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肺がんリキッドバイオプシーの有効性を探る「LC-SCRUM-Liquid」【肺がんインタビュー】 第64回

第64回 肺がんリキッドバイオプシーの有効性を探る「LC-SCRUM-Liquid」出演:国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 善家 義貴氏肺がんでは、組織採取に侵襲を伴うことが多いため、リキッドバイオプシーが注目されている。リキッドバイオプシーの有効性を組織バイオプシーと比較した前向き研究「LC-SCRUM-Liquid」の結果が発表された。研究事務局の国立がん研究センター東病院 善家 義貴氏に研究結果および今後の展開について聞いた。

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500ページの英語を読んだ!【Dr. 中島の 新・徒然草】(379)

三百七十九の段 500ページの英語を読んだ!ついに読んでしまいました、500ページの英語小説『PACHINKO』を。休みの日にまとめて読んだり、朝早く目が覚めたときに寝床の中で読んだり。最近の数年間で最高に面白い小説でした。何が面白いかというと、多彩な登場人物による怒涛のストーリー展開です。読んでいて思わず「ええっ!」と声を上げたことが何度かありました。そのわりには最後は突然終わってしまい、「まさか、これだけ?」と思ったわけですが、その分、まだまだ物語は続いていくんだという余韻があったともいえます。内容については、前回の本欄で紹介したとおり20世紀初頭の釜山に始まり、主人公が大阪にやってきて1989年の東京に終わる親子四代の在日コリアンの物語です。前半はパチンコと全く関係なく話が進むのですが、後半になってようやくパチンコが重要な存在となりました。この小説はドラマ化される予定で配役も決まっているそうですが、それだけの価値はあると思います。さて、英語で500ページの小説を読もうと思うと大変です。しかし、長編小説に取り組むのに必要なのは、読者の英語力よりも話自体が面白いことと、キンドルで即座に辞書をひける環境にあることではないでしょうか。とくにキンドルのスマホ版は、知らない単語の上に指を置くだけで日本語訳が出てくるので、読書がはかどります。何度ひいたかわからない単語も沢山ありました。fuss、glimpse、gasp、grudge、moron、bigotryなど、受験英語や医学英語では出てこないのに、小説や日常会話では出てくるものばかりです。これらの英単語、皆さんは御存知でしたか?といったところで、長編英語小説を読み終えて少し自信がついたので、次に行こうと思っています。候補の1つは、吉本ばななの『キッチン』。これは短く読みやすいと言われています。ただ、少し読み始めてみると、情景描写が多く人物の動きが少ないので、ストーリーに引っ張られてついつい読んでしまう、というところまで達していません。もう1つは、カズオ・イシグロの『老歌手(Crooner)』。これは大阪府医ニュースで紹介されていたもので、60代だか70代だかの老いた歌手が若い女に走るべく、糟糠の妻を捨てるというものらしいです。ノーベル賞作家が世俗をどのように描くのか、興味ありますね。これらの本を読みかけて感じたことは、自分は登場人物の動きのある物語、会話の多いストーリーが好きだということ。窓の外の景色がどうとか、主人公の服がどうとか、そういう部分を読むのは正直なところ面倒です。日本語なら読めても、英語だと辛い、辛過ぎる。考えてみれば、自分の書いているものにも、情景描写だとか服装のことだかはほとんど出てきません。小説と読者の間にも相性があるということですね。繰り返しになりますが、英語小説を読み切ることができないのは、読者の英語力が足りないからでも、努力が足りないからでもありません。その小説との相性が悪いからです。なので、自分が面白いと思える小説を探しましょう。そしてキンドルのような文明の利器を使って、知らない単語を克服するといいですね。そうすれば誰でも英語小説を読める……はず!最後に1句キンドルで すいすい読める イシグロが

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「退職金引当金」でわかる、医療機関の経営状態ホントのところ【今さら聞けない!医療者のための決算書の読み方】最終回

<登場人物>病院で同期だったコンサルタントの田中に定期的に相談を始めた宮路は最近、実家の病院の経営会議に出るようになり、新たな疑問が出てきたようだ。宮路:減価償却の話、ありがとう! よく理解できた気がするよ。何かほかにも財務諸表を理解するうえで気を付けるべきポイントってあるかな?田中それはよかったよ。そうだね、宮路先生の実家の病院には、職員の退職金制度ってあるのかな?宮路はっきりとはわからないけれど…、聞いたことはあるな。田中そうか、それじゃあ退職金を例に「引当金」について見ていこう。宮路ひ、ひきあてきん…? 初めて聞くワードだ…。安田そうですね。普段あまり耳にすることがない用語ですね。でもこのポイントをマスターすれば、グッとレベルアップできますよ。では、「引当金」について説明しますね。公認会計士・安田の解説引当金は、会計の中でもとっつきにくいテーマの1つです。簡単に言えば「将来の支出に備えて、あらかじめ費用を計上して資金をためておく」という会計の技法です。引当金の中にもいくつかの種類があって、一番有名なのは「貸倒引当金」です。ほかにも返品調整引当金賞与引当金退職給付引当金特別修繕引当金製品保証等引当金などがあります。法人税法上では損金として計上することが認められない引当金でも、「財務会計上は期間損益計算を適正に行う」という財務会計の目的を満たすため、計上する必要があります。法人税法上損金になるかならないかに関係なく、引当金を計上しないと誤った経営判断をする恐れがあるためです。「財務会計上の費用として計上すること」と「法人税法上の損金(経費)として認められること」は、別問題なんです。負債である各種引当金を積み上げないと、財務諸表上の「見栄え」はよくなります。そういった「見栄え(だけ)がよい」財務諸表を基に医療機器を購入する、スタッフを雇うなどの投資の判断を行うことにはリスクが伴います。働く人の視点で考えると、自分の勤める病院、転職しようと思っている病院において退職給付引当金を計上されているかは「隠れ負債」の有無の判断の目安になりますし、退職給付引当金を計上しているほうが財務健全な経営をしていると言えます。シンプルに言えば、「自分が退職する際に退職金が支払われない」というリスクが少ない、とも言えますね。宮路なるほど、確かにそうですね…!安田だからといってやみくもに引当金を計上するのではなく、引当金を計上するには要件が必要なんです。その要件は次の4つです。1)将来の特定の費用または損失であること2)その費用または損失が当期以前の事象に起因して発生するものであること3)発生する可能性が高いこと4)金額を合理的に見積もれることこの4つすべて満たす必要があり、恣意的な計上はできないんです。田中:ではここから「退職給付引当金」が財務諸表にどういった影響を与えるかを見ていきましょう。コンサルタント・田中の解説画像を拡大する20年勤務したスタッフに、一括で2,000万円の退職金を支払うケースを例に考えてみましょう。まずはキャッシュフロー計算書を見てみます。キャッシュフロー計算書は実際の現金の流れを表しているので、退職金支払い時(勤続20年目)に退職金として2,000万円を計上する処理になりますね。次は損益計算書です。これは組織ごとの退職金のルールによりますが、人件費の項目として「退職引当金繰入額」が「1年当たりに積み上がる退職金の金額」として計上されます。ポイント制退職金(1年ごとに○ポイントが加算され、退職時にたまっているポイント×▲円の退職金が支給される方式)を例にとると、その1年間にたまるポイント、言い換えればその時点でスタッフがもらう権利のある金額が積み上がります。もちろん、これは実際に支払っているわけではありませんが、毎年相当額を計上するわけです。この例ではスタッフ1人分で見ているのでそこまで大きな額ではありませんが、病院全体で見れば退職金支給対象のスタッフ全員分が反映されるので、かなりの金額になるでしょう。最後に貸借対照表を見てみましょう。病院から見ると、退職給付引当金は将来的に支払わなければならない「負債」に当たるので、損益計算書に計上した額が毎年「固定負債」に積み上がり、退職金支払い時(勤続20年目)に退職金総額が負債からなくなります。田中:前回(第5回「『減価償却費』が、それぞれの財務諸表へ与える影響を知ろう」)で説明した減価償却とは逆のパターンだね。損益計算書上は毎年積み上がる退職金額が費用として発生しているけれどキャッシュは減らず、実際は退職年度に総額のキャッシュが減ることになるんだ。宮路:そうか、これも財務諸表上の表れ方がそれぞれ異なるんだね。田中:そう。減価償却でもそうだったけれど、損益計算書上と実際の現金の流れは異なるので、しっかりと把握して経営していかないとね。宮路:わかったよ。今までいろいろありがとう! 各財務諸表の性質と役割をしっかり理解して経営会議で意見するようにするよ!

