サイト内検索|page:198

検索結果 合計:4224件 表示位置:3941 - 3960

3941.

HIV母子感染、抗レトロウイルス薬28週治療が有効:BAN試験

授乳に代わる安全な育児法がない環境においては、HIVに感染した母親あるいは未感染乳児に対する28週の抗レトロウイルス薬予防治療により、乳児へのHIV感染が減少することが、米国疾病対策予防センター(CDC)のDenise J Jamieson氏らの検討で示された。HIVの母子感染は世界的に減少傾向にあるが、医療資源が乏しい地域では解決すべき課題とされる。WHOは、医療資源が限られ、授乳に代わる安全な育児法がない環境では、授乳期間中は母親あるいは乳児のいずれかに対する抗レトロウイルス薬の予防投与を推奨している。Lancet誌2012年6月30日号(オンライン版2012年4月26日号)掲載の報告。母親あるいは乳児に対する予防治療の有効性を無作為化試験で評価BAN(Breastfeeding、 Antiretrovirals、 and Nutrition)試験は、HIV感染母親から子どもへの感染予防における母親あるいは乳児に対する抗レトロウイルス薬の28週投与の有効性を検討する無作為化対照比較試験。2004年4月21日~2010年6月28日まで、アフリカ南東部の国マラウイの首都リロングウェ市で実施された。HIVに感染し、CD4陽性リンパ球細胞数≧250個/1μLの授乳期の母親2,369人とその乳児を対象とし、3つのレジメンのいずれかに無作為に割り付けた。すべての母親と乳児に、ネビラピン(商品名:ビラミューン)(母親:200mg/kg、乳児:2mg/kg)を1回経口投与し、ジドブジン(商品名:レトロビル)(母親:300mg/kg、乳児:2mg/kg)+ラミブジン(商品名:エピビル)(母親:150mg/kg、乳児:4mg/kg)の合剤(母親は錠剤、乳児はシロップ)を1日2回、7日間投与した。対照群(668人)にはこれ以上の治療は行わなかった。母親に対する抗レトロウイルス薬3剤併用療法群(849人)には、ジドブジン+ラミブジン合剤(商品名:コンビビル)を28週投与し、ネビラピンは出産後最初の2週は1日1回、15日~28週は1日2回投与した。乳児に対するネビラピン療法群(852人)は、出生後最初の2週は10mg/kgを、3~18週は20mg/kgを、19~28週は30mg/kgをそれぞれ1日1回投与した。なお、ネビラピンは、その肝毒性に関するFDA勧告に基づき、2005年2月以降はネルフィナビル(商品名:ビラセプト)に、2006年2月以降はロピナビル+リトナビル合剤(商品名:カレトラ)に変更した。母親には産後24~28週の離乳が推奨された。治療割り付け情報は、現地の医療従事者と患者には知らされたが、それ以外の研究者にはマスクされた。主要評価項目は48週時の乳児のHIV感染とした。48週乳児HIV感染率:対照群7%、母親3剤併用群4%、乳児ネビラピン群4%母親3剤併用群の676組、乳児ネビラピン群の680組、対照群の542組が、48週のフォローアップを完遂した。産後28週以降は授乳を中止した母親は2つの介入群を合わせ96%、対照群は88%だった。生後2~48週の間にHIVに感染した乳児は、母親3剤併用群が30人、乳児ネビラピン群が25人、対照群は38人で、そのうち28人(30%)は28週の治療終了以降に感染していた(それぞれ9人、13人、6人)。48週までの乳児HIV感染リスクは、対照群の7%に比し、母親3剤併用群が4%(p=0.0273)、乳児ネビラピン群も4%(p=0.0027)と、いずれも有意に良好だった。乳児における重篤な有害事象の頻度は、治療期間中よりも治療終了後(29~48週)のほうが有意に高く(1.1件/100人・週 vs 0.7件/100人・週、p<0.0001)、下痢、マラリア、発育不良、結核、死亡のリスクが高かった。産後2~48週の間に9人の母親が死亡した(母親3剤併用群:1人、乳児ネビラピン群:2人、対照群:6人)。著者は、「医療資源が限られ、授乳に代わる安全な育児法がない環境では、母親あるいは乳児に対する抗レトロウイルス薬の28週予防投与により乳児のHIV感染が減少するが、6ヵ月での離乳は乳児の罹病率を増加させる可能性がある」と結論している。なお、WHOは現在、本試験を含む知見に基づき、授乳期12ヵ月間の抗レトロウイルス薬予防治療を推奨しているという。(菅野守:医学ライター)

3942.

成人気管支喘息治療薬「シムビコートタービュヘイラー」による頓用吸入する治療法が承認

アステラス製薬株式会社とアストラゼネカ株式会社は22日、成人気管支喘息治療薬シムビコートタービュヘイラーによる維持療法に加えて頓用での吸入が新たな用法・用量として承認取得されたことを発表した。シムビコートタービュヘイラーは、1日2回投与のドライパウダー吸入式の喘息治療配合剤として、2010年1月に発売された。新たに承認された1日2回投与の定期吸入に加えて頓用吸入する治療法では、まず発作発現時に1吸入し、数分経過しても発作が持続する場合には、さらに追加で1吸入することができるという。必要に応じてこれを繰り返すことができるが、1回の発作発現につき最大6吸入までとなっている。シムビコートタービュヘイラーは、1剤で気管支喘息の病態である気道炎症と気道狭窄の両方に優れた効果を示すのが特徴。喘息患者の多くは「季節の変わり目の気温差」や「ウイルス感染」など何らかの刺激を受けることで炎症が悪化し、症状の発現や増悪を経験してしまうことが報告されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2012/12_6_22_1.html

3943.

