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認知症・老衰の患者さんに、病状経過を説明するなら…【非専門医のための緩和ケアTips】第21回

第21回 認知症・老衰の患者さんに、病状経過を説明するなら…身体機能の変化を時間軸で示す「病みの軌跡」というグラフ、これまでがん患者・臓器障害患者向けをご紹介してきました。今回の質問は、認知症や老衰の方の経過に関連したものです。どのようなポイントを意識して診療するとよいのでしょうか。ここでも「病みの軌跡」が使えます。今日の質問かかりつけの患者さん。認知症が進行し、外来通院が家族の負担となってきたため、今後は訪問診療で関わることになりました。介護負担も大きく、そのうち寝たきりになりそうです。終末期について、本人・ご家族とどう話し合えばよいのでしょうか?高齢化が進む中、認知症患者も増えています。厚生労働省の人口動態統計(2020年)によれば、老衰は主要死因の第3位です。脳血管障害と肺炎を追い抜いて3位になったのは2018年のことでした。こうした背景から、認知症・老衰の臨床像とケアについて、どんな立場の医療者も基本を理解しておきたいところです。認知症・老衰の身体機能の変化を時間軸で示した、「病みの軌跡」は下のようなパターンとなります。この軌跡から読み取れるのは、「身体機能がふらつきながら、緩徐に低下していく」ことです。私は、終末期までの経過予測が一番難しいのがこのパターンだと感じています。悪性疾患の場合には「5年生存率」など統計学的な指標があり、心不全などの臓器障害の場合には心機能などの客観的指標が参考になります。しかし、認知症が進行して老衰となった高齢者には予後予測に役立つ明確な指標がなく、かつ本人が自分の体調の変化を説明できないケースも多くなります。「食事量が減ったなあ」とか「寝ている時間が長くなってきましたね」といったように医療者と家族が様子を見ながら、そろそろお別れが近いかなと思った段階で話し合いを続けるしかありません。そして、それから何年も同じような状態が続くこともあれば、予想外に早いタイミングで亡くなることもあります。この臨床像の高齢者の多くは、身体機能や認知機能の低下とともに、通院が困難になっていきます。今回のご質問のように早めに訪問診療を提案したり、紹介したりすることも大切です。予測の難しい「病みの軌跡」に対し、医療者には何が求められるのでしょうか。一概には言えませんが、まずは「不確実で個別性の高い経過となる」ことを、家族を含めた関係者で共有することが大切です。そして、注意してほしいポイントも共有します。たとえば、「食事量が低下した場合、体力の低下につながるかもしれませんので、教えてください」といった具合です。高齢者の場合、医療者・家族だけでなく、介護職をはじめとしたさまざまな方が関わるケア提供体制をつくることが大切です。立場の異なる方との話し合いに、ぜひ「病みの軌跡」を活用してください。今回のTips今回のTips認知症・老衰の「病みの軌跡」は、経過予測が難しい。その難しさを関係者と共有しつつ、定期的な評価を繰り返すことが重要です。1)Murray SA, et al. BMJ. 2005;330:1007-1011.

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第95回 救急も機能分化を、軽~中等症患者の受け皿になり得る「慢性期多機能病院」とは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)新規感染者数が1日10万人を超えているのに伴い、重症者数や救急搬送件数も増え、医療現場の負荷は段々限界に近付いている。ましてこの時期は、感染症だけでなく脳卒中や心筋梗塞などによる救急搬送も増える時期。コロナ対応シフトのしわ寄せは通常医療にも及んでいる。このような状況下、日本慢性期医療協会(日慢協)の武久 洋三会長は1月13日の定例記者会見で、重症患者は高度急性期病院で、軽~中等症患者は地域多機能病院でと、症状に応じて受け入れる医療機関を分けることを提案した。慢性期多機能病院の基となる「慢性期救急」の概念は、医療法人社団永生会の安藤 高夫理事長(前自民党衆議院議員、日慢協副会長)が2005年に提唱したもの。在宅や施設で慢性期療養中の患者が、誤嚥性肺炎や尿路感染症、低栄養、脱水、褥瘡、その他の感染症などで急性増悪した場合、慢性期治療病棟で入院治療を行うというもの。ただし、心筋梗塞や脳卒中発作、骨折、急性腹症、悪性新生物などは急性期救急で受け入れるとした。救急搬送された高齢者の9割は軽症・中等症消防庁が2021年に公表した「令和3年版 救急・救助の現状」によると、事故種別の搬送人員のトップは「急病」(65.2%)で、2位の「一般負傷」(16.4%)を大きく引き離している。「急病」の中身を傷病程度別・年齢区分別に見てみると、「高齢者(65歳以上)」では87.2%が軽症(外来診療)・中等症(入院診療)だった。年齢区分別の搬送人員の推移を見ても、平成12年の37.3%から令和2年の62.3%へと高齢者の割合は増加している。成年以下がこの20年間で20%減少する一方、高齢者は25%も増加している。この傾向に関して、武久会長は「高齢者の軽度救急患者が増えたのは、運転免許返納制度が大きく影響している」と話す。内閣府の令和3年版高齢社会白書によると、65歳以上の単独世帯もしくは夫婦のみの世帯は61.1%で、その割合は40年間で倍増。運転免許の返納により、軽症でも救急車を呼ぶようになったと考えられるわけだ。高齢者の軽症患者が救命救急センターに押し寄せたら、重症患者の受け入れに影響を及ぼすことになるのは必至だ。診療報酬は医療機関の救急受け入れの現状を反映せず救急に関する加算に、救急医療管理加算がある。救急搬送された重篤な患者を受け入れ、早期検査や治療の必要性を踏まえた入院基本料加算で、加算1(950点)と加算2(350点)がある。同加算は一般病床しか算定できないが、実際には救急指定を受けている療養病床を中心とした地域多機能病院(急性期多機能病院、慢性期多機能病院)でも地域の救急患者を受け入れている。しかし、療養病床では同加算は算定できない。算定対象患者以外の患者でも、数多くの急変症状の患者が24時間365日間、救急指定病院を受診している。同加算は「入院時に重篤な状態の患者に対してのみ算定できるもの」とされているが、算定対象患者の状態や判断基準にばらつきがあるといったことが問題視されてきた。そこで、2020年度診療報酬改定の際、レセプト摘要欄に該当する状態や、それぞれの入院時の状態に関する指標として、意識レベル(JCS)や血圧など、該当する状態を算定根拠として記載することなどが要件化された。2021年11月に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)の資料から同加算の内訳を見てみると、加算1の場合、10の該当項目のうち、「呼吸不全又は心不全で重篤な状態」と「緊急手術、緊急カテーテル治療・検査又はt-PA療法を必要とする状態」の2項目で全体の約半数を占めていた。加算2の場合、「その他の重篤な状態」が最も多く、60%以上を占めていた。救急患者別の受け入れを提案する武久日慢協会長このような結果から、武久会長は「軽~中等度の緊急処置が必要な高齢患者や、高度な技術を要する手術の必要がない軽症患者は、地域の中で、地域多機能病院で解決できる問題だ」と指摘。救急の二極分化に対処するため、本来の重症緊急救急患者は高度急性期病院に、軽~中等度の緊急処置が必要な高齢患者や、手術が不要な患者は地域多機能病院で受け入れるという方法を提案した。救急医療提供体制別に年間救急搬送件数を見ると、高度救命救急センターや救命救急センターは5,000件以上が最も多かったが、2次救急医療機関は分布がばらついていた(2019年開催の中医協資料より)。救急部門はあるが、いずれにも該当しない医療機関は500件未満が最も多かった。2020年度診療報酬改定で新設された加算に、地域医療体制確保加算がある。地域で救急患者を受け入れている2次救急病院などで医師の長時間労働が懸念されていることを受け、適切な労務管理の実施を前提に、「年間2,000件以上の救急搬送患者の受け入れ」など一定の実績を有する医療機関を評価する加算だ。医療機関のインセンティブになる制度改正をこれに対し武久会長は、「要件を緩和して1,000件以上にすべきではないか」と提案する。似たような救急搬送看護体制加算1の施設基準が年間1,000件以上であること、地域の急性期病院は1日3件程度であることが背景にある。このようにして、病床規模が200床未満の中小病院を中心とした「地域救急」患者の受け入れ病院に対する手厚い評価をすれば、軽~中等症患者を積極的に受け入れるインセンティブになる。オミクロン株の感染拡大に伴い、COVID-19患者が急増しているなか、軽~中等症患者までもが3次救命救急センターに押し寄せたら、本当に緊急処置が必要な患者に対応できない事態が起こり得る。救急の機能分化はそれを防ぐ手立てとなるだろう。

