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早く治療すれば怖くないHIV感染症

 ギリアド・サイエンシズ会社は、12月1日の「世界エイズデー」を前に都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、2020年の東京オリンピックを控え、性感染症のアウトブレイクへの備えについて講演が行われた。 なお、12月1日より日本で販売されている抗HIV薬テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(商品名:ビリアード)、エムトリシタビン(同:エムトリバ)など6品目の製造販売承認は鳥居薬品株式会社から同社が承継する。寿命は健康な人に近付きつつあるが… セミナーでは、「HIV感染症・エイズ -予防・治療の新時代-」をテーマに、松下 修三氏(熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 臨床レトロウイルス学分野 教授)を講師に迎え、最新のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に関する知見のほか、オリンピックへの備えについて過去の取り組み例とともに説明された。 エイズは、HIVが免疫の中心的な働きを担うCD4+細胞に感染し、CD4+細胞を破壊することで身体の免疫機能が減少する感染症である。感染経路は、性的接触、血液感染、母子感染の3経路が知られている。 わが国のHIV感染者、エイズ患者数は2018年で累計3万人を超え、2017年では1,389人が報告されている。 初発の感染症状は、発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎、皮疹、筋肉・関節痛、頭痛、下痢などインフルエンザに似ており、この後6ヵ月~10年の無症候期を経て、エイズを発症する。エイズ発症期には、ニューモシスチス肺炎、口腔/食道カンジタ症、サイトメガロウイルス網膜炎がみられ、2~3年でエイズ脳症へ進展する。 治療では、抗ウイルス療法(ART)として、クラスの異なる抗ウイルス薬を組み合わせる多剤併用療法が行われる。標準的には、核酸系逆転写阻害剤2種類にプラスして、インテグラーゼ阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤か、非核酸系逆転写阻害剤を用いる。ARTの導入によりHIV感染者の平均寿命は、一般人の寿命に近付きつつあり、20歳でHIV感染の診断を受けても60歳近くまで生存できる寿命予測がスイスから報告されている1)。 エイズは現在では、早期発見・早期治療の開始により、怖い病気ではなくなったといえる。しかし一方で、一度罹患したHIVの排除ができないことから生涯の服用が必要となるほか、服用にともなう内分泌疾患や易骨折などの合併症が知られ、これらへの対応が急務となる。コンドームで予防、課題は検査のハードル エイズの予防には、どのような手段があるだろうか。広く性感染症も含めエイズでも、現在コンドームの使用が推奨されているが、同性間の性交渉では使用率が50%前後にとどまり、「この使用率の引き上げが今後の課題だ」と同氏は指摘する。また、早期治療で93%の感染減少が報告されたHPTN 052の最終報告を示し、たとえパートナーがHIV感染者であっても早期からARTを開始し、ウイルスが抑制されていれば他者への感染が起こらないという2)。 そのほか、最近では曝露前予防内服(PrEP)としてHIV未感染のハイリスク者が、あらかじめ感染リスクを軽減するためにエムトリシタビン・テノホビル(同:ツルバダ)などの抗HIV薬を予防的に内服することが米国、フランス、カナダ、オーストラリアなどで実施されている(なお日本では予防薬として承認された薬剤はない)。 今後、予防のためにも早期発見が重要となるが、「無料かつ匿名で検査できる保健所の検査の認知度が低く、これらの啓発や検査へのハードルをいかに下げていくか解決が必要」と同氏は語る。持ち込み感染症対策で何をすべきか 東京オリンピックが開催される2020年は、広範囲で健康問題が引き起こされる可能性(とくに感染症のリスク)があり、医療者はイベント主催者などと協力し、健康に対する緊急事態に備える必要がある。 日本感染症学会では、「症状からアプローチするインバウンド感染症への対応~東京2020大会にむけて~ 感染症クイック・リファレンス」(www.kansensho.or.jp/ref/)のウェブサイトを設置し、持ち込み感染症への情報提供を行っている。 過去のオリンピックの事例につき、ロンドンでは、選手へのコンドームの配布や一般への啓発資材の配布が、リオデジャネイロでは、オンラインカウンセリングの実施や外国人感染者むけのARTの提供などが行われた。わが国でもこれらを参考に、「診療できる施設や専門医との連携システムの整備、新しい検査体制の確立、HIV診療の期間短縮、早期診断治療のためのPrEPなど、オリンピックを契機に整備・構築されることが期待される」と展望を語り、講演を終えた。

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サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化に対するmaribavirの効果(解説:吉田敦氏)-1140

原著論文はこちらMaribavir for Preemptive Treatment of Cytomegalovirus Reactivation これまで臨床応用された抗サイトメガロウイルス(CMV)薬(治療薬)の効果は、概して高くはなく、一方で副作用が多いという短所があった。ガンシクロビルは骨髄抑制、ホスカルネットは腎障害・電解質異常、cidofovir(本邦未承認)は腎障害がしばしば出現し、使用に当たっては躊躇することもある。四半世紀前と比べても、それほど進歩したという印象はない。今回、新規の抗CMV薬として開発されたmaribavir(マリバビル)の効果について、第II相オープンラベル試験の結果が発表された。 造血幹細胞移植、固形臓器移植を受けた後の成人で、血中(全血・血漿中)のCMV DNA量が1,000~10,000コピー/mLとなり、CMVの再活性化が生じているものの、明らかなCMV感染症が認められない患者、つまりCMV感染症発症の前段階の患者に、本薬が投与された。対照はバルガンシクロビルで、CMV DNA量が減少し、検出感度(200コピー/mL)未満を達成した患者割合、到達までの期間、CMV感染症発症率が比較された。結果として、CMV DNA量が減少した患者割合、到達までの期間は2群でほぼ同等であったが、maribavir耐性関連変異を認めた者が少数おり、さらにmaribavir群において消化器症状(とくに味覚障害)を中心とした副作用が多かったこと、一方で、バルガンシクロビル群で有意に白血球減少が多かったことが明らかとなった。 今回のデザインは、CMVの再活性化に対し早期に薬剤を開始するpreemptive therapy(先制治療)の評価である。maribavirはウイルスカプシドの集合を阻害するため、DNAポリメラーゼを阻害する従来の抗CMV薬とは作用機序を異にする。従来薬を大きく上回るほどの抗ウイルス効果は示せなかったが、今回の第II相試験で、供試した中では低用量(400mgを1日2回)でも効果が変わらなかったことは明らかにできた。 確かに著者が考察しているとおり、オープンラベル試験であり、maribavir群に割り付けられていることを知っているために生じる、副作用の報告バイアスは存在するかもしれない。しかし消化器系の副作用はほかの臨床試験でも認められており、再現性があることはおそらくほぼ動かないであろう。一方でバルガンシクロビルによる白血球減少には、ほかの感染症への易感染性を助長するといった、負の影響も大きい。 あらためて、理想的な抗CMV薬の開発はかなり難しい課題といえよう。選択肢が増えることは歓迎されるが、maribavirの特徴が効果的に発揮されるような患者集団あるいは状況での使用について、さらに追究が必要かもしれない。maribavirの臨床応用に関する検討そのものも、最初の報告がなされてからすでに15年以上が経過している。ハードルの高い課題ではあるが、maribavirの適切な使用、およびmaribavirの後継となりうる改良薬の候補の探求についても、研究が進むことを期待したい。

