サイト内検索|page:69

検索結果 合計:5250件 表示位置:1361 - 1380

1361.

効率よく紹介状を作成するには?(最終回)【紹介状の傾向と対策】第8回

<あるある傾向>きちんとした紹介状を書く時間がない<対策>日頃の診療録がそのまま紹介状になるようにしておく多忙な臨床業務の中で紹介状(診療情報提供書)の作成は負担の大きな業務の1つです。しかし、紹介状の不備は、依頼先(紹介先)の医師やスタッフに迷惑をかけるだけではなく、患者さんの不利益やトラブルにつながりかねません。このため、できる限り依頼先が困らない紹介状の作成を心がけたいものです。【紹介状全般に共通する留意点】(1)相手の読みやすさが基本(2)冒頭に紹介する目的を明示する(3)プロブレムと既往歴は漏れなく記載(4)入院経過は過不足なく、かつ簡潔に記載(5)診断根拠・診断経緯は適宜詳述(6)処方薬は継続の要否、中止の可否を明記(7)検査データ、画像データもきちんと引き継ぐ本連載では「より良い患者紹介とは」をテーマに紹介状作成について連載をしてきました。勤務医、開業医を問わず紹介状にまつわる不満やトラブルは多々あり、紹介状を作成するにあたり、注意しているポイントを書いてきました。しかし、多忙極める医療現場で、理想的な紹介状を作成することはとても大変です。とくにDPC制度を導入している医療機関は、患者一人あたりの入院期間がどんどん短縮され、患者の回転が速くなり、現場医師が1年間に対応する入退院の処理業務は確実に増えていると予測されます。筆者自身も日常診療業務の中で書類作成にさく時間の割合は大きく、書類作成に常日頃ストレスを感じています。書類作成の中でも「診療情報提供書」と「退院時サマリー」の作成はとても負担が大きいです。文章を書くこと自体がとても大変な作業ですが、重要事項の記載忘れがないか、確認し忘れていた検査結果がないかなど、患者の退院前の準備にはとても神経を使います。また、紹介先に添付する診断画像をCD-ROMにする依頼、心電図、採血結果、各種レポートなどの出力は地味に手間がかかります。また、筆者は現在DPC病院に勤務し、受け持ち患者は20名を超えます。約2日おきの頻度で誰かが急変し、高次医療機関へ転院を余儀なくされる日々です。大きな急変の場合にはその対応に追われ、ほかの業務がストップしてしまい、病診連携室から頼まれていた転院打診用の紹介状作成も後回しにせざるを得ません。このようなとき、理想的な紹介状の作成ができるかと言えば現実的に難しいです。退院サマリーにも応用できる書き方多くの先生方が多忙な臨床業務の中でご自身の業務スタイルを確立し、業務をこなされていることと思います。決して要領が良いわけではない筆者は、どうすれば効率よく紹介状や退院サマリーの記載業務をこなしていけるのか、日々考えてきました。その中で現在たどり着いた方法は、入院日に入院サマリーをできる限り作成しSOAP記録の下に併記する方法です。そして入院後は、SOAP+入院サマリーで構成される記録を日々コピー&ペーストし、適宜、入院経過や検査結果のみを追記していきます。(表)脳出血の患者のカルテ記載の一例画像を拡大するこれにより急な転院の紹介状作成の際も、この入院サマリーを引用し編集することで、短時間で情報欠落のない紹介状を作成することが可能になりました。また転院打診用の紹介状も基本はこの入院サマリーをペーストして作成できるようになりました。そして退院サマリーも入院サマリーをコピー&ペーストすればほぼ完成です。このスタイルを取り入れて最も良かったのは、自分自身や同僚医師、またその患者に関わるスタッフが筆者のカルテを見たとき「その患者がどういう経緯で入院し、今、どのような状態にあるか」、SOAP部分を見れば瞬時に把握できることです。時折、当直中に呼ばれ、主治医の記録をみても、何の疾患で入院しどんな病歴の患者なのかわからないことが多々あり、当直の際はとても困ります。院内で患者が急変したとき、その患者を診るのが初めての医師でも瞬時にその患者の情報を把握できるカルテ記載をしておくことが、筆者はとても大切だと考えています。紹介状についても同様で、紹介を受ける医師が困らない記載を心掛けたいものです。

1362.

糖尿病はCVDイベント発生を12年早める/JACC

 新たに診断された2型糖尿病患者における心血管疾患(CVD)の10年間のリスクを一般集団と比較した結果、2型糖尿病患者では年齢や性別にかかわらずCVDリスクが有意に高く、CVDイベントの発生が12年早まっていたことを、デンマーク・オーフス大学病院のChristine Gyldenkerne氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌2023年10月17日号掲載の報告。 糖尿病とCVDリスクとの関連についてはすでに豊富なエビデンスがあるが、研究グループは新たに2型糖尿病と診断された患者のCVDリスクに関する最新データは適切な予防管理に必要と考え、性別および年齢別の10年CVDリスクを一般集団と比較したコホート研究を実施した。 対象は2006~13年にデンマークで新たに2型糖尿病と診断された全患者14万2,587例と、性別・年齢をマッチさせた一般集団38万8,410例で、10年間のCVD(心筋梗塞、脳卒中、致死的CVD)リスクを推定した。全例がベースライン時にアテローム動脈硬化性心血管疾患を有していなかった。 主な結果は以下のとおり。・10年間の追跡で合計5万2,471件のCVDイベントが記録された。・一般集団と比較して、2型糖尿病群の10年CVDリスクは男女ともにすべての年齢層で高かった。・40~49歳ではイベントリスク差が最も大きかった(2型糖尿病群6.1% vs.一般集団3.3%、リスク差:2.8%、部分分布ハザード比:1.91、95%信頼区間:1.76~2.07)。・一般集団の男性の10年CVDリスクが5%となったのは55歳であったのに対し、2型糖尿病群の男性では12年早い43歳であった。・女性では、一般集団は61歳で5%に達したのに対し、2型糖尿病群では10年早い51歳であった。 これらの結果より、研究グループは「われわれのデータは、新たに2型糖尿病と診断された患者はすべてCVDリスクが高いと考えるべきであることを示している。CVDリスクを低減させるために予防的介入を強化することを考慮すべきである」とまとめた。

1363.