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オミクロン株、ブースター接種後の感染例を分析/Lancet

 世界的な流行を見せている新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株は、mRNAワクチンの3回目接種(ブースター接種)後の感染例も報告されている。感染例の患者背景や臨床像の詳細が、Lancet誌オンライン版2022年1月18日号のCORRESPONDENCEで報告されている。 2021年11月下旬~12月上旬に、SARS-CoV-2ワクチン(少なくとも2回のmRNAワクチンを含む)を3回接種したドイツ人のグループが、南アフリカのケープタウンでオミクロン株によるブレークスルー感染を経験した。このグループは、5人の白人女性と2人の白人男性で構成され、平均年齢は27.7歳(範囲:25~39)、平均肥満度は22.2kg/m2(範囲:17.9~29.4)、関連病歴はなかった。 このうち4人はケープタウンの異なる病院で臨床研修を受けており、その他は休暇中だった。また、これらの人々は2つの無関係なグループに所属し、ケープタウンでCOVID-19に関するルールに則った通常の社会生活を送っていた。2021年11月上旬にケープタウンに到着した際、各人のPCR検査は陰性で、同種(n=5)または異種(n=2)ワクチンによる、ブースターまたは3回目接種の完了記録を提出していた。 6人がBNT162b2(ファイザー製)の2回(完全)接種を受け、うち5人が2021年10月または11月初旬にファイザー製の3回目(ブースター)接種を受けていた。残り1人は2021年10月初旬にモデルナ製の全量接種を受けていたが、これは当時の欧州医薬品庁の半量接種の推奨に則ったものではなかった。 7人目はChAdOx1-S(アストラゼネカ製)の初回接種後、1次免疫完了のためにBNT162b2を接種し、同ワクチンのブースター接種を受けた。モデルナ製のブースター接種例を除き、全接種が勧告に従ったものだった。一部の1次およびブースター接種時期が早かったのは医療関係者であったためで、SARS-CoV-2感染歴を報告した人はいなかった。 西ケープ州でSARS-CoV-2感染が著しく増加していた時期に、7人は2021年11月30日~12月2日に呼吸器症状を発症し、認定の診断機関がSARS-CoV-2感染症の陽性判定を行った。 症状が出てから2~4日後に綿棒と血清を採取した。すべての患者は国内で隔離され、21日間の観察期間中、毎日症状日記を用いて病気の経過を記録した。 病状は、米国国立衛生研究所のCOVID-19治療ガイドラインに従って、軽症(n=4)または中等症(n=3:息切れあり)に分類された。観察期間終了時(21日目)には2名が無症状となった。血中酸素飽和度(SpO2)は例外なく正常範囲(94%以上)を維持し、入院を必要とした患者はいなかった。 7人全員がオミクロン株の感染であった。綿棒溶出液のウイルス量は、4.07~8.22(平均値:6.38)log10コピー/mlであった。抗スパイク抗体のレベルは1万5,000~4万AU/ml以上の範囲であり、血清における平均値は約2万2,000AU/mlであった。 2回目のワクチン接種から21~37週間後にブースターワクチンが接種され、その22~59日後にブレークスルー感染が発生した。これは、2回目のワクチン接種から4週間後に報告されているレベルと同様であり、ブースターワクチンの接種後に期待されるレベルでもあった。 今回の調査結果は比較的若く、その他疾患のない人(n=7)の少数症例に限られているが、オミクロン株が生体内でmRNAワクチンによって誘導される免疫を回避できる、という証拠をさらに追加するものとなった。 ブースター接種は、オミクロン株による症候性感染を十分に防ぐことはできなかったが、病気の経過が軽度~中等度であったことから、重症化を防ぐことができると考えられる。しかし、長期的な後遺症の可能性は除外できない。 これらの結果は、オミクロン株の症候性感染をより確実に予防するためには、最新のワクチンが必要であること、医薬品以外の対策も継続すべきであることを示している。

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日本人双極性障害外来患者における躁病エピソードの予測因子

 双極性障害は、躁症状とうつ症状が繰り返し発現し、心理社会的機能障害を引き起こす精神疾患である。躁状態/軽躁状態エピソードは、人間関係、社会的および経済的活動に影響を及ぼすが、実臨床診断において躁状態/軽躁状態エピソードの予測因子に関するエビデンスは限られている。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、実臨床診断における双極性障害に関するエビデンスを蓄積するため、日本の精神科クリニックにおける双極性障害に関する多施設治療調査(MUSUBI)を実施した。PLOS ONE誌2021年12月31日号の報告。 日本精神神経科診療所協会に受診した双極性障害患者を対象に質問票による調査を依頼し、176の会員クリニックにおけるレトロスペクティブ医療記録調査を実施した。2016年9~10月の併存疾患、精神状態、治療期間、機能の全体的評価(GAF)スコア、薬理学的治療の詳細などのベースライン時患者特性を抽出した。ベースラインから2017年9~10月の1年間にわたり、躁状態/軽躁状態エピソードの有無を調査した。 主な結果は以下のとおり。・調査対象患者数は2,231例で、ベースラインから1年間で躁状態/軽躁状態エピソードが認められた患者は29.1%であった。・二項ロジスティック回帰分析では、躁状態/軽躁状態エピソードは、ベースライン時のGAFスコアの低下、ラピッドサイクラー、人格障害、双極I型障害、躁状態または混合状態を伴う気分状態と関連していることが明らかとなった。・薬物乱用も躁状態エピソードのリスク因子であった。・ベースライン時の抗うつ薬の使用と躁状態/軽躁状態エピソードとの間に有意な関連は認められなかった。 著者らは「日本の双極性障害外来患者の29.1%は、1年間の間に躁状態/軽躁状態エピソードを経験していた。躁状態/軽躁状態エピソードの予測因子として、GAFスコアの低さ、ラピッドサイクラー、人格障害、双極I型障害、薬物乱用、気分状態が挙げられた。なお、抗うつ薬の使用は、予測因子ではない可能性が示唆された」としている。

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第6波での発症から悪化までの日数は/厚労省アドバイザリーボード

