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ファイザー製ワクチン後の心筋炎、発症率と重症度/NEJM

 イスラエルの大規模医療システムにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNAワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)を1回以上接種した人の推定心筋炎罹患率は2.13/10万人で、16~29歳の男性の罹患率が最も高く、重症度は軽症~中等症だったという。イスラエル・Rabin Medical Center・Beilinson HospitalのGuy Witberg氏らが、1回以上接種者250万人超を調べた結果を報告した。心筋炎発症とCOVID-19のmRNAワクチン接種との関連を示唆する報告がされているが、これまで頻度や重症度について大規模な調査は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2021年10月6日号掲載の報告。イスラエルで、初回ワクチン接種日から42日までの心筋炎罹患率を分析 研究グループは、イスラエル最大の医療組織(HCO)「Clalit Health Services」のデータベースから、mRNAワクチンBNT162b2を1回以上接種し、心筋炎の診断を受けた患者を抽出した。心筋炎の診断は、米国疾病管理予防センター(CDC)の定義に基づき、循環器専門医が判断した。 患者の電子健康記録から、症状、臨床経過、アウトカムを要約。Kaplan-Meier法で、初回ワクチン接種日から42日までの心筋炎罹患率を分析した。16~29歳・男性の推定罹患率が最も高く10.69/10万人 ワクチン接種をした16歳以上のHCO会員250万人超において、心筋炎の診断基準に適合した症例は54例だった。ワクチン1回以上接種者の推定罹患率は、2.13/10万人(95%信頼区間[CI]:1.56~2.70)だった。推定罹患率が最も高かったのは、16~29歳の男性で、10.69/10万人(6.93~14.46)だった。 心筋炎の重症度は、76%が軽症で、22%が中等症だった。心原性ショックとの関連が認められたのは1例だった。 心筋炎発症後、中央値83日の追跡期間中、病院再入院は1例で、退院後に原因不明の死亡が1例報告された。入院中に心エコー検査で左室機能不全が認められたのは14例で、そのうち退院時点で同機能不全を有していたのは10例、うち5例はその後の検査で正常な心機能が確認された。

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ファイザー製ワクチン後の心筋炎、非接種者と比較した発症率/NEJM

 mRNAワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)接種後の心筋炎の罹患率は、低率だが、とくに若い男性の2回接種者で増大すること、また臨床症状は概して軽症であったことを、イスラエル・Hadassah Medical CenterのDror Mevorach氏らが同国保健省のモニタリングデータを分析して報告した。イスラエルでは2021年5月31日時点で、約510万人がmRNAワクチン・BNT162b2の完全接種を受けている。同国保健省は、有害事象のモニタリングにおいて心筋炎が報告された早期の段階から積極的なサーベイランスを行っていたという。NEJM誌オンライン版2021年10月6日号掲載の報告。初回接種・2回目接種後のリスク差などを評価 研究グループは2020年12月20日~2021年5月31日のイスラエル保健省のデータベースから、臨床・検査データや退院サマリー、電子カルテを後ろ向きにレビューし、全心筋炎について、Brighton Collaboration定義を用いて分類した。 心筋炎の罹患に関する分析では、ワクチン初回接種後と2回目(21日後)接種後の罹患率を、リスク差を算出して比較。診断確実性とは独立した、ワクチン初回接種後21日以内、2回接種後30日以内の、観察/予測罹患率の標準化罹患率比を算出して評価した。また、2回目接種後30日の率比を、ワクチン非接種者との比較によって求め評価した。2回目接種後の標準化罹患率比は全体では5.34 心筋炎症状が認められた304例のうち、21例は別の診断名が付いていた。それらを除く283例のうち、BNT162b2ワクチン接種後の発症例は142例で、うち136例がdefinitive/probableに分類された。 definitive/probable例のうち129例(95%)が軽症と判断されたが、劇症だった1例は死亡している。 ワクチン1回目と2回目接種後のリスク差は、全体では1.76/10万人(95%信頼区間[CI]:1.33~2.19)で、16~19歳男性で最も差が大きく13.73/10万人(8.11~19.46)だった。 過去のデータに基づく予測値と比較した2回目接種後の標準化罹患比は5.34(95%CI:4.48~6.40)で、16~19歳男性の2回目接種後が最も高く13.60だった(9.30~19.20)。 ワクチン完全接種者の2回目接種後30日の、ワクチン非接種者に対する心筋炎発症に関する率比は2.35(95%CI:1.10~5.02)で、16~19歳男性で8.96(4.50~17.83)と最も高く、6,637人中1人の割合で発症していた。

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尿路上皮がんに対する抗FGFR阻害薬とPD-1抗体の併用は有用な可能性(NORSE)/ESMO2021

 転移を有する尿路上皮がん(mUC)に対するerdafitinibとcetrelimabの併用は、erdafitinib単独よりも有用であることが、英国・Queen Mary University St. Bartholomew's HospitalのThomas Powles氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。 erdafitinibは線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の遺伝子異常を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬で、2019年に米国で転移のある尿路上皮がんに対して迅速承認されている。一方、cetrelimabは抗PD-1抗体である(両剤ともに本邦未発売)。今回の発表はこの2剤併用の有用性を検討する第II相比較試験の中間解析結果。・対象:シスプラチン投与に不適合なFGFR遺伝子の変異あるいは融合を有する未治療のmUC(PD-L1発現状況は問わず)・試験群1:erdafitinib(E群)・試験群2:erdafitinib+cetrelimab(EC群) ・評価項目[主要評価項目]奏効率(ORR)、安全性[副次評価項目]病勢コントロール率(DCR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間、 主な結果は以下のとおり。・試験には53例が登録され、今回の解析(2021年7月データカットオフ)では、48例が安全性評価対象に、37例が有効性評価対象となった。・登録症例のPD-L1陽性はE群8%EC群7%であり、FGFRの変異はE群88%EC群67%、融合はE群12%EC群26%であった。・ORRはE群が33%(CR6%/PR28%)で、EC群が68%(CR21%/PR47%)であった。・DCRはE群が100%、EC群が90%であり、TTRはE群が2.3ヵ月、EC群が1.8ヵ月であった。奏効期間中央値は、E群では未到達、EC群では6.9ヵ月であった。・両群とも有効性と、FGFRの状態、PD-L1発現の状態の間に相関性はなかった。・Grade3/4の有害事象発生割合は、E群38%、EC群50%であった。主なものは、E群では貧血12.5%、全般的な体調不良12.5%、EC群では口内炎12.5%、肝酵素上昇12.5%、全身倦怠感8.3%であった・EC群でのGrade3/4の免疫関連有害事象は17%であった。・有害事象による治療中止の割合はE群で8%、EC群では、2剤とも中止8%、どちらか1剤を中止29%であった。 最後にPowles氏は「今回の発表は、mUC治療でerdafitinibにcetrelimabを併用する有用性を示した初のデータである。しかし、PD-L1発現との相関性や安全性については更なる検討が必要である」と述べた。

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主幹脳動脈閉塞にステントリトリーバーと吸引カテーテルの併用は有効か?(解説:内山真一郎氏)

 前方循環系の主幹脳動脈閉塞による急性脳梗塞に対して、ステントリトリーバーと吸引カテーテルの併用をステントリトリーバーのみと比較した無作為化比較試験(ASTER2試験)がフランスで行われた。1次評価項目であった血管内治療終了後の完全またはほぼ完全な再開通率は両群間で有意差がなかったが、2次評価項目のうち、すべての程度の再開通率と、初回割り付け終了後のみの完全またはほぼ完全な再開通率は併用群で有意に高かった。 1次評価項目に有意差がなかったのは試験の検出力不足に起因したと考察している。大型のフィブリン血栓はどちらかの治療のみで除去することは困難であり、両者の併用がより有効であろうと考えられている。今後は検出力を高めるため、さらに大規模な臨床試験が必要であろう。また、対象となる血栓の選択も重要と思われる。さらに、血栓除去デバイスの進歩とともに再開通率は飛躍的に向上したことから、今後の吸引カテーテルの機器の進歩にも期待したい。

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ESMO2021レポート 消化器がん(上部下部消化管)