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インフルエンザ予防の新知見、養命酒の含有成分が有効か

 クロモジエキスを配合した、あめの摂取によるインフルエンザ予防効果が示唆された―。養命酒製造株式会社(以下、養命酒)と愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの共同研究グループは、2017/2018シーズンに実施した「クロモジエキス配合あめ」のインフルエンザ予防効果に関する二重盲検試験を実施。風邪症状(発熱、喉・鼻症状)の有無や有症日数についても同時に解析を行った結果、クロモジエキス配合あめ摂取群がプラセボあめ摂取群と比較して、インフルエンザ感染患者の抑制ならびに風邪症状の有症期間を有意に短縮した。対象者は同大学で勤務し、インフルエンザワクチン接種済みの看護師の男女134名で、1日3回、12週間にわたりクロモジエキス67mgを配合したあめ摂取群とプラセボあめ群に割り付けられていた。この報告はGlycative Stress Research誌オンライン版2019年9月30日号1)に掲載された。 また、今年9月20日には、養命酒と信州大学農学部の共同研究グループがクロモジエキスのインフルエンザウイルス増殖抑制効果の長時間持続に関する可能性を示唆し、「クロモジ熱水抽出物の持続的なインフルエンザウイルス増殖抑制効果」に関する論文を、薬理と治療(JPT)誌2019年8月号で発表した。2) このような論文報告を受け、2019年11月11日、養命酒がメディアセミナー「国産ハーブ『クロモジ』の機能性研究におけるインフルエンザ予防の新たな可能性」を開催。伊賀瀬 道也氏(愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長)が「クロモジエキスのインフルエンザ・風邪予防に関するヒト試験について」、河原 岳志氏(信州大学学術研究院農学系 准教授)が「クロモジエキスの持続的な抗ウイルス活性~3回チャージで19時間キープ~」について講演し、報告研究の詳細を語った。クロモジとは… クロモジ(黒文字、漢方名:烏樟[うしょう])は、日本の産地に自生するクスノキ科の落葉低木である。クロモジから得られる精油はリラックス作用が期待されるリナロールを主成分とし、非常に良い香りがあることから、古くから楊枝や香木などに使用されてきた。また、耐久性もあるため、桂離宮の垣根や天皇の即位式後の大嘗祭でも使用された。 これまではクロモジをそのままで利用することが多かったが、近年では加工抽出される精油やアロマウォーターの活用が広がっている。今回の研究では、クロモジを煮出して濃縮、乾燥させて作られるエキス剤が用いられた。このように用途の広がるクロモジだが、近年ではさまざまな機能性研究がなされており、今回は抗ウイルス作用に着目した研究が行われた。食後のクロモジ摂取でインフルエンザの予防、症状緩和 現時点でクロモジの作用機序は解明されていないが、ノロウイルスやロタウイルスの代替ウイルス(ネコカリシウイルス)、日本脳炎ウイルスなどの細胞増殖抑制について報告されている。これを踏まえて、伊賀瀬氏は「in vitroの実験ではインフルエンザウイルスの増殖抑制が達成されており、今回の臨床試験でも同様の結果が得られた。風邪症状の有症期間の短縮については、風邪に感染した後でもクロモジエキス配合あめを摂取することで予後が良好になったのではないか」と推測している。 クロモジは全国各地でお茶として販売されているが、本研究ではあめを利用している。その理由として、同氏は「インフルエンザウイルスは主に上気道で感染して増殖する。抗インフルエンザ効果が長期間発揮するには成分が長く滞留することが必要であり、あめならば咽頭から喉頭部分に滞留するため予防が可能と考えた」と述べた。加えて、「ただし、一般的な予防法(流行前のワクチン摂取、外出後の手洗いなど)を行いながらの摂取が前提」と、注意事項も伝えた。クロモジエキス、1日3回摂取でインフルエンザウイルスの抑制効果アップ 河原氏らは前述の伊賀瀬氏の研究報告を受け、培養細胞を利用したクロモジエキスによるインフルエンザウイルスの増殖抑制タイミングと、その効果の持続性について検証した。その結果、クロモジエキスを細胞培養液から取り除いた24時間後にウイルス感染させても、ウイルス増殖指標の抑制が確認できた。また、本研究では細胞にクロモジエキスを8分間処理して5時間後にウイルス感染させても効果が持続し、さらに、繰り返しクロモジエキス処理を行うことで抑制効果が高まることを実証した2)。これらの結果を踏まえ、同氏は「クロモジエキスはウイルス感染に対して予防的な働きをする」と述べ、今後の作用メカニズムなどの詳細解明について意気込んだ。

3404.

小児・若年AMLの真菌症予防に至適な抗真菌薬は?/JAMA

 米国・フィラデルフィア小児病院のBrian T. Fisher氏らは、小児~若年成人の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、侵襲性真菌症(IFD)の予防におけるカスポファンギンとフルコナゾールの有効性を比較検討した。予定されていなかった中間解析で無益性(futility)が示唆されたため、それ以上の患者登録を中止し、登録済みの患者で試験を継続したところ、カスポファンギンのIFD予防効果が優れることが示された。AMLの小児~若年成人患者では、酵母菌および糸状菌の双方による生命を脅かすIFDのリスクが高いとされる。フルコナゾールが酵母菌に対してのみ活性を示すのに対し、カスポファンギンは酵母菌および糸状菌の双方に活性を有することから、カスポファンギンのほうがIFDの予防効果が高い可能性が示唆されている。JAMA誌2019年11月5日号掲載の報告。IFDとIAの予防効果を比較する北米の無作為化試験 本研究は、化学療法施行後の好中球減少発症期のAML患者における、カスポファンギンとフルコナゾールによるIFDの予防効果を比較する多施設共同非盲検無作為化試験。2011年4月~2016年11月の期間に、カナダと米国の115施設で患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]の助成による)。 対象は、年齢3ヵ月~30歳、新たに診断された初発(de novo)、再発、2次性のAML、または混合表現型急性白血病など他の診断により、AMLの標準的化学療法が予定されている患者であった。 被験者は、初回化学療法中に、カスポファンギンまたはフルコナゾールを予防投与する群に無作為に割り付けられた。予防投与は、個々のサイクルの全身化学療法施行後24~72時間に開始され、絶対好中球数が最低値から100~500/μLに達するか、または次回の化学療法が開始されるまで行われた。 主要アウトカムは推定診断または確定診断されたIFDとし、盲検下に中央判定が行われた。副次アウトカムは、推定/確定診断された侵襲性アスペルギルス症(IA)、経験的抗真菌薬治療(empirical antifungal therapy)、全生存(OS)であった。 394例(予定登録患者数の72%)に関して、事前に予定されていた2回目の有効性の中間解析と、予定外の無益性解析を行ったところ、無益性が明らかとなったため、2016年11月11日、本試験の患者登録は終了となった。登録済みの患者は、プロトコルに従って試験を完遂した。IFDとIAの予防効果は優れる、経験的治療とOSに差はない 517例(年齢中央値9歳[範囲0~26歳]、女性44%)が登録され、508例(98%、カスポファンギン群253例、フルコナゾール群255例)が試験を完遂した。 23例でIFD(カスポファンギン群6例、フルコナゾール群17例)が認められ、7例が酵母菌、14例が糸状菌であり、2例は特定不能であった。 5ヵ月時の推定/確定診断されたIFDの累積発生率は、カスポファンギン群が3.1%(95%信頼区間[CI]:1.3~7.0)、フルコナゾール群は7.2%(4.4~11.8)であった(p=0.03、log-rank検定)。 また、糸状菌に起因する14例のIFDのうち、8例(57%)が推定/確定診断されたIAであった。5ヵ月時の推定/確定診断されたIAの累積発生率は、カスポファンギン群が0.5%(95%CI:0.1~3.5)、フルコナゾール群は3.1%(1.4~6.9)であった(p=0.046、log-rank検定)。 経験的抗真菌薬治療(カスポファンギン群71.9% vs.フルコナゾール群69.5%、p=0.78、log-rank検定)および2年OS率(68.8% vs.70.8%、p=0.66、log-rank検定)には、両群間に差はみられなかった。 有害事象は、カスポファンギン群が32.8%、フルコナゾール群は38.4%で認められた。最も頻度の高い有害事象は、低カリウム血症(カスポファンギン群22例vs.フルコナゾール群13例)、呼吸器不全(6例vs.9例)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)上昇(4例vs.8例)であった。 著者は、「カスポファンギンは、IFDの予防法とみなされる可能性が示唆されるが、予定外の中間解析で無益性が明らかとなり、試験は早期終了となったため、研究結果の解釈は限定的となる」としている。

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外来診療中のサージカルマスク着用とN95マスク着用の呼吸器感染症予防効果の比較(解説:吉田敦氏)-1139

 インフルエンザウイルスをはじめとする呼吸器ウイルス感染の予防に、外来診療で日常的に着用されるサージカルマスクが、N95マスクとどの程度予防効果が異なるのか、今回ランダム化比較試験が行われた。小児を含む米国7医療機関において、外来診療に当たる医療従事者を小集団(クラスター)に分割、小集団ごとにサージカルマスク、N95マスクのいずれかにランダムに割り付けし、H1N1 pandemicを含む4シーズン以上を観察期間とした。医療従事者には毎日呼吸器症状を含む体調の変化について日記をつけさせ、発症した際には遺伝子検査を行い、さらに無症状であっても遺伝子検査と血清抗体検査を行うことで、不顕性感染の有無まで把握を試みたものである。 結果的に、プライマリーアウトカムであるインフルエンザ(検査確定)罹患率(両群で7~8%)、セカンダリーアウトカムである急性呼吸器症状発症率や呼吸器ウイルス*感染症罹患率に差はなかった。のみならず、マスク着用のアドヒアランスについて「常に」「時に」「まったく着用しない」「思い出せない」と回答した医療従事者は、それぞれ65%、24%、10%、0.4%程度と有意な違いはなかった。*コクサッキー/エコー、コロナ、メタニューモ、ライノ、パラインフルエンザ、RSの各ウイルスを含む。 N95マスクは、飛沫核を形成するウイルスの感染予防に適する一方、密着させる必要性がある。このため呼吸しにくくなり、アドヒアランスの低下が懸念される。一方でサージカルマスクは、より粒子の大きい飛沫による感染や、手から鼻・口への接触による感染を予防すること、ならびに有症者から健常者への伝播予防に重点が置かれる。本検討ではサージカルマスクに比してN95マスクでアドヒアランスが明らかに下がったという結果は得られなかったが、その反面、両者でアドヒアランスは低めで、さらにアドヒアランスに関する回答の内訳(カテゴリーごとの割合)はかなり似通っていた。なおアドヒアランスとインフルエンザ罹患率との関連や、アドヒアランスと不顕性感染の関係、さらには不顕性感染と各ウイルスとの相関については明らかにされなかった。 これまでにもインフルエンザシーズンでのサージカルマスクないしN95マスクの着用が、医療従事者のインフルエンザ罹患に差があるか検討した報告は存在する。Loebらの報告1)は救急外来、内科、小児科病棟勤務者が対象であったが、インフルエンザ罹患率は両群で22%程度と高かったものの、差はなかった。ほかの報告の中にはN95マスクの優位を示すものがあったが、研究自体のエンドポイントの設定に議論があった。実際には、呼吸器ウイルスの流行状況や、患者からのウイルスの排出量、医療従事者との接触の程度、マスク着用率と確実さ、ほかに併用した感染予防策といった要因にも予防効果は影響されているとみてよく、さらに飛沫感染・接触感染が実際にどの程度生じているかにも左右されている。このため複雑な事象をマスクの違いのみで分別して解析することの限界をみているのかもしれない。このことは逆に、実際のさまざまな状況を私たちが想像して、有効な対策を適切に組み合わせて使い、解釈し、柔軟に調整していくことの重要性を示唆していると思われる。報告された内容と現実との間を十分斟酌し、解釈することが、より求められる論文といえよう。

