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第80回 オミクロン株を懸念、3回目接種の間隔見直し検討へ/厚労省

<先週の動き>1.オミクロン株を懸念、3回目接種の間隔見直し検討へ/厚労省2.医師の残業、年間上限導入で2024年から原則年960時間に3.地域医療構想の実現に向け、重点支援区域で準備が進む/厚労省4.がん診療連携拠点病院の指定要件を改定へ/厚労省5.新型コロナ後遺症についても診療の手引きを作成/厚労省6.コロナ経口薬molnupiravir、日本でも承認申請へ/MSD1.オミクロン株を懸念、3回目接種の間隔見直し検討へ/厚労省政府は新型コロナウイルスの新しい変異型オミクロン株の世界的な急拡大に対応するため、来年1月以降から本格的に取り組む予定であった3回目のワクチン接種について、諸外国と同様に2回目接種との間隔の短縮を検討している。12月2日に開かれた全国知事会と日本医師会のオンライン会合では、3回目接種の時期を「前倒しする必要がある」との意見で一致している。3回目の接種をめぐっては、ファイザー製ワクチン以外に、モデルナ製ワクチンの在庫も活用する方向で検討に入っており、早期の開始に向け、準備が進められる。(参考)オミクロン株2例目 政府 ワクチン3回目接種の間隔見直しも検討(NHK)首相、3回目接種前倒し表明へ モデルナ在庫を活用(日経新聞)3回目接種「前倒しする必要がある」…全国知事会と日本医師会が意見交換(読売新聞)2.医師の残業、年間上限導入で2024年から原則年960時間に厚生労働省は、11月30日に労働政策審議会分科会を開催し、医師の働き方改革に関する検討会報告書と医師の働き方改革の推進に関する検討会中間とりまとめを踏まえた医療法の改正に伴い、2024年4月から上限規制を適用することとなった。地域医療を担う医療機関などで特例水準(連携B、B、C-1、C-2)の医療機関で、長時間労働を避けられない場合は、医師労働時間短縮計画作成ガイドラインに基づいて医師労働時間短縮計画の立案と実施をもとに、都道府県の許可を受けた医療機関のみ年1,860時間とする省令案について了承した。なお、都道府県から指定を受けるためには、2021年10月~2022年9月末までに各医療機関が「医師労働時間短縮計画」を策定し、2022年度中に第三者機関による評価を受けたうえで、2023年度に都道府県に申請することが必要となる。(参考)医師残業、年1860時間 上限定める省令案了承(中日新聞)資料 医師の時間外労働の上限水準を超える時間外労働時間を設定する医療機関について(山形県)資料 労働基準法施行規則の一部を改正する省令案等の概要(厚労省)資料 医師の時間外労働規制について(同)3.地域医療構想の実現に向け、重点支援区域で準備が進む/厚労省厚労省は3日に「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催し、地域医療構想の取り組み・検討状況について調査し、その結果について討論した。再検証対象の436医療機関において、2025年7月までに病床機能あるいは病床数を変更する予定と回答したのは340医療機関(全体の78%)だった。また、再検証の実施について合意済みまたは合意結果に基づいて措置済みの175医療機関において、2022年7月までに病床機能あるいは病床数を変更する予定と回答したのは150医療機関でほとんどを占めた。具体的には、医療機能(病床機能、診療科など)の集約化のために、医療機関の統合、地域医療連携推進法人の設立、在宅療養支援病院の指定など役割の明確化・変更など実施状況が共有され、今後も重点支援区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うこととした。なお、重点支援区域には、宮城県仙南区域、石巻・登米・気仙沼区域のほか、滋賀県(湖北区域)、山口県(柳井区域、萩区域)、北海道(南空知区域、南檜山区域)、岡山県(県南東部区域)、新潟県(県央区域)、佐賀県(中部区域)、兵庫県(阪神区域)、熊本県(天草区域)、山形県(置賜区域)、岐阜県(東濃区域)、新潟県(上越区域、佐渡区域)、広島県(尾三区域)の12道県17区域が含まれている。(参考)資料 地域医療構想に関する地域の検討・取組状況等について(厚労省)再検証対象の公立・公的175医療機関が合意済み 重点支援区域に新潟「上越」「佐渡」、広島「尾三」(CBnewsマネジメント)4.がん診療連携拠点病院の指定要件を改定へ/厚労省厚労省は11月30日にがん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループを開き、要件の見直しについて検討を行った。がん対策基本法に基づき閣議決定されている「がん対策推進基本計画」により、全国どこでも質の高い医療を提供することができるよう、がん診療の均てん化を目指して整備を進めてきたが、この整備指針の要件や、要件を満たせなくなった施設への対応などについて議論を行った。今後、2022年6~7月までに議論を重ね、整備指針を改定する見込み。(参考)資料 がん診療連携拠点病院等における指定要件の見直しについて(厚労省)2022年夏にがん連携拠点病院の指定要件見直し、高度型の意義、診療実績・体制要件等を議論―がん拠点病院指定要件WG(Gem Med)がん診療拠点病院、指定要件見直しの議論開始 厚労省WG、「望ましい」要件など論点(CBnewsマネジメント)5.新型コロナ後遺症についても診療の手引きを作成/厚労省厚労省は1日に新型コロナウイルス感染症について、「罹患後症状のマネジメント」を公表した。感染者数が減少する一方で、新型コロナウイルス感染からは回復したにもかかわらず“後遺症”と呼ばれるような症状に悩む患者が存在する。今回、診療の手引きの別冊として、回復後の経過を診るかかりつけ医がどのタイミングで専門医の受診を勧めるべきかなどについて書かれている。なお、新型コロナウイルス感染症の後遺症の頻度については、海外における45の報告から出された系統的レビューで、COVID-19の診断・発症・入院後2ヵ月あるいは退院・回復後1ヵ月を経過した患者のうち、72.5%が何らかの症状を訴えたと報告されている。倦怠感、関節痛、筋肉痛といった全身症状のほか、咳、喀痰、息切れなどの呼吸器症状、あるいは集中力低下、記憶障害、不眠、抑うつなどの精神・神経症状のほか、嗅覚障害・味覚障害などが含まれており、もっとも多いのは倦怠感(40%)だった。(参考)新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(厚労省)新型コロナ後遺症 初の医療関係者向け手引きを公表 厚生労働省(NHK)「コロナ後遺症」に初めての手引き 「患者の支援を」厚労省が公表(朝日新聞)6.コロナ経口薬molnupiravir、日本でも承認申請へ/MSD米メルク日本法人のMSDは、厚労省に新型コロナウイルス感染症に対する経口治療薬として抗ウイルス薬molnupiravir(モルヌピラビル)の製造販売承認を申請した。今回は特例承認の適用を求めており、今月中に厚労省の専門家部会で審議される見込み。軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の入院していない成人患者を対象としてモルヌピラビルを投与した第III相MOVe-OUT試験の中間解析の結果、無作為割り付けから29日目までに入院または死亡した患者はモルヌピラビル群では7.3%(28/385例)、プラセボ群では14.1%(53/377例)と有意差を認めた(p=0.0012)。29日目までにモルヌピラビル群では死亡は認めず、プラセボ群では8例の患者が死亡した。(参考)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として経口の抗ウイルス薬モルヌピラビルの製造販売承認申請 特例承認の適用を希望した申請(MSD)米製薬大手メルク 新型コロナの飲み薬 日本での使用 承認申請(NHK)コロナ飲み薬「モルヌピラビル」、オミクロン株にも有効な可能性…今月中に特例承認へ(読売新聞)コロナ飲み薬の承認を申請 米メルクのモルヌピラビル(産経新聞)

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固形がん患者へのブースター接種、抗体価の変化は?/JAMA Oncol

 積極的な治療を受けている固形がん患者では新型コロナウイルス感染症により予後が悪化するリスクが高く、また、化学療法を受けているがん患者ではBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer/BioNTech)による体液性応答が低下することが報告されている。今回、イスラエル・Hadassah Medical CenterのYakir Rottenberg氏らが、主に化学療法を受けた固形がん患者でのBNT162b2ワクチンの3回目(ブースター)接種後30日未満の体液性応答を調査したところ、ほとんどの症例でブースター接種後早期に抗体反応がみられたことがわかった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年11月23日号に掲載。ブースター接種後にほぼすべてのがん患者で高い抗体価 本研究の対象は、Hadassah Medical Centerにおいて化学療法、生物学的製剤、免疫チェックポイント阻害薬、もしくはこれらの組み合わせで治療された固形がん患者で、BNT162b2ワクチンを2回接種していた患者。血液サンプルの採取日の中央値は、ブースター接種後13日(範囲:1~29)で、スパイクタンパク質結合抗体について分析した。 がん患者のブースター接種後の体液性応答を調査した主な結果は以下のとおり。・2021年8月15日~9月5日に37例がブースター接種後に血清学的検査を受けた。2回目接種とブースター接種との間隔の中央値は214日(範囲:172~229)、2回目接種と2回目接種後抗体測定の間隔の中央値は86日(範囲:30~203)だった。・年齢中央値は67歳(範囲:43~88)で、11例(30%)は転移がなく、19例(51%)は化学療法を受けていた。・1例(40代、dose-dense AC療法後パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブによる術後補助療法中)を除いた患者が血清学的検査で陽性だった。さらに、化学療法の有無に関係なく、2回目接種後の反応が中程度または最小だったがん患者で、ほぼすべてのがん患者が高い抗体価を示し、有意に抗体価が増加した。・多重線形回帰の結果、2回目接種後の抗体価(p<0.001)と高齢者(p=0.03)がブースター接種後の高い抗体価と関連した。一方、性別、化学療法の有無、3回目接種と抗体検査の間隔との関連はみられなかった。

