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長生きをしたい人、とりわけ認知症がない状態で長生きをしたい人へ(解説:岡村毅氏)

 老若男女が知りたいことにはっきりと答えてくれる優等生的な論文である。遺伝子は変えようがないが生活習慣は変えられる。どう変えると、認知症がない状態で長生きができるかを調べ、驚きの結果を報告している。 変えうる生活習慣とは、(1)食べ物、(2)知的活動、(3)身体活動、(4)喫煙、(5)飲酒である。単純化して見てみよう。 食べ物は当然マインド食である。MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)食とは、この論文のラストオーサーのラッシュ大学の博士らがシカゴで開発した有名な食事法であるからここでも使われている。野菜や果実や豆腐が推奨される。上位40%が○(丸)となる。 知的活動は読書、美術館、カードゲーム、ボードゲーム、クロスワード、パズル等のことである。こちらも上位40%が○となる。 身体活動はウォーキング、ガーデニング、体操、自転車、水泳である。週150分以上で○となる。1日30分弱でよいのである。 喫煙については、今吸っていなければ○だ。 飲酒は、1日当たり男性は30g以下、女性は15g以下が○だ。缶ビールなら2本あるいは1本である。 男性の場合、65歳の時に○が4個以上つくと、1個以下の人よりも5.7年長生きできる。さらにアルツハイマー型認知症を持っている期間は、○が4個以上だと1.4年、1個以下だと2.1年というわけだ。 女性の場合、65歳の時に○が4個以上つくと、1個以下の人よりも3.1年長生きできる。さらにアルツハイマー型認知症を持っている期間は、○が4個以上だと2.6年、1個以下だと4.1年である。 野菜を食べ、頭を適度に使い、運動を適度にし、酒は控え、タバコは吸わないと、なんと5年前後長生きできるのである。またアルツハイマー型認知症を持たずに1~2年くらい過ごせる。 どうであろうか? 驚いた人はいましたか? まず「そんなこと知ってるよ」「もうやってるよ」という反応が多そうだが、こういう当たり前のことを科学的に検証する論文は、良い論文である。私たちは思い込みや先入観に支配されているのだから、エビデンスをきちんと出すことは理性的になるための第一歩だ。 次にこの論文においても、長生きによって結局認知症になっていることにも注目しよう。人間は(身体疾患で死なずに)長生きすればいつか必ず認知症になる。それはわれわれがいつか死ぬことと同じくらい自明である。認知症になっても失敗だとか思わないこと。認知症の専門家として言わせてもらうと、なることを推奨しているわけでもないし、なったら絶望する必要もない。人生は続く、それだけだ。 マルチステージライフなどといわれて久しい。職業も20年ごとに変わる時代が来るのかもしれない。であれば、生活習慣も変えてもいいのかもしれない。別にいつ変えてもよいのだろうが、保守的にみると20歳ごろに社会人になるとすると、40歳ごろ、そして60~65歳ごろはひとつの区切りかもしれない。これを読んでいる40歳以上の皆さんの多くは、20歳ごろに確立した生活習慣をおそらく続けているのだと思うが、そろそろ変えてはいかがか(もちろん○を増やす方向で)。40歳未満の皆さんは、40歳ごろに変えることを今から計画してはどうだろうか? 人々がそんなふうに考えることができたら、この論文のもくろみは十分に果たされている。

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プレゼンテーションでばれる医師の能力!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第47回