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全国でインフルエンザ流行期入り、昨年より1ヵ月早く

 厚生労働省は15日、全国的なインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表した。前年比で4週間早いシーズン入りで、現在の統計法で調査を始めた1999年以降では2番目に早い。 国立感染症研究所が15日付でまとめた、2019年第45週(11月4~10日)の感染症発生動向調査において、インフルエンザの定点当たり報告数が1.03(定点数:全国約5,000 ヵ所、報告数:5,084)となり、流行開始の目安となる1.00を上回った。 都道府県別では、報告数が多い順に、沖縄県(4.45)、鹿児島県(2.66)、青森県(2.48)、長崎県(2.31)、福岡県(2.03)、北海道(2.00)、熊本県(1.80)、広島県(1.73)、新潟県(1.61)、佐賀県(1.33)、岩手県(1.32)、宮崎県(1.31)、福島県(1.16)、茨城県(1.13)、東京都・神奈川県・静岡県(1.11)、石川県(1.00)。 ウイルスの検出状況をみると、直近5週間(2019年第41~45週)では、AH1pdm09(98%)、AH3亜型(1%)、 B型(1%)の順で、09年に流行した新型インフルエンザと同型が大半を占めている。

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医師300人に聞いた!今季のインフルエンザ診療

 ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。 アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフルエンザ薬の選択について答えていただいた。 主な結果は以下のとおり。・6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している・約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフルエンザ薬をほぼ全例に使用・最も処方頻度が高い抗インフルエンザ薬はオセルタミビル、次いでザナミビル アンケート結果の詳細や自由記述で挙げられた意見などは、以下のページに掲載。今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?https://www.carenet.com/enquete/drsvoice/cg002529_index.html

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ピロリ除菌と栄養サプリメントの胃がん抑制効果:世界最長の経過観察(解説:上村直実氏)-1137

 H. pyloriは幼児期に感染し半永久的に胃粘膜に棲息する細菌であるが、胃粘膜における持続的な感染により慢性活動性胃炎を惹起し、胃がん発症の最大要因であることが明らかとなっている。さらに除菌により胃粘膜の炎症が改善するとともに、胃がんの抑制効果を示すことも世界的にコンセンサスが得られている。しかしながら、実際の臨床現場では除菌後に胃がんが発見されることも多く、除菌による詳細な胃がん抑制効果を検証する試みが継続している。今回、除菌治療のみでなくビタミン補給やニンニク摂取により、胃がん発症および胃がん死の抑制効果を示す介入試験の結果がBMJ誌に発表された。 この報告の最大の特徴は、胃がんの発生を内視鏡的に確認している点と、除菌や食品補給による介入後の観察期間が22.3年間という世界最長である点である。このコホート研究に関する以前の報告1)では14.7年の経過観察で除菌による抑制効果のオッズ比が0.61(95%CI:0.38〜0.96)であったが、今回の22年経過時点でのオッズ比は0.48(95%CI:0.32〜0.71)となり、経過が長くなるにつれて除菌による胃がん抑制効果が増加することを明確に示している点は特記すべきである。さらに、胃がん死亡者が増加するにつれて、介入後22.3年で胃がん死亡率の減少が統計学的に有意になっており、胃がん予防効果はできるだけ早期に除菌を行うほうが効果的であるというスナネズミの実験結果を支持する成績であり、日本で推進されつつある中学生に対するピロリ検診に追い風となる研究結果といえる。さらに、胃粘膜萎縮が進んだ状態でも除菌による胃がんの発生抑制効果を認めたことから、萎縮性胃炎が進行した患者や高齢者に対してもリスクベネフィットを考慮したうえで除菌治療が推奨されるべきと思われた。 一方、ビタミン補助群とニンニク補助群が胃がんの発生率や胃がんによる死亡の抑制効果を示した結果には正直驚いた。胃がんの抑制効果を示すとされる食品が多数報告されているが、実際の診療現場で本気で使用できるものは皆無である。今後、大規模な介入試験により長期間の経過観察が必要と述べられているが実現は困難と思われ、本研究の経過に関する定期的な報告が期待される。一方、使用されたビタミンとニンニクの成分を用いた遺伝子変異などの基礎研究による抑制機序の解明努力も必要であろう。

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市中肺炎に新規経口抗菌薬lefamulinが有効/JAMA

 市中細菌性肺炎(CABP)患者において、lefamulinの5日間経口投与はモキシフロキサシン7日間経口投与に対して、初回投与後96時間での早期臨床効果が非劣性であることが示された。米国・Nabriva TherapeuticsのElizabeth Alexander氏らが、CABPに対するlefamulinの有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間第III相試験「LEAP 2試験」の結果を報告した。標準治療による抗菌薬耐性の拡大と安全性の懸念から、CABP治療の新しい抗菌薬が必要とされている中、lefamulinは、先に行われた第III相試験「LEAP 1試験」において、初回静脈内投与後経口投与への切り替えでモキシフロキサシンに対する非劣性が示されていた。JAMA誌オンライン版2019年9月27日号掲載の報告。lefamulin 5日間投与vs.モキシフロキサシン7日間投与、早期臨床効果を比較 LEAP 2試験は、2016年8月30日~2018年1月2日に19ヵ国99施設にて実施された。対象は、Pneumonia Outcomes Research Team(PORT)リスク分類がクラスII、IIIまたはIVで、X線所見により肺炎が確認され発症後7日以内、CABP症状(呼吸困難、新規咳嗽または咳嗽増加、膿性痰、胸痛)のうち3つ以上がみられ、2つ以上のバイタルサイン異常を有する18歳以上の成人患者738例であった。 対象患者を、lefamulin群(12時間ごとに600mgを5日間、370例)、またはモキシフロキサシン群(24時間ごとに400mgを7日間、368例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、治験薬初回投与後96時間(±24時間)時点の早期臨床効果で、4つのCABP症状のうち2つ以上で改善を認め、CABP症状の悪化がなく、治験薬以外の抗菌薬治療を受けずに生存している場合に有効とした。 副次評価項目は、投与終了時評価(最終投与後5~10日間)における治験担当医師判定による臨床効果である。非劣性マージンは、早期臨床効果および治験担当医師判定による臨床効果に関して10%とした。 解析対象は、主要評価項目が無作為化されたすべての患者(intention-to-treat[ITT]集団)、副次評価項目が修正ITT集団および臨床評価可能集団であった。有効率はどちらも約91%、非劣性を確認 無作為化された738例(平均年齢:57.5歳、女性:351例[47.6%]、PORTリスク分類クラスIII/IV:360例[48.8%])のうち、707例(95.8%)が試験を完遂した。 早期臨床効果の有効率はlefamulin群90.8%、モキシフロキサシン群90.8%であった(群間差:0.1%、片側97.5%信頼区間[CI]:-4.4~∞)。治験担当医師判定による臨床効果は、修正ITT集団での有効率がlefamulin群87.5%、モキシフロキサシン群89.1%(-1.6%、-6.3%~∞)、臨床評価可能集団ではそれぞれ89.7%および93.6%であった(-3.9%、-8.2%~∞)。 治療下で発現した有害事象は、胃腸障害が最も多く報告された。発現率は、下痢がlefamulin群12.2%(45/368例)、モキシフロキサシン群1.1%(4/368例)、悪心がそれぞれ5.2%(19/368例)、1.9%(7/368例)であった。

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今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?