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ファイザー製ワクチン2回目後、90日から徐々に感染増加/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防におけるBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製、21日間隔で2回接種)は、2回目接種から数ヵ月後には重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の防止効果が低下し始め、2回目接種から90日以降はブレークスルー感染リスクが徐々に増加することが、イスラエル・Leumit Health ServicesのAriel Israel氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2021年11月25日号で報告された。イスラエルの後ろ向きのtest negative design研究 研究グループは、BNT162b2ワクチンの2回目接種後の経過期間とCOVID-19の罹患リスクとの関連を評価することを目的に、test negative designを用いた後ろ向き症例対照研究を行った(イスラエル・Leumit Health Servicesなどの助成を受けた)。 解析には、イスラエルの大規模な国立医療機関であるLeumit Health Servicesの電子健康記録(electronic health records)が用いられた。対象は、年齢18歳以上、2021年5月15日~9月17日の期間に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)による検査を受け、ワクチンの2回目接種後少なくとも3週間が経過し、3回目の接種は受けておらず、COVID-19の既往歴がない集団とされた。 解析では、2回目接種からRT-PCR検査までの期間が90日未満の集団を参照として、30日ごとに90~119日、120~149日、150~179日、180日以上の集団に分けた。また、全年齢層のほか、3つの年齢層(60歳以上、40~59歳、18~39歳)に分けて解析が行われた。 主要アウトカムは、RT-PCR検査で検出されたSARS-CoV-2感染とされた。SARS-CoV-2陽性例と対照(陰性例)を、検査を受けた週、年齢層、人口統計学的集団(超正統派ユダヤ教徒、アラブ系住民、一般人口)でマッチさせた。条件付きロジスティック回帰を用いて、年齢、性、社会経済的状況、併発疾患で補正し、感染リスクの補正後オッズ比(OR)を算出した。ブレークスルー感染率:接種後90日未満1.3%から180日以上は15.5%に上昇 研究期間中に8万3,057例(平均年齢43.97[SD 16.89]歳、女性4万3,554例[52.4%])がSARS-CoV-2感染を検出するRT-PCR検査を受け、7,973例(9.6%)が陽性であった。2回目接種からRT-PCR検査までの期間中央値は164日(IQR:138~185)であった。マッチング後のコホートは、陽性例が6,320例、陰性例は3万1,600例だった。 マッチング前の集団における2回目接種後の経過期間(日数)中央値は、3つの年齢層のいずれにおいても、RT-PCR検査陽性例が陰性例よりも有意に長かった。すなわち、60歳以上では、陽性例が192日、陰性例は173日(p<0.001、標準化平均差[SMD]:0.61)、40~59歳ではそれぞれ185日および166日(p<0.001、SMD:0.62)、18~39歳では174日および164日(p<0.001、SMD:0.62)であった。 マッチング前の集団における2回目接種後のSARS-CoV-2陽性率(ブレークスルー感染の割合)は、接種後の経過期間が長くなるほど有意に高くなり、21~89日(参照集団)の1.3%に対し、90~119日が2.4%(OR:1.91、95%信頼区間[CI]:1.39~2.67)、120~149日が4.6%(3.67、2.75~4.98)、150~179日が10.3%(8.82、6.67~11.90)、180日以上は15.5%(14.10、10.68~19.01)と、経時的に上昇した。また、2回目接種から180日以上が経過すると、3つの年齢層のすべてでSARS-CoV-2陽性率が有意に上昇していた(p<0.01)。 マッチング後の集団における2回目接種から90日以上経過後の、参照集団(90日未満)と比較した感染の補正後ORは、90~119日が2.37(95%CI:1.67~3.36)、120~149日が2.66(1.94~3.66)、150~179日が2.82(2.07~3.84)、180日以上は2.82(2.07~3.85)であった(30日間隔ごとのp<0.001)。 著者は、「これらの知見の解釈は、観察研究デザインの制約を受けるが、3回目のワクチン接種の検討が必要であることを示唆する」としている。

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もはや「新型コロナ辞典」【Dr.倉原の“俺の本棚”】第48回

【第48回】もはや「新型コロナ辞典」新型コロナ系の本はたくさん刊行されています。しかし、おそらくこの書評を執筆している2021年11月1日時点で最高傑作と私が考えているのは、神戸市立医療センター中央市民病院のこのマニュアルです。フルカラーでむちゃくちゃ見やすいんですが、この本には、新型コロナのすべてが載っています。「この世のすべてをそこに置いてきた」と言ったのは、ゴールド・D・ロジャーという稀代の大海賊ですが、コロナのすべてを置いてきちゃったパネェ本が、コレです。『神戸市立医療センター中央市民病院 新型コロナウイルス感染症対策マニュアル』木原 康樹/監修. メディカ出版. 2021年10月発売当時ニュースにもなっていたのでご存じの人も多いと思いますが、神戸市立医療センター中央市民病院では、院内クラスターが出たことがあります。逆境に耐えて前に進むしかありませんでした。冒頭にある「第1種・2種感染症指定病院として自信満々であった自分たちの感染症対策が今回の新型コロナウイルス感染症には役に立たなかったことを潔く認める」という言葉、重みと覚悟を感じます。軽症から重症まで、院内が一致団結して多職種で新型コロナの対応に当たりました。一般的な新型コロナに対する感染対策だけでなく、入院時スクリーニングの是非、外来のチェックリスト、産科フローチャート、重症化した場合の酸素療法や人工呼吸器のマニュアル、多職種カンファレンス、家族への説明、面会の基準、精神科リエゾン、退院支援。何もかもが余すことなく記載されています。逆に何が書いていないのか、見つかりません。何より、新型コロナに立ち向かう1人ひとりのプロたちの矜持がビンビン伝わってくる内容で、世界に誇ることができる日本のマニュアルに仕上がっています。第6波、第7波がやってくるのかどうかわかりません。新たな新興感染症だっていつやってくるかわかりません。それに備えて、これは病院に1冊は置いてもらいたい「新型コロナ辞典」です。『神戸市立医療センター中央市民病院 新型コロナウイルス感染症対策マニュアル』木原 康樹 /監修.出版社名メディカ出版定価本体3,600円+税サイズB5判刊行年2021年

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第86回 “外交官”のオミクロン株感染から学ぶ、入国禁止以外にできる水際対策とは

一体、私たちはギリシャ文字のアルファベットをいくつ覚えなければならないのだろう。そしてこれまでの各方面の努力が水泡に帰するのだろうか? 南アフリカ(以下、南ア)が起源と考えられている新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の新たな変異株・オミクロン株の登場に世界が震撼している。ちょうど先週末から今週初めまである地方都市に滞在していたので、夜の飲食店の暖簾をくぐったが、カウンターだけの店内ではオジサンだらけ(もちろん自分も含めてである)。そこでもほかの客が時々「オミクロン」と口にしていて、ややうんざりしてしまった。もっとも私自身は何もオミクロン株を軽視しているわけではない。むしろこれまでよりも厄介なのではないかとすら思っている。すでに広く知られているように、オミクロン株は新型コロナウイルスの野生株と比べ、スパイクタンパク質部分に30ヵ所以上の変異を有し、この数はこれまでの変異株の中で最多。このうち約半分が受容体結合部位(RBD)に関する変異で、常識的に考えれば、この数の多さだけで感染やワクチン接種によりできた抗体の抗原認識能力は低下すると考えられる。しかも細胞へのウイルスの侵入を容易にし、感染性の増強に関わる変異も有するので極めて厄介と言わざるを得ない。起源と言われる南アでは昨年5月下旬から9月初旬にかけての第1波、昨年11月下旬から今年2月上旬にかけての第2波、そして今年5月中旬から9月下旬まで続いた第3波を経験し、11月中旬から第4波とみられる感染流行を見せている。この第4波では各国で猛威を振るい日本の第5波を引き起こしたデルタ株からオミクロン株への置き換わりが進み、感染流行の主流株になりつつあるという。その意味でオミクロン株はデルタ株より感染力は増している可能性があり、実際一部の事例の報告からその可能性がうかがい知れる。たとえば、香港では入国後に検疫用隔離ホテルに滞在していた南ア渡航歴がある人でオミクロン株感染が判明し、同じホテルでこの感染者の真向いの部屋に滞在していたカナダからの帰国者でも感染が発覚。その後の調査から同じフロアの廊下などの環境中からもオミクロン株が検出されている。このような経緯もあり、日本政府は11月27日から水際対策の強化を目的に南アとそれに隣接するナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、エスワティニ(旧スワジランド)、レソトの計6ヵ国からの入国者に国指定の宿泊施設で10 日間の待機を義務付け、翌28日にはこの対象国にザンビア、マラウイ、モザンビークを加えた。もっともアフリカの事情を考えた場合、この対策は不十分だと思い、私個人はそのことをTwitterでツイートもしていた。何かというと、アフリカ大陸は1880年代から第一次世界大戦期までの「アフリカ分割」と称されるヨーロッパ列強による植民地支配により、各国とも人流において、当時の支配者だったいわゆる旧宗主国とのつながりが深い。たとえば当初の水際対策強化の対象だった6ヵ国の場合はそうした事情でイギリスが旧宗主国であり、追加された3ヵ国のうちモザンビークはポルトガル、残り2ヵ国もやはりイギリスがそれである。つまりこれらの対象国からの流入阻止を考えた場合、ヨーロッパからの入国にも一定の制限を設けなければ理屈に合わない。また、前述の9ヵ国から日本への直行便はないため、これらの国からの来日はアフリカ大陸でも世界各地への旅客機の本数が多いエジプト、エチオピア、ケニア、あるいは中東のアラブ首長国連邦やカタール、アジア圏内の韓国、中国、タイ、シンガポール各国を経由する。つまりこのルートも厳重警戒を払わねばならない。結局のところ水際対策を強化するならば、ほぼ全世界からの入国に対して対策強化をしなければならないのだ。その意味で11月30日午前0時から全世界からの外国人の入国を1ヵ月停止し、オミクロン株が確認されている各国からの日本人帰国者を厳重な隔離施設で待機させるとした首相官邸の決定は、かなりの英断だったと個人的には評価している。ただ、最終的に撤回はされたものの、国土交通省を通じて日本に到着する国際線を運航する各航空会社に新規予約を止めるよう要請していた件は、不安に駆られ帰国を急ぎたい日本人をさらに不安に陥れるという意味で愚策だったことは確かだ。また、日本の在留資格を有する外国人が、日本入国直前14日以内に前述の9ヵ国にアンゴラを加えた10ヵ国に滞在歴がある場合、特段の事情がない限り再入国を原則拒否する決定もやり過ぎの感がある。在留資格を持つということは日本に一定の生活基盤があることを意味し、そうした人たちを追い返すのは人道上問題だからだ。さて、それだけの対策を取っていても、日本では11月28日に入国したナミビア滞在歴のある30代男性、29日にペルーから入国した20代男性の合計2人のオミクロン株感染者が確認された。ナミビアからの入国者に関しては外交官で、モデルナ製ワクチンを2回接種済みだったと報じられている。正直、ブレークスルー感染という事実以上に、私は日本で確認された1例目が外交官だったことに衝撃を受けている。表現が適切と言い難いかもしれないが、外交官と言えば、どこの国であっても社会の上流層だ。ナミビアの人口当たりのワクチン接種完了率は、「Our World in Data」によると12月1日時点で11.39%で、この外交官はまさに国民の10人に1人の恩恵にあずかった人である。そのナミビアは国連が算出した所得分布の不平等さ、つまり経済格差を表す「ジニ係数」は世界2位。ワクチンを接種できる外交官が感染する社会・衛生状況ならば、下流層はどうなっているのだろうか? いわんや、ジニ係数で世界1位、アフリカ大陸内での国別人口ランキング5位、人口密度はナミビアの16倍でオミクロン株の起源国と言われる南アの実際の状況はいかばかりかと想像してしまう。さらに12月2日午前段階で日本も含め世界の27ヵ国・地域でオミクロン株の感染者が確認されているが、そのうちの1つ、ベルギーで確認されている事例はアフリカ大陸内で国別人口第2位(約1億39万人)のエジプトへの渡航歴を有する人であり、お隣の韓国で確認された事例はアフリカで最大の人口(約2億96万人)を有するナイジェリアに渡航した韓国人だったと報じられている。これらも渡航目的が業務であれ観光であれ、この時期と社会環境で渡航できる以上、衛生面にも配慮が可能なある程度の裕福な層の人だろう。そうした人たちがこの巨大な人口を有する国で感染してしまうのである。これらを総合すると、アフリカでのオミクロン株の蔓延は数字で判明している以上のものなのではないかと考えられる。もっとも現状でのせめてもの救いは、各国で判明しているオミクロン株の感染者の多くが無症候か軽症であるということ。ただ、いまだに新型コロナに対抗する手段が十分とは言えない状況では、軽症であれ感染者が増加するのは看過できない事態である。水際対策では完全に流入を防ぎきれるものではないことは確かだが、メリハリをつけながらも当面は厳重な体制を敷くほうが合理的ではないだろうか。一方、懸念されるワクチンの効果減弱だが、理論上はワクチンの効果が低下すると予想されているが、そうした中でイスラエルからファイザー製ワクチンのブースター接種完了者で検討したオミクロン株に対する有効率が、感染予防で90%、重症化予防で93%と報道されている。数字だけを見れば安心してしまうが、そもそも国内で4例しかオミクロン株の感染者がいないイスラエルで、南アのデータなども参考にして算出したともいわれているが、根拠が不明確で額面通りに受け取るのは難しい。とくに日本の場合はブースター接種が医療従事者で始まったばかりで、参考にするには状況が違いすぎる。また、ここで浮かび上がってきた課題がある。それはワクチン接種率の低い発展途上国で新たな変異株が登場したという現実だ。今回警戒されているアフリカ南部10ヵ国のワクチン接種完了率は、Our World in Dataによると、最高でレソトの26.51%、最低はマラウイの3.06%である。こうした接種率の低い国が存在すれば、そこで感染が激増し、変異株を生むことになる。そうなればワクチン接種と変異株登場のイタチごっこが続くだけだ。日本や先進国は自国の接種率向上やブースター接種推進を急ぐだけでなく、こうした国々へのワクチン供与などで協調支援に動くべき段階に来ているとも言えるだろう。

