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第46回 新型コロナの緊急事態宣言、感染拡大の二の舞を踏まないための最適な解除時期は?

今年1月7日、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言が首都圏の1都3県にて発令されてから7週間が経過しようとしている。1月13日には宣言対象地域を栃木県、愛知県、岐阜県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県の2府5県に拡大。当初2月7日としていた期限は、栃木県を除き3月7日まで延長された。ただ、政府は延長当初から状況が改善された都府県に関しては、専門家の意見を聴取したうえで、3月7日を待たずに前倒しで宣言を解除する方針を明示。解除目安として昨年8月、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が提言した「今後想定される感染状況と対策について」で示された感染状況の分類、ステージI~IVのうちステージIIIになることとの方針も明らかにした。そして、ここにきて政府は関西3府県、中京2県について月内で宣言を解除する腹積もりがあるらしい。この記事が公開された頃には、たぶん5府県は宣言が解除されているのだろうと予想する。ちなみに前述の感染状況のステージとは、ステージIが「感染散発段階」、ステージIIが「感染漸増段階」、ステージIIIが「感染急増段階」、ステージIVが「感染爆発段階」のように分類され(カギカッコ内表記は分科会発表資料の趣旨を要約)、ステージIIIとステージIVは数値基準がある。ステージIIIは(1)入院者・重症者それぞれの病床使用率が20%以上、(2)10万人当たりの療養者数15人以上、(3)PCR陽性者率10%以上、(4)10万人当たりの新規感染報告数が1週間で15人以上、(5)直近1週間の新規感染者数が先週1週間の新規感染者数比で1倍以上、(6)新規感染者に占める感染経路不明率50%以上、となっている。ステージIVは、ステージIIIの(3)、(5)、(6)はそのままで、(1)が50%以上、(2)が25人以上、(4)が25人以上となった場合である。2月24日現在、関西3府県と中京2県の6指標はすべてステージIII以下である。具体的に説明すると、岐阜県は入院者の病床使用率が22%、愛知県は入院者病床使用率が30%で重症者病床使用率が25%、京都府は入院者病床使用率が30%で10万人当たりの療養者数16人、大阪府は入院者病床使用率が35%で重症者病床使用率が38%、兵庫県は入院者病床使用率が40%で重症者病床使用率が41%だ。これらがステージIIIに該当している以外は各項目ともステージII以下の水準である。確かに数字だけを見ればステージIII以下。ただ、改めて言うとステージIIIとは「感染急増段階」、あくまで一時的に最悪の状態を回避できているに過ぎない。ちょっとでも油断すれば、あるいは何かボタンを一つ押し間違えば一気にステージIVに達しかねないレベルである。たとえば、1日の感染者(PCR陽性者)報告で考えると、大阪府の場合、ステージIIIは189人、ステージIVが314人となる。大阪府の過去の数字に照らし合わせると、ちょうど昨年11月第1週がステージIIIに達したくらいだったが、11月第3週半ばにはステージIV水準になる。この間、要したのはわずか半月弱である。その後はスポットで感染者報告が減ることはあってもほぼステージIV水準を維持し続け、ステージIII水準に戻るのは1月第4週である。途中で緊急事態宣言という「劇薬」を使って、ざっと2ヵ月強かかっている。整理すると、わずか半月で起きた感染拡大を鎮火させるのに、半ば強制じみた措置を援用して2ヵ月以上かかったのだ。ちなみに現状の大阪府の1日当たりの新規感染者報告はすでに100人を切っているが、昨年この水準だったのは10月下旬である。そこから考えてもステージIV相当になるのに3週間である。しかも現状の大阪府の入院者、重症者の病床使用率はステージIIIの水準である。ここで感染者が増加に転じれば、感染者発生から重症者発生までの1週間強のタイムラグを考慮しても、最短で1ヵ月程度で病床使用率は再びステージIV水準に達してしまうだろう。すでに菅首相は高齢者のワクチン接種を4月12日には開始する旨を発表している。大阪府を例にとれば、いま宣言解除をすれば、下手をすると高齢者がワクチン接種のために出歩かなければならなくなる時期に感染爆発を招く恐れがある。その意味では、大阪府では1日の感染者報告数が50人前後、すべての指標がステージII水準になるぐらいが宣言解除時期としてより適切ということになるのではないだろうか?また、すべての指標がステージII段階とすれば、現時点で宣言解除の可能性が生まれ始めているのは、今の状態をあと1~2週間維持できれば、すべての指標がステージII入りすると推定できる愛知県、岐阜県ぐらいとなる。経済への影響を懸念する声があるのはもちろん承知しているが、現在の状況は1回目の緊急事態宣言発令時とは比較にならないほど感染が拡大している。1回目当時は最後まで緊急事態宣言が解除できずに残った5都道県のうち北海道と神奈川県は、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言を受けて策定した緊急事態宣言解除の数値基準を満たさなかったにもかかわらず、あれこれと理屈をつけて解除に踏み切った。結局その後2ヵ月足らずで第2波に突入し、それが収まるか収まらないかという綱引きが続くなかで、泥縄的に第3波入りし、今に至っている。もちろん緊急事態宣言が解除されたからと言って、自治体が飲食店の時短営業要請などを一気に緩和するわけではないことは百も承知している。しかし、宣言解除という事態が一般に与える心理的な効果、敢えて言えば気の緩みは小さくないものだと考えている。緊急事態宣言の解除が一部に見え始めている今だからこそ、情報を発信する側も気が抜けないと感じている。

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うつ病の再発に対する残存不眠症状の影響~日本のコホート研究

 うつ病の残存不眠症は、再発リスクに関連するといわれている。東京女子医科大学の稲田 健氏らは、不眠症状の残存している患者とそうでない患者におけるうつ病の再発パターンの比較を行った。Journal of Affective Disorders誌2021年2月15日号の報告。 日本の健康保険レセプトデータベースを用いてレトロスペクティブ縦断的コホート研究を実施した。対象は、2006年1月~2017年6月にうつ病と診断され抗うつ薬を処方された患者。残存不眠症の定義は、睡眠薬の処方として定義し、うつ病の再発は、抗うつ薬の処方として定義した。主要アウトカムは、うつ病の再発までの期間と1年再発率とした。うつ病の再発に関連する因子は、多変量解析により評価した。再発頻度に対する残存不眠症の影響を評価するため、カイ二乗検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者3万381例中、残存不眠症が認められた患者は4,166例であった。・残存不眠症患者の再発までの期間は、残存不眠症のない患者と比較し、有意に短かった(p<0.001)。・うつ病の1年再発率は、残存不眠症患者で43.4%(95%CI:41.9~45.0)、残存不眠症のない患者で7.4%(95%CI:7.1~7.7)であった。・うつ病の再発リスクは、残存不眠症患者のほうが有意に高かった(p<0.0001)。・残存不眠症は、ほかのさまざまな因子と比較し、うつ病再発の高リスクとの関連が認められた(オッズ比:9.98、95%CI:9.22~10.81)。 著者らは「本検討は、レセプトデータに基づいた分析であり、患者の正確な状態や服薬状況は反映されていない」としながらも「残存不眠症は、日本人うつ病患者の再発リスク因子であると考えられる」としている。

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LVEF15%以下の重症心不全患者に対するCRTの効果【Dr.河田pick up】

