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心房粗動の患者さんへの説明

心房粗動監修:公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下 武志氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房粗動とは?・洞結節由来の心房波が消え、複数あるいは単一の興奮波が心房の中を旋回しています。・心房粗動が起こると、1分間に250~350回心房が興奮します。通常の心臓はこのように興奮が伝わりますが…①洞結節心房粗動では、心房が速い速度で細かく収縮するため、外から見るとけいれんしているような状態になります。①洞結節②房室結節②房室結節③ヒス束③ヒス束④脚④右脚⑤プルキンエ線維プルキンエ線維Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房粗動とは?◆通常の心臓は興奮が伝わり規則正しく収縮しますが…トントントントン◆心房粗動では、心房細動よりは低いものの、速い速度で細かく収縮します。しかし、収縮の一部が心室一定に伝わるため、心室の収縮は規則的です。そのため、脈拍は1分間に150回、75回など一定になることが多いです。トントントントントントン脈拍は一定であることが多いです。無症状の方から、動悸、息切れなどの症状を訴える方までさまざまです。心房の収縮心室の収縮(脈)Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房粗動とは?・心房粗動自体が直接命に関わることはありませんが、脳梗塞や心不全を引き起こすことで間接的に悪影響を及ぼすため、治療が必要です。血栓が血管を閉塞脳梗塞心房細動や心房粗動では、心房がけいれんするように小刻みに震えて、規則正しい心房の収縮ができなくなります。このため心房内 の血液の流れがよどみ、心房の壁の一部に血の固まり(血栓)ができ、これがはがれて心臓から動脈に沿って、脳 の中の大きな血管を突然閉塞するのが心原性脳塞栓症です。心房細動がある人は心房細動のない人と比べると、脳梗塞を発症する確率は約5倍といわれています。この塞栓症を予防することが心房細動や心房粗動治療の最も重要な目的です。血液がよどむ→血栓ができる→血栓が全身に飛ぶ(運ばれる)→脳梗塞、心筋梗塞などの塞栓症Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房粗動の治療は・抗不整脈薬はあまり効果がありませんが、カテーテルアブレーションは高い効果(根治確率90%以上)が認められます。そのため、治療はカテーテルアブレーションが主体となります。・心房粗動が長い間続いているなど脳梗塞を起こす危険がある場合は、血栓が起きないように抗血栓薬を飲みます。高周波通電カテーテルアブレーション電極アブレーションカテーテル高周波発生装置カテーテルアブレーション血管を通して心臓まで細い管(カテーテル)を入れ、不整脈の原因となっている場所を探して、その部位を低温やけどさせ、不整脈の原因を取り除くという治療です。心房粗動のほとんどは右心房が発生部位であることがわかっています。静脈からカテーテルを挿入すると、すぐに右心房に到達し、治療も短時間で終了します。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.生活上の注意◆カテーテルアブレーションで根治した場合、その後の治療や管理は不要です。◆長期的には心房細動を発生することもありますので、定期的な検査は受けたほうがよいでしょう。【根治しなかった場合は、下記に注意しましょう】◆高血圧、糖尿病、心臓の病気などがあると脳梗塞を起こしやすくなるので、しっかり管理してください。◆睡眠不足、ストレス、アルコールは不整脈を起こしやすくしますので注意してください。◆生活改善を行っても症状が気になる場合は、薬物療法を行い、症状を少なくします。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.抗血栓薬による脳梗塞予防◆血栓の形成を抑制する薬剤を用いた治療です。◆ワルファリンは血液の凝固に必要なビタミンKを減らすことによって血栓ができるのを抑えます。◆薬の必要量には個人差があり、また他の薬剤や食事の内容に影響されるため、適正な量を決めるために受診のたびに血液検査を行う必要があります。◆ビタミンKを多く含む納豆や青汁、クロレラといった食品を食べると薬が効かなくなります。最近では、そのような食事制限の必要のない新しい抗凝固薬も使用できるようになっています。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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事例50 ヘモグロビンA1C(HbA1c)の査定【斬らレセプト】

解説事例の検査が、「縦覧点検(複数月にわたるレセプトの通覧点検により補正・査定された内容のこと)」のコメント付きでB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に査定となった。最近増えている査定なので原因を調べてみた。診療報酬点数表には、「同検査はグリコアルブミン他の類似する検査と併せて月1回に限り算定する」とあった。それ以外の記載はない。縦覧点検のコメントをヒントに事例に対する過去の検査歴を見てみた。慢性C型肝炎の患者であってHbA1c値が上限に近いことを理由に、連月の同検査実施と併せて「糖尿病疑い」の病名開始日の変更と中止が行なわれていた。医師からは「日本糖尿病学会の『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』と関係があるのではないか」とあった。同診療ガイドラインには「血糖値のみ糖尿病型であって典型症状もしくは確実な糖尿病網膜症を認める場合及びHbA1cのみ糖尿病型の場合は、なるべく1か月以内に血糖値とHbA1cをセットで再検査、糖尿病疑いの場合は、3~6ヵ月以内に同セットで再検査」と図示があった。糖尿病疑いの場合には、当初の再検査を除き、3~6ヵ月以降の再検査実施が推奨されていた。この基準で査定となったものと推測できる。この期間以前や連月の実施には、医学的に必要とした症状詳記をお願いしている。

