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第187回 医師の処方モラル崩壊、肥満症治療薬の発売でさらに加速か?

新たな医薬品不足騒動が勃発するのか? 11月16日、持続性GLP-1受容体作動薬で肥満症を適応とするセマグルチド製剤ウゴービ皮下注の薬価収載が中央社会保険医療協議会で了承されたことに関して私が思ったことだ。ご存じのようにセマグルチドはもともと2型糖尿病を適応とし、用量も異なる注射剤(商品名:オゼンピック)と経口薬(同:リベルサス)がすでに発売されているが、体重減少効果の高さから「GLP-1ダイエット」を謳う不適正使用の自由診療が跳梁跋扈し、その結果、在庫不足による限定出荷が続いている。実はまったくの偶然だが、数年前、セマグルチドの肥満症の治験に参加登録した友人から、冗談交じりで「参加してみる?」と誘われたことがあった。その治験参加条件は、BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、あるいはBMIが35以上で今のウゴービ皮下注の適応と同じである。当時の私はBMIが26.8、血圧値は150/100mmHg、検査値上は高トリグリセライド血症だったので、“もうちょっと頑張れば”基準を満たす状態だった。だが、この誘いは断った。適応上のボーダーラインにいる自分が薬の力を使って痩せようとするのはあまりにも邪道だと思ったからだ(もちろん適応を満たす人が使うことを批判はしない)。そして数ヵ月後、この友人の姿を目にし、誘いを断って良かったと思った。確かに彼は私の目から見ても驚くほど痩せた。しかし、その様をあえて言葉を選ばずに表現すると、魚の干物のようにしわがれた痩せ方だったのだ。本人はそこそこに満足気だったが、一方で周囲に「最近はビールの匂いを嗅ぐと気持ち悪くなる」と、何とも微妙な物言いをしていたらしい。結局、私は彼の姿を見たことをきっかけに運動量を増やすという地味な取り組みを行い、約2年でBMIは22、収縮期血圧が120mmHg弱、脂質検査もすべて正常値まで改善し、今もほぼ維持できている。もっともここまでに至る努力は、かなり大変だったとの実感もあるため、誰かに勧めようとも、何もしない人を怠慢とも思わない。むしろダイエット目的でGLP-1受容体作動薬を入手するために自由診療を利用する人のほうがよっぽど問題だとすら思う。今回のウゴービ皮下注に関して言えば、「最適使用推進ガイドライン」も策定され、処方できる施設要件や患者要件も定められた。製造販売元のノボ ノルディスクファーマも厚生労働省に対し、保険診療、自由診療に関係なく、同ガイドラインの施設要件を満たした施設のみでの流通を前提にすると伝えているらしい。しかし、本当にこれで今の問題が解決するのだろうか? 正直、疑問である。そもそも「オゼンピック」や「リベルサス」のほうは何も縛りがなく、しかも世の人の潜在的なダイエット願望はかなりすそ野が広いからだ。今やインターネットで「オゼンピック」「リベルサス」のキーワード検索をすれば、SNS上では一部のインフルエンサーも含む使用体験者の話がごまんと登場し、吐いて捨てるほど自由診療クリニックが引っ掛かる。希望する人もどうかと思うが、それ以上に安易に処方する医師のモラルとはいかがなものか?ちなみに以前、この件について私自身が一時期に周辺調査した情報に基づくと、GLP-1受容体作動薬を使ったダイエット目的の自由診療を受診すると、最も使用を勧められるのはオゼンピックだという。リベルサスのほうがダイエット希望者には簡便だと思ってしまいがちだが、私が話を聞いた両手指を超える受診経験者(というかこの状況、なんとかならんものか)の中でリベルサスを第一選択として勧められた人は1人しかいない。しかもそうした人に話を聞くと、オゼンピックを第一選択にする医師はほぼ一様に「経口薬は服用方法が複雑(やや少なめの水で服用し、服用後30分は飲食できない)で、これを厳守しないと効果ありませんよ。注射のほうが確実です」と言うらしい(この証言には複数の経営母体の違うクリニックの受診者が含まれている)。妙なところだけエビデンスっぽいというか、患者に寄り添うかのような言い方をするところが、正直言って不快である。さらにこの件ではあちこちから出所不明で裏取りしようのない情報が大量に発信されてくるのも特徴である。私がこれまで直接、あるいは信頼性の高い間接情報として聞いた話をざっと列挙してみよう。「正直、明らかに自由診療に使うんだろうなという発注はありますよ。ただ、保険診療も行っている医療機関だと、必要以上に詮索することはできない」(関東地方の卸関係者)「限定出荷のオゼンピックは直近の納入実績で配分され、自由診療クリニック同士で奪い合い状態。そこに糖尿病患者の多い医療機関の門前薬局が絡んで、自由診療クリニックに在庫の一部を横流ししているらしい」(東北地方の保険薬局薬剤師)「先日、知人の紹介で注射の痩せ薬を保険診療で手に入れたと喜んでいた人がいましたよ。確かにその人はオゼンピックを持っていたのですが、それ以外に医師から『飲まなくていいけど、これも出しておくね』と言われた薬があり、よく調べるとほかの経口糖尿病治療薬でした。本人は健康診断でも血糖値が高いと指摘されたことはないと言っていました」(都内の運輸系会社勤務)「自分で使ってますよ」(40代の女性医師)これは私がこの件に関連して耳にした話のほんの一部に過ぎない。こうした話を書き出したらきりがないほどだ。同時に日本の医療も「モラル・ハザードの総合商社」化がかなり進行しているのか、と残念な思いで一杯である。

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セマグルチド、非糖尿病の肥満患者でも心血管アウトカム改善/NEJM

 心血管疾患既往で過体重または肥満だが糖尿病既往のない患者において、セマグルチド皮下投与はプラセボと比較し、平均追跡期間39.8ヵ月における心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合エンドポイントの発生率を有意に減少した。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学Cleveland Clinic Lerner College of MedicineのA Michael Lincoff氏らが、41ヵ国804施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照優越性試験「SELECT試験」の結果を報告した。GLP-1受容体作動薬のセマグルチドは、糖尿病患者において有害心血管イベントのリスクを減らすことが示されているが、糖尿病既往のない過体重または肥満患者において、心血管リスク減少が可能か否かについては明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。約1万7,600例をセマグルチド群とプラセボ群に無作為化 研究グループは、45歳以上でBMI値27以上、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中、症候性末梢動脈疾患)既往だが糖尿病既往のない患者を登録し、セマグルチド群とプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、週1回皮下投与した。 糖尿病と診断されたことがある、スクリーニング時のHbA1c値が6.5%以上、過去90日以内に血糖降下薬またはGLP-1受容体作動薬を投与、といった患者は除外した。投与量は0.24mgの週1回投与より開始し、16週後に目標用量の2.4mgに達するまで4週ごとに増量した。 主要エンドポイントは、心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合とし、time-to-first-event解析を行った。副次エンドポイントは心血管死、心不全複合エンドポイント(心血管死または心不全による入院または緊急受診)および全死因死亡で、階層的に評価した。安全性も評価した。 2018年10月~2021年3月に計1万7,604例が登録され、8,803例がセマグルチド群、8,801例がプラセボ群に割り付けられた。セマグルチドまたはプラセボの曝露期間(平均±SD)は34.2±13.7ヵ月、追跡期間は39.8±9.4ヵ月であった。心血管イベントはセマグルチド群で20%有意に減少 主要エンドポイントの心血管イベントの発生は、セマグルチド群8,803例中569例(6.5%)、プラセボ群8,801例中701例(8.0%)で、セマグルチド群のプラセボ群に対する優越性が示された(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.72~0.90、p<0.001)。 副次エンドポイントの心血管死の発生は、セマグルチド群223例(2.5%)に対し、プラセボ群262例(3.0%)であったが、セマグルチド群のプラセボ群に対する優越性が示されず(HR:0.85、95%CI:0.71~1.01、p=0.07)、以降の副次エンドポイントの評価は行われなかった。 投与中止に至った有害事象は、セマグルチド群で1,461例(16.6%)、プラセボ群で718例(8.2%)に認められた(p<0.001)。

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セマグルチド製剤の最適使用推進ガイドラインを公表/厚労省

