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境界性パーソナリティ障害と自殺企図~10年間のフォローアップ調査

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、自殺企図などの自殺行動の強力なリスクである。自殺行動リスクに影響を及ぼす因子を明らかにすることは、適切な自殺予防介入を考えるうえで重要であろう。米国・ハーバード大学医学大学院のShirley Yen氏らは、BPD患者の自殺企図に関連する因子をプロスペクティブに調査するため、10年にわたるフォローアップによるCollaborative Longitudinal Study of Personality Disorders(CLPS)研究を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2020年11月18日号の報告。 CLPS研究は、4つのパーソナリティ障害(PD)の成人患者と比較対照群としてうつ病および最低限のPDの特徴を有する成人を対象としたマルチサイト自然主義的プロスペクティブ研究である。対象患者は、ニューヨーク州ニューヨーク、マサチューセッツ州ボストン、コネティカット州ニューヘブン、ロードアイランド州プロビデンスで治療のため受診し、入院、部分入院、外来で治療された患者733例(募集期間:1996年9月~1998年4月および2001年9月~2002年8月)。そのうち1回以上のフォローアップ評価を完了した患者は701例であった。フォローアップサンプル701例のデータを用いて、2019年3月~2020年8月に分析を行った。対象者には、半構造化診断面接および各種自己報告を実施し、年1回最大10年間の評価を行った。10年間のプロスペクティブフォローアップ期間の自殺企図に対するベースライン時の人口統計学的因子およびBPD、個々のBPD基準を含む臨床的リスク因子を調査するため、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・701例の背景は以下のとおりであった。 ●女性:447例(64%) ●白人:488例(70%) ●独身:527例(75%) ●仕事がない:433例(62%) ●いくつかの大学教育経験:512例(73%)・人口統計学的因子(性別、雇用、教育)および臨床的因子(児童性的虐待、アルコール使用障害、物質使用障害、心的外傷後ストレス障害)で調整した後、自殺企図と関連する最も強力な因子は、すべての障害の中でBPDであった(オッズ比[OR]:4.18、95%CI:2.68~6.52)。・その他の有意な因子およびBPD基準を共変数とした場合、以下のBPD基準は、自殺企図との独立した有意な関連が認められた。 ●不安定な自己像(OR:2.21、95%CI:1.37~3.56) ●慢性的な空虚感(OR:1.63、95%CI:1.03~2.57) ●見捨てられることを避けるための必死の努力(OR:1.93、95%CI:1.17~3.16) 著者らは「BPD患者の自殺企図と有意な関連が認められた、不安定な自己像、慢性的な空虚感、見捨てられることを避けるための必死の努力は、BPD患者の自殺リスクを評価するうえで、臨床的に見逃されている可能性がある。BPDは比較的寛解率が高いことを踏まえると、これらの基準は独立して評価すべきであり、自殺のリスク因子としてさらに研究が進むことが望まれる」としている。

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高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+パルボシクリブ、初回解析でiDFS改善みられず(PENELOPE-B)/SABCS2020

 術前化学療法後に浸潤性病変が残存している高リスクのホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性早期乳がん患者に対する、術後内分泌療法へのパルボシクリブ併用療法は、内分泌療法単独と比較して無浸潤疾患生存期間(iDFS)の有意な改善を示さなかった。ドイツ・German Breast GroupのSibylle Loibl氏が、第III相PENELOPE-B試験の初回解析結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。・対象:タキサンを含む術前化学療法後に病理学的完全奏効が得られず、再発リスクの高いHR+/HER2-の早期乳がん患者(術前補助療法後の残存浸潤性病変有、CPS-EGスコア≧3または 2、ypN+、術前化学療法≧16週、最終手術日から16週未満または放射線療法完了後10週未満)・試験群:術後療法として、パルボシクリブ(125mg1日1回×3週投与1週休薬の28日を1サイクルとして、13サイクル)+標準的内分泌療法・対照群:術後療法として、プラセボ(13サイクル)+標準的内分泌療法・評価項目:[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]二次性原発浸潤性非乳がんを除くiDFS、遠隔無再発生存期間、全生存期間(OS)、安全性など・層別化因子:リンパ節転移の有無(ypN0-1 vs.ypN2-3)、年齢(50歳以下 vs.50歳超)、Ki-67値(15%超 vs.15%未満)、地域(アジア vs.非アジア)、CPS-EGスコア(3以上 vs.2かつypN+) 主な結果は以下のとおり。・2014年2月~2017年12月に計1,250例が登録され、パルボシクリブ群に631例、プラセボ群に619例が無作為に割り付けられた。・年齢中央値は49(19~79)歳。ypN0-1が49.6%、G3は47.4%で報告され、Ki-67>15%は25.5%。59.4%がCPS-EGスコア3以上であった。ベースライン時の患者特性は両群でバランスがとれていた。・13サイクルの治療を完了したのはパルボシクリブ群80.5%に対しプラセボ群84.5%。少なくとも7サイクルの治療を完了したのは88.6% vs.90.3%であった。相対用量強度は82.1% vs. 98.9%であった。・追跡期間中央値42.8ヵ月において、主要評価項目であるiDFSの層別ハザード比は0.93(95%信頼区間[CI]:0.74~1.17、p=0.525)で有意な差はみられなかった。・2年iDFS率はパルボシクリブ群88.3% vs.プラセボ群84.0%、3年iDFS率は81.2% vs. 77.7%、4年iDFS率73.0% vs. 72.4%であった。・サブグループ解析の結果、パルボシクリブから高いベネフィットを受ける因子は特定されなかった。・iDFSイベントは遠隔再発が全体の74%を占め、浸潤性局所再発、対側乳がん、二次性原発浸潤性非乳がん、イベント発生なしの死亡について、両群間に差はなかった。・OSの層別ハザード比(中間解析)は0.87(95%CI:0.61~1.22、p=0.420)。2年OS率はパルボシクリブ群96.3% vs.プラセボ群94.5%、3年OS率は93.6% vs.90.5%、4年OS率は90.4% vs.87.3%であった。・用量減量はパルボシクリブ群で多く、最終サイクルでは約50%が減量していた。・Grade3/4の有害事象は、パルボシクリブ群79.6% vs.プラセボ群20.1%で発生。血液学的有害事象(Grade3/4)は73.1% vs.1.3%とパルボシクリブ群で多くみられたが、非血液学的有害事象(Grade3/4)は19.9% vs.19.0%と両群間に差はみられなかった。重篤な副作用(SAE)は、パルボシクリブ群9.3%、プラセボ群8.7%でみられた。 ディスカッサントを務めた米国・ウィスコンシン大学マディソン校のRuth O'Regan氏は、monarchE試験、PALLAS試験との違いについて考察。PENELOPE-B試験では適格性の基準に解剖学的病期分類ではなくCPS-EGスコアが使われていること、PALLAS試験と比較してパルボシクリブのアドヒアランスが良好なこと、PENELOPE-B試験では治療期間が12ヵ月(PALLASとmonarchEは24ヵ月)であることなどを挙げ、アベマシクリブがより効果的な可能性があるが、リボシクリブのNATALEE試験も含め、各試験の長期結果をみていく必要があるとした。

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finerenone、2型糖尿病合併CKD患者で心血管リスクを抑制/NEJM