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接種勧奨再開のHPVワクチン、男性にも高い有効性

 副反応の報道により、2013年から個別接種の積極的勧奨が中止されていたHPVワクチンについて、国内外から有効性と安全性を認める報告が集積し、ついに2022年4月から積極的勧奨が再開される見通しだ。定期接種として無料で接種できるのは13~16歳の女子だが、同ワクチンが若年男性の感染症およびウイルス起因のがん予防に有効であるという報告が、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版11月12日号に掲載された。 米国マウントサイナイ医科大のStephen E Goldstone氏らによる本研究は、4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを用いた、16~26歳の男性1,803例を対象とした無作為化プラセボ対照試験。10年間の追跡調査で、HPV6または11に関連した外性器疣贅、HPV6、11、16、18に関連した性器病変および肛門異形成の発生率を評価した。 3年間の基礎試験は18ヵ国71施設で実施された。対象は異性愛者の男性(16~23歳)または男性と性交渉を持つ男性(=MSM、16~26歳)で、スクリーニング時にHPV以外の性感染症への感染を示唆する肛門性疣贅や性器病変がある、またはそのような所見の既往歴がある例は除外された。参加者は4価HPVワクチンまたはプラセボのいずれかを、1日目、2ヵ月目、6ヵ月目の計3回接種した(両群比1対1)。 続く7年間の長期フォローアップ試験は、16ヵ国46施設で行われた。基礎試験の期間中に4価HPVワクチンを1回以上接種した参加者が登録可能とされた(早期群)。プラセボ群は、基本試験の終了時に4価HPVワクチンの3回接種を行い、1回以上接種した時点で長期フォローアップの対象となった(キャッチアップ群)。 有効性に関する主要評価項目は以下のとおり。・全被験者におけるHPV6または11に関連した外性器疣贅の発生率・HPV6、11、16、18に関連した性器病変の発生率・MSM例におけるHPV6、11、16、18に関連した肛門上皮内新生物(肛門疣贅と扁平病変を含む)または肛門がんの発生率 早期群のper-protocol集団における主要な効果分析は、1)3回のワクチン接種を受けた、2)1日目に血清陰性、1日目から7ヵ月目まで分析対象となるHPV型のPCR検査陰性、3)ワクチン効果の評価に影響を与えるプロトコル違反がない、4)長期フォローアップ中に1回以上の診察を受けた参加者を対象とした。 キャッチアップ群における有効性は修正intention-to-treat集団で評価され、1)1回以上ワクチン接種を受けた、2)ワクチン接種前の基本試験1日目から最終フォローアップ診察日までのPCR検査陰性、3)長期フォローアップ中に1回以上の診察を受けた参加者を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・2010年8月10日~2017年4月3日の間に1,803例が登録され、うち936例(異性愛:827例、MSM:109例)が早期群に、867例(異性愛:739例、MSM:128例)がキャッチアップ群に組み入れられた。・早期群はワクチン3回目接種後に中央値9.5(範囲:0.1~11.5)年、キャッチアップ群は3回目接種後に中央値4.7(0.0~6.6)年のフォローアップ調査を受けた。・「長期フォローアップ中の早期群」と「基本試験中のプラセボ群」を比較した1万人年当たりの発生率は以下のとおり。●外性器疣贅:0.0(95%CI:0.0~8.7)対137.3(83.9~212.1)●外性器病変:0.0(0.0~7.7)対140.4(89.0~210.7)●MSMの肛門上皮内新生物または肛門がん:20.5(0.5~114.4)対906.2(553.5~1,399.5)・キャッチアップ群の「ワクチン接種前の基本調査中」と「ワクチン接種後のフォローアップ中」を比較したの1万人年当たりの発生率は以下のとおり。●外性器疣贅:149.6(101.6~212.3)対0(0.0~13.5)●MSMの肛門上皮内新生物または肛門がん:886.0(583.9~1289.1)対101.3(32.9~236.3)・フォローアップ中のキャッチアップ群において、外性器病変の新規報告例はなかった。・ワクチンに関連した重篤な有害事象は報告されなかった。 著者らは「4価のHPVワクチンは、HPV6、11、16、18に関連する肛門性器疾患に対する持続的な保護を提供する。この結果は、キャッチアップ接種を含む男性への4価HPVワクチン接種を支持するものである」としている。 国内におけるHPVワクチンの承認状況は、女性対象は2価(商品名:サーバリックス)、4価(ガーダシル)、9価(シルガード9)が承認済みだが、男性対象は4価のみで公費助成は対象外、適応は肛門がん(扁平上皮がん)およびその前駆病変、尖圭コンジローマとなる。海外では男性に対しても接種勧奨や公費助成の対象とする国も多い。

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非がん性疼痛に対するオピオイド処方、注射薬物使用との関連は?/BMJ

 非がん性疼痛に対し慢性的にオピオイド薬の処方を受けている人において、注射薬物の使用(injection drug use:IDU)を始める割合は全体ではまれであるが(5年以内で3~4%)、オピオイド未使用者と比較すると約8倍であった。カナダ・ブリティッシュコロンビア疾病管理センターのJames Wilton氏らが、カナダの行政データを用いた大規模後ろ向きコホート研究の解析結果を報告した。オピオイド処方と違法薬物または注射薬物の使用開始との関連性については、これまで観察研究などが数件あるが、大規模な追跡研究はほとんどなかった。著者は、「今回の研究で得られた知見は、IDUの開始やそれに伴う2次的な害を防止する戦略や政策に役立つと考えられるが、長期処方オピオイド治療の不適切な減量や中止の理由にしてはならない」とまとめている。BMJ誌2021年11月18日号掲載の報告。約170万人のデータから、オピオイド使用者を特定、注射薬物開始との関連を解析 研究グループは、British Columbia Hepatitis Testers Cohortとして知られている大規模な行政データ、Integrated Data and Evaluative Analytics(IDEAs)を用いてデータを解析した。IDEAsのコホートには、1992~2015年にブリティッシュコロンビア州でC型肝炎ウイルスまたはHIVの検査を受けた約170万人が含まれ、これらのデータは、医療機関の受診、入院、救急受診、がんの診断、死亡、および薬局での調剤のデータと連携している。 解析対象は、ベースライン時に物質使用歴(アルコールを除く)のない11~65歳の人で、2000~15年における非がん性疼痛に対する処方オピオイド使用の全エピソードを特定した。エピソードは、オピオイド処方の開始から終了までを、薬剤が提供されない期間が前後6ヵ月間ある場合と定義し、エピソード内の処方日数やその日数の割合によってエピソードを分類した(急性:エピソード期間<90日、一過性:エピソード期間が≧90日で処方日数が90日未満および/または処方日数の割合が50%未満、慢性:エピソード期間が≧90日で処方日数が90日以上および/または処方日数の割合が50%以上)。社会経済的変数に基づき、慢性、一過性、急性、およびオピオイド未使用者を1対1対1対1の割合でマッチングした。 IDU開始は、1年以内に、(1)注射薬物の使用に関連する問題(オピオイド、コカイン、アンフェタミンまたはベンゾジアゼピンに対する依存に関する診断コードなど)のエビデンスがある、(2)注射関連感染症の可能性の診断、の2つが認められた場合と定義し、特異性が高く妥当性のある管理アルゴリズムによって特定した。 オピオイド使用分類(慢性、一過性、急性、未使用)とIDU開始との関連性は、逆確率治療重み付け(IPTW)法によるCoxモデルを用いて評価した。解析対象は約6万人、慢性的なオピオイド処方は注射薬物使用のリスクが高い マッチングコホートには計5万9,804例(オピオイド使用分類それぞれ1万4,951例)が組み込まれた。追跡調査期間中央値5.8年において、1,149例でIDU開始が認められた。IDU開始の5年累積確率は、オピオイド使用分類が慢性(4.0%)で最も高く、次いで一過性(1.3%)、急性(0.7%)、オピオイド未使用(0.4%)の順であった。IDU開始リスクは、オピオイド使用分類が未使用に対して、慢性の場合、8.4倍上昇した(95%信頼区間[CI]:6.4~10.9)。 慢性疼痛歴のある人に限定した感度分析では、オピオイド使用分類が慢性の場合、IDU開始のリスクは主解析結果より低下したが(5年以内で3.4%)、相対リスクは低下しなかった(ハザード比:9.7、95%CI:6.5~14.5)。 IDU開始は、オピオイド投与量が多いほど、また、年齢が若いほど、高頻度であった。

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新型コロナ「罹患後症状のマネジメント」を公開/厚労省

 厚生労働省は、12月1日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(暫定版)」を公開し、全国の自治体に周知を行った。 本別冊「罹患後症状のマネジメント」は、COVID-19感染・回復後の患者の経過を診ているかかりつけ医などが、自身でそれらの症状に悩む患者に対して、どこまでどのようにアプローチ・フォローアップをすればよいのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのか、などについて標準的な診療とケアについてまとめることを目的に、それぞれの分野で経験のある専門家が参集し、発刊したもの。「罹患後症状のマネジメント」はさまざまな視点から解説 「罹患後症状のマネジメント」のおもな内容として下記の解説が行われている。・WHOの定義:COVID-19の罹患後症状(いわゆる遷延症状あるいは後遺症)の紹介・現時点の知見などを基にした、かかりつけ医などの医療従事者向けの診療や経過観察のあり方のまとめ・かかりつけ医などがどの範囲まで対応し経過観察するのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのかなどについて、各症状(呼吸器、循環器、嗅覚・味覚、精神・神経、痛み)ごとに記載・小児へのアプローチや筋力低下などに対するリハビリテーション、および職場などへの復帰に関する産業医学的アプローチも記載別冊「罹患後症状のマネジメント」の目次1)罹患後症状2)罹患後症状を訴える患者へのアプローチ3)呼吸器症状へのアプローチ4)循環器症状へのアプローチ5)嗅覚・味覚症状へのアプローチ6)精神・神経症状へのアプローチ7)“ 痛み”へのアプローチ8)小児へのアプローチ9)罹患後症状に対するリハビリテーション10)罹患後症状と産業医学的アプローチ また、注意点として「罹患後症状のマネジメント」の内容は、2021年11月26日現在の情報を基に作成したもので、今後の知見より内容修正が必要となる場合があること、厚生労働省、国立感染症研究所などのホームページから常に最新の情報を得るようにと注意を喚起している。

