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「後輩に譲りたい」、その先輩心で売価7割減!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第30回

第30回 「後輩に譲りたい」、その先輩心で売価7割減!漫画・イラスト:かたぎりもとこ弊社にお問い合わせいただく医業承継の売り手の方のうち、実に3割の方が持つ、ある「思い」があります。それは…、「できれば、同門の医師に譲渡したい」「本当は知人に譲りたいと思って、自分でも後継者を探している」というものです。当然、売り手が希望する方へ引き継ぐことが理想なのですが、「後輩への譲渡」にはデメリットもあるため、その点もしっかり考慮しておく必要があります。そのデメリットとは、ずばり「譲渡額が相場よりも安くなってしまう」ことです。なぜ安くなってしまうのか、それには下記のような理由があります。(1)買い手候補が知り合いだと、売り手に遠慮が働き、お金の交渉がしづらくなる(2)売り手と買い手の双方が譲渡額の相場や算定方法を知らないため、売り手が「買い手の懐事情」という観点だけで譲渡額の設定をしてしまう(買い手が融資を受けない場合は、高額の支払いは難しい)(3)売り手と買い手が譲渡額のすり合わせなしで協議を始めてしまい、後からお金の話をしづらくなる弊社への相談では「知人で譲り受けてくれそうな医師がいたが、結局破談になってしまったので後継者探しをしてほしい」というケースも多くあり、こうした方の大半が、弊社の算定した売却価格の3~5割程度で知人に譲ろうとしていました。「知人とお金の交渉はしにくい」のは誰しも覚えがあることでしょうが、思い入れのある診療所の譲渡となると、そこをつい忘れてしまうことも多いようです。自分で後継者探しをするデメリットとして、「譲渡額が相場よりも安くなりがち」ということは、知っておきましょう。

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長崎大学の働き方改革、最初の一歩は「整理整頓」【今日から始める「医師の働き方改革」】第5回

第5回 長崎大学の働き方改革、最初の一歩は「整理整頓」「働き方改革といっても、日々忙しい中で何から手を付けたらよいのか…」。そんなご相談をよく頂きます。今回は、誰でもすぐ始められる「整理整頓」をご紹介します。「整理整頓が働き方改革に関係あるの?」と思われるかもしれませんが、一般的なビジネスパーソンが探し物に要する時間は年間80時間1)とされています。病院は書類や画像に加えて備品や模型などが多く、日によって勤務する人も異なるため、オフィスよりもさらに整理整頓が必要になります。その点に注目して整理整頓を進めたのが、長崎大学病院の外傷センターです。外傷センターは2019年から長崎大学・長崎大学病院の働き方改革プロジェクト「ワークスタイルイノベーション」に参加し、さまざまな取り組みを展開しています。外傷センターを取りまとめる宮本 俊之氏に話を伺いました。―整理整頓に取り組んだきっかけは?2011年の外傷センター立ち上げ時から、医局には個人机を置かず、中心に大きな共用机を置いた広いオープンスペースにしています。フラットな組織づくりにはそのほうがよいと思ったのです。ただ、男性医師が多いこともあってか、部室のように多くの物が散らかり、私一人がせっせと片付けていました。それが、ワーク・ライフバランス社のコンサルティングを受けた時に「探し物が多い職場は生産性が低い」「探し物がなくなればこれだけの時間を節約できる」と聞いて、みんなの目が覚めました。「雑然とした医局をきれいにしよう!」という機運が生まれたのです。散らかす人は「どこに何があるかわかっている」と言いますが、実際はそうでないことも多く、ましてや共有スペースではルールを守らないとすぐに物が行方不明になります。私一人の声掛けには限界があったので、今回の機会は渡りに船でした。捨てる機会を失っていた資料や備品も、外部の方の目で「これはいつ使いますか?」と聞いてくださり、整理整頓はどんどん進みました。整理整頓後は「帰るときに共有スペースに物を残さない」ことをルールにしました。新しい先生が来た時「どうしてこんなにきれいなんですか!?」と驚いてくれるのがうれしいです。きれいな状態が普通になると、散らかっている状態が落ち着かなくなります。整理整頓は誰かがやってくれるものではなく、一人ひとりが毎日取り組むもの、という意識がメンバーに定着したと思います。以前の医局現在の医局。個人机は置かず、コミュニケーションをとりやすいフラットなつくり―宮本先生も、医局で過ごされることが多いとか。准教授室もあるのですが、ほとんどの時間はメンバーと医局にいますね。個人のスペースは極力つくらないようにし、風通しをよくして、コミュニケーションをとる場に特化しています。集中したいときには医局の壁側にある机を使います。みんなに背を向けることになりますが、集中したいことが一目瞭然なので周りも配慮しますし、ノイズキャンセリングのヘッドホンを付ける先生もいます。同じ場所でコミュニケーションと集中作業が共存できています。私はもともと「こうあるべき」という固定観念をつくらないようにしています。「働き方改革」もそうですが、「こうあるべき」と考えはじめると、それが強いバイアスとなって自分の考えをゆがめます。状況は常に変わるので、それに柔軟に合わせられるよう、客観的なものの見方を心掛けています。長年医学の勉強はしてきましたが、マネジメントを学ぶ機会は少なく、管理職になってからマネジメントの本を30冊以上読みました。すると、共通のキーワードがあるのです。とくに感銘を受けたのは「イノベーションは新たな人が新たなアイデアを持ってくることから生まれる」という内容です。外傷センター立ち上げ時の医師は3人で、当時の記憶がないくらいに忙しく、私自身も「こんな働き方では続けていくのは難しい」と感じていました。若い先生に生き生きと働いてもらえる職場にしたい、そのためには環境改善だと考え、今回の働き方改革プロジェクトに参加しました。専門のコンサルタントが質問してくれたり、自分の考えを改めて言葉にしたりする機会を得て、ベテランから若手までたくさんの意見が出ました。プロジェクトから得た学びを、今も継続できていると思います。 「医局は物を置く場所で、個人机を確保する」といった常識を打ち破った外傷センター。一斉に整理整頓を行った結果、一人ひとりが責任を持って職場をつくるという意識に変わりました。整理整頓のやり方をまとめてみましょう。手順1:整理整頓する範囲を決めます。広い場合はいくつかに分割して進めます。手順2:チームをつくります。物の要不要が判断できるメンバーを集めます。手順3:日時を決めます。30分~1時間のまとまった時間が取れればベストですが、難しい場合は本棚1つなど、範囲を狭めて15分程度から始めます。広い範囲を少しずつやるより、狭い範囲を1つずつ終わらせるほうが達成感を味わえます。手順4:当日は対象範囲の写真を撮ることから始めます。物の要不要を判断し、判断できない物は「要判断ボックス」に入れ、判断できる人を探します。終わったら再度写真を撮ります。本当に必要な物だけを残し、処分できる物を積極的に探します。明確な利用シーンが浮かばない物は思い切って処分を検討しましょう。「この3ヵ月間で使ったか?」「ほかの物で代替できないか?」と考えるのもよいでしょう。写真を撮る理由は、前後の変化が次のモチベーションになるためです。スッキリした状態は、その時は新鮮に映るものの、だんだんと当たり前になります。そんな時、整頓前の写真を見れば「戻りたくない」と踏みとどまることができます。「よい医療を提供する」という本質的なことに充てる時間を増やすため、ぜひ整理整頓から始めてみてください。1)コクヨ「書類を探す時間は“1年で約80時間”」/PR TIMES