教育講演「分子標的薬の現状と展望―副作用対策を含めて―」

座長 清原 祥夫氏 (静岡がんセンター 皮膚科)中川 秀己氏(東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座)ビスフォスフォネートの抗腫瘍効果についてはいまだ賛否両論がある。現在までにいくつかの臨床試験の結果が報告されており、システマティックレビューとメタ分析が行われた。ここでは、主にチロシンキナーゼ阻害薬による皮膚症状の特徴と対処法、抗体医薬使用時の注意すべき副作用について前編、後編に分けてレポートする。皮膚科医とチロシンキナーゼ阻害薬・抗体医薬の関わりとは?本教育講演では、まず、自治医科大学皮膚科学教室 大槻マミ太郎氏が分子標的薬の概要について講演を行った。初めに、大槻氏は、今後、シェアを確実に伸ばしていく薬剤として低分子のチロシンキナーゼ阻害薬や高分子の抗体医薬などを挙げ、これらの薬剤がターゲットを絞り込む分子特異的治療の両輪となっていると述べた。キナーゼ阻害薬は主に抗がん剤として用いられており、皮膚科領域でも、悪性黒色腫などに対する開発に期待が高まっている一方、現時点では、その副作用として高頻度に発現する皮膚症状とその対処法に注目が集まっている。また、抗体医薬は免疫疾患のQOL改善に貢献度が高く、皮膚科では乾癬治療薬としてTNFαやIL-12、IL-23を標的とした生物学的製剤に期待が寄せられているが、ほかの適応疾患における使用により、乾癬型の薬疹の発現が報告されており、その対処も議論されている。このことを踏まえ、乾癬の治療に関しては、新しい分子標的薬は標的がピンポイントであるため、副作用も絞り込まれると期待されているが、特定の経路のみ抑制すると別の経路が活性化される可能性があり、未知なる「逆説的副作用」が生じる可能性がある。一方で、シクロスポリンなど作用点は多岐にわたるがさまざまな経路を幅広く抑制しうる薬剤は、副作用も経験的に熟知されており、古典的であるがゆえに、使い勝手の良い薬剤ともいえる、と大槻氏は述べた。EGFR阻害薬の皮膚症状と対処法:主にざ瘡様発疹について滋賀医科大学皮膚科学講座 藤本徳毅氏はEGFR(上皮増殖因子受容体)阻害薬による皮膚症状と対処法について、考察を述べた。EGFR阻害薬には、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)やエルロチニブ(同:タルセバ)などのチロシンキナーゼ阻害薬と、セツキシマブ(同:アービタックス)やパニツムマブ(同:ベクティビックス)などのモノクローナル抗体があり、非小細胞肺がんや大腸がん、膵がんなどに使用されている。これらの薬剤は、EGFRシグナルを阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制し、原疾患への効果を発揮する。一方でEGFRは正常皮膚の表皮基底細胞や外毛根鞘細胞などにも発現することがわかっており、EGFR阻害により、活性化EGFRが減少し、ケラチノサイトの角化異常、角質の菲薄化、角栓の形成が亢進することで高頻度で皮膚障害が生じると言われている。EGFR阻害薬の皮膚症状としては、主にざ瘡様発疹や乾皮症、爪囲炎などが多く、稀なものとしては脱毛性病変などが挙げられる。これら皮膚症状は、重症度が高いほど、原疾患に対するEGFR阻害薬の有効性が高い、つまり生存期間が長いことが示されており、治療効果をはかる指標となる可能性も示唆されている。ざ瘡様発疹の対処法とは?続いて、それぞれの皮膚障害の特徴や対処法について言及した。ざ瘡様発疹はEGFR阻害薬投与後、数日で発現し、4~6週でピークを迎え、6~8週で軽快するケースが多い。また、顔面や体幹に好発し、掻痒や疼痛を伴うが面疱は認められず、大半が無菌性であると言われている。藤本氏は、ざ瘡様発疹は高頻度に発現することがわかっているが、チロシンキナーゼ阻害薬よりもモノクローナル抗体のほうが重症な皮疹が出る印象がある、とつけ加えた。重症度については、日本臨床腫瘍研究グループによって公表されている「有害事象共通用語規準ver4.0 日本語訳JCOG版」(CTCAE v4.0 - JCOG)を用いるのが一般的である。ここでは、体表面積と社会的要素を中心に5段階のGradeに分類されている。ほかにも、各製品の適正使用ガイド等に、掻痒、疼痛の有無によるGradeの目安や発疹出現時の用量調節の基準などが掲載されており、参考にできるとした。対処法については、基本的に、皮膚症状による薬剤の休薬や減量は避けたいとしながら、確立していないものの経験的に実施されているいくつかの治療法について紹介した。ざ瘡様発疹の場合、炎症性ざ瘡の治療に準じて、外用抗菌薬が用いられる。また、局所療法の1つとして、ステロイド外用薬が使用されており、藤本氏は、顔面については、Grade2の場合はstrong class、Grade3でvery strong classを使用すると述べた。しかし、これまでの国内外の文献を見てみると、その評価は一定していないことにも触れ、ステロイド外用薬は即効性はあるが、上手に使いこなすことが重要であると強調した。さらに、Grade2以上または細菌感染合併例には、テトラサイクリン系抗菌薬内服(とくにミノサイクリン)が有効であることも述べた。ミノサイクリンに関しては、海外から、「6週間程度の服用を推奨する」、「皮膚症状の予防効果がある」などの報告がある一方で、「そのエビデンスレベルは不明」とする報告もあるとした。ほかにも、免疫抑制剤の外用薬を使用し、有効性が認められた報告やアダパレンゲルについても言及したが、いずれも一定の評価は得られていないとした。その他の副作用への対処法は?乾皮症は4~35%程度の発現頻度であり、EGFR阻害薬投与後、1~2ヵ月で症状が発現することが多い。治療としては、まずはヘパリン類似物質やワセリン、尿素製剤外用などによって保湿を行い、効果が得られない場合は、ステロイド外用薬を併用する。この症状に関しては、保湿による予防が重要である、と述べた。また、爪囲炎は6~12%程度の発現頻度であり、薬剤投与後2~4ヵ月くらいから見られる症状である。基本的には、浸出液が見られる場合、洗浄、クーリング、テーピング、保湿剤等による処置を行うが、発赤や腫脹が見られる場合には、初期から、very strong~strong classのステロイド外用薬を積極的に用いることが重要である。そのほか、細菌感染合併例には短期間のミノサイクリン内服、さらに外科的処置として部分抜爪や人口爪も考慮されるとした。毛髪異常に関しては、薬剤投与開始後2、3ヵ月で見られることが多いが、頻度は不明であり、中にはまつ毛や眉毛が伸びる症例も見られる。基本的には、EGFR阻害薬を中止しないことには改善しないが、患者さんからの訴えも多くはないため、中止・休薬するケースは少ないと述べた。このようなEGFR阻害薬による皮膚症状では、予防が重要であると言われている。スキンケアの指導は、清潔、保湿、刺激からの保護を基本とし、たとえば、「保湿剤はこすらずに、手のひらでおさえて塗る(スタンプ式塗布)」「外出時は日焼け止めを使用する」「爪は長く伸ばしてまっすぐ切る」などこまめな指導が必要となってくる。藤本氏は、これらスキンケアの方法を患者にわかりやすく説明し、薬剤の写真が入った説明書を配布するなどして、皮膚症状が出ても患者があわてずにすむように指導を行うことも重要である強調し、講演を締めくくった。

3944.