 社会的に痩身目的での糖尿病治療薬の使用が散見され、本来必要な患者に治療薬が届かないといった事態が起こっている。そのような中でセマグルチド製剤のウゴービ皮下注が肥満症治療薬として承認され、2023年11月22日に薬価収載された。これらの事態を懸念し、厚生労働省は医療機関および薬局に対する周知を目的として、本剤に関する「最適使用推進ガイドライン」を11月21日に公表した。 本ガイドラインには、ウゴービ皮下注を肥満症に対して使用する際の留意事項が記載されており、その使用に際し、ガイドライン内容に留意するよう促している。その中で投与対象となる患者については以下のように記載されている。【患者選択について】投与の要否の判断にあたっては、以下のすべてを満たす肥満症患者であることを確認する。 1)最新の診療ガイドラインの診断基準に基づき、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされ、かつ以下を満たす患者であること。 ・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する ・BMIが35kg/m2以上2)高血圧、脂質異常症または2型糖尿病ならびに肥満症に関する最新の診療ガイドラインを参考に、適切な食事療法・運動療法に係る治療計画を作成し、本剤を投与する施設において当該計画に基づく治療を6ヵ月以上実施しても、十分な効果が得られない患者であること。また、食事療法について、この間に2ヵ月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けた患者であること。なお、食事療法・運動療法に関しては、患者自身による記録を確認する等により必要な対応が実施できていることを確認し、必要な内容を管理記録等に記録すること。3)本剤を投与する施設において合併している高血圧、脂質異常症または2型糖尿病に対して薬物療法を含む適切な治療が行われている患者であること。本剤で治療を始める前に高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれか1つ以上に対して適切に薬物療法が行われている患者であること。 このほか、使用する施設や医師の要件、投与に際して留意すべき事項などが記載されている。

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難治性ネフローゼ症候群を呈する巣状分節性糸球体硬化症の新たな治療薬sparsentanへの期待(解説:浦信行氏)

 エンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬のsparsentanは慢性腎臓病(CKD)治療薬として、すでにIgA腎症などで臨床試験が先行しており、一部には良好な効果が認められている。また、糖尿病性腎症ではエンドセリン受容体拮抗薬が良好な治療効果を示している。 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は治療抵抗性であり、治療の主体はステロイドであるが臨床的にはステロイド抵抗性で進行性であり、10年で約半数が腎死に至る。そのようなFSGSに対する治療効果をイルベサルタンと対比した成績が公表された。2年間にわたる二重盲検第III相試験で尿蛋白に関しては顕著な減少効果を認め、完全寛解率も倍以上の18.5%であったが、eGFRのスロープに有意差はないとの残念な結果であった。6週から108週までのeGFRのスロープは有意ではないものの、イルベサルタン群で-5.7であったのに対してsparsentan群で-4.8にとどまっていた。対象の詳細は不明だが、原発性FSGSに限っての検討ではどうなのか。また、両群のeGFRが、sparsentan群で63.3±28.6、イルベサルタン群で64.1±31.7であり、両群ともにeGFR60未満の症例が半数以上である。eGFRが保たれている群同士の比較ではどうであったかが今後の課題といえよう。 先にも述べたが、FSGSは治療抵抗性でステロイドによる治療は効果に乏しく、免疫抑制薬との併用が行われるがそれでも満足な結果は得られていない。あくまでもsparsentanの有効性が確認されてからではあるが、いずれの薬剤とも作用機序は異なるので、ステロイドや免疫抑制薬の副作用低減の面からもsparsentanの併用療法も将来的には考慮されるのではないか。

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AIで英語の発音を鍛えよう【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第27回

AIで英語の発音を鍛えよう1)日本人が苦手な発音を知っておく2)AIを利用して発音を矯正する3)YouTubeを有効活用する英語での発表に関して、英語の発音にコンプレックスを持っている方は多いかもしれません。ですが、実際に国際学会に出席したことがある方はわかると思いますが、学会の場では世界中から医師が集まっていて、場合によっては非ネイティブスピーカーの参加者のほうが多いこともあります。そのため、英語になまりやアクセントがあるのは当然のこととして認識されており、日本人特有のなまりやアクセントがあっても大きな問題にはならないことが多いのです。英語はあくまで自分の研究内容を伝えるためのコミュニケーションの手段にすぎず、むしろ発音のことはあまり気にせずに堂々と話せる、「メンタルの強さ」が重要ともいえます。その一方で、英語には日本語にはない独特の発音があり、それらをうまく使いこなせなければ、聴衆に意味をまったく理解してもらえない場合もあります。たとえば、「th」を含む単語や、「rとl」、「bとv」、「sとsh」の違いなどが挙げられます。こういった発音をうまくできず、コミュニケーションが成り立たずに面食らう場面を、私も幾度となく経験してきました。対策として有効なのが、英語発音矯正アプリの「ELSA speak」です。このスマホアプリではAIが自分の発音を聞き分け、どこが合っていてどこが間違っているかを一音ずつ指摘してくれます。〈図1〉のように文章が表示され、マイクに向かって発音すると、AIが発音を評価し、発音が間違っている部分を指摘してくれます。そのフィードバックを受けて自己学習を積み重ねていくという仕組みとなっています。〈図1〉画像を拡大するまた、〈図2〉のように定期的にテストを受けることで自分の発音レベルを確認することができ、結果の分析で苦手な発音がわかれば、そこを集中的にトレーニングすることもできます。〈図2〉画像を拡大するこれまでは英会話教室やオンライン英会話など、対面での発音矯正しか方法がなかったので、隙間時間に自分1人で取り組むことができるこのアプリは重宝します。アプリ内で月額または年額の課金がありますが、ある程度の機能は無料で利用できるため、自分に合いそうであれば有料会員登録をお勧めします。それでも、「そもそもどう発音したらいいかわからない」というときには、YouTubeを活用してみるのがよいでしょう。いわゆる「英語系YouTuber」の人たちが発音の違いを丁寧に説明する動画がたくさんあるので、それらを参考にしながら何度も練習すると上達しやすいです。参考までに、発音に関する動画をアップロードしているYouTubeチャンネルをいくつか紹介します。AK in カナダ | AK Englishサマー先生と英会話!だいじろー Daijiro講師紹介

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わが国初の脂質異常症siRNA製剤「レクビオ皮下注300mgシリンジ」【最新!DI情報】第4回

わが国初の脂質異常症siRNA製剤「レクビオ皮下注300mgシリンジ」今回は、持続型LDLコレステロール(LDL-C)低下siRNA製剤「インクリシランナトリウム注射剤(商品名:レクビオ皮下注300mgシリンジ、製造販売元:ノバルティス ファーマ)」を紹介します。本剤の投与間隔は初回、3ヵ後、以降6ヵ月に1回であるため、治療アドヒアランスの向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、家族性高コレステロール血症および高コレステロール血症の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得しました。本剤の使用は、心血管イベントの発現リスクが高い場合、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分/不適の場合のいずれも満たす場合に限られます。<用法・用量>通常、成人にはインクリシランナトリウムとして1回300mgを初回、3ヵ月後、以降6ヵ月に1回の間隔で皮下投与します。なお、HMG-CoA還元酵素阻害薬による治療が適さない場合を除き、HMG-CoA還元酵素阻害薬と併用します。<安全性>海外第III相ORION-9、10、11試験における18ヵ月間の治療期間中の副作用の発現割合はそれぞれ24.1%(58/241例)、13.4%(105/781例)、15.2%(123/811例)でした。主な副作用は下記のとおりでした。ORION-9試験:注射部位紅斑3.7%(9/241例)、注射部位疼痛2.5%(6/241例)、注射部位そう痒感2.5%(6/241例)ORION-10試験:注射部位疼痛2.9%(23/781例)、糖尿病2.3%(18/781例)、注射部位反応1.7%(13/781例)ORION-11試験:注射部位反応2.2%(18/811例)、注射部位紅斑1.6%(13/811例)、糖尿病0.5%(4/804例)、注射部位疼痛1.0%(8/811例)<患者さんへの指導例>1.この薬は、これまでの治療で十分な血中LDL-Cの低下効果が得られなかった患者さんに使われます。2.初回、3ヵ月後、その後6ヵ月ごとに医療機関で皮下に投与し、LDL-Cの管理目標値を目指します。3.この薬による治療で医療費が高額になったときは、公的な支援を利用できる場合があります。<ここがポイント!>動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を予防するためにはLDL-Cを適切に管理することが重要です。LDL-Cを低下させるには、第1選択薬であるスタチンをはじめ、複数の脂質低下療法で治療しますが、管理目標値まで低下させることが困難な患者が一定数存在します。本剤は、PCSK9 mRNAを標的とするsiRNA製剤です。PCSK9はLDL受容体に直接結合し、LDL受容体の分解を促進する働きがあります。本剤は肝臓内でPCSK9の機能を阻害することでLDL受容体の分解を抑制し、LDL-Cを効率よく細胞内に取り込んで血中濃度を低下させます。投与間隔が初回、3ヵ月後、以降6ヵ月に1回の注射薬であるため、治療アドヒアランスの向上が期待されます。日本人患者312例を対象とした国内第II相用量設定試験(ORION-15)において、主要評価項目である投与180日目のLDL-Cのベースラインからの変化率(最小二乗平均)はプラセボ群で9.0%、本剤300mg群で-56.3%であり、変化率の群間差は-65.3%(95%CI:-72.0~-58.6)で、プラセボ群と比較して有意にLDL-Cが低下しました(p<0.0001)。また、海外第III相試験(ORION-9、10、11試験)では、投与510日目のLDL-Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群ではそれぞれ8.22%、0.96%、4.04%であった一方、本剤群では-39.67%、-51.28%、-45.82%であり、群間差は-47.89%、-52.24%、-49.85%で、プラセボ群と比較して有意にLDL-Cが低下しました。脂質異常症の治療には、食事療法とともに運動療法、禁煙、ほかの虚血性心疾患のリスクファクター(糖尿病、高血圧症など)の軽減も重要です。患者さんが積極的に取り組めているかどうかを適宜確認しましょう。

