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オシメルチニブのNSCLCアジュバント、日本人でも有効(ADAURA)/日本肺癌学会

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの術後補助療法は、日本人においても有効で、グローバルと同等の成績を示した。 第63回日本肺癌学会学術集会で、神奈川県立がんセンターの加藤晃史氏が、オシメルチニブ術後補助療法の第III相試験ADAURAの日本人サブセットを発表している。 この結果は、ESMO2022で示された第3回のカットオフの結果の中から日本人サブセット99例を解析したもの。ただし、日本人は層別化因子(アジア人は層別化因子)ではないため、患者背景に若干のばらつきがある。また、日本ではStageIBの術後補助療法の標準療法としてUFTが推奨されているため、StageIBのプラセボ比較は行われていない点がグローバルとは異なる。試験デザインは関連記事参照。 主な結果は以下のとおり。・StageII~IIIAの日本人サブセットの無病生存率(DFS)中央値は、オシメルチニブ群では未到達、プラセボ群では27.8ヵ月で、ハザード比(HR)は0.25(95%CI:0.14~0.44)であった。この結果はグローバルと同等の成績(グローバルのHRは0.23)である。・日本人の3年DFS率はそれぞれ85%と37%、4年DFS率は75%と31%であった。・DFSのサブグループはすべての項目で、オシメルチニブが良好であった。・再発なしは、オシメルチニブ群72%に対し、プラセボ群は32%であった。局所のみの再発はそれぞれ9%と26%、遠隔のみの再発は20%と38%、局所と遠隔双方の再発は0%と4%で、いずれもオシメルチニブ群で少なかった。・Grade3以上の治療関連有害事象は、オシメルチニブ群の15%、プラセボ群の6%に発現したが、死亡は両群とも認められていない。・間質性肺疾患はオシメルチニブ群の13%(6例、4例のGrade1と2例のGrade2)に発現した。 発表者の加藤氏は、これらの結果は、オシメルチニブの術後補助療法は日本人においても、効果的な治療であることを支持していると結んだ。■関連記事オシメルチニブのEGFR陽性アジュバント、3.6年で5.5年の無再発生存(ADAURA)/ESMO2022オシメルチニブのEGFR変異陽性肺がん術後補助療法が国内承認/アストラゼネカEGFR変異NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブでDFS改善(ADAURA)/NEJMEGFR陽性肺がんに対するオシメルチニブのアジュバント:ADAURA study【肺がんインタビュー】

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心不全患者の緩和ケアの特徴は?【非専門医のための緩和ケアTips】第41回

第41回 心不全患者の緩和ケアの特徴は?非がん疾患の緩和ケアが注目されるようになり、いち早く保険収載された心不全患者の緩和ケア。がん患者に対する緩和ケアの経験をもとに、心不全の緩和ケアにもぜひ取り組んでいただきたいのですが、そこには疾患特性を意識した工夫も必要になります。今回は心不全の緩和ケアに関する特徴について考えていきます。今日の質問訪問診療をしていると、がんよりもむしろ、非がん疾患の患者さんの終末期に対応する機会が多くあります。中でも終末期心不全患者が今後増えていくと聞きました。心不全患者の緩和ケアについて、注意すべき点は何でしょうか?今回の質問にあるように、在宅医療の緩和ケアでは非がん疾患への対応が非常に多くなります。繰り返す誤嚥性肺炎や進行した認知症、神経難病などさまざまな疾患がある中でも、近年は心不全の緩和ケアが注目されています。「心不全パンデミック」って聞いたことがあるでしょうか? これは高齢化に伴い、心不全患者が非常に多くなることを意味しています(かつては私も講演などでよく使っていた用語ですが、新型コロナウイルスのパンデミックと誤解されそうなため最近はあまり使っていません)。高齢化に直面する地域の多くで心不全患者の増加が予想されます。都市部や地方などそれぞれの状況によっても変わりますが、ご自身の地域の医療計画などを参考に、心構えをしましょう。さて、心不全の緩和ケアにおいて意識するべきことは何でしょうか? 私が最も特徴的だと感じるのは、「増悪寛解を繰り返し、可逆性の判断が難しい」という点です。つまり、「治療の効果がどの程度見込まれるか、事前に判断しにくい」のです。心不全患者はしばしば急性増悪が生じますが、そうしたタイミングでは呼吸困難を中心とした症状も強く、静脈薬の投与も要するために入院が必要になります。軽症であれば在宅での治療もある程度まで可能ですが、血行動態に作用する薬剤を使ったり経過が時間単位で推移したりするため、入院を勧めることが多いでしょう。ここがポイントです。心不全患者の終末期は、在宅医療といった特定の療養の場で完結せず、地域の入院医療機関との連携が重要になるのです。皆さん、急性期病院で急性心不全患者の入院を担当する部門と連携体制をつくっているでしょうか?こうした連携では「顔の見える関係」の重要性が言われます。在宅医療だけでは完結しない特性を持つ慢性疾患、とくに増悪時には急性期医療機関でないと対応しにくいのが心不全の終末期であり、心不全の緩和ケアは地域レベルでの連携構築が大切な分野です。そこを意識した行動をぜひ考えてみてください。具体的にお勧めしたいのが、患者さんを紹介する際などに電話で直接やり取りすることです。新型コロナウイルスの流行前であれば、地域連携を意識した勉強会などもよく開催されていましたが、今は少し自発的な行動が必要でしょう。皆さんの工夫もぜひ教えてください。今回のTips今回のTips心不全の緩和ケアでは、増悪寛解を繰り返す疾患特性があり、急性期病院との連携が必要となることを知りましょう。

