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新型コロナウイルス、感染患者の臨床的特徴とは?/Lancet

 中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が、急速に拡大している。中国・金銀潭医院のChaolin Huang氏らは、2020年1月2日までに新型コロナウイルスの感染が確認された入院患者について、現段階で判明している疫学的特徴と臨床転帰について前向きに調査、分析した。Lancet誌オンライン版1月24日号掲載の報告。 調査対象は、新型コロナウイルス感染が疑われ、武漢市内の指定病院に入院した患者のうち、RT-PCR法および次世代シーケンシングによって同症と特定された41例で、国際重症急性呼吸器・新興感染症協会(ISARIC)のデータを基に分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・41例中30例(73%)が男性であった。・年齢の中央値は49.0歳(四分位範囲:41.0~58.0)。・13例(32%)が何らかの基礎疾患を有していた(糖尿病:8例、高血圧:6例、心血管疾患:6例)。・27例(66%)が海鮮市場(華南海鮮城)に何らかの直接的関係があった。・最初に特定された症例の発症日は2019年12月1日で、当該例ではほかの家族に発熱や呼吸器症状は見られなかったが、その後1例の家族クラスターが判明している。・発症時の一般的症状は、発熱(98%)、咳(76%)および筋肉痛または疲労(44%)で、喀痰や頭痛、喀血および下痢などもわずかに見られた。・全症例で肺炎があり、胸部CTで異常な所見が認められ、98%で両側性病変を有していた。・40例中22例(55%)で呼吸困難が見られ、発症から呼吸困難までの期間の中央値は8.0日(四分位範囲:5.0~13.0)。・合併症として、急性呼吸促迫症候群(29%)、RNAaemia(15%)、急性心障害(12%)、2次感染(10%)などが見られた。・32%がICUに入り、15%が死亡した。 著者らは、本研究以降も感染者および死亡者数が急速に増加していることを踏まえ、「今回の新型コロナウイルスが効率的なヒト-ヒト感染能力を獲得したのではないかと懸念している」とし、「パンデミックの可能性があるため、今後の宿主適応、ウイルスの進化、感染性、伝染性および病原性を注意深く監視しなければならない」と述べている。

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国内2例目の新型肺炎感染確認、厚労省が積極的疫学調査実施へ

 中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が急速に広がっている問題で、厚生労働省は24日、日本国内で2例目となる新型コロナウイルスに関連した感染症の症例が確認されたことを発表した。患者は武漢市から渡航した40代男性で、今月19日に来日。22日に発熱、咽頭痛があったため医療機関を受診したところ、肺炎像を認め、東京都内の医療機関に入院。国立感染症研究所が調べたところ、今日未明に新型肺炎の感染が確認された。 新型肺炎を巡っては、これまでに少なくとも18人が死亡、感染者は中国本土だけでも600人超が確認されている。厚労省は、23日付で「新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)」を発布。感染研が新型コロナウイルスの病原体検出のためのPCR用プライマーを作成して地方衛生研究所へ送り、医療機関に検査協力を呼び掛けるなど、積極的疫学調査に乗り出した。 一方、WHO(世界保健機関)は、日本時間の24日未明に緊急委員会を開いて協議した結果、現段階では「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)」には該当しないと発表している。 中国は今日から春節で、30日まで1週間の大型連休に入る。日本国内はもとより、近隣のアジア諸国や米国でも新型肺炎の感染者が確認されている中、人の移動が増えることでさらに感染が拡大する恐れもある。 旅行者が不調を訴え受診した際には、武漢市への渡航歴や、「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触歴を聴取するなど、慎重に疑い例のスクリーニングを実施し、確定例および疑い例に対しては万全の感染対策を講じていただきたい。また、厚労省のウェブサイトでも特設ページで医療機関向けの情報が随時更新されている。

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新型コロナウイルスに関連する患者への対応について/厚生労働省

 中国・湖北省武漢市当局は1月20日現在、新型コロナウイルスの感染者が136人増えて198人となり、3例の死亡が確認されたことを発表している。 一方わが国でも、神奈川県内の医療機関を受診した武漢市の滞在歴がある肺炎患者において、国内で初めて新型コロナウイルス陽性の結果が確認された。厚生労働省が発表している患者の情報は以下のとおり。■患者概要・年代:30代・性別:男性・居住都道府県:神奈川県・症状:1月3日から発熱あり。6日に帰国し、同日に医療機関を受診。10日から入院。15日に症状が軽快し、退院。・滞在国:中華人民共和国(湖北省武漢市)・滞在国での行動歴:本人からの報告によれば、「武漢市の海鮮市場(華南海鮮城)には立ち寄っていない」とのこと。ただし中国において、詳細不明の肺炎患者と濃厚接触の可能性がある。■疑い患者に関しても、保健所へ相談など慎重な対応を 日本医師会に向けて、厚生労働省健康局結核感染症課から「新型コロナウイルスに関連した肺炎患者の発生に係る注意喚起について」(令和2年1月17日 事務連絡)が発出されている。 新型コロナウイルスに関連した肺炎の疑いがある患者への対応に当たっては、「中国湖北省武漢市で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策」を参考に、画像検査などで肺炎と診断された場合には、「疑似症サーベイランスの運用ガイダンス(第三版)」における「重症」の定義に合致しない場合でも、同サーベイランスの運用について保健所へ相談するよう呼び掛けている。

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HPVワクチンの接種推進の取り組み

 11月30日・12月1日に開催された「第23回 日本ワクチン学会学術集会」(会長:多屋馨子〔国立感染症研究所〕)では、「サーベイランスから対策へ 有効性と安全性の両輪で考えるワクチン元年」をテーマに、臨床、疫学、製造開発、行政関係などから参加者が一堂に会して開催された。 同集会では、インフルエンザやMRワクチンはもちろん、来年10月より定期接種化される予定のロタワクチンなどに関する発表も行われた。 本稿では、2013年より積極的接種勧奨が差し控えられているHPVワクチンについて取り上げる。HPVワクチン接種のコツは丁寧な情報提供 HPVワクチンは、将来発生する子宮頸がんの予防として接種が行われるワクチンである。子宮頸がんは、予防接種で防げる病気(Vaccine Preventable Diseases:VPD)として先進国では広く接種が行われ、その有効性、安全性も確認されている。わが国では、2013年に定期接種化されたが、全国で慢性疼痛などの症状が報告され、現在に至るまで積極的接種勧奨は差し控えられている。 こうした状況に対し、地域における取り組みとして「静岡県小児科医会 予防接種協議会によるHPVワクチン接種推進プロジェクト」について、田中 敏博氏(静岡県小児科医会 予防接種協議会/静岡厚生病院 小児科)がレポートした。 同協議会は、県内の予防接種地域差の均てん化と情報交換のために設立され、重点課題として2017年はB型肝炎とおたふくかぜワクチンを、2018年にはHPVワクチンを取り上げて、その推進に取り組んできた。 HPVワクチンに関しては主な活動として、医療者向けの勉強会・講演会の実施、シンポジウムの開催(録画DVDの配布)、各種調査研究を行っている。 同協議会が運営し、一般公開している接種件数データベースを紹介した。静岡県内ではHPVワクチンの接種件数は回復しつつあることがわかるという。また、このデータベースでは、記載された各症例のエピソードがコメント共有として閲覧可能で、接種に臨むにあたっての思いや副反応情報などを把握することができる。 こうした活動を踏まえて、外来では、HPVワクチン接種対象者に対し、「積極的な呼びかけ」「見える化したデータ紹介」「接種機会の的確な把握」「接種後の細かいフォロー」などを行うことで、子宮頸がんとその予防のためのワクチンに対する意識を高めていくことができると説明した。 最後に同氏は、「定期接種であるHPVワクチンの接種推進には、医療者が積極的に働きかけを行うことが出発点である。接種を躊躇しているのはむしろ医師の側である」と指摘した。