 第5波と比較して第6波では、発症から中等症II以上(中等症II、重症、死亡)への移行までの日数(最頻値)が4日短縮され、移行率は低いものの、移行例ではより短期間に悪化が進む可能性が示唆された。2月2日に開催された第70回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、広島県健康福祉局の木下 栄作氏が「広島県新型コロナウイルス感染症J-SPEEDデータからの知見~第6波データ分析(速報)」を報告した。 分析に使われたデータは広島県内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者データで、第5波は2021年7月1日~10月31日公表患者について、第6波は2021年12月22日~2022年1月29日公表患者(デルタ株感染患者を含む)のデータを用いて分析している。広島県では1月上旬から急速な感染拡大がみられ、12月30日~1月4日での県内のスクリーニング検査では、オミクロン株の疑いのある割合が約8割と報告されている。第5波と比べ中等症II以上は顕著に減少、移行までの日数は短縮傾向 年代別に中等症II以上の割合をみると、第5波と比較して第6波ではすべての年代で顕著に減少。第5波で中等症II以上の割合が最も多かった60代以上(22.7%、234/1,031人)について第6波ではその割合が6.1%(225/3,678人)に、40~50代では第5波12.3%(361/2,936人)に対し第6波0.3%(20/5,904人)となっている。 発症(無症状や発症日不明の場合は陽性判明)から中等症II以上への移行までの日数を比較すると、第5波では最頻値が7日だったのに対し、第6波では3日と4日短縮している。中等症II以上に悪化した患者の8割は10日以内に悪化しており、50代以下ではより短く、8割が7日以内に悪化していた。 中等症II以上には高齢・性別・ワクチン接種(2回以上)が有意に関連 多変量解析により中等症II以上と関連するリスク因子をみた結果、第6波の解析対象データ(319例)では65歳以上(オッズ比[OR]:9.4、95%信頼区間[CI]:3.7~23.5、p<0.01)、男性(OR:2.2、95%CI:1.0~4.9、p=0.04)が有意に関連していた。また、ワクチン接種(2回以上)が中等症II以上に対する予防効果と有意に関連(OR:0.3、95%CI:0.1~0.7、p<0.01)していた。 65歳以上、男性、BMI25以上、高血圧・心疾患、糖尿病、認知症・精神疾患という6つのリスク因子についてその保有数と中等症II以上となるリスクの関連についてみると、リスク因子の数が多いほど中等症IIの割合が高く、全体の移行率は第6波で低いものの、その傾向は第5波と第6波で変わらなかった。第6波での60歳以上の重症化率は1.45%、致死率は0.96%(暫定値) そのほか、広島県のデータを使用し、2022年1月1日~1月14日の期間における新型コロナウイルス感染者7,542人を対象に、年齢階級別、ワクチン接種歴別に重症化率および致死率を暫定版として算出した結果も報告された。なお、人工呼吸器の使用、ECMOの使用、ICU等で治療のいずれかの条件に当てはまる患者を重症者と定義し、重症者には、経過中重症に至ったが、死亡とならなかった患者、重症化して死亡した患者、重症化せず死亡した患者が含まれる。また、ワクチン接種歴ありはワクチンを1回以上接種した者、ワクチン接種歴なしは未接種および接種歴不明の者が含まれる(1月26日時点でのステータスに基づき算出しており、重症者数や死亡者数は増加する可能性がある)。 全体として、60歳未満の重症化率は0.04%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は1.45%/致死率は0.96%と算定された。ワクチン接種状況別にみると、ワクチン接種歴あり(1回以上)では、60歳未満の重症化率は0.02%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は0.96%/致死率は0.55%。ワクチン接種歴なしでは、60歳未満の重症化率は0.09%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は5.05%/致死率は4.04%だった。

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塩野義の経口コロナ治療薬、第IIa相試験で良好な結果確認

 2022年2月7日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の第II/III相試験 Phase 2a partの結果速報に関する説明会を開催し、抗ウイルス効果に関してプラセボ群と比較して良好な結果が確認されたことを報告した。 第II/III相試験Phase 2a partでは、12歳以上70歳未満の軽症/中等症および無症候/軽度症状のみのSARS-CoV-2感染者を対象にS-217622の1日1回、5日間の経口投与による有効性および安全性が評価された。intention-to-treat(ITT)集団はS-217622低用量群16例、高用量群14例、プラセボ群17例の計47例であり、各群におけるワクチン接種者は14例(87.5%)、12例(85.7%)、12例(70.6%)であった。 主要評価項目である各時点におけるSARS-CoV-2のウイルス力価のベースラインからの変化量、ならびにウイルスRNA量のベースラインからの変化量について、S-217622低用量群・高用量群ともプラセボ群に対する速やかな減少が確認された。ウイルス力価についてはDay4(3回投与後)にはウイルス力価陽性(≧0.8 Log10[TCID50/mL])患者の割合をプラセボ群に比較して約60~80%減少させたほか、ウイルス力価陰性(<0.8 Log10[TCID50/mL])が最初に確認されるまでの時間(中央値)をプラセボ群の111.1時間(95%信頼区間[CI]:23.2~158.5)に対してS-217622低用量群61.3時間(95%CI:38.0~68.4)、高用量群62.7時間(95%CI:39.2~72.3)と約2日短縮した。 重症化抑制効果については、治験開始後に病態が悪化し、担当医師により入院、あるいは入院に準ずる治療が必要と判断された症例(Ordinal Scale 3以上への増悪)はプラセボ群2/14例(14.3%)に対し、S-217622投与群では認められなかった。 また、安全性についてはS-217622投与群において高比重リポ蛋白(HDL)減少例の発現が多い傾向が認められたが、ほぼ全ての有害事象は軽度なものであった。 今後、軽症/中等症については2月9日よりPhase 3 partに移行予定、無症候/軽度症状のみについてはPhase 2b/3 partを継続する。S-217622については今回得られた試験結果をもとに、引き続き国内における最速の承認を目指すという。

