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新世代MRAのfinerenone、DKDの心血管リスク減/NEJM

 2型糖尿病を合併する幅広い重症度の慢性腎臓病(CKD)患者の治療において、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬finerenoneはプラセボと比較して、心血管死や非致死的心筋梗塞などで構成される心血管アウトカムを改善し、有害事象の頻度は同程度であることが、米国・ミシガン大学医学大学院のBertram Pitt氏らが実施した「FIGARO-DKD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年8月28日号で報告された。標準的な治療への上乗せ効果を評価 本研究は、48ヵ国の施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化イベント主導型第III相試験であり、2015年9月~2018年10月の期間に参加者のスクリーニングが行われた(Bayerの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、2型糖尿病を伴うCKDで、添付文書に記載された最大用量のレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(ACE阻害薬、ARB)による治療で受容できない副作用の発現がみられない患者であった。スクリーニング時に、持続性のアルブミン尿の中等度上昇(尿中アルブミン[mg]/クレアチニン[g]比:30~<300)がみられ、推算糸球体濾過量(eGFR)が25~90mL/分/1.73m2(ステージ2~4のCKD)の患者、または持続性のアルブミン尿の高度上昇(尿中アルブミン/クレアチニン比:300~5,000)がみられ、eGFRが≧60mL/分/1.73m2(ステージ1/2のCKD)の患者が解析に含まれた。 被験者は、finerenone(10mgまたは20mg、1日1回、経口)またはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院の複合とされ、生存時間解析を用いて評価が行われた。副次アウトカムは、腎不全、eGFRのベースラインから4週以降における40%以上の持続的な低下、腎臓が原因の死亡の複合であった。主要アウトカム:12.4% vs.14.2% 7,352例が登録され、finerenone群に3,686例、プラセボ群に3,666例が割り付けられた。全体の平均年齢(±SD)は64.1±9.8歳で、69.4%が男性であった。 ベースライン時に、全体の70.5%がスタチン、47.6%が利尿薬の投与を受けていた。また、97.9%が血糖降下薬の投与を受けており、このうち54.3%がインスリン製剤、8.4%がSGLT2阻害薬、7.5%がGLP-1受容体作動薬の投与を受けていた。試験期間中に、15.8%がSGLT2阻害薬、11.3%がGLP-1受容体作動薬の投与を新たに開始した。 追跡期間中央値3.4年の時点で、主要アウトカムのイベントは、finerenone群が12.4%(458/3,686例)、プラセボ群は14.2%(519/3,666例)で認められ、finerenone群で有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.76~0.98、p=0.03)。 この主要アウトカムのfinerenone群での利益は、主に心不全による入院(3.2% vs.4.4%、HR:0.71、95%CI:0.56~0.90)がfinerenone群で低かったためであり、心血管死(5.3% vs.5.8%、0.90、0.74~1.09)、非致死的心筋梗塞(2.8 vs.2.8%、0.99、0.76~1.31)、非致死的脳卒中(2.9% vs.3.0%、0.97、0.74~1.26)に差はみられなかった。 副次アウトカムは、finerenone群が9.5%(350例)、プラセボ群は10.8%(395例)で認められた(HR:0.87、95%CI:0.76~1.01)。 担当医の報告による全般的な有害事象の頻度は両群で同程度であり、重篤な有害事象はfinerenone群が31.4%、プラセボ群は33.2%で発現した。高カリウム血症は、finerenone群で頻度が高かった(10.8%、5.3%)が、高カリウム血症による死亡例はなく、高カリウム血症による恒久的な投与中止例(1.2%、0.4%)や入院例(0.6%、0.1%)は、finerenone群で多いものの頻度は低かった。 著者は、「患者の60%以上がベースライン時にeGFR≧60mL/分/1.73m2のアルブミン尿を伴うCKD患者であったことから、尿中アルブミン/クレアチニン比によるスクリーニングで早期にCKDを診断し、この心血管リスクが高く認知度が低い患者集団の転帰を改善するための治療を開始する必要性が浮き彫りとなった」としている。

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HR0.28、T-DXdがHER2+乳がん2次治療でT-DM1に対しPFS改善(DESTINY-Breast03)/ESMO2021

 トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果を発表した。 DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブとタキサンで以前に治療されたHER2+mBC患者におけるT-DXdとT-DM1の有効性と安全性を比較した多施設共同非盲検無作為化第III相試験。・対象:トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2+mBC患者・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付けT-DXd群:3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例T-DM1群:3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例・層別化因子:ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OS、BICRおよび治験実施医師評価による客観的奏効率(ORR)、BICR評価による奏効期間(DOR)、治験実施医師評価によるPFS、安全性 主な結果は以下のとおり。・2021年5月21日までに15ヵ国から524例が無作為化された。・年齢中央値はT-Dxd群54.3歳、T-DM1群54.2歳。両群ともアジア人が約6割を占め、HER2 Statusは3+が約9割、ホルモン受容体陽性の患者は約5割を占めていた。脳転移を有する患者はT-Dxd群23.8%、T-DM1群19.8%。内臓転移を有する患者はT-Dxd群70.5%、T-DM1群70.3%だった。・治療歴については、1ラインがT-Dxd群49.8%、T-DM1群46.8%、2ラインがT-Dxd群21.5%、T-DM1群24.7%。トラスツズマブ治療歴を有する患者が両群とも99.6%、ペルツズマブ治療歴を有する患者がT-Dxd群62.1%、T-DM1群60.1%だった。・観察期間中央値は、T-Dxd群が16.2ヵ月、T-DM1群が15.3ヵ月だった。・主要評価項目のBICR評価によるPFS中央値は、T-Dxd群NR(95%信頼区間[CI]:18.5~NE) vs.T-DM1群6.8ヵ月(95%CI:5.6~8.2)、ハザード比(HR):0.28(95%CI:0.22~0.37、p=7.8×10-22)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。12ヵ月時点でのPFS率はT-DM1群34.1%(95%CI:27.7~40.5)に対しT-Dxd群75.8%(95%CI:69.8~80.7)だった。・PFSのサブグループ解析の結果、ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、治療ラインの数、内臓および脳転移の有無によらず、すべてのグループでT-Dxd群における有意な延長がみられた。・副次評価項目の治験実施医師評価によるPFS中央値は、T-Dxd群25.1ヵ月(95%CI:22.1~NE)vs.T-DM1群7.2ヵ月(95%CI:6.8~8.3)、HR:0.26(95%CI:0.20~0.35、p=6.5×10-24)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。・OSデータは未成熟であり、中央値は両群でともにNE、HR:0.56(95%CI:0.36~0.86、p=0.007172)となり事前に設定された有意性水準(p<0.000265)を満たさなかった。・ORRは、T-Dxd群79.7% vs.T-DM1群34.2%でT-Dxd群で有意に高かった(p<0.0001)。CRは16.1% vs.8.7%、PRは63.6% vs.25.5%だった。・治療期間中央値はT-Dxd群14.3ヵ月 vs.T-DM1群6.9ヵ月。Grade3以上の治療関連有害事象はT-Dxd群45.1% vs.T-DM1群39.8%で発現した。T-Dxd群のGrade3以上の治療関連有害事象として多かったのは好中球減少症(19.1%)、血小板減少症(7.0%)、白血球減少症(6.6%)、吐き気(6.6%)だった。・治療中止に関連した有害事象としてT-Dxd群で最も多かったのはILD/肺炎(8.2%)、T-DM1群では血小板減少症(2.7%)だった。ただし、T-Dxd群でGrade4あるいは5のILD/肺炎はみられなかった。Grade2の左室駆出率低下がT-Dxd群で2.3%、T-DM1群で0.4%みられたが、Grade3以上の報告はない。 Cortes氏は、本結果はT-DxdがHER2陽性mBC患者の2次治療における標準治療となることを支持するものと結論付けている。

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23日より血液学会スタート!会長インタビューと注目演題紹介