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第84回 コロナワクチン3回目、エビデンスによる“2回目から6ヵ月以上”が選ばれない理由

非常事態の行政対応はかくも難しいものか。ニュースを眺めていて、ふとそう思った。そのニュースとは新型コロナウイルス感染症の3回目のワクチン接種を巡る問題である。この件についてはNHKの以下の報道が良くまとまっている。「3回目ワクチン接種『2回目からの間隔 原則8ヵ月以上で』厚労省」(NHK)今回とりわけ問題になったのは、3回目の追加接種を2回目から「8ヵ月以上」か「6ヵ月以上」かという点だ。これについてSNS上では「『8ヵ月以上』とはどんなエビデンスなんだ」との声も聞かれるが、上記記事にもある通り厳格なエビデンスに基づいたものではなく、行政的判断である。具体的には9月17日に開催された第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で事務局を担当する厚生労働省健康局健康課予防接種室が、先行して3回目接種を開始あるいは決定した各国はおおむね2回接種の7~8ヵ月後から開始しているとの資料(リンク先P42)を提示して8ヵ月以上を提案し、参加した各委員がこれを了承したものである。しかし、この後、ファイザーやモデルナといった各社が第3四半期決算発表時にそれまで解析した自社調査によるデータを公表。2回接種完了から半年後に思ったよりも抗体価が低下していることが明らかになり、それとともに国内外で「6ヵ月以上が適切かも」という声が増えてきたという次第だ。どちらかと言えばこちらのほうが医学的なエビデンスと言えるが、ワクチン販売企業のデータゆえ、利益相反(COI)を考慮しなければならないだろう。結局、前述の記事や各種報道にあるように「2回目接種完了から8ヵ月以上」を原則とし、当初は地域の感染状況に応じて自治体の判断で「2回目接種完了から6ヵ月以上」でも対応可能としたものの、最終段階で後者の選択を取る場合は「国への事前相談」が必要となった。個人的には今回の決定はある意味妥当な着地点を見いだせたのではないかと感じる。NHKの記事を読むと、自治体側は「6ヵ月以上」となると想定していた準備の前倒しにより混乱が起きるため「8ヵ月以上」を歓迎しているようだ。一方、私個人が「妥当」と考えたのはワクチンの供給量の観点からだ。今回、主軸となるファイザー製ワクチンは年内に約1億9,000万回分が供給見込みで、すでに約1億7,584万回分が接種済み。年内の残りは1,400万回分だが、現時点で1回目接種完了者の2回目接種分約360万回分が必要なため、年内に3回目接種に回せる可能性があるのは最大でも1,000万回分強である。そして3回目接種は、当初の優先接種者で、すでに接種完了から8ヵ月以上が経過しているエッセンシャルワーカー最上位の医療従事者から始まるのは確実。すでに公表されているデータから医療従事者の追加接種分を算出すると約490万回が必要となる。もっとも現時点でもまだ1回目接種に辿り着いていない若年者はいるため、前述の1,000万回分すべてが3回目の接種に回せるわけではないのは周知のこと。このように考えると、地方自治体が担当する3回目接種の最初の対象者となる高齢者に回せる可能性があるワクチンは多くとも全国で300万回分程度である。接種完了済みの高齢者で概算すると、もし年内に高齢者に追加接種をするとなると、10人に1人しかできない計算になる。このため自治体判断で「6ヵ月以上」を援用できるようにすると、それこそ自治体間で醜いワクチン獲得競争が生じてしまう恐れもある。ただし、一定の柔軟性は必要とも考えている。というのも、どのように配分したとしても自治体によってはワクチン在庫に余剰が生じる可能性があり、「8ヵ月以上」あるいは「感染状況悪化時の6ヵ月以上」という基準を金科玉条にすると、期限切れで無駄に廃棄するワクチンが生じてしまう恐れがあるからだ。この辺は厚生労働省と自治体の柔軟な対応に期待したいところだ。一方で、「そこを柔軟にする?」と思った点もある。それは今回、同一医療機関でファイザー製とモデルナ製を取り扱えるとした点である。ご存じのように両ワクチンは原理がほぼ同じだが、保管管理や接種前の準備が異なる。これでは悪気がなくとも誤った接種が行われる確率は従来よりも高くなると考えられる。その意味で今回の3回目接種のさまざまな基準は、細かいようだが柔軟性が必要なところにそれが欠け、逆により厳格化すべきところが柔軟になるという「要る時に要らない。要らない時に要る」風呂の蓋のようなちぐはぐさも感じてしまうのである。

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患者が後発品への変更を嫌がる薬剤は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第79回