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第27回 有名だけれども意外と見落とされがちな意識障害の原因は?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)意識障害の原因は主軸を持って対応を!2)忘れがちな意識障害の原因を把握し対応を!【症例】62歳男性。意識障害仕事場の敷地内で倒れていた。●受診時のバイタルサイン意識20/JCS血圧128/51mmHg脈拍95回/分(整)呼吸20回/分SpO295%(RA)体温36.0℃瞳孔4/4 +/+既往歴高血圧内服薬定期内服薬なし所見麻痺の評価は困難だが、明らかな左右差なし意識障害の原因は?1)救急外来では意識障害患者にしばしば遭遇します。以前に取り上げた意識障害のアプローチに準じて対応しますが、今回の原因は何らしいでしょうか。意識障害というとどうしても頭蓋内疾患を考えがちですが、一般的に頭蓋内疾患が原因の意識障害では血圧は高くなるため、この時点で明らかな麻痺も認めないことから脳卒中は積極的には疑いません。クモ膜下出血の多くは左右差を認めないため、突然発症であった場合には注意が必要ですけどね。それでは原因は何でしょうか?意識障害の原因は多岐に渡り、“AIUEOTIPS”などの語呂合わせで覚えている人も多いのではないでしょうか。急性発症の意識障害であれば、低血糖を除外し、その後頭部CTを検査するというのは一般的な流れかと思います。診療の場において頻度は異なりますが、救急外来を受診する患者では感染症、脳卒中、痙攣、薬剤性、外傷が多く、その他、血糖異常やアルコール、電解質異常などもそれなりに経験します。今回はその中でも見逃しがちな意識障害の原因を見逃される理由と併せて整理しておきましょう。細菌性髄膜炎2)頻度として高くはありませんが、病態として敗血症が考えられる状況においては常に考える必要があります。見逃してしまう理由は、そもそも鑑別に挙げることができない、鑑別に挙げても発熱がない、項部硬直を認めないなどから除外してしまう、その他腰椎穿刺は施行したものの細胞数の上昇を認めなかったため除外してしまったなどが一般的でしょう。ワクチンの普及によって、以前と比較し細菌性髄膜炎は減少傾向にあるものの、毎年私の施設でも数例を経験します。忘れた頃にやってくる疾患といったイメージでしょうか。救急外来では、qSOFA陽性患者では鑑別に挙げ、他のフォーカスが明らかでない場合には積極的に腰椎穿刺を施行し、たとえ細胞数が上昇していなくてもグラム染色所見や培養結果で根拠を持って否定できるまでは、細菌性髄膜炎として対応するようにしています。髄膜刺激徴候は重要ですが、ケルニッヒ徴候やブルジンスキー徴候など特異度が比較的高い所見はあるものの、感度が高い身体所見は存在しないことに注意が必要です(項部硬直は感度46.1%、特異度71.3%)。単一の指標ではなく、総合的な判断が必要であるため、髄膜刺激徴候は1つ1つ確認しますが、結果の解釈を誤らないようにしましょう。細菌性髄膜炎は内科的エマージェンシー疾患であり、安易な除外は禁物です。レジオネラ症(legionellosis)「レジオネラ肺炎」。誰もが聞いたことがある病気ですが、早期に疑い適切な介入を行うことは簡単なようで難しいものです。呼吸困難を主訴に来院し、低酸素血症を認め、X線検査所見では明らかな肺炎像、尿中抗原を提出して陽性、このような状況であれば誰もが考えると思いますが、実臨床はそんなに甘くはありません。肺炎球菌と並んで重症肺炎の代表的な菌であるため、早期発見、早期治療介入が重要ですが、入り口を把握し疑うポイントを知らなければ対応できません。レジオネラ肺炎を見逃してしまう理由もまた同様であり、そもそも鑑別に挙がらない、疑ったものの温泉入浴などの感染経路がなく否定してしまった、尿中抗原陰性を理由に除外してしまったなどが挙げられます。市中肺炎患者に対して肺炎球菌をカバーしない人はいないと思いますが、意外とレジオネラは忘れ去られています。セフトリアキソン(CTRX)やアンピシリン・スルバクタム(ABPC/SBT)などの抗菌薬は、しばしば救急外来で投与されますが、これらはレジオネラに対しては無効ですよね。重症肺炎、喀痰グラム染色で起因菌が見当たらない、紹介症例などでCTRXなどβラクタム系抗菌薬が無効な場合には積極的にレジオネラ肺炎を疑う必要があります。難しいのは入り口が肺炎を示唆する症状ではない場合です。レジオネラ症の初期に認めうる肺外症状を頭に入れておきましょう(表)。これらを認める場合、他に説明しうる原因があれば過度にレジオネラを考える必要はありませんが、そうではない場合、「もしかしてレジオネラ?!」と考え、改めて病歴や身体所見をとるとヒントが隠れているかもしれません。また、意識すれば発熱の割に脈拍の上昇が認められない比較的徐脈にも気付くかもしれません。尿中抗原は診断に多々利用されていますが、これも注意が必要です。特異度は比較的高いとされますが、偽陽性の問題もあります。また、感度は決して高くないため陰性であっても否定できません。(1)重症肺炎、(2)βラクタム系抗菌薬が効かない肺炎、(3)グラム染色で有意な菌が認められない場合、(4)肺外症状を認める場合、(5)比較的徐脈を認める場合、このような場合にはレジオネラを意識して対応するようにしています。表 レジオネラ肺炎の肺外症状画像を拡大するウェルニッケ脳症4)アルコール多飲患者では鑑別に挙げ対応することが多いと思いますが、それ以外の場合には忘れがちです。フレイル患者など低栄養の患者さんでは常に考えるべき疾患であると思います。ウェルニッケ脳症が見逃されがちな5つの誤解があります。それは、「(1)非常にまれである、(2)慢性アルコール患者のみに起こる、(3)3徴(意識障害、眼球運動障害、歩行失調)が揃っていなければならない、(4)チアミンを静注するとアナフィラキシーのリスクが高い、(5)他の診断があれば除外できる」です。正確な頻度は不明であるものの、私たちが行わなければならないのはウェルニッケ脳症を診断すること以上に治療介入のタイミングを逃さないことです。意識障害患者に対するビタミンB1の投与は経静脈的に行いますが、迷ったら投与するようにしましょう。典型的な症状が揃うまで待っていてはいけません。重要なこととして(5)の他の診断があれば除外できるという誤解です。フレイル患者が脳梗塞を起こした場合、肺炎を起こした場合、その場合にビタミンB1が欠乏している(しかけている)ことも考え対応するようにしましょう。意識すると撮影した脳梗塞のMRIに典型的な所見が映っているかもしれませんよ。今回の症例の最終診断は「レジオネラ肺炎」でした。診断へのアプローチは紙面の都合上割愛しますが、意識障害のアプローチは主軸を持ちつつ、そのアプローチで見逃しがちな点を把握し、対応することが重要です。私は重度の意識障害患者に対するアプローチ方法を決め、そこから目の前の患者さんでは必要のない項目を引く形で対応しています。これもあれもと足し算で対応すると忘れたり、後手に回ることがありますからね。1)坂本 壮、安藤 裕貴著. 意識障害。あなたも名医!. 日本医事新報社;2019.2)Akaishi T, et al. J Gen Fam Med. 2019;20:193-198.3)Cunha BA. Infect Dis Clin North Am. 2010;24:73-105.4)坂本 壮 編著. 救急外来、ここだけの話. 医学書院;2021.

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特発性基底核石灰化症〔IBGC:idiopathic basal ganglia calcification〕