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コロナ感染の抑制、政府・対人信頼度と関連/Lancet

 パンデミックの発生以来、各国の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)死亡率は大きく変動している。それらの変動の要因を検証したところ、パンデミックへの事前対策指標の高低とは関連が認められなかった一方で、政府への信頼度や対人信頼度が高いこと、また政府内の汚職が少ないことが、同感染率の低下と関連していたことを、米国・ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のJoseph L. Dieleman氏らCOVID-19 National Preparedness Collaboratorsが、177の国と地域のデータを基に検証し明らかにした。本検討は、将来のパンデミックへのより効果的な準備と対応のために不可欠な取り組みを明らかにする目的で行われたものだが、著者は、「今回の結果は、主要な修正可能なリスクに関する健康増進は、個々人が公衆衛生ガイダンスに抱く信頼を高めるようなリスクコミュニーケションやコミュニティ戦略へ、より大きな投資をすることで、死亡抑制に結びつくことを示唆するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月1日号掲載の報告。12のパンデミック事前準備指標、7つの医療体制能力指標などとの関連を検証 研究グループは177の国と地域および181の行政区画について、IHMEモデリング・データベースを基に、SARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率を抽出し、累積感染率や感染致死率(IFR)を予測し、環境要因、人口統計学的要因、生物学的要因、経済学的要因について標準化し検証した。 感染率については、季節環境(肺炎のリスク比で測定)、人口密度、1人当たり国内総生産(GDP)、標高100m未満の居住人口割合、その他のβコロナウイルス曝露の代理変数を因子として盛り込んだ。 IFRについては、人口年齢分布、平均BMI値、大気汚染曝露、喫煙率、他のβコロナウイルス曝露の代理変数、人口密度、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・がんの年齢標準化罹患率、1人当たりGDPを因子とした。 これらを、間接年齢標準化および多変量線形モデルを用いて標準化。標準化全国累積感染率とIFRについて線形回帰を用いて、12のパンデミック事前対策指標、7つの医療提供体制能力指標、その他10項目の人口統計学的・社会的・政治的状況との関連を検証した。 さらに、SARS-CoV-2感染率に影響を与える可能性のある重要な要因の経路を調べるため、対人信頼度、政府への信頼度や汚職の状況、人々の移動パターンの変化やCOVID-19ワクチン接種率との関連性についても検証した。デンマークレベルの対人信頼度に改善されれば世界の感染率は40.3%減少 2020年1月1日~2021年9月30日の、SARS-CoV-2累積感染率の変動の主な要因は、標高100m未満の居住人口割合(変動の5.4%[95%不確定区間[UI]:4.0~7.9])、1人当たりGDP(4.2%[1.8~6.6])、季節変化に起因する感染の割合(2.1%[1.7~2.7])だった。国別の累積感染率の変動については、その大部分が説明不能だった。 同期間のCOVID-19のIFRの変動に関する主な要因は、国の年齢構成(変動の46.7%[95%UI:18.4~67.6])、1人当たりGDP(3.1%[0.3~8.6])、国平均BMI(1.1%[0.2~2.6])だった。国別のIFR変動の44.4%(29.2~61.7)は、説明不能だった。 国の医療保障の目安となるパンデミック事前対策指標については、標準化感染率やIFRとの関連は認められなかった。 一方、政府への信頼度や対人信頼度、政府の汚職が少ないことと、低い標準化感染率について、強い統計的に有意な関連が認められた。これらの因子は、COVID-19ワクチンが広く普及する中~高所得国において、高いワクチン接種率とも関連していた。また、汚職が少ないことは移動の減少とも関連していた。  こうしたモデルの関連性に因果関係があると仮定した場合、すべての国の政府への信頼度または対人信頼度が、デンマークのレベル(全体の75パーセンタイルに相当)に達すれば、世界の感染率は、政府への信頼度の改善により12.9%(95%UI:5.7~17.8)、対人信頼度の改善では40.3%(24.3~51.4)、それぞれ減少できると予測された。同様に、すべての国のBMIが全体の25パーセンタイルに該当するよう抑制されれば、世界の標準化IFRは11.1%減少するとも予測された。

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家族性高コレステロール血症、世界的に診断遅れ/Lancet

 ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)患者について、38ヵ国を対象に調べたところ、世界的に診断年齢が高く、とくに非高所得国では、十分な治療がなされず初回の主要心血管有害イベントが20代で発生している現状が示された。オランダ・アムステルダム大学のTycho R. Tromp氏ら、HoFH患者の治療を行う医師らによるHoFH International Clinical Collaborators(HoFH国際臨床共同研究グループ)が明らかにし、Lancet誌オンライン版2022年1月28日号で発表した。38ヵ国、88ヵ所の医療機関で751例の患者を検証 研究グループは、38ヵ国、88ヵ所の医療機関を通じて、臨床または遺伝的にHoFHの診断を受けた751例の患者についてレジストリを作成し、後ろ向きコホート試験を行った。 HoFH患者の臨床・遺伝的特徴と、治療の現状、アウトカムへの影響を検証した。初回主要CV有害イベント発生、高所得国で中央値37.0歳、非高所得国では同24.5歳 被験者751例のうち565例(75%)で、両アレル病原性変異体が報告された。診断年齢中央値は12.0歳(IQR:5.5~27.0)だった。被験者751例のうち、女性は389例(52%)。人種が報告された527例のうち、白人は338例(64%)、アジア人は121例(23%)、黒人または混合人種は68例(13%)だった。 HoFH診断時点の65例(9%)で、すでにアテローム性心血管疾患(ASCVD)または大動脈弁狭窄の主な症状が認められた。 全体で、治療前のLDLコレステロール中央値は14.7mmol/L(IQR:11.6~18.4)だった。詳細な治療内容が得られた患者534例のうち、491例(92%)がスタチンを、342例(64%)がエゼチミブを、243例(39%)がリポ蛋白アフェレーシスをそれぞれ服用していた。 治療中のLDLコレステロール中央値は、非高所得国が9.3mmol/L(IQR:6.7~12.7)に対し、高所得国では3.93mmol/L(2.6~5.8)と低かった。3種以上の脂質低下療法(LLT)の実施率は、非高所得国より高所得国で高く(24% vs.66%)、その結果、ガイドライン推奨LDLコレステロール目標値の達成率も高所得国で高かった(3% vs.21%)。 初回主要心血管有害イベントの発生年齢は、非高所得国では中央値24.5歳(IQR:17.0~34.5)と、高所得国の中央値37.0歳(同:29.0~49.0)より10歳以上若い年齢で発生していた(補正後ハザード比:1.64、95%信頼区間:1.13~2.38)。 これらの結果を踏まえて著者は、「複数のLLTの実施率が高いほどLDLコレステロール値は低く、より良いアウトカムと関連する。治療レジメン、LDLコレステロール値のコントロール、および心血管イベントのない生存については、世界的に重大な格差が存在しており、こうした不平等を減らし、HoFHのすべての患者のアウトカムを改善するためには、世界的な健康政策の批判的な再評価が必要だ」としている。

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近年増加傾向?過灌流症候群(HPS)【知って得する!?医療略語】第5回

第5回 近年増加傾向?過灌流症候群(HPS)頸動脈ステント留置をした患者さんが、頭痛や痙攣を起こすことがあると聞きました。本当ですか?そう、本当なんです。脳動脈バイパス術や頸動脈狭窄治療後に脳血流が増加し、脳血流の過灌流状態を来たし、神経症状を呈することがあります。この病態を過灌流症候群(HPS)と言います。近年は「CHS:Cerebral hyperperfusion syndrome」とも表現されます。もう少し詳細を見ていきましょう。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】HPS【日本語】過灌流症候群【英字】cerebral hyperperfusion syndrome【分野】脳神経【診療科】脳神経外科・脳神経内科【関連】頸動脈内膜剥離術(CEA:endarterectomy)頸動脈ステント留置術(CAS:carotid artery stenting)過灌流症候群(HPS:hyper-perfusion syndrome)過灌流現象(HPP:hyper-perfusion phenomenon)過灌流現象(CHP:cerebral hyper-perfusion phenomenon)実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。脳血管の血行再建術後の過灌流は、「脳組織の需要をはるかに超えた脳血流の急激な増加」と定義され、神経症状を呈する病態は過灌流症候群(HPS:hyperperfusion syndrome)と呼ばれます。これまで1980年代以降、脳動脈バイパス術や頸動脈内膜剥離術(CEA)に伴うHPSが報告され、近年は頸動脈ステント留置(CAS)に伴うHPSが報告されています。過灌流症候群の臨床像は、頭痛、顔面痛や眼球痛、意識障害、痙攣、大脳半球局所症状と多岐に及びます。さらに頭蓋内出血を来たす症例も報告されています。HPSは脳神経領域を専門とする先生方には、周知の内容かもしれません。しかし、近年は頸動脈ステント留置(CAS)の普及に伴う遅発性HPSの報告があり、患者がCAS治療を受けて退院した後にHPSを発症するケースが報告されています。この場合、救急医や当直医がHPS患者の初期対応をする可能性があり、HPSの疾患概念は脳神経領域以外の医師も知っておく必要があります。頸動脈狭窄治療後にそれほど時間が経過していない患者が、神経症状を呈して受診した場合、HPSも鑑別に想起いただければと考えます。なお、近年はHPSがCHS(Cerebral hyperperfusion syndrome)へ表現が変わりつつあるのでご留意ください。1)Omura K, et al. Stroke. 2020;42:84-88.2)Shindo K, et al. Surg Cereb Stroke. 2021;49:111-118.3)Ogasawara A, et al. J Neurosurg. 2008;17:596-600.

