サイト内検索|page:5

検索結果 合計:2163件 表示位置:81 - 100

81.

ESMO2025スタート!注目演題を集めた特設サイトオープン

 10月17~21日(現地時間)、欧州最大の腫瘍学会であるESMO2025(欧州臨床腫瘍学会年次総会)が、ドイツ・ベルリンとオンラインのハイブリッド形式で開催される。 ケアネットがするオンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイトDoctors'Picks(医師会員限定)では、ESMO2025のスタートに合わせて、数千を超す演題の中から、複数のエキスパートが専門分野の注目演題をピックアップした特設サイトをオープンした。 「ESMO2025特設サイト」では、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」のカテゴリに分け、ESMO視聴サイトの該当演題へのリンクを、エキスパートのコメントとともに紹介している。 エキスパートが選定した、各がん種別の注目演題の一部は下記のとおり。このほかにも多くのユーザーが注目すべき演題を紹介している。各がん種のOral演題を一覧にした「演題スケジュール」も作成したので視聴の参考にしていただきたい。【肺がん(1)】水柿 秀紀氏(北海道がんセンター)によるまとめ【肺がん(2)】和久田 一茂氏(静岡がんセンター)によるまとめ【消化器がん(1)】山本 駿氏(国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科)によるまとめ【消化器がん(2)】大内 康太氏(東北大学 臨床腫瘍学分野)によるまとめ【消化器がん(3)】稲垣 千晶氏(近畿大学 腫瘍内科)によるまとめ【乳がん】能澤 一樹氏(名古屋市立大学 臨床研究戦略部)によるまとめ【泌尿器がん】竹村 弘司氏(虎の門病院)によるまとめ――――――――――Doctors’Picks ESMO2025 特設サイト―――――――――― 学会終了後は、視聴レポートやまとめ記事なども続々アップしていく予定だ。

83.

口腔内の細菌が膵臓がんの一因に?

 膵臓がんのリスクは口の中に生息する微生物と関係している可能性があるようだ。歯周病に直接関係する微生物も含め、27種類の細菌や真菌が膵臓がんリスクと有意に関連し、これらの微生物に基づいて構築された微生物リスクスコア(MRS)が1標準偏差(SD)上昇するごとに、膵臓がんリスクが3倍以上高まることが、新たな研究で示された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のRichard Hayes氏らによるこの研究結果は、「JAMA Oncology」に9月18日掲載された。Hayes氏は、「歯磨きとフロスの使用は、歯周病を予防するだけでなく、がんの予防にも役立つ可能性のあることが、これまで以上に明らかになってきた」と述べている。 膵臓がんは、早期発見のための効果的なスクリーニング方法がほとんどなく、がんが見つかったときには進行していることが多いため、「サイレントキラー」と呼ばれている。研究グループによると、膵臓がんは致死率が高く、5年生存率はわずか13%であるという。 過去の研究では、細菌が唾液を介して膵臓に移動し、口腔衛生状態が悪い人のがんリスクを高める可能性のあることが示されている。しかし、具体的にどの微生物が膵臓がんリスクに特に影響を与えているのかは明らかになっていない。 この研究でHayes氏らは、American Cancer Society Cancer Prevention Study-II Nutrition Cohort(米国がん協会がん予防研究II栄養コホート)とProstate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial(前立腺がん・肺がん・大腸がん・卵巣がんスクリーニング試験)の2つの疫学コホートのデータを用いて、口腔内の細菌および真菌のマイクロバイオーム(微生物叢)と、その後の膵臓がん発症との関連を検討した。口腔サンプルを提供した参加者の中から追跡期間中に膵臓がんを発症した445人を特定。これらと、コホート、年齢(5歳刻み)、性別、人種・民族、口腔サンプル採取時期を一致させたがん未発症の人455人を対照群とした。追跡期間の中央値は8.8年で、対象者(890人)の平均年齢は67.2歳、男性が53.3%を占めていた。 解析の結果、口腔内歯周病菌のうち、Porphyromonas gingivalis、Eubacterium nodatum、Parvimonas micraが膵臓がんリスクの増加と関連していることが明らかになった。また、細菌叢全体を対象とした網羅的解析では、8種類の細菌種が膵臓がんのリスク低下、13種類(このうち1種は前述の歯周病菌に該当)がリスク増加と関連していることが示された。真菌では、Candida属とMalassezia属の計4種が膵臓がんリスクと関連していた。さらに、膵臓がんリスクと有意な関連を示した27種類の細菌・真菌を組み合わせてMRSを構築し、膵臓がんの発症リスクとの関連を検討したところ、MRSの1SD上昇ごとの膵臓がん発症のオッズ比は3.44(95%信頼区間2.63〜4.51)と推定された。 こうした結果を受けて論文の上席著者で、NYUグロスマン医学部のJiyoung Ahn氏は、「口腔内の細菌や真菌の集団をプロファイリングすることで、腫瘍専門医は膵臓がんの検査を最も必要とする患者を特定できる可能性がある」とNYUのニュースリリースの中で述べている。 ただしAhn氏らは、この研究は観察研究であるため、口腔の健康と膵臓がんとの直接的な因果関係を導き出すことはできないと指摘している。研究グループは次に、口腔内のウイルスががんの一因となるのかどうか、また口腔内のマイクロバイオームが患者の生存率にどのような影響を与えるのかを調査する予定だとしている。

84.