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中国で原因不明の肺炎59例、厚労省が注意呼び掛け

 中国・湖北省武漢市で、先月中旬から下旬にかけて、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されている。厚生労働省によると、現在までにヒト-ヒト感染は明らかになっておらず、爆発的な広がりが懸念される段階ではないが、引き続き情報収集を進めている。 国立感染症研究所などが今月5日時点でまとめた内容によると、症例数は59例で、臨床徴候と症状は主に発熱。いずれも2019年12月12日~29日に発症したとみられ、このうち7例が重症となっている。感染経路は不明であるが、ヒト-ヒト感染については明らかな証拠がなく、医療従事者における感染例も確認されていない。発生場所の疫学的な特徴としては、海鮮市場と関連した症例が多いとのこと。当該の海鮮市場(華南海鮮城)は、野生動物を販売する区画もあるが、現在は閉鎖中という。 なお、現段階でインフルエンザ、鳥インフルエンザ、アデノウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)および中東呼吸器症候群(MERS)の可能性はいずれも否定されている。 日本は年末年始の休暇を利用した海外渡航者が一段落したところだが、中国では人の出入りが大きく増える春節(旧正月の大型連休)を2週間後に控えている。厚労省健康局結核感染症課は、「現段階においては、人から人への感染が確認されていないので、通常の診療で対応できると考える。ただし、咳や発熱等の症状がある患者が来院したら、直近の渡航歴はしっかり確認していただきたい。また、インフルエンザなどが否定され、原因が明らかでない肺炎患者を診察した際には、各自治体に報告してほしい」と話している。

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ワクチン接種における副反応、副反応疑い報告制度と救済制度【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第2回

はじめにワクチンの予防接種は、個人と集団(社会)を感染症から守るために重要な予防的措置である。しかし、ほかの医薬品と同様に副作用が起こるリスクはゼロではなく、極めてまれではあるが、不可避的に健康被害が起こり得る。そのため、私たち医療者はワクチン接種における副作用(副反応)とその報告制度、健康被害時の救済制度について理解し、ワクチン接種を受ける方(被接種者)やその保護者に対して予診の際にこれらについて説明し、副反応や健康被害が発生した際にはサポートできるようにしておく必要がある。「有害事象」「副作用」「副反応」は何が違う?「有害事象」「副作用」「副反応」、これらはワクチン接種に関連して使用される用語だが、使い分けができているだろうか(表1)。「有害事象」や「副作用」は、ワクチンを含む医薬品や手術などの医療行為に関連して使用され、「副反応」はワクチン接種に関連した事象に限定して使用される。いずれも「ワクチン接種をしたあとに起こった症状」に対して使用される用語だが、しばしば混同されている。とくに一般の方やマスメディアでは、誤解して使用や理解されていることがあり、医療者として注意が必要である。(図1)1)有害事象因果関係の有無を問わず、ワクチン接種など医薬品の投与や手術や放射線治療など医療行為を受けたあと患者(被接種者)に生じた医療上のあらゆる好ましくない出来事のこと。医療行為と有害事象との間に時間的に関連がある、前後関係はあるが、因果関係の有無は問わないということになる。そのため有害事象には、ワクチン接種後に偶然あるいは別の原因で生じた出来事も含まれる。しばしば、この時間的な前後関係をただちに因果関係であるかのようにメディアが報じたり、一般の方がそのように誤解していることに注意する。2)副作用治療や予防のために用いる医薬品の主な作用を主作用といい、主作用と異なる作用を副作用という。広義の副作用(side effect)には、人体にとって有害な作用と有害でない(好ましい、肯定的な)作用の両方が含まれる。一般的には医薬品による副作用に対しては、有害な作用である狭義の副作用(adverse drug reaction)が用いられる。医薬品と副作用の間には前後関係があり、また、副作用は医薬品の「作用」であるため、医薬品と副作用(による症状)の間には、因果関係があるということになる。3)副反応ワクチン接種の主作用(ワクチン接種の目的)は、ワクチン接種によって免疫反応を起こし、ワクチンが対象とするVPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)に対する免疫を付与することである。一方、ワクチン接種に伴う、免疫の付与以外の反応や接種行為による有害事象を副反応という。言い換えると副反応とは「ワクチン接種による(狭義の)副作用と接種行為が誘因となった有害事象」のことである。そのため、ワクチン接種と副反応の間には前後関係があり、因果関係があるということになる。表1 有害事象、副作用、副反応の違い画像を拡大する図1 有害事象、副作用、副反応の概念図画像を拡大する副反応・有害事象の要因と症状副反応・有害事象の主な要因と症状を表2に示す。表2 副反応・有害事象の主な要因と症状画像を拡大する1)不活化ワクチン一般的な副反応として、接種した抗原・アジュバンドやワクチン構成成分などで誘起された炎症による局所反応(発赤、硬結、疼痛など)や全身反応(発熱、発疹など)がある。また、数10万〜100万分の1の確率とまれではあるが重篤な副反応として、アナフィラキシーや血小板減少性紫斑病、脳炎・脳症などがある。医療者はこれらの副反応について、事前に被接種者や保護者に説明を行う。とくに頻度の高い一般的な副反応については、症状出現時の対応(表3)まで含めて説明する。また、接種後のアナフィラキシーなどに対応するため、接種後30分は院内で経過観察を行う。2)生ワクチン弱毒化したワクチン株による感染、つまり病原性の再獲得によって生じる副反応がある。なお、局所の発赤や発熱などの高頻度な副反応は、軽微な症状であるため、単独では予防接種後副反応疑い報告基準(後述)における医療者の報告義務規定にはあたらない。表3 高頻度な副反応の経過と対応画像を拡大する予防接種後副反応疑い報告制度とは予防接種後副反応疑い報告制度とは、予防接種法に基づき、「医師などが予防接種を受けた者が一定の症状を呈していると知った場合に厚生労働大臣に報告しなければならない(報告義務がある)制度」である。この制度は、予防接種後に生じる種々の身体的反応や副反応疑いについて情報を収集し、ワクチンの安全性について管理・検討を行い、国民に情報を提供すること、および今後の予防接種行政の推進に資することを目的としている。本制度は、2013年の法改正により大幅に変更され、2014年11月から副反応疑い報告(予防接種法)と医薬品・医療機器等安全性情報報告(医薬品医療機器等法)の報告先は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)に一元化され、報告の方法が簡素化された。報告基準1)定期接種の場合予防接種法に基づいて報告基準があり、ワクチン(対象疾患)ごとに報告すべき症状、症状発生までの時間(期間)が規定されている(表4)。この報告基準にある症状(「その他の反応」を除く)について、それぞれに定められている時間までに発症した場合は、因果関係の有無を問わず、医師などは報告する義務がある。「その他の反応」については(1)入院、(2)死亡または永続的な機能不全に陥るおそれがある場合で、それが予防接種との因果関係が疑われる症状について報告する。また、報告基準にある症状でこの時間を超えて発生した場合でも、因果関係が疑われるものについては「その他の反応」として報告する。2)任意接種の場合定期接種の場合のような報告基準はなく、医師などは予防接種後副反応疑い報告書に症状名を記載する。表4 報告基準の例(一部抜粋)画像を拡大する報告方法予防接種後副反応疑い報告書を厚生労働省のWebサイトよりダウンロードし記入、または国立感染症研究所のWebサイトより入力アプリをダウンロードし、報告書PDFを作成、印刷し、PMDAへFAX(FAX番号:0120-176-146)にて送信する。これら報告の流れを図2に示す。図2 予防接種後副反応疑い報告の流れ画像を拡大する救済制度についてきちんと説明していますか?インフルエンザワクチンの任意接種用の予診票の医師記入欄には「本人又は、保護者に対して、予防接種の効果、副反応及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済について説明しました。」と記載がある。あなたは被接種者や保護者に対して、ワクチン接種における救済制度についてきちんと説明ができているだろうか。予防接種後の健康被害に対する救済制度前述のとおり、予防接種は感染症から個人と社会を守るための重要な施策であるが、極めてまれに健康被害が起こり得る。そのため、予防接種によって健康被害を受けた方に対する特別な配慮が必要であり、公的な救済制度が設けられている。救済制度は一律ではなく、定期接種、任意接種によって異なることに注意する。いずれの場合も給付の請求者は健康被害を受けた本人や家族であるため、医師は救済制度を紹介し、診断書や証明書の作成に協力する。ワクチン接種と健康被害との間に因果関係が認められた場合に救済給付が実施される(表5)。表5 予防接種後の健康被害救済制度の違い画像を拡大する給付の種類には、(1)医療機関での治療に要した医療費や医療手当(医療を受けるために要した諸費用)、(2)障害が残った場合の障害児養育年金または障害年金、(3)死亡時の葬祭料および一時金、遺族年金があるが、各制度によって給付額は大きく異なる。なお、国内未承認ワクチン(いわゆる輸入ワクチン)に対しては、輸入業者が独自の補償制度を設定している場合もあるが、これらの公的な制度は適応されないことにも注意する。1)定期接種の場合:予防接種健康被害救済制度予防接種健康被害救済制度は、予防接種法に基づく定期の予防接種(定期接種)により健康被害を受けた方を救済するための公的な制度である。定期接種を受けた方に健康被害が生じた場合、対象となる予防接種と健康被害との因果関係があるかどうかを疾病・障害認定審査会で個別に審査し、厚生労働大臣が因果関係を認定した場合は、市町村長は健康被害に対する給付を行う。給付の内容は、定期接種のうちA類疾病(B型肝炎、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ、結核、麻しん・風しん、水痘、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス感染症)とB類疾病(インフルエンザ、高齢者の肺炎球菌感染症)で異なる。B類疾病による健康被害の請求の期限は、その内容によって2年または5年となっているため、とくに留意する。なお、健康被害について賠償責任が生じた場合であっても、その責任は市町村、都道府県または国が負うものであり、当該医師は故意または重大な過失がない限り、責任を問われるものではない。2)任意接種の場合:医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構法(PMDA法)に基づく公的な制度である。これらの制度は、医薬品などを適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による入院が必要な程度の疾病や日常生活が著しく制限される程度の障害などの健康被害を受けた方に対して、医療費などの給付を行い、被害を受けた方の迅速な救済(民事責任との切り離し)を図ることを目的としている。どちらの制度が適用されるかは、健康被害の内容や原因によって異なるが、申請窓口はいずれもPMDAであるため、患者や家族から健康被害の相談を受けた際にはPMDAの相談窓口(電話番号:0120-149-931)を紹介する。被接種者・保護者への説明資料以下のような一般の方向けの資料を活用する。日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」〔予防接種の副反応と有害事象〕医薬品副作用被害救済制度リーフレットまとめ「有害事象」「副作用」「副反応」はしばしば混同されて使用されており、医療者としてこれらの違いを理解する。医師などには予防接種後の副反応を疑った際に報告する義務がある。報告制度は定期接種、任意接種によって異なるが、報告先はPMDAに一元化されている。予防接種後の健康被害に対する公的な救済制度は、定期接種、任意接種によって異なるが、いずれもその請求は本人・家族が行うため、医療者はこれらの制度を紹介しサポートする。副反応疑い報告制度と救済制度制度の詳細については、「参考になるサイト」に示した、それぞれ厚生労働省やPMDAのWebサイトおよび『予防接種必携』1)を参照していただきたい。1)予防接種実施者のための予防接種必携 令和元年度(2019).公益財団法人予防接種リサーチセンター.2019.2)藤岡雅司ほか. 予防接種マネジメント. 中山書店;2013.3)中山久仁子編集. おとなのワクチン. 南山堂;2019.参考になるサイト1)予防接種後の有害事象.予防接種基礎講座〔2017年3月開催資料〕(厚生労働省)2)予防接種後副反応疑い報告制度(厚生労働省)[予防接種法に基づく医師等の報告のお願い][予防接種法に基づく副反応疑い報告(医療従事者向け)]3)予防接種後副反応疑い報告書〔別紙様式1〕(厚生労働省)4)「予防接種後副反応疑い報告書」入力アプリ(国立感染症研究所)5)予防接種健康被害救済制度(厚生労働省)6)医薬品副作用被害救済制度(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構〔PMDA〕).[制度の概要][医療関係者向け][一般の方向け]7)日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」予防接種の副反応と有害事象(日本小児科学会)講師紹介

