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ペムブロリズマブ+ラムシルマブの非小細胞肺がん術前補助療法(EAST ENERGY)/ASCO2023

 切除可能なPD-L1陽性StageIB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前補助療法として、ペムブロリズマブとラムシルマブの併用療法が有効であることが、多施設共同の単群第II相試験であるEAST ENERGY試験の結果から示唆された。国立がん研究センター東病院の青景 圭樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法は、切除可能NSCLC患者に対する標準的な術前補助療法の1つとして認識されている。しかし、プラチナ製剤不適格患者に対する、この薬剤の組み合わせは十分に検証されていない。一方、ICIと血管新生阻害薬の併用は、進行期NSCLCにおいて有効性と安全性が報告されている。 ICI+血管新生阻害薬を術前補助療法に適用できないか。EAST ENERGY試験では、PD-L1陽性NSCLCに対し、ICIであるペムブロリズマブと血管新生阻害薬(VEGFR2阻害薬)であるラムシルマブの併用術前補助療法の有効性と安全性が検討された。・対象:PD-L1≧1%の切除可能なStageIB〜IIIA(AJCC8版)NSCLC患者24例・介入:ペムブロリズマブ(200mg)+ラムシルマブ(10mg/kg) 3週ごと2サイクル→手術・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央病理学審査(BIPR)評価による主要な病理学的奏効(MPR)率[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)率、R0切除率、奏効率(ORR)、無再発生存期間(RFS)、PD-L1発現別の全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・BIPR評価のMPR率は50.0%(24例中12例)で、事前に設定したMPR率の基準(MPR 9例以上[37.5%以上])を超え、主要評価項目を達成した。・pCR率は25%(24例中6例)であった。・観察期間中央値23.6ヵ月時点でのRFS中央値は未到達、12ヵ月RFS率は91.1%、24ヵ月RFS率は75.6%であった。・同期間でのOS中央値は未到達、12ヵ月OS率は100%、24ヵ月OS率は94.4%であった。・Grade3の治療関連有害事象(TRAE)は23例中7例に発現、そのうち5例が重篤だった(Grade4以上はなし)。・Grade3の免疫関連有害事象は、23例中3例(急性腎障害2例、リウマチ性多発筋痛症1例)に発現した(Grade4以上はなし)。・Grade3の術中・術後合併症は22例中3例(肺ろう、術中肺動脈出血、術後胸腔内血腫)に発現した。 青景氏は、この新しいレジメンはPD-L1陽性NSCLCの術前補助療法として、プラチナ不適格患者や高齢患者に適用できるだろうと述べた。

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EGFR陽性NSCLC、EGFR-TKIによる術後補助療法1年延長でOS改善(ICOMPARE)

 EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)を用いた術後補助化学療法により、無病生存期間(DFS)の改善1,2)が認められており、最新の研究(ADAURA試験)では全生存期間(OS)の改善3)も認められているが、治療期間との関係は明らかになっていない。そこで、中国・Beijing Cancer HospitalのChao Lv氏らは、肺腺がん患者に対してEGFR-TKIのicotinibによる術後補助化学療法を1年実施した場合と、2年実施した場合の有効性・安全性を無作為化比較試験により検討した。その結果、icotinibの2年投与は1年投与と比較して、DFSのみならず、OSも改善した。本研究結果は、ESMO Open誌2023年6月20日号で報告された。・試験デザイン:多施設共同海外第II相無作為化非盲検比較試験・対象:18歳以上でStageII/IIIAのEGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)肺腺がん患者のうち、完全切除可能であった109例・試験群(2年群):icotinib 125mgを1日3回、2年間投与 54例・対照群(1年群):icotinib 125mgを1日3回、1年間投与 55例・評価項目[主要評価項目]治験担当医師評価に基づくDFS[副次評価項目]OS、安全性・データカットオフ日:2020年9月27日 主な結果は以下のとおり。・主な患者背景は、年齢中央値59歳(範囲:32~76)、女性67%で、EGFR遺伝子変異の内訳は、ex19delが55%、L858Rが45%であった。また、StageIIが52%、StageIIIAが48%であった。・データカットオフ時点の追跡期間中央値は44.1ヵ月であった。・DFS中央値は、1年群が32.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:26.6~44.8)であったのに対し、2年群は48.9ヵ月(同:33.1~70.1)であり、2年群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.51、95%CI:0.28~0.94、p=0.029)。・治療期間終了後のDFS中央値は、1年群22.6ヵ月(95%CI:14.9~38.9)、2年群26.8ヵ月(同:14.5~46.1)であり、有意差は認められなかった(HR:0.71、95%CI:0.33~1.53、p=0.3832)。・OSについて、2年群は1年群と比較して有意に改善した(HR:0.34、95%CI:0.13~0.95、p=0.0317)。・5年OS率は、1年群が72%であったのに対し、2年群は88%であり、2年群が有意に改善した(p=0.032)。・治療関連有害事象(TRAE)は、1年群75%(41例)、2年群67%(36例)に認められた。Grade3/4のTRAEは、1年群7%(4例)、2年群6%(3例)に認められた。治療に関連した死亡や間質性肺疾患の報告はなかった。

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KRAS G12C変異陽性NSCLCに対するソトラシブ+化学療法の有効性(SCARLET)/ASCO2023

 KRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、KRAS G12C阻害薬であるソトラシブとカルボプラチン、ペメトレキセドとの併用療法が有用である可能性が示された。国内単群第II相試験として実施されたSCARLET試験の主要評価項目の解析結果として、和歌山県立医科大学の赤松 弘朗氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。 KRAS G12Cは進行非扁平上皮NSCLCのdruggableターゲットで、免疫チェックポイント阻害薬(±プラチナダブレット化学療法)、ソトラシブ、細胞障害性抗がん剤単剤が標準治療とされてきた。SCARLET試験では、化学療法治療歴のないKRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮NSCLCに対して、ソトラシブ、カルボプラチン、ペメトレキセドの併用療法の有効性と安全性について評価した。・対象:未治療のKRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮NSCLC患者30例・介入:ソトラシブ(960mg)+カルボプラチン(AUC 5)+ペメトレキセド(500mg/m2)3週ごと4サイクル→ソトラシブ+ペメトレキセドを病勢進行まで継続・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会(BICR)判定による奏効率(ORR)[副次評価項目]病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)および有害事象(AE) 主な結果は以下のとおり。・2021年10月~2022年7月に登録された30例中、29例が安全性、27例が有効性解析の対象となった。・観察期間中央値4.1ヵ月における、BICR判定ORRは88.9%(80%信頼区間[CI]:76.9~95.8、95%CI:70.8~97.6)であった。事前設定のORR基準(閾値40%、期待値65%)を満たし、主要評価項目を達成した。・BICR判定によるPFS中央値は5.7ヵ月、6ヵ月PFS率は49.6%、治験担当医判定によるPFS中央値は7.6ヵ月、6ヵ月PFS率は56.7%であった。・OS中央値は未到達で、6ヵ月OS率は87.3%であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は72.4%に発現し、そのうち20%以上の項目は貧血(37.9%)、好中球数減少(24.1%)、血小板数減少(24.1%)、白血球数減少(20.7%)であった。 KRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮NSCLCにおける、ソトラシブと化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)の併用は良好な有効性と忍容性を示した、と赤松氏は結んだ。

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プライマリ・ケアと緩和ケアは統合されていくべきだ【非専門医のための緩和ケアTips】第54回

第54回 プライマリ・ケアと緩和ケアは統合されていくべきだ2023年5月に「第14回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」が開催され、私も参加してきました。皆さんの中にも参加された方がいるのではないでしょうか。現地参加は数年ぶりでしたが、いろいろと刺激を受けました。今日の質問先日、プライマリ・ケアの学術団体の地方会に参加した際、緩和ケアに関する発表がありました。在宅医療でお看取りすることも増えてきたので、プライマリ・ケア医として、もう少し緩和ケアについて研修すると良いのかと感じました。今回はプライマリ・ケアと緩和ケアの関係についての質問ですが、これは非常に重要なポイントです。結論から言うと、緩和ケアの提供にとってプライマリ・ケアとの連携は非常に重要です。緩和ケア医の私がプライマリ・ケア学会に参加しているのも、この点が理由です。もっと言えば、緩和ケアとプライマリ・ケアは、「統合されていく」必要があると思っています。緩和ケアは悪性疾患のみでなく、非がん慢性疾患に対しても幅広く提供することが求められています。一方で、がん拠点病院などで活動する緩和ケアの専門スタッフはがん患者の対応だけで手一杯で、非がん疾患までをカバーするには十分な人員がいないのが実情です。そういった緩和ケア側の事情もあって、地域のプライマリ・ケアを支える診療所を中心とした先生方が緩和ケアを実践することが重要になっています。そうした背景から、プライマリ・ケアの学術大会でも緩和ケアに関連する企画が増えてきたのです。今回の学術大会では、日本プライマリ・ケア学会と日本緩和医療学会との合同企画もあり、「プライマリ・ケアを志す医師にとって望ましい緩和ケア研修のあり方」をテーマにしたセッションもありました。入院患者の緩和ケアと比較すると、在宅での緩和ケアは薬剤の使い方などをはじめ、異なる点が多くあります。そういった観点からは、今後在宅医療は緩和ケアを実践する場だけではなく、研修の場としての役割も期待されていくのではないでしょうか。ここまでで、「何がプライマリ・ケアで何が緩和ケアなのか?」という線引きが気になったかもしれません。もちろん、厳密にカリキュラムを整備するとか、診療報酬上の取り扱いのうえで分類することは大事です。ただ、実際の現場では、「地域の実情によってその線引きは異なる」というのが実際だと思います。プライマリ・ケアの実践の中で自然と緩和ケアが提供されているような、究極の統合モデルをつくれればと思います。今回のTips今回のTipsプライマリ・ケアと緩和ケアの統合を目指す時代が来ています。

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TKI耐性EGFR陽性NSCLCに対するペムブロリズマブ+化学療法の最終解析(KEYNOTE-789)/ASCO2023

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)耐性のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブと化学療法の併用は、統計学的に有意な生存ベネフィットを示さなかった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、国立台湾大学病院のJames Chih-Hsin Yang氏が発表した、国際共同二重盲検第III相KEYNOTE-789試験の最終解析の報告である。・対象:EGFR-TKI治療後のEGFR変異陽性NSCLC症例・試験群:ペムブロリズマブ(Pembr)+カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセド(Peme)→Pembr+Peme(Pembr群:245例)・対照群:プラセボ+カルボプラチン/シスプラチン+Peme→プラセボ+Peme(CT群:247例)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)および盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など今回の発表には、追跡期間中央値28.6ヵ月(データカットオフ:2021年12月)における2回目の中間解析のPFSと、追跡期間中央値42.0ヵ月(同:2023年1月)のOS最終解析が含まれている。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値はPembr群が5.6ヵ月、CT群が5.5ヵ月で、ハザード比(HR)は0.80(95%信頼区間[CI]:0.65〜0.97、p=0.0122)であった。事前に設定されていた2回目の中間解析のp値の閾値0.0117を下回ることはなかった。・6ヵ月PFS率はPembr群が42.8%、CT群が34.6%、12ヵ月PFS率はそれぞれ14.0%と10.2%であった。・OS中央値はPembr群が15.9ヵ月、CT群が14.7ヵ月で、HRは0.84(95%CI:0.69〜1.02、p=0.0362)と、こちらも事前設定のp値の閾値0.0117を下回ることはなかった。・12ヵ月OS率はPembr群が61.6%、CT群が59.4%、24ヵ月OS率はそれぞれ30.6%と26.4%であった。・PD-L1発現状況別に見たOSのHRは、TPS≧50%で0.84(95%CI:0.55~1.30)、1〜49%で0.76(同:0.52~1.10)、<1%では0.91(同:0.70~1.19)であった。・ORRはPembr群で29.0%、CT群で27.1%、DOR中央値は、それぞれ6.3ヵ月と5.6ヵ月であった。・両群ともに新たな安全性シグナルは報告されなかった。