 心臓再同期療法(CRT)は、心室同期不全および左室機能不全を有する患者に対する最も重要な治療の1つである。多くのCRTに関連した研究における患者の左室駆出率(LVEF)の平均値は20~30%である。実臨床では、さらにLVEFが低下した患者によく遭遇する。こうした重度の左室機能不全を有する患者がCRTの恩恵を受けるのか、あるいはすでにCRTが有益である時点を過ぎた患者なのかは不明である。本研究は、米国・クリーブランドクリニックのJohn Rickard氏らが、重症心筋症に対するCRTの長期成績とLVEF回復の予測因子を求めることを目的に実施した。JACC electrophysiology誌2021年1月号に掲載。重症心不全(LVEF≦15%)患者420例が対象、レスポンダーは48.7% 2003年4月~2014年5月までの間に、クリーブランドクリニックとジョンズホプキンス大学系列の病院2施設において、LVEF≦15%かつQRS≧120msの心不全に対し、CRTの植込みを受けた患者420例の臨床および心エコーのデータを収集し、多変量解析を実施。CRTレスポンダーとなる因子を求めた。レスポンダーの定義は、LVEF>5%(絶対値)の改善、LVADの植込みおよび心移植が行われていないこととした。また、手技に関連した死亡のデータも集められた。 420例中298例が、事前および適切なタイミングで心エコーを受けており、うち145例(48.7%)がレスポンダーの基準を満たした。多変量解析では、左室のサイズと左脚ブロックがレスポンダーの予測因子であった。左室拡張末期径(LVEDD)の五分位に分けられたグループのうち、最も大きい拡張末期径を有するグループでは、30.4%がレスポンダーとなった。多変量解析では、小さい左室拡張末期径と左脚ブロックが、フォローアップ期間(平均5.2年)における心不全およびLVAD植込みを回避することの予測因子であった。手技と関連した死亡は認められなかった。左脚ブロックと左室拡張末期径が小さいことが予測因子となる 重症左室機能低下の心不全患者はCRTが奏効するが、その率は従来のCRT候補患者よりも低かった。左室のサイズが小さいことおよび左脚ブロックが、良好な予後につながる重要な予測因子であった(レスポンダー 左脚ブロック54.3%、右脚ブロック20.0%、非特異的心室伝導障害45.1%、ペーシング46.8%)。 最も左室が拡張した患者群においても、CRTによって30.4%の患者のLVEF改善が見られた。また、CRTの植込みに関連した手技で致死的な合併症は見られなかった。 現実問題として、左脚ブロックがあり、LVEFが悪い患者は、左室の拡大がいくら進行していても、CRTを試さないわけにはいかないであろう。ただこの研究は、CRTを植込まなかった群との比較ではないので、左室が拡大してしまった群での30.4%という数値の中に、どれだけCRTによる改善が含まれているかは不明である。薬物治療、心臓リハビリなどでも心機能が改善する可能性がある。また、心エコーによる5%の改善というのも、誤差の範囲に含まれるため、解釈には注意が必要である。大切なことは、LVEFが低くても、右脚ブロックでなければ、CRTで40~50%の患者でレスポンスが見込まれるということであろう。(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)

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新型コロナ、消化管内視鏡検査で飛沫からの感染リスクは?

 消化管内視鏡検査(GIE)は、早期発見と多くの疾患の治療に有用である一方で、医療スタッフが患者の分泌物の飛沫によって感染するリスクがあり、COVID-19パンデミック下においては危険度の高い処置と考えられている。本研究は、横浜市立大学病院の研究チームが、検査を実施する医療スタッフが曝露する可能性のある唾液および消化液により、SARS-CoV-2陽性となる割合を検証した。Digestive endoscopy誌オンライン版2021年2月6日号に掲載。 本研究では、2020年6月1日~7月31日に横浜市立大学病院でGIEを受けたすべての患者が登録された。全員から3mL の唾液と共に、上部消化管内視鏡の場合は胃液10mLを、下部消化管内視鏡の場合は腸液10mLを採取した。主要評価項目は、唾液および胃腸液中のSARS-CoV-2陽性率で、SARS-CoV-2の血清抗体価や患者の背景情報についても併せて解析した。 主な結果は以下のとおり。・調査期間中、計783例の唾液および消化液(上部消化管内視鏡:560、下部消化管内視鏡:223)を採取、分析した。・唾液サンプルに対するRT-PCRは、いずれもSARS-CoV-2陽性を示さなかった。・消化液サンプルの2.0%(16/783例、上部消化管内視鏡:13/560例、下部消化管内視鏡:3/223例)において、SARS-CoV-2陽性反応を示した。・RT-PCR陽性症例と陰性症例との間において、年齢、性別、内視鏡検査の目的、投薬、抗体検査陽性率については、いずれも有意差が見られなかった。・血清抗体検査においては、被験者の3.9%がCOVID-19抗体を有していたが、消化液のRT-PCRとの間に関連は見出されなかった。 これらの結果について、研究チームは「唾液中に検出可能なウイルスを持たない患者においても、消化管にSARS-CoV-2が存在するケースが確認された。内視鏡検査の医療スタッフは、処置を行う際に感染を認識する必要がある」と指摘。ただし、ウイルスが消化液中でどのくらいの時間留まり、感染性を保つかについてはデータが限られており、消化管におけるSARS-CoV-2の特徴や臨床的重要性を明らかにするにはさらなる研究が必要としている。

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メトホルミンはCOVID-19の発症・死亡に影響するのか?

 糖尿病は、COVID-19による死亡の重要なリスク因子として考えられており、これまでのさまざまな研究で、糖尿病治療薬メトホルミンが複数のメカニズムを介してCOVID-19に影響を与えることが示唆されている。今回、英・バーミンガム大学のJingya Wang氏らが、2型糖尿病患者におけるCOVID-19へのメトホルミンの影響を調査した。その結果、メトホルミンの処方は、COVID-19発症または死亡のリスクとは関連していなかった。Journalof Clinical Endocrinology and Metabolism誌オンライン版2021年2月9日号での報告。 研究グループは、英国の大規模なプライマリケアデータThe Health Improvement Network(THIN)を使用し、成人の2型糖尿病患者を対象とした人口ベースの後ろ向きコホート研究を実施。解析データにはインデックスの1年前までに2型糖尿病の一般診療を受けている患者が含まれ、2020年1月30日~10月13日まで追跡された。12歳以前に糖尿病と診断された人、1型糖尿病、血糖降下薬に対する副作用の既往歴、膵炎、推定糸球体濾過率(eGFR)測定値が30mL/min/1.73m2未満、前年に妊娠した人は除外された。 メトホルミンおよびその他の血糖降下薬8種のうち、少なくとも1種類の処方がある患者(MF+)と、メトホルミンを含まない血糖降下薬の処方がある患者(MF-)を比較。アウトカムとして、疑い例を含むCOVID-19、RT-PCR検査で確定診断されたCOVID-19、およびそれに関連する死亡率を調査した(COVID-19に関連する死亡は、診断後28日以内の死亡として定義)。ネガティブコントロールとして、腰痛の結果分析も実施した。 主な結果は以下のとおり。・解析データには、2万9,558例のメトホルミン群(MF+)および1万271例の対照群(MF-)が含まれ、そこから社会人口統計学的要因(年齢と性別、肥満度指数およびその他の代謝プロファイル測定値、血圧、心血管およびその他の併存疾患)を含む交絡因子の傾向マッチングにより、各群から1万183例を抽出した。・マッチング後、疑い例を含むCOVID-19と確認されたのは、メトホルミン群で172例(うち確定は47例)、対照群で186例(同54例)だった。対照群と比較したメトホルミン群におけるCOVID-19発症の調整ハザード比(HR)は、疑い例を含むCOVID-19で0.85(95%CI:0.67~1.08)、確定診断されたCOVID-19で0.80(95%CI:0.49〜1.30)であり、いずれも統計的有意性は得られなかった。・メトホルミン群で死亡した214例のうち17例、および対照群で死亡した266例のうち20例が、COVID-19に関連していた。すべての原因による死亡の調整HRは0.89(95%CI:0.74〜1.07)で、COVID-19関連死亡の調整HRは0.87(95%CI:0.34〜2.20)であり、グループ間に有意差は見られなかった。・ネガティブコントロール分析は、見落とされた交絡を示唆しなかった。 著者らは、「メトホルミンの処方は、COVID-19の発症率または死亡率のリスク上昇とは関連しなかった。COVID-19への懸念にかかわらず、糖尿病患者の血糖コントロールを改善するためにメトホルミンを処方し続けることは安全だ」とコメントしている。