亜鉛追加、乳児の重症細菌感染症に有効

重症細菌感染症が疑われる生後7~120日の乳児に対し、標準抗菌薬治療の補助療法として亜鉛を追加投与すると、治療不成功リスクが低減する可能性があることが、全インド医科学研究所(AIIMS)のShinjini Bhatnagar氏らの検討で明らかとなった。重症細菌感染症は開発途上国の乳児期早期の主要な死因である。標準的な抗菌薬治療に安価で入手しやすい介入法を追加することで、乳児死亡率の抑制が可能と考えられている。Lancet誌2012年6月2日号(オンライン版2012年3月31日号)掲載の報告。亜鉛追加の有効性をプラセボ対照無作為化試験で評価研究グループは、重症細菌感染症の可能性がある乳児に対する抗菌薬治療の補助療法としての亜鉛の有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。2005年7月6日~2008年12月3日まで、インド・ニューデリー市の3つの病院に、重症細菌感染症が疑われる生後7~120日の乳児が登録された。これらの患児が、登録時の低体重や下痢の有無で層別化した上で、標準抗菌薬治療に加えて亜鉛10mgあるいはプラセボを毎日経口投与する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は治療不成功率(割り付けから7日以内の抗菌薬の変更を要する病態、21日以内の集中治療[人工呼吸器装着もしくは血管作動薬投与]を要する病態あるいは死亡)とした。治療不成功率:10% vs 17%352例が亜鉛追加群に、348例がプラセボ群に割り付けられ、それぞれ332例、323例が評価可能だった。治療不成功率は、プラセボ群の17%(55/323例)に対し、亜鉛追加群は10%(34/332例)と有意に少なかった[相対リスク低下率:40%、95%信頼区間(CI):10~60%、p=0.0113、絶対リスク低下率:6.8%、95%CI:1.5~12.0、p=0.0111)。治療不成功を1例回避するのに要する治療例数は15例(95%CI:8~67)であった。死亡例は亜鉛追加群が10例で、プラセボ群は17例と、有意な差はなかったものの亜鉛追加群で低下する傾向を認めた(相対リスク:0.57、0.27~1.23、p=0.15)。著者は、「生後60日までの乳児に限ってもベネフィットが確認された。回復、体重増加、完全経口摂食までの期間には影響はなかった。亜鉛は、標準抗菌薬治療の補助療法として、重症細菌感染症が疑われる生後7~120日の乳児の治療不成功リスクを低減する可能性がある」と結論し、「亜鉛はすでに一般的に使用可能で、多くの低~中所得国で急性下痢の治療薬として市販されており、重症細菌感染疑いの乳児への介入に使用しても医療コストの増分はわずかだ」と指摘している。

3945.

抗HIV薬「エジュラント錠25mg」製造販売承認取得

ヤンセンファーマは21日、5月18日付で、抗HIV薬「エジュラント錠25mg」(一般名:リルピビリン塩酸塩)の日本における製造販売承認を取得致したと発表した。これにより、未治療のHIV感染成人患者に対して1日1回投与が可能(他の抗HIV薬との併用が必須)になる。エジュラントは、直径6.4mm白色錠剤(フィルムコート)で、HIVウイルスが複製に利用する主要な酵素である逆転写酵素を遮断するNNRTI。エジュラントの承認申請のデータは、最近の国際AIDS会議で発表された2件の二重盲検、無作為化第3相試験、ECHO(TMC278-TiDP6-C209)およびTHRIVE(TMC278-TiDP6-C215)における48週間の結果を基にしているという。これらの試験は未治療のHIV-1感染成人患者を対象とし、2種類のNNRTIとの併用で1日1回投与するエジュラントの有効性、安全性、忍容性が対象薬であるエファビレンツと比較評価された。両試験において、エジュラントにより48週目でウイルス量検出限界以下(50コピー/mL未満)に達成した患者の割合が、エファビレンツとの比較で非劣性であることが示された(最大許容差は12%)。また試験では、エジュラントの忍容性はエファビレンツとの比較で優れていることが示されており、浮動性めまい、異常な夢や悪夢、発疹などの有害事象による中止率が低いことが示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.janssen.co.jp/public/rls/news/4004

3946.

深在性真菌症治療薬「カンサイダス」発売

 MSD株式会社は19日、深在性真菌症治療薬「カンサイダス 点滴静注用50mg/70mg」(一般名:カスポファンギン酢酸塩)を発売した。 カンサイダスはキャンディン系抗真菌薬で、ヒトの細胞では生成されない真菌細胞壁の主要構成成分である1,3-β-D-グルカンの生合成を阻害することで深在性真菌症の主要起炎菌であるカンジダ属およびアスペルギルス属に対し抗真菌活性を示し、「カンジダ属又はアスペルギルス属による真菌感染症[食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)] 」の適応を取得した。また、キャンディン系抗真菌薬では唯一となる『真菌感染症が疑われる発熱性好中球減少症』の適応も有している。 海外ではすでに世界84ヵ国で販売されており(2011年9月現在)、日本国内では2012年1月18日に製造販売承認を取得し、4月17日に薬価基準収載された。 詳細はプレスリリースへhttp://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2012/Pages/product_news_0419.aspx

3947.

現金給付プログラム、就学中の若年女性のHIV、HSV-2感染を抑制

現金給付プログラムは、低所得層の就学若年女性においてHIVおよび単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)の感染を抑制するが、すでに退学している場合は効果がないことが、米国・ジョージ・ワシントン大学のSarah J Baird氏らがアフリカで行った調査で示された。世界のHIV感染者の3分の2がサハラ砂漠以南の地域に居住しており、その60%が女性だ。世界の新規感染者の45%が15~24歳の若年者であり、この年齢層の感染率は女性が男性の2倍以上だという。教育の不足や男性への経済的依存が、女性のHIV感染の重大なリスク因子であることが示唆されている。Lancet誌2012年4月7日号(オンライン版2012年2月15日号)掲載の報告。現金給付プログラムの有効性をクラスター無作為化試験で評価研究グループは、若年女性の性感染症のリスク低減における現金給付プログラムの有効性を評価するクラスター無作為化試験を実施した。マラウイ・ゾンバ地方の176の調査地区から13~22歳の未婚女性が登録された。調査地区を1対1の割合で、現金給付を行う群(介入群)あるいは介入を行わない群(対照群)に無作為に割り付けた。介入群の地区は、さらに給付の要件として就学を求める群と求めない群に分けられた。介入群の参加者は、くじ引きによる抽選で毎月1、2、3、4、5ドルのいずれかを受け取り、各世帯は毎月4、6、8、10ドルのいずれかを受給した。ベースラインと12ヵ月後に行動リスク評価を行い、18ヵ月後には血清検査を実施した。主要評価項目は、18ヵ月後のHIVおよびHSV-2の有病率とした。性行動の変容を直接目標としない構造的介入の有用性を示唆介入群には88地区が割り付けられ、2008年1月~2009年12月までに各年10回ずつの現金給付が行われた。対照群にも88地区が割り付けられた。ベースライン時に就学していた1,289人の解析では、18ヵ月後のHIVの加重有病率は介入群が1.2%と、対照群の3.0%に比べ有意に低下した(調整オッズ比[OR]:0.36、95%信頼区間[CI]:0.14~0.91)。HSV-2の加重有病率も、介入群は0.7%であり、対照群の3.0%に比し有意に改善された(調整OR:0.24、95%CI:0.09~0.65)。介入群のうち、給付に就学を求められた群と就学しなくても給付を受けた群の間に、HIV加重有病率(1% vs. 2%)およびHSV-2加重有病率(1% vs. <1%)の差はみられなかった。ベースライン時に就学していなかった群では、介入群と対照群でHIV加重有病率(10% vs. 8%)およびHSV-2加重有病率(8% vs. 8%)の差を認めなかった。著者は、「現金給付プログラムにより、低所得層の青年期女学生におけるHIV、HSV-2感染の改善が可能と考えられる」と結論しており、「性行動の変容を直接的なターゲットとはしない構造的介入は、HIV感染の予防戦略の重要なコンポーネントとなる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