後発医薬品の品質問題や供給停止の影響で、新規採用する薬剤の情報収集に追われている薬局は多いと思います。そのような中、東京都薬剤師会が後発医薬品に変更しにくい薬剤についてのアンケートを実施し、結果を公表しました。東京都薬剤師会は11月5日の定例会見で、後発品の使用実態に関する調査の続報を明らかにした。すでに示した「変更し難い医薬品」について、具体的な品目名を公表。薬局において変更しにくい内服薬は「エディロールカプセル」と後発品の「エルデカルシトールカプセル」が最も多く、次いで「デパス」「マイスリー錠」と続いた。同様に外用薬は「ヒルドイド」と後発品の「ヘパリン類似物質」が最多で、「モーラス」と「ケトプロフェンテープ」、「ロキソニン」と「ロキソプロフェンナトリウム」の順だった。(2021年11月8日付 RISFAX)この調査は2021年9月に実施されたもので、938人の管理薬剤師と薬局開設者が回答しました。後発医薬品に変更しにくい背景には、薬剤師としての視点だけでなく、実際には患者さんや医師からの要望や領域特有の難しさなどさまざまな理由があります。その品目や問題点を明らかにすることで、今後の使用推進につなげたいという目的があるのでしょう。まず、内服薬についてです。後発医薬品に変更しにくいと回答した薬局が30軒を超えたものは以下の17品目でした(カッコ内の数字は回答数)。なお、先発医薬品から後発医薬品への変更だけでなく、後発医薬品から後発医薬品への変更も含みます。1位エディロール(148)2位デパス(119)3位マイスリー(112)4位ロキソニン(100)5位アレロック(80)6位ハルシオン(80)7位メインテート(69)8位オノン(51)9位エルデカルシトール(47)10位レンドルミン(42)11位ビソプロロールフマル酸塩(41)12位サンバルタ(39)13位ノルバスク(38)14位アムロジン(36)15位ユベラ(34)16位アルファカルシドール(33)17位デパケン(30)変更しにくい理由は「患者希望」が41%、「後発医薬品が入手できない」が38%と高い割合でしたが、「医師の指示」も16%ありました。1位や9位など供給停止が原因の品目は今年ならではですが、それ以外では精神科系と循環器系の品目が多いという印象を受けます。精神科系の薬剤を変更した患者さんから効かなくなったと言われた…というのはしばしば耳にしますので、やはりハードルが高いのでしょう。次に、外用薬についてですが、上位10品目は以下のようになりました(カッコ内の数字は回答数)。1位ヒルドイド(669)2位モーラス(551)3位ロキソニンテープ(289)4位アンテベート(84)5位ホクナリンテープ(57)6位ヒアレイン(49)7位リンデロン(46)8位プロトピック(25)9位キサラタン(24)9位シムビコート(24)外用薬の変更しにくい理由は「患者の希望」が約60%を占めました。外用薬は先発医薬品と後発医薬品で使用感が異なることがあり、それを気にする患者さんがいることは知っていましたが、思っていたよりも多いのかなという印象です。ただ、個人的には、患者さんが後発医薬品を実際に使用したうえで先発医薬品を希望しているのか、後発医薬品は未使用だけれども薬価が安いなどの理由で先発医薬品のままでいいと考えているのかが気になります。また、「後発品調剤体制加算を1段階昇格するための重要な品目は何か」という問いに対して、外用薬を挙げる薬局が多くみられました。患者さんがこだわる使用感をどのように説明してフォローするかが1段階昇格の鍵となりそうです。使用感が異なる後発医薬品は同等ではない!?調査を実施した東京都薬剤師会の永田 泰造会長は、外用薬を変更しにくい理由として最も割合が高かった「患者希望」に関し、貼り心地や塗り心地といった使用感に問題があると指摘して「60%の患者がノーと言っている以上、先発とは同等のものではない」「こうした外用薬は後発品カテゴリーから除外すべきではないか」といった内容の発言をしたと報じられています。この発言に関しては、後発医薬品は先発医薬品と有効成分は同じであり、製剤的に改良していることもあるのに、使用感が違うのなら除外しようというのはちょっと乱暴に思います。しかし、患者さんが求める後発医薬品はどうあるべきか考え直すよい機会かもしれません。参考1)【東京都薬剤師会後発薬調査】「変更し難い医薬品」名を公表/内服1位はエディロール/外用薬1位はヒルドイド/永田会長「製剤技術異なる外用薬は単なる後発薬カテゴリーからはずすべき」|ドラビズon-line(dgs-on-line.com)2)後発品に変更できにくい内服薬は「エディロール」 都薬調査、外用薬は「ヒルドイド」と「モーラス」|日刊薬業(jiho.jp)

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事例038 コロナ特例「B001-2-5 院内トリアージ実施料」の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を疑い対応した患者が、再度来院されたため、それぞれの診療に「B001-2-5 院内トリアージ実施料」(以下、「同実施料」)を診療報酬上臨時的取扱に則り算定したところ、1回分がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に査定となりました。COVID-19を疑い「新型コロナウイルス感染症(COVIT-19 )診療の手引き」に沿った基本的な感染対策を実施して診療を行う場合は、「診療報酬取扱いの特例として同実施料を準用して算定できる」とあります。報酬を準用する場合には、準用先の報酬にかかる「注」なども適用されます。本来の同実施料は、施設基準を届出ている医療機関の夜間、休日または深夜において初診料を算定できる外来患者に算定ができます。COVID-19(疑いを含む)に対応する場合のみ届出を不要としています。また、必要な感染予防策を講じたうえで対面にて外来や往診を行った場合においても算定できると2020年4月に通知されています。その他の要件は明記が無いために、必要な感染予防策を講じた診療の都度に算定できるものと考えていました。事例では、病名をよく確認すると初診時の疑い病名は「中止」されていますが、急性上気道炎は継続されています。コメントをみると、再診のときに強くCOVID-19を疑った理由が不明瞭です。そのために、再診時は通常診療であり、同実施料は過剰と判断されたようです。医師にはこの理由を説明し、レセプト担当者には、複数回の同実施料の算定があった場合は、疑った要点と対応を医師にコメントいただくように伝え、査定防止対策としました。

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英語で「予防接種を受けましたか」は?【1分★医療英語】第3回

第3回 英語で「予防接種を受けましたか」は?Did you receive a measles shot as a child?(子供のころに麻疹の予防接種を受けましたか?)Yes, I did. And I think all my vaccines are fully up-to-date.(はい、受けました。必要なワクチンはすべて受けていると思います)《例文1》I’ll get vaccinated against the flu tomorrow.(明日、インフルエンザのワクチンを受けます)《例文2》The patient has just received the second COVID shot/jab.(その患者は2回目のコロナワクチンを接種したばかりだ)《解説》予防接種を受ける行為やプログラムのことを“vaccination”と表現します。日本でもよく聞く“vaccine”のほうは、予防接種時に投与する薬剤そのものを指します。また、簡易的な表現として米国では“shot”、英国では“jab”という表現もよく使われます。注射全般を指す“injection”も文脈次第でワクチンを意味することがあり、「予防」という意味の“protection”もワクチンを指すことがあります。また、抗体検査をしてワクチンの効果を確認したり、必要なワクチン接種を追加接種したりすることを“To update one’s vaccine status”ということがあります。“Which of my vaccines need to be updated?”(受け直したほうがいい予防接種はありますか?)などのように使います。講師紹介