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「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ【非専門医のための緩和ケアTips】第5回

第5回 「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ今回も元気に緩和ケアの実践について考えていきましょう。時間が限られた中で緩和ケアを実践するために、最重要となるコツの1つである「看護師との連携」についてお話しします。今日の質問診療所で働く医師です。看取りが近い状況の患者さんとの対話に苦手意識があります。私の世代は、緩和ケアについてきちんと学んだ経験もありません…。どう取り組めばよいでしょうか?今回のご質問、ベテランの先生からよく頂く内容です。まだまだ緩和ケア領域の教育は十分ではないとはいえ、医師国家試験・看護師国家試験の中で緩和ケアや在宅医療の問題が出題される時代になりました。そうした経験がまったくない上の世代の方が、緩和ケア全般に苦手意識を抱いたり「このやり方で大丈夫なの?」と不安になったりするのは、ある意味、当たり前のことでしょう。ですが、このような質問をする先生方の多くは、長い臨床経験に裏付けされた患者さんとの関係性の構築や、コミュニケーションスタイルを確立されている方が多いように感じます。そうした土壌があれば、緩和ケアの実践は難しいことではありません。前置きしたうえで、読者の皆さんに質問です。「緩和ケアを実践するうえで、最もオールラウンダーな医療職は誰だと思いますか?」緊急性や重症度の高い場面に遭遇する急性期医療では、医師の判断とトップダウン的な指示系統が重要なことも多いでしょう。一方で、緩和ケアで大切なのは、患者さん、家族ごとの個別性の高いナラティブな対話や全人的ケアです。こうした場面において、診断と投薬といった医師の役割が万能なわけではありません。ご想像のとおり、こうした分野に職種としての強みがマッチするのは看護師です。看護師は、さまざまな医療職の中で、医学知識とケアや対人援助的なスキルが役割の基盤になっています。あらためて見ると、患者さんの生活状況についてやけに詳しく、医師以上に信頼されている看護師…、きっと皆さんの周りにもいることでしょう。前回お話しした、ナラティブなエピソードを引き出す役割ですが、看護師の方によっては無意識にしていることも。医師が緩和ケアに苦手意識があっても、こうした看護師とうまく協働することができれば、素晴らしい緩和ケアを提供できる可能性がグッと高まります。では、看護師と協働して提供する緩和ケアについて、具体例を挙げてみましょう。今後、療養などの話し合いが必要になる患者さんを提案してもらう外来の待ち時間の間に声掛けし、「病気以外の生活の気掛かり」についても相談できることを周知してもらう緩和ケアニーズのスクリーニングツール(「生活のしやすさに関する質問票」緩和ケア普及のための地域プロジェクト:OPTIM study[厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究])を運用してもらう悪い情報を伝える面談に同席してもらい、面談後にしばらく対話してもらういかがでしょう? 看護師の強みを生かした、チーム医療としての緩和ケアのイメージが湧いたでしょうか? 次回は看護師と協働した緩和ケアを提供するうえでの障壁や、それを乗り越える工夫について、考えてみたいと思います。今回のTips今回のTips緩和ケア提供の主役は看護師、上手に連携することが緩和ケアの質を高めるカギ!

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第62回 医療界からもブーイング、東京五輪開催の問題点

東京と大阪の大規模接種センターの開設もあり、日本では5月になってから、新型コロナのワクチン接種が遅まきながら加速し始めた。先行するアメリカやイギリス、イスラエルでは、1回目接種率が約4割に達すると、新規感染者数が大幅に減少している。一方、日本は5月末現在で約7%。同じペースで接種が進むと仮定して試算すると、1回目接種率は6月末で20%、7月中旬で30%、同月末でようやく40%に達する見込みだという。五輪開催時に1回目接種率は4割に達せずコロナ禍で開催か中止かくすぶり続けている東京五輪は、7月23日~8月8日での開催を予定されている。先に示したワクチンの1回目接種率が40%に達するのは、17日間の開催予定期間も後半に差し掛かった頃だろう。そのような状況では、五輪開催に伴う再びの感染拡大や医療逼迫などが当然懸念される。東京五輪を待ち望んでいる人もいるが、中止や延期を求めている人も多い。オンライン署名サイト「Change.org」では、五輪中止を求める署名が42万筆を突破した。この数字は、同サイト日本語版が2012年に開設されて以降、最も多いという。また、ボランティアは約8万人のうち、約1万人が辞退。海外選手の事前合宿の受け入れを辞退する自治体も相次いだ。新型コロナの感染者を受け入れている病院の窓には「医療は限界・五輪やめて!」「もうカンベン・オリンピックはむり!」というメッセージが貼り出された。しかし菅 義偉首相には、このような状況を気にする節はない。菅内閣は昨年9月の発足時、65%と歴史的な高支持率を得たが、その後はコロナ対策が評価されず、今年5月には支持率が半減。秋までに行われる衆議院選で勝利し、自民党総裁選で再選されるには、東京五輪の開催と成功が不可欠となっているのだろう。観客や国内関係者を除いた組織委の感染試算当の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、感染状況をどう予測しているのだろうか。同組織委は6月11日、海外から訪れる選手および関係者の新規感染者数などの試算を公表した。新規感染者数は大会期間中、1日当たり7.7人で、入院はピーク時で11.7人、軽症や無症状による宿泊療養者数は57.6人とした。大会期間中、選手と関係者は計7万7,000人が滞在するとの前提で、過去のイベントによる感染者の発生状況などを踏まえて試算した。これはワクチン接種を考慮しない条件での試算で、実際は大幅に減少する可能性があると組織委は説明する。しかし、都内の観客数はピーク時の7月31日で22万5,000人、大会関係者やボランティアなどを合わせると、大会のために都内に集まる人数は最も多い日で34万人と想定されているにもかかわらず、観客や国内関係者の感染については試算に含まれていない。都合のいい試算と言わざるを得ない。ボランティアなどに実施されないワクチン接種医療人の間から東京五輪中止を求める声が上がる中、医療関連団体では大阪府保険医協会が6月10日、中止を求める声明を発表した。声明ではまず、選手が立ち入るエリアで活動するボランティアには一部を除きワクチン接種が実施されず、送迎を担う運転手はワクチン接種もPCR検査も行われないことが国会の質疑で明らかになった点を指摘した。また、6月9日に国会で行われた党首討論で、東京五輪の開催理由について説明を求められた菅首相は、質問の核心に答えず、1964年の東京オリンピックの思い出話で貴重な党首討論の時間を費やしたことも指摘。さらに、中止の際に科せられるとの違約金や罰金にも言及し、開催中止は国民の命を守ることに直結しており、賠償金と天秤にかけるのは論外と断じた。開催の意義を説明できず、開催した場合のリスクを過小評価している状況で強行するようでは、国民の不安は解消されず、いくら歴史的スポーツの祭典だと持ち上げても心から楽しめるわけがない、というのが開催国に暮らす1人としての偽らざる本音である。