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がん遺伝子検査、よく受けるがん種・人種は?/JAMA

 米国・スタンフォード大学のAllison W. Kurian氏らは、2013~19年に同国カリフォルニア州とジョージア州でがんと診断された患者のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けた患者の割合が6.8%とごくわずかであり、非ヒスパニック系白人に比べ、黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者ではより低いことを示した。同検査は遺伝性のがんリスクを明らかにし、遺伝学的な標的治療を可能にすることで、がん患者の生存率を向上させるが、米国ではどのくらいの患者が受けているかは、これまで知られていなかった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月5日号で報告された。SEERレジストリを用いた米国2州の観察研究 研究グループは、Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)レジストリのデータを用いて、カリフォルニア州とジョージア州でがんの診断を受けた年齢20歳以上の患者を対象に、生殖細胞系列遺伝子検査の実施状況とその結果を調査する目的で観察研究を行った(米国国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。 主要アウトカムは、がんの診断から2年以内の生殖細胞系列遺伝子検査の実施であった。がんリスクの上昇と関連するバリアント(病原性バリアント)およびがんリスクとの関連が知られていないバリアント(不確実なバリアント)を含む、各遺伝子のシークエンシングの結果を評価した。 遺伝子は、乳がんや卵巣がん、消化器がん、その他のがんなどの主要ながんとの関連、および診療ガイドラインが生殖細胞系列遺伝子検査を推奨しているか否かによって分類された。検査実施率、全体6.8%、大腸がん5.6%、肺がん0.3% 2013年1月1日~2019年3月31日の期間に、2州でがんと診断された136万9,602例のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けていたのは9万3,052例(6.8%、95%信頼区間[CI]:6.8~6.8)であった。 同検査を受けた患者の割合は、がん種によってばらつきがみられ、男性乳がんが50.0%と最も高く、次いで卵巣がん38.6%、女性乳がん26.0%、多重がん7.5%、子宮体がん6.4%、膵がん5.6%、大腸がん5.6%、前立腺がん1.1%、肺がん0.3%の順であった。 ロジスティック回帰モデルによる解析では、男性乳がん、卵巣がん、女性乳がんの患者のうち検査を受けた患者の割合は、非ヒスパニック系白人が31%(95%CI:30~31)であったのに対し、他の人種・民族では低く、黒人25%(24~25)、ヒスパニック系23%(23~23)、アジア系22%(21~22)であった(χ2検定のp<0.001)。 病原性バリアントの67.5~94.9%は、診療ガイドラインで検査が推奨されている遺伝子で同定され、68.3~83.8%は、診断されたがん種と関連する遺伝子で同定された。 著者は、「遺伝子検査の実施率は経時的に上昇したが、2021年においても、診療ガイドラインで推奨されている卵巣、男性乳房、膵臓などの特定のがん種については100%を大幅に下回っていた。生殖細胞系列の遺伝子のがんスクリーニング、予防的手術、標的治療により生存率が向上することは臨床試験で実証されていることから、生殖細胞系列遺伝子検査の実施率の低さが、がん死亡率の上昇に寄与している可能性がある」と指摘している。

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高齢NSCLCのICI治療に化学療法の併用は必要か?(NEJ057)/ASCO2023