 9月23日より第83回日本血液学会学術集会がオンラインで開催される。ケアネットが運営する医師限定キュレーションサイト「Doctors'Picks」では学会の特集サイトを公開しており、掲載された会長の東北大学の張替 秀郎氏による動画メッセージの一部を紹介する。ーー本学会のテーマ「恒常性と復元力」にはどのような意味を込めたのでしょうか? 血液細胞は、酸素運搬、感染防御、止血といった身体の恒常性の根幹を担う必須の細胞です。そして、血液のがんはほかのがんと異なり、腫瘍を取ってしまえばよいわけではなく、そこから正常な造血機能が回復してはじめて寛解となる。そうした意味で復元力が極めて大切な臓器です。そうした2つの血液の本質に立ち返り、改めて考察したいという狙いからテーマとしました。 そして、このテーマには、もう一つの思いが込められています。2021年は東日本大震災から10年の節目にあたります。2011年、東日本大震災により日本、とくにこの東北は甚大な被害を受け、すべての恒常性が失われました。そして2020年、COVID-19感染症によって、世界は再度すべての恒常性を失いました。東日本大震災から10年、社会がその復元力によって恒常性を取り戻したように、現在はまだコロナ禍にはありますが、社会の復元力によって生活・科学・医療の恒常性を取り戻すことを信じて願う、という意味も込めました。ーー今回の学会でとくに注目の演題は? 各専門別の最新の情報が集まるというのは毎年のことですが、私が企画したのはPresidential Symposiumと特別講演です。Presidential Symposiumは「The Path from Stem Cells to Red Blood Cells」という演題で、赤血球の分化過程という基礎的なテーマを設定しました。特別講演は2つで、ハーバード大学の幹細胞研究を専門とするDavid Scadden氏の「Biology to therapy in the hematopoietic niche」と、UCLAの鉄代謝を専門とするTomas Ganz氏の「Systemic iron homeostasis: hormones, pathways, diseases」、いずれもなかなか話を聞けない高名な先生なので、貴重な機会になるはずです。海外演者の方もディスカッションにはライブで参加いただく予定です。 また、コロナ関連の特別シンポジウムも企画しており、「ポストコロナの医療・社会変容」をテーマに、早稲田大学教授のロバート・キャンベル氏、プロ野球楽天の社長である立花 陽三氏など、医療以外の専門家を招き、多様な視点からコロナ後の社会の変化についてディスカッションを行う予定です。ーー仙台の会場とオンラインのハイブリッド開催を予定されていましたが、完全オンライン方式に変更されました。 新型コロナの感染状況を鑑みてやむを得ないと判断しました。ただし、学会のライブ感を大切にしたいと考え、会期後にオンデマンドで配信するのは教育講演と一部のシンポジウムにとどめ、基本的には会期中にライブで視聴いただくことを想定しています。ぜひご参加いただき、血液学の「旬」を感じ、明日からの治療に役立てていただければと思います。Doctors’ Picks 第83回日本血液学会 特集サイトhttps://drpicks-spot.carenet.com/ 特集サイトでは、入山 規良氏(日本大学)、柴山 浩彦氏(国立病院機構 大阪医療センター)、丸山 大氏(がん研究会有明病院)、山崎 悦子氏(横浜市立大学附属病院)が選定した学会の注目演題も紹介している。

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ミトコンドリアを介する新規作用機序の2型糖尿病治療薬「ツイミーグ錠500mg」【下平博士のDIノート】第82回

ミトコンドリアを介する新規作用機序の2型糖尿病治療薬「ツイミーグ錠500mg」今回は、2型糖尿病治療薬「イメグリミン塩酸塩(商品名:ツイミーグ錠500mg、製造販売元:大日本住友製薬)」を紹介します。本剤は、ミトコンドリアに作用する新しい機序の糖尿病治療薬であり、インスリン分泌低下型、インスリン抵抗性亢進型のいずれであっても血糖降下作用が期待できます。<効能・効果>本剤は、2型糖尿病の適応で、2021年6月23日に承認され、同年9月16日に発売されました。本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮します。<用法・用量>通常、成人にはイメグリミン塩酸塩として1回1,000mgを1日2回朝、夕に経口投与します。なお、本剤とビグアナイド系薬剤は作用機序の一部が共通している可能性があります。臨床試験でも両剤を併用した場合は、ほかの糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたことから、併用薬を選択する際は注意が必要です。<安全性>臨床試験において、本剤が投与された安全性評価対象1,103例中、副作用発現数は168例(15.2%)でした。主な副作用は、低血糖6.7%(74例)、悪心2.1%(23例)、下痢1.9%(21例)、便秘1.3%(14例)などでした。なお、低血糖は重大な副作用としても報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、血糖値に応じてインスリンの分泌を促す作用と、インスリンが働きにくい状態を改善する作用によって血糖値を改善します。2.薬の服用により、低血糖症状を起こすことがあります。脱力感、高度の空腹感、発汗、震えなどの症状が認められた場合には、飴やジュースなどで糖分を摂取してください。α-グルコシダーゼ阻害薬を併用している場合はブドウ糖を摂取してください。<Shimo's eyes>本剤は、既存の経口糖尿病治療薬とは異なる構造を有しており、ミトコンドリアへの作用を介してグルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(肝臓での糖新生抑制、骨格筋などでの糖取り込み能改善)の2つによって血糖降下作用を示します。インスリン分泌低下型、インスリン抵抗性亢進型のいずれの病態であっても効果が期待できるという特徴があります。製品名は、2つを意味する“twin”と一般名の“imeglimin”に由来しています。2型糖尿病患者を対象とした長期投与試験において、単独療法または併用療法でHbA1c改善効果を示し、52週にわたってその効果が維持されました。主な副作用には、悪心、下痢、便秘などがあります。重大な副作用として低血糖(6.7%)が報告されていますが、本剤の作用によるインスリン分泌はグルコース濃度依存的で、低血糖時にはインスリンを分泌させないことが報告されており、単剤使用での重症低血糖のリスクは低いと考えられます。腎機能障害のある患者では、腎臓からの排泄が遅延し、本剤の血中濃度が上昇する恐れがあることから、eGFRが45mL/min/1.73m2未満(透析を含む)の患者への投与は推奨されていません。注意すべき点は、メトホルミンとの併用により消化器症状が増大する恐れがあることです。また、インスリン製剤やSU薬、速効型インスリン分泌促進薬と併用すると低血糖のリスクが上がるため、これらの薬剤を併用する際には減量の検討が必要です。参考1)PMDA 添付文書 ツイミーグ錠500mg

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便秘からがんを疑うアラームサインを読み取る【Dr.山中の攻める!問診3step】第6回

第6回 便秘からがんを疑うアラームサインを読み取る―Key Point―大腸がんを疑うアラームサインに注意しよう薬剤が便秘の原因となっていることは多い下剤を処方する際、「酸化マグネシウム」は腎機能低下時に高マグネシウム血症を起こすので要注意!症例:76歳男性主訴)排便困難現病歴)12日前から便が突然出なくなった。4日前に近医で浣腸をしてもらったが排便なし。酸化マグネシウムと大腸刺激性下剤の処方を受けたが、やはり排便がないため当院を受診した。嘔吐はあるが腹痛はない。既往歴)老人性難聴薬剤歴)定期内服薬なし生活歴)たばこ:10本/日 x 55年間、酒:1合/日身体所見)意識清明、体温36.7℃、血圧120/50mmHg、心拍数92/分、SpO2:95%[室内気]直腸診を施行したところ、肛門から8cm、12時方向にカリフラワー様の約4×4cmの腫瘤を触知し易出血性であった。結局、直腸と診断され人工肛門増設のため緊急手術となった。大腸イレウスは珍しいが、穿孔すれば腹膜炎となるので緊急処置が必要となることも念頭に入れておくべき。◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!大腸がんを疑うアラームサイン1) ―大腸がんの可能性はないのか鉄欠乏性貧血体重減少便潜血陽性血便便の狭小化高齢者の急性便秘大腸がんの家族歴50歳以上で大腸内視鏡検査を受けたことがない【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】二次性の便秘を考える薬剤は二次性便秘の最大の原因である。薬剤歴の正確な聴取が大切である便秘を起こす薬剤2)3)はこちら降圧薬(カルシウム拮抗薬、利尿薬)、麻薬抗コリン薬(ブチルスコポラミン、抗うつ薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬)抗ヒスタミン薬、NSAIDs、鉄剤高齢者の鉄欠乏性貧血は消化管の悪性腫瘍をまず考える便の狭小化+腹痛+液状便はS状結腸から直腸にかけての高度狭窄が示唆される症状である。大腸内視鏡の前処置で腸閉塞や腸管穿孔をきたす可能性があるため、腹部レントゲン検査と腹部CT検査を検査前にオーダーする甲状腺機能低下症、自律神経障害を起こす糖尿病やパーキンソン症候群、低カリウム血症、高カルシウム血症、うつ病、妊娠は便秘の原因となる【STEP3】治療1)を検討しよう毎日排便がないのは異常であるというイメージが TVコマーシャルなどによって作られているが、週に3回または1日3回の排便は正常である週3回以上排便があれば、病的ではないことを伝える。水分と食物繊維を十分にとる。朝食後15分間はトイレに座り、力まずに排便するよう指導する。改善がなければ、ポリエチレングリコール(商品名:モビコール)または酸化マグネシウムを処方する。酸化マグネシウムは腎機能低下時に高マグネシウム血症(嘔気・嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、意識障害)を起こす。効果が不十分ならルビプロストン(商品名:アミティーザ)を少量から検討する。大腸刺激性薬剤(センノシド、ピコスルファート)は習慣性や依存性が強いので頓用で用いる<参考文献・資料>1)山中 克郎企画. 総合診療 ヤブ化を防ぐ!総合診療基本のき. 医学書院.2019. p.1089-1091.(中野弘康 便秘)2)John P, et al. MKSAP18 Gastroenterology and Hepatology. 2018 .p.35-38.3)日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編. 慢性便秘症診療ガイドライン. 2017.

