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COPD――多彩な併存症を持つ全身性疾患

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見で、日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏はCOPDの多彩な併存症について講演を行った。COPDは虚血性心疾患、肺がん、骨粗鬆症、糖尿病、うつなど多彩な併存症をもつことで注目を浴びています。木田氏が以前、解剖になった4,552名の患者を対象に、COPDの主要病態である肺気腫の合併疾患の頻度を調べたところ、脳血管障害70.9%、肺炎61.0%、胃潰瘍43.9%、肺結核24.1%、肺がん21.5%が認められ、いずれも肺気腫なしの患者より有意に高かった。また、COPD患者の死因の35%は肺炎、27%は心血管疾患、21%はがんであった(*1)。COPD患者は、呼吸機能の低下に従って、骨粗鬆症の発生頻度が大幅に増加することが知られている(*2)。COPDにおける骨粗鬆症のリスクファクターとしては、喫煙、活動量の低下、体重減少と筋肉量の減少、およびステロイド治療などが考えられている(*3)。また、COPD患者の41%にうつがあり、死亡率が高いとの報告がある(*4)。一方、COPD患者の13~17%に貧血が起こり、貧血が併存する場合、運動機能が落ち、生存率も下がる(*5,6)。このように、COPDの併存症は、多彩であるため、プライマリ・ケアと専門性の高い医療機関との連携(紹介・逆紹介)が望ましいと木田氏が強調した。一方、木田氏は、併存症を治療すると同時に、COPDに対し、効果の乏しい不適切な薬物処方をやめ、適切な治療を行うことで、患者QOLの向上、医療費の抑制につながると話した。【文献】*1 Rabe KF. N Engl J Med 2007; 356: 851.*2 Bolton CE. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170:1286.*3 lonescu AA. Eur Respir J 2003; 22(suppl 46): 64s.*4 Fan VS, et al. Gender, depression, and risk of hospitalization and mortality in COPD*5 John M, et al. Chest 2005; 127: 825-829.*6 Cote C, et al. Eur Respir J 2007; 29: 923-929.(ケアネット 呉 晨)

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グリタゾン系薬により心不全増加するも心血管系死亡率は不変:メタ解析

AHA・ADAによるコンセンサスガイドライン(2003年)では、「インスリン療法例」と「多リスクファクター例」以外では「心不全発症リスクが極めて低い」とされたグリタゾン系薬剤だが、約20,000例を対象としたメタ解析の結果、プラセボ・他剤に比べ心不全発症リスクの有意な増加が確認された。ただし心血管系死亡の有意な増加は認められていない。Lancet誌9月29日号に米国Lahey Clinic Medical CenterのRodrigo M Lago氏らが報告した。心不全発症は有意に増加対象となったのは前糖尿病・2型糖尿病患者においてグリタゾン系薬剤が検討された無作為化二重盲検試験。7試験、20,191例(rosiglitazone:5試験、14,491例、ピオグリタゾン:2試験、5,700例)で解析が行われた。平均29.7ヵ月の追跡期間中、360例の心不全発症が報告されており、グリタゾン系群における発症リスクは対照群の1.72(95%信頼区間:1.21-2.42)倍と有意に増加していた。Rosiglitazone群、ピオグリタゾン群に分けて解析しても同様で、心不全発症リスクの増加は有意だった。心血管系死亡は減少傾向しかし心血管系死亡のリスクはrosiglitazone、ピオグリタゾン群いずれも、対照群に比べ低下傾向を示していた。このため筆者らは「グリタゾン系により増加する心不全が左室リモデリングを伴う通常の心不全と異なる可能性」を示唆するとともに「心不全から死に至るには追跡期間が短すぎる」点も認めている。なお現在、rosiglitazoneによる心血管系イベントへの影響を検討する大規模試験RECORDが進行中である。(宇津貴史:医学レポーター)

