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保険収載された薬剤に関する市販後臨床試験はほとんどネガティブスタディだった(解説:折笠 秀樹 氏)-680

 米国FDAで2005~12年に承認された117個の新規薬剤(123件の適応)を対象にして、市販後に実施された臨床試験758論文をレビューした。1つのピボタル研究だけで承認された割合が27%(=33/123適応)、複数の代替エンドポイント試験だけで承認された割合が40%(=49/123適応)、その両者で承認された割合が33%(=41/123適応)であった。複数の代替エンドポイント試験だけで承認された薬剤には、抗生物質や循環器・糖尿病治療薬が多かった。 承認後に実施された市販後臨床試験の特徴についても調査された。特徴に多少違いはみられたが、驚いたのはランダム化比較試験が90%近く占めていたことであった。二重盲検試験に限っても35%(=263/758)あった。しかし、こうした二重盲検ランダム化比較試験を実施して、比較群に対して優越性を立証できた適応はわずか7%(=9/123)しかなかった。実に93%がネガティブスタディだったのである。つまり、承認前に立証されていた事実が再現していなかったことになる。とくに、代替エンドポイント試験だけで承認された薬剤については1/49適応だけしか、市販後二重盲検ランダム化比較試験で優越性が示されなかったのだ。これは何を意味しているのか。代替エンドポイント試験だけで承認された薬剤については、とくにその後の臨床試験をフォローすべきということだろう。企業からの薬剤情報では、優越性の得られた結果だけが引用されることが多い。本来はネガティブスタディを含め、偏りのない情報提供をしてもらいたい。もし難しい場合は、アカデミアの研究者が市販後の薬剤臨床試験を定期的にレビューする必要があるだろう。 さらに、うまくいかなかった試験は出版されない傾向が実際にはある。そうだとすると、もっと市販後で優越性が再現されていないことが想定される。保険収載されているから、その薬は効くと信じ込むことは、いまやできない。同類の薬剤だから効くと信じることもできない。承認された薬剤で市販後臨床試験が実施されることは良いことだが、それらの結果を薬剤別にデータベース化して、それを定期的にレビューすることは非常に大切なことだと感じた。

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咽頭痛に対するステロイドの症状軽減効果(解説:小金丸 博 氏)-679

 咽頭痛は、プライマリケアセッティングでみることの多い症候の1つである。咽頭炎の原因の多くはウイルス感染症であるものの、症状軽減効果や化膿性合併症の予防を期待して不必要な抗菌薬が投与されてしまうことも多い。あるsystematic reviewでは、咽頭痛に対してステロイドを単回投与することで24時間以内に症状を消失させることが示されたが、引用された試験はすべて抗菌薬とステロイドを併用したものであり、ステロイド単独の有効性を示した研究は存在しなかった。 本研究は、18歳以上の成人を対象に、急性の咽頭痛や嚥下痛に対するデキサメタゾン単回投与の有効性を検討した二重盲検プラセボ対象ランダム化比較試験である。即時に抗菌薬投与が必要ない症例のみを対象とした。24時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で22.6%、プラセボ投与群で17.7%であり、両群間で有意差は認めなかった(P=0.14)。しかしながら、セカンダリアウトカムの1つである48時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で有意に高かった(35.4% vs.27.1%、P=0.03)。 過去のいくつかの研究と異なり、本試験では小児例が除外されているため、ステロイドの有効性が低くなった可能性はある。また、デキサメタゾン投与群でも大きな有害事象がなかったことが結果として挙げられているが、糖尿病や心不全といった基礎疾患を持つ患者は試験から除外されていることに注意が必要である。 本試験に組み込まれた患者背景をみてみると、デキサメタゾン投与群のCentor score ≧3の割合は14.2%であり、多くの対象患者がウイルス性咽頭炎であったと推測できる。プライマリアウトカムではデキサメタゾンの有効性を示せていないため若干判断が難しいが、即時に抗菌薬投与が不要な咽頭痛に対するデキサメタゾン投与は、症状軽減を期待できる結果であった。 しかしながら、本試験の結果をもって、実臨床でもデキサメタゾンを投与するかどうかは一考の余地がある。1人の症状を48時間以内に軽減するために必要な治療人数(治療必要数:NNT)は12であり、咽頭炎という疾患の重症度、ステロイドの副作用や免疫抑制効果を考えると、この程度の効果では実臨床では使いづらいと考える。

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高齢者でも朝食抜きが肥満に関連~平城京スタディ

 子供や若年者では朝食の欠食が肥満に関連することが報告されているが、高齢者での関連性の報告はほとんどない。今回、平城京スタディの横断研究で、高齢者においても朝食の欠食が肥満と有意に関連することが示された。食事の質の低さや身体活動の少なさが肥満につながっている可能性があるという。The journal of nutrition, health & aging誌2017年5月号に掲載。 奈良県立医科大学の大規模前向きコホート研究である平城京スタディで、奈良県在住の高齢者1,052人(平均年齢:71.6歳)を調査した。BMI 25以上を肥満とし、また週1日以上朝食を食べなかった人を朝食欠食者とした。 主な結果は以下のとおり。・肥満に分類されたのは227人(25.9%)、朝食欠食者は41人(3.9%)であった。・肥満の割合は、朝食欠食者のほうが朝食摂取者より有意に高かった(43.9% vs. 25.1%、p=0.007)。・潜在的な交絡因子(年齢、性別、飲酒量)を調整した多変量ロジスティック回帰分析で、朝食欠食者は朝食摂取者より肥満のオッズ比(OR)が2.23(95%信頼区間:1.17~4.27、p=0.015)と有意に高く、社会経済的地位について調整した後も有意に高かった。・朝食欠食者では、毎日のカリウム摂取(p<0.001)、食物繊維摂取(p=0.001)、主観的身体活動(p=0.035)が朝食摂取者より有意に少なかった。

