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乳がんリスクの高い9遺伝子、腫瘍サブタイプや悪性度との関連は?/JAMA Oncol

 乳がんとの関連が報告されている9つの生殖細胞系列の遺伝子変異について、それぞれ腫瘍サブタイプや悪性度にどんな特徴があるのか? 多施設共同症例対照研究(BRIDGES研究)の結果を、英国・ケンブリッジ大学のNasim Mavaddat氏らがJAMA Oncology誌オンライン版2022年1月27日号に報告した。 本研究は1991~2016年の間に実施され、遺伝子解析と分析は2016~21年に行われた。ATM、BARD1、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2、RAD51C、RAD51D、およびTP53の9つの遺伝子変異について、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ERBB2の状態および腫瘍の悪性度(組織型、サイズ、TNM病期、リンパ節転移)によって定義された5つの乳がんサブタイプ(HR+ERBB2-低悪性度、HR+ERBB2+、HR+ERBB2-高悪性度、HR-ERBB2+、トリプルネガティブ)との関連が解析された。 主な結果は以下のとおり。・ヨーロッパまたは東アジアの38の研究から、家族歴とは無関係にサンプリングされた18~79歳の女性で構成される4万2,680人の乳がん患者と4万6,387人の対照参加者が含まれた。・面接(対照者)および診断(乳がん症例)時の平均(SD)年齢は、それぞれ55.1(11.9)歳および55.8(10.6)歳だった。・遺伝子変異別のサブタイプの分布にはかなりの不均一性がみられた。・RAD51C(OR:6.19、95%信頼区間[CI]:3.17~12.12)、RAD51D(OR:6.19、95%CI:2.99~12.79)、およびBARD1(OR:10.05、95%CI:5.27~19.19)の変異は、主にトリプルネガティブ乳がんと関連していた。・CHEK2の変異は、トリプルネガティブ乳がんを除くすべてのサブタイプ(OR:2.21~3.17)に関連していた。・ATMの変異は、HR+ERBB2-高悪性度サブタイプとの関連が最も強かった(OR:4.99、95%CI:3.68~6.76)。・BRCA1の変異はすべてのサブタイプのリスク増加と関連していたが、オッズ比は大きく異なり、トリプルネガティブ乳がんで最も高かった(OR:55.32、95%CI:40.51~75.55)。・BRCA2およびPALB2の変異もトリプルネガティブ乳がんと関連していた。・TP53の変異は、HR+ERBB2+およびHR-ERBB2+サブタイプと最も強く関連していた。・病的バリアント保持者で発生する腫瘍は、より高悪性度だった。・ほとんどの遺伝子変異とサブタイプでは、年齢が高くなるごとにオッズ比の低下が観察された。・9つの遺伝子変異は40歳以下の女性におけるトリプルネガティブ乳がんの27.3%に関連していた。

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ブースター接種、9種の組み合わせを評価~第I/II相試験/NEJM

 3種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[Moderna製]、Ad26.COV2.S[Johnson & Johnson-Janssen製]、BNT162b2[Pfizer-BioNTech製])は、最初の連続2回接種(Johnson & Johnson-Janssen製は1回接種)での種類を問わず、12週間以上の間隔をあけた追加接種にどのワクチンを用いても、安全性プロファイルは許容範囲内であり、明らかな免疫原性をもたらすことが、米国・ベイラー医科大学のRobert L. Atmar氏らが実施した「DMID 21-0012試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月26日号に掲載された。9つの組み合わせを評価する米国10施設の非無作為化試験 本研究は、適応的デザインを用いた非盲検非無作為化第I/II相臨床試験であり、米国の10施設が参加し、2021年5月29日~8月13日の期間に参加者の登録が行われた(米国国立アレルギー感染症研究所[NIAID]の助成による)。 対象は、米国食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)の下で、12週以上前に、3種のCOVID-19ワクチンのいずれかの最初の連続接種を受け、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染歴やモノクローナル抗体の投与歴がない健康な成人であった。参加者の登録を迅速化するために、SARS-CoV-2検査は行われなかった。 被験者は、追加接種として、mRNA-1273(100μg)、Ad26.COV2.S(ウイルス粒子5×1010)、BNT162b2(30μg)のいずれかの接種を受けた(最初の連続接種とブースター接種で9つの組み合わせ)。 主要エンドポイントは、追加接種から15日目と29日目の安全性、反応原性、液性免疫原性とされた。 458人が登録され、追加接種として154人がmRNA-1273、150人がAd26.COV2.S、153人はBNT162b2を受けた(初回にAd26.COV2.Sの接種を受けた1人が、追加接種として予定されていたBNT162b2の接種を受けなかった)。9つの接種の組み合わせの平均年齢は48~57歳に、女性の割合は33~63%にそれぞれわたった。安全性プロファイルは最初の連続接種時とほぼ同様 追加接種の反応原性は、最初の連続接種で報告されたものとほぼ同様であった。重篤な有害事象は2件認められたが、いずれもワクチン接種とは関連がないと判定された。とくに注意すべき有害事象として、重度の嘔吐が1人(Ad26.COV2.S接種者)で発現した。 ワクチン接種と関連があると判定された有害事象は、mRNA-1273接種者で24人(16%)、Ad26.COV2.S接種者で18人(12%)、BNT162b2接種者では22人(14%)にみられたが、ほとんどが軽度または中等度であった。ワクチン接種関連の重篤な有害事象は4人で発現した(mRNA-1273接種者の1人で嘔吐、Ad26. COV2.S接種者の1人で嘔吐、同接種者の1人で疲労、同接種者の1人で異常感覚と不眠)。 注射部位の有害事象は頻度が高く、局所痛や圧痛が、mRNA1273接種者で75~86%、Ad26.COV2.S接種者で71~84%、BNT162b2接種者では72~92%に認められた。大部分が軽度で、重度は2人(mRNA-1273接種者とAd.26COV2.S接種者で1人ずつ)のみだった。倦怠感、筋肉痛、頭痛の頻度も高かった。 重度の全身性症状として、倦怠感/疲労が2.0~4.5%、筋肉痛が0~3.3%、頭痛が0.7~3.3%、吐き気が0~2.7%、悪寒が0~3.3%、関節痛が0.6~2.0%、発熱が0.7~2.7%でみられた。ほとんどの有害事象は、追加接種から3日以内に発現し、最初の連続接種のワクチンの種類や年齢層の違いで、発生頻度に明確なパターンはなかった。結合抗体価、中和抗体価、スパイク特異的Th1応答が増強 追加接種から15日までに、結合抗体価の幾何平均は9つの組み合わせで5~55倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(34倍)またはmRNA-1273(55倍)の接種を受けた集団で増加が大きかった。 また、追加接種から15日までに、SARS-CoV-2 D614G変異の擬似ウイルスに対する中和抗体価の幾何平均は、9つの組み合わせで4~73倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(36倍)またはmRNA-1273(73倍)の接種を受けた集団で大きく増加した。最初の連続接種と追加接種に同じワクチンを接種した集団では、中和抗体価の増加が4~20倍であったのに対し、異なるワクチンを接種した集団では6~73倍に増加した。 15日までに、SARS-CoV-2スパイク特異的1型ヘルパーT細胞(Th1)の応答は、最初の連続接種と追加接種ともAd26.COV2.Sを接種した集団を除く、8つの組み合わせで増強した。また、CD8陽性T細胞レベルは、最初の連続接種がAd26.COV2.S接種者でより持続的であり、最初の連続接種としてmRNAワクチンを接種し、追加接種としてAd26.COV2.Sを接種した集団では、スパイク特異的CD8陽性T細胞の大幅な増加が認められた。 著者は、「これらのデータは、COVID-19ワクチンの追加接種では、最初の連続接種と追加接種で同じワクチンを用いても、異なるワクチンを使用しても、症候性SARS-CoV-2感染症に対する感染予防効果が増強することを強く示唆する」としている。