2型DM基礎インスリンへの追加、チルゼパチドvs.インスリン リスプロ/JAMA

 基礎インスリン療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンへの追加治療として週1回のチルゼパチドは、食前追加インスリンと比べてHbA1c値の低下および体重減をもたらし、低血糖症の発現もより少なかったことが、米国・Velocity Clinical ResearchのJulio Rosenstock氏らによる第IIIb相国際多施設共同非盲検無作為化試験「SURPASS-6試験」で示された。チルゼパチドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドおよびグルカゴン様ペプチド-1(GIP/GLP-1)受容体作動薬であり、2型糖尿病の治療に用いられているが、これまで上記患者の追加インスリン療法として食前追加のインスリンと比較した有効性と安全性については明らかにされていなかった。JAMA誌オンライン版2023年10月3日号掲載の報告。52週時のHbA1c値のベースラインからの変化量を評価 SURPASS-6試験では、インスリン グラルギンへの追加インスリン療法として、チルゼパチドvs.インスリン リスプロの有効性と安全性を評価した。15ヵ国(アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、チェコ共和国、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、メキシコ、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スペイン、トルコ、米国)の135施設で、2020年10月19日~2022年11月1日に基礎インスリン治療を受ける2型糖尿病患者1,428例を登録して行われた。 研究グループは被験者を、1対1対1対3の割合で次の4群に無作為化した。(1)週1回チルゼパチド5mgを皮下注射(243例)、(2)同10mgを皮下注射(238例)、(3)同15mgを皮下注射(236例)、(4)1日3回食前にインスリン リスプロを皮下注射(708例)。 主要アウトカムは、52週時点のHbA1c値のベースラインからの変化量でみた、インスリン グラルギンに加えたチルゼパチド(統合コホート)の同インスリン リスプロに対する非劣性(非劣性マージン0.3%)であった。重要な副次エンドポイントとして、体重の変化量、HbA1c値7.0%未満達成患者の割合を評価した。HbA1c値の変化量、チルゼパチド-2.1%、インスリン リスプロ群-1.1% 無作為化された1,428例(女性824例[57.7%]、平均年齢58.8歳[SD 9.7]、平均HbA1c値8.8%[SD 1.0%])のうち、1,304例(91.3%)が試験を完了した。 52週時点で、チルゼパチド(統合コホート)群vs.インスリン リスプロ群のHbA1c値のベースラインからの推定平均変化量は、-2.1% vs.-1.1%であり、HbA1c値は6.7% vs.7.7%となった(推定治療差:-0.98%[95%信頼区間[CI]:-1.17~-0.79]、p<0.001)。結果は非劣性基準を満たすもので、統計学的優越性も示された。 体重のベースラインからの推定平均変化量は、チルゼパチド群-9.0kg、インスリン リスプロ群3.2kgであった(推定治療差:-12.2kg[95%CI:-13.4~-10.9])。 HbA1c値7.0%未満達成患者の割合は、チルゼパチド群68%(483/716例)、インスリン リスプロ群36%(256/708例)であった(オッズ比[OR]:4.2[95%CI:3.2~5.5])。 チルゼパチド群で最もよくみられた有害事象は、軽症~中等症の消化器症状(悪心:14~26%、下痢:11~15%、嘔吐:5~13%)であり、低血糖症(血糖値<54mg/dLまたは重症低血糖症)の発現頻度は、チルゼパチド群0.4件/患者年、インスリン リスプロ群4.4件/患者年であった。

1364.

第182回 鎮咳薬・去痰薬不足、医師が知っておきたい“患者対応Q&A”

前々回の本連載で取り上げた鎮咳薬・去痰薬の不足について、厚生労働省が対策に乗り出したことで、メディア各社も盛んに報じている。それに伴い私のところにもメディア各社、さらには友人・知人からまでこの問題について問い合わせが増えている。しかし、中には疲れるような質問も。そこで今回は彼らからの問い合わせに対する私の回答を公開する。「本当にこんなこと言っているの?」という部分もあるかもしれないが、多少の文言の違いはあってもほぼ同様のことを言っている。調剤薬局では、咳止め薬や去痰薬など、とくにかぜ薬が不足していると伝えられています。「患者が増えているから」以外に不足する要因はあるものでしょうか?まず大前提として、現在、これまで咳止め薬や去痰薬を製造していた製薬企業の一部で、こうした薬の供給が停止しています。原因は供給を停止した複数の製薬企業の工場で製造不正が発覚し、その改善対策に追われているからです。にもかかわらず、現在はこうした薬が必要になる患者が増えています。主な原因はインフルエンザの季節外れの流行が続いていたからです。一方でコロナ禍の影響もあると思われます。新型コロナの登場以降、皆さんは風邪のような症状があったら、「まさかコロナ? いやインフルエンザ? それともただの風邪?」と不安になりませんか? その結果、近くの医療機関に行ったりしてませんか? この結果、今まで以上に風邪様症状の患者さんの受診が増えています。そして、コロナ、インフル、風邪のいずれかだとしても「今の症状を治す薬が欲しい」と思ったり、医師に言ったりしますよね? もちろん医療機関の医師も患者の症状を少しでも良くしたいと思い、咳止め薬や去痰薬を処方します。その結果、元々足りない薬の需要がさらに増加するという悪循環に入ってしまいました。現在不足している薬、今後不足しそうな薬のなかで、欠品や出荷調整による患者への影響が最も深刻な薬は何でしょうか?どれが最も深刻かは一言では言えません。ですが、皆さんが抗生物質と呼ぶ抗菌薬や高血圧症、コレステロールが高くなる脂質異常症、糖尿病など比較的ありふれた病気の治療薬の一部も現在供給停止となっています。今後はどのような薬の供給が深刻になるかは、とても予想ができません。これを予想するのは星占い以上にあてになりません。とくにジェネリック医薬品(GE)で数千品目もの供給不安定が起き、それが長期化していると聞きます。なぜでしょうか?現在、日本は世界でほぼ最速と言えるほど少子高齢化が進行しています。高齢になれば必然的に身体機能が衰え、公的な医療や介護が必要になります。その結果、社会保障費が増大し、国の財政を圧迫しつつあります。国はその解決策として、新薬の特許失効後に登場する同一成分で安価なGEの使用促進策を次々と打ち出しました。その結果、現在ではGEのある医薬品成分では、流通量の8割がGEに置き換わりました。しかし、このGEを製造する複数の企業で、2020年末以降、相次いで製造にかかわる不正が発覚しました。これらの企業では業務停止などの行政処分を受けた会社も複数存在します。行政処分を受けた会社は現在改善に向けてさまざまな取り組みを行っています。概してこうした取り組み改善があっても、工場が正常化するには2~3年はかかります。そのため供給不安が続いています。一部の工場が停止しているならば、ほかのGE企業などで増産に取り組めば解決するのではないですか?まず新薬を中心とする製薬企業が抱えている品目は、多くとも数十品目です。ただし、工場では1つの製造ラインで特定の1品目を年中製造していることがほとんどです。これに対し、GE企業は1社で数百品目、日本トップクラスのGE企業は800~900品目を全国にある5~6ヵ所の工場で製造しています。結局、GE企業では1つの製造ラインで何十品目も製造しています。あるGE企業の工場では1つの製造ラインを1週間に6回も切り替えて異なる薬を製造しています。この6回の切り替えで、製造する薬が季節によって異なることもあります。ざっくりした表現をすると、GE企業の製造体制はもともとが自転車操業のようなもので、余力が少ないのです。しかも、直近で行政処分などを受けていないGE企業の工場は、少ない余力分もフル稼働させている状態です。この状況で増産しろと言うのは、過重業務で平均睡眠時間3時間の人にさらに睡眠時間を削って働けというようなものです。現代ではこれを「パワハラ」と言います。GE企業が工場を新設し、製造ラインも1ライン1品目にすることは無理ですか?理論的には可能かもしれませんが、現実には不可能です。まず、日本のGE企業はトップクラスですら、毎年の純利益は100億円超です。ところが最新鋭の工場建設には200~300億円はかかります。そうそう簡単に工場建設はできません。しかも、工場建設はそれだけで数年、完成後フル稼働に至るまでには最大5年はかかると言われています。また、800~900品目をすべて1ライン1品目で製造するのはナンセンスです。GE企業各社がその体制にするならば、日本の国土の何%かがGE企業の工場で占められることにもなりかねません。その結果、最悪は地価高騰など国民生活に悪影響が及ぶかもしれません。薬局間、あるいは医薬品卸の間で、“薬の争奪戦”が起きているとの噂を聞きましたこのような状況になってから製薬企業から卸企業、卸企業から薬局・医療機関の各取引では、過去数ヵ月の取引実績に応じて納入量が決まるようになっています。また、製薬企業はすべての医薬品卸と取引しているわけではなく、慣行的に取引卸を絞り込んでいます。このため卸同士ではあまり激しい争奪戦はないと見て良いでしょう。一方、医薬品卸から購入する薬局同士では、それなりに争奪戦があると言えます。ただ、それは一般で考えるような血で血を争うようなものではありません。今お話ししたように、納入量は直近の取引実績が基準になるからです。このため過去約3年の薬不足を経験した薬局側では、医薬品卸に薬を発注する際にいつもよりやや早めに、やや多めの量を発注しがちになっています。そしてこの医薬品卸と薬局との取引では、大手薬局チェーンのほうが中小薬局よりも有利です。皆さんも、もしモノを売っている立場ならば毎回大量に買ってくれるお客さんを優遇しますよね? これと当たり前の原理が働いています。ただし、大手薬局チェーンでは薬があふれかえり、中小薬局では棚が空っぽというイメージを抱くなら、それは違います。現在は全国的に不足している状況です。製薬企業、医薬品卸の現場の方々が、今、最も苦労していることとは何でしょうか?四方八方から「何とかしてくれ」と言われることです。GE企業の人については、前述したとおりで工場のフル稼働が続いています。ある種大変なのは医薬品卸の皆さんです。彼らは自分の会社で薬を製造しているわけではないので、「ない袖は振れぬ」です。ある日の業務が、医療機関や薬局に発注を受けた薬を納入できないことを伝える「未納案内書」のFAX送信だけで終わったということもあるようです。医薬品卸の若い社員の中には、この状況に疲れて退職する人も増えていると聞きます。薬局のほうがより大変とも耳にしますその通りです。たぶんこの問題の初期から最前線に立たされ、患者や医療機関から「何とかしてほしい」と言われ続けてきたのが薬局の薬剤師です。この問題が始まった当初は医師や患者も“なぜいつもの薬がないのか”が理解できず、薬局の薬剤師が説明しても「?」という感じの反応をされたという愚痴をたくさん聞かされました。昨今はこの咳止め薬や去痰薬の問題が報じられているので、理解は進んでいるようです。しかし、それでもまだこの問題に対する温度差はあるようです。たとえば、ある薬剤師は医師から来た処方箋に記載されたある薬の在庫がないため、電話をして同じ効き目の別の薬に代えてもらったそうなのですが、その翌日から1ヵ月もの間、同じ医師から6回もこの薬が記載された処方箋が発行され、その度に電話をしなければならなかったそうです。また、別の薬剤師も同様に処方箋に記載された薬の在庫がないため、処方元の医師に変更をお願いしたところ、「そんなことこっちには関係ない!」と怒鳴られ、電話を切られたそうです。今冬のインフル流行期、薬不足の問題は好転しているでしょうか?より深刻化しているでしょうか?不足する薬が安定的に供給されるようになるのはいつ頃でしょうか?まず、1番目の質問に回答すると、「わかりませんが、より深刻化している可能性は大いにあります」。2番目の質問には「わかりません」としかお答えのしようがありません。これ以外で何かポジティブな回答を明言する人がいたら、ぜひそのご尊顔を拝したいものです。今現在の咳止め薬や去痰薬不足に対して一般人ができる防御策はありますか?何よりも皆さんがなるべく病気にならないよう体調管理に努め、インフルエンザや新型コロナのワクチンはできるだけ接種しておくことが望ましいです。とくに風邪様症状の場合は今まで以上に受診すべきか否かを真剣に考えるべきです。私の周囲の医師は、より具体的に「20~30代で基礎疾患もない人は風邪様症状でも受診は控え、自宅で静養することが望ましいでしょう。そのためには、自宅に新型コロナの抗原検査キットと解熱薬を予め購入して備蓄しておくこと」と言っています。ちなみに新型コロナの抗原検査キットは、感染直後では本当は感染していても陰性となることがしばしばあります。最低でも3回分用意して、3日連続で検査しましょう。ちなみに私事で言うと5日分を常に備蓄し、出張時も持ち歩いています。この結果が陽性・陰性のいずれでも1週間程度、外出は控えてください。この間は友達とお茶をしに行く、飲み会に行くなどもってのほかです。もちろん基礎疾患がある人や高齢者、自宅で静養して4日ほど経過しても症状が改善しない人は受診をお勧めします。ただ、その場合は発熱患者などを診察してくれるかどうか、行こうとしている医療機関に事前に電話で確認しましょう。「確かに自分は若いし、基礎疾患もないけど、咳止め薬や去痰薬は病院でもらうほうが安いし」という人。そう言うあなたは今の薬不足の原因を作っている1人です。このような感じだが、皆さんならどうお答えしますか?