世界のがん発症や死亡、2050年に6~7割増/Lancet

 がんは世界の疾病負担の大きな要因であり、2050年まで症例数と死亡数の増加が続くことが予測され、とくに資源の乏しい国との負担格差が大きくなることが見込まれること、また、がんの年齢標準化死亡率は低下するものの、国連による2030年の持続可能な開発目標(SDG)の達成には不十分であることが、米国・ワシントン大学のLisa M. Force氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Cancer Collaboratorsの解析で示された。がんは世界的に主要な死因の1つで、政策立案には正確ながん負担情報が欠かせないが、多くの国では最新のがんサーベイランスデータがない。著者は、「世界的ながん負担に効果的かつ持続的に対処するには、予防、診断、治療の全過程にわたるがん対策戦略の策定と実施において、各国の医療システムや開発状況を考慮した包括的な国内外の取り組みが必要である」と提言している。Lancet誌オンライン版2025年9月24日号掲載の報告。1990~2023年の204の国と地域のデータを解析、2050年のがん負担を予測 研究グループは、GBD 2023の枠組みを用い、204の国と地域別および年齢別、性別による、「1990~2023年における47種またはグループのがん負担」「1990~2023年における特定の危険因子に起因するがん負担」、ならびに「2050年までのがん負担予測」を推計した。 GBD 2023におけるがん負担の推計には、がん登録、出生登録、口頭による死因調査のデータを使用した。がん死亡率はCause of Death Ensembleモデルを用いて推定し、罹患率は死亡率推定値と死亡率/罹患率比(MIR)に基づいて算出した。有病率は生存率モデルから推定し、障害加重を乗じて障害生存年数(YLD)を推定し、年齢別がん死亡数に死亡年齢時のGBD標準余命を乗じて損失生存年数(YLL)を推定した。障害調整生存年数(DALYs)は、YLLsとYLDsの合計として計算された。 また、GBD 2023比較リスク評価フレームワークを用い、44の行動、環境、職業および代謝リスク因子に起因するがん負担を推定するとともに、GBD 2023予測フレームワークを用いて2024年から2050年までのがん負担を予測した。この予測フレームワークには、関連リスク因子曝露の予測が含まれており、社会人口統計指数を共変量として、これらのリスク因子の影響を受けない各がんの割合を予測した。 国連のSDG3.4に掲げられた「非感染性疾患による死亡を2015年から2030年の間に3分の1減少させる」という目標に向けた進捗状況について、がん関連の進捗を推定した。2050年には新規発症やがん死亡が増加、低所得国~中所得国でとくに顕著 2023年は、非黒色腫皮膚がんを除き、世界全体で1,850万人(95%不確実性区間[UI]:1,640万~2,070万)のがん新規症例と、1,040万人(95%UI:965万~1,090万)の死亡が発生し、DALYは2億7,100万(95%UI:2億5,500万~2億8,500万)であった。このうち、世界銀行の所得分類に基づくと、新規症例の57.9%(95%UI:56.1~59.8)およびがん死亡の65.8%(95%UI:64.3~67.6)が低所得国~上位中所得国における発生であった。 2023年において、がんは心血管疾患に次いで世界第2位の死因であった。また、2023年には、世界全体で433万人(95%UI:385万~478万)のリスク因子に起因するがん死亡があり、これは全がん死亡の41.7%(95%UI:37.8~45.4)を占めた。リスク因子起因がん死亡は1990年から2023年にかけて72.3%(95%UI:57.1~86.8)増加し、世界全体のがん死亡は同期間に74.3%(95%UI:62.2~86.2)増加した。 最も可能性の高い基準予測では、2050年には世界全体でがん新規発症例が3,050万人(95%UI:2,290万~3,890万)、がん死亡が1,860万人(95%UI:1,560万~2,150万)と推定され、これは2024年と比較し、それぞれ60.7%(95%UI:41.9~80.6)および74.5%(95%UI:50.1~104.2)の増加であった。 このうち死亡数増加の予測は、高所得国(42.8%、95%UI:28.3~58.6)より、低所得国および中所得国(90.6%、95%UI:61.0~127.0)で大きかった。これらの増加のほとんどは人口動態の変化に起因するものと考えられ、年齢標準化死亡率は2024年から2050年の間に世界全体で-5.6%(95%UI:-12.8~4.6)減少すると予測された。また、2015年から2030年の間に、30~70歳の年齢層におけるがんによる死亡確率は、相対的に6.5%(95%UI:3.2~10.3)減少すると予測された。

85.

リンパ浮腫のコメントへのお返事と知識のアップデート【非専門医のための緩和ケアTips】第109回

リンパ浮腫のコメントへのお返事と知識のアップデート第103回でリンパ浮腫について取り上げたのですが、読者の方からコメントをいただきました。私もアップデートできていない部分だったので勉強になりました。今回の質問第103回のリンパ浮腫についてですが、「採血は健側で行う」とあります。最近のリンパ浮腫のガイドラインでは「生活関連因子(採血・点滴、血圧測定、空旅、感染、温度差、日焼け)は続発性リンパ浮腫の発症、増悪の原因となるか?」というCQがあります。これに対する回答は「採血、血圧測定、空旅がリンパ浮腫の発症や増悪の原因となる可能性は少ない」となっています。これを踏まえ、患者さんには「採血は健側で行えば無難ですが、困れば反対でもよい」と伝えています。こちらは乳腺外科の先生からいただいたものです。コメント、ありがとうございます。該当するのは『リンパ浮腫診療ガイドライン 2024年版』ですね。存在は知っていたのですが、恥ずかしながら内容まで確認していなかったので、今回のご指摘で勉強になりました。患側の採血・点滴、血圧測定は原則禁忌と思っていたのですが、必ずしもそうではないのですね。患者さんの生活や受ける医療の内容にも関わることであり、重要な臨床疑問に対してガイドラインでしっかりと指針を示していることが素晴らしいと感じました。さて、今回のコメントを通じて、私があらためて感じたことです。「緩和ケア」のように臓器横断的な分野を専門にしていると、各領域の最新知識や専門知識をどこまで学ぶか、という問題が常に付きまといます。緩和ケアの実践ではさまざまな疾患や分野に関わる必要があり、その多くが自分の専門領域ではありません。大前提として、膨大な医学情報のすべてを把握することは不可能です。一方で、「専門領域以外は一切わからない」となると、対応可能な患者さんが限られ、緩和ケアを多くの方に届けることが難しくなります。このジレンマに対し、何ができるのでしょうか?私自身が心掛けていることは、まずは「自分がアップデートできていない領域がある」ときちんと認識することです。そしてもう1つは、今回のように専門の先生に教えてもらえる関係を維持することと、教えてもらった時は感謝とともに自分でもできる範囲で学ぶことです。今回は緩和ケアの実践の際に、重要な生涯学習に近い内容を扱いました。おそらく緩和ケアに限らず、医師としてキャリアを積むうえで、ある程度の年齢になれば誰でも直面する問題だと思います。皆さんの工夫もぜひ教えてください。今回のTips今回のTips自分なりの知識をアップデートしていく工夫と、専門家から学ぶ姿勢を持ち続けることが大切。

86.