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妊娠糖尿病は子供の自閉スペクトラム症のリスク/JAMA

 妊娠26週までに妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親から出生した子供は、母親が糖尿病でない場合に比べ自閉スペクトラム症(ASD)を発症するリスクが高いことが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のAnny H Xiang氏らの検討で示された。胎児における母親の高血糖への曝露は、臓器の発達や機能に長期に影響を及ぼす可能性が示唆され、妊娠前の糖尿病だけでなく妊娠期間中の高血糖(=GDM)と、子供の肥満や代謝異常の長期的リスクとの関連が確認されている。一方、母親の糖尿病と子供のASDとの関連を検討した研究は少なく、GDMの発症時期を重視した報告はこれまでなかったという。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。診断時期を妊娠26週前後で分けて後ろ向きに評価 研究グループは、子供のASDのリスクと、子宮内での2型糖尿病やGDMへの曝露、妊娠中のGDM診断時期との関連について検討する目的で、レトロスペクティブな縦断的コホート研究を実施した。対象は、1995年1月1日~2009年12月31日までにKPSCで単胎妊娠、妊娠期間28~44週で出生した子供32万2,323例であった。 子供は、出生から以下のいずれかの日まで追跡された。ASDの診断、KPSC健康計画の登録期限、全死因による死亡、2012年12月31日。出生年で補正したCox回帰モデルを用いてハザード比(HR)を算出し、ASDの相対リスクを推定した。 母親を既存の2型糖尿病(6,496例[2.0%]、平均年齢32.7歳)、GDM(2万5,035例[7.8%]、32.4歳、妊娠期間26週までに診断:7,456例、26週以降に診断:1万7,579例)、非糖尿病(29万792例[90.2%]、29.2歳)に分けて解析した。 主要評価項目は子供の臨床的なASDの診断であった。母親、兄/姉のASDや、母親の喫煙、体重の影響はない 出生後のフォローアップ期間中央値は5.5年で、この間に3,388例の子供がASDと診断された。そのうち、既存の2型糖尿病の母親から生まれた子供が115例、26週までにGDMと診断された母親の子供が130例、26週以降に診断された母親の子供が180例であり、非糖尿病の母親の子供は2,963例であった。 1,000人当たりの非補正年間ASD発症率は、既存2型糖尿病群が3.26件、26週以内診断GDM群が3.02件、26週以降診断GDM群が1.77件、非糖尿病群は1.77件であった。出生年で補正したHR(非糖尿病群との比較)は、既存2型糖尿病群が1.59(95%信頼区間[CI]:1.29~1.95)、26週以内診断GDM群が1.63(95%CI:1.35~1.97)、26週以降診断GDM群は0.98(0.84~1.15)であった。 母親の出産年齢、経産回数、教育歴、世帯収入、人種/民族、併存疾患歴および子供の性別で補正後の子供のASDリスクは、母親の既存の2型糖尿病とは関連がなかった(HR:1.21、95%CI:0.97~1.52、p=0.09)が、26週以内のGDM診断とは有意な関連がみられた(HR:1.42、95%CI:1.15~1.74、p<0.001)。抗糖尿病薬の投与はASDのリスクとは関連がなかった。 全コホートでは、母親または兄/姉のASD診断で補正しても結果に影響はなく、またデータが得られた6万8,512例においては、母親の喫煙、妊娠前のBMI、妊娠中の体重増加で補正しても結果は変わらなかった。 著者は、「多彩な民族からなる集団において、母親の既存の2型糖尿病は子供のASDとは関連がないが、妊娠26週までにGDMと診断された母親の子供のASDリスクは共変量で補正後も有意に高いことが示された」とまとめ、「本研究では、すべてのデータが統合された患者ケアシステムから得られ、子供は1歳までにKPSC健康計画に登録されて電子カルテにより継続的にフォローアップが行われたため、スクリーニングバイアスや診断バイアスが回避されたと考えられる」と考察している。

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87)ラーメンに、餃子、チャーハンは確かにおいしいけれど……【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師体重コントロールの方は、いかがですか? 患者はい。難しくて、なかなかうまくいっていません。 医師お昼はどんなものを食べていますか? 患者近所のラーメン屋や牛丼屋で食べることが多いです。 医師ラーメンに半チャーハンに餃子だったりして……。 患者ハハハ、その通りです。炭水化物が好きで……つい食べちゃうんです。 医師なるほど。炭水化物の重ね食いが、内臓脂肪を増やしている原因かもしれませんね。サラリーマンの方は昼食を軽めにとることで、減量に成功されている人が多くいますよ。 患者そうなんですか。 医師特に、野菜がたっぷりの食事は、血糖上昇を抑えるので、さらにいいかもしれませんね。 患者それじゃあ、昼は定食とか健康的なものにしようかな(気づきの言葉)。●ポイントお昼の炭水化物の重ね食いに気づかせ、健康的な食事にする気づきを促進 1) Levitsky DA, et al. Appetite. 2011; 57: 311-317.

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心房細動の患者さんへの説明

心房細動監修:公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下 武志氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動とは?・洞結節由来の心房波が消え、複数あるいは単一の興奮波が心房の中を旋回しています。・肺静脈の開口部にある心筋細胞から生じる心房期外収縮が引き金になります。・心房細動が起こると、1分間に350回以上心房が興奮します。通常の心臓はこのように興奮が伝わりますが…①洞結節心房細動では、心房が速い速度で細かく収縮するため、外から見るとけいれんしているような状態になります。①洞結節②房室結節②房室結節③ヒス束③ヒス束④脚④右脚⑤プルキンエ線維プルキンエ線維Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動とは?◆通常の心臓は興奮が伝わり規則正しく収縮しますが…トントントントン◆心房細動では、心房が速い速度で細かく収縮しますが、収縮の一部は心室に伝わらないので、心室の収縮は不規則です。そのため、脈拍は1分間に50回前後のこともあれば、100回を超えるような方もいます。トントントントントン人によって脈の速さが大きく違うため、まったく無症状の方から、ひどい動悸、息切れ、脈が速くなる・でたらめになる、などの症状を訴える方までさまざまです。持続時間もまちまちで、発作的に数分から数時間起きる方(発作性心房細動)もいれば、慢性的に起きる方(慢性心房細動:1週間上持続するもの=持続性心房細動、1年以上持続しているもの=永続性心房細動)もいます。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房の収縮心室の収縮(脈)心房細動とは?・人口の1%と、比較的ありふれた不整脈ですが、加齢により増加し、80歳以上では5%の方がかかっています。・心房細動自体が直接命に関わることはありませんが、脳梗塞や心不全を引き起こす原因となるため、脳梗塞へのなりやすさなどを考え治療を決めます。血栓が血管を閉塞脳梗塞心房細動や心房粗動では、心房がけいれんするように小刻みに震えて、規則正しい心房の収縮ができなくなります。このため心房内 の血液の流れがよどみ、心房の壁の一部に血の固まり(血栓)ができ、これがはがれて心臓から動脈に沿って、脳 の中の大きな血管を突然閉塞するのが心原性脳塞栓症です。心房細動がある人は心房細動のない人と比べると、脳梗塞を発症する確率は約5倍といわれています。この塞栓症を予防することが心房細動や心房粗動治療の最も重要な目的です。血液がよどむ→血栓ができる→血栓が全身に飛ぶ(運ばれる)→脳梗塞、心筋梗塞などの塞栓症Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動の治療は・脳梗塞を起こす危険がある場合は、血栓が起きないように抗血栓薬を飲みます。・心房細動を止める必要がある場合は、薬(抗不整脈薬など)を服用するか、カテーテルアブレーションを行います。高周波通電カテーテルアブレーション高周波発生装置電極カテーテルアブレーション血管を通して心臓まで細い管(カテーテル)を入れ、不整脈の原因となっている場所を探して、その部位を低温やけどさせ、不整脈の原因を取り除くという治療です。心房細動では左心房にある肺静脈の血管内やその周囲から発生する異常な電気信号をきっかけに起こるため、肺静脈を囲むようにしてアブレーションの治療を行い、肺静脈からの異常電気信号が、心臓全体に伝わらないようにします。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.生活上の注意◆高血圧、糖尿病、心臓の病気などがあると脳梗塞を起こしやすくなるので、しっかり管理してください。◆睡眠不足、ストレス、アルコールは心房細動を起こしやすくしますので注意してください。◆生活改善を行っても症状が気になる場合は、薬物療法を行い、症状を少なくします。◆脳梗塞の危険性が高い場合は、脳梗塞予防薬を毎日忘れないように服用します。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.抗血栓薬による脳梗塞予防◆血栓の形成を抑制する薬剤を用いた治療です。◆ワルファリンは血液の凝固に必要なビタミンKを減らすことによって血栓ができるのを抑えます。◆薬の必要量には個人差があり、また他の薬剤や食事の内容に影響されるため、適正な量を決めるために受診のたびに血液検査を行う必要があります。◆ビタミンKを多く含む納豆や青汁、クロレラといった食品を食べると薬が効かなくなります。最近では、そのような食事制限の必要のない新しい抗凝固薬も使用できるようになっています。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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86)毎日の日課に運動を取り入れるコツの指導法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者なかなか運動ができなくて……。 医師何かペットを飼っておられますか? 患者はい。犬を飼っています。 医師心筋梗塞になった患者さんへの追跡調査によれば、犬を飼っている人は飼っていない人に比べると、心筋梗塞の再発で亡くなる人が少なかったそうです。ただし、猫を飼っている場合は関係なかったそうです。 患者ハハハ、そうなんですか。犬と散歩するのがいいのかも知れませんね。いつも犬の散歩は、妻や子どもにまかせているんですが、私もやってみようかな(気づきの言葉)。 医師それはいいですね。犬と散歩する習慣がつけば検査値もよくなると思いますよ。 患者はい。頑張ってやってみます(やる気の顔)。●ポイント犬と散歩する習慣が健康効果をもたらすことをわかりやすく説明 1) Friedmann E, et al. Am J Cardiol. 1995; 76: 1213-1217. 2) Parker GB, et al. Acta Psychiatr Scand. 2010; 121: 65-70. 3) Arhant-Sudhir K, et al. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2011; 38: 734-738.