1365.

1型DM妊婦の血糖コントロール、クローズドループ療法vs.標準療法/NEJM

 1型糖尿病の妊婦において、ハイブリッドクローズドループ(HCL)療法は標準インスリン療法と比較し妊娠中の血糖コントロールを有意に改善することが示された。英国・Norfolk and Norwich University Hospitals NHS Foundation TrustのTara T. M. Lee氏らが、同国9施設で実施した無作為化非盲検比較試験「Automated insulin Delivery Amongst Pregnant women with Type 1 diabetes trial:AiDAPT試験」の結果を報告した。HCL療法は、非妊娠成人および小児において血糖コントロールを改善することが報告されているが、妊娠中の1型糖尿病の管理における有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年10月5日号掲載の報告。1型糖尿病妊婦124例を、妊娠16週までに無作為化 研究グループは、1型糖尿病の罹病期間が12ヵ月以上の18~45歳の妊婦で、妊娠初期の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が6.5%以上の妊婦を、妊娠16週までにHCL群または標準インスリン療法(1日複数回の注射またはインスリンポンプによる強化インスリン療法)群に無作為に割り付け、両群とも持続血糖モニタリング(CGM)を行い追跡評価した。 主要アウトカムは、妊娠16週から出産までのCGMによる妊娠期特有目標血糖値範囲(63~140mg/dL)内の時間の割合とし、ITTの原則に従って解析した。 重要な副次アウトカムは、高血糖状態(血糖値>140mg/dL)の時間の割合、夜間における目標血糖値範囲内の時間、HbA1c値および安全性であった。 2019年9月~2022年5月の期間に、334例がスクリーニングされ、このうち124例が無作為化された(HCL群61例、標準療法群63例)。平均(±SD)年齢は31.1±5.3歳で、ベースライン時の平均HbA1c値は7.7±1.2%であった。目標血糖値範囲内の時間の割合は68% vs.56%で、HCL療法群が有意に高率 主要アウトカムである目標血糖値範囲内の時間の平均割合は、HCL群68.2±10.5%、標準インスリン療法55.6±12.5%、平均補正後群間差は10.5%(95%信頼区間[CI]:7.0~14.0、p<0.001)であった。 副次アウトカムの結果は主要アウトカムの結果と一致しており、HCL群が標準療法群より高血糖状態の時間の割合が少なく(群間差:-10.2%、95%CI:-13.8~-6.6)、夜間における目標範囲内の時間の割合が多く(12.3%、8.3~16.2)、HbA1c値が低かった(-0.31%、-0.50~-0.12)。 重度低血糖症イベントはHCL群で6件(被験者4例)、標準療法群で5件(5例)に、糖尿病性ケトアシドーシスは各群1例に認められた。HCL群におけるデバイス関連有害事象の発現頻度は24.3件/100人年で、HCLの使用に関連した事象が7件、CGMに関連した事象が7件であった。

1366.