レポーター紹介2021年9月16日から21日にかけて、パリでESMOが開催された。「パリ」ということで楽しみにされていた先生も多かったのではないだろうか。私もその1人である。今回も新型コロナウイルスの影響で現地参加はかなわなかったが、感染は現地で比較的制御されているのかハイブリッドでの開催であり、欧米の先生の中にはリアルに参加されている方がいたのが大変うらやましく、印象的だった。今年のESMO、消化管がんの演題はpractice changingではないものの、来るべき治療の影が見え隠れする、玄人受けする(?)演題が多い印象であった。後述するように、とくに中国の躍進を感じさせる演題が多く、個人的には強い危機感を覚えている。食道がんいまや消化管がんにおける免疫チェックポイント阻害剤(ICI)のショーケースともいえるのが食道がん1st lineである。これまでに出そろったデータとして、ペムブロリズマブ+chemo(KEYNOTE-590試験)、ニボルマブ+chemo or イピリムマブ(CheckMate 648試験)、camrelizumab+apatinib(ESCORT-1st試験)がある。それにさらに加わったのが、中国発のICI、sintilimabとtoripalimabである。抗PD-1抗体sintilimabのchemotherapy(シスプラチン+パクリタキセル or 5-FU)に対する上乗せを検証したORIENT-15試験では、食道扁平上皮がん(ESCC)のみの全体集団で、主要評価項目の全生存期間(OS)における有意な延長を示した(OS median:16.7 vs.12.5 months、HR:0.628、p<0.0001)。同じく抗PD-1抗体toripalimabのchemotherapy(シスプラチン+パクリタキセル)に対する上乗せを検証したJUPITER-06試験では、ESCCのみの全体集団で主要評価項目のOS、無増悪生存期間(PFS)の両方において有意な延長を示した(OS median:17.0 vs.11.0 months、HR:0.58、p<0.00036、PFS median:5.7 vs.5.5 months、HR:0.58、p<0.0001)。胃がんCheckMate 649試験(CM 649)の成功によって、胃がん1st lineの標準治療がICI+chemotherapyとなったのは昨年のESMOであった。CM 649はそもそも3アーム試験であり、chemo±ニボルマブ(nivo)のほかにニボルマブ(1mg/kg q3w)+イピリムマブ(ipi)(3mg/kg q3w)というexperimental armがあったのだが、毒性の問題で登録中止となり主解析から外れていた。nivo+ipiにはさまざまなvariationがあるが、CM 649では高用量のipiが採用されている点は注意されたい。今回のESMOではnivo+ipiアームのデータが、chemo±nivoの長期フォローアップ、MSI解析に加えて公表された。結論から言えば、nivo+ipiはchemoに対して期待されたCPS≧5の集団において優越性を示すことはできなかった(OS:11.2 vs.11.6 months、HR:0.89、p=0.232)。MSI-Hは試験全体の3%であった。chemoとの比較において、chemo+nivoは高い有効性を示した(OS:38.7 vs.12.3 months、HR:0.38、ORR:55% vs.39%)。途中で中止となったアームなので比較はできないが、nivo+ipiはMSI-Hに対して、さらなる有効性を示唆した(OS:NR vs.10.0 months、HR:0.28、ORR:70% vs.57%)。MSI-Hに対しては5-FUがdetrimentalに作用する可能性が示唆されており、殺細胞性抗がん剤を含まないレジメンの有効性を示唆する結果であると考えている。現在、未治療のMSI-H胃がんに対するニボルマブ(240mg, fix dose, q2w)+low doseイピリムマブ(1mg/kg q6w)の有効性を探索する医師主導phase II試験(NO LIMIT, WJOG13320G/CA209-7W7)が進行中である(プロトコル論文:Kawakami H, et al. Cancers (Basel). 2021;13:805.)。nivo+ipiについてはもうひとつ、HER2陽性胃がん初回治療におけるニボルマブ+トラスツズマブにイピリムマブvs. FOLFOXの上乗せ効果を比較したランダム化phase II、INTEGA試験の結果も興味深かった。試験デザインは先進的である。つまりCM 649でnivo+ipiがchemoに対する優越性を証明でき、かつKEYNOTE-811においてchemo+トラスツズマブ+ペムブロリズマブの優越性が証明できれば、その次に浮かぶclinical questionがこのデザインだったからである。すでにHER2陰性胃がんに対して、nivo+ipiが化学療法を凌駕することがないことは、CM 649にて示されていたが、残念ながらこの試験結果もそれを追認するものであった。この結果から、HER2陽性胃がんに対する1st lineとしてのKEYNOTE-811の重要性が増した印象であり、生存データの結果公表が待たれる。HER2陽性胃がんといえば、本邦発のHER2 ADC、T-DXdの2次治療における欧米患者集団でのsingle arm phase II試験、DESTINY-Gastric02のデータが公表された。T-DXdは日本では3次治療以降の承認であるが、米国FDAにおいては2次治療ですでに承認となっている。主要評価項目を奏効率とし、トラスツズマブを含む1次治療に不応となったHER2陽性胃がん79例が登録された。有害事象は既報と変わりなかった。肝心の奏効率は38%と3次治療以降を対象としたDESTINY-Gastric01で認められた51%より低い数字であった(もちろん直接比較するものではないが)。Gastric-01と02の違いとして注意しなければならないのは、人種の違い以外(01は日本と韓国、2ヵ国の試験)に、02が2次治療すなわちトラスツズマブ不応直後の症例を対象としている、ということである。胃がんの治療開発の歴史においてトラスツズマブを含むanti-HER2 beyond PDは、これまで開発がことごとく失敗している。その原因の1つと考えられているのが、細胞表面上に発現しているHER2タンパクがトラスツズマブ治療中に欠失することにより不応となるという獲得耐性メカニズムである。複数の報告があるが、一例を挙げると、トラスツズマブbeyond PDの有効性を探索したT-ACT試験では2nd line前のHER2 statusが調べられた16症例のうち、実に11例(69%)でHER2陰性であった(Makiyama A, et al. J Clin Oncol. 2020;38:1919-1927.)。そうした背景からGastric-02試験においては、試験開始前に再度HER2陽性であることが確認されたことが適格条件となっている。こうしてみると、01試験の高い奏効率はどう説明できるのか、という疑問も生じる。現在、トラスツズマブ不応となったHER2陽性胃がんを対象としたphase III、DESTINY-Gastric04試験(weeklyパクリタキセル+ラムシルマブvs.T-DXd)が進行中である。この試験でも試験開始前に再度HER2陽性であることが確認されたことが適格条件となっており、今後注目の試験である。食道がんでもpositiveとなったsintilimabは、胃がん1次治療でもpositiveな結果であった(ORIENT-16試験)。CapeOxに対してsintilimabは、主要評価項目のOSにおいてCPS≧5(18.4 vs.12.9 months、HR:0.766、p=0,0023)および全患者集団(15.2 vs.12.3 months、HR:0.766、p=0.0090)において有意な延長を示した。中国の薬剤開発状況を「#MeToo」戦略といってばかにするのは簡単だが、昨年のESMOであればpresidential sessionに選出されたような開発を国内のみで短期間、しかも複数で成しえていること事態が驚異的である。ただ、これだけ同じような治療法が乱立した場合、どのような使い分けが中国国内で議論されるのかは知りたい気がする。しかし今回のESMOで一番衝撃を受けたのは、これからご紹介するClaudin(CLDN)18.2に対するCAR-Tである。CAR(Chimeric antigen receptor)-Tとは、患者さんのT cellに、がん細胞などの表面に発現する特定の抗原に対するキメラ受容体を人為的に発現させたものである。現在、CAR-T治療は本邦では白血病や悪性リンパ腫にのみ保険適用である一方、固形がんでの開発はまだまだ途上という印象である。CLDNは細胞間結合、とくにタイトジャンクションに関与するタンパク質で、少なくとも24種類のアイソフォームが知られている。CLDN18は、胃と肺で特異的に発現し、CLDN18.2は、タイトジャンクションが破壊された胃がん(低分化)での発現が高く、高度に選択的なマーカーと考えられている。すでにCLDN18.2を標的とする臨床開発は行われている。最も進んでいるのはCLDN18.2抗体zolbetuximabと化学療法を併用する治療戦略で、phase IIIが進行中である。そのCLDN18.2を標的とするCAR-Tの有効性と安全性に関するphase I試験の結果が報告された。対象はECOG PS-0,1、18~75歳のCLDN18.2発現陽性、既治療の胃がん症例であった。CLDN18.2陽性を背景に、42.9%がSignet ring cell carcinomaであった。前治療として抗PD-(L)1抗体が42.9%、Multi kinase inhibitorが35.7%で投与されていた。懸念された有害事象で治療中止となったものは1例のみで、忍容性が示される結果であった。有効性に関しては以下のとおりである。標的病変を有する36例中13例(48.6%)で奏効が認められた。病勢制御率は73%であった。また、少なくとも2ライン以上の治療を受けた症例(40%以上が抗PD-[L]1抗体既治療)でみると、奏効率は61.1%、病勢制御率は83.3%、median PFS 5.6ヵ月、median OS 9.5ヵ月というものであった。もちろんpreliminaryな結果ではあるが、この分野で中国の開発が一歩先に出ていることを示した重要なデータである。大腸がんMSS大腸がんに対しては、なかなか革新的な治療がなく、以前効果のあった薬を再利用するrechallengeの有効性が議論されるほど、「冬の時代」といえるのが大腸がんである。その理由としては、「大半を占めるMSSに対してICIが無効である」ことと「治療抵抗因子としてのRAS変異の存在(大腸がんの半数を占める)」が挙げられる。この大きな課題に対して、わずかずつではあるが光明が差してきていることを感じさせる結果が報告された。まずはICIについて注目した演題が2つ。1つはFOLFOXIRI+ベバシズマブ(Bmab)+アテゾリズマブ(atezo)の有効性を探索したランダム化phase II、AtezoTRIBE試験である。イタリアのGONO study groupらしく、1次治療としてFOLFOXIRI+Bmabがbackbone chemotherapyに選択された。主要評価項目をPFSとし、218例がatezo+chemo群vs.chemo群に2:1で割り付けされた。MSI-Hはそれぞれ6%、7%であった。結果として、atezo+chemo群が有意なPFSの延長を示した(mPFS:13.1 vs.11.5 months、HR:0.69、80%CI:0.56~0.85、p=0.0012)。一方で奏効率については59% vs.64%、R0 resection rateは26% vs.37%と有意差はないものの、atezo+chemo群で不良な傾向が認められた。この結果をどう捉えるか? 個人的には、この結果はby chanceの可能性が高く有効性については疑問符と考えている。この試験で気になっているのは、「客観性」が保たれていたのか、つまりblindが機能したのかということであり、それは主要評価項目PFSの確からしさに直結する。この試験にはopen labelなのかという記載がなく不明であるが、仮にblindされていたとしても経験のあるoncologistであれば、毒性からICIが投与されているかどうかは感覚的にわかる部分がある。その場合、PFSの評価が甘くなる可能性がある。つまりinvestigator PFSなのかcentral PFSなのかによって、ここが大きく揺らぐ可能性があるが、そこも明言されていない。一方、responseについては客観的な評価となるわけで、そこで優越性が示されていないことが上記の疑念をさらに増幅させる。さらなる情報の追加が求められる。もうひとつ、MSS、MGMT不活化切除不能大腸がんに対する、テモゾロミド(TMZ)、TMZ+LD-イピリムマブ+ニボルマブ併用療法の逐次治療の有効性を検討する(phase II)MAYA試験も注目した演題であるが、これも客観性に乏しいという問題があり、現時点での評価はやはり疑問符である。MSSに対するICIのチャレンジは道半ばという印象であった。一方、光明が見られたのはKRAS mutationに対してである。KRAS G12Cに対する開発が非小細胞肺がんに対するsotorasibを嚆矢に急激な発展を遂げているが、今回、既治療大腸がんKRAS G12Cを対象に、RAS G12C阻害剤adagrasib単剤もしくはセツキシマブ併用の有効性を探索したKRYSTAL-1試験の結果が報告された。個人的には、すでに基礎的に有効性が示されているセツキシマブ併用に注目していた。結果としては奏効率が単剤で22%、併用で43%と、別のRAS G12C阻害剤であるsotorasibでは見られなかった「手応え」を感じさせる結果であった。こうしたearly phaseでの良好な結果を見るとすぐに飛びつきたくなるが、Cobi Atezoの苦い経験からも、今回の結果はいずれもpreliminaryであり、まだ信じてはいけないな、と思っている(でも期待している)。したがって、1次治療不応となった症例を対象としたphase III試験KRYSTAL-10(adagrasib+セツキシマブvs.FOLFIRI/FOLFOX based)の結果を待ちたい。KRAS G12Cは大腸がんKRAS exon2変異の6~7%、つまり大腸がん全体の症例の2~3%という希少フラクションであり、その開発には少なからぬ困難が伴うが、少しずつではあるが着実に、この難しいパズルは解決に向かっていると信じている。最後に:ESMOの感想に代えて実は、筆者は6月に中国で行われた第11回CGOG(Chinese Gastrointestinal Oncology Group)総会に教育講演のinvited speakerとして参加した際に、このCLDN18.2に対するCAR-Tで実際に治療された症例報告を目にしていた。CAR-Tは血液悪性腫瘍では有効だが、消化器がんのような固形がんでの応用はまだまだ先と信じていた筆者にとって、すでに有効例が多数存在していることは衝撃的であった。さらに北京大学の若手医師たちが、この研究を通じてCAR-Tの治療経験をだいぶ積んでいる様子がディスカッションからうかがえ、言いようのない焦りを覚えた。こんな連中を相手にどんな教育講演をすればよいのか、頭が真っ白になった(会議のほとんどは中国語でやりとりされていて、急に英語で話を振られるので気が気でなかったというのもあるが)。さらに驚いたのは、「もうすでにphase Iを終えて、high impact journalへ投稿準備中である。そして新たにphase IIを計画中である」と北京大学の医師が語っていたことであった。CAR-Tは胃がんに対する新しい有望な治療の登場であり、喜ばしい報告であるのだが、正直筆者は強い危機感を覚えている。それはアジアにおける薬剤開発において、日本の優位性はもはや存在しないという事実を突き付けられたからにほかならない。胃がんに対するCAR-Tだけではない。CGOG総会で発表された基礎研究は非常にレベルが高いものが多かったが、アカデミアからだけでなく企業からのそうした発表も多く、産学連携が非常にうまく作用しているように思えた。CAR-Tはscienceであると同時にengineeringの側面が大きく、臨床のアイデアを形にするテクノロジーとの協調は必須である。この彼我の差は個々人の能力というより国を挙げての投資の結果の違いだと信じたいが、日本の基礎医学への冷淡な姿勢を見ていると、この状況はすぐには変わりそうになく暗澹たる気持ちになる。今後、薬剤開発においてこうした「格差」を感じる場面が増えてくるのではないかと思っている。個人的な話で恐縮だが、『三体』という中国発のSF小説を間もなく読了するところである(第三部は2021年5月に日本発売)。世界中で異例の大ヒットとなっている小説なのでご存じの方も多いと思うが、第一部、第二部でこの小説の世界観、想像力の大きさに圧倒され第三部を楽しみにしていた。そしてここまで読んで「中国はここまで来ているのか」と空恐ろしさを感じている。もちろん小説であり、そこに描かれているのは現実ではないが、それを感じさせる充実した内容であった。今年のESMOを見ていてふと思い出したのが、この小説『三体』であった。『三体』を読んで無意識に感じていた、まい進する中国に対する漠然とした「焦燥感」もしくは現状に対する「危機感」を、形にして突き付けられたような気がしたからかもしれない。最後に、この『三体』の単行本が中国で発売されたのが2008年1月であることを付記しておきたい。