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第78回 COVID-19ワクチンと月経異常の関連について調査が必要

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのよくある副反応に月経の変化や不意な膣出血などの月経異常は含まれていませんが、そういう事態があったという訴えが増えています。英国はCoronavirus Yellow Card1)というウェブサイトを開設し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連医療の副反応らしき事態を広く収集しています。月経がいつもよりきつい、遅れている、不意な膣出血などのCOVID-19ワクチン接種後の月経異常の報告が今月初旬(9月8日時点)までにそのデータベースに3万件以上(34,633件)集まっています。幸いなことに、ワクチン接種後の月経異常のほとんどは後の周期で正常化しています。それに、COVID-19ワクチン接種が女性の受胎へ悪影響を及ぼす恐れは認められていません。Coronavirus Yellow Cardに集まった月経異常は専門家グループによって検討され、COVID-19ワクチンとの関連は認められないと判斷されました2)。しかし英国の大学Imperial College Londonの生殖免疫学の専門家Victoria Male氏によるとCoronavirus Yellow Cardで集めた情報から確実な結論を導くのは困難であり、ワクチン接種者の月経異常の発生率を非接種の人と比べる別口の取り組みが必要です3,4)。Male氏も言及しているとおり米国ではCOVID-19ワクチンの月経への影響を調べる試験がすでに計画されており、同国政府はその取り組みに2億円近く(167万ドル)を提供することを約束しています5)。米国での試験では不規則な月経やその欠如、いつもより多い出血などの月経異常とCOVID-19ワクチン接種の関連性、月経異常の持続期間、ワクチンと関連しうる月経異常の仕組みが検討されます。COVID-19ワクチン接種後の月経異常はおおむね一過性とはいえ軽視すべきでなく、COVID-19ワクチン忌避の元凶である誤謬を払拭してワクチン接種の普及を成功させるにはその検討が不可欠です3)。将来の妊娠に害をもたらすというデマが若い女性のCOVID-19ワクチン忌避を主にもたらしています。COVID-19ワクチン接種後の月経異常を隈無く調べることを怠ればワクチン忌避女性の心配がいっそう助長しかねません。もし今後の検討でワクチンと月経異常が関連するとわかれば、その手立てを前もって心づもりする事が可能になります。きっちりと試験を実施してCOVID-19ワクチンが月経に及ぼしうる影響を把握して知らせれば月経がある若い女性はワクチン接種後にどうなるかをより見通せるようになり、ワクチン忌避を減らすことも可能でしょう5)。月経異常はmRNAワクチンとアデノウイルスが下地のワクチンの両方で認められており、もしワクチンと関連するならワクチンの成分によるのではなくワクチンへの免疫反応を原因としそうです3)。実際、月経周期はウイルス感染を含む種々の要因への免疫活性化の影響を受けうることが知られています。SARS-CoV-2もそういう要因の1つかもしれず、COVID-19女性およそ4人に1人に月経異常が認められたことを中国のチームが昨年報告しています3,6)。参考1)Coronavirus Yellow Card reporting site2)Coronavirus vaccine - weekly summary of Yellow Card reporting3)Male V.BMJ 2021;374:n2211.4)Link between menstrual changes after covid-19 vaccination is plausible and should be investigated / Eurekalert5)Item of Interest: NIH funds studies to assess potential effects of COVID-19 vaccination on menstruation / NIH6)Li K,et al. Reprod Biomed Online. 2021 Jan;42:260-267.

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悪性胸膜中皮腫のニボルマブ+イピリムマブ1次治療、3年生存も改善(CheckMate-743)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年9月13日、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)患者の1次治療において、組織型にかかわらず、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が、プラチナ製剤ベースの標準化学療法と比較して、持続的な生存ベネフィットを示したCheckMate-743試験の3年間のデータを発表した。 CheckMate-743試験は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者(605例)を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設無作為化非盲検試験。 最短3年(35.5ヵ月)間の追跡調査における結果、3年生存率は、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群で23%、化学療法群で15%であった(ハザード比:0.73、95% 信頼区間:0.61~ 0.87)。 ニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、ファーストラインのMPMでこれまでに報告されたものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。 これらのデータは、2021年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)にて、2021年9月17日に発表される予定(抄録番号#LBA65)。

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認知症発症を抑える食材、新たな候補はビフィズス菌?

 2021年8月27日、認知症に関する正しい情報発信とリスク低減への早期取り組みの重要性を啓発する「40代からの認知症リスク低減機構」は、『「脳寿命を延ばす いまの状態を把握し、対策を考える」~脳と腸からはじめる認知症予防の可能性~』と題するメディアセミナーを開催した。 今まで便秘や下痢、免疫対策として注目されていた“腸”には、“脳”との関係性「脳腸相関」もあると明らかになってきている。このことから、両者の関係が認知症研究においても注目されるようになった。近年、腸内細菌やそれらが作り出す成分による脳の健康状態への影響に関する研究が多数行われている。本セミナーでは、新井 平伊氏(アルツクリニック東京院長、順天堂大学医学部名誉教授)、佐治 直樹氏(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 副センター長)、清水 金忠氏(森永乳業株式会社 研究本部 基礎研究所長)の3人が、認知症と脳腸相関に関する最新の研究と、認知症予防のための食品開発について講演を行った。認知症発症を遅らせるための先制医療としての食事 1人目の登壇者である新井氏は、認知症のリスク低減のための対策について解説した。アルツハイマー型認知症(AD)の進行の原因として考えられているアミロイドβは、40代から徐々に脳に蓄積し、SCD(主観的認知機能低下)やMCI(軽度認知障害)といった未病の段階からADへ進行させると考えられている。ADの発症を止めることはできないことから、未病段階から発症を予測して遅らせるという「先制医療」が注目されてきているという。 脳の老化を予防するには生活習慣病の改善のほか、囲碁や将棋といった対人ゲーム、運動をしながら歌うといった体と脳を同時に使うデュアルタスク、睡眠の質の向上といったことが効果的である。とくに、近年では食事による脳機能への影響が研究されており、脳機能の改善を目指した食品の成分・素材に関する研究、商品化が進んでいる。先制医療の観点からも、認知症を発症する前の段階で、普段の食事に気を使って発症予防に努めることが重要であると考えられる。一方で新井氏は、臨床レベルの十分な信頼性のあるデータがそろっているものは多くなく、商品を選ぶうえで、「再現性があるか」「効果はどのように確立されたものであるか」「副作用や安全性はどうか」の3点について見極めることが重要であるとの考えを示した。腸内細菌や食事内容も認知症に影響? 2人目の登壇者である佐治氏は、腸内細菌が与える脳への影響について解説した。脳と腸が自律神経などを介して互いに影響しあう「脳腸相関」という言葉が最近になって知名度を上げてきたが、近年では腸内細菌叢がADやパーキンソン病などの神経疾患の発症の因子であることが示唆されている。認知症においては、発症している人では発症していない人と比較して、常在菌であるバクテロイデスの数が少なく腸内細菌叢の構成が異なっていることが明らかになっている。さらに、アンモニアや有機酸といった腸内細菌による代謝産物が認知症リスクを高めることも明らかになったという。 また、佐治氏は、食事が認知機能に与える影響を調査した自身の研究についても解説した。認知機能と食事内容の関係を調べた結果、認知機能の高い患者では魚介やキノコ類、大豆類、コーヒーの摂取率が高かったことが明らかになった。この結果から、食事の内容が認知機能に影響を与えることが示唆された。認知症発症の抑制が期待されるビフィズス菌 3人目の登壇者である清水氏は、ビフィズス菌MCC1274の臨床試験の結果について紹介した。MCC1274は、森永乳業が保有するビフィズス菌株の中から、アルツハイマー型認知症の発症を抑制する可能性がある菌株として特定された。 プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間試験では、50歳以上80歳未満でMMSEスコアが22点以上でありMCIの疑いがある80例をMCC1274カプセル(生菌200億/日)群またはプラセボ群に割り付け、16週間摂取後のアーバンス(RBANS)神経心理テストの結果を比較した。その結果、主要評価項目であるRBANSスコア合計の摂取後の実測値、そして前後の変動値とも有意な改善が認められた。また、認知機能の中でも、即時記憶、視空間・構成、遅延記憶に関する項目のスコアが有意に改善した。 本試験の結果は、臨床試験において単一のビフィズス菌生菌体のみで加齢に伴い低下する認知機能を維持することが報告された世界で初めての報告であるという。また本試験の結果を受け、ビフィズス菌MCC1274を用いた商品の機能性表示食品の届出が消費者庁に受理された。機能性表示食品の届出がされた商品のうち認知機能の改善に関連するものは350件以上存在するが、菌体を成分として受理されたものはビフィズス菌MCC1274が初だという。今後は、軽度の認知症に対する効果についても研究を進めていきたい、と清水氏は語った。

