、使用上の注意点などを林 秀敏氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 主任教授)が解説した。EGFRとMETを標的とし、EGFR-TKIのアンメットニーズを満たす可能性 『肺癌診療ガイドライン2024』では、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの1次治療として第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のオシメルチニブ単剤を強く推奨している(推奨の強さ:1、エビデンスの強さ:A)1)。 しかし、第3世代EGFR-TKIによる治療でも耐性が生じてしまうことも報告されている。耐性機序としては、TP53遺伝子変異、EGFR遺伝子変異(C797S変異)、MET遺伝子増幅などがある。MET経路はEGFR経路とクロストークすることが知られており、EGFR-TKIによってEGFR経路を阻害してもMET経路が活性化してしまうことで、がん細胞は増殖・生存すると考えられている。 そこで開発されたのが、EGFRとMETを標的とする二重特異性抗体アミバンタマブである。アミバンタマブは、EGFRおよびMETに結合することで、それらへのリガンド結合を阻害し、MET経路の活性化を抑制することが期待される。また、免疫細胞上に存在するFcγ受容体を介して抗体依存性細胞傷害活性を惹起することによっても、抗腫瘍活性を示すことが考えられている。オシメルチニブ単剤と比較してPFSとOSを改善 未治療のEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性の進行・転移NSCLC患者を対象として、アミバンタマブ+ラゼルチニブ、ラゼルチニブ単剤とオシメルチニブ単剤を比較した国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」2)において、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群は、オシメルチニブ単剤群と比較して無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が有意に改善したことが報告されている。本試験の結果を基に、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発NSCLCの1次治療として、アミバンタマブ+ラゼルチニブの製造販売が承認された。PFSおよびOSの結果は以下のとおり(アミバンタマブ+ラゼルチニブ群vs.オシメルチニブ単剤群)。<PFS(主要評価項目)>・PFS中央値23.72ヵ月vs.16.59ヵ月(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.58~0.85、p=0.0002)・2年PFS率48%vs.34%<OS(重要な副次評価項目)>・OS中央値未到達vs.36.73ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.61~0.92、p=0.0048)・死亡が認められた割合40.3%vs.50.6%注意すべき副作用とその対処法 アミバンタマブ+ラゼルチニブの使用において注意すべき副作用として、皮膚障害、静脈血栓塞栓症、インフュージョンリアクションなどがある。これらについて、林氏は「発現頻度が高く、注意が必要となるが、十分にマネジメント可能である」と述べる。そこで、林氏はこれらの対処法を紹介した。 皮膚障害については、非常に発現が多いこともあり、医師による患者教育が重要となると林氏は指摘する。実際には、皮膚の保湿をしっかりと行い、皮疹が発現したときにはすぐに外用薬を使用するように指導するほか、低刺激の洗浄剤を用いて体をきれいに保つことを指導するという。洗浄剤について、林氏は「子供用のシャンプーの使用をおすすめすることもある」と述べ、低刺激のものを選ぶことの重要性を強調した。 静脈血栓塞栓症は、MARIPOSA試験のアミバンタマブ+ラゼルチニブ群の37%に発現したことが報告されており、留意が必要な有害事象である。これについては、予防的抗凝固薬の投与により発現が抑えられることがわかってきており、今回の承認にあたって添付文書に「治療開始4ヵ月間は、アピキサバン1回2.5mgを1日2回経口投与すること」と記載されている。 インフュージョンリアクションは初回投与時(1サイクル目の1日目)に発現することが多く、対策としては、とくに最初の2回目の投与まではデキサメタゾンを用いると林氏は述べた。EGFR-TKI耐性後のアミバンタマブ+化学療法も使用可能に オシメルチニブ単剤療法で病勢進行が認められたEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA-2試験」3)の結果から、EGFR-TKIによる治療後に病勢進行が認められたNSCLC患者に対し、カルボプラチンおよびペメトレキセドとの併用においてアミバンタマブが使用可能となったことも2025年5月19日に発表されている。MARIPOSA-2試験において、アミバンタマブ+化学療法群は化学療法群と比較して、主要評価項目のPFSが有意に延長し(HR:0.48、95%CI:0.36~0.64、p<0.001)、PFS中央値はアミバンタマブ+化学療法群6.28ヵ月、化学療法群4.17ヵ月であった。 以上から、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者の1次治療および2次治療でアミバンタマブが使用可能となった。これを受け、林氏は「EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者の生存期間の改善のために、アミバンタマブが今後幅広く使用されることが期待される」と締めくくった。

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咳嗽・喀痰の診療GL改訂、新規治療薬の位置付けは?/日本呼吸器学会

