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腸内細菌叢の変化は前臨床期アルツハイマー病のサイン?

 脳内にアミロイドβ(Aβ)とタウの2種類のタンパク質が異常に蓄積しているが、認知症の症状はない前臨床期アルツハイマー病の状態にある人では、そのような状態にはない人と比べて腸内細菌叢に違いのあることが、米セントルイス・ワシントン大学神経学教授のBeau Ances氏らの研究で示された。認知症のリスクが高い人を見つけ出す方法や、認知症高リスク者に対する治療法の開発につながる可能性がある研究結果として期待が寄せられている。研究の詳細は、「Science Translational Medicine」6月14日号に掲載された。 腸内細菌叢は消化機能以外にも、免疫防御、ビタミンや抗炎症化合物、さらには脳に影響を与える化学物質の産生など、数多くの身体機能において重要な役割を果たしている。また近年、腸内細菌叢と、心疾患、うつ病、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患を含むさまざまな疾患との関連について検討した研究が急増している。先行研究では、アルツハイマー病患者の腸内細菌叢には、アルツハイマー病ではない高齢者とは異なる特徴があることが示されている。しかし、そのような違いが前臨床期アルツハイマー病の段階から認められるのかどうかについては不明だった。 Ances氏らは、同大学で実施された研究に参加した、正常な認知機能を有する68~94歳の高齢者164人(男性45%)を対象に、前臨床期アルツハイマー病の人と健常者との間で、腸内細菌叢の組成やその機能に違いがあるのかを調べた。同研究では、全例で脳の画像検査と認知機能検査、腰椎穿刺による髄液採取と便の採取のほか、試験参加者による食事記録が行われていた。 試験参加者の約3分の1(49人)は、脳内にAβとタウの異常な蓄積が認められる前臨床期アルツハイマー病と見なされた。これらの参加者の腸内細菌叢をそれ以外の健常者と比較した結果、前臨床期アルツハイマー病と見なされた参加者では、腸内に存在する細菌の種類や細菌が関与する生物学的プロセスが健常者とは異なっていることが明らかになった。さらに、これらの違いは、Aβとタウの蓄積量とは関連するが、神経変性とは関連しないことも判明した。Aβとタウの蓄積量は認知症状が現れる前に増加し、神経変性は認知スキルが低下し始めたときに明らかになる。 こうした結果からAnces氏は、「われわれは、腸内細菌叢の変化はアルツハイマー病のかなり早い段階から現れることを確認した」と話す。ただし、これだけでは、腸内細菌叢の変化がアルツハイマー病の一因であると証明したことにはならない。脳内でのアルツハイマー病発症へのプロセスが腸内細菌叢を変化させている可能性も考えられる。しかし、もし腸内細菌叢がアルツハイマー病の寄与因子であるのなら、早期アルツハイマー病に対する治療への道も開けてくる可能性がある。例えば、プロバイオティクスや糞便移植によりアルツハイマー病になりやすい腸内細菌叢の状態を変えれば、アルツハイマー病の経過も変化させられる可能性がある。 では、なぜ腸内細菌叢が脳の疾患に関係しているのだろうか。これについては、完全には明らかにされていないが、Ances氏と、今回の研究には関与していない米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のRobert Vassar氏は、アルツハイマー病を含む多くの疾患では、慢性的な炎症が大きな影響を与えていると考えられていることを指摘する。Vassar氏は、「アルツハイマー病患者の脳に認められるAβやタウなどのタンパク質の異常な蓄積は、慢性的な炎症状態をもたらす」と説明している。一方Ances氏は、一部の腸内細菌が産生する酸や化学物質が腸壁にダメージを与え、本来は腸壁を透過しないさまざまな物質が体内に漏れやすくなる「リーキーガット」という状態が引き起こされることで、腸から炎症性物質が脳へと運ばれ、脳内の炎症が悪化する可能性もあると指摘している。 Ances氏は、腸内細菌叢が問題を引き起こしていると証明されてはいなくても、アルツハイマー病のより早期の診断に役立つ可能性はあると話す。また、最終的には便検査によってアルツハイマー病リスクの高い人を特定できるようになる可能性もあると述べている。

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コロナ罹患後症状における精神症状の国内レジストリ構築、主なリスク因子は?/日本精神神経学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行はすでに3年以上経過しているが、流行が長期化するほど既感染者が増加し、コロナ後遺症(コロナ罹患後症状、Long COVID)のリスクも上がる。コロナ後遺症は、倦怠感や認知機能障害といった精神神経障害が年単位で持続する場合もある。 国立精神・神経医療研究センターの高松 直岐氏らの研究チームは、こうしたコロナ後遺症の病態解明と新規治療法開発につなげるため、COVID-19感染後の精神症状を有する患者レジストリの構築を実施している。中間解析の結果、コロナ後遺症による有意な心理社会的機能障害の予測因子は、退職経験、主婦層、COVID-19罹患への心配や抑うつが中等度以上、ワクチン接種2回以下であることが示された。6月22~24日に横浜にて開催された第119回日本精神神経学会学術総会にて、高松氏が発表した。 本レジストリ、PSCORE-J(Psychiatric Symptoms for COVID-19 Registry Japan)の研究の正式名称は「COVID-19感染後の精神症状を有する患者レジストリの構築と病態解明及び新規治療法の開発に資する研究」。同センターの久我 弘典氏が研究代表を務める。COVID-19急性期患者(前向き)と過去にCOVID-19に感染した患者(後ろ向き)で16歳以上の人を対象に登録目標数1,000例とした、国内の多施設共同研究である。対象者に、頭部MRIや血液検査、認知機能検査(MOCA-J)、罹患後症状の重症度評価(CGI-S)などの医師による診察、および、スマートフォンを使って患者が自己回答する心理検査(ePRO)を定期的に実施した。対象者への「新型コロナウイルス後遺症の影響で、日常的な生活がこれまでと明らかに違いますか?」という質問で、当てはまる人をケース群、当てはまらない人をコントロール群とした。 本研究の医師の診察による予備的解析結果は以下のとおり。・ケース群43例、コントロール群29例の計72例が解析された。ケース群は女性67%、平均年齢44.9歳(SD 11.9)、コントロール群は女性66%、平均年齢42.1歳(SD 9.7)。・コロナ後遺症の重症度を臨床全般印象重症度スコアCGI-S(スコア範囲:1[正常]~7、スコアが高いほど重症)で評価したところ、コントロール群は29例すべて正常(1点)であったが、ケース群では、精神疾患の境界線上(2点)1例、軽度(3点)13例、中等度(4点)10例、顕著(5点)8例、重度(6点)10例であった。・抑うつをPHQ-9スコアで評価したところ、コントロール群は大半が正常だったのに対し、ケース群はCGI-Sで評価された重症度に比例してPHQ-9の重症度が高くなった。・ケース群では女性のほうが男性よりも有意に重症度が高い人が多かった。 ePROを使った患者アンケートでは、コントロール群115例、ケース群121例の計236例の結果が得られた。この回答を多変量解析し、コロナ後遺症による心理社会的機能障害の予測因子とオッズ比(OR)を推定した。主な結果は以下のとおり。・「COVID-19による退職経験がある」はOR:44.9、95%信頼区間[CI]:5.66~355.1(p<0.001)であった。・「主婦である」はOR:83.3、95%CI:3.15~2204.3、p=0.008であった。・「COVID-19感染が心配である(中等度)」はOR:11.9、95%CI:1.48~96.2、p=0.020、「同(重度)」はOR:56.1、95%CI:5.97~527.3、p<0.001であった。・「抑うつ(PHQ-9スコア)が中等度」はOR:7.02、95%CI:1.76~28.0、p=0.006、「同(重度)」はOR:12.3、95%CI:2.53~60.2、p<0.001であった。・「ワクチン接種が2回以下」はOR:14.2、95%CI:3.77~53.7、p<0.001であった。 高松氏は、本結果の制限として、対象者が国立機関の精神科を受診した比較的重症度の高い集団であるため、現時点では本邦の全体集団を表すものではないことを挙げつつ、今後の展望としてさらに被験者のリクルートを拡大する意向を示した。

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ブタからヒトへ、心臓異種移植アウトカムに影響した因子/Lancet