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統合失調症患者における抗精神病薬の剤型と自殺および死亡リスクとの関連

 統合失調症は、死亡リスクが高いことから、最も深刻な精神疾患の1つとして考えられており、この死亡リスクの減少に寄与する方法を明らかにするための研究が行われている。台湾・Bali Psychiatric CenterのCheng-Yi Huang氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)とすべての原因、自然死、自殺による死亡リスクとの関連を調査し、新規統合失調症患者におけるLAIの早期使用の影響について、検討を行った。JAMA Network Open誌2021年5月3日号の報告。 台湾全民健康保険研究データベースを用いて、2002~17年に経口抗精神病薬(OAP)治療を行った統合失調症患者を対象に、人口ベースのコホートを構築した。本コホートにおけるLAI群の定義は、LAIへの切り替え、1年間で4回以上のLAI使用とした。LAI群は、同成分のOAP治療を行った患者と1対1でマッチした。抗精神病薬の投与経路変更、死亡、研究期間終了(2018年末)のいずれか早いほうまで、すべての患者をフォローアップした。データ分析は、2002年1月~2018年12月に実施した。主要アウトカムは、すべての原因による死亡率、自然死死亡率、自殺による死亡率、自殺企図とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は、LAI群2,614例(年齢中央値:30歳、四分位範囲[IQR]:23~39歳)、OAP群2,614例(年齢中央値:30歳、IQR:23~39歳)。両群共に、男性患者の割合は51.0%(1,333例)であった。・16年のフォローアップ期間中(中央値:14年、IQR:10~17年)におけるLAI群のすべての原因による死亡リスク、自然死死亡リスク、自殺企図発生率は、OAP群と比較し低かった。 ●すべての原因による死亡(調整ハザード比[aHR]:0.66、95%CI:0.54~0.81) ●自然死(aHR:0.63、95%CI:0.52~0.76) ●自殺企図(発生率比:0.72、95%CI:0.55~0.93)・OAP開始2年以内にLAIに切り替えた患者では、自殺による死亡リスクが47%低下した(aHR:0.53、95%CI:0.30~0.92)。 著者らは「新規統合失調症患者におけるLAI使用は、すべての原因による死亡リスクや自殺リスクの低下と関連していることが示唆された。さらに、OAP開始2年以内の早期にLAI治療を開始することで、自殺による死亡リスクの低下が期待できる。そのため、新規統合失調症患者に対する初期段階でのLAI使用は、積極的に検討する必要がある」としている。

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片頭痛治療に対するメマンチンの有効性~RCTのメタ解析

 片頭痛患者に対するメマンチンの有効性を評価するため、中国・Wenzhou People's HospitalのZhili Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2021年5月・6月号の報告。 2020年2月までに公表された、片頭痛治療におけるメマンチンとプラセボの効果を比較したランダム化比較試験を、PubMed、EMbase、Web of Science、EBSCO、コクランライブラリーデータベースより検索した。本メタ解析では、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3つのランダム化比較試験をメタ解析に含めた。・全体として、メマンチンによる治療は、1ヵ月当たりの発作頻度、片頭痛日数およびMigraine Disability Assessment(MIDAS:片頭痛の障害評価尺度)スコアの大幅な減少との関連が認められた。 ●発作頻度(平均差[MD]:-2.14、95%信頼区間[CI]:-2.83~-1.46、p<0.00001) ●片頭痛日数(MD:-4.17、95%CI:-6.40~-1.93、p=0.0003) ●MIDASスコア(MD:-5.63、95%CI:-6.46~-4.79、p<0.00001)・一方、急性鎮痛薬への影響は認められなかった(MD:-1.23、95%CI:-4.63~2.17、p=0.48)。 著者らは「片頭痛をコントロールするうえで、メマンチンによる治療は役立つ可能性が示唆された」としている。

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早期乳がん、遺伝子診断を加えたリスク評価で術後内分泌療法も省略可能に?(MINDACT)/ASCO2021

 MammaPrintによるゲノムリスクが超低リスクの患者では、8年時の無遠隔転移生存率(DMFI)が97.0%と非常に高いことが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのJosephine Lopes Cardozo氏が、第III相MINDACT試験から、超低リスク患者の長期生存についての解析結果を報告した。 本試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する第III相無作為化試験。これまでに、臨床リスクが高いがゲノムリスクが低い患者において、化学療法が省略できる可能性があることを示唆する結果が報告されている。・対象:年齢18~70歳、リンパ節転移0~3個、遠隔転移のない切除可能な浸潤性原発乳がん(最大腫瘍径5cm)患者 6,693例※70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)の結果、超低リスク:1,000例(15%)、低リスク:3,295例(49%)、高リスク:2,398例(36%)と報告されている。・評価項目:MammaPrint評価による高リスク/低リスク/超低リスク患者における、5年および8年時のDMFIと乳がん特異的生存率(BCSS)。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は8.7年。・ゲノムリスクが超低リスクと評価された患者では、>50歳:67%、腫瘍径≦2cm:81%、リンパ節転移陰性:80%、Grade 1または2:96%、HR陽性/HER2陰性:97%であった。術後に全身療法を受けなかったのは16%、内分泌療法を受けたのは69%、化学療法を受けたのは14%だった。・超低リスク患者を臨床リスクでみると、高リスクが259例、低リスクが741例。臨床リスク高の患者は腫瘍径が大きく、Gradeが高く、リンパ節転移陽性の傾向がみられた。・5年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:98.1%(95%信頼区間[CI]:97.2~99.0)、低リスク:97.5%(97.0~98.1)、高リスク:92.5%(91.4~93.6)だった(p<0.0001)。・8年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:97.0%(95.8~98.1)、低リスク:94.5%(93.6~95.3)、高リスク:89.2%(87.9~90.5)だった(p<0.0001)。・臨床病理学的特性および治療特性で調整後のDMFIのハザード比は、超低リスク vs.低リスク:0.65(0.45~0.94)、高リスク vs.低リスク:2.17(1.68~2.80)であった。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化して8年時のDMFIをみると、やや差がみられた(臨床リスク低:97.6%[96.4~98.8]、臨床リスク高:95.0%[92.3~97.8]、p=0.02)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について術後に受けた治療で層別化して8年時のDMFIをみると、全身療法なし:97.8%(95.3~100)、内分泌療法のみ:97.4%(96.1~98.7)、化学療法±内分泌療法:94.9%(94.4~98.7)だった(p=0.37)。臨床病理学的特性で調整後のDMFIのハザード比は、化学療法あり vs.化学療法なし:0.98(0.37~2.61)、内分泌療法あり vs. 内分泌療法なし:0.59(95%CI:0.27~2.13)だった。・8年時のBCSSは、ゲノムリスクの超低リスク:99.6%(99.1~100)、低リスク:98.2%(97.7~98.7)、高リスク:93.7%(92.6~94.7)だった(p<0.0001)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化してBCSSをみると、差はみられなかった(臨床リスク低:99.7%[99.3~100]、臨床リスク高:99.2%[98.0~100]、p=0.96)。 演者のCardozo氏は、MammaPrintによる評価で超低リスクとなった患者では、臨床リスクによらず8年BCSSが99%を超え、8年DMFIが95~98%という優れた予後を示したとまとめ、超低リスク患者は治療のさらなるde-escalationが可能な候補者であるとした。ディスカッサントを務めたフランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏は、本解析だけでは症例数が少ないが、ゲノムリスクが超低リスクかつ臨床リスクが低リスクの患者については術後内分泌療法を省略できる可能性があるとして、より詳細な研究が必要と述べた。