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日本人アルコール依存症の重症度が治療経過に及ぼす影響

 エビデンスの蓄積によりアルコール依存症の重症度と再発リスクとの関連が示唆されているが、依存症の重症度が疾患経過に及ぼす影響は十分に評価されていない。久里浜医療センターの吉村 淳氏らは、入院治療後の経過に対するいくつかのアルコール依存症重症度指数の影響を調査した。Alcoholism, Clinical and Experimental Research誌オンライン版2021年9月29日号の報告。アルコール依存症の重症度の高さは断酒率低下と関連 本プロスペクティブ研究は、専門病院でのアルコール依存症治療後12ヵ月間にわたり実施した。連続して入院したアルコール依存症患者712例が入院時に登録の対象となり、フォローアップ調査には637例が登録された。患者の特徴および重症度は、入院時に複数の手法を用いて評価し、退院後には飲酒行動に関する質問票を用いて郵送にて継続的にフォローアップを行った。 アルコール依存症の重症度が疾患経過に及ぼす影響を調査した主な結果は以下のとおり。・ICD-10診断基準によって評価したアルコール依存症の重症度の高さは、研究期間中の断酒率低下と関連が認められた(p=0.035)。・ベースライン時の血中γグルタミルトランスフェラーゼ値(p=0.031)およびアルコール依存症尺度(ADS)スコア(p=0.0002)の増加は、断酒率の有意な低下と関連していた。・多変量Cox比例ハザード分析では、ADSスコアが最も悪い群は、最も良い群と比較し、飲酒再発リスクが有意に高かった(HR:2.67、p=0.001)。・アルコール依存症の重症度は、飲酒パターンとも関連しており、制限された飲酒および断酒した群では、飲酒状況が悪い群と比較し、入院時のADSスコアがより低く(p=0.001)、初回飲酒時の年齢がより遅かった(p<0.001)。 著者らは「本研究は、複数の手法による調査結果に反映されているように、より重度のアルコール依存症は、治療後の経過不良を予測していることが示唆された。このことから、治療開始時に依存症の重症度を評価することは、治療アウトカムの予測および追加の支援が必要な患者を顕在化させるために役立つ可能性がある」としている。

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ワクチン接種はコロナ重症化リスクを減らすか?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種は、COVID-19による入院ならびにCOVID-19入院患者の死亡/人工呼吸器装着への進行を有意に低下させる可能性が認められた。米国疾病予防管理センターのMark W. Tenforde氏らが、米国の21施設で実施した症例コントロール研究の結果を報告した。COVID-19ワクチン接種の有益性を包括的に理解するためには、ワクチン接種にもかかわらずCOVID-19を発症した人の疾患重症度が、ワクチン未接種者よりも低いかどうかを判断する疾患軽減について検討する必要があった。著者は、「今回の結果は、ワクチン未接種の場合と比較すればワクチン接種後のブレークスルー感染のリスクが低いことと一致している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2021年11月4日号掲載の報告。死亡/人工呼吸器装着のデータがある入院患者4,513例について解析 研究グループは、2021年7月14日までに登録され、2021年3月11日~8月15日の期間に入院し、死亡と人工呼吸器装着の28日転帰に関するデータを入手できた成人4,513例について解析した。最終追跡調査日は2021年8月8日。 主要評価項目は、(1)COVID-19による入院(症例:COVID-19の診断で入院した患者、対照:他の診断で入院した患者)、(2)COVID-19で入院した患者の疾患進行(症例:死亡または人工呼吸器を装着した患者、対照:それらへの進行なしの患者)で、これらとワクチン接種との関連について多重ロジスティック回帰を用いて検討した。 解析対象4,513例の患者背景は、年齢中央値59歳(IQR:45~69)、女性が2,202例(48.8%)、非ヒスパニック系黒人23.0%、ヒスパニック系15.9%、また免疫抑制状態の患者20.1%などであった。COVID-19入院患者、疾患重症化はワクチン接種者で有意に低下 4,513例中、COVID-19入院患者が1,983例、他の診断による入院患者が2,530例であった。COVID-19入院患者1,983例のうち、84.2%(1,669例)がワクチン未接種者であった。 COVID-19による入院は、ワクチン接種より未接種と有意に関連しており(症例15.8% vs.対照54.8%、補正後オッズ比[aOR]:0.15、95%信頼区間[CI]:0.13~0.18)、SARS-CoV-2がアルファ株(8.7% vs.51.7%、0.10、0.06~0.16)、デルタ株(21.9% vs. 61.8%、0.14、0.10~0.21)でも同様に認められた。 また、この関連性は、免疫正常者(11.2% vs.53.5%、aOR:0.10、95%CI:0.09~0.13)のほうが、免疫抑制患者(40.1% vs.58.8%、0.49、0.35~0.69)より強く(p<0.001)、BNT162b2ワクチン(Pfizer/BioNTech製)接種後120日以降(5.8% vs.11.5%、0.36、0.27~0.49)のほうが、mRNA-1273ワクチン(Moderna製)接種後120日以降(1.9% vs.8.3%、0.15、0.09~0.23)より弱かった(p<0.001)。 COVID-19入院患者のうち2021年3月14日~7月14日に登録された1,197例において、28日までの死亡または人工呼吸器装着は、ワクチン接種よりワクチン未接種に有意に関連していた(12.0% vs.24.7%、aOR:0.33、95%CI:0.19~0.58)。

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FFRガイド下PCI vs.CABG 、3枝冠動脈疾患/NEJM

