サイト内検索|page:62

検索結果 合計:35619件 表示位置:1221 - 1240

1221.

ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025

 ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するアレクチニブは、海外第III相無作為化比較試験「ALEX試験」において、全生存期間(OS)中央値81.1ヵ月、奏効期間(DOR)中央値42.3ヵ月と良好な治療成績を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)において、Tony S. K. Mok氏(中国・香港中文大学)が本試験のOSの最終解析結果を発表した。本試験は、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者を対象として、アレクチニブの有用性をクリゾチニブとの比較により検証する試験である。本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の最終解析結果はすでに報告されており、アレクチニブのクリゾチニブに対する優越性が示されている1,2)。今回は、PFSの最終解析時から約6年の追跡期間が追加された。なお、本結果はAnnals of Oncology誌オンライン版2025年10月17日号に同時掲載された3)。・試験デザイン:海外第III相非盲検無作為化比較試験・対象:未治療のStageIIIB/IV(UICC/AJCC第7版)のALK融合遺伝子陽性NSCLC患者・試験群(アレクチニブ群):アレクチニブ(1回600mg、1日2回) 152例・対照群(クリゾチニブ群):クリゾチニブ(1回250mg、1日2回) 151例・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価に基づくPFS[副次評価項目]OS、DOR、安全性など 今回発表された主な結果は以下のとおり。・StageIII/IVの割合は、アレクチニブ群2.6%/97.4%、クリゾチニブ群4.0%/96.0%であった。中枢神経系(CNS)転移ありの割合は、それぞれ42.1%、38.4%であった。・OS中央値は、アレクチニブ群81.1ヵ月、クリゾチニブ54.2ヵ月であった(層別ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.56~1.08)。7年OS率は、それぞれ48.6%、38.2%であった。・CNS転移の有無別にみたアレクチニブ群とクリゾチニブ群のOS中央値は、以下のとおりであった。 【CNS転移あり】 63.4ヵ月vs.30.9ヵ月(HR:0.68、95%CI:0.40~1.15) 【CNS転移なし】 94.0ヵ月vs.69.8ヵ月(HR:0.87、95%CI:0.58~1.32)・DOR中央値は、アレクチニブ群42.3ヵ月、クリゾチニブ群11.1ヵ月であった(HR:0.41、95%CI:0.30~0.56)。・治療期間中央値は、アレクチニブ群28.1ヵ月、クリゾチニブ群10.8ヵ月であった。・治療中止に至った有害事象の発現割合は、アレクチニブ群17.8%、クリゾチニブ群14.6%であった。減量に至った有害事象の発現割合は、それぞれ23.0%、19.9%であった。アレクチニブの中止または減量に至った主な有害事象は、血中ビリルビン増加(中止3.3%、減量5.3%)であった。クリゾチニブの中止または減量に至った主な有害事象は、ALT(6.6%、8.6%)であった。 本結果について、Mok氏は「アレクチニブは、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLCに対する1次治療の標準治療であることを支持するものである」とまとめた。

1222.

心筋梗塞の非責任病変は結局どうしたら良いのか?(解説:山地杏平氏)

 非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)症例で多枝冠動脈疾患を有する患者を対象に、責任病変のみを治療する群と、非責任病変に対してFFR(fractional flow reserve)を用いた評価に基づき完全血行再建を行う群を比較したSLIM試験が、ESC 2025で発表され、同日JAMA誌に掲載されました。 本試験は、欧州の9施設で実施された多施設共同無作為化比較試験であり、NSTEMIおよび多枝病変を有する478例が登録されました。主要評価項目は、1年後の複合エンドポイント(全死亡、非致死性心筋梗塞、任意再血行再建、脳卒中)であり、完全再建群では13例(5.5%)、責任病変群では32例(13.6%)に発生し、完全再建群で有意に低値でした(ハザード比:0.38、95%信頼区間:0.20~0.72、p=0.003)。とくに再血行再建の発生率は、完全再建群で3.0%、責任病変群で11.5%と大きな差が認められました。 本試験を考えるうえで重要なのは、非責任病変の扱いです。責任病変のみ治療群でも、イベントには含まれない形で、ハートチームの判断により13%(31例)に非責任病変へのPCIが施行されました。一方、完全再建群ではFFRに基づく評価が行われ、約47%(116例)で非責任病変へのPCIが実施されました。 この「ハートチームの判断」という点が本研究のやや曖昧な部分であり、実質的には「FFRによる機能的評価」と「ハートチームによる臨床的判断」の比較になっています。そのため、今回の結果をそのまま実臨床に適用する際には慎重な解釈が求められます。たとえば、目視でFFRを算出できる熟練者がハートチームに参加していた場合や、冠動脈造影ベースでFFR評価を行った場合には、本試験で観察された差は見られなかった可能性があります。 いずれにせよ、今回の研究結果を踏まえると、NSTEMI症例のような高リスク症例においては、FFRで治療適応と評価される病変に対して積極的に完全血行再建を行うことが、その後の再血行再建イベントの予防に有効であると考えられます。一方で、FFRで治療適応がないと評価された病変でも、不安定プラークを有する場合には将来のイベントリスクが高いとされます。心筋梗塞における非責任病変のリスク層別化は、引き続き検討が必要な課題です。

1223.

女房にとっての三大ビックリ!【Dr. 中島の 新・徒然草】(603)

