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GIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutideの有効性・安全性/Lancet

 2型糖尿病患者の治療において、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、グルカゴンの3つの受容体の作動活性を有する新規単一ペプチドretatrutideは、プラセボと比較して、血糖コントロールについて有意かつ臨床的に意義のある改善を示すとともに、頑健な体重減少をもたらし、安全性プロファイルはGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬とほぼ同様であることが、米国・Velocity Clinical Research at Medical CityのJulio Rosenstock氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年6月26日号で報告された。米国の無作為化プラセボ/実薬対照第II相試験 本研究は、米国の42施設が参加した二重盲検無作為化ダブルダミー・プラセボ/実薬対照第II相試験であり、2021年5月~2022年6月の期間に患者のスクリーニングと無作為化が行われた(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。 年齢18~75歳、HbA1c値7.0~10.5%(53.0~91.3mmol/mol)、BMI値25~50の2型糖尿病患者が、スクリーニング前の少なくとも3ヵ月間、食事療法と運動療法のみの治療、または安定用量のメトホルミン(≧1,000mg、1日1回)による治療を受けた後、次の8つの群(いずれも週1回皮下投与)に、2対2対2対1対1対1対1対2の割合で無作為に割り付けられた。 (1)プラセボ、(2)デュラグルチド1.5mg、(3)retatrutide 0.5mg、(4)同4mg(開始用量2mg)、(5)同4mg(漸増せず)、(6)同8mg(開始用量2mg)、(7)同8mg(開始用量4mg)、(8)同12mg(開始用量2mg)。 主要エンドポイントは、ベースラインから24週時点までのHbA1cの変化であり、副次エンドポイントには、36週時点までのHbA1cおよび体重の変化が含まれた。 281例が登録され、プラセボ群に45例、デュラグルチド1.5mg群に46例、retatrutide 0.5mg群に47例、同4mg漸増群に23例、同4mg群に24例、同8mg緩徐漸増群に26例、同8mg急速漸増群に24例、同12mg漸増群に46例が割り付けられた。全体の平均年齢は56.2(SD 9.7)歳、女性が156例(56%)で、平均糖尿病罹患期間は8.1(SD 7.0)年、白人が235例(84%)であり、平均HbA1cは8.3%(SD 1.1)、平均BMI値は35.0(SD 6.3)、平均体重は98.2kg(SD 21.1)であった。脂質プロファイルを改善し、血圧を低下させる効果も 24週時におけるHbA1cのベースラインからの最小二乗平均変化は、プラセボ群が-0.01%(SE 0.21)、デュラグルチド1.5mg群が-1.41%(0.12)であったのに対し、retatrutide 0.5mg群は-0.43%(0.20)、4mg漸増群は-1.39%(0.14)、4mg群は-1.30%(0.22)、8mg緩徐漸増群は-1.99%(0.15)、8mg急速漸増群は-1.88%(0.21)、12mg漸増群は-2.02%(0.11)であった。 retatrutideによるHbA1cの低下は、プラセボ群と比較して0.5mg群を除く5つの群で有意に大きく(いずれもp<0.0001)、デュラグルチド1.5mg群との比較では8mg緩徐漸増群(p=0.0019)と12mg漸増群(p=0.0002)で有意に大きかった。36週時にも、これらと一致した知見が得られた。 また、体重は36週の時点でretatrutideの用量依存性に減少し、減少率は0.5mg群3.19%(SE 0.61)、4mg漸増群7.92%(1.28)、4mg群10.37%(1.56)、8mg緩徐漸増群16.81%(1.59)、8mg急速漸増群16.34%(1.65)、12mg漸増群16.94%(1.30)であった。プラセボ群の体重減少率は3.00%(0.86)、デュラグルチド1.5mg群は2.02%(0.72)だった。 体重減少は、プラセボ群と比較してretatrutideの用量が4mg以上の群ではいずれも有意に大きく(4mg漸増群:p=0.0017、これ以外のすべての群:p<0.0001)、デュラグルチド1.5mg群との比較でも4mg以上の群で有意に大きかった(いずれもp<0.0001)。 軽度~中等度の消化器系の有害事象(吐き気、下痢、嘔吐、便秘など)が、retatrutide群の35%(67/190例、0.5mg群の13%[6/47例]から8mg急速漸増群の50%[12/24例]までの範囲)、プラセボ群の13%(6/45例)、デュラグルチド1.5mg群の35%(16/46例)で発現した。試験期間中に重篤な低血糖の報告はなく、死亡例もなかった。 著者は、「同時に、retatrutideは脂質プロファイルを改善し、血圧を低下させ、心代謝系のアウトカムを全般的に改善した」とし、「これら第II相試験の知見は、2型糖尿病および他の肥満関連合併症を有する肥満患者を対象とする第III相試験において、retatrutideの有効性と安全性をさらに検討することを支持するものである」と指摘している。

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医療裁判にも影響か?肝機能の指標がALT>30に

 肝機能検査として血液検査で汎用されるALT値。今後、これが30を超えていたら、プライマリ・ケア医やかかりつけ医による肝疾患リスクの確認が必要となる―。6月に開催された第59回日本肝臓学会総会にて、ALT>30を指標とする『奈良宣言』が公表された。これは、かかりつけ医と消化器内科医が適切なタイミングで診療連携することで患者の肝疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的に、さまざまなエビデンスに基づいて設定された。記者会見では吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器内科学 教授/日本肝臓学会理事)らが本宣言の背景や目的を説明しており、今回ケアネットでは日本肝臓学会理事で本宣言での特別広報委員を務める江口 有一郎氏(江口病院 ロコメディカル総合研究所 所長)に独自取材を行った。「ALT>30」の根拠と利点 ALTの新たな指標設定の理由は、以下のとおりである。(1)シンプルで健診や一般診療で汎用されている項目(2)英文も含めて基準値に関する文献が多数存在する(3)わが国の特定保健診査(特定健診)および人間ドック学会の基準値はALT30以下(4)特定健診や人間ドック学会の基準値は日本消化器病学会肝機能研究班の意見書に基づいて決定 今回、なぜこのような基準値を設けたのか、プライマリ・ケア医としても第一線で活躍する江口氏によると「これまでは“肝炎ウイルス検査を受けましょう”とか“肝臓は沈黙の臓器”というように文脈で注意喚起を行っていた。しかし、それでは捉え方に個人差が生じてしまうため、行動経済学の観点を盛り込み、参照点※を明確にするために、一般の方でも聞き覚えのある検査指標であるALTに注目して基準を設けた」と説明した。一般市民の方は「ALT>30でかかりつけ医を受診しましょう」と言われても、基準値範囲内であり自覚症状もなければ、健康指導を受けるだけと思ってしまいがちである。しかし、「明確な基準がなかったことから亡くなった方が多くいるのは事実であり、B型・C型肝炎の患者会や原告団の方々もこの宣言に賛成の意を示され、これ以上肝臓で苦しむ人を増やしたくないとおっしゃっている」と話した。※参照点(Reference Point):プロスペクト理論における利得と損失の判断を分ける基準点学会が宣言した指標、裁判にも影響か また同氏によると、宣言後に本指標を無視してしまうと、注意義務違反が生じる場合もあるという。「肝硬変や肝臓がんは年数を経て病態が進行していく疾患なので、ある患者がこの宣言以降に人間ドックでALTが35だったとしましょう。しかし、医師は基準値内だからと次の行動を起こさず、翌年にその患者が肝硬変になって“医師に検査を進めてもらえなかった”と医療裁判を起こしたらどうだろうか」と例示し、「ある弁護士からは医師側が敗訴する可能性が十分ありうるといった見解を受けたため、医療安全の観点からも医療者に周知していく必要がある」と医師側のリスクを指摘した。同氏によるとこの宣言の指標が浸透するには1~2年はかかるそうだが、その間に医師一人ひとりが新たな指標を意識し、注意しておく必要がありそうだ。 なお、今回の宣言は『日本における主要な臨床検査項目の共用検査範囲』(日本臨床検査標準協議会)では基準値内の症例も対象となるが、健康成人の約15%でALT>30を満たすとの報告があることから、この宣言がプライマリ・ケア医やかかりつけ医の診療に影響を与えうるとも学会は見解を示している。さらに、厚生労働省が作成した令和6年度版の『標準的な健診・保健指導 プログラム』での健診検査項目の保健指導判定値及び受診勧奨判定値(別紙5)において、保健指導判定値(ALT≧31、AST≧31)として記されている点は、本指標の明確な根拠である。 現在、YouTubeにて「奈良宣言2023 over30 せんとくん」が公開されており、視聴回数は38万回を突破している(7/14時点)。このようなSNSを活用した市民啓発にも力を入れている同氏は「国内では日本糖尿病学会や日本動脈硬化学会などが疾患予防啓発の一環として、熊本宣言や大阪宣言を行っている。肝臓学会も50年もの歴史のなかでこのようなステートメントを提言したのは初の試みであり、大きなことと言える。ぜひ、慢性肝臓病(Chronic Liver Disease:CLD)予防のために患者さんの検査値をチェックし、ほかの検査値と複合的に診断・鑑別、そして専門医への紹介を行ってもらいたい」とし、「日本肝臓学会では奈良宣言特設サイトを設け、一般市民や患者向けの説明リーフレットなどの患者啓発ツールを自由にダウンロードして使えるよう用意しているので、ぜひ活用してほしい」と締めくくった。