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「シンビット」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第74回

第74回 「シンビット」の名称の由来は?販売名シンビット®静注用50mg一般名(和名[命名法])ニフェカラント塩酸塩(JAN)効能又は効果生命に危険のある下記の不整脈で他の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合心室頻拍、心室細動用法及び用量単回静注法通常、成人にはニフェカラント塩酸塩として1回0.3mg/kgを5分間かけて心電図の連続監視下に静脈内に投与する。 維持静注法単回静注が有効で効果の維持を期待する場合には、通常、成人にはニフェカラント塩酸塩として1時間あたり0.4mg/kgを等速度で心電図の連続監視下に静脈内に投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。投与に際しては、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で溶解して使用する。警告内容とその理由【警告】1.施設の限定本剤の使用は致死的不整脈治療の十分な経験のある医師に限り、かつ諸検査の実施が可能で、緊急時に十分対応できる設備・装置を備えている医療機関でのみ使用すること。2.患者の限定他の抗不整脈薬が無効か、副作用により使用できないか、又は心機能が低下しているために使用できない致死的心室性不整脈患者にのみ使用すること。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1.QT延長症候群の患者[本剤の作用によりQT時間が更に延長し、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)を誘発させるおそれがある。]2.アミオダロン注射剤、フィンゴリモド塩酸塩、エリグルスタット酒石酸塩を投与中の患者※本内容は2021年10月20日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2017年1月改訂(第11版)医薬品インタビューフォーム「シンビット®静注用50mg」2)トーアエイヨー:製品情報一覧

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第80回 「首相≒財務省」vs.「厚労省≒日本医師会」の対立構造下で進む岸田政権の医療政策