 咳嗽・喀痰の診療ガイドラインが2019年版以来、約6年ぶりに全面改訂された。2025年4月に発刊された『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』1)では、9つのクリニカル・クエスチョン(CQ)が設定され、初めてMindsに準拠したシステマティックレビューが実施された。今回設定されたCQには、難治性慢性咳嗽に対する新規治療薬ゲーファピキサントを含むP2X3受容体拮抗薬に関するCQも含まれている。また、本ガイドラインは、治療可能な特性を個々の患者ごとに見出して治療介入するという考え方である「treatable traits」がふんだんに盛り込まれていることも特徴である。第65回日本呼吸器学会学術講演会において、本ガイドラインに関するセッションが開催され、咳嗽セクションのポイントについては新実 彰男氏(大阪府済生会茨木病院/名古屋市立大学)が、喀痰セクションのポイントについては金子 猛氏(横浜市立大学大学院)が解説した。喘息の3病型を「喘息性咳嗽」に統一、GERDの治療にP-CABとアルギン酸追加 咳嗽の治療薬について、「咳嗽治療薬の分類」の表(p.38、表2)が追加され、末梢性鎮咳薬としてP2X3受容体拮抗薬が一番上に記載された。また、中枢性と末梢性をまたぐ形で、ニューロモデュレーター(オピオイド、ガバペンチン、プレガバリン、アミトリプチリンが含まれるが、保険適用はモルヒネのみ)が記載された。さらに、今回からは疾患特異的治療薬に関する表も追加された(p.38、表3)。咳喘息について、前版では気管支拡張薬を用いることが記載されていたが、改訂版の疾患特異的治療薬に関する表では、β2刺激薬とロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)が記載された。なお、抗コリン薬が含まれていない理由について、新実氏は「抗コリン薬は急性ウイルス感染や感染後の咳症状などに効果があるというエビデンスもあり、咳喘息に特異的ではないためここには記載していない」と述べた。 咳症状の観点による喘息の3病型として、典型的喘息、咳優位型喘息、咳喘息という分類がなされてきた。しかし、この3病型には共通点や連続性が存在し、基本的な治療方針も変わらないことから、1つにまとめ「喘息性咳嗽」という名称を用いることとなった。ただし、狭義の慢性咳嗽には典型的喘息、咳優位型喘息を含まないという歴史的背景があり、咳だけを呈する喘息患者の存在が非専門医に認識されるためには「咳喘息」という名称が有用であるため、フローチャートでの記載や診断基準は残している。 咳喘息の診断基準について、今回の改訂では3週間未満の急性咳嗽では安易な診断により過剰治療にならないように注意することや、β2刺激薬は咳喘息でも無効の場合があるため留意すべきことが記されている。後者について新実氏は「β2刺激薬に効果がみられない場合は咳喘息を否定するという考えが見受けられるため、注意喚起として記載している」と指摘した。 喘息性咳嗽について、前版では軽症例には中用量の吸入ステロイド薬(ICS)単剤で治療することが記載されていたが、喘息治療においてはICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)が基本となるため、本ガイドラインでも中用量ICS/LABAを基本とすることが記載された。ただし、ICS+長時間作用性抗コリン薬(LAMA)やICS+LTRA、中用量ICS単剤も選択可能であることが記載された。また、本ガイドラインの特徴であるtreatable traitsを考慮しながら治療を行うことも明記されている。 胃食道逆流症(GERD)については、GERDを疑うポイントとしてFSSG(Fスケール)スコア7点以上、HARQ(ハル気道逆流質問票)スコア13点以上が追加された。また、治療についてはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)とアルギン酸が追加されたほか、treatable traitsへの対応を十分に行わないと改善しにくいことも記載されている。難治性慢性咳嗽に対する唯一の治療薬ゲーファピキサント 難治性慢性咳嗽は、治療抵抗性慢性咳嗽(Refractory Chronic Cough:RCC)、原因不明慢性咳嗽(Unexplained Chronic Cough:UCC)からなることが記されている。本邦では、RCC/UCCに適応のある唯一の治療薬が、選択的P2X3受容体拮抗薬のゲーファピキサントである。本ガイドラインでは、RCC/UCCに対するP2X3受容体拮抗薬に関するCQが設定され、システマティックレビューの結果、ゲーファピキサントはLCQ(レスター咳質問票)合計スコア、咳VASスコア、24時間咳嗽頻度を低下させることが示された。ガイドライン作成委員の投票の結果、使用を弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])こととなった。 慢性咳嗽のtreatable traitsとして、気道疾患、GERD、慢性鼻副鼻腔炎などの12項目が挙げられている。このなかの1つとして、咳過敏症も記載されている。慢性咳嗽患者の多くはtreatable traitsとしての咳過敏症も有しており、このことを見過ごして行われる原因疾患のみの治療は、しばしば不成功に終わることが強調されている。新実氏は「原因疾患に対する治療をしたうえで、P2X3受容体拮抗薬により咳過敏症を抑えることで咳嗽をコントロールできる患者も実際にいるため、理にかなっているのではないかと考えている」と述べた。国内の専門施設では血痰・喀血の原因は年齢によって大きく異なる 前版のガイドラインは、世界初の喀痰診療に関するガイドラインとして作成されたが、6年ぶりの改訂となる本ガイドラインも世界唯一のガイドラインであると金子氏は述べる。 喀痰に関するエビデンスは少なく、前版の作成時には、とくに国内のデータが不足していた。そこで、本ガイドラインの改訂に向けてエビデンス創出のために多施設共同研究を3研究実施し(1:血痰と喀血の原因疾患、2:膿性痰の色調と臨床背景、3:急性気管支炎に対する抗菌薬使用実態)、血痰と喀血の原因疾患に関する研究の成果が英語論文として2件報告されたことから、それらのデータが追加された。 血痰と喀血の原因疾患として、前版では英国のプライマリケアのデータが引用されていた。このデータは海外データかつプライマリケアのデータということで、本邦の呼吸器専門施設で遭遇する疾患とは異なる可能性が考えられていた。そこで、国内において呼吸器専門施設での原因を検討するとともに、プライマリケアでの原因も調査した。 本邦での調査の結果、プライマリケアでの血痰と喀血の原因疾患の上位4疾患は急性気管支炎(39%)、急性上気道感染(15%)、気管支拡張症(13%)、COPD(7.8%)であり2)、英国のプライマリケアのデータ(1位:急性上気道感染[35%]、2位:急性下気道感染[29%]、3位:気管支喘息[10%]、4位:COPD[8%])と上位2疾患は急性気道感染という点、4位がCOPDという点で類似していた。 一方、本邦の呼吸器専門施設での血痰と喀血の原因疾患の上位3疾患は、気管支拡張症(18%)、原発性肺がん(17%)、非結核性抗酸菌(NTM)症(16%)であり、プライマリケアでの原因疾患とは異なっていた。また「呼吸器専門施設では年齢によって、原因疾患が大きく異なることも重要である」と金子氏は指摘する。たとえば、20代では細菌性肺炎が多く、30代では上・下気道感染、気管支拡張症が約半数を占め、40~60代では肺がんが多くなっていた。70代以降では肺がんは1位にはならず、70代はNTM症、80代では気管支拡張症、90代では細菌性肺炎が最も多かった3)。また、80代以降では結核が上位にあがって来ることも注意が必要であると金子氏は指摘した。近年注目される中枢気道の粘液栓 最近のトピックとして、閉塞性肺疾患における気道粘液栓が取り上げられている。米国の重症喘息を対象としたコホート研究「Severe Asthma Research program」において、中枢気道の粘液栓が多発していることが2018年に報告され、その後COPDでも同様な病態があることも示されたことから注目を集めている。粘液栓形成の程度は粘液栓スコアとして評価され、著明な気流閉塞、増悪頻度の増加、重症化や予後不良などと関連していることも報告されており、バイオマーカーとして期待されている。ただし、課題も存在すると金子氏は指摘する。「評価にはMDCT(multidetector row CT)を用いて、一つひとつの気管支をみていく必要があり、現場に普及させるのは困難である。そのため、現在はAIを用いて粘液スコアを評価するなど、さまざまな試みがなされている」と、課題や今後の期待を述べた。CQのまとめ 本ガイドラインにおけるCQは以下のとおり。詳細はガイドラインを参照されたい。【CQ一覧】<咳嗽>CQ1:ICSを慢性咳嗽患者に使用すべきか慢性咳嗽患者に対してICSを使用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:D[非常に弱い])CQ2:プロトンポンプ阻害薬(PPI)をGERDによる咳嗽患者に推奨するかGERDによる咳嗽患者にPPIを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])CQ3-1:抗コリン薬は感染後咳嗽に有効か感染後咳嗽に吸入抗コリン薬を勧めるだけの根拠が明確ではない(推奨度決定不能)(エビデンスの確実性:D[非常に弱い])CQ3-2:抗コリン薬は喘息による咳嗽に有効か喘息による咳嗽に吸入抗コリン薬を弱く推奨する(エビデンスの確実性:D[非常に弱い])CQ4:P2X3受容体拮抗薬はRefractory Chronic Cough/Unexplained Chronic Coughに有効かP2X3受容体拮抗薬はRefractory Chronic Cough/Unexplained Chronic Coughに有効であり、使用を弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])<喀痰>CQ5:COPDの安定期治療において喀痰調整薬は推奨されるかCOPDの安定期治療において喀痰調整薬の投与を弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])CQ6:COPDの安定期治療においてマクロライド少量長期投与は有効かCOPDの安定期治療においてマクロライド少量長期投与することを弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])CQ7:喘息の安定期治療においてマクロライド少量長期療法は推奨されるか喘息の安定期治療においてマクロライド少量長期療法の推奨度決定不能である(エビデンスの確実性:C[弱い])CQ8:気管支拡張症(BE)に対してマクロライド少量長期療法は推奨されるかBEに対してマクロライド少量長期療法を強く推奨する(エビデンスの確実性:A[強い])

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タルラタマブってどんな薬?安全に使うポイントは?【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第9回