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EGFR陽性T790M陰性NSCLCに対するオシメルチニブの2次治療は有効(WJOG12819L/KISEKI)/日本肺癌学会

 第1/2世代EGFR-TKIで増悪したEGFR陽性T70M陰性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、オシメルチニブの2次治療が有効性を示した。 第1/2世代EGFR-TKIのPD症例に対するオシメルチニブの2次治療は、T790M変異陽性例にのみ適用できる。反面、残りの半数のT709M陰性例は、オシメルチニブによる治療の恩恵を受けることができないのが現状である。 そのような中、第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ化学療法耐性のEGFR陽性T70M陰性NSCLCに対するオシメルチニブ2次治療を評価するWJOG12819L/KISEKI試験が行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、奈良県立医科大学の武田真幸氏が、同試験の初回解析結果を発表した。なお、この試験は、わが国初の患者提案型医師主導試験である。 今回の解析は第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ化学療法後PDとなった症例(T790M陰性)を対象にしたコホート2のみであった。同コホートの主要評価項目は中央判定委員会による奏効割合(RR)で、95%信頼区間(CI)の下限が9%を上回ることを基準とした。 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目である中央判定のRRは29.1%、95%CIは17.6〜42.9と、予め設定した閾値を上回り、主要評価項目を達成した。・無増悪生存期間中央値は4.07ヵ月、全生存期間は13.73ヵ月であった。・Grade3以上の有害事象は32.7%に発現したが、すべて既知のもので管理可能であった。 発表者の武田氏は、「この試験で第1/2世代EGFR-TKIで増悪したEGFR陽性T70M陰性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性が示された。ただし、試験のLimitationとして症例数が限定されているため、標準治療であるドセタキセル±ラムシルマブよりも有益か否かは検証できない」と述べている。

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既治療のNSCLCに対するアテゾリズマブ単剤のリアルワールドデータ(J-TAIL)/日本肺癌学会