3948.

ニューモシスチス肺炎治療薬「サムチレール内用懸濁液」発売

 グラクソ・スミスクラインは17日、同社のニューモシスチス肺炎治療薬「サムチレール内用懸濁液15%」(一般名:アトバコン、以下サムチレール)が薬価収載されたことを受け、同日より発売したことを発表した。サムチレールは世界20ヵ国以上でニューモシスチス肺炎治療・発症抑制薬として承認 サムチレールは、酵母様真菌であるニューモシスチス・イロベチーのミトコンドリア電子伝達系を選択的に阻害することにより抗ニューモシスチス活性を示すアトバコンを有効成分とするニューモシスチス肺炎治療・発症抑制薬。サムチレールはニューモシスチス肺炎治療の第一選択薬であるスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤(ST合剤)の使用が副作用により困難な患者の治療の選択肢となるという。しかし、HIV感染患者におけるニューモシスチス肺炎の治療および発症抑制のために投薬される場合に限り、特例的に発売時より14日間の投薬期間制限が対象外となる。 サムチレールは英GlaxoSmithKline社により開発され、2011年12月現在、世界20ヵ国以上でニューモシスチス肺炎に対する標準的な治療および発症抑制薬として承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2012_01/P1000730.html

3949.

深在性真菌症治療薬 カスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス)

深在性真菌症治療薬のカスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス点滴静注用50mg、同点滴静注用70mg)が2012年1月18日に製造承認を取得した。適応は「(1)真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症(FN)、(2)カンジダ症(食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症)、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)」となっている。深在性真菌症の現状深在性真菌症は、主に、白血病をはじめとした血液疾患やがんに対する化学療法、造血幹細胞移植における好中球減少時など、免疫力が低下している患者において、深部組織や臓器にカンジダ属やアスペルギルス属などが日和見感染することで感染を引き起こす疾患である。一般に重症化しやすく、治療が難しい感染症である。我が国における深在性真菌症の患者数は年々、増加傾向にあり、その中でもアスペルギルス症の増加が著しいとの報告がある1)。カスポファンギンの承認これまで、アゾール系、ポリエン系、フロロピリミジン系、キャンディン系などの深在性真菌症治療薬が使用されてきた。この度、承認されたカスポファンギンは、国内で2剤目となるキャンディン系抗真菌薬で、2000年12月に世界初のキャンディン系として承認されて以来、これまでに世界84ヵ国(2011年9月現在)と、多くの臨床現場で使用されてきた。カスポファンギンは既に、IDSA(米国感染症学会)のガイドラインをはじめ、さまざまな海外のガイドラインで推奨されている。このため、深在性真菌症治療に携わる医療関係者からの認知度は高く、国内での承認が待ち望まれてきた薬剤である。特に、カスポファンギンがキャンディン系で初めて「真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症」の適応を取得した意義は大きい。発熱性好中球減少症におけるエンピリック治療発熱性好中球減少症とは好中球が1,000/μL未満で且つ、500/μL未満になる可能性がある状況下で、腋窩で37.5℃以上(口腔内温≧38℃)の発熱が生じ、薬剤熱、腫瘍熱、膠原病、アレルギーなど原因がはっきりわかっているものを除外できる疾患をいう。発熱性好中球減少症は血液培養で10%程度の陽性率と低く、臨床的に感染巣が明らかなものは10~20%程度に留まり、70~80%で原因不明の発熱がおこる2)。このようなことから発熱性好中球減少症では、起因菌が特定できないまま、細菌真菌感染を疑い、エンピリック治療が行われることが多い。しかしながら、これまで、キャンディン系には、発熱性好中球減少症の適応はなかった。この度、カスポファンギンが適応を取得したことにより、深在性真菌症治療に新たな選択肢が加わることは、患者や医療関係者にとって福音となるであろう。まとめ医療技術の発展による、骨髄・臓器移植、がんに対する化学療法などといった高度医療の普及や高齢化社会の進行により、患者の免疫低下リスクが高まる要因は増えていくと考えられる。そして、免疫低下患者の増加に伴い、深在性真菌症も増加することが予想される。このような背景の中、カスポファンギンが新たな選択肢となり、深在性真菌症治療の幅が広がることは、医療関係者にとって新たな治療戦略となる。そして、それは患者やその家族の明日への希望につながるといえよう。

3950.

子宮頸がん検出の最善のスクリーニングは?

子宮頸がん検出を目的としたスクリーニングテストについて、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査は細胞診よりも有益なのか、オランダ・Erasmus MC大学メディカルセンターのInge M C M de Kok氏らによるシミュレーション研究が行われた。費用対効果に着目して、女性の生涯での適切なスクリーニング回数についても検証された。病変部検出にHPV検査は細胞診よりも感受性が高いが特異度は低い。HPVスクリーニングについての既存の報告では、費用対効果の結果は千差万別で、de Kokらは、オランダモデルを各種条件が異なる欧州各国と適合させて検討した。BMJ誌2012年3月10日号(オンライン版2012年3月5日号)掲載報告より。プライマリHPVスクリーニングかプライマリ細胞診かをシナリオ戦略に基づき検証研究グループは、欧州で1932~1992年に生まれたHPVワクチン非接種の女性を対象とし、オランダモデルに基づく費用対効果の解析を行った。ベース症例解析では、ミクロシミュレーションモデルで1,500通り以上のスクリーニング政策の費用対効果を調べた。その後、スクリーニング政策を異なる5つの想定シナリオ(子宮頸がんリスク、既往スクリーニング、検査特性関連の質、検査費用、HPV有病率について起こり得る可能性が異なるシナリオ)で比較した。主要評価項目は、HPV検査の感度とコストについての増分費用効果比(寿命獲得に要する費用)に関する最善のスクリーニング戦略とした。プライマリHPVスクリーニングが好ましいが、組織的に実施することが重要結果、想定シナリオのほとんどで、HPVスクリーニングは30歳以上ではプライマリ検査として好ましいとする結果だった。細胞診が好ましいとされたのは、低コストが好ましいとするシナリオの場合と、HPVの有病率が高く費用が高いHPV検査と合わせて行うとするシナリオの場合であった。Kok氏は、「欧州の国の多くは、子宮頸がんに対してプライマリ細胞診からプライマリHPVスクリーニングに考え方の切り替えるべきである」と結論。シミュレーションの結果から、重要なことはプライマリHPVスクリーニングを組織的に実施することで、それが低コストに結びつくとし、「HPVスクリーニングは、スクリーニングがよりよくコントロールされている状況で実施されなければならない」と結論している。

3951.