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低LDL-Cが認知症リスクを低減する可能性/BMJ

 PCSK9遺伝子およびHMGCR(HMG-CoA reductase)遺伝子のバリアントに起因するLDLコレステロール(LDL-C)の低下は、認知症やパーキンソン病の発症リスクを増加させず、LDL-C値の低下によりアルツハイマー型認知症のリスクが低減する可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarianne Benn氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年4月24日号に掲載された。コレステロールは脳のニューロンを取り囲むミエリンの主成分であるため、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患のリスクを増大させる可能性が指摘されている。11万例以上のメンデル無作為化試験 本研究は、LDL-Cの代謝および生合成に関与する遺伝子(それぞれ、PCSK9遺伝子、HMGCR遺伝子)の遺伝的変異に起因するLDL-C値の低下が、一般人口におけるアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、全認知症およびパーキンソン病のリスクを高めるとの仮説を検証するメンデル無作為化試験である(Danish Council for Independent Researchなどの助成による)。 デンマークの一般人口を対象とした類似する2つの前向き試験(Copenhagen General Population Study:9万9,993例、Copenhagen City Heart Study:1万1,201例)の参加者11万1,194例について解析を行った。 全体の年齢中央値は56歳(IQR:46~66)、55%(6万1,310例)が女性であった。LDL-C値別の内訳は、<1.8mmol/L(≒69.66mg/dL)が3.7%(4,087例)、1.8~2.59mmol/L(≒69.66~100.233mg/dL)が18%(2万0,335例)、2.6~3.99mmol/L(≒100.62~154.413mg/dL)が52%(5万7,847例)、≧4.0mmol/L(≒154.8mg/dL)は26%(2万8,925例)であった。1mmol/L低下による発症リスクへの影響はない 観察的な解析では、フォローアップ期間中央値8.2年における<1.8mmol/Lの集団の≧4.0mmol/Lの集団に対するパーキンソン病の多因子で補正したハザード比(HR)は1.70(95%信頼区間[CI]:1.03~2.79、傾向検定:p=0.01)と有意であったのに対し、アルツハイマー型認知症(0.93、0.62~1.40、p=0.35)、脳血管性認知症(0.46、0.15~1.48、p=0.56)、全認知症(1.04、0.79~1.38、p=0.18)には有意な差を認めなかった。 PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子のバリアントを統合すると、LDL-C値が9.3%低下した(傾向検定:p<0.001)。 また、年齢、性別、出生年で補正した遺伝的な因果分析では、LDL-C値が1mmol/L(≒38.7mg/dL)低下した場合のリスク比は、アルツハイマー型認知症が0.57(95%CI:0.27~1.17、p=0.13)、脳血管性認知症が0.81(0.34~1.89、p=0.62)、全認知症が0.66(0.34~1.26、p=0.20)、パーキンソン病は1.02(0.26~4.00、p=0.97)であり、いずれもLDL-C値低下による発症リスクへの影響はみられなかった。 Egger Mendelian randomisation(MR Egger)解析を用いたInternational Genomics of Alzheimer’s Project(IGAP)の要約データでは、LDL-C値の1mmol/Lの低下による、PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子の26のバリアントを統合した場合のアルツハイマー型認知症のリスク比は0.24(95%CI:0.02~2.79、p=0.26)と有意な差はなかったが、低LDL-C値に関連する380の遺伝的バリアントのMR Egger解析によるリスク比は0.64(0.52~0.79、p<0.001)であり、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症のリスクの抑制において因果効果を持つ可能性が示唆された。 著者は、「進行中のPCSK9阻害薬の無作為化臨床介入試験に加えて、今回のわれわれの研究よりも統計学的検出力を高めたメンデル無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。

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糖尿病の世界の経済的負担は1兆3千億ドル

 既存の研究は方法・データに違いがあるため、糖尿病の疾病コストの国別の比較は難しい。今回、ドイツ・ゲッティンゲン大学のChristian Bommer氏らは、すべての国で統一された枠組みで、2015年における成人(20~79歳)の糖尿病による世界全体の経済的負担を推定した。その結果、経済的負担は1兆3,100億ドルと大きく、またこの負担が高所得国だけの問題ではないことが示唆された。The lancet. Diabetes & endocrinology誌オンライン版2017年4月26日号に掲載。 著者らは、184ヵ国の疫学的および経済的データを用いて、糖尿病による世界全体の経済的負担を推定した。直接費用は、WHO一般医療費支出の数字と国際糖尿病連合(IDF)糖尿病アトラス2015年版の罹患率データを基に、トップダウン式アプローチを用いて算出した。また間接費は、糖尿病関連の罹患率と早期の死亡率を含む人的資本アプローチを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・2015年の糖尿病での世界全体のコストは、1兆3,100億ドル(95%CI:1兆2,800億~1兆3,600億)で、世界全体のGDPの1.8%(同:1.8~1.9)であった。・間接費は、国によって割合と構成に大きな違いがあったが、総負担の 34.7% (95%CI:34.7~35.0)を占めていた。・北米はGDPに関して最も影響を受けており、また世界全体の絶対的コストにも最も大きく寄与していた。・経済的負担の対GDP比率は、平均すると、高所得国より中所得国で大きかった。

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1型糖尿病における強化インスリン療法:頻回注射法と持続皮下インスリン注入法の比較(解説:小川 大輔 氏)-677