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第88回 「みなし感染者」21都道府県が実施/搬送困難3週連続で過去最高

<先週の動き>1.濃厚接触者の発症など検査なしの「みなし感染者」、21都道府県が実施2.救急車の搬送困難事案、3週連続で過去最高に/総務省3.電子処方箋の運用、来年1月開始を目途/厚労省4.紹介受診重点医療機関、紹介状なしの初診で7,000円以上の負担導入へ5.原因不明の重症新生児41例の病名、ゲノム解析で判明/慶応大6.来年2月で経営終了の東海大学大磯病院、徳洲会が承継1.濃厚接触者の発症など検査なしの「みなし感染者」、21都道府県が実施コロナ感染拡大による医療機関や保健所の業務逼迫を緩和するため、同居家族などの濃厚接触者が発症した場合、抗原検査やPCR検査なしで医師が感染者とみなして保健所に届け出る運用を、東京・大阪をはじめ21都道府県が実施している。このうち、秋田、高知を除く19都道府県は、まん延防止等重点措置の適用地域である。神奈川県では、6~49歳までの重症化リスクの低い人や妊娠していない人を対象に、公費検査や抗原検査キットで陽性が判明した場合は、医療機関の受診を待たずに「自主療養」を選べる制度を1月28日から開始し、4日正午までに3,230人の患者が自主療養している。4日から、全国のCOVID-19重症患者は昨年9月以来1,000人を上回っており、6日は新規陽性者数が10万870人と日曜日としては過去最高を記録。厚生労働省はワクチンの3回目接種などの対策推進を指示している。(参考)早期治療狙う・保健所の負担軽減…検査せず診断、「みなし感染」21都道府県で運用(読売新聞)全国で初 自己申告による「自主療養」3200人余が申請 神奈川(NHK)新型コロナウイルス感染症 国内の発生状況(厚労省)2.救急車の搬送困難事案、3週連続で過去最高に/総務省消防庁は1日、救急搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が、1月30日までの1週間で全国5,303件と過去最高を3週連続で更新したことを明らかにした。同庁によると、このうちコロナ感染が疑われる人は1,833件で、これまで最多だった第5波の1,679件(2021年8月15日までの週)を上回った。地域別で最多は東京消防庁(2,668件)で前週比1%の微増だが、コロナ疑いは22%増の806件だった。大阪市消防局は全体では28%増の527件で、コロナ疑いは43%増の205件。横浜市消防局は全体が4%増の297件、コロナ疑いは26%増の155件だった。(参考)救急搬送困難、3週連続で過去最多 コロナ疑いの困難事案も最多に(朝日新聞)救急搬送困難は5303件 3週連続で最多更新(日経新聞)3.電子処方箋の運用、来年1月開始を目途/厚労省厚労省は、31日に開催した社会保障審議会医療部会で、2023年1月に電子処方箋の運用を開始する方針を明らかにした。電子処方箋は、現在運用しているオンライン資格確認等システムを拡張し、処方箋の運用を電子で実施することで、直近の処方内容の閲覧や複投薬チェックなどの確認が可能となる。なお、利用に当たってはオンライン資格確認を導入している必要があるため、医療情報化支援基金の積み増しを行うなど未導入の医療機関に対して導入を働きかける。(参考)電子処方箋23年1月から、厚労省が関連法制を整備(日経新聞)電子処方箋 概要案内(厚労省)4.紹介受診重点医療機関、紹介状なしの初診で7,000円以上の負担導入へ厚労省は31日に開催した社会保障審議会医療部会で、患者の流れの円滑化を図るため、医療資源を重点的に活用する外来機能を持つ病院について、紹介患者への外来を基本とする医療機関(紹介受診重点医療機関)を明確にすることとし、外来機能報告制度を活用して、病院の外来機能による機能分化を図ることとした。これにより、病院における外来患者の待ち時間短縮や勤務医の外来負担の軽減、医師の働き方改革に寄与することが期待される。紹介受診重点医療機関になった200床以上の病院では、かかりつけ医からの紹介状を持参しない初診患者から7,000円以上の特別負担を徴収する義務が課されることになる(救急患者等の例外あり)。「紹介受診重点医療機関」の指定は、今春の外来機能報告制度によるデータ提出後に検討を行うため、2023年以降となるだろう。(参考)紹介受診重点医療機関や電子処方箋、国民に仕組みやメリットを十分に説明せよ―社保審・医療部会(Gem Med)紹介受診重点医療機関を定額負担の徴収対象に(日経メディカル)資料 紹介受診重点医療機関の検討について 第85回社会保障審議会医療部会(厚労省)5.原因不明の重症新生児41例の病名、ゲノム解析で判明/慶応大原因不明の病気を抱えた重症の新生児85例について、ゲノム(全遺伝情報)の解析を行い、そのうち41例の病名を突き止めたことを慶応大学が発表した。この41例は遺伝性疾患にかかっていることが判明し、約半数の20例で検査や治療方針の変更が行われた。この研究は新生児科医と遺伝学研究者からなる全国17の高度周産期医療センターからなるネットワークにより行われ、研究成果は小児科学分野を代表する国際誌The Journal of Pediatricsに掲載された。(参考)病気の原因がわからない赤ちゃんに対するゲノム解析の有用性を確認-全国で診断に難渋した85名の約半数で原因が判明(慶應義塾大学)原因不明の重症赤ちゃん、ゲノム解析で病名判明 慶大など、治療を改善(日経新聞)6.来年2月で経営終了の東海大学大磯病院、徳洲会が承継東海大学は、このほど神奈川県大磯町にある医学部附属大磯病院の経営を来年2月末で終了すると発表した。その翌月からは、医療法人 徳洲会が事業を継承し、引き続き地域の医療体制を維持するとしている。本病院は昭和59年に東海大学により開設され、21の診療科からなる大学附属病院として運営していたが、高齢化や人口減少のため、この10年で患者数が3割余り減少した。(参考)東海大、大磯病院を移譲 来年3月から徳洲会に事業継承へ(神奈川新聞)東海大学医学部付属大磯病院 来年2月末に事業終了へ(NHK)

