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転移尿路上皮がんに対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法は有用である可能性(COSMIC 021)/ASCO 2022

 転移のある手術不能の尿路上皮がん(mUC)に対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法の有効性と安全性の初期データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta Pal氏より報告された。 これは、前立腺がんや腎がん、肺がんなども対象にしたカボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法の国際共同の第I相b試験COSMIC-021の結果で、今回はmUCの3つのコホートの解析結果である。・対象:未治療のmUCである下記の3つのコホート コホート3:シスプラチン不適応の症例(30例:C3) コホート4:シスプラチンに適応の症例(30例:C4) コホート5:免疫チェックポイント阻害剤既治療でチロシンキナーゼ阻害剤未治療の症例(31例:C5)・介入:カボザンチニブ40mg/日連日+アテゾリズマブ1,200mg 3週ごと・評価項目: [主要評価項目]主治医判定による奏効率(ORR) [副次評価項目]安全性 [探索的評価項目]奏功期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・2021年11月時点での追跡期間中央値は、C3で27.9ヵ月、C4、C5でそれぞれ19.1ヵ月と32.9ヵ月であった。・ORRはC3で20%(CR3%を含む)、C4で30%(CR7%)、C5で10%(CRなし)であった。・DoR中央値は、C3で7.1ヵ月、C4で未到達、C5で4.1ヵ月であった。・PFS中央値は、C3で5.6ヵ月、C4で7.8ヵ月、C5で3.0ヵ月であった。・OS中央値は、C3で14.3ヵ月、C4で13.5ヵ月、C5で8.2ヵ月であった。・有害事象によるカボザンチニブの減量はC3で43%に、C4で27%に、C5では35%に認められた。同様にアテゾリズマブの投与延期は、それぞれ63%、40%、52%に認められた。・治療関連の有害事象で両剤とも投与中止となったのは、C3で13%、C4で17%、C5で19%であった。・Grade3以上の有害事象は、C3で63%に、C4で43%に、C5で45%に発現した。Grade3以上の全身倦怠感はC3で3%、C4で3%、C5で6%、有症候性肝炎はそれぞれ0%、7%、3%、膵炎は13%、10%、6%であった。

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NSCLCに対するペムブロリズマブ術後補助療法の第III相試験サブグループ解析(KEYNOTE-091/PEARLS)/ASCO2022

 KEYNOTE-091試験(EORTC-1416-LCG/ETOP-8-15-PEARLS)のサブグループ解析から、ペムブロリズマブの非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法は、術式や腫瘍サイズ、リンパ節転移や術前補助療法などを問わずに有用であることが示された。英国・The Royal Marsden NHS Foundation TrustのMary E.R. O'Brien氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 KEYNOTE-091試験は、Stage IB~IIIAの切除後NSCLCに対する術後補助療法としてのペムブロリズマブの有用性を評価した無作為化第III相試験である。中間解析においてPD-L1の発現状態に関わらず無病生存期間(DFS)を有意に延長した一方、TPS≧50%集団では有意な差を認めなかったことがプレスリリースで発表されている。今回は、術式、がんの状態、術前補助療法の有無などのサブグループ解析とともに具体的な結果も示されている。・対象:(TMN第7班による)Stage IB(≧4cm)からStage IIIAの完全切除NSCLC(1,117例)・試験群:外科的切除後にペムブロリズマブ200mg 3週ごと18回まで投与(590例)・対照群:治療薬と同様のスケジュールでプラセボを投与(587例)[主要評価項目]全集団のDFS、PD-L1 TPS≧50%のDFS[副次評価項目]PD-L1 TPS≧1%のDFS、全集団、PD-L1 TPS≧50%、≧1%の全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体集団DFS中央値は、ペムブロリズマブ群53.6ヵ月、プラセボ群42.0ヵ月、18ヵ月DFSはそれぞれ73.4%と64.3%であった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.63~0.91、p=0.0014)。・PD-L1 TPS≧50%のDFS中央値はペムブロリズマブ群、プラセボ群とも未到達、18ヵ月DFSはそれぞれ71.7%と70.2%であった(HR:0.82、95%CI:0.57~01.18、p=0.14)。・全集団のOS中央値はペムブロリズマブ群、プラセボ群とも未到達、18ヵ月OSはそれぞれ91.7%と91.3%であった(HR:0.87 、95%CI:0.67~1.15、p=0.17)。・DFSのサブグループ解析では、術後補助療法なし、術後補助療法がカルボプラチン+パクリタキセルの集団を除き、術式タイプ、pNステータス、腫瘍サイズなど一貫してペムブロリズマブ群で良好な傾向が認められていた。 著者のO'Brien氏はポスター発表の中で、全集団の有効性と安全性の結果は、Stage IB(≧4cm)からStage IIIAに対するペムブロリズマブの術後補助療法のベネフィットを支持するものだと結んでいる。