 2型糖尿病を併発する慢性腎臓病(CKD)患者において、finerenoneの投与はプラセボに比べ、CKDの進行と心血管イベントのリスクを低減させることが、米国・シカゴ大学病院のGeorge L. Bakris氏らが行った「FIDELIO-DKD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年12月3日号に掲載された。2型糖尿病はCKDの主要な原因であり、2型糖尿病患者のCKD管理ガイドラインでは、高血圧や高血糖の管理とともにさまざまな薬物療法が推奨されているが、CKDの進行のリスクは解消されておらず、新たな治療が求められている。finerenoneは、非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬で、CKDと2型糖尿病を併発する患者を対象とする短期試験でアルブミン尿を減少させると報告されている。finerenoneがCKDの進行を抑制するとの仮説を検証 研究グループは、2型糖尿病を合併するCKD進行例において、finerenoneはCKDの進行を抑制し、心血管系の併存疾患や死亡を低下させるとの仮説を検証する目的で、二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を行った(Bayerの助成による)。2015年9月~2018年6月の期間に、48ヵ国でスクリーニングと無作為化が行われた。 対象は、年齢18歳以上のCKDと2型糖尿病を有する患者であった。尿中アルブミン/クレアチニン比(アルブミンはmg、クレアチニンはg単位で測定)が≧30~<300、推算糸球体濾過量(eGFR)が≧25~<60mL/分/1.73m2体表面積で糖尿病性網膜症を有する患者、または尿中アルブミン/クレアチニン比が300~5,000でeGFRが≧25~<75mL/分/1.73m2の患者が適格例とされた。全例がレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(ACE阻害薬、ARB)による治療を受け、無作為化の前に、投与量を製薬会社の添付文書に記載された忍容できない副作用を起こさない最大用量に調節された。 被験者は、finerenoneを経口投与する群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要複合アウトカムは、腎不全、eGFRのベースラインから40%以上の持続的な低下、腎臓死とし、time-to-event解析で評価された。主要な副次複合アウトカムは、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院であり、time-to-event解析で評価が行われた。finerenone群で主要複合アウトカムのイベントが有意に低下 5,674例が解析に含まれ、2,833例がfinerenone群(平均年齢[SD]65.4±8.9歳、男性68.9%)、2,841例がプラセボ群(65.7±9.2歳、71.5%)に割り付けられた。98.1%がACE阻害薬、98.8%がARBの忍容できない副作用を起こさない最大用量による治療を受けていた。フォローアップ期間中央値は2.6年だった。 主要アウトカムのイベントは、finerenone群が2,833例中504例(17.8%)、プラセボ群は2,841例中600例(21.1%)で発生し、finerenone群で有意に低下した(ハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.73~0.93、p=0.001)。各構成要素の発生は、eGFRのベースラインから40%以上の持続的な低下(0.81、0.72~0.92)と腎不全(0.87、0.72~1.05)はfinerenone群で低い傾向があり、腎臓死は両群とも2例ずつで認められた。 主要な副次アウトカムのイベントは、finerenone群が367例(13.0%)、プラセボ群は420例(14.8%)で発生し、finerenone群で有意に良好だった(HR:0.86、95%CI:0.75~0.99、p=0.03)。各構成要素の発生は、非致死的脳卒中(1.03、0.76~1.38)を除き、心血管死(0.86、0.68~1.08)、非致死的心筋梗塞(0.80、0.58~1.09)、心不全による入院(0.86、0.68~1.08)はいずれもfinerenone群で低い傾向がみられた。 試験期間中に発現した有害事象の頻度は両群で同程度であり(finerenone群87.3% vs.プラセボ群87.5%)、重篤な有害事象はそれぞれ31.9%および34.3%で発生した。高カリウム血症関連の有害事象の頻度は、finerenone群がプラセボ群の約2倍(18.3% vs.9.0%)で、試験レジメン中止の原因となった高カリウム血症の頻度もfinerenone群で高かった(2.3% vs.0.9%)。 著者は、「finerenoneの有益性は、部分的にナトリウム利尿作用の機序を介していることが示唆される」とし、「本試験の参加者は多くがCKD進行例で、アルブミン尿がみられない患者や2型糖尿病に起因しないCKDは除外しており、黒人の参加者は4.7%にすぎないことから、今回の知見の一般化可能性は限定的と考えられる」と指摘している。

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第34回 民間企業、新型コロナPCR検査センターに格安で参入の動き

<先週の動き>1.民間企業、新型コロナPCR検査センターに格安で参入の動き2.薬価引き下げ、来春から毎年改定へ3.75歳以上の医療費負担、引き上げの対象を年収200万円以上に4.マイナンバーが主軸のデータヘルス集中改革プラン、医療現場にも影響が?5.コロナ感染拡大で、地域医療構想の工程見直し6.薬価算定ルールやメタボ健診のあり方に見直しを/行政改革推進会議1.民間企業、新型コロナPCR検査センターに格安で参入の動き民間企業グループが東京でPCR検査専門の施設を開設している。これは発熱などの症状がない人を対象とした自費で行われる検査であり、診療や感染拡大防止を目的に行う行政検査とは異なり、公費ではカバーされない。従来から行われていたクリニックや病院での自由診療の検査費用は2〜4万円のところが多く、気軽に受けられなかったニーズを取り込んだのだろう。メディアで報道された施設前には、予約者が行列する姿が見られた。課題としては、直接的な医師の介在がないため、検査結果で陽性となった場合の対応や、精度のばらつきなどが懸念されている。感染拡大の収束が見られない中、帰省や出張前など社会的なニーズなどもあり、この動きは広がる可能性が高い。(参考)格安の民間PCR検査に予約殺到 その「陰性」過信禁物(朝日新聞)民間PCR1980円から 格安で拡大、検査身近に 精度・感染把握に課題も(日経新聞)2.薬価引き下げ、来春から毎年改定へ来年度の薬価引き下げについて、対象品目を全体の半数以上とする案をめぐって、政府は製薬業界と議論の大詰めを迎えている。中央社会保険医療協議会・薬価専門部会では、新型コロナ感染拡大の中で、薬価改定を実施すべきかを検討してきたが、9日の部会では具体的な改定の内容(対象品目の選定基準や、適用ルールなど)や医薬品卸、医療機関・薬局などの経営への影響をめぐって検討が行われた。従来は2年おきの診療報酬と同時に薬価改定が行われていたが、2018年にまとめられた「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2018」の閣議決定により、来春から毎年改定となる。政府は医療費削減のため、できるだけ多くの品目を引き下げるべきという方針で、公定価格から8%以上差のある約8,700品目の引き下げを行い、3,600億円の抑制案を中心に検討を進めている。今年中に最終決定を行い、来年4月から引き下げられる見通し。(参考)薬価引き下げ 政府・与党 来年度の対象品目で詰めの調整へ(NHK)2021年度薬価改定に向けた議論続く、診療・支払両側の意見の溝は依然広く深い―中医協・薬価専門部会(GemMed)中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第172回)議事次第(厚労省)3.75歳以上の医療費負担、引き上げの対象を年収200万円以上に75歳以上の医療費の窓口負担を2割まで引き上げる政府の方針について、与党自民党と公明党の間で議論を続けてきたが、9日、対象者は単身世帯で年収200万円以上とし、2022年度後半に実施することで菅 義偉首相と公明党の山口 那津男代表が合意した。この決定により、所得上位30%の約370万人が該当となった。2020年度の現役世代の負担が6兆8,000億円に上る中、負担の軽減効果は約880億円に留まる。これは、全世代型社会保障検討会議が近くまとめる最終報告に盛り込まれ、来年の通常国会に関連法案提出となる見込み。今後、後期高齢者の増加に伴い、医療費だけでなく介護費も含め、社会保障費の増大をいかに抑制するかは政府にとって大きな課題となる。(参考)75歳以上医療費 2割に引き上げ 年収200万円以上対象で合意(NHK)高齢者医療費 2割負担、年収200万円 22年10月以降 自公合意(毎日新聞)4.マイナンバーが主軸のデータヘルス集中改革プラン、医療現場にも影響が?厚労省は9日に「第6回健康・医療・介護情報利活用検討会、第5回医療等情報利活用WG及び第3回健診等情報利活用WG」を開催し、オンライン資格確認や電子処方箋等を進めるデータヘルス集中改革プランの取りまとめについて議論した。2022年夏までに「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」「電子処方箋の仕組みの構築」「個人の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大」の3つのアクションを行う方針について了承した。さらに内閣官房も11日に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」を開催した。この中で「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ報告」の素案をまとめた。報告書によれば、今後の取り組みとしてマイナンバー関連システムの整備、マイナンバー利活用の促進、マイナンバーカードの機能強化のほか、カード発行促進と地方自治体における業務システム整備などが挙げられている。政府は共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービスの利用環境を整備し、早期に運用を開始し、マイナポータルで閲覧できる情報の拡充を進め、健診・検診情報(特定健診、事業主健診、がん検診、学校健診など)、薬剤情報、医療費通知情報、就労関係情報(職業訓練履歴や保有資格など)などについても実現することを求めている。今後、マイナンバーを活用して医師免許などの資格管理システムの開発・構築を行い、2024年度にデジタル化を目指すことになる見込み。(参考)マイナンバーカードと運転免許証一体化 導入前倒しの報告書案(NHK)第6回健康・医療・介護情報利活用検討会、第5回医療等情報利活用WG及び第3回健診等情報利活用WG 資料(厚労省)マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第6回)議事次第(政策会議)5.コロナ感染拡大で、地域医療構想の工程見直し厚労省は「地域医療構想に関するワーキンググループ」を9日に開催し、新型コロナ感染拡大による医療現場の負担を考慮し、2019年に再編や統合の検討が必要と判断された公立・公的病院について、具体的な対応方針を求める期限の先送りを決定した。感染状況には地域差がある中で、地域医療構想の議論の進捗状況にも地域差が生じ得ることを踏まえると、現時点で全国一律に取り組みを求めることは困難であるとし、現時点で工程を提示することは適切ではないため、この冬の感染状況を見ながら、あらためて具体的な工程の設定について検討するとされた。また、具体的対応方針の再検証に関連して、100万人以上の二次医療圏の「類似かつ近接」の分析、民間医療機関の特性に応じた議論活性化に向けた分析(回復期・慢性期の観点など)など、残された課題についても、今後議論を進めていく必要がある。(参考)新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた今後の医療提供体制の構築に向けた考え方(案)(厚労省)6.薬価算定ルールやメタボ健診のあり方に見直しを/行政改革推進会議9日、行政改革推進会議が開催され、秋の年次公開検証などの取りまとめが公開された。医療関係については、薬価算定と特定健診・特定保健指導について指摘がなされた。薬価算定について、現在の薬価算定プロセスで製薬会社から提供される原価情報が十分ではないとし、適正な薬価算定が行えるよう見直しを進めていくべきであると示された。情報開示度の低い医薬品については算定要価をさらに厳しくする仕組みを検討するなどの見直しを行い、薬価の適正性を確保するよう努めるべきである。また、特定健康診・健指導については、2021年度の概算要求額が225.8億円に上り、その費用対効果について指摘もあった。これまでの実施状況を踏まえ、医療費適正化および健康増進双方の観点から、改めて事業効果について検証し、次期医療費適正化計画の策定に向け、特定保健診査および特定保健指導の在り方について検討すべきと厚労省に対して見直しを求めた。(参考)行政改革推進会議(第41回)議事次第(政策会議)