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「リモート医事(iisy)」で医療事務作業を改善/ソラスト

 医療事務受託サービスを展開する株式会社ソラストは、医療従事者の業務負担の軽減や患者の待ち時間短縮など、これからの時代に即した医療DX(Digital Transformation)パッケージ「リモート医事(iisy)」に関するメディア発表会をオンラインで行った。 今回発表された「リモート医事」は、医療機関の医療事務作業を“リモートセンター”からリアルタイムにサポートするサービスであり、医療事務だけでなく、「診療サポート」「経営支援」「ITサポート」を包括的にDX化して支援する。iisyのリモート医事サービスで現場の負担を軽減する はじめに同社の代表取締役社長の藤河 芳一氏が、会社概要の説明とともに「リモート医事」について、これから日本が直面する労働人口減少社会でのDX化が医療機関の直面する課題であり、これらに対応するために開発を行ったと経緯を説明。「今回の製品“iisy”は最初のステップであり、将来的には『医療・介護のデータビジネス』へステップアップしていきたい」と今後の展望を述べた。 続いて、「リモート医事サービス」について大島 健太郎氏(同社スマートホスピタル開発部長)が概要を説明した。 医療事務の仕事は、受付からはじまり料金計算、会計、レセプト請求処理、カルテ管理など多岐にわたる。リモート医事サービスは、これらの業務をオンラインで集約化して、スタッフの生産性の向上をはかることができるという。 iisyのリモート医事サービスは主に診療所や中小病院を対象とし、リモート医事センターのスタッフがオンラインで「予約、問い合わせ対応、受付処理、料金計算、レセプト事務」を行うもので、患者あたりの従量制の料金が予定されている。また、セキュリティではISMS/ISO27001認証取得と関係する省庁の2つのガイドラインに準拠した環境でのサービスが提供される。 リモート医事のメリットとして、医療事務では「専門性の向上」「デジタルへの移行」、医師・看護師では「本来業務への集中」「労務管理の軽減」、患者では「接遇が厚くなる」「院内滞在時間の短縮」などがあげられる。サービスの提供開始は、本年6月から提供され、本格的な展開は10月を予定している。すでに実証試験を行ったクリニックでの結果は良好だったという。 大島氏は最後に「本年は100医療機関の導入を目指す」と抱負を語った。なお、iisyのリモート医事サービスの展開では、協働先としてソフトバンク、名古屋大学医学部附属病院、日本医師会なども名を連ねている。

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抗HER3-ADC薬、治療抵抗性EGFR変異NSCLCに有望/ASCO2021

 前治療としてのTKIやプラチナ製剤に抵抗性となったEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるPatritumab-Deruxtecan(HER3-ADC)は、新規治療薬として有望であるとの発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのPasi A. Janne氏よりなされた。  HER3-ADCのNSCLCでの推奨用量は第I相試験で5.6mg/kgとされた。今回は第I相試験用量拡大パートの報告である。 ・対象:オシメルチニブを含むEGFR-TKIとプラチナ製剤の治療を受け抵抗性となったEGFR変異陽性NSCLC81例・介入:HER3-ADC 5.6mg/kg投与57例と3.2~6.4mg/kg投与24例(脳転移の有無は問わず)・評価項目:[有効性評価項目]全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、奏効とHER3発現の関連など[安全性評価項目]全有害事象(TAE)、治療関連有害事象 有効性解析は57例を、安全性評価は81例を対象とした。  主な結果は以下のとおり。 ・患者背景は、年齢中央値65歳、脳転移あり47%、前治療の中央値は4ライン(オシメルチニブの投与は86%、プラチナ製剤投与は91%、免疫チェックポイント阻害剤既治療は40%)であった。・観察期間中央値10.2ヵ月(データカットオフ:2020年9月)時点でのORRは39%(CR1例)で、DCRは72%であった。・PFS中央値は8.2ヵ月で、奏効期間中央値は6.9ヵ月であった。・脳転移あり症例のORRは32%、PFS中央値8.2ヵ月、脳転移なし症例のORRは41%、PFSは8.3ヵ月と、脳転移の有無とは関連がみられなかった。・抗腫瘍効果は、EGFR変異や他遺伝子の変異を問わず認められた。・HER3発現とORRの間には相関は認められなかった。・Grade3以上の全有害事象は、血小板減少、好中球減少、倦怠感、貧血などで、治療関連死は無かった。治療関連の間質性肺疾患は全症例のうち5%に発現したが、Grade4/5はなかった。  発表者は「本剤は、臨床的に意味のある有効性を示しており、忍容性も確認された。他のNCSLCの治験も進行中である」と結んだ。

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進行上咽頭がん、化学放射線療法後のカペシタビンによるメトロノーム療法でFFS改善/Lancet

 ハイリスク局所進行上咽頭がんにおいて、根治的化学放射線療法実施後に遠隔転移のない患者に対し、メトロノーム投与法による経口カペシタビンによるアジュバント療法を1年間行うことで、転移のない3年治療成功生存率(failure-free survival)を有意に改善したことが、中国・中山大学がんセンターのYu-Pei Chen氏らが400例超を対象に行った、第III相無作為化比較試験の結果、示された。局所進行上咽頭がん患者においては標準治療後、完全奏効を得る患者の割合が高いにもかかわらず再発のリスクが高く、効果的なアジュバント療法が切望されている。Lancet誌オンライン版2021年6月4日号掲載の報告。カペシタビン経口メトロノーム療法を1年間行い、治療成功生存率を評価 研究グループは2017年1月25日~2018年10月25日に、中国の14病院で、組織学的に確認されたハイリスク局所進行上咽頭がん(StageIII/IVA、T3/4N0とT3N1は除外)で、根治的化学放射線療法実施後に局所領域疾患や遠隔転移のない18~65歳の患者を対象に試験を実施した。被験者は、ECOG PSは0/1で、血液・腎・肝機能はいずれも十分で、無作為化時点で最終放射線治療を受けてから12~16週間経過していた。 被験者を2群に分け、一方にはメトロノーム投与による経口カペシタビン療法(650mg/m2体表面積、1日2回、1年間)を行い(カペシタビン経口メトロノーム療法群)、もう一方は経過観察を行った(標準治療群)。無作為化はコンピュータ生成法にて行い(4サイズブロック法)、試験センターや導入化学療法実施の有無により層別化した。 主要評価項目は、治療成功生存率(無作為化から再発[遠隔転移または局所再発]または全死因死亡までの期間と定義)で、ITT集団により解析した。 安全性は、カペシタビンを1回以上投与または観察が開始されていた全患者について評価した。3年治療成功生存率、標準治療群76%に対しカペシタビン群85% 被験者数は406例で、カペシタビン経口メトロノーム療法群は204例、標準治療群は202例だった。 中央値38ヵ月(四分位範囲:33~42)の追跡期間中、再発または死亡はカペシタビン経口メトロノーム療法群29例(14%)に対し、標準治療群53例(26%)だった。 3年治療成功生存率は、標準治療群75.7%(95%信頼区間[CI]:69.9~81.9)に対しカペシタビン経口メトロノーム療法群は85.3%(80.4~90.6)と有意に高率で、層別ハザード比は0.50(95%CI:0.32~0.79、p=0.0023)だった。 Grade3の有害事象は、カペシタビン経口メトロノーム療法群35/201例(17%)、標準治療群11/200例(6%)で報告された。カペシタビン経口メトロノーム療法に関連する有害事象で最も頻度が高かったのは手足症候群で、18例(9%)にGrade3の症状が認められた。Grade4の好中球減少症の発生は、カペシタビン経口メトロノーム療法群の1例(1%未満)のみだった。治療関連の死亡は両群共に報告されなかった。 著者は、「これらの結果は、上咽頭がんのアジュバント療法として、カペシタビン経口メトロノーム療法を潜在的に支持するものであった」とまとめている。