第9回:タルラタマブってどんな薬?安全に使うポイントは?パーソナリティ日本鋼管病院 田中 希宇人 氏ゲスト国立がん研究センター東病院 泉 大樹 氏※番組冒頭に1分ほどDoctors'PicksのCMが流れます関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

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EGFR陽性NSCLC、EGFR-TKI後のアミバンタマブ+化学療法が承認/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年5月19日、アミバンタマブ(商品名:ライブリバント)と化学療法の併用療法について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法及び用量の一部変更の承認を取得したことを発表した。本承認により、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による治療後に病勢進行が認められた非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、カルボプラチンおよびペメトレキセドとの併用においてアミバンタマブが使用可能となる。 本承認は、オシメルチニブ単剤療法で病勢進行が認められたEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA-2試験」の結果1)に基づくものである。本試験において、アミバンタマブ+化学療法群は化学療法群と比較して、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し(ハザード比:0.48、95%信頼区間:0.36~0.64、p<0.001)、PFS中央値はアミバンタマブ+化学療法群6.3ヵ月、化学療法群4.2ヵ月であった。また、確定奏効率はアミバンタマブ+化学療法群53%、化学療法群29%であった。<今回追加された「効能又は効果に関連する注意」「用法及び用量」「用法及び用量に関連する注意」の主な記載>2)・効能又は効果に関連する注意 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤による治療後に増悪した患者に対してカルボプラチン及びペメトレキセドナトリウムと併用する場合は、臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.3参照]・用法及び用量EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌にはA法、EGFR遺伝子変異(エクソン20挿入変異を除く)陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌にはA法又はB法を使用する。 A法:カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウムとの併用において、3週間を1サイクルとし、通常、成人にはアミバンタマブ(遺伝子組換え)として以下の用法及び用量で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。 <略>B法:ラゼルチニブメシル酸塩との併用において、4週間を1サイクルとし、通常、成人にはアミバンタマブ(遺伝子組換え)として以下の用法及び用量で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。<略>・用法及び用量に関連する注意EGFRチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないEGFR遺伝子変異(エクソン20挿入変異を除く)陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対するA法の有効性及び安全性は確立していない。 本剤、ラゼルチニブ、カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウムの併用投与は行わないこと。

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EGFR陽性StageIIIのNSCLC、CRT後のオシメルチニブ承認/AZ

 アストラゼネカは2025年5月19日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」の適応で、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。EGFR遺伝子変異陽性の切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する分子標的薬では、本邦初の承認となる。これまで、切除不能なStageIIIのNSCLCにおいては、EGFR遺伝子変異の有無を問わず、根治的化学放射線療法(CRT)およびその後のデュルバルマブによる維持療法が標準治療とされていた1)。 本承認は、プラチナ製剤を含むCRT後に病勢進行のない、切除不能なStageIIIのNSCLC患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「LAURA試験」の結果2)に基づくものである。本試験において、オシメルチニブ群はプラセボ群と比較して有意に無増悪生存期間(PFS)が延長し(ハザード比:0.16、95%信頼区間:0.10~0.24、p<0.001)、PFS中央値はオシメルチニブ群39.1ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった。<今回追加された「効能又は効果」および「効能又は効果に関連する注意」の主な記載>・効能又は効果EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法・効能又は効果に関連する注意<効能共通>本剤の術前補助療法における有効性及び安全性は確立していない。<EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法>根治的化学放射線療法後に病勢進行が認められていない患者を対象とすること。 なお、LAURA試験のオシメルチニブ群において、重篤な放射線肺臓炎の発現割合が高く、本剤との因果関係が否定できない重篤な放射線肺臓炎が複数例で認められていることから「7. 用法及び用量に関連する注意」「8. 重要な基本的注意」「9.1 合併症・既往歴等のある患者」「11.1 重大な副作用」の項に「放射線肺臓炎」に関連する注意事項が追記されている3)。

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CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?

 米国では、年間6,200万人の患者に対して約9,300万件のCT検査が行われている。CT検査は診断に役立つが、被曝によってがんリスクを高める可能性がある。2009年の分析では、2007年の米国におけるCTの使用により将来約2万9,000件のがんが発症するとの推定が報告されたが、2007年以降、年間に実施されるCT検査数は30%以上増加しているという。 CT使用に関連する将来的ながん発症率の予測値を更新するため、カリフォルニア大学サンフランシスコ校疫学・生物統計学部のRebecca Smith-Bindman氏らは、2018年1月~2020年12月にカリフォルニア大学国際CT線量レジストリの検査データ12万1,212件を使用し、リスクモデルを用いた分析を実行した。放射線シミュレーションで18の臓器の線量を推定し、国立がん研究所の放射線リスク評価ツールを使用して将来的な放射線誘発がんリスクを予測した。データ解析は2023年10月~2024年10月に実施された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年4月14日号掲載の報告。 主な結果は以下のとおり。・米国において2023年に推定6,151万人が9,300万件のCT検査を受けた。そのうち257万人(4.2%)が小児、5,894万人(95.8%)が成人、3,260万人(53.0%)が女性だった。・これらの検査から、約10万3,000件の放射線誘発がんの発症が予測された。放射線誘発がんリスクは小児と青少年で高かったものの、成人におけるCT検査の活用率の高さによって、放射線誘発がん症例のほとんど(9万3,000件、91%)が成人によるものだった。・がん種別で多かったがんは、肺がん(2万2,400件)、大腸がん(8,700件)、白血病(7,900件)、膀胱がん(7,100件)で、女性患者では乳がんが2番目に多かった(5,700件)。・検査部位別では、成人では、腹部および骨盤CT検査によるものが最多(3万7,500件、37%)で、次いで胸部CT検査(2万1,500件、21%)が続いた。小児においては頭部CT検査が最多だった(53%)。・CT検査1回当たりのがんリスクは1歳未満の小児で最も高く、たとえば15~17歳の女子のがんリスクは1,000回当たり2件だったのに対し、1歳未満の女子では1,000回当たり20件だった。・小児は検査1回当たりのリスクが高かったものの、高齢者はCT検査の実施頻度が高く、全体では成人のリスクが高かった。たとえば、モデル予測では50~59歳の成人におけるCT検査の実施頻度ががん発生予測数(女性1万400件、男性9,300件)と最も高い相関関係にあったことが示された。 研究者らは「本研究では、現在のCT利用状況と放射線線量レベルに基づいて、2023年のCT検査が被曝患者の生涯にわたって約10万3,000件の将来のがんを引き起こすと推定された。現在の診療慣行が継続された場合、CT関連がんは最終的に年間新規がん診断の5%を占める可能性があり、そうなるとCTはアルコール摂取(5.4%)や体重過多(7.6%)といったほかの重要なリスク要因と同等になるだろう」とした。 一方、研究に関連しないほかの専門家からは「この研究は放射線被曝によるがんリスクの推定モデルであり、特定のCTスキャンと個々のがん症例との直接的な因果関係を示すものではないことに注意が必要だ」、「10万人のがん患者増という数字は憂慮すべきものだが、個人の生涯におけるがん発症リスクとしてはわずかな追加リスクに過ぎない」、「この結果は医師が必要と判断した場合にもCT検査を避けるべきだという意味ではない」といったコメントが寄せられている1)。

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既治療のHER2変異陽性NSCLC、zongertinibは有益/NEJM