六百三の段 女房にとっての三大ビックリ!一雨ごとに秋の深まる今日この頃……というのは、今くらいの季節に使う台詞でしょうか。皆さま、お変わりなくお過ごしのことと思います。さて、先日の夜の幹線道路。車を運転していた私に、助手席の女房がふいに尋ねてきました。 女房 「この緑色のって、変更できるの?」 何のことかと思えば、車内のイルミネーションの色の話です。 中島 「もちろん! 何かリクエストある?」 女房 「もっと明るい色にできないかな」 そう言われて、私はタッチパネルを操作し、緑から黄色、ピンクと、次々と色を変えてみせました。 女房 「それにしても、ディーラーでこのイルミネーションの説明を聞いたとき『こんな嬉しげなものを欲しがる人がいるのか』と思ってたけど、まさかウチの亭主が付けるとはね」 中島 「な、なんてことを! こういう光に包まれてたらヤル気が出るやんか!」 そう言ったものの、あまり説得力はなかったようです。そういえば、この手の会話パターンは以前にもありました。昔、私がWikipediaに寄付していることがバレたときのことです。 女房 「こんなのに寄付する人がいるんだと思ってたら……ウチの亭主だったのね」 明らかにがっかりされました。でも、私は結構Wikipediaを愛用しているので、少しくらい寄付してもいいと思っているのです。私がこれまで利用してきた情報量を百科事典の値段に換算したら、100万円どころか1,000万円でも足りないはず。その恩恵への感謝として5,000円を数回寄付するくらいは安いものだと思うのですが。どうやら世の中の大半の人は、そうは考えないようです。極めつけは、ネットの天気予報です。「26分後に小雨が降り始める」とか「その1時間後にやむ」とか、最近の天気予報は本当に細かくなりました。中には現地の天気を視聴者が報告できるものもあります。「○○市の現在の天気:晴れ15人、雨3人、曇り28人」みたいな表示ですね。あるとき、私は自分の今の空模様に合わせて「曇り」のボタンをプチッと押しました。すると…… 女房 「お、押しよった!」 隣にいた女房が驚いていました。 女房 「こんなモノに投票する人間が……まさかここにいたとは!」 中島 「押すやろ、普通。一種の社会貢献やんか」 女房 「社会貢献って! それ、言葉の使い方が間違ってるでしょ」 いや、普通は押すと思うんですけど。多くの人が自分の今の天気を報告すれば、それだけ正確な現地の情報がわかるわけですから。とはいえ、そうは思わない人もいるみたいですね。というわけで、車のイルミネーション、Wikipediaへの寄付、そしてネット天気予報の投票。どうやらこれらが、女房にとっての三大ビックリらしいです。長い間、夫婦をやっていても、お互いに理解不能なところは残るもの。でも、それもまた一興。「みんな違って、みんないい」って……ちょっと違うか。たぶん、いずこも同じなのでしょう。では、また。最後に1句 秋雨や まだまだ仰天 夫婦でも

1226.

第33回 帯状疱疹ウイルスが脳を蝕む可能性? 1億人超のデータが示す結果と「ワクチン」という希望

多くの人が子供の頃にかかる「水ぼうそう」。その原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が、治った後も体内に静かに潜み続け、数十年後に「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」として再活性化することはよく知られています。しかし、この身近なウイルスが、将来の認知症リスクと深く関わっているかもしれない。そんな可能性を示唆する大規模な研究結果が、権威ある医学誌Nature Medicine誌に発表されました1)。アメリカの1億人を超える医療記録を分析したこの研究は、帯状疱疹の発症やその予防ワクチンが、認知症リスクにどう影響するのかを、かつてない規模で明らかにしています。この記事では、その研究結果の内容と私たちの健康維持にどう活かせるのかを解説していきます。神経に潜むウイルス「VZV」と帯状疱疹水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は、ほとんどの成人が体内に持っている非常に一般的なウイルスです。初めての感染では「水ぼうそう」として発症しますが、症状が治まった後もウイルスは神経節(神経細胞が集まる場所)に潜伏し、生涯にわたって体内に存在し続けます。そして、加齢やストレス、免疫力の低下などをきっかけに、この潜んでいたウイルスが再び活性化することがあります。これが「帯状疱疹」で、体の片側に痛みを伴う水ぶくれが現れるのが特徴です。VZVは神経を好むウイルスであるため、帯状疱疹後神経痛のような長期的な痛みを引き起こすこともあります。近年、このVZVのような神経に入り込むウイルスが、認知症の発症に関与しているのではないかという証拠が集まりつつありました。VZVが脳内で炎症を引き起こしたり、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβのような異常タンパク質の蓄積を促したりする可能性が、実験室レベルの研究で示唆されていたのです。しかし、これが実際どれほどのリスクになるのかは、はっきりとはわかっていませんでした。1億人の記録が示す「帯状疱疹と認知症」の密接な関係今回の研究チームは、この疑問に答えるため、アメリカの巨大な電子カルテデータベースに着目しました。7,000以上の病院やクリニックから集められた、1億人以上の匿名化された個人の医療記録を、2007~23年にわたって追跡調査したのです。研究チームは、最新の機械学習技術を駆使し、年齢、性別、人種、持病、服用薬、生活習慣(喫煙など)、さらには医療機関へのアクセス頻度など、認知症リスクに影響しうる約400もの因子を厳密に調整しました。これにより、「帯状疱疹(VZVの再活性化)」という要因が、他の要因とは独立して認知症リスクにどれだけ影響するかを、高い精度で評価することを試みました。その結果、驚くべき関連性が次々と明らかになりました。まず、帯状疱疹を経験した人は、そうでない人と比べて、将来的に認知症と診断されるリスクが高いことが示されました。さらに興味深いことに、帯状疱疹を1回経験した人に比べ、2回以上繰り返した人では、認知症リスクが7〜9%も高かったのです。これは、ウイルスの再活性化による体への「負担」が大きいほど、認知症リスクも高まる可能性を示唆しています。しかし、この研究はリスクだけでなく、希望の光も示しています。帯状疱疹を予防するためのワクチンを接種した人は、接種していない人と比較して、認知症リスクが明らかに低かったのです。とくに、より効果の高い不活化ワクチン(商品名:シングリックス)を2回接種した場合では、認知症リスクが27%低減していました。とくに注目すべきは、過去に使用されていた生ワクチンの効果に関する分析です。このワクチンは帯状疱疹予防効果が時間とともに薄れることが知られていますが、研究チームがワクチン接種後15年間にわたって追跡したところ、帯状疱疹予防効果の低下と、認知症リスク低減効果の消失が、見事に相関していました。これは、「ワクチンでVZVの再活性化を抑えること」こそが、認知症リスク低減のメカニズムであることを裏付ける結果と言えます。加えて、帯状疱疹になりやすいとされる高齢者や女性においては、ワクチン接種による認知症リスクの低減効果が、全体集団よりもさらに大きい傾向が見られました。これらの結果は、さまざまな角度から帯状疱疹が認知症の進行に関わる「修正可能なリスク因子」である可能性を強く示唆しています。ただし、この研究は非常に大規模で説得力がありますが、いくつかの限界点も認識しておく必要があります。最大の点は、これが「観察研究」であるということです。つまり、「帯状疱疹の予防」と「認知症リスクの低減」の間に強い関連性を示しましたが、ワクチン接種が原因となって認知症を防いだ、という因果関係を完全に証明したわけではありません。研究チームは、考えうる他の要因の影響を統計的に最大限排除しようと試みていますが、未知の因子が影響している可能性はゼロではありません。また、電子カルテのデータに依存しているため、診断の精度や記録の網羅性にも限界があります。私たちの生活にどう活かす?この研究は、認知症予防の新たな可能性を提示するものです。認知症の原因は複雑で、遺伝や生活習慣など多くの要因が絡み合っていますが、帯状疱疹もその一つとして無視できない存在である可能性があるのです。今回の研究結果は、帯状疱疹ワクチンが認知症を「直接」予防すると断定するものではありませんが、ワクチンが帯状疱疹の発症を効果的に抑えることは明らかになっており、その結果として認知症リスクを低減する可能性が強く示唆されました。とくに日本でも現在主流となっている不活化ワクチン(シングリックス)は、高い予防効果が長期間持続すると明らかになっています。そのため、50歳以上の方は、帯状疱疹そのものの予防(さらに、厄介な神経痛の予防)という観点からも、認知症リスクを下げる観点からも、ワクチン接種について相談する価値があると言えるでしょう。また、過去に帯状疱疹を経験したことがある方は、この研究結果を踏まえ、他の認知症リスク因子(高血圧、糖尿病、喫煙、運動不足など)の管理にも、より一層注意を払うことが勧められるということなのかもしれません。 参考文献・参考サイト 1) Polisky V, et al. Varicella-zoster virus reactivation and the risk of dementia. Nat Med. 2025 Oct 6. [Epub ahead of print]