PS不良の小細胞肺がん、デュルバルマブ+化学療法の有用性は?(NEJ045A)/ERS2025

 『肺癌診療ガイドライン2024年版』において、PS0~1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤/エトポシド併用療法+PD-L1阻害薬であるが1)、PS不良例での有効性・安全性は明らかになっていない。そのため、PS2ではプラチナ製剤+エトポシドまたはイリノテカン併用療法、PS3ではカルボプラチン+エトポシド療法またはsplit PE療法が標準治療とされている1)。そこで、PS2~3のED-SCLC患者を対象に、デュルバルマブ+カルボプラチン+エトポシドの有効性・安全性を検討する国内第II相単群試験「NEJ045A試験」が実施された。その結果、PSに応じて用量調節を行うことで、半数以上が導入療法を完遂し、良好な治療成績が得られた。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、渡部 聡氏(新潟大学医歯学総合病院 呼吸器・感染症内科)が本試験の結果を報告した。なお、本結果はLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年9月28日号に同時掲載された2)。試験デザイン:国内第II相単群試験対象:未治療のPS2~3、20歳以上のED-SCLC患者投与方法:[PS2集団]デュルバルマブ(1,500mg)+カルボプラチン(AUC4)+エトポシド(80mg/m2)を3~4週ごと4サイクル※→デュルバルマブ(1,500mg)を4週ごと(43例)[PS3集団]デュルバルマブ(1,500mg)+カルボプラチン(AUC3)+エトポシド(60mg/m2)を3~4週ごと4サイクル※→デュルバルマブ(1,500mg)を4週ごと(13例)評価項目:[主要評価項目]忍容性(4サイクルの導入療法の完遂割合)[副次評価項目]中央判定に基づく奏効割合(ORR)、全生存期間(OS)、1年OS率、無増悪生存期間(PFS)、PSの改善、安全性※:2サイクル目以降は、カルボプラチンAUC5、エトポシド100mg/m2まで増量可とした 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は、PS2が74歳(四分位範囲:69~77)、PS3が73歳(同:72~78)で、男性がそれぞれ74%、92%であった。併存疾患を有する割合はそれぞれ65%、69%であった。・主要評価項目である4サイクルの導入療法の完遂割合は、PS2が66.7%、PS3が50.0%であった。いずれも事前に規定した基準(PS2:33%、PS3:20%)を上回り、主要評価項目が達成された。・OS中央値は、PS2が11.3ヵ月、PS3が5.1ヵ月であった。1年OS率はそれぞれ50.0%、18.2%であった。・PFS中央値は、PS2が4.8ヵ月、PS3が4.6ヵ月であった。・ORRは、PS2が52.4%、PS3が45.5%であった。・PSが改善した患者の割合は、PS2が55%、PS3が46%であった。・PSの改善の有無別にみたOS中央値は、PSが改善した集団が9.2ヵ月、PSの改善がみられなかった集団が7.0ヵ月であり、両集団に有意差はみられなかった。・導入療法の完遂の有無別にみたOS中央値は、完遂集団が15.0ヵ月、未完遂集団が3.8ヵ月であり、完遂集団が良好であった(p<0.001、post-hoc解析)。・Charlson Comorbidity Index(CCI)別にみたOS中央値は、CCI=0集団が13.9ヵ月、CCI≧1集団が4.8ヵ月であり、CCI=0集団が良好であった(p=0.012、post-hoc解析)。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現割合は93%(PS2:93%、PS3:92%)であった。G-CSF製剤の予防的投与は41%に行われたが、発熱性好中球減少症は16%(それぞれ12%、31%)に発現した。貧血は14%(それぞれ12%、23%)に発現した。 本試験結果について、渡部氏は「治療上の課題の多いPS不良の患者に対し、化学療法に免疫チェックポイント阻害薬を上乗せすることを支持するものである」とまとめた。

87.

HER2変異陽性肺がんにゾンゲルチニブ承認/ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは、2025年9月19日、ゾンゲルチニブ(商品名:ヘルネクシオス)について、「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応として、日本国内における製造販売承認を取得した。 本剤は、同適応症に対する分子標的薬として国内初の経口薬となる。今回の承認は、活性型HER2遺伝子変異陽性の切除不能または転移のある固形腫瘍患者を対象に、ゾンゲルチニブの単剤療法を評価した第I相非盲検用量漸増試験Beamion-LUNG-1の結果に基づくもの。 治療歴のある患者における奏効率(ORR)は71%で、完全奏効率は7%、部分奏効率は64%であり、病勢コントロール率(DCR)は96%であった。さらに、ゾンゲルチニブは治療歴のある脳転移を有する患者(n=27)で頭蓋内奏効を示し、ORRは41%、DCRは81%であった。 HER2チロシンキナーゼドメイン(TKD)変異を有する患者(n=75)において最も多く報告された有害事象はGrade1の下痢(48%)であり、治験薬との因果関係のあるGrade3以上のすべての有害事象は17%であった。

88.

adagrasib:KRAS G12C変異陽性NSCLCに対する2次治療の新たな選択肢(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 「KRYSTAL-12試験」の結果は、KRASG12C変異陽性NSCLCに対する2次治療の新たな標準選択肢が確立した点が重要と捉えられる。従来、1次治療であるプラチナ併用化学療法+免疫チェックポイント阻害薬による治療後に病勢進行したNSCLCに対しては、ドセタキセル±ラムシルマブなどが標準的であった。しかし、本試験ではKRASG12C変異を有する集団では従来の殺細胞性抗がん剤よりも標的治療adagrasibのほうが無増悪生存期間を延長し、腫瘍縮小効果も高いことが明確に示された。安全性プロファイルの観点でも、adagrasibは経口薬である利便性や重篤な骨髄抑制などが少ない点で有利と考えられる。消化器症状や肝機能上昇といった副作用はあるものの、治療継続困難となる症例割合は少ない。実際、治療関連有害事象による中止はadagrasib群で8%にとどまり、ドセタキセル群(14%)より少ない結果であった。 脳転移への有効性という点も注目される。本試験では安定した脳転移症例を含めて登録され、adagrasib群で頭蓋内病変の縮小効果(頭蓋内奏効)が確認された。ドセタキセル群では脳転移に対する奏効率が11%に対し、adagrasib群では24%と倍以上の奏効が認められた点も評価したい。この差は、基礎データで示されていたadagrasibの中枢神経系への移行性の高さを裏付けるものと考えられる。 2025年時点で実臨床で活用されているKRAS阻害薬ソトラシブは、第III相試験である「CodeBreaK 200試験」でドセタキセルとの直接比較が行われている。この試験ではPFS中央値5.6ヵ月vs.4.5ヵ月で、ハザード比0.66(p=0.0017)と、ソトラシブの有意なPFS延長が報告されている。しかしOSに関しては有意差が出ず、ソトラシブは「生存期間の延長」を明確に証明されなかった経緯がある。 今回の「KRYSTAL-12試験」でもPFSや奏効率の改善はソトラシブと同等に良好な結果であったが、OSが未成熟である点は共通しており今後の結果が待たれる。 現時点でソトラシブとadagrasibを直接比較した試験はないが、PFSのハザード比(ソトラシブ0.66 vs.adagrasib 0.58)やORR(28%vs.32%)はおおむね近い水準であり、臨床効果は同程度であると推測する。adagrasibは1日2回投与で作用が持続的であることが考えられ、安定した効果発現や脳内移行に利点がある可能性がある。 本論文でも指摘されているが、対照群レジメンの選択としてドセタキセル単剤が選ばれた点には議論の余地がある。現在2次治療の選択肢としては、ドセタキセル+ラムシルマブの併用レジメンが広く使われている。ドセタキセル単剤に比べ生存期間の延長(中央値+1.4ヵ月)を示した実績がある。本論文では、国際汎用性の観点からドセタキセル単独を対照群としたと説明されている。また、本試験ではOSの有意差は確認できておらず、ソトラシブが使用できる現在、adagrasibが生存に寄与するかは結論が出ていない。ドライバー遺伝子全般的に言えることであるが、クロスオーバーが倫理的にも妥当な措置と考えられ、最終的なOS解析で群間差が出にくいことが予想される。患者側から考えると生存期間の延長が最も重要な指標ではあるが、PFS延長や奏効率の高さも症状緩和やQOL維持につながると考え評価すべきと私は考えている。 本論文で示された中央追跡期間は約7~9ヵ月と短いため、まだ長期生存や毒性の評価が不十分であるが、中枢神経系転移への効果や耐性獲得の問題など、今後の解析結果が期待され注目すべき薬剤であることは間違いない。

89.

