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EU・英国の2023年がん死亡率、肺がんは減少も女性で増加の国あり/Ann Oncol

 イタリア・ミラノ大学のMatteo Malvezzi氏らは、欧州連合(EU)に加盟する27ヵ国全体および、EUのなかで人口が多い5ヵ国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド)、英国の2023年のがん死亡率の予測を発表した。本調査は毎年実施され、2023年の重点調査は肺がんとされた。EU加盟27ヵ国における2023年のがん死亡率は、2018年と比べて男性では6.5%、女性では3.7%減少すると予測された。また、EU加盟27ヵ国における2023年の肺がんによる死亡率は、2018年と比べて男性では10.2%減少すると予測されたが、女性では1.2%増加すると予測された。本調査結果は、Annals of Oncology誌オンライン版2023年3月5日号に掲載された。 1970~2018年における、EU加盟27ヵ国および英国の死亡に関するデータ(イタリアは2017年まで、フランスは2016年まで)について、世界保健機関(WHO)のデータベースを用いて検索し、最も一般的な10種のがん(胃がん、大腸がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、子宮がん[頸部および体部]、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、白血病)およびすべてのがんによる死亡数を調査した。2023年のがん死亡率の予測にあたり、予測人口はEU統計局(Eurostat)のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。・EU加盟27ヵ国における2023年のがん死亡数は126万1,990人と予測された。年齢調整死亡率(ASR)は、男性123.8人/10万人(2018年と比べて6.5%減少)、女性79.3人/10万人(同3.7%減少)であった。・EU加盟27ヵ国では、がん死亡率のピークであった1988年と比べて、1989~2023年の期間に約586万2,600人のがん死亡が回避されたと推定された。・EU加盟27ヵ国では、ほとんどのがん種において2023年のASRは2018年と比べて、良好な減少傾向が示された。しかし例外として、膵臓がんは男性で0.2%の減少にとどまり、女性では3.4%増加すると予測された。また、肺がんは女性において1.2%増加すると予測された。・英国では、すべてのがん種において2023年のASRは2018年と比べて、男女ともに減少すると予測された。・重点調査とした肺がんについて、2023年のASRと2015~19年のASRを比べた結果、EU加盟27ヵ国において男性では全年齢層で減少が予測され、女性では若年層(25~44歳)で35.8%の減少(ASR:0.8人/10万人)、中年層(45~64歳)で7.0%の減少(ASR:31.2人/10万人)が予測されたが、高齢層(65歳以上)では10%の増加(65~74歳のASR:102.2人/10万人、75歳以上のASR:118.2人/10万人)が予測された。・肺がんについて、国別に2023年のASRと2015~19年のASRを比べた結果、フランス、イタリア、スペインにおいて女性のASRの増加が予測された(それぞれ13.9%、5.6%、5.0%増加)。 また、EU加盟27ヵ国における男女別にみた、各がんの2023年のASRの予測値と2018年からの変化率は以下のとおり。【男性のASR(人/10万人)、変化率】肺がん:29.76、-10.24%大腸がん:14.65、-5.46%前立腺がん:9.49、-6.52%膵臓がん:8.19、-0.17%胃がん:5.27、-12.66%膀胱がん:4.32、-9.73%白血病:3.65、-12.61%全がん:123.75、-6.45%【女性のASR(人/10万人)、変化率】肺がん:13.63、+1.15%乳がん:13.58、-4.63%大腸がん:8.11、-8.70%膵臓がん:5.88、+3.39%子宮がん(頸部および体部):4.61、-4.56%卵巣がん:4.26、-6.94%胃がん:2.29、-18.84%白血病:2.18、-12.91%膀胱がん:1.10、-0.37%全がん:79.31、-3.72%

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治療前の抗菌薬で免疫チェックポイント阻害薬の有効性が低下/JCO

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療前の抗菌薬曝露は、腸内細菌叢の変化を通じて転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、大規模な評価は不足している。ICI開始前の抗菌薬が全生存期間(OS)に与える影響を評価したカナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのLawson Eng氏らによるレトロスペクティブ・コホート研究の結果が、 Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年2月24日号に掲載された。 著者らは、カナダのオンタリオ州で2012年6月~2018年10月にICIによる治療を開始した65歳以上のがん患者を、全身療法投与データを用いて特定した。このコホートをICI治療の1年前と60日前の両方における抗菌薬の処方請求データを得るためにほかの医療データベースとリンクし、多変量Coxモデルにより曝露とOSの関連性を評価した。患者のがん種は肺がんが最多(53%)、メラノーマ(34%)、腎臓がん、膀胱がんがそれに続いた。ICIはニボルマブとペムブロリズマブが一般的だった。 主な結果は以下のとおり。・ICIを投与されたがん患者2,737例のうち、ICI治療の1年前に59%、60日前に19%が抗菌薬を投与されていた。・OSの中央値は306日であった。ICI投与前1年以内のあらゆる抗菌薬への曝露はOSの悪化と関連していた(調整ハザード比[aHR]:1.12、95%信頼区間[CI]:1.12~1.23、p=0.03)。・抗菌薬のクラス解析では、ICI投与前1年以内(aHR:1.26、95%CI:1.13~1.40、p<0.001)または60日以内のフルオロキノロン系抗菌薬への曝露(aHR:1.20、95%CI:0.99~1.45、p=0.06)はOSの悪化と関連しており、1年間の総被曝週数(aHR:1.07/週、95%CI:1.03~1.11、p<0.001)および60日(aHR:1.12/週、95%CI:1.03~1.23、p=0.01)に基づいて用量効果がみられた。 著者らは「ICI治療前の抗菌薬、とくにフルオロキノロン系抗菌薬への曝露が高齢のがん患者のOS悪化と関連していた。ICI治療前の抗菌薬への曝露の制限、もしくは腸内細菌叢を変化させ免疫原性を高めることを目的とした介入が、ICIを受ける患者の転帰を改善するのに役立つ可能性がある」としている。