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DPP-4阻害薬の副作用としての心不全-アログリプチンは安全か…(解説:吉岡 成人 氏)-344

糖尿病患者の2人に1人はDPP-4阻害薬が処方されている 厚生労働省の発表によれば、日本人の糖尿病患者はおおよそ950万人ほどであり、そのうちの約70%の患者、665万人ほどが医療機関に通院していると推計されている。糖尿病の治療に使用される薬剤は、スルホニル尿素(SU)薬、ビグアナイド(BG)薬が治療の基本薬として考えられているが、SU薬では低血糖、BG薬では稀ではあるが、乳酸アシドーシスなど副作用があり、BG薬は75歳以上の高齢者、血清クレアチニンが1.20mg/dL以上の患者では新規に処方されることは推奨されず、造影剤を使用する際などにおける休薬など煩雑な注意が必要とされる。そのようななかで、単剤では低血糖を引き起こすことがなく、比較的安全で有用性が高いDPP-4阻害薬が広く使われており、日本では、350万人以上の患者に処方されていると推定されている。DPP-4阻害と心機能-基礎と臨床の乖離- DPP-4阻害薬は心機能を改善させる作用を持つGLP(glucagon like peptide)-1を増加させ、BNP(brain natriuretic peptide)の生理活性を増加させる可能性を持つ薬剤として、糖尿病患者における心血管イベントの抑止に有用ではないかと考えられてきた。また、慢性心不全の患者の3~4割は糖尿病を合併しており、糖尿病自体も慢性心不全のリスク因子として注目されている。心筋細胞において分泌されたproBNPは、NT-proBNPとBNP(1-32)にほぼ1:1の割合で切断される。DPP-4はBNP(1-32)をより生理活性が弱いBNP(3-32)に分解する作用があり、DPP-4を阻害することは、より生理活性が高いBNP(1-32)を増加させ、臓器保護や利尿作用という点でベネフィットになるのではないかと考えられていた。 しかし、DPP-4阻害薬であるサキサグリプチン、アログリプチンを使用した大規模臨床試験であるSAVOR-TIMI53、EXAMINEでは心血管イベントに対する薬剤の安全性(非劣性)を確認することができたが、心血管に有用性があると考えられたDPP-4阻害を使用し、HbA1cがプラセボ群に比較して0.2~0.3%低下したことのメリットは何も証明されず、SAVOR-TIMI53では心不全による入院のリスクが27%ほど高まったという理解に悩む結果のみが残された。いくつかの臨床試験のメタアナリシス1) でも、その懸念は払拭できなかった。アログリプチンはサキサグリプチンと違うのか 今回発表されたEXAMINEの事後解析の結果では、前回報告された主要複合評価項目(心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中)とは別に、探索的な複合評価項目(全死亡+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+不安定狭心症による緊急血行再建術+心不全による入院)では、アログリプチン群とプラゼボ群で差はなく、心不全による入院の発生率も、アログリプチン群3.1%、プラセボ群2.9%(HR:1.07、95%信頼区間:0.79~1.46、p=0.657)で、差はなかったと報告されている。 SAVOR-TIMI53の対象となった患者よりも、心不全の発症リスクが高いと考えられる患者が多いEXAMINEで、なぜ心不全のリスクが上昇しないのか、主要複合評価項目を用いたエンドポイントを簡単には比較できないが、シタグリプチンを使用した臨床試験であるTECOS (The Trial to Evaluate Cardiovascular Outcomes after Treatment with Sitagliptin )のデータが待たれる。

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85)インスリン分泌がどこからされるか、クイズで説明【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師世界で一番小さな島はどこか、知っていますか? 患者「ツバル」ですか? 医師残念、その島は人間の身体の中にあります。 患者人間の身体の中にある!? 医師そうです。膵臓の中にある「ランゲルハンス島」です。 患者ランゲルハンス島!? 医師顕微鏡でみると島のようにみえます。この島からインスリンが分泌されているんです。 患者ハハハ。水没しないように島を大事にしないといけないですね。 *「ツバル」オセアニアにある国家でバチカンに次いで小さな島国。温暖化の影響で海に水没する危機にある。●ポイントユーモアを交えて、ランゲルハンス島とインスリン分泌の関係について説明

