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第38回 高電位(差)の基準、いくつ知ってる?(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第38回:高電位(差)の基準、いくつ知ってる?(後編)「高電位(差)…」のタイトルにも関わらず、前回はQRS波の「高さ」よりも「向き」(電気軸)に注目した内容になってしまいました(笑)。前回と同じ症例を用いて、いよいよ“高すぎる”QRS波の考え方について解説します。謎の言葉“ライオン“や“エステ”などが登場しますが、読み進めると真相が明らかになるでしょう。では、さっそくDr.ヒロのレクチャーにご注目あれ!症例提示35歳、男性。腎移植後の急性拒絶反応のため、血液透析を再導入。その後、10年以上維持透析中。特別な自覚症状はなし。血圧150/90mmHg、脈拍82/分。Hb:11.9g/dL、BUN:67mg/dL、Cre:14.2mg/dL、K:4.8mEq/L。定期検査として施行された心電図を示す(図1)。(図1)定期検査の心電図[再掲]画像を拡大する【問題1】代表的な左室高電位の診断基準を念頭に置き、心電図(図1)がそれらに該当するか考察せよ。解答はこちら該当しない解説はこちら今回も前回と同じ、若年ながら維持透析がなされている男性の心電図を扱います。タイトル通り、今回のメインテーマは「QRS波高」について考えること。Dr.ヒロの系統的判読の語呂合わせでは、“クルッと”の“ル”で、R波“スパイク・チェック”の部分に該当します。「向き」「高さ」そして「幅」の3つを確認しましょう。「高さ」では、“高すぎる”と“低すぎる”の条件に該当しないかを確認するのが主なプロセスです。今回の例では“低すぎる”のほうは一見して考えにくく(細かな数値ではなく“常識”としてわかるセンスが欲しい)、主に“高すぎる”かどうかについて焦点を当てて見ていくことにします。“答えなき質問で負けん気に火がつく”心電図でQRS波高が“高すぎる”、すなわち「(左室)高電位」(increased QRS voltage)と診断するための基準ですが、果たして皆さんはいくつ言えるでしょうか? 2個?3個?それとも5個ですか? 基準に登場する細かな数値を必死で覚えようとするあまり、心電図が嫌いになるようでは本末転倒なので、最終的にはボク流のオススメな考え方に着地して安心してもらうつもりです。前フリとして、少ーしだけ昔話を。10年ほど前のことですが、今でも昨日のことのように思い出されるエピソードがあります。当時、ボクはピチピチ!?の大学院生でした。循環器レジデントも終え、臨床にもある程度手応えを感じ、心電図に関しても以前のような“劣等生”ではなくなっていた頃です。病棟だったか研究室だったかは忘れましたが、心電図や不整脈に詳しいX先生から試問を受けました。【X先生】「高電位の診断基準は? 10個は言えるわな。」【Dr.ヒロ】「えっ?10個ですか! V1のS波とV5のR波を足して35mmとか、V5かV6でしたっけ、20…いくつでしたかね…」【X先生】「V5が26mm、V6は20mmな*1。そいでほかは?」【Dr.ヒロ】「え? まだあるんですか…」【X先生】「あるよ。何言ってんのよ。肢誘導とかもあるだろ。先生は心電図のごくごく表面しか知らないな。あのなぁ、本当のプロになりたかったらな、こんなん10個は空で言えないと失格なんだよ!」そう言って、正解は教えないままその先生はボクの元を去りました。*1:今回紹介する基準とは若干違います。欧米の文献と日本人の違いなどもあるのでしょうか。前置きが長くなりましたが、こんな経緯があったためか、「高電位(差)」という言葉を聞くと、今でも無性にチャレンジスピリットが湧いてくるんです! ですから、今回のレクチャーはいつも以上に熱いです(笑)。早速はじめましょう。次のリスト(図2)を見てください。(図2)こんなに覚えられない!…「左室肥大」の診断基準画像を拡大するボクが事あるごとに参照しているガイドライン的文献1)からの引用です。タイトルは「左室肥大の診断基準」ですが、その大半が「左室高電位」の条件で占められていることがわかるでしょう。はじめに言っておきますが、これを必死で覚える必要はありません(誰も本気でしようと思わないでしょうが)。当然、項目一つ一つを解説することも、皆さんに覚えてもらうこともボクの本意ではありません。なので、この中の“定番商品”に値する有名な3つの診断基準パッケージから紹介していきます。“最も有名な『そこのライオン』基準”まずは“そこのライオン”から。「また!何言ってんの、この人?」って思った方、英字を見てください。ね、“そこの(Sokolow)ライオン(Lyon)でしょ(笑)。■Sokolow-Lyon基準2)■ “そこのライオン”(1)SV1+RV5(or V6) ≧ 35mm(2)RaVL ≧ 11mmこの基準は有名です。(1)は先ほどの会話にも登場していましたが、ボクが最初に覚えたもので、この和を「Sokolow-Lyon(S-L) index」と呼びます。『V1のS波(深さ)とV5のR波(高さ)を足して35mmね。心電図ってそうやって読むのか。なんか高尚だなぁ』、そんな風に感じた記憶があります。実際はV5でもV6でもいい(大きいほうを採用)のですが、V5が用いられることが多いかもしれません。このような“◯+△”型のクライテリアは、もとは「RI+SIII」2)に始まり、一般的に「左室パターン」(第17回)のQRS波形を呈する“イチエル・ゴロク”(I、aVL、V5、V6)のどれかと“その反対側”から構成されると考えると理解しやすいです。肢誘導界の円座標を頭に思い描けば、IIIは“Iの反対側”ですし、胸部誘導ではV5・V6の反対側と言ったらV1ですよね。この“反対側”では、左室のど真ん前に位置する”イチエル・ゴロク”(側壁誘導)でR波として表現される左室成分がS波として反映されているのだと考えれば良いのです。心電図(図1)で見てみましょう。「SV1」、「RV5」、そしてS-L indexが「R+S:3.88mV」と表示されています。これがそうです。「3.88mV」を長さに直せば「38.8mm」となるので、このSokolow-Lyon基準では「左室高電位」に該当します。“そこのライオンで気をつけること“Sokolow-Lyon基準の原典3)はなんと、70年前の論文です。それが今もなお生き続けていることは称賛すべきですが、S-L indexに関しては、いくつか問題点が指摘されています。何と言っても、対象の「年齢」や「性別」が考慮されていないという点です。25歳の男性も80歳の女性も同じ35mm(3.5mV)で判定するのです。冷静に考えると、これってオカシイですよね。健診の心電図や心エコーでの計測値だって、年齢・性別に応じた基準値が設けられています。今回の症例は若年ながら病気を有していますが、同年代の大半の男性はそうではなく、健康だと思います。「RV5(or RV6)」は左室の“パワー”(起電力)を反映するものですから、本人も心臓も元気みなぎる若年男性では、ピンッと立ったスパイクとなり、高率に基準(1)を満たしてしまうことが知られています。左室高電位は左室肥大の条件の一つです。その病的意義を考えると、若くて健康な男性に「左室肥大(疑い)」を頻発させてしまうこの基準は、あまり現実にそぐわないのかもしれません。同様なことが男女問わずアスリート(競技者)にも言われています*2。*2:普段、日本で診療しているとあまり意識されないかもしれませんが、「人種」も考慮すべき一因です。それを解決する一つの方法として、若い男性についてはカットオフを35mmではなく「50mm」にしたほうがいいという声があります4)。国内の心電計メーカーでも同様な点を踏まえて、年齢・性別に応じた高電位差の基準として、20~30歳前後の男性では50mm前後を自動診断の閾値として採用しているところがあるようです。ですから、今回の心電図(図1)では、左室高電位の基準に満たないというのがボクの見解になります。では、一方の(2)「RaVL≧11mV」ではどうでしょうか? 前回のレクチャーで述べましたが、今回のように「左脚前枝ブロック」(LAFB)の心電図では、「肢誘導が“縦に伸びる”」ことに注意する必要があるのでした。つまり、肢誘導のQRS波高が本来よりも“かさ増し”されている場合があるのです。そのため、IやaVLを含む高電位基準はそのままでは使えない可能性が高いです。そこで、LAFBでは、胸部誘導を用いるほう方がいいという意見5)はもっともかもしれません(あまり浸透していませんが)。