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TNBC術前化療への免疫療法併用、メタ解析結果/日本臨床腫瘍学会

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における術前化学療法と免疫療法併用の有効性についてメタ解析が行われ、併用による病理学的完全奏効率(pCR)の有意な改善が示された。またPD-L1発現状態に基づくサブグループ解析の結果、PD-L1陽性集団では併用によるpCRの有意な改善が示されたが、陰性集団では統計学的有意差は得られなかった。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)で、フィリピン・St. Luke's Medical CenterのJessa Gilda Pandy氏が発表した。 Pubmed、Embase、Cochrane、臨床試験データベースの系統的検索と手作業による検索により、TNBCにおける術前化学療法とPD-1/PD-L1阻害薬併用についての無作為化比較試験(RCT)を特定した。2020年3月までに発表された試験が対象。変量効果モデルを使用して、統合オッズ比(OR)がpCRについて計算された。また、PD-L1発現状態に基づくpCRのサブグループ解析も実施された。 主な結果は以下のとおり。・4つのRCT(Keynote-522、I-SPY2、NeoTRIPaPDL1、GeparNuevo)が解析対象とされた(384例)。・術前化学療法と免疫療法の併用は、化学療法単独と比較して有意にpCRを改善した(58.5% vs.42.4%、OR:1.76、95%信頼区間[CI]:1.11~2.79、p<0.02)。・PD-L1発現状態に基づくサブグループ解析の結果、併用群では、PD-L1陽性集団でPD-L1陰性集団よりも高いpCRが示された(64.5% vs.52.2%)。また、陽性集団では併用によるpCRの有意な改善が示されたが(OR:1.55、95%CI:1.16~2.09、p=0.003)、陰性集団では統計学的有意差は得られなかった(OR:1.42、95%CI:0.80~2.52、p=0.23)。・有害事象は既知の安全性プロファイルと一致していた。多くみられたのは内分泌障害、甲状腺機能低下症であった。 Pandy氏は、症例数の少なさなど本研究の限界に触れたうえで、PD-L1発現状態は、免疫療法併用によるベネフィットをより多く受けうる患者の選択に活用できる可能性があると結論づけている。

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アジア人がん関連VTE、NOAC vs.低分子ヘパリン

 これまで不明であった、アジア人のがん関連静脈血栓塞栓症(VTE)に対する非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)と低分子ヘパリン(LMWH)の臨床的有益性は、同等であることが示された。台湾・長庚大学のDong-Yi Chen氏らが、台湾のデータベースを用いたコホート研究により、実臨床下でがん関連VTE患者におけるVTE再発および大出血のリスクはNOACとLMWHで同等であり、さらにNOACでは胃腸出血のリスクが有意に低いことを明らかにした。なお著者は、「今回の解析結果を確認するためには、前向き研究が必要である」としている。JAMA Network Open誌2021年2月1日号掲載の報告。 研究グループは、台湾の多施設電子カルテデータベースであるChang Gung Research Databaseを用い、2012年1月1日~2019年1月31日に新たに診断されたがん関連VTE患者1,109例を特定し解析した。 主要評価項目は、VTE/肺塞栓症(PE)再発または大出血。対象患者を、インデックス日(NOACまたはLMWHの最初の処方日)から初回イベント発生、1年間、死亡または追跡終了(2019年1月)のいずれか早い時点まで追跡した。Cox比例ハザードモデルを用い、NOAC(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン、ダビガトラン)またはLMWHのエノキサパリン投与におけるVTE再発または大出血のリスクを比較。加えて、死亡を競合リスクと見なしたFine-Gray部分分布ハザードモデルを用いた解析も行った。 解析は、2019年3月~2020年12月に実施された。 主な結果は以下のとおり。・1,109例の患者背景は、女性578例(52.1%)、インデックス日の平均年齢66.0歳、NOAC投与が529例(47.7%)、エノキサパリン投与が580例(52.3%)であった。・VTE再発または大出血は、NOAC群75例(14.1%)、エノキサパリン群101例(17.4%)に認められた(加重ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.56~1.07、p=0.11)。・両群で、12ヵ月時点でのVTE再発(HR:0.62、95%CI:0.39~1.01、p=0.05)ならびに大出血(HR:0.80、95%CI:0.52~1.24、p=0.32)のリスクも同様であった。・ただし、NOAC群はエノキサパリン群と比較して、胃腸出血のリスクが有意に低かった(10例[1.9%]vs.41例[7.1%]、HR:0.29、95%CI:0.15~0.59、p<0.001)。・主要評価項目の結果はいずれも、競合リスク解析と一致していた(VTE再発のHR:0.68[95%CI:0.45~1.01、p=0.05]、大出血のHR:0.77[95%CI:0.51~1.16、p=0.21])。