 既治療のHER2変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、経口不可逆的HER2選択的チロシンキナーゼ阻害薬zongertinibは臨床的有益性を示し有害事象は主に低Gradeであったことが、米国・University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのJohn V. Heymach氏らBeamion LUNG-1 Investigatorsによる第Ib相試験の結果で報告された。HER2変異陽性NSCLC患者には、革新的な経口標的療法が求められている。zongertinibは第Ia相試験で進行または転移を有するHER2異常を認める固形がん患者への有効性が示されていた。NEJM誌オンライン版2025年4月28日号掲載の報告。複数コホートで用量探索および安全性・有効性を評価 第Ia/Ib試験はヒト初回投与試験で、現在も進行中である。進行または転移を有するHER2異常を認める固形がん患者(Ia相)および進行または転移を有するHER2変異陽性NSCLC患者(Ib相)を登録した複数コホートでzongertinibの用量探索および安全性・有効性が評価された。 本論ではIb相から既治療の患者が登録された3つのコホートにおけるzongertinibの主要解析の結果が報告された。3コホートは、チロシンキナーゼドメイン(TKD)変異陽性NSCLC患者(コホート1)、TKD変異陽性かつHER2標的抗体薬物複合体による治療歴のあるNSCLC患者(コホート5)、非TKD変異陽性NSCLC患者(探索的コホート3)である。 コホート1の患者は、zongertinib 1日1回120mgまたは240mgで投与を開始し、コホート3および5の患者は、同240mgで投与を開始した。コホート1の用量選択の中間解析の結果を受けて、その後は全コホートが120mgの投与を受けた。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定で評価(コホート1、5)または治験担当医師判定で評価(コホート3)した奏効率(ORR)であった。副次評価項目は、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間などであった。zongertinib 1日1回120mg投与群の71%で奏効 2023年3月8日~2024年11月29日に、オーストラリア、欧州、アジア、米国の74施設で、コホート1は132例、コホート5は39例、コホート3は25例の患者が治療を受けた。 データカットオフ(2024年11月29日)時点で、コホート1では計75例がzongertinib 1日1回120mgの投与を受けており、そのうち奏効を示したのは53例で(ORR:71%[95%信頼区間[CI]:60~80]、p<0.001)、DOR中央値は14.1ヵ月(95%CI:6.9~未到達)であった。Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は13例(17%)に発現した。 コホート5(31例)では、ORRは48%(95%CI:32~65)であった。Grade3以上のTRAEは1例(3%)に発現した。 コホート3(20例)では、ORRは30%(95%CI:15~52)であった。Grade3以上のTRAEは5例(25%)に発現した。 全3コホートにおいて、薬剤性間質性肺疾患の発現は報告されなかった。

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がん診療に携わるすべての人のレベルアップ目指しセミナー開催/TCOG

 東京がん化学療法研究会(TCOG)は、第25回臨床腫瘍夏期セミナーをオンラインで開催する。 同セミナーは、がん診療に携わる医師、薬剤師、看護師、臨床研究関係者、製薬会社、CROなどを対象に、治療の最新情報、臨床研究論文を理解するための医学統計などさまざまな悪性腫瘍の基礎知識から最新情報まで幅広く習得できるよう企画している。セミナー概要・日時:2025年7月18日(金)~19日(土)・開催形式:オンライン(ライブ配信、後日オンデマンド配信を予定)・定員:500人・参加費:15,000円(2日間)・主催・企画:特定非営利活動法人 東京がん化学療法研究会・後援:日本医師会、東京都医師会、東京都病院薬剤師会、日本薬剤師研修センター、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本産科婦人科学会、日本医療薬学会、日本がん看護学会、西日本がん研究機構、North East Japan Study Group・交付単位(予定):日本薬剤師研修センターによる単位(1日受講:3単位、2日受講:6単位)、日本医療薬学会 認定がん専門薬剤師・がん指導薬剤師認定単位(7/18受講:2単位、7/19受講:2単位)、日本看護協会 認定看護師・専門看護師:「研修プログラムへの参加」(参加証発行)、日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療認定薬剤師講習(研修)認定単位(1日受講:3単位、2日受講:6単位)プログラム(要約)7月18日(金)9:30~16:509:30~10:55【がん薬物療法 TOPICS】 胃がん化学療法、ASCOにおける肺癌最新の話題11:05~12:30【医学統計】 臨床研究のための統計学の基本知識、臨床に生かすために知っておきたい医学統計13:50~15:15【最新のがん薬物療法I】 膵がん・胆道がん、大腸がん化学療法 ガイドライン改定を踏まえて15:25~16:50【妊孕性と家族性腫瘍】 遺伝性腫瘍~遺伝学的診断と遺伝カウンセリング、CAYAがん患者等に対する妊孕性温存/がん・生殖医療の現状と課題7月19日(土)9:30~16:509:30~10:55【がんにおける新規抗体医薬】 二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)の特徴と臨床成績、抗体薬物複合体(ADC)11:05~12:30【TOPICS 2】 MRDが拓く癌治療の新しいストラテジー、ctDNAによるがん種横断的なMRD検査の時代へ13:50~15:15【最新のがん薬物療法II】 子宮頸がん・子宮体がん薬物療法のトピックス、泌尿器がんに対する薬物療法UpDate202515:15~16:50【緩和医療と支持療法】 骨転移の緩和ケア、コミュニケーション/遺族ケア/気持ちのつらさガイドラインのエッセンス申し込みはTCOG「臨床腫瘍夏期セミナー」ページから「臨床腫瘍夏期セミナー」プログラム