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インフルエンザ様疾患にも抗インフル薬が有益か/Lancet

 インフルエンザ様疾患でプライマリケア医を受診し、通常治療に加えオセルタミビルの投与を受けた患者は、通常治療のみの患者に比べ、平均で1日早く回復し、高齢で症状が重く、併存疾患があり症状持続期間が長い患者では回復までの期間が2~3日短縮することが、英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らの調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月12日号に掲載された。欧州のプライマリケアでは、インフルエンザ様疾患への抗ウイルス薬の処方はまれだという。その主な理由は、プライマリケアの実臨床では抗ウイルス薬の効果はないとの認識があること、また、独立の臨床試験で、とくに利益を得ると予測される患者が特定されていないこととされる。欧州15ヵ国のプライマリケア施設が参加した実際的臨床試験 本研究は、欧州15ヵ国のプライマリケア施設で行われた実際的な非盲検無作為化対照比較試験であり、2016年1月15日~2018年4月12日の期間に患者登録が実施された(欧州委員会第7次研究開発枠組計画の助成による)。 対象は、年齢1歳以上、インフルエンザ様疾患でプライマリケア施設を受診した患者であった。インフルエンザ様疾患は、季節性インフルエンザ流行期に、自己申告による突然の発熱がみられ、1つ以上の呼吸器症状(咳、喉の痛み、鼻水、鼻づまり)および1つの全身症状(頭痛、筋肉痛、発汗/悪寒、疲労感)を伴い、症状持続期間が72時間以内と定義された。被験者は、通常治療+オセルタミビルまたは通常治療のみを行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは患者報告による回復までの期間とした。回復は、発熱、頭痛、筋肉痛が軽減または消失し、通常の日常活動への復帰が達成された場合と定義された。便益はインフルエンザ感染の有無にかかわらない 3回の季節性インフルエンザ流行期に3,266例(2015~16年:495例、2016~17年:1,225例、2017~18年:1,546例)が登録された。オセルタミビル群に1,629例、通常治療群には1,637例が割り付けられ、主要エンドポイントの解析にはそれぞれ1,533例(94%)および1,526例(93%)が含まれた。 ベースラインの年齢層別の患者割合は、両群とも12歳未満が14%、12~65歳が80%、65歳以上が6%であった。オセルタミビル群の56%、通常治療群の55%が女性だった。3,059例中1,590例(52%)が、PCRによりインフルエンザ感染症と確定された。 全体の回復までの期間は、オセルタミビル群が通常治療群に比べ短かった(ハザード比[HR]:1.29、95%ベイズ信用区間[BCrI]:1.20~1.39)。事前に規定された36のサブグループ(年齢層、症状の重症度、併存疾患の有無、症状持続期間で分類)のうち30サブグループのHRの範囲は1.13~1.72であり、類似していた。 オセルタミビルによる推定平均便益は、全体では1.02日(95%BCrI:0.74~1.31)であり、オセルタミビル群のほうが約1日回復が早かった。便益のサブグループ解析では、12歳未満/症状が重症でない/併存疾患なし/症状持続期間が短い集団の0.70日(95%BCrI:0.30~1.20)から、65歳以上/症状が重症/併存疾患あり/症状持続期間が長い集団の3.20日(1.00~5.50)までの幅が認められた。 インフルエンザ感染患者におけるオセルタミビル群の推定平均便益のHRは1.27(95%BCrI:1.15~1.41)、非感染患者のHRは1.31(1.18~1.46)であり、感染の有無にかかわらずオセルタミビルによる類似の便益が示された。 抗菌薬の使用割合(オセルタミビル群9%、通常治療群13%)は、オセルタミビル群で低く、家族内の新規感染(39%、45%)も少なかった。一方、医療機関への再受診(3%、4%)、X線で確定された肺炎(47%、57%)、市販のアセトアミノフェン(60%、64%)またはイブプロフェン(38%、41%)含有薬の使用の割合には差がなかった。 嘔吐/悪心の新規発症または増悪が、オセルタミビル群で21%(325/1,535例)に認められ、通常治療群の16%(248/1,529例)に比べ頻度が高く、症状軽減までの期間も長かった(HR:0.94、95%CI:0.86~1.01)。これ以外の症状は、オセルタミビル群のほうが迅速に軽快した。 重篤な有害事象は29件(オセルタミビル群12件、通常治療群17件)報告された。オセルタミビル群では、2件がオセルタミビル関連と考えられたが、残りの10件は関連がなかった。 著者は、「併存疾患を有し、体調不良が長く続く症状が重い患者や高齢患者では、オセルタミビルにより2~3日早い回復の可能性があるため、本薬を考慮してよいと考えられる」としている。