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中等~重症COVID-19に高用量ビタミンD3単回投与は有益か?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、高用量のビタミンD3単回投与はプラセボと比較し、在院日数を有意に減少させることはないことが示された。ブラジル・サンパウロ大学医学部のIgor H. Murai氏らが、ブラジル・サンパウロの2施設で実施した無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。COVID-19に対するビタミンD3補給の有効性はこれまで不明であったが、結果を受けて著者は、「中等症~重症COVID-19患者の治療として高用量ビタミンD3の使用は支持されないことが示された」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年2月17日号掲載の報告。中等症~重症のCOVID-19入院患者でビタミンD3の有効性をプラセボと比較 研究グループは、2020年6月2日~8月27日の期間に中等症~重症COVID-19入院患者240例を登録し、ビタミンD3投与群(20万IU単回経口投与)(120例)またはプラセボ群(120例)に無作為に割り付け、2020年10月7日まで追跡した。 主要評価項目は在院日数(無作為化から退院までの期間と定義)、事前に設定した副次評価項目は在院死亡、集中治療室(ICU)への入室、人工呼吸器を必要とした患者の割合および人工呼吸器装着期間、血清25-ヒドロキシビタミンD値、総カルシウム濃度、クレアチニン、C反応性蛋白(CRP)などであった。両群で在院日数に有意差なし 無作為化された患者240例のうち、237例が主要解析に組み込まれた。解析対象患者の平均(±SD)年齢は56.2±14.4歳、女性が104例(43.9%)、ベースラインの平均(±SD)25-ヒドロキシビタミンD値は20.9±9.2ng/mLであった。 在院日数は中央値で、ビタミンD3群7.0日(四分位範囲[IQR]:4.0~10.0日)、プラセボ群7.0日(IQR:5.0~13.0日)で、両群間で差はなかった(log-rank検定p=0.59、退院の補正前ハザード比:1.07[95%信頼区間[CI]:0.82~1.39]、p=0.62)。 また、ビタミンD3群とプラセボ群との間で、在院死亡率(7.6% vs.5.1%、群間差:2.5%[95%CI:-4.1~9.2]、p=0.43)、ICU入室率(16.0% vs.21.2%、群間差:-5.2%[95%CI:-15.1~4.7]、p=0.30)、人工呼吸器装着率(7.6% vs.14.4%、群間差:-6.8%[95%CI:-15.1~1.2]、p=0.09)で有意差は確認されなかった。血清25-ヒドロキシビタミンD値は、ビタミンD3群においてプラセボ群より有意に増加した(44.4ng/mL vs.19.8ng/mL、群間差:24.1ng/mL[95%CI:19.5~28.7]、p<0.001)。 有害事象は確認されなかったが、介入と関連した嘔吐がみられた。

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カボザンチニブ、転移乳頭状腎がんでPFS延長(SWOG1500)/Lancet

 転移のある乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者において、カボザンチニブはスニチニブと比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta K. Pal氏らが、米国およびカナダの65施設で実施した、METキナーゼ阻害薬カボザンチニブ、クリゾチニブおよびsavolitinibとスニチニブを比較する無作為化非盲検第II相試験「SWOG 1500試験」の結果を報告した。METシグナル伝達経路はPRCCの重要なドライバーであるが、転移のあるPRCCに対する最適な治療は存在していなかった。Lancet誌2021年2月20日号掲載の報告。カボザンチニブ、クリゾチニブ、savolitinibの有効性をスニチニブと比較 研究グループは、1レジメンまでの治療歴(VEGFおよびMETを標的とする薬剤を除く)を有する18歳以上の転移のあるPRCC患者を、スニチニブ群、カボザンチニブ群、クリゾチニブ群またはsavolitinib群に1対1対1対1の割合で、治療歴およびPRCCサブタイプで層別化し無作為に割り付けた。 スニチニブは4週投与2週休薬で50mgを1日1回経口投与(37.5mgおよび25mgに減量可)、カボザンチニブは60mgを1日1回経口投与(40mgおよび20mgに減量可)、クリゾチニブは250mgを1日2回経口投与(200mgを2回/日および250mgを1回/日に減量可)、savolitinibは600mgを1日1回経口投与(400mgおよび200mに減量可)とした。 主要評価項目はPFSで、intention-to-treat解析を行った。プロトコールの治療を受けなかった患者は安全性解析対象集団から除外された。カボザンチニブはスニチニブと比較してPFSを有意に延長 2016年4月5日~2019年12月15日の期間に152例が登録され、4つの治療群に無作為化された。無作為化後に5例の不適格を確認し本解析から除外したため、解析対象集団は147例であった。 savolitinib群(29例)およびクリゾチニブ群(28例)への割り付けは、事前に設定された無益性解析後に中止された。スニチニブ群(46例)およびカボザンチニブ群(44例)では予定症例数が達成された。 PFS中央値は、カボザンチニブ群が9.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:6~12)、スニチニブ群が5.6ヵ月(95%CI:3~7)であり、カボザンチニブ群で有意に延長した(進行または死亡のハザード比:0.60、95%CI:0.37~0.97、片側p=0.019)。また、奏効率は、カボザンチニブ群23%、スニチニブ群4%であった(両側p=0.010)。 savolitinib群とクリゾチニブ群は、スニチニブ群と比較してPFSを延長しなかった。 Grade3/4の有害事象は、スニチニブ群69%(31/45例)、カボザンチニブ群74%(32/43例)、クリゾチニブ群37%(10/27例)、savolitinib群39%(11/28例)に発生した。Grade5の血栓塞栓症が、カボザンチニブ群で1例確認された。

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100円の重さ【Dr. 中島の 新・徒然草】(363)

三百六十三の段 100円の重さ2020年2月20日、大坂なおみさんがテニスの全豪オープンで2年ぶり2度目の優勝!すごいですね。優勝会見でのやりとりがなかなか面白かったです。決勝を戦ったジェニファー・ブレイディーに対して、まず「ジェニーと呼んだらいいの、それともジェニファー?」ときいて会場を笑わせたのは良かったのですが、ブレイディーが「ジェニーよ」と答えたにもかかわらず、「最初に私はジェニファーにおめでとうと言いたいです」と言ってしまったのです。あきまへんがな、なおみはん、間違えたら!緊張してたのはわかるけど。わざわざ聞いておいて、それはないやろ。期せずして歴史的なスピーチになってしまったこのくだり。当然、YouTubeにも取り上げられてしまいました。それはさておき、今回はお金の話です。ある50代男性。交通事故で頭を打ち、瀕死の状態から奇跡の生還を果たしました。高次脳機能障害が残ったので、御自分のペースで生活したり仕事したり。同居している母親と一緒に外来受診です。母親「この子はね、元々なのか頭を打った後遺症なのか、すごくケチなんですよ」中島「具体的にはどういうケチなんでしょうか?」母親「冬なんかね、エアコンをつけているのに寒いなあと思っていたら、いつの間にか温度が下げてあるんです」中島「えっ、そうなんですか!」患者「あんまりエアコンをつけてたら電気代がかかるやんか」母親「その電気代も私が払っていて、自分ではビタ一文出さないんです」中島「いやあ、世の中、そういう人もおられますからねえ」つい余裕をかましたコメントをしてしまいました。でも、患者さんにとっては余計なお世話です。私ごときに何か言われるのも不本意でしょう。考えてみれば、倹約とか節約とかは大変理に適った行動です。たとえば100円のものを買うとします。そのために100円稼ごう、と思うのは素人です。実は、100円のものを買うためには150円とか200円くらい稼がなくてはなりません。私の場合は勤務医なので、普通のサラリーマンと一緒。収入から社会保険料とか所得税とか住民税とかを支払った上で、残った手取りのお金で消費税が10%のった商品を買っているのです。恐ろしすぎる!逆に言えば、100円節約したら200円稼いだことになります。今まであまり意識したことはなかったけれど、これは大発見ですよね。とはいえ、何でもかんでも節約すればいいというものでもありません。たとえば、お金を使うことによって時間とエネルギーを節約できる時。目的地までタクシーで行けば、20分で着いて体も楽です。一方、電車+バス+徒歩だと1時間かかるし、到着したときには疲労困憊。こんなときは少々高くてもタクシーに乗ります。もちろん、学生の時にはお金がない代わりに時間と無限の体力がありました。その場合は、金銭的節約のために公共交通機関を使うのが合理的な行動です。結局は人それぞれ。でも、誰にとっても浪費にしかならないこともあります。お腹が空いていないにもかかわらず何か買って食べる。仕事で疲れているのに夜の町で1杯ひっかける。値引きしているからといって不要なものを大量購入してしまう。いろいろと思いつきます。私自身も気をつけなくては。あと、100円という金額の重さもあなどれません。1年間の金利で100円を得ようとすると、どのくらいの預金が必要なのでしょうか?現在の銀行の金利は普通預金で0.001%なので、1年間で100円を得るためには実に1,000万円の預金が必要です。1,000万円ですよ、いっせんまん!自分で計算していて恐ろしくなってきた。もうこれからはケチな人を尊敬します。エアコンの温度も下げましょう。それにしても、ものは考えようですね。ということで決意を新たにしつつ、最後に1句陽春に 暖房切って 節約だ