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SCOT-HEART試験:冠動脈疾患による狭心症が疑われる症例への冠動脈CT検査(解説:近森 大志郎 氏)-342

 冠動脈CT(CTCA)は外来で非侵襲的に実施できることから、本検査の日常臨床への広がりに伴い、虚血性心疾患が疑われる患者に対する、より良い診断アプローチの中心となることが期待されている。スコットランドの12の胸痛クリニックを中心としたSCOT-HEART試験の研究者たちは、有症状で狭心症が疑われる4,146例を対象にして、クリニックでの初期診療の後に無作為に2群(通常診療群 対 通常診療+CTCA群)に割り付けた。試験のエンドポイントは、冠動脈疾患による狭心症の診断についての確実性という、かなり主観性の強い評価項目である。しかも、Yes、Probable、Unlikely、No、と定義された診断の確実性について、初期診察時の確実性が6週後にどのように修正されたかという医師の認識に関する評価である。 対象症例の平均年齢は57歳で、男性が57%と多く、高血圧34%、糖尿病11%、脂質異常症53%、喫煙53%という冠危険因子の頻度であった。なお、症状として胸痛を訴えてはいるが、狭心症としては非典型的胸痛、あるいは非狭心症と判断された症例が65%と高率である。対象群の85%で運動負荷心電図が実施されて、62%が正常、15%が異常の結果を示した。この初期検査結果に基づき、主治医は診断の確実性を4つのカテゴリー(Yes 7%、Probable 29%、Unlikely 51%、No 13%)に判断した。そして、必要に応じて、負荷心エコー(31%)・核医学検査(9%)・侵襲的冠動脈造影(12%)の診断計画を立案した。この後、CTCA群では3つの画像センターでCT検査を実施している。 6週間後にこれらのデータを主治医が再評価して診断の確実性を見直したところ、CTCA群において冠動脈疾患による狭心症の診断頻度は変化しなかったが、確実性については相対リスク1.79と増加を認めた。すなわち、通常診療群では6週間で1%しか診断が変わらなかったのに対して、CTCA群では23%で診断が修正されたことになる。この結果、CTCA群では121例で機能的検査の予定がキャンセルされ、29例での侵襲的冠動脈造影もキャンセルされた。これに対して、94例の新たな冠動脈造影が予定された。さらに、1.7年の経過観察中に有意差はないものの、CTCA群では通常診療群と比較して相対的に38%の心事故低下を認めた。 本研究は、クリニックを中心とした実地診療に携わる医師が画像センターとタイアップすることによって、冠動脈疾患による狭心症の診断精度とマネジメントを向上できることを示した興味深い研究である。しかしながら、スコットランドという特定の地域の医療事情も無視することはできない。一般に英国の通常の医療は無償である一方、救急救命を除く医療へのアクセスが悪いことはよく知られている。受診までに長期の待ち期間を必要とするのである。初診から6週間経過しても、次の検査が実施されていないことは日本では稀であろう。多分、重症例では冠インターベンション治療も終了しているのではないか? このように考えると、CTCAの役割は画像診断としての科学的側面だけではなく、それが活かされるか否かについては、それぞれの地域における医療制度の適合性も無視することはできないと思う。

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期外収縮の患者さんへの説明

期外収縮監修:公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下 武志氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.期外収縮とは?通常のリズム以外に心臓の収縮が出現するものです。最もよくみられる不整脈で、ほとんどの健康な人が持っているといわれています。期外収縮では、通常の場所(洞結節)以外の場所(心房や心室)から異常な電気刺激が発生します。通常の心臓はこのように興奮が伝わりますが…①洞結節①洞結節②房室結節②房室結節③ヒス束③ヒス束④左脚④脚④右脚⑤プルキンエ線維プルキンエ線維心房期外収縮心室期外収縮異常な電気刺激が心房で発生したものを心房期外収縮、心室で発生したものを心室期外収縮といいます。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.期外収縮とは?◆通常の心臓はこのように興奮が伝わり、規則正しく収縮しますが…トントントントン◆期外収縮では正常よりも早いタイミングで心臓が収縮します。トント、トントントン多くの方は無症状ですが、「脈が飛ぶ」「一瞬胸がつかえる」と表現される方もいます。この余分な収縮は非常に小さいため、脈が抜けたように感じることがあります。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房の収縮心室の収縮(脈)期外収縮とは?◆心房期外収縮は健康成人の90%以上に、心室期外収縮は50%近くにみられるといわれています。◆双方とも命に悪影響を及ぼす不整脈ではないため、放置しても問題となりません。治療しないのが基本的な考え方です。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.生活上の注意◆とくにありません。他の人たちとまったく同じです。◆それでも、症状が気になり日常生活の妨げになるような場合は、睡眠不足、ストレス、アルコール、カフェインなどを除くよう生活改善をします。◆生活改善を行っても症状が気になる場合は、薬物療法を行い、症状を少なくします。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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ピタバスタチンの糖尿病への影響は?:メタ解析結果発表

 興和株式会社は4月8日、3月22日~25日にイギリス・グラスゴーで開催された「第83回 欧州動脈硬化学会」のポスターセッションにおいて、高コレステロール血症治療剤「ピタバスタチン」(商品名:リバロ錠/リバロOD錠)の糖代謝に対するメタ解析の結果が発表されたことを報告した。ピタバスタチンは糖尿病の新規発症を増加させなかった 今回の発表は、国内外の非糖尿病患者におけるピタバスタチンのランダム化比較試験をメタ解析することにより、ピタバスタチンの空腹時血糖、HbA1c、糖尿病新規発症への影響を検討したもの。その結果、対照群(プラセボ、または他のスタチン系薬剤投与)と比較して、ピタバスタチンは、空腹時血糖およびHbA1cに悪影響を与えることはなく、糖尿病の新規発症を増加させることもなかったという。 詳細は興和のプレスリリース(PDF)へ

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家族性高コレステロール患者は糖尿病になりにくい…?!(解説:吉岡 成人 氏)-341