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安定期統合失調症患者の再発予防に対する適切な抗精神病薬投与量~メタ解析

 統合失調症の再発予防に対し、どの程度の抗精神病薬の投与量が必要かは明らかになっていない。ドイツ・ミュンヘン工科大学のStefan Leucht氏らは、この疑問を解決するため、ランダム化臨床試験のメタ解析を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2021年8月18日号の報告。 Cochrane Schizophrenia Group's Study-Based Register of Trials(2020年3月9日)、PubMed(2021年1月1日)、過去のレビューを通じて該当研究を特定した。追加情報は、筆頭著者および/または製薬会社に問い合わせ、収集した。2人の独立したレビュアーにより、安定期統合失調症患者の再発予防に対し、固定用量の第2世代抗精神病薬、ハロペリドール、フルフェナジンを比較したランダム化臨床試験を抽出した。PRISMAガイドラインの優先報告項目に従って重複するすべてのパラメータを抽出し、頻度論的(frequentist)用量反応変量効果メタ解析を実施した。主要評価項目は、研究で定義された再発とし、再入院、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)の合計スコアのベースラインからの減少、すべての原因による中止、有害事象による脱落についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・26件の研究(4,776例)より得られた、72種類の用量群に関するエビデンスを分析した。・有用性については、用量反応曲線は双曲線形状であり、リスペリドン換算5mg/日まで再発率の急激な低下が認められたが(相対再発リスク:0.43[95%CI:0.31~0.57]、PANSS合計スコアの標準化平均差:-0.55[95%CI:-0.68~-0.41])、その後は平板化した。・有害事象による脱落については、対照的に5mg/日を超えるにつれ増加が認められた(5mg/日の相対リスク:1.38[95%CI:0.87~2.55]、15mg/日の相対リスク:2.68[95%CI:1.49~4.62])。・寛解患者におけるサブグループ解析では、約2.5mg/日で早期に安定状態に達していた。 著者らは「安定期統合失調症患者に対する抗精神病薬投与では、リスペリドン換算5mg/日超で再発予防にベネフィットがもたらされる一方、用量を増やし過ぎると有害事象の増加につながる可能性がある。寛解期の患者または強力な第1世代抗精神病薬で治療している患者においては、より低用量の2.5mg/日で十分である可能性が示唆されたが、低用量にし過ぎると有効性の減弱につながる可能性もあり注意が必要である。また、本結果はあくまで観察結果の平均値であり、代謝スピード、年齢、罹病期間、併存疾患、薬物相互作用などさまざまな要因を考慮した用量調節が必要である」としている。

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医療者のブレークスルー感染が増加、接種後の期間は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症に対して、現在使用されているmRNAワクチンの有効性について、デルタ変異株に対しては低く、経時的に減少する可能性を示唆する医療者での調査結果を、米国・カリフォルニア大学San Diego Health(UCSDH)のJocelyn Keehner氏らがNEJM誌オンライン版2021年9月1日号のCORRESPONDENCEで報告した。 UCSDHでは、2020年12月中旬からBNT162b2(ファイザー)とmRNA-1273(モデルナ)による予防接種を開始し、2021年3月までに全職員の76%がワクチン接種を完了、7月には87%が完了した。新型コロナウイルスの感染者は2021年2月初旬までに減少し、3~6月は検査陽性者が月30人未満だった。しかし、6月15日にカリフォルニア州のマスク着用義務が解除され、7月末にはデルタ変異株がUCSDH分離株の95%以上を占めるようになり、ワクチン接種完了者を含めて感染者が急増した。 UCSDHではワクチン接種の有無に関係なく、毎日、1つ以上の症状もしくは曝露があれば鼻腔スワブのRT-PCR検査が実施されている。2021年3月1日~7月31日に227人が陽性となり、そのうち130人はワクチン接種2回完了しており、7人が接種1回のみ、90人が未接種だった。症状が見られたのは、接種2回完了者130人中109人(83.8%)、未接種者90人中80人(88.9%)であった。死亡者はおらず、入院は1人(ワクチン未接種)だった。 ワクチン有効性を月別にみると、3~6月は90%を超えていたが、7月は65.5%(95%信頼区間[CI]:48.9~76.9)に急激に低下した。7月の発症率をワクチン接種完了月で分けて算出すると、1~2月に接種完了した職員の1,000人当たりの発症率は6.7(95%CI:5.9〜7.8)、3~5月に接種完了した職員では3.7(95%CI:2.5〜5.7)で、1~2月に完了した職員のほうが高かった。なお、ワクチン未接種者の7月の発症率は16.4(95%CI:11.8~22.9)だった。 著者らは、6月から7月にかけてのワクチン有効性の大きな減少はデルタ変異株の出現と免疫力低下の両方が原因で、カリフォルニア州でのマスク着用義務の終了とそれによるコミュニティでの曝露リスク増大により悪化した可能性を指摘し、「この結果は、回避可能な疾患や死亡を防ぎ、社会の混乱を回避するために、ワクチン接種の拡大のほか、屋内でのマスク着用や集中的な検査をすぐに復活させることの重要性を強調している」とまとめている。

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心血管1次予防のポリピルにアスピリンは必要か?/Lancet