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第46回 デジタル庁新設しても追い付けない?韓国の「医療IT化」のすごさ

菅政権が国のデジタル化を重要政策に位置付け、今年9月に新設される見通しのデジタル庁。コンピュータネットワークやデータベース技術を利用した電子政府の取り組みは、過去20年間、歴代政権が進めてきたものの、成果は思わしくない。元大蔵官僚で“霞が関文化”を知る田中 秀明氏(明治大学公共政策大学院教授)は、企業セミナーで行った講演で、デジタル化を阻む要因を「3つの岩盤」に例えて分析。デジタル庁が機能するための問題点を浮き彫りにした。電子政府は医療にも大きく関わるので紹介したい。行政のデジタル化を阻む“岩盤”とは? 田中氏が指摘したのは、以下の3点である。(1)結果検証に問題これまでの戦略や施策の評価、問題と原因の分析がない。安倍政権下の「世界最先端デジタル国家創造宣言」(2013年)など計画ばかりで、重要成果指数(KPI)による目標設定は「研修回数」などのプロセスが中心だった。(2)システム化に問題システムは間違いを見つけて改善していくものだが、これは無謬性を重視する行政文化に反する。行政は、現在の業務をそのままにしてシステム化しようとする。また、国と地方自治体のシステムが異なっており、自治体間もバラバラである。連携には、国・自治体間の「標準化」が不可欠だが、、時間が掛かるうえに不具合も生じるだろう。(3)組織に問題2013年に、電子政府推進の司令塔としてIT総合戦略本部に内閣情報通信政策監(CIO)が設けられたが、権限は総合調整で、省庁間の縦割りを打破できない。また、政府CIO室は公務員と民間企業からの出向者で構成され、いずれも約2年で交代する。役所では、ITなどの専門性は軽視され、キャリアが発展しない。デジタル庁が抱える問題点一方、政府が発表したデジタル庁の概要に対しては、4つの問題点を指摘した。まず、人材採用の問題がある。職員約500人のうち、民間から専門性の高い人材を30~40人、週3日勤務の非常勤職員として採用する方針だが、年俸は最高で本省課長並み(約1,300万円)。民間のIT専門職にデジタル庁に行きたいか尋ねると、多くは行きたがらない。人数は集まっても、「優秀な人材が来るのか」疑問である。2つ目は組織の問題点。デジタル庁に「各府庁等に対する総合調整権限(勧告権等)」を有する司令塔機能を持たせる方針だが、2001年に設置された「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」の本部長である首相がすでに権限を持っており、さらに強化するような権限がないことである。3つ目の問題は、デジタル化に向けた国と地方の温度差だ。主な業務に対しては「デジタル化で重要なのは地方の問題」(田中氏)である。住民票の発行など地方のデジタル化が進まなければ意味がない。4つ目は予算の問題である。国の情報システム予算はデジタル庁に一括計上した上で各府庁に配分する方針だが、8,000億円(2020年度)の予算のうち5,000億円は各府庁に付いているので、依然として各府庁の独自システムが残ることが挙げられる。電子政府で日本をリードする韓国電子政府に関しては、行政制度が日本と似ている韓国が参考になるという。国連の電子政府ランキングにおいて、韓国は2010年1位(日本17位)、14年1位(同6位)、18年3位(同10位)、20年2位(同14位)と、世界的にも首位の座にある。韓国は、1997年の通貨危機を契機に国家再生のための改革としてIT化戦略を推進した。司令塔の情報通信省や実働部隊の関連機関を設立。国レベルで統一的に地方自治体のシステムを構築したり、運用・維持保守も統合運用したりしている。関連機関には、ITだけでなく法律や医療などさまざまな分野で博士号を持つ職員を多数配置。公務員制度改革により幹部ポストの2割は官民公募、3割は政府内公募で採用、専門性や能力で選抜している。国民は電子政府ポータル(国・地方が一体)により、自宅やオフィスから24時間365日、各種の申請手続きや証明書の発行が可能だ。約30種類の手続きを1回で処理できる。国や地方では各種証明書の発行が激減。2005年は4.5億枚だったのが、15年には1.5億枚まで減ったという。また、診療報酬請求は住民登録番号に紐付けられ、ITでチェックするので、保険財政は黒字になっている。日本では考えられない医療関連サービス田中氏は、これまでに韓国を3回訪れ、電子政府に関する視察を行ってきた。病院や駅にも証明書発行機が置かれ、住民票や高校・大学の成績証明書などが発行されていた。北朝鮮によるスパイ活動防止のため、発行にはマイナンバーを入力した上で、指紋認証が必要だ。病床数約4,000床のセブランス病院では、受付にほとんど人がいなかった。高齢者を含め患者はスマホで予約しているからだ。患者は診療科の機器にカードを差し込むと、診療の順番が掲示板に表示される。診療終了後、会計はクレジットカードで済ます。薬が処方される場合、画面上でどこの薬局で薬を受け取るかを患者自身が選ぶ。選択した薬局に行けば、薬が用意されている仕組みだ。院内には医療関連サービスを提供する機械が置いてある。例えば、セカンドオピニオンなどに必要なMRIやCTの画像を無料で出力してくれる。病院には火葬場が隣接しており、クレジットカードで香典を払える機械も置かれている。日本人からすると「そこまでやるか」という感覚だが、病院はまさにITが威力を発揮できる分野であることを見せていたという。韓国は保険制度もすべて電子化されており、過去20年の国民の治療や健康診断に関するデータが蓄積されている。それらを基に、10年後にその人がどういう病気になったかトレースできる。そのようなデータを活用し、検査結果から将来胃がんなどを発症する確率を教えるサービスが、韓国政府とベンチャー企業とのタッグで始まるという。利用者目線の「プッシュ型社会保障」を実現韓国では、国民が受けられる社会保障サービスがパソコンに示される。日本と同様、手当は所得に連動している。例えば、出産届を出せば所得に応じた関連手当が示されるので、受けるかどうかをクリックすればいい。自分の所得について、役所に行って説明する必要はない。「プッシュ型社会保障」であり、利用者目線の行政サービスを提供している。田中氏の講演を聞き、日本はまず、これまでの電子政府を巡る失敗を検証しないことには、デジタル庁を設立しても成功はおぼつかないないと感じた。日韓関係はいま決して良好ではないが、この政策に関しては先行している韓国に学ぶことが多いのではないだろうか。