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ブレークスルー感染、女性・30歳以上で起こりやすい?

 ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のJing Sun氏らが新型コロナワクチン接種後のブレークスルー感染*の発生率と発生率比(IRR)を特定することを目的とし、後ろ向きコホート研究を実施。その結果、患者の免疫状態に関係なく、完全ワクチン接種がブレークスルー感染のリスク低下と関連していることが示唆された。また、ブレークスルー感染が女性や30歳以上で起こりやすい可能性も明らかになった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年12月28日号掲載の報告。*本研究ではブレークスルー感染を、ワクチン接種の14日目以降に発症した新型コロナウイルス感染症と定義しており、2回目完了後の発症としていない。 本研究は、全米の新型コロナに関する臨床データを一元化しているNational COVID Cohort Collaborative(N3C)1)のデータに基づいて分析した。2020年12月10日~2021年9月16日の期間に新型コロナワクチンを1回以上接種した症例がサンプルに含まれた。また、ワクチン接種、新型コロナの診断、免疫機能障害の診断(HIV感染、多発性硬化症、関節リウマチ、固形臓器移植、骨髄移植)、そのほかの併存疾患、人口統計データを検証するにあたり、N3C Data Enclaveを介した。 この研究ではFDAが認可した3つの新型コロナワクチン(ファイザー製[BNT162b2]、モデルナ製[mRNA-1273]、J&J製[JNJ-784336725])と、そのほかのワクチン(アストラゼネカ製など)接種者が含まれた。また、完全ワクチン接種というのは、mRNAワクチンとそのほかのワクチン接種の場合は2回接種、J&J製の場合は1回接種と定義。部分ワクチン接種というのは、mRNAワクチンやそのほかのワクチンを1回のみ接種と定義付けた。2回接種または1回のみ接種後のリスクは、ポアソン回帰を使用して免疫機能障害の有無にかかわらず評価された。 主な結果は以下のとおり。・N3Cのサンプルには計66万4,722例が含まれていた。・患者の年齢中央値(IQR)は51歳(34~66)で、そのうち女性は37万8,307(56.9%)と半数以上を占めていた。・全体として、新型コロナのブレークスルー感染の発生率は、完全ワクチン接種者で1,000人月あたり5.0だった。しかし、デルタ変異株が主要株になった後は高かった(2021年6月20日以前と以降の1,000人月あたりの発生率は、2.2(95%信頼区間[CI]:2.2~2.2)vs. 7.3(95%CI:7.3~7.4)だった。・部分ワクチン接種者と比較し完全ワクチン接種者では、ブレークスルー感染のリスクが28%減少した(調整済みIRR [AIRR]:0.72、95%CI:0.68~0.76)。・完全ワクチン接種後にブレークスルー感染した人は、高齢者や女性が多かった。また、HIV感染者(AIRR:1.33、95%CI:1.18~1.49)、関節リウマチ(AIRR:1.20、95%CI:1.09~1.32)、および固形臓器移植を受けた者(AIRR:2.16、95%CI:1.96~2.38)では、ブレークスルー感染の発生率が高かった。・具体的には、ブレークスルー感染リスクは18〜29歳と比較して30歳以上で30〜40%増加した。・ブレークスルー感染リスクは併存疾患の数が増えるにつれて増加したが、このリスクは免疫機能障害の状態に関連しており、とりわけそれによってAIRRが弱められた。 免疫機能障害のある人は完全ワクチン接種しても、そのような状態ではない人よりもブレークスルー感染リスクはかなり高かったことを受け、研究者らは「免疫機能障害のある人は、ワクチン接種を完遂してもマスク着用やワクチンの代替となるような戦略(例:追加接種や免疫原性試験)が推奨される」としている。