強化インスリン療法 インスリン分泌には、1日を通して分泌される「基礎分泌」と、食べ物を食べた時に分泌される「追加分泌」がある。1型糖尿病のインスリン治療は、基礎分泌と追加分泌をインスリン製剤で補う「強化インスリン療法」が基本となる。 強化インスリン療法には主に2つの方法、ペン型の注入器でインスリン製剤を皮下に注射する「頻回注射法」と、インスリンポンプという機械でインスリンを注入する「持続皮下インスリン注入法」がある。頻回注射法と持続皮下インスリン注入法 頻回注射法は2種類のインスリン製剤を用いて、通常は基礎分泌を補うために持効型インスリンを1日1~2回注射し、追加分泌を補うために超速効型インスリンを1日3回各食事の直前に注射する。 持続皮下インスリン注入法は超速効型インスリン製剤をインスリンポンプにセットし、あらかじめ設定した速度でインスリンを皮下へ持続的に注入することによって基礎分泌を補う。また、ポンプのボタン操作で食事の前にインスリンを追加で注入し追加分泌を補う。 頻回注射法は手技が簡便であるが、1日4~5回皮下注射を行う必要がある。一方、持続皮下インスリン注入法は機械の操作がやや難しいが、皮膚に留置するカニューレの交換は2~3日に1回のため穿刺の回数は少なくて済む。1型糖尿病の治療:頻回注射法と持続皮下インスリン注入法の比較 1型糖尿病の治療では、低血糖をできるだけ回避しながら血糖コントロールを良好に保つことが求められる。強化インスリン療法には上述の2種類の方法があり、それぞれ長所と短所がある。これまでに持続皮下インスリン注入法は頻回注射法と比較し、血糖コントロールをより改善する、あるいは重症低血糖の頻度が低下するという報告が散見されるが、いずれも症例数が少なく、期間も短いため明確な結論は得られていない。 今回のREPOSE試験では、成人の1型糖尿病267症例を対象に、持続皮下インスリン注入法群と頻回注射法群の2群に割り付けてHbA1cの低下や重症低血糖の頻度を2年間にわたり観察した。また両群とも割り付ける前にインスリン治療に関する教育が行われた。結果であるが、HbA1cレベルは持続皮下インスリン注入法群でより低下する傾向がみられたが両群間で有意差はなかった。重症低血糖の頻度は両群とも低下したが、両群間で有意差は認めなかった。また心理社会的指標は治療に対する満足感やQOLに関する一部の項目で持続皮下インスリン注入法のほうが有意に改善したが、両群間で有意差はなかった。 持続皮下インスリン注入法群が頻回注射法群よりも、血糖コントロールが有意に改善しなかった理由は不明である。1つの可能性として、持続皮下インスリン注入法および頻回注射法への好みがない患者を2群に振り分けており、持続皮下インスリン注入法群でインスリンポンプを使用するモチベーションがあまりなかったのかもしれない。今回の研究では、両群とも血糖コントロールは改善したもののガイドラインで推奨されているレベルには到達しておらず、コントロール不良の成人1型糖尿病に対して持続皮下インスリン注入法を積極的に推奨することを支持する結果は得られなかった。

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日本糖尿病学会:シンポジウム 「糖尿病学から繋がる未来への懸け橋―ひとりひとりが輝くための道を探る―」を開催

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」は、第60回年次学術集会(2017年5月18日(木) - 20日(土))内で以下のシンポジウムを開催する。シンポジウム「糖尿病学から繋がる未来への懸け橋―ひとりひとりが輝くための道を探る―」 (日本糖尿病学会 第60回年次学術集会)■ 2017年5月19日(金) 14:10 - 17:10■ 名古屋国際会議場  2号館 3F 会議室234 (第60回年次学術集会: 第10会場)■ 座長:成瀬 桂子 氏 (愛知学院大学歯学部内科学講座)川浪 大治 氏 (東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科)■ 講演:● 糖尿病学会が目指すダイバーシティ  植木 浩二郎 氏 (国立国際医療研究センター 糖尿病研究センター)● 糖尿病内科医として大学で経験してきたこと  安孫子 亜津子 氏 (旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野)● 基幹病院における糖尿病学の実践  林 道夫 氏 (NTT東日本関東病院 糖尿病・内分泌内科)● 航空会社における産業医としての役割とそのやりがい  大久保 景子 氏  (日本航空株式会社 運航本部運航乗員健康管理部 兼 人財本部健康管理部)● 臨床も研究も 理想のクリニックを目指して  戸崎 貴博 氏 (医療法人TDE糖尿病・内分泌内科クリニックTOSAKI)● 基礎医学から広がる糖尿病学  高橋 倫子 氏  (東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター構造生理学部門) 関連リンク 女性糖尿病医サポートの取り組み [女性医師応援ライブラリ] (日本糖尿病学会 ホームページ)

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腎疾患治療に格差、130ヵ国調査で明らかに/JAMA

 カナダ・アルバータ大学のAminu K. Bello氏らが、世界130ヵ国を対象に腎疾患への対応能力などについて調べた結果、地域間および地域内で、サービスや人的資源について顕著なばらつきが認められることが判明した。本研究は、「腎疾患は世界中で医療・公衆衛生上の重大な課題になっているが、ケアに関して入手できる情報は限定的である」として行われたが、結果を踏まえて著者は、「今回の調査の結果が、現在の各国の腎疾患治療の現状を正確に反映しているものならば、その質的改善に努めるよう知らしめるのに有用なものとなるだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2017年4月21日号掲載の報告。ISN加盟130ヵ国にアンケート調査 研究グループは、現在の腎疾患治療提供に関する準備(readiness)、キャパシティ、能力(competence)について、各国および各地域の情報を集めるアンケート調査を行った。国際腎臓学会(ISN)を通じて、国および地域の腎臓病学のリーダーと特定された、ISN加盟130ヵ国の主要ステークホルダー(国の腎臓学会リーダー、方針の策定者、患者団体代表)に対し2016年5月~9月に実施した。 主要評価項目は、腎疾患治療についての国のキャパシティおよびレスポンスの中心エリアとした。透析・移植設備や、ガイドライン整備などで顕著な格差 回答があったのは、130ヵ国のうち125ヵ国(96%)、個人の回答率は289/337人(85.8%、回答者中央値は2[四分位範囲:1~3])で、これは世界人口73億人のうち推定で93%(68億人)の回答率を示すものであった。 結果、世界各国のサービス供給に関する準備、キャパシティ、レスポンスや、資金、従事者、情報提供システム、およびリーダーシップやガバナンスは大きなばらつきがあることが認められた。 全体で、血液透析設備があるのは119ヵ国(95%)、腹膜透析設備は95ヵ国(76%)、腎移植設備は94ヵ国(75%)であった。対照的にアフリカ各国では、血液透析設備があるのは33ヵ国(94%)、腹膜透析設備は16ヵ国(45%)、腎移植設備は12ヵ国(34%)にあるという状況であった。 慢性腎臓病(CKD)のプライマリケアにおけるモニタリングで、血清クレアチニンとともに推定糸球体濾過量(eGFR)および尿蛋白測定報告が入手できたのは、それぞれわずか21ヵ国(18%)、9ヵ国(8%)であった。 血液透析、腹膜透析、移植医療について、公的資金が投じられ制限なく治療が受けられるのは、それぞれ50ヵ国(42%)、48ヵ国(51%)、46ヵ国(49%)であった。腎臓専門医の数にもばらつきがみられ、アフリカ、中東、南アジア、オセアニア、東南アジア(OSEA)地域で少なかった(100万当たり10人未満)。 健康情報システム(腎登録)の利用は限定的で、とくに急性腎障害(8ヵ国[7%])、非透析CKD(9ヵ国[8%])で顕著だった。また各国の急性腎障害およびCKDのガイドラインについて、利用可能と報告したのは、それぞれ52ヵ国(45%)、62ヵ国(52%)であった。 とりわけ開発途上国では、臨床研究に取り組む能力が相対的に低いことが認められた。