 心血管疾患の1次予防において固定用量併用療法戦略は、心血管疾患、心筋梗塞、脳卒中、血行再建術および心血管死を大幅に低減する。カナダ・マックマスター大学のPhilip Joseph氏らPolypill Trialists' Collaborationが、個人被験者データのメタ解析を行い報告した。示されたベネフィットは、心血管代謝のリスク因子に関係なく一貫性が認められたという。無作為化試験において、固定用量併用療法(またはポリピル)は1次予防における心血管疾患の複合アウトカムを低減することが示されている。しかしながら、アスピリンを含むべきか否か、特異的アウトカムへの効果、および主要サブグループでの効果などは明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2021年8月29日号掲載の報告。メタ解析で固定用量併用療法vs.対照を評価 研究グループは、心血管疾患の1次予防集団について固定用量併用療法戦略vs.対照戦略を検討した大規模無作為化試験(被験者1,000例以上で追跡期間2年以上)に参加した個人被験者データを用いてメタ解析を行った。2種類以上の降圧薬+スタチン(±アスピリン)の固定用量併用療法戦略と対照戦略(プラセボまたは通常ケア)を比較した試験を適格とし包含した。 主要アウトカムは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中または動脈血行再建術のいずれかの初発までの期間とした。追加で、個別の心血管アウトカム、全死因死亡をアウトカムに包含した。 アウトカムは、固定用量併用療法戦略群のアスピリン併用有無別で層別化したグループでも評価。効果サイズは、リスク因子に基づく規定サブグループで算出し、Kaplan-Meier生存曲線およびCox比例ハザード回帰モデルを用いて戦略を比較した。アスピリン有無問わず、個別・複合アウトカムが有意に低減 解析には3つの大規模無作為化試験(IPS-3、HOPE-3、PolyIran)が包含され、総計被験者数は1万8,162例であった。平均年齢は63.0歳(SD 7.1)、9,038例(49.8%)が女性であり、集団の推定10年心血管疾患リスクは17.7%(SD 8.7)であった。 追跡期間中央値5年において、主要アウトカムの発生は、固定用量併用療法戦略群276例(3.0%)、対照群445例(4.9%)だった(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.53~0.73、p<0.0001)。主要アウトカムの個別アウトカムについても低減が認められ、HR(95%CI)は心筋梗塞0.52(0.38~0.70)、血行再建術0.54(0.36~0.80)、脳卒中0.59(0.45~0.78)、心血管死0.65(0.52~0.81)であった。 主要アウトカムおよびその個別アウトカムの有意な低減は、アスピリンの有無を問わず固定用量併用療法戦略群の解析で観察されたが、アスピリンを含む戦略群でより低減効果は大きかった。 治療効果は、脂質値や血圧値が異なっていても、また糖尿病、喫煙、肥満の有無を問わず同等であった。 まれではあったが消化官出血の発現頻度が、アスピリンを有する固定用量併用療法戦略群で対照群よりもわずかに高かった(19例[0.4%]vs.11例[0.2%]、p=0.15)。出血性脳卒中(10例[0.2%]vs.15例[0.3%])、致死的出血(2例[<0.1%]vs.4例[0.1%])、消化性潰瘍疾患(32例[0.7%]vs.34例[0.8%])の頻度は固定用量併用療法戦略群で低く、サブグループにおいて両群間に有意差はなかった。めまいの発現頻度が固定用量併用療法戦略群で、有意に高かった(1,060例[11.7%]vs.834例[9.2%]、p<0.0001)。

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分娩様式と産後うつ病との関連~JECS研究

 産後うつ病は、母親の自殺などを含む健康への悪影響と関連している。分娩様式は、産後うつ病のリスク因子といわれているが、この関連を調査した大規模コホート研究は、あまり行われていなかった。大阪大学の馬場 幸子氏らは、出産1ヵ月後および6ヵ月後における分娩様式と産後うつ病リスクとの関連を調査した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年7月31日号の報告。帝王切開は1ヵ月後の産後うつ病リスクとわずかな関連が認められた 単生児出産の母親8万9,954人を対象とした全国調査のデータを用いて、出産方法と産後うつ病との関連を調査した。産後うつ病の評価は、出産1ヵ月後および6ヵ月後にエジンバラ産後うつ病評価尺度(13点以上)を用いて測定した。産後うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、出産前の身体的、社会経済的、精神的要因で調整した後、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 出産方法と産後うつ病との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・産後うつ病の発症率は、出産1ヵ月後で3.7%、6ヵ月後で2.8%であった。・帝王切開は、自然分娩と比較し、1ヵ月後の産後うつ病リスクとわずかな関連が認められたが(調整OR:1.10、95%CI:1.00~1.21)、6ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は認められなかった(調整OR:1.01、95%CI:0.90~1.13)。・1ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は、出産前に心理的苦痛を有する女性において、より顕著であった(調整OR:1.15、95%CI:1.03~1.28)。・乳児に対する授乳方法で調整した後、これらの関連性が弱まることが示唆された。 著者らは「出産前に心理的苦痛が認められ、帝王切開により出産した女性では、産後うつ病のモニタリングを強化する必要がある」としている。

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降圧薬だけの4種配合剤、単剤より有益か/Lancet

 降圧薬4種を4分の1用量ずつ1剤に配合した「quadpill」による降圧療法を早期に開始する戦略は、一般的な標準用量の単剤降圧療法による治療戦略と比べて、より大きな降圧の達成・維持をもたらすことが示された。オーストラリア・シドニー大学のClara K. Chow氏らが行った第III相多施設共同の二重盲検並行群無作為化試験「QUARTET試験」の結果で、著者は「本試験は、quadpillベースの治療戦略の有効性、忍容性および簡便性を実証するものとなった」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年8月29日号掲載の報告。quadpill(4剤配合)開始vs.単剤開始の降圧効果を評価 QUARTET試験は、超低用量の4剤を配合した単一錠剤による高血圧治療の開始戦略が、単剤療法から始める戦略よりも有効であるとする仮説検証を目的とし、未治療または単剤治療を受けている高血圧症を有するオーストラリア成人(18歳以上)を対象に行われた。 被験者は、quadpill(イルベサルタン37.5mg、アムロジピン1.25mg、インダパミド0.625mg、ビソプロロール2.5mgを配合)開始群、または判別不明の錠剤を用いた単剤療法(イルベサルタン150mg)開始群のいずれかに無作為に割り付けられた。目標血圧値に達しない場合は両群とも、アムロジピン5mgで始める追加投与が許容された。 被験者の割り付けはオンライン中央無作為化サービスを使用して行われ、サイトごとに1対1の割合で層別化。割り付けは、治験薬の製造者と1人のマスクされていない統計者を除き、全被験者および試験チームメンバー(研究者、アウトカム評価者を含む)にマスクされた。 主要アウトカムは、12週時点での無人診察室収縮期血圧の差とした。副次アウトカムは、血圧コントロール(標準診察室血圧値<140/90mmHg)、安全性、忍容性などであった。また、無作為に12ヵ月継続群に割り付けたサブグループについて長期有効性を評価した。解析は、intention to treatにて行われた。12週時の収縮期血圧の差は6.9mmHg、quadpill群で有意に低下 2017年6月8日~2020年8月31日に743例が適格性について評価を受け、不適格または辞退した152例を除く591例を対象とした。300例がquadpill開始治療(介入)群に、291例が標準用量単剤療法の治療(対照)群に無作為に割り付けられた。 被験者591例の平均年齢は59歳(SD 12)。356例(60%)が男性、235例(40%)が女性で、483例(82%)が白人、70例(12%)がアジア人、38例(6%)がその他の人種・民族と報告された。ベースラインの平均無人診察室血圧は141(SD 13)/85(SD 10)mmHgであった。 12週までに降圧薬の追加投与を受けたのは、介入群300例中44例(15%)、対照群291例中115例(40%)であった。収縮期血圧の群間差は6.9mmHg(95%信頼区間[CI]:4.9~8.9、p<0.0001)であり介入群で有意に低く、血圧コントロール率は介入群(76%)が対照群(58%)よりも有意に高かった(相対リスク[RR]:1.30、95%CI:1.15~1.47、p<0.0001)。 12週時点で、有害事象関連の治療中止率に差はなかった(介入群4.0% vs.対照群2.4%、p=0.27)。 評価を継続したサブグループ417例において、介入群よりも対照群でアップタイトレーションに達した割合が有意に高かった(p<0.0001)。52週時点で、無人診察室収縮期血圧値の群間差は7.7mmHg(95%CI:5.2~10.3)であり介入群で継続して低く、血圧コントロール率は介入群(81%)が対照群(62%)よりも高かった(RR:1.32、95%CI:1.16~1.50)。 無作為化を受けた全被験者における12週までの重篤有害事象の発生は、介入群7例(3%)、対照群3例(1%)であった。

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チェーンソーで自ら斬首したが生存した男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第194回

チェーンソーで自ら斬首したが生存した男性Pixabayより使用いやほんと、すいません、痛そうなタイトルで…… (´;ω;`)ウゥゥKrauss P, et al.Sub-decapitation in suicidal chainsaw injury: report of a rare case and operative management.Acta Neurochir (Wien) . 2020 Oct;162(10):2537-2540.基本的にチェーンソーで自殺を図った人は、ほぼ全員死亡しています。ほとんどが首を切断するという行為なのですが、途中で大血管を切断してしまって、完全に斬首される前に死亡に至ります1)。この症例報告は、23歳男性の兄が、朝に血まみれで倒れているのを発見するところから始まります。どうやら、前の晩にチェーンソーを使った斬首で自殺を図ろうとしたようです。論文にビックリ写真が掲載されているのですが、どう考えてもほぼ首が切断されかかっていて、通常即死じゃないかと思われる症例です。しかし、どういうわけか循環動態が安定していたのです。挿管して頸椎固定を行い、患者は3次救急病院に搬送されました。対光反射もあり、あれれ、どういうことだろうと画像検査が行われました。広範な頸部外傷があり、首が切断されかかっていたのですが、大血管や脊髄など重要なところが無事な状態で、斜めに切断されている途中で気を失ったようです。そのため、即死に至らずに翌朝搬送されたのです。広範囲の頸部再建後、精神科のコンサルトを行い、運動感覚障害はさほど残さずに回復しました。論文中の、切断されかかった首の写真を見た後にこの経過を読むと、いやぁ驚異的な症例報告だなと感じました。チェーンソー外傷でもっとも一般的なのが「キックバック」と呼ばれる現象です。これは、チェーンソーの先端を使って対象物に刃を入れたときに、刃の回転によってチェーンソーが一瞬にして操作者のほうへ跳ね返ってくる現象です。■参考動画:模倣禁止! チェンソー キックバック実演1)Stojanović I, et al. Unusual suicide with a chainsaw. Forensic Sci Int . 2013 May 10;228(1-3):e58-61.