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血糖値自己測定を活かすには医療従事者の協力が必要

BMJ誌では7月にDiGEMスタディを掲載し、2型糖尿病患者による血糖値自己測定の有用性に疑問を呈したが、今回はその背景にある患者心理を調査した Aston University(英国)のElizabeth Peel氏らによる研究結果で、8月30日付けHPにて早期公開された(その後本誌では9月8日号にて掲載)。患者は自己測定の結果をどう利用するかを十分に教育されていないようである。自己測定経験者を聞き取り調査Peel氏らは2002年から3年の間に2型糖尿病と診断されて6ヵ月以内の18例を対象に、2006年までに4回の聞き取り調査を行った。これら18例は全例、血糖値自己測定を行った経験があるが、試験参加時に測定していたのは7例のみだった。1年後には16例まで増加していたが、最終的には10例に減っていた。何故、自己測定をやめてしまったのか──。医療従事者の態度や患者教育に改善の余地あり聞き取り調査から明らかになった第一点は、医療従事者が自己測定値にさほど興味を示さないため、患者が自己測定を無駄だと考えるようになるという傾向である。治療歴が長くなるとHbA1cの方が重要らしいと知り、血糖値測定を軽視するようになるケースが多いようだが、「測定して行っても誰も数値を見てくれなかった」という例まであった。また自己測定した値を自分で見ても、何をすべきか教わっていない──という問題点も浮き上がってきた。その結果、自己測定値が高値の際、その旨を医療従事者に告げるのではなく、絶食・摂食制限など、短期的に血糖値を低下させる行動に走る傾向があり、運動や服薬には意識が回らないのが一般的だった。医療従事者の態度が血糖値自己測定に与える影響や、好ましい自己測定のあり方などをさらに検討する必要があると筆者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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グリタゾン系薬剤は糖尿病合併心不全患者の予後増悪?:体系的レビュー

慢性心不全患者ではHbA1c低値が予後増悪の予知因子と報告されているが、予後を増悪させているのはチアゾリジン誘導体(グリタゾン系薬剤)で、メトホルミンではそのようなおそれが少ないことが示唆された。Institute of Health Economics(カナダ)のDean T. Eurich氏らがBMJ誌8月30日付けHPにて早期公開論文として報告した(その後本誌では9月8日号にて掲載)。メトホルミンでは増悪認めずEurich氏らは、血糖低下薬と死亡・入院の関係を糖尿病合併心不全患者で検討しており、チェックリストにより一定の質が認められた8試験(13論文)のデータを体系的にレビューした。その結果、まずインスリンは心不全患者の総死亡を増加させていた可能性が示唆された。SU剤も同様の可能性が示された。一方メトホルミンは、SU剤などと比較した2試験15,763例をプール解析したところ、「全入院」のリスクが有意に低下していた(オッズ比:0.85、95%信頼区間:0.76~0.95)。一方、グリタゾン系薬剤をSU剤などと比較したプール解析(4試験、22,476例)では、「全入院」のリスクがグリタゾン系薬剤群で有意に増加していた(オッズ比:1.13、95%信頼区間:1.04~1.22)。Eurich氏らは、ロシグリタゾンによる心不全増加が近年示唆されている点などを指摘しながら、「現状では心不全患者の予後を増悪させない唯一の血糖降下薬はメトホルミンである」と結論している。なお、米国医師会雑誌(JAMA)9月12月号に掲載されたWake Forest University(米国)のCurt Furberg氏らによるメタ解析は、当初Cleveland Clinic(米国)のSteven Nissen氏らによるメタ解析が見いだしたロシグリタゾンによる心イベント増加を否定している。Eurich氏らも述べているが、メトホルミンとグリタゾン系薬剤の直接比較が必要であろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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高リスク糖尿病患者に対する積極的降圧療法の有用性が示される:ADVANCE試験