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冠動脈疾患発症および死亡の転帰に影響する独立危険因子としての体重変動(連続体重測定)の意義(解説:島田 俊夫 氏)-675

 過体重、肥満がさまざまな病気の危険因子になることはよく知られた事実である。しかし、その一方で肥満パラドックス1)に関する報告もあり、肥満が病気の発症、死亡に対して保護的に働く可能性を示唆する論文も散見されるが、最近では選択バイアスと交絡因子とで説明可能であるとの考えが主流である。また、健常人では体重変動が独立した心血管疾患危険因子になることはすでに報告されているが、これまでの対象とは異なり本研究においては心血管疾患を有し、LDLコレステロールが130mg/dL未満の患者を対象にしたTNT試験2,3)の事後解析に基づく臨床研究の成果として、NEJM誌2017年4月6日号に掲載された米国・ニューヨーク大学医学部Sripal Bangalore氏らの論文を取りあげコメントする。方法:アトルバスタチンを使った低比重リポタンパク(LDL)コレステロール低下の有効性と安全性を評価する新規標的治療(TNT)試験の事後解析が行われた。ベースライン時と追跡調査時に測定された体重から、個人内変動を計算した。主要エンドポイントは、全冠動脈イベント(冠動脈心疾患による死亡、非致死的心筋梗塞、心停止からの蘇生、血行再建、狭心症の複合)とし、副次的エンドポイントは、全心血管イベント(全冠動脈イベント、脳血管イベント、末梢血管疾患、心不全の複合)、死亡、心筋梗塞、脳卒中とした。結果:9,509例を対象として、危険因子、ベースライン脂質値、平均体重、体重変化で補正すると、体重変動(連続した変動測定値の平均とし、時間依存性の共変量として用いた)が1標準偏差(SD)増加するごとに、全冠動脈イベント(2,091件、ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:1.01~1.07、p=0.01)、全心血管イベント(2,727件、HR:1.04、95%CI:1.02~1.07、p<0.001)、死亡(487件、HR:1.09、95%CI:1.07~1.12、p<0.001)のリスク上昇に関係していた。調整後モデルでは、体重変動の最高五分位群は、最低五分位群と比較して、冠動脈イベントのリスクが64%、心血管イベントのリスクが85%、死亡リスクが124%増加し、心筋梗塞リスクも117%、脳卒中リスクも136%、新規糖尿病リスクも78%、有意に増加した。コメント:本研究は冠動脈疾患を有する患者においても、これまでの危険因子と独立して、体重変動が大きくなると死亡率および心血管疾患イベントの発生率がさらに増加することを明らかにした。心血管疾患を有する場合にベースラインからの体重変動に大きな影響を与える恐れのある心不全に起因する体液貯留が体重変動にどれほど関与しているか気になるところであるが、今回の解析対象からNYHA class IIIおよびIVの心不全症例が前もって除外されているために体液貯留の関与は無視できると考えられた。体重変動をこれまでの冠動脈疾患や死亡の危険因子とは独立したリスクファクターとして受け止め、日常の体重測定の持つ意義を真摯に受け入れ、日々の体重測定を欠かさないよう生活の中での自己健康管理法の重点測定項目として心がけることが重要である。この論文は体重継続測定の臨床意義に新しい見方を加えた意義深い論文とみることもできるのではないか。参考文献1)Uretsky S, et al. Am J Med. 2007;120:863-70.2)LaRosa JC, et al. Am J Cardiol. 2007;100:747-52.3)Waters DD, et al. Am J Cardiol. 2004;93:154-158.