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VMP療法+ダラツムマブ、多発性骨髄腫のOS延長/Lancet

 幹細胞移植の適応がない新規診断の多発性骨髄腫の患者では、標準治療であるボルテゾミブ+メルファラン+prednisone(VMP)療法にダラツムマブを追加(D-VMP療法)すると、標準治療単独に比べ全生存(OS)期間が有意に延長することが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らが行った「ALCYONE試験」の中間解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月9日号に掲載された。ダラツムマブは、CD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体製剤であり、直接的な腫瘍縮小作用とともに免疫調節作用を有するという。本試験の主解析では、D-VMP療法により無増悪生存(PFS)期間が有意に延長することが、すでに報告されている。上乗せ効果を評価する実薬対照無作為化試験 本研究は、25ヵ国162施設が参加した多施設共同非盲検実薬対照無作為化第III相試験であり、2015年2月9日~2016年7月14日の期間に患者登録が行われた(Janssen Research & Developmentの助成による)。今回は、主な副次評価項目であるOSの結果が報告された。 対象は、新規に診断された多発性骨髄腫で、年齢(≧65歳)または重大な合併症のため、大量化学療法+自家幹細胞移植が適応とならない患者であった。 被験者は、D-VMPまたはVMPを行う群に無作為に割り付けられた。全例に、ボルテゾミブ(1.3mg/m2[体表面積]を、1サイクル目は第1、4、8、11、22、25、29、32日に、2サイクル目以降は第1、8、22、29日に皮下投与)+メルファラン(9mg/m2を、各サイクルの第1~4日に、1日1回経口投与)+prednisone(60mg/m2を、各サイクルの第1~4日に、1日1回経口投与)による1サイクル6週の治療が、最大9サイクル施行された。 これに加え、D-VMP群は、ダラツムマブ(16mg/kg[体重])を1サイクル目は週1回、2~9サイクル目は3週に1回投与し、その後は維持療法として4週に1回、増悪または許容できない毒性が発現するまで継続投与した。3年以上の追跡で死亡リスク40%低下、良好なPFSが持続 706例が登録され、D-VMP群に350例、VMP群には356例が割り付けられた。ベースラインの全体の年齢中央値は71歳(範囲40~93)で、211例(30%)は75歳以上であった。271例(38%)は国際病期分類(ISS)のStageIIIであり、98例(14%)は細胞遺伝学的プロファイルが高リスクであった。 追跡期間中央値40.1ヵ月(IQR:37.4~43.1)の時点で、D-VMP群83例(24%)、VMP群126例(35%)が死亡した。死亡のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.46~0.80、p=0.0003)であり、D-VMP群で死亡リスクが40%低下した。Kaplan-Meier法による36ヵ月時のOS率は、D-VMP群が78.0%(95%CI:73.2~82.0)、VMP群は67.9%(62.6~72.6)であり、両群ともOS期間中央値には未到達だった。 主要評価項目であるPFSのHRは0.42(95%CI:0.34~0.51、p<0.0001)であり、D-VMP群で病勢進行または死亡のリスクが58%低かった。36ヵ月PFS率は、D-VMP群が50.7%(45.1~55.9)、VMP群は18.5%(14.4~23.1)であり、PFS期間中央値はそれぞれ36.4ヵ月(32.1~45.9)および19.3ヵ月(18.0~20.4)だった。 全奏効率(D-VMP群90.9%、VMP群73.9%、p<0.0001)および最良部分奏効以上(73%、50%、p<0.0001)、完全奏効以上(46%、25%、p<0.0001)、微小残存病変陰性(28%、7%、p<0.0001)の割合は、いずれもD-VMP群で有意に良好であった。また、微小残存病変陰性が12ヵ月以上持続した患者は、PFSおよびOSが優れた。さらに、これら最良総合効果のD-VMP群における改善は、年齢(<75歳、≧75歳)および細胞遺伝学的状態(標準リスク、高リスク)にかかわらず認められた。 前回の解析以降の追跡期間中に、D-VMP群で安全性に関する新たな懸念は特定されなかった。1~9サイクルの治療期間中に最も頻度の高かったGrade3/4の治療関連有害事象は、好中球減少(D-VMP群40%、VMP群39%)、血小板減少(34%、38%)、貧血(15%、20%)であった。また、D-VMP群のダラツムマブ維持療法期に最も頻度の高かった全Gradeの有害事象は上気道感染症(19%)であり、次いで気管支炎(15%)、ウイルス性上気道感染症(12%)、咳嗽(12%)、下痢(10%)の順であった。 著者は、「現在、他の第III相試験でもダラツムマブのOSに関して長期の追跡調査が進められているが、今回の有効性と安全性の知見は、標準治療への本薬の追加を強く支持するものである」としている。

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HIV患者のがん治療、免疫モニタリングが有益/JAMA Oncol

 抗ウイルス療法を受ける成人HIV患者のがん治療について、免疫モニタリングの有益性が、がん治療後の死亡率に関する定量化研究により明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のKeri L. Calkins氏らによる検討で、化学療法および/または放射線療法は、手術またはその他の治療を受けた場合と比べて、施術後早期のCD4細胞数を有意に減少させること、その数値の低さと死亡率増大は関連することが示されたという。JAMA Oncology誌オンライン版2019年12月5日号掲載の報告。 研究グループは、がん治療を受けるHIV患者の免疫低下とがん治療との関連は十分に特徴付けられていないことに着目し、がん治療ガイドラインに反映させうる検討として、がん治療に関連した免疫抑制と過剰死亡率の関連性の定量化を試みた。HIV患者のがん治療とCD4細胞数およびHIV RNA値の関連性、治療後CD4細胞数およびHIV RNA値の推移と全死因死亡との関連を推算した。 検討は観察コホート試験にて、1997年1月1日~2016年3月1日にジョンズ・ホプキンズHIVクリニックの治療を受けていた成人HIV患者で、初発のがんを有し、がん治療のデータを入手できた196例を対象に行われた。 試験では、化学療法および/または放射線療法は、手術またはその他の治療と比べて、(1)忍容性の問題によりHIV RNA値を増大する、(2)CD4細胞数の初期の減少幅が大きい、(3)減少したCD4細胞数の回復に時間がかかる、さらに(4)CD4細胞数の減少は、ベースラインのCD4細胞数、抗ウイルス薬の使用、罹患したがんのリスクとは独立して、高い死亡率と関連するとの仮説を立てて検証した。 被験者は、がん種別の初期治療(化学療法および/または放射線療法vs.手術またはその他の治療)を受けた。主要評価項目は、がん治療後のCD4細胞数の推移、HIV RNA値の推移、全死因死亡率であった。 データ解析は2017年12月1日~2018年4月1日に行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者196例は、男性135例(68.9%)、年齢中央値50歳であった。・化学療法および/または放射線療法について、ベースラインCD4細胞数が500個/μL超の患者では、治療後の初期細胞数が203個/μL(95%信頼区間[CI]:92~306)減少した。・一方、ベースラインCD4細胞数が350個/μL以下の患者における減少は、45個/μLであった(相互作用推定値:158個/μL[95%CI:31~276])。・化学療法および/または放射線療法は、HIV RNA値に有害な関連は示さなかった。・初期のがん治療後、CD4細胞数100個/μL低下につき、死亡率は27%増大することが示された(ハザード比:1.27、95%CI:1.08~1.53)。

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細菌性の市中肺炎に対する経口lefamulinとモキシフロキサシンの比較試験(解説:吉田敦氏)-1157