 2022年1月7日、米国・メリーランド大学のMuhammad M. Mohiuddin氏らは、世界初となる10個の遺伝子改変ブタ心臓のヒトへの異種移植手術を行った。既往症や複数の外科的および非外科的な合併症にもかかわらず、レシピエントは術後60日目に移植片不全で死亡するまで生命が維持された。今回、同氏らは異種移植手術のアウトカムに影響を及ぼす因子の重要性について報告を行った。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2023年6月29日号に掲載された。同種移植不適応の末期心不全の57歳男性 対象は、年齢57歳、歩行不能の末期心不全の男性で、静動脈体外式膜型人工肺(VA-ECMO)を装着され、同種移植が不適応の患者である。 異種移植手術の成功後、移植片は心エコー上で良好に機能し、拡張期心不全が発現する術後47日目まで、心血管系および他の臓器系の機能は維持されていた。 術後50日目に、心内膜心筋生検で、間質浮腫や赤血球の血管外漏出、血栓性微小血管症、補体沈着を伴う損傷した毛細血管が見つかった。 低ガンマグロブリン血症に対する静脈内免疫グロブリン(IVIG)療法後と、初回の血漿交換中に、IgGを主とする抗ブタ異種抗体の増加が検出された。 術後56日目の心内膜心筋生検では、進行性の心筋スティフネスと一致する線維化変性が認められた。 また、微生物無細胞DNA(mcfDNA)検査では、ブタのサイトメガロウイルス/ロゼオロウイルス属(PCMV/PRV)の無細胞DNAの力価が上昇していた。超急性拒絶反応は回避、ブタPCMV/PRV再活性化で有害な炎症反応 本症例では、超急性拒絶反応は回避された。観察された血管内皮傷害の潜在的なメディエータとして、以下の因子が同定された。 第1に、広範な血管内皮傷害は抗体介在性の拒絶反応を示すものであった。第2に、IVIGはドナーの血管内皮に強く結合しており、免疫の活性化を引き起こした可能性があると考えられた。 最終的に、異種移植片の潜在的なPCMV/PRVの再活性化と複製が、有害な炎症反応を引き起こした可能性がある。 著者は、「これらの知見は、将来の異種移植手術のアウトカムを改善するための方策を指し示していると考えられる」としている。

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添付文書改訂:アメナリーフに再発性単純疱疹が追加/ミチーガが在宅自己注射可能に ほか【下平博士のDIノート】第125回

アメナリーフに再発性の単純疱疹が追加<対象薬剤>アメナメビル(商品名:アメナリーフ錠200mg、製造販売元:マルホ)<改訂年月>2023年2月<改訂項目>[追加]効能・効果再発性の単純疱疹[追加]効能・効果に関連する注意単純疱疹(口唇ヘルペスまたは性器ヘルペス)の同じ病型の再発を繰り返す患者であることを臨床症状および病歴に基づき確認すること。患部の違和感、灼熱感、そう痒などの初期症状を正確に判断可能な患者に処方すること。<Shimo's eyes>本剤の適応症はこれまで帯状疱疹のみでしたが、2023年2月から「再発性の単純疱疹」が追加されました。帯状疱疹の場合は1日1回2錠を原則7日間投与ですが、再発性の単純疱疹では1回6錠の単回投与となります。初発例は適応になりません。用法・用量に関連する注意には「次回再発分の処方は1回分に留めること」とあり、患者さんの判断で服用するPIT(Patient Initiated Therapy)分を前もって1回分処方することができます。患者さん自身が単純疱疹の症状の兆候を認識した際に速やかに服用することで、早期の対応が可能となります。パキロビッド:パック600と中等度腎機能障害用のパック300が承認<対象薬剤>ニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パキロビッドパック600/同300、製造販売元:ファイザー)<承認年月>2022年11月<改訂項目>[変更]医薬品名、規格パキロビッドパック600、同300が承認<Shimo's eyes>パキロビッドパックは、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)に続く、2番目の新型コロナウイルス感染症の経口薬として2022年2月に承認されました。2023年3月21日以前は、登録センターに登録することで特定の医療施設に配分されていました。今回パキロビッドパック600/同300が薬価収載され、2023年3月22日以降は一般流通されています。パキロビッドパック600は従来のパキロビッドパックと同等の製剤で通常用のパッケージです。一方、パキロビッドパック300は中等度の腎機能障害(eGFR30mL/min以上60mL/min未満)の患者さん用のパッケージです。600と300はブースターであるリトナビルの投与量は同じですが、抗ウイルス薬であるニルマトレルビルが300では半分の量になっています。ミチーガ:在宅自己注射が可能に<対象薬剤>ネモリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:ミチーガ皮下注用60mgシリンジ、製造販売元:マルホ)<在宅自己注射の保険適用日>2023年6月1日<改訂項目>[追加]重要な基本的注意自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認したうえで、医師の管理指導のもと実施すること。自己投与の適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、ただちに自己投与を中止させ、医師の管理のもと慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療施設へ連絡するよう患者に指導を行うこと。使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。[追加]薬剤交付時の注意患者が家庭で保管する場合は、光曝露を避けるため外箱に入れたまま保存するよう指導すること。<Shimo's eyes>本剤は、4週間の間隔で皮下投与する抗体医薬品のアトピー性皮膚炎治療薬として2022年8月に発売され、2023年6月から在宅自己注射が可能となりました。近年、新しい作用機序のアトピー性皮膚炎治療薬が続々と開発されています。経口薬としては、関節リウマチへの適応から始まったJAK阻害薬、本剤のような抗体医薬品、外用薬ではPDE4阻害薬が発売され、難治性の患者さんにも選択肢が増えています。RA系阻害薬:妊娠禁忌について再度注意喚起<対象薬剤>RA系阻害薬<改訂年月>2023年5月<改訂項目>[新設]妊娠する可能性のある女性、妊婦妊娠する可能性のある女性に投与する場合には、本剤の投与に先立ち、代替薬の有無なども考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、ただちに投与を中止すること。(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。妊娠が判明したまたは疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。<Shimo's eyes>RA系阻害薬に関しては、2014年9月に妊婦や妊娠の可能性がある女性には投与しないこと、投与中に妊娠が判明したらただちに中止することなどが注意喚起されていましたが、それ以降も妊娠中のRA系阻害薬投与により、胎児や新生児への影響が疑われる症例(口唇口蓋裂、腎不全、頭蓋骨・肺・腎の形成不全、死亡など)が継続的に報告されていました。医師が妊娠を把握せずにRA系阻害薬を使用していた例が複数存在していたため、RA系阻害作用を有する降圧薬32成分(ACE阻害薬、ARB、レニン阻害薬、アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬)の添付文書改訂が指示されました。

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第172回 long COVIDと関連する遺伝子領域を同定

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状(long COVID)と関連する6番染色体の遺伝子領域が見つかりました。16ヵ国での24試験のlong COVID患者6千人超(6,450人)とそうでない約110万人(1,09万3,995人)が全ゲノム関連解析(GWAS)で検討され、ほぼどの組織でも発現することが知られる転写因子FOXP4の遺伝子領域rs9367106地点の塩基がシトシン(rs9367106-C)の人のlong COVIDの発現率はそうでない人に比べて1.6倍高いことが示されました1,2)。rs9367106地点とlong COVIDの関連はFOXP4遺伝子発現の変化を介するらしく、遺伝子発現データベースGTExを解析したところrs9367106-Cの代理役rs12660421-Aと肺や脳の視床下部のFOXP4遺伝子発現亢進の関連が認められました。先立つ研究でFOXP4とCOVID-19重症度の関連が示されています。今回の研究でも同様の結果が得られており、COVID-19重症度がlong COVID発生におそらく一枚かむことがさらに裏付けられました。ただし、FOXP4遺伝子座とlong COVIDの結び付きはより強く、重症度だけで説明がつくものではなく、重症度とは独立したFOXP4とlong COVIDの関連がどうやら存在するようです。long COVIDの快復のほどは?世界の少なくとも6,500万人がlong COVIDを患っており、その数は日々増えています3)。頭痛、疲労、脳のもやもやなどの症状を特徴としますが、long COVIDの定義はいまだに議論されています。上述したような遺伝子解析の成果が出始めてはいるもののlong COVIDの生理学的な仕組みもこれから調べていく必要があります。しかしわかってきたこともあります。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が世界に広まり始めてから3年以上が過ぎ、long COVID患者のどれほどが快方に向かうかの目安となる試験結果2つがこの5月に報告されています。5月25日にJAMA誌に掲載された報告では米国の成人約1万人が調べられ、感染から6ヵ月時点でlong COVIDだった人の3人に1人が9ヵ月時点ではlong COVIDを脱していました4)。その約1週間後の5月31日にBMJ誌に掲載された別の報告はワクチン普及前にSARS-CoV-2感染した成人約千人の追跡結果です。それら感染者のうち5人に1人を超える22.9%は感染から6ヵ月経っても不調が続いていましたが、1年後のその割合は5人に1人に満たない18.5%に低下しました5)。2年後の不調患者の割合は17.2%であり、1年後とあまり変わりませんでした。すなわち感染から1年経つと不調の解消は頭打ちとなるようです。感染から1年後までは快方がより期待できるものの1年を過ぎるといよいよ慢性病態に陥るとBMJ報告の著者は言っています6)。参考1)Genome-wide Association Study of Long COVID. July 01 2023. medRxiv.2)Gene linked to long COVID found in analysis of thousands of patients / Nature3)Davis HE, et al. Nat Rev Microbiol. 2023;21:133-146.4)Thaweethai T, et al. JAMA. 2023;329:1934-1946.5)Ballouz T, et al. BMJ. 2023;381:e074425.6)Long COVID: answers emerge on how many people get better / Nature