妊娠糖尿病への早期メトホルミンvs.プラセボ/JAMA

 妊娠糖尿病に対する早期のメトホルミン投与は、プラセボ投与との比較において、インスリン投与開始または32/38週時空腹時血糖値5.1mmol/L以上の複合アウトカム発生について、優位性を示さなかった。アイルランド・ゴールウェイ大学のFidelma Dunne氏らが、プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を報告した。ただし、副次アウトカムのデータ(母親のインスリン開始までの時間、自己報告の毛細血管血糖コントロール、妊娠中の体重増加の3点)は、大規模試験でさらなるメトホルミンの研究を支持するものであったという。妊娠糖尿病は、妊娠期に多い合併症の1つだが、至適な治療は明らかになっていない。JAMA誌オンライン版2023年10月3日号掲載の報告。妊娠28週までの妊娠糖尿病の妊婦を対象に試験 研究グループは、アイルランドの2ヵ所の医療機関で試験を行った。2017年6月~2022年9月に、世界保健機関(WHO)基準2013で妊娠糖尿病の診断を受けた妊娠28週以前の被験者510人(妊娠535件)を登録し、産後12週間まで追跡した。 被験者は2群に割り付けられ、通常ケアに加え、一方にはメトホルミン(最大用量2,500mg)を、もう一方にはプラセボを投与した。 主要アウトカムは、出産前のインスリン投与開始もしくは妊娠32週または38週時の空腹時血糖値が5.1mmol/L以上だった。メトホルミン群の新生児は小さい傾向 被験者510人(平均年齢34.3歳)における妊娠535件を無作為化した。 主要複合アウトカムの発生率は、メトホルミン群が56.8%(妊娠150件)、プラセボ群が63.7%(妊娠167件)だった(群間差:-6.9%、95%信頼区間[CI]:-15.1~1.4、相対リスク:0.89、95%CI:0.78~1.02、p=0.13)。 事前に規定した母親に関する6つの副次アウトカムのうち、メトホルミン群で優位だったのは、インスリン開始までの時間、自己報告の毛細血管血糖コントロール、妊娠中の体重増加の3つだった。 新生児に関する副次アウトカムは、メトホルミン群で新生児が小さい傾向(平均出生体重が低い、出生体重4kg以上の割合が低い、在胎週数による大きさ分布で90パーセンタイル超の割合が低い、頂踵長が小さい)がみられた。一方で、新生児集中治療を要する割合、呼吸補助を要する呼吸困難、光線療法を要する黄疸、重大な先天奇形、新生児低血糖、5分間Apgarスコア7未満の割合については、両群で有意差はなかった。

1367.

CKDの腎と心血管疾患への悪影響はさらに広い範囲(解説:浦信行氏)

 JAMA誌において、2,750万人余りを対象としたメタ解析の結果、CKDの悪影響は従来報告されている全死因死亡、心血管死、腎代替療法を要する腎不全、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性腎障害にとどまらず、あらゆる入院、心房細動、末梢動脈疾患にまで及ぶことが報告された。結果の詳細はジャーナル四天王のニュース記事をご覧いただきたいが、本研究はそれ以外にもいくつかの重要な成績が示されている。 尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)とeGFRをクレアチニンのみで評価したものと、クレアチニンとシスタチンCで評価したものの各々の有害事象のリスクを対比すると、全体の傾向はヒートマップ上では同様であるが、クレアチニンのみで評価したeGFRでの結果は少し感度が悪い印象を受ける。eGFR各階層での有害事象のハザード比を表した図3においても、確かにクレアチニンのみで評価したeGFRでのハザード比の変化の傾きは緩徐であり、各有害事象に対する感度が対比上は低いと考えられる。かつ、各有害事象のハザード比は、クレアチニンでのeGFRは90~105を底値としてU字型を描いている。シスタチンCを加えたものではこのような結果を示していない。これはおそらく高齢者主体のサルコペニア・フレイル症例のリスク上昇を表すものと考えられる。したがって、症例によってはシスタチンCによるeGFRの評価を加えることが必須である。 UACRは30未満が正常範囲であるが、10未満の正常と10~29の正常高値で比較すると、正常高値ですでにリスクが高くなっている。すなわち、正常と考えられる範囲でもすでに有害事象に対する認識を持つ必要があるのかもしれない。わが国では保険診療上、尿アルブミンの評価は糖尿病症例に限られ、それ以外は尿蛋白で評価しなければならない。尿蛋白は尿細管由来のものも含むので同様の評価が可能かは不明であるが、注目すべき結果と考える。

1369.

英語で「任せます」は?【1分★医療英語】第101回

第101回 英語で「任せます」は?《例文1》Please leave it to me.(私に任せてください)《例文2》I’ll leave it to you whether you start the medication today or not.(この薬を今日から飲み始めるかどうかは、あなたにお任せします)《解説》“leave”には「離れる」や「置いておく」といった意味がありますが、これに関連して「任せる」という意味もあります。同じく“leave”の動詞を使って「仕事を託す」といったイメージで、”I'll leave it to you.” または“I’ll leave it in your hands.”(あなたにお任せします)といったように使います。また、何か仕事を進めてもらうような状況では、“Please go ahead.”(どうぞ進めてください)という表現もよく使われます。また、「仕事を引き継いでもらう」といった状況では、“Over to you.”(よろしく)という表現もよく使われますが、目上の人にはやや失礼に当たるので注意しましょう。「任せる」という意味の表現には、“It’s up to you”というものもあります。これは「あなた次第です」と訳されることが多いですが、言い方によっては突き放した表現にも聞こえてしまうため、使う際には注意が必要です。上の表現にも出てきた“hand”を使って「仕事を託す」というイメージで、“It’s in your hands now.”(今からお任せします)という言い方も可能です。講師紹介

1370.

減量目的のGLP-1作動薬、膵炎・腸閉塞・胃不全麻痺のリスク増加か/JAMA

 GLP-1受容体作動薬は糖尿病治療薬として用いられるが、体重減少の目的にも用いられている。糖尿病患者において消化器有害事象のリスクが増加していることが報告されており、2023年9月22日に米国食品医薬品局(FDA)よりセマグルチド(商品名:オゼンピック)について、腸閉塞の注意喚起が追加された1)。しかし、GLP-1受容体作動薬の体重減少効果を検討した臨床試験はサンプル数が少なく、追跡期間が短いため、これらの有害事象を収集する試験デザインにはなっていない。そこで、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のMohit Sodhi氏らの研究グループは、米国の大規模保険請求データベースを用いて、実臨床における体重減少目的でのGLP-1受容体作動薬の使用と消化器有害事象の関連を検討した。その結果、体重減少目的でのGLP-1受容体作動薬の使用は、bupropion・naltrexone配合剤と比較して、膵炎、腸閉塞、胃不全麻痺のリスクを増加させた。本研究結果は、JAMA誌オンライン版2023年10月5日号にResearch Letterとして掲載された。GLP-1作動薬群は膵炎、腸閉塞、胃不全麻痺のリスクが有意に増加 本研究では、米国のPharMetrics Plusデータベースを使用して、GLP-1受容体作動薬(セマグルチド、リラグルチド)使用者(GLP-1群)、bupropion・naltrexone配合剤使用者(対照群)を抽出し、消化器有害事象(胆道系疾患、膵炎、腸閉塞、胃不全麻痺)の発現を検討した。なお、コホートへの登録前90日間または登録後30日間に肥満を有していた患者を対象とし、糖尿病の診断または糖尿病治療薬の使用があった患者を除外した。 体重減少目的でのGLP-1受容体作動薬の使用と膵炎など消化器有害事象の関連を検討した主な結果は以下のとおり。・本研究のコホートにおいて、リラグルチド使用患者は4,144例、セマグルチド使用患者は613例、bupropion・naltrexone配合剤使用患者は654例であった。・GLP-1群は対照群と比較して、胆道系疾患の有意なリスク増加は認められなかったが、膵炎、腸閉塞、胃不全麻痺のリスクが有意に増加した。GLP-1群の対照群に対する調整ハザード比(aHR)、95%信頼区間(CI)は以下のとおり。 -胆道系疾患:1.50、0.89~2.53 -膵炎:9.09、1.25~66.00 -腸閉塞:4.22、1.02~17.40 -胃不全麻痺:3.67、1.15~11.90・感度分析において、解析に非肥満患者のGLP-1受容体作動薬使用例を含めても、結果は同様であった。aHR、95%CIは以下のとおり。 -胆道系疾患:1.20、0.85~1.69 -膵炎:5.94、1.90~18.60 -腸閉塞:2.44、1.00~5.95 -胃不全麻痺:2.35、1.20~4.58・感度分析において、BMIは上記の結果に影響を及ぼさないことが示唆された。  本研究結果について、著者らは「膵炎、腸閉塞、胃不全麻痺はまれな有害事象ではあるが、GLP-1受容体作動薬が広く用いられていることを考えると、体重減少を目的としてGLP-1受容体作動薬を使用する患者は、注意深く観察する必要がある」と考察した。

1371.