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7月14日 内臓脂肪の日【今日は何の日?】

【7月14日 内臓脂肪の日】〔由来〕「内臓脂肪」の頭文字「な(7)い(1)し(4)」と読む語呂合わせから、内臓脂肪の蓄積が将来の健康リスクに繋がることへの啓発と健やかに過ごし、自分の健康を見つめ直す機会とすることを目的に株式会社ファンケルが制定。関連コンテンツ抗肥満薬「アライ」がダイレクトOTCとして薬局で購入可能に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】「つい食べてしまう」という患者さん【糖尿病外来NGワード】内臓脂肪指数は大腸がん発症の予測因子~日本人コホート全粒粉穀物がもたらす身体への効果/日本糖尿病学会2型DM発症リスク、肥満でなくても腹囲が影響/BMJ

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高齢者の片頭痛患者に対する抗CGRP抗体の安全性・有効性

 抗CGRPモノクローナル抗体は、片頭痛治療において顕著な有効性および忍容性が認められているが、高齢者に対する使用データについては、臨床試験では暗黙の年齢制限があり、リアルワールドのエビデンスも限られていることから、十分であるとは言えない。スペイン・バルセロナ大学のAlbert Munoz-Vendrell氏らは、65歳以上の片頭痛患者を対象に抗CGRPモノクローナル抗体であるエレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブの安全性および有効を評価するため、検討を行った。その結果、リアルワールドにおける65歳以上の片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、安全かつ効果的な治療法であることを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2023年6月2日号の報告。 本研究は、スペインの頭痛治療施設18施設からプロスペクティブにデータを収集し、レトロスペクティブに分析を実施した観察研究である。対象は、抗CGRPモノクローナル抗体による治療を開始した65歳以上の片頭痛患者。主要エンドポイントは、治療6ヵ月後の1ヵ月当たりの片頭痛に数の減少および副作用の発生とした。副次的エンドポイントは、頭痛の軽減、治療3ヵ月および6ヵ月後の薬剤投与頻度、治療反応率、患者報告による転帰の変化、治療中止理由とした。サブ分析として、1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少と副作用発現率を薬剤間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は162例(年齢中央値:68歳、範囲:65~87歳、女性の割合:74.1%)であり、脂質異常症(42%)、高血圧症(40.3%)、糖尿病(8%)、心血管虚血性疾患(6.2%)などの既往歴が認められた。・治療6ヵ月後の1ヵ月当たりの片頭痛の数の減少は、10.1±7.3日であった。・副作用が認められた患者の割合は25.3%、いずれも軽症で、血圧上昇は2例のみであった。・患者報告では、頭痛および薬剤の投与頻度の有意な減少が報告され、転帰の改善が認められた。・1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少率別の患者割合は、以下のとおりであった。 ●1ヵ月当たりの片頭痛日数30%以上減少:68% ●1ヵ月当たりの片頭痛日数50%以上減少:57% ●1ヵ月当たりの片頭痛日数75%以上減少:33% ●1ヵ月当たりの片頭痛日数100%減少:9%・治療6ヵ月後の治療継続率は、72.8%であった。・片頭痛日数の減少は、各薬剤同様であったが、フレマネズマブの副作用発現率は低かった(7.7%)。

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肥満2型DMでのチルゼパチド、体重減少にも有効/Lancet

 過体重または肥満の2型糖尿病患者において、チルゼパチド10mgおよび15mgの週1回72週間皮下投与は、体重管理を目的とした他のインクレチン関連薬と同様の安全性プロファイルを示し、臨床的に意義のある大幅な体重減少をもたらしたことが示された。米国・アラバマ大学バーミンガム校のW Timothy Garvey氏らが、7ヵ国の77施設で実施された第III相国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SURMOUNT-2試験」の結果を報告した。肥満2型糖尿病患者の健康状態を改善するためには、体重減少が不可欠である。チルゼパチドは持続性のGIP/GLP-1受容体作動薬で、非2型糖尿病の肥満患者を対象としたSURMOUNT-1試験では、72週間のチルゼパチドによる治療で体重が最大20.9%減少することが認められていた。Lancet誌オンライン版2023年6月24日号掲載の報告。BMI 27以上の2型DM患者で、チルゼパチド10mgまたは15mgをプラセボと比較 研究グループは、BMI値27以上、HbA1c 7~10%の2型糖尿病成人患者(18歳以上)を、チルゼパチド10mg群、15mg群またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、週1回72週間皮下投与した(週1回2.5mgから投与を開始し、4週ごとに2.5mgずつ増量)。スクリーニング前3ヵ月以内に体重が5kg以上変化した患者、肥満に対する外科的治療を受けたことがあるまたは予定されている患者、抗肥満薬、DPP-4阻害薬、経口GLP-1受容体作動薬または2型糖尿病の注射薬を投与されていた患者は除外した。すべての試験参加患者、研究者およびスポンサーは治療割り付けをマスクされた。 主要エンドポイントは2つで、ベースラインから72週までの体重変化率および72週時点のベースラインからの体重減少が5%以上を達成した患者の割合とした。治療レジメンの推定は、治療の中止または抗高血糖レスキュー治療開始を問わず有効性を評価した。 有効性と安全性のエンドポイントの解析評価は、無作為化されたすべての患者のデータを用いて行われた。72週間で体重減少最大14.7%、5%以上体重減少の達成率は79~83% 2021年3月29日~2023年4月10日に1,514例が適格性の評価を受け、938例が無作為化された(チルゼパチド10mg群312例、15mg群311例、プラセボ群315例)。患者背景は、平均年齢54.2±10.6歳、女性476例(51%)、白人710例(76%)、ヒスパニック系/ラテン系561例(60%)であった。また、ベースラインの平均体重は100.7±21.1kg、BMIは36.1±6.6、HbA1cは8.02±0.89%であった。 72週時の体重のベースラインからの最小二乗平均変化率はチルゼパチド10mg群-12.8%(標準誤差[SE]0.6)、15mg群-14.7%(0.5)、プラセボ群-3.2%(0.5)であり、プラセボとの群間差はチルゼパチド10mg群-9.6ポイント(95%信頼区間[CI]:-11.1~-8.1)、15mg群-11.6ポイント(95%CI:-13.0~-10.1)であった(いずれもp<0.0001)。また、72週時の5%以上体重減少達成率は、プラセボ群32%に対し、チルゼパチド10mg群79%、15mg群83%であり、チルゼパチド群で高かった(いずれもp<0.0001)。 チルゼパチドの主な有害事象は、悪心、嘔吐、下痢などの胃腸障害で、多くが軽度~中等度であり、治療中止に至った有害事象はほとんどなかった(<5%)。重篤な有害事象は、全体で68例(7%)が報告された。チルゼパチド10mg群で死亡が2例確認されたが、治験責任医師によりチルゼパチドとの関連はないと判断された。