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第75回 【特集・第6波を防げ!】政治家の目論見?コロナ陰性証明が自腹の怪

希望者全員へのワクチン接種が初冬には完了することを見越した国民の行動制限緩和案として、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部がこのほど発表した「ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方」。大都市圏を中心に年初からこれまでの期間のほとんどが、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が適用されている。出口の見えないコロナ禍に対して蓄積した国民の不満をワクチン接種の進展に応じて少しでも解消したいという思いがあるのだろう。と言えば聞こえがいいが、正直なところ自民党総裁や任期満了に伴う衆議院選を目前にした時期の発表であるため、普段なら陰謀論に対して眉間にしわを寄せがちな私自身もどうしても疑いの目で見てしまう。今回の行動制限緩和の肝となっているのがワクチン接種歴やPCR検査などの陰性結果の証明書を基にした「ワクチン・検査パッケージ」だ。要は感染リスクの少ない国民の都道府県をまたぐ移動やイベント参加、夜間の酒類提供を伴う会食などを解禁することで国民の不満解消や経済浮揚につなげるというもの。同時にこの件では「陰なる意図」というか政権のある種の真意も見え隠れする。ワクチン接種証明に代わる検査での陰性証明に関して「検査費用には、基本的に公費投入はしない」と明記しているからだ。つまり頻回な検査のわずらわしさやそれに伴う費用負担を感じる個人が「しゃあないから、ワクチンを打とう」となる方向へと暗に誘導しているとも受け取れる。私個人はできるだけワクチン接種率が向上することがコロナ禍収束への大前提と考えているので、ワクチン接種へ誘導すること自体を否定はしない。ただ、この種のものはやり方を間違えると、さらなる不信感や陰謀論を招くことになる。今回の措置を実行する際に、ワクチン非接種者のPCR検査必要時の検査費用に公費を投入しない前提ならば、最近までに判明しているワクチン接種で得られるメリット、具体的には高齢者での重症者や医療施設などでのクラスター発生の激減、ブレイクスルー感染者での重症化抑止レベルなどについて、より簡潔かつ分かりやすく発信する必要がある。つまるところ「ワクチン接種が現時点では最善策。ただし接種しない人の選択権は認めるが、すでに説明したように科学的に信頼性のあるデータからメリットは示されているので、もし打ちたくないのであれば、申し訳ないが都度必要になる陰性証明の費用は自己負担でお願いしたい」という趣旨の説明を行うべしということだ。もちろん以前と比べ厚生労働省などはワクチンに関してこれまでにないほど丁寧なQ&Aページなどを用意しており、何もしていないわけではないことは承知している。しかし、これらのページで紹介されている情報は多くが臨床試験段階のものに留まっていて、説明内容も分かりにくい。そして何よりこれまでワクチン接種のメリットの発信は、専門家個人や官公庁や自治体の発信に依存していることが多く、行動制限を決定している側である政治から語られることはほとんどなかった。泥臭い言い方になって恐縮だが、官僚や専門家ももちろんだが、人前に立ちメディアにも報じられることが圧倒的に多い政治の側から生身の声で語られることなしでは、この問題は半歩たりとも前進しないと個人的には感じている。同時にこの際に政治の側からもう一つ発信してほしい情報がある。それは「ワクチン接種を選択しない人が今後自らとその周囲の感染リスクを最小化するためにとるべき行動様式」に関してだ。もちろんこの情報にはほとんど目新しいものはないだろう。だが、国民に対して平等性を重んじるべき政治側には、このことも親身に訴える義務があると考える。同時にこのことは接種しない権利を選択するにあたって国民はどのような責任を持つかという自覚を促すことにもなる。今回の行動制限緩和が単なる選挙用でないならば、政治の側はこうした点でその覚悟を示して欲しいものだ。官僚にゆだねられた空疎な文言を棒読みし、中途半端に経済を横目に見ながら不適切に使われてきた結果、伝家の宝刀から錆びだらけのカッターナイフに落ちぶれた緊急事態宣言の二の舞は、一国民としてもうこりごりである。

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事例034 新型コロナウイルス感染症のPCR検査で査定【斬らレセプト シーズン2】

解説新型コロナウイルス感染症疑いがぬぐい切れない患者にSAR-COV-2核酸検出(以下「PCR検査」)を3回実施したところ、1回分がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)が適用され査定となりました。患者は感染拡大区域に居住しており、発熱が続いたのちに倦怠感を訴えていたために2回の検査陰性後も新型コロナウイルス感染症を強く疑い、3回目のPCR検査が実施されたものでした。しかしながら、3回目のPCR検査の請求は認められませんでした。新型コロナウイルス感染症にかかる診療報酬の通知や疑義解釈が多く発出されています。査定の根拠が記載された通知があるのではないかと調べたところ、2020年3月4日に「COVID19の確定診断に至るまでのPCR検査は2回まで」と通知で定められていました。さらに同年9月28日には、PCR検査の「1回目及び2回目」のみ、医師が必要と判断した医学的理由を記載すると通知があり、3回目以降の記述はありません。したがって、感染疑いの場合は医学的理由を記載しても当初の規定通り2回が限度と推測できます。最近に至るまでは2回以上実施している場合でも査定はありませんでした。しかし、ある時期から前出の規定を厳格に適用して、審査が行われるようになっています。他のPCR検査の査定事例を調べてみても、医学的根拠の薄い3回目はほぼすべてが過剰を事由に査定となっています。また、2回目であっても症状から医学的に強く疑うことなく、「内視鏡検査実施前」、「院内感染防止」、「感染拡大地域居住」という摘要欄への記載である場合、認められない傾向が強くなっていることにご留意ください。

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新治療が心臓にやさしいとは限らない~Onco-Cardiologyの一路平安~【見落とさない!がんの心毒性】第6回