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片頭痛予防に対するガルカネズマブの即効性や持続性

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合するヒト化モノクローナル抗体であるガルカネズマブ(GMB)は、成人の片頭痛予防に承認されている薬剤である。皮下注射として、月1回自己投与を行う注射製剤である。米国・イーライリリー・アンド・カンパニーのDulanji K. Kuruppu氏らは、反復性および慢性片頭痛患者におけるGMBの効果と時間経過との関係を報告した。Advances in Therapy誌オンライン版2021年2月5日号の報告。 3つの二重盲検プラセボ対照第III相試験のデータを分析した。反復性片頭痛患者1,773例および慢性片頭痛患者1,113例は、プラセボ群、GMB 120mg群(初回240mg、以後120mg/月)、GMB 240mg群に、2:1:1の割合でランダムに割り付けられた(2016年1月~2017年3月)。効果発現は、GMBがプラセボに対し統計学的に有意な差が認められ、その後維持できた最も早い時点に基づく逐次解析アプローチを用いて決定した。効果の維持は、GMBとプラセボで治療された患者において、個々の患者レベルで50%以上の反応を維持した割合を比較し決定した。治療の中止は、毎月の片頭痛日数のベースラインからの変化に基づき、治療期間後4ヵ月間で決定した。 主な結果は以下のとおり。・GMBは、初日注射後から片頭痛の割合を低下させた。・二重盲検期間中、GMBの効果は維持された。・治療期間後、ほとんどの患者において、リバウンド頭痛が起こることなく、徐々に効果が消失した。 著者らは「ガルカネズマブは、成人片頭痛患者の新たな予防オプションであり、即効性、持続性、消失性に優れた薬剤である」としている。

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統合失調症患者における小児期の心理行動特性~日本のレトロスペクティブ研究

 統合失調症は、初期発達障害のフレームワークに適応することを示唆する科学的エビデンスが、疫学的研究や遺伝学的研究によって報告されているが、将来統合失調症を発症する子供の心理的行動の特徴は、十分に解明されていない。京都女子大学の濱崎 由紀子氏らは保護者による報告を通じて、小児期統合失調症患者に特有の特徴を明らかにするため、検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月26日号の報告。 対象は、DSM-IV-TR基準を満たした20代の統合失調症外来患者54例および性別と年齢をマッチさせた健康対照者192例。すべての対象の6~8歳時の特徴を評価するため、対象者の保護者に対する子供の行動チェックリスト(CBCL)のレトロスペクティブ評価質問票を用いた。小児期統合失調症に特有の心理行動の特徴を推定するため、t検定、ロジスティック回帰、ROC曲線解析を用いた。得られたロジスティック回帰モデルを使用して、CBCLスコアに基づいてリスク予測アルゴリズムのプロトタイプを作成した。 主な結果は以下のとおり。・8つのCBCLサブスケールのtスコアのうち、その後の統合失調症診断と有意な関連が認められた項目は、以下のとおりであり、これらの平均スコアは、小児期の臨床範囲に該当しなかった。 ●引きこもり(p=0.002) ●思考の問題(p=0.001) ●攻撃的行動の欠如(p=0.002)・8つのCBCLサブスケールに基づくロジスティック回帰モデルのアルゴリズムは、ROC曲線下の面積が82.8%(95%CI:76~89)であった。このことは、統合失調症の晩年発症に関して、アルゴリズムの予測精度が中程度であることを示唆している。 著者らは「保護者の報告によると、統合失調症の発症を予測する小児期の心理的行動の特性に違いがあることが示唆された。この新たに開発されたアルゴリズムは、その有効性をさらにテストするうえで、将来の研究に使用することが望まれる」としている。

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KRASG12C阻害薬sotorasibの大腸がんに対する成績(CodeBreak100)/日本臨床腫瘍学会

 KRASG12C変異は大腸がんの予後不良と関連しているとされる。AMG510(sotorasib)はKRASG12Cを標的とするファーストインクラスの低分子化合物である。 第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、KRASG12C変異陽性の固形がん患者を対象とした多施設共同非盲検CodeBreak100試験の中から、大腸がん患者に関する結果を、国立がん研究センター東病院の久保木 恭利氏が発表した。・対象:既治療の局所進行または転移を有するKRASG12C変異陽性固形がん患者・試験薬:sotorasib(用量漸増パート[180mg、360mg、720mg、960mg]、用量拡大パート[960mg])3週ごと、進行または忍容できない有害事象が発現するまで投与・評価項目[主要評価項目]安全性[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)など 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2020年1月8日)、42例の大腸がん患者が登録され、全例がsotorasibの投与を受けた(年齢中央値57.5歳、女性21例)。・sotorasib治療期間は、3ヵ月以上が22例(52.4%)、6ヵ月以上は8例(19.0%)であった。・治療関連有害事象(TRAE)は20例(47.6%)に認められ(Grade2以下18例、Grade3 2例)、用量制限毒性、治療関連死、投与中止に至ったTRAEは認められなかった。・ORRは7.1%(3/42例)、DCRは76.2%(32/42例)であった。・960mg投与症例でのORRは12.0%(3/25例)、DCRは80.0%(20/25例)、安定(SD)期間の中央値は4.2ヵ月であった。 既治療のKRASG12C変異陽性の大腸がん患者に対し、sotorasibによる単剤療法は良好な忍容性を示し、多くの患者で病勢コントロールが可能であった。

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COVID-19ワクチンの今と筋注手技のコツ/日本プライマリ・ケア連合学会

 今月より医療者を対象に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が開始された。開始されたワクチンは、ファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)であるが、今後別の種類のワクチンの承認追加も予定されている。 実際、これらワクチンの効果や安全性はどの程度わかっているのであろう。また、現状接種は、筋肉注射による接種であるがインフルエンザの予防接種などで広く行われている皮下注射とどう異なり、接種の際に注意すべきポイントはあるのだろうか。 今後、高齢者や基礎疾患を持つ一般人への接種も始まる中で、日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)は、2月22日に同連合学会のホームページ上で2つのコンテンツを公開した(コンテンツは予防医療健康増進委員会 感染症プロジェクトチームが監修)。 1つは、2月17日にオンライン講演で行われたものを録画した『新型コロナウイルスワクチンについて いまわかっていること、まだわからないこと』であり、COVID-19ワクチンについて次の内容がレクチャーされている。概要1. ウイルスと免疫のしくみ2. 新型コロナワクチンのしくみ3. 新型コロナワクチンの効果4. 新型コロナワクチンの副反応5. 新型コロナワクチンの具体的な接種法6. 新型コロナワクチンについてまだわからないこと7. 新型コロナワクチンについての不安やデマ8. 新型コロナワクチンみんなで気を付けること質疑応答 全体で約2時間にわたる講演であるが、臨床に携わる医療者からの質疑応答には長時間を割き、丁寧かつコンパクトに説明を行っている。 また、もう1つは『新型コロナワクチン 筋肉注射の方法とコツ』の動画である。動画では、注射針の選定からシリンジの長さ別の注射のポイント、接種部位の指定、接種時の注意点などが約8分の動画でまとめられている。 いずれの動画も視聴のうえ、今後のワクチン接種時の参考にしていただきたい。【追記】 筋肉注射の解説動画については、公開後のさまざまな意見などを踏まえ、3月15日に「2021年3月版」として新たな接種部位の紹介と接種肢位の注意点などの情報を更新し、公開している。