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医療裁判にも影響か?肝機能の指標がALT>30に

 肝機能検査として血液検査で汎用されるALT値。今後、これが30を超えていたら、プライマリ・ケア医やかかりつけ医による肝疾患リスクの確認が必要となる―。6月に開催された第59回日本肝臓学会総会にて、ALT>30を指標とする『奈良宣言』が公表された。これは、かかりつけ医と消化器内科医が適切なタイミングで診療連携することで患者の肝疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的に、さまざまなエビデンスに基づいて設定された。記者会見では吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器内科学 教授/日本肝臓学会理事)らが本宣言の背景や目的を説明しており、今回ケアネットでは日本肝臓学会理事で本宣言での特別広報委員を務める江口 有一郎氏(江口病院 ロコメディカル総合研究所 所長)に独自取材を行った。「ALT>30」の根拠と利点 ALTの新たな指標設定の理由は、以下のとおりである。(1)シンプルで健診や一般診療で汎用されている項目(2)英文も含めて基準値に関する文献が多数存在する(3)わが国の特定保健診査(特定健診)および人間ドック学会の基準値はALT30以下(4)特定健診や人間ドック学会の基準値は日本消化器病学会肝機能研究班の意見書に基づいて決定 今回、なぜこのような基準値を設けたのか、プライマリ・ケア医としても第一線で活躍する江口氏によると「これまでは“肝炎ウイルス検査を受けましょう”とか“肝臓は沈黙の臓器”というように文脈で注意喚起を行っていた。しかし、それでは捉え方に個人差が生じてしまうため、行動経済学の観点を盛り込み、参照点※を明確にするために、一般の方でも聞き覚えのある検査指標であるALTに注目して基準を設けた」と説明した。一般市民の方は「ALT>30でかかりつけ医を受診しましょう」と言われても、基準値範囲内であり自覚症状もなければ、健康指導を受けるだけと思ってしまいがちである。しかし、「明確な基準がなかったことから亡くなった方が多くいるのは事実であり、B型・C型肝炎の患者会や原告団の方々もこの宣言に賛成の意を示され、これ以上肝臓で苦しむ人を増やしたくないとおっしゃっている」と話した。※参照点(Reference Point):プロスペクト理論における利得と損失の判断を分ける基準点学会が宣言した指標、裁判にも影響か また同氏によると、宣言後に本指標を無視してしまうと、注意義務違反が生じる場合もあるという。「肝硬変や肝臓がんは年数を経て病態が進行していく疾患なので、ある患者がこの宣言以降に人間ドックでALTが35だったとしましょう。しかし、医師は基準値内だからと次の行動を起こさず、翌年にその患者が肝硬変になって“医師に検査を進めてもらえなかった”と医療裁判を起こしたらどうだろうか」と例示し、「ある弁護士からは医師側が敗訴する可能性が十分ありうるといった見解を受けたため、医療安全の観点からも医療者に周知していく必要がある」と医師側のリスクを指摘した。同氏によるとこの宣言の指標が浸透するには1~2年はかかるそうだが、その間に医師一人ひとりが新たな指標を意識し、注意しておく必要がありそうだ。 なお、今回の宣言は『日本における主要な臨床検査項目の共用検査範囲』(日本臨床検査標準協議会)では基準値内の症例も対象となるが、健康成人の約15%でALT>30を満たすとの報告があることから、この宣言がプライマリ・ケア医やかかりつけ医の診療に影響を与えうるとも学会は見解を示している。さらに、厚生労働省が作成した令和6年度版の『標準的な健診・保健指導 プログラム』での健診検査項目の保健指導判定値及び受診勧奨判定値(別紙5)において、保健指導判定値(ALT≧31、AST≧31)として記されている点は、本指標の明確な根拠である。 現在、YouTubeにて「奈良宣言2023 over30 せんとくん」が公開されており、視聴回数は38万回を突破している(7/14時点)。このようなSNSを活用した市民啓発にも力を入れている同氏は「国内では日本糖尿病学会や日本動脈硬化学会などが疾患予防啓発の一環として、熊本宣言や大阪宣言を行っている。肝臓学会も50年もの歴史のなかでこのようなステートメントを提言したのは初の試みであり、大きなことと言える。ぜひ、慢性肝臓病(Chronic Liver Disease:CLD)予防のために患者さんの検査値をチェックし、ほかの検査値と複合的に診断・鑑別、そして専門医への紹介を行ってもらいたい」とし、「日本肝臓学会では奈良宣言特設サイトを設け、一般市民や患者向けの説明リーフレットなどの患者啓発ツールを自由にダウンロードして使えるよう用意しているので、ぜひ活用してほしい」と締めくくった。

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感染防御対策が徹底した職場ほど独身者の恋愛活動が活発

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で、感染防止対策をより厳格に行っていた職場ほど、独身の人の恋愛活動が活発に行われていたことが明らかになった。産業医科大学環境疫学研究室の藤野善久氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Public Health」に2月16日掲載された。 COVID-19パンデミック発生後、外出自粛などのために社会的交流が少なくなり、「孤独」が公衆衛生上の問題としてクローズアップされてきた。若年者や独身者において、より孤独感が強まったとする研究報告も見られる。独身者では、新たな恋愛関係を構築することで孤独感が抑制されると考えられるが、パンデミックによりそのハードルがより高くなったとも言える。例えば、労働者の場合は職場がパートナーとの出会いの場となることが少なくないが、在宅勤務の奨励をはじめとするさまざまな対策によって、出会いの機会が減った。 一方で、孤独感が募りがちな状況下では、その孤独感を解消しようとする目的のために、独身者の恋愛活動が活発になった可能性も考えられる。藤野氏らはその可能性を、産業医科大学が行っている「COVID-19流行下における労働者の生活、労働、健康に関する調査(CORoNaWork研究)」のデータを用いた縦断的研究により検証した。 2020年12月に、インターネット調査パネル登録者を対象にアンケート調査を行い、20~65歳で独身の労働者2万7,036人から有効回答を得た。これをベースライン調査として、その1年後の2021年12月に追跡調査を実施。1万8,560人(68.7%)が回答した。 追跡調査では、この1年間で「恋愛パートナーを探す活動を行ったか?」、「新しい恋愛パートナーができたか?」という二つの質問を行い、その回答内容と、職場での感染防御対策の厳格さとの関連を検討した。感染防御対策の厳格さは、職場で取られている対策(在宅勤務の奨励、出勤前の体温測定の推奨、マスク常時着用、パーテーション設置、屋内での飲食禁止など7種類)の実施状況、および、「勤務先の感染防御対策は十分だと思うか?」との質問(強い否定~強い同意の四者択一で回答)により評価した。 追跡調査回答者の約6割が男性だった。恋愛活動と感染防御対策との関連の解析に際しては、年齢、性別、婚姻状況(未婚、離婚、死別)、職種、収入、教育歴、飲酒・喫煙習慣、主観的健康観、勤務先の従業員数などの影響を統計学的に調整。解析の結果、職場で実施された感染防御対策の種類が多いほど(傾向性P<0.001)、および、勤務先の感染防御対策が十分だと感じているほど(傾向性P=0.003)、「恋愛パートナーを探す活動を行った」割合が高いという有意な関連が認められた。さらに、実際に「新しい恋愛パートナーができた」割合についても、感染防御対策の種類が多いほどその割合が高いという有意な関連が認められた(傾向性P<0.001)。 このような関連が生じた背景について著者らは、以下のように三つの可能性を考察として述べている。第一に、感染防御対策が厳格に行われている職場で働く人では、感染リスクをコントロールできるという自己効力感が高まり、恋愛行動に積極的になること。第二に、感染防御対策が厳格であることで職場での接触の機会が減り、それを補うために恋愛活動への意欲が高まること。第三に、感染防御対策を徹底した会社は、社員同士の交流を推進する活動も推進していた可能性が高いこと。 以上を基に論文の結論は、「COVID-19パンデミック下で、職場の厳格な感染防御対策の実施とそれに対する満足感が、恋人のいない独身者の恋愛を後押ししたと考えられる。独身者は孤独のリスクが高いが、しっかりとした感染防御対策を取った上で恋愛パートナーとの関係を築くことが、精神的な健康の維持に重要な要素となるのではないか」と記されている。

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第168回 コロナワクチン接種に悩む友人の“例え”が衝撃的だった話