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肥満は胆道がんの発症・死亡に関連~アジア人90万人のプール解析

 肥満と胆道がんの関連について、愛知県がんセンターの尾瀬 功氏らがアジア人集団のコホート研究における約90万人のデータをプール解析した結果、BMIと胆道がん死亡率の関連が確認された。さらに肥満は胆石症を介して胆道がんリスクに影響を与え、胆石症がなくても胆道がんリスクを高める可能性があることが示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2023年11月15日号に掲載。 本研究では、アジアコホートコンソーシアムに参加している21のコホート研究の計90万5,530人をプール解析した。BMI値で、低体重(18.5未満)、標準(18.5~22.9)、過体重(23~24.9)、肥満(25以上)の4群に分類した。BMIと胆道がん発症率および死亡率との関連は、脆弱性を共有したCox回帰モデルによるハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・標準BMIと比較して高BMIは胆道がん死亡率と関連し、HRは男性で1.19(95%CI:1.02~1.38)、女性で1.30(同:1.14~1.49)だった。・胆道がんリスクにおいて胆石症はBMIと有意な相互作用を示した。・BMIと胆道がんリスクの関連は、女性では直接および胆石症を介して関連していたが、男性では関連は明らかではなかった。・胆石症がある場合、男女共にBMIは胆道がん死亡とは関連しなかったが、胆石症のない女性で関連していた。

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第171回 医師会長、病院団体とともに診療報酬の大幅引き上げを岸田総理に強く要求/医師会

<先週の動き>1.医師会長、病院団体とともに診療報酬の大幅引き上げを岸田総理に強く要求/医師会2.肥満症治療薬セマグルチドが薬価収載、供給不足の懸念も/中医協3.不妊治療の保険適用で医療費895億円、患者の経済負担は?/中医協4.2025年発足のかかりつけ医機能報告制度、分科会で議論開始/厚労省5.日本で緊急避妊薬の試験販売開始、医師の処方箋不要に/厚労省6.解禁前に大麻類似成分含むグミ問題が浮上、販売停止へ/厚労省1.医師会長、病院団体とともに診療報酬の大幅引き上げを岸田総理に強く要求/医師会日本医師会の松本 吉郎会長は、病院団体の代表らとともに11月15日に官邸を訪れ、岸田 文雄首相と面会し、医療現場で働く職員の賃上げを「非常に重要な事項」として診療報酬の改定での増額を求めた。この面会に先立ち、松本会長は日本病院会などからなる四病院団体協議会の幹部と記者会見を開き、2024年度の診療報酬改定に向けて大幅な引き上げを強く求める合同声明を発表した。医療業界は物価高騰や賃金上昇による経営環境の厳しさに直面しており、とくに入院基本料の引き上げを要望している。入院基本料は15年間据え置かれており、病院経営の持続可能性に影響を与えている。財務省側の診療報酬マイナス改定の求めに対して、日本病院会の島副会長は、「赤字病院が8割を超えており、診療報酬の引き下げが入院医療の質の低下につながる」と懸念を表明したほか、全日本病院協会の猪口会長は、賃上げの余裕がない現状を指摘し、財政支援の必要性を訴えた。来年の診療報酬の改定の幅は年末までに決定される見込みで、今後は厚生労働省、財務省とさらに折衝が行われる。参考1)類を見ない物価高騰「大幅な診療報酬引き上げを」日本医師会と四病協が合同で声明(CB News)2)日医・四病協が合同声明 24年度診療報酬改定「大幅引上げ強く求める」 日病「入院基本料引上げは悲願」(ミクスオンライン)3)首相「医療職賃上げ重要」 日医会長らと面会(東京新聞)4)令和6年度診療報酬改定に向けた日本医師会・四病院団体協議会合同声明(日医)2.肥満症治療薬セマグルチドが薬価収載、供給不足の懸念も/中医協厚生労働省は、11月15日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、肥満症治療の新薬セマグルチド(商品名:ウゴービ)の薬価収載について了承した。肥満症の治療薬として約30年ぶりに公的医療保険の対象として承認された。セマグルチドはGLP-1受容体作動薬であり、肥満症の治療に用いる場合は、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法や運動療法で十分な効果が得られない、特定のBMI基準を満たす患者に限定されている。ウゴービと同一成分のオゼンピック注は、すでに糖尿病治療薬として使用されており、ウゴービの薬価償還により美容・ダイエット目的での不適切な使用が増え、供給不足のため必要な患者への薬剤供給が困難となる可能性が懸念されている。厚労省や医療関係者は、GLP-1受容体作動薬の適切な使用を強く呼びかけ、不適切な使用による健康被害や供給不足の問題を防ぐための対策を求めている。また、セマグルチドの供給に関しては、製薬会社が安定供給を確保できると報告しているが、実際の供給状況や使用実態については、引き続き注視が必要。参考1)オゼンピック皮下注2mg供給(限定出荷)に関するお知らせ(ノボ ノルディスクファーマ)2)中医協総会 肥満症治療薬・ウゴービ収載で厚労省に対応求める ダイエット目的の使用で供給不安を懸念(ミクスオンライン)3)肥満症薬ウゴービ22日収載、ピーク時328億円 中医協・総会が了承(CB News)4)肥満症に30年ぶり新薬、ウゴービを保険適用へ…ダイエット目的の使用に懸念も(読売新聞)5)糖尿病治療薬は「やせ薬」? ネットで広まり品薄状態に(産経新聞)3.不妊治療の保険適用で医療費895億円、患者の経済負担は?/中医協厚生労働省は、11月17日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、不妊治療を取り上げた。2022年度の診療報酬改定に合わせて、不妊治療が保険適用され、患者側や医療機関側の反応と金額について議論を行った。保険適用後の不妊治療の実施状況は、医療費895億円、レセプト件数125万件、実患者数37万人。一般不妊治療管理料は31万回、生殖補助医療管理料は合計61万回以上算定されていた。しかし、保険適用にあたって設けられた範囲や年齢・回数制限に関して、見直しを求める意見が出されたほか、凍結保存胚の維持管理期間の延長が検討された。また、不妊治療の全体像を正確に把握するために、今後も日本産婦人科学会のデータ検証が必要とされた。参考1)中央社会保険医療協議会 総会(第565回) 議事次第2)不妊治療の保険適用、昨年度の医療費895億円 対象拡大後 厚労省(朝日新聞)3)「不妊治療の保険適用」は効果をあげているが「年齢・回数制限の見直し」求める声も、凍結胚の維持管理期間を延長してはどうか-中医協総会(Gem Med)4.2025年発足のかかりつけ医機能報告制度、分科会で議論開始/厚労省2025年4月に施行される「かかりつけ医機能報告」制度に向けて、厚生労働省は「第1回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を11月15日に開き、議論を開始した。かかりつけ医機能報告制度は、慢性疾患患者や高齢者など継続的な医療が必要な人々に対して、地域での「かかりつけ医機能」を確保・強化することを目的としている。分科会では、医療機関が都道府県に報告する「かかりつけ医機能」の内容や、報告制度の対象となる医療機関の範囲などを具体化することが議題となっている。分科会では、患者が適切な受診先を選択できるように「かかりつけ医機能」をカバーする医療機関の基準設定の必要性が指摘された。このほか、地域医療機関の連携強化や患者が「かかりつけ医機能を持つ医療機関」を容易に検索できる仕組みの構築が重要であるとの意見も出された。医療提供側からは、幅広い医療機関が参加できるような仕組みへの期待を寄せる声が上がったほか、患者側と医療側で「かかりつけ医機能」に関する意識のズレも明らかとなった。今後は議論を重ね、実効性のある「かかりつけ医機能」の具体化に進め、来年の夏までに取りまとめを行い、法律改正を経て、令和7(2025)年度の発足を目指す見込み。参考1)第1回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会 資料(厚労省)2)「かかりつけ医機能」具体化へ分科会が初会合 プレゼン・ヒアリングでまず実態把握(CB News)3)かかりつけ報告、来年夏に取りまとめへ 厚労省分科会が初会合(MEDIFAX)5.日本で緊急避妊薬の試験販売開始、医師の処方箋不要に/厚労省厚生労働省は、緊急避妊薬(アフターピル)の試験販売が11月28日から開始されることを明らかにした。全国約145~150の薬局で、医師の処方箋なしで販売される予定。価格は7,000~9,000円で、16歳以上の女性を対象としているが、18歳未満では保護者の同伴が必要となる。緊急避妊薬は、性交後72時間以内に服用することで妊娠を高確率で回避でき、現在は、医師の処方箋が必要であり、避妊失敗や性暴力による望まない妊娠を防ぐために市販化を求める声が上がっていた。試験販売は来年3月29日までの予定で、厚労省が求める要件を満たす薬局で実施される。要件としては夜間や休日の対応、近隣の産婦人科との連携、プライバシーが確保できる個室の有無などが含まれ、購入者は研究への参加に同意する必要がある。参考1)緊急避妊に係る診療の提供体制整備に関する取組について(厚労省)2)緊急避妊薬、薬局で試験販売 28日から、全国145店舗 厚労省(時事通信)3)緊急避妊薬28日試験販売 全国145薬局、16歳以上(日経新聞)4)医師の処方箋なしで緊急避妊薬、28日から全国150薬局で試験販売…薬剤師の面前で薬を服用(読売新聞)6.解禁前に大麻類似成分含むグミ問題が浮上、販売停止へ/厚労省厚生労働省麻薬取締部は、大麻の類似成分を含むとされるグミによって体調不良を訴える人が相次いでいることを受け、東京と大阪の販売店に対して販売停止命令を出した。これらのグミは「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」という未規制の成分を含んでいるとされ、武見 敬三厚生労働大臣は使用・流通の禁止を検討している。今回の事件は、東京都内や大阪市での祭りや公共の場での配布により、体調不良を訴え、病院に搬送される患者から発覚した。厚労省は、これらのグミが健康被害を引き起こす可能性があるとして、成分分析を行っている。また、CBD(カンナビジオール)を含む合法的な「CBDグミ」との混同を避けるための情報提供も行っている。販売する「ワンインチ」社の社長は、同社のCBDグミは安全であり、大麻グミとは異なると主張している。また、厚労省は、CBD製品は、大麻取締法に該当しないことを明らかにしている。大麻草から抽出した成分を用いて製造した医薬品の国内での使用解禁を含む、大麻取締法の改正案が11月14日に衆議院本会議で可決されたばかりで、武見厚労働大臣は、17日の閣議後の会見で、成分が特定されれば、「速やかに指定薬物として指定し、使用・流通を禁止する」方針を明らかにしている。参考1)大麻グミ騒動 「CBDグミ」販売元が訴え「味覚糖製造、安全」「HHCHとは大きく異なる…大変迷惑」(スポニチ)2)「グミ」店に販売停止命令 麻薬取締部、大麻類似成分(東京新聞)3)「大麻グミ」規制へ 搬送相次ぎ、厚労相「使用・流通禁止を検討」(朝日新聞)4)大麻法改正案、衆院通過 成分含む薬、使用可能に(産経新聞)