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高齢患者の「薬が飲めなくなった」という状況に使えるのは?【非専門医のための緩和ケアTips】第30回

第30回 高齢患者の「薬が飲めなくなった」という状況に使えるのは?緩和ケアを実践していると、よく遭遇するのが「薬が飲めなくなった」という状況です。こんなとき、皆さんはどうしていますか? 症状緩和に必要な薬剤の投与を継続するための強い味方、皮下投与に関するお話です。今日の質問終末期、多くの患者さんは内服が難しくなります。がん疼痛などでオピオイドを使用していると、静脈投与に切り替えようと思っても末梢ルートが取れないことも多いです。貼付剤もあるのは知っていますが、レスキューが必要な場合、どのように対応すればよいのでしょうか?今回いただいた質問のような状況は、非常に多く経験します。終末期であれば内服ができなくなるのは当然のことです。また、がん患者や高齢者では、抗がん剤の影響や皮膚の脆弱性によって末梢ルートの確保が難しいこともよくあります。何度もルート確保に失敗すると、苦痛緩和のために行う処置が苦痛の原因になってしまう……。避けたい事態です。では、そんな時にどのようにすればよいのでしょうか? 緩和ケア領域では、しばしば皮下投与が行われます。今回の状況であれば、モルヒネやオキシコドンの注射薬がありますので、それらの持続皮下投与が使えます。皮下投与は静脈ルートの確保が必要ないので、手技的には非常に簡便です。認知症高齢者やせん妄患者が自己抜去してしまった際も、出血が少ないので安全です。また、投与可能な薬剤もオピオイドだけでなく、ハロペリドールや腸閉塞に対して使用するオクトレオチド、セフトリアキソンといった一部の抗菌薬も皮下投与が可能です。皮下投与には注意が必要な面もあります。一つは、静脈投与に比べて効果発現までに時間がかかる、という点です。非常に強い症状に対して急速な鎮静が必要、といった場合には向きません。また、皮下投与が可能な薬剤の多くは適応外使用となります。「経験上、安全かつ有効な投与が可能と見なされる」という位置づけで、この点は理解しておく必要があります。このあたりは皮下投与に限らず、緩和ケア領域で使用する薬剤では常に出てくる懸念です。オピオイドを皮下投与で行う場合は、少量ずつ持続投与します。そのために皮下投与用のデバイスが必要となり、多くの施設の緩和ケア病棟で利用されています。在宅医療の場合には、持続皮下投与のためのシリンジポンプが必要です。皮下投与が使えると、緩和ケアの対応の幅がぐっと広がります。デバイスが必要にはなりますが、ぜひ活用してください。今回のTips今回のTips内服が難しくなった患者さんには、皮下投与が有効です。

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NSCLC1次治療でのLAG-3タンパク+ペムブロリズマブの効果(TACTI-002)/ASCO2022

 LAG-3タンパクeftilagimod alpha(efti)とペムブロリズマブとの併用は、PD-L1の発現状態にかかわらず非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療に有効である可能性が示された。スペイン・Vall d’Hebron Institute of OncologyのEnriqueta Felip氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 eftiは、MHCクラスII分子のサブセットに結合して抗原提示細胞(APC)の活性化とCD8T細胞の活性化を仲介する可溶性LAG-3タンパクで、抗PD-1抗体薬とは異なる免疫チェックポイント阻害薬として注目されている。eftiの併用によるAPCの刺激とT細胞の活性化は、抗PD-1抗体薬の単独療法よりも強い抗腫瘍効果をもたらす可能性がある。そこで、NSCLC患者を対象にeftiとペムブロリズマブとの併用効果について評価する第II相試験(TACTI-002)が現在進行している。今回は、同試験におけるPD-L1の発現状態を問わないコホート集団の結果から、両薬剤の併用効果について評価した。・対象:PD-L1 の発現状態を問わない進行 NSCLC患者(114例)・方法:efti 30mg 2週ごと+ペムブロリズマブ200mg 3週ごと8サイクル→両剤を3週ごと9サイクル→ペムブロリズマブ3週ごと16サイクル・評価項目: [主要評価項目]iRECISTに基づく奏効率(ORR) [副次評価項目]RECIST v1.1に基づくORR、病勢コントロール率(DCR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は67歳、男性74%、95%喫煙歴あり、PD-L1陽性率(TPS)1%未満は32.5%、1~49%が35.1%、70%超が27.2%であった。・iRECISTに基づくORRは38.6%であった。すべてのPD-L1サブグループで効果がみられ、TPS 50%以上のORRは52.6%であった。・RECIST v1.1に基づくORRは37.7%で、DCRは71.9%であった。・11例(9.6%)の患者が有害事象のために治療を中止していた。

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進展型小細胞肺がんの1次治療におけるアテゾリズマブ+化学療法へのtiragolumabの併用効果(SKYSCRAPER-02)/ASCO2022