先週、沖縄での新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)について触れたが、この秋からのワクチン接種に関して厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は6月16日、オミクロン株XBB.1系統に対応した新しい1価ワクチンを使用する方針を了承。これに応じて7月7日、ファイザー、モデルナの両社はオミクロン株XBB.1.5系統対応の1価ワクチンの承認事項一部変更(通称・一変)を申請した。さすがに抗原タンパク質の設計変更が容易なメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンだと、こうも迅速に対応が可能なのだと個人的には改めて驚いている。もちろん一変なので改めて臨床試験を行う必要はないが、前述の6月16日の分科会ではモデルナが実施した予備的臨床試験の結果も報告されている。この予備的臨床試験は18歳以上ですでにワクチンを4回接種済み、かつBA.4/5用の追加接種から3ヵ月以上を経た101人を2群に分け、5回目の追加接種としてXBB.1.5系統対応1価ワクチンとBA.4/5+XBB.1.5系統対応の2価ワクチンを接種して比較したもの。それによると、接種後の中和抗体価の変化は、XBB.1.5系統に対しては1価ワクチンで16.6倍、2価ワクチンで11.6倍、XBB.1.16系統に対しては1価ワクチンで10.2倍、2価ワクチンで9.3倍、いずれも上昇したとの結果だ。過去のオミクロン株BA.1対応あるいはBA.4/5対応の時の中和抗体価上昇に関する臨床試験の際も、やはりこれらに対応した1価と武漢株を含む2価のワクチンでは1価ワクチンのほうが中和抗体価の上昇がより高いことが確認されている。しかし、念のためと称して2価ワクチンが採用されたことを考えれば、今回はこの経験が生かされていると言えるかもしれない。さて問題はここからだ。もはや新型コロナワクチンに関しては、感染予防、発症予防、重症化予防でも一定の有効性が認められることに医学的にほぼ異論はないと考えるのが一般的である。一部にそうではない意見があることはもちろん承知しているが、誤解を恐れずに言えばそれはノイズである。しかし、すでに多くの国民が「コロナ禍」、そして相次ぐ「ワクチンの追加接種」に疲弊しているのは確かだろう。実際、今春の接種が開始された直後から知人・友人から「まだワクチンを接種したほうが良いの?」と相談を受けることが増えた。これに対して、私はまずはかかりつけ医がいるかどうかを確認し、「いる」と答えた人には「先生は何と言っている?」と聞き返している。偶然にもそうしたケースはいずれも「先生は『接種したほうが良いよ』と言っているよ」との答えが返ってきたので、「俺もそう思うよ」と言うと、だいたい話は終わる。これに対して「いない」と答えてくる人はやや対応が面倒になる。この際には私はまず「データ上は有効性が明らかなので、できるだけ接種したほうが良いと思うよ」と答える。ただ、これで終わることはまずない。一番多い反応は「なんか打つたびに熱が出るし、しんどいよ」というもの。まあ、気持ちはわからないわけではない。だが、私はそうは答えない。というのも、過去4回の接種で私は自覚できる副反応らしきものを経験していないからだ。そこでとりあえずは「俺は次回も打つよ」とだけ答えている。これに対する反応は実にまちまちだ。列挙するとこんな感じだ。「ふーん」「うーん、もう一度考えてみるか」「まあ、タダのうちは打っとくか」「本当に物好きだよね」「出ました。ワクチン男」「お前、今にワクチンで死ぬんじゃない?」最後の3つは大きなお世話と言いたいところだ。そのような中で1人だけ興味深いことを口にした友人がいた。彼はワクチン接種後の死亡事例の中で、ワクチン接種との因果関係が否定できないとして国の健康被害救済制度の認定を受けた事例があることを挙げて、とことん食い下がってきた。私はどの医薬品、ワクチンでも副作用・副反応はゼロにならないこと、その中でごく少数とは言え、極めて不幸な結果になってしまう事例は完全には避けられないことなどを話した。まあ、定型のやり取りと言えばそれまでかもしれない。約1時間の電話でのやり取り後に妙な沈黙となった。正直、私自身かなり疲れてしまって、それ以上何かを言う気にもなれなかった。その沈黙を破ったのは友人のほうだった。「まあ、俺の父親の件みたいなものか」一瞬、混乱した。彼の父親は今から10年以上前に交通事故で亡くなっている。新型コロナワクチンとは何も関係ない。「え、何が?」と私が問うと彼は次のように答えた。「いやさ、父親が交通事故で死んだのは知ってるよね。もちろん父親をはねた運転手に対する恨みは今でもあるよ。でもさ、父親が交通事故で死んだからって自動車を世の中から廃止しろとは言わないよ。ワクチンもそんなものかなと。さっきからワクチンの有効性についてはコンセンサスがあるって言ってたじゃん。確かに報道で医師がこのワクチンのことについて言及する時も多くは打ったほうが良いと言うよね。それはそうなんだろう。ただ、どうしてもごく少数の不幸な事例は出てしまう。かといってこのワクチン接種を止めろと言うならば、それは俺が自動車を全廃しろと言うくらいナンセンスかもね、ということよ」何気ない会話かもしれないが、私は彼のこの発言にかなり圧倒されてしまった。言葉を仕事にしながら、自分はこうした表現は思いつかなかったからだ。結局、彼はひとしきりそう言うと「まあ、もう一度じっくり考えてみるわ」と言って電話を切った。さて国は、そして報道は、このもはやコロナ禍は終わったかのような空気が漂う中で、この秋から始まる予定のXBB系統の新ワクチンの接種を推進するためにどのような言葉を選択していくのだろう。報道の片隅に身を置く立場として、この友人の言葉を私自身はこの1週間反芻している。参考(1)厚生労働省:第47回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料

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円安に負けず、お得に海外旅行に出かけよう!【医師のためのお金の話】第70回

ようやく日本でも、新型コロナウイルス感染症の規制が緩和されました。世界に遅れること約1年。最後尾での規制緩和ですが、ようやくコロナ禍前のように気軽に海外旅行に行けるようになりました。新型コロナウイルス感染症のために海外旅行に行けない状況はなくなりましたが、別の理由で海外旅行の敷居は高いです。その理由とは、もちろん急激に進行した円安。もともと日本円の購買力低下は、静かに進行していました。しかし、2022年になってから、目に見える形で円安が進行しました。残念ながら、主要通貨の中で日本円よりも弱い通貨は存在しません。日本円の実力を示す実質実効為替レートは、50年前の1970年代前半レベルにまで落ち込んでいます。ようやく新型コロナウイルス感染症の制限がなくなったと思ったら、海外旅行が辛くなるほど日本円の購買力が落ちていた…。笑えない状況ですが、やはり海外旅行に出かけて新しい体験をしたいですね。円安に負けず海外に行く方法を考えてみましょう。3年ぶりの海外は驚きの連続だった!今年のゴールデンウイークに、私は2週間ほど東ヨーロッパに旅行しました。コロナ禍が始まった2020年3月のタイ旅行以来、初めての海外旅行だったのでとても新鮮でした。そして3年振りの海外は、日本国内とまったく異なる風景で驚きの連続でした。まず、マスクをしている人が皆無です。コロナ禍の痕跡は「keep distance」という張り紙をところどころで見かける程度。コロナ? 何それ? といった感覚で、日本とのギャップに驚きました。唯一マスクをしていたのは、航空会社の客室乗務員だけでした。マスク姿を見かけないだけではありません。航空機の搭乗券がほぼなくなっていることにも驚きました。スマホのQRコードをかざすだけで搭乗です。入出国審査も自動化ゲートがメジャーでした。現地通貨も使用機会がありません。クレジットカードのみでほぼOK。いまだにクレジットカードお断りの店が少なくない日本との格差に、ただただ驚くばかりでした。そして非接触型(コンタクトレス)決済ではないクレジットカードは使い物にならず、骨董品扱いでした。最大の衝撃は、アジア系のほとんどの人たちは、韓国もしくは中華系だったことです。ポーランド、チェコ、ハンガリーで2週間の間に会った日本人は皆無でした。私たちにとって、海外旅行はかなりハードルが上がってしまったのかもしれません。格安に海外旅行をする方法私たち日本人にとって、今の円安状況が海外旅行のハードルを上げていることは事実でしょう。しかし、海外旅行は高いからといって、ただただ指をくわえているのは避けたいところです。お得に海外旅行に行く方法を考えてみましょう。旅行の時期を考える航空機のチケットや宿泊施設の価格は、時期や曜日によって大きく異なります。最も旅行費用を抑えることができるのは、日本発着の時期を閑散期にすることでしょう。しかし、医師は時間的融通の利きにくい職種。長期休暇を取得できる時期は限られています。次善の策として、日本を発着する曜日を数日ずらして混雑しない平日を検討しましょう。私はゴールデンウイーク期間中に海外旅行をしましたが、2日ほど日本発着をずらしただけで、大幅に航空機費用を削減できました。少しマイナーな目的地を選ぶ人気のある観光地や都市は高価になる傾向にあります。一方、あまり知られていない観光地を選ぶと、旅行費用を節約できます。東ヨーロッパのプラハやブダペストは、パリやロンドンほど人気の観光地ではないので、リーズナブルな価格で旅行できました。フライトの価格を比較するスカイスキャナーやGoogle flightなどの価格比較サイトやアプリを利用すると、複数の航空会社のフライト価格を一括して比較できます。最安値のフライトを簡単に見つけることができるのでお勧めの方法です。できるだけ早い時期に予約する航空業界やホテル業界では、レベニューマネジメントという手法でフライト価格や宿泊価格を決めています。端的に言うと、顧客の需要に応じて商品やサービスの料金を変動させる価格決定手法です。一般的には、早い時期に予約すればするほど、フライト価格や宿泊価格は安価です。半年前から予約可能なケースが多いので、この時期に予約すると安価で済むケースが多いです。ちなみに、今年のゴールデンウイーク旅行は、2022年12月に予約しました。地元レストランはGoogle mapを利用しよう!海外旅行では、地元レストランの食事も楽しみの1つです。しかし、日本語メニューは期待できません。しかし、英語メニューで十分かというと、そういうわけでもありません。英訳の精度が低いため、予想外の食事が出てくるケースが多いのです。そのような時に役立つのがGoogle mapです。Google mapの店舗紹介では、大量の食事の画像がアップされています。たくさんオーダーされているメニューほどたくさんの画像がアップされているので、人気メニューも一目瞭然です。オーダーするときには、Google mapの画像を店員に指し示すだけでOK。面倒なメニュー解読も必要ありません。もちろんGoogle mapでお店にも間違いなくたどり着けます。海外旅行ではGoogle mapは必需品といえるでしょう。ここまで述べてきたように、海外旅行も日々進化しています。ちょっとした工夫と便利なアプリ利用を組み合わせることで、お得な海外旅行が可能です。チャンスがあれば、夏休みは海外に行きたいものですね!