新しい抗がん剤が続々と臨床に登場しています。厚生労働大臣によって承認された新医薬品のうち、抗悪性腫瘍用薬の数はこの3年で36もありました1)。効能追加は85もあり、新しい治療薬が増え、それらの適応も拡大しています。しかし、そのほとんどの薬剤は循環器疾患に注意して使う必要があり、そのうえで拠り所になるのが添付文書です。医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページの医療用医薬品情報検索画面2)から誰でもダウンロードできます。警告、禁忌、使用上の注意…と読み進めます。さらに、作用機序や警告、禁忌の理由を詳しく知りたいときは、インタビューフォーム(IF)を開きます。循環器医ががん診療に参加する際には、患者背景や治療薬のことをサッと頭に入れる必要がありますが、そんな時に便利です。前置きが長くなりましたが、今回は時間のない皆さまのために、添付文書の『警告』『禁忌』『重要な基本的注意』に循環器疾患を含んでいる抗がん剤をピックアップしてみました。『警告』に書かれていること(表1)の薬剤では重篤例や死亡例が報告されていることから、投与前に既往や危険因子の有無を確認のうえ、投与の可否を慎重に判断することを警告しています。infusion reaction、静脈血栓症、心不全、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈血栓症、QT延長、高血圧性クリーゼなどが記載されています。副作用に備え観察し、副作用が起きたら適切な処置をし、重篤な場合は投与を中止するように警告しています。(表1)画像を拡大するこうした副作用でがん治療が中止になれば予後に影響するので、予防に努めます。『警告』で最も多かったのはinfusion reactionですが、主にモノクローナル抗体薬の投与中や投与後24時間以内に発症します。時に心筋梗塞様の心電図や血行動態を呈することもあり、循環器医へ鑑別診断を求めることもあります。これらの中には用法上、予防策が講じられているものもあり、推奨投与速度を遵守し、抗ヒスタミン薬やアセトアミノフェン、副腎皮質ステロイドをあらかじめ投与して予防します。過敏症とは似て非なる病態であり、発症しても『禁忌』にはならず、適切な処置により症状が治まったら、点滴速度を遅くするなどして再開します。学会によってはガイドラインで副作用の予防を推奨してるところもあります。日本血液学会の場合、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミドを含む免疫調節薬(iMiDs:immunomodulatory drugs)による治療では、深部静脈血栓症の予防のために低用量アスピリンの内服を推奨しています3)。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)では、アントラサイクリンやトラスツズマブを含む治療では、心不全の進行予防に心保護薬(ACE阻害薬、ARB、および/またはβ遮断薬)を推奨しています。スニチニブ、ベバシズマブ、ラムシルマブなどの抗VEGF薬を含む治療では、血圧の管理を推奨しています4)。『禁忌』に書かれていること『禁忌』には、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」が必ず記されています。禁忌に「心機能異常又はその既往歴のある患者」が記されているのは、アントラサイクリン系の抗がん剤です。QT延長や、血栓症が禁忌になるものもあります。(表2)画像を拡大するここで少し注意したいのは、それぞれの副作用の定義です。たとえば「心機能異常」とは何か?ということです。しばしば、がん医療の現場では、左室駆出率(LVEF)や脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値だけが、一人歩きをはじめ、患者の実態とかけ離れた判断が行われることがあります。循環器医ががん患者の心機能を検討する場合、LVEFやBNPだけではなく、症状や心電図・心エコー所見や運動耐容能などを多角的に捉えています5)。心機能は単独で評価できる指標はないので、LVEFやBNP値だけで判断せず、心機能を厳密かつ多面的に測定して総合的に評価することをお勧めします。添付文書によく記載されている「心機能異常」。漠然としていますが、これの意味するところを「心不全入院や死亡のリスクが高い状態」と、私は理解しています。そこで、「心機能異常」診断の乱発を減らし、患者ががん治療から不必要に疎外されないよう努めます。その一方で、心保護薬でがん治療による心不全のリスクを最小限に抑えるチャンスを逃さないようにもします。上述の定義のことは「血栓症」にも当てはまります。血栓症では下腿静脈の小血栓と肺動脈本管の血栓を一様には扱いません。また、下肢エコーで見つかる米粒ほどの小血栓をもって血栓症とは診断しません。そこそこの大きさの血栓がDOACなどで制御されていれば、血栓症と言えるのかもしれませんが、それでも抗がん剤を継続することもあります。QT延長は次項で触れます。『重要な基本的注意』に書かれていることー意外に多いQT延長『重要な基本的注意』で多かったのは、心機能低下・心不全でした。アントラサイクリン系薬剤、チロシンキナーゼ阻害薬、抗HER2薬など25の抗がん剤で記載がありました。これらの対応策については既に本連載企画の第1~4回で取り上げられていますので割愛します。(表3)その1画像を拡大する(表3)その2画像を拡大する意外に多かったのは、QT延長です。21種類もありました。QT間隔(QTc)は男性で450ms、女性で460ms以上をQT延長と診断します。添付文書では「投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査 (カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、 患者の状態を十分に観察する」などと明記され、血清の電解質の補正が求められます。とくに分子標的薬で治療中の患者の心電図でたびたび遭遇します。それでも重度の延長(QTc>500ms)は稀ですし、torsade de pointes(TdP)や心臓突然死はもっと稀です。高頻度にQT延長が認められる薬剤でも、新薬を待ち望むがん患者は多いため、臨床試験で有効性が確認されれば、QT延長による心臓突然死の回避策が講じられた上で承認されています。測定法はQTcF(Fridericia法)だったりQTcB(Bazett法)だったり、薬剤によって異なりますが、FMS様チロシンキナーゼ3-遺伝子内縦列重複(FLT3-ITD)変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬のキザルチニブのように、QTcFで480msを超えると減量、500msを超えると中止、450ms以下に正常化すると再開など、QT時間次第で用量・用法が変わる薬剤があるので、測定する側の責任も重大です。詳細は添付文書で確認してみてください。抗がん剤による心臓突然死のリスクを予測するスコアは残念ながら存在しません。添付文書に指示は無くても、循環器医はQTが延長した心電図ではT波の面構えも見ます。QT dispersion(12誘導心電図での最大QT間隔と最小QT間隔の差)は心室筋の再分極時間の不均一性を、T peak-end時間(T波頂点から終末点までの時間)は、その誘導が反映する心室筋の貫壁性(心内膜から心外膜)の再分極時間のバラツキ(TDR:transmural dispersion of repolarization)を反映しています。電気的不均一性がTdP/心室細動の発生源になるので注意しています。詳細については、本編の参考文献6)~8)をぜひ読んでみてください。3つ目に多かったのはinfusion reactionで、該当する抗がん剤は17もありました。抗体薬の中には用法及び用量の項でinfusion reaction対策を明記しているものの、『重要な基本注的意』に記載がないものがあるので、実際にはもっと多くの抗がん剤でinfusion reactionに注意喚起がなされているのではないでしょうか。血圧上昇/高血圧もかなりありますが、適正使用ガイドの中に対処法が示されているので、各薬剤のものを参考にしてみてください。そのほかの心臓病についても同様です。なお、適正使用ガイドとは、医薬品リスク管理計画(RPM:Risk Management Plan)に基づいて専門医の監修のもとに製薬会社が作成している資料のことです。抗がん剤だけではない、注目の新薬にもある循環器疾患についての『禁忌』今年1月、経口グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)が初の「がん悪液質」治療薬としてわが国で承認されました。がん悪液質は「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群」と定義されています。その本質はタンパク質の異常な異化亢進であり、“病的なるい痩”が、がん患者のQOLやがん薬物療法への忍容性を低下させ、予後を悪化させます。アナモレリンは内服によりグレリン様作用を発揮し、がん悪液質患者の食欲を亢進させ、消耗に対抗します。切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんのがん悪液質患者のうち、いくつかの基準をクリアすると使用できるので、対象となる患者が多いのが特徴です。一方、添付文書やインタビューフォームを見ると、『禁忌』には以下のように心不全・虚血・不整脈に関する注意事項が明記されています。「アナモレリンはナトリウムチャネル阻害作用を有しており、うっ血性心不全、心筋梗塞、狭心症又は高度の刺激伝導系障害(完全房室ブロック等)のある患者では、重篤な副作用を起こすおそれがあることから、これらの患者を禁忌に設定した」9)。また、『重要な基本的注意』には、「心電図異常(顕著なPR間隔又はQRS幅の延長、QT間隔の延長等)があらわれることがあるので注意すること」とあります。ピルシカイニド投与時のように心電図に注意が必要です。実際、当院では「アナモレリン投与中」と書かれた心電図の依頼が最近増えています。薬だけではない!?注目の新治療にもある循環器疾患につながる『警告』免疫の知識が今日ほど国民に浸透した時代はありません。私たちの体は、病原体やがん細胞など、本来、体の中にあるべきでないものを見つけると、攻撃して排除する免疫によって守られていることを日常から学んでいます。昨今のパンデミックにおいては、遺伝子工学の技術を用いてワクチンを作り、免疫力で災禍に対抗しています。がん医療でも遺伝子工学の技術を用いて創薬された抗体薬を使って、目覚ましい効果を挙げる一方で、アナフィラキシーやinfusion reaction、サイトカイン放出症候群(CRS:cytokine release syndrome)などの副作用への対応に迫られています。免疫チェックポイント阻害薬の適応拡大に伴い、自己免疫性心筋炎など重篤な副作用も報告されており、循環器医も対応に駆り出されることが増えてきました(第5回参照)。チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)は、採取した患者さんのT細胞を遺伝子操作によって、がん細胞を攻撃する腫瘍特異的T細胞(CAR-T細胞)に改変して再投与する「ヒト体細胞加工製品」です。PMDAホームページからの検索では、医療用「医薬品」とは別に設けてある再生医療等「製品」のバナーから入ると見つかります。「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病」と「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」の一部に効果があります。ノバルティスファーマ株式会社のホームページで分かりやすく説明されています10)。この添付文書で警告しているのはCRSです。高頻度に現れ、頻脈、心房細動、心不全が発症することがあります。緊急時に備えて管理アルゴリズムがあらかじめ決められており、トシリズマブ(ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体、商品名:アクテムラ)を用意しておきます。AlviらはCAR-T細胞治療を受けた137例において、81名(59%)にCRSを認め、そのうち54例(39%)がグレード2以上で、56例(41%)にトシリズマブが投与されたと報告しています11)(図)。(図)画像を拡大するトロポニンの上昇は、測定患者53例中29例(54%)で発生し、LVEFの低下は29例中8例(28%)で発生しました。いずれもグレード2以上の患者でのみ発生しました。17例(12%)に心血管イベントが発生し、すべてがグレード2以上の患者で発生しました。その内訳は、心血管死が6例、非代償性心不全が6例、および不整脈が5例でした。CRSの発症から、トシリズマブ投与までの時間が短いほど、心血管イベントの発生率が低く抑えられました。これらの結果は、炎症が心血管イベントのトリガーになることを改めて世に知らしめました。おわりに本来であれば添付文書の『重大な副作用』なども参考にする必要がありますが、紙面の都合で割愛しました。腫瘍循環器診療ハンドブックにコンパクトにまとめてありますので、そちらをご覧ください12)13)。さまざまな新薬が登場しているがん医療の現場ですが、心電図は最も手軽に行える検査であるため、腫瘍科と循環器科の出会いの場になっています。QT延長等の心電図異常に遭遇した時、循環器医はさまざまな医療情報から適切な判断を試みます。しかし、新薬の使用経験は浅く、根拠となるのは臨床試験の数百人のデータだけです。そこへ来て私は自分の薄っぺらな知識と経験で患者さんを守れるのか不安になります。患者さんの一路平安を祈る時、腫瘍科医と循環器医の思いは一つになります。1)独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)新医薬品の承認品目一覧2)PMDA医療用医薬品 添付文書等情報検索3)日本血液学会編.造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版. 金原出版.2018.p.366.4)Curigliano G, et al. Ann Oncol. 2020;31:171-190. 5)日本循環器学会編. 急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版(班長:筒井裕之).6)Porta-Sanchez A, et al. J Am Heart Assoc. 2017;6:e007724.7)日本循環器学会編. 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン2017 年改訂版(班長:青沼和隆)8)呼吸と循環. 医学書院. 2016;64.(庄司 正昭. がん診療における不整脈-心房細動、QT時間延長を中心に)9)医薬品インタビューフォーム:エドルミズ®錠50mg(2021年4月 第2版)10)ノバルティスファーマ:CAR-T細胞療法11)Alvi RM, et al. J Am Coll Cardiol. 2019;74:3099-3108. 12)腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社. 2020.p.207-210.(森本 竜太. がん治療薬による心血管合併症一覧)13)腫瘍循環器診療ハンドブック.メジカルビュー社. 2020.p.18-20.(岩佐 健史. 心機能障害/心不全 その他[アルキル化薬、微小管阻害薬、代謝拮抗薬など])講師紹介