もう一つは、“そこのライオン”基準をmodifyするやり方で、“2割増し”の「13mm」をカットオフにする考え方1)。ボク自身はこれがお気に入りです。今回の心電図では、RaVLは「11mm基準」にも該当しませんが、この点は知っておくと“物知り”だと思われること確実です。若かりし頃のボクは、基準(2)を覚えたのが嬉しくて、LAFBなのに「11mm」基準のまま“フェイク”の「左室高電位」を乱発していた日々が恥ずかしく思い出されます*3。読者の皆さんもご注意あれ。*3:投稿した論文でreviewerに指摘された記憶も…(笑)“こなれた男女は意外とふくよか?”2つ目のユニークな基準は、“こなれた男女、サイズは3L”です。正式にはCornell基準ですが、ここでもボク流を受容する大きな心を持ってくださいね(笑)。ニューヨークからの報告ですから、なんかオシャレ、いや~こなれてマス。■Cornell基準6)■ “こなれた男女、サイズは3L”(i)SV3+RaVL > 28mm(男性)(ii)SV3+RaVL > 20mm(女性)“男女”は性別ごとに基準が違いますよ、ということ。今回取り上げる中で唯一「性差」が考慮されている点は評価できるのですが、実際には驚くぐらい浸透していません(ボクもよく忘れます)。この基準を涼しい顔で言える人はタダモノではないはず! なお、女性に関しては「+2mm」して「22mm」のほうがいいという議論もあり、なおややこしいことになっています7)。(図1)の男性では、「SV3=17mm」、「RaVL=9mm」なので、一応セーフでしょうか。ちなみに、“サイズは3L”は「SV3+RaVL」を思い出しやすくするためにつけています。ただ、V3誘導がaVL誘導の“反対側”とはイメージしにくいため、個人的にはこうもしないと覚えられません…。“浪費エステはポイント制“紹介する3つ目はRomhiltとEstesの二氏らによる診断基準です。ボク流に言うと“浪費エステはポイント制”です。だんだん無理くり感が…。■Romhilt-Estesスコア8)■ “浪費エステ”(A)肢誘導:R波(or S波)≧ 20mm(B)SV1(or V2) ≧ 30mm(C)RV5(or V6) ≧ 30mmこの“浪費エステ”は「左室肥大」を診断するために開発されたスコアリングシステム(それが“ポイント制”とした意味です)で、そこからQRS波高に関連する部分を抜き出しています(残りの条件に関しては、次回述べる予定)。(A)~(C)いずれか一つを満たすときに「3点」とします*3。これまでと少し数値が異なる点がややこしいでしょうか。でも、これが一つの“完成品”なので文句は言えません。*3:最高13点。4点以上で「probable/likely」、5点以上で「definite/present/certainly」とされる。今回の心電図は(A)~(C)のいずれも該当しません。“最近の心電計と現実的な対応”さて、ここまでの話、いかがですか? 『とっても覚えられないよ(泣)』なんて方も少なくないと予想します。それでも、“そこのライオン”と“こなれた男女”そして“浪費エステ”の3つの診断基準で7個…。前述のX先生の要望には及びません。ただ、これだけでも多くの人にとって、長期間正しく暗記できるレベルを越えていると思います。やはり“記憶”に関してはコンピュータに任せましょう(Dr.ヒロでいう“カンニング法”)。最近の心電計の波形認識・診断システムには、たくさんの左室高電位基準が網羅されており、心電計が「高電位」と言ったら素直にそうなのかと認める姿勢も悪くないとボクは思います。心電図(図1)でも、「高電位(左室に対応する誘導)V1、V5」と表記されていますね。これは普段から最後に自動診断にも必ず目を通すクセをつけておくことで決して忘れません。ただ、先ほど述べた年齢・性別の影響や、S-L indexだけ満たして、ほかはすべて該当しない時に、それを「高電位」と診断するかどうかの最終判断が、われわれ“人間”の仕事です。もう一つ。ボクの教科書は、原則、数値の暗記にこだわらないスタンスなので、次のやり方を紹介しておきましょう9)。この手法、“(ブイ)シゴロ密集法”とでも名付けましょうか。“シゴロ”はV4、V5、V6のことで、このR波が3つとも空をつんざくほどの勢いで直上の誘導領域まで届いているときに「左室高電位」と診断する方法です。別症例の心電図(図3)を見てください。(図3)左室高電位はブイシゴロに注目!画像を拡大する赤太枠で囲った部分にご注目あれ! この心電図は閉塞性肥大型心筋症で通院中の80歳、女性のものです。たしかに“(ブイ)シゴロ密集法”陽性で、典型的なST-T変化も伴いますので、バリッバリの「左室肥大」が疑われます。この場合、今回述べた「左室高電位」基準をほぼすべて満たしますが、これを得意のエイヤッでV4~V6誘導だけの“見た目”で診断しちゃえというのがDr.ヒロ流。こうすることで細かな数値と決別することができるんです。この感覚で、もう一度心電図(図1)を見直してみましょう。するとV6誘導がおとなしめなので、その意味でも「該当しない」と言っていいのではないでしょうか。“おわりに”以上、話し出すとキリがないのですが、2回に分けて “高すぎる”QRS波形の考え方についてお送りしました。最後の最後で一言。私たちは普段「高電位」のことを“ハイ・ボル(テージ)”(high voltage)などと呼んでしまいがちですが、ボクの調べた限りでは“和製英語”のようです(間違ってたらゴメンナサイ)。「increased QRS voltage」というのが正しいそう。知らなかった方は気を付けてくださいね。次回は、“Romhilt-Estes”(浪費エステ)のスコアを用いて「左室肥大」について考えてみましょう。では! …とまぁ、とかく“欲張り”なDr.ヒロなのでした。Take-home MessageQRS波高が“高すぎる”の診断基準はたくさんあり、可能な範囲で代表的なものをおさえておこう。数値を覚えるのが苦手なら、“(ブイ)シゴロ密集法”がオススメかも!?1):Hancock EW, et al. Circulation. 2009 Feb 19.[Epub ahead of print]2):Gubner R, et al. Arch Intern Med.1943;72:196-209.3):Sokolow M, et al. Am Heart J. 1949;37:161-186.4):Macfarlane PW, et al. Adv Exp Med Biol.2018;1065:93-106.5):Bozzi G, et al. Adv Cardiol.1976;16:495–500.6):Casale PN, et al. Circulation. 1987;75:565-572.7):Dahlöf B, et al. Hypertension.1998;32:989-997.8):Romhilt DW, et al. Estes EH Jr. Am Heart J.1968;75:752-758.9):杉山裕章. 心電図のみかた、考え方[応用編]. 中外医学社;2014.p.125-149.【古都のこと~梅宮大社】京都の梅を語りましょう。『古都のこと』でも既にいくつか紹介していますが*1、今回は右京区梅津の梅宮大社(うめのみやたいしゃ)です。松尾大社からも徒歩で行ける距離にあります。元々は山城国にあり*2、平城京を経て嵯峨天皇の皇后であった橘嘉智子により平安時代前期に現在の場所に遷座されたとのこと。御祭神として酒解神(さかとけのかみ)を本殿に祀ります。文字通り“酒造の神様”ですね*3。訪れたのは、梅産祭(うめうめまつり)が休日に重なった日でしたが、新型コロナウイルスの影響で、恒例の梅ジュース・清酒の振る舞いも中止になっていました。参拝者も少なく、どんよりとした気分が立ちこめていましたが、境内および四季折々の花が美しい回遊式庭園のある神苑には、至る所で紅白梅が元気に花を咲かせていました。桜とは異なる種類の春の訪れ。来年こそは、この感動をより多くの方々と共有したいなぁと心の底から思いました。*1:北野天満宮を筆頭に、岡崎別院、随心院でも扱った。*2:綴喜(つづき)群井出町付近とされる。橘諸兄(もろえ)の母県犬養三千代(あがたいぬかいみちよ)が橘氏の氏神として創祀したと伝わる。三千代は藤原不比等の夫人となったため、藤原氏の摂政・関白の家筋が橘氏長者も代行し、春日神社(藤原氏の氏神)同様に梅宮大社にも崇敬を捧げた。*3:他に橘嘉智子が梅宮神に祈願し皇子(仁明天皇)を授かったことから、授子安産の神徳もあるとされる。本殿横の「またげ石」を跨ぐと子を授かると伝わる。