スタチン薬による糖尿病の発症増加 スタチン薬の投与により、糖尿病の新規発症が約1.1倍(オッズ比[OR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.02~1.17)増加する1)。アトルバスタチンやシンバスタチンなどの疎水性のスタチン薬は、親水性のプラバスタチンと異なり、インスリンの作用を低下させることが報告されている。その機序として、アトルバスタチンが脂肪細胞における糖輸送担体(GLUT4)の発現を抑制することにより、糖の取り込みを減少させ、シンバスタチンでは、Caチャネルを阻害し血糖依存性のインスリン分泌を低下させることで、耐糖能が悪化する。また、スタチン薬のLDL受容体発現を亢進させる作用が、膵β細胞へのコレステロールの取り込みを促進して、インスリン分泌機能の障害に結び付く可能性についても検討されている。一方、LDL-コレステロールが著しく上昇する家族性高コレステロール血症(FH:familial hypercholesterolemia)の患者では、糖尿病の発症が少ないことが知られている。その理由として、LDL受容体の機能低下によりLDLの膜輸送障害を生じていることが、膵β細胞へのLDL輸送の低下と結び付き、アポトーシスを緩和するために糖尿病を引き起こしにくいのではないかと考えられている。家族性高コレステロールでは糖尿病の罹患率が低い オランダ、アムステルダムのAcademic Medical CenterのKastelein氏らは、1994年から2014年にオランダにおける国民検診プログラムに登録し、FHについてのDNA検査を受けた6万3,320例を対象として、FH患者における糖尿病の罹患率をFHに罹患していない親族での糖尿病の罹患率と比較検討している。糖尿病の診断は、患者の申告(self-reported diagnosis)によって行われている。 2型糖尿病の罹患率は、FH患者では440/2万5,137例(1.75%)、対照群(FHではない親族)では1,119/3万8,183例(2.93%)であり、FH患者で有意に少ない(OR:0.62、95%CI:0.55~0.69)ことが確認された。年齢、BMI、HDL-C、トリグリセリド・スタチン使用の有無、心血管疾患、家族歴で調整した後の多変量解析では、FH患者の2型糖尿病罹患率は1.44%、対照群では3.26%(OR:0.49、95%CI:0.42~0.58)であった。FHの遺伝子異常にはいくつもの変異があるが、APOB(アポリポ蛋白)遺伝子の異常とLDL受容体の異常を持つ場合の糖尿病の罹患率は、前者で1.91%(OR:0.65、95%CI:0.48~0.87)、後者で1.33%(OR:0.45、95%CI:0.38~0.54)であり、LDL受容体異常の患者における糖尿病の罹患が少ないことが確認された。また、LDL受容体が減少している場合と欠損している場合では、それぞれの糖尿病の罹患率は1.44%(OR:0.49、95%CI:0.40~0.60)、1.12%(OR:0.38、95%CI:0.29~0.49)と報告されている。今後の展望 今回の検討における糖尿病の診断は患者の申告によるものであり、血糖値やHbA1cを測定しているのではなく、ましてや経口ブドウ糖負荷試験を実施しているわけではない。おそらく、2型糖尿病の頻度は報告されている以上に多いのではないかと考えられる。とはいえ、FH患者、とくにFH受容体欠損患者では糖尿病の発症が少ないことが確認され、細胞内のコレステロール代謝が膵β細胞機能に影響を及ぼしていることが示唆される。今後、2型糖尿病患者においてみられる、アポトーシスによる継時的な膵β細胞機能低下を引き起こすメカニズムに、新たな視点からの検討が加えられる契機となる臨床的な知見かもしれない。

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医師と患者の意識差を糖尿病治療にどう反映する

 2015年3月24日、「糖尿病患者と医師の意識の違い~調査から読み解く!糖尿病治療を継続させるために~」と題したプレスセミナー(主催:シオノギ製薬)が、寺内 康夫氏(横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授)を講師に迎え、東京都内において開催された。 このセミナーは、同社が行ったインターネット調査「糖尿病患者と医師の治療と行動に関する意識調査(T-CARE Survey2※)」の結果発表に合わせて行われたもの。寺内氏は、この結果を基に、糖尿病診療の現状や課題に触れたうえで、トータルケアの実践へ向けたサポート施策の在り方について述べた。※T-CARE Survey2:患者と医師双方に対し同内容の質問項目(発症状況の把握、治療の状況、生活満足度など)を設定し、両者の意識のギャップを明らかにすることで、今後の円滑な治療へ導くことを目的に行われた調査。全国の糖尿病患者3,580人(20~60代男女)ならびに医師298人を調査対象とし、2015年1月に実施された。医師が考えるよりも、患者は合併症リスクを軽く考えている 調査によると、合併症などのリスクについての説明は、医師が思っているほど患者には伝わっていないことが明らかになった。医師の「説明をしている」よりも患者の「説明を受けたことがある」がすべての項目で下回っており、とくに「脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなる」説明を「受けたことがある」患者と「説明している」医師の間には、大きな開きがあった(患者49.1%vs.医師93.3%)。 このこととも関係してか、患者の合併症への心配・不安は、それほど高くない。たとえば「脳卒中になりそうで怖い」と思っている患者は、医師が考えているよりも少なく(患者23.2%vs.医師39.6%)、また、血糖値の治療目標値についても、医師が思っているほど患者には認知されていないことも判明した(目標血糖値を知っている:患者48.0%vs.医師62.1%)。生活習慣改善の治療実践はまだ不十分 その反面、医師が思っているよりも、治療継続の必要性を感じている患者は多い。糖尿病治療を「継続しなければならない」と回答した患者が89.4%であったのに対して、「患者自身が治療を継続しなければならないと思っている」と回答した医師は62.1%と、開きがあった。 一方で、患者に生活習慣改善治療に関して聞いたところ、「運動をしっかりやっている」(30.3%)、「食事の管理をしっかりやっている」(32.5%)と、いずれの回答も約3割にとどまった。どちらも医師が考えている割合(運動41.6%、食事管理42.3%)を下回っており、患者は医師が期待するほど生活習慣の改善を実践できていないことが判明した。医師以外の相談相手がいないと感じている患者たち チームサポートの視点から見た場合、医師がメディカルスタッフに与えている役割については、施設間の格差が生じる結果となった。とくに看護師による「糖尿病教室」の開設(開業医7.5%vs. 病院32.2%)や「フットケア」の実施(開業医14.0%vs. 病院46.8%)では、開業医と病院で大きな開きが出た。 また、患者の7割弱が「医師以外に治療に関係している医療関係者がいない」(64.9%)と回答するなど、患者がメディカルスタッフを相談相手として認識できていないことも明らかとなった。半数の患者家族が病気に理解あり、ただし診察への同行まではしてくれない 家族を含む周囲のコミュニティサポートでは、家族が「治療やケアに協力的」な患者は半数にとどまり(患者55.2%vs. 医師46.1%)、また、家族が「診察に一緒に同行してくれる」と回答した患者は10人に1人にとどまった(患者12.7%vs.医師33.6%)。生活習慣の改善や家族の協力をいかに確保するか 最後に、今回の調査のまとめとして、以下の事項があげられた。すなわち、医師の意識よりも患者は「糖尿病の内容や治療の必要性を理解している」こと、その一方で医師が思うよりも患者は「自身の病状・合併症のリスクを理解しておらず、治療(とくに生活習慣改善)が実践できていない」こと、「治療実践に必要なメディカルスタッフや家族のサポートも少なく、医師以外に相談する意識も低い」ことなどである。 したがって、医師側の今後の課題としては、「合併症リスクの説明の充実」や「より一層の生活習慣改善の指導」に加え、「患者家族や周囲を巻き込んだサポート体制の構築」が挙げられる。 将来的には、現在国が推進している「地域包括ケアシステム」を念頭に、患者のトータルケア実践に向け、患者自らが治療方針や治療実践に積極的に関与できるように、医療機関や家族のサポート、地域ケアが円滑に進むことが期待されるとレポートを終えた。 なお、調査の詳細については、同社のサイトから確認することができる。 シオノギ製薬:調査結果一覧(PDF)