 既治療の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブの単剤療法は、実臨床においても開発治験と同様の臨床効果を示すことが明らかとなった。 既治療の切除不能NSCLCにおいて、ドセタキセルに対し優越性を示したOAK試験の結果に基づき、アテゾリズマブの単剤療法は2次治療以降の治療選択肢となっている。しかし、開発治験における日本人データは限定されており、日常臨床での再現性は明らかではない。 そこで、日本の実臨床における同レジメンの安全性と有効性を検討する前向き試験J-TAILが行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、松坂市民病院の畑地治氏がJ-TAIL試験の最終解析を発表した。 対象はわが国の169施設で登録され、2次治療以降にアテゾリズマブを投与された切除不能NSCLC患者1,000例超。主要評価項目は18ヵ月生存(OS)率、副次評価項目にはOS、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性などが設定された。AOK試験の適格患者(OAK-like)と非適格患者(OAK-unlike)に分けて解析している。 主な結果は以下のとおり。・全体で1,039例が登録され、安全性解析対象は1,002例、有効性解析対象(FAS)は1,000例であった。・登録患者にはPS2(10.7%)、PS3/4(1.4%)といった開発治験除外症例も含まれ、喫煙歴ありも75.6%含まれた。・主要評価項目である18ヵ月OS率は41.1%で、OAK試験の40.0%と同等の成績であった。・OS中央値はFAS全体で13.0ヵ月、OAK-like患者では17.7ヵ月、OAK-unlike患者では11.1ヵ月で、OAK-likeが最も良好であった。・PFS中央値はFAS全体で2.1%、OAK-like患者では2.6ヵ月、OAK-unlike患者では2.1ヵ月であった。・PD-L1発現と予後の関係をみると、OAK-like患者ではOS、PFSともPD-L1高発現で延長していたが、OAK-unlike患者ではPD-L1発現レベルとの関連は見られなかった。・ORRはFAS全体で8.8%、OAK-like患者では10.9%、OAK-unlike患者では7.5%で、OAK-likeが最も良好であった。・Grade3/4の有害事象(AE)は18.0%、Grade3/4の免疫関連AEは7.4%で報告されている。 アテゾリズマブ単剤によるNSCLCの2次治療は、実臨床でもOAK試験と遜色ない結果を示した。しかし、OAK-likeとOAK-unlike患者で予後は異なる傾向であった。また、OAK-unlikeにおいてはPD-L1発現と予後の間に関連は示されていない。

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肺がん術後、患者の想いと医師の想い【肺がんインタビュー】 第89回

第89回 肺がん術後、患者の想いと医師の想い出演:岡田 守人氏(広島大学 腫瘍外科)   田丸 弥生氏(肺がん患者会 ワンステップしゃちほこ)司会:笠井 信輔氏(フリーアナウンサー)手術後のがん患者は再発を懸念し、医師は介入による害を懸念する。アテゾリズマブ、オシメルチニブという新たな薬剤の術後補助療法が承認されたこの機会に、切除後の肺がん患者の意識について両者の想いの違いや対応策を、患者と医師で議論していただいた。

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【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来~前編

【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来<前編>医師が行う”がん教育”、実際どのように授業を行っているのか?佐々木 治一郎氏(北里大学)、笠井 信輔氏(フリーアナウンサー)出演の特別インタビュー企画<前編>。

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【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来~中編

【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来<中編>”がん教育”で実現できること、医師が携わることの意義とは?佐々木 治一郎氏(北里大学)、笠井 信輔氏(フリーアナウンサー)出演の特別インタビュー企画<中編>。

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Dr.光冨の肺がんキーワード解説「BRAF」【肺がんインタビュー】 第88回

第88回 Dr.光冨の肺がんキーワード解説「BRAF」肺がんではさまざまなドライバー変異が解明されている。それに伴い、種々の標的治療薬が登場する。それら最新の情報の中から、臨床家が知っておくべき基本情報を近畿大学の光冨徹哉氏が解説する。

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お薦めのマニュアル本を紹介します【非専門医のための緩和ケアTips】第40回