高血圧治療補助アプリで8mmHgも降圧、治療効果のある患者とは

 CureApp HT高血圧治療補助アプリ(以下、治療アプリ)が保険収載、処方が開始してから1年が経過した。現在までの治療効果について、株式会社CureAppが「スマート降圧療法RWD発表記者会見」において、全国の医療機関で処方された治療アプリに入力された血圧データの解析結果を説明した。 本データ解析によると、全体集団における12週後の収縮期血圧の変化は起床時では8.8mmHg、就寝前では8.5mmHgの低下がみられた。これについて同社取締役の谷川 朋幸氏は「治験で検証されていなかった65歳以上の患者を含む、幅広い患者集団において薬事承認・保険適用を受けた治療アプリによるスマート降圧療法の効果が示された」とコメント。薬事承認・保険適用を受けた治療アプリによる実臨床での降圧データの公開は世界初である。 本試験の概要ならびに結果は以下のとおり。<試験概要> 高血圧症向け治療アプリへの入力データを用いた後ろ向き研究で、以下の条件で実施された。対象者:2022年9月~2023年4月にアプリを処方された患者家庭血圧を少なくとも1回入力した患者情報の研究利用を拒否する旨の意思表示を行っていない患者主要評価項目:高血圧症向け治療アプリ使用開始(ベースライン)後12週間での降圧量(ベースラインの週およびアプリ使用開始12週後の週においてそれぞれ5日以上血圧を入力した患者が対象)解析方法:年齢、アプリ使用開始時点での服薬の有無、塩分チェックシートスコア、BMIでの層別解析結果:・解析対象者は554例で女性は263例(55.1%)だった。・アプリ使用者の平均年齢は55.1歳(範囲:22~87歳)で、そのうち65歳以上は115例(21%)だった。・薬物治療を行っていたのは248例(45%)であったが、その薬剤の種類や用量は不明であった。・アプリ使用開始後12週間での全体集団における収縮期血圧の降圧変化は、起床時は-8.8mmHg、就寝前は-8.5mmHgだった。・65歳以上での12週後の収縮期血圧変化は、起床時で-11.8mmHg、就寝前で-10.1mmHgだった。・ベースラインでの平均収縮期血圧は起床時が133.6mmHg、就寝前が129.7mmHgで、治験1)時(起床時:149.3mmHg、就寝前:143.3mmHg)より低い傾向にあった。・2023年8月時点で報告対象となる健康被害はみられなかった。―――医師に向き合ってもらえている、この感覚が患者のやる気に 実際に本治療アプリによるスマート降圧療法を行っている野村 和至氏(野村医院)は処方が推奨される患者の特徴や処方経験からみえたことについて語った。同氏は患者13例に処方を行い11例がプログラムを終了(1例中断、1例は導入後一度も使用せず)、そのうち8例が改善を示した。この患者変化について、「医師は患者の入力データをネット接続したPCで確認するわけだが、患者の生活習慣の問題点、配慮すべき心理面などを把握することができる。本治療アプリを通して患者の全体像がみえてくるため、患者の良い所をみつけて褒めることもできた。過去に薬物療法を自己中断していた方でも行動変容に合わせた声かけにより継続することができ、スマート降圧療法で血圧も改善した」と述べ、別の症例では「毎年冬に血圧上昇がみられ降圧薬を増量する患者に対しスマート降圧療法を勧めた結果、2剤服用していた降圧薬のうちCa拮抗薬を中止するに至った。また、それに伴いHbA1cなどの数値にも改善がみられた」といった、驚くべき改善が得られたことを報告した。 一方、治療アプリを処方する際に困った点として、予想以上に血圧低下するケース、スマート降圧療法を求め別の施設から同氏の元へ来院するケースがあったそうで、前者については、「血圧低下時の対処方法を決めておく必要がある」と説明。後者については、かかりつけの医療機関で治療ができないか相談してもらい、難しいようであれば半年間だけスマート降圧療法留学をお願いする」などの工夫を紹介した。 なお、同氏が考える“スマート降圧療法が推奨される”患者像は以下のとおり。 ■推奨される患者像 健康志向の強い人、高血圧症の早期、内服薬に抵抗のある人 ■推奨される併存疾患 メタボリックシンドローム、心不全、腎疾患(運動のみ注意) このほか、減塩、減量、運動が推奨される疾患を有するなど成功モデル・離脱モデルのデータ蓄積に期待 さらに、プログラム終了間近の患者が “終わってしまうのが寂しい”“まだ続けていたい”という感想を漏らしたことに同氏は驚いたそうで、「プログラム上で自身の話を受け止め、病気についてアドバイスしてくれる点が行動変容に効果があるのではないか」と見解を示した。 最後に同氏は、スマート降圧療法は治療効果や治療中断の防止もさることながら、「“やったらできる!”という自己効力感の向上に重要」と強調し、「行動変容モデルを意識した適切なアプローチ、マンネリ化の防止のために、データ蓄積と本治療アプリのアップデートに期待したい」と締めくくった。

1372.

有病率の高い欧州で小児1型糖尿病発症とコロナ感染の関連を調査(解説:栗原宏氏)

特徴・新規に出現したウイルスと自己抗体の関連を示した・追跡期間が長く、感染と自己抗体の発現の前後関係を区分できている・SARS-CoV-2抗体以外に、その他の呼吸器感染代表としてインフルエンザ抗体も調査・インフルエンザは著減しており、SARS-CoV-2の影響がメインと考えられる限界・対象は遺伝的ハイリスク群。かなり特殊で結果が一般化しづらい・日本国内での発症率は調査地域である欧州よりも格段に低い・因果関係が逆である可能性:自己抗体が発現する子供がコロナに感染しやすい? 本研究で対象となっている小児1型糖尿病は、発症率に人種差があり白人に非常に多い。欧州全般に発症者は多く、とくに多い北欧諸国、カナダ、イタリアのサルディニアでは年間約30/10万人と日本(1.4~2.2/10万人)に比して10倍以上の違いがある。1歳ごろに膵島細胞への自己抗体が発生するピークがあり、10年以内に臨床的な糖尿病を発症する。自己抗体の発生原因は不明ながら、呼吸器系ウイルス感染が関与している可能性があるとされている。 本研究はPrimary Oral Insulin Trial(POINT)のデータが使用されている。2018年2月~2021年3月のCOVID-19拡大前からパンデミック期にかけて、欧州5ヵ国の複数施設で、遺伝的に1型糖尿病リスクが高い乳児(4~7ヵ月)1,050人を対象として、SARS-CoV-2感染と膵島自己抗体の発現の時間的関係を明らかにするために実施されたコホート研究である。このうち、実際に対象となったのは885人である。 本研究は、SARS-CoV-2という新規に出現した疾患と自己抗体の出現との関連を自己抗体発現の可能性が高い乳児を対象として調査した点が特徴である。性別、年齢、国に調整後のSARS-CoV-2抗体陽性例における膵島自己抗体陽性のハザード比は3.5(95%信頼区間[CI]:1.6~7.7、P=0.002)となっており、遺伝子的ハイリスク群ではSARS-CoV-2感染はリスク因子であることが示されたことは意義が大きいと思われる。 SARS-CoV-2抗体出現後に自己抗体が発現する割合が有意に高いことが示された。一方、他のウイルス感染評価目的に実施されたインフルエンザA(H1N1)抗体では自己抗体発現はなかった。少なくともこの対象群においては、呼吸器系ウイルス全般で自己抗体が出現するわけではないことが示唆された。 自己抗体の出現がすぐさま臨床的1型糖尿病発症を意味するわけではない点には留意が必要である。SARS-CoV-2感染と膵島自己抗体出現には関連があるが、感染後の短期間での急激な糖尿病発症率の増加には影響しない可能性が高い。将来的な1型糖尿病発症率については当該地域でフォローが必要である。 前述のとおり、小児1型糖尿病は遺伝子的な問題で人種差が大きい。本研究はその中でもさらに遺伝子的なハイリスク群を対象としており、その結果は広く一般化できるものではない。日本国内では比較的まれな疾患であり、SARS-CoV-2感染の影響は非常に小さいと推測されるが、否定しうるものでもない。今後の本邦での小児1型糖尿病の発症率の推移をみていく必要がある。