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HFpEFに対するsGC刺激薬の効果―VITALITY-HFpEF試験を読み解く(解説:安斉俊久氏)-1329

 VITALITY-HFpEF試験では、6ヵ月以内に心不全増悪の既往を有する左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)を対象にして、可溶型グアニリル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬であるvericiguat 10mg/日あるいは15mg/日を24週間投与した際の生活の質(QOL)ならびに運動耐容能に対する効果が、多施設共同第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照試験として検証された。結論としてvericiguatの有効性は示されず1)、HFpEFに対する臨床試験としては、またしてもネガティブな結果に終わった。 本研究に先立って行われたSOCRATES-PRESERVED試験では、HFpEFに対するvericiguatの12週間投与がN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値および左房容積に及ぼす効果について検証された。プライマリエンドポイントにvericiguat投与群とプラセボ群間で有意差を認めなかったが、探索項目として調査されたカンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)によるQOL評価値が、vericiguat 10mg/日投与群においてプラセボ群に比べ有意に改善した2)。このことにより、より長期の24週間にわたって10~15mg/日の高用量を投与する本研究はQOLを改善させ、同時に運動耐容能を改善するのではないかと考えられた。しかしながら、今回の研究においてKCCQの身体制限に関するスコアや6分間歩行距離に有意な結果が得られなかっただけでなく、JAMA誌の同号に掲載されたCAPACITY HFpEF試験(Phase II)でも、sGC刺激薬であるpraliciguatは、HFpEFにおける最大酸素摂取量をはじめとした運動耐容能を改善するには至らなかった3)。 HFpEF患者の心筋生検標本を用いた検討においては、環状グアノシン3’,5’-1リン酸(cGMP)ならびにプロテインキナーゼG(PKG)活性の低下が報告されており4)、加齢や、糖尿病、高血圧、肥満などのHFpEFに多く認める併存症によって血管内皮機能が障害され、一酸化窒素(NO)の生物学的利用能が低下することが原因と考えられてきた5)。PKGの活性低下は左室の肥大・線維化を介して拡張機能障害をもたらすことから、NO-cGMP-PKG経路が治療標的として着目されるに至った。 しかしながら、HFpEFの左室における圧容積曲線の特性上、血管拡張作用を有する薬剤は、過降圧や一回拍出量低下などを来すことにより、むしろ血行動態を悪化させてしまう可能性が指摘されており6)、これまでの血管拡張作用を有する薬剤を用いた大規模臨床試験では、いずれも有意な結果が得られていない。本試験においても、症候性低血圧の出現頻度は、vericiguat 15mg/日、10mg/日、プラセボの各群で、6.4%、4.2%、3.4%とvericiguat高用量投与群において高率に発生している。血行動態にまで悪影響をもたらしたかどうかは不明であるが、QOL改善に至らなかった一因と考えられる。 NO-cGMP-PKG経路の障害は、左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者の全身ならびに冠動脈における血管平滑筋細胞に生じており、前・後負荷増大とともに心筋虚血を悪化させている7-9)。cGMPを増加させるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)やsGC刺激薬はHFrEFの予後を改善することが報告されているが10,11)、冠動脈疾患の合併が比較的少なく、血管拡張薬によって血行動態の改善が得られにくいHFpEFでは、sGC刺激薬の効果が十分に得られなかった可能性が考えられる。また、sGC刺激薬以外にも、経口硝酸薬やホスホジエステラーゼ5阻害薬、ARNIを用いた研究が過去に行われているが、いずれも有意な結果が得られていない12-15)。PKG活性の低下から心筋肥大・線維化を呈し、すでに症候性となっている段階では、NO-cGMP-PKG障害が治療標的とはなり得なかった可能性もある。ただし、病態によっては有効な可能性も否定できず、多様な病態を持つHFpEFに対しては、ディープフェノタイピングに基づいた精密医療が今後は必要になるものと考えられる。引用文献1)Armstrong PW, et al. JAMA. 2020;324:1512-1521.2)Pieske B, et al. Eur Heart J. 2017;38:1119-1127.3)Udelson JE, et al. JAMA. 2020;324:1522-1531.4)Komajda M, et al. Eur Heart J. 2014;35:1022-1032.5)Emdin M, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;76:1795-1807.6)Schwartzenberg S, et al. J Am Coll Cardiol. 2012;59:442-451.7)Kubo SH, et al. Circulation. 1991;84:1589-1596.8)Ramsey MW, et al. Circulation. 1995;92:3212-3219.9)Katz SD, et al. Circulation. 2005;111:310-314.10)Armstrong PW, et al. N Engl J Med. 2020;382:1883-1893.11)McMurray JJ, et al. N Engl J Med. 2014;371:993-1004.12)Redfield MM, et al. N Engl J Med. 2015;373:2314-2324.13)Borlaug BA, et al. JAMA. 2018;320:1764-1773.14)Redfield MM, et al. JAMA. 2013;309:1268-1277.15)Solomon SD, et al. N Engl J Med. 2019;381:1609-1620.

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処方箋なしに医薬品を販売した薬局が処分、確認すべきルールは?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第22回

先日、処方箋なしに処方箋医薬品を販売したとして、当該薬局に業務停止処分が下されたという報道が立て続けに2件ありました。報道によれば、いずれも従業員に販売したもののようですが、あらためてこのルールを確かめておく必要があるでしょう。・参考:第6回 処方箋なしで医療用医薬品を販売していい場合とダメな場合零売を行う薬局もあるが、法令は順守しなければならない薬局で扱う医療用医薬品は、処方箋医薬品と処方箋医薬品以外の医療用医薬品に分類することができます。このうち、厚生労働大臣から指定される処方箋医薬品は、原則、処方箋の交付を受けた者以外の者には販売できません。販売が認められる「正当な理由」は、『薬局医薬品の取扱いについて』(薬食発0318第4号 平成26年3月18日 厚生労働省医薬食品局長)で示されていますが、大規模災害時などかなり限定されているので、処方箋なしでの販売は基本的にはできないという認識を持っておきましょう。一方、処方箋医薬品以外の医療用医薬品は、法的なルールに従えば販売が可能です。このような医薬品の販売は「零売」などといわれ、最近では積極的に行う薬局もあるようです。ただし、『薬局医薬品の取扱いについて』では、処方箋医薬品と同様「正当な理由」が認められる場合に販売することが原則とされており、使用者本人への販売のみなどのさまざまなルールを順守する必要があります。また、処方箋医薬品以外の医療用医薬品は薬局医薬品に該当しますので、2020年9月1日に施行された改正薬機法によって、必要に応じた継続的な服薬管理が求められることにも注意を要します。薬機法36条の4 第5項第一項又は前項に定める場合のほか、薬局開設者は、薬局医薬品の適正な使用のため必要がある場合として厚生労働省令で定める場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に、その販売し、又は授与した薬局医薬品を購入し、又は譲り受けた者の当該薬局医薬品の使用の状況を継続的かつ的確に把握させるとともに、その薬局医薬品を購入し、又は譲り受けた者に対して必要な情報を提供させ、又は必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。来年施行される改正薬機法を見据えた薬局のガバナンス強化が求められるさて、今回は業務停止処分がされましたが、2021年8月1日に施行される改正薬機法では、薬局におけるガバナンスの強化が求められます。このガバナンスに関する省令について、先日パブリックコメントの募集がありました(2020年11月6日~12月10日)。まだ省令が決まったわけではありませんが、ここで示された概要では、薬局開設者または販売業者の業務の適正を確保するために必要な体制として以下を整備すべきとされています。薬局開設者又は販売業者の業務の遂行が法令に適合することを確保するために必要な規程の作成を行う体制薬局開設者又は販売業者の薬事に関する業務に責任を有する役員及び従業者に対する教育訓練及び評価を行う体制業務の遂行に係る記録の作成、管理及び保存を行う体制薬事に関する業務に責任を有する役員及び従業者の業務を監督するために必要な情報を収集し、その業務の適正を確保するために必要な措置を講ずる体制上記のほか、薬局開設者又は販売業者の業務の適正を確保するために必要な人員の確保及び配置その他の薬局開設者又は販売業者の業務の適正を確保するための体制※e-GOV「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令案について(概要)」より引用。また、複数の許可を受けている薬局開設者には、「当該許可を受けている全ての店舗等(配置販売業者においては全ての区域)において法令遵守体制が確保されていることを確認するために必要な措置(この場合に、薬局開設者又は販売業者を補佐する者を置くときは、その者が有する権限を明らかする等必要な措置を含む。)」とあり、すべての店舗を踏まえた法令順守体制が求められます。さらに、「補佐する者を置くとき」の措置も求めており、薬局開設者や管理薬剤師以外の者に関して言及されている点でも注目です。今回のような処分の報道を受けて、あらためて処方箋医薬品を含めた医薬品の管理について確認しておくことはもちろんですが、改正薬機法施行の準備という点も踏まえて、薬局のガバナンス強化についても併せて検討しておく必要があると考えます。参考資料1)「薬局医薬品の取扱いについて」(薬食発0318第4号 平成26年3月18日 厚生労働省医薬食品局長)2)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令案に関する御意見の募集について(e-COVパブリックコメント)