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)への抗TIGIT抗体tiragolumabの併用による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の延長は見られなかった。ES-SCLCに対するSKYSCRAPER-02試験ではPFSとOSに有意差なし 同報告は、日本も参加した国際共同第III相試験SKYSCRAPER-02の初回解析結果で、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏から報告された。・対象:未治療のES-SCLC症例490例・試験群:tiragolumab+アテゾリズマブ+カルボプラチン・エトポシド3週ごと4サイクル→tiragolumab+アテゾリズマブ3週ごと(Tira群:243例)・対照群:プラセボ+アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド3週ごと4サイクル投与→プラセボ+アテゾリズマブ3週ごと(Pla群:247例)・評価項目:[主要評価項目]脳転移を有さない症例群(PAS)におけるOSとPFS(主治医判定による)[副次的評価項目]すべての登録症例(FAS)によるOSとPFS、奏効率(RR)、奏効期間(DOR)、安全性など ES-SCLCに対するSKYSCRAPER-02の初回解析の主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値は14.3ヵ月であった(データカットオフ2022年2月)。・両群共に約19%の脳転移症例を含んでいた。・PAS群のPFS中央値は、Tira群で5.4ヵ月、Pla群で5.6ヵ月、ハザード比(HR)は1.11(95%信頼区間[CI]:0.89~1.38)でp=0.3504、と両群間に有意な差は見られなかった。・PAS群のOS中央値はTira群が13.6ヵ月、Pla群が13.6ヵ月、HRは1.04(95%CI:0.79~1.36)でp=0.7963、こちらも両群間に有意差はなかった。・FAS群のPFS中央値はTiga群が5.1ヵ月、Pla群が5.4ヵ月で、HRは1.08であった。同様にOS中央値は、Tira群13.1ヵ月、Pla群12.9ヵ月、HRは1.02であった。・FASを対象としたサブグループ解析においても両群間の有意な差は見いだせなかった。・探索的に脳転移症例だけでOSを検討してみたところ、OS中央値はTira群で11.70ヵ月、Pla群で10.64ヵ月、HR0.92であった。・FAS群のRRは、Tira群が70.8%、Pla群が65.6%、DOR中央値はTira群が4.2ヵ月、Pla群が5.1ヵ月であった。・Grade3/4の治療関連有害事象は、Tira群の52.3%、Pla群の55.7%で発現した。有害事象による治療中止割合は、Tira群5.0%、Pla群5.3%であった。

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進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の効果はQOLと関連(CheckMate 214)/ASCO2022

 進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブの併用療法(Nivo-Ipi)の生存に及ぼす効果と健康関連QOL(HRQoL)の関連が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏より報告された。 これはNivo-Ipiとスニチニブを比較した国際共同の第III相CheckMate 214試験の結果で、過去にNivo-Ipiの無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)の有意な延長効果が報告されている。今回はそれらとHRQoLの相関をみた報告である。・対象:未治療の進行性の淡明細胞型腎細胞がん症例(mRCC)・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ3週ごと4回→ニボルマブ2週ごと(NivoIpi群 425例)・対照群:スニチニブ4週連日投与2週休薬(Suni群 422例)・評価項目:[主要評価項目] IMDC予後リスクでの中/高リスク症例におけるOS、PFS、奏効率(RR)[副次評価項目] 全登録症例におけるOS、PFS、RR[探索的評価項目] 治療前のHRQoLとPFSおよびOSとの関連性、試験中のHRQoL変化とPFS、OSとの関連性 主な結果は以下のとおり。・登録症例の年齢中央値は61歳で中リスクが79%、高リスクが21%だった。・治療前のHRQoLのスコアが高い(状態が良い)症例ほど、OSが有意に延長した。ハザード比(HR)0.80(95%信頼区間[CI]:0.76~0.84)、p<0.0001であった。・治療中のHRQoLの改善がみられた症例ほど、OSが有意に延長した。HRは0.65(95%CI:0.60~0.71)、p<0.0001であった。OSの改善については、治療前のHRQoLスコアより、治療中のスコア改善の方が、相関が強かった。・PFSについても同様に、治療前のHRQoLのスコアが高いほど、または治療中のHRQoLの改善がみられるほど、PFSが有意に延長した。それぞれ、HR0.89、p<0.0001と、HR0.84、p<0.0001であった。・さらに、HRQoLのスコアの改善または維持があったグループ(改善群)と、悪化したグループ(悪化群)に分けOSの解析を実施したところ、改善群のOS中央値は67.8ヵ月で、悪化群では32.0ヵ月、HRは0.48(95%CI:0.39~0.59)、p<0.0001と改善群で有意にOS良好であった。このOSの延長については、Suni群(HR:0.57)に比べ、NivoIpi群(HR:0.39)でより顕著であった。