1373.

肥満を合併したEFの保たれた心不全に対するGLP-1受容体作動薬の効果―STEP-HFpEF試験(解説:加藤貴雄氏)

 週1回、2.4mgのセマグルチド皮下注射(GLP-1受容体作動薬)は、長期体重管理薬として承認されており、過体重または肥満の患者において大幅な体重減少をもたらし、心代謝リスク因子に良好な影響を及ぼすことがこれまでに示されている(Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989-1002., Kosiborod MN, et al. Diabetes Obes Metab. 2023;25:468-478.)。 今回、ESC2023で発表され、NEJM誌に掲載されたSTEP-HFpEF試験は、BMI≧30.0kg/m2で心不全症状(NYHA class II-IV)があり、かつ、左室駆出率(LVEF)≧45%で、糖尿病の既往がない患者を対象に、週1回のセマグルチド(2.4mg)またはプラセボを52週間投与した二重盲検無作為割り付け試験である。主要評価項目は、心不全患者のQOLを評価する指標であるカンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)の点数のベースラインからの変化と体重のベースラインからの変化。副次評価項目に、複合心血管イベント、6分間歩行距離やCRPの変化が設定されていた。 結果は、セマグルチド投与群でKCCQの点数の改善を認め、体重はセマグルチド投与群 -13.3%、プラセボ群-2.6%と有意な低下、6分間歩行距離は21.5m改善と1.2m改善、CRPの低下も-43.5%と-7.3%であり、また、探索的に設定されたNT-proBNPも-20.9%と-5.3%(ぞれぞれ、セマグルチド投与群・プラセボ群)であった。以上の結果から、心不全のサロゲートマーカーの改善を伴って、体重減少・自覚症状の改善・6分間歩行距離の延長が得られており、CRPの減少など内臓脂肪の減少を示唆する機序も推測される結果であった。 多彩な表現型を持つHFpEFであるが、1つの表現型(肥満+HFpEF)の患者群に有用性が示唆される結果である。今後の、アウトカム研究の結果が待たれるところである。本研究の平均BMIは37kg/m2であった。WHOの肥満の基準が組み入れ基準のBMI≧30.0kg/m2であるが、日本人の肥満の基準が25kg/m2であり、本試験を日本の臨床に当てはめた場合、どのくらいの肥満のHFpEF患者に有効な可能性があるかについても、研究が待たれるところである。

1374.

早期静脈栄養なしのICU患者、厳格な血糖コントロールは有用か?/NEJM

 集中治療室(ICU)に入室した早期静脈栄養を受けていない重症患者では、非制限的で寛容な血糖コントロールと比較して厳格な血糖コントロールは、ICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさないことが、ベルギー・ルーベン・カトリック大学病院のJan Gunst氏らが実施した「TGC-Fast試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2023年9月28日号に掲載された。ベルギーの医師主導型の無作為化対照比較試験 TGC-Fast試験は、ベルギーの2つの大学病院と1つの地区病院の11のICUで実施された医師主導型の無作為化対照比較試験であり、2018年9月~2022年8月に参加者のスクリーニングを行った(Research Foundation-Flandersなどの助成を受けた)。 早期静脈栄養を受けていないICU入室患者を、非制限的血糖コントロール群または厳格血糖コントロール群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。非制限的血糖コントロール群では、血糖値が215mg/dL(11.9mmol/L)を超えた場合にのみインスリンの投与を行い、厳格血糖コントロール群では、LOGICインスリンアルゴリズムを用い、目標血糖値を80~110mg/dL(4.4~6.1 mmol/L)に設定した。静脈栄養は両群とも、1週間実施しなかった。 主要アウトカムは、ICUでの治療を要した期間とし、ICUから生存退室するまでの期間に基づいて算出した。安全性アウトカムは90日死亡率であった。 9,230例を登録し、4,622例を非制限的血糖コントロール群(年齢中央値67歳[四分位範囲[IQR]:56~75]、男性62.8%)、4,608例を厳格血糖コントロール群(67歳[57~75]、63.6%)に割り付けた。ベースラインの血糖値中央値は、非制限的血糖コントロール群が143 mg/dL(IQR:120~170)、厳格血糖コントロール群は142mg/dL(121~168)であった。朝の血糖値が低く、1日インスリン用量が多い 非制限的血糖コントロール群に比べ厳格血糖コントロール群は、ICU入室中の朝の血糖値中央値が低く(140mg/dL[IQR:122~161]vs.107mg/dL[98~117]、群間差:-32mg/dL[95%信頼区間[CI]:-33~-32])、インスリンの用量中央値が高かった(0.0単位/日[IQR:0.0~5.6]vs.24.8単位/日[14.8~39.9]、群間差:21.0単位/日[95%CI:20.5~21.5])。 重症低血糖(<40mg/dL[<2.2mmol/L])の発生は、非制限的コントロール群のほうが少なかった(31例[0.7%]vs.47例[1.0%]、相対リスク:1.52[95%CI:0.97~2.39])。 ICUでの治療を要した期間(主要アウトカム)は、両群間に差を認めなかった(厳格血糖コントロールで生存退室が早くなるハザード比[HR]:1.00、95%CI:0.96~1.04、p=0.94)。また、90日死亡率にも差はなかった(非制限的血糖コントロール群468例[10.1%]vs.厳格血糖コントロール群486例[10.5%]、HR:1.04、95%CI:0.92~1.17、p=0.51)。 事前に規定された8項目の副次アウトカムの解析では、新規感染症の発生率、呼吸補助の時間、血行動態補助の時間、生存退院までの期間、ICU内死亡、院内死亡は、いずれも両群間に差はなかったのに対し、重症急性腎障害および胆汁うっ滞性肝機能障害は、厳格血糖コントロール群で少ないことが示唆された。 著者は、「本研究でICUに入室した早期静脈栄養を受けていない重症患者では、先行研究で静脈栄養を受けた重症患者に比べ、低血糖の重症度が軽度であった。また、コンピュータアルゴリズムによって空腹時血糖値を正常範囲に低下させることで、ICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさずに、医原性低血糖を回避できた」としている。

1375.

連載100回記念!執筆陣が選んだ「とっておきのフレーズ」【1分★医療英語】特別回

2021年から連載をスタートした「1分★医療英語」。原則毎週火曜日に公開しており、今月に連載100回を迎えました。100回記念として、執筆陣が選んだ100回の中の「とっておき回」を紹介。ぜひ復習にお役立てください。執筆陣が選んだ「とっておきのフレーズ」 ( )氏

1376.