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第32回 推定の落とし穴とは?【統計のそこが知りたい!】

第32回 推定の落とし穴とは?母集団のことを調べるために、母集団の一部(サンプル)に臨床試験を行い、観測データの基本統計量から母集団の平均値などを推定することを「統計的推定」と言います。母集団から抽出されたサンプルは、全体(母集団)の中でも平均が小さいほうかもしれませんし、大きいほうかもしれません。このようにたまたま抽出されたサンプルの平均をもって、全体(母集団)の平均であると言い切ってしまうのは危険です。そこで得られた平均値に一定の幅を持たせます。つまりこのサンプルの平均は「○○○~○○○の間にある」という言い方で、母集団の平均値を推定するわけです。このようにサンプル平均に幅をもたせ、母集団の統計量を推定する方法を「区間推定法」と言います。しかし、ここでもサンプルサイズ(n数)を増やしていけば、この区間の幅をどんどん狭くしていくことができます。このような推定の落とし穴にはまらないためには、どこに注意すればいいのか解説します。■信頼区間(Confidence Interval:CI)「○○○~○○○の間にある」、すなわち「M1~M2」と言うとき、M1を「下限値」、M2を「上限値」と言います。そして、この2つに挟まれた区間を「信頼区間」と言います。信頼区間CI(Confidence Interval)は、母集団の真の値が含まれることが、かなり確信できる数値の範囲です。たとえば95%CIとは、この範囲に母集団の値が存在することが、95%確信できることを意味します。信頼区間の幅は、信頼区間の係数、標準誤差によって決まります。信頼区間の係数は、仮説検定における有意水準5%の概念によって求められる値です。係数は、母集団が正規分布に従っている場合は1.96、従っていない場合はt分布から導かれる値となります。95%CIとは別に99%CIを適用することもあります。■95%信頼区間の求め方95%信頼区間の求め方は次の公式です。下限値=平均値-1.96×標準誤差(SE)上限値=平均値+1.96×標準誤差(SE)さて、前回第31回でも登場しましたが、ここでも標準誤差(SE)が出てきました。ということは、前回の検定と同じように推定の落とし穴があるということです。サンプルサイズ(n数)を増やせば増やすほど、標準誤差(SE)は小さくなります。つまり、サンプルサイズ(n数)を増やして、標準誤差(SE)を小さくすれば、95%信頼区間の幅はどんどん狭くなっていきます。差の信頼区間なら「0をまたがない」、比の信頼区間なら「1をまたがない」可能性がどんどん高くなります。検定のときには、臨床試験の結果から「意味のある差であるかどうか」をしっかりと評価するべきと説明しましたが、推定の場合はどうでしょうか。検定での「臨床試験の結果」に対応するのは、幅を持たせる前の値、すなわち平均や比の点推定値となります。たとえばリスク比の信頼区間で、「点推定値が0.80、95%信頼区間が0.55から1.05」というデータがあったとき、サンプルサイズ(n数)を増やしていくと95%信頼区間はいくらでも狭くできます。その結果、図のようにサンプルサイズ(n数)を増やしていって、たとえば0.63から0.97になれば、「1をまたがないので統計学的に有意」と言えてしまうことになります。しかし、点推定値0.80は、サンプルサイズ(n数)を増やしても大きく変わることはありません。信頼区間が1をまたぐかどうかだけではなく、リスク比の点推定値0.80が意味のある値かどうかも、一緒に評価するべきということになります。統計解析の結果である幅を持たせる前の点推定値が、いくつであるかもきちんと評価することが重要となります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション4 仮説検定の意味と検定手順セクション7 信頼区間とは?セクション8 信頼区間による仮説検定

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教育講演:多発性骨髄腫【Oncologyインタビュー】第24回

出演:日本赤十字社医療センター 骨髄腫アミロイド―シスセンター長 鈴木 憲史氏多発性骨髄腫の治療は進化し、生命予後は改善している。しかし、実地医家において十分に啓発が行われているとは言えない。同領域のスペシャリストである日本赤十字社医療センター鈴木憲史氏が、最近の多発性骨髄腫治療と今後の展望ついて紹介する。

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治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬増強療法

 治療抵抗性うつ病の臨床症状として、自殺念慮や重度の機能障害が認められることがしばしばある。治療抵抗性うつ病の治療に対し、使用可能な薬剤の中で、第2世代抗精神病薬が有用であることが報告されている。イタリア・ミラノ大学のFilippo Cantu氏らは、治療抵抗性うつ病に対する第2世代抗精神病薬増強療法の有効性を評価するため、臨床研究のレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月5日号の報告。 2000年1月~2020年3月に公表された、治療抵抗性うつ病に対する抗精神病薬増強療法を評価したすべてのランダム化比較試験を、PubMed、Medline、PsychINFOより包括的に検索した。選択基準を満たした研究は16件であった。 主な結果は以下のとおり。・レビューした研究では、治療抵抗性うつ病に対してアリピプラゾール増強療法が有用である可能性が示唆された。・また、不安神経症や不眠症を合併した治療抵抗性うつ病に対するクエチアピン増強療法の使用も支持された。・治療抵抗性うつ病に対するリスペリドンとオランザピンの効果を検討した研究はあまりなかったが、予備データでは、プラセボよりも有用であることが示唆されており、治療選択肢となりうると考えられる。・本研究の限界として、治療抵抗性うつ病の定義が一貫していない、サンプルサイズが小さい、抗精神病薬の投与量が不均一である点が挙げられる。 著者らは「全体として、治療抵抗性うつ病に対する第2世代抗精神病薬増強療法、とくにアリピプラゾールとクエチアピンによる治療は、有用な治療選択肢であるという仮説を支持するものであった。しかし、治療抵抗性うつ病の治療アウトカムを改善するためには、サンプルサイズの大きな、質の高いランダム化比較試験が必要であると考えられる」としている。

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COVID-19の後遺症は女性のほうが多い/和歌山県

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、寛解後に後遺症が残ることが知られつつあり、わが国では国立国際医療研究センターから「Long-COVID:専門医が語る新型コロナ後遺症の実態」などの研究・発表が行われている。 地方レベルでは、和歌山県も11月に「新型コロナウイルス感染症の後遺症等のアンケート調査の結果について」の結果を公表している。 本稿では、アンケート内容の概要を記す。アンケート概要目的:和歌山県における新型コロナウイルス感染者の退院後の症状や生活状況等を把握し、啓発や対策に繋げる対象者:新型コロナウイルス感染者で9月14日時点で退院後2週間以上経過している者方法:感染者の管轄保健所からの郵送もしくは聞き取り調査対象者数:216人回答者数:163人(性別 男性97:女性66)回答率:75.5%退院後も「嗅覚障害」は継続してある 有症状者の状況として、症状があると回答した男性は42人(43%)、女性は33人(50%)であり、女性のほうが多かった。年代では、20代が19人と最も多く、50代(17人)、60代(11人)と続いた。 「退院後の症状」として退院後何らかの症状がある75人のうち、症状で最も多かったのは「嗅覚障害」だった。続いて「倦怠感」、「味覚障害」、「呼吸困難感」と多かった。また、無症状で経過した人が退院後に「倦怠感」や「集中力低下」、「記憶障害」、「目の充血」を訴える例もあった。 「退院後の症状」について男女別では、「倦怠感/味覚障害/脱毛」は男女同数だったが、「呼吸困難感」「頭痛」は女性のほうが多く、「嗅覚障害」「集中力低下」「睡眠障害」「記憶障害」は男性のほうに多かった。 「入院中重症度別 後遺症」では、退院後、肺炎以上の重症度のうち約2~3割の人に「倦怠感」や「呼吸困難感」が継続していたほか、「胸痛」も約1割の人にあった。重症者には「関節痛」が約2割と多かった。また、約1割の人において「咽頭痛」が継続していたほか、「食欲不振」も重症者に多い傾向だった。「味覚障害」「嗅覚障害」については重症度に関わらず約2割の人に継続していた。自宅待機は身体面、精神面に影響を与える 退院後の回復状況については、回復しているが119人(76%)で、少し不調30人(19%)、不調7人(5%)であった。また、年齢別では、回復していると回答した回復者の割合が高いのは、20代以下の若い年代と70代以上の高齢者だった。その一方で、30代~60代では、回復者の割合がそれらより低かった。とくに、50代で回復者の割合が60%と最も低かった。 「療養生活中や退院後の生活において困ったこと(重複回答あり)」では、「自宅待機中の生活」(8人)、「体調の回復や健康面への不安」(7人)、「風評被害、誹謗中傷」(7人)、「療養生活での不安やストレス」(6人)の順で多く、精神面での事項を回答する人も多かった。 まとめとして和歌山県では、「今回の調査では、症状の持続期間が正確に捉えることはできなかった」とし、「退院後の症状がどのような機序で起こるのかなど研究成果が待たれる。今後、必要に応じてさらなる調査を行うことを検討する」と今後の調査継続を示唆している。