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ある呼吸法活用で禁煙継続(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者禁煙、頑張っておられますね。いえいえ、自分の健康のためですから…。けど、たまに吸いたい衝動にかられて…。医師 なるほど。そんなときはどうされているんですか?患者 水を飲んだり、深呼吸をしたり、しているんですが…。医師 なるほど。それなら、いい呼吸法がありますよ!患者 それは、どんな方法ですか?(興味深々)医師 ちょっと、やってみましょうか。まずは、「ふぅー」と音を立てて口から息を完全に吐き出します。次に、口を閉じて、画 いわみせいじ鼻から息を吸いながら4つ数えます。そして、息を止めて7つ数えます。最後に、8つ数えながら、「ふぅー」と音を立てながら、ゆっくりと口から息を吐き出します。患者 これを何回くらいしたらいいですか?医師 1セットを4回で、ニコチン切れでタバコが吸いたくなる朝や寝る前など、1日に2回からスタートしてみて下さい。これは「4-7-8呼吸法」と呼ばれています。是非、「4(し)7(な)8(や)」かにやってみて下さい。(手で数字を示しながら)患者 はい、わかりました。頑張ってやってみます。(嬉しそうな顔)ポイント自己流の呼吸法ではなく、効果的な呼吸法について実演を交えて説明します。Copyright© 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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グローバルなリアルワールドエビデンスに期待(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 本研究は、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のうち、PD-L1陽性(TPS≧1%)でEGFR変異やALK転座がない症例を対象に、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブと、新規の二重特異性抗体ivonescimab(PD-1+VEGFに対する抗体)の有効性と安全性を比較した多施設ランダム化第III相試験「HARMONi-2試験」の報告である。中間解析時点での主要評価項目は無増悪生存期間PFSで、ivonescimab群で有意に延長が認められた(中央値11.1ヵ月vs.5.8ヵ月、HR:0.51、p<0.0001)。このPFSの改善効果はPD-L1 TPS 1~49%、TPS≧50%、扁平上皮がん、非扁平上皮がんを含む主要なサブグループで一貫していた。また奏効率ORRはivonescimab群で50%、ペムブロリズマブ群で39%、病勢コントロール率DCRはそれぞれ90%と71%であった。重篤な免疫関連有害事象(irAE)は両群で同程度であり、高血圧や蛋白尿などのVEGFに関連する有害事象はivonescimab群でやや多いものの管理可能な範囲であった。とくにベバシズマブが従来禁忌とされてきた扁平上皮がんでも、出血性合併症の増加は認められなかった。 本研究の最大のメリットは、「免疫治療の単剤療法」においてペムブロリズマブを上回る有効性を示した点である。とくに、PD-L1 TPS 1~49%の集団で有効性を示した初の免疫単剤であること、扁平上皮がんにも使用可能な抗VEGF併用薬であること、速い奏効と高い病勢コントロール率の3点は肺がん診療において重要かつ実践的であると考えられる。 PD-L1陽性肺がんに対するペムブロリズマブの初回治療の効果を検証した「KEYNOTE-042試験」ではTPS 1~49%の患者でPFS延長は示されなかったが、本試験では同群に対してHR 0.54と有意なPFS延長を示した。これにより、これまで「PD-L1低発現群で免疫治療の単剤治療は避けるべき」とされてきた症例に対する新たな選択肢の可能性を示した。また従来血管新生阻害薬であるベバシズマブは出血リスクから扁平上皮がんでは禁忌とされていたが、ivonescimabは同様の抗VEGF作用を有しながら出血性合併症は問題とならなかった。扁平上皮がんの1stラインにおける免疫薬単剤治療の選択肢が広がる点は、臨床的に非常に有用と考えられる。そして本研究におけるivonescimab群の奏効までの期間中央値は1.5ヵ月であり、治療早期に効果を期待したい症例に有利に働く。 本研究の有用性は十分に示されていると考えられるが、日本の実臨床で活かすためにはまだまだ問題点がある。まずすべての症例が中国人であり、外的妥当性に課題がある。薬物代謝や腫瘍の特性、人種差を考慮すると、日本人を含むグローバルな症例に対して本研究と外挿するには慎重な姿勢が求められる。また現時点で評価期間が短く、OSは未成熟な点である。他の臨床試験でも同様であるがPFS延長=延命とは限らず、今回の中間解析ではPFSの延長がそのまま予後改善につながるかどうかは現時点では不明である。比較対象がペムブロリズマブ単剤であることも問題である。昨今の進行非小細胞肺がんの標準治療は、プラチナ製剤を含む化学療法と免疫治療を組み合わせる複合免疫療法がスタンダードである。グローバルな標準治療と乖離しており、本試験の比較対象がペムブロリズマブ単剤であることは、比較の「厳しさ」に欠ける可能性がある。 ivonescimab群では目立った免疫関連有害事象こそ認められないものの、Grade3以上の高血圧や蛋白尿といった抗VEGFに由来する有害事象は一定数認められた。実臨床では、とくに腎障害リスクのある症例や高齢者では慎重な管理が必要と考えられる。 さまざまな問題点が指摘される本研究であるが、扁平上皮肺がんやPD-L1低発現群など治療選択肢が限られる症例に対しては期待できる結果が報告された。今後のグローバルなリアルワールドエビデンスに期待が持てる新規薬剤となるのであろう。

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第10回 年間10万人、CT検査の氾濫が生む“将来のがん”

近年、CT検査は診断能が飛躍的に向上し、急速に普及したため、米国では2023年に6,151万人に対し、約9,300万件もの検査が実施されました。人口当たりに直すと、1,000人当たり約280件となり、数字の大きさがより実感しやすいかもしれません。これは実際、世界でもトップレベルの頻度です。CT検査で用いられるX線は、細胞の損傷や遺伝子の突然変異を起こすのに十分なエネルギーを持つ「イオン化放射線」に分類され、「既知の発がん性物質」として扱われています。今回ご紹介するSmith-Bindman氏らの研究では、このCTの撮像回数から被曝量を割り出し、この被曝が米国国民の発がんにどの程度寄与するのかを推計しています1)。検査氾濫が招く10万件超のがんリスク彼らの研究モデルによれば、CT検査に伴うイオン化放射線による将来のがん発症数は、平均で年間約10万3,000件に上り、米国における年間新規がん診断の約5%を占めるという衝撃的な推計が行われました。子供では検査1件当たりのリスクが高くなるものの、検査件数そのものは成人に偏っているため、結果的に成人へのCT検査が総発がん数の約91%(約9万3,000件)を担うと報告されています。がんの内訳を見ると、肺がんが最も多く2万2,400件、次いで大腸がん、白血病、膀胱がんと続きます。女性では乳がんが5,700件と推計されました。部位別では、成人の腹部・骨盤部のCT検査が3,000万件(全検査の32%)実施され、それに由来するがんは3万7,500件と最も多く、続いて胸部CTが2,000万件(21%)で、将来のがんは2万1,500件と見積もられています。多様な分析を行ったうえでも、推計の総発がん数は8万~12万7,000件の範囲となり、推計値の不確実性を勘案しても、変わらず重要性の高い問題であると考察されています。この報告が重要なのは、単に「CTは放射線リスクを伴う」といった抽象的な議論ではなく、検査件数と年齢・部位別の実測の放射線量データを用いて、具体的な将来の発がん数を予測した点にあります。日本では――適正化への道標では、この結果を日本でどう受け止めればよいでしょうか。日本もOECD加盟国のなかでCT検査件数が常に上位にあり、米国ほどではないものの、検査回数も1人当たり高水準で推移しています。日本国内のNDBオープンデータに基づく推計では、例年人口1,000人当たり200~250件前後という高い水準です2,3)。今回の報告を参考にすると、日本で検査に伴う放射線発がんの潜在的負荷は決して無視できません。もちろんこれは、診断に必要とされる場合など、必要なCT検査をやめましょうという話ではありません。しかし、「一応、CTを撮っておきましょう」と必要性が曖昧な検査が行われていることも事実です。これについては、見直しが必要であることを改めて教えてくれる研究結果であったと思います。代替手段として超音波検査などで対応できたものもあるでしょう。また、可能な限り被曝を抑えた撮影条件を徹底し、検査部位を最小限に留めるなどの対策も重要です。結論として、本論文は「CT検査は命を救うが、利用過多は将来のがんを増やす」というトレードオフを定量的に示し、検査適正化と線量管理の徹底こそが利益と安全性の両立に不可欠であることを教えてくれます。医療者も患者も、急ぎでないCT検査の必要性を立ち止まって見極める意識がますます重要といえるのではないでしょうか。 1) Smith-Bindman R, et al. Projected Lifetime Cancer Risks From Current Computed Tomography Imaging. JAMA Intern Med. 2025 Apr 14. [Epub ahead of print] 2) Tsushima Y, et al. Radiation Exposure from CT Examinations in Japan. BMC Med Imaging. 2010;10:24. 3) 厚生労働省.【NDB】NDBオープンデータ.