 75歳以上の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と化学療法の併用の有効性と安全性は明らかになっていない。そこで、日本国内の58施設における75歳以上の進行・再発NSCLC患者を対象とした後ろ向きコホート研究(NEJ057)が実施された。その結果、ICIと化学療法の併用はICI単剤と比較して、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を改善せず、Grade3以上の免疫関連有害事象(irAE)の発現率を増加させた。本研究結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、植松 真生氏(がん・感染症センター 都立駒込病院)が発表した。・試験デザイン:多施設(58施設)後ろ向きコホート研究・対象:未治療の75歳以上の進行・再発NSCLC患者のうち、ICI+化学療法、ICI単剤、プラチナダブレット、単剤化学療法のいずれかで治療を開始した1,245例(初回治療に分子標的薬を使用した患者とEGFR・ALK遺伝子変異を有する患者は除外)・評価項目:レジメン別にみたOSとPFS、PD-L1発現状況別にみたOSとPFS(傾向スコアマッチングを実施)、安全性 主な結果は以下のとおり。・患者背景は、年齢中央値78歳(範囲:75~95歳)、男性78%、ECOG PS 0または1が84%、PD-L1陰性(Tumor Proportion Score[TPS]1%未満)/低発現(TPS 1~49%)/高発現(TPS 50%以上)/不明がそれぞれ22%/31%/33%/14%であった。・レジメンの割合は、ICI+化学療法28%、ICI単剤34%、プラチナダブレット25%、単剤化学療法12%であった。・レジメン別にみたOS中央値は、ICI+化学療法群20.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:17.1~23.6)、ICI単剤群19.8ヵ月(95%CI:16.5~23.8)、プラチナダブレット群12.8ヵ月(95%CI:10.7~15.6)、単剤化学療法群9.5ヵ月(95%CI:7.4~13.4)であった。・レジメン別にみたPFS中央値は、ICI+化学療法群7.7ヵ月(95%CI:6.5~8.7)、ICI単剤群7.7ヵ月(95%CI:6.6~8.8)、プラチナダブレット群5.4ヵ月(95%CI:4.8~5.7)、単剤化学療法群3.4ヵ月(95%CI:2.6~4.0)であった。・傾向スコアマッチング後のPD-L1発現状況別にみたOSについて、ICI単剤群に対するICI+化学療法群のハザード比[HR]は、PD-L1陽性(TPS 1%以上)が0.98(95%CI:0.67~1.42)、PD-L1低発現(TPS 1~49%)が1.11(95%CI:0.65~1.91)、PD-L1高発現(TPS 50%以上)が0.92(95%CI:0.55~1.56)であり、いずれのサブグループにおいても有意差は認められなかった。・PD-L1発現状況別にみたPFSについて、ICI単剤群に対するICI+化学療法群のHRは、PD-L1陽性(TPS 1%以上)が0.92(95%CI:0.67~1.25)、PD-L1低発現(TPS 1~49%)が1.22(95%CI:0.71~1.91)、PD-L1高発現(TPS 50%以上)が0.86(95%CI:0.56~1.31)であり、いずれのサブグループにおいても有意差は認められなかった。・Grade3以上のirAEは、ICI+化学療法群24.3%(86例)、ICI単剤群17.9%(76例)に認められ、ICI+化学療法群が有意に高率であった(p=0.03)。・肺臓炎の発現率(全Grade)は、ICI+化学療法群23.4%(83例)、ICI単剤群15.6%(66例)に認められ、ICI+化学療法群が有意に高率であった(p=0.006)。・ステロイドを必要としたirAEは、ICI+化学療法群32.5%(115例)、ICI単剤群24.7%(105例)に認められ、ICI+化学療法群が有意に高率であった(p=0.02)。 植松氏は、「リアルワールドにおいて、ICIと化学療法の併用はICI単剤と比較して、高齢NSCLC患者の生存成績を改善せず、Grade3以上のirAEの発現率を増加させた。本結果から、PD-L1陽性の高齢NSCLC患者には、ICI単剤での投与が推奨される可能性がある」とまとめた。

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進行NSCLC、腫瘍治療電場療法を標準治療に上乗せでOS改善(LUNAR)/ASCO2023

 腫瘍治療電場(TTフィールド)療法は、さまざまな機序で非侵襲的にがん細胞を死滅させる治療法で、すでに膠芽腫および悪性胸膜中皮腫に対する治療として、米国食品医薬品局(FDA)により承認されている(本邦では、膠芽腫について薬事承認を取得[保険適用は初発膠芽腫のみ])。非小細胞肺がん(NSCLC)については、前臨床モデルで免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やタキサン系抗がん剤の効果を増強することが報告されている1-3)。そこで、転移を有するNSCLC患者を対象に、TTフィールド療法の標準治療への上乗せ効果を検証する海外第III相試験「LUNAR試験」が実施された。その結果、TTフィールド療法の上乗せにより、全生存期間(OS)が有意に改善した。本結果について、米国・エモリー大学Winship Cancer InstituteのTiciana Leal氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。・試験デザイン:海外第III相無作為化比較試験・対象:プラチナ製剤で治療中または治療後に進行が認められた、転移を有する22歳以上のNSCLC患者276例・試験群(TTフィールド+標準治療群):TTフィールド療法(150kHzを1日18時間以上)+標準治療(ICI[ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブのいずれか]またはドセタキセルを治験担当医師が選択) 137例・対照群(標準治療群):上記と同様の標準治療 139例・評価項目:[主要評価項目]OS(TTフィールド+標準治療群vs.標準治療群)[主要な副次評価項目]OS(TTフィールド+ICI群vs.ICI群、TTフィールド+ドセタキセル群vs.ドセタキセル群)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、組織型別のOS、組織型別のPFS、安全性など 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の患者背景は、年齢中央値64歳(範囲:22~86歳)、男性が65%、ECOG PS 0/1が96%、前治療のライン数1が89%、ICIによる前治療歴ありが31%であった。・ITT集団におけるOS中央値は、標準治療群が9.9ヵ月であったのに対し、TTフィールド+標準治療群は13.2ヵ月であり、TTフィールド+標準治療群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.56~0.98、p=0.035)。1年OS率はそれぞれ42%、53%、3年OS率はそれぞれ7%、18%であった。・ICIによる治療を受けたサブグループにおけるOS中央値は、ICI群が10.8ヵ月であったのに対し、TTフィールド+ICI群は18.5ヵ月であり、TTフィールド+ICI群で有意に改善した(HR:0.63、95%CI:0.41~0.96、p=0.03)。・ドセタキセルによる治療を受けたサブグループにおけるOS中央値は、ドセタキセル群が8.7ヵ月、TTフィールド+ドセタキセル群が11.1ヵ月であり、有意差は認められなかった(HR:0.81、95%CI:0.55~1.19、p=0.28)。・組織型別のOS中央値は、非扁平上皮NSCLCで標準治療群が9.9ヵ月、TTフィールド+標準治療群が12.6ヵ月であった(HR:0.80、95%CI:0.54~1.16、p=0.28)。扁平上皮NSCLCでは、それぞれ10.1ヵ月、13.9ヵ月であった(HR:0.67、95%CI:0.44~1.01、p=0.05)。・ITT集団におけるPFS中央値は、標準治療群が4.1ヵ月、TTフィールド+標準治療群が4.8ヵ月であり、有意差は認められなかった(HR:0.85、95%CI:0.67~1.11、p=0.23)。・ITT集団におけるORRは、標準治療群が17%、TTフィールド+標準治療群が20%であり、有意差は認められなかった(p=0.5)。完全奏効(CR)は標準治療群が1例であったのに対し、TTフィールド+標準治療群が4例であった。・有害事象は、標準治療群の91%、TTフィールド+標準治療群の97%に発現した。皮膚炎がそれぞれ2%、43%に発現し、TTフィールド+標準治療群で多かったが、Grade3以上のものはそれぞれ0%、2%であった。肺臓炎や免疫関連有害事象の発現率は両群に差がみられなかった。TTフィールド療法に関連があると判断された有害事象に、Grade4以上のものはなかった。 本結果についてLeal氏は、「TTフィールド療法は第III相試験(LUNAR試験)において主要評価項目を達成した。TTフィールド療法は、プラチナ製剤で治療中または治療後に進行が認められた転移を有するNSCLCに対する標準治療の選択肢として考慮されるべきである」とまとめた。また、未治療の進行NSCLC患者を対象としたTTフィールド療法の標準治療への上乗せ効果を検討する試験も進行中とのことである。