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COVID-19、ICU退室から1年後の身体・精神・認知症状の割合は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し、集中治療室(ICU)で治療を受けた生存例では、1年後に約74%で身体症状が認められ、また約26%で精神症状が、約16%で認知症状が発現していたことが、オランダ・ラドバウド大学医療センターのHidde Heesakkers氏らが同国のICUで行った調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年1月24日号に掲載された。オランダの11のICUの探索的前向きコホート研究 本研究は、ICUで治療を受けたCOVID-19生存例における1年後の身体、精神、認知症状の発現の評価を目的とする探索的な前向きコホート研究で、ICU生存例(非COVID-19患者を含む)を対象とした多施設共同試験であるMONITOR-IC試験の一環として実施された。 対象は、年齢16歳以上のCOVID-19患者で、オランダにおけるCOVID-19急増の第1波の期間中(2020年3月1日~7月1日)に、同国の11の病院のICUに入室し、生存退院した集団であった。患者は1年間追跡された(最終追跡日は2021年6月16日)。 主要アウトカムは、ICU退室から1年後の自己報告式質問票で評価された身体症状、精神症状、認知症状であった。 身体症状については、フレイル(臨床フレイル尺度[≧5点])、疲労(Checklist Individual Strength下位尺度の疲労[≧27点])、身体機能障害の評価が行われた。精神症状は、不安(病院不安と抑うつ尺度[HADS]:下位尺度の不安[HADS-A]≧8点)、抑うつ(HADS下位尺度の抑うつ[HADS-D]≧8点)、心的外傷後ストレス障害(出来事インパクト尺度の平均値≧1.75点)で、認知症状は、簡易認知的失敗質問票14項目(≧43点)で評価された。30.6%で2領域以上、10.5%で3領域すべての症状 試験期間中にICUで治療を受け、病院を生存退院したCOVID-19患者452例のうち、302例(66.8%)が試験に含まれ、このうち1年後の質問票に回答した246例(81.5%、平均年齢61.2歳[SD 9.3]、男性176例[71.5%]、平均BMI値28.0[SD 4.5]、ICU入室期間中央値18.5日[IQR:11~32])が解析の対象となった。 ICU治療から1年後の時点で、身体症状が74.3%(182/245例)、精神症状が26.2%(64/244例)、認知症状は16.2%(39/241例)で報告された。2領域以上の症状は30.6%、3領域すべての症状は10.5%の患者で認められた。また、ICU入室前に就業していた生存者の57.8%で、仕事関連の問題(就業時間の短縮、病気による欠勤の継続など)が報告された。 身体症状のうち、フレイルが6.1%(15/245例)、疲労が56.1%(138/246例)、1つ以上の身体機能障害(新規、悪化)は67.1%(165/246例)で発現した。最も頻度の高い新規の身体機能障害は体力低下(38.9%[95/244例])で、次いで関節のこわばり(26.3%[64/243例])、関節痛(25.5%[62/243例])、筋力低下(24.8%[60/242例])、筋肉痛(21.3%[52/244例])、呼吸困難(20.8%[51/245例])の順だった。 精神症状では、不安が17.9%(44/246例)、抑うつが18.3%(45/246例)でみられ、心的外傷後ストレス障害は9.8%(24/244例)で発現した。また、認知症状では、認知的失敗質問票のスコア中央値は24.8点(IQR:12.8~37.0)であり、発生率は16.2%(39/241例)であった。 著者は、「他のウイルスの感染爆発(2003年のSARS、2012年のMERSなど)では、ICU生存例の約3分の1で退院後6ヵ月以降に精神健康上の問題が発生しており、これは今回の研究の1年後の発生率(26.2%)よりもわずかに高かった。また、非COVID-19のICU生存例では、1年後に77.0%で身体症状が、35.5%で精神症状が、14%で認知症状が発現したと報告されている。これと比べると、本研究の身体症状(74.3%)、認知症状(16.2%)の発生率は同程度であるが、精神症状(26.2%)の発生率は低かった。一方、職場復帰の問題は、非COVID-19のICU生存例では43%だったのに対し、本研究では58%であった」としている。

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5年間のビタミンD補給により自己免疫疾患のリスク低減/BMJ

 5年間のビタミンD補給により、オメガ3脂肪酸の追加の有無を問わず、自己免疫疾患の発生が22%減少し、オメガ3脂肪酸の補給では、ビタミンD追加の有無にかかわらず、統計学的有意差はないものの同疾患が15%減少することが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のJill Hahn氏らが行った「VITAL試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年1月26日号で報告された。米国のプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、ビタミンDと海産動物由来の長鎖オメガ3脂肪酸は自己免疫疾患のリスクを低減するかを検証する目的で、2×2ファクトリアルデザインを用いた二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 本試験には、2011年11月~2014年3月の期間に全米から2万5,871例(50歳以上の男性1万2,786例と55歳以上の女性1万3,085例)が登録され、2017年12月に5年間の介入が終了した。 参加者は、ビタミンD(コレカルシフェロール2,000 IU/日、1万2,927例)またはプラセボ(1万2,944例)、あるいはオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸460mgとドコサヘキサエン酸380mgを含む魚油カプセル1g/日、1万2,933例)またはプラセボ(1万2,938例)の補給を受ける群に無作為に割り付けられた。 追跡期間中央値は5.3年で、参加者はこの間に発生した新規の自己免疫疾患をすべて報告し、これらの疾患は医療記録の調査で確定された。 主要エンドポイントは、関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、自己免疫性甲状腺疾患、乾癬を含むすべての自己免疫疾患の新規発生とされた。高度疑い例を加えると、オメガ3脂肪酸群でも有意にリスク低下 全体の平均年齢は67.1歳で、71%が非ヒスパニック系白人、20%が黒人で、9%はその他の人種/民族であった。4,555例(18%)が無作為化の前に1つ以上の自己免疫疾患を有していた。 ビタミンD群(ビタミンD+オメガ3脂肪酸とビタミンD単独)で123例、プラセボ群で155例が自己免疫疾患と確定され、ビタミンD群で自己免疫疾患のリスクが22%有意に低下した(補正後ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.61~0.99、p=0.05)。 また、オメガ3脂肪酸群(ビタミンD+オメガ3脂肪酸とオメガ3脂肪酸単独)で130例、プラセボ群で148例が自己免疫疾患と確定され、オメガ3脂肪酸群でリスクが15%低下したが、両群間に有意な差は認められなかった(補正後HR:0.85、95%CI:0.67~1.08、p=0.19)。 自己免疫疾患の確定例に高度疑い例を加えた解析では、自己免疫疾患の発生はビタミンD群で210例、プラセボ群で247例(補正後HR:0.85、95%CI:0.70~1.02、p=0.09)と有意差はなかったのに対し、オメガ3脂肪酸群は208例と、プラセボ群の249例(0.82、0.68~0.99、p=0.04)に比べリスクが有意に低下した。 参照群(ビタミンDのプラセボ+オメガ3脂肪酸のプラセボ)の自己免疫疾患確定88例と比較して、ビタミンD+オメガ3脂肪酸群では63例(補正後HR:0.69、95%CI:0.49~0.96、p=0.03)、ビタミンD単独群では60例(0.68、0.48~0.94、p=0.02)と、いずれもリスクが有意に低下したが、オメガ3脂肪酸単独群では67例(0.74、0.54~1.03、p=0.07)であり、わずかに有意差には達しなかった。 著者は、「ビタミンDとオメガ3脂肪酸は栄養補助食品として忍容性が高く、毒性もなく、ほかに自己免疫疾患の発生を抑制する効果的な治療法はないため、本試験の臨床的重要性は高いと考えられる」としている。