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EGFR陽性NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブがOS延長(ADAURA試験)/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相試験(ADAURA試験)において、EGFR遺伝子変異陽性の病理病期IB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する完全切除後の補助療法としてのオシメルチニブの投与により、全生存期間(OS)が有意に改善したことを2023年3月10日のプレスリリースで発表した。 ADAURA試験でオシメルチニブがEGFR陽性NSCLC術後補助療法でOS改善 国際共同第III相比較試験ADAURA試験は、EGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)の病理病期IB~IIIAのNSCLC患者のうち、腫瘍が完全切除された患者を対象とした試験。術後補助療法として、オシメルチニブ80mg/日を投与する群(オシメルチニブ群)とプラセボを投与する群(プラセボ群)に1:1の割合で無作為に割り付け、最大3年間投与した(両群とも術後化学療法の使用は許容された)。なお、再発したプラセボ群の患者は非盲検下でオシメルチニブの投与を可能とした。主要評価項目は、病理病期II/IIIA患者の無病生存期間(DFS)であり、副次評価項目は、全集団(病理病期IB~IIIA)におけるDFS、OSなどであった。 本発表では、ADAURA試験の主要な副次評価項目であるOSがオシメルチニブ群においてプラセボ群と比べて有意な改善を示し、かつ臨床的意義のある改善であったことが示されたとしている。なお、主解析においてDFSが統計学的有意かつ臨床的意義のある改善を示したことが報告されており、追跡調査ではDFSの中央値が約5.5年であったことが報告されている。ADAURA試験の結果詳細は、今後学会で発表される予定とのことである。 肺癌診療ガイドライン2022年版では、「CQ30. EGFR遺伝子変異陽性の術後病理病期II~IIIA期(第8版)完全切除例に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬は勧められるか?」について、EGFRチロシンキナーゼ(EGFR-TKI)による術後化学療法がOSの延長を示した試験結果は報告されていないことなどを理由として、推奨度決定不能としていた。■関連記事高リスク早期乳がんでの術後内分泌療法+アベマシクリブ、高齢患者でも有用(monarchE)/ASCO2023

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telisotuzumab vedotinが先駆的医薬品の対象に/アッヴィ

 2023年3月7日、アッヴィは非小細胞肺がん治療薬として同社が開発中の抗体薬物複合体(ADC)telisotuzumab vedotinが、厚生労働省より「先駆的医薬品指定制度」の対象品目に指定されたと発表した。  telisotuzumab vedotinは、がん細胞表面で発現する、細胞表面受容体c-Metを特異的標的とするADCである。c-Metの過剰発現は予後不良だが、その標的治療法は現時点で確立されていない。

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肺がんCGPパネルで結びついた新たな治療【肺がんインタビュー】 第94回

第94回 肺がんCGPパネルで結びついた新たな治療肺がんにおける包括的遺伝子プロファイリング(CGP)パネル検査は、見落とされたドライバー変異や遺伝子異常を同定し、治療手段が尽きた症例と新たな治療を結びつける。Thoracic Cancer誌で発表された実例を筆頭著者である大阪国際がんセンターの國政 啓氏が解説する。参考Kunimasa K, et al. Thorac Cancer.2022;13:2970-2977.

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自宅でのお看取り、医師に必要な心構えは?【非専門医のための緩和ケアTips】第47回

第47回 自宅でのお看取り、医師に必要な心構えは?プライマリ・ケアの立場で在宅緩和ケアをしていると必ず遭遇するのが、自宅でのお看取りです。ご家族にとってはもちろん、在宅緩和ケアを支えてきた関係者にとっても重要な瞬間です。今日はご自宅での死亡確認について考えてみましょう。今日の質問私のクリニックでも訪問診療の患者さんが増え、まれに在宅看取りに対応するようになりました。病院での死亡確認は何度も経験してきましたが、ご自宅は雰囲気が違って慣れません。何か工夫すべきことはあるでしょうか?在宅でのお看取り、確かに病院と勝手が違う部分がありますよね。私も初めての在宅お看取りの経験を、今でも思い出します。お看取りに関する「病院と在宅の違い」を少し考えてみましょう。在宅でのお看取りは、訪問看護師から電話で「呼吸停止の連絡」が入ってご自宅に向かう、といったケースが多いでしょう。向かった先では、ご家族と訪問看護師が一緒に患者さんの様子を見守っています。このような場面で私が心掛けているのは、「医師がお看取りの主役にならない」ことです。在宅看取りの経験から感じるのは、自宅で過ごせるよう、ご本人はもちろん、家族も一緒に取り組んできた、ということです。さらに、訪問看護師や介護士、ケアマネジャーといった方々の濃密な支援にも支えられたことでしょう。そうした意味で、お看取りの主役は家族であり、ケアスタッフです。医師としてきちんと死亡確認はするものの、控えめに立ち振る舞うよう心掛けています。いろいろお声掛けしたい気持ちを抑え、「看護師さんがお体をきれいにするなど、最後のケアをしてくれますからね」とご家族に言って、死亡診断書を記載してさっと立ち去ります。在宅のお看取りに関して、印象深い話があります。私が在宅緩和ケアの初心者だったころに訪問看護師から聞いた話です。彼女は「お看取りした後のエンゼルケアって、あれは“処置”ではなく“ケア”なんですよね。一緒に頑張ってご自宅で過ごしてきた患者さんに対し、最後にさせてもらうケアなんです」と言っていました。この話を聞いて、在宅看取りはこういった想いを基盤としたケアに支えられて実現しているのだと感じました。それ以来、在宅療養を支える他職種が取り組んでいることや、そこにまつわる想いに関心を持つようになりました。亡くなる瞬間を多職種で支える、というのは病院でも在宅でも共通する部分です。ただ、在宅緩和ケアのほうが、より各職種が独立してケアを提供する場面が多いでしょう。お看取りの時にも、そんな各職種の役割や想いを意識しながら、その場で医師として求められる役割に応えていくことが大切なのだと思います。今回のTips今回のTips在宅でのお看取り、ご家族や他職種の想いを尊重し、医師は脇役に徹しましょう。