1227.

初発統合失調症における性特異的プロラクチン異常と性腺ホルモンとの関連

 統合失調症患者では、高プロラクチン血症やプロラクチン(PRL)値の上昇が頻繁に認められる。しかし、初回エピソード統合失調症患者におけるPRL調節不全の有病率に関する性差を検討した研究は非常に少ない。中国・Second People's Hospital of LishuiのAnle Pan氏らは、初回エピソード統合失調症患者における性別特異的なPRL調節不全と性腺ホルモンとの相互作用について検討を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌2025年10月1日号の報告。 対象は、2週間以内の最小限の治療を行った初回エピソード統合失調症患者189例(男性:96例、女性:93例)。すべての対象患者においてPRL値と性腺ホルモンを測定した。 主な結果は以下のとおり。・男性は、女性と比較し、PRL値異常の有病率が有意に高かった(32.3%vs.8.6%、χ2=16.2、p<0.001)。・PRL高値群(39例)とPRL正常群(150例)の性腺ホルモンの比較解析では、高プロラクチン血症群において卵胞刺激ホルモン(Z=2.7、p=0.007)およびテストステロン(Z=3.7、p<0.001)の上昇が認められた。・PRL高値群では、PRLはプロゲステロンおよびテストステロンと正の相関が認められた。一方、PRL正常群では、PRLはエストラジオールおよび黄体形成ホルモンと正の相関を示したものの、プロゲステロンとは負の相関を示した。 著者らは「初回エピソード統合失調症患者におけるPRL調節不全の複雑かつ性別特異的な異常およびそれが性腺ホルモンと関連していることが強く示唆された」としている。

1228.

蕁麻疹に外用薬は非推奨、再確認したい治療の3ステップ

 かゆみを伴う赤みを帯びた膨らみ(膨疹)が一時的に現れて、しばらくすると跡形もなく消える蕁麻疹は、診察時には消えていることも多く、医師は症状を直接みて対応することが難しい。そのため、医師と患者の間には認識ギャップが生まれやすく、適切な診断・治療が選択されない要因となっている。サノフィは9月25日、慢性特発性蕁麻疹についてメディアセミナーを開催し、福永 淳氏(大阪医科薬科大学皮膚科学/アレルギーセンター)がその診療課題と治療進展について講演した。 なお、蕁麻疹の診療ガイドラインは現在改訂作業が進められており、次改訂版では病型分類における慢性(あるいは急性)蕁麻疹について、原因が特定できないという意味を表す“特発性”という言葉を加え、“慢性(急性)特発性蕁麻疹”に名称変更が予定されている。蕁麻疹の第1選択は経口の抗ヒスタミン薬、外用薬は非推奨 慢性特発性蕁麻疹は「原因が特定されず、症状(かゆみを伴う赤みを帯びた膨らみが現れて消える状態)が6週間以上続く蕁麻疹」と定義され、蕁麻疹患者全体の約6割を占める1)。幅広い世代でみられ40代に患者数のピークがあり1)、女性が約6割と報告されている2)。医療情報データベースを用いた最新の研究では、慢性特発性蕁麻疹の推定有病割合は1.6%、推定患者数は約200万人、1年間の新規発症者数は約100万人と推計されている3)。 蕁麻疹診療ガイドライン4)で推奨されている治療ステップは以下のとおりで、内服の抗ヒスタミン薬が治療の基本だが、臨床現場では蕁麻疹に対してステロイド外用薬が使われている事例も多くみられる。福永氏は「蕁麻疹に対するステロイド外用薬はガイドラインでは推奨されておらず、エビデンスもない」と指摘した。[治療の3ステップ]Step 1 抗ヒスタミン薬Step 2 状態に応じてH2拮抗薬*1、抗ロイコトリエン薬*1を追加Step 3 分子標的薬、免疫抑制薬*1、経口ステロイド薬*2を追加または変更*1:蕁麻疹、*2:慢性例に対しては保険適用外だが、炎症やかゆみを抑えることを目的に、慢性特発性蕁麻疹の治療にも使われることがある分子標的薬の登場で、Step 3の治療選択肢も広がる 一方で、Step 1の標準用量の第2世代抗ヒスタミン薬による治療では、コントロール不十分な患者が60%以上いると推定されている5,6)。Step 2の治療薬はエビデンスレベルとしては低く、国際的なガイドラインでは推奨度が低い。エビデンスレベルとしてはStep 3に位置付けられている分子標的薬のほうが高く、今後の日本のガイドラインでの位置付けについては検討されていくと福永氏は説明した。 原因が特定されない疾患ではあるが、薬剤の開発により病態の解明が進んでいる。福永氏は、「かゆみの原因となるヒスタミンを抑えるという出口戦略としての治療に頼る状況から、アレルギー反応を引き起こす物質をターゲットとした分子標的薬が使えるようになったことは大きい」とした。約4割が10年以上症状継続と回答、医師と患者の間に生じている認識ギャップ 症状コントロールが不十分(蕁麻疹コントロールテスト[UCT]スコア12点未満)な慢性特発性蕁麻疹患者277人を対象に、サノフィが実施した「慢性特発性じんましんの治療実態調査(2025年)」によると、39.0%が最初に症状が出てから現在までの期間が「10年以上」と回答し、うち27.8%は現在も「ほぼ毎日症状が出続けている」と回答した。福永氏は、「蕁麻疹は誰にでも起こりうるありふれた病気として、時間が経てば治ると思っている患者さんは多い。しかしなかには慢性化して、長期間症状に悩まされる患者さんもいる」とし、診療のなかでその可能性についても説明できるとよいが、現状なかなかできていないケースも多いのではないかと指摘した。 また、慢性特発性蕁麻疹をどのような疾患だと思うかという問いに対しては、「治療で完治を目指せる病気」との回答は5.1%にとどまり、コントロール不十分な慢性特発性蕁麻疹患者の多くが完治を目指せるとは思っていないことが明らかになった。福永氏は、「治療をしてもすぐには完治しないが、症状が出ていないときも治療を継続することが重要」とした。 原因を知りたいから検査をしてほしいという患者側のニーズと、蕁麻疹との関連が疑われる病歴や身体的所見がある場合に検査が推奨される医療者側にもギャップが生じることがある。福永氏は、「必ず原因がわかる病気ではなく、原因究明よりも治療が重要ということを説明する必要がある」と話し、丁寧な対話に加え、患部の写真撮影をお願いする、UCTスコアを活用するといった、ギャップを埋めるため・見えないものを見える化するための診療上の工夫の重要性を強調して講演を締めくくった。■参考文献1)Saito R, et al. J Dermatol. 2022;49:1255-1262.2)Fukunaga A, et al. J Clin Med. 2024;13:2967.3)Fukunaga A, et al. J Dermatol. 2025 Sep 8. [Epub ahead of print]4)秀 道広ほか. 蕁麻疹診療ガイドライン 2018. 日皮会誌. 128:2503-2624;2018.5)Guillen-Aguinaga S, et al. Br J Dermatol. 2016;175:1153-1165.6)Min TK, et al. Allergy Asthma Immunol Res. 2019;11:470-481.