抗コリン負荷の増大が、心血管イベントのリスクと関連/BMJ

 急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者においては、抗コリン薬による抗コリン作用の総負荷(抗コリン負荷)が、最近増加した集団で急性心血管イベントのリスクが高く、負荷の増加の程度が大きいほどリスクがより高いことが、台湾・国立成功大学のWei-Ching Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年9月27日号に掲載された。心血管イベントで入院した高齢患者の症例-症例-時間-対照研究 本研究は、台湾の全国的な健康保険研究データベースを用いた症例-症例-時間-対照研究(case-case-time-control[CCTC]study)であり、2011~18年に急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者31万7,446例を対象とした(台湾・国家科学技術委員会などの助成を受けた)。 CCTCは、適応症による交絡および潜在的なprotopathic bias(因果の逆転)の克服を目指した研究デザインであり、2つの自己対照分析(症例クロスオーバー分析と、将来の症例からなる対照クロスオーバー分析)で構成される。急性心血管イベントには、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、伝導障害、心血管死を含めた。 主要アウトカムは、抗コリン負荷(Anticholinergic Cognitive Burden Scaleによる個々の薬剤の抗コリン作用スコアの合計)とし、3つの段階(0点[抗コリン作用なし]、1[軽度抗コリン作用]~2点[高度抗コリン作用]、3点[高度抗コリン作用]以上)に分類した。 ハザード期(心血管イベント発生前の-1~-30日)の抗コリン負荷のレベルを、レファレンス期(-61~-180日)から無作為に選択した30日間(-61~-90日、-91~-120日、-121~-150日、-151~-180日の4つから1つを選択)と比較し、急性心血管イベントと抗コリン負荷の最近の増加との関連を評価した。感度分析でも主解析と同様の結果 クロスオーバー分析には24万8,579例を含めた。イベント発生の時点(指標日)での平均年齢は78.4(SD 0.01)歳、53.4%が男性だった。最も頻度の高い併存疾患は、高血圧症(62.2%)、糖尿病(32.3%)、脂質異常症(24.0%)であった。抗コリン作用を有する薬剤として最も多く処方されていたのは、抗ヒスタミン薬(68.9%)、胃腸鎮痙薬(40.9%)、利尿薬(33.8%)であった。 ハザード期とレファレンス期で抗コリン負荷のレベルが異なっていた患者では、レファレンス期よりもハザード期で、負荷レベルが高い患者が多かった。たとえば、抗コリン負荷がハザード期は1~2点、レファレンス期は0点の患者は1万7,603例であったのに対し、ハザード期は0点、レファレンス期は1~2点の患者は8,507例だった。 現状の抗コリン負荷が1~2点の場合の0点の場合と比較した(1~2点vs.0点)心血管イベント発生のオッズ比(OR)は、症例クロスオーバー分析では1.86(95%信頼区間[CI]:1.83~1.90)、対照クロスオーバー分析では1.35(95%CI:1.33~1.38)であり、CCTCのORは1.38(1.34~1.42)だった。 同様に、3点vs.0点のCCTCのORは2.03(95%CI:1.98~2.09)、3点vs.1~2点のCCTCのORは1.48(1.44~1.52)であり、現状の抗コリン負荷が大きいほど心血管イベントのリスクが高い傾向を認めた。 感度分析として、抗コリン負荷カテゴリーのカットオフ値の再定義をしたり、抗コリン負荷の測定に別のスケールを使用した評価を行ったが、一貫して主解析と同様の結果が得られた。 著者は、「これらの知見は、観察研究の結果を解釈する際には、protopathic biasを考慮する必要があることを強調するものである」としている。

1377.

肥満の指標で死亡率と相関するのはBMIでも体脂肪率でもなく…

 BMIとは、ご存じのとおり肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数1)である。しかし、同じBMIを持っていても体組成と脂肪分布によって個人間でばらつきがあるため、“死亡リスクが最も低いBMI”については議論の余地がある。そこで、カナダ・Vascular and Stroke Research InstituteのIrfan Khan氏らが死亡率に最も強く相関する肥満に関する指数を検証するため、全死因死亡および原因別(がん、心血管疾患[CVD]、呼吸器疾患、またはその他原因)の死亡率とBMI、FMI(脂肪量指数)、WHR(ウエスト/ヒップ比、体型を「洋なし型」「リンゴ型」と判断する際に用いられる)2)の関連性を調査した。その結果、WHRはBMIに関係なく、死亡率と最も一貫性を示した。ただし、研究者らは「臨床上の推奨としては、質量と比較した脂肪分布に焦点を当てることを考慮する必要がある」としている。JAMA Network Open誌2023年9月5日号掲載の報告。肥満に関する指標で死亡率に最も強く相関したのはWHR 本研究は、英国全土の臨床評価センター22施設のデータを含む、英国バイオバンク(UKB)に登録された2006~22年における死亡者データ(38万7,672例)を発見コホート(33万7,078例)と検証コホート(5万594例:死亡2万5,297例と対照2万5,297例)にわけて調査が行われた。発見コホートは遺伝的に決定付けられた肥満度を導出するために使用され、観察分析およびメンデルランダム化(MR)解析が行われた。 死亡率に最も強く相関する肥満に関する指標を検証した主な結果は以下のとおり。・観察分析の対象者は平均年齢[±SD]56.9±8.0歳、男性17万7,340例(45.9%)、女性21万332例(54.2%)、MR解析の対象者は平均年齢[±SD]61.6±6.2歳、男性3万31例(59.3%)、女性2万563例(40.6%)だった。・BMIおよびFMIと全死因死亡との関係はJ字型であった一方で、WHRと全死因死亡との関係は直線的だった(WHRのSD増加あたりのHR:1.41、95%信頼区間[CI]:1.38~1.43)。・遺伝的に決定付けられていたWHRは、BMIよりも全死因死亡と強い関連を示した(WHRのSD増加あたりのオッズ比[OR]:1.51[95%CI:1.32~1.72]、BMIのSD増加あたりのOR:1.29[95%CI:1.20~1.38]、異質性のp=0.02)。・この関連は女性よりも男性のほうが強く(OR:1.89[95%CI:1.54~2.32]、異質性のp=0.01)、BMIやFMIとは異なり、遺伝的に決定付けられていたWHRと全死因死亡の関連はBMIに関係なく一貫していた。

1378.

カテーテルアブレーションは心房細動を伴う末期心不全の予後を改善する(解説:原田和昌氏)

 心房細動(AF)を伴う心不全にカテーテルアブレーションを行うと、AF burdenが減少し、左室の逆リモデリングが起こり、死亡率が下がることが知られている。AFを伴う末期心不全患者においても、カテーテルアブレーション+薬物療法は薬物療法単独に比べ、死亡、左心補助人工心臓(LVAD)の植え込み、緊急心臓移植の複合イベント発生を低下させることが、ドイツ・ルール大学ボーフムのSohns氏らによる非盲検無作為化比較試験(CASTLE-HTx試験)により示された。対象者は、心臓移植か人工心臓かの評価のためBad Oeynhausenの心臓・糖尿病センター(心臓移植年間約80例)に受診した、症候性AFを有する末期心不全患者である。 アブレーション群において、51例は肺静脈隔離のみ、30例は他の部位にもアブレーションを行った。処置関連合併症はアブレーション群3件、薬物療法群1件で、アクセス部位の血管合併症であった。追跡期間中央値18.0ヵ月において、主要エンドポイントはアブレーション群8例(8%)、薬物療法群29例(30%)で発生した(HR:0.24、95%CI:0.11~0.52、p<0.001)。内訳は、死亡がアブレーション群6例(6%)、薬物療法群19例(20%)(HR:0.29、95%CI:0.12~0.72)で、LVADの植え込みがアブレーション群1例、薬物療法群10例、緊急心臓移植がアブレーション群1例、薬物療法群6例であった。また、AF burdenが減少し、EFが改善した。 近年、重症心不全のハートチームに不整脈治療専門医を加えることが一部の施設で行われている。2021年改訂版の植込型補助人工心臓治療ガイドラインには、「薬物治療抵抗性の心房性頻脈性不整脈に対してはアブレーションを考慮し、治療抵抗性の持続性心室頻拍・心室細動については両心室補助も検討すべき」とあるが、これらの場合AFのアブレーションのみならずLVADのアウトレット周囲を起源とするVTのアブレーションなども含まれる。本試験の結果はある意味予想通りではあるが、手技の不成功がLVADの植え込みや緊急心臓移植(?)につながる可能性も否定できないため、わが国で一般的に推奨できるかどうかは明らかでない。

1379.