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増加する化学療法患者-機転の利いた専攻医の検査オーダー【見落とさない!がんの心毒性】第26回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別70代・女性(BMI:26.2)既往歴高血圧症、2型糖尿病(HbA1c:8.0%)、脂質異常症服用歴アジルサルタン、メトホルミン塩酸塩、ロスバスタチンカルシウム臨床経過進行食道がん(cT3r,N2,M0:StageIIIA)にて術前補助化学療法を1コース受けた。化学療法のレジメンはドセタキセル・シスプラチン・5-fluorouracil(DCF)である。なお、初診時のDダイマーは2.6μg/mLで、下肢静脈エコー検査と胸腹部骨盤部の造影CTでは静脈血栓症は認めていない。CTにて(誤嚥性)肺炎や食道がんの穿孔による縦隔炎の所見はなかった。2コース目のDCF療法の開始予定日の朝に37.8℃の微熱を認めた。以下が上部消化管内視鏡画像である。胸部進行食道がんを認める。画像を拡大する以下が当日朝の採血結果である(表)。(表)画像を拡大する【問題】この患者への抗がん剤投与の是非に関し、専攻医がオーダーしていたために病態を把握できた項目が存在した。それは何か?a.プロカルシトニンb.SARS-CoV-2のPCR検査c.Dダイマーd.βD-グルカンe.NT-proBNP筆者コメント本邦のガイドラインには1)、「がん薬物療法は、静脈血栓塞栓症の発症再発リスクを高めると考えられ、Wellsスコアなどの検査前臨床的確率の評価システムを起点とするVTE診断のアルゴリズムに除外診断としてDダイマーが組み込まれているものの、がん薬物療法に伴う凝固線溶系に関連するバイオマーカーに特化したものではない。がん薬物療法に伴う静脈血栓症の診療において、凝固線溶系バイオマーカーの有用性に関してはいくつかの報告があるものの、十分なエビデンスの集積はなく今後の検討課題である」と記されている。一方で、「がん患者は、初診時と入院もしくは化学療法開始・変更のたびにリスク因子、バイオマーカー(Dダイマーなど)などでVTEの評価を推奨する」というASCO Clinical Practice Giudeline Updateの推奨も存在する2)。静脈血栓症の症状として「発熱」は報告されており3)、欧米のデータでは、実際に肺塞栓症(PE)発症患者の14~68%で発熱を認め、発熱を伴う深部静脈血栓症(DVT)患者の30日死亡率は、発熱を伴わない患者の2倍になることも報告されている4)。このほか、可溶性フィブリンモノマー複合体定量検査値は、食道がん周術期においても中央値は正常値内を推移することが報告されており、その異常高値はmassiveな血栓症の指標になる可能性もある5)。がん関連血栓症の成因として、(1)患者関連因子、(2)がん関連因子、(3)治療関連因子が2022年のESC Guidelines on cardio-oncologyに記載された6)。今後一層のがん患者の生存率向上とともに、本症例のようなケースが増加すると思われる。1)日本臨床腫瘍学会・日本腫瘍循環器学会編. Onco-cardiologyガイドライン. 南江堂;2023. p.56-58.2)Key NS, et al. J Clin Oncol. 2023;41:3063-30713)Endo M, et al. Int J Surg Case Rep. 2022;92:106836. 4)Barba R, et al. J Thromb Thrombolysis. 2011;32:288–292.5)Tanaka Y, et al. Anticancer Res. 2019;39:2615-2625.6)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;43:4229-4361.講師紹介

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ステロイド処方医は知っておきたい、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドライン改訂