心血管系高リスクあるいは既往を認める糖尿病患者では、血圧に関わりなくACE阻害薬+利尿薬を用いた降圧により血管系イベントが減少することが、 Lancet誌9月8日号に掲載されたADVANCE試験の結果より明らかになった。本研究は論文掲載に先立ち、欧州心臓病学会(ESC)において報告されている。高リスク糖尿病を対象、血圧は不問本試験の対象は55歳以上の2型糖尿病患者11,140例だが、心血管系イベント既往あるいは心血管系リスクを有する「心血管系高リスク」患者だった。心血管系リスクとされたのは「細小血管症」、「糖尿病性眼症」、「喫煙」、「脂質異常症」、「微量アルブミン尿」、「糖尿病歴10年以上」か「65歳以上」 ──である。試験参加に関し、血圧値は問われなかった。これら11,140例はACE阻害薬ペリンドプリルと利尿薬インダパミドの合剤を服用する「降圧薬群」(5,569例)と「プラセボ群」(5,571群)に無作為割り付けされ、二重盲検法で追跡された。試験開始時の背景因子は、平均年齢66歳、2型糖尿病発症平均年齢が58歳、32%に心血管系イベント既往を認めた。また降圧治療を受けていたのは69%、血圧平均値は145/81mmHgだった。1次評価項目は9%有意に減少4.3年間の平均追跡期間の血圧平均値は、「降圧薬群」で5.6/2.2mmHg有意に低かった。特に収縮期血圧は「降圧薬群」では試験開始6ヵ月後以降135mmHg前後が保たれていたのに対し、プラセボ群では常に140mmHg前後だった。その結果、1次評価項目である「大血管症(心血管系イベント)+細小血管症」の発生率は「プラセボ群」16.8%に対し「降圧薬群」では15.5%で、相対的に9%の有意な減少となった(95%信頼区間:0-17%、p=0.041)。年齢、試験開始時高血圧の有無や血管症既往の有無などで分けて検討しても、「降圧薬群」で1次評価項目が増加傾向を示すサブグループはなかった。また1次評価項目を大血管症と細小血管症に分けて比較すると「降圧薬群」における減少は有意差ではなくなるが、「主要冠動脈イベント」と「その他の冠動脈イベント(血行再建術施行や無症候性心筋虚血、不安定狭心症による入院)」を併せた「全冠動脈イベント」のリスクは相対的に14%、「降圧薬群」で有意に低下していた。同様に、「微量アルブミン尿出現」も「降圧薬群」において相対的に21%、有意にリスクが低下していた。これらより報告者らは、「ペリンドプリルとインダパミド合剤は、血圧の高低にかかわらず2型糖尿病患者の大血管症+細小血管症を減少させるだろう」と結論している。なお同号に掲載された「論評」ではUniversity of Texas(米国)のNorman M. Kaplan氏が、プラセボ群の83%が何らかの降圧薬(55%はペリンドプリル)を服用していたにもかかわらず5.6/2.2mmHgの血圧差があった点など、いくつか考慮すべきポイントを指摘している。(宇津貴史:医学レポーター)

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うつ病は健康状態を悪化する一番の要因:WHO報告

うつ病は世界中で重要な公衆衛生問題であり主要な病因の1つとなっている。また他の慢性疾患との共存で健康状態を悪化させることは、少数ではあるが先行研究として伝えられてきた。 Lancet誌9月8日号に掲載された本報告は、世界保健機構(WHO)のSaba Moussavi氏らによる世界健康調査(World Health Survey:WHS)からの、うつ病の健康状態への影響を分析した結果。うつ病単独の有病率は3.2%WHSは18歳以上成人の健康状態および健康に関するデータ収集を目的とした調査で、世界60ヵ国、245,404例の参加者データから、うつ病と、ICD-10に基づく4つの慢性疾患(狭心症、関節炎、喘息、糖尿病)に関する有病率および健康スコアの分析が行われた。単独疾患の1年有病率は糖尿病が最も低く2.0%(95%信頼区間1.8-2.2)、次いで低かったのがうつ病で3.2%(同3.0-3.5)、その他は喘息3.3%(同2.9-3.6)、関節炎4.1%(同3.8-4.3)、狭心症4.5%(同4.3-4.8)だった。有病率9.3%~23.0%のうつ病+慢性疾患の状態が最も健康を悪化一方で、うつ病+4つの慢性疾患のうちのどれか1つ以上の有病率は、平均9.3%~23.0%までにわたっており(うつ病+糖尿病:9.3%、うつ病+狭心症:10.7%など)、前述のうつ病単独有病率よりも有意に高い(p<0.0001)。また社会経済的要因と健康状態を調整した後の健康スコアの比較からは、国や各人口統計学的特性を問わず、うつ病が健康スコアのマイナス要因として最も大きく影響していることが明らかとなった。Saba 氏らは、「うつ病が慢性疾患よりも健康状態を大きく減退させることが明らかとなった。特にうつ病+慢性疾患が共存する疾病状態は、うつ病単独よりも、慢性疾患単独よりも、また複数の慢性疾患共存状態よりも健康を悪化させる。うつ病対策に最優先で取り組なければならない」とまとめている。