グイグイとは進められなかった菅政権こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末は、NHK BSでMLB中継を1日2試合ずつ観ていたらあっという間に終わってしまいました。MLBは今、リーグチャンピオンシップシリーズの真っ最中です。ナショナルリーグは昨年同様、ロサンゼルス・ドジャースとアトランタ・ブレーブスが戦っているのですが、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督の顔が自民党の甘利 明幹事長に瓜二つなのが気になって仕方ありません。ひょっとしたら、ドジャースの勝敗と自民党の衆院選での勝敗がリンクしてくるかも…と思いながら、私は1995年からワールドシリーズ優勝から遠ざかっているブレーブスを応援しています。さて、今回は岸田 文雄新総理大臣が取るであろう医療政策について、ちょっと考えてみたいと思います。この連載では、昨年秋、菅 義偉総理大臣が誕生したときに、その医療政策の行方を予想しました(「第23回 実は病院経営に詳しい菅氏。総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと(前編)」「第24回 オンライン診療めぐり日医と全面対決か?菅総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと(後編)」)。この時は、「公立・公的病院の再編・統合」と「オンライン診療の推進」に特に力を入れるのではないか、と書きました。概ね方向性は正しかったのですが、いかんせん菅氏は1年しか総理の座にいなかったので、その進捗状況は“グイグイ”とまではいかなかったようです。コロナ対策を担当する3閣僚が全員交代菅氏から政権を引き継いだ岸田首相ですが、9月4日の岸田内閣の組閣に当たっては、閣僚の配分が自民党内の派閥の駆け引きで決まったため、「派閥政治への先祖返り」(政治学者・原 彬久氏。朝日新聞10月5日朝刊)などと揶揄されました。私も岸田首相が自身で得意だと語る「人の話を聞くこと」とはこういうことだったのか、と得心した次第です。コロナ対策を含む医療政策を担当する3閣僚についても、派閥への配分を行ったこともあって、全員が交代しました。厚生労働大臣は田村 憲久氏から後藤 茂之氏に、緊急事態宣言に関する法律を所管する経済財政・再生担当大臣は西村 康稔氏から山際 志郎氏に、ワクチン接種推進担当大臣は河野 太郎氏から堀内 詔子氏に代わりました。重要ポストであるにも関わらず、新任の3人はいずれも初入閣です。「コロナ対応の司令塔機能が曖昧」との批判に応えた人事か初入閣の3人で大丈夫か、と心配の声も上がっているようです。しかし、菅政権でのコロナ対応については、検査や医療提供体制を担当する厚労大臣と、緊急事態宣言、ワクチン接種を担当する大臣が別で機能が分散し、司令塔機能が曖昧だったとの批判も強かったのも事実です。まだあまりキャラの立っていない初入閣3人で、仲良く結束して頑張って欲しい、という意図のようです。岸田首相は新内閣が発足した4日の記者会見で、「ワクチン、医療、検査の取り組みの強化もついて対応策の全体像を早急に国民の皆さんに示すよう、3閣僚に指示した」と語りました。そのコロナ対策ですが、政府は15日、第6波を想定した今後の新型コロナ対策の骨格を決めました。骨格は、感染力が今夏の第5波より2倍になっても対処できる医療提供体制の整備を基本とし、「幽霊病床」の実態把握と解消、国の権限で国立・公立・公的病院に専用病床確保、年内に3回目ワクチン接種開始などの施策を盛り込んでいます。11月には対策の全体像をまとめるとのことです。幸いなことに、菅前首相が辞任を表明した頃からコロナの患者数は減少傾向に入り、現在でも患者数は最低レベルで推移しています。そのため、新内閣のコロナ対策はまだドタバタを経験しないで済んでいます。岸田首相のコロナ対策については、衆院選における与野党の政策にも大きな差異はないことから、しばらくは様子見でいいと思います。岸田首相の医療政策の“ブレーン”は?むしろ、現時点で医療関係者が気にしておくべきは、岸田首相の医療政策を指南する“ブレーン”ではないでしょうか。10月5日の日本経済新聞朝刊は、「コロナ対策 初入閣3人で 『厚労省の壁』少ない3人で対処」と題した記事で、「自民党内では厚労省の新型コロナ対策に関し『従来の方針や法令の整合性を理由に、抜本的な改革に慎重だった』との見方がある」として、「菅政権でワクチン担当を別に置いたのも、官邸主導にするためだった。後藤氏は党側でコロナ対策を議論してきた。霞が関の論理を熟知する旧大蔵省出身で、厚労官僚の壁を打破させる狙いが透ける」と書いています。「厚労官僚の壁を打破」したいのは自民党だけではありません。財務省も方向性は若干異なるものの、同じスタンスと言えます。10月8日のMEDIFAX webは、「岸田政権発足、22年度改定への影響は」と題する記事で新任の鈴木 俊一財務大臣ついて、次のように書いています。「鈴木財務相は党の総務会長などを務め、厚労分野の政策を議論する党の社会保障制度調査会長なども歴任してきた。その鈴木氏は就任会見で、『社会保障の受益と負担のアンバランス』を構造的な問題として指摘。社会保障の持続可能性を担保するため、財政健全化の重要性を強調した」。財政健全化とは医療費を含む社会保障費の適正化に他なりません。こうした閣僚人事の他にも、医療関係者を驚かせた官僚人事がありました。財務省で長らく厚労予算を見てきた宇波 弘貴氏(前・財務省主計局次長)が首相秘書官になったのです。今回の首相秘書官人事では財務省から2人を起用した一方で、厚労省からはとっていません。宇波氏は、医療費を含む社会保障関係費の増大に主計局主計官(厚生労働第一担当)の頃から警鐘を鳴らし、病床の再編による効率化の必要性を強く訴えてきた人物です。地域医療構想についても「うまくいかない場合は、より強い方策を取るべき」と語ったこともありました。医療政策は財務省主導で進む可能性こう見てくると、岸田首相は医療政策を財務省主導で進めたいと考えているようです。これからの対立構造を単純化するとしたら、「首相≒財務省」 vs. 「厚労省≒日本医師会」でしょうか。では、どんな政策になるのでしょう。そのヒントになるのが、本連載の「第56回 コロナで“焼け太り”病院続出? 厚労省通知、財務省資料から見えてくるもの(後編)」「第59回 コロナ禍、日医会長政治資金パーティ出席で再び開かれる? “家庭医構想”というパンドラの匣(後編)」でも紹介した、財務省主計局が4月15日、社会保障制度の見直しについて議論する財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=榊原 定征・前経団連会長)において示した、「社会保障等」に関する資料1)です。この資料、医療については、「効率的で質の高い医療提供体制の整備」「新型コロナウイルス感染症への対応」「全世代型社会保障改革の残された課題」「薬剤費の適正化」の4項目について述べられており、中でも2022年度診療報酬改定に向けては、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」との方向性を明示しています。2022年の診療報酬改定の議論が本格化してきましたが、なかなか進まない地域医療構想や地域における病院の役割分担、そして「かかりつけ医」の制度化などを、日本医師会の反対などを押しのけながら、どこまでグイグイと推し進めることができるかが、岸田政権下での医療政策の見どころだと思います。財務事務次官が「文藝春秋」にバラマキ批判の寄稿財務省ということでは、折しも、財務省の矢野康 治事務次官が今月発売の「文藝春秋(11月号)」に寄稿した「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政が破綻する』」が各方面に波紋を広げています。寄稿は最近の与野党の政策論争について、「数十兆円もの大規模な経済対策が謳われ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引き下げまでが提案されている。まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話が聞こえてきます」と批判、「バラマキ合戦は、これまで往々にして選挙のたびに繰り広げられてきました。でも、国民は本当にバラマキを求めているのでしょうか」と疑問を投げかけています。コロナ対策についても、「いま日本国内で真に強く求められているのは、『金を寄越せ、ばらまけ』というよりも、いざという時の病床確保であり、速やかなワクチン接種であり、早期の治療薬の提供であり、ワクチン・パスポートなどの経済活動をうまく再起動させるためのイグニション(点火装置)の方です。これらは、カネ以前の問題であったり、すでに財政措置は終わっているものであったり、民主導でやらざるを得ないものであったりなど、巨額の財政出動(公助)を必要とするものではありません」と言い切っています。この寄稿については、与野党から猛反発が沸き起こったようですが、鈴木財務大臣は12日、閣議後の会見で、矢野氏は「麻生太郎前財務相に了解を得ていた」と話し、読んだ印象は「財政健全化に向けた一般的政策論」であり「今までの政府の方針に基本の部分で反するようなものではない」と語ったそうです。官僚が与野党の政策を批判することは極めて異例のことで、問題視する向きもあるようですが、私自身は寄稿の内容は全くの正論だと思いました。いずれにせよ、こうした正論が財務省事務次官から一般人に対して発せられ、その発信を財務大臣も岸田首相(テレビ番組で「いろんな意見が出てくる。これは当然あっていい」とコメントしています)も一応“認めた”ということは、医療を含め、今後のさまざまな政策に少なからぬ影響を及ぼすかもしれません。まずは、次期診療報酬改定での「かかりつけ医」の制度化や、外来機能報告制度の議論に注目したいと思います。参考1)財政制度分科会(令和3年4月15日開催)資料一覧/財務省