1229.

免疫療法の対象とならない進行TN乳がんの1次治療、SGがPFS延長(ASCENT-03)/ESMO2025

 PD-1/PD-L1阻害薬の対象とならない局所進行切除不能または転移のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、サシツズマブ ゴビテカン(SG)が化学療法より有意な無増悪生存期間(PFS)の延長と持続的な奏効をもたらしたことが、第III相ASCENT-03試験で示された。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。なお、本結果はNEJM誌オンライン版2025年10月18日号に掲載された。・試験デザイン:国際共同ランダム化非盲検第III相試験・対象:PD-1/PD-L1阻害薬投与対象外(PD-L1陰性、PD-L1陽性でPD-1/PD-L1阻害薬の治療歴あり、併存疾患により不適格)で未治療(治療歴がある場合は6ヵ月以上無治療)の局所進行切除不能/転移TNBC患者・試験群:SG(21日サイクルの1日目と8日目に10mg/kg点滴静注)279例・対照群:化学療法(パクリタキセルもしくはnab-パクリタキセルもしくはゲムシタビン+カルボプラチン)279例、病勢進行後クロスオーバー可・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、BICRによる奏効率(ORR)・奏効期間(DOR)・奏効までの期間、安全性、QOL 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2025年4月2日)時における追跡期間中央値は13.2ヵ月、349例にPFSイベントが発生していた。患者の地域別の構成は米国/カナダ/西ヨーロッパが32%、その他が68%であった。・主要評価項目であるBICRによるPFSは、SG群が化学療法群に比べて有意に改善した(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.50~0.77、p<0.0001、中央値:9.7ヵ月vs.6.9ヵ月)。このベネフィットは、事前に規定された主要なサブグループで一貫して認められた。・ORRは、SG群が48%、化学療法群が46%と同程度であったが、DOR中央値はSG群(12.2ヵ月)が化学療法群(7.2ヵ月)より長かった。・OSは今回の解析ではimmatureであった。HRは0.98で、中央値はSG群で21.5ヵ月、化学療法群で20.2ヵ月であった。・PFS2(ランダム化から後続治療後の病勢進行/死亡までの期間)中央値は、SG群(18.2ヵ月)が化学療法群(14ヵ月)より長く、HRは0.70(95%CI:0.55~0.90)であった。・Grade3以上の治療関連TEAEは、SG群61%、化学療法群53%であった。TEAEによる治療中止割合は、SG群4%、化学療法群12%、減量に至った割合は、SG群で37%、化学療法群で45%であった。治療関連死はSG群で6例(すべて感染症による死亡)、化学療法群で1例報告された。・SGの有害事象は既知の安全性プロファイルと一致しており、Grade3以上の発現割合は好中球減少が43%、下痢が9%であった。 Javier Cortes氏は「本試験のデータは、PD-1/PD-L1阻害薬を投与できない未治療の転移TNBC患者における新たな標準治療の可能性としてSGを支持する」と結論した。

1230.