タレトレクチニブ、ROS1陽性非小細胞肺がんに承認/日本化薬

 日本化薬は、2025年9月19日、Nuvation Bioから導入したタレトレクチニブ (商品名:イブトロジー)について、「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能又は効果とした製造販売承認を取得した。 同承認はROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした2つの第II相臨床試験(TRUST-IおよびTRUST-II)の結果などに基づくもの。これらの試験により、日本人患者も含め、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC 患者に対するタレトレクチニブの有効性が示された。 タレトレクチニブの本承認は米国(2025年6月)、中国(2024年12月)に続くもの。 タレトレクチニブのコンパニオン診断薬としてはAmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルが承認されている。製品概要商品名:イブトロジーカプセル200mg一般名:タレトレクチニブアジピン酸塩製造販売承認日:2025年9月19日効能又は効果:ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

90.

男性の身長の高さとがんリスク、関連がみられたがん種は

 600万人以上を対象とし、性別・身長とがんの関連を検討したこれまでで最大規模の研究において、39種中27のがん種において身長の高さががんリスク増加と統計学的有意に関連し、男性では悪性黒色腫、急性骨髄性白血病、唾液腺がん、結腸がんでとくに身長の高さによる過剰がんリスクが高かった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Radkiewicz氏らによる、International Journal of Cancer誌オンライン版2025年8月26日号への報告より。 本研究は、スウェーデンに居住する成人(18歳以上)で、身長が記録されている全例を対象とした人口ベースのコホート研究。身長データは、兵役登録、出生登録、パスポートから取得し、全国がん登録および死因登録(1960~2011年)とリンクさせた。主要アウトカムは「成人身長が男性の部位別がんリスクの上昇をどの程度媒介しているか」であり、媒介生存解析を用いて推定した。統計学的有意性は両側検定、p<0.05で評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は615万6,659人(男性313万3,783人)、追跡期間1億1,708万1,452人年において男女共通のがんは28万5,778例で確認された。・平均身長は男性179cm、女性165cmで、男女いずれにおいても教育水準が高いほど平均身長が高く、この傾向は出生年を問わず一貫していた。・男性であることは39種中33種のがんリスク増加と有意に関連し、男性で過剰がんリスクが大きかったのは(HR>2)、喫煙や飲酒と強く関連するがん種(咽頭がん、食道がん、肝がん、喉頭がん、扁平上皮肺がんなど)、職業性発がん因子と関連するがん種(尿路上皮がん、胸膜中皮腫など)であった。・男女を合わせた解析の結果、身長の高さは39種中27種のがんリスク増加と有意に関連した。・男性における身長の高さによる過剰がんリスクは、喉頭がんの0.5%から、結腸がん(128%)、唾液腺がん(140%)、急性骨髄性白血病(155%)、悪性黒色腫(802%)における100%超まで幅広かった。 著者らは、「男性における過剰がんリスクのうちかなりの割合が身長によって説明される可能性が示された。成人期の生活習慣や環境曝露の影響を超えて、身長に関連する確率論的な生物学的プロセス、さらには遺伝的要因や幼少期の成長決定因子が、がんリスクの性差に寄与していることが示唆される」とした。

91.

レスキューを反復しても効かない呼吸困難【非専門医のための緩和ケアTips】第108回

レスキューを反復しても効かない呼吸困難難治症状の代表である呼吸困難ですが、短時間作用のオピオイドを症状出現時に使用する「レスキュー」で対応しても緩和できない場合は、どのように対応すると良いのでしょうか?今回の質問肺がんで慢性的に呼吸困難がある患者さんを担当しています。労作時の呼吸困難がかなり強く、レスキューを使用しても緩和できないことを経験するようになってきました。何かできる工夫はありますか?呼吸困難は症状の強さと対応の難しさから悩まされますよね。モルヒネを中心としたオピオイドの効果があるとされるものの、実際にはすっきりとした症状緩和になることは少なく、本当に苦しそうな様子を何とかしたいと思ったことが何度もあります。また、あまり有効でないオピオイドを繰り返し使用することで、呼吸抑制など状態を悪化させることも避けたいものです。呼吸困難に限らずですが、症状が出た時(時には出そうな時)に短時間作用のオピオイドを繰り返し追加する方法(=レスキュー)で効果が乏しい時には、原因を考えることが第一歩です。今回のように原疾患が肺がんであれば、腫瘤の増大やがん性リンパ管症といった原疾患に関連した病状の悪化が最初に思い浮かびます。ただ、それ以外にも肺炎や心不全の併発といった新たな病態も考える必要があります。「がんだから仕方がない」と思っていたら、治療介入可能な病態を見逃すことがよくあります。私も、気胸を見逃しそうになったことがあります。朝の回診の時は穏やかだったのに、夕方に急に呼吸困難が悪化してしまった患者さんがいました。がんの進行としては経過が合わないと思い、検査を行ったところ気胸だったのです。症状悪化の原因を考え、可能な介入をしたうえで、呼吸困難を和らげるケアに目を向けましょう。体位変換でラクな姿勢にしたり、部屋の空気を入れ替えて風を顔に当てたりといったケアが大切です。腹水が溜まっていると圧迫されてより換気しにくいこともありますので、胸腔臓器ばかりに目を向けず、全身の様子を見ながら、「何かできることはないか」という視点を持ち、多職種で一緒に考えることをお勧めします。意外と忘れやすいのが、「排便コントロール」です。皆さん、ご自身の経験でもトイレでいきむと息が切れますよね。いきむあいだは呼吸ができません。便が硬く、排泄時に長時間いきむことは、もともと呼吸機能が低下している患者にとって非常に強い苦痛となります。私は呼吸困難のある患者さんには、「呼吸困難緩和のために、便を軟らかくすることが重要なので」という説明をして、緩下剤を提案しています。さて、なかなか根本的な対応が難しい呼吸困難の症状ですが、レスキューを繰り返す以外の対応の経験を少しずつ積み重ねていくことが大切です。今回のTips今回のTipsレスキューが効果乏しい時は、原因とほかのケアについて考えよう。

92.

ビタミンAはがんリスクを上げる?下げる?

 ビタミンA摂取とがんリスクの関連について、メタ解析では食事性ビタミンA摂取量が多いほど乳がんや卵巣がんの罹患率が低いと報告された一方、臨床試験ではビタミンAが肺がんや前立腺がんの死亡リスクを高めることが報告され、一貫していない。今回、病院ベースの症例対照研究の結果、食事性ビタミンA摂取量とがんリスクにU字型の関係がみられたことを、国際医療福祉大学の池田 俊也氏らが報告した。Nutrients誌2025年8月25日号に掲載。 本研究は、ベトナム科学技術省と日本政府の支援を受けて実施されたプロジェクトにおける症例対照研究で、参加者をベトナム・ハノイの主要な4つの大学病院で募集した。症例は新規がん患者で、食道がん(195例)、胃がん(1,182例)、結腸がん(567例)、直腸がん(482例)、肺がん(225例)、乳がん(281例)、その他のがん(826例)の3,758例、対照はがんを罹患していない患者で、外傷、尿路結石、胆石症、ヘルニア、多汗症、良性前立腺肥大症、痔核、甲状腺結節などの非がん性疾患のための手術で新規に入院した患者2,995例であった。食事性ビタミンA摂取量は半定量食物摂取頻度調査票を用いて調査した。ビタミンA摂取量とがんリスクとの関連は、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出して評価した。制限付き3次スプライン曲線により、母集団のビタミンA摂取量の中央値(86.6μg/日)および平均値(108.4μg/日)に近い四分位である85.3~104.0μg/日が安全な範囲であると示唆され、この四分位を基準とした。 主な結果は以下のとおり。・ビタミンA摂取量とがん罹患率の間に、基準と比較してU字型の関連が認められた。・最低摂取量と最高摂取量の両方ががんリスク上昇と関連しており、OR(95%CI)値はそれぞれ1.98(1.57~2.49)と2.06(1.66~2.56)であった。・このU字型パターンは、性別、肥満度、喫煙の有無、飲酒の有無、血液型A型、食道がん、胃がん、乳がん、直腸がんで定義されたサブグループで一貫してみられたが、肺がんと結腸がんではみられなかった。

93.