 3枝冠動脈疾患患者において、冠血流予備量比(FFR)ガイド下での経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、1年時点の死亡・心筋梗塞・脳卒中・再血行再建術の複合イベントの発生について、冠動脈バイパス術(CABG)に対する非劣性は示されなかった。米国・Stanford Cardiovascular InstituteのWilliam F. Fearon氏らが、欧米などの48施設で実施した多施設共同非劣性試験「Fractional Flow Reserve versus Angiography for Multivessel Evaluation(FAME)3試験」の結果を報告した。3枝冠動脈疾患患者では、PCIと比較しCABGの転帰が良好であることが知られていたが、FFRガイド下PCIに関する研究はなかった。NEJM誌オンライン版2021年11月4日号掲載の報告。FAME3試験でFFRガイド下PCI群とCABG群に割り付け FAME3試験で研究グループは、左主冠動脈を含まない3枝冠動脈疾患患者1,500例を、CABG群またはFFRガイド下PCI群(FFRが≦0.80でゾタロリムス溶出ステントを留置)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 FAME3試験の主要評価項目は、1年以内の主要心脳血管有害事象(MACCE:全死亡、心筋梗塞、脳卒中、再血行再建術)の発生で、CABGに対するFFRガイド下PCIの非劣性マージンはハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)の上限が1.65未満とした。副次評価項目は死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合および各イベントなどで、安全性についても評価した。FAME3試験ではFFRガイド下PCIの非劣性示されず FFRガイド下PCI群(757例)におけるステント留置本数(平均±SD)は3.7±1.9、CABG群における遠位側吻合数は3.4±1.0であった。 FAME3試験のMACCEの1年発生率は、FFRガイド下PCI群10.6%、CABG群6.9%、HRは1.5(95%CI:1.1~2.2)であり、FFRガイド下PCIは非劣性基準を満たさなかった(非劣性のp=0.35)。 死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合イベント発生率は、FFRガイド下PCI群7.3%、CABG群5.2%であった(HR:1.4、95%CI:0.9~2.1)。 安全性については、FFRガイド下PCI群よりCABG群で、大出血(BARC出血基準3~5)(1.6% vs.3.8%、p<0.01)、心房細動/不整脈(2.4% vs.14.1%、p<0.001)、および急性腎障害(0.1% vs.0.9%、p<0.04)の発生率が有意に高かった。

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降圧薬の心血管イベント抑制効果 年齢やベースラインの血圧で異なるか (解説:江口和男氏)

 わが国の高血圧ガイドラインでは、高齢者における降圧目標を65~74歳については非高齢者と同様の130/80mmHg未満、75歳以上では原則として140/90mmHg未満としている(JSH2019ガイドライン)。同様に、ESHガイドラインでは60~79歳では140/90mmHg以上、80歳以上では160/90mmHg以上と年齢により降圧薬開始の基準を分けている。英国のNICEガイドラインでは80歳以上の高齢者で血圧が150/90mmHg以下であれば降圧治療を推奨しないとし、ISH2020ガイドラインでは冠動脈疾患、脳卒中などの併存疾患がある際の各降圧目標について、通常の130/80mmHgでなく高齢者は140/80mmHg未満と記載している。一方、米国ACC/AHA2017ガイドラインでは65歳以上のすべての外来通院可能な高齢者かつ収縮期血圧(SBP)≧130mmHgではSBPゴール130mmHg未満を目標とした降圧治療を推奨している。このようにわが国および国際的高血圧ガイドラインにおいて高齢者高血圧に対する降圧治療の考え方が異なっている。では、高齢者において積極的降圧療法を行う場合、降圧療法の開始基準や降圧目標を年齢で分けなければならないのだろうか? 高齢者における降圧療法では過降圧が危惧されるが、血圧レベルがさほど高くない場合(たとえば130/80mmHg)では、低血圧などの有害事象が出るだけでイベント抑制効果はないのであろうか? 本メタ解析では51のランダム化比較試験(RCT)に登録された35万8,707人という膨大な数の対象者を年齢およびベースラインの血圧カテゴリー別に解析した。対象者の年齢の中央値は65歳(四分位範囲59~75歳)で、55歳未満12.0%、55~64歳が35.8%、65~74歳が35.8%、75~84歳が15.1%、85歳以上が1.3%であった。主な心血管イベント発症のSBP 5mmHg低下におけるハザード比は、55歳未満0.82(95%信頼区間:0.76~0.88)、55~64歳が0.91(0.88~0.95)、65~74歳が0.91(0.88~0.95)、75~84歳が0.91(0.87~0.96)、85歳以上が0.99(0.87~1.12)であった。拡張期血圧についても同様の傾向であった。各年齢群における相対的な心血管イベント発症抑制効果は、ベースライン血圧の高低で統計的有意差は認めなかった。解釈 本研究では、薬剤による血圧降下療法は若年から高齢者のいかなる年齢層に対しても心血管イベント発症を抑制するのに有効で、いかなるベースラインの収縮期、拡張期血圧(e.g.<120/80mmHg)であっても有用であった。したがって、筆者らは降圧薬による降圧療法は年齢にかかわらず重要で、ガイドラインに記載されている「年齢別の」血圧目標値は取り除くべきであるとしている。 これまで、高齢者高血圧の降圧目標についてはさまざまな議論、変革があった。高齢者ではすでに何らかの高血圧性臓器障害を有しており、とくに脳血流の自動調節能の障害があるため降圧目標はやや高いところにおいておくべきという考え方や、とくに超高齢者では140/90mmHg未満に下げたほうがよいというエビデンスがなく積極的に下げる根拠がないとされていた。しかし、SPRINT試験の75歳以上におけるサブ解析や最近発表されたSTEP試験の層別解析においても、後期高齢者以上もしくは70~80歳の高い年齢層であっても積極的降圧治療の有用性が示され、その考え方が変化してきた。 本論文のメッセージは、降圧薬治療の効果は、超高齢者や現在降圧薬治療の適応とはならないような低いベースライン血圧であっても有効であるというものである。JSH2019の記載では、「薬物療法の開始基準は、原則として140/90mmHg以上である。ただし、75歳以上で収縮期血圧140~149mmHgや自力での外来通院不能な患者(フレイル、認知症、要介護、エンドオブライフを含む)の降圧薬開始は個別に判断する」としている。本メタ解析では85歳以上の高齢者についてはnが少なくイベント抑制効果は有意差がなかったが、75~85歳では他の年齢層と同様に有意差が認められた。本メタ解析の対象者数は膨大であり個々の対象者の情報は不明であるが、RCTに参加した患者、すなわち「外来通院可能な患者」と推測され、上記JSH2019の自力での外来通院不能な患者には当てはまらないであろう。したがって、JSH2019の記載内容はおおむね支持されているが、さらに踏み込んでベースラインの血圧レベルにかかわらず降圧療法によりイベント抑制効果が認められたという点が興味深い。極論であるが、たとえばアスピリンやスタチンのように、心血管リスクのある人は血圧レベルにかかわらず降圧薬を服用したほうがよいという時代になっていくのであろうか?