高用量抗ウイルス薬治療、HSV-2再活性化の抑制効果は不十分

単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)は、高用量抗ウイルス薬治療中にも潜在性の再活性化を認めることが、米国・ワシントン大学のChristine Johnston氏らの検討で示された。同氏は「HSV感染の除去には、より強力な抗ウイルス薬治療を要する」と指摘している。HSV-2感染は世界的に蔓延し、HIV-1感染リスクを増大させることが示されている。抗ウイルス薬の連日投与は性器病変を減少させ、性器粘膜表面へのHSV排出を抑制するが、性感染リスクの改善効果は十分ではないという。Lancet誌2012年2月18日号(オンライン版2012年1月5日号)掲載の報告。3つの相補的試験でウイルス排出を評価研究グループは、標準用量および高用量の抗ウイルス薬治療によるHSV-2ウイルス排出頻度の低減効果を評価するために、3つの非盲検無作為化クロスオーバー試験のデータを解析した。ワシントン大学ウイルス学研究クリニックでHSV-2の血清反応陽性/陰性者を登録し、3つの相補的なクロスオーバー試験を実施した。1)無治療とアシクロビル(商品名:ゾビラックスなど)400mg×2回/日(標準用量)の比較、2)バラシクロビル(商品名:バルトレックス)500mg/日(標準用量)とアシクロビル800mg×3回/日(高用量)の比較、3)標準用量バラシクロビルとバラシクロビル1g×3回/日(高用量)を比較した。試験期間は4~7週で、wash-out期間は1週間とした。性器スワブを1日4回採取し、real-time PCR法でHSV DNAを定量。検査室要員には臨床データがマスクされた。主要評価項目は、個人内ウイルス排出率とし、per protocol解析を行った。再活性化は高用量群で低いが十分でない2006年11月~2010年7月までに113例が登録され90例が評価可能であった。採取された2万3,605スワブのうち1,272例(5.4%)がHSV陽性だった。HSV-2ウイルス排出頻度は、無治療群が18.1%と標準用量アシクロビル群の1.2%に比べ有意に高かった(罹患率比[IRR]:0.05、95%信頼区間[CI]:0.03~0.08)。高用量アシクロビル群のウイルス排出頻度は4.2%と、標準用量バラシクロビル群の4.5%よりも低かった(IRR:0.79、95%CI:0.63~1.00)。高用量バラシクロビル群は3.3%と、標準用量バラシクロビル群の5.8%よりも低頻度だった(IRR:0.54、95%CI:0.44~0.66)。人・年当たりのウイルス排出頻度は、標準用量バラシクロビル群(22.6)と高用量アシクロビル群(20.2)、標準用量バラシクロビル群(14.9)と高用量バラシクロビル群(16.5)の比較では両群で同等だった(それぞれ、p=0.54、p=0.34)が、無治療群(28.7)と標準用量アシクロビル群(10.0)には有意な差が認められた(p=0.001)。ウイルス排出期間中央値は、無治療群が13時間と標準用量アシクロビル群の7時間よりも長く(p=0.01)、標準用量バラシクロビル群は10時間と高用量バラシクロビル群の7時間に比べ長かった(0=0.03)。一方、標準用量バラシクロビル群(8時間)と高用量アシクロビル群(8時間)には差を認めなかった(p=0.23)。HSVのlog10コピー数/mLにも同様の傾向が認められた。著者は、「高用量抗ウイルス薬治療中にも潜在性のHSVの再活性化が認められた。HSV感染の除去には、より強力な抗ウイルス薬治療を要する」と結論している。(菅野守:医学ライター)

3952.

ロタウイルスワクチン、腸重積罹患率を増大せず

乳幼児への5価ロタウイルス(RV5)ワクチン接種は、接種後1~7日、同1~30日後の腸重積罹患率を増大しないことが報告された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のIrene M. Shui氏らが、米国のワクチン安全データリンク(VSD)に登録された、RV5接種を受けた乳幼児について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月8日号で発表した。RV5ワクチン接種後の腸重積発症は、開発試験段階では報告されなかったが、承認後の国際的なトライアルで、特に1回目の接種後1週間以内の低レベルのリスク上昇の可能性が示唆されていた。約79万回のRV5接種について追跡調査研究グループは、2006年5月~2010年2月の間に、VSDに登録された、生後4~34週にRV5ワクチン接種を受けた乳幼児について、その後の腸重積罹患率について追跡調査を行った。主要アウトカムは、接種後1~7日、同1~30日間の、それぞれの腸重積罹患率だった。対照群として、RV5以外の推奨ワクチンを接種した乳幼児の同罹患率について比較した。試験期間中に被験者が受けたRV5ワクチン接種回数は、78万6,725回で、うち初回接種は30万9,844回だった。接種後7日、30日までのそれぞれの腸重積罹患率に増大なしその結果、RV5接種群で、非RV5接種群と比べ、接種後1~7日、同1~30日後の腸重積罹患率の有意な増大は認められなかった。具体的には、接種後1~30日後の腸重積発症数は、RV5接種群で21人に対し、非RV5接種群の期待値は20.9人だった(標準化罹患比:1.01、95%信頼区間:0.62~1.54)。また初回接種後1~30日後の同発症数も、それぞれ7人と5.7人だった(同:1.23、同:0.5~2.54)。接種後1~7日後の腸重積発症数は、RV5接種群が4人に対し、非RV5接種群期待値は4.3人(同:0.92、同:0.25~2.36)、初回接種後はそれぞれ1人と0.8人(同:1.21、同:0.03~6.75)であり、いずれも有意差はなかった。なお、この初回接種後1~7日での発症に関する標準化罹患比の95%信頼区間上限値の6.75は、初回接種者6万5,287人につき1例の発症リスクを示すものだった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

3953.