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うつ病女性に対する運動介入効果~メタ解析

 うつ病は、男性よりも女性の割合が高い疾患である。これは、思春期、月経、妊娠、更年期などにおける女性の生理学的調整が、男性と異なることが原因であると考えられる。そのため、うつ病女性の治療は、健康上の課題となっている。また、うつ病に対する運動介入に関する最近の研究では、薬物療法や心理療法と対照的に、優れた効果が示唆されており、利便性、迅速性、副作用がないこと、短長期的有効性が認められている。中国・広西師範大学のLin-Bo Yan氏らは、抑うつ症状を有する女性に対する運動介入の臨床的な有効性を明らかにするため、システマティックレビューを行った。Medicine誌2021年8月20日号の報告。 PubMed、Cochrane Library、Embaseより、うつ病女性に対する運動介入について検討したランダム化比較試験を検索した。文献スクリーニング後のデータ抽出、品質評価、取得データのメタ解析は、RevMan5.3ソフトウエアを用いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・25件の研究より抽出した、2,294例を分析に含めた。・メタ解析では、運動は、対照群と比較し、女性のうつ病を軽減することが示唆された(標準平均差:-0.64、95%信頼区間:-0.89~-0.39、Z=4.99、p<0.001)。・サブグループ解析では、さまざまな種類の運動において、抑うつ症状改善に有意な効果が認められた。・運動介入は、通常のうつ病患者よりも、生理学的または他の疾患により誘発されるうつ病患者に対し、より効果的であることが示唆された。 著者らは「運動介入は、女性の抑うつ症状を有意に改善することが確認された」としている。

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COVID-19患者の26%に半年後も何らかの症状/国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の遷延症状は、当初から知られており、地域によっては専門外来が設置されるなど、今後のCOVID-19診療のフォローアップとしても注目されている。 国立国際医療研究センター 国際感染症センターの宮里 悠佑氏らのグループは、COVID-19罹患後の遷延症状に関して、長期的な疫学的情報に加え、遷延症状が出現・遷延するリスクを同定するために、COVID-19罹患後の患者を対象としてアンケート調査を実施し、その結果を「新型コロナウイルス感染症罹患後の遷延症状の記述疫学とその出現・遷延リスク因子に関する報告」として発表した。 その結果、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいこと、若年者ややせ型であるほど味覚・嗅覚障害が出現しやすいことが判明した。457例のCOVID-19患者を調査、400日以上も何らかの症状ありも【研究の背景】 国内外の報告からCOVID-19に遷延症状があることが確認され、国内の複数の調査では、中等症以上の患者512例において、退院後3ヵ月の時点で肺機能低下(とくに肺拡散能)が遷延していた。また、軽症者を含む525例において、診断後6ヵ月の時点で約80%は罹患前の健康状態に戻ったと自覚していたが、一部の症状が遷延すると生活の質の低下、不安や抑うつ、睡眠障害の傾向が強まることがわかった。嗅覚・味覚障害を認めた119例において、退院後1ヵ月までの改善率は嗅覚障害60%、味覚障害84%だった。そして、罹患後半年以上追跡した疫学調査報告や遷延症状が出現するリスク調査は少なく、また、遷延のリスク因子に関する報告はこれまでになかったことから調査を実施したものである。【研究概要】研究名:新型コロナウイルス感染症の遷延症状出現と遷延リスク因子方法:2020年2月~2021年3月までに国立国際医療研究センター病院のCOVID-19回復者血漿事業スクリーニングに参加した患者を対象として、アンケート調査を実施。調査項目は、患者背景、COVID-19急性期の重症度や治療内容、遷延症状の各症状の有無とその遷延期間。症状の出現頻度や遷延期間から、各症状を(1)急性期症状、(2)急性期から遷延する症状、(3)回復後に出現する症状の3つに分類した。また、遷延症状である(2)と(3)に関して、症状の出現リスク、症状が出現した患者における遷延リスクを探索的に調査した。【調査の結果】 対象の526例のうち457例から回答を得た(回収率86.9%)。回答者の年齢の中央値は47歳、231例(50.5%)が女性で、何らかの基礎疾患を有したのは212例(46.4%)、欠損値9例を除いた448例のうち、重症度は軽症が378例(84.4%)、中等症が57例(12.7%)、重症が13例(2.9%)だった。また、発症日からアンケート調査日までの期間の中央値は248.5日。 COVID-19の各症状は、(1)急性期症状:発熱、頭痛、食欲低下、関節痛、咽頭痛、筋肉痛、下痢、喀痰、(2)急性期から遷延する症状:倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、咳嗽、呼吸困難、(3)回復後に出現する症状:脱毛、集中力低下、記銘力障害、うつに分類された。 発症時もしくは診断時から6ヵ月経過時点で337例(73.7%)が無症状であり、120例(26.3%)に何らかの症状を認めた。また、発症時もしくは診断時から12ヵ月経過時点で417例(91.2%)が無症状であり、40例(8.8%)に何らかの症状を認めた。 倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、脱毛に関して、その出現リスクと遷延リスクを解析したところ、男性と比較して女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいことがわかった。また、若年者、やせ型であるほど味覚・嗅覚障害が出現しやすいことがわかった。抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療の有無と遷延症状の出現に関して、明確な相関は見受けられなかった。【研究結果から判明したこと】 研究グループは研究結果から次のコメントを述べている。・女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすいことがわかった。また、味覚・嗅覚障害は若年者で多く、生活の質を著しく低下させる可能性がある。・約4例に1例(26.3%)が半年間たっても何らかの遷延症状を呈しており、軽症者であっても遷延症状が長引く人がいることが明らかになった。・最も重要な遷延症状の予防はCOVID-19に罹患しないことであり、基本的な感染対策が重要と考えられる。・抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療がCOVID-19遷延症状の出現予防に寄与しないことがわかった。 なお、この研究では、想起バイアス、アンケート調査、主観的側面、対象者の偏向が生じうること、サンプル数に限界があること、アンケート調査時に症状を有している患者は症状の持続時間を過小評価している可能性があることなど研究限界があると注意を与えている。

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急性期脳梗塞の血栓除去療法、直接吸引術併用は有効か/JAMA

 大血管閉塞による急性期脳梗塞患者の機械的血栓除去療法では、直接吸引術(ADAPT)とステント型血栓回収機器(ステントリトリーバー)の併用はステント型血栓回収機器単独と比較して、血栓除去療法終了時のほぼ完全/完全な再灌流の達成率を改善せず、ほとんどの有効性の副次エンドポイントにも差はないことが、フランス・University of Versailles and Saint Quentin en Yvelines, Foch HospitalのBertrand Lapergue氏らが実施した「ASTER2試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2021年9月28日号で報告された。フランスのエンドポイント盲検化無作為化試験 本研究は、フランスの11の包括的脳卒中センターが参加した非盲検・エンドポイント盲検化無作為化試験であり、2017年10月~2018年5月の期間に参加者の登録が行われた(Foch Hospitalによる助成を受けた)。 対象は、年齢の上限を設けない成人で、前方循環系の大血管閉塞に伴う急性期脳梗塞が疑われ、症状の発現から8時間以内の患者であった。被験者は、初回血栓除去療法として、バルーン付きカテーテルを用いた直接吸引術とステント型血栓回収機器による併用治療を受ける群(介入群)、またはステント型血栓回収機器単独による治療を受ける群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、治療終了時のexpanded Thrombolysis In Cerebral Infarction(eTICI)スコアの2c(ほぼ完全な再灌流)と3(完全再灌流)の達成率とされた。治療終了時eTICI 2c/3達成率:64.5% vs.57.9% 405例(平均年齢73歳、女性54%)が解析に含まれ、203例が介入群、202例は対照群に割り付けられた。ベースラインの全体の平均NIHSSスコア(0[無症状]~42[最重度の神経学的障害]点)は16.2(SD 6.3)点で、85.2%に無作為化前の初回非侵襲的画像検査で中大脳動脈の閉塞が認められた。 治療終了時のeTICI 2c/3の達成率は、介入群が64.5%(131/203例)、対照群は57.9%(117/202例)と、両群間に有意な差は認められなかった(リスク差:6.6%、95%信頼区間[CI]:-3.0~16.2、補正後オッズ比[OR]:1.33、95%CI:0.88~1.99、p=0.17)。 事前に規定された14項目の有効性の副次エンドポイントのうち、12項目では有意差は示されなかったが、2項目は介入群で良好であった。すなわち、割り付けられた治療による初回介入後の再灌流(eTICI 2b50/2c/3)率は、介入群が86.2%と、対照群の72.3%に比べて高く(補正後OR:2.54、95%CI:1.51~4.28、p<0.001)、ほぼ完全/完全な再灌流(eTICI 2c/3)の達成率は、それぞれ59.6%および49.5%であり、介入群で優れた(1.52、1.02~2.27、p=0.04)。 著者は、「本試験は、両群間の小さな差を示すには検出力が十分でなかった可能性がある」としている。