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慢性D型肝炎へのbulevirtide、第III相試験でも有効/NEJM

 慢性D型肝炎患者に対するbulevirtideの投与は、48週時点でD型肝炎ウイルス(HDV) RNA量の減少およびALT値の低下に結びついたことが示された。ドイツ・Hannover Medical SchoolのHeiner Wedemeyer氏らが、第III相無作為化比較試験の結果を報告した。HDVは、肝細胞への侵入と増殖にB型肝炎ウイルス(HBV)の表面抗原(HBsAg)を要するサテライトRNAウイルスで、HDVとHBVの同時感染は慢性B型肝炎の関連肝疾患の進行を加速させることが知られている。bulevirtideは、HDVの肝細胞への侵入を阻害する効果が確認され、第II相試験でHDV RNA量とALT値を顕著に低下することが示されていた。NEJM誌2023年7月6日号掲載の報告。bulevirtide 2mg/日または10mg/日皮下投与48週時点の有効性、安全性を評価 研究グループは、代償性肝硬変の有無にかかわらず慢性D型肝炎患者を、無作為に1対1対1の3群に割り付け、bulevirtide 2mg/日または同10mg/日の144週間皮下投与(2mg群、10mg群)、48週間非投与後に同10mg/日の96週間皮下投与(対照群)を、それぞれ行った。 主要エンドポイントは、48週時点のHDV RNA量が検出限界未満またはベースラインから2 log10 IU/mL以上の減少(ウイルス学的反応)とALT値の正常化(生化学的反応)の複合反応だった。 重要な副次エンドポイントは、48週時点のHDV RNA量が検出限界未満で、2mg群と10mg群を比較した。 なお投与終了後に、96週間の追跡調査を実施する予定とされ、試験は現在も進行中である。主要エンドポイント、bulevirtide群の45~48%に対し対照群は2% 合計150例が登録され、49例が2mg群、50例が10mg群、51例が対照群に割り付けられた。主要エンドポイントの複合反応が認められたのは、2mg群45%、10mg群48%と、対照群2%に比べ両投与群ともに有意に高率だった(各用量群と対照群の比較のp<0.001)。 48週時点でHDV RNA量が検出限界未満だった割合は、2mg群12%、10mg群20%で両群間に有意差はなかった(p=0.41)。ALT値が正常化だった割合は、対照群12%に対し、2 mg群51%(対照群との差:39ポイント、95%信頼区間[CI]:20~56)、10mg群56%(44ポイント、26~60)だった。 bulevirtideの両投与群で、48週までにHBsAgの消失例はみられず、1 log10 IU/mL以上の減少も認められなかった。 有害事象として、頭痛、かゆみ、倦怠感、好酸球増加症、注射部位反応、上腹部痛、関節痛、無力症の発現が、対照群よりも2mg群+10mg群で多くみられた。治療に関連した重篤な有害事象の報告はなかった。2mg群と10mg群で、胆汁酸濃度の用量依存的上昇が認められた。

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COVID-19関連の嗅覚・味覚障害はパンデミック初期の6%に減少

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの初期には、嗅覚や味覚の障害が罹患時の特徴的な症状の一つとして位置付けられていた。しかし、もはやそうではないことが明らかになった。現在ではCOVID-19罹患者に嗅覚・味覚障害を生ずる割合は、パンデミック初期のわずか約6~7%だという。米バージニア・コモンウェルス大学のEvan Reiter氏らの研究によるもので、詳細は「Otolaryngology-Head and Neck Surgery」に5月26日掲載された。 Reiter氏らはこの研究に、パンデミック発生以来、新型コロナウイルス検査が陽性と判定された700万人以上の患者の経過が記録されているデータベースを用いた。2020年4月27日~6月18日をベースラインとして、COVID-19発症後2週間以内に患者が嗅覚・味覚障害を訴えるオッズ比(OR)を算出。すると、アルファ株が主流となった時期はOR0.744、デルタ株が主流となった時期はOR0.637と、嗅覚・味覚障害を訴える患者が経時的に減少していた。 そしてさらに2022年以降、オミクロン株が主流になると、オミクロンKでOR0.139、オミクロンLでOR0.079、オミクロンCでOR0.061、オミクロンBではOR0.070と、オッズ比がより低下してきていた。Reiter氏は、「パンデミックの初期には、嗅覚と味覚の喪失がCOVID-19の一般的な症状と考えられていた。PCR検査を行える件数が限られていた時期、多くの医師がその症状を頼りに診断していた。しかしわれわれの研究結果は、嗅覚・味覚障害の有無がもはやCOVID-19診断の信頼できる指標ではないことを示している」と解説。続けて、「つまり今では、体調が不良でも嗅覚・味覚障害がないからといってCOVID-19の可能性を除外することはできず、反対に嗅覚・味覚障害があるからといってCOVID-19だと断定もできない」と話している。 COVID-19罹患時に嗅覚・味覚障害を生ずる人が減少している理由について、研究者らは「詳細は不明だが、人々の免疫力が高まっていることが関係している可能性がある」としている。Reiter氏は大学発のリリースの中で、「ワクチン接種、またはウイルスに一度感染することは、一般的には次に感染した際の重症度を軽減する」と述べている。 ただ、同氏は「パンデミック初期に比べればはるかに少なくなったとはいえ、現在でもCOVID-19のために嗅覚・味覚障害を生じている患者が依然として存在している。嗅覚・味覚障害はそれ自体が生活の質を大きく下げるとともに、健康的な食生活の妨げともなる」とし、COVID-19に伴う嗅覚・味覚障害がいまだ重要な問題であることを指摘。同氏は、「幸いなことに、この症状に苦しむ人々に対する効果的な治療法を見つけるため、現在多くの研究が行われている」と付け加えている。 なお、この研究には、医学研究を支援している財団であるMEDARVA財団が資金を提供した。

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睡眠、労働、食事…世界の人々の24時間の使い方が明らかに

 世界中の人々が1日をどのように過ごしているかが明らかになった。子どもから高齢者まで全ての人を平均すると、9時間以上は睡眠または就床していて、その他の時間の多くを自分自身のために使っているという。マギル大学(カナダ)のEric Galbraith氏らの研究によるもので、詳細は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に6月12日掲載された。 この研究では、世界銀行、ユニセフ、経済協力開発機構(OECD)などのデータを用いて、世界人口の約60%を占める58カ国に暮らす人々が、1日をどのように過ごしているのかを分析した。また、これとは別に国際労働機関(ILO)のデータを基に、世界人口の約86%を占める139カ国に暮らす人々の経済活動についても、同様の分析を行った。なお、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる混乱の影響を除外するため、分析対象は2000~2019年のデータとした。それらのデータには、人々の行動が延べ3,956種類に分けて報告されていた。これを、大きく8種類に分け、さらに24種類に細分化した上で、収集された人々の行動に関するデータを再分類し、その行動に使われた時間の平均を算出するという作業を行った。 前者の分析の結果から、人々はベッドや布団の上で最も長い時間を過ごしていることが分かった。その時間は9.1時間に及ぶ。これは世界の成人の睡眠時間の平均として報告されている7.5時間より長いが、この差の理由について著者らは、本研究の分析対象には子どもも含まれていること、および、ベッドや布団の上で眠らずにほかのことをしている人がいるためではないかとしている。Galbraith氏によると、分析対象には11時間の睡眠を取る子どもも含まれていたという。 起きて活動している時間(約15時間)のうち9.4時間は自分自身のための行動に費やされていた。そのうち約6時間半は、読書、テレビ、ゲーム、スポーツ、散歩、社交活動などであり、社交活動は4.6時間であって、就床時間以外の31%を占めていた。自分自身のために使われる時間の中でその他の時間には、健康管理、身だしなみを整えることなどが行われていた。 また、活動している時間のうち3.4時間は自分自身のためではなく、社会活動のためのエネルギー産生、食料生産、公共スペースの掃除など、他者にも影響を及ぼす行動に充てられていた。残り2.1時間は自分の意思ではなく、法律や社会制度などに基づいて規定される行動に使われていた。 一方、後者の経済活動に着目した分析からは、収入を得るためや家庭内労働に約2.6時間(158分)が充てられていることが分かった。これは1日の約11%、活動している時間の約6分の1に相当する。一見少ないように感じるが、世界人口の平均ではなく、労働人口(15~64歳の約66%)の平均では、週当たり41時間の労働に相当する。 経済活動として食料の提供には52分かかっていた。ただしそのうち44分は食料生産活動であり、食品加工が3分、食事の支度は5分に過ぎなかった。このほか、ヘルスケアに使われる時間は4分であることも分かった。 これらの結果についてGalbraith氏は、「文化や収入次第で時間の使い方は大きく異なる。例えば高所得国に比べてそうでない国の人々は、農業に多くの時間を割いている。また、食事に充てる時間は30分からその3倍の範囲に分布していた。ただ、場所の移動に費やす時間などはほとんど差がみられなかった」と述べている。