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腫瘍浸潤クローン性造血、固形がんの死亡リスクと関連/NEJM

 「未確定の潜在能を持つクローン性造血(clonal hematopoiesis of indeterminate potential:CHIP)」は加齢に伴う病態で、がん患者における死亡率の上昇と関連する。腫瘍で変異アレル頻度(VAF)の高いCHIP変異が検出されることがあり、英国・フランシス・クリック研究所のOriol Pich氏らは、この現象を「腫瘍浸潤性クローン性造血(tumor-infiltrating clonal hematopoiesis:TI-CH)」と呼ぶ。同氏らは、今回、TI-CHは非小細胞肺がん(NSCLC)患者のがん再発や死亡のリスクを高め、固形腫瘍患者で全死因死亡のリスクを上昇させ、腫瘍免疫微小環境をリモデリングし、腫瘍オルガノイドの増殖を促すことを示した。研究の成果は、NEJM誌2025年4月24日号で報告された。TRACERx研究とMSK-IMPACTコホートの患者を解析 研究グループは、TRACERx研究に参加した未治療のStageIA~IIIAのNSCLC患者421例と、MSK-IMPACT汎がんコホートの75のがん種の患者4万9,351例(原発腫瘍3万1,556例、転移性腫瘍1万7,795例)において、CHIPおよびTI-CHの特徴を評価した(英国王立協会の助成を受けた)。 TI-CHと生存および再発との関連を調査し、肺腫瘍の生物学的特徴に及ぼすTET2変異CHIPの機能的影響について検討した。TI-CHにより固形腫瘍患者の死亡リスクが1.17倍に NSCLC患者では、CHIPを有する集団の42%(60/143例)にTI-CHを認めた。TI-CHは、死亡または再発のリスクが高いことの独立の予測因子であり、補正後ハザード比は、CHIPを有さない場合との比較で1.80(95%信頼区間[CI]:1.23~2.63、p=0.003)、TI-CHがなくCHIPを有する場合との比較で1.62(1.02~2.56)であった。 固形腫瘍患者では、CHIPを有する集団の26%(1,974/7,450例)にTI-CHが存在した。TI-CHがある場合の全死因死亡のリスクは、TI-CHがなくCHIPを有する場合の1.17倍(95%CI:1.06~1.29)であった。TET2変異―TI-CHの最も強力な遺伝的予測因子 TET2変異はTI-CHの最も強力な遺伝的予測因子であった。マウスでは、TET2変異が肺腫瘍細胞への単球の遊走を増強し、骨髄系細胞に富む腫瘍微小環境を強化し、腫瘍オルガノイドの増殖を促進することが示された。 著者は、「これらの結果は、加齢に伴う血液のクローン性増殖が腫瘍の進展に影響を与えるという考えを支持する」「がん診断にTI-CHが有用である可能性が示唆される」としている。

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早期肺がん患者の術後の内臓脂肪量は手術方法に影響される

 肺がん患者では、呼吸機能の低下だけでなく、体重、筋肉量、内臓脂肪量など、いわゆる体組成の減少により予後が悪化することが複数の研究で報告されている。この度、肺がん患者に対する肺葉切除術よりも切除範囲がより小さい区域切除術後で、体組成の一つである内臓脂肪が良好に維持されるという研究結果が報告された。神奈川県立がんセンター呼吸器外科の伊坂哲哉氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に3月4日掲載された。 近年行われた2cm以下の末梢型早期肺がんに対する区域切除術と肺葉切除術を比較した大規模な臨床試験JCOG0802/ WJOG4607Lでは、区域切除術が肺葉切除術よりも全生存率(OS)を改善した。この試験では、肺がより温存された区域切除群において肺葉切除群よりも、肺がん以外の病気による死亡が少ない結果であったが、その機序については未だ解明されていない。肺がん患者の良好な予後のためには、内臓脂肪を含む体組成を維持することが重要と考えられるが、肺葉切除と区域切除後の体組成変化の違いについても未だ明らかになっていない。このような背景から、伊坂氏らは肺がん患者における肺葉切除と区域切除後の内臓脂肪の変化量を比較し、予後との関連を明らかにするために、単施設の後ろ向き研究を実施した。 本研究には、2016年1月から2018年12月までに神奈川県立がんセンターで、肺葉切除または区域切除術を受けた、ステージ0~1の再発のない原発性肺がん患者346名(肺葉切除240名、区域切除106名)が含まれた。本研究の主要目的は肺葉切除と区域切除後のCTによる内臓脂肪面積(VFA)とウエスト周囲径(WC)の長期的(術後3年までの)変化とした。 解析対象のフォローアップ期間の中央値は5.2年(範囲5.0~5.9年)だった。最大腫瘍のサイズが2cm以上だった症例の割合と、病理学的ステージは肺葉切除術群で高かった。 術後6カ月時点のVFAとWCは、肺葉切除群でそれぞれ16.4%と1.0%減少した一方、区域切除群ではそれぞれ0.1%と0.2%増加していた(t検定 各P<0.001、P=0.029)。続いて、二元配置分散分析を実施し、両群におけるVFAとWCのベースラインからの変化量を比較したところ、術後3年まで肺葉切除群のVFAとWCは区域切除群より有意に減少していた(各P<0.001、P=0.038)。年齢、性別、腫瘍サイズ、ステージなどを調整した1対1の傾向スコアマッチングを行って比較した場合も、VFAとWCは有意に肺葉切除群で減少した(各P=0.009、P=0.020)。 術後3年時点のVFAおよびWCの変化量に対するカットオフ値は、Coxの比例ハザードモデルに基づき、それぞれ-13%と-5%と決定された。術後3年時点でのVFAの変化量が-13%以上の患者は、-13%未満の患者と比較して有意にOSが良好だった(5年OS率 97.7% vs 93.4%、ログランク検定 P=0.017)。WCの変化量についても、同様に変化量が-5%以上の患者で有意に良好なOSを示した(P=0.011)。 OSに関する多変量解析では、術後3年時点でのVFA変化量が-13%未満であることが有意な予後不良因子であった(P=0.013)。また、VFAの変化量が-13%未満、WCの変化量が-5%未満に関する多変量解析では、肺葉切除が独立したリスク因子となった(各P<0.001、P=0.004)。 本研究について著者らは、「本研究から、再発のない早期肺がん患者では、肺葉切除後に生じる長期的な内臓脂肪の減少が区域切除術後では起こらないことが示唆された。また、術後3年時点でのVFA変化が-13%未満であることが、早期肺がん患者の予後不良因子であることが示されたことからも、術後の内臓脂肪減少予防の重要性が明らかになったのではないか」と述べた。 本研究の限界点については、サンプルサイズの小さい単施設の後ろ向き研究であったこと、術後3年時点でCTデータが欠落していた患者が除外されていたことなどを挙げている。

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終末期の「身の置きどころのなさ」への対応【非専門医のための緩和ケアTips】第100回