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新型コロナの日本初のレプリコン(次世代mRNA)ワクチン、第I相試験開始/VLPセラピューティクス・ジャパン

 新型コロナウイルス感染症に対する日本初となるレプリコン(次世代mRNA)ワクチン(VLPCOV-01)の第I相試験を開始したことを、VLP Therapeutics Japan合同会社(以下、VLPセラピューティクス・ジャパン)が12日、発表した。レプリコンワクチンとは少量の接種で十分な抗体が作られる自己増殖型mRNAワクチン レプリコン(次世代mRNA)ワクチンとは、少量の接種で十分な抗体が作られる自己増殖型のmRNAワクチン。レプリコンワクチンは現行のmRNAワクチンの10~100分の1程度の接種量となることから、短期間で日本の全人口分の製造が可能となることや、副反応の低減が期待される。現行のワクチンは新型コロナウイルス表面にある突起状のSタンパク質全体を抗原とするが、レプリコンワクチンはSタンパク質のうちウイルスが人の細胞に結合して感染する受容体結合部位(RBD)のみを抗原にしている。そのため、レプリコンワクチンは不要な抗体を作らないことによる高い安全性、多様なRBDへの抗体産生による変異株への効果も期待されるという。 第I相試験では、20~65歳の健康成人男女45名を対象とし、自己増殖型のmRNAワクチンであるレプリコンワクチン(VLPCOV-01)を2回筋肉内接種した時の安全性と免疫原性(有効性)を検討する。被験者を用量が異なる3群(各15名)に分け、0.5mLを2回、4週間隔で接種する。本試験の中間解析結果を踏まえ、2022年春に第II/III相試験および65歳以上の高齢者も対象とする第I相試験の続きを開始する予定。 VLPセラピューティクス・ジャパンは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)および厚生労働省の支援のもと、国内6機関(医薬基盤・健康・栄養研究所、大分大学、大阪市立大学、国立国際医療研究センター、国立病院機構名古屋医療センター、北海道大学)と協力し、国産コロナワクチンの研究開発・臨床試験を進めている。なお、VLPCOV-01の治験薬は富士フイルム株式会社が製造している。■VLP Therapeutics Japan合同会社(代表職務執行者:赤畑 渉)2020年に米国VLP Therapeutics, Inc.の100%子会社として設立。■米国VLP Therapeutics, Inc.(CEO:赤畑 渉)2013年に世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するために赤畑氏が設立。

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移動式脳卒中ユニットは脳梗塞の転帰を改善する(解説:内山真一郎氏)

 Mobile stroke unit(移動式脳卒中ユニット、MSU)は、医療スタッフとCTを搭載した救急車であり、救急隊による標準的な管理(EMS)よりも血栓溶解薬(t-PA)を早く投与できる可能性がある。 米国で行われたBEST-MSU試験は、発症後4.5時間以内の脳梗塞患者に週ごとのMSUとEMSの管理を交互に行い、転帰を比較している。登録された1,515例中1,047例がt-PA治療が適格と判断され、617例がMSU、430例がEMSによる治療を受けた。重み付けした修正ランキンスケールスコアで判定された90日後の転帰は、MSU群で有意に良好であった。試験の性格上、無作為化二重盲検比較試験ではないという限界はあるが、MSUの導入拡大を後押しする結果である。 MSUは設備費、人件費、維持費に巨額の経費が必要になるので採算が合わないのではないかとの批判があるが、海外の研究では長い目で見れば医療経済的にも十分見合うとの試算もすでになされている。欧米のみならずアジアでもMSUの運用を開始した国が出てきており、日本ではまだ検討段階にとどまっているが今後の進展を見守りたい。

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国内2剤目の軽症~中等症COVID-19治療薬「ゼビュディ点滴静注液500mg」【下平博士のDIノート】第84回

国内2剤目の軽症~中等症COVID-19治療薬「ゼビュディ点滴静注液500mg」出典:グラクソ・スミスクライン ホームページ今回は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ソトロビマブ(遺伝子組換え)(商品名:ゼビュディ点滴静注液500mg、製造販売元:グラクソ・スミスクライン)」を紹介します。本剤は、重症化リスクを有する軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の重症化を防ぐことが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2021年9月27日に承認され、9月29日に発売されました。本剤は、臨床試験における主な投与経験を踏まえ、COVID-19の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与を行います。なお、本剤の中和活性が低いSARS-CoV-2変異株に対しては有効性が期待できない可能性があります。<用法・用量>通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ソトロビマブ(遺伝子組換え)として500mgを単回点滴静注します。COVID-19の症状が発現してから1週間程度までを目安に速やかに投与します。なお、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症が現れることがあるため、本剤投与中はアナフィラキシーショック、アナフィラキシーに対する適切な薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬など)や緊急処置を直ちに実施できる環境を整え、投与終了後は症状がないことを確認します。<安全性>海外第II/III相試験(COMET-ICE試験)において、本剤投与群523例中、副作用発現数は8例(2%)でした。報告された副作用は、臨床検査値異常2件、発疹、皮膚反応、悪心、注入部位疼痛、疼痛、味覚不全、頭痛、不眠症がそれぞれ1件でした。なお、重大な副作用として、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症、infusion reactionが現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.本剤は、新型コロナウイルスに結合してヒト細胞へのウイルスの侵入を防ぐことで、重症化を防ぐ薬です。2.過去に薬剤などで重篤なアレルギー症状を起こしたことのある方は、必ず事前に申し出てください。3.投与中または投与後に、発熱、悪寒、吐き気、不整脈、胸痛、脱力感、頭痛のほか、過敏症やアレルギーのような症状が現れた場合は、すぐに近くの医療者または医療機関に連絡してください。<Shimo's eyes>本剤は、軽症を含むCOVID-19患者を対象としたモノクローナル抗体製剤です。本剤の作用機序は、すでに承認されているカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)と基本的には同じですが、標的となるスパイクタンパクの受容体結合ドメインが異なるので、変異株に対する感受性も異なると考えられます。投与対象者は「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者(軽症~中等症I)」で、選択基準として酸素飽和度が94%以上(室内気)とされており、重症患者は対象ではありません。重症化リスクの高い軽症~中等症患者を対象としたCOMET-ICE試験において、本剤投与群の入院または死亡の割合は、プラセボ群と比較して79%低減しました。投与のタイミングは、COVID-19の症状が発現してから速やかに投与することが望ましく、症状発現から1週間程度までが目安となります。現時点では入院患者を対象に、点滴による静脈内投与を30分かけて1回行います。投与中および投与後は、ほかの抗体製剤と同様にアナフィラキシーを含む重篤な過敏症およびinfusion reactionに注意が必要です。なお、本剤は特例承認された薬剤であり、承認時におけるCOVID-19への治療効果や副作用について得られている情報が限られているため、あらかじめ患者または家族などにその旨を説明し、文書による同意を得てから本剤を使用する必要があります。現状では安定的な供給が難しいことから、当面の間は重症化リスクがあり入院治療を要する患者を投与対象者として国より配分されます。参考1)PMDA 添付文書 ゼビュディ点滴静注液500mg2)厚労省 新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬の医療機関への配分について(中和抗体薬の種類及び疑義応答集の追加・修正)

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浮腫の見分け方、発症形式と部位を押さえよう!【Dr.山中の攻める!問診3step】第7回