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内分泌代謝内科グリーンノート

ポケットに入る内分泌代謝内科の役に立つ知見研修医・家庭医・一般内科医が「遭遇する頻度の高い」および「頻度は低いが絶対に見逃してはいけない」疾患症候に絞り、臨床上のポイントをまとめた内分泌代謝内科のポケットマニュアル。「フィジカルから内分泌疾患を診断する!」(徳田安春)、「総合診療医と専門医の一問一答」(南郷栄秀・岩岡秀明)など目玉企画も満載でお届け。すべての医師の必読書!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    内分泌代謝内科グリーンノート定価3,200円 + 税判型B6変型判頁数238頁発行2017年4月編著岩岡 秀明Amazonでご購入の場合はこちら

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血清尿酸値が糖尿病性網膜症リスクと相関~日本人男性

 奈良県立医科大学の石井 均氏らの研究グループによる大規模レジストリ研究で、男性の2型糖尿病患者では、血清尿酸値が高いほど糖尿病性網膜症の発症リスクが増加することがわかった。この研究で、血清尿酸値が男性2型糖尿病患者の糖尿病性網膜症の発症リスクを予測する有用なバイオマーカーである可能性が示唆された。Diabetes/metabolism research and reviews誌オンライン版2017年4月26日号に掲載。 本研究は、天理よろづ相談所病院(奈良県)の内分泌内科に通院する糖尿病患者を対象とした大規模レジストリ(Diabetes Distress and Care Registry at Tenri:DDCRT 13)から、2型糖尿病患者で糖尿病性網膜症ではない1,839例のデータを用いた。ベースラインの血清尿酸値と糖尿病性網膜症の発症における独立した関連性を評価するためにCox比例ハザードモデルを使用し、潜在的な交絡因子を調整した。 主な結果は以下のとおり。・2年間の観察期間中に188例(10.2%)が糖尿病性網膜症を発症した。・男性患者の糖尿病性網膜症発症における多変量調節ハザード比は、血清尿酸値の第1四分位に対して、第2四分位で1.97(95%CI:1.14~3.41、p=0.015)、第3四分位で1.92(同:1.18~3.13、p=0.008)、第4四分位で2.17(同:1.40~3.37、p=0.001)であった。・女性患者では発症リスクの増加はみられなかった。

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発症メカニズムから考える乾癬の治療戦略

 2017年4月10日、メディアセミナー「乾癬治療における生物学的製剤の最新エビデンスと今後の展望~乾癬の発症機序から考える最新治療戦略~」が開催された(主催:アッヴィ合同会社)。本セミナーでは、演者である佐藤 伸一氏(東京大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授)が、「乾癬治療における生物学的製剤治療の意義」と題した講演を行った。 乾癬は、赤い発疹である「紅斑」、皮膚が盛り上がる「浸潤」、銀白色のカサブタのような「鱗屑」や皮膚がはがれ落ちる「落屑」を特徴とする疾患で、慢性・再発性の炎症性角化症として知られている。乾癬への罹患は、がん、高血圧、心筋梗塞などよりも患者の生活の質(QOL)を低下させるとの報告もあり1)、乾癬の治療法選択においては、疾患の重症度を改善させるだけでなく、患者のQOLを考慮することも重要となる。乾癬は皮膚だけの病気ではない 乾癬は、皮膚症状以外にも何らかの疾患を併発することが多く、発症頻度の高い併存疾患としては、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが挙げられる。『世界乾癬レポート2016』には、乾癬マネジメントに高血圧などの関連疾患や心筋梗塞などの併存症のスクリーニングも含まれると記載されており2)、その重要性がうかがえる。乾癬と併存疾患との関係について佐藤氏は、重症乾癬患者の死因は心血管病変が最も多いとの報告3)を紹介したうえで、乾癬は「皮膚だけの病気ではなく、全身に影響を与える皮膚疾患」と解説した。乾癬とサイトカインの関係 乾癬の病態は、「腫瘍壊死因子(以下、TNF)-α」、「インターロイキン(以下、IL)-23」、「IL-17」といった炎症性サイトカインが連続的に働くことで生じると考えられている。 TNF-αは乾癬発症メカニズムの上流に位置しており、乾癬以外にもさまざまな炎症性疾患に関与している。本講演では、乾癬患者における心血管系イベント発生率をTNF-α阻害薬が低下させるとの報告4)も紹介された。一方、乾癬発症メカニズムの下流に位置するIL-17を標的とする治療は、乾癬に対してよりピンポイントに効果を発揮すると期待されており、近年、IL-17関連の生物学的製剤が相次いで発売された。佐藤氏は、乾癬とサイトカインの関係性を踏まえて、「乾癬の重症例では併存疾患が多いため、TNF-α阻害薬を用いることが望ましい」と自身の考えを述べた。 乾癬の病態理解が深まり、現在では乾癬に対していくつもの生物学的製剤が承認されている。佐藤氏は、これらの使い分けについて、「皮膚症状の重症度ではなく、併存疾患の有無などを考慮して製剤を使い分けることが合理的」との見解を示した。

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自転車通勤者は徒歩通勤者より全死因死亡リスクが低い/BMJ

 自転車通勤は心血管疾患(CVD)・がん・全死因死亡のリスク低下と、徒歩通勤はCVDのリスク低下とそれぞれ関連していることが、英国・グラスゴー大学のCarlos A Celis-Morales氏らによる、前向きコホート研究の結果、明らかにされた。徒歩通勤や自転車通勤は、日常の身体活動を高めることができる方法として推奨されている。先行研究のメタ解析(被験者17万3,146例)において、有害な心血管転帰のリスク低下と関連することが報告されていたが、同報告の結果は、心代謝性エンドポイント(高血圧、糖尿病、脳卒中、冠動脈心疾患、CVDなどの発生)の範囲が不均一で徒歩通勤か自転車通勤かの区別がなされておらず、限定的なものであった。BMJ誌2017年4月19日号掲載の報告。26万3,450例を前向きに追跡 研究グループの検討は、2007年4月~2010年12月の英国内22地点からの英国バイオバンクの参加者26万3,450例(うち女性52%、平均年齢52.6歳)を対象に行われた。仕事場までの通勤手段(非アクティブ、自転車、徒歩、混在)を曝露変数として用い、主要アウトカム(致死的・非致死的CVDおよびがん、CVD死、がん死亡、全死因死亡)の発生について評価した。 結果、追跡期間中央値5.0年(四分位範囲:4.3~5.5)の死亡発生は2,430例で、うちCVD関連死496例、がん関連死1,126例であった。また、がん発生は3,748例、CVD発生は1,110例であった。自転車通勤は、全死因死亡、がん発生・死亡、CVD発生・死亡とも有意に低下 最大限補正モデルにおいて非アクティブ群と比較して、自転車通勤群は、全死因死亡(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.42~0.83、p=0.002)、がん発生(0.55、0.44~0.69、p<0.001)、およびがん死亡(0.60、0.40~0.90、p=0.01)のリスクが有意に低かった。同様に自転車通勤を含む混在群も、全死因死亡(0.76、0.58~1.00、p<0.05)、がん発生(0.64、0.45~0.91、p=0.01)、およびがん死亡(0.68、0.57~0.81、p<0.001)のリスクが有意に低かった。 CVD発生のリスクについてみると、自転車通勤群(0.54、0.33~0.88、p=0.01)、徒歩通勤群(0.73、0.54~0.99、p=0.04)ともに有意な低下が認められた。CVD死についても、自転車通勤群(0.48、0.25~0.92、p=0.03)、徒歩通勤群(0.64、0.45~0.91、p=0.01)ともに有意な低下が認められた。 一方で、徒歩通勤群は、全死因死亡(1.03、0.84~1.26、p=0.78)、がん関連アウトカム(がん発生:0.93、0.81~1.07、p=0.30、がん死亡:1.10、0.86~1.41、p=0.45)について、統計学的に有意な関連はみられなかった。徒歩通勤を含む混在群も、測定アウトカムのいずれについても顕著な関連はみられなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「アクティブ通勤を促進・支援するイニシアティブによって、死亡リスクを減らし、重大慢性疾患の負荷を減らせるだろう」とまとめている。