後発医薬品10成分と「ジフルカン」の新剤形の承認取得

 ファイザー株式会社は15日、後発医薬品10成分21品目と深在性真菌症治療剤「ジフルカンドライシロップ350mg/1400mg」(一般名:フルコナゾール)の承認を取得したと発表した。 今回、後発医薬品として初めて承認されたゾルピデム酒石酸塩錠、パロキセチン錠、ロサルタンK錠を含む10成分21品目は、注射剤1成分と内服剤8成分、外用剤1成分で、順次発売される予定だ。 また、深在性真菌症治療剤「ジフルカンドライシロップ350mg/1400mg」は2月14日に承認を取得し、カプセル、静注液に加えてドライシロップ剤形が追加される。ジフルカンは、成人・小児におけるカンジダ属およびクリプトコッカス属による各種真菌症の治療、造血幹細胞移植患者の真菌感染症の予防に使用されている。フルコナゾールの内服薬としては、1989年にカプセル剤が承認されているが、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を受け、懸濁剤の追加について2010年5月21日付で、厚生労働省より同社対して開発要請がなされた。今回の承認により、カプセル剤の服用が困難な乳幼児や嚥下障害のある成人のために、海外ではすでに上市されている懸濁剤を導入するという。 詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_02_16.html

3954.

慢性C型肝炎標準療法無効例への直接作用型抗ウイルス薬のベネフィット

慢性C型肝炎の標準療法であるインターフェロン併用療法(ペグインターフェロン+リバビリン)が無効であった患者に対し、直接作用型抗ウイルス薬を追加投与することのベネフィットについて検討された予備的試験の結果、2つの抗ウイルス薬のみ投与でもウイルス持続陰性化(SVR)が得られることが示され、追加併用投与では高率のSVRが得られることが示された。米国・ミシガン大学医療センターのAnna S. Lok氏らによるオープンラベル第2a相無作為試験の予備的試験報告で、NEJM誌2012年1月19日号で発表された。慢性HCV遺伝子型1型感染患者21例を対象に予備的試験研究グループは、12週間以上のペグインターフェロン+リバビリン併用療法が無効[HCV RNAが2 log(10)以上にならなかった]であった慢性HCV遺伝子型1型感染患者21例の予備的コホートを対象とする試験を行った。被験者は無作為に、2つの直接作用型抗ウイルス薬であるNS5A複製複合阻害薬daclatasvir(60mgを1日1回)とNS3プロテアーゼ阻害薬asunaprevirのみを投与する群(グループA、11例)と、これら2つの抗ウイルス薬を前治療に追加して併用投与する群(グループB、10例)に割り付けられ、24週間投与された。主要エンドポイントは、治療期間終了後12週間のSVRを得られた患者の割合であった。抗ウイルス薬投与群のみでもSVR達成、併用投与群では高いSVR達成結果、抗ウイルス薬2剤のみ投与のA群において、12週時点でSVRを得ていたのは4例(36%)で、これらは24週時点でもSVRが認められた。4例を詳細な遺伝子型別にみると、HCV遺伝子型1a型9例中の2例と同1b型2例中の2例であった。SVRが得られなかった遺伝子型1a型の7例のうち、6例は24週の治療期間中にウイルス再燃(VBT)をきたし、2つの抗ウイルス薬に対する耐性変異の発生がみつかった。残る1例は治療期間終了時点ではSVRが得られていたが、その後再発に至った。一方、抗ウイルス薬2剤をインターフェロン併用療法に追加して投与したB群では、12週時点で全10例がSVRを得ており、9例は24週時点でもSVRを持続していた。有害事象については、最も頻度が高かったのは両群ともに下痢であった。また、6例(A:4例、B:2例)に、アラニンアミノトランスフェラーゼが正常上限値の3倍超となる一過性の上昇が認めれた。(武藤まき:医療ライター) ※ペグインターフェロン(商品名:ペガシス、ペグイントロン)+リバビリン(商品名:コベガス、レベトールほか)。本試験ではペガシス+コベガスで検討されている。

3955.

認知症高齢者、入院率は1.4倍に増大

高齢者において、認知症は入院を有意に増大するリスク因子であることが米国・ワシントン大学のElizabeth A. Phelan氏らによる調査の結果、報告された。認知症高齢者の入院率はそうでない高齢者の約1.4倍に上り、なかでも細菌性肺炎や尿路感染症のような外来治療可能な疾患での入院率が、約1.8倍多かったという。同氏らが3,000人超の高齢者について調べた結果で、JAMA誌2012年1月11日号で発表した。補正前入院率、非認知症は200件/1,000人・年、認知症は419件/1,000人・年研究グループは、65歳以上の3,019人の1994~2007年のデータについて、後ろ向き縦断コホート調査を行った。 主要評価項目は、認知症の有無による、全原因入院率や外来治療可能疾患(ambulatory care–sensitive conditions:ACSC)による入院率とした。結果、追跡期間中に認知症を発症したのは494人で、うち427人(86%)が1回以上入院した。認知症を発症しなかった2525人では、うち1478人(59%)が入院した。補正前入院率は、非認知症群が200件/1,000人・年だったのに対し、認知症群は419件/1,000人・年に上った。認知症群の全入院率比は1.41倍、ACSCによる入院率比は1.78倍年齢、性別やその他交絡因子を補正後、認知症群の非認知症群に対する入院率比は、1.41(95%信頼区間:1.23~1.61、p<0.001)だった。ACSCによる入院に関する同入院率比は、1.78(同:1.38~2.31、p<0.001)とさらに高かった。入院の原因器官系別に入院率をみたところ、大半で認知症群が非認知症群より有意に高率だった。また細菌性肺炎やうっ血性心不全、尿路感染症による入院は、ACSCでの入院の3分の2を占め、いずれの補正後入院率も、認知症群が非認知症群より有意に高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

3956.