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小児への抗精神病薬使用で推奨される血糖検査、その実施率は

 米国糖尿病協会(ADA)は2004年に、小児および青少年について、第2世代抗精神病薬の治療開始前後に代謝スクリーニングを実施することを推奨する治療ガイドラインを発表した。これに関連し、ブリガム&ウィメンズ病院のJohn G. Connolly氏らは、ガイドライン発表時期とその後8年間のスクリーニング実施率の変化を調べ、ガイドライン発表後はわずかに実施率が上昇したが、その後は低下していたことを明らかにした。先行研究で、ガイドライン公表時期に小児および成人の血糖検査がわずかだが増大していることが報告されていたが、その後についての報告は限定的であった。Psychiatr Services誌オンライン版2015年3月1日号の掲載報告。 研究グループは、全米をカバーする大規模民間保険の支払データベースで、2003年1月1日~2011年12月31日の期間中に5万2,407例の試験患者を特定した。試験集団は、第2世代抗精神病薬を使用する5~18歳の非糖尿病集団であった。アメリカ医師会(AMA)独自の診療コーディングCPT(Current Procedural Terminology)-4により、同薬服用開始前後に血糖値検査およびHbA1c検査完了の有無を特定した。また、処方されていた第2世代抗精神病薬、および精神科の診断ごとの代謝スクリーニング実施率についても調べた。 主な結果は以下のとおり。・第2世代抗精神病薬の治療開始前に血糖値検査を受けていた患者の割合は、2003年17.9%から2004年18.9%に増大していた。同時期に、治療開始後の検査は14.7%から16.6%に増大していた。・これら血糖値検査のわずかな増大は、その後は継続していなかった。2008年に再上昇がみられたが、それまでの期間は低下していた。・血糖スクリーニングの頻度は、アリピプラゾール服用患者で最も高かった。一方、多動障害を診断された患者の検査頻度が、最も低いと思われた。・HbA1c検査の実施頻度は、より低かったが、実施パターンについては類似していた。・以上のように、2004年のADAガイドライン発表後、代謝スクリーニング実施率はわずかに改善していたが、継続していなかったことが明らかになった。・全体として、代謝スクリーニング率は調査対象期間中、最適には及ばない基準で推移していた。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD 本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか

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事例47 ビルダグリプチン(商品名: エクア)錠50mgの査定【斬らレセプト】

解説事例では、「1型糖尿病」の患者に、ビルダグリプチン(エクア®)錠50mg 2Tを処方したところD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの: 支払基金)にて査定となった。同錠の適応を添付文書で確認してみる。効能又は効果に「2型糖尿病」のみが記載されている。事例の傷病名は「1型糖尿病」であるため適応がない。さらに、同剤の禁忌に「糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、「1型糖尿病」の患者(インスリンの適用である)」と記載されていた。患者安全の側面からも「1型糖尿病」への投与は避けるべき薬剤であろう。医師の処方後の薬剤監査をすり抜けて患者に投与した原因は、「糖尿病」という病名に適応があると各部署で思い込んでしまったことにあった。レセプトチェックシステムでは、患者投与後に対応となるため、処方入力時に稼働する薬剤監査システムの禁忌表示を大きくして、過誤を防ぐように対応した。

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2型糖尿病発症予防とPrecision Medicine(解説:住谷 哲 氏)-334

 日本ではあまり報道されなかったが、本年1月米国のオバマ大統領は一般教書演説においてPrecision Medicineの推進を宣言した1)。Precision Medicineとは、簡単に言えば、個々の患者の遺伝情報、環境因子などの情報に基づいた最適な医療、鍵と鍵穴とがぴったりと符合するような医療である。それに近いものは、わが国で個別化医療、オーダーメイド医療、テーラーメイド医療などとさまざまに呼称されているものが含まれる。本論文においては「有益性に基づいたテーラーメイド治療(benefit based tailored treatment)」と名付けられているが、その意義は2型糖尿病発症予防とPrecision Medicineの文脈において理解する必要がある。 DPP (Diabetes Prevention Program)は、2型糖尿病の発症が生活習慣介入、またはメトホルミン投与により予防可能であることを明らかにした試験である2)。DPPが介入の対象としたのは2型糖尿病発症リスクの高いprediabetesである。約3年の介入期間中に生活習慣介入またはメトホルミン投与により、対照群に比して2型糖尿病の発症相対リスクがそれぞれ58%、31%減少した。著者らはこのデータを用いて、2型糖尿病発症リスク予測モデルを作成した。2型糖尿病発症リスクに関する17の因子から選択してモデルに組み込んだのは、(1)空腹時血糖、(2)HbA1c、(3)中性脂肪、(4)高血糖の家族歴、(5)ウエスト、(6)身長、(7)ウエストヒップ比の7因子である(これらの7因子を使用したノモグラムも原著論文のSupplementに掲載されているので参照されたい)。 このモデルを用いて計算した、個々の患者の2型糖尿病発症の絶対リスク別に患者を低リスク群から高リスク群の4群に分けて、それぞれの群における生活習慣介入、またはメトホルミン投与による2型糖尿病発症の絶対リスク減少を有益性と定義して評価した。その結果、生活習慣介入はすべての群で有益であったが、メトホルミン投与による有益性のほとんどは最高リスク群に限定されていた。リスク予測モデルを用いて個々の患者の絶対リスクを定量化することで、個々の患者の受ける有益性を最大化することが可能であることを明らかにした点で、臨床的意義が大きい。 生活習慣介入がほとんどの患者に対して不利益をもたらさないことは自明であろう。一方、メトホルミンはきわめて有効かつ安全な薬剤であるが、消化器症状などの不利益は皆無ではない。今回のリスク予測モデルを用いることで、メトホルミン投与による2型糖尿病発症予防の現実化に向けて、われわれは一歩前進したといえる。 EBMはランダム化比較試験などで得られたエビデンスを、個々の患者の価値観、病状や周囲の状況を考慮して適用していくプロセスであるが、その際に常に問題になるのがエビデンスの外的妥当性(applicability)である。エビデンスは本質的に“平均的患者”の受ける有益性を示すだけであり、この平均的な有益性を平均的でない眼前の個々の患者に、いかに上手に当てはめていくかが医者の技量(clinical expertise)である。一方で、この“平均的患者”をより眼前の患者に近付ける方向がPrecision Medicineであるといえる。Precision Medicineは患者の遺伝情報に基づく個別化医療を目指しているが、2型糖尿病のようなpolygenic diseaseに対して、遺伝情報がどこまで有効かは現時点で明らかになっていない。さらにDNA解析技術が飛躍的に進歩したとはいえ、日常臨床で簡単に使用できるものでもない。本論文で開発されたリスク予測モデルは、遺伝情報を含まない因子で構成されており、日常臨床において応用可能である。今後は同様の解析がACCORDなどのほかの臨床試験結果にも応用され、さまざまなBenefit Based Tailored Treatmentが可能になるだろう。