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循環器内科 米国臨床留学記 第20回

第20回 米国の電子カルテ事情日本でも電子カルテが一般的になっていますが、米国では電子カルテのことをElectrical Medical Record (EMR)と言います。今回は、米国におけるEMR事情について書いてみたいと思います。米国のEMRの特徴の1つとして、どこからでもアクセスできるというのが挙げられます。「今日は疲れたから、残りのカルテは家で書きます」といった感じで、インターネットで世界中のどこからでも電子カルテにアクセスできます。実際、私も帰国時に日本から米国の患者に処方したり、カルテをフォローしたりすることがあります。日本でも電子カルテが登場して久しいですが、インターネットを介して患者のカルテにアクセスするのはまだ一般的でないかもしれません。Medscapeのリポートによると、2016年の段階で91%の医師が電子カルテを使用しており、これは2012年の74%から比べても大幅な増加です。その中でも、41%と圧倒的なシェアを誇るのがEPICというシステムです。ほかのEMRと比べても、EPICはuser friendlyで使いやすく、日常臨床を強力にサポートしてくれます。私のいるカリフォルニア大学アーバイン校では、現在はEPICと異なるシステムを使っていますが、評判が悪いため、来年EPICに移行します。乱立していたEMRの会社も徐々に淘汰され、数社に絞られてきているようです。また、同じEMRシステムを使うと、異なる病院間でも情報が共有できるといったサービスもあります。以前いたオハイオ州のシンシナティーという町にはEPIC everywhereというシステムがあり、EPICを使っているシンシナティー市内すべての病院の情報が共有されていました。ほかの病院の情報に簡単にアクセスできると、無駄な検査を減らすことができます。EMRは、入院時に必要なオーダーを入れないとオーダーを完了できないシステムになっています。例えば、深部静脈血栓症(DVT)予防は、入院時に必須のオーダーセットに入っているため、オーダーせずに患者を入院させようとすると、ブロックサインが現れ、入院させることが難しくなっています。このようなシステムは日本の電子カルテにもあると思います。また、代表的なEMRのシステムには、ガイドラインに準じたクリニカルパスが組み込まれています。 主なものとしては、敗血症ショックセット、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)セット、急性冠動脈症候群(ACS)セットなどが挙げられます。例えばACSで入院すると、ヘパリン、アスピリン、クロピドグレル、スタチン、β遮断薬をクリック1つで選択するだけですから、確かに処方し忘れなどは減ります。オーダーセットは非常に楽ですし、DKAなどは勝手に治療が進んでいき、うまくいけば入院時のワンオーダーで、ほぼ退院まで辿り着けるかもしれません。しかしながら、一方で医者が状況に応じて考えなければいけないことが減り、時には危険なことも起こります。患者の状態は、1人ずつ異なりますから、tailor madeな治療が必要になります。実際、DKAで入院した患者がDKAオーダーセットによる多量の生理食塩水で心不全を起こすというようなことは、何度も見てきました。このほか、EMRで問題となっているのは、いわゆる“copy and paste”です。デフォルトのカルテでは、正常の身体所見が自動的に表示されます。注意を怠ると、重度の弁膜症患者にもかかわらず「雑音がない」とか、心房細動なのに脈拍が“regular”などといった不適切な記載となります。実際に、このようなことはしょっちゅう見受けられます。他人のカルテをコピーすることも日常茶飯事なので、4日前に投与が終わったはずの抗生剤が、カルテの記載でいつまでも続いているということもあります。Medscapeの調査でも66%の医者が“copy and paste”を日常的に(時々から常に)使用しているとのことでした。外来でのEMRは、Review of System、服薬の情報、予防接種(インフルエンザ、肺炎球菌)、スクリーニング(大腸ファイバーなど)などをすべて入力しなければ、カルテを終了(診察を終了)できなくなっています。こうした項目を入力しないと医療点数(診療費)に関わってくるからです。その結果、EMRに追われてしまい、患者を見ないでひたすらコンピューターの画面を見て診療しているような状況に陥りがちです。こうなると、自分がEMRを操作しているのか、EMRに操作されているのかわからなくなります。いろいろな問題がありますが、EMRは日々進歩している印象があります。使い勝手は良いのですが、最終的には医者自身が頭を使わければ患者に不利益が被ることもあるため、注意が必要です。