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糖尿病患者の急性冠動脈症候群死亡リスク

糖尿病患者の主要な死因とされる心血管疾患だが、急性冠動脈症候群(ACS)後の死亡に関する糖尿病との関連については明確にされていない。そこで米国コーネル大学メディカルセンターのSean M. Donahoe氏らが、ACS後の糖尿病患者の死亡リスクについて検証した。JAMA誌8月15日号の報告から。ACS患者62,036例を検証対象としたのは、1997年~2006年の間にThrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)研究グループによって行われた11の無作為化臨床試験に登録されたACSを呈した患者62,036例。内訳はST上昇心筋梗塞患者46,577例(STEMI症例群)、不安定狭心症/非ST上昇心筋梗塞患者15,459例(UA/NSTEMI症例群)。また糖尿病患者は両群にわたって10,613例(17.1%)いた。主要評価項目は、糖尿病患者 vs 非糖尿病患者のACS後30日および1年死亡率。不安定狭心症/非ST上昇心筋梗塞後の死亡リスクが最も高い糖尿病患者 vs 非糖尿病患者の30日死亡率は、STEMI症例群では8.5% vs 5.4%(P<0.001)、UA/NSTEMI症例群では2.1% vs 1.1%(P<0.001)で、いずれも糖尿病患者で有意に高かった。また多変量モデリング(ACSイベントの基線特徴、所見、処置因子を調整)の結果、UA/NSTEMI症例群で糖尿病とのより高い関連が示された(STEMI vs UA/NSTEMIオッズ比;1.40 vs 1.78)。1年死亡率の対比でも、UA/NSTEMI症例群で糖尿病とのより高い関連が示された(STEMI vs UA/NSTEMIハザード比:1.22 vs 1.65)。なお、UA/NSTEMIを呈した糖尿病患者とSTEMIを呈した非糖尿病患者との1年死亡率の値が非常に接近していることが見て取れた(7.2% vs 8.1%)。Donahoe氏らは、「ACS治療の進展にもかかわらず、糖尿病は予後に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。本研究の結果は、このハイリスク集団に対する虚血性心疾患マネジメントの積極的な戦略の重要性を強調するものだ」と結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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英国独自の心血管系リスクスコア・QRISKの有効性確認される

英国人のデータから作成された「10年間心血管系イベント率予測スコア」であるQRISKは、米国人データを基にしたFraminghamスコアに比べリスク予測がより正確であるとする論文がBMJ誌HPで早期公開された(オンライン版7月5日号、本誌7月21日号掲載)。英国University ParkのJulia Hippisley-Cox氏らによる研究だが、背景には「より適切なリスク評価による医療費削減」という狙いもあるという。「家族歴」だけでなく「貧富」もリスクにQRISKの基になったのはQRESEARCHと呼ばれる電子データベースである。17年間にわたり蓄積された英国529件の一般医を受診したおよそ1千万人のデータが蓄積されている。この中から初診時35~74歳で心血管系疾患と糖尿病を認めなかった約130万例を抽出し、その後10年間の心血管系イベント発生率とリスク因子を検討した。その結果QRISKでは、年齢、LDLコレステロール/総コレステロール比、喫煙、収縮期血圧(SBP)に加え、「降圧薬服用の有無」と「SBPと降圧治療の相互作用項」、さらに「家族歴」と「貧富」が有意な因子となっていた。後者4要因は、Framinghamリスクスコアでは評価されない。なおサッチャー政権以前は「ゆりかごから墓場まで」と言われていた英国において、現在では「貧富」が有意なリスクとなっている点も感慨深い。Framinghamリスクスコアよりも英国人には適している次にこのQRISKの妥当性をQSEARCH内61万例で検討したところ、QRISKによるイベント発生予測率は実際のイベント発生率を相対的に0.4%上回ったのみだった。一方Framinghamリスクスコアでは、実際のイベント発生リスクよりも相対的に35%の過大評価となった。またD statisticとR2 statisticを用いて検討したモデルの適合度も、Framinghamに比べQRISKで高かった。「治療方針の決定にあたりQRISKはより適したツールであろう」と筆者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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インスリン不使用2型糖尿病患者では血糖値自己測定の有用性に疑問符