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DLL陽性SCLC・神経内分泌がん、DLL3/CD3 BiTE抗体のFirst in Human試験/ASCO2023

 Notchリガンドの1つであるDLL3はNotchを阻害する働きを有する。DLL3は、小細胞肺がん(SCLC)や神経内分泌がん(NEC)の細胞表面に高発現しており、薬剤ターゲットとして有望視されている。DLL3とCD3を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体のBI 764532は、DLL3陽性細胞および異種移植モデルマウスで強力な前臨床抗腫瘍活性を示したことが報告された1)。そこで、DLL3陽性SCLC、NEC患者を対象としたBI 764532のファースト・イン・ヒューマン試験(NCT04429087)が実施されている2)。現在進行中の本試験において、BI 764532は管理可能な安全性プロファイルを示し、有効性についても有望な結果が得られていることが示された。ドイツ・ドレスデン工科大学のMartin Wermke氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。・試験デザイン:第I相非盲検用量漸増試験・対象:既治療のDLL3陽性進行SCLC 57例、NEC 41例、大細胞NEC(LCNEC)9例・投与方法:以下の3つの異なるレジメンを用いて、BI 764532を静脈内投与した。治療は病勢進行(PD)または許容できない毒性が認められるまで、最大36ヵ月継続された。 A:固定用量(3週ごと) B1:固定用量(毎週) B2:A、B1の用量に基づく用量漸増(毎週)・評価項目[主要評価項目]最大耐用量の同定、最大耐用量の評価期間における用量規定毒性(DLT)[副次評価項目]RECIST v1.1に基づく奏効率(ORR)など 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時点(2023年3月26日)の安全性解析集団(BI 764532を1回以上投与された患者)における患者背景は、年齢中央値60.0歳(範囲:32~79歳)、ECOG PS 0/1がそれぞれ26%(28例)、73%(78例)、PD-1/PD-L1阻害薬による前治療歴ありが49%(52例)、3ライン以上の前治療歴ありが31%(33例)であった。・治療関連有害事象(TRAE)は86%(92例)に認められ、最も多く認められたものはサイトカイン放出症候群(CRS)であった。CRSは全体で59%(63例)に認められたが、Grade1/2が57%(61例)、Grade3~5が2%(2例)であり、対症療法やステロイド、抗IL-6受容体抗体を用いて容易に管理可能であった。・そのほかの主なTRAE(15%以上に発現)は、リンパ球数減少(20%、21例)、味覚異常(20%、21例)、無力症(19%、20例)、発熱(18%、19例)であった。・投与中止に至ったAE、TRAEはそれぞれ13%、4%に認められた。・DLTは5例に認められ、内訳はCRS 2例(Grade3~4)、錯乱状態1例(Grade3)、注入に伴う反応(Grade2)、神経系障害1例(Grade3)であった。・最大耐用量の同定には至らず、用量漸増が継続中。・90μg/kg以上の用量で投与した際のORRは25%(SCLC:26%、NEC:19%、LCNEC:60%)、病勢コントロール率は52%(SCLC:51%、NEC:44%、LCNEC:100%)であった。完全奏効は認められなかった。・奏効のみられた18例中14例で奏効が持続し、最長は13.1ヵ月(持続中)であった(2023年4月21日時点)。 Wermke氏は本結果について、「臨床有効用量におけるBI 764532の安全性は臨床的に許容可能かつ管理可能であり、TRAEによる投与中止例は4%と少なかった。また、治療反応は持続的と考えられた」とまとめた。

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完全切除EGFR陽性NSCLC、術後補助療法の効果不良因子(IMPACT-TR)/ASCO2023

 完全切除を達成したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による術後補助療法の効果や、再発を予測するバイオマーカーは、十分に検討されていないのが現状である。そこで、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者の完全切除後の術後補助療法として、ゲフィチニブとシスプラチン+ビノレルビン(cis/vin)を比較した、国内第III相試験「IMPACT試験」の対象患者においてバイオマーカーが検討された。その結果、ゲフィチニブに対してはNOTCH1遺伝子変異が、cis/vinに対してはCREBBP遺伝子変異が効果不良を予測する因子となることが示唆された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、池田 慧氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)が本結果について発表した。 IMPACT試験の対象患者のうち202例が対象となった。外科切除された肺がんの組織標本について、409の体細胞変異や腫瘍遺伝子変異量(TMB)、全ゲノムのコピー数について解析した。5%以上の検体で変異が検出された遺伝子、TMB、15%以上の検体でコピー数変化が検出された遺伝子領域について、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・5%以上の検体に体細胞変異が認められた遺伝子は20種で、主なものはTP53(58.4%)、CSMD3(11.8%)、NOTCH1(9.9%)、SYNE1(9.9%)であった。・ゲフィチニブ群において、NOTCH1遺伝子変異のある患者はOSが有意に短く(ハザード比[HR]:5.90、95%信頼区間[CI]:1.85~18.82、p=0.003)、DFSも短い傾向にあった(HR:1.72、95%CI:0.59~4.97、p=0.317)。・cis/vin群において、CREBBP遺伝子変異のある患者はOSが有意に短く(HR:7.51、95%CI:1.06~53.33、p=0.044)、DFSも有意に短かった(HR:6.47、95%CI:1.56~28.87、p=0.010)。・バイオマーカーによるサブグループ解析を実施した結果、OSについてはNOTCH1遺伝子変異の有無によって治療効果が異なり(p for interaction=0.039)、NOTCH1遺伝子変異がある患者において、cis/vin群はゲフィチニブ群と比べてOSが延長した(p=0.0227)。・DFSについてはCREBBP遺伝子変異の有無によって治療効果が異なり(p for interaction=0.058)、CREBBP遺伝子変異がある患者において、ゲフィチニブ群はcis/vin群と比べてDFSが延長した(p=0.0136)。 以上から、池田氏は「NOTCH1遺伝子変異はゲフィチニブ群の予後不良因子であり、ゲフィチニブに対する効果不良を予測する可能性がある。一方、CREBBP遺伝子変異は、cis/vin群の予後不良因子であり、cis/vinに対する効果不良を予測する可能性がある」とまとめた。