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ワクチン2回接種で、デルタ株に90%超の入院回避効果

 ファイザー社とアストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンが、2回の接種でB.1.617.2系統の変異株「デルタ株(インド型)」による入院回避に非常に高い効果を示すことが明らかになった。英・イングランド公衆衛生庁(PHE)が、14日付のプレスリリースで発表した。 PHEでは、2021年4月12日~6月4日の間に「デルタ株」感染が確認された1万4,019例を対象に分析を実施。その結果、2回接種で入院治療を回避できる有効性は、ファイザー社のワクチンが96%、アストラゼネカ社のワクチンが92%であり、いわゆる英国型の変異株「アルファ株」に対する有効性と同等だったという。当局では、先のワクチンについて「デルタ株」感染による死亡を防ぐ効果についても研究を進めており、ほかの変異株と同様に効果は高いと予測している。

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D-ダイマー高値COVID-19入院患者、治療的 vs.予防的抗凝固療法/Lancet

 D-ダイマー値上昇の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者に対し、リバーロキサバンやエノキサパリンなどによる治療的抗凝固療法は、予防的抗凝固療法に比べ臨床アウトカムを改善せず、一方で出血リスクを増大したことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らが、600例超を対象に行った多施設共同非盲検(評価者盲検)無作為化比較試験「ACTION試験」の結果で、著者は「経口抗凝固療法適応のエビデンスがない場合は、リバーロキサバンおよびその他の直接経口抗凝固薬の治療的投与は避けなくてはならない」と警鐘を鳴らした。COVID-19は、有害転帰につながる血栓形成促進との関連が示されているが、これまで治療的抗凝固療法がCOVID-19入院患者の転帰を改善するかどうかは不明だった。Lancet誌2021年6月12日号掲載の報告。治療的抗凝固療法としてリバーロキサバンを30日間投与 研究グループはブラジル31ヵ所の医療機関で、COVID-19で入院した18歳以上の患者を対象に試験を行った。被験者はD-ダイマー値上昇が認められ、無作為化時点でCOVID-19の症状継続期間が最長で14日だった。 被験者を治療的抗凝固療法群と予防的抗凝固療法群に割り付け、治療群には、臨床的安定な患者に対してはリバーロキサバン(1日20mgまたは15mg)を投与し、臨床的不安定な患者にはエノキサパリン皮下投与(1mg/kgを1日2回)または未分画ヘパリン皮下投与(目標抗Xa濃度:0.3~0.7IU/mL)を行った後にリバーロキサバンを30日間投与した。 予防群に対しては、入院標準治療のエノキサパリンまたは未分画ヘパリンを投与した。 有効性の主要アウトカムは、死亡までの期間、入院期間または30日目までの酸素補充を要した期間の階層的解析結果で、勝利比メソッド(比率1超は治療的抗凝固療法のアウトカムがより良好)を用いてITT集団で評価した。 安全性の主要アウトカムは、30日間の大出血、または臨床的に関連する非大出血だった。治療的抗凝固療法で出血リスクは3.64倍に 2020年6月24日~2021年2月26日にかけて、3,331例をスクリーニングし、うち615例を無作為化した(治療的抗凝固療法群311例、予防的抗凝固療法群304例)。臨床的安定な患者は576例(94%)で、不安定な患者は39例(6%)だった。治療群の患者1例が同意の取り下げでフォローアップが完遂できず、主要解析に含まれなかった。 有効性の主要アウトカムは両群で差が認められなかった(勝利比:0.86、95%信頼区間[CI]:0.59~1.22、p=0.40)。この傾向は、臨床的安定な患者と不安定な患者それぞれで、一貫していた。 安全性の主要アウトカムについては、大出血または臨床的に関連する非大出血の発生率は、予防群2%(7例)に対し、治療群8%(26例)だった(相対リスク:3.64、95%CI:1.61~8.27、p=0.0010)。試験薬のアレルギー反応は、治療群2例(1%)、予防群3例(1%)で報告された。

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進行胃・食道がん1次治療、ニボルマブ+化学療法でOS延長/Lancet

 未治療の進行胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの1次治療について、ニボルマブ+化学療法の併用療法は化学療法単独に対して、全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、許容可能な安全性プロファイルが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らが、第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験「CheckMate 649試験」の結果を報告した。進行または転移のあるHER2陰性の胃がんまたは胃食道接合部腺がんにおける、1次化学療法のOS期間中央値は1年未満である。CheckMate 649試験は、胃がん・胃食道接合部がん/食道腺がんの1次治療としての、抗PD-1阻害薬ベースの化学療法の評価を目的に行われた。本論はニボルマブ+化学療法vs.化学療法単独の有効性および安全性に関して初となる報告で、結果を踏まえて著者は、「ニボルマブ+化学療法は、これらの患者における1次治療の新たな標準治療である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年6月4日号掲載の報告。主要評価項目はPD-L1 CPS≧5の患者のOS、PFS CheckMate 649試験は29ヵ国175病院・がんセンターから、18歳以上の未治療で切除不能でありHER2陰性の胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの患者を登録して行われた。PD-L1の発現は問わなかった。 被験者はウェブシステム(ブロックサイズ6)を介して、非盲検下で無作為に1対1対1の割合で次の3群に割り付けられた。(1)ニボルマブ(360mg[3週ごと]または240mg[2週ごと])+化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン[XELOX、3週ごと]またはロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン[FOLFOX、2週ごと])、(2)ニボルマブ+イピリムマブ、(3)化学療法単独。 主要評価項目は、PD-L1 CPS≧5の患者における、ニボルマブ+化学療法の併用療法vs.化学療法単独のOSまたはPFSであった。 安全性の評価は、割り付け治療を少なくとも1回受けた全患者を対象とした。OS、PFSを有意に延長、PD-L1 CPS≧1集団や全無作為化集団でも有益 2017年3月27日~2019年4月24日に、2,687例の患者が適格性の評価を受け、そのうち1,581例が無作為に治療に割り付けられた(ニボルマブ+化学療法群[789例、50%]、化学療法単独群[792例、50%])。OSに関する追跡期間中央値は、ニボルマブ+化学療法群13.1ヵ月(IQR:6.7~19.1)、化学療法単独群11.1ヵ月(5.8~16.1)であった。 最短追跡期間12.1ヵ月時点で、PD-L1 CPS≧5の患者において、ニボルマブ+化学療法群は化学療法単独群と比べて、OS(ハザード比[HR]:0.71、98.4%信頼区間[CI]:0.59~0.86、p<0.0001)およびPFS(HR:0.68、98%CI:0.56~0.81、p<0.0001)を有意に延長した。OS期間中央値は14.4ヵ月(95%CI:13.1~16.2)vs.11.1ヵ月(10.0~12.1)、PFS期間中央値は7.7ヵ月(7.0~9.2)vs.6.0ヵ月(5.6~6.9)であった。 また、PD-L1 CPS≧1の患者集団における解析でも、OSの有意な延長が示され(HR:0.77、99.3%CI:0.64~0.92、p<0.0001)、PFSにもベネフィットがあることが示された(HR:0.74、95%CI:0.65~0.85)。同様に全無作為化集団においても、OSの有意な延長が示され(HR:0.80、99.3%CI:0.68~0.94、p=0.0002)、PFSへのベネフィットも示された(HR:0.77、95%CI:0.68~0.87)。 治療を受けた全患者におけるGrade3/4の治療関連有害事象の発現は、ニボルマブ+化学療法群462/782例(59%)、化学療法単独群341/767例(44%)であった。最も頻度の高い全グレードの治療関連有害事象(25%以上)は、両群ともに悪心、下痢、末梢神経障害であった。 ニボルマブ+化学療法群16例(2%)の死亡、化学療法単独群4例(1%)の死亡が治療に関連していると見なされた。なお、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