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皮膚科患者の睡眠障害

 睡眠不足や睡眠の質の低下は、さまざまな健康への悪影響を引き起こす可能性がある。睡眠障害といくつかの皮膚状態との関連が研究されているが、包括的な皮膚科患者の集団におけるデータは十分ではない。スイス・バーゼル大学のRianna Tamschick氏らは、皮膚科患者の睡眠障害の有病率、原因、影響について検討を行った。Clinics in Dermatology誌2021年11~12月号の報告。皮膚科患者の睡眠改善に対する最も一般的な方法は睡眠薬の使用 単一施設による横断的研究を実施した。皮膚科患者を対象に、皮膚関連および非皮膚関連の健康、睡眠行動、睡眠障害の原因や影響に関する質問票への回答を求めた。 皮膚科患者の睡眠障害の有病率、原因、影響について検討を行った主な結果は以下のとおり。・634例中、Regensburg Insomnia Scaleで不眠症と診断された患者は177例(27.92%)であった。・177例中、主観的な睡眠障害が認められた患者は115例(64.97%)であり、その内訳は以下のとおりであった。 ●皮膚関連の原因:64例(55.65%) ●非皮膚関連の原因:38例(33.04%) ●皮膚関連と非皮膚関連の併発:13例(11.30%)・皮膚関連の原因が認められた77例の原因別患者数の内訳は、以下のとおりであった。 ●かゆみ:50例(64.49%) ●皮膚関連の疼痛:43例(55.84%) ●皮膚関連の恐怖感:42例(54.55%)・睡眠障害により、115例中79例(68.70%)は日中のパフォーマンスが低下しており、24例(20.87%)は相対的に睡眠の質が低下していた。・異なる診断カテゴリにおける不眠症の有病率の範囲は、20.31~50.00%であった。・睡眠改善に対する最も一般的な方法は、睡眠薬の使用であった(115例中66例、57.39%)。 著者らは「皮膚疾患患者では、睡眠障害が一般的に認められており、日中のパフォーマンスの低下や相対的な睡眠障害、薬物療法の増加につながる可能性が高いと考えられる」としている。

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存在しない共著者の正体は?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第203回

存在しない共著者の正体は?いらすとやより使用なんか幽霊みたいなタイトルですね。でも大丈夫、ホラーな話ではないですから。Hetherington JH and Willard FDC.Two-, Three-, and Four-Atom Exchange Effects in bcc 3HePhys Rev Lett. 1975; 35: 1442.ぶっちゃけ今日紹介する論文の内容はわかりません。低温物理学分野の論文なので……。「おどろき医学論文」というタイトルなのに、物理学の論文を紹介するなんて邪道かもしれませんが、お許しを!――今日紹介するのは、論文の内容ではなく、著者です。重要なのは筆頭著者であるJ. H. Hetherington氏ではなく、2人目の著者、F. D. C. Willard氏です。もともとこの論文、単独著者の論文だったのですが、文中で1人称に「We」が用いられていたため、論文はリジェクトされるのではないかと周囲から指摘を受けました。編集部に問い合わせると、『確かに規定では「I」にしてもらわないといけない』という回答があったそうです。論文の「We」を「I」に変えれば済む話なのですが、当時は手打ちのタイプライターであったことから、最初からすべて打ち直すのに時間を費やすのは厳しいと考えました。そのため、架空の物理学者を作り出すことにしたのです。しかし、架空の物理学者Willardって誰なのという話です。周囲の人も、それが誰なのかわかりません。そりゃそうです、存在しない物理学者なのですから。論文が発表されてから3年後、低温物理学会の国際会議で、この共著者の正体が明かされました。実は、これは彼の飼いネコだったのです(図)。ネコを物理学者にしてしまおうと思ったHetherington氏の行動力に脱帽です。図. 共著者のサイン(wikipediaより)動機の是非はともかく、物理学者の間では微笑ましい話として語り継がれています。Willardは、物理学論文の共著者となった世界初のネコというわけですね。この物理学雑誌はレベルが高い雑誌ということもあって、1975年発表の本研究も、これまでに95回引用されています。つまりこのWillardは、一流雑誌の著者であり、多数の引用を受けている天才ネコというわけです。以下が、Google scholarの著者ページにある、Willardの紹介です。「物理学の専門家」になっていますね。

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第94回 コロナ禍3年目、人類の敵はコロナじゃなかった…