血糖値を自己測定しても血糖コントロールは改善されない可能性が示唆された。イギリス・オックスフォード大学のAndrew Farmer氏らが無作為化オープン試験であるDiGEM(Diabetes Glycemic Education and Monitoring)スタディの結果としてBMJのサイトにて早期公表した(6月25日付オンライン版、本誌掲載は7月21日号)。 血糖値の自己測定を推奨している米国糖尿病学会(ADA)による2007年ガイドラインなどを見直す必要性が示唆された形となった。1週間に2回血糖値を自己測定本スタディでは、インスリンを使用していない2型糖尿病患者を対象に、通常の血糖コントロール(通常治療群:152例)と、1週間に2日、3回/日(空腹時×1、食事2時間前・食後2時間値のいずれか×2)の血糖自己測定がHbA1cに及ぼす影響が比較された。血糖自己測定群はさらに、血糖測定後に低血糖または高血糖が認められた時に医師とコンタクトをとる「単純自己測定群」(150例)と、血糖値に応じた対処法を指導される「積極的自己測定群」(151例)に無作為化されている。対象患者の平均年齢は65.7歳、罹病期間中央値は3年間、HbA1c平均値は7.5%だった。1年後のHbA1cに有意差なし1次評価項目である1年後のHbA1c値は、しかし、3群間に有意差はなく、通常治療群7.49%、単純自己測定群7.28%、積極的自己測定群7.36%という結果だった(p=0.12)。試験開始時からの変化率で比較しても、3群間に有意差はなかった(p=0.38)。本試験の対象のように、すでにかなり良好な血糖コントロールが得られているインスリン不使用の2型糖尿病患者では、コスト等を考えるとルーチンな血糖自己測定は推奨できない──と筆者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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糖尿病性神経障害による疼痛に、経口三環系抗うつ薬と従来の抗けいれん薬が有効