第47回 プレゼンテーションでばれる医師の能力!4月になりました。新人が社会人としての第一歩を踏み出す時期です。病院でも初々しい新卒の医師が、期待と不安でドキドキしながら仲間に加わりました。彼らの姿は何かぎこちなく、白衣を「着ている」というよりは「着させられている」といった様子です。不思議なことに、これが一年も経つと白衣姿も板についてくるのです。「板につく」は、初々しかった新人が必要なスキルを習得し経験を経て、一人前になった姿を評価するときに使う慣用句です。けっして蒲鉾のように板にくっついていること意味する言葉ではありません。料理人の、板前さんにも関係ありません。語源は舞台用語です。歌舞伎などでは、幕が開いた時にすでに人気役者が舞台上にいる場合があります。これを「板付き」というそうです。熟達した役者の調和した存在感と圧巻の演技に観客は引き込まれます。そこから、経験を積んで動作や態度が地位や職業などにしっくり合う様を「板につく」というそうです。研修医も仕事に慣れてくると、不思議と白衣姿も馴染み違和感がなくなってきます。白衣をひるがえしながら階段を駆け上がる姿も様になってきます。上司や先輩から「板についてきたな」と言われたら、やっと認めてもらえたのだと思ってよいでしょう。この言葉の注意点は、「板につく」は褒め言葉ですが、年下に使うべき慣用句で目上の人に使ってはいけないことです。皆さんも、「板につく」を使う場合は、年下限定の褒め言葉としてください。新人の医師が習得すべき課題は、診察の仕方・処方箋の出し方・カルテ記載の仕方・患者対応の仕方に始まり、数多くあります。これらのスキルを身に着けるなかで、外見だけでなく振る舞いも板についてくるのです。この初期研修の過程では上級医からインプットされ、教え込まれることが多いと思います。しかしながら、インプットされるだけでは不十分で、アウトプットを意識していくことが成長の鍵となります。研修医にとって最も重要なアウトプットはプレゼンテーション(プレゼン)です。プレゼンとは、患者の情報を医療従事者の間で確立された医療言語を用いて、あたかも目の前にその患者さんがいるかのように他の医療従事者に伝える技術です。「医師の力量は、プレゼンテーションでわかる」といわれます。その通りです。プレゼンは、診療のあらゆる場面で必要とされます。カンファレンスの場だけではありません。研修医にとっては、回診・コンサルテーション・申し送りなどプレゼンをする場面が多々あります。病院での日常診療だけでなく、学会発表でのプレゼンも重要です。指導者側も、場に即したプレゼンテーションができるようになることは臨床能力アップの早道だと考えますので、研修医にできるだけプレゼンテーションの機会を設けるようにします。毎日の繰り返してのプレゼンは苦痛に感じるかもしれません。研修医の諸君はプレゼンを「させられる」とか「しなければならない」という感覚ではなく、自分の能力を試しながら臨床力が上がるチャンスだと捉えていただきたいです。プレゼンテーションの語源は、ご存じのようにプレゼントつまり贈り物です。聴き手に必要な患者情報を贈り届けることがプレゼンの基本です。しかし、プレゼンの機会それ自体が、成長への糧を、聴き手からプレゼントしてもらっていると考えてほしいものです。プレゼンテーションを行う側が、実は贈り物の受け手であるという状況に似ているのが猫を飼うことです。「猫に小判」とは、猫に小判を与えてもその価値を知らない猫にとっては何の意味もないことから、どんな立派なものでも、価値がわからない者にとっては、値打ちもないものであるという意味のことわざです。自分にとって、「猫に小判」の解釈は少し異なります。猫を飼うことによって、猫は人に言いようのない幸福を与え届けてくれます。猫を飼うことは小判を与えられるかのような価値が付随することを意味します。まさに、「猫に小判」です。それは、招き猫の置物が小判を持っていることからも理解していただけると思います。招き猫が抱える小判の金額は、「千両」「万両」だったものがいつの間にか「百万両」「千万両」となり、ついには「億万両」にまで跳ね上がっているそうです。猫ブームと共に小判もインフレ傾向のようです。またもや、猫自慢の意味不明の話に展開してしまいました。医師として第一歩を踏み出した研修医諸君が、その初心を忘れずに立派な医師に成長してくださることを願っております。

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Dr.光冨の肺がんキーワード解説「ALK」【肺がんインタビュー】 第80回

第80回 Dr.光冨の肺がんキーワード解説「ALK」肺がんではさまざまなドライバー変異が解明されている。それに伴い、種々の標的治療薬が登場する。それら最新の情報の中から、臨床家が知っておくべき基本情報を近畿大学の光冨徹哉氏が解説する。