実はこの1週間で2度も「ええーーー!!!!」と思う経験をした。私の場合、昼食は自分の個人事務所の近傍にある飲食店を利用している。「この時期に?」と思われるかもしれないが、常にほぼ年中無休の一人仕事であるため、そのくらいしか気分転換はない。もっとも完全な黙食で、オーダーした料理が届くまではマスクをし、食べ終わったらマスクを装着してさっさと事務所に戻っている。本音を言うと、4人掛けテーブル席のような隣席との距離が保てるところに座りたいのだが、一人客だとカウンター席に案内されることが多い。最近では飲食店のカウンター席も隣のスペースとはアクリル板で仕切られていることがほとんどだが、言い訳程度の仕切りも少なくないので本音ではやや不安だ。先日の日曜日、近所のカフェに入った時は運よくテーブル席に座ることができた。もっともカウンター席からほど近いテーブル席。カウンター内にいる従業員とカウンター席に座る客との会話は丸聞こえだ。まあ、通常はそんなのも聞き流しているのだが、女性従業員が客に語っていたある一言が耳に入り、フリーズしてしまった。「まあ、私はさ、しっかり予防しているから。毎週イベルメクチン飲んで」医療従事者の多くがご存じのとおり、今回の新型コロナが流行した当初、治療薬がほとんどなかった際にドラッグ・リポジショニングとして注目された物の一つが駆虫薬のイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)だ。これは北里大学特別栄誉教授の大村 智氏が発見した放線菌が生産する物質の化学誘導体で、大村氏はこの研究で2015年のノーベル医学生理学賞を受賞している。新型コロナに関しては北里大学による医師主導の臨床試験と国内製薬企業の興和による臨床試験が実施され、前者はすでに試験を終了してデータの解析中である。イベルメクチンに関しては発展途上国を中心に新型コロナに関する研究報告は数多い。しかし、その中身はかなり小規模の観察研究がほとんど。しかも、投与方法や併用薬も統一したものではなく、有効と断言できるエビデンスは、はっきり言って乏しい。しかし、SNS上では、一部の人がこの薬を「新型コロナの特効薬」と持ち上げ、同時に既存の新型コロナワクチンや治療薬に関する重箱の隅を突いたかのようなネガティブ情報の発信を行っている。表現は悪いがもはや「イベルメクチン真理教」である。手に負えないのは、こうした「信者」の考えに一部の研究者や政治家までも賛同を示していることだ。彼らのイベルメクチン支持には、「日本発の薬」だからというある意味ナショナリズム的な思考も見え隠れする。昨年、私はイベルメクチンについてSNS上でネガティブな言及をした際には、ほぼ丸2日も「信者」たちに絡まれるプチ炎上を経験したほどだ。一部の「信者」がわざわざ個人輸入までしてイベルメクチンの予防内服をしているとの投稿もSNS上では時々目にしていたが、私は人口1億人超の日本でのノイジー・マイノリティぐらいにしか思っていなかった。そのためリアルで当事者に遭遇してやや驚いたのだ。それでもノイジー・マイノリティにたまたま遭遇したのだろうと思って納得していた。この翌日、別の飲食店のカウンター席で昼食を取っていた最中、一つ離れた席に座っていた男性客と従業員の会話を聞いて再び驚いた。従業員「しかし、本当に感染の勢い止まらないですよね」男性客「自分は外回りで人に会うからさ、やれる対策は何でもやろうと思ってね。先月中旬から2週間に1回、イベルメクチンという薬を飲み始めたんですよ」私がたまたまノイジー・マイノリティに連日遭遇しただけという可能性は十分にある。とはいえ、気になったのは最初に遭遇した飲食店の女性従業員も、客との会話で今年に入ってから服用し始めたと話していたことだ。つまり私が遭遇した2人とも、オミクロン株による感染拡大に自身で対処しようと思い、ネットサーフィンで得た情報からイベルメクチンの服用に至ったということなのだろう。そうでもない限り、素人が新型コロナに対してイベルメクチン服用を思い立つことはほぼあり得ない。ちなみに『信者』らはイベルメクチンに関して“安全性の高さ”をやたらと強調するが、医療従事者の多くが知っているように、既存のイベルメクチンの安全性データの多くが、腸管糞線虫症への2回服用、あるいは疥癬への単回服用のデータであって、慢性的に服用する際の安全性は明らかではない。玉石混交の情報から「自分が見たい」あるいは「自分にとって耳触りの良い」情報のみを抽出できるネットの罪の部分が顕在化している一例といえばそれまでだ。しかし、前述のようにイベルメクチン問題では、この薬に好意的な一部の研究者、政治家がさらに「権威付け」してしまっているという最悪の構図も存在する。人の上に立つ、あるいは人前に出がちな人の科学リテラシーの程度次第で社会に計り知れない影響を与える可能性を街角で思い知らされた週となった。これがコロナ禍3年目の市中の様子の一端である。改めて肝に銘じておこうと思う。

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米国におけるNGS検査の実施割合と施設間格差(視聴者からの質問)【侍オンコロジスト奮闘記】第128回

第128回:米国におけるNGS検査の実施割合と施設間格差(視聴者からの質問)参考Robert NJ,et al.Biomarker tissue journey among patients (pts) with untreated metastatic non-small cell lung cancer (mNSCLC) in the U.S. Oncology Network community practices. J Clin Oncol.2021;39,supplFuerst ML, Less Than Half of NSCLC Patients Received Comprehensive Biomarker Testing in a Real-World Study. Cancer Terpy Advisor.Conference Coverage ≫ ASCO 2021 ≫ ASCO 2021 Lung Cancer In-depth

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医療マンガ大賞2021 言葉にしないと伝わらないこと(言語聴覚士視点)フクラアカリガエル氏

医療マンガ大賞2021 言葉にしないと伝わらないこと(言語聴覚士視点)フクラアカリガエル氏ケアネット部門受賞者・フクラアカリガエル氏からのコメント今回、このような賞をいただき大変光栄に思っています。コミカルで温かみのある素敵な原案エピソードを、この漫画で少しでも表現できていたらうれしいです。今回の漫画を描くことで、言語聴覚士(ST)の方の仕事を深く知るきっかけとなりました。STは思っていたよりもずっと私達の身近にある職業で、この漫画を通してSTさんの仕事も少しでも知っていただけたら幸いです。原作エピソード『医療に関する言葉にしないと伝わらないこと(言語聴覚士視点)』はこちら

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統合失調症の再発までの期間と再発歴との関係

 統合失調症は、再発を繰り返すことが多い疾患であり、このことはしばしば患者にとって悪影響を及ぼす。過去の統合失調症の再発歴は、今後の再発を予測する強力な因子であるといわれているが、この関連性は十分に定量化されているわけではない。デンマーク・ルンドベック社のKristian Tore Jorgensen氏らは、統合失調症の再発までの期間と患者の再発歴との関連を定量化するため、スウェーデンの実臨床データを用いて検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年12月21日号の報告。統合失調症で再発を経験した患者の半数は1.23年以内に2回目の再発  スウェーデン国立患者レジストリと処方薬レジストリのデータを用いて、2006~15年に初めて登録された統合失調症患者の再発について、再発のプロキシ定義を用いて検討した。主要なプロキシは、7日以上の精神科入院を再発と定義した。その後、各再発リスクについてハザード比(HR)を算出し、Aalen-Johansen推定量を用いて、次の再発までの期間を推定した。 統合失調症の再発までの期間と患者の再発歴との関連を定量化した主な結果は以下のとおり。・対象の統合失調症患者数2,994例、統合失調症の再発エピソード5,820件のデータを分析した。・過去の統合失調症の再発回数が多いと、次回再発までの期間が短くなる傾向が認められた。・再発歴のない統合失調症患者の半数は、フォローアップから1.52年以内に最初の再発エピソードに遭遇すると推定された。・1回目の再発を経験した統合失調症患者の半数は、1.23年以内に2回目の再発を経験すると推定された。・次の再発までの期間は、2回の再発経験を有する統合失調症患者では0.89年に減少し、10回の再発経験を有する患者では0.22年に減少した。・研究母集団の異なる包括除外基準と再定義された再発プロキシを用いた補足分析では、次の統合失調症の再発までの期間の短縮に関連する過去の再発歴の回数の多さは、一時分析で観察された結果を反映していた。 著者らは「再発は、統合失調症の疾患進行を加速させる傾向を示し、再発回数が多くなると、より短い期間で再発することが明らかとなった。このことから、統合失調症患者の個々のニーズをよく理解し、早期に効果的かつ忍容性の高い治療を提供することが重要であると考えられる」としている。