結果概要ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフル薬の選択について答えていただいた。主な結果は、以下のとおり。6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフル薬をほぼ全例に使用最も処方頻度が高い抗インフル薬はオセルタミビル、次いでザナミビル集計結果の詳細と、寄せられたご意見を以下にまとめた。62%の医師が、早期流行を実感している厚生労働省により、例年より早期の流行開始が報告されたが、実臨床ではどう感じているのだろうか。アンケート回答の結果を見ると、62%の医師がインフルエンザの早期流行を「実感している」と答えた。早期流行は、臨床現場の感覚ともおおむね一致していることが示された。迅速診断キットはほぼ全例に使用されるが、「不要」という意見も「外来でのインフルエンザ診断に、どのくらい迅速診断キットを使用しますか」という設問に対しては、「インフルエンザが疑われる患者のほぼ全員に使用する」と答えた医師が78%に上った。次いで、「ほかの重篤疾患との鑑別など、必要性が高い場合のみ使用する」(13%)、「患者から希望があった場合のみ使用する」(7%)、という結果だった。迅速診断キットについて、日本医師会は「検査は必ずしも全例に実施する必要はない」との見解1)を示しているが、現場に広く受け入れられるには時間がかかりそうだ。インフルエンザのほぼ全例に抗インフル薬が処方次に、「抗インフル薬の外来処方についてお聞かせください」という問いに対し、77%の医師が「発症後48時間以内と想定される患者のほとんどに、抗インフル薬を処方する」と答えた。「高リスク患者には抗インフル薬を処方するが、低リスク患者にはなるべく処方しない」は17%、「抗インフル薬は基本的に処方しない」は5%だった。オセルタミビルの次に多いのはザナミビル薬剤選択に関しては、オセルタミビル(商品名:タミフル)が最も多く61%、次いでザナミビル(同:リレンザ)22%、ラニナミビル(同:イナビル)7%、バロキサビル(同:ゾフルーザ)6%、ペラミビル(同:ラピアクタ)1%という回答結果となった。「処方しない」と答えた医師は3%に留まった。2018年に10代への使用制限が解除され、経口投与かつ剤形選択ができるオセルタミビルを第1候補とする医師が多いと考えられる。高リスク患者にはペラミビル、インフル疑い・48時間経過例には麻黄湯かさらに、「前問で選択した薬剤以外の抗インフル薬を処方するのは、どのような場合ですか?」という記述形式の設問に対しては、「年齢(小児・高齢者など)」、「経口/吸入の可否」、「予防投与の場合」、「妊娠の有無」、「患者アドヒアランス」、「アレルギーや副作用などの既往歴」、「患者負担(経済面)」など、患者の希望や状況によって、処方を調整しているという声が多数寄せられた。また、入院症例や重症例などの高リスク群には、ペラミビルを処方するという意見が多かった。このほか、アンケートの選択肢にはなかったが、麻黄湯を積極的に使うという意見も見られた。全身状態が安定している人や理解がしっかりしている人には説明後、麻黄湯を処方することがある。(小児科・40代・岡山県)症状が強い症例には麻黄湯を併用している。周囲の発生状況を確認している。(内科・50代・高知県)偽陰性を疑う場合は麻黄湯を使う。(内科・50代・京都府)48時間以上経過した場合は麻黄湯を選択する。(循環器内科・60代・埼玉県)耐性ウイルスや、全例における薬物治療に対する懸念の声も最後に、日頃のインフルエンザ診療で取り組んでいる工夫や、困っている点について尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられたので、その中から一部を抜粋して紹介する。診療での工夫に関しては、30~40代の医師による意見が目立った。不要な抗インフル薬の処方は減らすよう、心掛けている。(呼吸器内科・30代・大分県)小児症例では危険度が高いと判断し、小児科に受診を勧めている。(内科・40代・大阪府)今年は院内発生があり、感染拡大予防に努めている。(消化器内科・30代・広島県)一方、困っている点に関しては、耐性ウイルスを気にする声が多かった。12歳以下の小児ではザナミビル吸入やオセルタミビルを投与する方針である。(循環器内科・60代・福岡県)耐性ウイルスが疑われ、いったん解熱した患者が再発熱した場合の対応に困る。(消化器内科・50代・愛知県)耐性を気にするが、どちらかというと皆さんが苦しいのを少しでも和らげたいと思うので、効果が出るものを処方したい。(内科・50代・長野県)さらに、抗インフル薬を使用した薬物治療については、疑問の声も挙がった。本当に全症例に抗インフル薬が必要か疑問に思っている。対症療法の方が免疫獲得できていいような気もする。(その他・50代・静岡県)軽症インフルエンザの扱いには疑問を感じることもある。(放射線科・40代・京都府)インフルエンザ診療における情報は、治療薬の選択肢が増えたり、使用上の注意が改訂されたりと、シーズンを問わず更新されている。今年の流行ピークが訪れる前に、最新の情報を確認して、万全の体制で臨みたいところだ。アンケート概要タイトル今シーズンのインフルエンザ診療についてお聞かせください実施日2019年10月28~11月3日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師(有効回答数:325人)【分類詳細】内科系:内科、神経内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、腎臓内科、感染症内科、心療内科、総合診療科外科系:外科、整形外科、消化器外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科その他:小児科、精神科、放射線科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科、麻酔科、救急科、腫瘍科、臨床研修医アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。参考1)インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解今季インフルエンザ治療のポイントとは?東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早くゾフルーザに低感受性の変異株に関する調査結果ゾフルーザに「使用上の注意」の改訂指示

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新規デング熱ワクチンの有効性、小児で確認/NEJM

 開発中の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、デング熱が風土病化している国での症候性デング熱に対して有効であることが確認された。シンガポールにある武田薬品工業ワクチン部門Takeda VaccinesのShibadas Biswal氏らが、デング熱が風土病となっているアジア、中南米で実施中の3つの無作為化試験のpart1データを公表し、NEJM誌オンライン版2019年11月6日号で発表した。蚊を媒介としたウイルス性疾患のデング熱は、世界保健機関(WHO)が2019年における世界の健康に対する10の脅威の1つに挙げている。4価デング熱ワクチンを3ヵ月間隔で2回投与 試験では4~16歳の健康な小児と青少年を年齢および地域で層別化し、無作為に2対1の2群に分けて、一方の群には4価デング熱ワクチンを3ヵ月間隔で2回投与し、もう一方にはプラセボを投与した。 被験者が熱性疾患を発症した際には、血清型特異的RT-PCR法による検査を行い、デング熱をウイルス学的に確認。主要エンドポイントは、あらゆるデングウイルス血清型に起因するウイルス学的に確認されたデング熱の予防についての、全体のワクチン有効性だった。 本論では、主要エンドポイントの解析で120例がウイルス学的デング熱と確認され、また被験者が2回目の接種後12ヵ月間のフォローアップを受けていた時点で終了となったpart1データを分析し発表している。デング熱による入院に対するワクチン有効性は95.4% part1データは、ワクチンまたはプラセボを1回以上接種された2万71例(安全性解析対象)のうち、2回接種を受けた1万9,021例(94.8%)を包含しper-protocol解析を行った。 安全性解析対象における全体のワクチン有効性は80.9%(95%信頼区間[CI]:75.2~85.3)で、デング熱を発症したのはプラセボ群6,687例中199例(2.5件/100人年)に対し、ワクチン群は1万3,380例中78例(0.5件/100人年)だった。 per-protocol解析におけるワクチン有効性は80.2%(同:73.3~85.3)で、ウイルス学的に確認されたデング熱はプラセボ群149例、ワクチン群61例だった。デング熱による入院に対するワクチンの有効性は95.4%(同:88.4~98.2)で、入院発生はプラセボ群53例に対しワクチン群5例だった。 per-protocol集団のうち、ベースライン時に血清学的陰性だった27.7%の被験者を対象に行った事前規定の探索的解析では、ワクチンの有効性は74.9%(95%CI:57.0~85.4)で、ウイルス学的に確認されたデング熱はプラセボ群39例に対し、ワクチン群は20例だった。 有効性は、血清型により異なる傾向がみられた。重篤な有害事象の発生率は、プラセボ群3.8%、ワクチン群3.1%と同程度だった。

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「酸化コレステロール」を含んだ食品は食べないのが一番/日本動脈硬化学会