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熱中症で発症するかも?特発性後天性無汗症AIGAとは【知って得する!?医療略語】第10回

第10回 熱中症で発症するかも?特発性後天性無汗症AIGAとは汗をかかない病気があるって本当ですか?そうなんです。『無汗症』という疾患があります。実臨床では「不明熱の原因」「熱中症の隠れたリスクの可能性」として指摘されています。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】AIGA【日本語】特発性後天性全身性無汗症【英字】acquired idiopathic generalized anhidrosis【分野】脳神経【診療科】皮膚科【関連】特発性分節性無汗症・特発性純粋発汗不全症(IPSF)・自己免疫性自律神経障害薬剤性無汗症・二次性無汗症・乏汗症・神経障害性無汗症実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。不明熱の鑑別疾患リストに無汗症が報告されています。原因不明の微熱で病院を転々とする方で、全身状態は良好、炎症マーカーはすべて陰性、感染徴候はなく膠原病や悪性疾患を疑う所見にも乏しいとき、無汗症は想起されるべき疾患の1つかもしれません。無汗症には先天性と後天性がありますが、『特発性後天性全身性無汗症(AIGA)』は近年、難病指定されています(指定難病163)。無汗症では、気温が高くても汗をかかないため、熱の放散が障害され、体温調節ができずに容易に熱中症の症状を来たすとされています。新型コロナのためマスクをすることが当たり前の今日、マスクで呼気による体温調整が阻害されています。そのため、マスク装着時の体温調整は、非装着時と比較して、より発汗による体温調整に依存している可能性があり、全身性の無汗症の方は、例年以上に体温調節が難しく容易に熱中症を来たす可能性があります。無汗症の中でも、AIGAはステロイドパルスが有効だったとする論文報告が散見され、適切に診断すれば、患者さんのQOLを改善できる可能性があります。無汗症を見逃さないことがより重要になってくるかもしれません。筆者自身の診療シーンを振り返ると、救急外来に熱中症疑いで繰り返し搬送される患者さんの中に、脱水がないのにまったく汗をかいておらず、皮膚が乾燥している方を時々見かけていました。ご本人に聞いても、発汗することなく、急に熱中症の症状を来たしたと訴えていました。そのような患者さんの中に無汗症の方が混在していたのかもしれません。気温が急速に上昇してくるこれからの季節に注意したい疾患です。1)坂野翔子ほか. 日内会誌. 2018;107:p564-570.2)難病医学研究財団/難病情報センター:特発性後天性全身性無汗症 診断・治療指針3)柳下武士. 日皮膚会誌. 2021;131:p35-41.4)中根俊成. 臨床神経. 2019;59:p783-790.

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第106回 新しい公立病院の経営ガイドライン、「リストラ色」薄まるも総務省の本音は再編・統合推進か