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2型DMでのorforglipron、HbA1c低下に最適な用量-第II相/Lancet

 新規の経口非ペプチドGLP-1受容体作動薬orforglipronは、12mg以上の用量でプラセボまたはデュラグルチドと比較しHbA1cおよび体重の有意な減少を示し、有害事象のプロファイルは同様の開発段階にある他のGLP-1受容体作動薬と類似していた。米国・Velocity Clinical ResearchのJuan P. Frias氏らが、米国、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの45施設で実施された26週間の第II相多施設共同無作為化二重盲検用量反応試験の結果を報告した。orforglipronは2型糖尿病および肥満症の治療薬として開発中で、今回の結果を踏まえて著者は、「orforglipronは、2型糖尿病患者にとって少ない負担で治療目標を達成することが期待でき、GLP-1受容体作動薬の注射剤や経口セマグルチドに代わる治療薬となる可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年6月24日号掲載の報告。BMI値23以上の2型DM、orforglipron各用量vs.プラセボvs.デュラグルチド 研究グループは、18歳以上の2型糖尿病患者で、HbA1c 7.0~10.5%、BMI値23以上、無作為化前3ヵ月間体重が安定している(増減が5%以下)患者を、プラセボ群、デュラグルチド(1.5mg週1回皮下投与)群、orforglipron 3mg、12mg、24mg、36mg(グループ1)、36mg(グループ2)、45mg(グループ1)、45mg(グループ2)(1日1回投与)各群に、5対5対5対5対5対3対3対3対3の割合で無作為に割り付けた。36mgと45mgのコホートは、それぞれグループ1と2で異なる用量漸増レジメンが検討された。試験参加者は、試験薬、デュラグルチド、プラセボについてマスクされた。 主要有効性アウトカムは、orforglipron各用量群vs.プラセボ群の26週時におけるベースラインからのHbA1cの平均変化とした。副次アウトカムは、orforglipron各用量群vs.デュラグルチド群の26週時におけるベースラインからのHbA1cの平均変化とした。また、ベースラインからの体重の変化なども評価した。 有効性の解析対象集団は、無作為化され少なくとも1回治験薬の投与を受けた全患者で、投与中止またはレスキュー治療開始後のデータは除外した。安全性は、少なくとも1回の治験薬投与を受けた全患者を対象に評価した。orforglipron群のHbA1c、全用量でプラセボより、12mg以上でデュラグルチドより低下 2021年9月15日~2022年9月30日に569例がスクリーニングを受け、383例が無作為化された。352例(92%)が試験を完遂し、303例(79%)が26週間の治療を完遂した。ベースラインの患者背景は、平均値がそれぞれ年齢58.9歳、HbA1c 8.1%、BMI値35.2で、男性226例(59%)、女性157例(41%)であった。 26週時のHbA1cの平均変化は、orforglipron群-1.2%(3mg群)~-2.1%(45mg群)、プラセボ群-0.4%、デュラグルチド群-1.1%であった。orforglipronの全用量群で、HbA1c低下に関してプラセボ群に対する優越性が認められた(群間差:-0.8~-1.7%、全用量群のp<0.0001)。また、orforglipronの12mg以上の用量群ではHbA1c低下に関して、デュラグルチド群に対する優越性が認められた。 26週時の体重の平均変化は、orforglipronで-3.7kg(3mg群)~-10.1kg(45mg群)、プラセボ群-2.2kg、デュラグルチド群-3.9kgであった。 治療下の有害事象の発現率は、orforglipron群61.8%~88.9%、プラセボ群61.8%、デュラグルチド群56.0%で、多くは軽度から中等度の胃腸障害であった(orforglipron群44.1%~70.4%、プラセボ群18.2%、デュラグルチド群34.0%)。orforglipron群で3例、デュラグルチド群で1例に臨床的に明らかな低血糖(<54mg/dL)が発現したが、重症低血糖は報告されなかった。死亡は、プラセボ群で1例報告されたが、試験とは関連がなかった。

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セマグルチド+cagrilintide配合皮下注、HbA1c低下に有効/Lancet

 2型糖尿病患者に対するセマグルチドとcagrilintideの皮下投与配合剤CagriSemaは、臨床的に意義のある血糖コントロール(持続血糖モニタリング[CGM]パラメータなど)の改善に結び付いたことが、米国・Velocity Clinical ResearchのJuan P. Frias氏らが行った、第II相多施設共同二重盲検無作為化試験で示された。CagriSemaによるHbA1c値の平均変化値は、cagrilintide単独よりも大きかったが、セマグルチド単独とは同等だった。体重は、CagriSema治療がcagrilintideやセマグルチドと比較して有意に大きく減少した。結果を踏まえて著者は、「今回のデータは、同様の集団を対象とした、より長期かつ大規模な第III相試験で、CagriSemaに関するさらなる試験を行うことを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年6月23日号掲載の報告。メトホルミン治療中患者を対象に、CagriSema vs.セマグルチドvs. cagrilintide 試験は2021年8月~2022年7月に、米国の17医療機関で32週にわたって行われた。 BMI値27以上でメトホルミン治療中(SGLT2阻害薬服用の有無は問わず)の2型糖尿病成人患者を、無作為に1対1対1の3群に割り付け、CagriSema、セマグルチド、cagrilintide(いずれも2.4mgまで漸増)をそれぞれ週1回皮下投与した。無作為化は、中央で双方向ウェブ応答システムを用いて行い、SGLT2阻害薬服用の有無で層別化もした。被験者、試験担当医、試験出資者側スタッフは、試験期間中、治療割り付けをマスクされた。 主要エンドポイントは、HbA1c値のベースラインからの変化で、副次エンドポイントは体重、空腹時血糖値、CGMパラメータおよび安全性などだった。 有効性に関する解析は、無作為化された全被験者を対象に行った。安全性に関する解析は、無作為化後に試験薬を1回以上投与された被験者を対象に行った。32週のHbA1c値、CagriSemaはcagrilintideより有意に低下、セマグルチドとは同等 2021年8月2日~10月18日に、被験者92例が、CagriSema群(31例)、セマグルチド群(31例)、cagrilintide群(30例)に無作為化された。59例(64%)が男性、平均年齢は58歳(SD 9)だった。 HbA1c値のベースラインから32週までの平均変化は、CagriSema群-2.2ポイント(平均変化値[SE]:0.15)、セマグルチド群-1.8ポイント(0.16)、cagrilintide群-0.9ポイント(0.15)だった。CagriSema群は、cagrilintide群よりも有意に変化幅が大きかった(推定治療群間差:-1.3ポイント、95%信頼区間[CI]:-1.7~-0.8、p<0.0001)が、セマグルチド群とは有意差は認められなかった(-0.4ポイント、-0.8~0.0、p=0.075)。 ベースラインから32週までの体重の平均変化は、CagriSema群-15.6%(SE:1.26)、セマグルチド群-5.1%(1.26)、cagrilintide群-8.1%(1.23)と、CagriSema群はセマグルチド群、cagrilintide群のいずれよりも減少幅が有意に大きかった(両比較のp<0.0001)。 ベースラインから32週までの空腹時血糖値の平均変化は、CagriSema群が-3.3mmol/L(SE 0.3)、セマグルチド群-2.5mmol/L(0.4)、cagrilintide群-1.7mmol/L(0.3)で、CagriSema群はcagrilintide群と比べて有意に変化幅が大きかったが(p=0.0010)、セマグルチド群とは同等だった(p=0.10)。 time in range(TIR、3.9~10.0mmol/L)は、ベースラインではCagriSema群45.9%、セマグルチド群32.6%、cagrilintide群56.9%だったが、32週後にはそれぞれ、88.9%、76.2%、71.7%に上昇した。 有害事象は、CagriSema群21例(68%)、セマグルチド群22例(71%)、cagrilintide群24例(80%)で報告された。また、軽度~中等度の消化器系有害事象が多くみられたが、レベル2~3の低血糖や致死的有害事象は報告されなかった。