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コロナショック in ドイツ【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第6回

突然の回診中止! 自宅待機となった同僚ドイツの辺境にあるグライフスヴァルトでは、何となく他人事だった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、3月に入りついに初感染が確認されました。「他人事」と言ってもドイツではかなり早い段階からCOVID-19関連のニュースで持ちきりでした。1月中旬には所属病院から「COVID-19患者が来院した際のマニュアル」が配布されました。2月に入る頃にはすでに連日ニュースで報道されていて、ダイヤモンド・プリンセス号の映像がドイツのテレビで流れない日はありませんでした。2月後半になりイタリアでの感染者数が急激に増え出した頃、私の身の回りでも突然ピリッとした空気が流れ始めました。ちょうど休暇明けのドイツ人の同僚と一緒に病棟の回診をしていたのですが、彼女の院内PHSに電話がかかってきて、何やら話始めました。するとどんどん彼女の顔が曇っていくのがわかりました。「何で?」「納得いかない」と言ったセリフを口にしたかと思うと、険しい顔をして突然回診を中止し、病棟から出て行きました。私は、唖然として見送ったのですが…しばらくすると教授がやってきて、「彼女は先週イタリアに旅行してたんだ。だから今後2週間の自宅待機となった」と言われました。COVID-19問題がいきなり身近な所までやってきたことにビックリしました。帰りたいけど帰れない遠い日本ドイツでは当初、日常生活で目立った混乱は感じていなかったのですが、3月に入ってから写真のようにトイレットペーパーがスーパーから消える事態が発生しました。「うーん、どこの国もいざってときに取る行動は同じなのか…」また、さまざまなイベントの中止や、感染が確認された地域で学校が休校になるなど、2週間ほど遅れて日本の対応を追いかけているような印象です。3月中旬に2週間の休暇を取って日本へ一時帰国の準備をしていたのですが、教授から「下手したらドイツへの入国制限がかかる可能性もあるんじゃないか? できたらやめて欲しいんだけど…」と言われてキャンセルすることにしました。3月9日現在、ドイツでも感染者数は一気に増加して、当分は騒ぎが収まる気配がありません。私の帰国もだいぶ先のことになりそうです。

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新型コロナ肺炎、その他の肺炎と比較した臨床的特徴

 新型コロナ(2019-nCoV)肺炎とその他の肺炎の臨床的特徴に関する比較研究が行われ、新型コロナ肺炎では肝機能障害の発生頻度が高く、またLDHおよびα-HBDHの値がマーカーとなる可能性が示唆された。中国・安徽医科大学のDahai Zhao氏らによる、Clinical Infectious Diseases誌オンライン版3月12日号掲載の報告。 2020年1月23日から2月5日まで、中国・安徽省の2病院において、19例の新型コロナ肺炎患者と15例の非新型コロナ肺炎患者が登録された。1日おきに咽頭スワブまたは喀痰検体が採取され、リアルタイムRT-PCRにより2019-nCoV感染の有無が確認された。非新型コロナ肺炎患者については、入院後7日間での3回の連続的なリアルタイムRT-PCRで陰性だった場合に、確定された。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者に、COVID-19の確定症例への暴露歴あるいは、発症前の湖北省への旅行歴があった。・平均年齢は、新型コロナ肺炎患者が48歳(IQR:27~56)、非新型コロナ肺炎患者が35歳(IQR:27~46)であった。・慢性疾患の併存歴は、新型コロナ肺炎患者が3例(15.79%)、非新型コロナ肺炎患者が3例(20%)。血清検査の結果、新型コロナ肺炎患者でコクサッキーウイルスおよびマイコプラズマ陽性が1例ずつ、非新型コロナ肺炎患者でマイコプラズマ陽性が2例確認された。・発症までの期間中央値は、新型コロナ肺炎患者で8日(IQR:6~11)、非新型コロナ肺炎患者で5日(IQR:4~11)であった。・いずれの場合も臨床症状は類似しており、ともに多くみられたのは発熱(新型コロナ肺炎:78.95% vs.非新型コロナ肺炎:93.33%)、咳(47.37% vs.80%)であった。・CT所見について、入院時両側性病変を有していたのは新型コロナ肺炎患者で15例(78.95%)、非新型コロナ肺炎患者では4例(26.7%)であった。多発性病変およびすりガラス影がみられたのは、新型コロナ肺炎患者で17例(89.47%)、非新型コロナ肺炎患者では1例(6.67%)のみであった。・臨床検査結果について、新型コロナ肺炎患者では、非新型コロナ肺炎患者と比較してAST(>40U/L;27.78% vs.0%、p=0.03)、ALT(>50U/L;27.78% vs.0%、p=0.03)、γ-GT(>45 U/L;44.44% vs.0%、p=0.004)、LDH(>250U/L;31.58% vs.0%、p=0.02)、α-HBDH(>182U/L;75% vs.20%、p=0.01)の異常な増加がみられた。・新型コロナ肺炎患者はロピナビルとリトナビル、対症療法により治療され、非新型コロナ肺炎患者は抗生物質(モキシフロキサシン)と対症療法により治療された。2020年2月14日までに、ICU入室が必要とされた患者はいなかった。 著者らは、本研究の限界としてサンプルサイズの小ささと、症例が軽症患者に限られる点を挙げた上で、CT検査がスクリーニングの一助になる可能性と、新型コロナ肺炎患者では肝機能関連マーカー(ALT、ASTおよびγ-GT)とLDH、α-HBDHの異常値がみられる頻度が高く、肝障害や他の臓器障害を引き起こす可能性があると指摘している。