デュルバルマブの非小細胞肺がんおよび膀胱がん周術期療法、国内承認/AZ

 アストラゼネカは、2025年9月19日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」および「膀胱癌における術前・術後補助療法」を効能又は効果として厚生労働省より承認を取得したと発表。非小細胞肺がんの承認 非小細胞肺がん(NSCLC)の承認は第III相AEGEAN試験の結果に基づくもの。AEGEAN試験は、切除可能なStage IIAからIIIB(AJCC第8版)NSCLCに対する周術期治療としてのデュルバルマブをPD-L1発現の有無を問わずに評価する第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験。中間解析において、デュルバルマブベースの周術期レジメン群は術前補助化学療法単独群と比較して、再発・進行または死亡イベント発現リスクを32%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果が認められた(無イベント生存期間[EFS] ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.53~0.88、p=0.003902)。 日本ではNSCLCのうち20%〜25%は根治目的の手術が可能という報告もある。しかし、これら患者の多くは再発し、診断後 5 年生存率は、Stage IIで56〜65%、IIIで24〜41%とされ、新たな治療選択肢が求められてきた。膀胱がんの承認 膀胱がんの承認は第III相NIAGARA試験の結果に基づくもの。NIAGARA試験は筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する周術期治療薬としてのデュルバルマブを評価する第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験。中間解析において、デュルバルマブベースの周術期レジメン群は術前補助化学療法単独群に対して、病勢進行、再発、手術未施行、または死亡のリスクを32%統計学的に有意に低下させた(EFS HR:0.68、95%CI:0.558~0.817、p<0.0001)。 2020年に日本で膀胱がんと診断された患者は2万3,185例で、9,168例が死亡している。MIBCは新たに診断された膀胱がんの25~30%を占める。MIBCでは根治手術が行われているにもかかわらず、現在の標準治療である術前補助化学療法を受けた患者のうち約50%が術後に再発を経験している。非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法の用法及び用量 術前補助療法では、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを4週間間隔で12回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。膀胱がんにおける術前・術後補助療法の用法及び用量 術前補助療法では、ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを4週間間隔で8回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

94.

第285回 通説を覆す小細胞肺がんの起源が判明

通説を覆す小細胞肺がんの起源が判明神経内分泌がんの類いの中で最も悪性度の高い小細胞肺がん(SCLC)の主な出どころが、通説の神経内分泌細胞ではなく、肺の細胞各種の再生を担う基底細胞であることを裏付ける研究成果が報告されました1,2)。神経内分泌がんは肺、前立腺、胃腸を含む全身のあらゆるところに生じ、進行が早いことで知られます。転写因子POU2F3に依存するタフト様(tuft-like)と呼ばれる神経内分泌がんの一種は他の神経内分泌がんと遺伝子発現特徴が異なり、治療への反応も独特なようです。POU2F3は病原体を感知して相手にするタフト細胞のマーカーでもあります。肺がん全体の15%ほど3)を占めるSCLCは神経内分泌がんの類いの中で最も悪辣で、5年間生存率はI期なら4割近いものの、IV期ともなるとわずか2%です4)。分子の目印で4つに分類しうるSCLCは、神経細胞とホルモン生成細胞の両方の特徴を兼ね備える肺神経内分泌細胞を端緒とするとされています。しかしタフト様神経内分泌がんと同様にPOU2F3発現を目印とするSCLCの一種(SCLC-P)はそうともいえないようです。というのもSCLC変異を有する肺神経内分泌細胞はSCLC-Pを生み出せないからです。ただでさえ難儀なSCLCの中でも輪をかけてたちが悪いSCLC-Pは、先立つ研究によるとPOU2F3発現で共通するタフト/刷子細胞からどうやら発生するようです。幹細胞様の肺基底細胞は、損傷修復の際に転写因子PNECとタフト細胞に分化することができます。ゆえにタフト様がんを含む神経内分泌がんの各種は基底細胞を共通項とするかもしれません。そのような背景を受けて実施された新たな研究の結果、神経内分泌細胞ではなく基底細胞を変異させたときに限ってタフト様がんが生じ、基底細胞がタフト様を含むSCLCの起源となることが裏付けられました。研究では遺伝配列改変マウス、腫瘍の立体培養、SCLC患者の944の検体が使われました。時を同じくして発表された別の報告でも、どうやら基底細胞こそSCLCの主な起源らしいことが示唆されています。37のがんの起源が調べられ、大部分のSCLCがどうやら基底細胞を発端とするらしいことが示されました5)。とはいうもののSCLCはどれも基底細胞を起源とするというわけではなさそうで、喫煙と関連せず、より若くして生じうるまれな非定型(atypical)SCLCが神経内分泌細胞を起源とするらしいことがその報告では示されています。そのようなまれなSCLCも視野に入れつつ、多くのSCLCの発端と思しき基底細胞を焦点とするSCLC進展阻止手段の試みが今回の研究を契機に今後進みそうです。研究者によると、がん化する前の基底細胞に免疫系がどう絡むかを検討できるようになっており2)、SCLCを生じる前の段階での予防すら担う治療手段の道が開けています。 参考 1) Ireland AS, et al. Nature. 2025 Sep 17. [Epub ahead of print] 2) Basal stem-like cells identified as origin of small cell lung cancer in lab models / (Eurekalert 3) Rudin CM, et al. Nat Rev Dis Primers. 2021. 4) がん情報サービス:院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 5) Bairakdar MD, et al. Nat Commun. 2025;16:8301. -----------------------------------------【大画像】 /files/kiji/20200326175635-sns.jpg 【サムネイル】 /files/kiji/20200326175621.png-----------------------------------------

95.