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「ユリノーム」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第56回

第56回 「ユリノーム」の名称の由来は?販売名ユリノーム®錠50mgユリノーム®錠25mg一般名(和名[命名法])ベンズブロマロン(JAN)効能又は効果下記の場合における高尿酸血症の改善 痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症用法及び用量(1)ユリノーム錠 50mg1)痛風通常成人1日1回1/2錠または1錠(ベンズブロマロンとして25mgまたは50mg)を経口投与し、その後維持量として1回1錠を1日1~3回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。なお、年令、症状により適宜増減する。2)高尿酸血症を伴う高血圧症 通常成人1回1錠を1日1~3回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。なお、年令、症状により適宜増減する。(2)ユリノーム錠 25mg1)痛風通常成人1日1回1錠または2錠(ベンズブロマロンとして25mgまたは50mg)を経口投与し、その後維持量として1回2錠を1日1~3 回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。 なお、年令、症状により適宜増減する。2)高尿酸血症を伴う高血圧症 通常成人1回2錠を1日1~3回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。なお、年令、症状により適宜増減する。警告内容とその理由1.劇症肝炎等の重篤な肝障害が主に投与開始6ヶ月以内に発現し、死亡等の重篤な転帰に至る例も報告されているので、投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず、定期的に肝機能検査を行うこと。また、患者の状態を十分観察し、肝機能検査値の異常、黄疸が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。2.副作用として肝障害が発生する場合があることをあらかじめ患者に説明するとともに、食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう患者に注意を行うこと。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1.肝障害のある患者 [肝障害を悪化させることがある。]2.腎結石を伴う患者、高度の腎機能障害のある患者 [尿中尿酸排泄量の増大により、これらの症状を悪化させるおそれがある。また、効果が期待できないことがある。]3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人4.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年6月16日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年4月改訂(第5版)医薬品インタビューフォーム「ユリノーム®錠50mg/25mg」2)トーアエイヨー:製品情報一覧

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第62回 アデュカヌマブFDA承認、効こうが効くまいが医師はますます認知症を真剣に診なくなる(前編)

アミロイドβを減少させることが認められた世界初の薬剤こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は久しぶりに東京・下北沢の駅前劇場という小劇場に演劇を観に行ってきました。年に1回公演をするかしないかの劇団「動物電気」2年ぶりの公演です。緊急事態宣言下、ただでさえ小さな劇場がソーシャルディスタンスで客席もかなり間引かれていて、採算は合うのだろうか、役者の取り分はあるのだろうかと心配になりました。もっともお客さんの入りは上々で、くだらなくて下品な笑いがこれまでと同じように劇場に溢れていたのには安心しました。さて、この1週間の個人的な大ニュースは大谷 翔平選手のアリゾナ・ダイアモンドバックス戦での2連続ボーク、ではなく、アルツハイマー治療薬アデュカヌマブのFDA承認です。米国バイオジェンとエーザイは日本時間6月8日、共同開発した「ADUHELM」(一般名:アデュカヌマブ)が、米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得したと発表しました。アルツハイマー病の原因の一つと言われるアミロイドβプラークを減少させることが認められた世界初の薬剤となりました。知人のベテラン医薬専門記者も「マジか!」と深夜に叫んでしまったというアデュカヌマブ承認。私もいくつか気になった点がありますので、それについて書いてみたいと思います。迅速承認に至るまでは紆余曲折FDAがアデュカヌマブを迅速承認した根拠は、アルツハイマー病の臨床症状の悪化抑制の予測可能性が高いバイオマーカー、アミロイドβプラークの減少が臨床試験で実証されたため、とされています。これまでの治験の経緯から、アデュカヌマブがFDAで承認されるかどうかは、専門家の間では否定的見解のほうが多かった印象です。迅速承認に至るまでは紆余曲折がありました。臨床第III相試験は中止となり、 その結果も「1勝1敗」だったからです。第III相試験としては、アルツハイマー病初期段階の軽度認知障害(MCI)と軽度認知症の患者を対象とした1,600例規模の2つの試験が行われましたが、結果はお互いに矛盾したものでした。一方の臨床試験では、高用量を投与された被験者で、臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB)をはじめとする臨床的有用性の評価指標がすべて改善していたのに対し、他方の臨床試験では、高用量を投与された群で臨床的有用性の評価指標が悪化するなど、矛盾する結果が得られたのです。その後、バイオジェンは改めて事後解析を行い、高用量群で評価項目が有意に改善したデータなどと共に、昨年7月にFDAに承認申請しました。有用性を示せない場合は承認取り消し薬剤の有用性評価を巡ってFDAの諮問委員会でも厳しい評価であったアデュカヌマブが承認に至った大きな理由の一つは、迅速承認(Accelerated Approval)という米国独自の仕組みにあります。迅速承認とは、「重篤で医療ニーズを満たす薬剤がない疾患については、 薬剤の臨床的有用性を完全に証明できていなくても、有用性を合理的に予測できる代替エンドポイントを根拠に、 早期に承認する仕組み」のことです。真の臨床的有用性については市販後臨床試験で実証することになります。FDAはリリースで「代替エンドポイントとしての脳内アミロイドβプラークの減少に基づく迅速承認である」と説明しています。市販後の検証的試験において臨床的有用性を示すことができない場合は、承認は取り消されることになります。サブ解析を繰り返し、なんとかCDR-SBが改善するという結果を導き承認申請したものの、FDAはCDR-SBの評価では厳しいと判断、脳内アミロイドβプラークの減少という代替エンドポイントで評価し、迅速承認という言わば“裏技”で承認までこぎつけた、というのが大まかな流れとなります。承認に否定的見解を示していたFDA諮問委員会の11人の専門家のうち3人が抗議のために辞任したとの報道もありました。 適応は「アルツハイマー病」「アミロイドβが神経細胞を死滅させることでアルツハイマー病になる」というのが依然として仮説であること、CDR-SBという当初の主要評価項目がどこかにいってしまい、アミロイドβの減少だけでFDAが承認したこと、迅速承認でありこれから市販後の検証的試験が行われることなど、医学的にも不確定要素が多く、批判も多いアデュカヌマブですが、気になるのはその使われ方です。臨床試験は軽度認知障害(MCI)と軽度認知症を対象に行われましたが、承認された適応は「アルツハイマー病」になりました。「アルツハイマー型認知症」ではなく、アルツハイマー病となったということは、米国で用いられているアルツハイマー病の診断基準(NINCDS-ADRDAの診断基準など/認知症の症状とアミロイドβなどのバイオマーカーの蓄積で診断する)さえクリアすれば、症状がごく軽微の段階から重度まで広く治療の対象になる、ということです。もっとも、報道によればその治療費は1回412ドル、年間5万6,000ドル(体重74キロの患者の場合)と高額なので、患者が契約する保険会社や、公的保険制度であるメディケア(高齢者向け)、メディケイド(低所得者向け)がそれぞれ、アデュカヌマブをどの段階のアルツハイマー病患者まで使用を許可するかで、対象者は大きく異なってくるでしょう。ロイターの報道では、米国の民間保険会社の幹部は「ほとんどの保険会社は、同薬への保険の適用を臨床試験に参加した患者と同じような患者に限定するだろう」と話したとしています。日本の皆保険制度で使える薬なのか?このアデュカヌマブ、日本国内でも2020年12月にバイオジェン・ジャパンが承認申請しています。田村 憲久厚生労働大臣は6月8日の閣議後の記者会見で、アデュカヌマブのFDA承認について「大きな一歩だ」と語り、国内での承認について「画期的な治療薬だ」と評価した上で「安全性、有効性をしっかりと確認させた上で対応する」と述べたとのことです。同じく6月8日の共同通信は、「厚生労働省が年内にも承認の可否を判断する可能性があると明らかにした」として、加藤 勝信官房長官の「日本でも実用化されれば、認知症施策推進大綱が掲げる共生と予防の推進にも資する」というコメントを報道しています。エーザイの株価も一時ストップ高となったようですが、果たしてこれは本当にそんなにおめでたい話なのでしょうか。日本で承認され使われる場合、米国と違って国民皆保険という大きなハードルがあります。米国のように各保険会社が独断で適応を絞る、ということが皆保険下ではできません。あと、ただでさえアルツハイマー病をはじめとする認知症を真面目に診る医師がいない状況下、中途半端な薬剤が市場に出ることは、現場の認知症診療やケアを逆に妨げてしまう可能性もあります。来週は、日本での承認の可能性と臨床現場への影響についてもう少し考えてみたいと思います(この項続く)。