 『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023』が8月に発刊。本書は、ステロイド薬処方医が服用患者の骨折前/骨密度低下前の管理を担う際に役立ててもらう目的で作成された。また、ステロイド性骨粗鬆症の表現にはエストロゲン由来の病態も含まれ、海外ではステロイド性骨粗鬆症と表現しなくなったこともあり、“合成グルココルチコイド(GC)服用による骨粗鬆症”を明確にするため、本改訂からグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)と表記が変更されたのも重要なポイントだ。9年の時を経て治療薬に関する膨大なエビデンスが蓄積された今回、ガイドライン作成委員会の委員長を務めた田中 良哉氏(産業医科大学第一内科学講座 教授)に、GIOPにおける治療薬の処方タイミングや薬剤選択の方法などについて話を聞いた。ステロイド薬処方時にグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の予防策 自己免疫疾患や移植拒絶反応をはじめ、多くの疾患治療に用いられるステロイド薬。この薬効成分は合成GCであるため、ホメオスタシスを維持する内在性ホルモンと共通の核内受容体に結合し、糖、脂質、骨などの代謝に異常を来すことは有名な話である。他方で、ステロイド薬の処方医は、GCを処方することで代謝異常を必然的に引き起こしていることも忘れてはいけない話である。 つまり、ステロイド薬を処方する際には、必ずこれらの代謝異常が出現することを念頭に置き、必要に応じた予防対策を講じることが求められる。その1つが“骨粗鬆症治療薬を処方すること”なのだが、実際には「骨粗鬆症の予防的処方に対する理解は進んでいない」と田中氏は話した。この理由について、「GIOPには明確な診断基準がなく、本ガイドラインに記載されていることも、あくまで“治療介入のための基準”である。診断基準がないということは診断されている患者数もわからない。骨粗鬆症患者1,600万人のうち、GCが3ヵ月継続処方されている患者をDPCから推算すると約100~150万人が該当すると言われているが、あくまで推定値に過ぎない。そのような背景から、GIOPに対する管理・治療が世界中で問題になっている」と同氏は警鐘を鳴らした。グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドラインで治療や予防のための基準このような問題が生じてしまうには、5つの誤解もあると同氏は以下のように示し、それらの解決の糸口になるよう、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023ではGIOPの予防的管理や治療に該当する患者を見極めるための基準を設けている(p.xiii 図2:診療アルゴリズムを参照)。1)GC骨粗鬆症の管理にはDXA法などの骨密度検査が必要?→スコアリングシステムで計算すれば、薬物療法の必要性が判断できる。2)ステロイド5mg/dayなら安全と考えがち→人体から2.0~2.5mg/dayが分泌されており、GC投与は1mgでも過剰。安全域がないことも周知されていない。3)骨を臓器の一種とみなしていない→「骨粗鬆症は骨代謝異常症であり代謝疾患の一種」という認識が乏しい。4)命に直結しない!?→「骨が脆弱になっても死なない」と思われる傾向にある。実際には、大腿骨や腰椎などの骨折が原因で姿勢が悪くなり、その結果、内臓・血管を圧迫して循環障害を起こし、死亡リスク上昇につながった報告もある1)。5)GIOP治療が難しいと思われている→スコアリングに基づき薬物介入すれば問題ない。GCを3ヵ月以上使用中あるいは使用予定患者で、危険因子(既存骨折あり/なし、年齢[50歳未満、50~65歳未満、65歳以上]、GC投与量[PLS換算 mg/日:5未満、5~7.5未満、7.5以上]、骨密度[%YAM:80以上、70~80未満、70未満])をスコアリングし、3点以上であれば薬物療法が推奨される。ステロイド性骨粗鬆症のガイドラインから第一選択薬の明記をなくす スコアリングシステムは、ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療 ガイドライン2014年改訂版からの変更はないものの、治療薬の選択肢が増えたことからシステマティックレビューなどを行った結果、5つの薬剤(ビスホスホネート[内服、注射剤]、抗RANKL抗体、テリパラチド、エルデカルシトール、またはSERM)が推奨され、抗スクレロスチン抗体はFuture Questionになった。なお、前回まではアレンドロネートとビスホスホネートを第一選択薬として明記していたが、本改訂では第一選択薬の明記がなくなった。これについて同氏は「厳密に各薬剤を直接比較している試験がなかった」と補足した 。 また、新たな薬剤の推奨の位置付けやエビデンスについても「抗RANKL抗体は大腿骨頸部や橈骨の構成要素である皮質骨、椎体の構成要素の半分を占める海綿骨、いずれの骨密度にも好影響を及ぼすが、海外では悪性腫瘍の適応と同一薬価で販売されていることも推奨度に影響した。一方、抗スクレロスチン抗体は現状ではエビデンス不足のため本書での推奨が付かなかった。推奨するにはエビデンスに加えて、医療経済やアドヒアランスの観点も踏まえて決定した」と説明した。グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドライン準拠は10%未満 最後に同氏は、「GIOPは腰椎と同時に“胸椎”にも高頻度に影響しやすいため、原疾患の治療にてレントゲン撮影をする際にはGIOPの治療効果・経過観察のためにも、ぜひ骨にも目を向けてほしい。そして、本ガイドラインを準拠している内科医は10%にも満たないと言われているので、すべての医師がこれを理解してくれることを期待する。骨代謝異常症に対するビスホスホネートの作用点は、脂質代謝異常薬の作用点であるメバロン酸経由の下流であることからも、骨と脂質異常症の相同性が示唆される。ハートアタックならぬボーンアタックを予防するためにも、3ヵ月以上にわたってステロイドを処方する場合には骨粗鬆症予防の介入を考慮し、GIOPの予防・管理につなげてもらえるように学会としても啓発していきたい」と語った。

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統合失調症患者における抗精神病薬誘発性糖尿病性ケトアシドーシスのリスク評価~医薬品副作用データベース解析

 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、生命を脅かす重篤な状態であり、抗精神病薬により引き起こされる可能性がある。アジア人糖尿病患者は、白人と比較し、インスリン抵抗性が低いといわれている。これまでに報告されている抗精神病薬に関連したDKAの研究は、すべて欧米人を対象としているため、これらのデータが日本人でも同様なのかは、不明である。獨協医科大学の菅原 典夫氏らは、自発報告システムデータベースである日本の医薬品副作用データベースを用いて、抗精神病薬とDKAとの関連を分析した。その結果から、統合失調症患者のDKA発現にはオランザピン治療が関連していることが明らかとなった。とくに、男性患者において、DKAリスクが高いことも確認された。Journal of Psychosomatic Research誌オンライン版2023年10月19日号の報告。 2004年4月~2021年3月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出された有害事象報告書を用いて、レトロスペクティブにファーマコビジランスの不均衡分析を行った。対象集団は統合失調症患者7,435例であり、抗精神病薬に関連したDKAの報告は合計55件であった。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者のDKA症例55例のうち、DKA後の死亡した患者は3例(6%)であった。・DKAの兆候は、オランザピン治療後に報告されており、調整後報告オッズ比は有意であった(aROR:3.26、95%信頼区間[CI]:1.87~5.66)。・準選択法を用いた多変量ロジスティック回帰分析では、オランザピン治療症例1,399例において、DKA発現と関連していた因子は、男性であることだった(aROR:2.72、95%CI:1.07~6.90)。 結果を踏まえ、著者らは「本データは、統合失調症患者の抗精神病薬に関連するDKA発現を減少させるために、リスク管理やモニタリングに役立つであろう」としている。

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妊娠糖尿病に対する早期のメトホルミン投与の効果(解説:小川大輔氏)