終末期の「身の置きどころのなさ」への対応今回は記念すべき100回ですね。先日、これまでの連載を見返す機会があったのですが、いろんな話題を扱ってきたなあと感慨深かったです。ここまで続けてこられたのも、質問や感想を下さる読者の皆さまのおかげです。どうもありがとうございます。これからも緩和ケアの臨床に役立つ話題や、知っておくとより緩和ケアに興味が湧くことを発信してまいります。今回の質問お看取りが近い患者さん、身の置きどころがない様子で苦しそうで、家族も心配しています。入院を勧めることも考えるのですが、予後が短いことは確実なので、できれば最後まで自宅で過ごさせてあげたい気持ちもあり、悩んでいます。今回は100回記念らしい、緩和ケアの実践で非常に重要なご質問を頂きました。この「終末期の身の置きどころのなさ」は、緩和ケアの教科書では「Terminal restlessness」と表現されています。多くの場合、患者はせん妄のような意識障害の状態で、じっと横になっていられないような様子です。見るからに苦しそうで、話すことのできる患者さんなら「きつい、きつい」と言っている方を多く経験しました。ご家族が心配するのも当然です。こうした状況に対して、まずは介入可能な病態や症状を検討します。と言っても、多くの場合は原疾患が進行し、日単位で亡くなりそうな状況だからこそ生じている症状なので、原因を見つけて介入したら改善した、といった成功体験はありません。ただ、見逃すと申し訳ない点、具体的には不快な身体症状(痛み、呼吸困難など)の緩和は十分か、尿閉や便秘はないか、薬剤によるせん妄が生じていないか、を改めて確認します。可逆的な要因がないことを確認し、予後が日単位であれば、薬剤の投与を考えるのが現実的な対応策です。具体的にはベンゾジアゼピンと抗精神病薬との投与を検討します。ベンゾジアゼピン単剤だとせん妄を悪化させる可能性があるため、ハロペリドールなどの抗精神病薬を併用することが多いです。病状的に内服が難しいことが大半なので、皮下もしくは静脈注で投与します。この場合のベンゾジアゼピンは深い鎮静というよりも、少しうとうとさせることで身の置きどころのない症状を和らげることを企図したものです。具体的にはミダゾラムを調節型鎮静と同じように使用します。在宅だとすぐに注射薬が準備できない場合もあるかもしれません。その際はジアゼパムやブロマゼパムの坐薬で急場をしのぐことも検討します。ひとまず緊急避難的に症状を落ち着けたうえで、ご家族と丁寧な対話をするよう心掛けましょう。お看取りが近いことの共有や、ケアの目標についてこれまでを振り返りながら考えることも大切です。身の置きどころのなさは「緩和ケア的緊急事態」です。ぜひ、対応法を復習してみてください。今回のTips今回のTips終末期の身の置きどころのなさは「緩和ケア的緊急事態」。適切に症状を緩和し、本人・家族とコミュニケーションを図りましょう。

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第240回 百日咳感染者、過去最多を更新 10代と乳幼児中心に拡大/厚労省