陽性NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブのOS最終解析(MARIPOSA)/NEJM

 未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、アミバンタマブ+ラゼルチニブはオシメルチニブと比べて、全生存期間(OS)を有意に延長したことが示されたが、Grade3以上の有害事象のリスク増加との関連が認められた。National Taiwan University HospitalのJames Chih-Hsin Yang氏らMARIPOSA Investigatorsが、アミバンタマブ+ラゼルチニブとオシメルチニブの有効性と安全性を比較した第III相無作為化試験「MARIPOSA試験」の結果を報告した。同試験では主要解析時(追跡期間中央値22.0ヵ月)に、無増悪生存期間がアミバンタマブ+ラゼルチニブ群で有意に延長したことが報告されている(中央値23.7ヵ月vs.16.6ヵ月、病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.70、p<0.001)。事前に規定された最終OS解析の結果は報告されていなかった。NEJM誌オンライン版2025年9月7日号掲載の報告。MARIPOSA試験の重要な副次評価項目であるOS最終結果 MARIPOSA試験は、未治療のEGFR遺伝子変異陽性(exon19delまたはL858R)で、局所進行または転移のあるNSCLC患者を、アミバンタマブ+ラゼルチニブ治療群、オシメルチニブ治療群またはラゼルチニブ治療群に2対2対1の割合で無作為に割り付けた。 試験は2020年11月~2022年5月に行われ、計1,074例が無作為化された。このうち、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群とオシメルチニブ群にはそれぞれ429例が無作為化された。 オシメルチニブ群と比較したアミバンタマブ+ラゼルチニブ群のOS(無作為化から全死因死亡までの期間の解析で評価)は、重要な副次評価項目であった。また、追加評価項目には安全性が含まれた。追跡期間中央値37.8ヵ月、死亡HRは0.75で有意差、新たな安全性の懸念なし プロトコール規定の最終解析において、全体の追跡期間中央値は37.8ヵ月(範囲:0.0~48.1)であった。治療期間中央値は、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群27.0ヵ月(範囲:0.2~47.2)、オシメルチニブ群22.4ヵ月(0.2~48.5)。クリニカルカットオフ日において、割り付け治療が継続していたのは、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群161例(38%)、オシメルチニブ群118例(28%)であった。 規定最終解析の時点で、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群では173例が死亡、オシメルチニブ群では217例が死亡していた。3年OS率はそれぞれ60%(95%信頼区間[CI]:55~64)と51%(46~55)。OS中央値はアミバンタマブ+ラゼルチニブ群でオシメルチニブ群と比べて有意に延長したことが示された(未到達vs.36.7ヵ月、死亡HR:0.75、95%CI:0.61~0.92、p=0.005)。 アミバンタマブ+ラゼルチニブ群の安全性プロファイルは、主要解析時の結果と一致していた。少なくとも1つのGrade3以上の有害事象発現頻度は、アミバンタマブ+ラゼルチニブ群のほうがオシメルチニブ群よりも高く(80%vs.52%)、とくに皮膚関連事象、静脈血栓塞栓症、注入に伴う事象が認められた。新たな安全性上の懸念は認められなかった。

96.

高齢者がん診療のキホン【高齢者がん治療 虎の巻】第2回

(2)高齢者がん診療のキホン、治療開始前に患者を評価―GAの実際と活用―<今回のPoint>高齢者がん患者にはGAMが推奨されているGAは初回薬物療法前に、スタッフ誰でもが実施できる体制作りが理想GAの結果は、治療方針や介入の判断に役立つ前回は、構造化された意思決定プロセスを辿ることで、Shared Decision-Making(SDM)の質が高まり、さらにGeriatric Assessment(GA)の実施や結果の解釈にもつながることをお伝えしました。今回は、がん薬物療法を予定する高齢患者に対するGAの実際について解説したいと思います。GAはニューノーマルになっている薬物療法を予定する高齢がん患者に対するGAおよびその結果に基づく介入(GA-guided management:GAM)は、すでに国内外のガイドラインで強く推奨されています。たとえば、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のガイドラインでは、「65歳以上のすべてのがん患者に対して、PSなどの従来の腫瘍学的評価だけでは把握しきれない問題点をGAで明らかにし、その結果に応じた介入を行い、意思決定に反映させるべきである」と記載されています(Evidence quality:High / Strength of recommendation:Strong)1)。また日本でも、「高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024」において、薬物療法を予定する高齢悪性腫瘍患者へのCGAの実施は、「エビデンスの強さA、推奨度1、合意率100%」で推奨されています(図1)2)。これは、GAMによって患者のアウトカムが改善されたとするランダム化比較試験が多数報告されていることが背景にあります。(図1)画像を拡大する加えて、令和5年度からはがん診療連携拠点病院の施設要件3)に「意思決定能力を含む機能評価を実施すること」という項目が追加されており、GAを導入する施設は着実に増加しています。2024年秋の調査(日本臨床腫瘍学会老年腫瘍WG)では約40%の施設がGAを実施していると報告されています。GAはいつ・誰が・どう使う?GAツールとしては、Geriatric8(G8)とCGA7が代表的です。とくにG8は栄養状態に関する評価に優れており、ある程度包括的な機能評価も可能なことから、スクリーニング目的で広く用いられている印象があります(表1)。(表1)G8スクリーニングシート画像を拡大するそして、現場でよく聞かれるのが、「GAはいつ、誰が、どのように評価し、どう活用するのか?」という点です。●いつ?GAMの有効性を示した臨床試験の多くは、初回薬物療法の前にGAを実施しています。したがって、外来または入院時にGAを行い、カンファレンスで結果を共有し、治療レジメンを検討する流れが望まれます。私自身は、病理診断確定後に患者さんへ告知したタイミングで、いったん待合へ移動していただき、その場でGAを実施することが多くあります。●誰が?GAは、医師・看護師・薬剤師など多職種で柔軟に実施できる体制を整えることが理想です。2024年のCGAに基づく診療・ケアガイドラインでは、とくに看護師による実施が強く推奨されています(図2)が、特定の職種に限定されるものではなく、関わるすべての医療者が一定のスキルをもって対応できる環境づくりが重要です。その上で、医師はGAの構成項目や評価の意義を理解しておくことが不可欠です。治療方針を決定する際に、GAの結果がどう活用できるかを判断する力は、まさに医師の重要な役割となります。●どう使う?たとえばG8で15点以上であれば「perfect health」と判断し、標準治療も検討可能です。一方、14点未満であれば、どの項目でスコアを失点しているかを確認し、追加の詳細なGAを行うか、必要な介入を検討する流れとなります。以上の話を踏まえ、前回の症例にGAを実施してみましょう。<症例>(第1回と同じ患者)88歳、女性。進行肺がんと診断され、本人は『できることがあるなら治療したい』と希望している。既往に高血圧症、糖尿病と軽度の認知機能低下があり、パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は1〜2。診察には娘が同席し、『年齢的にも無理はさせたくない。でも本人が治療を望んでいるなら…』と戸惑いを見せる。遺伝子変異検査ではドライバー変異なし、PD-L1発現25%。告知後、看護師が待合でG8を実施したところ、スコアは10.5点(失点項目:年齢、併用薬数、外出の制限など)。改訂長谷川式簡易知能評価(HDS-R)は20点で認知症の可能性あり。多職種カンファレンスでは、免疫チェックポイント阻害薬の単剤投与を提案。薬剤師には併用薬の整理を、MSWには家庭環境の支援を依頼し、チームで治療準備を整えることとした(次回に続く)。GAの結果がカンファレンスで患者情報の一部として共有されるだけでも、必要な介入が可視化され、治療方針の検討がスムーズになることが実感できたのではないでしょうか。次回は、老年医学の視点から見た高齢者がん診療の考え方について、さらに深掘りしてお伝えします。高齢者がん診療でよく登場するGeriatric-8(G8)とは何か?G8はもともと栄養状態の評価を目的に開発されたMNA(Mini Nutritional Assessment)をベースに、Belleraら4)により2005年に開発された高齢がん患者向けの簡便なスクリーニングツールです。CGAで2項目以上の脆弱性のある項目を有する高齢がん患者を感度82%・特異度63%で識別できると報告されており5)、簡便で臨床現場で扱いやすいことから広く用いられています。一方で、日本人やがん種別でのカットオフ値の適正化や、得られた結果をどのように利用すべきかなど、現場での課題も少なくありません。たとえば、日本人の75歳以上の高齢肺がん患者におけるG8陽性率は80%を超えるとの報告もあります。私自身は、G8スコアが15点以上の患者は“perfect health”と判断し、若年者と同様の治療を検討可能と考えています。一方、14点以下の場合は失点項目を確認し、必要な介入を加えたうえで、高齢者に特化したエビデンスのあるレジメンの選択や、full doseで若年者と同様のレジメンを選択する場合には十分な支持療法を必ず併用するなど、対応を検討するようにしています。1)Dale W, et al. J Clin Oncol. 2023;41:4293-4312.2)老年医学会ほか編. 高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024. 2024. 南山堂.3)厚生労働省:がん診療連携拠点病院等の整備について4)Bellera CA, et al. Ann Oncol. 2012;23:2166-2172.5)Bruijnen CP, et al. J Geriatr Oncol. 2021;12:793-798.講師紹介