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緩和ケアは24時間主治医が対応するものなのか?【非専門医のための緩和ケアTips】第53回

第53回 緩和ケアは24時間主治医が対応するものなのか?「医師の働き方改革」があちこちで議論されていますが、皆さんの職場では何かしらの取り組みをしているでしょうか? 私は比較的長時間労働を経験してきた世代であり、今後この改革がどのように進んでいくのか、イメージが湧かない部分もあります。ただ、患者さんのみならず、医療に関わる人の健康を大切にしなければならないのは当然のことです。この問題をどう考えればいいのでしょうか?今日の質問医師になって5年目です。将来は実家のクリニックを継いで在宅緩和ケアも提供したいと思っているのですが、医師が自分だけになるため、夜間対応などに不安を感じます。働き方改革の影響もあって、これまでの勤務先ではずっとチーム制で働いてきました。主治医として夜間もずっと対応する、といった経験がないのですが、在宅医療では24時間、1人で対応しなければならないのでしょうか?今回は若手の先生からご質問をいただきました。私も規模の大きい病院の緩和ケア部門を運営していますので、医師の働き方改革を意識した労務管理は必須の状況です。昔話になってしまいますが、私の研修医時代や若手の頃は主治医制で、担当患者さんが急変とあれば、勤務時間外でも病院から呼び出しの電話がかかってきました。とくにお看取りが近い担当患者さんがいれば、病院にいつでも駆け付けるのが当然、といった風潮もありました。このあたりは今でも議論があるところでしょう。「夜間のお看取りも主治医が対応すべき」「1人の医師に一貫して対応してもらうことが大切だ」といった考え方もあるでしょう。私自身こうした考え方に対応してきた経験もあり、真っ向から否定するわけではありません。ですが、基本的には、これからの緩和ケアの実践には「複数人で対応できる体制」をつくることが必須だと考えています。これからさらに進む少子高齢化時代において、緩和ケアは在宅医療や施設などにおける、地域の医療インフラとして長期間提供するニーズが高まるでしょう。1人の医師の頑張りに頼っていては、インフラとしての持続性が担保できません。機能強化型在宅療養支援診療所のように、複数の医療機関や医師でカバーし合うような体制を整える在宅医療機関も増えてきました。入院患者の夜間の対応を当直医が対応するように、在宅の当番制には情報共有が非常に大切です。さらに、患者さんやその家族にも現状と体制を理解してもらうことが大切です。「主治医に診てもらいたい」という気持ちは自然なものなので、私は初回の訪問診療などで、「私も夜などはすぐに駆け付けられないことがあります。体調が悪くなっても困らないよう、ほかの先生が伺うこともあります。皆でサポートするので安心してください」といったように、チーム制について説明し、理解を求めています。医療者自身の健康も大切にして、持続可能な緩和ケアの実践を目指しましょう。今回のTips今回のTips1人で頑張るよりも、持続可能な緩和ケアの提供体制をつくることが大切。

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NSCLC周術期のペムブロリズマブ、EFS改善が明らかに(KEYNOTE-671)/ASCO2023

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するペムブロリズマブの術前・術後補助療法の無イベント生存期間(EFS)の成績が明らかにされた。 米国・スタンフォード大学のHeather Wakelee氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。KEYNOTE-671試験は、NSCLC患者を対象に周術期におけるペムブロリズマブの効果を評価した、無作為化二重盲検第III相試験。免疫チェックポイント阻害薬の術前・術後補助療法において、同試験は、デュルバルマブのAEGEAN試験に続き、toripalimabのNEOTORCH試験と共に有意な改善を示したことになる。・対象:切除可能なStage(AJCC第8版)II、IIIA、IIIB(N2)NSCLC患者・試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン+ゲムシタビンまたはペメトレキセド)3週ごと最大4サイクル→手術→ペムブロリズマブ200mg 3週ごと最大13サイクル・対照群:プラセボ+化学療法(同上)3週ごと最大4サイクル→手術→プラセボ3週ごと最大13サイクル・評価項目:[主要評価項目]EFSおよび全生存期間(OS)[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)、主要な病理学的奏効(mPR) 主な結果は以下のとおり。・786例の登録患者をペムブロリズマブ群およびプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。・EFS中央値は、ペムブロリズマブ群未到達、プラセボ群17.0ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.46~0.72、p<0.00001)。・OS中央値は、ペムブロリズマブ群未到達、プラセボ群45.5ヵ月であった(HR:0.73、95%CI:0.54〜0.99、p=0.02124)。・mPRはペムブロリズマブ群30.2%、プラセボ群11.0%、pCRはペムブロリズマブ群18.1%、プラセボ群4.0%であった。・治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群96.7%、プラセボ群95.0%で発現、免疫関連有害事象はペムブロリズマブ群25.3%、プラセボ群10.5%で発現した。 このデータは、ペムブロリズマブを含む術前・術後補助療法が、切除可能なNSCLCの新たな治療選択肢となることを支持するものだと、Wakelee氏は述べた。