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84)運動をしぶる患者さんへキラーワードで指導する【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者糖尿病合併症が心配で……。医師糖尿病になられて、何年ぐらいになりますか?患者10年ぐらいになります。最初は頑張って運動もしていたんですが、最近は、なかなかできなくて……。医師なるほど。運動は、合併症を予防するだけでなく、寿命も伸ばすそうです。患者そうなんですか。医師それに……。患者それに何ですか?(興味津々)医師少し強めの運動の方が、効果は高いそうです。少しずつ運動の強さを高めるといいみたいですよ。体力もついていきますし……。患者また、運動を頑張ります。これからは少し強めにですね。●ポイント適度な強さの運動が、合併症予防と寿命延長につながることを上手に説明1)Blomster JI, et al. Diabetes Obes Metab. 2013; 15: 1008-1012.

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循環器疾患 予防のための提案2つ

 「2025年問題」―皆さんは、この言葉をご存じだろうか? いわゆる「団塊の世代」が2025年に75歳以上の後期高齢者となり、医療経済の負担が大幅に増加する問題である。 2015年3月17日、都内にて「循環器疾患の予防による健康寿命の延伸」をテーマに、メディアワークショップ(主催:公益財団法人 日本心臓財団)が開催された。本セミナーの演者は山科 章氏(東京医科大学 循環器内科 主任教授)。健康寿命を縮める原因 超高齢社会に突入した日本が抱えている問題の1つに「介護・寝たきり」がある。要介護状態となる主な原因は脳卒中をはじめとする循環器疾患、関節疾患および転倒である1)。さらに、脳血管疾患と心疾患を含む循環器疾患は、がんと並んで日本人の主要死因の一角を占めている2)。この現状から、循環器疾患を予防する重要性がさらに増している。医師法第1条にも規定されている「予防医学」 山科氏は、健康寿命を延長させるための提案として、まず初めに医師法第1条の重要性に触れた。第1条には「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」という、いわゆる「予防医学」が規定されている。 健康寿命を延長するには、発症してから発見・治療することに加えて、発症を予測・予防していく医療も大切にすることが重要である。山科氏は「日常診療において、目の前の疾患の治療に目が行きがちではあるが、予防医学の重要性を再認識しなければならない」と強調した。血管障害を検出する意義とその指標 では、循環器疾患を予防していくためには、どうすればよいのだろうか? 現在、血管障害を検出するにあたり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの古典的な動脈硬化危険因子のみのリスク評価が行われていることが多い。しかし、血管障害の早期発見にはこれだけでは不十分である。山科氏は、昨今行われているABII)とbaPWVII)という2つの検査を紹介した。この検査を活用することで、より正確なリスクが評価でき、無症状のうちから血管障害の早期発見が可能となり、早期治療につなげることができるという。循環器疾患を予防するための提案 健康寿命を延ばすためには、循環器疾患の早期発見と治療の継続が重要である。そのためには、検査を活用し、ハイリスクな治療群を効率的に抽出することが望まれる。さらに、運動・食事・睡眠などの生活習慣を改善する意義について継続的な教育を行い、リスクが低いうちからイベント発症を予防していくことが求められる。 山科氏は、「交通業界では、飲酒運転の罰則、シートベルトの義務化など安全対策への取り組み、交通安全の学校教育を続けた結果、車の台数が増え続けている現在でも自動車事故死亡率はなお減少し続けている。循環器疾患においても、血管障害の予防意識を教育していくことが発症予防につながるため、継続して行っていくべきだ」と力説した。注釈:I) ABI(足関節/上腕血圧比):足首と上腕の血圧を測定し、その比率を計算したもので、血管の狭窄や閉塞などが推定できる。通常は、横になった状態で両腕と両足の血圧を測ると、足首のほうがやや高い値を示す。しかし、動脈に狭窄や閉塞があると、その部分の血圧は低下する。動脈の狭窄や閉塞は主に下肢の動脈に起きることが多いため、血圧比によって足の動脈の詰まりを予測でき、ABIが低値になるほど詰まっている可能性が高くなる。II) baPWV(上腕-足首間脈波伝播速度):上腕と足関節での脈波を採取し、2点間の時間差と距離を求めることで、速度を算出したもので、血管のしなやかさを評価できる。健常者の血管は伸展性があるため、拍動(脈波)は血管壁で吸収され、ゆっくりと伝わる。しかし、血管が硬化すると拍動が血管壁で吸収されず、速く伝わり、血管や臓器にダメージを与える。加齢などに加え、動脈硬化の危険因子によりbaPWVが高くなるほど、脳・血管系疾患を発症するリスクが大きくなる。【参考】1)厚生労働省「国民生活基礎調査2010」 2)厚生労働省「健康日本21(第2次)」(PDF)