97.

タルラタマブ、サイトカイン放出症候群の警告追記/厚労省

 タルラタマブについて、サイトカイン放出症候群が生じて死亡に至った症例が3例(うち、医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は1例)報告されていることを受け、厚生労働省は2025年9月17日に添付文書の改訂指示を発出し、「警告」の項に追記がなされた1)。 改訂後の警告の記載は以下のとおり(下線部が変更箇所)。1. 警告1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。1.2 重度のサイトカイン放出症候群及び神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあり、サイトカイン放出症候群では死亡に至った例も報告されているので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。1.2.1 特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。1.2.2 重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。1.2.3 重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。 なお、サイトカイン放出症候群として報告された国内副作用症例が2025年8月15日時点で268例集積し(推定使用患者数848例)、うちGrade3が8例、Grade4が1例、転帰死亡が3例報告されていることを受け、アムジェンは「適正使用のお願い『サイトカイン放出症候群』について(第2版)」を発出した2)。投与中のモニタリング、サイトカイン放出症候群に対する対処に関して、サイトカイン放出症候群管理ガイダンスに従ってサイトカイン放出症候群の症状(体温、血圧、パルスオキシメトリー等)を定期的に確認すること、症状発現後は副腎皮質ホルモン(デキサメタゾン)、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与を検討すべきことが注意喚起されている。

98.

小型NSCLC、STAS陽性は術式にかかわらず予後不良(JCOG0802/WJOG4607L)/WCLC2025

 臨床病期IA期で最大腫瘍径2cm以下の肺野末梢小型非小細胞肺がん(NSCLC)において、Spread Through Air Spaces(STAS)陽性は予後不良因子であることが示された。肺野末梢小型NSCLC患者を対象に、区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性検証試験「JCOG0802/WJOG4607L試験」の付随研究の結果を、谷田部 恭氏(国立がん研究センター中央病院 病理診断科 科長)が世界肺がん学会(WCLC2025)で報告した。 JCOG0802/WJOG4607L試験は、臨床病期IA期の肺野末梢小型NSCLC患者(最大腫瘍径2cm以下かつC/T比0.5未満)を対象に、区域切除の肺葉切除に対する全生存期間(OS)の非劣性を検証することを目的として実施された試験である。本試験において、区域切除の肺葉切除に対するOSの非劣性が検証されただけでなく、区域切除の優越性も示されたことが報告されている1)。 STASは、肺胞腔内に腫瘍細胞の分離性増殖を認める浸潤形態の1つであり、とくに縮小手術において、STAS陽性例は局所再発が多く予後が不良であることが報告されている。しかし、縮小手術例と肺葉切除例の両者を含む集団でSTASの影響を検討した研究は乏しい。そこで、JCOG0802/WJOG4607L試験の登録患者を対象として、本研究が実施された。 本研究の主な結果は以下のとおり。・646例の病理検体が評価され、評価可能であった640例(区域切除群318例、肺葉切除群322例)のうち35%(227/640例)がSTAS陽性であった。・STASの有無別に無再発生存期間(RFS)をみると、STAS陽性例はRFSが不良であった(p<0.0001、log-rank検定)。5年RFS率はSTAS陽性83.7%、STAS陰性92.5%で、10年RFS率はそれぞれ67.1%、84.6%であった。多変量解析においてもSTAS陽性はRFS不良の独立した予測因子であった(ハザード比[HR]:1.880、95%信頼区間[CI]:1.347~2.625、p=0.0002)。・STAS陽性例はOSも不良であった(p<0.0001、log-rank検定)。5年OS率はSTAS陽性92.0%、STAS陰性94.7%で、10年OS率はそれぞれ73.1%、86.7%であった。多変量解析においてもSTAS陽性はOS不良の独立した予測因子であった(HR:1.692、95%CI:1.181~2.424、p=0.004)。・術式別にRFSとOSをみると、RFSはSTAS陽性例が術式にかかわらず不良であり、OSは肺葉切除群でSTAS陽性例が不良であった。術式別の再発率は以下のとおり(STAS陽性vs.STAS陰性を示す)。 -10年RFS率(区域切除):69.4%vs.85.1%(HR:1.962、95%CI:1.212~3.175) -10年RFS率(肺葉切除):64.8%vs.84.0%(HR:1.976、95%CI:1.204~3.242) -10年OS率(区域切除):80.0%vs.88.4%(HR:1.560、95%CI:0.911~2.671) -10年OS率(肺葉切除):66.9%vs.84.9%(HR:1.858、95%CI:1.109~3.114)・局所再発はSTAS陽性例が術式にかかわらず多く、遠隔再発は区域切除群でSTAS陽性例に多くみられた。術式別の再発率は以下のとおり(STAS陽性vs.STAS陰性を示す)。 -局所再発(区域切除):17.6%vs.6.2%(p=0.004) -局所再発(肺葉切除):16.7%vs.6.2%(p=0.001) -遠隔再発(区域切除):9.3%vs.2.4%(p=0.006) -遠隔再発(肺葉切除):9.2%vs.4.9%(p>0.05)・非粘液性肺腺がんの組織学的Grade3の集団はSTAS陽性例が多く、Grade3の集団はGrade1/2の集団と比較して、RFSおよびOSが不良であった。 本結果について、谷田部氏は「STAS陽性はRFS不良、OS不良の独立した予測因子であった。また、STAS陽性例は区域切除と肺葉切除のいずれでも局所再発が多かった。これらの結果は、STASの有無にかかわらず、区域切除が肺葉切除に対して非劣性であることを示している」とまとめ、「縮小手術でSTAS陽性であったとしても、肺葉切除への変更は必要ないかもしれない。むしろ、STAS陽性のStageIAのNSCLCという予後不良な集団に対して、術後補助療法を検討することを支持する結果である」と考察した。

99.