 今回、成人の細菌性の市中肺炎を対象とした経口lefamulin 5日間投与とモキシフロキサシン7日間投与の第III相ランダム化比較試験(LEAP 2 study)の結果が発表された。 lefamulinはプレウロムチリン(pleuromutilin)に近縁の抗微生物薬で、リボゾームの50Sサブユニットの23SリボゾーマルRNAに作用することで蛋白合成を阻害する。lefamulinはバイオアベイラビリティに優れ、経口、静注両方で利用可能であり、またin vitroでMSSA、MRSA、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、連鎖球菌に活性を持ち、さらにはS. pneumoniae、H. influenzae、L. pneumophila、C. pneumoniae、M. pneumoniaeといった肺炎の主な原因微生物まで非常に幅広いスペクトラムを有するという。これまで細菌性の市中肺炎を対象とし、静注で開始して経口にスイッチする方法が検討され(LEAP 1 study。モキシフロキサシン±リネゾリドを対照とするランダム化比較試験)1)、加えて、細菌性の皮膚軟部組織感染症においてバンコマイシンを対照として比較試験が行われた2)。LEAP 1 studyではPORTリスク*クラスIII相当の肺炎例が約70%含まれていたが、ITT解析による効果は両群でほぼ同等、また副作用については低カリウム血症、吐き気、不眠、注射部位の疼痛・血管炎がモキシフロキサシンに比してlefamulin群で多かった。一方、後者の皮膚軟部組織感染症の検討では、効果はバンコマイシンと同等であったものの、頭痛、吐き気、下痢といった副反応がみられ、注射部位の血管炎はバンコマイシンよりも多かった。*PORT(Pneumonia Outcomes Research Team)スコア:肺炎重症度指数pneumonia severity index(PSI)の合計点に基づき、I~Vの5段階に分類。入院後の生命予後判定を目的として提唱されたもので、おおよそI・IIは外来加療、IIIは短期入院加療、IV・Vは入院加療に相当する。 今回のLEAP 2 studyは、LEAP 1 studyの結果を受けて、lefamulin、モキシフロキサシンともに内服薬での比較を行っている。PORTリスクはII~Vの症例が含まれ(IIは約50%、IIIは約38%)、原因微生物はS. pneumoniae 64%、H. influenzae 27%、そしてM. pneumoniae、L. pneumophila、C. pneumoniaeが合計で22%であり、71%がmonomicrobialであった。プライマリーエンドポイントは開始から96時間の時点での臨床的改善であり、改善率はおよそ90%で2群に差はなかった。ただし黄色ブドウ球菌とL. pneumophilaの症例は両群合わせてそれぞれ19例、33例にとどまっていた。 今回の対象者はPORT II、IIIが主体で、モキシフロキサシンで治療がおおよそ可能なほどの、いわば重症ではない例である。そのような肺炎への単剤治療として、lefamulinの有効性と安全性を調べた結果としては参考になるであろうが、元々本当にlefamulinは中等度の肺炎や急性皮膚軟部組織感染症への経口単剤治療薬として、期待されねばならないのであろうか。スペクトラム、バイオアベイラビリティともに優れるが、lefamulinが治療薬として考慮されるべき病態と対象微生物は、ほかにもっと適切なものがあるのではないだろうか。臨床試験として組みやすかったのかもしれないが、このような貴重な財産である新薬について、適応と将来性を十分に考えて試験をデザインするのが必須であろう。これまで細菌性の肺炎で使用されてきたセファロースポリンやフルオロキノロンを避けるためという意見も一部にあったが3)、それらとは薬剤の使用と適応に関する概念も異なるうえ、原因微生物に特異的な治療を行う原則から大きく外れてしまっている。十分な議論と慎重な考慮の下に、今後の検討と適応の決定がなされるべきである。

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日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬「アジマイシン点眼液1%」【下平博士のDIノート】第39回

日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬「アジマイシン点眼液1%」今回は、わが国で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬である「アジスロマイシン水和物点眼液」(商品名:アジマイシン点眼液1%、千寿製薬)を紹介します。本剤は、結膜、角膜、眼瞼への移行性や滞留性が良好なため、少ない点眼回数で眼感染症の治療が可能となります。<効能・効果>本剤は結膜炎、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎の適応で、2019年6月18日に承認され、2019年9月11日より発売されています。<用法・用量>《結膜炎》通常、成人および7歳以上の小児には、1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回5日間点眼します。《眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎》通常、成人には、1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回12日間点眼します。<副作用>細菌性結膜炎を対象とした国内第III相試験(3-01、3-06)と細菌性の眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎を対象とした国内第III相試験(3-02)の3試験において、アジスロマイシン点眼液が投与された安全性評価対象726例のうち、73例(10.1%)に副作用が認められました。主な副作用は、眼刺激32例(4.4%)、眼そう痒症9例(1.2%)、眼痛7例(1.0%)、点状角膜炎5例(0.7%)でした。なお、重大な副作用として、角膜潰瘍などの角膜障害(頻度不明)、ショック、アナフィラキシー(頻度不明)が報告されています(承認時)。<患者さんへの指導例>1.この薬は、細菌の増殖を抑える作用により、目の感染症を治療します。2.薬を使用中に目の異物感、目の痛みなどの症状が現れた場合は、ただちに投与を中止して受診してください。3.開栓前は冷蔵庫、開栓後は室温で保管し、高温環境下や直射日光が当たる場所での保管は避けてください。4.点眼後、しばらく目がぼやけることがあるので、視界がはっきりするまで安静にしてください。5.ベトベト感が気になる場合は、朝の洗顔や入浴前に点眼して、点眼後5分以上経過したら、目の周りに付いた薬液を洗い流すとよいでしょう。6.決められた日数を点眼した後は薬剤を廃棄し、再使用はしないでください。<Shimo's eyes>本剤は、日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬として発売されました。既存の抗菌点眼薬は1日3~5回投与なので日中の点眼が難しいこともありましたが、本剤は1日1~2回と少ない点眼回数での治療が可能です。点眼方法は、初日と2日目は1日2回、3日目以降は1日1回を、結膜炎では7日間、眼瞼炎・麦粒腫・涙嚢炎では14日間継続します。処方箋に点眼日数が記載されていない場合は、疑義照会で確認しなければなりません。本剤は、成分の滞留性向上のために、添加剤にポリカルボフィルが配合されたDDS製剤です。粘性が強いので、キャップをしたまま容器を下に向けて数回振り、薬液をキャップ側に移動させてから点眼します。点眼後しばらくは視界がぼやけることがあるため、転倒しないように注意が必要です。目の周りのベトベト感が気になる場合は、点眼後5分ほど経過したら目の周りを洗い流してよいことを伝えましょう。なお、2種類以上の点眼薬を併用する場合には、本剤を最後に点眼することで、他の点眼薬への影響を減らすことができます。近年、薬剤耐性菌およびそれに伴う感染症の増加が国際的に問題となっていることから、厚生労働省より「アジスロマイシン水和物点眼剤の使用に当たっての留意事項について」が発出されています。患者さんには、残存菌による再発や耐性菌獲得リスクの点から、自覚症状がなくなっても決められた点眼日数を必ず守るように指導しましょう。参考1)PMDA アジマイシン点眼液1%2)アジスロマイシン水和物点眼剤の使用に当たっての留意事項について

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咽頭・扁桃炎に対するペニシリンV減量の試み(解説:小金丸博氏)-1153