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肺がん減少の一方で乳がん・前立腺がんは増加/全米がん統計

 米国がん協会は、毎年米国における新たながんの罹患数と死亡数を推定して発表している。2023年の最新データがCA Cancer Journal for Clinicians誌2023年1/2月号に掲載された。発表されたデータによると、2023年に米国で新たにがんと診断される人は195万8,310人、がんによる死亡者は60万9,820人と予測されている。死亡者数が最も多いがん種は、男性は肺がん、前立腺がん、大腸がんの順で、女性は肺がん、乳がん、大腸がんの順であった。 がん罹患率は、がんリスクに関連する行動パターンと、がんスクリーニング検査の使用などの医療行為の変化の両方を反映する。たとえば、1990年代初頭の前立腺がんの罹患率(人口10万人当たり)の急増は、それ以前に検査を受けていなかった男性の間で前立腺特異抗原(PSA)検査が急速に広まった結果、無症候性前立腺がんの検出が急増したことを反映している。その後、高齢男性に対するPSA検査が推奨されなくなったことから罹患数は20年間減少を続けていたが、2014~19年には再度増加に転じ、2023年には9万9,000人の新規罹患者が予測されている。また、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種推進によって20代前半の女性の子宮頸がん発症率は2012年から2019年にかけて65%低下した。 全体としては、女性に比べて男性のほうが罹患率の傾向は良好だった。2015から2019年にかけての女性の肺がん罹患率の減少は男性の2分の1のペース(年1.1%対2.6%)であり、乳がんや子宮体がんの罹患率は増加を続けている。肝臓がんやメラノーマの罹患率は50歳以上の男性では安定、若年男性では減少した。結果として、性差は徐々に縮小し、がん全体の男女の罹患率比は1992年の1.59(95%信頼区間[CI]:1.57~1.61)から2019年には1.14(95%CI:1.14~1.15)まで低下した。ただし、この比率は年齢によって大きく異なり、20~49歳では女性が男性よりも約80%高い一方で、75歳以上では男性が約50%高かった。 2020年からはCOVID-19感染流行があったにもかかわらず、また他の主要な死因とは対照的に、がん死亡率は2000年代には年1.5%、2015~20年には年2%と減少を続け、1991~2020年までに33%減少し、推定380万人の死亡が回避された。この進歩は喫煙の減少、乳がん・大腸がん・前立腺がん検査の普及、そして治療の進歩を反映したもので、とくに白血病、メラノーマ、腎臓がんの死亡率が急速に減少(2016~20年には年約2%)したことや、肺がんの死亡率減少が加速したことに表れている。すべてのがんを合わせた5年相対生存率は、1970年代半ばに診断された49%から2012~18年に診断された68%に増加した。しかし、死亡率における人種格差が最も大きい乳がん、前立腺がん、子宮体がんの罹患率上昇により、今後の減少の進展は弱まる可能性があるという。

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クライオ生検vs.従来法、日本人末梢肺病変の診断率と安全性/Lung Cancer

 2017年に本邦でも使用可能となったクライオ生検は、従来の経気管支肺生検よりも大きく、かつ良質な検体が得られる手法である。しかし、末梢肺病変の診断率について、クライオ生検と従来法を直接比較した報告は、ほとんどないのが現状である。そこで、国立がん研究センター中央病院の古瀬 秀明氏らは、診断的気管支鏡検査を受けた患者のデータを後ろ向きに解析し、クライオ生検は従来法と比べて末梢肺病変の診断率が高かったことを報告した。本研究結果は、Lung Cancer誌2023年4月号に掲載された。クライオ生検は従来法と比べて末梢肺病変の診断率が高いことが明らかに 末梢肺病変を有し、2015年10月~2020年9月までに診断的気管支鏡検査を受けた患者2,724例のデータを後ろ向きに解析した。クライオ生検を受けた患者492例(クライオ生検群)、従来の経気管支肺生検を受けた患者2,232例(従来法群)について、傾向スコアマッチングを行い、各群481例を比較した。 クライオ生検と従来法を末梢肺病変の診断率について比較した主な結果は以下のとおり。・傾向スコアマッチング後の診断率は、従来法群が77.6%であったのに対し、クライオ生検群は89.2%であり、有意に高率であった(オッズ比[OR]:2.36、95%信頼区間[CI]:1.65~3.38、p<0.001)。・傾向スコアを用いた層別化(OR:2.35、95%CI:1.71~3.23)、回帰分析(OR:2.54、95%CI:1.83~3.52)においても、クライオ生検の診断における有用性が示された。・サブグループ解析において、とくに中葉舌区、右/左下葉の病変、すりガラス陰影、胸部X線検査で検出できない病変について、クライオ生検の診断における有用性が示された。・Grade2および3の出血の発現率は、従来法群がそれぞれ10.2%、0.8%であったのに対し、クライオ生検群ではそれぞれ38.0%、1.5%と有意に高率であった(p<0.001)。Grade4の出血はクライオ生検と従来法のいずれの群にも認められなかった。 著者らは、「クライオ生検は従来法と比べて末梢肺病変の診断率が高いことが明らかになった。ただし、クライオ生検は出血リスクが増加するため注意が必要である」とまとめた。