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IL-1阻害薬、心膜炎の再発リスクを低減/NEJM

 再発性心膜炎患者において、インターロイキン-1(IL-1)阻害薬rilonaceptはプラセボと比較して迅速な症状改善をもたらし、さらなる再発のリスクを有意に低下することが示された。米国・クリーブランドクリニックのAllan L. Klein氏らRHAPSODY研究チームが、第III相の多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した。IL-1は再発性心膜炎のメディエーターとして関与することが知られている。IL-1αおよびIL-1βサイトカインの働きを阻害するrilonaceptの有効性と安全性は、すでに再発性心膜炎患者を対象とした第II相試験で確認されていた。今回の第III相試験では、rilonaceptはプラセボよりも再発リスクを低下するとの仮説を検証する目的で実施された。NEJM誌オンライン版2020年11月16日号掲載の報告。再発患者を対象に、rilonacept単独治療とプラセボ治療を比較 試験はオーストラリア、イスラエル、イタリア、米国にて、プラセボ対照、イベントドリブン・試験中止の方法にて実施された。被験者は、再発性心膜炎の急性症状(患者の自己申告スケールで評価)および全身性の炎症(CRP値上昇)を呈した患者とした。 標準治療中に心膜炎を再発した患者を12週間の導入(run-in)期間に登録。rilonacept治療を開始し(負荷投与量320mg[18歳未満は4.4mg/kg体重]、その後は週1回160mg[同2.2mg/kg体重]を維持投与)、バックグラウンド治療は中止された(安定化期間1週間、減弱期間9週間、rilonacept単独期間2週間)。 臨床的な効果(事前規定の効果判定基準を満たすなど)を示した患者を1対1の割合で無作為に割り付け、週1回皮下投与のrilonacept単独治療またはプラセボ治療が継続された。 有効性の主要エンドポイントは、Cox比例ハザードモデルで評価した、初回心膜炎再発までの期間であった。安全性についても評価した。症状改善後の再発率、rilonacept群7%、プラセボ群74% 合計86例の心膜炎(胸痛およびCRP値上昇)患者が導入期間に登録された。登録は2019年1月9日~2020年1月17日に行われた。登録患者の平均年齢は44.7歳、57%が女性であった。 同期間中の、胸痛の解消またはほぼ解消までの期間中央値は5日(95%信頼区間[CI]:4~6)であり、CRP値正常化までの同期間は7日(5~8)であった。事前規定の治療効果を認めるまでの期間中央値は5日(4~7)であった。 合計61例が無作為化を受けた。無作為化治療中止試験中の再発イベントは、rilonacept群では少な過ぎて、初回再発までの期間中央値を算出できなかった。プラセボ群は8.6週(95%CI:4.0~11.7)であり、rilonaceptはプラセボよりも再発リスクが低かった(Cox比例ハザードモデルのハザード比:0.04、95%CI:0.01~0.18、log-rank検定のp<0.001)。同期間中の心膜炎の再発例は、rilonacept群2/30例(7%)、プラセボ群23/31例(74%)であった。 導入期間において、4例が有害事象を発現しrilonacept単独治療が中止となった。rilonacept単独治療に関連した最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応、上気道感染症であった。

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ゴリムマブ、1型糖尿病若年患者のインスリン産生能を改善/NEJM

 新たに顕性1型糖尿病と診断された小児および若年成人において、ゴリムマブの投与はプラセボに比べ、内因性インスリン産生能が優れ、外因性インスリンの使用量は少ないことが、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のTeresa Quattrin氏らが行った「T1GER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年11月19日号に掲載された。1型糖尿病は、膵β細胞の進行性の低下で特徴付けられる自己免疫疾患である。ゴリムマブは、腫瘍壊死因子αに特異的なヒトIgG1-κモノクローナル抗体であり、欧米では成人の関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患、欧州などでは多関節型若年性特発性関節炎や小児の非X線的体軸性脊椎関節炎などの治療法として承認されている。ゴリムマブによる1型糖尿病若年患者の改善効果を評価 本研究は、新規の顕性1型糖尿病若年患者におけるゴリムマブによる膵β細胞機能の保持および糖尿病関連の臨床・代謝指標の改善効果の評価を目的とする二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であり、米国の27施設が参加した(Janssen Research and Developmentの助成による)。 対象は、年齢6~21歳、米国糖尿病学会(ADA)の判定基準で新たに顕性(ステージ3)1型糖尿病と診断され、4時間混合食負荷試験でC-ペプチド値が0.2pmol/mL以上の患者であった。被験者は、ゴリムマブを皮下投与する群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けられ、52週間の投与を受けた。 主要エンドポイントは、52週の時点における内因性インスリン産生量とし、4時間混合食負荷試験で産生されたC-ペプチドの濃度-時間曲線下面積(4時間C-ペプチドAUC)で評価された。副次および追加エンドポイントは、インスリン使用量、糖化ヘモグロビン値、低血糖のイベント数、経時的空腹時プロインスリン/C-ペプチド比などであった。ゴリムマブによりβ細胞の健全性が改善されたと示唆される 顕性1型糖尿病若年患者84例が登録され、56例はゴリムマブ群(平均年齢[±SD]13.9±3.7歳、男性55%)、28例はプラセボ群(14.0±4.0歳、64%)に割り付けられた。52週の期間中の平均投与期間は、ゴリムマブ群が47.1週、プラセボ群は49.0週であり、この期間に可能であった27回の注射のうち、それぞれ平均24.2回および24.9回の注射が行われた。 52週の時点における4時間C-ペプチドAUCの平均値(±SD)は、ゴリムマブ群が0.64±0.42pmol/mLと、プラセボ群の0.43±0.39pmol/mLに比べ有意に高かった(p<0.001)。4時間C-ペプチドAUCのベースラインからの変化の平均値は、ゴリムマブ群が-0.13pmol/mL、プラセボ群は-0.49pmol/mLであり、平均低下率はそれぞれ12%および56%であった。 目標達成に向けた治療(treat-to-target)アプローチによって、両群とも良好な血糖コントロールが達成された。平均糖化ヘモグロビン値は、ベースラインがゴリムマブ群7.0±1.1%、プラセボ群7.1±1.2%で、52週時はそれぞれ7.3±1.5%および7.6±1.2%であった。ベースラインから52週までの変化の最小二乗平均値(±SD)には、両群間に有意な差は認められなかった(0.47±0.21% vs.0.56±0.29%、p=0.80)。 平均インスリン使用量は、ベースラインがゴリムマブ群0.42±0.26U/kg/日、プラセボ群0.44±0.20U/kg/日、52週時はそれぞれ0.51±0.28U/kg/日および0.69±0.26U/kg/日であり、ベースラインから52週までの変化の最小二乗平均値(±SD)はゴリムマブ群で有意に低かった(0.07±0.03U/kg/日 vs.0.24±0.04U/kg/日、p=0.001)。 52週時の低血糖イベント数の平均値は、ゴリムマブ群38.2±35.7件、プラセボ群42.9±4.0件であり、両群間に差はなかった(p=0.80)。部分寛解反応(インスリン量で調整した糖化ヘモグロビン値スコア[糖化ヘモグロビン値+4×インスリン量]≦9)は、ゴリムマブ群43%、プラセボ群7%で観察された(群間差36ポイント、95%信頼区間[CI]:22~55)。また、52週の期間中の空腹時プロインスリン/C-ペプチド比中央値は、ゴリムマブ群のほうが安定しており、両群間の差は0.124(95%CI:0.064~0.184)と、ゴリムマブ群で効果が高いことが示唆された。 有害事象は、ゴリムマブ群91%、プラセボ群82%で発現した。感染症はそれぞれ71%および61%で発症したが、重度および重篤な感染症はみられなかった。担当医の判定で有害事象として記録された低血糖イベントは、ゴリムマブ群13例(23%)、プラセボ群2例(7%)で報告された。また、ゴリムマブに対する抗体は30例(54%)で検出され、29例は抗体価が1:1,000未満であり、このうち12例が中和抗体陽性だった。 著者は、「膵β細胞機能障害の指標である空腹時プロインスリン/C-ペプチド比が、プラセボ群では試験期間中に経時的に増加したのに対し、ゴリムマブ群ではほとんど変化しなかったことから、ゴリムマブによりβ細胞の健全性が改善されたと示唆される」としている。