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抗PD-1抗体sintilimab+化学療法のNSCLC術前補助療法、2サイクル対3サイクル/ASCO2022

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して、抗PD-L1抗体薬sintilimabと化学療法による術前補助療法は、2サイクルよりも3サイクルでより高い病理学的奏効(MPR)率を示し、サブタイプ別ではとくに扁平上皮がんで良好なMPR率が得られた。無作為化単施設2群第II相比較試験の結果として、中国Zhejiang大学のFuming Qiu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用による術前補助療法は、切除可能なNSCLC患者に対して有望な治療選択肢となっている。しかし、術前補助療法の最適な期間は明らかではなく、臨床試験では2~4サイクルで実施されていることが多い。 一方、sintilimab単剤の術前投与は良好なMPR率が報告されている。同試験では、切除可能なNSCLC患者を対象に、sintilimabと化学療法による術前補助療法の効果を2サイクルと3サイクルで比較した。・対象:未治療のStageIB~IIIA NSCLC患者(ECOG PS 0~1)60例・治療法:手術前にsintilimab+化学療法(扁平上皮がんカルボプラチン+nab-パクリタキセル、非扁平上皮がん:カルボプラチン+ペメトレキセド)3週間ごとに2サイクル行う群と3サイクル行う群に無作為に割り付け。術前補助療法終了から4週間以内に手術を施行・評価項目:[主要評価項目]MPR[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)、奏効率(ORR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は64.5歳、StageIB~IIBが46.7%でIIIAが53.3%、PD-L1(TPS)は1%未満が48.3%、1%以上が51.7%であった。・MPR率は3サイクル群41.4%、2サイクル群に26.9%で、3サイクル群で傾向を示した(p=0.260)。pCR率はそれぞれ24.1%、19.2%であった(p=0.660)。・ORRは3サイクル群55.2%、2サイクル群50.0%であった(p=0.701)。・組織形別にみると、非扁平上皮がんに比べて扁平上皮がんでMPR率が有意に高かった(51.6% vs.12.5%、p=0.002)。・扁平上皮がんにおけるMPR率は3サイクル群60.0%、2サイクル群43.8%であった(p=0.366)。・両群間ともに安全性に問題はなく、高い忍容性が示された。

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標準治療耐性のEGFR陽性肺がんに対するamivantamab+lazertinibの成績(CHRYSALIS-2)/ASCO2022

 EGFRとMETの二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFR-TKIであるlazertinibとの併用が、オシメルチニブおよび化学療法後に進行したEGFR陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)に有効であることが、CHRYSALIS-2試験の結果から示された。米国・コロンビア大学のCatherine A. Shu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 EGFR変異陽性NSCLC 患者に対するamivantamabとlazertinibの併用療法の有効性はオシメルチニブ耐性例で示されている。今回は、オシメルチニブとプラチナベース化学療法による後治療などの標準治療全体に耐性のEGFR陽性NSCLCに対する同レジメンを評価したCHRYSALIS-2試験の拡大コホートAのアップデート結果である。・対象:拡大コホートAに登録された、オシメルチニブまたは第1/2世代EGFR-TKIとその後プラチナベース化学療法、あるいは強度の高い他の治療で進行したEGFR陽性(del19またはL858R)NCSLC(162例)・方法:amivantamab(最初の28日間は週1回、その後は2週に1回)+lazertinib連日投与した。・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DoR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、有害事象(AE)など 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は61.5歳、男性35%、66例、脳転移あり41%(未治療30例、既治療36例)。・前治療数中央値は3(オシメルチニブ→プラチナベース化学療法23%、第1/2世代EGFR-TKI→オシメルチニブ→プラチナベース化学療法42%、他治療35%)であった。・観察期間10.0ヵ月におけるORRは33%であった。・PFS中央値5.1ヵ月、OSの中央値14.8ヵ月、DoR中央値は9.6ヵ月であった。・AEはほとんどGrade1/2であり、毒性のために投与中断となった患者は57例(35%)、減量された患者は15例(9%)で、2剤とも投与を中止した患者は12例(7%)であった。安全性プロファイルは過去の報告と一致しており、新たな問題は示されなかった。

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amivantamabの METex14スキッピング非小細胞肺がん患者に対する効果(CHRYSALIS)/ASCO2022