第40回 お薦めのマニュアル本を紹介しますここ数年で緩和ケアに関連した書籍が一気に増えました。これに併せて「どの本が自分に合うのかわからない」という声も聞きます。日本語で書かれた緩和ケアの本はほぼすべて目を通している私が、お薦めの「緩和ケア本」をご紹介します。今日の質問私は診療所で働いており、訪問診療で緩和ケアを必要とする場面が多いため、本を読んで勉強したいのですが、本が多過ぎて選べません。お薦めを教えてください。メ在宅での緩和ケアは多職種連携がより重要となるため、医師はもとより、看護師やリハビリスタッフも、ある程度の共通知識を持っておきたいものです。こんなケースでは、次の2点が重要です。1)多くの分野での現場対応を網羅症状緩和のような比較的緊急性の高い対応が求められる場面での、具体的な処方内容や注意点について記載されていることが大切です。多職種のスタッフが何冊も専門書を読むのは現実的ではないので、1冊で多くの分野を網羅していることも重要でしょう。2)持ち歩けるサイズ感在宅医療に従事される方であれば、診療所にいない時間のほうが多いでしょう。最近では電子版が出ているものも多いですが、やはり本の使いやすさもありますよね。ちょっとした時間にぱっと確認するためには、あまりかさばらないサイズが良いでしょう。そうした観点から、以下の本を推薦します。『緩和ケア ポケットマニュアル 改訂2版』(宇井 睦人著、南山堂)出版社サイト電子版サイトサイズ感的には一番扱いやすく、タイトルどおりポケットに入るサイズです。オピオイドなど、症状緩和に重要な薬剤の具体的な投与量も記載されており、慣れない薬を処方する際に現場で確認するのにぴったりです。『緩和ケアレジデントマニュアル 第2版』(森田 達也ほか監修、医学書院)出版社サイト電子版サイトおなじみ「レジデントマニュアル」シリーズの緩和ケア版です。このシリーズらしい網羅性の高さで、緩和ケアの教科書にあるトピックはほぼ網羅されています。ポケットに入れるには少し厚いので、カバンを持ち歩く方に。『がん治療医が本当に知りたかった緩和ケアのレシピ』(蓮尾 英明編集、倉田 宝保監修、メジカルビュー)出版社サイト電子版サイトまず、カバーデザインがかっこいい!がん患者のケアについて、痒い所に手が届く記載が多いのが特徴です。たとえば食事の工夫やリハビリテーション、コミュニケーションといったトピックについては、私も勉強になりました。「緩和ケアのマニュアル本」という観点で、ここ数年で発売された3冊をご紹介しました。初学者であればぱっと目を通してみて、ある程度経験のある方は確認用に手元に置いておくと便利ですよ。今回のTips今回のTips緩和ケアについてまず何か1冊! なら、手軽に使えるマニュアル本がお薦め。

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AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C変異肺がんのコンパニオン診断薬として承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2022年11月14日、AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルが、KRASG12C変異陽性に適応する薬剤のコンパニオン診断薬の承認を取得したと発表した。 これにより同製品は、がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん患者に対するソトラシブ(商品名:ルマケラス)の適応判定の補助に使用可能となる。 保険適用後の同製品は、EGFR、ALK、ROS1、BRAFV600E、METexon14スキッピング、KRASG12Cに関連する12種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能となる。

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「G-CSF適正使用ガイドライン 2022年版」海外ガイドラインの模倣ではなく、科学的な手法を徹底/日本癌治療学会

 がん薬物療法はさまざまな有害事象を伴うが、好中球減少は多くの薬剤で頻発する有害事象であり、時に重篤な感染症を引き起こし死に至ることもある。好中球減少と同時に発熱が生じる「発熱性好中球減少症(FN:Febrile Neutropenia)」を防ぐために使用されるのがG-CSF製剤である。 G-CSF製剤の適正使用に関しては、1994年にASCO(米国臨床腫瘍学会)がガイドラインを作成し、以来、改訂を重ねて、世界中で参照されている。2013年に刊行された「G-CSF適正使用ガイドライン第1版」は、ASCOのガイドラインと歩調を合わせる形で作成され、FNのリスクが高い場合には、G-CSFの「予防投与」を行うことが強く推奨された。日本では、G-CSFの予防投与は一部のがんを除いて保険適用となっておらず、FNが起きてから使う「治療投与」が主流であったが、そんな医療現場に一石を投じることになった。 そして2022年10月、大幅に改訂された「G-CSF適正使用ガイドライン 第2版」(日本癌治療学会・編)が刊行された。Web版としては4年ぶり、書籍版としては7年ぶりの改訂となる。4年に及ぶ改訂作業を率いた、G-CSF適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループ(WG)委員長の高野 利実氏(がん研有明病院 院長補佐)に改訂のポイントを聞いた。 「今回の改訂における最大の変更点は、『Minds診療ガイドライン作成の手引き』に準拠し、エビデンスに基づく評価を徹底したことです。世界的な潮流であり当然の決断ではあったのですが、がん種によっては、G-CSFのありなしを比較する研究があまりなく、推奨の決定に苦慮しました。『FN発症率20%を基準にG-CSF使用の是非を判断する』という前提が、ASCOのガイドライン等で採用されているのですが、このカットオフに明確な根拠はないため、私たちは、この前提から離れた上で、G-CSFの有用性を評価するために、がん種別にシステマティックレビューを行いました」 「作業は苦難の連続でしたが、WG委員とシステマティックレビューチームの総勢42名の4年間にわたる努力で、完成させることができました。推奨の強さが1(強い)となったクリニカル・クエスチョン(CQ)は少なく、『弱く推奨する』『有用性は明らかでない』という記述が多くなってしまいましたが、解説文では、G-CSFを使用することの益と害についてのレビュー結果を記載し、現場での判断に役立つように工夫しました」 「刊行前のパブリックコメントでは『ASCOやNCCNのガイドラインに倣うべきでは』『20%のカットオフの方が使いやすい』といった意見も寄せられましたが、『海外の権威』や『使いやすさ』に安易になびくよりも、科学的に妥当であることを重視しました。結果として、世界に類を見ない新しいガイドラインになりました。疾患によってはエビデンスが乏しいことも明らかになりましたので、これからは、新たなエビデンスを創出していく必要があると認識しています」『G-CSF適正使用ガイドライン 2022年10月改訂 第2版』編集/日本癌治療学会 発行/金原出版B5判 208ページ定価 3,520円(税込)