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bempedoic acid、高リスクのスタチン不耐患者の1次予防に有効/JAMA

 心血管イベントのリスクが高いスタチン不耐の患者の1次予防において、bempedoic acidはプラセボと比較して、4項目の主要有害心血管イベント(MACE:心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、冠動脈血行再建)の発生率が有意に低く、有害事象の頻度は全般に同程度であることが、米国・クリーブランドクリニックのSteven E. Nissen氏らが実施した「CLEAR Outcomes試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月24日号に掲載された。32ヵ国1,250施設の無作為化臨床試験 CLEAR Outcomes試験は、32ヵ国1,250施設が参加した無作為化臨床試験であり、2016年12月~2019年8月の期間に、患者の登録が行われた(Esperion Therapeuticsの助成を受けた)。 対象は、年齢18~85歳、LDLコレステロール(LDL-C)値が100mg/dL(2.59mmol/L)以上で、初発の心血管イベントのリスクが高い臨床的特徴を有し、スタチン不耐で臨床的イベントの既往歴のない1次予防の患者であった。 被験者は、bempedoic acid(180mg、1日1回)またはプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要アウトカムは、無作為化から、4項目MACEのいずれかが最初に発生するまでの期間であった。 スタチン不耐の1万3,970例(最大の解析対象集団)のうち、4,206例(30%)が1次予防の基準を満たした。2,100例がbempedoic acid群に、2,106例はプラセボ群に割り付けられた。1次予防患者全体の平均年齢は67.9(SD 6.8)歳、59.0%が女性で、66.1%は糖尿病であり、19.3%はスタチン、8.0%はエゼチミブの投与を受けていた。平均LDL-C値は142.5mg/dL、平均HDL-C値は51.0mg/dL、トリグリセライドの中央値は161.8mg/dLだった。6ヵ月でLDL-C値が21.3%、hsCPRが21.5%減少 治療開始から6ヵ月後に、LDL-C値は、bempedoic acid群ではベースラインの142.2mg/dLから108.2mg/dLへと34.0mg/dL(最小二乗平均[LSM])低下し、プラセボ群では142.7mg/dLから138.6mg/dLへと3.8mg/dL(LSM)低下しており、プラセボ群と比較してbempedoic acid群は30.2mg/dL(LSM)(21.3%)低かった。 また、高感度C反応性蛋白(hsCRP)は、bempedoic acid群ではベースラインの2.39mg/Lから6ヵ月後には1.75mg/Lへと0.34mg/L(LSM)低下し、プラセボ群では2.44mg/Lから2.52mg/Lへと0.01mg/L(LSM)増加しており、プラセボ群と比較してbempedoic acid群は0.56mg/L(LSM)(21.5%)低かった。 フォローアップ期間中央値39.9ヵ月の時点で、主要エンドポイント(4項目MACE)の発生率は、プラセボ群が7.6%(161イベント)であったのに対し、bempedoic acid群は5.3%(111イベント)と有意に低かった(補正後ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.55~0.89、p=0.002)。 副次エンドポイントである3項目MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生率は、bempedoic acid群が良好であった(bempedoic acid群4.0% vs.プラセボ群6.4%、HR:0.64[95%CI:0.48~0.84]、p<0.001)。また、致死的または非致死的心筋梗塞(1.4% vs.2.2%、HR:0.61[95%CI:0.39~0.98])、心血管死(1.8% vs.3.1%、0.61[0.41~0.92])、全死因死亡(3.6% vs.5.2%、0.73[0.54~0.98])の発生率も、bempedoic acid群で優れた。 一方、致死的または非致死的脳卒中(bempedoic acid群1.3% vs.プラセボ群1.8%、HR:0.76[95%CI:0.46~1.26])と、冠動脈血行再建(2.4% vs.3.2%、0.71[0.49~1.03])の頻度には両群間に差を認めなかった。 重篤な有害事象(bempedoic acid群19.9% vs.プラセボ群20.8%)や投与中止をもたらした有害事象(9.9% vs.9.9%)の頻度は両群間で同程度であった。肝酵素上昇(4.5% vs.2.6%)や腎臓の有害事象(10.3% vs.8.1%)はbempedoic acid群で多かった。また、高尿酸血症(12.1% vs.6.3%)、痛風(2.6% vs.2.0%)、胆石症(2.5% vs.1.1%)もbempedoic acid群で高頻度だった。 著者は、「この研究は大規模臨床試験のサブグループのアウトカムを報告したものであり、今回の結果は有益性の決定的なエビデンスというより、仮説を生成するものとして解釈すべきである」としている。

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英語で「めまいがします」は?【1分★医療英語】第88回

第88回 英語で「めまいがします」は?Could you describe what you mean by feeling dizzy?(めまいがするというのはどのような感じか説明してもらえますか?)It’s like the room is spinning. (部屋が回っているような感じがします)《例文1》I feel dizzy when I move my head. (頭を動かすとめまいがします)《例文2》I have had a spinning sensation since this morning.(今朝からぐるぐる回るような感覚があります)《解説》「めまい」に関する訴えは英語でもさまざまな表現があります。代表的なものは「めまいがする」という意味の“to feel dizzy”ですが、「部屋が回っているような感じがする」という意味になる“I have a spinning sensation”、“ I feel like the room is spinning”などという訴えもよく聞かれます。また、単に「ぐるぐるする感覚がある」という意味で、“to feel giddy”などの表現も使われます。たとえば、“I felt a bit giddy when I got out of bed this morning.”(今朝ベッドから出た時に、少しぐるぐるする感覚がありました)となります。そのほか、同じような状況で使われる表現として、「気が遠くなる感じがする」や「気を失いそうになる感じがする」というのは、“I feel faint”、“ I have a lightheadedness”などと表現します。また、バランスを失いそうになる感覚がある時には“I feel woozy”という言い方があり、めまい感を表現する時にもよく使われます。講師紹介

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第171回 米国でフル承認のアルツハイマー病薬lecanemabの患者負担のほどは?