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COVID-19罹患後症状の追跡調査(解説:小金丸博氏)

 COVID-19に罹患した一部の患者にさまざまな罹患後症状(いわゆる後遺症)を認めることがわかってきたが、その原因やメカニズムはまだ解明されておらず、効果的な介入方法も確立していない。罹患後症状はpost COVID-19 condition、long COVID、post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection(PASC)などと呼ばれ、WHOは「新型コロナウイルスに感染した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、他の疾患による症状として説明できないもの」と定義している。罹患後症状の種類や有病率、長期経過の把握は、治療方法や介入方法を検討するための臨床試験の設計につながる有益な情報となる。 今回、COVID-19罹患2年後までの健康状態の変化を追跡したスイスの人口ベース前向き縦断コホート研究の結果がBMJ誌2023年5月31日号に報告された。感染者と未感染者を比較していることが本研究の特徴の1つである。患者の訴える症状がCOVID-19に関連する症状かどうかを判断することは難しいが、未感染者と比較することで統計学的に評価することが可能となっている。時間の経過とともに症状の重症度や健康障害は軽減していたが、罹患24ヵ月後の時点で感染者の18.1%(95%信頼区間:14.8~21.9)にCOVID-19関連症状を認めた。罹患6ヵ月後の時点で頻度の高かった罹患後症状と思われる症状は、味覚・嗅覚の変化(9.8%)、労作後倦怠感(9.4%)、集中力低下(8.3%)、呼吸困難(7.8%)、記憶障害(5.7%)、疲労(5.4%)などであった。 COVID-19罹患後症状の長期的な転帰を評価した過去の研究の多くは入院患者などに限定した集団を対象としており、さまざまな重症度のCOVID-19の症状や回復経過のばらつきを完全には反映していない可能性があった。本研究では疾患の重症度では対象を限定せず、幅広く解析対象に組み込んでいることが特徴である。ただし、18歳以上の成人、ワクチン未接種者、初回感染である者などに対象を限定しており、小児やワクチン接種者での罹患後症状の経過については判断できない。とくに現在はワクチン接種者が数多く存在するようになっており、ワクチン接種が罹患後症状にどのような影響を与えるかは興味ある点である。 本研究では解析されていないが、抗ウイルス薬の投与が罹患後症状の予防に有効であることが報告されてきている。重症化防止のみならず、罹患後症状の予防という観点は、今後の抗ウイルス薬投与の方針を決めるうえで重要な要素になると考える。

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コロナ緊急事態宣言中、急性疾患の院内死亡率は1.7倍に

 新型コロナウイルス感染流行は、医療機関の救急外来受け入れや入院の制限など、他疾患の患者にも大きな影響を与えた。日本国内のこれまでの感染流行時において、その影響はどの程度であったのか。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院の阿部 計大氏らによる研究がJAMA Network Open誌2023年6月22日号に掲載された。 研究者らは、最初の緊急事態宣言期間(2020年4月7日~5月14日)の前後における「ACSC」(=Ambulatory Care-Sensitive Conditions:プライマリ・ケアの適切な介入により、重症化による入院を予防できる可能性のある疾患群)の患者の転帰を比較した。期間前は2015年1月1日~2019年12月31日、期間後は2020年1月1日~12月31日とし、日本全国242の急性期病院の退院サマリーデータを用いた。データ解析は2022年8月16日~12月7日に行われた。 主要アウトカムはACSC疾患の入院数、院内死亡数、院内死亡率であった。院内死亡数は病院到着後24時間以内と以降に分けられた。日本ではACSCの定義が確立されていないため、英国国民保健サービスの定義を使用し、全体解析と合わせ、慢性疾患(喘息やうっ血性心不全など)、急性疾患(脱水症や胃腸炎など)、ワクチンで予防可能な疾患(細菌性肺炎など)に分けて解析した。 主な結果は以下のとおり。・期間中に2万8,321例のACSC関連入院があり、男性1万5,318例(54.1%)、年齢中央値76(四分位範囲[IQR]:58~85)歳だった。2万4,261例が期間前、4,060例が期間後だった。・院内死亡数は2,117例(7.5%)であった。全体の入院件数は減少(発生率比[IRR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.75~0.94)しており、慢性疾患(IRR:0.84、95%CI:0.77~0.92)、ワクチンで予防可能な疾患(IRR:0.58、95%CI:0.44~0.76)で減少した。・一方、急性疾患では院内死亡数(IRR:1.66、95%CI:1.15~2.39)および24時間以内の院内死亡数(IRR:7.27×106、95%CI:1.83×106~2.89×107)が増加した。急性疾患は院内死亡率も増加し(IRR:1.71、95%CI:1.16~2.54)、24時間以内の院内死亡率も全体(IRR:1.87、95%CI:1.19~2.96)、急性疾患(IRR:2.15×106、95%CI:5.25×105~8.79×106)、ワクチンで予防可能な疾患(IRR:4.64、95%CI:1.28~16.77)で増加した。 研究者らは「パンデミック中にACSC関連の入院が全体的に減少したことは、日本や他国で行われた先行研究と一致している。医療現場での感染の恐れ、プライマリ・ケアへのアクセスの減少、医療を求める行動の変化などがこの説明となり得る。さらにワクチン接種キャンペーンなどの予防策が、ワクチンで予防可能な疾患による入院減少に寄与した可能性がある。しかし、急性疾患の院内死亡数と院内死亡率の増加は懸念され、入院後24時間以内の死亡リスク増加は適切な医療サービスを利用することが遅れた可能性を示唆している。今後は急性期の患者にとって必要不可欠な医療サービスの継続性と利用しやすさを確保する努力が極めて重要である」としている。

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オミクロン株(XBB.1.5)に対応した追加免疫に関する承認事項一部変更申請/モデルナ

 メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業 Moderna(米国)の日本法人モデルナ・ジャパンは2023年7月7日、「スパイクバックス筋注」において、12歳以上を対象にオミクロン株(XBB.1.5)に対応した追加免疫用1価ワクチンとして厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。 Modernaは、6月に開催された米国食品医薬品局(FDA)の諮問会議VRBPACにおいて、オミクロン株の派生型であるXBB.1.5、XBB.1.16およびXBB.2.3.2などのXBB亜系統に対して免疫応答を示すXBB.1.5対応の1価ワクチンに関する予備的な臨床データを発表している。 モデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木 蘭美氏は、「今回承認事項一部変更を申請したModernaのワクチンは、現在流行しているオミクロン株の派生型であるXBB.1.5に対応している。新型コロナウイルス感染症は、日本の公衆衛生にとって引き続き警戒が必要であり、とくに高齢者や基礎疾患がある重症化リスクが高い人への接種が推奨される。この重要なワクチンを一刻も早く皆さまへ届けられるよう、引き続き厚生労働省と協力していく」としている。

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後発品の目標が数量シェアから金額ベースに変更?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第113回

後発医薬品の入手は、薬剤師さんをここ数年困らせている大きな問題の1つです。とある後発医薬品メーカーで抗真菌薬に睡眠導入剤の成分が混入した事件が発覚したのが2020年12月。コロナ禍と同じような時期に始まった後発医薬品の供給不安がこんなに長く大きい問題になるとは思っていませんでした。20年ほどかけて徐々に一般の方の理解が進み、やっと後発医薬品を使用することが当たり前になってきたのに、こんな問題が起きるとは…。行政と薬局などが一緒になって頑張ってきただけに悲しい気持ちになります。その供給不安が続く後発医薬品に関して、少し動きがありそうです。後発医薬品の使用を促すための政府目標が、金額ベースなどの観点を踏まえて2023年度中に見直される。この新目標に基づき、都道府県が第4期医療費適正化計画での目標を24年度中に設定する。厚生労働省が6月29日の社会保障審議会・医療保険部会で明らかにした。政府目標の見直しは、医薬品の迅速・安定供給の実現に向けた厚労省の有識者検討会の議論などを踏まえて行われるが、まずは医薬品の安定的な供給を基本とする。(2023年6月29日付 CBnews)現在、後発医薬品の使用促進の目標として、「数量シェアを2023年度末までにすべての都道府県で80%以上に」が掲げられています。厚生労働省の発表によると、全都道府県のうち29道県が22年3月時点でその目標値をクリアしていますので、目標到達までもう一息といったところでしょうか。後発医薬品の使用促進の最も大きな目的は、言わずもがな「医療費の削減」で、これは今も昔も変わりません。その後発医薬品の使用割合や目標到達具合を確認するために、数量シェアが用いられています。医療機関や薬局が取り組みやすく、かつモチベーションが上がりやすい方法、ということで数量シェアになった経緯があります。今回、政府目標を金額ベースに変更することが検討されているとのことなので、本来の目的に沿った方法が採用されることになります。ただし、おそらく数量シェアから金額ベースになることで、もう一息頑張らなくてはいけない目標が掲げられることが予想されます。また、推測の域を超えませんが、「2023年度中に見直し」とあるので、2023年度中は何も手が打たれず、その結論や実行は2024年度からになるのでは…と思います。「まずは医薬品の安定的な供給を基本とする」としながら、その具体的な方策は明らかになっていません。薬局としてできることは、とにかく目の前の患者さんの医薬品を入手し、安全かつ安定的に提供することです。しかし、新たな患者さんに後発医薬品を勧めても、供給不足が生じて製剤を変更することになったら…と思うと、今の状況で後発医薬品の使用を増やすことは難しいのではないでしょうか。今後行政が掲げる目標が舌先三寸と感じることのないよう、現場の声や温度を感じてほしいと思います。