1 疾患概要■ 概念・定義特発性基底核石灰化症(idiopathic basal ganglia calcification:IBGC)は従来、ファール病と呼ばれた疾患で、歴史的にも40近い疾患名が使われてきた経緯がある。欧米では主にprimary familial brain calcification(PFBC)の名称が用いられることが多い。基本は、脳内(両側の大脳基底核、小脳歯状核など)に生理的な範囲を超える石灰化を認める(図1)、その原因となる生化学的異常や脳内石灰化を来す基礎疾患がないことである。最近10年間で、原因遺伝子として、4つの常染色体優性(AD)遺伝子(SLC20A21)、PDGFRB2)、PDGFB3)、XPR14))、2つの常染色体劣性(AR)遺伝子(MYORG5)、JAM26))が報告された。日本神経学会で承認された診断基準が学会のホームページに公開されている(表)。図1  IBGCの典型的な頭部CT画像画像を拡大する69歳・男性。歯状核を中心とした小脳、両側の大脳基底核に加え、視床、大脳白質深部、大脳皮質脳回谷部などに広範な石灰化を認める。表 特発性基底核石灰化症診断基準<診断基準>1.頭部CT上、両側基底核を含む病的な石灰化を認める。脳以外には病的な石灰化を認めないのが特徴である。病的とする定義は、大きさとして斑状(長径で10mm以上のものを班状、10mmm未満は点状)以上のものか、あるいは点状の両側基底核石灰化に加えて小脳歯状核、視床、大脳皮質脳回谷部、大脳白質深部などに石灰化を認めるものと定義する。注1高齢者において生理的石灰化と思われるものは除く。注2石灰化の大きさによらず、原因遺伝子が判明したものや、家族性で類似の石灰化を来すものは病的石灰化と考える。2.下記に示すような脳内石灰化を二次的に来す疾患が除外できる。主なものとして、副甲状腺疾患(血清カルシウム(Ca)、無機リン(Pi)、iPTHが異常値)、偽性副甲状腺機能低下症(血清Ca低値)、偽性偽性副甲状腺機能低下症(Albright骨異栄養症)、コケイン(Cockayne)症候群、ミトコンドリア病、エカルディ・グティエール(Aicardi Goutieres)症候群、ダウン(Down)症候群、膠原病、血管炎、感染(HIV脳症など、EBウイルス感染症など)、中毒・外傷・放射線治療などを除外する。注1iPTH:intact parathyroid hormone インタクト副甲状腺ホルモン注2小児例では、上記のような先天代謝異常症に伴う脳内石灰化である可能性も推測され、全ゲノム解析などの遺伝子検索が望まれる。3.下記に示すような 緩徐進行性の精神・神経症状を呈する。頭痛、精神症状(脱抑制症状、アルコール依存症など)、てんかん、精神発達遅延、認知症、パーキンソニズム、不随意運動(PKDなど)、小脳症状などの精神・神経症状 がある。注1PKD:paroxysmal kinesigenic dyskinesia 発作性運動誘発性ジスキネジア注2無症状と思われる若年者でも、問診などにより、しばしば上記の症状を認めることがある。神経学的所見で軽度の運動機能障害(スキップができないなど)を認めることもある。4.遺伝子診断これまでに報告されているIBGCの原因遺伝子は常染色体優性遺伝形式ではSLC20A2、PDGFRB、PDGFB、XPR1、常染色体劣性遺伝形式ではMYORG、JAM2があり、これらに変異を認めるもの。5.病理学的所見病理学的に脳内に病的な石灰化を認め、DNTCを含む他の変性疾患、外傷、感染症、ミトコンドリア病などの代謝性疾患などが除外できるもの。注1 DNTC:Diffuse neurofibrillary tangles with calcification(別名、小阪-柴山病)この疾患の確定診断は病理学的診断であり、生前には臨床的にIBGCとの鑑別に苦慮する。●診断Definite1、2、3、4を満たすもの。1、2、3、5を満たすもの。Probable1、2、3を満たすもの。Possible1、2を満たすもの。日本神経学会ホームページ掲載のものに、下線を修正、追加(改訂申請中)してある。■ 疫学2011年に厚生労働省の支援により本症の研究班が立ち上がった。研究班に登録されている症例は、2021年現在で、家族例が40家系、孤発例が約200例である。症例の中には、頭部外傷などの際に撮影した頭部CT検査で偶発的にみつかったものもあり、実際にはこの数倍の症例は存在すると推定される。■ 病因2012年に中国から、IBGCの原因遺伝子としてリン酸トランスポーターであるPiT2をコードするSLC20A2の変異がみつかったことを契機に、上記のように4つの常染色体優性遺伝子と2つの常染色体劣性遺伝子が連続して報告されている。また、症例の中には、過去に全身性エリテマトーデス(SLE)の既往のある症例、腎透析を受けている症例もあり、2次性とも考えられるが、腎透析を受けている症例すべてが著明な脳内石灰化を呈するわけではなく、疾患感受性遺伝子の存在も示唆される。感染症も含めた基礎疾患の関与によるもの、外傷、薬剤、放射線など外的環境因子の作用も推測される。原因遺伝子がコードする分子の機能から、リン酸ホメオスタシスの異常、また、周皮細胞、血管内皮細胞とアストロサイトの関係を基軸とした脳血管関門の破綻がこの石灰化の病態、疾患の発症機構の基盤にあると考えられる。■ 症状症状は中枢神経系に限局するものである。無症状からパーキンソン症状など錐体外路症状、小脳症状、精神症状(前頭葉症状など)、認知症を来す症例まで極めて多様性がある。発症年齢も30~60歳と幅がある。自験例の全202例の検討では、パーキンソニズムが26%、認知機能低下26%、精神症状21%、てんかん14%、不随意運動4%であった7)。不随意運動の内訳はジストニアが4例、ジスキネジアが2例、発作性運動誘発性ジスキネジア(Paroxysmal kinesigenic dyskinesia:PKD)が2例であった。わが国では諸外国と比して、不随意運動の頻度が低かった8)。必ずしも遺伝子変異によって特徴的臨床所見があるわけではない。国内外でもSLC20A2遺伝子変異患者ではパーキンソニズムが最も多く、PDGFB遺伝子変異では頭痛が多く報告されている。筆者らの検索でも、PDGFB変異患者では頭痛の訴えが多く、患者の語りによる質的研究でも、QOLを低下させている一番の原因であった。PKDはSLC20A2遺伝子変異患者で多く報告されている。筆者らはIBGC患者、とくにSLC20A2変異患者の髄液中の無機リン(Pi、リン酸)が高いことを報告している9)。頭部CT画像にも各遺伝子変異に特徴的な画像所見はないが、JAM2遺伝子変異では、他ではあまりみられない橋などの脳幹に石灰化がみられることがある。■ 分類原因遺伝子によって分類される。遺伝子の検索がなされた家族例(FIBGC)では、40%がSLC20A2変異10)、10%がPBGFB変異11)で、他XPR-1変異が1家系、PDGFRB変異疑いが1家系で、この頻度は国内外でほぼ一致している。■ 予後緩徐進行性の経過を示すが、症状も多彩であり、詳しい予後、自然歴を調べた論文はない。石灰化の進行を評価するスケール(total calcification score:TCS)を用いて、遺伝子変異では、PDGFRB、PDGFB、SLC20A2の順で石灰化の進行が速く、さらに男性、高齢、男性でその進行速度が速くなるという報告がある12)。原因遺伝子、二次的な要因によっても、脳内石灰化の進行や予後は変わってくると推定される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)基本的には原因不明の脳内に限った石灰化症である。National Center for Biotechnology Information(NCBI)には、以下のPFBCの診断基準が挙げられている。(1)進行性の神経症状(2)両側性の基底核石灰化(3)生化学異常がない(4)感染、中毒、外傷の2次的原因がない(5)常染色体優性遺伝の家族歴がある常染色体優性遺伝形式の原因遺伝子として、すでにSLC20A2、PDGFB、PDGFRB、XPR1の4遺伝子が報告され、現在、常染色体劣性遺伝形式の原因遺伝子MYORG、JAM2がみつかってきており、上記の(5)は改訂が必要である。わが国では孤発例の症例も多く、疾患の名称に関する課題はあるが、診断は前述の「日本神経学会承認の診断基準」に準拠するのが良いと考える(上表)。鑑別診断では、主なものとして、副甲状腺疾患(血清カルシウム、Pi、iPTHが異常値)、偽性副甲状腺機能低下症(血清カルシウム低値)、偽性偽性副甲状腺機能低下症(オルブライト骨異栄養症)、コケイン症候群、ミトコンドリア脳筋症(MELASなど)、エカルディ・グティエール症候群(AGS)、ダウン症候群、膠原病、血管炎、感染(HIV脳症など、EBウイルス感染症など)、中毒・外傷・放射線治療などを除外する。IBGCの頭部CT画像は、タツノオトシゴ状、勾玉状などきれいな石灰化像を呈することが多いが、感染症後などの二次性の場合は、散発した乱れた石灰化像を呈することが多い。後述のDNTCの病理報告例の頭部CT所見は、斑状あるいは点状の石灰化である。IBGCは小児期、青年期は大方、症状は健常である。小児例では、AGSを始め、多くは何らかの先天代謝異常に伴う脳内石灰化症、脳炎後など主に二次性の脳内石灰化症が示唆されることが多い。今後の病態解明のためには、とくに家族例、いとこ婚などの血族結婚の症例を含め、エクソーム解析や全ゲノム解析などの遺伝子検索が望まれる。高齢者の場合は、淡蒼球の生理的石灰化、また、初老期以降で認知症を呈する“石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病”(diffuse neurofibrillary tangles with calcification:DNTC、別名「小阪・柴山病」)が鑑別に上がる。DNTCの確定診断は、病理学的所見に基づく。しかし、最近10年間の班研究で調べた中ではDNTCと病理所見も含めて診断しえた症例はなかった。脳内石灰化をみた場合の診断の流れを図2に提示する。図2 脳内石灰化の診断のフローチャート画像を拡大する脳内に石灰化をみた場合のフローチャートを示す。今後、病態機構によって、漸次、更新されるものである。全体をPFBCとして包括するには無理がある。名称として現在は、二次性のものを除外して、全体をPBCとしてまとめておくのが良いと考える。【略号】(DNTC:Diffuse neurofibrillary tangles with calcification、FIBGC:Familial Idiopathic Basal Ganglia Calcification、IBGC:Idiopathic Basal Ganglia Calcification、PBC:Primary Brain Calcification)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根本的な治療法はまだみつかっていない。遺伝子変異を認めた患者の疾患特異的iPS細胞を用いて、PiT2、PDGFを基軸に創薬の研究を進めている。対症療法ではあるが、不随意運動や精神症状にクエチアピンなど抗精神病薬が用いられている。また、病理学的にもパーキンソン病を合併する症例があり、抗パーキンソン病薬が効果を認め、また、PKCではカルバマゼピンが効果を認めている。4 今後の展望中国からAR遺伝形式の原因遺伝子MYORG、JAM2が見出され、今後さらなるARの遺伝子がみつかる可能性がある。また、疾患感受異性遺伝子、環境因子の関与も想定される。IBGC、とくにSLC20A2変異症例では根底にリン酸ホメオスタシスの異常があることがわかってきた。ここ数年で、Pi代謝に関する研究が大いに進み、生体におけるPi代謝にはFGF23が中心的役割を果たす一方、石灰化にはリン酸とピロリン酸(二リン酸, pyrophosphate:PP)の比が重要である指摘やイノシトールピロリン酸 (inositol pyrophosphate:IP-PP)が生体内のリン酸代謝に重要であることが注目されている。最近では細胞内のPiレベルの調節にはイノシトールポリリン酸 (inositol polyphosphate: InsPs)、その代謝にはイノシトール-ヘキサキスリン酸キナーゼ、(inositol-hexakisphospate kinase:IP6K)がとくに重要で、InsP8が細胞内の重要なシグナル分子として働き、細胞内Pi濃度を制御するという報告がある。また、SLC20A2-XPR1が基軸となって、クロストークを起こすことによって、細胞内のPiやAPTのレベルを維持する作用があることも明らかとなってきた。生体内、細胞内でのPi代謝の解明が大きく進展している。5 主たる診療科脳神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。IBGCでは通常は小児期には症状を呈さない。小児期における脳内石灰化の鑑別では小児神経内科医へのコンサルトが必要である。精神発達遅滞を呈する症例あり、脳内石灰化の視点から、多くの鑑別すべき先天代謝異常症がある。とくに、MELAS、AGS、副甲状腺関連疾患、コケイン症候群、Beta-propeller protein-associated Neurodegeneration (BPAN、 SENDA)などは重要である。また、家族例では、IRUD-P(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases in Pediatrics:小児希少・未診断疾患イニシアチブ)などを活用したエクソーム解析や全ゲノム解析などの遺伝子解析が望まれる。   そのほか、症例の中には、統合失調症様や躁病などの精神症状が前景となる症例もある。これらはある一群を呈するかは今後の課題であるが、精神科医との連携が必要なケースもまれならずある。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本神経学会診断基準(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)NCBI GeneReviews Primary Familial Brain Calcification Ramos EM, Oliveira J, Sobrido MJ, et al. 2004 Apr 18 [Updated 2017 Aug 24].(海外におけるPFBCの解説、医療従事者向けのまとまった情報)●謝辞本疾患の研究は、神経変性疾患領域の基盤的調査研究(20FC1049)、新学術領域(JP19H05767A02)の研究助成によってなされた。本稿の執筆にあたり、貴重なご意見をいただいた岐阜大学脳神経内科 下畑 享良先生、林 祐一先生、国際医療福祉大学 ゲノム医学研究所 田中 真生先生に深謝申し上げます。1)Wang C, et al. Nat Genet. 2012;44:254–256.2)Nicolas G, et al. Neurology. 2013;80:181-187.3)Keller A, et al. Nat Genet. 2013;45:1077-1082.4)Legati A, et al. Nat Genet. 2015;47:579-581.5)Yao XP et al. Neuron. 2018;98:1116-1123. 6)Cen Z, et al. Brain. 2020;143:491-502.7)山田 恵ほか. 臨床神経. 2014;54:S66.8)山田 恵ほか. 脳神経内科. 2020;92:56-62.9)Hozumi I, et al. J Neurol Sci. 2018;388:150-154.10)Yamada M, et al. Neurology. 2014;82:705-712.11)Sekine SI, et al. Sci Rep. 2019;9:5698.12)Nicolas G, et al. Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet. 2015;168:586-594.公開履歴初回2021年12月2日