病状進行を抑制し、認知機能や日常生活機能の低下を遅らせることが第III相試験(Clarity AD)で裏付けられたことを受けて、エーザイとバイオジェンのアルツハイマー病薬lecanemab(商品名:LEQEMBI)が米国で晴れて承認されました1,2,3)。これまでは取り急ぎの承認でしたが、今回フル承認(traditional approval)に至ったことで同国政府の公的保険メディケアの支払対象になる道が開けます4)。メディケアの受給者は65歳以上の高齢者です。ゆえに、高齢者に多いアルツハイマー病の治療のほとんどはメディケアの支払い対象となります。lecanemabの取り急ぎの承認が不動になったら、医師が治療の経過を記録して提出することを条件に同剤の費用を負担するとメディケアは先月発表しています。ただし全額負担ではありません。同剤の薬価は1年当たり2万6,500ドル(約378万円)です。メディケアは同剤の費用の約80%を支払います。残りの20%ほどを患者は自腹か何らかの手段で捻出する必要があります。米国のもう1つの公的保険メディケイドの受給対象でもある一部の低所得の患者は自己負担が一切なく同剤を使えますが、保険がメディケアだけという患者の同剤使用の1年あたりの自腹出費は6,600ドル(約94万円)にも達します5,6,7)。その額はメディケア受給者の所得中央値の5分の1ほどに相当します。日本でlecanemabは今年1月16日に承認申請されて承認審査段階にあります。今回の米国フル承認までのFDAの扱いと同様に国内でも優先審査されており、間もなく9月までには承認される見込みです。いわゆる“太り過ぎ”レベルのBMIのほうがむしろ死亡率が低い話は変わって肥満未満の太り過ぎの人の死亡率は高くなく、どちらかというとむしろ低いことを示した試験結果を紹介します。試験では米国の成人約50万人を体重指標BMIで9つに区切って中央値9年(0~20年)の経過を比較しました。その結果、BMIが30以上で肥満の域の人では適正とされるBMI範囲(22.5~24.9)の人に比べてさすがに死亡率が高かったものの、肥満域未満の太り過ぎの範囲のBMIの人の死亡率は高くありませんでした8)。BMIが肥満の域に達していない範囲で高い人の死亡率はむしろ低く、BMIが25~27.4の人の死亡率はBMIが22.5~24.9の人より5%低いことが示されました9)。BMIが肥満域により近い27.5~29.9の人はなんともっと死亡率が低く、22.5~24.9の人の死亡率を7%下回りました。病気が原因の体重減少の影響を排除することを目的として追跡開始2年以内の死亡例を除外して解析しても同様の結果となりました。目下の分類で太り過ぎの域にあるBMIの人がそれ以下のBMIの人に比べてより健やかと今回の結果をもって結論するのは時期尚早であり、さらなる検討が必要です。今回の結果から言えることは、BMIは死亡率のうってつけの指標というわけではなさそうということであり、脂肪の体内分布などの他の指標の考慮も必要なようです9,10,11)。カロリー制限時の代謝低下を防ぐホルモンを同定太っていることを一概に不健康と決めつけることはできませんが、体重を減らすことは病気治療の有効な手段の1つでもあります。たとえば、食事のカロリーを抑えて体重を減らすことは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)治療の有効な手立ての1つですし、2型糖尿病患者のインスリンの効きを良くする効果もあります。しかし多くの人の体重減少はたいてい長続きしません。エネルギー消費を抑えるように体が順応してしまうことがその一因ですが、その順応の仕組みはこれまでよくわかっていませんでした。GDF15というホルモンを高脂肪食のネズミに与えると肥満が減り、GDF15の受容体であるGFRALを介した摂食(あるいは食欲)抑制のおかげで血糖値推移が改善することが先立つ研究で知られています。エネルギー消費を抑えてしまう順応をそのGDF15が食い止め、カロリー制限中でもエネルギー消費が維持されるようにする働きを担うことがカナダ・マクマスター大学のチームによる研究で示されました12)。GDF15を与えたマウスの体重は摂取カロリーが同じのGDF15非投与マウスに比べて減り続け、その作用は脂肪ではなく筋肉でのエネルギー消費亢進によることが判明しました。人ではどうかを今後の研究で検証する必要があります。人でのGDF15の働きを調べることで食事に気を付けても体重がなかなか減らない人に有益な手立てをやがて生み出せるかもしれません13)。また、肥満治療として注目を集めるGLP-1標的薬との相乗効果も期待できそうです。今回の研究には肥満治療のGLP-1標的薬を他に先駆けて世に送り出したNovo Nordiskが協力しています。参考1)「LEQEMBI®」(レカネマブ)、アルツハイマー病治療薬として、米国FDAよりフル承認を取得 / エーザイ2)FDA Converts Novel Alzheimer's Disease Treatment to Traditional Approval / PRNewswire3)FDA Grants Traditional Approval for LEQEMBI? (lecanemab-irmb) for the Treatment of Alzheimer's Disease / PRNewswire4)US FDA grants standard approval of Eisai/Biogen Alzheimer's drug / Reuters5)Annual Medicare spending could increase by $2 to $5 billion if Medicare expands coverage for dementia drug lecanemab / UCLA Health6)Explainer: Who is eligible for the new FDA-approved Alzheimer's drug? / Reuters7)Arbanas JC, et al. JAMA Intern Med. 2023 2023 May 11. [Epub ahead of print]8)Visaria A, et al. PLoS One. 2023;18:e0287218. 9)Having an 'overweight' BMI may not lead to an earlier death / New Scientist10)‘Overweight’ BMI might be set too low / Nature11)No increase in mortality for most overweight people, study finds / Eurekalert12)Dongdong Wang D, et al. Nature. 2023;619:143-150.13)Having an 'overweight' BMI may not lead to an earlier death / New Scientist

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減量効果が大きいのは?時間制限食vs.カロリー制限食

 摂取カロリーを制限しない時間制限食は、人気のある減量法となっているが、その有効性のエビデンスは限られている。とくに、長期の影響については明らかになっていない。そこで、米国・イリノイ大学シカゴ校のShuhao Lin氏らは無作為化比較試験を実施し、時間制限食の効果について、カロリー制限食や食事制限なしと比較した。その結果、時間制限食とカロリー制限食はいずれも体重を減少させたが、両者に有意差は認められなかった。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2023年6月27日号で報告された。 本研究の対象は肥満(BMI 30~50)の成人90例であった。対象を時間制限食群(摂取カロリー制限なし、食事は12~20時に制限[16時間絶食])、カロリー制限食群(1日の摂取カロリーを25%削減)、制限なし群(絶食時間は14時間未満)の3群に割り付けた。試験は非盲検で実施され、6ヵ月の減量期間と6ヵ月の維持期間で構成された。評価項目は、試験開始から12ヵ月後までの体重変化、摂取カロリーの変化などであった。 主な結果は以下のとおり。・77例が試験を完遂した。・平均年齢は40歳、黒人が33%、ヒスパニック系が46%であった。・カロリー摂取量の平均変化量は、時間制限食群-425kcal/日、カロリー制限食群-405kcal/日であった。・12ヵ月後の制限なし群と比較した体重変化量は、時間制限食群-4.61kg(95%信頼区間[CI]:-7.37~-1.85、p≦0.01)カロリー制限食群-5.42kg(同:-9.13~-1.71、p≦0.01)であり、両群ともに制限なし群と比較して有意に体重が減少したが、両群間には有意差は認められなかった。