 咽頭・扁桃炎は、プライマリケアの現場において抗菌薬の処方が多い感染症の1つである。今回、A群溶連菌による咽頭・扁桃炎に対して、適切な臨床効果を維持しながら抗菌薬投与量を減らすことができるかどうかを検討した臨床試験の結果が発表された。 本研究は、A群溶連菌による咽頭・扁桃炎に対して、ペニシリンV 800mgを1日4回5日間投与する群(計16g)とペニシリンV 1,000mgを1日3回10日間投与する群(計30g)の有効性と安全性を比較検討したランダム化非盲検非劣性試験である。6歳以上で、Centor criteria(38.5℃以上の発熱、圧痛を伴うリンパ節腫脹、扁桃に白苔の付着、咳の欠如)を3または4項目満たし、かつA群溶連菌迅速検査陽性の患者を対象とした。プライマリアウトカムである臨床的治癒率は、5日間投与群で89.6%、10日間投与群で93.3%であり(両群差:-3.7ポイント、95%信頼区間:-9.7~2.2)、非劣性が確認された。除菌率は5日間投与群で80.4%、10日間投与群で90.7%だった。患者の症状緩和までの時間は、5日間投与群のほうが有意に短かった(log rank検定でp<0.001)。1ヵ月以内の再発例はほぼ同数だった。有害事象は主に下痢、嘔気、膣の分泌物や掻痒であり、これらの症状は10日間投与群でより高率に長期間認めた。 スウェーデンでは成人のA群溶連菌による咽頭炎に対してペニシリンV 1,000mgを1日3回10日間(計30g)投与することが推奨されている。この治療期間はほかの国の推奨と同じであるが、総投与量はほかと比較して多い。ちなみに米国感染症学会(IDSA)のガイドラインでは、ペニシリンV 250mgを1日4回、あるいは1回500mgを1日2回、どちらも治療期間は10日間(計10g)投与することが推奨されている。A群溶連菌による咽頭炎に対して抗菌薬を投与する主な理由は、急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの合併症を防止することであるが、高所得国ではこれらはまれな合併症となっている。そのため、今日の主な治療目的は速やかな症状改善を得ることであり、同時に扁桃周囲炎、中耳炎、副鼻腔炎などの合併症を予防することである。 本研究では、A群溶連菌による咽頭・扁桃炎に対するペニシリンV 1日4回5日間の治療は1日3回10日間の治療に対して、臨床効果は非劣性であることが示された。投与期間を短縮することで抗菌薬の副作用の減少、服薬遵守率の向上、ヒト細菌叢への影響低下、社会全体の抗菌薬コスト削減などが期待できる。除菌率が10日間投与群のほうが優れていた点や急性リウマチ熱の発症率が評価されていない点が気になるが、高所得国においては5日間治療が代替となりうることを示した研究として評価できる。症状緩和までに要する時間は5日間投与群のほうが有意に短かったというのは興味深い結果であった。その理由として、1日4回投与というtime above MICを考慮した投与方法が有効性を高めた要因として考えられる。 残念ながら世界では標準治療薬であるペニシリンVは日本国内で発売されておらず、本研究の結果をそのまま日本の医療に当てはめることはできない。本邦ではA群溶連菌による咽頭炎に対してアモキシシリンを10日間経口投与することが推奨されている(JAID/JSC感染症治療ガイド2019)。当然ながら、本研究の結果をもってアモキシシリンの投与期間を5日間に短縮可能とは評価できない。

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爆発的流行中のエボラ出血熱に、MAb114とREGN-EB3が有効/NEJM

 2018年8月に発生したコンゴ共和国におけるエボラウイルス病(EVD)の爆発的流行(outbreak)中に行われた治療において、MAb114とREGN-EB3はいずれも、ZMappに比べ死亡率が有意に低かったことが、同国Institut National de Recherche BiomedicaleのSabue Mulangu氏らが行ったPALM試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年11月27日号に掲載された。2018年8月、同国北キブ州とイトゥリ州において、同国で10回目のEVDの爆発的流行が発生し、2番目に大きな規模に達した。EVDの実験的な治療法がいくつか開発されており、最も有望な治療法に関する無作為化対照比較試験の実施が求められていた。爆発的流行中に4薬を比較する無作為化試験 研究グループは、2018年8月のコンゴ共和国におけるEVDの爆発的流行中に、4つの治療薬を比較する無作為化試験を行った(米国国立アレルギー・感染症研究所[NIAID]などの助成による)。 対象は、年齢を問わず、RT-PCR法でエボラウイルス(EBOV)の核タンパク質RNAが陽性の患者であった。妊婦も含まれ、母親のEVDが確認されている場合は、生後7日以内の新生児も含まれた。 全例が標準治療を受け、ZMapp(3種類のモノクローナル抗体製剤、対照)、remdesivir(抗ウイルス薬)、MAb114(1種類のモノクローナル抗体製剤)、REGN-EB3(3種類のモノクローナル抗体製剤)のいずれかを静脈内投与する群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。REGN-EB3群は、プロトコルの後期のバージョンで加えられたため、ZMapp群のうちREGN-EB3群の登録開始以降に登録された患者(ZMapp群サブグループ)と比較した。 主要エンドポイントは、28日の時点での死亡とした。28日死亡率:MAb114(35.1%)vs.REGN-EB3(33.5%)vs.ZMapp(49.7%) 患者登録は、2018年11月20日に開始された。681例が登録された2019年8月9日の時点で、データ安全性監視委員会は499例のデータの中間解析を行った。その結果、死亡率に関して、MAb114群とREGN-EB3群は、ZMapp群とremdesivir群よりも優れたため、同委員会はZMapp群とremdesivir群への割付を終了するよう勧告を行った。 673例(平均年齢 28.8±17.6歳、女性 55.6%)が、今回の解析の対象となった。ZMapp群に169例、remdesivir群に175例、MAb114群に174例、REGN-EB3群には155例が割り付けられた。ZMappサブグループは154例だった。 28日死亡率は、MAb114群が35.1%(61/174例)と、ZMapp群の49.7%(84/169例)に比べ有意に低かった(群間差:-14.6ポイント、95%信頼区間[CI]:-25.2~-1.7、p=0.007)。また、REGN-EB3群の28日死亡率は33.5%(52/155例)であり、ZMappサブグループの51.3%(79/154例)と比較して、有意に良好であった(-17.8ポイント、-28.9~-2.9、p=0.002)。remdesivir群とZMapp群の差は、3.4ポイント(-7.2~14.0)だった。 RT-PCR測定で最初の陰性結果が示されるまでの期間は、MAb114群(中央値16日)およびREGN-EB3群(15日)が、ZMapp群(27日)よりも短かった。 予後因子の解析では、入院前の有症状期間が長い患者は予後不良であった。症状発現から1日以内に治療施設を受診した患者の死亡率は19%であったが、5日以上を要した患者は47%が死亡した。 また、ベースラインのウイルス量が少ない患者(オッズ比[OR]:0.66、95%CI:0.62~0.71)は予後良好で、血清クレアチニン値が高い患者(1.43、1.31~1.56)、AST値が高い患者(1.15、1.11~1.20)、ALT値が高い患者(1.43、1.33~1.54)は予後が不良であった。 重篤な有害事象が3例(いずれも死亡)で4件認められ、いずれも試験薬に関連する可能性があると判定された。 著者は、「EVDの爆発的流行中にも、科学的で倫理的に健全な臨床研究の実施は可能であり、爆発的流行への対応に関する情報を得るのに役立つ可能性がある」としている。

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低リスク妊娠、第3期のルーチン超音波は周産期予後を改善せず(解説:前田裕斗氏)-1152

 低リスク単胎妊娠において、妊娠第3期にルーチンで超音波検査を行うことで重度有害周産期アウトカムを減少できるかどうかをみたRCTである。研究理解のためにはまず日本との違いを押さえることが必要だ。本研究の通常診療群では毎回子宮底長測定のみを行い、臨床的に必要と判断された場合のみ超音波検査を行い、介入群では28~30週、34~36週の間に1回ずつ計2回の超音波検査を追加している。一方日本では28~36週まで2週間ごと、37週以降は1週間ごとに健診を行う。健診ごとに毎回超音波検査を行う施設も多い。健診回数や毎回超音波検査が有害アウトカムを減らす確固たるエビデンスはないが、4回を下回る健診回数では周産期死亡率が増えるとコクランのSystematic Reviewでは報告されている。 結果は介入群では出産前の在胎不当過小(SGA)胎児の検出率は高いが、重度有害周産期アウトカムの発生減少には結び付かなかった。著者らは考察で今回の結果を説明しうる可能性について複数挙げているが、なかでもSGA胎児の中で健康な小さいだけの胎児と病的な発育不全を見分ける方法が確立されていないことは大きいだろう。もちろん、低リスク患者ではそもそも病的な発育不全の頻度が低いことも有害アウトカムの減少を認めなかった一因である。10パーセンタイルを下回る/上回ることのない限り胎児推定体重によって分娩時のマネジメントはさほど変わらない。今回の研究結果で認めた分娩誘発やSGAの診断(周産期アウトカムの改善を伴わない)の増加による母体へのストレスを考えれば、妊娠第3期でのルーチン超音波検査は不要とする考えもあるだろう。 一方日本の現状に照らしてみれば、今回の研究結果を活かすにはいくつか問題がある。まず外的妥当性の問題がある。参加者の平均年齢が31歳であるため、より高齢妊娠の割合が高い施設には適応し難い。さらに日本は欧米と比べ出生体重が小さいため、より低出生体重児の検出が求められる可能性もある。次に、実務上の問題として現在日本ではほぼ毎回か、隔週で超音波検査を行う施設がほとんどであるため、他施設と比較されることになる超音波検査をルーチンで使用しないという方針は実質取りえない。 本研究の結果を日本で活かすとすれば、健診の一部を助産師による外来とする、超音波検査での評価を毎回でなく1回おきにするなどで健診による医療者負担を軽減することが挙げられる。有害な周産期アウトカムを増やさず、医療者負担を軽減できればハイリスク症例へ割く時間を増やすことや持続可能な周産期医療の達成にもつながる。さらに、今後分娩施設の集約化に伴い地域によっては助産師が主体的に分娩を管理する必要が出てくる可能性もあるが、その際の安全性を支持した論文ともいえるだろう。しかし、本研究は自宅や助産施設での分娩がほとんどを占めるオランダからの論文であり、あくまで訓練を受けた助産師による管理、そして必要があれば超音波検査を行うという前提があることに注意が必要だ。

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インフル予防、エタノール消毒だけでは不十分なケースも?