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米の多摂取による糖尿病リスク、緑茶が抑える可能性

 最近の観察研究では、白米摂取と糖尿病リスクの間に正の相関関係が、また、緑茶・コーヒー摂取と糖尿病リスクの間に保護的な関連が示唆されている。しかし、これらの飲食物の相互作用は検討されていない。今回、九州大学の平田 明恵氏らが実施したわが国の高齢者における前向き研究において、米の摂取量と糖尿病リスクの正相関は女性でのみ認められ、その相関は緑茶を多く摂取することで抑制される可能性が報告された。Asia Pacific journal of clinical nutrition誌2017年5月号に掲載。 本研究のベースライン調査(2004~07年)に参加した日本人の男女のうち、1万1,717人(91%)が追跡調査(2010~12年)に応じた。多重ロジスティック回帰分析を用いて、穀物食品(米、パン、麺など)、緑茶、コーヒーのそれぞれで摂取量別の糖尿病発症のオッズ比を算出し、さらに米摂取による糖尿病リスクの増加が緑茶とコーヒーの摂取でどう変化するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。・糖尿病の新規発症が464例で確認された。・女性のみ、米の摂取量と糖尿病発症の間に正相関が示され(傾向のp=0.008)、緑茶の摂取量と糖尿病発症の間に逆相関を示した(傾向のp=0.02)。・コーヒーは男女共に糖尿病発症との関連が認められなかった。・緑茶摂取量による層別解析で、緑茶を1日7杯以上摂取する女性では、米の摂取量と糖尿病発症の関連が消失した(相互作用のp=0.08)。

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糖尿病患者の大腸がんリスク、55歳未満でより高い

 2型糖尿病(DM)患者の大腸がんリスクについて、オランダ・マーストリヒト大学のSander de Kort氏らが、DMの診断年齢に注目して検討したところ、大腸がんリスクの増加は、DMの診断年齢により変化し、55歳未満で診断された男性でリスクがより高いことが示された。Scientific reports誌2017年4月24日号に掲載。 本研究は、Eindhoven Cancer RegistryとリンクしたPHARMO Database Networkの薬局データ(1998~2010年)を用いた。多変量時間依存性Cox回帰分析を用いて、2型DMでない人と比べた2型DM患者の大腸がん発症のハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・259万9,925人年の追跡期間中、大腸がんは、DM患者4万1,716例(平均64.0歳、男性48%)のうち394例、また非DM患者32万5,054例(平均51.2歳、男性46%)のうち1,939例に確認された。・男女共にDMが大腸がんリスクの増加に関連し(HR:1.3、95%CI:1.2~1.5)、とくに2型DMの診断後6ヵ月間、また近位結腸において増加が著しかった。このリスクは55歳未満の男性でより高かった(HR:2.0、95%CI:1.0~3.8)。

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1次予防のスタチン対象、ガイドラインによる差を比較/JAMA

 スタチンによる動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の1次予防が推奨される患者は、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)ガイドライン2013年版よりも、米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)の2016年版勧告を順守するほうが少なくなることが、米国・デューク大学のNeha J. Pagidipati氏らの検討で示された。ACC/AHAガイドラインで対象だが、USPSTF勧告では対象外となる集団の約半数は、比較的若年で高度の心血管疾患(CVD)リスクが長期に及ぶ者であることもわかった。研究の成果は、JAMA誌2017年4月18日号に掲載された。1次予防におけるスタチンの使用は、ガイドラインによって大きな差があることが知られている。USPSTFによる2016年の新勧告は、1つ以上のCVDリスク因子を有し、10年間CVDリスク≧10%の患者へのスタチンの使用を重視している。年齢40~75歳の3,416例で2つの適格基準を比較 研究グループは、米国の成人におけるASCVDの1次予防でのスタチン治療の適格基準に関して、USPSTFの2016年勧告とACC/AHAの2013年ガイドラインの比較を行った(デューク臨床研究所の助成による)。 2009~14年の米国国民健康栄養調査(NHANES)から、年齢40~75歳、総コレステロール(TC)値、LDL-C値、HDL-C値、収縮期血圧値のデータが入手可能で、トリグリセライド値≦400mg/dL、CVD(症候性の冠動脈疾患または虚血性脳卒中)の既往歴のない3,416例のデータを収集し、解析を行った。USPSTF勧告で15.8%、ACC/AHAガイドラインで24.3%増加 対象の年齢中央値は53歳(IQR:46~61)、53%が女性であった。21.5%(747例)が脂質低下薬の投与を受けていた。 USPSTF勧告を完全に当てはめると、スタチン治療を受ける集団が15.8%(95%信頼区間[CI]:14.0~17.5)増加した。これに対し、ACC/AHAガイドラインを完全に適用すると、スタチン治療の対象者は24.3%(22.3~26.3)増加した。 8.9%(95%CI:7.7~10.2)が、ACC/AHAガイドラインではスタチン治療が推奨されるが、USPSTF勧告では推奨されなかった。このうち55%が年齢40~59歳であった。この集団は、CVDの10年リスクの平均値は7.0%(6.5~7.5)と相対的に低かったが、30年リスクの平均値は34.6%(32.7~36.5)と高く、28%が糖尿病であった。

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高齢者における潜在性甲状腺機能低下症への対応(解説:吉岡 成人 氏)-673