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第95回 昨年の医学部入試で男女別合格率が逆転!医師が「An Unsuitable Job for a Woman」でなくなる日は本当に来るか(後編)

岸田首相、「1日あたり100万回のワクチン接種」を指示こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。オミクロン株の感染拡大の勢いが弱まりません。昨年末の時点で、オミクロン株急拡大の予測はできていたのに、3回目接種を前倒しで本格化させなかったツケが回ってきた印象です。岸田 文雄総理大臣は2月7日、後藤 茂之厚生労働大臣ら関係閣僚に対し、2月中のできるだけ早い時期に1日あたり100万回のワクチン接種を達成できるよう取り組みの強化の指示を出しました。やっと、という感じです。ただ、私が住む自治体では、「2回目から8ヵ月以上空けろ」という政府の昨年の指示の“後遺症”のためか、65歳以下のほとんどの人には接種券がまだ届いていないようです。私にも未着です。ということで今週末も外出を極力控え、前回の原稿を書きながらふと思い出した、女探偵映画の名作をDVDで2本ほど観て時間を潰しました。その映画とは、キャスリーン・ターナー主演の『私がウォシャウスキー』(監督:ジェフ・カニュー)と、ジーナ・ローランズ主演の『グロリア』(監督:ジョン・カサヴェテス)。『グロリア』は厳密には探偵映画とは言えませんが、どちらも女性のタフさを描いたハードボイルド映画で、女性に限らず、男性にもお薦めです。「医師の働き方改革」遅々として進まずさて、前回の続きです。前回、2021年度の医学部入試では、全体の男性の合格率(合格者数/受験者数)が13.51%、女性の合格率が13.60%と、医学部の男女別合格率が公表されている2013年度以降、初めて女性の合格率が男性を上回った、と書きました。この数字が示すように、今後、女性医師が今まで以上に数多く誕生する流れとなっていくでしょう。しかし一方で、女性の働き方やキャリアパスの改革を後押しすると期待されている「医師の働き方改革」が遅々として進んでいない状況も明らかとなっています。厚生労働省は1月24日、医師の働き方改革の推進に関する検討会の作業部会に、勤務医に対して行ったアンケートの結果を報告しました。報告では、業務内容に応じた各上限水準の内容や宿日直許可基準の内容については、「全く知らない」という回答が約半数を占めていました。このアンケートは、作業部会の構成員が所属する医療機関の協力を得て、「勤務医自身の働き方に関する考えを把握する」「働き方改革に関する勤務医の現時点の知識・認識度を把握する」「勤務医に向けての効果的な情報発信に関するヒントを得る」ことを目的に実施されたものです。2次救急医療機関以上の10医療機関の勤務医が対象で、調査期間は2021年12月24日~2022年1月13日。有効回答数は1,175、男性72%・女性27%でした。アンケートの概況によれば、医師の働き方改革の制度認知について、2024年度から制度が開始することや労働時間の上限の意味、自己研鑽の考え方については、回答者の半数以上が「よく知っている」「ある程度知っている」と回答した一方で、各上限水準や宿日直許可基準の内容については、「全く知らない」という回答が約半数を占めていました。また、若年層ほど認知度が低い結果でした。2022年度からはB水準、連携B水準、C水準について第三者評価始まる「医師の働き方改革」について、簡単におさらいしておきます。制度の基本的な骨格は、2019年3月に厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が取りまとめた最終報告書に基づいています。それによれば、2024年4月からの「医師の時間外労働規制」の概要は次のようなものです。A水準…時間外労働が年960時間以下B水準(地域医療確保暫定特例水準)…年間時間外労働が960~1,860時間(兼業等により960時間を超える場合は連携B水準、2035年度末には解消予定)C水準(集中的技能向上水準)…研修医等はC-1、高度技能の習得を目指す医師はC-2水準この「医師の時間外労働規制」に則った病院運営ができるよう、各医療機関は労務管理の一層の適正化や、タスクシフト・タスクシェア推進、育児支援などさまざまな改革に着手する、ということになっています。2022年度からはいよいよ、B水準、連携B水準、C水準については第三者評価の取り組みが始まります。具体的には、2022年4月より「医療機関勤務環境評価センター」による第三者評価を受け、労働時間実績や時間短縮取り組み状況が評価された後、地域医療への影響等を踏まえ各都道府県の判断により指定を受けることになります。C-1水準では研修プログラムにおける時間外労働時間の明示が求められ、C-2水準においては高度技能に関する教育研修環境を審査組織にて討議されることになります。しかし、先のアンケート結果のように、勤務医への周知すら十分に進んでおらず、コロナ禍もあって現場の取り組みも想定よりも遅れているのが現状です。「女にこそ向いた職業」に向けてそんな中、2月2日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」では、新専門医資格の取得を目指す専攻医や臨床研修医を対象とするC-1水準については、専攻医等が勤務先病院を選択しやすくするために「病院や研修プログラムが、想定される時間外労働はどの程度か、過去の時間外労働の実際はどの程度であったのか」を明示する、という方針が固まりました。さらに、「専攻医が育児休業等を取得しやすくする環境整備」に向けた議論も開始するとのことです。制度開始までわずか2年となって、やっと詳細な運用にまで目が届き出した感はあります。しかし、一方で日本医師会は2024年度から予定されている医師の時間外労働の上限規制適用に伴う罰則について、「数年程度猶予する」よう求める方針を打ち出しています。2月2日の記者会見で日本医師会の松本 吉郎常任理事は、上限規制適用で宿日直を担う医師の応援が途絶えれば、周産期医療の崩壊につながるとし、調査を基に宿日直許可基準の運用緩和策をまとめ、「上限規制の罰則を数年程度、猶予することを考えていただきたい」と述べたとのことです。「宿日直許可基準の取得」は、医師の「労働時間」と「労働時間以外」を切り分ける重要な機能です。この基準を取得することで、医師の労働時間のカウントを減らすことができるからです。しかし、労働基準監督署によって、許可基準の解釈や運用にバラツキがあることが問題視されており、現在、多くの病院がその対応に苦慮しているようです。許可基準の解釈や運用のバラツキは確かに大きな問題です。しかし、この期に及んで罰則の猶予などの例外ルールをどんどん作っていったら、それこそ本来の形の「医師の働き方改革」がいつになったら本格スタートできるかわかりません。医師が行っている業務のタスクシフトやタスクシェア、あるいはITを活用した業務効率化など、現場でできる工夫はまだまだ多くありそうです。医師を「女には向かない職業」から、「女にこそ向いた職業」にするためにも、「医師の働き方改革」の円滑な推進を期待したいところです。ニック・カサヴェテス監督の2本の医療映画最後に、映画の話を補足しておきます。ジョン・カサヴェテス監督の『グロリア』をご覧になってもし気にいったら、同監督とジーナ・ローランズ(『グロリア』の主演女優)の息子であるニック・カサヴェテスが監督した2本の医療映画、『ジョンQ-最後の決断-』と『私の中のあなた』もぜひ観てみて下さい。『ジョンQ-最後の決断-』は主演のデンゼル・ワシントンが息子の心臓移植のためにERに立て籠もるというストーリーで、米国の医療保険制度を強烈に皮肉った快作です。米国では、加入する医療保険によって治療費をカバーする範囲が全く異なります。昨年9月26日のCNNのニュースは、米国で新型コロナウイルスに感染し、入院した場合の平均的な費用は約7万5,000ドル(当時のレートで約833万円)であり、入院に至らない感染事例で医療保険に入っていない患者が負担する費用は平均2,500ドル、保険に加入していても保険会社や患者自身が支払う総額は平均約1,000ドルである、と報じていました。米国人がコロナに感染しても、気安く医療機関にかからない理由がこの映画を見ると理解できます。一方、『私の中のあなた』は、姉専用ドナーとして生み出された妹が、姉への臓器提供を拒んで両親を訴えるという話で、2人の母親役をキャメロン・ディアスが演じています。こちらは、終末期医療のあり方について深く考えさせられる作品です。ニック・カサヴェテス自身も心臓病の娘を育ててきた経験があるとのことで、それが医療映画を得意とする一因かもしれません。