小細胞肺がん1次治療の維持療法、タルラタマブ上乗せで1年OS率82%(DeLLphi-303)/WCLC2025

 PS0/1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬であり、維持療法ではPD-L1阻害薬単剤の投与を継続する。PD-L1阻害薬+lurbinectedinによる維持療法の有用性を検討した「IMforte試験」では、維持療法開始時からの全生存期間(OS)中央値が併用群13.2ヵ月、PD-L1阻害薬単剤群10.6ヵ月と報告されており1)、アンメットニーズが存在する。そこで、PD-L1阻害薬単剤による維持療法にタルラタマブを上乗せする治療法が検討されている。世界肺がん学会(WCLC2025)において、ED-SCLCの1次治療の維持療法における、PD-L1阻害薬+タルラタマブの安全性・有効性を検討する国際共同第Ib試験「DeLLphi-303試験」の結果を米国・Providence Swedish Cancer InstituteのKelly G. Paulson氏が報告した。本試験において、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は報告されず、維持療法開始後のOS中央値25.3ヵ月、1年OS率82%と良好な治療成績が示された。本結果はLancet Oncology誌オンライン版2025年9月8日号に同時掲載された2)。試験デザイン:国際共同第Ib相試験対象:1次治療としてプラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬※を4~6サイクル実施後に病勢進行がみられず、維持療法への移行が可能であったED-SCLC患者88例試験群1:タルラタマブ(10mg、2週ごと)+アテゾリズマブ(1,680mg、4週ごと) 48例試験群2:タルラタマブ(同上)+デュルバルマブ(1,500mg、4週ごと) 40例評価項目:[主要評価項目]用量制限毒性、治療中に発現した有害事象(TEAE)、TRAE[副次評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)など※:PD-L1阻害薬が使用できない場合は未使用も許容 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は64歳、男性の割合は63%、PS1の割合は59%であった。ベースライン時に脳転移、肝転移を有していた割合はそれぞれ25%、36%であった。1次治療開始から維持療法開始までの期間中央値は3.6ヵ月(範囲:2.9~5.8)であった。・追跡期間中央値18.4ヵ月時点において、各薬剤の治療期間中央値は、タルラタマブ35週、アテゾリズマブ28週、デュルバルマブ31週であった。・タルラタマブに関連するGrade3~4のTRAEの発現割合は27%であった。死亡に至ったTRAEは報告されなかった。・TEAEとしてのCRSの発現割合は56%であった。そのうちの多くは、投与開始3ヵ月未満に発現した。ICANSの発現割合は6%であった。全例が投与開始3ヵ月未満に発現した。・解析対象集団全体における維持療法開始時からのOS中央値は25.3ヵ月であり、1年OS率は82%であった。・同様に、PFS中央値は5.6ヵ月であり、1年PFS率は34%であった。・維持療法開始時を基準としたORRは24%、DOR中央値は16.6ヵ月であった。DCRは60%、病勢コントロール期間中央値は14.6ヵ月であった。 本試験結果について、Paulson氏は「ED-SCLCの1次治療の維持療法において、PD-L1阻害薬へのタルラタマブ上乗せは、管理可能な安全性プロファイル、持続的な病勢コントロール、前例のないOSの改善を示した」とまとめた。

100.

EGFR陽性NSCLCへの術前オシメルチニブ、ctDNAによるMRD解析(NeoADAURA)/WCLC2025

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)における治療選択肢として術前補助療法があるが、EGFR遺伝子変異陽性例では病理学的奏効(MPR)がみられる割合が低い。そこで、術前補助療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有用性を検討する国際共同第III相試験「NeoADAURA試験」が実施されており、オシメルチニブ+化学療法、オシメルチニブ単剤は化学療法と比べてMPRを改善したことが、2025年6月に報告された1)。新たに、事前に規定された探索的解析として循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた分子的残存病変(Molecular Residual Disease:MRD)の解析が実施され、世界肺がん学会(WCLC2025)において、米国・カリフォルニア大学のCollin M. Blakely氏が解析結果を報告した。超高感度ctDNA検出アッセイ(NeXT Personal)は、従来のEGFR遺伝子変異検査に基づくMRD解析よりも感度が高く、オシメルチニブ±化学療法はMRDクリアランス(ctDNAがベースラインから10倍以上低下または非検出と定義)やMRD陰性を達成する患者の割合を改善した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性の切除可能なStageII~IIIB(AJCC第8版)のNSCLC患者・試験群1(オシメルチニブ+化学療法群):オシメルチニブ(80mg、1日1回、9週以上)+カルボプラチン(AUC5、3週ごと3サイクル)またはシスプラチン(75mg/m2、3週ごと3サイクル)+ペメトレキセド(500mg/m2、3週ごと3サイクル)→手術→医師選択治療 121例・試験群2(オシメルチニブ単剤群):オシメルチニブ(同上)→手術→医師選択治療 117例・対照群(化学療法群):カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド(いずれの薬剤も同上)→手術→医師選択治療 120例・評価項目:[主要評価項目]MPR[副次評価項目]無イベント生存期間(EFS)など[探索的評価項目]ベースライン時のMRDとEFSの関係、術前のMRDとMPRの関係、術前のMRDクリアランスとMPRの関係など 今回は、MRD解析が行われた集団(189例)の結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の血漿サンプルでMRD陽性の割合は、cobas EGFR Mutation Test v2が30%であったのに対し、NeXT Personalが71%であった(以降はNeXT Personalに基づくデータを示す)。・ベースライン時にMRD陽性の集団は、StageIIIの割合が多く、腫瘍径が大きく、リンパ節転移が多かった。・対照群も含めた全群の併合解析において、ベースライン時のMRDの有無別にEFSをみると、MRD陰性の集団はMRD陽性の集団と比べてEFSが良好であった(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.07~0.80)。・ベースライン時にMRD陽性であり、術前のMRD解析でMRDクリアランスを達成した患者の割合は、オシメルチニブ+化学療法群83%、オシメルチニブ単剤群84%、化学療法群58%であった。・MRDクリアランスの有無別にみたMPRは、クリアランス達成の集団が24%、クリアランス未達成の集団が6%であり、クリアランス達成の集団が良好であった(p=0.0378)。・術前のMRD解析でMRD陰性の割合は、オシメルチニブ+化学療法群77%、オシメルチニブ単剤群77%、化学療法群53%であった。・MRDの有無別にみたMPRは、MRD陰性の集団が20%、MRD陽性の集団が9%であった(p=0.0546)。 本試験結果について、Blakely氏は「MPRを補完する指標としてMRDが有用である可能性を示すとともに、EGFR遺伝子変異陽性の切除可能NSCLC患者に対して、オシメルチニブを含むレジメンで術前療法を行うことを支持するものであった」とまとめた。

検索結果 合計:2163件 表示位置:81 - 100