潜在性甲状腺機能低下症とその頻度 血中サイロキシン(T4)あるいは遊離サイロキシン(FT4)値は基準範囲にありながら、血中TSHのみが基準値上限を超えて高値を示している場合が潜在性甲状腺機能低下症である。血清TSHが10μU/mLを超え、血清FT4が基準値を下回っている場合は顕性甲状腺機能低下症と診断される。潜在性甲状腺機能低下症の診断には血清TSHの測定が最も重要であるが、TSH値の基準値の上限は加齢に伴い変化し、40歳以上では10歳ごとに0.3μU/mL上昇すると報告されており1)、日本人においても同様の傾向が確認されている2)。 日本における潜在性甲状腺機能低下症の疫学を検討した聖路加国際病院予防医療センターの成績によれば、頻度は、健診受診者のうち4.03%(38万6,846人中1万5,540人、男性1.99%、女性2.03%)、男女とも加齢とともに頻度が増加することが報告されている3)。潜在性甲状腺機能低下症の治療 潜在性甲状腺機能低下症であることのデメリットとしては、倦怠感などの自覚症状の出現、脂質代謝への悪影響、動脈硬化の進展、心機能の低下、妊婦においては流・早産の増加、児の精神発育遅延などが挙げられる。しかし、潜在性甲状腺機能低下症を治療することに対しての十分なエビデンスは確立しておらず、一般的には、TSHが10μU/mL以上の場合に甲状腺ホルモンを補充することが多いものの、TSHが10μU/mL未満の「軽症」患者にどのように対応するかについては意見の一致をみていない。日本甲状腺学会の「Subclinical hypothyroidism潜在性甲状腺機能低下症:診断と治療の手引き」にはTSHが10μU/mLを持続して超える場合に補充を行うとしながらも、甲状腺ホルモンを補充することの有用性と危険性を勘案し、個々の患者の状況を総合的に判断して補充の適応を考慮すべきとしている4)。一般に、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体が陽性の場合には顕性甲状腺機能低下症に移行しやすいことが知られており、慢性甲状腺炎などの疾患が背景に隠れていないかどうかを判定することも重要である。また、甲状腺ホルモンを補充することの有害性としては、潜在性冠不全の顕性化、心房細動の誘発、骨粗鬆症の進行などが挙げられ、80歳以上の高齢者では慎重に治療の適否を判定すべきである。高齢潜在性甲状腺機能低下症患者への対応 NEJM誌オンライン版2017年4月3日号に65歳以上の高齢潜在性甲状腺機能低下患者を対象として甲状腺ホルモンを投与することの有用性を検討した無作為二重盲検プラセボ対照試験の結果が掲載されている5)。737名(女性396名)、平均年齢74.4歳の潜在性甲状腺機能低下症患者に甲状腺ホルモンを投与しても、甲状腺機能低下症の症状や甲状腺関連QOLに関した質問票の疲労感のスコアには差を認めないという結論が示されている。甲状腺ホルモンを補充することの有害事象である、心房細動や心不全、骨粗鬆症の出現についても差はなかったという。甲状腺自己抗体の測定は実施しておらず、慢性甲状腺炎患者の頻度などは勘案されていない。この臨床試験の結果を日常診療の現場に即座に置き換えることの有用性についてはさらなる検証が必要である。とはいえ、顕性の甲状腺機能低下症患者はもちろん治療の対象となるが、TSHの異常のみを指摘された潜在性甲状腺機能低下症の高齢者に対しては、慌てることなく、十分な経過観察を行い、甲状腺ホルモンの補充の必要性についても慎重に考えてよいといえる。参考文献1)Boucai L, et al. Thyroid. 2011; 21: 5-11.2)Yoshihara A, et al. Thyroid. 2011; 58: 585-588.3)武田京子.日本甲状腺学会誌.2015;6:95-98.4)網野信行ほか.ホルモンと臨床.2008;56:705-724.5)Stott DJ, et al. N Engl J Med. 2017 Apr 3. [Epub ahead of print]

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1型DMの網膜症スクリーニング、適切な実施頻度は?/NEJM

 1型糖尿病患者への網膜症スクリーニングについて、当初の網膜症の程度と平均糖化ヘモグロビン値を鑑みることで、適切な実施頻度が明らかになった。現在、同患者には毎年の広角眼底検査が推奨されているが、それに比べて検診の頻度は約6割少なく済み、コスト削減にもつながるという。「糖尿病のコントロールと合併症に関する試験」(DCCT試験)とその長期追跡試験「糖尿病への介入と合併症に関する疫学試験」(EDIC試験)に参加した米国・マサチューセッツ総合病院のDavid M Nathan氏らDCCT/EDIC研究グループが、両試験結果に基づくモデルを検証した結果で、NEJM誌2017年4月20日号で発表した。Markovモデルで増殖糖尿病網膜症などへの進行リスクを予測 研究グループは、DCCT/EDIC試験参加者の眼底写真を用いることで、理に適った網膜症スクリーニングの頻度を明らかにする検討を行った。DCCT/EDIC試験では、30年にわたり、1型糖尿病患者を対象とした糖尿病網膜症スクリーニングの眼底写真撮影を6ヵ月~4年間隔で実施した。 その結果から、当初の網膜症の程度(網膜症なし、非増殖網膜症[軽症・中等症・重症])によって患者を分類。増殖糖尿病網膜症または臨床的に重要な黄斑浮腫に進行する確率を、Markovモデルを用いて確定した。同モデルには、網膜症の進行に関連する既知のリスク因子を盛り込んだ。眼検診頻度は58%減少、大幅コスト削減に 全体として、増殖糖尿病網膜症または臨床的に重要な黄斑浮腫に進行する確率は、「網膜症なし・4年間隔」「軽症・3年間隔」「中等症・6ヵ月間隔」「重症・3ヵ月間隔」の患者モデル(当初の程度とスクリーニングを受けた間隔)では、いずれも約5%にとどまった。 しかし、より詳細な患者特性を反映したモデルで、増殖糖尿病網膜症または臨床的に重要な黄斑浮腫に進行するリスクが、平均糖化ヘモグロビン値と密接に関連していることが明らかになった。具体的には、「網膜症なし・糖化ヘモグロビン値6%」の患者の進行リスクは5年間で1.0%だったが、「網膜症なし・糖化ヘモグロビン値10%」の患者では3年間で4.3%だった。 研究グループは、「エビデンスに基づく実用的な計画によって、眼検診の頻度はルーチンの毎年の検査と比較して、20年間で58%低下し、大幅なコスト削減につながった」と述べている。

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