ALK陽性非小細胞肺がんにおけるアレクチニブ後ブリグチニブの有効性/ESMO2025

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療にはアレクチニブが広く使われるが、後治療については確立されていない。ALK陽性NSCLCに対する第2世代ALK-TKIブリグチニブの前向き多施設共同観察研究であるWJOG11919L/ABRAID試験が行われている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)では、アレクチニブ直後治療として同剤を評価したコホートAの初回解析結果が発表された。 対象はStageIIIB/IIIC/IVまたは再発のALK陽性NSCLC、主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、CNS病変症例におけるPFS(CNS-PFS)、安全性である。 主な結果は以下のとおり。・登録対象から102例が有効性評価対象となった。患者の年齢中央値は66.5歳、PS 0~1が89%を占め、CNS転移は36%に認められた。アレクチニブ中止の理由は94%が疾患進行であった。・ブリグチニブのPFS中央値は6.5ヵ月で95%信頼区間は4.83〜8.84ヵ月、12ヵ月PFS割合は33.3%、24ヵ月PFS割合は20.5%であった。事前に特定した95%信頼区間の下限値4.0ヵ月を達成した。・ORRは31.4%、DCRは70.6%であった。・CNS-PFS中央値は10.8ヵ月であった。・ctDNAを解析した87例中16例(18.3%)でALK変異が検出され、ALK変異陽性例と陰性例のPFS中央値は同程度であった(7.3ヵ月対6.9ヵ月)。・TP53変異は87例中19例(21.8%)で検出され、TP53変異陽性例では陰性例に比べPFS中央値が短い傾向が見られた(5.8ヵ月対8.3ヵ月)。・安全性は従来の知見と一貫していた。頻度が高い有害事象は、CPK上昇(48.1%)、AST上昇(34.6%)、ALT上昇(26.9%)など。肺臓炎/ILDは10.6%(Grade3は4.8%)に発現した。

1231.

世界の死亡パターン、過去30年の傾向と特徴/Lancet

 米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Causes of Death Collaboratorsは、過去30年の世界における死亡のパターンを、改善された推定法を用いて調査し、COVID-19パンデミックのような重大イベントの影響、さらには低所得地域での非感染性疾患(NCD)の増加といった世界で疫学的転換が進んでいることを反映した、より広範な分野にわたる傾向を明らかにした。死因の定量化は、人々の健康を改善する効果的な戦略開発に向けた基礎的な段階である。GBDは、世界の死因を時代を超えて包括的かつ体系的に解析した結果を提供するものであり、GBD 2023では年齢と死因の関連の理解を深めることを目的として、70歳未満で死亡する確率(70q0)と死因別および性別の平均死亡年齢の定量化が行われた。Lancet誌2025年10月18日号掲載の報告。1990~2023年の292の死因について定量化 GBD 2023では、1990~2023年の各年について、204の国と地域および660のサブナショナル(地方政府)地域における年齢・性別・居住地・暦年ごとに分類した292の死因の推定値を算出した。 ほとんどの死因別死亡率の算出には、GBDのために開発されたモデリングツール「Cause of Death Ensemble model:CODEm」が用いられた。また、損失生存年数(YLL)、死亡確率、死亡時平均年齢、死亡時観測年齢および推定平均年齢も算出した。結果は件数と年齢標準化率で報告された。 GBD 2023における死因推定法の改善点は、COVID-19による死亡の誤分類の修正、COVID-19推定法のアップデート、CODEmモデリングフレームワークのアップデートなどであった。 解析には5万5,761のデータソースが用いられ、人口動態登録および口頭剖検データとともに、サーベイ、国勢調査、サーベイランスシステム、がん登録などのデータが含まれている。GBD 2023では、以前のGBDに使用されたデータに加えて、新たに312ヵ国年の人口動態登録の死因データ、3ヵ国年のサーベイランスデータ、51ヵ国年の口頭剖検データ、144ヵ国年のその他のタイプのデータが追加された。死因トップは2021年のみCOVID-19、時系列的には虚血性心疾患と脳卒中が上位2つ COVID-19パンデミックの初期数年は、長年にわたる世界の主要な死因順位に入れ替わりが起き、2021年にはCOVID-19が、世界の主要なレベル3のGBD死因分類の第1位であった。2023年には、COVID-19は同20位に落ち込み、上位2つの主要な死因は時系列的には典型的な順位(すなわち虚血性心疾患と脳卒中)に戻っていた。 虚血性心疾患と脳卒中は主要な死因のままであるが、世界的に年齢標準化死亡率の低下が進んでいた。他の4つの主要な死因(下痢性疾患、結核、胃がん、麻疹)も本研究対象の30年間で世界的に年齢標準化死亡率が大きく低下していた。その他の死因、とくに一部の地域では紛争やテロによる死因について、男女間で異なるパターンがみられた。 年齢標準化率でみたYLLは、新生児疾患についてかなりの減少が起きていた。それにもかかわらず、COVID-19が一時的に主要な死因になった2021年を除き、新生児疾患は世界のYLLの主要な要因であった。1990年と比較して、多くのワクチンで予防可能な疾患、とりわけジフテリア、百日咳、破傷風、麻疹で、総YLLは著しく低下していた。死亡時平均年齢、70q0は、性別や地域で大きくばらつき 加えて本研究では、全死因死亡率と死因別死亡率の平均死亡年齢を定量化し、性別および地域によって注目すべき違いがあることが判明した。 世界全体の全死因死亡時平均年齢は、1990年の46.8歳(95%不確実性区間[UI]:46.6~47.0)から2023年には63.4歳(63.1~63.7)に上昇した。男性では、1990年45.4歳(45.1~45.7)から2023年61.2歳(60.7~61.6)に、女性は同48.5歳(48.1~48.8)から65.9歳(65.5~66.3)に上昇した。2023年の全死因死亡平均年齢が最も高かったのは高所得super-regionで、女性は80.9歳(80.9~81.0)、男性は74.8歳(74.8~74.9)に達していた。対照的に、全死因死亡時平均年齢が最も低かったのはサハラ以南のアフリカ諸国で、2023年において女性は38.0歳(37.5~38.4)、男性は35.6歳(35.2~35.9)だった。 全死因70q0は、2000年から2023年にかけて、すべてのGBD super-region・region全体で低下していたが、それらの間で大きなばらつきがあることが認められた。 女性は、薬物使用障害、紛争およびテロリズムにより70q0が著しく上昇していることが明らかになった。男性の70q0上昇の主要な要因には、薬物使用障害とともに糖尿病も含まれていた。サハラ以南のアフリカ諸国では、多くのNCDについて70q0の上昇がみられた。また、NCDによる死亡時平均年齢は、全体では予測値よりも低かった。対象的に高所得super-regionでは薬物使用障害による70q0の上昇がみられたが、観測された死亡時平均年齢は予測値よりも低年齢であった。

1232.