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長期使用中の外用ステロイドの塗布部位を確認して中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第38回

 外用ステロイドは皮膚の炎症性病変において汎用性が高い薬ですが、その使いやすさゆえに治療期限なく使用されるケースも散見されます。今回は、使用意図が明確でないまま、漫然と介護士や看護師から処方依頼が続いていた症例を紹介します。患者情報80歳、女性(施設入居)基礎疾患混合型認知症介護度要介護4服薬管理施設職員が管理障害自立度C認知症自立度IIIa処方内容1.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 朝食後2.フロセミド錠10mg 1錠 分1 朝食後3.酸化マグネシウム原末1g 分2 朝夕食後4.ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏 50g Rp5と混合 1日2回 体に塗布5.ヘパリン類似物質油性クリーム 50g Rp4と混合 1日2回 体に塗布本症例のポイントこの患者さんは、背部と腹部の皮膚炎のため、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏とヘパリン類似物質油性クリームの混合軟膏を使用していました。訪問時に薬歴を確認したところ、処方が1年以上継続しており、ステロイドのランクダウンや塗布部位の変更もなく長期的に使用していることに疑問を持ちました。そこで患者さんの病状を確認すると、発赤や隆起した皮膚の様子もなく、治療内容と現状がマッチしていない印象を受けました。施設の介護スタッフに状況を確認すると、時折背中や腹部をかいている様子があるため、現行の軟膏の塗布を継続しているとのことでした。また、軟膏が少なくなったら医師の訪問診療前に連絡して処方を依頼しており、医師はその依頼どおりに処方していることも判明しました。処方提案と経過訪問診療に同行し、医師に患者さんの軟膏塗布部位を直接診察してもらうことにしました。その際に、長期的に外用ステロイドを使用しているものの皮膚の状態は安定しており、むしろ長期使用に伴う細菌・真菌感染の誘発やざ瘡・毛細血管の拡張、皮膚萎縮などの副作用の懸念があることを伝えました。また、病状が安定しているのであれば、ステロイドを中止あるいはランクダウンしてから中止し、皮膚の保湿のみでコントロールできないか相談しました。医師より、病状は安定しているため、もはやステロイド適応ではなく、皮膚乾燥部位の保湿剤の塗布と保湿ケアを介護士に指示すると回答を頂きました。外用ステロイドを中止して保湿剤のみのコントロールに変更しても皮膚炎の再燃はなく経過しています。薬物治療の効果や副作用判定をする際は施設の介護士や看護師から情報を収集することも重要ですが、実際に自分の目で患者さんの症状を確認したことで、医師への処方提案に深みが増した症例でした。