 日本においてメトホルミンは「妊婦または妊娠している可能性のある女性」への投与は禁忌となっている。一方、海外ではメトホルミンは妊娠糖尿病に使用可能である。今回、妊娠糖尿病患者を対象に、妊娠早期からメトホルミン治療を開始する試験の結果がJAMA誌に発表された1)。 この試験はアイルランドの2ヵ所の医療機関で、妊娠28週以前に妊娠糖尿病と診断された被験者を登録して実施された二重盲検無作為化試験である。被験者510人(妊娠535件)を対象として、メトホルミンを投与する群(メトホルミン群)と、プラセボを投与する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要アウトカムは妊娠32週または38週時点での空腹時血糖高値(5.1mmol/L以上)、またはインスリン療法の開始であった。 主要複合アウトカムはメトホルミン群で56.8%、プラセボ群で63.7%と有意差を認めなかった(相対リスク:0.89、95%信頼区間[CI]:0.78~1.02、p=0.13)。母体に関する副次アウトカムのうち、インスリン開始までの時間、自己報告の毛細血管血糖コントロール、妊娠中の体重増加はメトホルミン群で有意に良好であった。新生児に関する副次アウトカムでは、出生時体重がメトホルミン群で有意に低値であった。 妊娠早期からのメトホルミン投与により、主要複合アウトカムは有意差がなかったが、インスリン療法の開始についてはメトホルミン群で38.4%、プラセボ群で51.1%と有意差を認めた(相対リスク:0.75、95%CI:0.62~0.91、p=0.004)。また、副次アウトカムでも妊娠中の血糖コントロールや母体の体重管理は、メトホルミン早期導入により改善することが示された。そのため今回の試験結果だけで、妊娠糖尿病に早期からメトホルミンを導入するべきではないと結論付けることは難しい。著者らが考察しているように、より規模の大きな臨床試験を行う必要があるだろう。 また、すべての妊娠糖尿病患者に早期からメトホルミンを投与する必要はないのかもしれない。インスリン分泌が低下しているのであれば早期からインスリン導入を検討するべきであるし、肥満を伴っていれば早期からメトホルミン投与を考慮してもよいだろう。今後試験デザインを再考し、対象となる症例を増やして妊娠糖尿病に対するメトホルミン早期導入の意義を検討する臨床試験が行われることを期待したい。 メトホルミンは妊娠中の血糖管理だけでなく、妊婦の体重増加や妊娠高血圧腎症などに有効かつ安全であることが報告されている2)。実臨床で血糖コントロールのために大量のインスリンを必要とし、体重管理に苦慮する妊娠糖尿病の症例をしばしば経験するので、日本でも妊娠糖尿病でメトホルミンが投与できるようになることを願う。

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コーヒーの砂糖とミルク、肥満に関連するのは?

 コーヒー摂取と体重増減、疾患リスクとの関連を調査した研究は多いが、新たにカフェイン摂取量に加え、砂糖・ミルクの添加が体重増減と関連するかを調べた研究結果がThe American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2023年10月1日号に掲載された。 研究者らは、米国の3つの大規模前向きコホートNurses' Health Study(1986~2010年)、Nurses' Health Study II(1991~2015年)、Health Professional Follow-up Study(1991~2014年)を用いた。砂糖、クリーム、非乳製品コーヒークリームの添加を考慮したうえで、コーヒー消費量、カフェイン摂取量と体重変化との関連を調べた。また、コーヒー以外の飲料や食品に砂糖を加えることと体重変化との関連、それがカフェインやコーヒー摂取量と関連しているかについても検討した。 主な結果は以下のとおり。・無糖カフェイン入りコーヒーの摂取が1日1杯増加するごとに、4年間の体重は-0.12kg(95%信頼区間[CI]:-0.18~-0.05)、無糖カフェインレスコーヒーでは-0.12kg(95%CI:-0.16~-0.08)となった。・クリームや非乳製品コーヒークリームを加える習慣は、体重変化と有意な関連はなかった。・ティースプーン1杯の砂糖を加えることは、0.09kg(95%CI:0.07~0.12)の体重増加と関連していた。・層別解析では、年齢が若いほど、またベースラインのBMIが高いほど、観察された関連性の大きさがより強くなることが示唆された。・コーヒーおよびカフェイン摂取量は、いずれもほかの飲料または食品の砂糖添加と体重変化との関係に影響しなかった。 研究者らは「無糖のカフェイン入り、カフェインレスコーヒーの摂取量の増加は、体重減少と相関していたが、砂糖を加えることで体重管理に対するコーヒーの有益性を打ち消し、さらなる体重増加を招いた」とした。

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HER2陽性転移のある乳がんの1次治療、pyrotinib併用でPFS改善/BMJ

 未治療のHER2陽性転移のある乳がんの治療において、pyrotinib(不可逆汎HERチロシンキナーゼ阻害薬)+トラスツズマブ+ドセタキセルは、プラセボ+トラスツズマブ+ドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、毒性は管理可能であることが、中国医学科学院北京協和医学院癌研究所のFei Ma氏らが実施した「PHILA試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年10月31日号で報告された。中国の無作為化プラセボ対照第III相試験 PHILA試験は、中国の40施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年5月~2022年1月に患者のスクリーニングを行った(中国・Jiangsu Hengrui Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。 年齢18~75歳、HER2陽性の再発または転移のある乳がんで、全身療法を受けていない女性患者を、トラスツズマブ+ドセタキセル(21日を1サイクルとして1日目に静脈内投与)に加え、pyrotinibまたはプラセボを1日1回経口投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、担当医判定によるPFS(無作為化から、画像上での最初の病勢進行または全死因死亡のうち先に発生したイベントまでの期間)とした。 590例を登録し、pyrotinib群に297例(年齢中央値52歳[四分位範囲[IQR]:46~58])、プラセボ群に293例(52歳[46~57])を割り付けた。今回の中間解析のデータカットオフ日(2022年5月25日)の時点で、追跡期間中央値は15.5ヵ月だった。二重のHER2阻害の有効性を示唆 担当医判定によるPFS中央値は、プラセボ群が10.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.3~12.3)であったのに対し、pyrotinib群は24.3ヵ月(19.1~33.0)と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.41、95%CI:0.32~0.53、片側p<0.001)。 12ヵ月の時点での推定無増悪生存率は、pyrotinib群が74.3%(95%CI:68.1~79.5)、プラセボ群が44.0%(37.5~50.3)、24ヵ月時はそれぞれ50.3%(41.9~58.1)、16.6%(10.7~23.7)であった。 また、独立審査委員会判定によるPFS中央値は、プラセボ群の10.4ヵ月(95%CI:10.2~12.2)に比べ、pyrotinib群は33.0ヵ月(19.4~未到達)と有意に優れた(HR:0.35、95%CI:0.27~0.46、片側p<0.001)。 客観的奏効は、プラセボ群では207例(71%、95%CI:65~76)で得られたのに対し、pyrotinib群では246例(83%、78~87)で達成され、有意差を認めた(群間差:12.2%、95%CI:5.4~18.9、層別片側p<0.001)。完全奏効は、pyrotinib群19例(6%)、プラセボ群8例(3%)であった。 Grade3以上の治療関連有害事象は、pyrotinib群で267例(90%)、プラセボ群で224例(76%)に発現し、好中球数の減少(pyrotinib群63%、プラセボ群65%)、白血球数の減少(53%、51%)、下痢(46%、3%)の頻度が高かった。治療関連死は、pyrotinib群では発生しなかったが、プラセボ群で1例(<1%、糖尿病性高浸透圧性昏睡)に認めた。 著者は、「これらの知見は、モノクローナル抗体と低分子チロシンキナーゼ阻害薬による二重のHER2阻害が、HER2陽性転移のある乳がんの1次治療の選択肢となる可能性を支持するものである」としている。

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脂質低下療法の効果にストロングスタチン間の違いはあるのか?(解説:平山篤志氏)

 動脈硬化性疾患の2次予防にLDL-コレステロール(LCL-C)低下の重要性が明らかにされているが、ガイドラインにより、LDL-Cの管理目標値を達成するアプローチ(Treat to Target)と目標値を設定せず病態に応じたスタチンを投与するアプローチ(Fire and Forget)がある。韓国で行われたLODESTAR試験は、この2種のアプローチでOutcomeが異なるかを検討した試験で、すでに報告されたように管理目標値を達成できれば両者に優劣はなかった。本試験ではさらに、エントリーされた患者はTreat to Target群とFire and Forget群に分けられると同時に、2種のストロングスタチン、すなわちロスバスタチン群とアトルバスタチン群に割り付けられ、今回はスタチンの相違についての検討が報告された。 結果は、ロスバスタチン群でアトルバスタチン群に比し、0.1mmol(3.85mg/dL)の有意なLDL-Cの低下は認められたが、心血管イベントには両者で差がない結果であった。また、数多くの2次エンドポイントが設けられていたが、ロスバスタチン群で新規糖尿病と白内障の発症がアトルバスタチン群に比して有意に多いと報告されていた。スタチン使用と新規糖尿病の発症については2012年にFDAが警告を発して以来、投与に関しては注意が必要とされている。スタチンがグルコーストランスポーターのGULT4のダウンレギュレーションを来すことが一因とされており、これまでスタチンの強度、脂溶性・水溶性などの解析が行われてきたが、相違については結論が出されていない。今回の検討でも、全参加者の解析では新規糖尿病の発症や糖尿病治療薬の使用開始では確かにロスバスタチン群で有意に高いが、糖尿病の既往のない患者群では新規発症には有意差が示されなかった。したがって、この結果だけをもってロスバスタチンのほうが糖尿病を来すリスクが高いとはいえない。 これまでに報告されているように、スタチンによる糖尿病発症や悪化のリスクはあっても、心血管イベント抑制効果が上回ることから、スタチン使用に躊躇すべきではない。この論文のメッセージとしては、いずれのスタチンを用いても有効性と安全性には差がないというものである。論文のメッセージとしてのインパクトは大きくないが、韓国でこれほどの大規模試験が行われ結果を報告しているのに、なぜか日本ではRegistry研究は盛んだがRCT研究が少なくなっているように思われる。今後、わが国でRCTを行いやすくできる環境整備が必要なのであろう。