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オフィスの片付け【Dr. 中島の 新・徒然草】(401)

四百一の段 オフィスの片付けこの連載も、前回でついに400回に達したとか。ケアネットの担当者に教えてもらって初めて知りました。「序の段」が2014年1月20日なので、かれこれ8年弱になります。色々な事があった8年間ですが、今後も毎段、新たな気持ちで執筆に取り組みたいと思います。さて、今回は片付けの話です。いわゆる片付け界の巨匠というと『人生がときめく片づけの魔法』著者の近藤 麻理恵さんと、「断捨離」のやました ひでこさんが双璧かと思います。でも彼女たちの語る片付けの多くが、家を対象にしたもの。自分の住む家を、自分の部屋をいかに片付けて綺麗にするか、ということが主たるテーマです。我々の場合、家の片付けも大切ですが、職場の片付けも考えなくてはなりません。そこで、YouTubeで良い知恵が披露されていないかと「オフィス、片付け」というキーワードで調べてみると、あれこれと面白い動画がありました。お片付け研究室チャンネルとか、株式会社山崎文栄堂など、それぞれの人達が職場の整理整頓を語っているので大いに参考になります。これらの動画を見ては、私自身もヤル気を出して頑張っております。最近の私自身の工夫を述べるなら、まずは机の引き出しの整理です。私自身、これまでは机の引き出しを収納場所として使っていました。でも、それはあまり得策ではありません。理想的な環境というのは、机の前の椅子に座ったまま、ほとんど手を伸ばすことなく必要なものを何でも取ることができる、というものです。ここで言う必要なものというのは、ボールペンとか書きかけの書類とか参考にする資料とかのことを指します。私の場合、座って右側の袖引き出しの一番上には、よく使う文房具を入れるようにしています。ボールペンとかホッチキスとかリムーバーとかセロテープとか印鑑とかカッターとかです。逆に言えば、そのくらいのものしか普段は使わないので、ほかのものはまとめてロッカーや本棚に入れています。よく使う文房具だけを引き出しに残すと、結構スカスカになってしまうのですが、そのほうがなんだか気持ち良く使えます。右側の袖引き出しの中段には、ペンディングの書類です。整理したり捨てたりする直前のものですね。このような書類は、受け取った瞬間にすぐ処理できたら一番いいのですが、それができないときに入れておきます。時間ができたときにシュレッダーにかけたり、穴を開けて2穴フォルダーに綴じたり。もし穴を開けることのできない書類があったら、A4の透明なリフィルに入れて綴じることにしています。そして右側の袖引き出しの一番下には、よく使う資料や書類を入れておきます。このときに平積みに入れてしまうと何処に何があるかわからなくなるので、上からみて一目でわかるよう背表紙にタイトルを書き、それが見えるように収納します。書類をクリアファイルに入れた場合は背表紙がないので横にインデックスをつけておき、これまた上から見てすぐにわかるように収納しています。こうやっておくと、座ったままで引き出しを開け、必要なものを10秒以内に取り出すことができて便利です。もちろん、引き出しにはよく使う資料だけを入れておくので、そうでないものは本棚かロッカー行きになります。これらはたまに使う本や資料なので、10秒以内に取り出す必要はなく、その都度、ロッカーや本棚へ取りに行くわけです。また、多くの机では座ったときの自分の膝の上にくるセンター引き出しという横長のものがあるかと思います。これは一時的に離席するときに書類を入れておくためのものだそうです。ということは基本的には空ということですね。私は30センチ物差しなど、長いものを入れています。こうして整理・収納してみると、どの引き出しも結構な余裕ができます。この空間が勿体ないという考え方もあるかもしれませんが、逆に心の余裕になる気がして私は好きです。右側の袖引き出しの一番上に入れるボールペンは、よく書けるものを5~6本厳選しています。どれを選んでも常に書きやすいので、快適そのもの。逆に、書きにくいボールペンは結局使わないままになるので、まとめて外来診察室に寄付しています。極力無駄を排したオフィスや机は、時間の節約になるだけでなく、エネルギーの節約にもなります。要領よく仕事を片付けてなるべく早く帰宅し、よく眠るように心掛けると体調もいいような気がします。まだまだ発展途上の片付け術ですが、皆さんもそれぞれに工夫してみてはいかがでしょうか。片付いたオフィスで1句秋冷えの デスクに向かい 集中す

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患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療ガイドライン2021年版

子どもを得たい…そのとき医療者はどう向き合うか乳患者の妊娠が再発や予後に与える影響、生殖補助医療による妊娠率や出産率への影響、さらには経済的負担やQOLなども加味し、複数のアウトカムの益と害を評価することで、患者の多様な価値観を反映できるよう臨床課題が検証された。妊娠・出産を希望する乳患者と医療者の協働意思決定支援に役立つガイドラインである。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    乳患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療ガイドライン 2021年版定価3,520円(税込)判型B5判頁数228頁・カラー図数:9枚発行2021年10月編集日本がん・生殖医療学会

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第84回 次期診療報酬改定は「躊躇なくマイナス」、コロナ禍で疲弊した現場からは猛反発