 メタボリックシンドロームにしばしば合併する脂肪肝だが、実は動脈硬化リスクも伴う。自覚症状に乏しいことから、一般メディアでは“隠れ脂肪肝”などと呼ばれ、患者から質問されることも珍しくない。しかし、脂肪肝だからと言って、ただ“脂モノ”を控えるという対処は正しくないという。 先日、日本動脈硬化学会(理事長:山下 静也)が開催したセミナーにて、動脈硬化と関連の深い「脂肪肝/脂肪肝炎」と「酸化コレステロール」について、2人の専門医が解説した。脂肪肝/脂肪肝炎は、肝硬変・肝がんだけでなく心血管疾患リスクにも はじめに、小関 正博氏(大阪大学大学院 医学系研究科循環器内科)が、脂肪肝の病態とリスクについて講演を行った。アルコールの影響を受けていない脂肪肝は、脂肪が肝臓に蓄積した「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」と、さらに炎症や線維化を伴った「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に分類される。しかし、区別が難しいため、NAFLとNASHの総称として「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」とも呼ばれる。 NASHは、炎症を繰り返すうちに線維化が進み(肝硬変)、肝がんに至るケースもあるとわかってきた。20年ほど前は、「脂肪肝は、がんにならない」と言われていたが、ウイルス性肝炎由来の肝細胞がんが治療法の進歩により減り、相対的に、脂肪肝炎由来のがん症例の増加が浮き彫りになっているという。 小関氏は、「NASHがウイルス性肝炎と決定的に違うのは、虚血性心疾患のリスクを伴う点。米国において、NAFLD患者は肝がんより心血管疾患で死亡する例のほうが多いという報告1)もある。脂肪肝と脂肪肝炎は、今後さまざまな診療科が連携して診療していくべき疾患だ」と強調した。線維化の段階を評価し、NASHが疑われる場合は専門医へ NAFLDは、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病と高率に合併し、国内の有病率は、男性では40~59歳の40%以上、女性では60~69歳の30%以上との報告がある。また、NAFLD患者の生存率は、肝線維化と強く関連することがわかっている。 脂肪肝は、腹部エコーで腎皮質よりも白く映る(肝腎コントラスト陽性)所見により、健診などで発覚し、その後は『NAFLD/NASH診療ガイドライン20142)』のチャートに従って診断される。線維化の段階を評価するためには、FIB-4 index(肝線維化の進行度を非侵襲的に推測するためのスコアリングシステム/日本肝臓学会)や、MR Elastographyを用いた画像化による方法があり、NASHが疑われる場合は、専門医の受診が勧められる。動脈硬化性疾患のリスクに潜む“隠れ脂肪肝”を、今後見過ごすわけにはいかない。酸化コレステロールが「超悪玉コレステロール」のプラーク形成促進 次に、的場 哲哉氏(九州大学病院 循環器内科)が、酸化コレステロールと動脈硬化の関連性について説明した。動脈硬化は、高血圧、脂質異常症、糖尿病などによってダメージを受けた血管壁に、LDLが入り込むことで進行する。 通常、LDLはコレステロールを肝臓から末梢に運んでいるが、生活習慣病の人には、血管壁に入り込みやすい、小型で密度の高いLDL(small dense LDL)が存在するという。これは、“超悪玉コレステロール”とも呼ばれ、近年注目を集めている。このsmall dense LDLが、動脈硬化を強力に誘発すると考えられ、血清脂質値が正常にもかかわらず、動脈硬化を引き起こした例も報告されている。 血管壁に入り込んだLDLは、「酸化」されることで白血球のターゲットとなり、プラークの形成をもたらす。LDLの酸化反応は、身近な食品中にも含まれる「酸化コレステロール」によって促進され、とくに、small dense LDLは酸化しやすい。 つまり、動脈硬化を防ぐためには、酸化コレステロールが多く含まれる食品を避けたほうがよい。例えとして、焼き鳥の皮の部分、インスタントラーメンの麺、マーガリンやマヨネーズの変色した部分、二度揚げされた揚げ物、漬け込み保存された魚卵、加工肉食品、するめやビーフジャーキーなどUV照射を受けた食品などが挙げられた。酸化コレステロールを含んだ食品は食べないのが一番 続いて的場氏は、酸化コレステロールと心血管疾患との関連を裏付ける研究結果を紹介した。経皮的冠動脈インターベンション後の治療薬による効果をスタチン単独とスタチン+エゼチミブでランダム比較した「CuVIC Trial3)」では、冠動脈疾患患者において、血中酸化コレステロール高値が、LDL-コレステロール高値とともに冠動脈内皮機能障害と関連することが明らかになった。この内皮機能障害は、エゼチミブのコレステロール吸収阻害作用によって軽減されることが示された。 酸化コレステロールについてはさまざまな研究が行われているが、まだ解明できていない点も多く、現行のガイドラインには記載されていない。酸化コレステロールをバイオマーカーや治療標的として利用するためには、引き続き研究を重ねる必要がある。 同氏は、「酸化コレステロールを特異的に下げる薬はまだない。まずは酸化コレステロールの摂取を避け、食事療法と運動療法を組み合せた生活習慣の改善が重要」と締めくくった。

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骨パジェット病〔Paget disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義骨パジェット病は、1877年、英国のSir James Pagetが変形性骨炎(osteitis deformans)として初めて詳細に報告した。限局した骨の局所で、異常に亢進した骨吸収と、それに続く過剰な骨形成が生じる結果、骨の微細構造の変化と疼痛を伴い、骨の肥大や弯曲などの変形が徐々に進行し、同時に罹患局所の骨強度が低下する疾患である。1ヵ所(単骨性)の骨が罹患する場合と複数ヵ所(多骨性)の場合がある。■ 疫学発症年齢は大半が40歳以降で、年齢とともに頻度が上昇する。発症頻度に明らかな人種差があり、欧米などは比較的頻度が高い(0.1~5%の有病率)が、アジアやアフリカ地域では、有病率がきわめて低い。わが国の有病率は100万人に2.8人ときわめて低い。わが国の患者の平均年齢は64.7歳で、90%以上が45歳以上であり、55歳以上では有病率が人口10万人あたり0.41人と上昇する。高齢者に多いこの年齢分布様式は欧米と大差がない。家族集積性に関しては日本では6.3%と、ほとんどの骨パジェット病の患者が散発性発症であり、欧米での15~40%程度と比較して少ない。また、多数の無症状例潜在の可能性がある。■ 病因骨パジェット病の病因は不明で、ウイルス説、遺伝子異常が考えられている。1970年代に、破骨細胞核内にウイルスのnucleocapsidに似た封入体が発見され、免疫組織学的にも麻疹、RS (respiratory syncytial)ウイルスの抗原物質が証明され、遅延性ウイルス感染説が考えられたが、明確な結論に至っていない。一方、破骨細胞の誘導や機能促進に関与するいくつかの遺伝子異常が、高齢者発症の通常型、早期発症家族性、またはミオパチーと認知症を伴う症候性の骨パジェット病患者に確認されている。好発罹患部位は体幹部と大腿骨であり、これらで75~80%を占める(骨盤30~75%、脊椎30~74%、頭蓋骨25~65%、大腿骨25~35%)。単骨性と多骨性について、わが国では、ほぼ同程度の頻度である。ほかに、脛骨、肋骨、鎖骨、踵骨、顎骨、手指、上腕骨、前腕骨など、いずれの部位も罹患骨となりうる。この分布は欧米と差はない。■ 症状1)無症状X線検査や血液検査で偶然発見される場合も多い。欧米では無症候性のものが多く、有症状の患者は、多い報告でも約30%程度だが、わが国の調査では75%が有症候性であった。2)疼痛最も多い症状は疼痛であり、罹患骨由来の軽度~中等度の持続的骨痛がみられ、夜間に増強する傾向がある。下肢骨では歩行で増強する傾向がみられる。疼痛部位は腰痛、股関節痛、殿部痛、膝関節痛の順に頻度が高い。3)変形疼痛の次に多い症状は、外観上の骨格変形であり、サイズの増大(例:頭)や弯曲変形(例:大腿骨、亀背)がみられ、頭蓋骨、顎骨、鎖骨など目立つ部位の腫脹、肥大や大腿骨の弯曲をみる。顎骨変形に伴い、噛み合わせ異常や開口障害といった歯科的障害を伴うこともある。4)関節障害・骨折・神経障害関節近傍の変形では、二次性の変形性関節症を生じる。長管骨罹患の場合、凸側ではfissure fractureと呼ばれる長軸に垂直な骨折線が全径に広がり、chalkを折ったような横骨折を起こすことがある。わが国の調査では、大腿骨罹患患者の約2割強に骨折が生じている。これは、欧米の骨折率に比して著しく高い。また、変形に伴い、神経障害(例:頭蓋骨肥厚で脳神経圧迫、圧迫骨折で脊髄圧迫)がみられ、難聴、視力障害や脊柱管狭窄症などがみられることがある。5)循環器症状循環器症状は、病変骨の血流増加や動静脈シャントによる動悸、息切れ、全身倦怠感を来し、広範囲罹患例では高送血性心不全がみられる。■ 予後まれだが、罹患骨で骨肉腫や骨原発悪性線維性組織球腫など悪性腫瘍の発生がある。その頻度は欧米で0.1~5%、わが国の調査では1.8%である。したがって、経過中に罹患部位の疼痛増強を来した場合や血清学的な悪化を来した場合には、常に悪性腫瘍の可能性を考えておく必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)基本的に単純X線像で診断可能な疾患である(図)。X線像は骨吸収と硬化像の混在、骨皮質の粗な肥厚が一般的であるが、初期病変の骨吸収の著明な亢進があり、まだ骨形成が生じていない時期には、長管骨ではV字状骨吸収(割れたガラス片先端のような骨透過像)と、頭蓋骨ではosteoporosis circumscripta (境界明瞭なパッチ状の吸収像)が特徴的である。その後、骨梁の粗造化と呼ばれる、大きく太い海綿骨の出現や皮質骨の肥厚、骨硬化像がみられ、骨吸収像の部位と混在して存在するようになり、骨の横径や前後径が増加し骨輪郭が拡大する。頭蓋骨では斑点状の骨硬化像と骨吸収像の混在がみられ、綿帽子状(cotton wool appearance)を呈する。これらの多くの変化の中で、診断上、役立つのは骨吸収像ではなく、旺盛な骨形成による骨幅の拡大という形態上の変化であり、特徴的な所見である。骨シンチグラフィーは、病変部に病勢を反映する強い集積像を示す。画像により鑑別すべき疾患は、前立腺がん、乳がんの骨転移や骨硬化をもたらす骨系統疾患である。生化学的には血清アルカリフォスファターゼ(ALP)値とオステオカルシン上昇(骨新生)、尿中ヒドロキシプロリン(HP)値の上昇(骨吸収)が疾患の分布と活動性によりみられる(活動度は尿中HP値が血清ALP値より敏感)。また、骨形成指標の骨型ALP (BAP)と骨吸収マーカーの尿中N-telopeptide of human type collagen (NTX)、C-telopeptide of human type I collagen (CTX)、デオキシピリジノリン(DPD)値は高値を示す。病変が小さい場合は、ALP値が正常範囲のこともあり、わが国の調査で10.4%、欧米でも15%の患者がALP正常である。病理組織像では、多数の破骨細胞による骨吸収と、骨芽細胞の増生による骨形成が混在し、骨梁は層板が不規則になりcement lineを無秩序に形成し、モザイクパターンを示す。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療は疼痛や、破骨細胞を標的とした薬物療法、変形に対する装具療法、変形や骨折に対する手術療法が考えられる。■ 薬物療法疼痛には消炎鎮痛薬を使用する。最初の病態は破骨細胞による骨吸収亢進であり、破骨細胞の機能を抑制する、カルシトニン、ビスホスホネートなどの薬剤があるが、カルシトニンを第1選択に使用することはない。ビスホスホネートは日本では第一世代のエチドロン酸ナトリウム(商品名:ダイドロネル)の使用が認められ、最初に広く用いた治療薬だが、現在、第1選択薬に使用することはない。欧米では第二、第三世代のビスホスホネート製剤を主に治療に使用している。わが国では2008年7月に、リセドロン酸ナトリウム(同:ベネットなど) 17.5mg/日の56日連続投与が認可され、ようやく骨パジェット病患者の十分な治療ができるようになったが、現在、保険適用されている第二世代以降のビスホスホネート製剤は、リセドロン酸ナトリウムのみであり、他のビスホスホネートは適用されていない。しかし、リセドロン酸ナトリウムに対して低反応性の症例に、他のビスホスホネートで奏効した報告や、抗RANKL抗体のデノスマブ(同:ランマーク)の方がビスホスホネートより優れている報告もあり、抗RANKL抗体ではないがRANKL-RANK経路を抑制するosteoprotegerin(OPG)のrecombinant体を若年性多骨性の骨パジェット病に投与した報告もある。■ 手術療法長管骨の骨折、二次性変形性関節症、脊柱管狭窄症などに手術を行うこともある。4 今後の展望骨パジェット病のほか、骨粗鬆症やがんの骨転移にも破骨細胞が関与している。これらの疾患では、破骨細胞の活動が亢進しており、それによって、それぞれの疾患がつくり上げられている。現在、破骨細胞の活動を抑制する薬剤には、ビスホスホネートと抗RANKL抗体であるデノスマブ(商品名:ランマーク※)、抗RANKL抗体ではないが、RANKL-RANK経路を抑制するosteoprotegerin(OPG)などがあり、これら薬剤の骨パジェット病に対する有効例の報告がある。今後、治療法の選択肢を増やす意味でも治験の実施、保険の適応などに期待したい。※ 骨パジェット病には未承認5 主たる診療科整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 骨パジェット病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)橋本淳ほか. Osteoporosis Japan. 2007;15:241-245.2)高田信二郎ほか. Osteoporosis Japan. 2007;15:246-249.3)Takata S, et al. J Bone Miner Metab. 2006;24: 359-367.4)平尾眞. CLINICAL CALCIUM. 2011;21:1231-1238.公開履歴初回2013年02月28日更新2019年11月12日