急性期脳梗塞、再灌流後のアルテプラーゼ投与は有益?/JAMA

 前方循環の主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中を呈し、機械的血栓除去術による血管内再灌流を達成した患者において、アルテプラーゼ動脈内投与は90日時点で優れたアウトカムを示す可能性が高いことを、中国・中山大学のXinguang Yang氏らPEARL Investigatorsが無作為化試験の結果で示した。アルテプラーゼ動脈内投与群では、全死因死亡率および頭蓋内出血の発現率が高かったが、統計学的有意差は認められなかった。主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中を呈し、血栓除去術を受けた患者における機能的アウトカムは、依然として最適とはいえず、血栓除去術後のアルテプラーゼ動脈内投与の有益性は不明のままであった。JAMA誌オンライン版2025年10月13日号掲載の報告。中国の28病院で無作為化試験、アルテプラーゼ動脈内投与vs.標準治療 研究グループは、前方循環の主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中を呈し、発症後24時間以内に血栓除去術を受け、再灌流を達成した患者(expanded Thrombolysis in Cerebral Infarction[eTICI]スケールスコア≧2b50)を対象に、多施設共同無作為化試験を行った。 試験は2023年8月1日~2024年10月16日に中国の28病院で行われた。被験者は、アルテプラーゼ動脈内投与(0.225mg/kg、最大用量20mg)群または標準治療群に無作為に割り付けられ追跡評価を受けた。最終フォローアップは2025年1月7日。 主要アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケールスコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡]、0または1が最良のアウトカムを示す)が0または1の患者の割合であった。安全性アウトカムは、無作為化後36時間以内に発現した症候性頭蓋内出血、90日以内の全死因死亡率および36時間以内のあらゆる頭蓋内出血などであった。90日時点の修正Rankinスケールスコア0/1達成割合で有意差 324例がアルテプラーゼ動脈内投与群(164例)または標準治療群(160例)に無作為化された(年齢中央値68歳[四分位範囲:58~75]、女性99例[30.6%])。各群1例がフォローアップを受けなかった。 90日時点で修正Rankinスケールスコアが0または1の患者の割合は、アルテプラーゼ動脈内投与群44.8%(73/163例)、標準治療群30.2%(48/159例)であった(補正後リスク比[RR]:1.45、95%信頼区間[CI]:1.08~1.96、p=0.01)。 36時間以内に症候性頭蓋内出血が発現した患者の割合は、アルテプラーゼ動脈内投与群4.3%(7/164例)、標準治療群5.0%(8/160例)であった(補正後RR:0.85、95%CI:0.43~1.69、p=0.67)。90日以内の全死因死亡率は、それぞれ17.1%(28/164例)と11.3%(18/160例)であり(1.60、0.88~2.89、p=0.12)、36時間以内のあらゆる頭蓋内出血は32.9%(54/164例)と26.9%(43/160例)だった(1.22、0.92~1.63、p=0.17)。

1233.

PSMA陽性mHSPC、177Lu-PSMA-617追加でrPFS改善(PSMAddition)/ESMO2025

 PSMA陽性の転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者において、アンドロゲン除去療法(ADT)+アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)への[177Lu]Lu-PSMA-617(177Lu-PSMA-617)追加が画像上の無増悪生存期間(rPFS)を有意に改善した。米国・Weill Cornell MedicineのScott T. Tagawa氏が、第III相PSMAddition試験の2回目の中間解析結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告した。・対象:全身治療歴なしまたは全身治療歴の短い(術前/術後ADTおよび/または転移疾患に対する最大45日までのADT/ARPIは許容)PSMA陽性mHSPC患者(ECOG PS 0~2、ADT+ARPIに対する適格性あり)・試験群(177Lu-PSMA-617群):177Lu-PSMA-617(7.4GBq±10%を6週ごとに6サイクル)+標準治療(ADT+ARPI) 572例・対照群:標準治療(ADT+ARPI) 572例※盲検下独立評価委員会(BIRC)の評価により画像上の進行(rPD)が認められた患者は試験群にクロスオーバー可能・評価項目:[主要評価項目]PCWG3/RECIST v1.1に基づくBIRC判定によるrPFS[重要な副次評価項目]OS[その他の副次評価項目]RECIST v1.1に基づくBIRC判定による奏効率(ORR)、転移去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)/PSA progression/症候性骨関連事象発生までの期間、安全性、QOLなど・層別化因子:CHAARTED基準に基づく腫瘍量(高vs.低)、年齢(≧70歳vs.<70歳)、原発巣に対する照射あるいは手術歴(ありvs.なし)・観察期間中央値23.6ヵ月(データカットオフ:2025年1月13日) 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はともに68.0歳、PSA中央値は177Lu-PSMA-617群12.06ng/mL vs.対照群11.64ng/mL、高腫瘍量の患者が68.0%vs.68.2%、ECOG PS 0の患者が69.4%vs.71.2%を占めた。・対照群の15.9%が177Lu-PSMA-617群にクロスオーバーした。・BIRC判定によるrPFS中央値は177Lu-PSMA-617群NR(95%信頼区間[CI]:NE~NE)vs.対照群NR(95%CI:29.7~NE)で、177Lu-PSMA-617群で統計学的有意に改善した(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.58~0.90、p=0.002)。・177Lu-PSMA-617群におけるrPFSベネフィットはすべてのサブグループで一貫していた。・OS中央値は、未成熟なデータではあるがともにNR(95%CI:NE~NE)で、177Lu-PSMA-617群で良好な傾向がみられた(HR:0.84、95%CI:0.63~1.13、p=0.125)。・BIRC判定によるORRは177Lu-PSMA-617群85.3%(95%CI:79.9~89.6)vs.対照群80.8%(95%CI:74.8~85.8)、完全奏功(CR)は57.1%vs.42.3%であった。・PSA progressionまでの期間(HR:0.42、95%CI:0.30~0.59)、症候性骨関連事象発生までの期間(HR:0.89、95%CI:0.62~1.26)、mCRPCまでの期間(HR:0.70、95%CI:0.58~0.84)はいずれも177Lu-PSMA-617群で良好な傾向がみられた。・Grade3以上の重篤な有害事象は177Lu-PSMA-617群26.6%vs.対照群22.8%で発現し、177Lu-PSMA-617群におけるGrade3以上の177Lu-PSMA-617関連有害事象は13.8%であった。Grade3以上の血球減少症が、177Lu-PSMA-617群でより多く認められた(14.4%vs.5.0%)。・患者報告評価(FACT-P、BPI-SF)における、健康関連QOLと痛みの悪化までの期間に両群間で臨床的に意味のある差は認められなかった。 Tagawa氏は「これらの結果は、177Lu-PSMA-617とADT+ARPIの併用が、PSMA陽性mHSPC患者において臨床的に意義のあるベネフィットをもたらすことを示しているとし、安全性についても177Lu-PSMA-617の既知のプロファイルと一致しており、ADT+ARPIとの併用に関する新たな懸念は認められていない」とまとめた。OS解析は進行中となっている。

1234.