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PD-L1陽性NCSLCに対するペムブロリズマブ単剤1次治療の5年追跡結果(KEYNOTE-042)/JCO

 PD-L1陽性の進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE−042の5年追跡結果がJournal of Clinical Oncology誌で発表された。ペムブロリズマブ単剤の1次治療は、5年後も化学療法と比較して持続的に臨床的利益を示すことが明らかになった。 試験デザインは関連記事参照 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は 61.1ヵ月であった。・OSのハザード比はTPS≧50%で0.68(95%CI:0.57~0.81)、TPS≧20%で0.75(0.64~0.87)、TPS≧1%で0.79(0.70~0.89)で、PD-L1 レベルに関係なくペムブロリズマブ群で良好であった。 ・ペムブロリズマブ群の5年OS率は、TPS≧50%で21.9%、TPS≧20%で19.4%、TPS≧1%で16.6%であった。・ペムブロリズマブの35サイクル治療を完了した102例の客観的奏効率は84.3%であった。・新たな安全性プロファイルは確認されなかった。 筆者は、ペムブロリズマブ単剤によるPD-L1陽性の進行または転移を有するNSCLC1次治療は5年間の追跡調査後も臨床的利益を示し続けており、従来通り標準治療である、と結んでいる。

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大腸内視鏡検診が大腸がんおよび関連死亡のリスクに及ぼす影響(解説:上村直実氏)

 日本人のがんの中で罹患者数が最も多く、死亡者数でも胃がんを抜いて肺がんに次いで第2位となっている大腸がんの集団検診における大腸内視鏡検査(CS)の有用性を検討するために、欧州4ヵ国において施行された国際的多施設共同の無作為化比較試験(RCT)の結果がNEJM誌に発表された。 一般住民を対象としたRCTの結果、CSを勧奨された群(勧奨群)は通常診療群に比べて、10年以上追跡調査した後の大腸がん発症リスクがわずかに低下するものの大腸がんによる死亡リスクには差がなく、一見すると日本の常識からは考えにくい成績である。ただし、実際にCSを受けたのは勧奨群のうち42%のみであるが、勧奨者全員が実際にCSを受けた場合の効果を推定する調整分析では、大腸がんのリスクは1.22%から0.84%に、大腸がん関連死のリスクは0.30%から0.15%に減少することが追記されており、リスク低下のためにはCS受診率が重要であることが示されている。 欧米の研究結果を解釈する際、大腸の検査法に関する評価が日本と異なることを知っておく必要がある。欧米では全大腸を観察できるCSの有用性は評価されるものの、糞便検査やS状結腸鏡検査(SS)に比べて侵襲性が高く、患者への負担が大きく、より多くの臨床資源を必要とする短所が強調される傾向にあり、最近になってCSに置き換わりつつあるものの、長い間、米国の内視鏡検診の主流は負担の少ないSSであった。 検診の評価で最も重要な死亡率の低下に関する報告では、日本の大腸がん死亡率が年々増加しているのに対して、米国では近年、死亡率の低下を認めている事実が重要である。わが国における一般的な大腸がん検診は便潜血陽性者に対してCSを勧奨する方法であるが、便潜血の受診率は検診対象住民の20%前後であり、その中の5%程度とされる便潜血陽性者のうちCS受診率は約半数のみである。一方米国は、糞便検査もしくはCSを選択できる大腸がん検診受診率は70%である。すなわち、検診受診率が非常に低率であることが、日本における大腸がん死亡率が低下しない大きな要因と思われる。 本研究結果から学ぶべき点は、大腸内視鏡検査自体は大腸がんの発見に対して最も有効な検査法であるが、1次検診の受診率および精密検査受診率が非常に重要であることを数字で明らかにした点である。わが国の胃がん検診や大腸がん検診に内視鏡が導入されつつあるが、侵襲性をはじめとする受診者の負担や検査にかかる臨床資源を考慮した慎重な評価も重要であるが、なんといっても検診受診率の向上すなわち国民の意識改革と行政による政策の改善が必要と思われる。