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経口の糞便移植で死亡例、その原因は?/NEJM

 糞便微生物移植(FMT)の臨床試験に参加した被験者で、死亡1例を含む4例のグラム陰性菌血症が発生していたことが明らかにされた。米国・ハーバード大学医学大学院のZachariah DeFilipp氏らによる報告で、そのうち術後にESBL産生大腸菌(Escherichia coli)血症を発症した2例(1例は死亡)は、別々の臨床試験に参加していた被験者であったが、ゲノムシークエンスで同一ドナーのFMTカプセルが使用されていたことが判明したという。著者は、「有害感染症イベントを招く微生物伝播を限定するためにもドナースクリーニングを強化するとともに、異なる患者集団でのFMTのベネフィットとリスクを明らかにするための警戒を怠らない重要性が示された」と述べている。FMTは、再発性/難知性クロストリジウム・ディフィシル感染症の新たな治療法で、その有効性・安全性は無作為化試験で支持されている。他の病態への研究が活発に行われており、ClinicalTrials.govを検索すると300超の評価試験がリストアップされるという。NEJM誌オンライン版2019年10月30日号掲載の報告。使用されていたのは検査強化前の冷凍FMTカプセル 研究グループは、術後にESBL産生大腸菌血症を発症した2例(1例は死亡)について詳細な調査報告を行った。 まずドナースクリーニングと、カプセル製剤手順を検証したところ、ドナースクリーニングは施設内レビューボードと米国食品医薬品局(FDA)による承認の下で行われており、集められたドナー便はブレンダーでの液化や遠心分離などの処置を経て懸濁化され、熱処理などを受けて製剤化が行われていた。ただし、2019年1月にFDAの規制レビューを受けてドナースクリーニングを強化していたが、件の2例に使用されたFMTカプセルは2018年11月に製造されたものであったという。この時に強化された内容は、ESBL産生菌、ノロウイルス、アデノウイルス、ヒトTリンパ親和性ウイルス タイプ1およびタイプ2抗体を検査するというものであった。規制レビューを受けた後も、それ以前に製剤化・冷凍保存されていたFMTカプセルについて、追加の検査や廃棄はせず試験に使用されていた。FMT前の被験者の便検体からはESBL産生菌は未検出 患者(1)は、C型肝炎ウイルス感染症による肝硬変の69歳男性で、難治性肝性脳症の経口カプセルFMT治療に関する非盲検試験に参加した被験者であった。2019年3月~4月に、15個のFMTカプセルを3週間に5回にわたって移植。術後17日(2019年5月)までは有害事象は認められなかったが、発熱(38.9度)と咳を呈し、胸部X線で肺浸潤を認めレボフロキサシンによる肺炎治療が行われた。しかし、臨床的改善が認められず2日後に再受診。患者(1)は、その際に前回受診時での採血の血液培養の結果でグラム陰性桿菌が確認されたことを指摘され、ピペラシリン・タゾバクタムによる治療を開始し入院した。培養されたグラム陰性桿菌を調べた結果、ESBL産生大腸菌であると同定された。患者(1)の治療はその後カルバペネムに切り替えられ、さらに14日間のメロペネム投与(入院治療)、さらにertapenem投与(外来治療)を完了後、臨床的安定性を維持している。フォローアップ便検体のスクリーニングでは、ESBL産生菌は検出されなかった。 患者(2)は、骨髄異形成症候群の73歳男性で、同種異系造血幹細胞移植の前後に経口カプセルFMTを行う第II相試験に参加していた。15個のFMTカプセルを、造血幹細胞移植の4日前と3日前に移植。造血幹細胞移植の前日に、グラム陰性菌血症リスクを最小化するためのセフポドキシム予防投与を開始した。しかし、造血幹細胞移植後5日目(最終FMT後8日目)に発熱(39.7度)、悪寒、精神症状の異変を呈した。血液培養の採血後、ただちに発熱性好中球減少症のためのセフェピム治療を開始したが、その晩にICU入室、人工呼吸器装着となる。予備血液培養の結果、グラム陰性桿菌の存在が示され、メロペネムなど広域抗菌薬を投与するが、患者の状態はさらに悪化し、2日後に重篤な敗血症で死亡した。最終血液培養の結果、ESBL産生大腸菌が検出された。 なお患者(1)(2)とも、FMT前の便検体からESBL産生菌は検出されなかったという。

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新たな結核ワクチン、投与36ヵ月後の有効性は?/NEJM

 結核菌(M. tuberculosis)に感染した成人において、M72/AS01Eワクチン接種は免疫応答を誘導し、少なくとも3年間は肺結核の発症を予防することが認められた。米国・国際エイズワクチン推進構想のDereck R. Tait氏らが、結核菌に対するM72/AS01Eワクチンの有効性、安全性および免疫原性を検討したプラセボ対照第IIb相臨床試験の3年間の最終解析結果を報告した。初期解析の結果では、M72/AS01Eワクチンは結核菌に感染した成人において安全性に懸念はなく、活動性肺結核の発症を54%防ぐことが示されていた。NEJM誌オンライン版2019年10月29日号掲載の報告。結核菌潜伏感染成人を対象にM72/AS01Eの有効性をプラセボと比較 研究グループは2014年8月~2015年11月の期間に、ケニア、南アフリカ共和国、ジンバブエの医療施設において、結核菌に感染(インターフェロンγ遊離試験で陽性)しているが活動性結核症の徴候がない18~50歳の成人を登録し、M72/AS01E群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1ヵ月間隔で2回投与し、2回目の投与後3年間追跡した。 主要評価項目は、M72/AS01Eの有効性で、第一定義(ヒト免疫不全ウイルスと関連がない細菌学的に確認された肺結核症)による活動性肺結核症の予防で評価した。臨床的に結核が疑われた場合は、喀痰を用いたPCRまたはマイコバクテリア培養、あるいはその両方の検査で確認し、体液性および細胞性免疫反応は300例のサブグループにおいて36ヵ月まで評価した。安全性の解析は、M72/AS01Eまたはプラセボを少なくとも1回投与されたすべての被験者を対象とした。36ヵ月時点のワクチンの有効性は49.7% 計3,575例が無作為化され、そのうち3,573例が少なくとも1回のM72/AS01Eまたはプラセボの投与を受け、3,330例が計画された2回の投与を受けた。 according-to-protocol解析(有効性解析対象集団3,289例)の結果、M72/AS01E群では1,626例中13例、プラセボ群では1,663例中26例で、第一定義に合致した結核の発症を認めた(発症率0.3/100人年vs.0.6/100人年)。36ヵ月時点におけるワクチンの有効性は、49.7%であった(90%信頼区間[CI]:12.1~71.2、95%CI:2.1~74.2)。 M72/AS01E群では、M72特異的抗体の濃度とM72特異的CD4陽性T細胞の発現頻度が、初回投与後に増加し、追跡期間を通して維持された。重篤な有害事象、免疫の関与が疑われる疾患および死亡の発生頻度は、両群で同程度であった。 著者は「さまざまな地域、人種、年齢層で、インターフェロンγ遊離試験陰性例を組み込んだより大規模で長期的な試験で検証する必要がある」とまとめている。