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事例027 アムロジピン錠の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例ではレザルタス配合錠HD(一般名:オルメサルタンメドキソミル/アゼルニジピン、以下「配合錠HD」)とアムロジピン錠(一般名同じ)を組み合わせて処方をしたところ、アムロジピン錠がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。査定の理由を調べるために、まずはアムロジピンの添付文書を参照しました。持続性Ca拮抗薬に分類され、通常5mgを1日1回経口投与する。また、「効果不十分な場合は10mgまで増量できる」と記載されています。とくに、問題は見当たりません。次に、配合錠HDの添付文書を参照しました。高親和性ARB(アンジオテンシンII受容体阻害剤)オルメサルタンメドキソミル20mgと持続性Ca拮抗薬アゼルニジピン16mgの配合薬と記載があります。また、1日最大量はそれぞれ40mgと16mgまで増量可能と記載があります。ARBに対しては、1日最大量以内ですが、アゼルニジピンをみると、配合錠HD1錠に最大量が含まれていることがわかります。したがって、配合剤HDでは効果が不十分であったことを理由にアムロジピン5mgを追加したところ、持続性Ca拮抗薬の1日量上限を超えてしまったことが、査定の理由だと推測できます。薬剤処方システムに対して、同一分類の薬剤処方にはアラートを表示させるように改修し、レセプトチェックシステムにも事例のパターンを登録して査定対策としました。

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経口セマグルチド50mg、肥満非2型糖尿病の体重減を確認/Lancet

 2型糖尿病を伴わない過体重または肥満の成人において、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチド50mgの68週間の1日1回経口投与は、平均15%の体重減少をもたらし、参加者の85%で臨床的に意義のある体重減少(5%以上)を達成し、安全性プロファイルは同薬2.4mgの皮下投与やGLP-1受容体作動薬クラス全体のデータとほぼ一致することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のFilip K. Knop氏らが実施した「OASIS 1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年6月25日号に掲載された。9ヵ国50施設の無作為化プラセボ対照比較試験 OASIS 1試験は、日本を含む9ヵ国50施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年9月13日~11月22日の期間に参加者の登録が行われた(Novo Nordiskの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上(日本では20歳以上)、BMI値が30以上、またはBMI値27以上で少なくとも1つの体重関連の合併症または併存疾患(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症、心血管疾患)を有し、2型糖尿病のない患者であった。 被験者は、生活様式への介入に加え、セマグルチド(3mgから開始し、16週で維持用量の50mgまで増量)またはプラセボを、68週間1日1回経口投与する群に無作為に割り付けられた。治療終了後は7週間のフォローアップが行われた。 複合主要エンドポイントは、68週時の体重の変化率と5%以上の体重減少の達成であった。3分の2で10%以上、半数で15%以上、3分の1で20%以上の減量 667例が登録され、セマグルチド群に334例、プラセボ群に333例が割り付けられた。全体の平均年齢は50(SD 13)歳で、485例(73%)が女性であった。平均体重は105.4kg、BMI値37.5、ウエスト周囲長113.6cmであり、494例(74%)が白人だった。 ベースラインから68週までの体重の平均変化率は、プラセボ群が-2.4%(平均変化値[SE]:0.5)であったのに対し、セマグルチド群は-15.1%(SE:0.5)と、減量効果が有意に優れた(推定治療群間差:-12.7ポイント、95%信頼区間[CI]:-14.2~-11.3、p<0.0001)。 また、68週時における5%以上の体重減少の達成割合は、セマグルチド群が85%(269/317例)、プラセボ群は26%(76/295例)であり、セマグルチド群で有意に優れた(オッズ比[OR]:12.6、95%CI:8.5~18.7、p<0.0001)。 同様に、10%以上の体重減少はセマグルチド群が69%(220例)、プラセボ群は12%(35例)(OR:14.7、95%CI:9.6~22.6、p<0.0001)、15%以上はそれぞれ54%(170例)、6%(17例)(17.9、10.4~30.7、p<0.0001)、20%以上は34%(107例)、3%(8例)(18.5、8.8~38.9、p<0.0001)で達成され、いずれもセマグルチド群で良好だった。 有害事象は、セマグルチド群が92%(307/334例)、プラセボ群は86%(285/333例)で発現した。重篤な有害事象は、それぞれ10%(32例)、9%(29例)で、試験薬の投与中止をもたらした有害事象は、6%(19例)、4%(12例)で報告された。消化器系の有害事象(ほとんどが軽度または中等度)は、80%(268例)、46%(154例)で認められた。 著者は、「セマグルチド50mgの経口投与により、多くの参加者で臨床的に意義のある体重減少が誘導され、これに伴い心代謝リスク因子が改善することが示された。したがって、セマグルチド50mgの経口投与は、肥満治療の有効な選択肢となる可能性がある」としている。

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肥満2型DMへの経口セマグルチド、最適な用量・期間は?/Lancet

 十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病成人患者において、経口セマグルチド25mgおよび50mgは糖化ヘモグロビン(HbA1c)値低下および体重減少に関して、同14mgに対する優越性が確認され、安全性に関して新たな懸念は認められなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のVanita R. Aroda氏らが、14ヵ国177施設で実施された第IIIb相多施設共同無作為化二重盲検比較試験「PIONEER PLUS試験」の結果を報告した。セマグルチド1日1回経口投与は2型糖尿病の有効な治療法であり、セマグルチドの経口投与および皮下投与試験の曝露-反応解析では、曝露量の増加に伴いHbA1c値の低下および体重減少が大きくなることが示されていた。Lancet誌オンライン版2023年6月26日号掲載の報告。BMI値25以上、HbA1c値8.0~10.5%の1,606例を対象 研究グループは、HbA1c値8.0~10.5%、BMI値25.0以上、メトホルミン、スルホニルウレア系薬、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬のうち1~3種類の経口血糖降下薬の安定用量を投与されている18歳以上の2型糖尿病患者を登録し、セマグルチド14mg群、25mg群または50mg群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回朝空腹時の経口投与を68週間にわたって行った。 いずれの投与群もセマグルチド3mgから投与を開始し、4週時に7mg、8週時に14mg、その後、25mg群では12週時に25mg、50mg群では12週時に25mg、16週時に50mgに漸増した。また、ベースラインで服用していた経口血糖降下薬は、DPP-4阻害薬のみ中止とし、それ以外は同一の用法・用量で継続した。 主要エンドポイントは、HbA1c値のベースラインから52週時までの変化、検証的副次エンドポイントは体重のベースラインから52週時までの変化とし、intention-to-treat集団を対象に治療指針に基づく推定使用量(試験薬の中止やレスキュー治療の有無を問わない用量)を用いて評価した。また、セマグルチドを1回以上服用した全患者を対象に安全性を評価した。 2021年1月15日~9月29日に2,294例がスクリーニングを受け、1,606例が無作為に割り付けられた(14mg群536例、25mg群535例、50mg群535例)。患者背景は、男性936例(58.3%)、女性670例(41.7%)、平均(±SD)年齢58.2±10.8歳、平均HbA1c値9.0±0.8%、平均体重96.4±21.6kgであった。52週時のHbA1c値と体重の低下、14mg群と比較し25mg群、50mg群が有意に優れる 52週時におけるHbA1cの平均変化値(SE)は、セマグルチド14mg群-1.5%(SE 0.05)、25mg群-1.8%(0.06)、50mg群-2.0%(0.06)であった。治療指針に基づく推定使用量での評価の結果、セマグルチド14mg群に対する推定治療差(ETD)は、セマグルチド25mg群で-0.27%(95%信頼区間[CI]:-0.42~-0.12、p=0.0006)、50mg群で-0.53%(-0.68~-0.38、p<0.0001)であり、セマグルチド14mg群に対する優越性が示された。 52週時における体重の平均変化値(SE)は、セマグルチド14mg群-4.4kg(SE 0.3)、25mg群-6.7kg(0.3)、50mg群-8.0kg(0.3)であった。セマグルチド14mg群に対するETDは、セマグルチド25mg群で-2.32kg(95%CI:-3.11~-1.53、p<0.0001)、50mg群で-3.63kg(-4.42~-2.84、p<0.0001)であり、セマグルチド14mg群に対して優越性が示された。 有害事象は、セマグルチド14mg群で404例(76%)、25mg群で422例(79%)、50mg群で428例(80%)報告された。ほとんどが軽度から中等度であったが、胃腸障害が14mg群と比較して25mg群および50mg群で高率であった。死亡は10例報告されたが、治療との関連はないと判断された。 なお、著者は、用量漸増期間が最大16週と短期間であったこと、セマグルチド25mg群と50mg群の差は検証されていないこと、対象患者の大部分が白人であったことなどを研究の限界として挙げている。