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ペムブロリズマブの肺がんアジュバントの(FDA)承認で考えること【侍オンコロジスト奮闘記】第144回

第144回:ペムブロリズマブの肺がんアジュバントの(FDA)承認で考えること参考FDA approves pembrolizumab as adjuvant treatment for non-small cell lung cancerImfinzi and Imjudo with chemotherapy approved in the US for patients with metastatic non-small cell lung cancerReijers ILM, et al.Nat Med.202;28:1178-1188. Personalized response-directed surgery and adjuvant therapy after neoadjuvant ipilimumab and nivolumab in high-risk stage III melanoma: the PRADO trial

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オシメルチニブのEGFR陽性非小細胞肺がんアジュバントによるDFS改善、最終解析でも維持(ADAURA)/JCO

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の第III相ADAURA試験。初回解析では、オシメルチニブとプラセボの臨床的に有意な無病生存率(DFS)の利点が実証された(DFSハザード比[HR]:0.20、99.12%信頼区間[CI]:0.14~0.30、p<0.001)。Journal Of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号では、DFSの最終的な分析データが発表されている。・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)のStageIB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者(術後化学療法は許容)・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療・対照群:プラセボ・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価によるStageII/IIIA患者のDFS、推定HR=0.70[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL[事前に指定された探索的研究]再発パターン、中枢神経系病変(CNS)の再発または死亡(CNS DFS) 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2022年4月11日)、StageII〜IIIA集団の追跡期間中央値は、オシメルチニブ群44.2ヵ月、プラセボ群19.6ヵ月であった。・主要評価項目であるStageII~IIIAのDFS HRは0.23(95%CI:0.18〜0.30)、4年DFS率はオシメルチニブ群70%、プラセボ群29%であった。・全集団のDFS HRは0.27(95%CI:0.21〜0.34)、4年DFS率はオシメルチニブ群73%、プラセボ群38%であった。・StageII~IIIAの頭蓋内DFSのHRは0.24(95%CI:0.14〜0.42)であった。・オシメルチニブの長期安全性プロファイルは、初回解析と一致していた。

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扁平上皮非小細胞肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法1次治療5年アップデート(KEYNOTE-407)/JCO

 転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ+化学療法による1次治療の第III相試験KEYNOTE-407の5年追跡結果が発表された。持続的な有効性と安全性が報告されている。KEYNOTE-407の5年アップデートでOSはより改善対象:転移を有する未治療の扁平上皮NSCLC試験薬群:ペムブロリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→ペムブロリズマブ35サイクルまで(n=278)対照薬群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→プラセボ35サイクルまで(n=281)・評価項目[主要評価項目]:盲検独立中央審査(BICR)評価の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]:BICR評価の客観的奏効率、奏効期間、安全性など KEYNOTE-407の5年アップデートの主な結果は以下のとおり。・無作為化からデータベースのカットオフまでの期間中央値は、56.9ヵ月であった。・OSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.59~0.85)。5年OS率はそれぞれ、18.4%と9.7%であった。・PFSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(HR:0.62、95%CI:0.52〜0.7)。5年PFS率はそれぞれ、10.8%と3.5%であった。・OSおよびPFSのHRは、PD-L1レベル(TPS)を問わず、ペムブロリズマブ+化学療法群で良好であった。・毒性は管理可能であった。・ペムブロリズマブ35サイクル投与を完了した55例の客観的奏効率は90.9%、35サイクル完了後の3年(無作為割付後からは約5年)OS率は69.5%であった。

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ソトラシブ、KRASG12C変異陽性NSCLCのPFSを延長/Lancet