 エタノールベースの擦式手指消毒薬は広く普及し、医療機関や学校など多くの場所で手指衛生・接触感染予防を目的に使われている。しかし以前の研究で、粘液中の病原体に対してエタノール消毒の有効性が低下する可能性が示唆されている。京都府立医科大学の廣瀬 亮平氏らは、エタノール消毒薬による季節性インフルエンザAウイルス(IAV)の不活性化メカニズムを調べ、その効果が手指に付着した感染性粘液が完全に乾燥するまでの間は大幅に低下することを明らかにした。一方、手洗いによる手指衛生は、乾燥および非乾燥の感染性粘液に対してともに効果的であることが確認された。mSphere誌オンライン版9月18日号への報告より。なお、本研究については、11月27日にmSphere誌オンライン上でレターが掲載され、議論が行われている。 研究者らはまず、IAVに感染した患者の上気道由来粘液を使用して、IAVの不活化試験とエタノール濃度測定を実施。物性解析の結果、感染性粘液は粘度が非常に高く、生理食塩水と比較してエタノールの拡散/対流速度が遅くなることが明らかになった。「エタノール濃度がIAV不活性化レベルに達する時間」すなわち「エタノール消毒薬がIAVを完全に不活性化するのに必要な時間」は、生理食塩水条件下より粘液条件下の方が約 8 倍程度長い結果となった。 続いて、10人のボランティアの手指に付着した感染性粘液中のIAVに対する、流水と80%エタノール消毒薬の有効性を評価した。その結果、流水によりIAVは30秒以内に完全に不活性化されたが、エタノール消毒薬では、120秒後も不活性化されなかった。 一方で、感染性粘液が完全に乾燥した条件(本研究では約30~40分間と想定)においては、エタノール消毒薬は30秒以内に粘液中のIAVを不活性化した。また、物理的に感染性粘液を洗い流す流水による手洗いでも、30秒以内にIAVを不活性化した。  これらの結果および議論を受けて研究者らは、本研究は基礎研究であり、手を擦り合わせる動作による効果等、実使用を再現した評価系でのさらなる検討が必要とした。そのうえで、感染性粘液が付着した(あるいは付着が疑われる)状況では、エタノール消毒薬による擦式手指消毒の効果を過信せず、手洗いをこまめに行うことでより高い消毒効果が得られる可能性があるとしている。

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世界初の第3世代がん治療用遺伝子組換えヘルペスウイルス「G47Δ」

単純ヘルペスウイルスベクターを用いた抗腫瘍免疫増強法「G47Δ」※クレジットは下記の通りG47Δは、口唇ヘルペスの原因ウイルスである単純ヘルペスウイルス1型を用いた第3世代のがん治療用遺伝子組換えヘルペスウイルス。3つのウイルス遺伝子を改変することで、正常細胞では増殖せず、がん細胞だけで増殖するウイルスを作製した。東京大学医科学研究所先端医療研究センター先端がん治療分野の藤堂具紀氏らが創製に成功し、開発を進めている。ウイルス療法は、がん細胞に感染させたウイルスが増殖することで、直接的にがん細胞を破壊する治療法である。単純ヘルペスウイルス1型の主な特徴として、1)ヒトのあらゆる種類の細胞に感染、2)殺細胞効果が比較的強い、3)抗ウイルス薬があるため治療を中断できる、4)患者がウイルスに対する抗体を持っていても治療効果が減弱しない、などが挙げられている。また、G47Δは、既存のがん治療用ウイルスに比べ、安全性と治療効果が高いとされる。さらに、がん細胞を破壊する過程で抗腫瘍免疫を引き起こすため、投与部位だけでなく非投与部位のがんにも、免疫を介した抗腫瘍効果が期待できるという。加えて、がんの根治を阻害するとされるがん幹細胞をも、破壊することが知られている。G47Δは、2016年2月に、厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の対象品目に、2017年7月には、悪性神経膠腫を対象とした「希少疾病用再生医療等製品」に指定されている。※Content Providers: CDC/ E. L. Palmer - This media comes from the Centers for Disease Control and Prevention's Public Health Image Library (PHIL), with identification number #2171.G47Δは1年生存割合において高い効果を示す藤堂氏らの研究グループは、初期治療後に残存または再発した膠芽腫病変(悪性脳腫瘍の一種)を有する予後不良の患者を対象に、医師主導治験(第II相試験)を行った。初回手術後に、放射線照射と化学療法(テモゾロミド)を行う標準治療に、G47Δによるウイルス療法を上乗せする治療法の有効性を検討した。G47Δは、定位脳手術により最大6回、腫瘍内に投与された。試験は、30例の登録を予定し、2015年5月に開始された。2018年7月、13例が治療開始から1年経過した時点で、事前に規定された中間解析が行われた。主要評価項目である1年後の生存割合は92.3%(12/13例)であり、他の複数の臨床試験の結果から算出された標準治療の1年生存割合(15%)と比較して高い有効性を示した。また副次評価項目である全生存期間中央値は、中間解析時点では中央値に達しておらず、無増悪生存期間中央値は8.6ヵ月、2年間の経過観察が終了した4例の腫瘍縮小効果の最良効果はいずれも安定(SD)であった。中間解析時に16例で安全性の評価を行ったところ、主な副作用は発熱が15例(93.8%)、嘔吐とリンパ球数減少がそれぞれ8例(50.0%)、悪心が7例(43.8%)で認められた。入院期間の延長が必要となった副作用は、Grade 2(軽度)の発熱による2例(12.5%)のみであった。これらの結果により、中間解析の時点で、本治験におけるG47Δの治療効果の有効性が確実となったため、独立データモニタリング委員会の勧告で、患者登録は終了となった。これらの知見に基づき、2020年12月、悪性神経膠腫を適応症とするG47Δの製造販売承認申請が行われた。G47Δへの期待G47Δは、動物実験で、あらゆる固形がんに有効であることが示されており、今後、速やかにすべての固形がんに適応を広げることを目指すという。2013年には、前立腺がんおよび嗅神経芽細胞腫を対象とした臨床試験が行われた。また、2018年からは、悪性胸膜中皮腫の患者の胸腔内にG47Δを投与する臨床試験も開始されている。ウイルス療法は、がん治療における標準的な治療法として確立されると期待されている。

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デュピルマブ、中等症~重症の思春期アトピー性皮膚炎への第III相試験結果