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EGFR陽性NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブのOS解析結果(ADAURA)/ASCO2023

 オシメルチニブは第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)における術後補助療法、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発NSCLCを効能・効果として承認されている。これまで、病理病期IB~IIIA期のEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対する、術後補助療法としてのオシメルチニブの有用性を検証した、国際共同第III相無作為化比較試験「ADAURA試験」において、最終解析時においても無病生存期間(DFS)が有意に改善したことが報告されていた1)。今回、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・イェール大学医学大学院のRoy S. Herbst氏が、これまで未発表であったADAURA試験の全生存期間(OS)の解析結果を発表した。DFSの結果がOSにも反映されるか不明であること、これまでEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者に対するEGFR-TKIによる術後化学療法が、OSの延長を示した無作為化試験の結果は報告されていないことから、本試験のOSの解析結果が注目されていた。なお、本発表の結果は2023年6月4日、NEJM誌に同時掲載された2)。・対象:18歳以上(本邦では20歳以上)で病理病期IB~IIIA期(本邦では病理病期II/IIIA期)のEGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)NSCLC患者のうち、腫瘍が完全切除された患者682例・試験群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ80mg/日を最大3年間投与 339例(日本人46例)・対照群(プラセボ群):343例(日本人53例) (両群ともに術後化学療法の使用は許容)・評価項目:[主要評価項目]病理病期II/IIIA期の患者におけるDFS[副次評価項目]全集団(病理病期IB~IIIA)におけるDFS、病理病期II/IIIA期におけるOS、無病生存率、OS率、QOL、安全性など 今回報告された主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2023年1月27日)時点での、病理病期II/IIIA期の患者におけるOS追跡期間中央値はプラセボ群56.2ヵ月、オシメルチニブ群59.9ヵ月で、OSのmaturityは21%であった。・再発後の後治療への移行率は、プラセボ群54%(184例)、オシメルチニブ群22%(76例)であった。そのうち、後治療としてEGFR-TKIを使用した患者の割合はそれぞれ88%(162例)、76%(58例)、オシメルチニブを使用した患者の割合はそれぞれ43%(79例)、41%(31例)であった。・病理病期II/IIIA期の患者におけるOS中央値はいずれの群においても未到達で、プラセボ群に対するハザード比[HR]は0.49(95.03%信頼区間[CI]:0.33~0.73、p=0.0004)であった。・病理病期II/IIIA期の患者における5年OS率は、プラセボ群73%に対し、オシメルチニブ群85%であった。・全集団におけるOS中央値もいずれの群においても未到達で、プラセボ群に対するHRは0.49(95.03%CI:0.34~0.70、p<0.0001)であった。・全集団における5年OS率は、プラセボ群78%に対し、オシメルチニブ群88%であった。・病理病期別にみたOSのプラセボ群に対するHRは、IB期(212例)が0.44(95%CI:0.17~1.02)、II期(236例)が0.63(95%CI:0.34~1.12)、IIIA期(234例)が0.37(95%CI:0.20~0.64)であった。・術後化学療法の併用の有無別にみたOSのプラセボ群に対するHRは、併用ありが0.49(95%CI:0.30~0.79)、併用なしが0.47(95%CI:0.25~0.83)であり、術後化学療法の併用の有無にかかわらず、オシメルチニブ群でOSの延長が認められた。・EGFR遺伝子変異(ex19del/L858R)別にみたプラセボ群に対するOSのHRは、ex19delが0.35(95%CI:0.20~0.59)、L858Rが0.68(95%CI:0.40~1.14)であった。・オシメルチニブ群のOS改善は各サブグループで一貫して認められた。・Grade3以上の有害事象はプラセボ群14%(48例)、オシメルチニブ群23%(79例)に認められたが、治験薬に関連すると判断された死亡例はいずれの群においても認められなかった(安全性のデータカットオフ日:2022年4月11日)。 Herbst氏は、本結果について、「ADAURA試験において、オシメルチニブはプラセボと比較して有意にOSを改善し、DFSの結果がOSにも反映されていた。本試験は、NSCLCに対するEGFR-TKIによる術後化学療法が、統計学的有意かつ臨床的意義のあるOSの改善を示した初めての第III相試験であり、病理病期IB~IIIA期のEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対する、オシメルチニブによる術後補助療法の標準治療としての地位を強固にするものであった」とまとめた。