第7回 浮腫の見分け方、発症形式と部位を押さえよう!―Key Point―片側性の下腿浮腫は、深部静脈血栓症の可能性を第一に考える突然発症の浮腫はアナフィラキシーや血管浮腫を想起する薬剤が原因で浮腫を起こすことがある症例:73歳女性主訴)左下肢腫脹現病歴)4日前から左下肢が腫れてきた。膝背部や大腿が椅子に座ると痛む。近くの診療所からリンパ浮腫の疑いと紹介があった。胸痛や歩行時の息切れはない。既往歴)特になし身体所見)バイタルサインは体温:36.4℃、血圧111/59mmHg、心拍数63回/分、呼吸数20回/分、SpO2 95%(室内気)。意識清明、左下肢全体に浮腫と発赤があった。経過)鑑別診断として深部静脈血栓症と蜂窩織炎を考えた。骨盤造影CT検査を行い左総腸骨静脈血栓症と診断した。◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!どの部位に浮腫があるか発症形式(時期)病態生理【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】浮腫の部位、発症形式に注目し、病態生理を考える全身性浮腫心不全、肝硬変、腎不全、ネフローゼ症候群などによる低アルブミン血症、甲状腺機能低下症、薬剤(Ca拮抗薬、NSAIDs、ステロイド、シクロスポリン)局所性浮腫口唇(血管浮腫)、上肢(上大静脈症候群)、片側下肢(深部静脈血栓症、蜂窩織炎、リンパ浮腫)発症形式(時期)突然発症(数分以内)アナフィラキシー、血管浮腫急性発症(数日)深部静脈血栓症、蜂窩織炎、急性糸球体腎炎慢性(数ヵ月)心不全、肝硬変、静脈不全病態生理1)患部を指で圧迫する非圧痕性浮腫甲状腺機能低下症、リンパ浮腫圧痕性浮腫fast edema(40秒以内に圧痕が消失)なら低アルブミン血症、slow edema (40秒経っても圧痕が残る)なら心不全、静脈不全2)血栓の有無や静脈不全を見逃さない血栓片側性下腿浮腫では、深部静脈血栓症→肺塞栓の可能性を第一に考える。悪性腫瘍(とくに腺がん)に伴う過凝固が原因で深部静脈血栓症ができることもある。静脈不全見逃されていることが多い。内果の血管拡張、うっ滞性皮膚炎、静脈瘤、足関節付近の色素沈着、下腿潰瘍があれば疑う。3)浮腫の原因は複合的なことが多い1)[例]薬剤(Ca拮抗薬)+静脈不全+塩分過多+長時間の立位図)正常と静脈不全の下肢2)画像を拡大する【STEP3】治療を検討する● 深部静脈血栓症抗凝固療法● 静脈不全塩分制限、下肢挙上、弾性ストッキング● 薬剤性薬剤の中止<参考文献・資料>1)高橋良. 本当に使える症候学の話をしよう. じほう.2020.p.124-154.2)Thai KE, at al. Fitzpatrick’s Dermatology in General Medicine. 7th. 2007.p.1680.

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第82回 コロナ感染後の後遺症にワクチンが有効

今月はじめに世界保健機関(WHO)が定義した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症をワクチンが予防のみならずその発生後の投与で治療しうることもフランスでの試験で示されました。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に確かにまたは恐らく感染した患者のその発症か無症状感染の診断確定からたいてい3ヵ月間に、代替診断が不可能な疲労・息切れ・認知機能障害などの症状が生じて少なくとも2ヵ月間続くことをWHOはCOVID-19後遺症(post COVID-19 condition)と定義しました1)。症状はCOVID-19の発症初期からひと続きのこともあればCOVID-19がいったん収まってから新たに発生することもあり、たいてい日常生活に影響を及ぼします。また、症状は小康と悪化を繰り返すか再発するかもしれません。COVID-19患者のほとんどは感染発覚時の症状が済めば感染前の健康を取り戻します。しかしCOVID-19患者の10人に1人、ともすると5人に1人はWHOが定義したような数週間から数ヵ月にも及ぶ後遺症に陥ることがこれまでの試験で示唆されています1)。先月にLancet Infectious Diseases誌に発表された英国での試験によるとワクチンを接種済みであればたとえSARS-CoV-2に感染してもそういう後遺症を生じ難くなるようです。試験ではワクチン接種済みの97万1,504人のうち2,370人(0.2%)がSARS-CoV-2に感染し、ワクチン接種済みだと28日以上の後遺症の発現率が約半分で済んでいました2,3)。ワクチンの効果はその予防にとどまりません。COVID-19後遺症に陥ってからの接種でその症状がより改善することがLancet誌掲載予定の試験結果で示されました4)。試験には恐らくまたは確かにSARS-CoV-2感染して症状が3週間を超えて続くフランスの患者910人が参加しました。それらの半数の455人は試験の観察期間の開始から60日以内に最初のSARS-CoV-2ワクチンを接種し、残り455人は接種しないままでした。観察期間の開始から120日後時点のワクチン接種群の後遺症は非接種群に比べてより緩和しました。また、17%の患者の後遺症は解消に至っており、非接種群のその割合8%をおよそ2倍上回りました。受け入れがたい症状の患者の割合はワクチン非接種群では46.4%と半数近かったのに対してワクチン接種群では5人に2人ほど(38.9%)で済んでいまいた。ワクチン接種群で入院を要した深刻な有害事象の発生率はわずか0.4%であり、COVID-19後遺症患者へのワクチン接種の安全性も確認されました。結論としてワクチンがCOVID-19後遺症の症状を改善することを示したことに加え、COVID-19後遺症が体内のどこかに居続けるウイルスや体内をめぐるウイルス断片に起因しうるという仮説も支持されました4)。参考1)A clinical case definition of post COVID-19 condition by a Delphi consensus, 6 October 2021 / WHO 2)Antonelli M,et al. Lancet Infect Dis. 2021 Sep 1;S1473-3099.00460-6. [Epub ahead of print] 3)Double vaccination halves risk of Long COVID / King’s College London4)Efficacy of COVID-19 Vaccination on the Symptoms of Patients With Long COVID: A Target Trial Emulation Using Data From the ComPaRe e-Cohort in France. pre-prints with THE LANCET. 29 Sep 2021.

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コロナ感染による抗体持続、飲酒とARB服用で差/神奈川県内科医学会

 神奈川県内科医学会は、新型コロナウイルス感染後の抗体の有無について、無症候性感染者を対象として、抗体の獲得とその継続について調査を行った。2020年5月18日~6月24日に県内65施設において医師・看護師、通院患者、検診受診者など1,603例を対象に抗体検査を行い、検査結果が陽性かつ無症候性であった参加者を対象に、2、4、6ヵ月後に再度抗体検査を行った。 主な結果は以下のとおり。・1,603例中、無症候性感染が認められた33例が追跡調査の対象となった。抗体陽性継続者は、2ヵ月後11/32(34.4%)、4ヵ月後8/33(24.2%)、6ヵ月後8/33(24.2%)であり、これまでに報告されている症候性感染者の抗体継続率よりも低かった。・2、4ヵ月後に抗体陰性になった群、6ヵ月後も抗体陽性が継続した群に分け、背景情報を比較した結果、「飲酒習慣なし」「降圧剤アンジオテンシンII受容体阻害薬(ARB)服用歴あり」が、抗体継続の要因である可能性が示唆された。 今回の調査を中心となって行った神奈川県内科医学会の松葉 育郎氏らは、今回は無症候性感染者を対象としており抗体陽性判明後からの追跡となるため、これまでの症候性感の報告と単純な比較はできないとしつつ、無症候性感染者が短期間で抗体が検出されなくなった背景には症状の重篤度が関係していることが推察され、これまでも重症度の高い患者ほどサイトカイン・ケモカイン産生量が多いことも報告されていることから、無症候性ゆえに獲得した抗体価も小さいと考えられる、としている。 本調査の結果は、日本内科学会英文誌Internal Medicineに受理されており、追って掲載されるという。

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日本の介護施設の認知症高齢者における向精神薬および抗コリン薬の使用状況

 医療経済研究機構の浜田 将太氏らは、日本の主要な介護施設の1つである介護老人保健施設に入所している認知症高齢者を対象に、向精神薬および抗コリン薬の処方および中止の状況を評価するため、コホート研究を実施した。BMJ Open誌2021年4月8日号の報告。 2015年、日本の介護老人保健施設3,598施設を対象にアンケート調査を実施した(施設ごとにランダムに選択された入所者最大5例)。アンケート回収は、343施設(回答率10%)より得られ、入所者1,201例が含まれた。標準化された尺度を用いて、認知症の有無および重症度を評価した。入所時および入所2ヵ月後の向精神薬および抗コリン薬の処方状況を評価した。入所者のベースライン特性と処方または中止との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・抗認知症薬(19.4%→13.0%)、催眠薬(25.1%→22.6%)、抗不安薬(12.3%→10.7%)の処方は減少したが、抗精神病薬(13.2%→13.6%)、抗うつ薬(7.4%→6.7%)、抗てんかん薬(7.1%→7.8%)などの他の向精神薬、抗コリン薬(35.2%→36.6%)の処方については、統計学的に有意な減少が認められなかった。・いくつかの要因と処方との関連が確認された。たとえば、85歳以上の高齢(調整OR:0.60、95%CI:0.43~0.85)や寝たきり(調整OR:0.67、95%CI:0.47~0.97)では抗精神病薬の処方は減少し、高度の認知症(調整OR:3.26、95%CI:2.26~4.70)では抗精神病薬の処方が増加することが示唆された。・個人レベルでみると、入所時に向精神薬または抗コリン薬を処方されていた入所者の4分の1は、入所2ヵ月後にはそれぞれ1剤以上の中止が認められた。・高度の認知症に対する抗認知症薬の処方(調整OR:1.86、95%CI:1.04~3.31)および非認知症高齢者に対する向精神薬の処方(調整OR:1.61、95%CI:1.00~2.60)は、中止と関連していた。 著者らは「有害事象リスクを軽減するためにも、介護老人保健施設の入所者に対する向精神薬および抗コリン薬の処方は、検討する余地があると考えられる」としている。