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する初の生物学的製剤であるデュピルマブについて、コントロール不良で中等症~重症の思春期(中央値14.5歳)AD患者に対する第III相の無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果が報告された。米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らによる検討で、16週間の治療により、プラセボと比較して症状やQOLの面で有意な改善がみられ、安全面でも忍容性が認められたという。著者は、「プラセボ調整後のデュピルマブの有効性と安全性は、思春期と成人で同等であった」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年11月6日号掲載の報告。 試験は2017年3月21日~2018年6月5日に、米国とカナダの45施設で行われ、局所療法によるコントロールが不十分または局所療法が不適当であった中等症~重症の思春期患者251例が参加した。 被験者は無作為に1対1対1の割合で3つの投与群に割り付けられ、16週間の治療を受けた(割り付けは双方向レスポンスシステムを利用し、疾患重症度と体重で層別化も実施)。(1)デュピルマブ200mgを2週間ごと投与(43例、ベースライン体重<60kg)または同300mgを2週間ごと投与(39例、60kg以上)、(2)デュピルマブ300mgを4週間ごと投与(84例)、(3)プラセボ投与(85例)。 主要評価項目は、16週時点の2つのエンドポイントの達成患者割合とした。1つは、EASIスコア(0~72、スコアが高いほど重症度が高い)がベースラインから75%以上改善(EASI-75)した患者の割合。もう1つは、Investigator's Global Assessment(IGA)スコア(0~4の5段階評価、スコアが高いほど重症度が高い)が0または1であった患者の割合であった。 主な結果は以下のとおり。・計251例(年齢中央値14.5歳[SD 1.7]、男性148例[59.0%])が、無作為化を受けた。データが入手できた250例の患者では、ほとんどがII型アレルギー性疾患を併存していた(喘息134例[53.6%]、食物アレルギー[60.8%]、アレルギー性鼻炎[65.6%])。・240例(95.6%)が試験を完遂し、デュピルマブの各投与群はいずれも16週時点で2つの主要エンドポイントを達成した。・EASI-75改善の達成患者割合は、2週間ごと投与群41.5%、4週間ごと投与群38.1%、プラセボ群8.2%で、投与群はプラセボ群よりベースラインから有意に増大した(対プラセボ群間差:2週間ごと投与群33.2%[95%信頼区間[CI]:21.1~45.4]、4週間ごと投与群29.9%[95%CI:17.9~41.8])(p<0.001)。・有効性は、2週間ごと投与群が4週間ごと投与群に対し、概して優れていた。・デュピルマブ投与群は、結膜炎(2週間ごと投与群9.8%、4週間ごと投与群10.8%、プラセボ群4.7%)、注射部位反応(8.5%、6.0%、3.5%)を呈した割合が高く、一方で非ヘルペスウイルス感染症(9.8%、9.6%、18.8%)を呈した割合は低かった。

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ゾフルーザ耐性ウイルスの特性を解明、小児で高頻度に出現

 東京大学医科学研究所の河岡 義浩氏ら研究チームが、2018/2019シーズンに採取したA型インフルエンザ検体の遺伝子を解析したところ、バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)を服用した12歳未満のA型インフルエンザ患者において、ゾフルーザ耐性ウイルスが高頻度で出現することが明らかになった。また、患者から分離した耐性ウイルスを動物に感染させ、感受性ウイルスと比較したところ、耐性ウイルスの増殖性および病原性は、感受性ウイルスと同等であることもわかった。Nature Microbiology誌オンライン版2019年11月25日号に掲載。 ゾフルーザは、2018年3月に日本における販売を開始。単回経口投与で済む利便性が支持されている。一方で、国立感染症研究所が先のシーズンに実施した薬剤耐性株サーベイランスでは、ゾフルーザに対して耐性を示す変異ウイルスが高い割合で検出されている1)。また、先行研究では、人工的に作られた、耐性変異を持つ組み換えインフルエンザウイルスによって増殖能が解析され、野生型の感受性ウイルスよりも増殖能が大きく劣ることが示されたものの、患者から分離された耐性ウイルスについては基本性状が明らかになっていなかった。 河岡氏らによる本研究では、2018/2019シーズンに国内の医療機関を受診したインフルエンザ患者から採取した臨床検体でウイルス遺伝子を解析。その結果、薬剤未投与のA/H1N1pdm09型の患者(74例)からはゾフルーザ耐性ウイルスは検出されなかったが、A/H3N2型の患者141例(16歳以上:40例、15歳以下:101例)のうち、15歳以下の2例で耐性ウイルスが検出された。また、ゾフルーザ服用者でも同様の解析を進めたところ、A/H1N1pdm09型の患者22例(16歳以上:7例、15歳以下:15例)のうち、5例(うち4例が15歳以下)で耐性ウイルスが検出され、A/H3N2型の患者16例(16歳以上:4例、15歳以下:12例)では、4例(すべて15歳以下)で耐性ウイルスが検出された。 本研究では、患者から分離した2型各々の耐性ウイルスを、ハムスター、マウス、フェレットに感染させ、増殖性および病原性について、ゾフルーザ感受性ウイルスと比較した。その結果、いずれの型においても感受性ウイルスと同程度の体重減少および肺などの呼吸器における増殖が認められた。 河岡氏らは、「インフルエンザウイルス感染の経験がない(あるいは少ない)小児患者ではウイルス排除に必要な免疫が十分に誘導されず、耐性ウイルスが発生しやすい可能性がある。小児患者でのゾフルーザの使用については、耐性ウイルス出現のリスクを考慮した慎重な判断が望まれる」とコメントしている。

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032)学会会場で繰り広げられる質疑応答バトル【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第32回 学会会場で繰り広げられる質疑応答バトルしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆皆さまにとってもおなじみであろう、学術集会。皮膚科は、年に一度の総会をはじめ、地方会や支部会、真菌やアレルギーといった専門分野ごとなど、毎月何かしらの学会が各地で催されています。症例報告や教育講演など、毎回とても勉強になる内容で、私も時間がとれる限り参加しているのですが、講演後の質疑応答はたびたび目にする場面ですよね。今回は、つい先日の学会での一幕。お互いに専門分野をお持ちの先生方同士、譲れない主張をお持ちなのでしょう。そのやりとりもまた勉強になる内容ではありますが、なにぶん限られた時間でのこと。なかなか終結しない議論に、見ているこちらもハラハラしてしまいます。最終的に、座長の一声でまとまる(もしくは強制終了する)訳ですが、それを待つ間のなんとも言えない緊張感、学会あるある!(笑)一番ハラハラしているのは、実はその場を収めなければならない座長の先生かもしれませんね。ところで、新専門医制度が始まって以来、どこの学会会場も盛況な気がしています。人気セッションで立ち見が出たり、ランチョンチケットの争奪戦だったり・・・。そういった、質疑応答とはまた違った意味での緊張感も生まれている気がします。今後の会場キャパシティ拡大に期待を寄せつつ…!それでは、また~!

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C型肝炎ウイルスの薬剤耐性変異、世界規模で検証

 直接作用型抗ウイルス治療薬(DAA)の登場により、C型肝炎の治療は大幅に改善された。しかしその治療奏効率は、C型肝炎ウイルス(HCV)の薬剤耐性変異により低下する可能性がある。現在、DAAにはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬があり、それぞれグレカプレビル、ピブレンタスビル、ソホスブビルなどが臨床で使用されている。今回、それらに対する耐性変異について、世界的状況を中国・復旦大学のZhenqiu Liu氏らがメタ解析により検討した。その結果、114個の耐性変異を同定し、頻度や種類は日本、米国、ドイツ、タイ、英国で多いことを示した。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2019年11月1日号掲載の報告。 DAAの耐性変異に関連した文献を検索し、32ヵ国の計50件を選択した。最終的に49,744例のHCV感染患者をメタ解析に組み込み、変異部位と頻度を検討した。変異の世界的な分布は、Los Alamos HCV 配列データベースに登録された12,612例のサンプルより検討した。薬剤の50%効果濃度(EC50)が野生型の2倍以上となる変異を、耐性変異と定義した。DAA投与後に出現した変異は解析から除外した。 メタ解析より、56個のアミノ酸変異と114個の点変異を同定した。HCVの遺伝子型別に見ると、変異の頻度はジェノタイプ6型で最も高かった。変異の種類別に見ると、とくにジェノタイプ1a型のQ80KやY93Tで頻度が高かった。ジェノタイプ1a型のQ80K多型は、DAA治療によるウイルス学的著効(SVR)率を大幅に低下させたことが報告されている。 次に地域ごとの耐性変異の頻度は、NS3/4Aではブラジル(25.0%、95%CI:11.2~36.3%)、ベトナム、ロシアで高かった。NS5Aではポルトガル(33.3%、95%CI:16.9~55.3%)、ロシア(25.0%、95%CI:6.3~62.2%)で高かった。NS5Bでは台湾(34.3%、95%CI:14.9~60.9%)、オーストラリア(28.2%、95%CI:17.3~42.6%)で高かった。また耐性変異ウイルスの種類は日本で最も多く、タイ、米国、ドイツ、英国と続いた。 研究グループは、とくに耐性変異の頻度が高い地域のHCV感染患者では、DAA治療を開始する前に変異の検査を実施するべきだと述べている。

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