 既治療のKRASG12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、KRASG12C阻害薬ソトラシブは標準治療であるドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長し、安全性プロファイルも優れることが、オランダがん研究所のAdrianus Johannes de Langen氏らが実施した「CodeBreaK 200試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2023年2月7日号で報告された。22ヵ国148施設の実薬対照第III相試験 CodeBreaK 200試験は、日本を含む22ヵ国148施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2020年6月~2021年4月の期間に患者の登録が行われた(Amgenの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、KRASG12C変異を有する進行NSCLCで、プラチナ製剤を用いた化学療法か、PD-1またはPD-L1阻害薬による前治療後に病勢が進行した患者であった。 被験者は、ソトラシブ(960mg、1日1回、経口)またはドセタキセル(75mg/m2、3週ごと、静脈内)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はPFSであり、盲検下の独立した中央判定によりintention-to-treat解析が行われた。 345例が登録され、ソトラシブ群に171例(年齢中央値64.0歳[範囲:32~88]、男性63.7%、脳転移の既往34%)、ドセタキセル群に174例(64.0歳[35~87]、54.6%、35%)が割り付けられた。それぞれ169例(99%)、151例(87%)が少なくとも1回の試験薬の投与を受けた。ドセタキセル群のうち、最終的に59例(34%)がKRASG12C阻害薬を投与された(ソトラシブ群へのクロスオーバーが46例、試験薬中止後の後治療としての投与が13例)。全奏効率、奏効期間、QOLも良好 全体の追跡期間中央値は17.7ヵ月(四分位範囲[IQR]:16.4~20.1)で、治療期間中央値はソトラシブ群が19.9週(範囲:0.4~101.3)、ドセタキセル群は12.0週(3.0~101.0)であった。 PFS中央値は、ドセタキセル群の4.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.0~5.7)に比べ、ソトラシブ群は5.6ヵ月(4.3~7.8)と、統計学的に有意に長かった(ハザード比[HR]:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.0017)。1年PFS率はソトラシブ群が24.8%、ドセタキセル群は10.1%だった。 全奏効率は、ドセタキセル群13.2%に比し、ソトラシブ群28.1%であり、有意な差が認められた(群間差:14.8%、95%CI:6.4~23.1、p<0.001)。奏効までの期間はソトラシブ群で短く(1.4ヵ月vs.2.8ヵ月)、奏効期間はソトラシブ群で長かった(8.6ヵ月vs.6.8ヵ月)。全生存(OS)率は両群間に差がなく(HR:1.01、95%CI:0.77~1.33、p=0.53)、OS中央値はソトラシブ群が10.6ヵ月、ドセタキセル群は11.3ヵ月だった。 ソトラシブ群は忍容性も良好で、ドセタキセル群に比べGrade3以上の有害事象(56例[33%]vs.61例[40%])および重篤な治療関連有害事象(18例[11%]vs.34例[23%])の割合が低かった。 最も頻度の高いGrade3以上の治療関連有害事象は、ソトラシブ群が下痢(20例[12%])、ALT値上昇(13例[8%])、AST値上昇(9例[5%])であり、ドセタキセル群は好中球数減少(13例[9%])、倦怠感(9例[6%])、発熱性好中球数減少(8例[5%])であった。患者報告アウトカム(QOL[全般的健康、身体機能]、症状[呼吸困難、咳嗽、胸痛])は、全般にソトラシブ群で良好だった。 著者は、「これらの知見は、ソトラシブが、予後不良でアンメットニーズの高いこの患者集団における新たな治療選択肢となることを示すものである」としている。

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痛みの原因はがんとは限らない【非専門医のための緩和ケアTips】第46回

第46回 痛みの原因はがんとは限らないどの分野でも診断は大切ですが、緩和ケアでも同様に大切です。診断なくして適切な症状緩和なし! です。といっても、なかなか診断が難しいときも多いのですが、今回はそのような緩和ケアにまつわる診断エラーの話題です。今日の質問進行した大腸がん患者が腹痛を訴え、オピオイドのレスキューを使ってもらったのですが、改善がないということで往診の依頼がありました。これまで良好な疼痛緩和ができていたため、おかしいと思い診察したら、何と尿閉になっておりました。もともと腹水もあって腹部が膨隆していたので気付きにくかったのですが、危うく見逃すところでした。がん患者で注意すべき、痛みの原因になる非がん疾患はどのようなものがあるのでしょうか?今回質問をいただいた先生は、丁寧な診察もあって気付くことができたのでしょう。「腹痛の原因ががんではなく、尿閉だった」というのは、時々経験することです。とくに今回の腹水のように、診断に影響を与える修飾因子がある場合は、さらに疑うことが難しくなります。そうした意味では、今回の例はよく気付いた、といえるでしょう。後から言われれば簡単なことに思えるかもしれませんが、現場できちんと疑うのは難しいものです。最近では「診断エラー」の話題が取り上げられることが増えてきました。誤診の要因やうまく診断できなかった事例を分析して防止策を考えるのが診断エラー学の分野です。緩和ケア領域における診断エラーは、まとまった知見はないと思いますが、今回のように終末期に近くなると多くの症状が複雑に絡むため、診断エラーが生じる要素も増えます。私の経験では、同様に腹痛に対してオキシコドンを使用していた患者さんに、尿閉が生じたことがありました。実は、オピオイドであまり知られていない副作用に尿道括約筋の収縮による尿閉があるのです。そういった意味では尿閉は遭遇する可能性が比較的高い疾患なのです。ほかに気を付けたい痛みの伴う非がん疾患としては、高齢患者も多いため筋骨格系の疾患が挙げられます。変形性関節症はもちろん、ベッド上で動けないことによる関節の拘縮なども痛みの原因になります。褥瘡も心配する必要がありますし、知らない間に病的骨折をしていた、ということもあります。後は、診察しないとわからない帯状疱疹といった原因もあります。まずは、患者さんが痛みを訴えている部位をきちんと診察することが基本です。こうしてみると、緩和ケアには一般的な診断と治療の知識も大切だとわかります。主に内科的な知識ですが、しっかり勉強を続けることが求められます。今回のTips今回のTipsがん患者の痛みの原因として、非がん疾患も忘れない。