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11月14日 世界糖尿病デー【今日は何の日?】

【11月14日 世界糖尿病デー】〔由来〕糖尿病の治療に欠かせない「インスリン」を発見したカナダの医師フレデリック・バンティングの誕生日にちなみ、2006年に国際連合は11月14日を「世界糖尿病デー」に認定。世界各地で糖尿病の予防、治療、療養について啓発活動を行っている。わが国でも全国で糖尿病啓発などに関するイベントが開催されるほか、東京タワーや大阪城などの有名建築物が糖尿病のシンボルカラーのブルーでライトアップされている。関連コンテンツ高齢者糖尿病診療のコツDr.坂根の糖尿病外来NGワードDr.坂根のすぐ使える患者指導画集 Part2日本人2型糖尿病でのチルゼパチドの効果、GLP-1RAと比較/横浜市立大チルゼパチド追加の「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」改訂版/日本糖尿病学会

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第170回 外来管理加算の廃止提案に医師会は強く反発/中医協

<先週の動き>1.外来管理加算の廃止提案に医師会は強く反発/中医協2.地域医療構想で進む病床再編、急性期病床が減少、回復期は増加/厚労省3.日本の公的医療支出が高水準、病床数と在院日数で2位/OECD4.GLP-1受容体作動薬の供給不足、卸に対して美容目的の出荷抑制を指示/厚労省5.美容目的のエクソソーム使用に規制を、死亡事例の報告も/再生医療学会6.介護職員の待遇改善へ、来年2月から月6,000円の賃上げ決定/政府1.外来管理加算の廃止提案に医師会は強く反発/中医協厚生労働省は、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会を11月10日に開催。2024年度の診療報酬改定に向けて議論が行われた。とくに外来医療に関する「外来管理加算(52点)」については、支払い側が廃止を求め、激しい議論となった。外来管理加算は、2008年の診療報酬改定で再診患者に対する計画的な医学管理を評価するため導入された。当初は「おおむね5分を超える診察」の要件(いわゆる「5分ルール」)が含まれていたが、医療現場の強い反発で、このルールは2年後に廃止された代わりに、「簡単な症状の確認」だけで処方を行った場合は加算を算定できないことが明確化されていた。支払側委員の松本 真人氏(健康保険組合連合会理事)は、外来管理加算の算定要件があいまいで、その評価の妥当性に疑問を提起した。さらに、外来管理加算と「特定疾患療養管理料」、「生活習慣病管理料」、「地域包括診療加算」の併せて算定が許される現状についても、患者や保険者にとって理解しづらいと指摘し、廃止を主張した。これに対して、診療側の委員たちは強く反発。長島 公之委員(日本医師会常任理事)は、松本委員の意見を「暴論」と断じ、まったく容認できないと強調した。池端 幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)も、廃止の主張に全面的に反対する意向を示した。参考1)中医協資料 外来(その3)について(厚労省)2)外来管理加算の廃止を主張、支払側の松本委員 長島委員は「暴論、容認できない」(CB news)3)「外来管理加算の廃止」の支払側提案に、診療側委員は猛反発、「かかりつけ医機能」の診療報酬評価をどう考えるか-中医協総会(1)(Gem Med)2.地域医療構想で進む病床再編、急性期病床が減少、回復期は増加/厚労省厚生労働省は、11月9日に「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催し、地域医療構想の進捗について報告した。厚労省が最新の病床機能報告を基に行った集計によれば、2025年までに急性期病床が約7.1万床減少する一方、回復期病床は約7.9万床増加する見込み。政府は、高齢化や人口減少に対応するため、2025年までに各地域の医療体制を効率化することを目的として地域医療構想の実現を目指し、病床再編を行っている。病床再編により、一部の地域では医療機関の存続が危ぶまれ、とくにコロナ禍での病床削減への疑問符が生じている。たとえば、岐阜県東濃地方では、公営病院の病床数削減や民間への譲渡が進められているが、地域全体での病床利用率は高くなく、病床削減による共倒れの懸念が指摘されている。新型コロナウイルスのパンデミックは、病床削減の方針に再考を迫っており、急性期病床の役割の重要性が再認識されているが、今後は、コロナ禍の経験や在宅医療の需要も考慮に入れた新たな医療再編の議論が求められている。参考1)地域医療構想の進捗等について(厚生労働省)2)急性期7.1万床減少見込み、15-25年に 回復期は7.9万床増、全国ベースで(CB News)3)目標の2025年迫る「地域医療構想」 病床再編 議論が“再燃” 地域医療の崩壊に危機感(東京新聞)3.日本の公的医療支出が高水準、病床数と在院日数で2位/OECD経済協力開発機構(OECD)の最新報告によれば、わが国の公的医療支出はGDPの11.5%であり、政府支出の22%を占めることが判明した。これは、加盟38ヵ国中最高の割合であることが明らかになった。わが国の人口当たり病床数(12.6)は韓国に次いで2位で、平均在院日数も16.0日と、OECDの平均の約2倍である。人口1,000人当たりの医師数は2.6人で、OECDの平均3.7人に及ばない。また、わが国は、65歳以上の高齢者割合が29%と最も高く、1人当たりの受診回数も11回で2番目に多い。OECDは、これらの現状をもとにわが国の医療資源の効率的な活用を促している。人口10万人当たりの薬剤師数は199人でトップに立つ一方で、ノルウェーやスウェーデンの65歳以上の人口100人当たり介護従事者の数は約12人に対して、わが国は6.8人である。そのほか、開業医の電子カルテ利用率は平均93%に対し、日本は42%と低くOECDの武内 良樹事務次長は、わが国の医療提供の効率化と介護の費用対効果の向上を求めている。さらにわが国の病院依存型の医療制度が非効率であると指摘し、遠隔医療の利用拡大やかかりつけ医の医療質向上のほか、スキルの高い介護人材の確保と労働条件の改善も必要とも述べている。参考1)図表でみる医療 2023:日本(OECD)2)公的医療支出の割合、日本がトップ OECD、病床数・在院日数は2位(MEDIFAX)4.GLP-1受容体作動薬の供給不足、卸に対して美容目的の出荷抑制を指示/厚労省厚生労働省は、2型糖尿病治療に使用されるGLP-1受容体作動薬の在庫が逼迫していることを受け、7月下旬に医療機関と薬局に対して、GLP-1受容体作動薬の買い込みを控え、必要量のみの購入を行うよう求め、薬剤の適正使用を依頼した。GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病患者以外への使用(主に美容・痩身目的)については有害事象の報告もあり、懸念が広がる一方、海外承認のニュースにより急速に処方が増えている。厚労省は、2型糖尿病患者に対して適切に供給されるように、医薬品卸売販売業者に対して、注文を受けた際に治療目的を確認し、糖尿病治療以外の目的での使用が明らかな注文に対しては、納入を控えるよう11月9日付けで通知を発出した。参考1)GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼(その2)(厚労省)2)GLP-1、糖尿病治療以外は納入しないよう卸に要請 厚労省(日刊薬業)5.美容目的のエクソソーム使用に規制を、死亡事例の報告も/再生医療学会厚生労働省が、11月10日に開催した厚生科学審議会の再生医療等評価部会で、日本再生医療学会は、細胞から分泌される微粒子「エクソソーム」が含まれる幹細胞培養上清液が、美容目的やアンチエイジング目的で自由診療の医療機関で使用されているとして、「何らかの規制下に置かれることが望ましい」とする提言書を国に提出した。エクソソームは組織再生を促す物質を含んでいるが、現行の再生医療の安全に関する法律の対象外のため、管理が不十分な場合には重大な事故を引き起こす可能性があると指摘されている。すでに、幹細胞培養上清液を使用した治療による患者の死亡事例も報告されており、研究者らはエクソソームの体内での効果や安全性に関する科学的根拠が不足しており、一部のクリニックが効果を誇張して宣伝されていることを問題視しており、大阪大学の曽宮 正晴助教は、このような未確立の治療法には倫理的、科学的な問題があると指摘している。これに対して、実施しているクリニックが所属している日本再生医療抗加齢学会側は、現在の状況を改善するためのガイドライン作成や問題点の精査を急務としている。参考1)エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言(日本再生医療学会)2)幹細胞培養上清液に関する死亡事例の発生について(再生医療抗加齢学会)3)エクソソーム 美容目的などに利用 “将来的に規制を”学会提言(NHK)4)エクソソーム治療「規制下が望ましい」学会が提言 死亡例の報告も(朝日新聞)5)幹細胞培養上清液で死亡例 研究者「エクソソームの投与で何かを治したと人で実証された例はない」「身体にリスクも」“若返りや美容効果”うたうクリニックに警鐘(ABEMA TIMES)6.介護職員の待遇改善へ、来年2月から月6,000円の賃上げ決定/政府政府は、介護職員と看護補助者の賃金を2023年2月から月額6,000円引き上げることを含む補正予算を閣議決定した。この措置は、介護分野と他の産業との間で開いた待遇格差を埋め、介護職員の離職を防ぐための措置で、賃上げには関連経費が2023年度補正予算案に盛り込まれ、都道府県を通じて事業所や医療機関に補助される。今回の賃上げは、介護報酬の3年ごと、診療報酬の2年ごとの見直しに先立つ「つなぎ」としての措置であり、来年度の報酬改定で恒久的な賃上げを目指している。厚生労働省によれば、2022年の介護職員の給与平均は29.3万円、看護補助者は25.5万円で、全産業平均(36.1万円)と比べて低く、介護分野では低賃金のために他産業への人材流出が続いており、離職者数が増加している。全国老人保健施設協会の調査では、介護職員の2023年度の賃上げ率は1.42%で、春闘の平均賃上げ率3.58%を大きく下回っている。岸田 文雄首相は、医療介護における賃上げや人材確保を重要な課題として挙げ、「必要な処遇改善の検討を行わなければならない」と述べている。参考1)介護職、月6000円賃上げ 人材流出抑制で-厚労省・補正予算(時事通信)2)介護職員の賃金、来年2月から月6000円引き上げ…離職の歯止め措置で補正予算案に盛り込む(読売新聞)3)コロナ交付金に6,143億円、補正予算案決定 月6千円相当の看護職賃上げへ(CB news