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COVID-19入院患者への早期予防的抗凝固療法、30日死亡率を低下/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、早期予防的抗凝固療法は非投与と比較して、重大出血のイベントリスクを増大することなく30日死亡率を有意に低下することが示された。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のChristopher T. Rentsch氏らが、4,297例の入院患者を対象に行った観察コホート試験の結果で、BMJ誌2021年2月11日号で発表した。COVID-19患者の死亡原因の一部として、静脈血栓塞栓症および動脈血栓症が報告されている。抗凝固療法は、血栓形成を予防し、抗ウイルス性および潜在的な抗炎症性作用も有し、COVID-19患者に有効であることが期待されている。今回の結果を踏まえて著者は、「今回の所見は、COVID-19入院患者の初期治療として、予防的抗凝固療法の実施を推奨するガイドラインを支持する、強力なリアルワールドのエビデンスを提供するものである」と述べている。抗凝固療法歴のない4,297例を対象に観察コホート試験 研究グループは、米国退役軍人省が運営する全米医療システムに加入し、2020年3月1日~7月31日に、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染が確認された入院患者で、抗凝固療法歴のない4,297例について観察コホート試験を行った。早期予防的抗凝固療法の実施と、死亡率との関連を検証した。 主要アウトカムは、30日死亡率だった。副次アウトカムは、入院死亡率、抗凝固療法の実施(血栓塞栓症など臨床的増悪の代用アウトカム)、輸血を要する出血だった。予防的抗凝固療法で輸血を要する出血リスクは増大せず 4,297例のCOVID-19入院患者のうち、入院後24時間以内に予防的抗凝固療法を行ったのは3,627例(84.4%)だった。そのうち99%超の3,600例が、ヘパリンまたはエノキサパリンの皮下投与を受けた。 入院後30日以内の死亡は622例で、うち予防的抗凝固療法群の死亡は513例だった。 inverse probability of treatment weighted解析にて、入院30日時点の累積死亡率は、予防的抗凝固療法群14.3%(95%信頼区間[CI]:13.1~15.5)、非予防的抗凝固療法群18.7%(95%CI:15.1~22.9)で、予防的抗凝固療法群の30日死亡率に関するハザード比(HR)は0.73(95%CI:0.66~0.81)と27%のリスク低下が認められた。同様の関連性が、入院患者の死亡率と予防的抗凝固療法の実施についても認められた。 一方で、予防的抗凝固療法による輸血を要する出血リスク増大は認められなかった(HR:0.87、95%CI:0.71~1.05)。 量的バイアス分析では、同試験結果は計測されない交絡因子に対してロバストであることが示された(30日死亡率に関するe値の95%CI下限値は1.77)。感度解析でも結果は維持された。

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進行腎がん1次治療、レンバチニブ+ペムブロリズマブが有益(CLEAR)/NEJM

 進行腎細胞がんで全身性治療歴のない患者に対し、レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用投与は、スニチニブ投与に比べ、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長したことが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert Motzer氏らが、1,069例を対象に行った第III相無作為化試験「CLEAR試験」の結果を報告した。レンバチニブ+ペムブロリズマブまたはエベロリムスについては、進行腎細胞がんに対する活性が認められているが、これらのレジメンのスニチニブとの比較による有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2021年2月13日号掲載の報告。レンバチニブ+ペムブロリズマブ、レンバチニブ+エベロリムス、スニチニブを比較 試験は、進行腎細胞がんで全身性治療歴のない患者1,069例を対象とした。 被験者を無作為に、(1)レンバチニブ(20mg、1日1回経口投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと、静脈投与)、(2)レンバチニブ(18mg、1日1回経口投与)+エベロリムス(5mg、1日1回経口投与)、(3)スニチニブ(50mg、1日1回経口投与、4週間投与+2週間非投与)の3群に1対1対1の割合で割り付けた。 主要評価項目はPFSで、固形がんの治療効果判定基準「RECIST」バーション1.1に基づき、独立した審査委員会が評価した。OSと安全性についても、評価を行った。対スニチニブで、レンバチニブ+ペムブロリズマブはPFSが有意に延長、OSも 1,069例は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群に355例(年齢中央値64歳、男性71.8%)、レンバチニブ+エベロリムス群に357例(62歳、74.5%)、スニチニブ群に357例(61歳、77.0%)、それぞれ無作為に割り付けられた。 PFS中央値は、スニチニブ群9.2ヵ月に対し、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群は23.9ヵ月と、有意に延長した(増悪または死亡に関するハザード比[HR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.32~0.49、p<0.001)。レンバチニブ+エベロリムス群も14.7ヵ月と、スニチニブ群に比べ有意に延長した(0.65、0.53~0.80、p<0.001)。 またOS期間も、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群がスニチニブ群より有意に延長した(死亡に関するHR:0.66、95%CI:0.49~0.88、p=0.005)。一方でレンバチニブ+エベロリムス群のOS期間は、スニチニブ群と比べて延長が認められなかった(1.15、0.88~1.50、p=0.30)。 治療中に発生または増悪したGrade3以上の有害事象の発生率は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ群が82.4%、レンバチニブ+エベロリムス群が83.1%、スニチニブ群が71.8%だった。いずれの群の10%以上の患者で発生したGrade3以上の有害事象は、高血圧症、下痢、リパーゼ値の上昇などだった。

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家庭におけるオンラインでの血圧管理は血圧コントロール率を改善する(解説:石川讓治氏)-1358

 家庭血圧は診察室血圧よりも優れた心血管イベント発症の予測因子であることが報告されており、わが国においては、高血圧患者の血圧評価において家庭血圧測定が広く行われている。家庭の安定した環境で毎日繰り返し測定された血圧値は、診察時の不安定な血圧値よりも正確な血圧であることがその理由の1つであると考えられている。 その一方で、家庭血圧を指標とした血圧管理が、診察室血圧を指標とした血圧管理よりも心血管イベントや高血圧性臓器障害の抑制効果が優れていたことを示した研究は今のところない。家庭血圧と診察室血圧を指標とした血圧管理を比較し、24時間自由行動下血圧モニタリングにおける到達血圧レベルを評価した研究においては、その差はそれぞれの目標血圧レベルの差(家庭収縮期血圧135mmHg vs.診察室収縮期血圧140mmHg:その差5mmHg)に依存していた1)。 家庭血圧測定を行いながら降圧治療する利点は、従来の診察機会ごとの血圧管理よりも、患者の服薬アドヒアランスの改善、食事やライフスタイルに関する行動変容、血圧上昇時の受診の動機付け、薬剤師や患者自身による降圧薬投与量の調節(欧米において)などを行うことで、血圧コントロール率を改善することであると思われる。これらの効果が加わった場合に、家庭血圧測定を行った降圧治療が、従来の診察室血圧による血圧管理より優れているといえると思われる2)。 MacManus RJら(BMJ. 2021;372:m4858.)3)は、家庭血圧をオンラインで管理を行った群と、通常の診察室血圧で管理した群を比較し、家庭血圧をオンラインで管理した群で収縮期血圧が3.4mmHg低く、費用対効果も優れていたことを報告した。家庭血圧のオンライン管理群では、患者が入力した家庭血圧値を評価しながら、降圧薬の投与量の自己調節の指導や、ライフスタイルの改善の指導(食事、身体活動、減量、塩分摂取、アルコール摂取)を行っており、これらの介入は血圧コントロール率を改善するのに有用な方法であったと思われる。本研究における介入方法は、医師が家庭血圧をチェックしフィードバックし続ける手間と労力が大変であったことが容易に想像できる。12か月間の追跡期間で評価されているが、日常臨床ではこの血圧管理を生涯続けなければならない。オンラインでの家庭血圧管理の有用性はとくに67歳未満の非高齢者、併存疾患のない患者に認められていた。インターネットに不慣れであることが予想される67歳以上の高齢者においては、収縮期血圧の到達度は両群に差が認められなかった。 多忙な日常診療における医師の負担の増大と、心血管リスクの高い高齢者において有効性が低い(継続率も低い)ことが、家庭血圧のオンライン管理の現在の課題であると思われる。将来的にウエアラブル血圧計を用いて、AIなどで自動的に患者指導し、在宅で薬剤師や看護師が降圧薬の投与量を調節したりできる日が来れば、日本でも広く普及するのかもしれない。また、現代のスマートホンやインターネットを使いこなしている非高齢者の世代が高齢者になる時代には、超高齢者でも難なく家庭血圧のオンライン管理ができる日が来るのであろうか?血圧管理方法も時代とともに変遷していくようである。