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ストレス関連障害、重症感染症発症と関連/BMJ

 ストレス関連障害は、その後の命に関わる感染症のリスクと関連することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによるスウェーデンの住民を対象とした同胞・適合対照コホート研究で明らかにされた。関連性は家族的背景や身体的・精神的並存疾患を調整後に確認されている。精神的ストレスは、免疫力を低下し感染症への罹病性を増す可能性があり、ヒトおよびその他の動物における一連の実験的研究で、精神的ストレスと急性呼吸器感染症との関連性が示唆されている。しかしながら、髄膜炎や敗血症のような命に関わる重症感染症との関連についてはデータが限定的であった。BMJ誌2019年10月23日号掲載の報告。敗血症、心内膜炎、髄膜炎など死亡率が高い感染症のリスクを検証 検討はスウェーデン住民を対象に、1987~2013年にストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、その他のストレス反応)を有した14万4,919例を特定し、ストレス関連障害と診断されていない同胞18万4,612例および一般住民からの適合対照144万9,190例と比較した。 主要評価項目は、高死亡率の重症感染症(敗血症、心内膜炎、髄膜炎またはその他の中枢神経系感染症など)であった初発入院または外来受診の1次診断(Swedish National Patient Registerで確認)、およびそれらの感染症またはあらゆる原因の感染症による死亡(Cause of Death Registerで確認)とした。 複合交絡因子について調整後、Coxモデルを用いてこれら命に関わる感染症のハザード比を推算した。発生増大リスクは同胞ベース解析で1.47倍、住民ベース解析で1.58倍 ストレス関連障害診断時の平均年齢は37歳(5万5,541例、男性38.3%)であった。 平均追跡期間8年の間に、命に関わる感染症の発生(1,000人当たり)は、ストレス関連障害群2.9、同診断のない同胞群1.7、同診断のない適合対照群1.3であった。 同診断のない同胞群と比較して、ストレス関連障害群は命に関わる感染症リスクの増大が認められた。ハザード比は、あらゆるストレス関連障害については1.47(95%信頼区間[CI]:1.37~1.58)、PTSDは1.92(1.46~2.52)であった。 同様の増大リスクは、住民ベースの適合対照との比較でも認められた。ハザード比は、あらゆるストレス関連障害については1.58(95%CI:1.51~1.65、同胞ベース解析における増大リスクとの差に関するp=0.09)、PTSDは1.95(1.66~2.28、p=0.92)。 ストレス関連障害は、検証したすべての重症感染症と関連していた。最も相対リスクが高かったのは髄膜炎(同胞ベース解析で1.63[95%CI:1.23~2.16])、次いで心内膜炎(1.57[1.08~2.30])であった。また、「ストレス関連障害診断時の年齢が若い」および「精神科合併障害の併存」、とくに「薬物使用障害」においてハザード比が高かった。一方で、ストレス関連障害の診断後最初の年にSSRI薬を使用していた場合は、ハザード比が減弱されていた。

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今季インフルエンザ治療のポイントとは?

 今季インフルエンザは沖縄県での発生を皮切りに早くも流行が始まっているが、今年はどのような対策を講じればよいのだろうか? 2019年10月23日、塩野義製薬株式会社主催のメディアセミナー「インフルエンザの疫学と臨床」が開催。池松 秀之氏(日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 リサーチディレクター)がインフルエンザ疫学や薬剤耐性の現況について報告した。今年の流行時期とインフルエンザ型は? 人間に影響を及ぼすインフルエンザウイルスにはA型(亜型としてH1N1[ソ連型]、H1N1pdm、H3N2[香港型]など)とB型がある。そのうちどちらが流行するかで流行時期は毎年異なるのだが、基本的には1月下旬~2月上旬にA型が、それに遅れてB型がピークを迎える。池松氏は各年度でのインフルエンザの流行型・亜型の内訳を提示し過去の動向について解説。2008~09年はインフルエンザのH275Y変異株H1N1(ソ連型)が大流行したものの翌年には消失。新型インフルエンザと呼ばれたH1N1pdm09が出現し、 以降はH1N1pdm09とH3N2が交互に、同様にA型とB型も交互に流行した。この状況を踏まえ、流行の予測は困難であるが、これまでの流行を参照にすると「今年は2010~11年、もしくは2012~13年のようにB型が流行、A型はH1N1が多く発生するのではないか」と述べ、「今年は例年より流行が早く、ピークが年明けになるかどうかはわからない。気温や気候による研究もたくさん実施されているが、それらは明確な予測指標に至っていない」と語った。ウイルス残存率や耐性株からみる今年の注意点とは 昨年はバロキサビルの発売年だったこともあり、多くの医師がバロキサビルを処方したことで耐性株出現などの研究報告が世間を賑わせた。このことから、今年はバロキサビル耐性株に対する治療薬選択への懸念が広がっているが、同氏の所属するインフルエンザ研究班が2018~19年に実施した臨床現場における成人での発熱や症状の改善やウイルスの残存率に関する調査によると、バロキサビルでは治験時と同様の成績(バロキサビルとオセルタミビルでは前者のほうが早くウイルスが消失した)が得られたという。これより同氏は、「治験成績が臨床現場と相違なかったことから、われわれはバロキサビルの治験時データは信頼できると考えている」と述べた。加えて、5種類のインフルエンザ治療薬での平均解熱時間に差がなかったことから、「成人の場合、どの薬剤を選択するかは各医師の患者に適切と思われる薬剤の選択で良い」と、研究班の見解を示した。また、日本感染症学会の提言で話題となった12歳未満への投与については「バロキサビルを絶対使ってはいけないと制限するものではないと受け取っている」とコメントした。 第III相無作為化プラセボ対照予防投与試験であるBLOCKSTONE試験の結果によると、プラセボ群(バロキサビル以外の治療群、n=375)で2例の同居家族がアミノ酸変異(I38変異)を認めた。しかし、この同居家族はその後インフルエンザを発症し、バロキサビルを服用したためI38変異が検出されたという。学会が提言した“慎重投与”が意味することとは? 過去に研究班の症例でもオセルタミビル治療後の成人にて感受性低下ウイルスが分離された例があったが、この時、重症化や周囲への蔓延はなかったという。これを踏まえ、「今後、バロキサビル耐性ウイルスが“治療前”にどれだけ広がるか、バロキサビルの治療にどれくらい影響があるのかは、注意深く見ていく必要がある」と述べ、「成人での感染実験や症状の程度とウイルス量の関係性をみた試験の結果1)、2)を参考に、ウイルス量を早く減らすことで重症化を防げるならば、(ウイルス量を早く消失させることができる)バロキサビルの価値が見いだせるのではないか」とも語った。 耐性に関しては、「小児ばかりがクローズアップされているが、高齢者でも変異ウイルスが一定の頻度で出ているので、高齢者に対しても今後注意を払っていく必要がある」と述べ、「これまではバロキサビル服用後の患者の変異株検出が取り上げられていたが、これは驚くことではない。今年、国立感染症研究所によって未投与患者における耐性株の検出が報告された。耐性株がどの程度伝播していくのかなど、臨床的影響に対して不明点が多いので非常にインパクトがある」とコメントした。さらに「インフルエンザウイルスが免疫機構を免れる新たな手段を手に入れる気配を見せるならば十分注意が必要」と注意点を示した。 最後に同氏は「作用機序やこれまでの試験から推察するに、鳥インフルエンザなどを含め受診が遅れた重症患者のウイルス量低下においてバロキサビルは貢献できるかもしれない」と、締めくくった。 なお、塩野義製薬株式会社によると、今年の9月末までに得られた検体におけるサーベイランススタディは日本小児感染症学会、日本ウイルス学会の両学術集会にて報告された。(11月7日 記事内容を一部修正いたしました)

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日本の進行胃がんに対するニボルマブのリアルワールドでの成績(JACCRO GC-08: DELIVER)/ESMO2019