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カレーライスの消費とうつ病、高血圧、糖尿病との関連

 韓国・順天大学校のHai Duc Nguyen氏らは、カレーライスの消費と心血管疾患(CVD)、2型糖尿病(T2DB)、関節炎、うつ病との関連について調査を行った。Diabetes & Metabolic Syndrome誌オンライン版2021年12月26日号の報告。カレーライスの消費が多かった人は高血圧やうつ病のリスクが有意に低い 18歳以上の1万7,625人を対象に、社会人口統計学的特性、ライフスタイル、病歴、現在使用している薬剤、家族歴、食物消費に関するデータを収集した。カレーライスの消費とCVD、T2DB、関節炎、うつ病との関連を調査するため、多変数調整分析を用いた。 カレーライスの消費と心血管疾患やうつ病との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・ロジスティックモデルでは、カレーライスの消費が多かった人は、少なかった人と比較し、トリグリセリドの上昇(OR:0.89、95%CI:0.82~0.97、p=0.006)、HbA1cの上昇(OR:0.81、95%CI:0.73~0.91、p<0.001)、グルコースの上昇(OR:0.86、95%CI:0.79~0.94、p<0.001)の割合が有意に低かった。・カレーライスの消費が多かった人は、少なかった人と比較し、高血圧(OR:0.88、95%CI:0.78~0.98、p=0.044)、T2DB(OR:0.82、95%CI:0.68~0.98、p<0.001)、うつ病(OR:0.82、95%CI:0.70~0.97、p=0.026)のリスクが有意に低かった。・これらの結果は、カレーライスの消費量を連続変数として扱った場合においても同様であった。 著者らは「通常の食事で、カレーライスを摂取することで得られる健康上のベネフィットとして、非感染性疾患の負担やメンタルヘルスを保護する可能性が示唆された。これらの疾患に対するカレーライスの役割を明らかにするためには、継続的な調査が必要である」としている。

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オミクロン株への感染リスク、ワクチン未接種者は3回接種者の約5倍/CDC

 米国・CDCが新型コロナウイルスデルタ株出現前・出現時・優勢期およびオミクロン株出現時における、ワクチン3回接種(ブースター接種)の効果を調べた結果、3回接種者でデルタ株優勢期に高い感染予防および死亡抑制効果がみられ、オミクロン株出現期においても高い感染予防効果が認められた。とくに50~64歳と65歳以上でブースター接種による影響が大きかった。Amelia G. Johnson氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年1月28日号に報告した。 これまでに、デルタ株の出現とワクチンによる中和抗体の減少で、ワクチンの感染予防効果が低下し、一部の集団ではCOVID-19重症化も確認されている。CDCでは、ワクチンの2回接種および3回接種による効果を評価するため、米国の25の州・地域において、デルタ株出現前(2021年4~5月)、デルタ株出現時(2021年6月)、デルタ株優勢期(2021年7~11月)、オミクロン株出現時(2021年12月)の各時期で、年代(18~49歳、50~64歳、65歳以上)、ワクチン(ファイザー製、モデルナ製、Johnson & Johnson製)ごとに、未接種者、2回接種者(Johnson & Johnson製では1回)、3回接種者(Johnson & Johnson製では2回)における感染率、死亡率、発生率比(IRR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・米国25の州・地域において、2021年4月4日~12月25日に、18歳以上の新型コロナ感染が未接種者で681万2,040人、2回接種者で286万6,517人報告された。12月4日までに、未接種者では9万4,640人、2回接種者で2万2,567人がCOVID-19関連で死亡した。・2回接種者に対する未接種者の週平均感染IRR(未接種者の感染発生率/2回接種者の感染発生率)は、デルタ株出現前の13.9から、デルタ株出現時に8.7、デルタ株優勢期には5.1に減少し、2回接種者の感染予防効果が低下していた。・デルタ株優勢期の終盤(10~11月)において、未接種者の感染リスクは3回接種者の13.9倍、2回接種者の4.0倍だった。また、未接種者のCOVID-19関連死亡リスクは3回接種者の53.2倍、2回接種者の12.7倍だった。・オミクロン株出現時(12月)には、未接種者の感染リスクは3回接種者の4.9倍、2回接種者の2.8倍だった。・感染および死亡に対して3回目接種による影響が最も高かった年代は、50~64歳および65歳以上だった。

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COVID-19の急性呼吸不全、CPAP vs.高流量鼻腔酸素/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による急性低酸素性呼吸不全(AHRF)がみられる患者では、従来の酸素療法と比較して、持続的気道陽圧法(CPAP)は気管挿管や死亡のリスクを有意に低減するが、高流量経鼻酸素療法(HFNO)には有意なリスク低減効果は認められないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが実施した「RECOVERY-RS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年1月24日号で報告された。48の急性期病院の無作為化3群比較試験 研究グループは、COVID-19関連のAHRFで入院した患者において、非侵襲性の呼吸療法による臨床転帰の改善効果の評価を目的に、適応的デザインを用いた非盲検無作為化3群比較試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]の助成を受けた)。 本試験には、英国およびジャージー代官管轄区の48の急性期病院が参加し、2020年4月6日~2021年5月3日の期間に参加者の募集が行われた。 対象は、年齢18歳以上のCOVID-19の確定例または疑い例で、AHRF(吸入酸素濃度[FIO2]0.40以上にもかかわらず、パルスオキシメトリで酸素飽和度[SpO2]94%以下)がみられ、治療の拡大を要する場合は気管挿管が適すると考えられる患者であった。 被験者は、CPAP、HFNO、従来型酸素療法(標準的な酸素マスクまたは低流量鼻カニュラによる酸素吸入)のいずれかを受ける群に無作為に割り付けられた。 主要転帰は、30日以内の気管挿管と死亡の複合とされた。 試験期間中に英国のCOVID-19患者数が減少し、財源に基づく参加者の募集期間(12ヵ月)が終了したため、2021年5月3日、本試験は参加者の募集を早期に中止した。17.1%でクロスオーバー、検出力不足の可能性も 1,278例(平均年齢57.4歳、男性66%、白人65%)が登録され、1,273例(CRAP群380例、HFNO群418例、従来型酸素療法群475例)が解析に含まれた。このうち1,260例(99.0%)で主要転帰のデータが得られた。また、17.1%で群間のクロスオーバーが行われた(CRAP群15.3%、HFNO群11.5%、従来型酸素療法群23.6%)。 30日以内の気管挿管または死亡は、CRAP群では377例中137例(36.3%)で認められ、従来型酸素療法群の356例中158例(44.4%)に比べ発生率が有意に低かった(群間差:-8%、95%信頼区間[CI]:-15~-1、p=0.03)。これに対し、HFNO群では415例中184例(44.3%)が30日以内に気管挿管または死亡となり、従来型酸素療法群(368例中166例[45.1%])との間に有意な差はみられなかった(-1%、-8~6、p=0.83)。 有害事象の発現は、CRAP群が34.2%(380例中130例)と最も高率で、HFNO群は20.6%(418例中86例)、従来型酸素療法群は13.9%(475例中66例)であった。重篤な有害事象は8例(CRAP群7例、従来型酸素療法群1例)で認められ、このうち4例(すべてCRAP群)が試験介入による「可能性が高い」または「可能性がある」と判定された。 著者は、「本試験は、HFNO群と従来型酸素療法群の比較において検出力不足であった可能性がある。今回の知見の解釈では、試験の早期終了と群間のクロスオーバーを考慮する必要がある」と指摘している。