単純ヘルペスワクチン、HSV-1型とHSV-2型で有効性に違い

単純ヘルペスウイルス(HSV)ワクチンの有効性について、HSV-1型とHSV-2型への有効性に違いがあることが報告された。米国・セントルイス大学のRobert B. Belshe氏らが、両タイプ血清陰性の一般女性8,300例超を対象に、糖蛋白Dを含有するHSV-2サブユニットワクチンの有効性を検討した試験の結果で、HSV-1型の予防には効果が認められたが、HSV-2型の予防に対する有効性は認められなかったという。同ワクチンについての2つの先行研究(HSV抗体陽性と陰性の男女カップル対象、どちらが陽性かは問わない)では、抗体陰性の女性では、性器ヘルペス予防に関してタイプを問わず有効性が認められていた(HSV-1型73%、HSV-2型74%)。一方で、男性と、HSV-1型血清陽性の女性では有効性が認められていなかった。NEJM誌2012年1月5日号掲載報告より。HSV-1型とHSV-2型の抗体陰性女性対象に二重盲検試験を実施Belshe氏らは、米国40施設、カナダ10施設から登録した、HSV-1型とHSV-2型ともに抗体陰性だった18~30歳の女性8,323例を対象に、無作為化二重盲検有効性実地試験を行った。一部の被験者に対して、0、1、6ヵ月で、本試験HSVワクチン(HSV-2由来の糖蛋白D 20μgと、アジュバントとしてミョウバンと3-o脱アシル化モノホスホリル脂質Aを含む)を接種し、対照被験者には、A型肝炎予防ワクチンを720 ELISA(酵素免疫吸着検定法)単位で接種した。主要エンドポイントは、2ヵ月後(2回目接種の1ヵ月後)から20ヵ月後の間におけるHSV-1またはHSV-2いずれかによる性器ヘルペスの発症とした。HSV-2関連疾患・感染の予防には有効性認められずHSVワクチン接種群(3,798例)では、対照ワクチン群(3,076例)と比べて、局所反応のリスク増加が認められ、HSV-2に対するELISAおよび中和抗体を誘導した。全体として、HSVワクチンの有効性は認められなかった。性器ヘルペスに対する有効性は20%(95%信頼区間:-29~50)であった。しかし、HSV-1型の性器ヘルペスに対する有効性は58%(同:12~80)だった。感染に対する有効性(疾患発症の有無にかかわらず)は、HSV-1型に対しては35%(同:13~52)だった。しかしHSV-2型では-8%(同:-59~26)で有効性は観察されなかった。(朝田哲明:医療ライター)

3957.

インフルエンザウイルスによる小児の急性下気道感染が世界的な疾病負担に

インフルエンザウイルスは、急性下気道感染(ALRI)罹患小児で同定される最も一般的な病原体であり、世界的な医療サービスの実質的な負担となっていることが、英国・エジンバラ大学のHarish Nair氏らの調査で明らかとなった。肺炎や気管支炎などのALRIは小児の罹病や死亡の主な原因であり、ALRIの新規罹患者は毎年、世界で約1億5,600万人に上り、2008年には約156万人の小児が感染の結果として死亡している。一方、小児における季節性インフルエンザウイルスに起因する世界疾病負担は明らかでなかった。Lancet誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月11日号)掲載の報告。インフルエンザウイルスによるALRIの世界的な発生率、死亡率を評価研究グループは、5歳未満の小児におけるインフルエンザウイルスによる下気道感染症の世界的な発生率および死亡率を評価するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。1995年1月1日~2010年10月31日に報告された試験および未報告の16件の地域住民ベースの調査を系統的にレビューしたデータを用いて、5歳未満の小児におけるインフルエンザのエピソード、インフルエンザウイルス関連ALRIおよびインフルエンザウイルス関連の重篤なALRIの発生率を年齢別に推算した。得られた発生率を2008年の推定世界人口に適用してこの年の推定値を算出した。また、インフルエンザウイルス関連ALRIによる死亡率を算定した。インフルエンザウイルス関連ALRIによる小児の死亡は2万8,000~11万1,500例43件の試験が同定され、約800万人の小児のデータが得られた。2008年に、世界の5歳未満の小児のうち9,000万人(95%信頼区間[CI]:4,900万~1億6,200万)が新たにインフルエンザに罹患し(9試験のデータ)、2,000万人(同:1,300万~3,200万)にインフルエンザウイルス関連ALRIが発生し(6試験のデータ、全小児ALRIの13%に相当)、100万人(100万~200万)がインフルエンザウイルス関連の重篤なALRIを発症した(39試験のデータ、すべての重篤な小児ALRIの7%に相当)。2008年における5歳未満の小児のインフルエンザウイルス関連ALRIに起因する死亡は2万8,000~11万1,500例と推算されたが、その99%は開発途上国で発生していた。発生率および死亡率は年ごとに実質的に変動していた。著者は、「インフルエンザウイルスはALRI罹患小児で同定される最も一般的な病原体であり、世界的な医療サービスの実質的な負担となっている」と結論し、「小児のALRIによる死亡において、インフルエンザウイルスがどのような役割を果たしているかを正確に推定するにはデータが不十分である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

3958.

自宅での自己採取HPV検査は子宮頸がん予防に有効か?

自宅で行う腟分泌物自己採取法によるヒトパピローマウイルス(HPV)DNA検査は、細胞診よりも陽性適中率は低いものの、医療資源に乏しく有効な細胞診プログラムを実施できない環境下では、グレード2以上の頸部上皮内がん(CIN)を検出するのに好ましい方法であることが報告された。メキシコ国立公衆衛生研究所のEduardo Lazcano-Ponce氏らによる。腟分泌物HPV DNA検査は、診療所で行う場合は、細胞診と同じかそれ以上の検出力があることが明らかになっていたが、自宅で行う場合の有効性については明らかにされていなかった。Lancet誌2011年11月26日号(オンライン版2011年11月2日号)掲載報告より。25~65歳の低所得・低医療サービス地域のメキシコ女性2万5,061例を対象に研究グループは、診療所での子宮頸部細胞診と比較した、自宅で行う腟分泌物自己採取法によるHPVスクリーニングとの相対感度と陽性適中率の検証を行うことを目的に、地域ベースの無作為化同等性試験を行った。対象は、25~65歳のメキシコ女性2万5,061例で、社会経済的地位が低く、同国モレロス州、ゲレロ州の医療サービスが不十分な、主として農村部の540地点から登録された。主要エンドポイントは、コルポスコピーによって確認されたCIN 2以上とされた。解析はper-protocolおよびintention-to-screenにて行われた。被験者は、コンピュータにて無作為にHPVスクリーニング群(1万2,330例)と子宮頸部細胞診群(1万2,731例)に割り付けられた。その後、割り付け情報を知らされていない8人の地域看護師が、被検者氏名・住所リストをデイリーで受け取り、割り付けられた訪問を行い、いずれの検査でも陽性であった女性がコルポスコピー検査を受けた。プロトコルを遵守したのは、HPVスクリーニング群9,202例、子宮頸部細胞診群1万1,054例だった。HPV検査は細胞診と比べて、CIN 2以上特定3.4倍、侵襲性がん検出4.2倍以上結果、HPV有病率は9.8%(95%信頼区間:9.1~10.4)、異常細胞率は0.38%(同:0.23~0.45)だった。CIN 2以上女性の特定は、1万人あたり、HPV検査は117.4件(同:95.2~139.5)だったのに対し、細胞診は34.4件(同:23.4~45.3)で、HPV検査の相対感度は、3.4倍以上(同:2.4~4.9)に上った。同様にHPV検査は、侵襲性のがんを細胞診よりも4.2倍以上検出した[1万人あたり30.4件(同:19.1~41.7)vs. 7.2(同:2.2~12.3)]。一方で陽性適中率は、HPV検査は12.2%(同:9.9~14.5)、細胞診は90.5%(同:61.7~100)だった。

3959.