 第III相ATRRACTION-2試験において、ニボルマブは3次治療以降の胃がんに対する有効性を示しているが、PS不良例、腹膜播種例などが含まれるリアルワールドでのデータはない。聖マリアンナ医科大学の砂川 優氏らは、リアルワールドでの進行胃がんに対するニボルマブの効果と安全性、そして腸内マイクロバイオームを含む宿主免疫バイオマーカーを検証した前向き観察研究JACCRO GC-08(DELIVER)の中間成績を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告した。 JACCRO GC-08試験は、組織学的に腺がんであることが確認されたPS 0~2の食道胃接合部がんを含む切除不能な進行胃がんでニボルマブでの単剤治療を行う症例を対象とし、治療前後での便や血液を採取し、腸内細菌種・ゲノム情報、遺伝子多型、遺伝子発現、メタボロームを測定し、ニボルマブの有効性・安全性の予測因子を探索・検証する研究。 試験は2018年3月から開始され、目標症例数は500例。当初の200例で、予測因子を探索し、そこで得られた予測因子候補を300例で検証する計画。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は全奏効率(ORR)、病態制御率(DCR)、腫瘍縮小率、腫瘍増大率(TGR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性、バイオマーカー解析。今回発表されたのは前半200症例の患者背景と臨床結果。 主な結果は以下のとおり。・解析可能症例は198例、年齢中央値は70歳、男性が75%であった。・PSは0が47%、1が39%、2が14%であり、腹膜転移は45%にみられた。・腫瘍径が測定可能だった124例でのORRは5.6%(95%信頼区間[CI]:2.3~11.3)、DCRは33.1%(95%CI:24.9~42.1)であった。・投与開始1ヵ月間のTGRが測定できた105例では、58.4%でニボルマブ投与開始後にTGRの減少が認められたが、24.8%では投与開始前と比較してTGRが2倍以上になる高度進行と判定された。・PS別のDCRはPS 0が38%、PS 1が35%、PS 2が22%であった。・DCRは印環細胞がん、腹膜播種性転移、腹水の因子を持つ症例で低率だった。・HER2発現状況あるいは好中球/リンパ球比でDCRに差は認めなかった。

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日本で広域抗菌薬が適正使用されていない領域は?

 抗菌薬の使用量は薬剤耐性と相関し、複数の細菌に作用する広域抗菌薬ほど薬剤耐性菌の発生に寄与する。日本の抗菌薬使用量は他国と比べ多くはないが、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドといった経口の広域抗菌薬の使用量が多い。AMR臨床リファレンスセンターは9月24日、11月の「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」を前にメディアセミナーを開催。日馬 由貴氏(AMR臨床リファレンスセンター 薬剤疫学室室長)、具 芳明氏(同 情報・教育支援室室長)らにより、最新の使用量データや市民の意識調査結果が報告された。2020年までに“経口の広域抗菌薬半減”が目標 国主導の「AMR対策アクションプラン」は、2013年比で2020年までに(1)全体で抗菌薬を33%減少、(2)経口の広域抗菌薬を半減、(3)静注薬を20%減少、を目標として掲げている1)。実際の使用量データをみると、人口千人当たりの1日抗菌薬使用量は、2013年と比較して2018年で10.6%減少している。このうち、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドはそれぞれ17~18%ほど減少がみられる。 一方で、内服用抗菌薬と静注用抗菌薬に分けてみると、この減少は内服用抗菌薬によるもので、静注用抗菌薬の使用量は全く減っていない。日馬氏は、「全体として目標達成にはさらなる努力が必要だが、とくに静注用抗菌薬の使用削減については今後の課題」とし、その多くが高齢者で使用されていることを含め、効果的な介入方法を探っていきたいと話した。本来不要なはずの処方にかかる費用の推計値は年10億円超 非細菌性急性上気道炎、いわゆるかぜには本来抗菌薬は不要なはずだが、徐々に減少しているものの、2017年のデータでまだ約3割の患者に処方されている。セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドがその大部分を占め、費用に換算すると年10億円を超えると推定される2)。非細菌性急性上気道炎への抗菌薬処方率を患者の年齢別にみると、19~29歳で43.26%と最も高く、次いで30~39歳が42.47%であった。日馬氏はまだ推測の域を出ないとしたうえで、「就労世代でとくに使われがちということは、仕事を休めないなどの事情から患者側からの求めがあるのかもしれない」と話した。 もう1領域、課題として挙げられたのが急性膀胱炎に対する抗菌薬使用だ。2016年のデータで、急性膀胱炎に対する抗菌薬処方はフルオロキノロンが52.4%と最も多く、第3世代セファロスポリンが38.9%と、広域抗菌薬がほとんどを占める2)。実際、日本のガイドラインではフルオロキノロンが第1選択になっている。しかし、欧米ではST合剤などが第1選択で、フルオロキノロンは耐性への懸念から第1選択薬としては推奨されていない。同氏は、「使用期間は長くないものの患者数が多いため、広域抗菌薬全体の使用量に対する寄与が大きい」とし、「必ずしも欧米との単純比較ができるものではないが、日本でも広域抗菌薬から狭域抗菌薬にスイッチしていく何らかの方策が必要ではないか」と話した。薬剤耐性=体質の変化? 患者との認識ギャップを埋めるために AMR臨床リファレンスセンターでは、毎年市民を対象とした抗菌薬に関する意識調査を行っている。2019年はEU諸国でのデータとの比較などが行われ、具氏が最新の調査結果を解説した。「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果がある」という項目に対して「あてはまらない」と正しく回答した人は35.1%、「あてはまる」と誤った認識を持っている人が45.6%に上った。EU28ヵ国で同様の質問をした結果は正しい回答が66.0%となっており、日本では誤った認識を持つ人が多いことが明らかとなった。 「今後かぜで医療機関を受診した場合にどんな薬を処方してほしいですか?」という問いに対しては、31.7%の人が「抗菌薬・抗生物質」と回答。「だるくて鼻水、咳、のどの痛みがあり、熱は37℃、あなたは学校や職場を休みますか?」という問いには、24.4%が「休まない」、38.5%が「休みたいが休めない」と答えており、働き方改革が導入されたとはいえ、休みたくても休めない実情が明らかになっている。 また、薬剤耐性という言葉の認知度について聞いた質問では、50.4%が「薬剤耐性、薬剤耐性菌という言葉を聞いたことがない」と回答している。「薬剤耐性とは病気になる人の体質が変化して抗菌薬・抗生物質が効きにくくなることである」という誤った回答をした人も44.3%存在した。具氏は、AMR臨床リファレンスセンターのホームぺージ上で患者説明用リーフレットの公開がはじまったことを紹介。「抗菌薬は必要ないと判断した急性気道感染症の患者に、医師が診察室で説明に用いることを想定したリーフレットなどを公開しているので活用してほしい」と話して講演を締めくくった。

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低リスク妊娠、第3期のルーチン超音波は有益か?/BMJ

 低リスク単胎妊娠において、妊娠第3期に超音波検査をルーチンに行うことは通常ケアと比較して、出産前の在胎不当過小(SGA)胎児の検出率を高めるが、重度有害周産期アウトカムの発生減少には結びつかないことが明らかにされた。オランダ・アムステルダム大学医療センターのJens Henrichs氏らが、1万3,046例の妊婦を対象に行った無作為化比較試験の結果で、著者は「妊娠第3期に超音波検査をルーチンに行うことを支持しない結果であった」とまとめている。BMJ誌2019年10月15日号掲載の報告。妊娠28~30週、34~36週に超音波検査を提供し通常ケアと比較 研究グループは2015年2月1日~2016年2月29日にかけて、オランダ国内の助産施設60ヵ所を通じて登録した、16歳以上の低リスク単胎妊娠の妊婦を対象に無作為化比較試験を行った。 施設では通常のケアとして、定期的な子宮底長測定と、臨床的に必要な超音波検査を行った。試験開始3、7、10ヵ月の各時点で、被験者の3分の1をコントロール群から介入群に割り付け、介入群に対しては、通常ケアに加え、妊娠28~30週、34~36週に2回のルーチン超音波検査を提供した。両群に対して同様の多専門的アプローチを行い、胎児発育の特定とケアを行った。 主要アウトカムは、複合重度有害周産期アウトカム(周産期死亡、Apgarスコア4未満、意識障害、仮死、てんかん発作、補助呼吸、敗血症、髄膜炎、気管支肺異形成症、脳室内出血、脳室周囲白質軟化症、壊死性腸炎と規定)だった。副次アウトカムは、母体の重篤な病的状態、自然分娩・出生だった。重度有害周産期アウトカム発生、介入群32%、コントロール群19% 試験には1万3,520例(平均妊娠22.8週)が登録され、解析には、オランダ全国周産期レジストリまたは病院記録のデータがある1万3,046例(介入群7,067例、コントロール群5,979例)が包含された。 SGA胎児の検出率は、コントロール群19%(78/407例)に対し、介入群は32%(179/556例)と有意に高率だった(p<0.001)。 一方で、主要アウトカム発生率は、介入群1.7%(118例)、コントロール群1.8%(106例)だった。交絡因子を補正後、両群には有意差は認められなかった(オッズ比[OR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.70~1.20)。 なお、介入群ではコントロール群に比べ、誘発分娩の発生率が高く(OR:1.16、95%CI:1.04~1.30)、陣痛促進の発生率は低かった(0.78、0.71~0.85)。母体のアウトカムとその他の産科学的介入について有意な差はなかった。

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