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動脈硬化リスクの早期発見、見過ごしがちな値とは/日本動脈硬化学会

 動脈硬化と悪玉コレステロール増加の結びつきをよく知っている患者でも、TG(トリグリセライド、中性脂肪)値の増加は肥満者だけのものと捉えてはいないだろうかー。2020年2月21日、日本動脈硬化学会はプレスセミナー「食後高脂血症と動脈硬化」を開催。増田 大作氏(りんくうウェルネスケア研究センター センター長)が「食後高脂血症」について、矢作 直也氏(筑波大学医学医療系 准教授)が「糖尿病と動脈硬化」について講演した。TG値の増加をリポ蛋白で知る 動脈硬化に影響を及ぼす脂質の値は、健康診断を受ける人にとって気になる項目だ。増田氏によると「企業健診受診者の3分の1になんらかの脂質異常症が存在している」という。この脂質異常症の有無が動脈硬化リスクの判定材料となるわけだが、近年はコレステロール値だけではなくTG値の上昇が心血管疾患の増加因子として問題視されている。実際、将来の冠動脈疾患や脳梗塞発症の死亡予測に重要なことが、日本動脈硬化学会が発表した2017年版動脈硬化性疾患予防ガイドライン1)にも記されている。 TG値は、通常食後3時間程でピークとなり、徐々に低下して6~8時間で空腹時の値へ戻る。しかし、冠動脈疾患患者や糖尿病患者などでは、食後TG値の上昇が緩やかに続きピークが後ろ倒しとなり、8時間経過してもまだ高いことから、空腹時のTG値上昇につながる。この非空腹時(食後)TGが高値な病態は“食後高脂血症”と呼ばれ、動脈硬化を惹起するリポ蛋白の増加にもつながる。これを踏まえ同氏は「食後TG値が高くなるのは、食後にTGの多いレムナントリポ蛋白(とくに小腸からのカイロミクロンレムナント)が残っている証拠」と、話した。また、空腹時のみならず食後TG値にも心血管疾患イベントリスクとの相関が存在し、「空腹時TG値がほぼ正常でも非空腹時TG値が高い人は、レムナントリポ蛋白が蓄積している」と述べた。 次に同氏は動脈硬化リスク評価に有力なレムナントリポ蛋白の測定方法として、1)non-HDL-C、2)レムナントコレステロール3)アポB-48濃度測定の3つを挙げた。同氏はこれらの測定法について、「Non-HDLコレステロール測定はもっとも簡易的な反面、LDLコレステロールの上昇も反映するのでレムナント単独の変動がわかりにくい。レムナントコレステロール測定(RemL-C法など)は直接的定量的な評価が可能だが3ヵ月に1回しか算定ができないなどのデメリットがあり、対象者や測定タイミングに悩む医師が多い。アポB-48濃度測定は空腹時のカイロミクロンレムナントを測定するので、食生活や食材の影響を評価できる可能性があるが、まだ保険収載されていない」とそれぞれの長短について説明した。 最後に食後高脂血症を防ぐ方法として「薬物治療も重要だが、まずはThe Japan Dietのような動脈硬化を抑える食事の導入や定期的な運動が極めて重要」とコメントした。脂質異常症治療は糖尿病患者の血管に恩恵与える 糖尿病は動脈硬化性疾患の重要な危険因子であり、前述のガイドライン1)で動脈硬化性疾患の高リスクに分類されている。さらに、糖尿病患者では発症早期から血糖値のみならず脂質値、血圧値の厳格な管理を包括的に行う必要がある、とも記載されている。これらを踏まえ、矢作氏は糖尿病と動脈硬化の関係について解説した。 代表的な脂質異常症治療薬であるスタチン系薬剤では投与後早期に糖尿病に伴う心血管イベントの抑制が報告されている。一方で、インスリンを含む血糖降下薬の場合、投薬期間が5~10年程度では大血管障害に対する治療効果は乏しい。これについて同氏は「血糖降下薬の場合は、10年以上の長期経過の中でlegacy effectがみられる」と指摘した。 このような糖尿病治療の現況を前提として、同氏は指先検査を活用した糖尿病疑い症例の早期発見に努めている。東京都足立区と徳島県で、2010年10月~2017年9月に総計4,865名(希望者;ただし糖尿病治療中の人は対象外)に対して薬局での指先HbA1c検査(検体測定室)を導入したところ、糖尿病予備群疑い:701名、糖尿病疑い:515名を発見した。同氏はこの検体測定室での検査実績や既知のエビデンスを通し、「糖尿病患者の動脈硬化リスクは耐糖能異常などの前糖尿病状態から既に上昇していることが示されている。動脈硬化を予防するためには、前糖尿病の段階から早期発見、早期介入が必要である」と、締めくくった。

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小細胞肺がんの1次治療、アテゾリズマブ+化学療法の患者評価(IMpower133)/Ann Oncol

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)へのカルボプラチン+エトポシド(CP/ET)+抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用の1次治療に関する「IMpower133試験」の安全性および患者報告アウトカムの評価結果が、米国・メイヨー・クリニックのA.S. Mansfield氏らにより示された。アテゾリズマブ+CP/ETレジメンはプラセボ+CP/ETと安全性プロファイルが同様であり、患者報告の健康関連QOL(HRQoL)に重大な影響は与えないことが示された。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、ES-SCLC 1次治療としてのアテゾリズマブ+CP/ETのベネフィット・リスクプロファイルを明確に示すもので、同レジメンを新たな標準治療として支持することをさらに裏付けるものであった」とまとめている。Annals of Oncology誌2020年2月号掲載の報告。  IMpower133試験において患者は、CP/ETに加えてアテゾリズマブまたはプラセボの21日/サイクルを4サイクル受け(導入期)、その後アテゾリズマブまたはプラセボを、病勢進行またはベネフィットがなくなるまで投与された(維持期)。有害事象(AE)の評価と、治療期間中3週間ごとにEuropean Organisation for the Research and Treatment of Cancer(EORTC)の生活の質に関する質問票(Core 30[QLQ-C30]とQLQ-LC13)を用いた評価が行われた。  主な結果は以下のとおり。 ・全AEおよびGrade3~4のAE、重篤なAEの発現頻度は、両フェーズ(導入期、維持期)ともに、アテゾリズマブ群とプラセボ群で同程度であった。・免疫関連AEの発現頻度は、両フェーズともにアテゾリズマブ群でより高率であった。導入期は28% vs.17%、維持期は26% vs.15%であった。・免疫関連AEで最も発現頻度が高かったのは、発疹(導入期:11% vs.9%、維持期:14% vs.4%)、甲状腺機能低下症(4.0% vs.0%、10% vs.1%)であった。・生活の質低下に関連した患者報告に基づく治療関連症状の変化は、導入期では概して同程度であり、変化のほとんどは維持期で認められた。・患者報告に基づく機能およびHRQoLは、治療開始後に両群で改善したが、アテゾリズマブ群ではHRQoLの改善がより顕著かつ持続的に認められた。