糖尿病性神経障害は糖尿病の主な合併症であり、一般に神経障害性の疼痛を伴う。厳格な血糖値のコントロールにより糖尿病性神経障害の進行が遅くなることが示されており、現在のガイドラインでは疼痛の治療には抗うつ薬および新世代の薬剤(SSRI、SSNI)を含む抗けいれん薬の使用が推奨されている。 香港・キリスト教総合病院看護部のMan-chun Wong氏らは、糖尿病性神経障害による疼痛の治療効果に関する体系的なレビューを行い、BMJ誌6月11日付オンライン版、7月14日付本誌において報告した。選出したプラセボ対照無作為化試験のデータを体系的に解析Wong氏らは、いくつかのキーワードに基づいてMedlineなど4つのデータベースから二重盲検無作為化試験の論文を抽出した。さらに、糖尿病性神経障害による疼痛を有する成人を対象とした局所適用製剤および経口薬に関するプラセボ対照無作為化試験を選出した。主要評価項目は疼痛の50%の減少(中等度改善)とし、副次評価項目は疼痛の30%の減少および有害事象による投与中止とした。それぞれの疼痛緩和効果および投与中止のオッズ比を算出した。選出された25編の論文で使用されていた薬剤は、抗けいれん薬(1,270例)、抗うつ薬(94例)、オピオイド(329例)、イオンチャンネル遮断薬(173例)、N-methyl-D-aspartate(NMDA)拮抗薬(14例)、duloxetine(805例)、カプサイシン(277例)、二硝酸イソソルビドスプレー(22例)であった。新世代薬剤は50%疼痛緩和のオッズ比が低い、治療アルゴリズムを提唱50%疼痛緩和のオッズ比は、従来の抗けいれん薬が5.33(95%信頼区間1.77-16.02)、新世代の抗けいれん薬が3.25(同2.27-4.66)、三環系抗うつ薬が22.24(同5.83-84.75)であった。有害事象に関連した投与中止のオッズ比は、それぞれ1.51(同0.33-6.96)、2.98(同1.75-5.07)、2.32(同0.59-9.69)であった。以上の結果から、短期的な疼痛の緩和には、経口三環系抗うつ薬と従来の抗けいれん薬による治療のほうが新世代の抗けいれん薬よりも優れることが示された。Wong氏は、「これらの薬剤の長期的効果は明らかにされていない。今後は、オピオイド、NMDA拮抗薬、イオンチャンネル遮断薬などのさらなる検討が必要」とした上で、これまでの知見に基づいて糖尿病性神経障害による疼痛の治療アルゴリズムを提唱している。(菅野 守:医学ライター)

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肥満児への体重管理プログラム介入の成果

米国では小児肥満が「蔓延」している状況にあり、2型糖尿病を含む共存症の原因となっている。肥満児の大半は肥満したまま成人になるため、若年で重篤な代謝性疾患を来すことも懸念される。この重大な健康問題に対処するため効果的な小児科学的介入が欠かせなくなっている。 エール大学医学部臨床研究センターのMary Savoye氏らは、肥満児に対する体重管理プログラムの介入を集中的に行った結果、体重、BMI、体脂肪、HOMA-IRなどで改善効果が得られたとする発表を行った。JAMA誌6月27日号からの報告。 体重管理プログラムと臨床的カウンセリングを無作為割り付けMary Savoye氏らは、体重管理プログラム(Bright Bodies)介入が肥満児の体脂肪蓄積と代謝性疾患に及ぼす影響を、対照群と比較しながら無作為化臨床試験を行った。参加者の募集と追跡調査はコネチカット州ニューヘーヴン市にあるエール小児肥満クリニックが担当、運動プログラムには日本製のダンスゲームが使われた。対象は、8歳から16歳までの様々な人種から、年齢・性別でBMI値が 95パーセンタイル値以上の者が選ばれ、体重管理群と対照群に割り付けられた。トータルで135例(60%)が6ヵ月間、119例(53%)が12ヵ月間の介入・追跡調査を受けた。介入は、体重管理群(n=105)は運動、栄養改善と行動変容を目的とした家族ぐるみの集中的なプログラムを、対照群(n=69)は従来型の臨床的体重管理カウンセリングを受けた。最初の6ヵ月は隔週で、その後は隔月に実施された。12ヵ月継続で体成分、インスリン抵抗性など改善の有効性を確認体重管理群と対照群の体重、BMI、体脂肪、HOMA-IRの変化を12ヵ月時点で測定した結果は次の通りで(平均値、[95%信頼区間])、Savoye氏らは、「Bright Bodies体重管理プログラムを12ヵ月継続した肥満児で、体成分やインスリン抵抗性の改善効果が得られた」と報告した。・体重(+0.3kg[-1.4~2.0]対+7.7kg[5.3~10.0])・BMI(-1.7[-2.3~-1.1]対+1.6[0.8~2.3])・体脂肪(-3.7kg[5.4~-2.1]対+5.5kg[3.2~7.8])・HOMA-IR(-1.52[-1.93~-1.01]対+0.90[-0.07~2.05])(朝田哲明:医療ライター)