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ワクチン別、デルタ/オミクロン期の重症化抑制効果/BMJ

 米国退役軍人の集団において、デルタ株およびオミクロン株の優勢期で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染して30日以内の人を対象に、ワクチン接種の回数や種類と、入院や死亡などの重症アウトカムとの関連性を調べた後ろ向きコホート研究が、米国・Lieutenant Colonel Charles S. Kettles VA Medical CenterのAmy S. B. Bohnert氏らにより実施された。本研究の結果、ワクチンの種類にかかわらず、未接種者よりも接種者のほうが重症化率や死亡率の低下が認められた。また、mRNAワクチンに関しては、ファイザー製よりもモデルナ製のほうが高い効果が得られることが示唆された。BMJ誌2023年5月23日号に掲載の報告。 本研究の対象となったのは、デルタ株流行期(2021年7月1日~11月30日)およびオミクロン株流行期(2022年1月1日~6月30日)において、SARS-CoV-2感染が初めて記録された退役軍人会に所属する18歳以上の27万9,989例で、平均年齢59.4歳(SD 16.3)、男性87%であった。なお、対象者は試験登録以前の18ヵ月以内にプライマリケアを受診していない人に限られた。対象者が接種した新型コロナワクチンは、ファイザー/ビオンテック製(BNT162b2)、モデルナ製(mRNA-1273)、ヤンセンファーマ/ジョンソン・エンド・ジョンソン製(Ad26.COV2.S)のいずれかで、異なる種類のワクチンの組み合わせは除外した。主要評価項目は、SARS-CoV-2陽性判定から30日以内での入院、ICU入室、人工呼吸器の使用、死亡とした。 主な結果は以下のとおり。・デルタ株流行期では、9万5,336例が感染し、47.6%がワクチン接種を1回以上受けていた。2回接種は3万5,994例(37.8%)、3回接種は1,691例(1.8%)。・オミクロン株流行期では18万4,653例が感染し、72.6%がワクチン接種を1回以上受けていた。2回接種は5万6,911例(30.8%)、3回接種は5万6,115例(30.4%)。・デルタ株流行期では、mRNAワクチン2回接種は、ワクチン未接種と比較して、重症アウトカムの発生率低下と関連していた。入院 調整オッズ比(OR):0.41(95%信頼区間[CI]:0.39~0.43)、ICU入室 OR:0.33(95%CI:0.31~0.36)、人工呼吸器 OR:0.27(95%CI:0.24~0.30)、死亡 OR:0.21(95%CI:0.19~0.23)。・オミクロン株流行期では、mRNAワクチン2回接種は、ワクチン未接種と比較して、重症アウトカムの発生率低下と関連していた。入院 OR:0.60(95%CI:0.57~0.63)、ICU入室 OR:0.57(95%CI:0.53~0.62)、人工呼吸器 OR:0.59(95%CI:0.51~0.67)、死亡 OR:0.43(95%CI:0.39~0.48)。・さらに、オミクロン株流行期でmRNAワクチン3回接種は、2回接種と比較して、入院OR:0.65(95%CI:0.63~0.69)、ICU入室 OR:0.65(95%CI:0.59~0.70)、人工呼吸器 OR:0.70(95%CI:0.61~0.80)、死亡 OR:0.51(95%CI:0.46~0.57)となり、すべてのアウトカムの発生率低下と関連していた。・ヤンセン製ワクチンは、ワクチン未接種と比較して転帰が良好であったが(オミクロン期における入院 OR:0.70[95%CI:0.64~0.76]、ICU入室 OR:0.71[95%CI:0.61~0.83])、mRNAワクチン2回投与と比較して、入院およびICU入室の発生率が高かった(オミクロン期における入院 OR:1.16[95%CI:1.06~1.27]、ICU入室 OR:1.25[95%CI:1.07~1.46])。・ファイザー製ワクチンは、モデルナ製ワクチンと比較して、より悪いアウトカムと関連している傾向が示された。オミクロン期で3回接種の場合、入院 OR:1.33(95%CI:1.25~1.42)、ICU入室 OR:1.21(95%CI:1.07~1.36)、人工呼吸器 OR:1.22(95%CI:0.99~1.49)、死亡 OR:0.97(95%CI:0.83~1.14)。・オミクロン株流行期でmRNAワクチン接種を3回受けた人では、最後のワクチン接種からの期間が7~90日よりも91~150日のほうが、より悪いアウトカムと関連していた。入院 OR:1.16(95%CI:1.07~1.25)、死亡 OR:1.31(95%CI:1.09~1.58)。 著者らは、「重症アウトカムを起こした患者の割合は、デルタ期よりもオミクロン期のほうが低かったが、ワクチン接種のステータスと結果については、2つの期間で同様のパターンが観察された。この結果は、治療薬がより普及していても、新型コロナの感染予防だけでなく重症化や死亡リスクを低減するための重要なツールとして、ワクチン接種が引き続き重要であることを裏付けている」とまとめている。

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第155回 史上初の7月に継続するインフルエンザ流行、コロナ禍で免疫低下か/厚労省