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冠動脈疾患における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインを公開/日本循環器学会

 日本循環器学会は2020年3月13日、「2020年JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」を学会ホームページに公開した。本ガイドラインは、2019年に発表された「急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)」と「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」の2つのガイドラインの抗血栓療法に関して、発表後に多くの重要なエビデンスや新たな概念が発表されたことから、この内容にのみ焦点を当て作成された。ガイドラインには周術期の抗血栓療法に関する項目が新設 今回の冠動脈疾患患者における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインでは、諸外国と異なっていると言われるわが国の虚血と出血のリスクバランスを考慮し、国内の臨床試験や大規模臨床研究を数多く引用し作成された。今回のアップデートにおける特徴は以下のとおり。1)2019年4月に欧米誌に同時掲載された学術研究コンソーシアムによる高出血リスク患者についてのコンセンサスドキュメント(Academic Research Consortium for High Bleeding Risk:ARC-HBR)を治療戦略のガイドとして採用2)ARC-HBRの評価基準を基に、低体重、フレイル、心不全、透析などのリスク因子を加味した「日本版HBR評価基準」を作成3)急性冠症候群(ACS)と安定冠動脈疾患を併せて冠動脈疾患全般における抗血栓療法とし、また実臨床に即して時系列に沿って項立て4)ガイドラインの必須項目に限定した簡易なフローチャートを作成5)「周術期の抗血栓療法」に関する項目が新設 出血リスクの評価方法については、2018年改訂版のガイドラインでは、ACS、安定冠動脈疾患ともにPRECISE-DAPTスコアが採用されたが、最近、提唱された高出血リスク(HBR)の概念が、出血リスクが高いと言われる東アジアでより実践的と考えられることから、本ガイドラインではHBRの概念が基本戦略として採用された。 今回の冠動脈疾患患者における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインでは他にも、Loadingのタイミングや薬剤選択が明記され、また、HBRをガイドにした抗血栓薬の投薬期間を定められた(短期DAPT後はP2Y12阻害薬単剤を推奨)。さらに、心房細動後のde-escalationについてはエビデンスに基づくものになっている。

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統合失調症患者に対するアリピプラゾール持続性注射剤の投与経路変更の受け入れ調査

 統合失調症患者の服薬アドヒアランスを改善するために、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が使用される。しかし、日本ではまだ一般的ではない。現在、アリピプラゾールLAIの投与は、臀部筋肉内に加え三角筋内への投与が可能となっている。名城大学の亀井 浩行氏らは、アリピプラゾールLAIの投与経路を臀部から三角筋へ変更することによる、患者の受け入れ状況について調査を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。 対象は、アリピプラゾールLAIの臀部筋肉内投与を6ヵ月以上行った統合失調症外来患者32例。三角筋内への投与に切り替えた3ヵ月後に、痛みや恥ずかしさの変化について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・投与経路の切り替えは、32例中17例が選択した。・3ヵ月後、9例が満足のいく評価をし、三角筋内への投与を継続していた。・三角筋内投与へ切り替える際の主な理由は、臀部筋肉内投与に関連する注射部の痛みと恥ずかしさであった。・三角筋から臀部筋肉内投与へ戻す際の主な理由は、三角筋内投与で経験する痛みであった。 著者らは「注射部位を選択できることは、アリピプラゾールLAI使用の普及につながるであろう」としている。

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AIDS関連カポジ肉腫、有病率が高い地域での最適治療は?/Lancet

 資源が限られた地域における進行性AIDS関連カポジ肉腫に対する最適な治療戦略は「パクリタキセル+抗レトロウイルス療法(ART)」であることが、米国・AIDS Malignancy ConsortiumのSusan E. Krown氏らによる無作為化非盲検非劣性試験の結果、示された。非劣性の証明は事前に設定したマージンではできなかったが、「経口エトポシド+ART」および「ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART」の両治療に対して優越性が示されたという。AIDS関連カポジ肉腫は、HIV患者の頻度の高い併存疾患および死亡の原因であるが、疾患頻度が最も高い低所得および中所得国では最適な治療レジメンについて系統的な評価がされていなかった。Lancet誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告。ブラジル、ケニアなど6ヵ国で3群を比較する無作為化非盲検非劣性試験を実施 研究グループは、AIDS臨床試験グループ(AIDS Clinical Trials Group)に参加しているブラジル、ケニア、マラウイ、南アフリカ共和国、ウガンダおよびジンバブエの11施設において、進行期AIDS関連カポジ肉腫を有するHIV患者を登録し、適格患者をART(エファビレンツ+テノホビル+エムトリシタビン併用)に加えて、ブレオマイシン+ビンクリスチン静脈投与、またはエトポシド経口投与を受ける治療群(介入群)、またはパクリタキセル静脈投与を受ける治療群(対照群)のいずれかに1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は48週時での無増悪生存期間(PFS)で、対照群と介入群を比較する非劣性マージンは15%とした。安全性は、治療を受けた全例で評価した。非劣性は証明できず、安全性への懸念から試験は早期中止 2013年10月1日~2018年3月8日に334例が登録された。なお、エトポシド+ART群への登録は、劣性に関するデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告に従って2016年3月に中止され、ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART群への登録も劣性が明らかのため中止が勧告され、2018年3月8日に早期試験終了となった。 48週PFS率は、対照のパクリタキセル+ART群が、両介入群と比較して高かった。 48週PFS率の絶対差は、パクリタキセル+ART群(48週PFS率50%[95%CI:32~67]、59例)とエトポシド+ART群(20%[6~33]、59例)の比較で-30%(95%CI:-52~-8)であり、パクリタキセル+ART群(48週PFS率64%[95%CI:55~73]、138例)とブレオマイシン+ビンクリスチン+ART群(44%[35~53]、132例)との比較で-20%(95%CI:-33~-7)であった。両比較での95%CIが非劣性マージンをオーバーラップしていたため、非劣性は証明できなかった。 安全性解析(対象症例329例)における主な有害事象は、好中球減少(48例、15%)、血清アルブミン低下(33例、10%)、体重減少(29例、9%)、貧血(28例、9%)で、治療群間の発現頻度は同程度であった。

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COVID-19、ロピナビル・リトナビルで悪化例も/JAMA