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1日1回の経口orforglipron、肥満成人の体重減少に有効/NEJM

 非糖尿病の肥満成人において、1日1回の経口剤である非ペプチドGLP-1受容体作動薬orforglipronは、体重減少と関連することが示された。orforglipronに関して報告された有害事象は、GLP-1受容体作動薬の注射製剤と類似したものだったという。カナダ・マクマスター大学のSean Wharton氏らが、272例を対象に行った第II相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群比較試験の結果を報告した。肥満は、世界中で疾患および死亡に結びつく重大リスク因子となっており、1日1回の経口orforglipronの肥満成人における体重減少の有効性と安全性に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年6月23日号掲載の報告。orforglipron 12mg~45mg、1日1回投与の有効性と安全性を評価 試験は、肥満または過体重で体重関連の併存疾患が1つ以上ある、非糖尿病の成人を対象に行われた。研究グループは被験者を無作為に5群に分け、orforglipronを12mg、24mg、36mg、45mg、またはプラセボを、それぞれ1日1回36週間投与した。 主要エンドポイントは、26週時点で評価したベースラインからの体重変化(%)で、副次エンドポイントは36週時点の同体重変化(%)とした。消化管関連有害事象により10~17%が服用中止 2021年9月~2022年11月に、272例が無作為化された。ベースラインの平均体重は108.7kg、BMIは37.9だった。 26週時点で評価したベースラインからの平均体重変化率は、orforglipron群が用量依存的に-8.6~-12.6%であったのに対し、プラセボ群は-2.0%だった。36週時点の同平均体重変化率は、orforglipron群が-9.4~-14.7%、プラセボ群は-2.3%だった。 36週までに体重が10%以上減少した被験者の割合は、orforglipron群が46~75%だったのに対し、プラセボ群は9%だった。orforglipron群では、事前規定の体重関連および心血管代謝の指標がすべて改善した。 orforglipron投与で最も多く報告された有害事象は、軽度~中程度の消化管関連事象で、主に用量増加期間に発生し、orforglipron投与群の10~17%の被験者で投与中止につながった。orforglipronの安全性プロフィールは、GLP-1受容体作動薬クラスと一致していた。

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多遺伝子リスクスコアと冠動脈石灰化スコアを比較することは適当なのか?(解説:野間重孝氏)

 pooled cohort equations(PCE)はACC/AHA心血管ガイドラインの一部門であるリスク評価作業部会によって開発されたもので、2013年のガイドラインにおいて、これを使用して一次治療においてアテローム性動脈硬化性心血管病のリスクが高いと判断された患者(7.5%以上)に対する高強度、中強度のスタチンレジメンが推奨され話題となった。現在PCEを計算するためのサイトが公開されているので、興味のある方は開いてみることをお勧めする(https://globalrph.com/medcalcs/pooled-cohort-2018-revised-10-year-risk/)。わが国であまり用いられないのは国情の相違によるものだろうが、米国ではPCE計算に用いられていない付加的指標を組み合わせることにより、精度の向上が議論されることが多く、現在その対象として注目されているのが冠動脈石灰化スコア(CACS)と多遺伝子リスクスコアだと考えて論文を読んでいただけると理解しやすいのではないかと思う。 「多遺伝子リスクスコア」とは一体何なのか、と疑問を持たれている方も多いのではないかと思う。少々極端なたとえになるが、臨床医ならばだれしも初診患者の診察をする際に家族歴を尋ねるのではないだろうか。また、少し年配の方で疫学に関係したことのある方なら、心筋症の家族歴の調査にかなりの時間を費やした経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思う。そこに2003年、ヒトゲノムが解読されるという大事件が起こったのである。その発症に遺伝が関係すると考えられる疾患の基礎研究で、研究方法がゲノム解析に向かって大きく舵を切られたことが容易に理解されるだろう。 一部のがんや難病では単一のドライバー遺伝子変異もしくは原因遺伝子によって説明できることがあるが、糖尿病・心筋梗塞・喘息・関節リウマチ・アルツハイマー認知症etc.など多くの問題疾患はいずれも多因子疾患であり、多数の遺伝的バリアントによって構成される多遺伝子モデル(ポリジェニック・モデル)に従うと考えられる。間接的、網羅的ゲノム解析であるSNPアレイを用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)により、この15年ほどの間に多くの多因子疾患の遺伝性を明らかにされた。さらに近年、数万人を超える大規模なGWASによって、非常に多数の遺伝因子を用いて多遺伝子モデルに従う予測スコア、すなわちいわゆる多遺伝子スコア(ポリジェニック・スコア)が構築され、医療への応用可能性を論じることが可能となってきた。しかしその一方で問題点や限界も明らかになってきており、直接的な臨床応用にはまだ限界があることを考えておかなければならない。また、GWASは主に欧州系の白人を対象に研究された経緯から、他の人種にどのように応用できるかには検討の余地がある。本研究で取り上げられた2つの大規模臨床モデルがいずれも欧州系白人を対象としているのは、このような理由によるものと考えられる。 一方冠動脈石灰化スコア(CACS)は造影剤を用いない心電図同期CTで計測可能な指標で、冠動脈全体の石灰化プラークの程度について石灰化の量にCT値で重み付けすることにより求められ、現在冠動脈全体の動脈硬化負荷の代替指標として確立しているといえる。しかし心筋梗塞や不安定狭心症は必ずしも高度狭窄から起こるわけではなく、プラークの不安定性を評価する指標も必要となる。CCTAでもプラークの不安定性を示す指標がいくつか知られているが、臨床応用にはまだ研究の余地があるといえる。とはいえ、FFR-CTまで含め、冠動脈CT検査は直接的な臨床応用が可能である点がゲノム解析にはない利点であることは確かだといえる。実際ゲノム解析には大変な手間・費用が掛かり、その将来性を否定するものではないが、現段階においてはその臨床応用範囲が、まだ限定的であることは否定できないだろう。 なお、多遺伝子リスクスコアがPCEに加えられることによって予想確度が上がるか否かについては2020年の段階で意見が分かれており、いずれもジャーナル四天王で取り上げられているのでご参考願いたい (「多遺伝子リスクスコアの追加、CADリスク予測をやや改善/JAMA」、「CHD予測モデルにおける多遺伝子リスクスコアの価値とは/JAMA」)。 今回の研究はさまざまな議論を踏まえ、多遺伝子リスクスコアを加えること、CACSを加えることのいずれがPCE予測値をより改善するかを検討したものである。結果は多遺伝子リスクスコア、CACSそれぞれ単独では冠動脈疾患発生を有意に予測したが、PCEに多遺伝子リスクスコアを加えても予測確度は上昇しなかった。一方CACSを加えることによりPCEの予測確度は有意に上昇した。 この研究の結論はそれ自体としては大変わかりやすいものなのだが、そもそも多遺伝子リスクスコアとCACSを同じ土俵で比較することが適当なのか、という疑問が残る。何故なら多遺伝子リスクスコアは原因・素因というべきであり、CACSはいわば結果であるからだ。素因と現にそこに起こっている現象とでは意味が違うのではないだろうか。こうした批判は関係する後天的な因子の果たす役割の大きい生活習慣病を考える場合、重要な視点なのではないかと思う。普段ゲノム研究を覗く機会の少ないものとしては大変勉強になる論文ではあったが、そんな素朴な疑問が残った。