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「肺診療ガイドライン」改訂、会員アンケートから見えた改善点は?/日本肺学会

 2020年11月、「肺診療ガイドライン」改訂版が公開された。肺診療は新規薬剤が次々と承認され、ガイドラインが毎年改訂されるという特異な状況にある。11月に行われた第61回日本肺学会学術集会では「肺診療ガイドライン(薬物):過去10年の軌跡とこれからの未来」と題し、ガイドライン作成・改訂のこれまでを振り返り、今後について議論するシンポジウムが行われた。 この中で国立がん研究センター東病院呼吸器内科の野崎 要氏は「ガイドラインは誰のものか?:アンケート結果報告」と題し、日本肺学会正会員(医師)の薬物療法従事者を対象に行ったアンケート結果を発表した。このアンケートは肺診療ガイドラインの使用実態を調査し、以後の改訂に活かすことを目的に、2020年6~10月にWeb上で行われたもの。有効回答数は540だった。 「現在の肺診療ガイドラインに満足していますか?」(単一回答)との設問では、「満足している」(28%)、「どちらかといえば満足している」(65%)との回答が計93%となり、概ね満足している現状が確認された。さらに、「肺診療ガイドラインを日々の診療において参考にしていますか?」との設問にも「参考にしている」(76%)、「どちらかといえば参考にしている」(21%)で計97%と、多くが参考にしていると答えた。 演題のテーマにも掲げられた「肺診療ガイドラインの最も適切な読者対象は?」(単一回答)との設問には「肺診療専門医」が58.5%だった一方で、「肺診療非専門医」との回答も29.4%あり、「その他」として「肺診療に携わるすべての医師・医療者」といった回答も寄せられた。野崎氏は「専門医のニーズを満たしつつ、非専門医も使えるガイドラインを提供する、というこれまでの方針の妥当性を確認できた」とした。 続けて、「現在の肺診療ガイドラインの長所」(複数回答可)として挙げられた点としては、「樹形図により選択肢が明確である」(64.1%)、「各項の内容が詳しく記述されている」(55.4%)、「推奨の記載が明確である」(54.5%)等、各改訂時に委員が工夫、改善してきた点が評価された。一方で「短所」としては、「同じCQで推奨される治療法が複数ある」(24.1%)が最多となり、その最たる例として「EGFR遺伝子陽性NSCLC患者の1次治療」として7種ものレジメンが挙げられている状況を紹介した。「委員会内でもこの点は常に議論になっている。現場であまり使われなくなった薬剤は削るべきとの議論もあったが、現在のエビデンスでは時期尚早と判断した」(野崎氏)と説明した。 自由記載欄には「保険適応のない薬剤が推奨されており、しかも解説がない」「発刊時には既に新しい治療が期待されていることが多いので、その注意書きが欲しい」といった治療の進歩が速い肺診療ならではの意見も寄せられた。 「推奨度の決定に置いて、重要な要素は下記のどれだと考えますか?」という設問において優先順位順に回答を募ったところ、1番は「全生存期間(OS)」75.4%、2番は「無増悪生存期間(PFS)」が51.1%と過半以上を占めたが、3番以降は「費用対効果」「QOL」「毒性(有害事象)」と回答が分かれたという点も紹介した。 遺伝子パネル検査や新規薬剤の登場で高額化が著しいがん診療において、現在ガイドラインでは触れられていない「費用対効果(コスト)」の視点を盛り込むべきなのか、盛り込むとしたら誰の視点から評価すべきなのか、という点は、シンポジウム全体を通じた大きな論点となっていた。 第61回日本肺学会学術集会は21日(月)までオンデマンド配信が行われている(http://conference.haigan.gr.jp/61/ondemand/ 要参加登録)。

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資金提供者との利益相反の開示だけでなく独立性も大切(解説:折笠秀樹氏)-1327

 臨床試験方法論専門家20人に対する利益相反(COI)に関する電話調査の結果です。20人のうち医師は12人、統計家は4人でした。米国ではSalim YusufやCurt Furbergなど、医師で方法論専門家が多いのは知っていたのでうなずけました。真ん中半分は20~100の試験に関与していました。私自身もおよそ100試験に関与したので、親近感を持って読みました。 ここでCOIと言っている対象は製薬企業などのスポンサー(つまり主宰者)ではなく、ファウンダー(つまり資金提供者)ではないかと思われます。いわゆる治験は対象ではないと思われます。財団や政府が資金提供して行われた臨床試験なのでしょう。企業主導の臨床試験(治験)だと、計画や解析に企業が関与しないわけがないからです。 COIの影響を感じた場面として何があるか。早期中止、割付操作、データ捏造を考えてみたいと思います。早期中止の判断については、自身の経験からも多かったように思います。資金が枯渇したから、提供者側から中止が決定されることはあります。割付操作の例としては、割付表の封筒を開封した例が挙がっていました。日本でも過去にそういった例はありましたが、今どき封筒法を使用することはないでしょう。データ捏造は日本でもありました。それを契機に臨床研究法も作られたほどです。捏造までいかなくても、「因果関係あり」だったのを「なし」に変えてしまう例などはよく見掛けます。 COIの影響をなくすにはどうするか。開示と独立性を挙げています。COIについては今では開示しているし、謝金などについても開示が原則です。しかし、少し前まではそうでない例も見られました。当該薬剤が絡む試験だと、その製薬企業の社員が手助けすることもありました。その事実を開示しなかったことで、数年前に明るみになった事件がありました。もう1つは独立性です。計画を立てるときに、資金提供団体は口を挟まないことです。当該薬剤が絡む試験では、今でも裏で情報交換している例はあると思われます。少なくとも試験統計家については、関係する薬剤を販売する企業からアドバイザー料をもらっていない人に限るなどの基準は必要かもしれません。解析はどうでしょうか。少し前までは当該薬剤の企業が担っている例がありました。今はそういうことはなく、試験統計家が解析していると思います。しかし、結果をそれとなく探ることはないとは言えないでしょう。 企業治験でも、最近は外部CROに解析を委託することが多いようです。企業を信頼すればよいのですが、独立性の担保がいろいろな場面で求められつつあります。

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医療機器選定を巡って医師へのリベートは尽きない(解説:折笠秀樹氏)-1328

 企業が医師へ渡すリベートが増えるにつれ、医療機関がその企業の医療機器を選定しがちだという報告です。人の心理としては、もしコスパに違いがなければ、印象のよい企業に決めるのは当たり前だと思います。しかし、キックバックが一番大きい企業に決めるというのは筋違いではないでしょうか。病院にとって支払う額は高くなるわけだし、医療費を上げることにもなるでしょう。そうすると、損をするのは患者になるわけです。どの世界でも営業でキックバックはあるかもしれませんが、それは消費者の損になることです。個人的にはやめてもらいたいと思います。 医療機器選定を巡る企業から医師へのリベートは、2020年11月24日の朝日新聞デジタルでも記事になっていました。今でもそのようなキックバックがあるのでしょうね。その額、なんと1人の医師に対して500万円弱(20人超に1億円という記載)というのですから驚きです。 この研究では、植込み型除細動器のレジストリデータから患者および病院医師の情報を収集し、企業から病院医師への支払いデータベースとリンクさせました。共通IDでもあるのでしょうか。決してたやすい作業ではないように思います。この研究では、医療機器メーカーからの支払い額は年に4万~37万円(真ん中50%)でした。日本の数字に比べるとかなり少ないですが、年に250万円以上という医師が4%いました。 リベートの振込先ですが、日本の場合は家族や親族の口座へ振り込まれたケースもあったようです。これでは隠しているとしか思われません。正々堂々と利益相反を申告するようになれば、それに基づいて選定委員から外すことはできます。それでも委員へ働きかけをするかもしれません。あとは誠実性を信じるしかありません。この研究では、リベートは旅費・講演料・コンサルティング費・研究費などのようでした。したがって、個人口座あるいは職場口座だと思われます。訳のわからない使途不明金ではなさそうです。 病院には医療機器選定委員会があるはずです。素人ばかりではコスパの評価ができないので、専門家が入らざるを得ないのですが、金まみれの人がいれば外すのは当然でしょう。随意契約はよく非難されますが、一般競争入札でも不正はあります。専門家であれば仕様書を巧みに作れます。それによって1社に絞られてしまうのです。それではどうすればよいのでしょうか。最後は、人間の良心や誠実さを信じるしかないと思います。

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スマホ中毒は女性に多い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第176回

