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欧州の40歳以上の一般集団において、診断されていない肝線維症(肝硬度測定[LSM]8kPa以上)が4.6%に認められ、その主な要因は代謝因子とアルコール摂取であることが示唆された。スペイン・Hospital Clinic of BarcelonaのIsabel Graupera氏らLiverScreen Consortium Investigatorsが、9ヵ国(スペイン、デンマーク、イタリア、スロバキア、クロアチア、英国、フランス、オランダ、ドイツ)の35施設(3次医療機関16施設を含む)で実施した大規模前向きコホート研究「LiverScreen project」の結果を報告した。小規模な単一国の研究では、未診断の肝線維症が一般集団で広くみられることが示唆されているが、実際の有病率やリスク因子はわかっていなかった。著者は、「肝硬変や合併症への進行を予防するための個別化された介入には、早期発見がきわめて重要となる」とまとめている。Lancet誌2026年4月11日号掲載の報告。40歳以上の一般住民を対象にスクリーニング検査を実施 研究グループは、未診断の肝線維症の有病率と代謝因子およびアルコール摂取との関連性を評価する目的で、40歳以上の一般住民を募集し登録した。募集方法は、定期健康診断または経過観察の1次医療施設受診者からの無作為抽出(スペイン、クロアチア、フランス、ドイツ)、社会保障番号または郵便番号の無作為抽出後オンラインまたは電話で招待(デンマーク、スペイン、イタリア、英国、オランダ)、既存の集団スクリーニングプログラムまたは職業健康診断に参加した個人(スペイン、ドイツ、スロバキア、フランス)であった。 肝線維化は、FibroScan装置を用いたVibration-controlled Transient Elastography(VCTE)でLSMを推算し、スクリーニング検査でLSMが8kPa以上、またはアラニンアミノトランスフェラーゼが正常上限値の1.5倍以上のいずれかまたは両方を満たす場合を陽性と定義した。 参加者はスクリーニング検査を受診し、陽性の場合は慢性肝疾患の診断確定のため肝臓専門医による診察を受けた。主要アウトカムは、LSMが8kPa以上の参加者の割合であった。未診断の肝線維化の有病率は4.6%、線維化を伴う慢性肝疾患の推定有病率は1.6% 2018年5月2日~2024年12月19日に6万7,074例が招待され、3万909例が参加に同意した。このうち3万541例がスクリーニング受診を完了し、除外基準を満たしていた参加者などを除く3万199例が解析対象となった。 解析対象集団の背景は、平均年齢58歳、女性が57%、白人が89%で、70%が1つ以上の代謝リスク因子を有し、59%が飲酒を報告し、6.1%は有害な飲酒を報告した。 スクリーニング検査が陽性であった参加者は3万199例中2,075例(6.9%)であり、主要アウトカムであるLSMが8kPa以上の参加者は1,376例(4.6%)であった。LSMの上昇は、肥満、2型糖尿病、および有害な飲酒と強い相関が認められた。 スクリーニング陽性の2,075例のほか、VCTE信頼性不良または実施不能例342例および見落とし40例を含む計2,457例が肝臓専門医の紹介受診となり、1,491例(61%)が追跡調査を完了した。1,491例中477例(32%)が線維化を伴う慢性肝疾患と診断され、全体の推定有病率は1.6%(477/3万199例)であった。線維化を伴う慢性肝疾患症例では脂肪性肝疾患が93%(443/477例)を占めた。