 シンガポールでSARS-CoV-2感染が確認された最初の18例の臨床所見は、軽度の気道感染症が多く、一部の患者で酸素吸入を要し、抗レトロウイルス薬による治療の臨床転帰はさまざまであったという。シンガポール・国立感染症センター(NCID)のBarnaby Edward Young氏らが、同国SARS-CoV-2感染症例の最初の経験を報告した。SARS-CoV-2感染は2019年12月に中国湖北省武漢市で発生し、中国国外で持続的なヒトからヒトへの感染が世界的に広がっている。JAMA誌オンライン版2020年3月3日号掲載の報告。最初の18例の臨床経過やウイルス排出等を調査 研究グループは、2020年1月23日~2月3日にシンガポールの病院4施設において、PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された最初の連続症例18例について、記述的な症例研究を行った。最終追跡調査は2020年2月25日。 主要評価項目はSARS-CoV-2感染の確認とし、鼻咽頭スワブからのPCR cycle threshold(Ct)値、血液・尿・便からのウイルス排出などについて、臨床・検査・画像データを収集するとともに、酸素療法および集中治療の必要性、ロピナビル・リトナビルによる経験的治療の使用などの臨床経過をまとめた。ロピナビル・リトナビルで悪化する場合もあり PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された入院患者18例(年齢中央値47歳、女性9例[50%])において、上気道感染症の臨床症状を呈した患者が12例(67%)で、15例(83%)は鼻咽頭からのウイルス排出が7日以上持続していた。6例(33%)が酸素療法を必要とし、このうち2例が集中治療を必要とした。死亡例はなかった。 ウイルスは、PCR検査にて便(8例中4例、50%)および血液(12例中1例、8%)で検出可能であったが、尿では検出されなかった。 酸素療法を要した5例が、ロピナビル・リトナビルで治療された。5例中3例は解熱し、3日以内に酸素療法の必要性が減少したが、2例は進行性呼吸不全を伴い悪化した。ロピナビル・リトナビルで治療された5例中4例で悪心、嘔吐、下痢を、3例で肝機能異常を認めた。

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がん10年生存率57.2%に、80%以上のがん種も/全がん協調査

 国立がん研究センターの研究班は3月17日、全国がんセンター協議会(以下、全がん協)加盟の全国32施設における、全がんおよび部位別の、がん生存率最新データを公表した。前回調査と比較して、全がんの5年相対生存率は0.5ポイント増の68.4%、10年相対生存率は0.8ポイント増の57.2%であった。現在、10年生存率の算出と公開を行っているのは同研究班によるもののみで、部位別生存率において相対生存率(がんによる死亡)のほか、実測生存率(全死亡)も提示していることが特徴。<調査概要>収集症例:1997~2011年までに32施設で診断治療を行った68万9,207症例集計対象:[5年生存率]2009~11年に診断治療を行った症例のうち、以下の条件を満たした14万2,947症例(前回調査は2008~10年症例)[10年生存率]2003~06年に診断治療を行った症例のうち、以下の条件を満たした8万708症例(前回調査は2002~05年症例)集計基準:・15歳未満、95歳以上は除外・良性腫瘍、上皮内がん、0期、転移性腫瘍は除外・自施設診断自施設治療、および他施設診断自施設治療症例(診断のみは解析対象外)・下記の基準を満たした施設のデータのみを集計 臨床病期判明率60%以上 追跡率(予後判明率)90%以上5年相対生存率は前立腺、乳、甲状腺がんで90%以上 部位別(22種)・臨床病期別に、全症例と手術症例の5年生存率が算出された。全部位全臨床病期の5年相対生存率(全症例)は68.4%で、前回調査の67.9%からは0.5ポイント増でほぼ横ばい、初回調査(1997~99年)の61.8%からは徐々に改善傾向がみられている。部位別の5年生存率(相対生存率/実測生存率)について、主な結果は以下の通り:・5年相対生存率90%以上 前立腺(100%/88.6%)、乳(女)(93.7%/91.0%)、甲状腺(92.4%/88.7%)・5年相対生存率70%以上90%未満 子宮体(86.4%/83.9%)、大腸(76.8%/70.3%)、子宮頸(76.8%/75.0%)、胃(74.9%/67.6%)など・5年相対生存率50%以上70%未満 腎臓など(69.4%/63.9%)、膀胱(69.0%/60.6%)、卵巣(66.2%/64.7%)・5年相対生存率30%以上50%未満 食道(46.0%/41.7%)、肺(45.2%/41.2%)、肝(37.0%/33.1%)・5年相対生存率30%未満 胆のう胆道(28.6%/25.6%)、膵(9.9%/9.2%)10年相対生存率は前立腺、乳、甲状腺、子宮体がんで80%以上 部位別(18種)・臨床病期別に、全症例と手術症例の10年生存率が算出された。全部位全臨床病期の10年相対生存率(全症例)は57.2%で、前回調査の56.4%からは0.8ポイント上昇。部位別の10年生存率(相対生存率/実測生存率)について、主な結果は以下の通り:・10年相対生存率90%以上 前立腺(97.8%/72.3%)・10年相対生存率70%以上90%未満 乳(85.9%/80.9%)、甲状腺(84.1%/77.4%)、子宮体(81.2%/76.5%)・10年相対生存率50%以上70%未満 子宮頸(68.8%/65.6%)、大腸(67.8%/56.5%)、胃(65.3%/53.7%)、腎など(64.0%/54.5%)など・10年相対生存率30%以上50%未満 卵巣(45.3%/43.1%)、肺(30.9%/25.8%)、食道(30.9%/25.4%)・10年相対生存率30%未満 胆のう胆道(18.0%/14.8%)、肝(15.6%/12.8%)、膵(5.3%/4.5%) 研究班では、前回調査との比較において、多くの部位で5年および10年の生存率上昇を認める一方、低下している部位も含めて、臨床的に意味のある変化は認められないとしている。

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消火器を口腔内に噴射した男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第159回

消火器を口腔内に噴射した男性pixabayより使用私は、これまでの人生で一度だけ消火器を使ったことがあります。大学の学園祭で小さなボヤを起こして、消火器を使ったことがあるのです。ホースを持って、レバーをぐっと握るので、そうそう失敗することはないのですが、世の中には珍しい症例報告があるもので。高橋 洋子,他消火薬剤を口腔内に噴射し, 心停止に陥った1例.日本救急医学会雑誌. 2007;18(5):208-215.これは日本救急医学会雑誌の症例報告です。タイトルの通り、消火器を口腔内に噴射してしまったというものです。この症例は68歳の男性でした。統合失調症で入院している最中、施設の消火器を自ら口にくわえて噴射したそうです。直後から全身の発汗と四肢の冷感が出現し、武蔵野赤十字病院救命救急センターへ搬送されました。収縮期血圧が60mmHgのショック状態であり、血清カリウムは10.3mEq/Lまで上昇していたそうです。消火器は40%w/w(純度)の炭酸カリウム水溶液を主成分としており(1mL中に8mEqのカリウムを含有)、これが大量に体内に吸収される可能性があります。この症例も、搬送されてから38分後に心肺停止になったそうです。また消火器はpH11.6という強アルカリ性の溶液が充填されており、強い粘膜障害が予想されます。本症例では幸いにも消化器粘膜に重度の障害はなかったそうですが、気道・食道の両方に腐食障害を起こすリスクがあるので注意が必要です。実際に気道に吸引した重症例が報告されています1)。本症例は、2時間以上にわたって心肺蘇生が行われ、CHDF等の集中治療によって救命できたそうです。ドイツでも消火用パウダーを自殺目的に飲み込み、重度のアシドーシスに陥った症例が報告されており2)、本症例のように精神科疾患がある患者さんや自殺企図のある人では、消火器ですら危険になりうるため注意が必要ですね。1)Morita S, et al. Respiratory failure by inhalation of a fire extinguisher. J Trauma.2005 Aug;59(2):504.2)Becker TS, et al. Life-threatening metabolic acidosis after ingestion of fire extinguisher powder. Anaesthesist.2018 Sep;67(9):674-678.