 進行中の第I相試験(CHRYSALIS試験)のMETexon14 (METex14)スキッピング変異陽性患者を対象としたコホートのアップデート結果から、EGFRおよびMETを標的とした二重特異性抗体amivantamabは、METex14スキッピング変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対しても有用であることが示された。英国・マンチェスター大学のMatthew G. Krebs氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 amivantamabはプラチナベース化学療法後のEGFRexon20挿入変異陽性NSCLC患者に対して米国で承認されている。一方で、amivantamabはEGFR-MET二重特異性抗体であることから、CHRYSALIS試験ではMETex14スキッピング変異陽性対象としたコホートにおいても、その有効性が検討された。・対象:2022年4月11日までに、amivantamabの投与を受けたMETex14スキッピング変異陽性患者55例。・方法:amivantamabの投与量は第II相試験推奨用量である1回1,050mg(体重80kg以上の場合は1,400mg)とし、最初の4週間は週1回、その後5週目からは2週間1回の投与とした。・評価項目:第II相試験推奨用量における安全性と有効性 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおける患者の年齢中央値は70歳、58%が女性、10例(18%)に脳転移の既往があり、前治療数中央値は2であった。未治療患者が9例、既治療だがMET阻害薬の投与を受けていない患者が18例で、28例にMET阻害薬による治療歴があった。・有効性の評価が可能であった46例において、15例で部分奏効(PR)が認められ、奏効率(ORR)は33%であった。未治療患者では7例中4例にPRを認めORRは57%、既治療だがMET阻害薬の投与なしの患者は15例中7例でPRを認めORRは47%、MET阻害薬による治療歴のある患者は24例中4例でPRを認めORRは17%であった。・15例中11例で奏効が継続しており、このうち10例は6ヵ月以上続き、最長の継続期間は76週間となっている。・無増悪生存期間(PFS)の中央値は6.7ヵ月であった。・amivantamabの安全性プロファイルに関しては、これまでの臨床試験で得られたものと同様であった。

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KRAS G12C変異陽性NSCLCへのadagrasib、臨床的有効性示す/NEJM

 プラチナベースの化学療法と抗PD-1/抗PD-L1抗体による治療を受けたKRAS G12C変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して、経口adagrasibは、臨床的有効性を示し新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A. Janne氏らによる、進行固形がん患者を対象に行われている「KRYSTAL-1第I-II相試験」の一部である第II相コホート116例を対象とした検討の結果で、NEJM誌オンライン版2022年6月3日号で発表された。「KRYSTAL-1試験」の第I相-1b試験でKRAS G12C阻害薬adagrasibの臨床的活性および忍容可能な有害事象プロファイルは確認されていた。奏効率、奏効期間、無増悪生存などを検証 同試験第II相コホートでは、プラチナベースの化学療法と抗PD-1または抗PD-L1抗体による治療を受けたKRAS G12C変異陽性のNSCLC患者を対象に、adagrasib(600mg経口投与、1日2回)の投与を評価した。 主要評価項目は、盲検化された独立中央レビューで評価した客観的奏効(OR)。副次評価項目は、奏効期間、無増悪生存(PFS)、全生存(OS)および安全性などだった。奏効期間中央値は8.5ヵ月、無増悪生存期間は6.5ヵ月 2021年10月15日時点で、計116例の適格被験者がadagrasibによる治療を受けており(追跡期間中央値は12.9ヵ月)、うち98.3%が化学療法と免疫療法両方の既治療者だった。 ベースラインで測定可能病変のあった112例中、ORが認められたのは48例(42.9%)だった。奏効期間中央値は8.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.2~13.8)、PFS期間中央値は6.5ヵ月(4.7~8.4)だった。 2022年1月15日時点(追跡期間中央値:15.6ヵ月)で、OS中央値は12.6ヵ月(95%CI:9.2~19.2)だった。 中枢神経系統に安定した転移を認めた既治療患者33例において、頭蓋内OR率は33.3%(95%CI:18.0~51.8)だった。 治療関連の有害事象は97.4%で認められ、うちGrade1/2が52.6%、Grade3以上が44.8%(Grade5の2例を含む)報告された。投薬中止となった患者は6.9%だった。

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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNCSLC1次治療、3年フォローアップ(CheckMate 9LA) /ASCO2022

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法(NIVO+IPI+Chemo)の無作為化第III相CheckMate9LA試験の3年間の追跡で、同レジメンの生存ベネフィットが引き続き観察されている。スペイン・Universidad Complutense de MadridのLuis G. Paz-Ares氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で、解析結果を発表した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は最低36.1ヵ月であった(データカットオフ2022年2月15日)・3年全生存(OS)率はNIVO+IPI+Chemo群27%、化学療法(Chemo)群19%であった(HR:0.74、95%CI:0.62~0.87)。 ・PD-L1発現別の3年OS率は、PD-L1<1%では25%対15%(HR:0.67)、PD-L1≧1%では28%対19%(HR:0.74)、PD-L1 1~49%では26%対15%(HR:0.70)、PD-L1≧50%では33%対24%(HR:0.75)、といずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・全集団の3年無増悪生存率はNIVO+IPI+Chemo群13%、Chemo群5%であった。・全集団の奏効率はNIVO+IPI+Chemo群38%、Chemo群25%であった。・全集団の奏効期間中央値はNIVO+IPI+Chemo群12.4ヵ月、Chemo群5.6ヵ月であった。・探索的研究における遺伝子変異とOS解析の結果、KRAS、TP53、STK11、KEAP1いずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好な傾向だったが、遺伝子異常による違いは見られなかった。・3年追跡でも新たな安全性シグナルは確認されなかった。 発表者のPaz-Ares氏は、この結果は転移を有するNSCLCの1次治療の選択肢としてニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法を支持するものだと述べている。