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パーツを組み合わせて完成!オペレコ時短テクニック2【誰も教えてくれない手術記録 】第6回

第6回 パーツを組み合わせて完成!オペレコ時短テクニック2こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。今回も前回に続き、オペレコ作成の時短テクニックを紹介したいと思います。頻用するイラストを「イラストパーツ」として活用!オペレコを描き続ける中で、気付くと同じような術野や道具を何度も描いていることがありませんか? 症例ごとに術野の差が少ない手術や、頻用する手術器具のイラストがその典型でしょうか。デジタルイラストを活用している方は、それらの頻繁に描くイラストを「イラストパーツ」としてまとめておくことをオススメします。イラストパーツを組み合わせてオペレコを作成すれば、大幅な時短ができますよ!さて、実際にイラストパーツを駆使してオペレコを描いてみましょう。今回は「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を題材に、以下のパーツを使います。いずれも、以前に別のオペレコで作成したものをパーツ用に整えたものです。例:「腹腔鏡下胆嚢摘出術」に使用するイラストパーツ「腹腔鏡下胆嚢摘出術」は、手術によって胆嚢炎の程度や解剖構造などに多少の差がありますが、手順や使用する道具にあまり変化はないので、イラストパーツを活用できる一例です。ベースとなるイラストパーツをそろえたら、腹部体表のイラストを軸に位置を調整して、全体の構成を決めていきます。続いて、術野のイラストパーツをメインに、今回の手術に合わせて細かく修正・加筆していきます。腹部体表と術野のイラストだけでも手術内容は大まかに伝わりますが、より臨場感のある洗練されたイラストにするために、僕は手術で用いた道具も書き添えています。立体感を意識して、加筆・削除修正を加えるイラストパーツを並べただけでは臓器の立体感を表現できないので、ここからさらに修正していきます。右図のように、実際の手術に合わせた前後関係を整理して、細かい部分を書き加えながら、手術器具や臓器の裏側に隠れる部分を消していきます。器具のレイヤーの透明度を上げると、消すべき場所がわかりやすくなりますよ。例:臓器と手術器具の前後関係を整理・修正イラストパーツを組み合わせて、より短時間で臨場感のあるオペレコを作成することができました。このオペレコも30分足らずで完成しています。完成図:パーツを活用した「腹腔鏡下胆嚢摘出術」なお、この方法の注意点が1つあります。オペレコをイチから繰り返し描くことも、重要な手術のトレーニングの1つです。とくにイラストについては、手術に慣れるまではパーツ化せずに繰り返し描くことをオススメします。繰り返し描いて、「もう何も見なくても正しく描ける!」くらいの自信がついたなら、今回お示しした時短術のように、すべての術野をパーツ化して大幅に時短してしまってもいいと思いますよ。胆嚢摘出術だけではなく、ほかの定型化された手術についても同様の方法で作成できますね。デジタルイラストのテクニックを駆使して、スマートなオペレコを効率的に描けるようになりましょう!また次回以降もオペレコに関する話題をお届けします。お楽しみに!

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うつ病リスクに対するシフト勤務の影響

 シフト勤務は、多くの健康問題、とくにメンタルヘルスの問題と関連していることが報告されている。さまざまな人口統計、ライフスタイル、仕事に関連する要因を考慮し、シフト勤務と抑うつ症状との関連を明らかにするため、ドイツ・ルール大学ボーフムのThomas Behrens氏らは、プロスペクティブHeinz Nixdorf Recall Studyを実施した。Chronobiology International誌オンライン版2021年8月12日号の報告。 抑うつ症状は、うつ病自己評価尺度(CES-D)、Patient Health Questionnaire(PHQ)、抗うつ薬の処方状況により評価した。CES-Dのカットオフ値は、高度と評価される17点以上、PHQのカットオフ値は、9点以上とした。シフト勤務の定義は、7:00~18:00以外の勤務時間を含むものとし、夜間勤務の定義は、0:00~5:00の勤務時間を含むものとした。相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定するため、フォローアップ時の年齢、日周指向性(クロノタイプ)、世帯収入、教育で調整し、ロバスト標準誤差を有するポアソン回帰分析を用いて検討を行った。性別により層別化し、分析した。結果のロバスト性を評価するため、さまざまな感度分析と層別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、45~73歳のうつ病歴のない就労者1,500人を調査した。・フォローアップ期間が5年間であった就労者は896人、10年間であった就労者は486人であった。・ほとんどの分析において、統計学的に有意なレベルに達しなかったが、PHQでの評価によると、夜間勤務の女性において抑うつ症状リスクの増加傾向が認められ(RR:1.78、95%CI:0.71~4.45)、とくに20年以上の夜間勤務の場合、この傾向がより顕著であった(RR:2.70、95%CI:0.48~15.4)。・年齢別に層別化した場合、60歳以上の女性では、リスクの増加が認められなかった。・層別化分析では、オーバーコミットメントが女性の抑うつ症状リスクの高さと関連していることが示唆された([CES-D]RR:4.59、95%CI:0.95~22.2、[PHQ]RR:12.7、95%CI:2.89~56.1)。・感度分析を目的としたサブグループの除外により、女性での関連性は上昇したが、男性のシフト勤務就労者におけるうつ病リスクとの関連は、ほとんど消失していた。 著者らは「女性のシフト勤務就労者では、うつ病リスクに対する悪影響が示唆された。男性では、この関連性が一貫して増加することは確認されなかった」としている。

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