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第86回 「オミクロン株感染者」国内初確認で浮上した「例外」入国の課題

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が世界的に拡大する中、日本政府は11月29日、11月30日~12月31日までの間、世界からの外国人の新規入国を原則停止すると発表した。南アフリカが、オミクロン株の発生を公表した翌11月26日、日本政府は、6ヵ国からの入国者に国指定の宿泊施設での10日間の待機を求める決定を行い、官邸幹部は比較的早い対応に胸を張った。しかし、感染力が強くワクチン効果が下がる可能性が指摘されるオミクロン株の感染者が日本国内で初めて確認され、第6波のきっかけになることが懸念されている。国内初の感染確認例、ワクチン2回接種もブレークスルー感染か菅 義偉前首相がデルタ株への対応に遅れたと批判され、衆議院選を前に内閣支持率が低下したことから、岸田 文雄首相は来年夏の参議院選を踏まえ、外国人の新規入国禁止に踏み切った。それでも、外国人の入国禁止間際の11月28日夕方に、ナミビアから経由地を経て成田空港に到着した同国の男性外交官(30代)が新型コロナウイルスに感染した疑いがあったことから、国立感染症研究所(感染研)でゲノム解析を実施。その結果、30日にオミクロン株と確認された。日本国内でわかった初のオミクロン株感染者となった。男性は、7月にモデルナ製ワクチンの2回目接種を受けており、入国時には無症状だったが、空港検疫で陽性と判断。11月29日から発熱の症状が出た。成田空港検疫所が指定する施設で療養していたが、オミクロン株の感染判明後は医療機関で隔離。一緒に入国した妻子は陰性だったが、隔離された。抜け穴になりかねない「濃厚接触者扱い」の自宅待機男性と同じ飛行機で日本に入国した人は70人いた。ナミビアからの入国者に関しては、検疫所が指定する施設で10日間隔離される。一方、経由地で男性と同じ飛行機に乗った場合、自宅などで最長14日間の待機のみになる可能性がある。飛行機では通常、陽性者の列の前後2列ずつを濃厚接触者として追跡調査を行うが、空気感染の可能性も指摘される中、日本政府は今回、全員を「濃厚接触者扱い」にするという異例の措置に踏み切った。現在のところ全員陰性だったが、宿泊施設もしくは自宅での待機が指示されている。そのうち40人程度が都内在住だという。全員アプリで経過観察を行い、2日ごとに検査を実施。協力を得られない場合、政府は氏名を公表するという。ただ、自宅待機を認めると、そこに抜け穴が生じる可能性がある。本来なら、濃厚接触者は決められた施設に入り、一定期間きちんと管理するのが重要だ。医療機関はオミクロン株感染者受け入れを前提にした態勢成田空港で見つかった新型コロナ感染者が搬送される病院の1つ、国際医療福祉大学成田病院では、オミクロン株に感染した可能性があることを前提で対応する方針だ。11月30日に記者会見した感染研の脇田 隆字所長は「これから年末に向けて、いずれ感染拡大が再度起きうる想定は、われわれとしてはしていかなければいけないと考えている。オミクロン株がどの程度影響するかについては、感染伝播力がどの程度強いのか、ワクチンに対する免疫力をどの程度落とすものか、順次知らせていきたい」と述べた。また、オミクロン株感染者が空港検疫をすり抜ける可能性がある中、後藤 茂之厚生労働大臣は「従来15~20%のゲノム解析を能力のある限り(実施)してほしい」と訴えた。新型コロナの新規感染者が減少し、医療機関に余力が出てきた分、広くスクリーニングできる体制づくりが必要だ。オミクロン株の存在が発表されてからわずか5日間で、日本を含め23ヵ国・地域に急拡大した。イギリスやオランダ、ドイツなどでは、自身の海外渡航歴がない、もしくは渡航歴がある人との接触がない人のオミクロン株感染が報告されており、市中感染の可能性が指摘されている。このような状況下、各国は対策を急いでおり、イギリスではブースター接種の対象年齢を40歳以上から18歳以上に引き下げ、2回目接種からの間隔を6ヵ月から3ヵ月に短縮した。政府・与党は経済を後回しにしてもオミクロン株対策優先オミクロン株が日本に来るスピードの速さには驚かされる。第6波の引き金になることを想定した対策を打つ必要がある。人の移動や接触が増える年末年始を前に、政府・与党は経済を回すために飲食店での人数制限やイベントの開催制限の緩和を進めてきたが、経済を後回しにしてでもオミクロン株対策を厳しくする必要があるとの考えが支配的になってきているという。佐藤 正久・自民党外交部会長は、外国人の新規入国原則停止の「原則」を問題視。原則がある以上、例外がある。たとえば10月の場合、「特段の事情」という例外で3万3,000人の外国人が入国し、11月以降も例外が継続される点に対し、それが抜け穴となってオミクロン株が国内に持ち込まれないよう、外国人の入国の厳格化・極小化、できればゼロにすることを訴えている。最初に規制の網を大きく広げておき、オミクロン株の感染力の強さ、重症化リスク、ワクチン効果などがわかってきて大丈夫だと判断できれば、再び規制を緩和していくのが良いだろう。どのタイミングで、どう対応していくのか、引き続き、政府の迅速な対応が求められる。

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HPVワクチンの接種個別勧奨を自治体へ指示/厚労省

 11月26日、厚生労働省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について」の通知を全国の自治体に向けて発出した。 同省は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る予防接種の積極勧奨について、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的にみられたことから、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとし、平成25年6月14日発出の通知により接種の積極的な勧奨とならないよう留意するなどの対応を勧告してきた。 今回の通知はその勧告を変更するもので、先の平成25年の通知は廃止され、令和4年4月よりHPVワクチン接種対象者に予防接種法第8条に基づき勧奨を行うこととなる。現在の状況を終わらせフォローを厚く 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会および薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会での同ワクチンの有効性・安全性、接種後に生じた症状への対応、ワクチンについての情報提供の取組みなどについて議論が行われた。その結果、第72回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第22回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)で最新の知見を踏まえ、改めて同ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないこと、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められたことから、現在の状態を終了させることが妥当とされた。 ただし、引き続き同ワクチンの安全性の評価、接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の診療実態の継続的な把握や体制強化は行い、都道府県や地域の医療機関などの関係機関の連携を強化し地域の支援体制の充実、同ワクチンの情報提供の充実はさせていく。具体的な動きについて1)HPVワクチンの個別の勧奨について 市町村長は、予防接種法第8条規定による勧奨を行うこと。具体的には、対象者またはその保護者に対し、予診票の個別送付を行うことなどにより、接種を個別に勧奨することが考えられる。2)HPVワクチンの個別勧奨および接種を進めるに当たっての留意点(1)個別勧奨を進めるに当たり、標準的な接種期間に当たる者(13歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある女子)に対して行うことに加え、これまで個別勧奨を受けていない令和4年度に14~16歳になる女子についても、同ワクチンの供給・接種体制などを踏まえつつ、必要に応じて配慮する。(2)同ワクチンの接種を進めるに当たっては、対象者などに対しワクチン接種について検討・判断するために必要な情報提供が行われるとともに、被接種者が接種後に体調の変化を感じた際に、地域において適切に相談や診療などの対応が行われるよう、医療機関や医師会などの関係者の連携の下、十分な相談支援体制や医療体制の確保に遺漏なきを期す。(3)市町村長は、管内の医療機関に対して、HPV感染症に係る定期接種の対象者などが接種のために受診した場合には、同ワクチン接種の有効性および安全性などについて十分に説明した上で、対象者などが接種を希望した場合に接種することを引き続き周知する。(4)HPV感染症の定期接種を含め、予防接種による副反応疑いの報告が適切に行われるよう、市町村長は管内の医療機関に対し「定期の予防接種等による副反応疑いの報告等の取扱いについて」の周知を引き続き図る。3)その他 平成25年通知が廃止されるまでの間、積極的な勧奨の差控えにより接種機会を逃した方への対応については、公費による接種機会の提供などに向けて対象者や期間などについての議論を開始した。今後、方針が決定次第、速やかに周知する予定。 なお、この通知にともない「予防接種法第5条第一項の規定による予防接種の実施について」も改訂され、令和3年11月26日より施行された。

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3回目接種開始に伴う追記など、新型コロナ予防接種の手引き改訂/厚労省

 厚生労働省は、11月30日付でホームページ上に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(5.0版)」を公開した。今回は、今月より新型コロナワクチンの追加(3回目)接種が開始することに伴う追記(予診票、請求事務の変更など)が主な改訂ポイントとなる。 最新版手引きによると、追加接種は、「2回目接種から原則8ヵ月以上経過した者に対して1回行うこと」としている。そのため、追加接種についても2回目接種までの時期が早かった医療従事者などから順次開始する。初回接種(1、2回目接種)で使用したワクチン接種の種類にかかわらず、現時点で追加接種において使用できるワクチンは、ファイザー社製ワクチン(コミナティ)のみで、接種対象者は18 歳以上。今後の薬事承認等の状況を踏まえ、使用できるワクチンが追加される可能性がある。 なお、12 月1日以降は、原則として新様式の接種券一体型予診票を使用することになるが、追加接種と初回接種とではそれぞれ予診票が異なるので注意が必要だ。 手引きの詳細や新様式の関連文書などは、厚労省の当該ページ(新型コロナワクチンの接種を行う医療機関へのお知らせ)を参照いただきたい。

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インド製コロナワクチン、有効率77.8%で忍容性良好/Lancet

 インドで開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBBV152は、成人においてウイルス学的に確認された症候性COVID-19の発症予防に対し高い有効性を示し、忍容性は良好で安全性に関する懸念はない。インド・バーラト・バイオテック社のRaches Ella氏らが、インドの25施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の中間解析結果を報告した。BBV152ワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)NIV-2020-770株をβ-プロピオラクトンで不活化し、ウイルス抗原6μgを、ミョウバン(Algel)にtoll様受容体7/8アゴニスト分子(イミダゾキノリン:IMDG)を吸着させたAlgel-IMDGと共に製剤化した不活化全ウイルスワクチンで、保存温度は2~8度であることから、輸送・保管システムの必要条件を緩和できる可能性が示されている。Lancet誌オンライン版2021年11月11日号掲載の報告。約2万6千人をBBV152ワクチン群とプラセボ群に無作為化 研究グループは、18歳以上の健康成人または慢性疾患を有する成人(免疫不全状態または免疫抑制療法が必要な状態ではない)を、ワクチン群またはプラセボ(Algelのみ含有)群に、慢性疾患の有無で層別化して1対1の割合に無作為に割り付け、ワクチンまたはプラセボを4週間間隔で2回筋肉内投与した。 主要評価項目は、per-protocol集団(ベースラインで血清陰性、2回目投与後14日以上追跡)におけるワクチン2回目投与から14日以降の症候性COVID-19(PCR検査により確認、重症度は問わない)初回発症に対する有効性とした。また、ワクチンを少なくとも1回またはプラセボの投与を受けたすべての被験者における、試験期間中の安全性と反応原性についても評価した。 2020年11月16日~2021年1月7日の間に、26,028例がスクリーニングを受け、2万5,798例がワクチン群(1万2,899例)およびプラセボ群(1万2,899例)に無作為に割り付けられた。有害事象は同率、アナフィラキシーやワクチン関連死の報告なし 無作為化された2万5,798例のうち、2万4,419例がワクチンまたはプラセボの2回投与を完了した(それぞれ1万2,221例、1万2,198例)。 データカットオフ(2021年5月17日)時点で、per-protocol集団1万6,973例中、症候性COVID-19は130例に認められた。ワクチン群が8,471例中24例(0.3%)、プラセボ群が8,502例中106例(1.2%)であり、全体でのワクチン有効率は77.8%(95%信頼区間:65.2~86.4)と推定された。 安全性解析対象集団は2万5,753例で、このうち3,194例に5,959件の有害事象が発生した。有害事象の発現率は、ワクチン群12.4%(1,597/12,879例)、プラセボ群12.4%(1,597/12,874例)と同じであり、自発的および非自発的に報告された有害事象、重篤な有害事象の発現率に両群で有意差はなく、アナフィラキシーやワクチン関連死も報告されなかった。