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厚生労働省に糖尿病治療薬の安定供給を要望/糖尿病関係三団体

 糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬の適用外処方が社会問題となり、その供給不足が報道されている。また、後発医薬品メーカーの不祥事や原料の不足などで糖尿病患者への必要な既存の治療薬の供給にも不安が生じている。 こうした現在の状況に鑑み、2023年11月7日に日本糖尿病協会(理事長:清野 裕氏、患者代表理事:中園 徳斗士氏)、日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎氏)、日本くすりと糖尿病学会(理事長:朝倉 俊成氏)の三団体は連名で厚生労働省に対し「糖尿病治療薬の安定供給に関する要望書」を提出した。厚生労働省に患者代表も参加させ、患者視点の対策を要望 要望書の要旨は、以下のとおり。・厚生労働省で「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を設置し、現状把握と対策を検討していること、また、先発品だけでなく、後発品にも不安定供給が発生しているが、それらの薬価見直しについて検討していることへの謝意を表明。・しかしながら、状況はいまだ改善しているとは言い難く、現在も糖尿病医療の現場では、医療者、患者双方から、不安な思いが寄せられていることを報告。この状況の早期解消への一層の注力を要望。・また、問題解決には、医薬品を用いた治療を受ける患者の視点が重要であるため、今後の検討を進める際は、日本糖尿病協会の患者代表理事を加えて、当事者の意見を聴くことを要望。

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妊婦の過度の体重増加、50年以上先の死亡リスクにも影響/Lancet

 妊娠中の体重増加が2009年の全米医学アカデミー(2009 NAM)の勧告の推奨値を上回った妊婦は、この推奨値の範囲内であった妊婦と比較して、妊娠前の体重が標準体重および過体重の女性では50年後の全死因死亡のリスクが有意に上昇し、妊娠前は低体重の女性でも死亡リスクが上昇したものの統計学的に有意な差はなかったことが、米国・ペンシルベニア大学のStefanie N. Hinkle氏らの調査で明らかとなった。心血管死のリスクは妊娠前に低体重および標準体重の女性で、また糖尿病関連死のリスクは過体重の女性で上昇したという。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年10月19日号に掲載された。米国の前向きコホート研究 研究グループは、妊娠中の過度の体重増加が、50年以上経過した後の死亡率と関連するのかを評価する目的で、Collaborative Perinatal Project(CPP)のデータを用いて前向きコホート研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 CPPでは、1959~65年に米国の12の臨床センターを受診した妊婦4万8,197人を登録した。CPP Mortality Linkage Studyにおいて、CPPの参加者を国民死亡記録(National Death Index:NDI)およびSocial Security Death Master File(SSDMF)と関連付けることで、2016年12月31日の時点での生死状況を調査した。 2009 NAMの勧告に準拠した妊娠中の体重の増加・減少と、妊娠前のBMI別の死亡率との関連を、補正ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出することで推定した。妊娠前体重はBMIに基づき、低体重(BMI<18.5)、標準体重(18.5~24.9)、過体重(25.0~29.9)、肥満(≧30.0)に分類した。 主要エンドポイントは、全死因死亡とした。副次エンドポイントは、心血管系および糖尿病を基盤とする死亡であった。勧告より低い妊婦では、標準体重者のみ糖尿病関連死が低下 参加者のうち関連情報が得られなかった女性などを除く4万6,042人(黒人45.3%、白人46.2%)を解析に含めた。追跡期間中央値は52年(四分位範囲[IQR]:45~54)で、この間に1万7,901人(38.9%)が死亡した。 妊娠前に低体重であった女性(9.4%)では、2009 NAM勧告より過度の体重増加は、心血管死(HR:1.84、95%CI:1.08~3.12)のリスク上昇と関連したが、全死因死亡(1.14、0.86~1.51)や糖尿病関連死(0.90、0.13~6.35)とは関連がなかった。 妊娠前体重が標準であった女性(68.6%)では、2009 NAM勧告より過度の体重増加は、全死因死亡(HR:1.09、95%CI:1.01~1.18)および心血管死(1.20、1.04~1.37)のリスク上昇をもたらしたが、糖尿病関連死(0.95、0.61~1.47)には影響がなかった。 妊娠前に過体重であった女性(15.4%)では、2009 NAM勧告を超える体重増加により、全死因死亡(HR:1.12、95%CI:1.01~1.24)および糖尿病関連死(1.77、1.23~2.54)のリスクが上昇したが、心血管死(1.12、0.94~1.33)には影響しなかった。 また、妊娠前に肥満であった女性(6.7%)では、妊娠中の体重変化と死亡率との関連は、いずれの評価項目でもHRのCIの範囲が広く、意味のある関連性を認めなかった。 一方、妊娠中の体重の変化が2009 NAM勧告より低かった参加者では、妊娠前体重が標準の女性でのみ、糖尿病関連死(HR:0.62、95%CI:0.48~0.79)のリスクが低下していた。 著者は、「これらのデータは、妊娠中の過度の体重増加が、とくに心代謝性疾患による早期死亡のリスク上昇に寄与する可能性を示唆する」とし、「本研究の新たな知見は、妊娠期間中に2009 NAM勧告の範囲内で健康的な体重増加を達成することの重要性を支持するものであり、その意味するところは、妊娠期間を超えて、心血管系および糖尿病関連の死亡率を含む長期的な健康状態にまで及ぶ可能性があることを示す」と指摘している。

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