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PEACEを受講しよう【非専門医のための緩和ケアTips】第39回

第39回 PEACEを受講しよう緩和ケアが広がるにつれて専門誌や書籍も増え、独学でも学びやすくなりました。一方で、緩和ケアは個別性が高かったりコミュニケーションの要素が多かったり、書籍だけでは学べない部分も多くあります。今回は、そうした部分が学べる研修会をご紹介します。今日の質問緩和ケアについて学ぶには、何をすればいいでしょうか? 緩和ケアの連携は地域の実情によって異なる部分も多く、そういった面を学ぶのは本だけでは難しく感じます。ご質問いただいた方の着眼点は素晴らしいですね。おっしゃるとおり、地域の医療機関同士の連携や、在宅療養への移行などの際には地域ごとに事情が異なります。こうした座学では学びにくい領域って、どのように学べばよいのでしょうか? そんな方にお薦めなのが、今回ご紹介する「PEACE」という研修会です。PEACEの正式名称は、「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会(Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education)」と長いため、PEACEの略称や単に「緩和ケア研修会」と呼ばれています。この研修会は、厚生労働省の委託事業として日本緩和医療学会と日本サイコオンコロジー学会がコンテンツを作成しています。事前学習としてE-learningを受講し、グループワークを含む集合研修に1日参加する、というのがその内容。対象は「がん等の診療に携わるすべての医師・歯科医師、緩和ケアに従事するその他の医療従事者」です。E-learning緩和ケア概論/全人的苦痛と包括的アセスメント/がん疼痛/呼吸困難/消化器症状/気持ちのつらさ/せん妄/コミュニケーション/療養場所の選択と地域連携/ACP、看取りのケア、家族・遺族のケアが必修コンテンツです。集合研修コミュニケーションのロールプレイ/全人的苦痛や症状緩和に関するケーススタディ/療養場所の選択と地域連携に関するケーススタディ/患者を支える仕組みについてのレクチャーといった、一人では学びにくいテーマのグループワークが中心です。がん拠点病院では、年に1回以上PEACEを開催することが施設要件になっているため、どの地域でも受講可能です。開催スケジュールは各都道府県の担当部署のサイトに公開されており、「都道府県名+緩和ケア講習会」などで検索すれば出てきます。地域の基幹病院の緩和ケアに関わる医療者と一緒に学ぶことは、連携構築の上での大きな機会となるでしょう。新型コロナの影響で集合研修をオンラインで開催するケースもあり、遠方でも参加しやすくなっています。少し注意が必要なのが内容の「レベル感」です。あくまでも基本的な緩和ケアについて学ぶ研修会であり、受講者の多くが初期研修医を含めた若手です。ベテランの方からすると少し簡単に感じられるかもしれません。一人では学べないことを学び、顔の見える関係をつくるための貴重な機会として、ぜひPEACEを活用してみてください。今回のTips今回のTips地域のがん拠点病院で開催されているPEACEを受講してみましょう。PEACEプロジェクトホームページ/日本緩和医療学会

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