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第168回 3年連続3回目、地域医療連携推進法人言及の背景 「骨太の方針2023」で気になった2つのこと(後編)

3年連続3回目のオールスターこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手の打撃の勢いが止まりません。6月は27試合すべてに先発出場し、104打数41安打で打率.394、15本塁打29打点でした(投手としては2勝2敗)。全試合をテレビ観戦しているわけではありませんが、朝、NHK BSにチャンネルを合わせると大谷が打席に立っていて、ホームランを打っている印象です。「見ると打っている」、まさにそんな感じです。3年連続3回目の出場となるオールスターゲームもいよいよ来週7月11日(現地時間)に迫り、楽しみです。前日に行われるホームランダービーへは「出場しない」との下馬評ですが、「大谷のことだから」とダービー出場にほのかな期待を抱く人も少なくないようです。さて今回も前回に引き続き「骨太方針2023」について書きます。政府は16日、「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義〜未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現〜」(骨太方針2023)を閣議決定しました1)。盛りだくさんの医療や社会保障関連の項目の中から個人的に気になったものとして、前回は「長期収載品等の自己負担の在り方」について書きました。今回は、もう一つ気になった「地域医療連携推進法人」への言及について書いてみたいと思います。地域医療連携推進法人について骨太方針が言及するのは、大谷選手のオールスターと同じく、「3年連続3回目」となります。「骨太の方針2023」では「地域医療連携推進法人制度の有効活用」「骨太の方針2023」の「第4章 中長期の経済財政運営」「2.持続可能な社会保障制度の構築」の(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)には、次のように書かれています。「引き続き都道府県の責務の明確化等に関し必要な法制上の措置を含め地域医療構想を推進するとともに、都道府県のガバナンス強化、かかりつけ医機能が発揮される制度整備の実効性を伴う着実な推進、地域医療連携推進法人制度の有効活用、(中略)を図る」「骨太方針2021」では「連携推進法人制度の活用等により病床機能の分化・連携を進め地域医療構想を推進」「地域医療連携推進法人」が最初に言及されたのは2年前の「骨太方針2021」でした。「第3章 感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革」「2.社会保障改革」の「(1)感染症を機に進める新たな仕組みの構築」には次のように書かれました。「今般の感染症対応の検証や救急医療・高度医療の確保の観点も踏まえつつ、地域医療連携推進法人制度の活用等による病院の連携強化や機能強化・集約化の促進などを通じた将来の医療需要に沿った病床機能の分化・連携などにより地域医療構想を推進する」。「骨太方針2022」では必要な法制上の措置を求める続く、「骨太方針2022」では、「第4章 中長期の経済財政運営」「2.持続可能な社会保障制度の構築」で次のように書かれました。「質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めることとし、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うとともに、地域医療連携推進法人の有効活用や都道府県の責務の明確化等に関し必要な法制上の措置を含め地域医療構想を推進する」新類型新設などの制度変更を機に、再度有効活用をダメ押し表現は微妙に変わっていますが、「有効活用」という点は一貫しています。おおまかな流れとしては、「骨太方針2021」で、地域医療構想を推進するために地域医療連携推進法人制度の活用を謳い、「骨太方針2022」で必要な法制上の措置を求め、2023年5月成立の全世代型社会保障法(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律)で新類型新設などの制度変更を実現、それを受けた今年の「骨太方針2023」でダメ押し的に「地域医療連携推進法人制度の有効活用」を再度強調した、ということになります。6月末現在の連携推進法人の数は全国で34地域医療連携推進法人(以下、連携推進法人)については、本連載でも度々書いてきました(「第138回 かかりつけ医制度の将来像 連携法人などのグループを住民が選択、健康管理も含めた包括報酬導入か?」、「第69回 「骨太」で気になった2つのこと(後編) 制度化4年目にして注目集める地域医療連携推進法人の可能性」)。制度がスタートして6年ですが、実際のところ、まだそれほど普及・定着していません。2023年6月末現在の連携推進法人は全国で34(累計認定数は35だが1法人解散で34)。47都道府県のうち、まだ半数以下の21道府県でしか認定されていない連携推進法人制度に、国がここまでこだわる理由は一体何でしょうか。最大の理由は地域医療構想の進捗がはかばかしくないことでしょう。地域医療構想については当面は策定された2025年の目標に向けての取り組みが進められていることになっています(次の地域医療構想については2040年頃を視野に入れつつ策定される予定ですが、詳細は未定)。しかし、そもそも各地の地域医療構想調整会議がほとんど機能しなかったことに加え、大規模な再編が本格化しようとした矢先、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こり、地域の病院再編の多くが先延ばしとなってしまいました。財務省は、今年4月28日に開かれた医療や介護など社会保障分野の改革を検討する政府のワーキング・グループで、地域医療構想について「過去の工程表と比較して進捗がみられない」「目標が後退していると言われかねない」などと指摘しています。地域医療構想調整会議が機能しないならば、連携推進法人を各地でつくってもらい、“同じ法人”の中で実のある話し合いを進め、本当に実効性のある医療連携を進めてほしい、というのが国の本音というわけです。「かかりつけ医機能の制度整備」にも連携推進法人活用をもう一つの理由としては、全世代型社会保障法の成立で新たに進められる「かかりつけ医機能の制度整備」があります。これについても連携推進法人の制度の活用が期待されているわけです。昨年12月16日に公表された、全世代型社会保障構築会議の報告書では、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」の項で以下のように書かれています。「医療機関が担うかかりつけ医機能の内容の強化・向上を図ることが重要と考えられる。また、これらの機能について、複数の医療機関が緊密に連携して実施することや、その際、地域医療連携推進法人の活用も考えられる」。どう活用するかについては細かくは言及されていませんが、病院だけではなく、診療所も参加した連携法人の中で、それぞれの専門領域を補完しあいながら、面の連携を進めることでかかりつけ医機能を強化していってほしい、と読み取れます。「個人立医療機関」も参加できる類型が新設その連携推進法人の制度ですが、全世代型社会保障法(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律)が2023年5月成立したことに伴い、大幅に見直されます。医療法の一部が改正され、連携推進法人については、従来の「法人のみが参加できる」類型に加え、「個人立医療機関」も参加できる類型が新設されます。新類型では、出資、貸付は不可となる一方、外部監査等が不要になったり、一部事務手続きが簡素化されたりなど、“使い勝手”がよく、設立の敷居が低い類型となる予定です(施行は2024年4月)。これまでは、高度急性期病院から、急性期、回復期、慢性期へと退院患者の流れ(上流から下流へ)を効率化することに重点を置いた、いわゆる“垂直連携”の連携推進法人が比較的多かった印象です。そういったところでは、各病院の役割分担を明確にし、経営的にもプラスになるようなスキームを組んでいました。今後、診療所も参加した新類型の連携推進法人が増えていくと思われますが、わかりやすい“垂直連携”ではなく、医療機能が同レベルの医療機関による“水平連携”は経営的なメリットが見えづらいかもしれません。制度見直しで、連携推進法人制度が果たして順調に普及・定着していくのか、これからの動きに注目したいと思います。参考1)経済財政運営と改革の基本方針2023/内閣府

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