スマホ中毒は女性に多いphotoACより使用私は子供の寝かしつけの時、枕の下にスマホをしのばせて、右半分でトントンしながら左半分でスマホをみるという特技を持っています。……。…………。というわけで、今回はスマホ中毒の話ッ!Tangmunkongvorakul A, et al.Factors associated with smartphone addiction: A comparative study betweenJapanese and Thai high school studentsPLoS One . 2020 Sep 8;15(9):e0238459.これは、タイと日本における高校生のスマホ中毒について調べた集団ベース研究です。高校2年生に該当する16~17歳の男女を被験者としました。Youngらによって開発された、20項目の質問からなるインターネット依存症を、スマホ中毒版に改変して診断しました。そして、多変量ロジスティック回帰分析を用いて、スマホ中毒に関連する因子を調べました。合計7,694人の生徒が登録されました(日本:6,585人、タイ:1,109人)。スマホ中毒の頻度は、日本の高校生で12%、タイの高校生で35.9%でした(日本と比較したタイの補正オッズ比[aOR]:2.76、95%信頼区間[CI]:2.37-3.30)。日本のほうがIT機器の普及が多いと思っていたのですが、日本の高校生におけるスマホ普及率は95%、タイの高校生は97.5%と、むしろタイのほうが多いという結果でした。女子高生は、スマホ中毒のリスク上昇と関連していました(日本のaOR:1.53、95%CI:1.32~1.78、タイのaOR:1.34、95%CI:1.01~1.78)。日本の高校生では、「両親は、私の元気がないときに気付く」(aOR:0.77、95%CI:0.61~0.96)、「両親は、私に何かいいことがあったとき気付く」(aOR:0.78、95%CI:0.61~0.99)、という質問はスマホ中毒のリスク低下と関連していました。今や、小学生もスマホを持って、SNSを活用する時代となりました。見知らぬ人と出会う約束をして、犯罪に巻き込まれたなんて事件もありました。そういうときこそ、親と子のリアルな関係性が重要になるのです。SNSで下ネタをつぶやいていたら、お母さんがフォロワーにいて「恥ずかしいからやめなさい」と言われた高校生もいるらしいです。すごい時代ですな。

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第36回 無罪のままのディオバン事件関係者、これからの行方は?

世の中は相変わらず新型コロナウイルス感染症に関する話題で持ちきりだが、先日ふと「もう2年が経ってしまったか」と思った事件がある。一時世間をにぎわした、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)・バルサルタン(商品名:ディオバン)の旧薬機法違反事件の検察による上告の件である。ここで改めて事件を振り返りたい。バルサルタンは日本国内だけで一時年間売上高1,000億円を超えたトップクラスの医薬品。そもそもARBを含む降圧薬は血圧を低下させることで脳心血管疾患の発症を予防することが服用目的だ。このため、降圧薬を擁する製薬各社はプロモーション活動を有利にするため、市販後に心血管疾患の発症予防効果を確認する大規模な臨床研究を行う。ご多分に漏れずバルサルタンでもそうした臨床研究が国内で複数行われ、いずれもバルサルタンでのポジティブな結果だったことから、製造販売するノバルティス社のプロモーション資材などで大々的に紹介された。ところが2012年に当時の京都大学医学部附属病院循環器内科助教の由井 芳樹氏がLancetなど複数の学術誌で、国内で行われたバルサルタンにポジティブな結果を示した臨床研究である、京都府立医科大学による「Kyoto Heart Study」、東京慈恵医科大学による「Jikei Heart Study」、千葉大学による「VART」の統計処理の不自然さを指摘したことをきっかけに問題が顕在化した。そしてこの件に加え、この3つの臨床研究の共同研究者として名を連ねていた大阪市立大学の研究者が実際にはノバルティス社の社員であることが発覚。前述の3研究以外にもこの社員が共同研究者として参加したことが判明した、バルサルタン関連の研究である滋賀医科大学の「SMART」、名古屋大学の「Nagoya Heart Study」にも不自然な点があることも分かった。各大学は調査委員会を設置し、データの人為的な操作がうかがわれる、あるいはデータ管理がずさんという調査結果が公表し、いずれの研究も既に論文は撤回されている。この件については厚生労働省も2013年に検討会を設置して関係者などをヒアリング。2014年1月にはバルサルタンに有利な形に研究データを操作して掲載に至った論文をプロモーションに用いた行為が薬事法(現・薬機法)第66条に基づく誇大記述・広告違反に該当するとしてノバルティス社を東京地検に刑事告発。この結果、同年6月に東京地検は大阪市立大学教官を名乗っていた前述のノバルティス社員を逮捕し、社員と同時に同法第90条に定める法人の監督責任に伴う両罰規定に基づき法人としてのノバルティス社も起訴した。一審で元社員、ノバルティス社はともに一貫して無罪を主張。2016年12月、検察側は元社員に懲役2年6ヵ月、ノバルティス社に罰金400万円を求刑したが、2017年3月16日の一審の判決公判で、東京地裁は両者に無罪の判決を言い渡し、これを不服とする検察側が控訴した。しかし、控訴審判決で、東京高裁は2018年11月19日、一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却。これに対して東京高検は同年11月30日に最高裁に上告していた。それから何の判断も下らず2年が経過したのであるそもそもなぜこの事件では現時点まで無罪という判断が下っているのか?実は一審判決では、起訴事由となった研究論文作成の過程で元社員がバルサルタンに有利になるようなデータ改ざんを行っていたことは認定している。しかし、判決で裁判長は薬事法第66条で言及する「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布」は、(1)医薬品の購入意欲を喚起・昂進するもの、(2)特定医薬品の商品名の明示、(3)一般人が認知できる状態、の3要件すべてを満たすものと指摘。この件はこのうちの(2)、(3)を満たすものの、(1)については一般的な査読のある学術誌に掲載された研究論文は、「購入意欲を喚起・昂進するもの」との要件を満たしているとは言い難いとして、第66条が規定する「広告」「記述」「流布」のいずれにも当たらず、違法とはならないとの判断だった。法的解釈、あるいは製薬業界内の論理で考えれば、この判決は妥当との判断もできるかもしれない。しかし、一般社会に向けて「保険薬のプロモーションに利用された論文に改ざんはあれども違法ではない」と言われても、にわかには納得しがたいはずだ。一審判決時、裁判長が無罪判決を言い渡した直後、法廷内は数秒間静まり返り、その後「フー」とも「ホー」とも判別できない微かな声が広がった様子をやはり法廷内にいた私は今でも覚えている。顔見知りの記者同士は互いに無言のまま目を大きくして顔を見合わせた。意外だという反応の表れだった。東京地検は即座に控訴するが、その理由の中でノバルティス社側には論文の執筆・投稿に明確な販促の意図があり、査読のある学術誌への掲載という外形的な事実のみで「広告」に当たらないとするのは事実誤認であると主張していた。これに対して控訴審判決では、学術論文は客観的に顧客誘引性を有しておらず、論文を宣伝に用いようとしていた被告らの行為も顧客誘引の準備行為と言えるものの直接的に顧客誘引の意図があったとは認められないとして控訴を棄却した。また、66条の規制に学術論文を認めた場合、論文内に不正確性などがあった場合は、その都度、故意の有無を問わねばならず、「学問の自由」への侵害ともなりかねないと指摘。虚偽の学術論文による宣伝行為に関しては「何らかの対応が必要だが、66条1項での対応は無理があり、新たな立法措置が必要」とした。簡単に言えば、「問題のある行為だが、今の法律では裁けない」ということだ。確かに控訴審の判断まで聞けば、ある意味無罪もやむなしなのかと個人的には思った。しかし、何ともモヤモヤした思いが残る。そして東京高検は上告に踏み切った。当時、東京高検周辺を取材した際に上告理由として浮上してきたのは、「経験則違反」と「著反正義」の2点である。経験則違反は判例などに照らして事実認定すべきものを怠った場合を指し、著反正義は控訴審判決を維持した場合に、著しく社会正義が損なわれるという考え方。東京高検が経験則違反に当たる事実認定をどの部分と考えているかは不明だ。控訴審での検察の主張と判決を照らし合わせると、論文の作成過程に関してノバルティス社が深く関与したにもかかわらず、判決ではあくまで広告の準備段階としてこの行為そのものに顧客誘引性は認定しなかったことを指すと思われる。著反正義はまさに地裁判決で認定された元社員によるデータ改ざんがありながら、罪には問えない点が該当するとみられる。さてそこで上告から2年経つわけだが、そもそも直近のデータでは刑事事件で上告されたケースの8割は上告棄却になり、2割弱は上告が取り下げられる。最高裁が下級審の原判決を破棄して判決を下す「破棄自判」、下級審での裁判のやり直しを命じる「破棄差戻・移送」は極めて稀である。しかも上告棄却の場合は約95%が上告から半年以内に行われる。もちろん今回のバルサルタン事件のように上告から2年以上音沙汰なしだったものが、最終的に上告棄却となったものもあるが、その確率は直近で0.4%。ちなみに最新データによると、上告事件で破棄自判となったものはそれまでに2年超、破棄差戻・移送では1年超が経過している。バルサルタン事件がいずれの判断になるかは分からない。だが、どうなろうとも現時点で極めて異例な事態となっているのだ。そして、もし原判決が覆ることになれば、おそらく「製薬企業の資金支援がある研究論文≒広告」という決着になるだろう。その場合、医療用医薬品情報提供ガイドラインの登場、コロナ禍によるリモートプロモーションの増加と同等あるいはそれ以上のインパクトを製薬業界に与えることは間違いないと思っている。