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「ブスコパン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第80回

第80回 「ブスコパン」の名称の由来は?販売名ブスコパン®錠10mg※ブスコパン注20mgは錠剤のインタビューフォームと異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名[命名法])ブチルスコポラミン臭化物 (JAN)効能又は効果下記疾患における痙攣並びに運動機能亢進胃・十二指腸潰瘍、食道痙攣、幽門痙攣、胃炎、腸炎、腸疝痛、痙攣性便秘、機能性下痢、胆のう・胆管炎、胆石症、胆道ジスキネジー、胆のう切除後の後遺症、尿路結石症、膀胱炎、月経困難症用法及び用量通常成人には1回1~2錠 (ブチルスコポラミン臭化物として10~20mg) を1日3~5回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】(1)出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢患者では、症状の悪化、治療期間の延長をきたすおそれがある。](2)閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。](3)前立腺肥大による排尿障害のある患者[更に尿を出にくくすることがある。] (4)重篤な心疾患のある患者[心拍数を増加させ、症状を悪化させるおそれがある。](5)麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。](6)本剤に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年12月1日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年7月(改訂第6版)医薬品インタビューフォーム「ブスコパン®錠10mg」2)サノフィe-MR:製品情報

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第86回 世界で猛威を振るうランサムウェア、徳島の町立病院を襲う

ランサムウェアに感染、1ヵ月経つも電子カルテ復旧せずこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今年の日本シリーズはとても見応えがありました。第1、2戦の日本を代表する投手たちによる息詰まる投手戦や、オリックスが神戸に戻るために必死で1勝を手にした第5戦など、野球の醍醐味が詰まったシリーズでした。私はヤクルト球団で働いている知人の伝手で、第3戦を東京ドームで観戦したのですが、ドームのカクテル光線にキラキラ光る大量の応援傘は壮観でした。それにしても、優勝したヤクルト、惜しくも敗れたオリックス共に打撃陣が抑え込まれたのは、やはりデータ野球の成果なのでしょう。もっとも、データ野球の先進国、米国のMLBのワールドシリーズは、乱打戦が多かった印象です。あちらのトップ選手には、データをねじ伏せるだけの技術とパワーが備わっているからでしょうか。今年の筒香 嘉智選手に続き、来年のメジャー移籍を目指す鈴木 誠也選手が少々心配です。さて、今回は徳島県内陸部、吉野川沿いにあるつるぎ町の町立半田病院(120床)を襲った、電子カルテのランサムウェア(身代金要求型ウイルス)感染事件について書いてみたいと思います。10月31日未明に同病院で起きたこの事件、1ヵ月経った現在も事態は収束していません。当初は地元紙が報じるだけだったのですが、NHKや全国紙も大きく扱う事態となっています。受付から、診察、会計まですべてのシステムがダウン事件が起こったのは、10月31日の未明でした。NHKや徳島新聞等の報道を基に、事件の流れを整理してみました。31日午前0時半ごろ、町立半田病院の電子カルテに不具合があり、複数プリンターから勝手に不審な書類が大量に印刷されはじめました。紙には英語で「あなたのデータは盗んで暗号化された。ランサムにお金を払わないとダークウェブにデータを公開する(Your data are stolen and encrypted. The data will be published on TOR website……,if you don‘t pay the ransom.)」などと書かれてありました。この時既に、バックアップ用も含めて、院内のサーバーのデータは暗号化されており、受付から、診察、会計まですべてのシステムがダウンしていました。英語の書類が大量に自動印刷されるのを見つけた当直の看護師が、システム担当の職員や電子カルテシステムのメーカーなどに連絡したものの対応不能で、同病院は早朝、開院前に美馬署と県警本部に連絡、ランサムウェアに感染した可能性があるとして被害届を提出しました。同病院は、31日朝から救急患者の受け入れを停止、11月1日以降の新規の外来や入院の受け入れの停止も決めました。同病院では平日1日当たり200~300人の外来患者がいるとのことです。なお、予約再診や予防接種、透析は実施することとしました。31日に同病院は会見を開き、被害にあった事実を公表しました。病院事業管理者の須藤泰史氏は「多くの方にご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。警察と今後の対応を検討して参ります」と陳謝したとのことです。バックアップサーバーのデータも暗号化され使えず感染したのはシステムのメインサーバーとバックアップサーバーで、患者約8万5,000人分の個人記録が保存されていました。同日午後9時時点で、流出したデータが公開されているダークウェブには町立半田病院の情報はありませんでした。同病院によると、電子カルテシステムと連係した検査システムや画像システム、診療報酬システムなども使用不能となったとのことです。同病院の電子カルテシステムは、県内の医療ネットワークなどと専用回線のみで接続され、セキュリティーソフトなど不正アクセスを防ぐ対策も取っていたとしています。入院や外来患者のカルテは手書きの記録へ町立半田病院では災害対策本部を立ち上げ、対応に乗り出しました。しかし、その後の復旧は遅々として進みませんでした。電子カルテが使えないため、入院や外来患者のカルテは手書きで紙に記録することになりました。紹介状などの作成も手書きなので、職員の負担は相当なものとなりました。倉庫で眠っていた古いパソコンを再利用して共有データの入力も始めました。この間、システムのセキュリティー専門会社がメインサーバーの復旧作業にあたりましたが、効果はなかったそうです。なお、同病院とネットワークで患者情報共有している県内の97医療機関では、システム被害は報告されていません。その後、1週間たってもメインサーバーは復旧せず、外来診療は予約のある再診患者や透析、予防接種に限定しての対応が続き、休日診療や小児救急は、近隣の医療機関にサポートを頼んだりしたそうです。なお、会計もできないため診療費の請求は後日に延期しているとのことです。共同通信の取材に、病院事業管理者の須藤氏は「過去の診察記録が全部見られなくなった。災害レベルの事態だ。南海トラフ巨大地震を想定した非常事態と同じ対応をしている」と語ったそうです。身代金は支払わず、電子カルテのシステムを一からつくり直すことに11月30日現在、サーバーの復旧のメドは立っていません。紙カルテでの作業が続く中、小児科は11月15日から通常診療を開始、19日からは産科部門で新規妊産婦や救急患者の受け入れを始めました。内科や外科、泌尿器科などは新規患者を受け入れられない状態が続いています。同病院は11月26日に会見を開き、身代金は支払わず電子カルテのシステムを一からつくり直す、と表明しました。現在、ホームページには、「通常診療の再開は2022年1月4日(火)よりを予定しております」と掲示されています。プリンターを使用して脅迫文を自動印刷するランサムウェア「LockBit2.0」各紙報道によれば、町立半田病院のサーバーを襲ったのは、「LockBit2.0」と名乗る国際的なハッカー集団が仕掛けるランサムウェアとのことです。感染するとデータが勝手に暗号化され、LockBit2.0側が公開停止や復旧と引き換えに金を要求する、というものです。調べてみるとこのLockBit2.0、今年に入ってから世界中でさまざまな企業の攻撃を繰り返しているようです。2019年9月に「LockBit」という名前で出現したこのグループは、2021年6月に活動を再開。6月末にダークウェブ上のWebサイトで「アフィリエイト」と呼ばれる攻撃部隊の募集をはじめ、7月中旬からはダークウェブ上のリークサイトに、多数の被害組織への攻撃声明を掲載するようになりました。リークサイトには、被害組織の具体名を掲載。被害組織と交渉中(またはコンタクト待ち)の段階では組織名公開に留め、暗号化した窃取データは公開しない、としています。そして、窃取データの公開までの残り時間をサイトに表示し、身代金の支払いを促すという流れです。LockBit2.0の特徴の1つが、プリンターを使用して脅迫文を自動印刷することで、ランサムウェアでは珍しいタイプとのことです。なお、YouTubeでは、LockBit2.0によってプリンターが脅迫文を印刷する実際の様子の動画が公開されています。興味のある方は見てみて下さい(「LockBit2.0、印刷」で検索)。なぜ、町立半田病院が狙われたのか?LockBitの被害企業として有名なのは、米最大級の石油パイプライン企業「コロニアル・パイプライン」で、同社は440万ドル(約4億8,000万円)の身代金を支払っています。また、日本企業でも光学機器大手HOYAのアメリカの子会社が攻撃を受け、顧客の視力に関するデータを含む書類などが公開されたことが明らかになっています。また昨年11月には、ゲームソフト大手のカプコンが攻撃を受け、社員など1万5,000人余りの個人情報が流出しています。では、今回なぜ町立半田病院が狙われたのでしょうか。ハッカー側は、企業の大小や業態で攻撃対象を選別しているわけではなさそうです。11月20日のNHKニュースは、「セキュリティーの専門家によれば、半田病院を狙ったわけではなく、攻撃対象を無作為に探していたハッカー集団側が、弱点のあるシステムを見つけ、侵入できた先が、結果的に半田病院だったとみられている」と報じています。VPN経由での攻撃の可能性セキュリティー対策をしていた同院のシステムが、ウイルスに感染した原因もわかっていません。11月28日の朝日新聞によれば、「院内のネットに外部からアクセスできる『VPN(仮想プラベートネットワーク)』の通信機器が複数、接続されていた。電子カルテシステムを遠隔操作で業者がメンテナンスしたり、県内の医療機関と患者の情報を交換したりするため」とのことで、VPN経由での攻撃の可能性が示唆されています。同病院のVPNの機器は、過去に認証情報の流出が問題になった米国製のものだった、との報道もあります。NHKの報道によれば、「近年、ランサムウェアによる被害は、国内外で民間企業だけでなく、医療機関でも増えている」そうです。海外の病院では、カルテ情報の大量漏洩やシステム停止による診療中止によって、患者が死亡する事例も出ているとのことです。日本の病院、特に中小病院は、情報システムの担当者を置いていないことが多く、セキュリティー対策も専門業者任せのところがほとんどだと言われています。ハッカーたちは、「田舎の小さい病院だから攻撃は止めておこう」とは考えません。セキュリティーに穴があれば、すぐさまそこを突いてきます。感染症を引き起こすウイルスだけではなく、コンピュータウイルスに対しても、医療機関は万全の感染防止体制を求められる時代になった、と言えそうです。