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免疫チェックポイント阻害薬の開始後6日目に出現した全身倦怠感【見落とさない!がんの心毒性】第18回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。2014年9月のニボルマブの販売開始から8年半が経過した2023年2月現在、本邦では6種類の免疫チェックポイント阻害薬(ICIs:immune checkpoint inhibitors)が承認されています。これまで、再発、遠隔転移、難治性、切除不能のがん症例に対しては、悪性黒色腫を皮切りに、肺、消化管、乳腺、腎・尿路、子宮、リンパ腫、頭頚部、原発不明のがんに承認されてきました。近年は根治性を高め、再発・転移を予防する目的で、悪性黒色腫、腎細胞がん、非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がんにおいて適応が拡大しています。ICIsは今やがん薬物療法における標準治療薬の地位を確立しつつあります。一方で、思いがけない副作用で大変な思いをする患者さんもいます。今回、その一例をご紹介しましょう。《今回の症例》70代・男性。進行期食道がんに対し、ペムブロリズマブ、シスプラチンおよび5-FUによる化学療法開始後6日目に嘔気と全身倦怠感を訴えた。既往歴特記すべきことなし。現症血圧80/56mmHg、脈拍110/分・整、体温35.5℃、SpO2 96%(室内気)、冷汗をかいている。心音でIII音を聴取する。呼吸音に異常はない。腹部は平坦・軟で、圧痛はない。下腿浮腫は認めない。検査所見[血液検査]白血球 1万1,500/μL、赤血球466万/μL、ヘモグロビン15.3g/dL、血小板36.1万/μL[血液生化学]総蛋白6.1g/dL、アルブミン2.7g/dL、AST 21U/L、ALT 17U/L、LDH 139U/L、総ビリルビン0.6 mg/dL、CPK 314U/L(正常値59~248U/L)、Na 131mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 97mEq/L、クレアチニン 0.95mg/dL、尿素窒素21mg/dL、CRP 2.16mg/dL、SCC 6.6ng/mL(正常値2.0ng/mL未満)、心筋トロポニンI 178pg/mL(正常値26.2pg/mL未満)、NT-proBNP 1,560pg/mL(心不全除外のカットオフ値125pg/mL未満)、血糖値180mg/dL、TSH 2.5μU/mL、FT4 1.3ng/dL、コルチゾール 23.6μg/dL(正常値6.2~18.0μg/dL)治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図と、発症時の経胸壁心エコー図(左室長軸像)を以下に示す。治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図画像を拡大する発症時の経胸壁エコー図(左室長軸像)画像を拡大する※所見(1)~(3)は解説をご覧ください【問題】本症例は免疫関連有害事象(irAE:immune-related Adverse Events)による急性心不全と診断された。本症例のirAEついて正しいものを選べ。a.患者数は増加傾向にある。b.ICIs投与後1ヵ月以内の発症はまれである。c.本症例の心電図には予後不良の所見を認める。d.本症例の心エコー図所見は当irAEのほとんどの症例で認められる。e.診断したら速やかにステロイドパルス療法を開始する。今日、がん薬物療法においてICIsは多くのがん種で標準治療薬としての地位を確立しています。適応は進行がんのみならず術後補助化学療法にも拡大してきており、近い将来、がん患者の40%以上が免疫療法の対象となる可能性が指摘されています10)。早期発見、ICIs中止、かつステロイドパルス療法が救命のポイントですが、一部の医師だけによる場当たり的な対応には限界があります。“がん治療に携わる医師が心筋炎を疑い、循環器医が遅滞なく診断をし、速やかに患者をICUに収容し、厳重な循環監視(または補助)下でステロイドパルス療法を開始する”という、複数の診療科間と病院間の連携体制を事前に確立しておく必要があります11)。腫瘍循環器領域を担う医師は、ICIs関連心筋炎患者の救命のための連携体制を構築すべく、リーダーシップを発揮することが期待されています。心筋炎の検査体制が整備されるにつれ、きちんと診断される患者が増え、適切な治療により本疾患による死亡率が低下することを期待しましょう。1)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.2)Furukawa A, et al. J Cardiol. 2023;81:63-67.3)Salem JE, et al. Lancet Oncol. 2018;19:1579-1589.4)Hasegawa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2020;29:1279-1294.5)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022:43:4229-4361. 6)Power JR, et al. Circulation. 2021;144:1521-1523. 7)Awadalla M, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75:467-478. 8)Zhang L, et al. Circulation. 2020;141:2031-2034.9)Axelrod ML, et al. Nature. 2022;611:818-826.10)Haslam A, et al. JAMA Netw Open. 2019;2:e192535.11)大倉裕二ほか. 新潟県医師会報2023年2月号. 診療科の垣根を越えてノベル心筋炎に備える.講師紹介

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部位別がんの5年相対生存率

がんの5年相対生存率(部位別・男女別)34.1脳・中枢神経系甲状腺(%)37.491.360.7口腔・咽頭69.481.881.7喉頭40.6食道45.967.564.6胃72.470.1大腸肝および肝内胆管胆のう・胆管膵臓肺22.18.98.126.836.235.129.5男性94.494.692.3乳房子宮頸部76.5子宮体部81.3卵巣60.099.1前立腺膀胱63.0腎・尿路悪性リンパ腫白血病女性46.8皮膚多発性骨髄腫95.841.976.570.464.866.468.643.643.444.95年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.がんの5年相対生存率(部位別・進行度別)口腔・咽頭13.953.514.554.0喉頭食道胃胆のう・胆管膵臓肺80.451.661.028.52.995.773.292.559.323.9前立腺甲状腺95.766.820.153.49.599.390.022.5卵巣腎・尿路98.139.3子宮体部遠隔65.816.5子宮頸部領域83.531.16.4乳房膀胱限局42.112.4皮膚97.375.317.315.43.11.896.751.96.6大腸肝および肝内胆管93.733.710.0(%)86.638.053.612.447.0100.099.287.394.395.7100.05年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値※限局:最初にがんが発生した臓器(原発臓器)にがんが限局/領域:所属リンパ節(原発臓器と関連するリンパ節)転移または隣接臓器への浸潤(がんの広がり)あり/遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤あり全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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2cm以下末梢型NSCLC、縮小手術vs.肺葉切除術/NEJM