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医師が選ぶ「2020年の顔」TOP5!(医療人、政治家部門)【ケアネット医師会員アンケート結果発表】

新型コロナの国内発生と流行、緊急事態宣言、東京五輪延期…本当にいろいろあった2020年―。今年を振り返ってみて思い浮かぶのは誰の顔でしょうか。ケアネットでは医師会員にアンケートを実施。535人の先生方にご協力いただき、選ばれた「今年の顔」は?今回は、医療人部門と政治家部門のTOP5をご紹介します!新型コロナのコメンテーター部門 、文化・芸能人部門 はこちら!医療人部門第1位 尾身 茂氏ダントツの得票数で第1位となったのは、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議およびその後の分科会で、中心的役割を担っている尾身 茂先生。経験に裏付けされたリーダーシップはもちろん、記者会見などでは報道陣からの質問に根気強く答える姿も印象的でした。選んだ理由のコメント中には、「安定」や「信頼」という言葉が多く並びました。 「尾身 茂」氏を選んだ理由(コメント抜粋)指導者として信頼しています。(60代 産婦人科/大阪府)今年はこの人しかいないでしょう。(40代 内科/東京都)医療と政治の板挟みに苦悩しているところが印象に残った。(50代 精神科/神奈川県)第2位 忽那 賢志氏コメンテーター部門での1位に続き、医療人部門でも2位にランクイン。新型コロナの最前線で診療に当たる感染症専門医として、医師からの知名度と信頼度の高さが伺える結果となりました。国内での症例数があまり多くなかった段階から、エビデンスに自身の診療経験からの知見を織り交ぜ、わかりやすく解説されていた姿が印象に残った先生も多かったのではないでしょうか。 「忽那 賢志」氏を選んだ理由(コメント抜粋)臨床で活躍されており、経験、知識も豊富で、説明も論理的で分かりやすい。(40代 内科/埼玉県)最も信頼できるから。(40代 精神科/愛知県)さまざまなメディア、講演会などで見かける機会が多かったから。(20代 臨床研修医/滋賀県)第3位 岩田 健太郎氏ダイアモンドプリンセス号についてのYouTube動画の配信は、大きな反響を呼びました。選んだ理由についてのコメントでは、「世の中にインパクトを与えた」という声のほか、「良くも悪くも発信力があった」といった声も。現場の医療者が発信する情報として、その後も発信を継続的にチェックしていたという声もあがっています。 「岩田 健太郎」氏を選んだ理由(コメント抜粋)新型コロナウイルス感染症に関する行動および発言が際立っていた。(40代 精神科/北海道)現場の実態をわかっているから。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科/兵庫県)いい意味でも悪い意味でも印象に残ったから。(50代 神経内科/徳島県)第4位 西浦 博氏 「西浦 博」氏を選んだ理由(コメント抜粋)純粋に学問的見地からがんばっておられた。(40代 皮膚科/東京都)統計を介したモデルだが世間で議論するたたき台となった。(30代 膠原病・リウマチ科/北海道)コロナ対策で奮闘された。(20代 臨床研修医/東京都)第5位 山中 伸弥氏 「山中 伸弥」氏を選んだ理由(コメント抜粋)独自の視点で情報発信されているので。(50代 消化器内科/山口県)ツベルクリンの話に共感したから。(50代 産婦人科/愛媛県)政治家部門第1位 安倍 晋三氏憲政史上最長となる7年8ヵ月の長期政権を築き、今年9月に体調不良を理由に辞任した安倍 晋三前内閣総理大臣が第1位に。 アベノマスクや給付金支給などの施策を含め、先進諸国の中では結果的に感染者数を抑えたことを評価する声、体調を慮る声が多くみられました。持病とされる潰瘍性大腸炎に光を当てることにも貢献されたのではないでしょうか。 「安倍 晋三」氏を選んだ理由(コメント抜粋)日本で結果的に感染者を増やさなかったから。(30代 泌尿器科/福岡県 他多数)体調の悪い中リーダーとして可能なかぎりの仕事をされたと思います。(30代 耳鼻咽喉科/福岡県)在任時のさまざまな対策は今も続行されている。(50代 消化器外科/鹿児島県)第2位 吉村 洋文氏新型コロナウイルス感染拡大で各首長のリーダーシップが求められるなか、1975年生まれ45歳の大阪府知事はスピード感のある対応や発信力の高さで注目を集めました。ポピドンヨード入りのうがい薬を推奨した件では批判を浴びましたが、「何とか状況を改善しようと先頭に立って行動している」と評価する声が多く上がりました。 「吉村 洋文」氏を選んだ理由(コメント抜粋)誤った情報もあるが、責任ある立場でより良い方向を目指している姿勢が伝わるから。(30代 小児科/大阪府)第一波の時の対応の早さは今までの日本の政治家ではあまり見られなかったと思う。(40代 泌尿器科/兵庫県)フットワーク良く決断力がある。(40代 糖尿病・代謝・内分泌内科/京都府)第3位 菅 義偉氏第2次安倍政権が発足した2012年以降、長きにわたり官房長官を務めてきた菅氏が、安倍政権を引き継ぐ形で第99代内閣総理大臣に就任しました。突然の交代、そして新型コロナ感染症対応が求められる難しいタイミングでの就任となりましたが、官房長官としての第一波への対応経験に期待するコメントが多く寄せられました。 「菅 義偉」氏を選んだ理由(コメント抜粋)官房長官として初期対応から重責を担っていたから(20代 臨床研修医/滋賀県)安倍政権時代から比較的バランスのとれた政策、実行力が感じられた(40代 血液内科/宮城県)期待も込めて(40代 病理診断科/島根県)第4位 オードリー・タン(唐 鳳)氏 「オードリー・タン」氏を選んだ理由(コメント抜粋)封じ込めに成功した台湾のキーマンである。(40代 神経内科/茨城県)日本のITがいかに遅れているのかを気づかせてくれた。(30代 臨床研修医/福岡県)若くて頭も切れて素晴らしい。(40代 皮膚科/群馬県)第5位 蔡 英文氏 「蔡 英文」氏を選んだ理由(コメント抜粋)民主主義的な手法でコロナ収束に導いた。(30代 内科/広島県)初期のコロナ対策は見事。(30代 心療内科/東京都 他多数)★アンケート概要★アンケート名 :『2020年振り返り企画!さまざまな分野の「今年の人」を挙げてください』実施日    :2020年11月12日~19日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :535件

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うつ病に対する音楽療法~メタ解析

 音楽療法や音楽医学がうつ病に及ぼす影響およびその影響に関連する潜在的な因子を調査するため、中国・Bengbu Medical UniversityのQishou Tang氏らが、検討を行った。PLOS ONE誌2020年11月18日号の報告。 2020年5月までにうつ病に対する音楽による介入の有効性を評価した研究を、PubMed(MEDLINE)、Ovid-Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、EMBASE、Web of Science、Clinical Evidenceより検索した。標準化された平均差(SMD)の推定には、変量効果モデルおよび固定効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・55件のランダム化比較試験をメタ解析に含めた。・音楽療法は、対照群と比較し、抑うつ症状の有意な改善を示した(SMD:-0.66、95%CI:-0.86~-0.46、p<0.001)。音楽医学は、抑うつ症状軽減に対する強い効果が認められた(SMD:-1.33、95%CI:-1.96~-0.70、p<0.001)。・音楽療法の種類により、異なる効果が認められた。 ●レクリエーション音楽療法(SMD:-1.41、95%CI:-2.63~-0.20、p<0.001) ●音楽とイメージ誘導法(SMD:-1.08、95%CI:-1.72~-0.43、p<0.001) ●音楽支援リラクセーション(SMD:-0.81、95%CI:-1.24~-0.38、p<0.001) ●音楽イメージ療法(SMD:-0.38、95%CI:-0.81~0.06、p=0.312) ●即興音楽療法(SMD:-0.27、95%CI:-0.49~-0.05、p=0.001) ●音楽ディスカッション療法(SMD:-0.26、95%CI:-1.12~0.60、p=0.225)・音楽療法および音楽医学は、長期介入と比較し、短中期介入において強い効果が認められた。 著者らは「うつ病に対する音楽療法および音楽医学は、その種類により異なる効果が認められており、その効果は治療プロセスにより影響を受ける可能性がある」としている。

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