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早期に禁煙していた人は肺がんになっても死亡リスクが低い

 肺がんになる前に禁煙していた人は、肺がんが見つかった時にも喫煙していた人よりも、発がん後の死亡リスクが低いことを示すデータが報告された。米ハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院のDavid Christiani氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に5月5日掲載された。 喫煙者の肺がんリスクが高いことは広く知られているが、喫煙者が禁煙した後に肺がんに罹患した場合の予後への影響はよく分かっていなかった。今回の研究によって、肺がんと診断された時点で喫煙習慣のあった人は、喫煙歴のない肺がん患者に比べて死亡リスクが68%高いのに対して、診断前に禁煙していた人のリスク上昇幅は26%であることが示された。また、禁煙期間が長ければ長いほど、肺がん診断後の死亡リスクが低いという関連があることも明らかになった。Christiani氏は、「この結果により、禁煙すれば、たとえ肺がんになってもメリットを得られると、力強く言えるようになった」と語っている。 この研究の対象は、米マサチューセッツ総合病院で1992~2022年に非小細胞肺癌(肺がんの85%を占めるとされる最も一般的なタイプ)の患者5,594人(平均年齢65.6±10.8歳、男性53.4%)。このうち喫煙歴のない患者が14.2%(非喫煙群)、以前に喫煙習慣があり肺がん診断前に禁煙していた患者が59.1%(元喫煙群)、診断時点で喫煙していた患者が26.7%(現喫煙群)だった。肺がん診断後は、12~18カ月ごとに追跡調査が行われた。 全生存期間(OS)は非喫煙群が中央値58.9カ月、元喫煙群が同51.2カ月、現喫煙群が34.0カ月だった。年齢、性別、がん組織学的悪性度、臨床病期などを調整後に死亡リスクを検討すると、非喫煙群を基準として元喫煙群はハザード比(HR)1.26(95%信頼区間1.13~1.40)、現喫煙群はHR1.68(同1.50~1.89)となった。 喫煙指数(1日の喫煙本数と喫煙年数の積)が2倍になるごとに、死亡リスクは7%高くなることも分かった〔HR1.07(同1.04~1.11)〕。その一方、禁煙から肺がん診断までの期間が長いほど、死亡リスクが低いことも分かった。喫煙指数と禁煙から肺がん診断までの期間の双方を説明変数に含めた多変量解析では、喫煙指数は死亡リスクと有意な関連が示されなかった一方で、肺がん診断までの期間が2倍長いごとに死亡リスクは4%有意に低下するという関連が示された〔HR0.96(同0.93~0.99)〕。 著者らは本研究の限界点として、肺がんに対してどのような治療を行ったのかという点や、生活習慣関連因子が考慮されていないことなどを挙げている。元喫煙者は禁煙をするタイミングで、喫煙以外の生活習慣も改善する傾向があり、そのことが死亡リスクに対して保護的に働いていた可能性もあるという。 なお、この研究は米国立がん研究所の資金提供を受けて実施された。

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ASCO2023スタート!注目演題を集めた特設サイトオープン

 6月2~6日(現地時間)まで、世界最大の腫瘍学会であるASCO2023(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催される。新型コロナ感染拡大の影響が薄まり、コロナ前の規模に戻りつつあるようだ。各種カンファレンスや交流会なども多く企画されている。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)では、ASCO2023のスタートに合わせ、5,000を超す演題の中から、複数のエキスパートが、専門分野の注目演題を計100題あまりピックアップ。学会期間スタートを控えてオープンした「ASCO2023特設サイト(医師会員限定)」では、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」「血液がん」「がん全般」のカテゴリに分け、ASCO視聴サイトの該当演題へのリンクを、エキスパートのコメントとともに紹介している。 各がん種別の注目演題の一部はこちら。【肺がん】・EGFR陽性NSCLCの術後補助療法としてのオシメルチニブ、3年OSは?/ADAURA・EGFR陽性NSCLCに対するEGFR-TKI vs. EGFR-TKI途中にシスプラチン+ペメトレキセド挿入/JCOG1404/WJOG8214L、AGAIN・NSCLCに対するDato-DXdとペムブロリズマブ±化学療法/TROPION-Lung08【乳がん】・HR+HER2-乳がんの術後療法、内分泌療法とribociclibの併用効果/NATALEE・HR+HER2-乳がんのCDK4/6阻害薬、1次治療か2次治療か/SONIA・StageIV乳がんにおける原発腫瘍切除の意義/JCOG1017【消化器がん】・局所進行直腸がん、術後化学療法の効果によって放射線療法を省略できるか/PROSPECT・KRAS G12C変異の既治療大腸がんに対するソトラシブ+パニツムマブにFOLFIRI上乗せ/CodeBreaK 101・StageIII胃がんに対する術後補助療法としてのニボルマブ+化学療法/ATTRACTION-5【泌尿器がん】・転移のある去勢抵抗性前立腺がんを対象とした177Lu-PSMA-617+オラパリブ/LuPARP・転移のある去勢抵抗性前立腺がん1次治療におけるエンザルタミド+タラゾパリブ/TALAPRO-2・ICI治療後の進行腎がんにおけるアテゾリズマブ+カボザンチニブ/CONTACT-03【造血器腫瘍】・未治療ホジキンリンパ腫におけるニボルマブ+AVD vs. A-AVD/SWOG S1826・未治療Ph陽性高齢ALLに対するイノツズマブ オゾガマイシン+ブリナツモマブのケモフリーレジメンの有用性/Alliance・未治療の多発性骨髄腫におけるエロツズマブ+KRd対KRd 学会終了後は、視聴レポートやまとめ記事なども続々アップしていく予定。 Doctors’Picks ASCO2023特設サイト(医師会員限定)

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抗菌薬の長期使用で肺がんリスクが増加

 近年の研究で、抗菌薬によるマイクロバイオーム異常および腸と肺の相互作用が肺がん発症の引き金になる可能性が指摘されている。今回、韓国・ソウル国立大学のMinseo Kim氏らが抗菌薬の長期使用と肺がんリスクの関連を調べたところ、抗菌薬の累積使用日数および種類の数が肺がんリスク増加と関連することが示された。Journal of Infection and Public Health誌2023年7月号に掲載。 本研究は後ろ向きコホート研究で、韓国国民健康保険サービスのデータベースから2005~06年に健康診断を受けた40歳以上の621万4,926人について調査した。抗菌薬の処方累積日数と種類数で層別し、多変量Cox比例ハザード回帰を用いて、抗菌薬使用に対する肺がんリスクの調整ハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・抗菌薬処方累積日数が365日以上の参加者の肺がんリスクは、抗菌薬非使用者より有意に高く(aHR:1.21、95%CI:1.16~1.26)、1~14日の参加者よりも有意に高かった(aHR:1.21、95%CI:1.17~1.24)。・5種類以上の抗菌薬を処方されていた参加者の肺がんリスクは、抗菌薬非使用者より有意に高かった(aHR:1.15、95%CI:1.10~1.21)。

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