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NSCLC1次治療のNIVO+ IPI、5年生存は24%(CheckMate 227)/ASCO2022

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのニボルマブとイピリムマブ(NIVO+IPI)の併用療法は、PD-L1の発現状態を問わず、化学療法と比較して長期的な生存効果を示すことがCheckMate 227試験の5年間追跡結果から示された。この結果は米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)において、米国・Johns Hopkins Kimmel Cancer CenterのJulie R. Brahmer氏が発表した。CheckMate 227試験の5年追跡結果でNIVO+IPI群でのOS改善が継続 CheckMate 227試験の主な5年間追跡結果は以下のとおり。・最小フォローアップは61.3ヵ月であった(データカットオフ2022年2月15日)。・PD-L1≧1%は1189例、PD-L1

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終末期やACPのこと、いつ・どこまで話し合う?【非専門医のための緩和ケアTips】第29回

第29回 終末期やACPのこと、いつ・どこまで話し合う?緩和ケアに関する幅広い話題について考える本シリーズですが、今回は緩和ケアと切り離せない「対話」の話題です。やってみると難しいものですが、一緒に考えてみましょう。今日の質問高齢者が多く通院するクリニックの外来と訪問診療を担当しています。早めに先々のことを話し合うことが大切と考え、積極的に提案しています。ただ、蘇生措置拒否(DNR)のことなどを話すとびっくりされてしまいます。本人のことですし、大切なことだと思うのですが。どこまで話をするべきなのでしょうか?アドバンス・ケア・プランニング(ACP)といわれる、将来に備えた医療やケアについての話し合いを実践されているのですね。それ自体、非常に重要な取り組みですね。でもやってみると、必ず突き当たる難しさがあります。その一つが、今回の質問にある「どこまで話し合うか」問題です。これはACPの本質に関わる、難しい質問です。患者さんからすると、急に「病状が進行したときのことを話し合いましょう」と言われても、びっくりしてしまいますよね。この問題に対応するには、コミュニケーションスキルが重要です。重要なのは「いきなり本題に入らない」こと。軽く前置きを入れ、相手の状況を把握することから始めましょう。話すことについて少し心構えを促す、といったイメージです。私がよく使うのは、「少しびっくりさせてしまうかもしれませんが、先々のことについて、私が心配していることを相談させていただけますか?」といった前置きです。患者さんを中心に置きつつも、あまり自分ごととして考えられていない場面も多いので、「医師である私が心配していることを話させてもらう」といったように伝えるのです。さらに、重要なのはここからです。患者さんの表情をよく観察しましょう。心配そうな場合は、「これまでこうした話し合いはしたことがありますか?」とつなげ、説明よりもまずは対話を優先します。こう説明すると、「それじゃあ、ACPは長年診療している患者さんにしかできないじゃないですか」と心配されます。もちろん、長いお付き合いの方がやりやすい部分は多いですが、前述したような対話の工夫をすることで、お付き合いの浅い患者さんでもスムーズに話を進められます。そして、ACPを実践する医療者の方に知っていただきたい言葉が、「二歩先を見て、一歩先を照らす」です。私たち医療者は医学知識を持ち、同じ疾患を持った患者・家族と多く話し合ってきたプロですから、その患者さんの何歩も先を予想できます。しかし、患者さんは自分の一歩先がどうなるかがわからず、多くの方が不安を抱えています。そのため、私たちがずっと先の話をすると、「そんなことは想像してなかった」とショックを受けるのです。医療者は「少なくとも二歩先」を見据えながらも、患者さんとは「一歩先」を話し合うことの心構えが大切で、これを「二歩先を見て、一歩先を照らす」と表現しています。一歩の歩幅は人それぞれです。今回の質問のように、「目の前の患者さんとどこまで話し合うのがいいのか」と迷った際は、「患者さんにとっての一歩先」を考えてみるとよいでしょう。今回のTips今回のTipsどこまで話すかは相手次第。切迫していない状況であれば、相手にとっての「一歩先」を探ってみよう。

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F1CDx 、非小細胞肺がんと悪性黒色腫の4薬剤のコンパニオン診断追加承認/中外