心不全による感染性心内膜炎、弁手術実施で入院死亡率、1年死亡率ともに大幅低下

心不全による感染性心内膜炎は、初回入院時に弁手術を実施することで、入院死亡率、1年死亡率ともに、およそ半減することが示された。米国デューク大学メディカルセンターのTodd Kiefer氏らが、4,000人超について行った前向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月23・30日号で発表した。28ヵ国、61ヵ所の医療センターで4,000人超を追跡研究グループは、2000年6月~2006年12月にかけて、28ヵ国、61ヵ所の医療センターで、固有弁または人工弁感染性心内膜炎を呈した4,166人について、前向きコホート試験を行った。被験者のうち、心不全の有無や程度が確認された4,075人について、弁手術実施の有無と、入院死亡率、1年死亡率の関連を分析した。被験者のうち、心不全は1,359人(33.4%)で、そのうちNYHA心機能分類でクラスIIIまたはIVが906人(66.7%)だった。心不全患者の61.7%にあたる839人が、弁手術を行った。1年死亡率、非実施群58.4%に対し弁手術実施群は29.1%と半減結果、被験者全体の入院死亡率は29.7%(95%信頼区間:27.2%~32.1%)だった。弁手術実施群の入院死亡率は20.6%(同:17.9%~23.4%)と、非実施群の44.8%(同:40.4%~49.0%)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。また1年死亡率も、弁手術実施群で29.1%(同:26.0%~32.2%)と、非実施群の58.4%(同:54.1%~62.6%)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。Cox比例ハザードモデルによる分析の結果、高齢、糖尿病、医療サービスに関連した感染、黄色ブドウ球菌または真菌による感染、NYHA心機能分類でクラスIIIまたはIV、脳卒中、弁周囲合併症が、1年死亡率増加に関与していた。一方で、初回入院時の弁手術実施は、同死亡率低下に関与していた。(當麻 あづさ:医療ジャーナリスト)

3960.

B型慢性活動性肝炎治療薬 ペグインターフェロン-α-2a製剤(商品名:ペガシス)

 ペグインターフェロン-α-2a製剤(商品名:ペガシス)が、2011年9月、「B型慢性活動性肝炎におけるウイルス血症の改善」の効能・効果追加を承認された。ペガシスの適応追加に関する審査は、優先審査に指定され、申請から約8ヵ月という異例のスピードであった。B型慢性肝炎の経過は多様 B型肝炎は、肝臓がんの原因の17%を占め、わが国には約150万人のB型肝炎キャリアがいると報告されている。B型肝炎キャリアの多くは、無症候性キャリアであるが、無症候性キャリアからも肝臓がんが突然発症するなどB型肝炎の経過には多様性があり、治療が難しい疾患である。治療の中心はIFNとエンテカビル 現在のB型慢性肝炎は、おもにインターフェロン(IFN)、核酸アナログ製剤、肝庇護薬で治療されており、2011年B型慢性肝炎の治療ガイドラインでは、35歳未満はIFN、35歳以上は核酸アナログ製剤のエンテカビルが、多くの患者カテゴリーで治療の中心とされている1)。 しかし、従来のIFNは、適応がHBe抗原陽性例のみであったため対象が限定され、さらに、一般的に3回/週の投与を必要としたため、利便性も高いとはいえなかった。核酸アナログ製剤は、B型肝炎ウイルスの増殖を強力に抑制し、かつ、経口投与のために利便性が高いものの、長期にわたり投与する必要があり、耐性ウイルスの出現や投与中止による肝炎の急性増悪も懸念されている。ペガシスはHBe抗原陽性例に加え陰性例にも有効 そのような中、ペガシスがB型慢性活動性肝炎に対して適応追加された。ペガシスは、従来のIFN-α-2aに40KDaのポリエチレングリコール(PEG)を結合させ血中からのIFN消失時間を延長し効果を持続させた薬剤である。すでにC型慢性肝炎での高い治療実績がある。 ペガシスは、HBe抗原陽性例を対象に、有効性・安全性をみた国内第Ⅱ/Ⅲ相試験において、用量、投与期間に応じて高い効果が認められた。その試験において、ペガシス90μg48週群は17.1%、180μg48週(3回/週)群は19.5%の有効率を示し、ペガシス週1回48週投与のIFNα週3回24週投与に対する非劣性が検証された。また、ペガシス90μg48週投与により、投与終了24週時で24.4%にHBeセロコンバージョンが認められた。 ペガシスは、HBe抗原陰性例を対象とした国内第Ⅱ/Ⅲ相試験において、90μg週1回48週投与により、投与終了後24週時に、HBV DNA <4.3Log copies/mL達成率が37.5%、ALT≦40IU/L達成率が68.8%となり、HBe抗原陰性例に対しても優れた効果が認められた。 B型慢性活動性肝炎におけるウイルス血症の改善に対する国内臨床試験において、副作用(臨床検査値異常を含む)は225例全例に認めらている。主な副作用は、発熱71.6%、頭痛65.3%、倦怠感63.1%等であった。興味深いのはHBsセロコンバージョンの達成 HBs抗原陽性かつHBe抗原陰性例における肝癌の発生率は、HBs抗原陰性かつHBe抗原陰性例の9.6倍であると報告され2)、最近ではHBsセロコンバージョンを治療目標のひとつとするようになってきている。 このHBsセロコンバージョンに対して、ペガシスは興味深いデータがある。ペガシスは、B型慢性活動性肝炎に対する国内臨床試験で、90μgおよび180μg48週投与の両群で、投与終了24週後に、それぞれHBsセロコンバージョン(いずれも1/41例)が見られている。IFNによる免疫の賦活化は投与終了後も継続するため3)、投与終了からの期間が長くなると、HBsセロコンバージョン率がさらに上昇すると予想される。HBsセロコンバージョンは、核酸アナログ製剤では達成が難しいため、ペガシス特有の作用として注目される。ペガシスへの期待 ペガシスのB型慢性活動性肝炎への適応追加により、投与回数の少ないIFN(従来のIFN:1週3回、ペガシス:1週1回)が使用可能となった。また、48週の投与が可能となり、従来のIFNよりも高い治療効果(HBeセロコンバージョン率、HBsセロコンバージョン率等)が期待できるようになった。さらに、HBe抗原陰性例にもIFNが使用可能となった。 今後、ペガシスにより、B型肝炎の新たな治療戦略が登場することが期待される。特に妊娠を希望する若い世代には朗報と言えるのではないだろうか。

検索結果 合計:4224件 表示位置:3941 - 3960