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プラリマリケアでの抗うつ薬治療、再発リスクの評価/NEJM

 抗うつ薬治療を中止できるほど良好な状態であったプライマリケアのうつ病患者において、投薬を中止した患者は継続した患者と比べて、52週までのうつ病再発リスクが高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)Faculty of Brain SciencesのGemma Lewis氏らが両者を比較する無作為化二重盲検試験の結果を報告した。プライマリケアで治療を受けるうつ病患者は、長期間抗うつ薬の投与を受ける可能性があるとされるが、投与を継続または中止した場合の影響に関するデータは限定的であった。NEJM誌2021年9月30日号掲載の報告。52週の無作為化試験で、うつ病再発を評価 研究グループは、英国にある150の一般診療所(GP)で治療を受ける成人患者を対象に試験を行った。全患者が2つ以上のうつエピソード歴があるか、抗うつ薬治療を2年以上受けており、治療中止を考慮可能なほど良好な状態であった。 被験者(citalopram、fluoxetine、セルトラリン、ミルタザピンのいずれかを服用)は1対1の割合で無作為に、現行の抗うつ薬治療を継続する群(継続群)またはマッチさせたプラセボを用いて漸減・中止する群(中止群)に割り付けられた。 主要アウトカムは、52週の試験期間中の初回うつ病再発(time-to-event解析で評価)であった。副次アウトカムは、抑うつ・不安症状、身体的・離脱症状、QOL、抗うつ薬/プラセボ中止までの期間、全般的な気分の評価とした。再発は継続群39%、中止群56%、ハザード比2.06 合計1,466例がスクリーニングを受け、478例が試験に登録された(継続群238例、中止群240例)。被験者の平均年齢は54歳、女性が73%。割り付けられた試験薬のアドヒアランスは、継続群70%、中止群52%であった。 52週までに再発を認めたのは、継続群92/238例(39%)、中止群135/240例(56%)であった(ハザード比:2.06、95%信頼区間:1.56~2.70、p<0.001)。 副次アウトカムは、概して主要アウトカムと同様の傾向が認められた。中止群は継続群と比べて、抑うつ症状(12週時のPHQ-9評価で推定群間差2.2ポイント)、不安症状(12週時のGAD-7評価で同2.4ポイント)、離脱症状(12週時のDESS評価で同1.9ポイント)が多かった。

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HER2 exon20変異肺がんにpoziotinibが有力な成績示す(ZENITH20)/ESMO2021

 EGFRおよびHER2のexon20挿入変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の2〜4%である。しかし、その予後は不良かつ治療も困難で、exon20への非特異的な治療の無増悪生存期間(PFS)は3〜7ヵ月とされる。 そのような中、EGFR-MET二重特異性抗体amivantamab、DZD9008、mobocertinibなど、EGFRおよびHER2のexon20挿入変異陽性NSCLCの新薬開発が進んでいる。 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)では、汎HER-TKIであるpoziotinibのマルチコホート試験ZENITH20の一部結果が発表され、HER2 exon20挿入変異への有力な成績が示された。 ZENITH20試験は、7つのコホートからなるマルチコホート試験である。今回のESMO2021では、コホート4のHER2 exon20挿入変異NSCLCの結果が発表されている。・対象:HER2 exon20挿入変異陽性のNSCLC・介入:初回登録poziotinib16mg/日、後続登録poziotinib 8mgx2/日・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]病勢制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、安全性などORR閾値:95%信頼区間の下限が20%以上今回の発表は、初回登録のpoziotinib16mg/日投与例(n=48)の解析 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目のORRは43.8%(95%CI:29.5〜58.8)、DCRは75%(CR1例、PR20例、SD15例)であった。・腫瘍縮小は88%の症例に認められた。・DoR中央値は5.4ヵ月であった。・PFS中央値は5.6ヵ月で、6ヵ月PFS率は42%、12ヵ月PFS率は26%であった。・poziotinibの新たな毒性は認められなかった。・治療関連有害事象(TRAE)の発現は100%だが、重篤な事象は10%であった。・頻度が高い(20%以上)TRAEは、下痢、皮疹、胃炎、爪囲炎など、第2世代EGFR-TKIと同様であった。 poziotinibは、未治療のHER2 exon20挿入変異陽性NSCLCにおいて、臨床的に意味のある効果を示した。また、毒性は既存の報告と同様であり、管理可能なものであった、と発表者は述べた。

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中等度リスクの急性冠症候群への早期冠動脈造影CTは有効か/BMJ

 急性胸痛で救急診療部を受診し、急性冠症候群および続発する臨床イベントのリスクが中等度の患者において、早期の冠動脈造影CT検査は、冠動脈への治療的介入全般および1年後の臨床アウトカムに影響を及ぼさず、侵襲的冠動脈造影の施行率は減少させたものの、入院期間はわずかに延長したとの研究結果が、英国・エディンバラ大学のAlasdair J. Gray氏らが実施したRAPID-CTCA試験で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年9月29日号に掲載された。英国37病院の無作為化対照比較試験 研究グループは、急性胸痛がみられ急性冠症候群のリスクが中等度の患者への早期冠動脈造影CT検査は、1年後の臨床アウトカムを改善するかの検証を目的に、非盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成を受けた)。本試験には、英国の37の病院が参加し、2015年3月~2019年6月の期間に参加者が登録された。 対象は、急性冠症候群が疑われるか、急性冠症候群と暫定診断され、冠動脈性心疾患の既往歴を1つ以上有するか、心筋トロポニン上昇、または心電図異常が認められる成人患者であった。被験者は、早期冠動脈造影CT+標準治療を受ける群、または標準治療のみを受ける群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、1年後の全死因死亡または非致死的心筋梗塞(1型[血栓症に伴う自然発症]および4b型[ステント血栓症に起因])とされた。 1,748例が登録され、造影CT群に877例、標準治療群に871例が割り付けられた。全体の平均年齢は61.6(SD 12.6)歳、64%が男性で、平均GRACEスコアは115点だった(23%が>140点)。34%に冠動脈性心疾患の既往歴があり、57%に心筋トロポニン上昇、61%に心電図異常が認められた。 造影CT群のうち、実際に早期冠動脈造影CT検査を受けたのは767例(87.5%)で、無作為割り付けからCT施行までの時間中央値は4.2時間(IQR:1.6~21.6)であった。CT検査により、23%で正常冠動脈、29%で非閉塞性病変、47%で閉塞性病変が同定された。血行再建術、薬物療法、予防治療の変更にも影響はない 主要エンドポイントは、造影CT群が5.8%(51例)、標準治療群は6.1%(53例)で発生し、両群間に有意な差は認められなかった(補正後ハザード比[HR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.62~1.35、p=0.65)。 一方、侵襲的冠動脈造影検査の施行率は、造影CT群が54.0%(474例)と、標準治療群の60.8%(530例)に比べて低かった(補正後HR:0.81、95%CI:0.72~0.92、p=0.001)。 また、両群間で、冠動脈血行再建術(補正後HR:1.03、95%CI:0.87~1.21、p=0.76)や入院での急性冠症候群に対する薬物療法(補正後オッズ比[OR]:1.06、95%CI:0.85~1.32、p=0.63)、退院時の予防治療の変更(補正後OR:1.07、95%CI:0.87~1.32、p=0.52)に差はなかった。 入院期間中央値は、造影CT群が2.2日(IQR:1.1~4.1)と、標準治療群の2.0日(1.0~3.8)に比べ延長した(Hodges-Lehmann推定量で0.21日[95%CI:0.05~0.40、p=0.009]の増加)。 著者は、「これらの知見は、急性胸痛がみられ急性冠症候群のリスクが中等度の患者において、1年後の臨床イベントを低減する戦略としての早期冠動脈造影CTの日常診療での使用は適切でないことを示唆する」とまとめ、「冠動脈造影CTの患者満足度(補正後OR:1.25、95%CI:1.02~1.53、p=0.03)は高く、これは造影CTが患者の臨床的な病態を迅速に評価し、担当医の診断の確実性を強化したことを反映していると考えられる」としている。

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