 中外製薬は2022年6月3日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」について、チロシンキナーゼ阻害薬ダコミチニブ(製品名:ビジンプロ)およびブリグチニブ(製品名:アルンブリグ)の非小細胞肺がん、ならびにBRAF阻害薬エンコラフェニブ(製品名:ビラフトビ)およびMEK阻害薬ビニメチニブ(製品名:メクトビ)の悪性黒色腫の適応に対するコンパニオン診断として、6月2日に厚生労働省より承認を取得した。 下線部が今回の追加適応・活性型EGFR遺伝子変異非小細胞肺がん:アファチニブマレイン酸塩、エルロチニブ塩酸塩、ゲフィチニブ、オシメルチニブメシル酸塩、ダコミチニブ水和物・EGFRエクソン20 T790M 変異:オシメルチニブメシル酸塩・ALK融合遺伝子:アレクチニブ塩酸塩、クリゾチニブ、セリチニブ、ブリグチニブ・ROS1融合遺伝子:エヌトレクチニブ・METエクソン14スキッピング変異:カプマチニブ塩酸塩水和物・BRAF V600Eおよび V600K変異:悪性黒色腫 ダブラフェニブメシル酸塩、トラメチニブジメチルスルホキシド付加物、ベムラフェニブ、エンコラフェニブ、ビニメチニブ・HER2遺伝子増幅陽性乳がん:トラスツズマブ・KRAS/NRAS野生型結腸・直腸がん:セツキシマブ、パニツムマブ・高頻度マイクロサテライト不安定性結腸・直腸がん:ニボルマブ・高頻度マイクロサテライト不安定性固形がん:ペムブロリズマブ・腫瘍遺伝子変異量高スコア固形がん:ペムブロリズマブ・NTRK1/2/3融合遺伝子固形がん:エヌトレクチニブ、ラロトレクチニブ硫酸塩・BRCA1/2遺伝子変異卵巣がん:オラパリブ・BRCA1/2遺伝子変異 前立腺がん:オラパリブ・FGFR2融合遺伝子 胆道がん:ペミガチニブ

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ASCO2022スタート!注目演題を特設サイトでチェック

 6月3日~7日(現地時間)まで、世界最大の腫瘍学会であるASCO2022(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催される。新型コロナ感染拡大の影響でにより、2年間オンラインのみの開催だったが、今年のASCO2022は久しぶりに現地に世界のオンコロジストが集うこととなり、各種カンファレンスや交流会なども多く企画されている。ASCO2022の注目演題を複数のエキスパートが選定 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)では、ASCO2022のスタートにあわせ、数千を超す演題の中から、複数のエキスパートが選定した「注目演題」をピックアップ。ASCO2022期間中にオープンする特設サイトにおいて、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」「血液がん」のがん種別に、コメントとともに紹介している。 ASCO2022終了後は、視聴レポートやまとめ記事なども続々アップしていく予定だ。Doctors’Picks ASCO2022特設サイトDoctors’Picks【医師会員限定】

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アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後補助療法が承認/中外

 中外製薬は2022年5月26日、アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)について、「PD-L1陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に対する適応追加の承認を取得した。 PD-L1発現状況の確認は、ロシュ・ダイアグノスティックスの病理検査用キット「ベンタナ OptiView PD-L1(SP263)」によって行う。同検査用キットはコンパニオン診断として2022年5月23日に適応追加の承認を取得している。 今回の承認は、非小細胞肺がんの術後補助療法における第III相臨床試験IMpower010試験の成績に基づいている。同試験は、腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現しているII期~IIIA期の非小細胞肺がんの手術および化学療法を実施後の患者において、支持療法と比較して、アテゾリズマブによる治療が再発または死亡のリスク(無病生存期間、DFS)を34%低下させた(ハザード比:0.66、95%信頼区間:0.50~0.88)。主な副作用(5%以上)は、甲状腺機能低下症、そう痒症、発疹、AST増加、ALT増加、甲状腺機能亢進症、発熱、関節痛等であった。■関連記事アテゾリズマブによるNSCLCアジュバント アジア人の成績(IMpower010)/日本臨床腫瘍学会免疫治療薬による非小細胞肺がん術後アジュバント「IMpower010」アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後アジュバントが米国で承認/ロシュアテゾリズマブによるNSCLCアジュバントの成績は?(IMpower010)/ASCO2021

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オピオイドの換算表を見たことありますか?【非専門医のための緩和ケアTips】第28回