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マスク・手洗いでコロナ発症率がどの程度下がるのか~メタ解析/BMJ

 新型コロナウイルスへの感染、発症、死亡に関して、感染対策はどの程度有効だったのだろうか。オーストラリア・Monash UniversityのStella Talic氏らの系統的レビューとメタ解析から、手洗い、マスク着用、対人距離保持などがCOVID-19発症率の減少と関連することが示唆された。BMJ誌2021年11月17日号に掲載。マスク着用効果を35報の論文からメタ解析 本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究の論文を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。 マスク着用などの効果をメタ解析した主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした論文72報中35報が個別の感染対策を評価し、37報が複数の感染対策を「介入パッケージ」として評価していた。・35報中8報をメタ解析した結果、手洗い(相対リスク:0.47、95%信頼区間:0.19〜1.12、I2=12%)、マスク着用(0.47、0.29〜0.75、I2=84%)、対人距離保持(0.75、0.59〜0.95、I2=87%)がCOVID-19発症率の減少と関連していた。・検疫・隔離、ロックダウン、国境・学校・職場の封鎖による有効性は、研究の不均一性からメタ解析は不可能だった。

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第88回 オミクロン株のスパイクタンパク質の抗体認識領域はどれも変異している

先週金曜日26日、南アフリカから24日に世界保健機関(WHO)に初めて報告された心配な新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株B.1.1.529がオミクロン(Omicron)株と命名されました1)。南アフリカでのこれまでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の波は3回あり、直近の第3波は主にデルタ株が担いました。オミクロン株が認められた検体の最初の採取日は26日時点で知られている限り今月上旬の9日で、同国ではその検出と時を同じくしてここ数週間SARS-CoV-2感染が急増しています。オミクロン株はやけに多くの変異を有し、これまでの変異株に比べて再感染しやすいようです1)。渡航制限にもかかわらず世界にすでに広がっており、29日のReutersのニュースによると南アフリカに加えてオーストリア、ベルギー、ボツワナ、英国、デンマーク、ドイツ、香港、イスラエル、イタリア、オランダで検出されています2)。オミクロン株が憂慮されるのはなぜかというと、COVID-19研究で名を馳せた英国の大学インペリアル・カレッジ・ロンドンの専門家によればスパイクタンパク質のこれまでに知られている抗原部分のどうやらすべてに変異を有しているからです3)。ワクチンに応じて作られる抗体はSARS-CoV-2スパイクタンパク質の随所の抗原領域に取り付き、ウイルスの細胞侵入を阻止して感染や発病を防ぎます。ウイルスが抗体一揃いを回避する変異1つを獲得したとしてもたいていは他の抗体一揃いの働きで依然として感染を防ぐことができます。抗体は変異に対応しうる余力をそのように常に残しています。しかしオミクロン株のスパイクタンパク質の抗原領域はどこもかしこもすべて変異しているらしく、抗体のかなりがオミクロン株スパイクタンパク質の認識には苦労しそうです。ゆえに、現在普及しているワクチンはオミクロン株に手こずるかもしれません。ただし、まったく歯が立たないのかそれとも苦戦するとはいえ勝てる相手なのかはまだわかりません。オミクロン株のスパイクタンパク質のフリン切断領域の変異も心配です。それらの変異は感染をより広まりやすくすることと関連し、デルタ株もその領域に非常に手強い変異を有しています。また、細胞のACE2受容体にスパイクタンパク質を結合しやすくする変異もオミクロン株は有します。その変異はアルファ株の広まりやすさに貢献したことで知られます。スパイクタンパク質以外の核タンパク質等にもオミクロン株は心配な変異を有します。それらの変異はウイルス粒子内のゲノムの組み立てや収納を捗らせて免疫反応に打ち勝てるようにするようです。WHOも把握している通り南アフリカでオミクロン株はデルタ株を急速に凌駕して感染者数を増やしていることが伺え、おそらく横溢(fit)で伝播可能であり、現在のワクチンや先立つ感染経験で確立した免疫の少なくとも幾らかは回避できるようです。オミクロン株感染の特徴免疫を回避して生じたオミクロン株感染がより重病を招くかどうかは不明ですが、幸いにも南アフリカの感染者はいまのところ軽症で済んでいます。新参のSARS-CoV-2感染を早くに察した南アフリカの医師の一人Angelique Coetzee氏が治療したオミクロン株感染者はいたって軽症であり、外科的処置が必要になったことはなく、自宅で治療できています4)。デルタ株感染とは違ってオミクロン株感染者は匂いや味の消失を被っておらず、酸素レベルの大幅な低下も認められていません。最も目立つ症状は1日か2日の極度の疲労感で、頭痛やその他の痛みを伴います。Coetzee氏が治療したオミクロン株感染症患者のおよそ半数はワクチンを接種していませんでした。南アフリカではわずかに4人に1人ほどしかワクチン接種が済んでいません5)。流通の不手際に加えてワクチン接種忌避や無関心が同国でのワクチンの普及を妨げています。流行第4波の火種となりうるオミクロン株感染増加を背景にして南アフリカの大統領Cyril Ramaphosa氏は一定条件でのCOVID-19ワクチン接種義務化を検討しています5)。オミクロン株とワクチン開発オミクロン株に対応するようにワクチンの手直しが必要かどうかを決める更なるデータが早ければ来月初めには揃い、必要とあらば修正済みの新たなワクチンを100日もあれば出荷しうるとの見解をPfizer(ファイザー)/BioNTech(ビオンテック)が先週金曜日に発表しました6)。Moderna(モデルナ)も対応を始めており、オミクロン株に特化したワクチンmRNA-1273.529の開発を急いで進める予定です7)。また、先立って試験が進む変異株向けのワクチンmRNA-1273.211やmRNA-1273.213、それに世界で使用されている認可済みのmRNA-1273の高用量投与がオミクロンに有効かどうかの検討も進めます。AstraZeneca(アストラゼネカ)も同様にオミクロン株のワクチンや抗体治療への影響を調べています8)。参考1)Classification of Omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 Variant of Concern / WHO2)Omicron variant detected in more countries as scientists race to find answers / Reuters3)Q&A: Imperial experts discuss new variant B.1.1.529 / Imperial College London4)South African doctor says patients with Omicron variant have "very mild" symptoms / Reuters5)South Africa mulling compulsory COVID-19 jabs for some places, activities / Reuters6)Pfizer/BioNTech, Moderna expect data on shot's protection against new COVID-19 variant soon / Reuters7)Moderna Announces Strategy to Address Omicron (B.1.1.529) SARS-CoV-2 Variant / BUSINESS WIRE8)AstraZeneca examining impact of new COVID variant on vaccine, antibody cocktail/ Reuters

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ワクチン接種の目的は“次世代の健康”/EFPIA Japan

 EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanは、2021年11月22日に感染症領域のエキスパートである岡部 信彦氏(川崎市健康安全研究所 所長)を講師に迎え、ワクチンに関するオンラインプレスセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチンが人類に果たしてきた役割について、その軌跡をたどるとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の盾を担うmRNAワクチンにも触れて講演が行われた。ワクチンギャップは解消しつつある日本 岡部氏を講師に「生涯を通じての感染症予防(Life Course Immunization)-COVID-19の経験を含めて-」をテーマにレクチャーが行われた。 はじめに予防接種の歴史について振り返り、天然痘の予防としてわが国では江戸時代末期から種痘が行われたこと、その際に種痘後にお土産を渡すなど予防接種へのインセンティブをもたらす取り組みがこの時代から行われていたことを現代のCOVID-19ワクチン接種の現状と重ねて説明した。 次に戦後のわが国の予防接種制度と社会状況の変化との関連について振り返り、その時代時代と予防接種は強い関係にあると説明した。現在、日本で接種できるワクチンは定時/臨時接種で21種類、任意接種で10種類、計31種類の接種ができ、世界から遅れていたワクチンギャップも解消に向かいつつあるという(2021年9月現在)。また、近年では「院内感染対策としてのワクチンガイドライン」(日本環境感染学会)や「医療関係者のためのワクチンガイドライン」(同学会)も整備され、医療者の感染予防と他者への感染源とならないための予防などの指針も整備されていると解説を行った。子供がかかる感染症に大人がかかるとリスクが上がる 次にCOVID-19を例にとり、現在までのクラスターの発生状況を振り返った上で、「ワクチン接種のターゲットとして、まず医療機関が守られることであり、医療が動くことが重要」と述べ、ワクチンのポリシーとしては「死亡者を出さないことが大事だ」と語った。 次に大人がかかる子供の感染症について解説を行った。 大人がかかるとリスクが高い感染症として、「水ぼうそう」「はしか」「おたふくかぜ」「ポリオ」「手足口病」「伝染性紅斑」「百日咳」などを代表感染症に挙げ、沖縄県で起こった麻疹のクラスター、近年の風疹のクラスターについて解説。いずれもワクチン接種をしていない、接種不明や1回のみ接種などで抗体ができていない大人が感染し、拡大させていたことを報告した。大人でもワクチンを接種しておけばクラスターを予防できた可能性を述べるとともに、社会的事象としておたふくかぜと難聴の関係、大規模災害と破傷風の流行なども示し、ワクチンの重要性を強調した。これからのワクチン接種で大切な“ISRR” 予防接種の目的は、「感染症罹患予防」「個人の健康保持」「次世代の健康を守る」「社会を守る」「感染症の制圧・根絶」「がんの予防」などさまざまな目的があることを示し、とくに「次世代の健康を守る」「社会を守る」ことが重要だと同氏は語る。また、COVID-19ワクチンとして現在広く接種されているmRNAワクチンについても触れ、開発は過去の研究から積み重ねられて製作されたこと、新しいものを含めワクチンの接種では、感染症患者、健康被害者、健康な人のどこに視点をおいて守るかにより接種機会は変わってくることを説明し、ワクチンの接種では、「いつも接種のメリットとデメリットを衡量することが重要」と同氏は指摘した。また、最近ワクチン接種で注目されているトピックスとして、予防接種ストレス関連反応(Immunization stress related response:ISRR)について触れ、「接種時に医療者はISRRも考慮し、丁寧な説明、接種手技、科学的・医学的対応をする必要がある」と警鐘を鳴らした。 最後に同氏は成人のワクチンの課題として、「効果・安全性に関する説明法やその内容、費用の負担、接種への動機付けなどがある」と指摘し、「ワクチンの安全性を高めるためにも医療者も被接種者も『焦らない・慌てない・数を競わない』ようにしてほしい」と結びレクチャーを終えた。

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エアロゾル感染への対応、ワクチン後の対応などを改訂/医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版

 日本環境感染学会は「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版」を2021年11月22日に公開した。第3版からの主な改訂項目は、エアロゾル(微小飛沫)による感染への対応、新型コロナウイルスのワクチン接種後の対応、積極的な検査の導入を含めた対応、である。 本ガイドの第1版は2020年2月12日に公開され、その後の状況の変化に応じて改訂し、2020年5月8日に第3版を公開していた。その後、変異株の拡大やワクチン接種、検査の積極的な導入などにより、医療機関での対応も変化してきていることから、現状を踏まえた改訂が実施された。

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