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認定薬剤師研修の電子管理システムがようやくスタート【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第83回

薬剤師研修・認定電子システム「PECS(Pharmacist Education Certificate System)」による研修認定薬剤師の申請がようやく始まりました。PECSとは、研修受講管理や認定申請などすべての手続きを電子化するシステムで、これにより研修受講シールや薬剤師研修手帳は廃止となります。2021年1月にこのシステムが発表されたときは、「シールと手帳が廃止!」と衝撃が走りました。しかし、登録締め切りの7月末になっても何も起こらず、稼働予定の9月になっても何も起こらず…。事務手続きに時間がかかったなどの理由で、結局2022年1月に稼働開始となりました。PECSによる認定申請の変更点は以下のようなものがあります。これから新規申請をする場合は、従来の書面申請ではなく電子的申請のみとなり、支払いもクレジットカードまたはコンビニ払いになるなど、今の時代に合った手続きになります。1つ注意することは、新規申請の日からさかのぼって年間の区切りが設定されることから、新規申請の日が遅れると、単位取得日によっては申請に使用できなくなる単位が出てくる可能性があるということです。新規申請に必要な単位数の取得から3ヵ月が申請期限ですが、なるべくすぐに申請したほうがよいでしょう。一方、すでに認定を受けている方の多くが心配していることは、今までに入手した研修受講シールの扱いと、これから受講する認定講座の対応ではないでしょうか。まず、すでに手元にある受講シールについてですが、認定申請をPECSで行い、入力後に送信されるメールの印刷と研修手帳または受講シール整理表を日本薬剤師研修センター宛てに送付して手続きを行います。これから受講する認定講座がいつからこのシステムに移行するかについては、プロバイダーごとの対応になります。4月から稼働開始と公表しているところもあれば、現時点では何も公表していないところもあります。皆さんが利用するプロバイダーごとに時期が変わりますので、プロバイダーの情報を確認して移行に備えましょう。

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英語で「受診してください」は?【1分★医療英語】第14回

第14回 英語で「受診してください」は?Do I have to come see you before surgery?(手術前に再度受診しますか?)No, you are all set. See you on the day of surgery.(いいえ、大丈夫です。手術日にお会いしましょう)《例文1》医師Unfortunately, we don’t have the result yet.Could you please come see me again?(残念ながらまだ検査結果が出ていないです。再度受診していただけますか?)患者Well, I guess I can.(はい、大丈夫です)《例文2》Please come see me when you don’t feel well.(具合が悪いときは受診してください)《解説》日本語の「受診する」の直訳に当たる言葉は英語にはありませんが、代わりに“see”が使われます。今回の表現である“come see me”は、厳密に言えば“come to see me”もしくは“come and see me”が文法的には正しいです。ただし、口語表現では今回のように2つの動詞を直接つなげて使うことがよくあります。“go get your coffee”や“come talk to me”など、表現のバラエティは豊富です。ちなみに“come to the hospital”といった、直訳した「病院に来てもらう」という表現は、相手に意味は理解してもらえますが一般的ではありません。この表現はどちらかというと、「予定して受診する」というよりは「想定外の病気・けがのために受診する」というニュアンスになります。今回のような動詞2連続の表現はとても口語的なので、機会があればぜひ使ってみてください。あまり文法にとらわれず、英語を楽しむことも大切ですね。講師紹介

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がん患者さんと家族のはてなにこたえるQ&A100…OKワード・NGワードを知ってコミュ力UP!

がん患者さん、家族の質問へのベストアンサーを指南治療法や副作用、生活や食のことまで、がん患者さん、家族から実際に受けた100個の質問に、優しく寄り添ってこたえるアンサーブックです。臨床現場のがん看護ナースは、日々患者さんや家族から多くの質問を受けています。「がんのステージってどういう意味?」「抗がん剤の副作用をなくす方法はないの?」などのがんの基礎知識や治療についてに限らず、「治療期間中、職場にどうやってがんのことを伝えたらいい?」「子どもにどうやってがんのことを伝えたらいい?」など、生活やメンタル面にいたるまで、そのジャンルは多岐にわたります。そんな質問に対して答えや根拠の説明にとどまらず、患者さんや家族への伝え方、対応の仕方を具体的に入れ、がん看護ナースのコミュ力アップを支援します。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    がん患者さんと家族のはてなにこたえるQ&A100…OKワード・NGワードを知ってコミュ力UP!定価4,400円(税込)判型B5判頁数272頁発行2022年2月編集中村 将人(社会医療法人財団 慈愛会 相澤病院 がん集学治療センター化学療法科 統括医長)