 腫瘍径2cm以下で病理学的に肺門・リンパ節転移陰性が確認された末梢型非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する縮小手術は、無病生存に関し、肺葉切除術に対し非劣性であることが示された。全生存は同等だった。腫瘍径が小さなNSCLCの検出率の上昇に伴い、肺葉切除から縮小手術へと再び関心が移っている中、米国・New York-Presbyterian病院のNasser Altorki氏らが、697例を対象に行った第III相多施設共同非劣性試験の結果で、NEJM誌2023年2月9日号で発表された。主要エンドポイントは無病生存、副次エンドポイントは全生存、再発など 研究グループは、2007年6月~2017年3月にかけて、臨床病期T1aN0(腫瘍径2cm以下)のNSCLC患者について、術中にリンパ節転移陰性を確認したうえで無作為に2群に割り付け、縮小手術または肺葉切除術をそれぞれ実施した。 主要エンドポイントは無病生存で、無作為化から疾患再発または全死因死亡までの期間と定義した。副次エンドポイントは、全生存、局所再発と全身再発、肺機能だった。5年全生存率、縮小手術群80%、肺葉切除術群79% 被験者数は697例、縮小手術を受けたのは340例、肺葉切除術は357例が受けた。 追跡期間中央値7年時点で、無病生存率について、縮小手術は肺葉切除術に対し非劣性を示した(疾患再発・死亡のハザード比[HR]:1.01、90%信頼区間[CI]:0.83~1.24)。全生存率も、縮小手術群と肺葉切除術群で同程度だった(死亡のHR:0.95、95%CI:0.72~1.26)。 5年無病生存率は、縮小手術群が63.6%(95%CI:57.9~68.8)、肺葉切除術群が64.1%(58.5~69.0)で、5年全生存率は、それぞれ80.3%(75.5~84.3)と78.9%(74.1~82.9)だった。 局所再発率と遠隔再発率は、両群間で大差はなかった。また、術後6ヵ月時点の予測1秒量比率のベースラインからの減少幅は、縮小手術群(-4.0、95%CI:-5.0~-2.0)より肺葉切除術群(-6.0、-8.0~-5.0)が2ポイント大きく、肺機能は縮小手術後のほうが良好であった。

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がんと共に生きる人々を支えるために、医師ができること/武田

 がん治療の進歩は目覚ましく、新たな治療法が続々と登場している。しかし、がん患者の精神・心理的苦痛に対する支援はどうだろうか。がん患者が抱える課題と、それに対する取り組みについての理解を深めることを目的に、武田薬品工業は「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために」をテーマとして、2023年1月27日にメディアセミナーを開催した。 セミナーの前半では、大西 秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 診療部長・教授)が「がん患者さん・ご家族の心理社会的支援の必要性」をテーマに、心理支援の重要性を語った。後半では、坂本 はと恵氏(国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター 副サポーティブケアセンター長)が「がん相談支援センターの役割と現状」をテーマに、がん相談支援センターの具体的な業務内容を紹介し、医療者・患者への周知の重要性を述べた。セミナーの座長は、悪性リンパ腫の罹患経験を有する天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)が務めた。がん患者の約半数は精神科診断がつく 病気には固有のイメージがある。がんであれば「死」だという。大西氏は「がんの診断は患者の大きなストレスとなり、約5割に精神科診断がつく。このことを確実に知っておいていただきたい。それは、精神科疾患のうち、うつ病は薬物治療により改善することが多く、適応障害であれば、医療者が関わることで改善することが多いからである」と話した。精神症状は、治療にも影響を及ぼす。乳がん患者では、抑うつがない患者の92.2%が術後化学療法を受けたのに対し、抑うつがあるとその割合は51.3%にとどまったと報告されている1)。また、自殺も懸念される。本邦の調査では、がんと診断後1年以内の自殺のリスクが23.9倍と報告されているのである2)。 それでは、がん患者のうつ病はどのように見つけたらよいのだろうか。大西氏は「たとえば、がん患者が倦怠感や食欲不振を訴えたとき、副作用やがんの進行を疑うだろう。しかし、もう少し質問してみると、『眠れない』『気分が滅入る』『意欲が低下する』と訴えることがあり、うつ病が判明する場合もある」と具体例を示した。加えて、「うつ病が判明した患者にうつ病治療を行うと、副作用やがんの進行が原因と考えていた倦怠感や食欲不振などの身体症状も改善することがある」と述べた。 がん患者の家族のケアも忘れてはいけない。がん患者の家族にも抑うつが多くみられ、身体面(不眠、せん妄、心疾患など)や社会面(失業、貯蓄減少など)にも影響が出るという。したがって「腫瘍精神科やがん相談支援センターは、がん患者の家族も利用できることを周知してほしい」と述べた。がん相談支援センターの積極的な活用を がん相談支援センターは、全国453施設に設置され、がんの疑いから旅立ちまで、具体的には「治療場所の選択」「治療選択の迷い」「住居、食べ物、日常生活や移動手段などのニーズ」「子供の世話」「雇用や学校の問題」「医療費負担」「残される家族の生活の再設計」など、さまざまな相談に応じている。坂本氏は「がん相談支援センターは、一人ひとりの『希望』に橋をかけることのお手伝いをしたいという思いで支援を行っている」と話した。 しかし、がん相談支援センターの認知には課題があるという。平成30年度の患者体験調査3)では、がん相談支援センター自体の認知率は66.4%にのぼったものの、「がん相談支援センターを知っている」と回答した人のうち、「利用したことがある」と回答した割合は14.4%にとどまった。また、利用しなかった人のうち、15.9%が「何を相談する場所かわからなかった」「プライバシーの観点から利用しにくかった」という理由で利用しなかったという。したがって、「がん相談支援センターはどのような機能を持っている場所なのか、医療者に理解いただき、患者へ伝えていただくことが重要である」と強調した。 坂本氏は、“ひとりもとりこぼすことなく”の実現のためには、「がん患者がどのような困難に直面しているのかを聞いたうえで、日々の臨床に生かすことが重要」とまとめ、「オンラインも活用しながら、多施設連携、社会協働で“知らなかったが故の不利益”を減らしたい」と語った。