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長時間作用型アリピプラゾールに関するコホート研究

 アリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射剤:AOM)を使用した統合失調症治療の機能およびウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)に対する有効性について、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らが実臨床での評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月22日号の報告。 本研究は、6ヵ月間の多施設プロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、経口薬による治療から9.7(±22.3)ヵ月後にAOMへ切り替えを行い症状が安定した統合失調症患者242例(平均年齢:43.1±15.1歳、男性の割合:55%)。評価項目は、機能の全体的評価尺度(GAF)、患者のウェルビーイング(WHO-5精神健康状態表)、AOMの有効性と忍容性に関する患者および臨床医の評価とした。また、治療関連有害事象(TRAE)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の平均GAFスコアは47.0±13.9であった。患者は、機能に重大な障害を経験していることが示唆された。・治療中に60.2±17.0へと継続した改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。・ベースライン時において、患者のウェルビーイングは低く、WHO-5の平均スコアは10.6±5.6であった。・治療中に患者のウェルビーイングの継続的な改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。エンドポイントのスコアは15.4±5.5であり、6ヵ月間で4.8±6.9の改善が認められた。・これらの結果を層別化すると、35歳以下の患者でより顕著な効果が認められた(GAF:p<0.05)。・AOMの有効性および忍容性の評価では、患者(89.2%、93.7%)、臨床医(91.4%、96.8%)ともに良好/非常に良好と評価された。・TRAEの発生は、まれであった。 著者らは「統合失調症患者、主に安定している患者に対するAOM治療の開始は、機能やウェルビーイングへの有意な効果を示し、この効果は35歳以下の患者でより顕著であった。実臨床における本結果は、これまでのランダム化試験の結果を支持するものである」としている。

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COVID-19治療薬スクリーニングのための原薬提供など、各社対応/製薬協

 日本製薬工業協会(製薬協)は3月18日、治療薬スクリーニングのための原薬提供など、会員各社の新型コロナウイルス感染対策への取り組み(3月10日時点の会員会社の開示情報)について発表した。 会員各社は、厚生労働省事務連絡「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品のスクリーニングに用いる原薬の提供依頼について」を受け、国立感染症研究所(感染研)における「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品の基礎的なスクリーニング計画」に協力し、感染研での治療薬スクリーニングのために化合物原薬または関連論文を提供している。 また、厚生労働省事務連絡「新型コロナウイルスに関連した感染症発生に伴う医薬品原料等の確保について」の要請に応じ、医療用医薬品の安定供給のために、中国で製造されている医薬品の原料などの在庫状況および今後の製造の見通しなどの確認、必要に応じた別の製造ルートの確保など、安定供給に向けて尽力している。 なお、日本製薬工業協会では、新型コロナウイルス感染による被災救済の一環として、COVID19治療・予防研究開発を支援するためにGISAID(Global Initiative on Sharing All Influenza Data、所在地:ドイツ)に5万ユーロ(約600万円)を拠出した。

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PCR検査を巡る不適切事例、内容と今後改善すべき点は/日本医師会

 3月18日の日本医師会定例会見において、「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」の調査結果が報告された。釜萢 敏氏(同会感染症危機管理対策室長)、横倉 義武氏(同会会長)が登壇し、調査結果を受けての今後の対策等について説明した。併せて、医療機関の現場で「職場から新型コロナウイルス陰性の証明をとってくるように言われた」という労働者の事例が発生していることに触れ、正しい情報の周知および医療機関と各都道府県の協働を求めた。検査しないことが“不適切”とされた事例とは 同報告は、2月26日~3月16日に全国47の都道府県医師会から得られた回答に基づく。この間に26医師会から計290件が報告された。同調査での“不適切”の定義について釜萢氏は、「国のPCR検査実施要件に基づき、医師が臨床的・総合的に判断して必要としたにもかかわらず、実施されなかった事例」と説明した。290件の内訳は以下の通り:北海道7件/宮城県4件/秋田県3件/栃木県2件/群馬県10件/埼玉県20件/千葉県1件/東京都36件/神奈川県41件/長野県4件/静岡県6件/愛知県13件/三重県1件/滋賀県6件/京都府3件/大阪府47件/兵庫県27件/岡山県5件/広島県11件/山口県6件/徳島県11件/福岡県3件/佐賀県5件/長崎県2件/熊本県15件/鹿児島県1件 精査はこれからの状況としつつ、不適切事例の具体例として、「肺炎の症状があり、場合によってはCT検査も実施の上で、医師が必要と判断したにもかかわらず、人工呼吸器の必要性がない状況であるために、もう少し経過を見てくれと言われたという例などがある」と同氏は説明。検査体制の整備が間に合っていないことによる1日の検査件数の限界に原因があったと考えられ、保険適用後、検査につながりやすい方向に改善されつつあるという。新たな受診窓口の設置も視野に、地域ごとの対策が急務 厚生労働省発表の3月15日時点での帰国者・接触者相談センターへの相談件数は計18万4,982件。うち帰国者・接触者外来での受診者は7,961件(4.3%)、PCR検査実施は5,797件(3.1%)に留まる1)。民間検査会社等での検査も始まり、釜萢氏は今後改善されていく見通しであるとした。今回の調査結果についても、目的は特定の保健所の対応を批判するものではなく、各地域ごとに精査し、状況の改善に資する形で活かしていくと話した。 電話相談のみで検査の必要性を判断することの難しさについても認識しているとし、都道府県医師会と連携して、適切な感染防護対策を講じた上で、対面で直接相談・診察できる窓口の設置も検討していくと話した。検体採取まで行うものではなく、診察主体で検査が必要な患者のセレクションを行う位置づけだという。 そのほか、抗体検査については国立感染症研究所で開発が進められているほか、輸入製品にも有望なものがあるとし、PCR検査と同等の検査能力が確認されたものについては、国としても積極的に採用していく流れであるとした。 横倉氏は、医療用マスクや防護具等の不足について、引き続き日本医師会として働きかけていく方針であるとし、医療機関が疲弊する状況を何とか避けなければならないと強調した。業者による対応拒否など、風評被害による病院の衛生面での弊害が出ている状況も指摘。神奈川県では、行政と各病院が毎日連絡を取り合い、医療資源の流通や状況について専属チームを作って把握・対応をはじめているとし、各都道府県でこのような独自の協力・対応を行っていくことが重要と呼びかけた。

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自分自身の物忘れ対策【Dr. 中島の 新・徒然草】(315)