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流し雛から万葉の心を偲ぶ、生きるとは何か?【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第33回

第33回 流し雛から万葉の心を偲ぶ、生きるとは何か?皆さんは、子供の頃を思い出すことはありませんか?自分は、最近その現象が増えてきています。ふとした拍子に幼少期の出来事が、今ここで体験したようにフラッシュバックするのです。人は、疲れたり辛いできごとが重なったりした時に昔を思い出すと言います。コロナ禍の影響かもしれません。それとも単なる老化が顕在化しているだけかもしれません。「オーイ、流すぞ!」眼に浮かんだのは、自分と姉そして父親とで、小さな竹船に載せられた素焼きの陶器で作られた雛人形を川に流し放つ瞬間です。何十年間も忘れていた風景ですが、突然鮮明に蘇ってきました。自分は石川県金沢市の生まれで、実家の近くを犀川が走っています。「ふるさとは遠きにありて思ふもの・・」という一節で有名な、金沢ゆかりの詩人である室生犀星のペンネームにも冠する清流です。場面は、その犀川の河原の水辺です。流し雛(ながしびな)は、祓い人形と同様に身の穢れを水に流して清める意味の民俗行事で、雛祭りの原型とのことです。自分の頭の中の情景は事実ではなく、童話や小説の一節を原体験のように思い起こしただけかもしれません。3歳年長の姉に確認すると、明確に記憶しておりました。夢ではなく、実体験が脳裏に焼き付いていたのです。おそらくは1964年の東京オリンピック前後のことです。姉が6歳、自分が3歳前後に姉弟同時に「麻疹(はしか)」に感染し、無事に治癒した際に雛を流したのです。天然痘(もがさ)は、高い死亡率に加え、治癒しても瘢痕を残すことから、世界中で悪魔の病気と恐れられてきた有史以来の感染症です。麻疹も古来より生命に関わる大病とされており、たびたび大流行を繰り返し、天然痘より死亡率が高く「天然痘は器量定め、麻疹は命定め」とも云われ恐れられていたそうです。古都といわれる金沢でも現在は、流し雛を行っている家庭はないでしょう。しかし、当時の我が家では、実行していたのです。流すための人形を、父に連れられて瀬戸物屋に買いにいった場面も姉は記憶していました。近所の商店で流し雛を販売しているほどに、普及した行事であったのです。銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも万葉集に収められている、山上憶良の歌です。701年に遣唐使として入唐、帰国し当時有数の学識者であった憶良は、庶民の生活に密着した歌で万葉集中に独自の境地を開いています。この歌は、子を思う親の気持ちは昔も今も変わらないことを示すものとして有名です。8世紀の初め、約1300年以前に詠われたものですが、当時の乳児死亡率は高く、多くの親は自らの赤子の死を経験していたはずです。当時は疫病が主たる死因でした。天然痘や麻疹などの流行の記録があり、出生時平均余命は20歳より短いものであったようです。死が身近であるだけに生を繋ぎ成長する子供には限りない愛情をもって育て慈しんでいたことでしょう。いにしえの人々は常に死の危険にさらされていました。生きていることの危うさを感じつつ、今日を生き抜いたことに感謝して暮らしていたに違いありません。日々、口にする食事もありがたかったでしょう。恵みをもたらし、時には荒れ狂い命を脅かす大自然にも畏怖の念をもって接していたでしょう。自然にあふれた環境で生の喜びに満ちた時をすごす、なんと人間らしい幸せな人生でしょうか。万葉の時代に遡るまでもなく、自分自身の幼少期には、麻疹からの生還を家族を挙げて祝っていたのです。当時は、麻疹で命を失う子供もまだまだいたということでしょう。一方、現代はどうでしょうか。医療は進歩し平均寿命は飛躍的に延びました。死の危険を実感することはなく、生きていることがあたり前になりました。その中で、人間は「生きる」ことへの感謝を忘れてしまったのではないでしょか。進歩したのは医学・医療だけではありません。コンピュータやインターネットが普及し便利になりました。しかし便利になることと幸せになることは別かもしれません。便利さと引き換えに多くの大切なものを失う可能性もあります。移植医療や再生医療、そして人工知能も大切で今後も発展していくでしょう。その発展を推進する力として私も参画したいという思いはあります。しかし、それらの最新医療が日常の現実となった時に、人間はその利益と引き換えに何を失うのでしょうか。もしかすると、人間としての本質を失ってしまう可能性もあるのです。今後の医学の進歩を社会に真に還元するためには、人間の真の幸せとは何かという考察に基づいた精神的な裏づけが必要でしょう。また、次の世代を担う若い医師たちにも「真の幸せ」とは何かを考えつつ仕事をしていただきたいと願います。なぜなら医学がいかに発達しようとも、私たちの心は万葉の時代と変わっていない何かが必ず残っているはずですから。

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「スピリーバ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第40回

第40回 「スピリーバ」の名称の由来は?販売名スピリーバ®1.25μg レスピマット®60 吸入スピリーバ®2.5μg レスピマット®60 吸入※吸入用カプセル18μgはレスピマットのインタビューフォームと異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名[命名法])チオトロピウム臭化物水和物(JAN)効能又は効果スピリーバ 1.25μg レスピマット 60 吸入下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解 気管支喘息スピリーバ 2.5μg レスピマット 60 吸入下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)、気管支喘息用法及び用量慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解:通常、成人にはスピリーバ2.5μgレスピマット 1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。気管支喘息の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解:通常、成人にはスピリーバ1.25μgレスピマット 1回2吸入(チオトロピウムとして2.5μg)を1日1回吸入投与する。なお、症状・重症度に応じて、スピリーバ2.5μgレスピマット 1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】(1)閉塞隅角緑内障の患者[眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。](2)前立腺肥大等による排尿障害のある患者[更に尿を出にくくすることがある。](3)アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年2月24日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2017年1月改訂(第11版)医薬品インタビューフォーム「スピリーバ®1.25μg レスピマット®60 吸入/スピリーバ®2.5μg レスピマット®60 吸入」2)ベーリンンガーインゲルハイム:医療用医薬品基本情報

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