第28回 オピオイドの換算表を見たことありますか?投与経路を変更する際は、投与量の調整が必要になります。今回はオピオイドを調整する際の「山場」となる、この投与量変更について解説しましょう。今日の質問モルヒネを内服していたがん患者さんが、腸閉塞を起こして内服ができなくなってしまいました。オピオイドって急に投与中止するのは良くないですよね? そうなると投与経路を変更した方がいいと思うのですが、こうした場合、どう対応すればよいのでしょうか?緩和ケアを実践していくうえでは、腸閉塞や呼吸困難の増悪、看取りが近くなり意識の悪化がみられる…といったさまざまな理由で、オピオイドが内服できなることがあります。こうした場合には投与経路を変更する必要があります。今回の質問の状況では、モルヒネの内服が難しいとのことなので、投与経路だけの変更であれば、モルヒネの注射薬に変更する対応となります。注射薬は病院では持続静脈注射で投与することが多く、緩和ケア病棟や在宅では持続皮下投与が好まれます。注射薬に変更する際の投与量は注意が必要です。内服量をそのまま注射で投与すると、過剰投与になってしまいます。そこで必要になるのが換算表です。換算表とは、オピオイドの種類や投与経路を変更した際に、同じだけの効果を期待できる投与量を換算した表です。日本緩和医療学会が公開している「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」では、たとえばモルヒネの場合、「静脈内投与・皮下投与であれば10~15mg、経口投与であれば30mg、直腸内投与であれば20mg」といったように薬剤ごとの換算表が示されています。「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」/換算表は59頁換算表はインターネット上でも多く公開されているので、使いやすいものを探してみましょう。換算比はある程度幅があるため、換算表によって多少の違いがあります。さらに患者さんの体格や肝腎機能によっても適切な投与量は異なるので、換算表はあくまでも目安であることにも留意してください。今回の患者さんで、モルヒネを経口から静脈内投与もしくは皮下投与に変更する場合は、投与量をおよそ半分に減らす必要があります。このあたり、何度も対応していれば自然と慣れますが、慣れていない方は、きちんと換算表で確認することや薬剤師と相談することをお勧めします。以前、研修医に「この患者さん、経口投与ができなくなったとしたら、何を、どのくらいの量、どの投与経路に変更する?」と聞いたら、ずいぶん多い投与量の回答が返ってきました。確認すると、一桁間違って計算したせいで10倍の投与量になっていたのです。10倍量を投与するのはさすがに危険です。慣れていないとこうしたことが起こるので、慎重に対応しましょう。今回のTips今回のTipsオピオイドスイッチングの際は、換算表を使って丁寧に計算しましょう。

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NCCPの原因はしっかり鑑別したい【知って得する!?医療略語】第12回

第12回 NCCPの原因はしっかり鑑別したいNCCPという胸痛があるのですか?そうなのです。循環器疾患が否定的な胸痛を非心臓性胸痛と言い、NCCP(non-cardiac chest pain)と表現します。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】NCCP【日本語】非心臓性胸痛【英字】non-cardiac chest pain【分野】救急【診療科】消化器科・総合診療科【関連】心臓性胸痛(CCP:cardiac chest pain)実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。筆者が研修医の頃、「非特異的胸痛」という言葉をよく耳にしました。当時、「非特異的胸痛」は 心臓由来の痛みではない胸痛の患者さんに多く使用されていた印象でした。この「非特異的胸痛」という言葉に、心臓由来の胸痛の可能性が残っているのか否か、その定義に曖昧さがあり、個人的にはあまりしっくりきませんでした。しかし、近年は大動脈疾患を含む心臓性胸痛(CCP:Cardiac chest pain)が否定的な胸痛を「非心臓性胸痛(NCCP:non-cardiac chest pain)」と表現するようになっています。2019年に発表された三輪氏のNCCPに関する実態調査報告1)によれば、「胸痛症状で医療機関の受診者のうち、NCCPが7割に及んだ」と報告されています。臨床現場で悩ましいのは、いざ心臓性胸痛が否定的なときのNCCPの原因です。NCCPの原因について論文を検索すると、消化器疾患の論文が多く、筆者自身も消化器疾患、とくに胃食道逆流症(GERD)や食道痙攣の消化器疾患を想起しがちでした。しかし、2008年の谷村氏らの報告2)によれば、非心臓性胸痛における逆流性食道炎の頻度は2.5%と決して多くはなかったことが示唆されています。また、同論文ではNCCP40名の胸痛の原因を以下のように報告しています。【非心臓性胸痛の鑑別内訳】論文2より引用改変◆消化器疾患2例(GERD・食道がん)◆呼吸器疾患18例(肺炎・胸膜炎・肺がん・がん性胸膜炎・自然気胸・肺動脈血栓症)◆筋骨格  5例(肋間神経痛・筋肉痛)◆精神疾患 8例◆原因不明 7例近年は、非びらん性胃食道逆流症(NERD:non-erosive reflux disease)の疾患概念もありますので、NCCPに占める胃食道逆流症の割合は2.5%より多いかもしれません。しかし、いずれにしても心臓性胸痛が否定されNCCPと考えられる胸痛でも、ただちに消化器疾患だと鑑別を狭めず、肺動脈塞栓症や胸部悪性疾患のような重要疾患も想起し、鑑別していく必要があると考えます。1)科学研究費助成事業 研究成果報告書「わが国における非心臓性胸痛(NCCP)の実態調査とその病態の解明」2)谷村隆志ほか. 日消誌. 2008;105:54-59.保坂浩子ほか. medicina. 2017;54:852-855.藤野 雅史ほか. medicina. 2013;50:840-843.判田正典. 心身医学. 2010;50:923-930.

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