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皮膚病変からコロナ重症度もわかる?その具体的な症状とは

 新型コロナ患者での皮膚病変が報告されているが、具体的にはどのような症状なのだろうか。福田 知雄氏(埼玉医科大学総合医療センター皮膚科 教授)がメディアセミナーにおいて、「皮膚は健康のバロメーター ~意外と多いコロナの皮膚症状、爪からわかる健康状態~」と題し、皮膚病変が新型コロナ重症度判定にも有用な可能性を示唆した(主催:佐藤製薬)。蕁麻疹などの皮膚症状でコロナ重症度も判別できる 福田氏はまず、昨年3月にイタリアの皮膚科医が報告した論文1)を挙げ、「彼らは“新型コロナ(以下、COVID-19)病棟の多くの患者に皮膚症状が出ていた”ことに注目し調査を実施した。その結果、20.4%(18/88例)に皮膚症状(紅斑性皮疹、広範囲の蕁麻疹、水痘様皮疹など)が認められたことを報告した」と説明。しかし、この段階ではCOVID-19と重症度の相関関係は認められておらず、その後9月に発表されたドイツの研究者の論文2)で、COVID-19のリスク層別化などに役立つ可能性が示唆された。これを踏まえ同氏は、「ある症状はより軽度のCOVID-19の経過を示す臨床的徴候であり、別の症状はより重度の経過を示す赤旗であることが示された。つまり、どんな皮膚症状から何がわかるのか、皮膚症状の理解を深めておくことがCOVID-19の指標確認にもなる」とコメントした。 そこで、同氏はCOVID-19患者での注意すべき皮膚症状3)のパターンとして、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹、水痘様皮疹、点状出血、しもやけ、そして網状皮斑(リベド)を提示。なかでも“網状皮斑パターン”が見られる患者には新型コロナ重症例が多いことから、「皮膚病変からコロナを疑ったら血液検査にて凝固亢進などのチェックも必要」と注意を促した。 以下に新型コロナ重症度別の主な皮膚病変を示す。(軽症例)・凍傷様の浮腫および紅斑状の皮疹(Chilblain-like eruptions on fingers and toes) 若年層の軽症例に観察、平均して2週間後に消失。 手指より足趾/足裏に出現。・点状出血/紫斑を伴う皮疹(Rash with petechiae/purpuric rash) 鑑別診断には薬疹、他の細菌/ウイルス感染に伴う発疹など。・多形紅斑様皮疹(Erythema multiforme‐like rash) 軽症の経過をとる傾向がある。小児に多く見られる。 鑑別診断には単純ヘルペス感染症に伴う多形紅斑など。(重症例)・水痘様皮疹(Chickenpox-like rash) 中年患者の体幹に認められた。 イタリアの症例では、重症患者88例のうち1例で水痘様皮疹が観察された。・蕁麻疹様皮疹(Urticarial rash) 発熱を伴う蕁麻疹様皮疹は新型コロナと判断してよい。広範囲で見られるとCOVID-19が重症化する傾向。 蕁麻疹も重症ならCOVID-19も重症になる傾向。・斑状丘疹状皮疹(Maculopapular rash) 最も頻度が高い皮疹で、新型コロナの重篤な経過と関連。 小児ではまれ、成人では重篤な経過をたどる指標になる可能性がある。 鑑別診断には、はしか、EBウイルス感染症、薬疹、移植片対宿主病など・男性型脱毛症(Androgenetic alopecia) 男性ホルモンであるアンドロゲンは新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を促進するTMPRSS2プロテアーゼに関与するだけではなく、免疫抑制作用を持っている。男性型脱毛症の特徴的な症状である前頭部-側頭部および頭頂部の退行とCOVID-19による肺炎の発症に対し、関連性が示唆されている。 これらを総括し、「COVID-19の皮膚症状は、早期診断、陽性患者のトリアージおよびそのリスク層別化に役立つ可能性がある。凍傷様の肢端の皮疹、紫斑・多形紅斑様の皮疹は、無症状あるいは軽症の小児や若年成人の患者に認められる。対照的に、先端部の虚血性病変や斑状皮疹は、より重篤な経過をたどる成人患者に多く見られる。発熱を伴う蕁麻疹は、COVID-19が確認されていない場合の初期症状であるため、診断上の意義がある」とまとめた。 このほか、爪による健康状態の判別にも触れ、「健康な人の爪はきれいなピンク色で、艶があり、滑らかで押すとうっすら白くなる。爪は年齢、生活週間、基礎疾患など、爪に影響を与える因子は極めて多い」と患者の爪の健康状態の確認も重要であることを述べ、締めくくった。

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進行TN乳がんIMサブタイプの1次治療にfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルが有望(FUTURE-C-PLUS)/ASCO2021

 immunomodulatory(IM)サブタイプの進行トリプル(TN)乳がんの1次治療として、中国で複数のがんに承認されている抗PD-1抗体camrelizumabとnab-パクリタキセルの併用に、VEGFR-2、PDGFR、c-kitを標的とした経口チロシンキナーゼ阻害薬famitinibを追加することにより、有望な抗腫瘍活性および管理可能な毒性プロファイルを示したことが、前向き単群第II相試験のFUTURE-C-PLUS試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのZhi-Ming Shao氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。 camrelizumabおよびnab-パクリタキセルは、転移を有するIMサブタイプのTN乳がんに有望な抗腫瘍活性を示すことが報告されている(第Ib/II相アンブレラ試験のFUTURE試験で、複数の抗がん剤治療歴のある患者における奏効率52.6%)。一方、血管新生阻害薬は免疫チェックポイント阻害薬への反応を増強することが知られていることから、IMサブタイプのTN乳がんに対するfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルの3剤併用の有効性と安全性を評価した。・対象:治療歴のない切除不能な局所進行もしくは転移を有するIMサブタイプのTN乳がん・介入:camrelizumab(200mgを1、15日目に静注、4週ごと)+nab-パクリタキセル(100mg/m2を1、8、15日目に静注、4週ごと)+famitinib(20mg 1日1回を1~28日目に経口投与、4週ごと)を病勢進行もしくは耐容不能な毒性の発現まで継続(nab-パクリタキセルは最低6サイクル投与)・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2019年10月~2020年10月に48例が登録された。・奏効率は、ITT集団で81.3%(48例中39例、95%信頼区間[CI]:70.2~92.3)、per protocol集団で84.8%(46例中39例、95%CI:74.4~95.2)だった。・2021年4月30日時点で観察期間中央値は11.5ヵ月、PFS中央値は未到達で、9ヵ月でのPFS率は60.2%(95%CI:43.2~77.3) 、10ヵ月でのPFS率は53.5%(95%CI:37.6~69.3)だった。・奏効までの期間の中央値は 1.8ヵ月(95%CI:1.8~2.0)だった。・重篤な治療関連有害事象(TRAE)は2例(4.2%)、投与中止に至ったTRAEは3例(6.3%)に発現し、治療関連死亡はなかった。・Grade 3/4の有害事象として、好中球減少症(33.3%)、貧血(10.4%)、発熱性好中球減少症(10.4%)、血小板減少症(8.3%)、高血圧症(4.2%)、甲状腺機能低下症(4.2%)、末梢感覚ニューロパチー(2.1%)、ALT/AST上昇(2.1%)、蛋白尿(2.1%)、敗血症(2.1%)、免疫関連心筋炎(2.1%)がみられた。・バイオマーカー分析から、次世代シークエンサーパネルで検出されたBACA1、KAT6A、PKD1の体細胞変異が免疫療法の効果を予測できる可能性が示唆された。 現在、無作為化比較試験のFUTURE-SUPERが進行している。

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日本における統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護

 統合失調症は、精神症状の再発を特徴とする疾患である。統合失調症入院患者の15~30%は、退院後90日以内に自傷行為、他傷行為、セルフネグレクトにつながる症状の悪化により再入院している。椙山女学園大学の牧 茂義氏らは、統合失調症患者の早期再入院減少につながる院内看護の構造およびその予測因子を調査するため、横断的研究を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。 調査対象は、日本の精神科病棟に勤務する正看護師724人。統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護について評価するため、質問票を新たに作成した。質問票を用いて、項目分析、探索的因子分析を行い、早期再入院減少につながる院内看護の構造を調査した。 主な結果は以下のとおり。・早期再入院の減少につながる院内看護の因子は、以下の5つであった。 ●認知機能とセルフケアの促進 ●再入院の理由の特定 ●コミュニティーでの協力体制の確立 ●コミュニティー生活に関する目標共有 ●安らぎの空間・早期再入院の減少につながる院内看護を予測する因子は、以下の3つであった。 ●臨床実践における病棟看護師用尺度(nursing excellence scale)のスコア ●治療的な関心のスコア ●退院前カンファレンスへの地域ケア提供者の参加 著者らは「日本の精神科看護師は、早期入院の減少につながる5つの因子に基づいて看護を行っている。このような看護ケアは、看護師の優秀さだけでなく、看護師の環境的要因、とくに病棟の治療環境や退院前のカンファレンスへの地域ケア提供者の参加によってさらに促進されるであろう」としている。

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