<先週の動き>1.史上初の7月に継続するインフルエンザ流行、コロナ禍で免疫低下か/厚労省2.急性期充実体制加算について議論、地域格差や医療体制の影響を懸念/中医協3.2022年度の労災補償状況:精神障害に関する労災、医療・福祉が最多/厚労省4.製薬業界と診療側が対立-薬価と安定供給問題で/中医協5.人件費の高騰やコロナの影響で2022年度の決算は減少、先進医療にも影響/国立大学病院6.返上相次ぐマイナンバー、個人情報保護委員会が立ち入り検査へ/デジタル庁1.史上初の7月に継続するインフルエンザ流行、コロナ禍で免疫低下か/厚労省厚生労働省の発表によると、インフルエンザの流行が史上初めて7月にも続いていることや、コロナ禍による免疫低下が影響している可能性があることが判明した。7月7日に発表された都道府県別のインフルエンザ患者数では、1医療機関当たりの患者数では、鹿児島県が20.07人と最も多く、宮崎県が7.34人、長崎県5.26人、熊本県3.99人と九州で感染が広がっていた。一方、新型コロナウイルスの感染状況では、沖縄県に次いで鹿児島県が全国で2番目に感染者数が多く、数の増加が報告されている。専門家らは、手洗いやうがいなど基本的な対策の徹底を呼びかけている。参考1)2023年7月7日 インフルエンザの発生状況について(厚労省)2)2023年7月7日 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について(同)3)新型コロナ 定点把握で全国2番目 インフルエンザは全国最多(NHK)4)インフルエンザ、史上初めて7月もなお流行…コロナ禍で免疫低下が影響か(読売新聞)2.急性期充実体制加算について議論、地域格差や医療体制の影響を懸念/中医協厚生労働省は、7月6日に中央社会保険医療協議会の入院・外来医療等の調査・評価分科会を開催した。この中で2022年度の診療報酬改定で新設された「急性期充実体制加算」の届け出が42都道府県の病院からあったことを明らかにした。急性期充実体制加算は、急性期一般入院料1の病院が整備する高度で専門的な急性期医療の評価として導入されたもので、急性期一般入院料1の病院の占める割合では、島根県が最も高い割合で取得していた。しかし、5つの県では届け出がなく、地域ごとにばらつきがあると指摘されている。また、総合入院体制加算から急性期充実体制加算への移行に伴って、小児・周産期・精神科入院医療の体制が縮小する可能性が懸念されており、地域医療の影響について、引き続き注視する必要があるとしている。参考1)令和5年度第3回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(中医協)2)急性期充実体制加算、42都道府県で届け出 22年9月時点、厚労省集計(CB news)3)総合入院体制加算から急性期充実体制へのシフトで地域医療への影響は?加算取得病院の地域差をどう考えるか-入院・外来医療分科会(Gem Med)3.2022年度の労災補償状況:精神障害に関する労災、医療・福祉が最多/厚労省厚生労働省が公表した2022年度の労災補償状況によると、精神障害に関する労災の請求件数と支給決定件数では「医療、福祉」が最も多かったことが明らかになった。精神障害に関する労災の請求件数は2,683件で、そのうち「医療、福祉」が624件と最も多く、支給決定件数も「医療、福祉」の164件が最多だった。一方で、過労死ライン未満の事案での労災認定が増加していることも報告された。労働時間以外の要因も考慮する改正基準の影響で、過労死ラインを下回る事案でも認定されるケースが増えたと考えられる。脳・心臓疾患や精神障害に関する労災の認定件数は増えており、労働時間以外の要素も総合的に評価されるようになったことも要因。精神障害の労災認定件数は最も多く、2022年度に2,683件の申請があり、そのうち710件が認定されている。参考1)令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚労省)2)精神障害の労災請求・支給「医療、福祉」が最多 厚労省が22年度の補償状況を公表(CB news)3)過労死ライン未満、労災認定が増加 基準見直し影響か 精神障害での認定は最多(朝日新聞)4.製薬業界と診療側が対立-薬価と安定供給問題で/中医協厚生労働省は、7月5日に薬価について協議する中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会を開催し、来年度の薬価改定に向けて、本格的な議論に着手した。この中で、製薬業界からは医薬品の安定供給に向けた薬価下支えの充実を求めた。一方、診療側の長島委員からは、後発医薬品の安定供給は企業の品質管理やガバナンスの問題であり、薬価維持だけでは解決しないと指摘。また、森委員も安定供給は当たり前のことで評価すべきではないと述べた。支払側の松本委員も、薬価下落の原因は卸の納品価格の低さであり、薬価差は国民に還元すべきであると主張した。業界側は不採算品再算定や基礎的医薬品の対象範囲拡充などを求め、安定供給を重視した制度改革を訴えた。ただし、診療側と支払側はエビデンスに基づく議論を求め、具体的なデータや長期トレンドの分析を要望した。業界や診療側の意見の食い違いや課題の解決に向けた具体的な方策については、さらなる議論が見込まれる。参考1)中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 議事次第(中医協)2)薬価下支えする仕組み「充実を」日薬連 中医協・部会(CB news)3)中医協 薬価下支え求める業界に診療側「安売りが原因」「安定供給は評価するものでない」厳しい声飛ぶ(ミクスオンライン)5.人件費の高騰やコロナの影響で2022年度の決算は減少、先進医療にも影響/国立大学病院国立大学病院が昨年度、全国の医療機関に医師を派遣し、兼業や副業の形態で医療活動を行っていたことを国立大学病院長会議が明らかにした。しかし、医師の時間外労働に関する規制を受けて、国立大学病院は兼業先を含めた時間外労働が上限を超える医師がいると予想し、規制に対応するための申請を行う予定。一方、国立大学病院全体の2022年度の決算は、経常利益は前期比で336億円減の386億円と減少し、経常利益率も低下していることが明らかになった。収益は215億円増加したものの、人件費や診療経費の増加により費用は552億円増え、経常利益率は2.5%に減少していた。コロナ補助金の影響で赤字にはならなかったものの、光熱費の増加や物価上昇の影響で利益の確保が困難となったためと考えられている。2023年度の見通しでは、コロナ補助金や診療報酬の特例の廃止や働き方改革による費用負担の増加が予想され、事業の継続が困難となってきており、医療機器の更新にも影響が出ており、耐用年数を超えて使用されている資産が多く、先進医療の提供にも影を落とす可能性が指摘された。参考1)国立大、計9,628医療機関に医師派遣 22年度、国立大学病院長会議(CB news)2)国立大学病院、2022年度の経常利益は2.2ポイント減(日経ヘルスケア)6.返上相次ぐマイナンバー、個人情報保護委員会が立ち入り検査へ/デジタル庁デジタル庁によれば、マイナンバーカードの本人希望による返納件数は先月1ヵ月間で約2万件だった。これは平成28年1月以降の7年間での累計返納件数のうちの一部とされ、返納の理由には引っ越しに伴う再発行や在留期間の短縮などが含まれている。河野デジタル大臣は、カードの自主返納がリスク軽減につながるわけではないとし、マイナンバー制度の理解を求めている。また、河野氏は、マイナンバーの誤登録問題に関して、デジタル庁が個人情報保護委員会の立ち入り検査を受ける方針であることを認めた。問題は、公的給付金の受取口座に他人のマイナンバーが登録されたことであり、河野氏は「適切に対応する」と述べた。デジタル庁は問題について報告書を提出し、個人情報保護委員会は詳細な把握を目指して検査を行う予定。また、マイナンバーに関するトラブルに対しても行政指導を検討しているという。参考1)マイナカード 先月の本人希望の返納件数 約2万件 デジタル庁(NHK)2)河野デジタル相「適切に対応」 マイナ巡り立ち入り検査(日経新聞)3)河野太郎デジタル相、マイナカード「自主返納せず確認を」(神奈川新聞)

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近年の流行性耳下腺炎のアウトブレイクは免疫減弱が原因

 免疫減弱モデルが、流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)ワクチン接種率が高い国で近年観察されたアウトブレイク再燃と強く合致しているとの研究結果が、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」1月9日号に掲載された。 米ジョージア大学Odum School of EcologyのDeven V. Gokhale氏らは、流行性耳下腺炎ワクチン接種率の高い複数の国での同疾患のアウトブレイク再燃を踏まえ、この傾向の促進因子として、2つのワクチン効果不全のメカニズムを提示した。それらは、(1)免疫の段階的な減弱、(2)ワクチン免疫を回避する新規ウイルス遺伝子型の登場、である。米国の、年齢構造化した疫学、人口統計学的属性、およびワクチン接種に関する時系列データを基に、伝播メカニズムモデルを用いて尤度に基づく仮説検定を実施した。 その結果、データは免疫減弱モデルと強い合致性を見せ、18歳までに推定32.8%の人がワクチン接種により獲得した免疫を喪失していると推定された。減弱モデルにより、本疫学的データの特徴である、流行性耳下腺炎発症の高齢者への移行、近年の流行性耳下腺炎アウトブレイク再発、ワクチン接種済みの個人における流行性耳下腺炎発症率の高さなども再現された。 著者らは、「この研究により、現在のワクチンおよび予防接種スケジュールでは、免疫減弱と一次ワクチン不全が原因で、強固な集団免疫を達成できないことが明らかになった。本研究の結果は、原則として、集団免疫の達成・維持のための定期的な追加接種の実施を強く支持するものである」と述べている。

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第167回 首都圏に漂う“コロナ第9波は沖縄県特有”という幻想

非常に嫌な雰囲気だと思う。全国での新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者が増加傾向にある件だ。感染症法上の5類移行により、現在の新型コロナ感染者報告は定点医療機関で行われているのは周知のこと。その数字を参照すると、全国の定点当たりの感染者報告数は、5類移行直後の5月8~14日の2.63人以降はじわじわと増加を続け、最新の6月19~25日では6.13人にまで達している。とりわけ増加傾向が顕著なのは沖縄県。同県の定点当たりの感染者数は、6月19~25日は39.48人で全国平均(6.13人)の6倍以上、すでに第8波のピークを越えたとの指摘もある。一部の民間検査センターでは、検査陽性率が5割に達するとも報じられており、この数字すら氷山の一角に過ぎないことがわかる。これまでのコロナ禍を振り返っても、沖縄県は日本国内でも最も新型コロナが流行しやすい地域の1つだが、その背景には活動性の高い若年人口比率が都道府県別で最も高く、これに対しワクチン接種率は都道府県別で最低などの事情があると思われる。以下は私個人の感覚に過ぎないのだが、コロナ禍の中で沖縄県での感染流行を話題にすると、友人・知人の多くはそれを「沖縄県特有のこと」と捉えがちと感じている。数日前にも友人との会話で今の感染状況が話題になったが、彼は「まあ、沖縄県とは距離があるし、即座に本州には波及しないでしょう」と言ってのけた。確かに前述のような人口構成比などに限らず、これまで抱えてきた歴史や風俗習慣の点でも沖縄県は独特である。これに加え、とくに首都圏在住者からすれば、物理的に離れていることも「沖縄県特有」との言葉で片付けられがちな大きな理由なのだろう。さらに友人は「そもそもたくさんの島が散らばっていて人口規模も小さいからさ」と言っていた。確かにこの友人が言うとおり、沖縄県の人口は約143万人で、都道府県別人口順位では真ん中より下の第25位。ただ、人口密度で見ると、全国第8位となる。ちなみに人口密度第10位までの都府県で、政令指定都市を含まないのは沖縄県だけである。その意味ではこの辺も沖縄県で新型コロナの感染が拡大しやすい要因の1つだろう。そして同じく友人が口にした「距離がある」のもそのとおりだが、今や一般人が「高嶺の花」と思わないコストで足を運べる時代だ。その証拠に沖縄県文化観光スポーツ部 観光政策課が公表している同県年間入域観光客数は、コロナ禍前の2019年度が1,016万3,900人。同県人口の約8倍で、うち7割以上が日本人である。コロナ禍でこの数字は大きく減ったとはいえ、2022年度は677万4,600人まで回復している。2022年度は外国人観光客数があまり回復していないため、このうちの97%が日本人、なおかつ半数弱が東京方面からである。この状況で、容易に時空を超える性質が最大の特徴である感染症が紛れ込めば、どうなるかは少し想像力を働かせればわかることだ。さらに付け加えれば、沖縄県外との行き来は多くが3密空間の代表格と言える航空機である。その意味で、沖縄県での感染流行を対岸の火事と思って眺めている間に、いきなり自分の背後から火の手が上がるというシナリオは、「とりあえず可能性がある」という程度の確率の低いものではないはず。少なくとも私自身、この状況を受けて行動制限まではしていないが、マスクを着用する局面(現在屋外では原則外している)は増やして対応している。

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