すでに承認されている経口薬が1型糖尿病の進行を抑制

 関節リウマチや脱毛症などの自己免疫疾患の治療薬としてすでに承認されている経口薬であるバリシチニブが、1型糖尿病の進行抑制に役立つのではないかとする研究結果が、欧州糖尿病学会年次総会(EASD2025、9月15~19日、オーストリア・ウィーン)で発表された。 この報告は、セントビンセント医学研究所(オーストラリア)のMichaela Waibel氏らの研究によるもので、新たに1型糖尿病と診断された人がバリシチニブを連日服用すると、インスリン分泌が維持され血糖変動が安定したという。さらに、同薬の服用を中止した後は、インスリン分泌量が減少して血糖変動の安定性が失われ、糖尿病が進行し始めるという変化が見られたとのことだ。 Waibel氏は、「これは本当に素晴らしい前進だ。これまでの1型糖尿病の治療はインスリン療法に大きく依存していたが、その依存度を軽減し、患者が日常の治療から解放される時間を提供できる、初めての経口での疾患修飾療法と言える。さらにこの薬は、長期合併症のリスクを低下させる可能性もある」と話している。 1型糖尿病は、免疫系が膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)を誤って攻撃することで発症する。発症とともにインスリン分泌量が低下し、最終的には分泌が停止するため、患者は生涯にわたって、血糖値を管理するためインスリン療法を続ける必要がある。一方、バリシチニブは、免疫系を刺激する信号を抑制する作用があり、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、脱毛症などの自己免疫疾患の治療薬としてすでに承認されている。これらの理論的な背景を基に研究チームは、バリシチニブが1型糖尿病の診断後早期の患者のβ細胞を保護する可能性があるのではないかと考えた。 今回の研究には、過去100日以内に1型糖尿病と診断された10~30歳の91人が参加。無作為にバリシチニブ群またはプラセボ群に割り付けられ、48週間にわたり毎日服用した。その結果、バリシチニブ群では対照群に比べてβ細胞機能が維持され、血糖値の変動が少なく、インスリンの必要量も少なかった。さらに、48週が経過しバリシチニブの服用を中止すると、血糖コントロールは72~96週目にプラセボ群とほぼ同じレベルまで悪化した。また、バリシチニブ群の患者も最終的には、プラセボ群と同量のインスリンを必要とする状態となった。 これらの結果からWaibel氏は、「1型糖尿病患者のβ細胞機能を維持することが示された有望な薬剤はいくつかあるが、それらの中でバリシチニブは経口投与が可能という点で小児を含む多くの患者が使用しやすく、明らかに有効であるという点で際立っている」と解説。「この薬の効果が長年にわたって持続するか、また、より早期に治療を開始することで1型糖尿病の診断を回避または遅らせることができるかを判断するため、さらなる試験を継続することが正当化される」と述べている。さらに、「この薬の有効性が証明されれば、遺伝的に1型糖尿病のリスクがある人を特定し予防的介入を行うことで、1型糖尿病発症を抑止できるようになるかもしれない」と付け加えている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

1235.

レボドパは脳卒中の回復を促進するか?(解説:内山真一郎氏)

 レボドパは、ドーパミンシグナルを促進し神経可塑性を刺激するので、脳卒中後の運動機能の回復を促進する可能性があり、脳卒中のリハビリに用いられているが、その効果に関するエビデンスは確立されていない。ESTREL試験は、スイスで行われた二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、臨床的意味のある片麻痺を伴った虚血性または出血性脳卒中610例を対象として、標準的なリハビリテーション療法に加えてレボドパ/カルビドパ(100mg/25mg)またはプラセボを投与して3ヵ月後の運動機能をFugl-Meyer Assessmentで評価したが、両群間には有意差がなかった。 この結果は、ドーパミン系が非刺激状態ですでに最高レベルまで達しており、さらなる薬理学的刺激が作用しないのか、脳卒中後はドーパミン系が破綻しており、ドーパミン受容体遺伝子の反応性が低下しているためかもしれない。今後は、バイオマーカー、遺伝子変異、画像データも活用して、レボドパが有効な症例を見いだす努力も必要であろう。

1239.

大会長に聞く第66回日本肺学会学術集会(JLCS2025)の注目トピック【肺がんインタビュー】第115回

第115回 大会長に聞く第66回日本肺学会学術集会(JLCS2025)の注目トピック2025年11月6~8日に開催される第66回日本肺学会学術集会。開催に先立ち、会長である順天堂大学の髙橋 和久氏に大会のテーマや見どころを聞いた。 参考 第66回日本肺学会学術集会ホームージ

1240.

第286回 連立に向けた与野党の最低パフォーマンスのあげく、高市早苗総理大臣の誕生へ 連立参加で維新の社会保障政策案はどこまで実現できる?