<先週の動き> 1.百日咳感染者、過去最多を更新 10代と乳幼児中心に拡大/厚労省 2.2週間以上咳なら早期受診を、マンガ喫茶で結核集団感染の注意喚起/千葉県 3.肺がん検診指針19年ぶり改訂、重喫煙者には低線量CTを推奨/国立がん研究センター 4.無床診療所の高利益にメス、2026年度報酬改定に向けて提言/財政審 5.病床削減支援、民間優先へ方針転換 自治体病院は対象外に/厚労省 6.大学病院への財政支援強化へ、医師養成・研究支援策を整理/文科省 1.百日咳感染者、過去最多を更新 10代と乳幼児中心に拡大/厚労省百日咳の流行が全国で急拡大している。国立健康危機管理研究機構(JIHS)と厚生労働省によると、4月7~13日の1週間で全国の感染者数は1,222人に達し、現在の統計(2018年~)開始以降で最多を記録している。10代が694人、0~9歳が350人と、若年層中心に広がっている。今シーズンの累積患者数は7,084人となり、すでに昨年(4,054人)を大幅に上回った。百日咳は、激しいけいれん性の咳が特徴。とくに生後6ヵ月未満の乳児では無呼吸や肺炎、脳症を併発し、致死率は0.6%と高い。3月以降感染者数は急増し続け、全国で耐性菌(MRBP株)の報告も増加。中国、韓国などで流行中の株と類似しており、コロナ後の国際往来再開が一因とみられる。地域別では新潟県(99人)、東京都(89人)、兵庫県(86人)などで多発。新潟や大阪、福岡でも過去最多水準を更新している。新潟県ではすでに年間最多だった2019年(499人)を超え、今年550人を報告。大阪府では1週間で110人、福岡県でも102人と、感染拡大が止まらない。対策としては、生後2ヵ月からの定期ワクチン接種の徹底に加え、11~12歳での追加接種が推奨される。日本小児科学会は、乳児への感染を防ぐため、兄姉や家族、とくに妊婦のワクチン接種も勧めている。妊婦が接種すれば胎児に抗体が移行し、生後数ヵ月間は防御効果が期待できる。感染対策はワクチンに加え、手洗いやマスク着用、咳エチケットの徹底が基本となる。長引く咳症状があれば、早期受診を促し、適切な診断と対応が求められる。耐性株による感染拡大にも注意が必要であり、今後も動向を注視した上で地域の流行状況に応じた柔軟な対応が望まれる。 参考 1)百日せき 感染状況MAP(NHK) 2)百日せき患者数 4月13日までの1週間1,222人 3週連続で過去最多(同) 3)「百日ぜき」急増 乳児死亡例も 妊婦や家族はワクチン接種も選択肢(毎日新聞) 4)「百日せき」の感染者数、3週連続で過去最多 直近は1,222人 中国からの流入か(産経新聞) 2.2週間以上咳なら早期受診を、マンガ喫茶で結核集団感染の注意喚起/千葉県千葉県は4月25日、習志野保健所管内の漫画喫茶において、利用者と従業員計6人が結核に感染し、うち4人が発病した集団感染事例を確認、厚生労働省に報告した。発端は昨年7月、長期利用していた40代男性が肺結核と診断されたことに始まる。その後、接触者15人を対象に健康診断を実施したところ、今年1月以降に感染者5人、発病者3人が確認された。さらに調査を拡大し、新たに感染者1人、発病者1人がみつかり、合計6人の感染、4人の発病に至った。発病者のうち1人は救急搬送され、現在も入院中であるが、全員適切な治療を受け、快方に向かっている。結核は、同一感染源により2家族以上、または20人以上に感染が広がった場合、発病者1人を感染者6人分と換算して集団感染と認定される。今回の事例はこの基準に該当した。千葉県内では令和6年に493人が新規に結核登録されており、集団感染は昨年に続き2年連続となる。県では、結核の初期症状が風邪に似ているため、2週間以上咳が続く場合には速やかな医療機関受診を呼びかけている。 参考 1)漫画喫茶で結核の集団感染、長期利用の40代男性ら5人確認…千葉・習志野保健所管内(読売新聞) 2)千葉で結核集団感染 昨年に漫画喫茶で広がり6人感染 2週間以上続く咳は医療機関へ(産経新聞) 3)漫画喫茶で結核集団感染 習志野保健所管内、利用者と従業員の計6人(千葉日報) 3.肺がん検診指針19年ぶり改訂、重喫煙者には低線量CTを推奨/国立がん研究センター国立がん研究センターは2025年4月25日、19年ぶりに改訂した「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン 2025年度版」を公表した。改訂では、喫煙指数600以上(1日平均喫煙本数×喫煙年数)の50~74歳の重喫煙者を対象に、年1回の低線量CT検査を推奨、従来の胸部X線検査と喀痰細胞診の併用は、任意型検診も含め非推奨とされた。改訂の背景には、欧米でのランダム化比較試験(RCT)やメタ解析により、低線量CT検査が肺がんによる死亡リスクを約16%低下させる効果が確認されたことがある。一方、被曝によるがんリスク増加は否定され、標準体型の被験者に対しては線量2.5mGy以下と定義された。胸部X線検査は引き続き、40~79歳の非喫煙者、および40~49歳・75~79歳の重喫煙者に推奨される。なお、喀痰細胞診については、標的である肺門部扁平上皮がんの罹患率が国内で低下していることや、死亡率減少への寄与が証明できなかったため、検診としての併用は推奨されない。ただし診療行為としての喀痰細胞診は否定されていない。加熱式たばこについても、カートリッジ1本を紙巻きたばこ1本と換算して喫煙指数に加算される。禁煙して15年以内の者も対象とする。なお、非重喫煙者に対する低線量CT検診は、死亡率低減効果が不明確なため対策型検診では推奨されず、個人の判断による任意型検診に委ねることとされた。国立がん研究センターは、今後、低線量CT検診の導入にはマニュアル整備、検診体制(読影医や機器確保)、過剰診断・過剰治療への対応策が必要と指摘している。厚生労働省はこのガイドラインを踏まえ、市町村が行う住民検診への反映を検討する予定。肺がんは国内で年間約12万人が診断され、約7万5千人が死亡しており、がんによる死因の中では最多。 参考 1)有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン(2025年度版)(国立がん研究センター) 2)「重喫煙者」は年1回低線量CT検査を…国立がん研究センター、肺がん検診の指針改訂(読売新聞) 3)喫煙者は低線量CT推奨 肺がん検診指針を改定 死亡率減、06年度版以来(共同通信) 4)国がん「肺がん検診ガイドライン 2025年度版」を公開、50~74歳の重喫煙者に低線量CT検査を推奨(日経メディカル) 4.無床診療所の高利益にメス、2026年度報酬改定に向けて提言/財政審財政制度等審議会は4月23日、2026年度の診療報酬改定に向けた議論を行い、医師の都市部集中を是正するための報酬体系見直しを提言した。診療所が過剰な地域では、診療報酬を減額する一方、医療機関が不足する地域では加算措置を講じる「メリハリある改定」を求めた。とくに、無床診療所の利益率が8.6%と高水準にある点を指摘し、病院との経営状況の違いを踏まえた適正化を強調した。また、慢性疾患患者を継続的に診療する「かかりつけ医」機能を持つ医療機関への報酬体系も見直し、より質の高い医療提供を評価する仕組みを構築するよう求めた。現在一律に算定できる機能強化加算についても、廃止を含めた見直しを検討すべきと提言している。さらに、外来診療医師が過剰な地域で新規開業を希望する医師に対し、都道府県が要件を課す仕組みの強化や、要請に従わない場合の診療報酬減額措置も視野に入れる。医薬分業についても、医療機関内で薬を受け取る方が薬局より高くなる現行制度の見直しや、薬剤師による減薬提案など対人業務の評価拡充を求めた。人材紹介会社については、医療機関が高額手数料を負担している実態に懸念を示し、紹介会社の選別・規制強化も提言。持続可能な社会保障制度構築のため、限られた財源下で医療・介護費用の効率化と適正化を強く求めた。 参考 1) 財政制度等審議会財政制度分科会(財務省) 2) 財政制度等審議会 来年度の診療報酬改定に向けて議論(NHK) 3) 医師偏在「診療報酬改定で対応を」 財制審、都市部は報酬減も(日経新聞) 4) 診療所に照準、財務省「無床の利益率8.6%」めりはりある診療報酬改定求める(CB news) 5) 不適正な人材紹介会社の「排除を徹底」財務省提言 同一建物減算の強化も(同) 5.病床削減支援、民間優先へ方針転換 自治体病院は対象外に/厚労省厚生労働省は、病床削減を行う医療機関に対する医療施設等経営強化緊急支援事業(病床数適正化支援事業)において、申請数が想定(約7,000床)の7.7倍に当たる5万4,000床に達したことを受け、支援対象の条件を急遽厳格化する内示を通知した。1床当たり410万4,000円が支給されるこの制度は、地域医療の効率化を目指して病床削減を促すもので、当初は広範な適用を予定していたが、財源不足を背景に民間医療機関を優先する方針に転換し、公立病院など一般会計から繰り入れを受ける医療機関は対象外とされた。厚労省は第1次内示として7,170床分(約294億円)の配分を決定。1医療機関当たり50床を上限とし、経常赤字が続く民間医療機関を支援対象とした。公立病院などの自治体病院は大半が対象外となり、北海道では143医療機関・4,862床の申請のうち、採択は352床に止まった。留萌市立病院や室蘭総合病院など、補助金を前提に病床削減を計画していた自治体病院では、財源確保に向けた再検討が迫られている。自治体側からは「はしごを外された」「地域医療軽視だ」との反発が相次ぎ、支援対象からの排除が地域医療体制に深刻な影響を及ぼす懸念が広がっている。厚労省は6月中旬を目処に第2次内示を予定しているが、補助対象の拡大は不透明な状況だ。医療経済に詳しい識者からは「制度設計の甘さ」と「自治体病院の補助金依存体質」の両方に問題があると指摘され、地域医療のあり方を再考する契機とするべきとの声も上がっている。 参考 1) 令和7年度医療施設等経営強化緊急支援事業(病床数適正化支援事業)の内示について(厚労省) 2) 5万床超の返上申請に対して病床削減の支援対象は7,170床(日経メディカル) 3) 病床削減の申請5.4万床、想定の7.7倍に 福岡厚生労働相(日経新聞) 4) 病床減への補助 支給条件を厳格化 全国から応募殺到で厚労省 自治体病院、実質対象外に(北海道新聞) 5) 「はしごを外された」 国の唐突な補助金方針転換 憤る北海道の自治体病院(同) 6.大学病院への財政支援強化へ、医師養成・研究支援策を整理/文科省文部科学省は、4月23日に「今後の医学教育の在り方に関する検討会」を開き、大学病院の位置付けを明確化し、財政的支援を検討する整理案を示した。物価高騰による経営悪化や建設費増大に対応するため、大学病院の診療・教育・研究機能の重要性を改めて位置付け、これに応じた財政措置を求めた。また、特定機能病院の承認要件見直しに関し、地域医療を支える医師の養成・派遣体制の整備が重要と提言した。さらに、総合的な診療能力を持つ医師養成を推進するため、モデル・コア・カリキュラムの改訂により「総合的に患者・生活者をみる姿勢」を新たに資質・能力項目に追加した。一方、日本医学会連合は、大学病院教員の研究時間減少に危機感を示し、研究支援制度の拡充を求める要望書を文科省に提出した。医師の働き方改革により診療や教育の負担が増え、研究時間がさらに削減されていると指摘。バイアウト制度活用による研究時間確保や、研究補助員の充実などの支援策強化を求めた。加えて、医学生や若手医師が研究に取り組みやすくするため、早期大学院進学促進と給与保障、海外留学制度の柔軟化・拡充も提案された。これらの議論を受け、文科省は、大学病院を中心とした医師養成・地域医療強化、医学研究基盤の再構築に向けた支援策の具体化を進める方針。持続可能な医療提供体制と国際競争力ある医学研究体制の構築が急務となっている。 参考 1)第13回 今後の医学教育の在り方に関する検討会 配布資料(文科省) 2)大学病院、「位置付け明確化し財政支援」文科省が整理案(MEDIFAX) 3)大学病院での研究時間大幅減少 支援制度の整備を要望「働き方改革で拍車」医学会連合が指摘(CB news) 4)わが国の医学研究力の向上へ向けての要望書(日本医学会連合)

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