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第98回 オミクロン株ワクチンは必要なさそう

サルへの投与試験の結果、Moderna社の目下の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)元祖ワクチンmRNA-1273追加接種はオミクロン(Omicron)株に合わせたワクチンmRNA-1273.529(mRNA-Omicron)追加接種に比肩して同株を含むどの変異株への抗体反応も有意に高めました1)。肺感染予防効果も同等でした。サルの鼻や気管にオミクロン株を投与して肺検体(肺胞洗浄液)を調べたところ培養可能なウイルスはmRNA-1273追加接種群とmRNA-Omicron追加接種群のどちらからも検出されず、かたや対照群では全頭から検出され、抗体などの免疫反応に有意差が無かったのと同様にmRNA-1273はmRNA-Omicronに引けを取らず肺感染を予防しました。それらの結果によると、オミクロン株仕様ワクチンを接種してもModernaの今のワクチンmRNA-1273を上回る免疫反応や感染予防効果はどうやら期待できそうにありません。人に投与する臨床試験での結果が必要ですが、今あるワクチンを作り変えてオミクロン株仕様ワクチンを何が何でも揃える必要はないと研究の代表者Daniel Douek氏は言っています2)。人での検討はすでに始まっており、Moderna社のオミクロン株仕様ワクチンの臨床試験が最初の投与に至ったことが先月26日に発表されています。時を同じくしてPfizerのオミクロン株仕様ワクチンの試験も先月末に始まっており、結果は今年前半には判明する見込みです3)。それらの臨床試験でのオミクロン株仕様ワクチン追加接種はサルでの試験と同様の結果になりそうとコーネル大学のウイルス学者John Moore氏は予想しています3)。オミクロン流行中、ワクチン非接種でのCOVID-19入院率は追加接種済みの23倍実際、現在使われているワクチンの追加接種でオミクロン株感染やその重症化を減らすことができていることが米国の最近の動向で示唆されています4)。米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡で去年2021年11月の最後の週に初めて確認されたオミクロン株感染はその後急激に増え、今年1月8日までの一週間には調べた検体のほぼすべて(99%)を占めるようになりました。同郡での今年1月8日までのその一週間のSARS-CoV-2感染(COVID-19)はワクチン接種未完了(ワクチン接種の記録がないか1回目投与から14日未満)の人に比べて決まりの回数接種済みの人は2分の1、追加接種もした人はさらに低くおよそ4分の1で済んでいました。また、COVID-19入院も同様でワクチン接種未完了の人に比べて決まりの回数接種済みの人はおよそ5分の1、追加接種もした人は実に23分の1で済んでいました。その結果はCOVID-19ワクチンがオミクロン株を含む変異株感染の重症化を防ぐことを先立つ幾つかの試験と同様に示しており、COVID-19ワクチンの一通りの接種と追加接種を促す取り組みがCOVID-19関連の入院や重病を防ぐのに不可欠と著者は言っています。ワクチン非接種でのCOVID-19死亡率は追加接種済みより97倍高い米国政府の感染症対策の顧問Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏をして“COVID-19ワクチン追加接種の大事さは強烈に明らか(really stunningly obvious)”と言わしめたデータが先週2日に大統領官邸で発表されました5,6)。発表されたのは去年2021年12月4日までの1週間の米国25地区のCOVID-19ワクチン非接種、一通り接種済み、追加接種済みの人の死亡率の比較結果です。COVID-19で死亡した人の割合は非接種だと10万人当たり9.7人、一通り接種済みだと10万人当たり0.7人、追加接種済みでもあると10万人当たりほぼ皆無の0.1人であり、非接種の人に比べて一通り接種を済ませた人のCOVID-19死亡率は14分の1、追加接種も済ませた人ではさらに低く非接種の人の実に97分の1で済んでいました。米国のオミクロン株感染は減少に転じており、先月1月末までの1週間の1日当たりのCOVID-19例数平均はその前の週に比べて36%少ないおよそ45万人(44万6,355人)でした6,7)。1日当たりのCOVID-19入院数平均は14%減って1万7,133人となりました。しかし1日当たりのCOVID-19死亡数平均は2,288人へと約4%上昇しており、その死亡を防ぐワクチン追加接種の重要さをファウチ氏が強調するのも無理ありません。参考1)mRNA-1273 or mRNA-Omicron boost in vaccinated macaques elicits comparable B cell expansion, neutralizing antibodies and protection against Omicron. bioRxiv. February 04, 2022 2)Omicron-specific booster may not be needed, U.S. monkey study finds / Reuters3)Study suggests Omicron-specific booster may not provide more protection. STAT4)Danza P, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Feb 4;71:177-181.5)Press Briefing by White House COVID-19 Response Team and Public Health Officials / White House6)White Houseでの発表に使われたスライド(2022年2月2日)7)Boosted Americans 97 times less likely to die of virus than unvaccinated; CDC predicts 75,000 more deaths by Feb. 26: Live COVID-19 updates / USA Today

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ボルチオキセチンの改善効果予測因子~日本での臨床試験データ

 うつ病患者の治療では、抗うつ薬による治療効果が出るまで数週間を要する場合がある。東京医科大学の井上 猛氏らは、治療反応や寛解に対するボルチオキセチンの早期部分寛解の予測値について調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年12月18日号の報告。 20~75歳の日本人再発性うつ病患者(Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコア26以上)を対象としたボルチオキセチン(10mgまたは20mg)の8週間ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験の事後分析を行った。主要アウトカムは、ボルチオキセチン治療8週目における治療反応(ベースラインからMADRS合計スコア50%以上減少)および寛解(MADRSスコア10以下に減少)に対する早期部分寛解(ベースラインから2週目までのMADRSスコア20%以上減少)の予測値とした。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者数は478例、プラセボ群158例中62例、ボルチオキセチン10mg群162例中71例、ボルチオキセチン20mg群158例中66例が早期部分寛解患者であった。・ボルチオキセチン群(10mgまたは20mg)の早期部分寛解患者は、早期に部分寛解がみられなかった患者と比較し、8週目の治療反応率(71.2~73.2% vs.29.7~38.0%)および寛解率(50.7~51.5% vs.17.4~18.7%)が高かった。・ボルチオキセチンによる治療反応および寛解のポジティブ予測値はそれぞれ、約70%と約50%であり、ネガティブ予測値は約70%と約80%であった。 著者らは「うつ病患者に対するボルチオキセチン治療による改善は、MADRSスコアの早期部分寛解により予測される可能性がある。一部の患者では、早期部分寛解が認められなくても長期治療のベネフィットが得られる可能性があり、このことも臨床上の意思決定に役立つ可能性がある」としている。

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COVID-19入院時の患者に糖尿病の診断をする重要性/国立国際医療研究センター

 糖尿病は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクの1つであること、また入院中の血糖コントロールの悪化が予後不良と関連することが知られている。しかし、わが国では入院時点で新たに糖尿病と診断される患者の臨床的な特徴については、明らかになっていなかった。 国立国際医療研究センター病院の内原 正樹氏、坊内 良太郎氏(糖尿病内分泌代謝科)らのグループは、糖尿病を合併したCOVID-19患者の臨床的な特徴を分析し、その結果を発表した。この研究は2021年4月~8月に同院にCOVID-19と診断され入院した糖尿病患者62名を対象に実施された。 その結果、入院時に新たに糖尿病と診断された患者は19名で、糖尿病を合併した患者の約3割で、そのうち60歳未満の男性が12名(63.2%)と高い割合を占めた。また、この19名の患者では、糖尿病の既往や治療歴がある患者に比べて、入院中に重症化する割合が高く、入院初期の血糖コントロールが難しいことがわかった。重症化リスクの糖尿病を事前診療で察知することが重要【研究対象・方法】・2021年4月1日~8月18日までにCOVID-19と診断され、国立国際医療研究センター病院に入院した糖尿病患者62名・患者背景、重症度、血糖値の推移などのデータを集計・分析【研究結果】・62名の糖尿病患者のうち、入院時に新たに糖尿病と診断された患者は19名(30.6%)で、糖尿病の既往がある患者は43名(69.4%)。・新たに糖尿病と診断された患者のうち、60歳未満の男性は12名(63.2%)。・新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の既往がある患者に比べて、入院中に重症化する割合が高い結果だった(52.6% vs. 20.9%、p=0.018)。・新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の既往がある患者に比べて、入院後3日間の血糖値の平均が高く、糖尿病の初期の治療に難渋した。 今回の研究により診療グループは、「COVID-19の流行が続く状況でも、健康診断や人間ドックなどの受診を定期的に行い、糖尿病の早期発見や治療介入に繋げることが重要」と見過ごされていた点を指摘した。また、「『基礎疾患なし』と自己申告する患者の中に、一定数未診断の糖尿病患者が含まれていることが想定され、重症化リスクの高い患者の特定のため、今後はCOVID-19診断の段階で、可能な限り血糖値やHbA1cを評価することが望ましいと考える」と新規入院患者への対応にも言及している。

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