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抗CGRP抗体中止後の頭痛や健康関連QOLに対する影響

 抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体による片頭痛治療は、患者の健康関連QOLに良い影響を及ぼす。ドイツの治療ガイドラインでは、抗CGRP抗体による治療に奏効後、6~12ヵ月間で治療を中止することが推奨されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のMaria Terhart氏らは、抗CGRP抗体治療中止後3ヵ月間における頭痛特有の一般的な健康関連QOLを評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年12月31日号の報告。 8~12ヵ月間の抗CGRP抗体治療後、予定された治療中止をこれから行う片頭痛患者を対象としたプロスペクティブ縦断的コホート研究を実施した。健康関連QOLの評価は、最後の抗CGRP抗体治療実施時(V1)、8週間後(V2)、16週間後(V3)に行った。頭痛特有の健康関連QOLの評価には、頭痛インパクトテスト(Headache Impact Test-6:HIT-6)を用いた。一般的な健康関連QOLの評価には、EuroQol-5-Dimension-5-Level(ED-5D-5L)およびPCS-12、MCS-12で構成されたSF-12を用いて評価した。3つの評価時点でのアンケート合計スコアの比較には、ノンパラメトリック手法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は61例(抗CGRP受容体抗体[エレヌマブ]:29例、抗CGRP抗体[ガルカネズマブまたはフレマネズマブ]:32例)。・HIT-6合計スコアは、V1で59.69±6.90であったが、V3で3.69±6.21増加しており(p<0.001)、患者の生活に対する頭痛の影響が大きいことが示唆された。・平均ED-5D-5L合計スコアは、V1の0.85±0.17からV3の-0.07±0.18へ減少していた(p=0.013)。・SF-12の精神的(MCS-12)および物理的(PCS-12)コンポーネントスコアは、治療中止中に有意な悪化が認められた。V1からV3への変化は、MCS-12スコアで-2.73±9.04減少(p=0.003)、PCS-12スコアで-4.04±7.90減少(p=0.013)であった。・すべての質問票のスコアに変化が認められたが、MCS-12ではV2ですでに有意な差が認められた。 著者らは「抗CGRP抗体治療中止により、片頭痛患者の頭痛への影響と健康関連QOLの有意な低下が認められた。これらの悪化は、各質問票における最低限の臨床的な影響を上回っており、臨床的な影響が表れていると見なすことができる。抗CGRP抗体の治療中止を行った際には、健康関連QOLをモニタリングすることで、予防治療の再開を決断しやすくなる可能性がある」としている。

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HIMALAYA試験でデュルバルマブ+tremelimumabの肝がん1次治療が有望な成績/AZ

 アストラゼネカは、2022年1月26日、第III相HIMALAYA試験の結果から、切除不能な肝細胞がん(HCC)のうち、全身療法による前治療歴がなく、局所療法の適応とならない患者の1次治療として、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)に免疫反応を誘導(プライミング)するtremelimumab単回投与を追加した併用療法が、ソラフェニブと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示したことを発表した。HIMALAYA試験においてSTRIDEレジメンが死亡リスクを22%低下 このイミフィンジと抗CTLA4抗体であるtremelimumabの新たな用量および投与スケジュールは、STRIDEレジメン(Single Tremelimumab Regular Interval Durvalumab)と呼ばれる。HIMALAYA試験の結果は、2022年1月21日のASCO-GIで発表された。 肝がんは、世界中で6番目に多く診断されているがんであり、米国、欧州、日本では毎年約80,000人、中国では26万人が進行性の切除不能なHCCに罹患している。 HIMALAYA試験において、STRIDEレジメンはソラフェニブと比較して、死亡リスクを22%低下させた(ハザード比[HR]:0.78、96.02%信頼区間[CI]:0.65〜0.93、p=0.0035)。OS中央値はSTRIDEレジメン群16.4ヵ月に対し、ソラフェニブ群13.8ヵ月、客観的奏効率(ORR)はSTRIDEレジメン20.1%に対しソラフェニブ群5.1%、奏効期間中央値はSTRIDEレジメン群 22.3ヵ月に対し、ソラフェニブ群18.4ヵ月であった。 デュルバルマブにtremelimumabを追加しても重度の肝毒性発現は増加せず、出血リスクも認められなかった。HIMALAYA試験ではイミフィンジ単剤療法も検証され、OS中央値は16.6ヵ月対13.8ヵ月で、ソラフェニブ群に対するOSの非劣性(HR:0.86、95.67%CI:0.73~1.03)、およびソラフェニブ群に対する忍容性プロファイルの改善が示された。