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toripalimabのNSCLC周術期治療が主要評価項目を達成/Junshi Biosciences

 Junshi Biosciences社は、2023年1月18日、抗PD-1抗体toripalimabによる非小細胞肺がん(NSCLC)の周術期治療が、第III相試験Neotorchの中間解析で主要評価項目を達成したと発表した。 Neotorch試験は、肺がんの術前・術後補助療法において、プラチナダブレット化学療法単独と、toripalimab+プラチナダブレット化学療法の有効性と安全性を比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相研究。 中間解析の結果、NSCLCへのtoripalimab+化学療法の手術前後の補助療法とtoripalimab単剤の地固め療法の組み合わせは、化学療法単独と比較して無病生存期間(EFS)を有意に延長する可能性を示した。toripalimabの安全性データは既知のリスクと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されていない。 世界保健機関の発表によると、2020年、中国における肺がんの新たな発症は 81万6,000例で、がん全体の17.9%を占める。また、肺がんによる死亡者は71万5,000例で、全がん死亡者の23.8%を占めた。

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日本の部位別がん死亡数

がんの種類と死亡数日本の部位別がん死亡数(2021年)口腔・咽頭 5,634胆のう、胆管 9,615喉頭 711乳房 105白血病 5,549膀胱 6,434食道男性8,864胃27,196大腸 28,080肝臓膵臓肺前立腺悪性リンパ腫その他15,91319,33453,27813,2177,6279,159皮膚 865甲状腺 656脳・中枢神経系 1,709口腔・咽頭 2,367喉頭 84食道 2,094胃女性14,428子宮体部 2,741子宮頚部 2,894多発性骨髄腫2,247胆のう、胆管 8,557大腸肝臓24,338 8,189甲状腺 1,278脳・中枢神経系 1,3280腎・尿路 6,274卵巣 5,081白血病 3,57550,000膵臓肺乳房悪性リンパ腫19,24522,93414,8036,154皮膚 853膀胱 3,009腎・尿路 3,523100,000その他 9,513多発性骨髄腫 2,050150,000200,000 (人)2021年にがんで死亡した人は38万1,505人(男性22万2,467人、女性15万9,038人)日本人ががんで死亡する確率は、男性26.2%(4人に1人)、女性17.7%(6人に1人)がん死亡数は男性では肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓、女性では大腸がんが最も多く、次いで肺、膵臓 、乳房、胃、男女合わせると肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓となっています国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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見逃しがちな、「あの部分」の診察【非専門医のための緩和ケアTips】第45回

第45回 見逃しがちな、「あの部分」の診察緩和ケア診療、というとオピオイドの適切な投与や患者コミュニケーションのイメージが強いようですが、実は「身体診察」も大切だったりします。とくに意識しないと忘れてしまうのが「口腔内の診察」。これを怠ったがゆえに、痛い目に遭うことがあります。今回もいただいた質問を元に考えてみましょう。今日の質問先日、訪問診療をした患者さん。寝たきりで本人は症状を訴えられないのですが、苦しそうだと家族から相談がありました。原因がわからず、診断的治療と考えてオピオイドを導入したのですが、その後、訪問看護師より「口の中が白くなっていて、カンジダのようだ」と連絡がありました。口腔カンジダが苦痛症状の原因かははっきりしませんが、口腔内を診察しなかったことを後悔しています。はい、私も同じ経験があります。というか、皆さんもこれに近い経験はあるのではないでしょうか? 診察後に、看護師や時には家族が気付いて指摘される…。中でも緩和ケアの臨床でしばしば遭遇するのが、口腔カンジダです。口腔カンジダはご存じのとおり、免疫状態の悪化した患者さんやステロイドなどの免疫抑制状態の患者さんに生じる真菌感染症です。口腔内の症状を訴える患者さんの口の中を見ると白いポツポツと斑点がある、というイメージです。治療は抗真菌薬の含嗽剤などで行います。口腔カンジダは口腔内の痛みの原因となります。患者さんが「口の中が痛いです」と言ってくれればわかりやすいのですが、患者さんが正確に症状を訴えることができないこともしばしばです。なので、「こういう患者さんでは口腔カンジダも注意!」と忘れずに口腔内も丁寧に診察しないと、気付くことができません。見逃しやすい疾患です。このような特徴から、今回のように看護師が気付くこともしばしばです。要注意な疾患として看護師とも情報共有し、気になった点を共有できるチーム医療ができるといいですね。医師が気付くことが難しくても、職種間の連携によって患者さんに必要な医療が提供できればOKだと思います。気付いてくれた看護師に感謝を伝えつつ、ちょっとだけ反省しながら頑張っていきましょう!今回のTips今回のTipsがん患者の緩和ケアでは、口腔カンジダのことを忘れないようにしましょう。

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