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メタ解析でロシグリタゾンの心血管リスク関与を確認

2型糖尿病患者の治療に広く使われているロシグリタゾンについて、米国オハイオ州クリーブランド・クリニックのSteven E. Nissen氏らが行ったメタ解析では、「心血管系への重篤な有害作用をもたらす可能性がある」と結論付けられている。本論文は、5月21日付NEJMオンライン版で発表され、本誌では6月14日号で収載された。心筋梗塞オッズ比1.43、心血管死亡オッズ比1.64Nissen氏らのメタ解析は、既存の発表論文、食品医薬品局のウェブサイト、製薬メーカーのグラクソ・スミスクラインが管理する臨床試験記録を対象に行われた。対象基準として、試験継続期間が24週以上であること、ロシグリタゾンが投与されない対照群が無作為抽出されていること、心筋梗塞と心血管死亡の転帰データがあること、などを規定し42件の臨床試験を採択。その中から心筋梗塞発生例と心血管死亡例をリストアップし解析を行った。対象患者は27,847例。被験者の平均年齢は約56歳、ベースライン時のグリコヘモグロビン濃度は平均約8.2%。データは固定効果モデルによって統合された。解析の結果、ロシグリタゾン群は対照群と比較して、心筋梗塞発生のオッズ比は1.43(95%信頼区間1.03-1.98、P=0.03)、心血管死亡のオッズ比は1.64(95%信頼区間0.98-2.74、P=0.06)で、ロシグリタゾンが心筋梗塞リスク、および境界線上の心血管死亡リスクいずれの増加にも有意に関与していることが示された。患者と医療提供者に注意を喚起本研究には、心イベントの時間分析が可能なオリジナルデータを入手できないという制約があった。しかしNissen氏らは、そうした解析上の限界・不備を指摘しつつも、今回の結果はロシグリタゾンと心血管リスクの関連性を示すもので、ロシグリタゾン投与による2型糖尿病治療を受ける患者に、心血管系への重篤な有害作用などをもたらす可能性があり、そのことを患者および医療提供者ともに慎重に考慮しなければならない、と注意を喚起している。(武藤まき:医療ライター)

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ロシグリタゾンの心血管リスク増加について「断定はできない」

最近のメタ解析の結果に懸念が示されている2型糖尿病治療薬のロシグリタゾンの心血管系へのリスクについて、RECORD研究グループが中間解析を発表した。心不全に対する有意なリスク増加が認められたものの、今回の解析結果からは、心筋梗塞のリスク増加に関係していると言い切れるだけの十分なデータが得られなかったと報告している。本論文の詳細はNEJMオンライン版6月5日号に掲載された。RECORDの4,447例対象に中間解析ロシグリタゾンの心血管系への影響については、市販後の安全性に関する非劣性試験で、オープンラベルの大規模無作為化試験RECORD(Rosiglitazone Evaluated for Cardiac Outcomes and Regulation of Glycaemia in Diabetes)が現在進行中である。その研究グループが中間解析を行った。解析対象は、メトホルミンあるいはSU剤での血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者4,447例。ロシグリタゾン追加投与群(2,220例)と、メトホルミン+SU剤併用群(対照群:2,227例)に割り付け、主要エンドポイントは、心血管系に起因する入院または死亡である。心不全リスク増加を確認するも心筋梗塞リスク増加断定にはデータ不十分解析は、平均追跡期間3.75年で統計的な検出力を限定して行われた。その結果、ロシグリタゾン群(217例)と対照群(202例)の主要エンドポイントのハザード比は1.08(95%信頼区間0.89-1.31)で、両群に統計学的な有意差は見られなかった。ただ、心不全を呈する患者がロシグリタゾン群に多く存在していたことが確認された(ハザード比2.15;95%信頼区間1.30-3.57)。しかし研究グループは今回の解析からは、ロシグリタゾンが心血管系に起因する入院・死亡リスクに関係しているとは断言できないと結論。死亡増加の要因が心血管系に起因するかどうか、ロシグリタゾンが心筋梗塞のリスク増加と関係していたか断定するだけのデータは得られなかったと述べている。(武藤まき:医療ライター)

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