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mRNAワクチンの心筋炎リスク、年齢・男女別に2億人を解析/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種後の心筋炎リスクは、男女とも複数の年齢層で上昇し、とくに12~24歳の男性で2回目接種後に高かった。米国疾病予防管理センター(CDC)のMatthew E. Oster氏らが、米国の受動的なワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)を基にした解析結果を報告した。著者は、「心筋炎のリスクは、COVID-19ワクチン接種のメリットに照らして検討する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年1月25日号掲載の報告。米国VAERSへの心筋炎の報告を検証 研究グループは、2020年12月14日~2021年8月31日に、mRNAワクチン(BNT162b2[Pfizer/BioNTech製]またはmRNA-1273[Moderna製])を接種した米国の12歳以上の1億9,240万5,448例を対象に、接種後に発生した心筋炎のVAERSへの報告について解析した(データカットオフ日2021年9月30日)。 主要評価項目は心筋炎、副次評価項目は心膜炎の発生。VAERSへの心筋炎の報告は、CDCの医師および公衆衛生の専門家が検討し、CDCの心筋炎(疑いまたは確定)の定義を満たしているかを確認し、すべての年齢層についてまとめた。 年齢別および男女別に、粗報告率を算出するとともに、心筋炎の予測率を2017~19年の医療費請求データを用いて算出した。また、30歳未満で心筋炎の疑いあるいは確定した症例については、医学的評価および臨床医のインタビューを行い、可能な限り臨床経過(発症前の症状、確定診断検査の結果、治療、早期転帰など)をまとめた。2回目接種後の16~17歳・男性で心筋炎報告率が最も高く約1万人に1人 調査期間中、mRNAワクチンの接種は1億9,240万5,448例において計3億5,410万845回行われた。VAERSへの心筋炎の報告は1,991例で、このうちCDCの定義を満たした心筋炎患者1,626例が解析対象となった。心筋炎患者の年齢中央値は21歳(IQR:16~31)、症状発現までの期間中央値は2日(IQR:1~3)で、1,334例(82%)が男性であった。 mRNAワクチン接種後7日以内の心筋炎の報告は、BNT162b2ワクチン接種者が947例、mRNA-1273ワクチン接種者が382例であった。接種後7日以内の心筋炎粗報告率は、ワクチンの種類、性別、年齢層、1回目または2回目接種で異なっていたが、男女とも複数の年齢層で予測率を越えた。 ワクチン接種100万回当たりの心筋炎報告率は、12~15歳男性(BNT162b2ワクチン70.7)、16~17歳男性(BNT162b2ワクチン105.9)、18~24歳男性(BNT162b2ワクチン52.4、mRNA-1273ワクチン56.3)において2回目接種後に高かった。 詳細な臨床情報が得られた30歳未満の心筋炎患者は826例で、そのうちトロポニン値上昇が98%(792/809例)、心電図異常が72%(569/794例)、MRI所見異常が72%(223/312例)に認められた。96%(784/813例)が入院し、このうち87%(577/661例)は退院までに症状が消失した。最も多かった治療は、非ステロイド性抗炎症薬が87%(589/676例)であった。 なお、著者は研究の限界として、VAERSは受動的な報告システムであるため、心筋炎の報告が不完全で情報の質が多様であり、過少報告または過剰報告の両方があり得ること、ワクチン接種のデータはCDCへ報告された者に限られているため不完全であった可能性があることなどを挙げている。

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身体活動モニターで身体活動量は増える?/BMJ

 身体活動モニター(PAM)による介入が身体活動に及ぼす効果については、エビデンスの確実性は低く、中~高強度の身体活動および座位時間に対する効果は中程度であったが、介入は安全で、身体活動および中~高強度の身体活動を効果的に増加させるという。デンマーク・コペンハーゲン大学のRasmus Tolstrup Larsen氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。最新のPAMは、身体活動について利用者に直接的なフィードバックを提供し、行動変容を促進させるものとして利用できる可能性があるとされる。2007年のシステマティックレビューでは、PAMが身体活動を増加する可能性が報告されたが、組み込まれた研究が少なく、推定効果量は不正確さに影響されており、2007年以降に発表された研究ではPAMの有効性ついて異なる結論が示されていた。今回の結果について著者は、「身体活動および中~高強度の身体活動に対する有効性は十分確立されているが、出版バイアスに起因して過大評価されている可能性がある」としている。BMJ誌2022年1月26日号掲載の報告。121試験、計1万6,743例についてメタ解析 研究グループは、2021年6月4日にMEDLINE、Embase、SPORTDiscus、CINAHLおよびCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)を検索し、PAMからフィードバックを受ける(介入)群と、フィードバックを受けない(対照)群を比較した無作為化比較試験を特定した。 PAMは、携帯型またはウエアラブル型、電子式または機械式で、加速度計、歩数計またはGPSが内蔵されたものである。試験の選択において、評価項目の種類、出版日、言語は制限しなかった。 評価者2人がそれぞれデータを抽出し、バイアスリスクを評価した。ランダム効果メタ解析を用いて結果を統合し、GRADE(Grading of Recommendations Assessment and Evaluation)を用いてエビデンスの確実性を評価した。 主要評価項目は、身体活動(歩数/日、歩行距離/日、エネルギー消費量/日)、中~高強度の身体活動および座位時間の3つとした。 検索により、無作為化比較試験121件(141比較、参加者合計1万6,743例)が解析に組み込まれた。身体活動モニターによる介入は身体活動に好影響 介入は、身体活動に関して効果量中(103試験、標準化平均差[SMD]:0.42[95%信頼区間[CI]:0.28~0.55]、1日の歩数が1,235歩増加)、中~高強度の身体活動に関しては効果量小(63試験、SMD:0.23[0.16~0.30]、1週間の中~高強度の身体活動時間が48.5分延長)、座位時間に関しては重要ではない小さな効果(38試験、SMD:-0.12[-0.25~0.01]、1日の座位時間が9.9分短縮)であった。すべての評価項目で、介入群のほうが良好な結果が得られた。 なお、著者は研究の限界として、すべての評価項目でかなりの異質性が認められたこと、高所得国で実施された試験がほとんどであったこと、女性の参加者の割合が高い試験が多かったことなどを挙げている。

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コロナワクチン、5歳未満への緊急使用をFDA申請へ/ファイザー

 米・ファイザーは2月1日付のプレスリリースで、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの緊急使用許可を、5歳未満の乳幼児にも拡大するよう求める申請手続きを開始したことを発表した。米国では、オミクロン株まん延下で小児COVID-19症例と入院が急増し、中でも4歳未満の乳幼児の感染例が160万超に上るという。米国では現在5歳以上がワクチン接種の対象だが、FDAが承認すれば、新たに生後6ヵ月~5歳未満への接種が可能になる。 本申請は、生後6ヵ月~5歳未満の小児に対し、3μg(12歳以上を対象としたワクチン30μgの10分の1用量)を2回接種するもの。ファイザーは、現在および潜在的な将来の変異株に対する高いレベルの保護を達成するためには、3回目の追加接種も必要になるとの考えだ。したがって、今回は想定されている3回接種のうち、初回として初めの2回接種について承認を求めているが、3回目の追加接種に関する試験データについても順次FDAに追加提出し、さらに承認の拡大を目指す方針。 翻って日本では、1月21日、ファイザー製の「コミナティ筋注 5~11歳用」の製造・販売が特例承認され、3月以降で接種が始まる見通しが立ったばかりの段階。諸外国では、イスラエルなどが5歳未満への接種を計画しているが、実施に至っている国はなく、世界に先駆けたFDAの判断が注目される。

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