三百十五の段 自分自身の物忘れ対策高齢の患者さんが多いせいか、物忘れの訴えばかりです。こちらも物忘れが多くなったので、診断よりももっぱらアドバイス。患者「最近、物忘れがひどくなって。年のせいでしょうか?」中島「僕もですよ。年とるほど忙しくなって覚えることが増えるし記憶力は悪くなるしで仕方ないですね。若いときは手帳なんか持っていませんでしたからね」患者「先生まだ若いでしょう!」中島「いやいやそんなことないです。忘れないように何でもメモするんですわ」メモをとるという行為にもコツが必要です。「電話」とだけ書いていても、後で見ても何のことやら思い出しません。「〇〇さんに何時に△△という用件で電話すること」と文章で書かないとダメですね。さらにメモした紙を捨てないようにもする必要があります。財布の中のレシートの裏なんかにメモすると、何かの拍子に捨ててしまいます。なので、捨てる前に裏を確認する癖をつけておかなくてはなりません。物忘れのほかにあるのが勘違いとか思い出せないというもの。以前、マイクロソフト創業者の名前が出てこなかったことがあります。ようやくのことで思い出したときは、もう人として終わった気分になりました。読者の皆さんは大丈夫ですか?有名人の名前なら笑い話で済みますが、職場の知人の名前が出てこないのは困ります。とくに、なぜか関係ない名前で上書きされてしまっている時。知人「あ、中島先生、お久しぶりです」中島「うーん、うーん、『瀬戸』やなくて……」知人「篠田(仮名)ですよ」中島「そうか、篠田さんやった!」一体、瀬戸と篠田の間にどんな共通点があるのか、自分でもわかりません。しかし、篠田という名前を思い出そうとすると「瀬戸」が出てきて邪魔をするのです。というわけでスマホにメモしています。「<篠田> だ <瀬戸>ではない」人名だけで10行ほどこんなメモが入っています。正しい方を先に書くのがコツといえばコツ。固有名詞だけではなく一般名詞でも同じような現象があるので、これもメモします。「<メンタルモデル> だ <マインドイメージ>ではない」そもそもマインドマップとかマインドセットならともかく、マインドイメージなどという言葉が存在するのか?正確に言えば一発で伝わるのに、知らないと回りくどい表現になる言葉も色々あります。決済用普通預金:ペイオフ対策に必要なもの初診時選定療養費:紹介状なしの初診で余分に支払うお金これらもスマホにメモしています。後は私にとっての永遠の課題、英単語です。<refrain:控える> だ <叫ぶ>ではないかの有名な曲のタイトルから、つい「叫ぶ」と勘違いしがちですが、これは間違い。というわけで、これもスマホ行き。もはや物忘れ対策も工夫して楽しむ対象になってしまいました。読者の皆様はいかがでしょうか?最後に1句 物忘れ 工夫で乗り切れ 年とれど

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T1N0肺がん、縮小手術の候補となるのは?

 日本人の早期肺がんの肺葉切除に関するエビデンスが示された。神奈川県立がんセンターの伊藤 宏之氏らは、薄切CTに基づき臨床病期T1N0肺がん患者の肺葉切除後の長期アウトカムを評価し、consolidation tumor ratio(胸部薄切CT上、最大腫瘍径に対する充実性成分の比=C/T比)0.5以下および腫瘍径3cm以下の患者は、予後良好で縮小手術の候補である可能性を示唆した。Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery誌オンライン版2020年1月11日号掲載の報告。 研究グループは、肺葉切除を受けた肺腺がん患者543例の病理データを収集し、C/T比と腫瘍径によって以下の4グループに分類し、10年間の全生存率、無再発生存率を調査した。・グループA:C/T比≦0.5で腫瘍径≦2cm・グループB:C/T比≦0.5で腫瘍径≦3cm・グループC:C/T比>0.5で腫瘍径≦2cm・グループD:C/T比>0.5で腫瘍径2~3cm 主な結果は以下のとおり。・肺葉切除を受けた543例全体の10年全生存率は80.4%、10年無再発生存率は77.1%であった。・グループ別の10年全生存率は、グループAで94.0%、グループBで92.7%、グループCで84.1%、グループDで68.8%であった。・グループ別の10年無再発生存率は、それぞれ94.0%、89.0%、79.7%、66.1%であった。・グループA+Bは、グループC+Dより10年全生存率が良好で(ハザード比[HR]:2.78、95%信頼区間[CI]:1.45~5.06)、10年無再発生存率も良好であった(HR:2.74、1.55~4.88)。・グループAでは、再発は認められなかった。 進行中のJCOGの試験において、区域切除の生存に関する肺葉切除との非劣性が確認されれば、区域切除は標準治療に入るであろうと筆者らは述べている。

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アルツハイマー病の認知機能やBPSDに対するスギの香りの影響

 秋田大学の高橋 裕哉氏らは、嗅覚神経刺激によりアルツハイマー病(AD)患者の認知症状が改善するかについて、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月9日号の報告。 嗅覚機能障害のないAD患者を抽出するため、スティック型嗅覚同定能力検査を実施した。次に、これらの患者を介入群(19例)と対照群(17例)にランダムに割り付けた。嗅覚神経刺激の効果を評価するため、介入群には、スギからのアロマ成分を添加した消毒エタノールを用い、対照群にはアロマ成分を添加しないエタノールを用いた。両群ともに、8週間の介入を行い、治療前後の認知機能および行動機能の評価を行った。評価には、Neuropsychiatric Inventory(NPI)、Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)、アルツハイマー病評価尺度-認知行動(ADAS-cog)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・介入群は、対照群と比較し、4週目と8週目のNPIスコアおよびJ-ZBIの有意な改善が認められた。・ADAS-cogのスコアでは、有意な差は認められなかった。 著者らは「スギの香りは、アルツハイマー病患者の周辺症状(BPSD)を改善し、介護負担を軽減する可能性がある。この介入は、その有効性に加え、手順がシンプルで侵襲性が低いため、価値のある非薬物療法となりうる可能性が示唆された」としている。

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FDA、二ボルマブ・イピリムマブ併用、肝細胞がんに迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、3月10日、ソラフェニブ既治療の肝細胞がん患者に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法を迅速承認した。 この併用療法の有効性は、ソラフェニブ治療で進行した、または不耐性の肝細胞がん患者を対象に実施された多施設コホート非盲検試験CheckMate-040のコホート4で調査された。合計49例の患者に、イピリムマブ3mg/kgとニボルマブ1mg/kgを3週間ごと4サイクル、その後ニボルマブ240mgを2週間ごと、疾患進行または忍容できない毒性が発現するまで投与した。 主要有効性評価項目は、盲検化独立中央委員会評価の全奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)であった。ORRは33%(n=16、CR4例、PR12例)であった。DoRは4.6〜30.5ヵ月以上で、奏効患者の31%は24ヵ月以上効果が持続した。 ニボルマブとイピリムマブの併用による一般的な副作用(20%以上)は、疲労、下痢、発疹、そう痒症、嘔吐、筋骨格痛、発熱、咳、食欲減退、嘔吐、腹痛、呼吸困難、上気道感染、関節痛、頭痛、甲状腺機能低下症、体重減少、めまいであった。

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