市立大津市民病院、京大医局派遣の医師27人全員が年度内に退職へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、「第99回 背景に府立医大と京大のジッツ争い?滋賀・大津市民病院で医師の大量退職が発覚」「第103回 大津市民病院の医師大量退職事件、「パワハラなし」、理事長引責辞任でひとまず幕引き」「第104回 パワハラ事件に大甘の医療界、旭川医大、大津市民の幕引きの背後に感じた“バーター”の存在」で伝えてきた市立大津市民病院(30診療科、401床)の大量退職事件に再び動きがありました。4月18日、済生会滋賀県病院(栗東市)の院長補佐だった日野 明彦氏(京都府立医大 脳神経外科学教室出身)が新院長に就任したのですが、その翌日、新たに脳神経内科4人、麻酔科2人、放射線科の非常勤医師1人の計7人が年度内に退職する意向を持っていることが明らかになったのです。これで同病院在籍の京大医局派遣の医師27人全員が年度内に退職見込みとなりました(6人はすでに退職)。病院の診療体制としてはボロボロと言えます。4月25日のびわこ放送等の報道によれば、同日、大津市の佐藤 健司市長は定例会見で病院の設置者として改めて謝罪し、「今後も医師確保を含めた法人運営の後押しを全力で進めていく」と説明したとのことです。また、佐藤市長は、4月15日に滋賀医科大学を訪れて市立大津市民病院の運営立て直しへの協力を求めたことも明らかにしています。大津市には市立大津市民病院のほかに、日本赤十字社・大津赤十字病院(37診療科、684床)という京都大学系の巨大公的病院があり、患者獲得競争を繰り広げてきました。仮に今回の事件をきっかけに、市立大津市民病院の人気が落ち、ジリ貧になっていくとしたら、2病院の再編・統合話が出てくる可能性もゼロではないと思います。総務省が「公立病院経営強化ガイドライン」公表ということで、今回は総務省が3月29日に公表した「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」(令和4年3月29日 総財準第72号 総務省自治財政局長通知)について書いてみたいと思います。公立病院、公的病院を巡っては、新型コロナ感染症流行拡大前に、厚生労働省から436病院の“リストラ”リストが公表され、全国の公立・公的病院関係者を青ざめさせました(「第23回 実は病院経営に詳しい菅氏。総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと(前編)」参照)。コロナの感染拡大もあって、このリストラ計画は中断したままでした。しかし、今回の新ガイドライン公表と合わせる形で、厚労省も第8次医療計画(2024年度から実施)の策定作業と並行して、公立・公的病院だけでなく民間病院も含めた機能の再検証を行うことを都道府県に求めています。再び各地で再編・統合の議論が活発化するのは必至でしょう。3回目のガイドライン、「改革」の文言がなくなり「経営強化」に公立病院を管轄する総務省が、その経営改革に関するガイドラインを公表するのは2007年12月、2015年3月に続いて3回目です。ガイドライン作成の背景には、全国の公立病院の多くは経営状況が非常に悪く、医療提供体制の維持が極めて厳しい状況にあったことがありました。これまでの2回は「公立病院改革ガイドライン」でしたが、今回は「改革」の文言がなくなり、「公立病院経営強化」とタイトルが微妙に変わっています。新型コロナ感染症対応で、地域の公立病院の必要性が再認識されたことも影響したと考えられます。旧ガイドラインで強調されていた「再編(リストラ)」色は薄まる旧ガイドライン(2015年版)は「地域医療構想を踏まえた役割の明確化」と「再編・ネットワーク化」に力点が置かれていました。それに対し、新ガイドラインは個々の病院の「経営力強化」「機能強化」に力点が置かれています。新ガイドラインは「公立病院経営強化の基本的な考え方」として、「公立病院が直面する様々な課題のほとんどは、医師・看護師等の不足・偏在や人口減少・少子高齢化に伴う医療需要の変化に起因するものである。これらの課題に対応し、持続可能な地域医療提供体制を確保するためには、医師確保等を進めつつ、限られた医師・看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用するという視点を最も重視し、新興感染症の感染拡大時等の対応という視点も持って、公立病院の経営を強化していくことが重要」と述べています。そして、その経営強化のためには、「地域の中で各公立病院が担うべき役割・機能を改めて見直し、明確化・最適化した上で、病院間の連携を強化する『機能分化・連携強化』を進めていくことが必要である。特に、機能分化・連携強化を通じて、中核的医療を行う基幹病院に急性期機能を集約し医師・看護師等を確保するとともに、基幹病院から不採算地区病院をはじめとする基幹病院以外の病院への医師・看護師等の派遣等の連携を強化していくことが重要である。その際、公立病院間の連携のみならず、公的病院、民間病院との連携のほか、かかりつけ医機能を担っている診療所等との連携強化も重要である」と、公民の区別なく地域において「機能分化・連携強化」を進める必要性を説いています。内容的にも新型コロナウイルス感染症対策において地域の公立病院が果たした役割などを勘案し、旧ガイドラインで強調されていた「再編(リストラ)」色が薄まった印象です。「都道府県の役割・責任強化」もより強調こうした前提のもと、新ガイドラインは2022~23年度中に「経営強化プラン」を策定することを求めています。すでに「自主的に改革プランを策定している病院」などでも、新ガイドラインで要請されている部分と比べて「不足」があれば、その分を追加策定する必要があるとし、また、すでに「従前の改革プランに基づいて再編やネットワーク化、経営形態見直しに取り組んでいる病院」でも、現在の取り組み状況や成果を検証し、さらなる経営力強化のために新ガイドラインに沿った経営強化プランを策定するよう求めています。旧ガイドラインで初めて盛り込まれた、病院の再編・統合に当たっての「都道府県の役割・責任強化」についても、より強調される内容となりました。「都道府県が、市町村のプラン策定や公立病院の施設の新設・建替等にあたり、地域医療構想との整合性等について積極的に助言すること」や「医療資源が比較的充実した都道府県立病院等が、中小規模の公立病院等との連携・支援を強化していくことが重要」としています。ドラスティックな再編・ネットワーク化の事例も紹介総務省は4月20日、この新ガイドラインの説明会をオンラインで開催、その中で最新の「公立病院の経営状況」を明らかにしています。それによると、853病院全体での2020年度の経常収支は1,251億円の黒字でした。コロナ関連補助金により980億円の赤字だった前年度(857病院)から大きく改善したものの、本業に当たる医業収支ベースでは6,010億円と大幅な赤字でした。また、病床規模別の経常収支は「500床以上」(95病院)が584億円の黒字だったのに対し、「100床未満」(255病院)では1億円の黒字に留まったそうです。コロナ対応をしていた病院でも1億円程度の黒字でしかないということは、コロナ後は再び大きな赤字転落になることを意味します。新ガイドラインの最後には、資料として「平成27年度から令和2年度までの間に実施済み又は実施中の再編・ネットワーク化の事例」が多数掲載されています。公立、公的、民間併せたさまざまな再編(統合、病床削減、病院の診療所化等)のケースは、どれもドラスティックです。地方の病院で働く方は、この資料だけも目を通しておくといいと思います。こうした事例を最後に掲載していることからも、「再編(リストラ)」色が薄まった新ガイドラインですが、「地域の病院の再編・統合に向けて、都道府県は今まで以上に積極介入をして欲しい」というのが総務省の本音と言えるでしょう。参考1)公立病院経営強化ガイドライン/総務省