財務省は11月8日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、2022年度診療報酬改定について「医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし」として、財務省が求める提供体制再編に沿わなければ診療報酬の引き上げに応じない姿勢を見せた。これに対し、全国保険医団体連合会(保団連)は11月11日、「低医療費政策とコロナ禍で疲弊した医療提供体制全体を立て直すためにも、診療報酬の抜本的引上げが必要だ」と反論した。10回中8回のマイナス改定とコロナ禍で経営悪化また、財務省が「診療報酬本体部分(技術料)はプラス改定が続いてきた」「躊躇なくマイナス改定すべき」と主張していることに対して、保団連は「薬価引き下げ分を技術料に振り替える慣行が崩れている下で、診療報酬全体は大幅なマイナスになっている」と反論。2000年の改定を基準にすると、2020年改定までに8回のマイナス改定が行われ、診療報酬が10%以上引き下げられている苦境を示した。こうした低医療費政策の下、医療機関はぎりぎりの経営を迫られていたところに、新型コロナウイルス感染症が拡大。患者は減る一方、感染防止対策費用などが増加。その結果、2020年度の国民医療費は対前年度比で1.4兆円減となり、多くの医療機関が診療報酬の減収で疲弊している。基本診療料の10%以上の引き上げなどを要望保団連は、2022年度の診療報酬改定では、国民に安全・安心で必要な医療を提供するため、これまでの低医療費政策とコロナで疲弊したすべての医療機関・医療従事者を立て直し、新興感染症に強い医療体制を確立する必要があるとした。同時に、国民や患者の負担も限界にきており、受診抑制を招かないよう患者負担を軽減すべきと主張。2022年度診療報酬改定に向けて、以下の要望を公表した。国民に必要な医療を安定して提供するため、基本診療料(初・再診料、入院基本料など)と算定頻度の高い診療行為を中心に、診療報酬を10%以上引き上げる。新型コロナ感染症への対応に係る診療報酬である医科・歯科・入院の感染症対策実施加算(2021年9月末で廃止)、乳幼児感染予防策加算(2021年10月より評価半減)についての評価を引き上げ、基本診療料に包括して恒久化することを含め、改定に盛り込む。患者窓口負担を軽減する。初診からのオンライン診療解禁は止めること。処方薬剤や処方日数制限などのルールが守られておらず、現時点では対面診療に変わり得るものとは到底言えない。「単一建物診療患者」の概念を廃止し、在医(施設)総管(在宅時医学総合管理料および施設入居時医学総合管理料)の評価を高い点数で一本化すること。在宅医療を担う医療機関が増えない原因の一端に、医療機関が「同じ建物に管理料を算定する患者が多い」という理由で低い診療報酬を算定せざるを得ないという不合理な報酬体系がある。改定周知期間わずか2ヵ月、関連書類3,000枚超の改善をまた、診療報酬の個別改定項目の発出(1月下旬)から新点数の運用(4月1日)まで2ヵ月間しか周知期間がないことも問題視した。この間、A4で3,000枚以上にもなる膨大かつ複雑な点数表や告示・通知、疑義解釈などを把握しなければならないため、医療機関の大きな負担となっている。そのため、6ヵ月以上の周知期間を設けることを求めた。財務省や厚生労働省は、医療費の数合わせや医療機関をコントロールするための“テコ”に診療報酬改定を使うのではなく、現場の実情を踏まえた改定を心掛けてほしい。新型コロナで疲弊しきった医療界に、これ以上鞭打つようなやり方はあまりに酷である。

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双極性障害患者の躁状態に対するCOVID-19パンデミックの影響

 COVID-19パンデミックは、人々の日常生活に支障を来し、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすと考えられる。しかし、双極性障害患者の気分症状への影響およびパンデミック前の症状重症度との関連はよくわかっていない。オランダ・ライデン大学のManja Koenders氏らは、双極性障害患者の症状に対するCOVID-19パンデミックの影響について検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2021年9月23日号の報告。 2020年4月~9月に双極I型障害および双極II型障害と診断された患者を対象に症状やウェルビーイングを評価したBipolar Netherlands Cohort(BINCO)研究を実施した。質問票には、躁症状および抑うつ症状(YMRS、ASRM、QIDS)、心配性(PSWQ)、ストレス(PSS)、孤独、睡眠、COVID-19への恐怖、積極的な対処、物質使用に関する内容を含めた。躁症状、抑うつ症状、ストレスのレベルは、COVID-19パンデミック前に評価し、ロックダウン中の軌跡は混合モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者70例中36例(51%)は、COVID-19評価に1回以上反応が認められた(平均年齢:36.7歳、女性の割合:54%、双極I型障害の割合:31%)。・第1波の間、(軽)躁症状のベースラインからの有意な増加が観察され(χ2:17.60、p=0.004)、その後減少した。・COVID-19への恐怖(χ2:18.01、p=0.003)と積極的な対処(χ2:12.44、p=0.03)は、パンデミックの最初で最も高く、その後減少した。・抑うつ症状やストレスを含む他の尺度は、時間の経過とともに有意な変化は認められなかった。 著者らは「双極性障害患者は、COVID-19パンデミック前から初期段階にかけて躁症状の有意な増加が認められた。これらの症状は、ロックダウンが解除された翌月から、COVID-19への恐怖や積極的な対処とともに減少した」としている。

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抗CGRP抗体中止後の片頭痛の経過

 ドイツ国内および国際的なガイドラインにおいて、抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体による6~12ヵ月の治療で片頭痛の予防を達成した後、薬剤の使用中止が推奨されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBianca Raffaelli氏らは、抗CGRP(受容体)抗体中止4ヵ月後の片頭痛の経過を分析した。Cephalalgia誌オンライン版2021年9月27日号の報告。 抗CGRP(受容体)抗体を8ヵ月以上使用した後に中止した片頭痛患者を対象に、縦断的コホート研究を実施した。治療開始4週間前(ベースライン)、最終治療の前月、最終治療5~8週間後および13~16週間後の頭痛データを分析した。主要エンドポイントは、最終治療の前月から13~16週間後までの1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化とした。副次的エンドポイントは、1ヵ月当たりの片頭痛日数および急性期治療薬使用日数の変化とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は、抗CGRP受容体抗体エレヌマブおよび抗CGRP抗体ガルカネズマブまたはフレマネズマブの使用で均等に割り振られた62例。・最終治療の前月の1ヵ月当たりの片頭痛日数は、8.2±6.6日であった。・1ヵ月当たりの片頭痛日数は、最終治療5~8週間後で10.3±6.8日(p=0.001)、13~16週間後で12.5±6.6日(p<0.001)と徐々に増加していた。・最終治療13~16週間後の1ヵ月当たりの片頭痛日数は、ベースライン時と同程度であった(-0.8±5.4日、p>0.999)。・1ヵ月当たりの片頭痛日数および急性期治療薬使用日数の変化においても、同様の結果が認められた。 著者らは「片頭痛予防における抗CGRP(受容体)抗体の中止は、片頭痛の頻度および急性期治療薬の使用を有意に増加させることが示唆された」としている。

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HER2陽性大腸がんのトラスツズマブ デルクステカン第II相試験最終解析 (DESTINY-CRC01)/ 日本治療学会