第31回 施設入所中の高齢者の失神、原因は?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)失神では食事との関連を意識しよう!2)高齢者の失神では食後低血圧も疑い、再発を防止しよう!【症例】82歳男性。施設入所中。午前9時半頃に椅子に座った状態で反応が乏しく救急要請。救急隊到着時にはほぼ普段通りの状態へと改善していた。●来院時のバイタルサイン意識清明血圧118/68mmHg脈拍72回/分(整)呼吸18回/分SpO297%(RA)体温36.3℃瞳孔3/3 +/+失神の原因失神の原因は大きく心血管性失神(心原性失神)、起立性低血圧、反射性失神の3つに大別されます。そのうち、心血管性失神、出血に伴う起立性低血圧は常に意識し、対応する必要があります。心血管性失神の代表的なものは“HEARTS”と覚えるのでしたね。この辺りは「第13回 頭部外傷 その原因は?」で取り上げているのでそちらを参考にしてください。今回は頻度の高い反射性失神を取り上げます。緊急度、重症度の高い心血管性失神を常に意識して失神患者を対応することは大切ですが、やはり頻度が高い原因をきちんと意識して、対応することも合わせて行わなければ的確な診療はできません。意外に多い食後低血圧反射性失神のうち最も頻度が高いのは排尿失神ですが、食事関連の失神をご存じでしょうか?正確な機序は明らかでない部分もありますが、食事を摂取することによって内臓血流の増加、インスリンや胃腸管ペプチドによる血管拡張に加え、交感神経の適切な代償が行われないことなどが影響していると考えられています1)。食後2時間以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下するか、普段から100mmHg以上ある血圧が90mmHg未満となる場合に食後低血圧と定義されます。高齢者における食後低血圧の頻度は高く、たとえば、施設入所者の高齢者の3~4人に1人は食後低血圧を認めることが報告されています2,3)。しかし、食後低血圧は軽視されていることが多く、失神の原因として意識するようにしましょう4)。食後低血圧の診断食後低血圧は前述の通り食後の血圧の程度を診て判断するわけですが、実際にはどのように評価するのでしょうか?食前に1回、食後2時間内は15分毎に1回の計9回の測定をして評価することとなっていますが、これは大変ですよね5)。そのため、食前に1回、食後75分後に測定を行い、収縮期血圧が10mmHg以上低下するかをまずは確認するのがオススメです(感度82%、特異度91%)6)。まずは疑い、そして簡便な方法でチェックし、疑わしければ詳細な評価を行うとよいでしょう。高齢者、とくに糖尿病、パーキンソン病などの基礎疾患のある方、利尿薬など多数の薬剤を内服している方では頻度が高いため、そのような患者さんでは積極的に疑い評価しましょう。食後低血圧と外傷60歳以上(平均80歳)の高齢者において、食後の収縮期血圧が20mmHg以上低下する方では失神や転倒の頻度が有意に高くなります7)。食後にフッと気を失うだけであればよいですが、それによって外傷を伴い、大腿骨近位部骨折や頭部や頸部の外傷を伴ってしまっては大変です。そのようなことが起こらないために、食後の意識消失を軽視しないようにしましょう。さいごに失神の鑑別として食後低血圧も意識しておきましょう。起立性低血圧との合併も珍しくなく、原因を1つみつけて安心してはいけません。高齢者では常に食事との関連も気にかけてくださいね。1)Son JT, et al. J Clin Nurs. 2015;24:2277-2285.2)Aronow WS, et al. J Am Geriatr Soc. 1994;42:930-932.3)Vaitkevicius PV, et al. Ann Intern Med. 1991;115:865-870.4)Luciano GL, et al. Am J Med. 2010;123:281.5)Jansen RW, et al. Ann Intern Med. 1995;122:286-295.6)Abbas R, et al. J Frailty Aging. 2018;7:28-33.7)Puisieux F, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2000;55:M535-540.

1380.

肥満につながる炭水化物の種類は?/BMJ

 長期的な体重管理において、とくに過体重や肥満の人では、摂取する炭水化物の品質と供給源が潜在的に重要であることが、大規模前向きコホート試験で浮き彫りにされたという。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYi Wan氏らが報告した。一方で、添加糖、砂糖入り飲料、精製穀物、果物、非でんぷん質の野菜は、体重コントロールへの取り組みを後押しする可能性も示唆された。体重の増加および肥満に果たす炭水化物の役割については議論の的になっている。これまで、炭水化物の摂取量の経時的変化と体重の長期的変化との関連を評価した研究は、ほとんど行われていなかった。BMJ誌2023年9月27日号掲載の報告。4年ごとの炭水化物摂取量の変化と体重変化との関連を検証 研究グループは、Nurses' Health Study(1986~2010年)、Nurses' Health Study II(1991~2015年)、Health Professionals Follow-Up Study(1986~2014年)を基に、4年ごとの炭水化物摂取量の変化と体重変化との関連を総合的に検証した。 被験者は、ベースラインで糖尿病、がん、心血管疾患、呼吸器疾患、神経変性疾患、消化器症状、慢性腎臓病、全身性エリテマトーデスの認められない、65歳以下の男女13万6,432人だった。 主要アウトカムは、4年ごとの体重変化とした。でんぷん摂取量100g/日の増加、4年間で1.5kgの体重増 Nurses' Health Studyの女性4万6,722人、Nurses' Health Study IIの女性6万7,186人、Health Professionals Follow-Up Studyの男性2万2,524人を対象に分析を行った。 被験者の4年ごとの体重増加は、平均1.5kg(5~95パーセンタイル:-6.8~10.0)で、24年間では平均8.8kgだった。 男女共に、血糖値上昇指数と血糖負荷の増加は体重増と関連しており、でんぷんや添加糖の摂取量100g/日の増加は、4年間でそれぞれ1.5kg、0.9kgの体重増と関連していた。一方で、食物繊維の摂取量10g/日の増加は、0.8kgの体重減と関連していた。 摂取量の増加と体重減の負の相関関係が認められたのは、全粒穀物からの炭水化物(摂取量100g/日の増加につき体重0.4kg減)、果物(同1.6kg減)、非でんぷん質の野菜(同3.0kg減)だった。 摂取量の増加と体重増の正の相関関係が認められたのは、精製穀物(摂取量100g/日の増加につき体重0.8kg増)、でんぷん質の野菜(同2.6kg増)だった。 代替分析では、精製穀物やでんぷん質の野菜、砂糖入り飲料を、同量の全粒穀物、果物や非でんぷん質の野菜に置き換えることで、体重減となることが認められた。こうした関連性は、過体重や肥満の被験者のほうが標準体重の被験者に比べ強く(相互作用のp<0.001)、ほとんどが女性で強く認められた。

検索結果 合計:5250件 表示位置:1361 - 1380