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男性更年期障害、うつ病との関連は

 男性更年期は、中年期の男性における身体的、精神的、情緒的健康の変化を経験する状態である。しかし、男性更年期とうつ病などの精神症状との関連はまだ明らかになっていない。イラン・テヘラン大学のShahla Khosravi氏らは、男性更年期の症状(AMSスケールで評価)とうつ病との関連を検討した。Aging clinical and experimental research誌オンライン版2015年3月12日号の報告。 521人の高齢男性を対象とした横断的研究。データ収集にあたり、うつ病のスクリーニングのためAMS(Aging Males Symptoms Scale)と患者健康質問票(PHQ-2、PHQ-9)を使用し、さらに背景と生殖能力に関する質問を行った。重回帰分析により、男性更年期症状とうつ病との関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・本結果とAMSスコアより、対象の51.5%はアンドロゲンによる臨床症状を有しており、3.7%は重度の症状を有していた。・AMSスコアとうつ病には強い相関が認められた。・人口統計や身体測定、喫煙、疾患を変数とした多変量モデルで調整後も、うつ病、糖尿病、喫煙、配偶者の年齢は、有意な関連を示していた。・正の予測因子として、うつ病はAMSと最も強い関連が認められた。 以上、AMSスコアの増加はうつ病の重症度と関連しており、更年期障害の症状とうつ病との間には直接的な関連性が認められた。このことからも、男性更年期の症状を評価するにあたり、うつ病スクリーニングの必要性が示唆された。関連医療ニュース うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない うつ病患者の疲労感を評価する新ツール うつになったら、休むべきか働き続けるべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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PROMISE試験:冠動脈疾患に対する解剖的評価と機能評価検査の予後比較(解説:近森 大志郎 氏)-328

 安定した胸部症状を主訴とする患者に対する診断アプローチとして、まず非侵襲的検査によって冠動脈疾患を鑑別することが重要である。従来は運動負荷心電図が日常診療で用いられてきたが、その後、負荷心筋シンチグラフィ(SPECT)検査、負荷心エコー図検査が臨床に応用され、近年では冠動脈CT(CTCA)も広く実施されるようになっている。しかしながら、これらの検査の中でいずれを用いればよいか、という検査アプローチを実証する大規模臨床試験は実施されてはいなかった。 今回、San Diegoで開催された米国心臓病学会(ACC.15)のLate-Breaking Clinical Trialsの先頭を切って、上記に関するPROMISE試験が報告され、同時にNew England Journal of Medicine誌の電子版に掲載された。なお、ACCで発表される大規模臨床試験の質の高さには定評があり、NEJM誌に掲載される比率では同じ循環器分野のAHA、ESCを凌いでいる。 Duke大学のPamela Douglas氏らは、従来の生理機能を評価する運動負荷心電図・負荷心筋SPECT・負荷心エコー図に対して、冠動脈の解剖学的評価法であるCTCAの有効性を比較するために、有症状で冠動脈疾患が疑われる10,003例を無作為に2群(CTCA群対機能評価群)に割り付けた。試験のエンドポイントは従来のほとんどの研究で用いられた冠動脈疾患の診断精度ではなく、全死亡・心筋梗塞・不安定狭心症による入院・検査による重大合併症からなる、複合エンドポイントとしての心血管事故が設定されている。対象症例の平均年齢は61歳で、女性が52~53%と多く、高血圧65%、糖尿病21%、脂質異常症67%という冠危険因子の頻度であった。なお、症状として胸痛を訴えてはいるが、狭心症としては非典型的胸痛が78%と高率であることは銘記すべきであろう。 実際に機能評価群で実施された非侵襲的検査については、負荷心筋SPECT検査67.5%、負荷心エコー図22.4%、運動負荷心電図10.2%、と核医学検査の比率が高かった。また、負荷心電図以外での負荷方法については、薬剤負荷が29.4%と低率であった。そして、これらの検査法に基づいて冠動脈疾患が陽性と診断されたのは、CTCA群で10.7%、生理機能評価群では11.7%であった。3ヵ月以内に侵襲的心臓カテーテル検査が実施されたのはCTCA群で12.2%、生理機能検査群では8.1%であった。この中で、有意狭窄病変を認めなかったのはCTCA群で27.9%、生理機能検査群で52.5%であったため、全体からの比率では3.4%対4.3%となりCTCA群で偽陽性率が低いといえる(p=0.02)。なお、3ヵ月以内に冠血行再建術が実施されたのはCTCA群で6.2%と、生理機能検査群の3.2%よりも有意に高率であった(p<0.001)。 1次エンドポイントである予後に影響する内科的治療ついては、β遮断薬が25%の症例で使用されており、RAS系阻害薬・スタチン・アスピリンについても各々約45%の症例で投与されていた。そして、中央値25ヵ月の経過観察中の心血管事故発生率についてはCTCA群で3.3%、生理機能評価群では3.0%と有意差を認めなかった。 本研究は循環器疾患の治療法ではなく、冠動脈疾患に対する検査アプローチが予後に及ぼす影響から検査法の妥当性を評価するという、従来の臨床試験ではあまり用いられていない斬新な研究デザインを用いている。そして、1万例に及ぶ大規模な臨床試験データを収集することによって、日常臨床に直結する重要な結果を示したという意味で特筆に値する。 しかしながら、基本的にはnegative dataである研究結果の受け止め方については、同じDuke大学の研究チームでも異なっていた。ACCの発表に際してDouglas氏は、PROMISE試験の結果に基づき、狭心症が疑われる患者に対して、CTCAはクラスIの適応となるようにガイドラインが修正されるエビデンスであることを主張していた。これに対して、PROMISE試験の経済的評価を発表したDaniel Mark氏は、イギリスの伝説である「アーサー王物語」を引き合いに出して、CTCAは長年探し求めていたHoly Grail(聖杯)ではなかった、と落胆を隠さなかった。 循環器の臨床において、対象とする患者の冠動脈病変の情報があれば、最適な医療が実施できるという考え方は根強い。しかし、PROMISE試験が準備された時期には、狭心症の生理機能として重要な心筋虚血が、予後改善の指標として重要であることを実証したFAME試験が報告されている。その後、FAME 2試験においても同様の結果が報告されている。さらに、重症心筋虚血患者に対する介入治療の有無により予後の改善が実証されるか否かについて、ISCHEMIA試験という大規模試験が進行中である。今後はこれらの大規模試験の結果を評価することによって、冠動脈疾患の治療目標は「解剖か、虚血か」という議論に決着がつくかもしれない。それまでは、日常臨床において狭心症が疑われる患者に対しては、まず本試験の対象群の特徴を十分に把握したうえで、CTCAあるいは生理機能検査を実施する必要があると思われる。

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