 HER2陽性大腸がんに対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の多施設共同第II相試験DESTINY-CRC01の最終解析が第59回日本治療学会学術集会で発表された。中間解析に引き続き、良好な成績が示されている。 転移のある大腸がんのうち、HER2陽性腫瘍は2~3%と少ない。また、標的治療は承認されておらず、薬物治療の主体はいまだに化学療法である。そのような中、T-DXdは中間解析で良好な結果を残していた。・対象:2次治療以上の治療歴を有するHER2陽性切除不能・転移大腸がん患者78例 コホートA(53例):HER2 IHC3+またはIHC2+/ISH+ コホートB(15例):HER2 IHC2+/ISH- コホートC(18例):HER2 IHC1+・介入:T-DXd 6.4mg/kg 3週ごと・評価項目:[主要評価項目]コホートAでの独立中央判定による確定奏効率(confirmed ORR)[副次評価項目]ORR(コホートBとC)、病勢制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性と忍容性 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は、コホートA 62.4週、コホートB 27.0週、コホートCは16.9週であった。・独立中央判定によるconfirmed ORRは、コホートA 45.3% 、コホートBとコホートCはともに0%であった。 ・DCRは、コホートA 83.6%、コホートB 60.0%、コホートCは22.2%であった。・DoRは、コホートA 7.0ヵ月、コホートBとコートCはともに評価不能であった。 ・PFS中央値は、コホートA 6.9ヵ月、コホートB 2.1ヵ月、コホートCは1.4ヵ月であった。・OS中央値は、コホートA 15.5ヵ月、コホートB 7.3ヵ月、コホートCは7.7ヵ月であった。・安全性は従来のT-Dxdの報告と一貫しており、主なものは低Gradeの消化器系の有害事象であった。 ・間質性肺炎/肺臓炎の発現は全Gradeで9.3%、Grade5は3.5%であった。 T-DXd(6.4mg/kg 3週ごと)は、長期追跡においても、HER2陽性大腸がんに対し良好な抗腫瘍活性と持続性を示していた。発表者である近畿大学の川上 尚人氏は、この探索的研究の結果は、HER2陽性の転移を有する大腸がんへのT-DXdの有用性を引き続き支持するものだと述べている。

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5~11歳へのファイザー製ワクチンの安全性と有効性~第II/III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の5~11歳への投与(21日間隔で10μgを2回投与)は、安全で、免疫原性を有し、有効率も約91%と高いことが示された。米国・Duke Human Vaccine InstituteのEmmanuel B. Walter氏らによる、5~11歳を対象とした第I相および進行中の第II/III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年11月9日号で発表された。第I相で投与量を10μgに、第II/III相で有効率を評価 第I相無作為化試験は2021年3月24日~4月14日に米国内4地点でスクリーニングをして包含した5~11歳の48例を対象に行われた。1対1対1の割合で3群に無作為に割り付け、BNT162b2ワクチン10μg、20μg、30μgをそれぞれ投与し、安全性と免疫原性の所見から適切な投与量を決定した。 そのうえで、2021年6月7日~19日に計2,316例の5~11歳児についてスクリーニングを行い第II/III相無作為化試験を開始。対象児を2対1の割合で2群に割り付け第I相試験で同定した投与量のBNT162b2ワクチンまたはプラセボを投与し、有効率などを検証した。 BNT162b2ワクチン2回投与後1ヵ月の免疫応答を、16~25歳を対象に30μgを投与した主研究とイミュノブリッジングし、免疫原性データから有効率を推測した。COVID-19に対するワクチン有効率は、BNT162b2ワクチン2回投与後7日以降について評価した。5~11歳児2,268例を中央値2.3ヵ月追跡 第I相試験の反応原性と免疫原性に基づき、5~11歳への投与量は10μgが選定された。 第II/III相試験では、5~11歳児2,268例が無作為化され、BNT162b2ワクチン(10μg、1,517例)、またはプラセボ(751例)を、21日間隔で投与された。2021年9月6日のカットオフ時点で、追跡期間中央値は2.3ヵ月だった。 他の年齢と同様5~11歳でも、安全性プロファイルは良好で、ワクチン関連の重篤な有害イベントは認められなかった。 ワクチン2回投与から1ヵ月後の、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)中和抗体価の、16~25歳群に対する5~11歳群の幾何平均比は1.04(95%信頼区間[CI]:0.93~1.18)で、事前に規定した免疫原性の成功基準(両側95%CIの下限値:0.67超、推定幾何平均比:0.8以上)を満たした。 2回投与後7日以降のCOVID-19の発症は、BNT162b2群3例、プラセボ群16例が報告された(ワクチン有効率:90.7%、95%CI:67.7~98.3)。

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サクビトリル・バルサルタンvs.ラミプリル、心不全歴のない心筋梗塞患者/NEJM

 左室駆出分画低下や肺うっ血を伴う心筋梗塞の患者において、サクビトリル・バルサルタンはラミプリルと比べ、心血管死・心不全リスクを低下しなかったことが、米国・ハーバード・メディカル・スクールのMarc A Pfeffer氏らが約5,700例を対象に行った、多施設共同無作為化二重盲検試験で示された。症候性心不全の患者において、サクビトリル・バルサルタンはACE阻害薬と比べて入院や心血管死のリスクを低下することが示されている。一方で、急性心筋梗塞の患者を対象とした比較検討は行われていなかった。NEJM誌2021年11月11日号掲載の報告。心不全歴のない心筋梗塞患者を対象にサクビトリル・バルサルタンとラミプリルを比較 研究グループは、心筋梗塞を発症し、左室駆出分画低下や肺うっ血、またはその両方を伴う、心不全歴のない患者を無作為に2群に分け、推奨された治療に加え、一方にはサクビトリル・バルサルタン(サクビトリル97mg+バルサルタン103mg、1日2回)、もう一方にはラミプリル(5mg、1日2回)をそれぞれ投与した。 主要アウトカムは、心血管系の原因による死亡または心不全の発症(外来の症候性心不全または入院に至った心不全)で、いずれか先に発生したほうとした。サクビトリル・バルサルタン群とラミプリル群で主要アウトカムは同等 被験者は計5,661例で、サクビトリル・バルサルタン群に2,830例、ラミプリル群に2,831例が無作為化された。 中央値22ヵ月の追跡期間中の主要アウトカム発生は、サクビトリル・バルサルタン群338例(11.9%)、ラミプリル群373例(13.2%)で有意差は見られなかった(ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.78~1.04、p=0.17)。 心血管系の原因による死亡または心不全による入院の発生も、サクビトリル・バルサルタン群308例(10.9%)、ラミプリル群335例(11.8%)で有意差はなかった(HR:0.91、95%CI:0.78~1.07)。心血管系の原因による死亡のみの比較でも、サクビトリル・バルサルタン群168例(5.9%)、ラミプリル群191例(6.7%)で有意差はなく(0.87、0.71~1.08)、全死因死亡もサクビトリル・バルサルタン群213例(7.5%)、ラミプリル群242例(8.5%)で有意差はなかった(0.88、0.73~1.05)。 有害事象による治療中断は、サクビトリル・バルサルタン群357例(12.6%)、ラミプリル群379例(13.4%)だった。

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