「野球史上最高のパフォーマンス」と日本政治史上最低レベルのパフォーマンスこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。ロサンゼルス・ドジャースが本拠地でミルウォーキー・ブルワーズを破りワールドシリーズ進出を決めたナショナル・リーグ優勝決定シリーズ第4戦、すごかったですね。大谷 翔平選手は投打の二刀流で先発出場、投げては6回0/3を2安打無失点、10奪三振の快投。打っては先頭弾、場外弾を含む3本塁打を放ちました。漫画や映画でもありえないような異次元の大活躍に、米国CBSスポーツ電子版は「野球史上最高のパフォーマンス(the greatest single-game performance in baseball history)」と称賛しました。さて、日本政治の歴史の中でも与野党含め多くの党が最低レベルのパフォーマンスを見せ、心底うんざりした連立協議、政界再編劇ですが、10月20日、自民党と日本維新の会が連立政権合意書を取り交わし、高市 早苗総理大臣が誕生することになりました(10月20日現在)。公明党が自民党との連立政権離脱を表明してから10日あまり、この間、「大義」「大義」と叫びながら、結局、国民は二の次で自分たちの選挙のことしか考えていない国会議員の言動を見て、維新の吉村 洋文代表が自民党に突きつけた「国会議員定数の1割削減」はぜひとも実現してもらいたいと思った国民は少なくないでしょう。「比例区だけ削減」という案には問題もありそうですが、ひょっとしたらこれで、日本維新の会の党勢は一気に強まるかもしれません。維新、連立政権合意書で「3党合意」を確実に履⾏することを自民党に求める10月20日に交わされた自民党との連立政権合意書には、社会保障政策について、「25年通常国会で締結したいわゆる『医療法に関する3党合意書』および『骨太方針に関する3党合意書』に記載されている医療制度改革の具体的な制度設計を25年度中に実現しつつ、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」と書かれています。そして、2025年度中に具体的な骨子について合意し、2026年度中に具体的な制度設計を行い順次実行するという項目が13項目列挙されています。13項目は、保険者の権限・機能の強化、都道府県の役割強化、病院機能の強化、大学病院機能の強化、高度機能医療を担う病院の経営安定化など、まあ誰もが考えそうな政策がほとんどですが、中には保険財政健全化策推進(インフレ下での医療給付費の在り方と、現役世代の保険料負担抑制との整合性を図るための制度的対応)、患者の声の反映およびデータに基づく制度設計を実現するための中央社会保険医療協議会の改革、医療費窓口負担に関する年齢によらない真に公平な応能負担の実現など、いわゆる「現役世代」を重視したエッジの効いた政策も並んでいます。維新はかねてより、現役世代の社会保険料の負担を軽減するための社会保障改⾰として、「⼀般病床・療養病床・精神病床の余剰な約11万床の削減」「OTC類似薬への保険給付の⾒直し」「地域フォーミュラリの全国展開」などの政策を掲げてきました。今年6⽉13⽇に公表された「⾻太⽅針2025」の策定に当たっては、6⽉6⽇に⾃⺠・公明・維新による「3党合意」が行われ、現在、3党で協議が進んでいることになっています(「270回 『骨太の方針2025 』の注目ポイント(後編) 『 OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し』に強い反対の声上がるも、『セルフメディケーション=危険』と医療者が決めつけること自体パターナリズムでは?」参照」。連立政権合意書にある「骨太方針に関する3党合意書」がそれに当たります。その具体的な内容を今一度おさらいしておきましょう。●自民党、公明党、日本維新の会の3党が6月11日に合意した社会保障改革案1.OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し2.新たな地域医療構想に向けた病床削減3.医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現4.地域フォーミュラリの全国展開5.現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底6.生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進※以上6項目のうち、「OTC類似薬」「病床削減」「電子カルテ(医療DX)」の3項目には検討の期限と数値目標が明記された。「現役世代」を重視する維新に対し、高齢者の支持率が比較的高く日本医師会という強力な支持団体も有する自民党との間で、この3党合意の社会保障制度改革がどこまで進むかは依然未知数です。しかし、連立政権が誕生したことでその圧力は相当強まるに違いありません。10月17日付のメディファクスは、「維新は社会保障について、これまでの3党協議(自民、維新、公明党)に 続く形で、自民と『第2ステージ』の協議に入りたい構えだ。 協議後の会見で、維新の藤田 文武共同代表は『第2ステージの本丸は構造改革』と説明。 構造改革は『既得権の抵抗が非常に大きい』と述べ、真正面から取り組むべきだとした」と書いています。「既得権の抵抗」とは日本医師会などのことだと思われます。日医にとっては、今まで考えられなかったような厳しい政権が誕生することになるわけです。維新が大臣を出さず「閣外協力」とする理由ところで、高市総裁はこれまでの協議で、維新に「閣内協力」を求め、複数の閣僚ポストを用意する意向を示したそうですが、維新側の結論としては、閣僚を出さない「閣外協力」になりました。入閣すると内閣の政策失敗や不祥事に対して閣僚として責任を負うことになるため、連帯責任やイメージ悪化などのリスクを避けたい狙いがあるためとみられます。そもそも閣議決定には大臣の全員一致が必要です。仮に維新の大臣が誕生すれば、維新の基本政策に合致しない政策でも「賛成」しないと罷免されてしまいます。自民党の政策に対して是々非々の対応を行うために閣外協力という形にして、「支持はするが一体化はしない」という立ち位置を確保するのでしょう。その意味では、大臣ポストが欲しかった公明党とは異なる連立の仕方ということになります。OTC類似薬の公的医療保険の適用見直しについての議論スタートそんな連立協議に向けての調整があちこちで行われていた10月16日、厚生労働省は社会保障審議会医療保険部会を開催、3党協議で一番目の項目に挙がったOTC類似薬の公的医療保険の適用見直しについての議論を本格的にスタートさせました。エムスリーなどの報道によれば、この日の議論では健康保険組合連合会からの委員が「やはり保険給付のあり方を見直すべき。(中略)子どもや慢性疾患、低所得者の方については配慮し、広い範囲を対象として追加の自己負担を求める方法や、保険適用の対象から除外する方法などについて具体的な検討を」と発言した一方で、日本医師会からの委員は「保険適用を外すのは時期尚早で反対」として、患者がOTC類似薬を自己判断で服用する危険性、患者や家族の経済的負担の増大、へき地で薬局がない場合に薬が入手できないなどの問題点を挙げたとのことです。「第277回  いよいよ本格化するOTC類似薬の保険外し議論、日本医師会の主張と現場医師の意向に微妙なズレ?(前編)」でも書いた、いつもの日本医師会のロジックですが、相変わらずの頑なさを感じます。OTC類似薬の公的医療保険の適用見直しについては、さらに医療保険部会で議論を継続していくとのことですが、どんな決着を見せるのでしょうか。連立政権合意書に記載された他の社会保障政策も含めて、高市政権での今後の議論の行方が気になるところです。

検索結果 合計:35619件 表示位置:1221 - 1240