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不眠症治療に対するプライマリケア患者の好み

 睡眠障害は、プライマリケアにおいて一般的に認められる。主な治療オプションには、不眠症に対する薬物療法および認知行動療法が挙げられる。そして、ベストプラクティス・ガイドラインでは、治療に対する協調的意思決定アプローチが推奨されている。米国・バージニア・コモンウェルス大学のElliottnell Perez氏らは、プライマリケア患者の人口統計学的および臨床的特徴に基づいた不眠症治療に対する好みの違いについて、検討を行った。Clinical Therapeutics誌オンライン版2022年3月28日号の報告。重度の不眠症患者では認知行動療法を好んだ割合が有意に高かった 大学医療センターおよび地域のクリニックより抽出された200例(平均年齢:54.92±12.48歳)を対象に、不眠症、うつ病、不安症、不眠症治療に対する好みについて、簡易アンケートを実施した。不眠症は不眠症重症度質問票、うつ病はPHQ-2、不安症はGAD-2を用いて評価した。群間の不眠症治療に対する好みの有意差を検出するためχ2分析を用いた。 不眠症治療に対する好みについて簡易アンケートを実施した主な結果は以下のとおり。・薬物療法を好んだ患者は46.5%、認知行動療法を好んだ患者は56.0%であった(評価は排他的ではない)。・重度の不眠症患者では、認知行動療法を好んだ割合が有意に高かった(好ましい:15.2%、好ましくない:4.5%、p=0.002)。・不安症状が強い患者では、薬物療法を好んだ割合が高かった(57.3% vs.42.7%、p=0.017)。・うつ病患者の中で、うつ症状の強い患者では、認知行動療法(66.7% vs.33.3%、p=0.012)および薬物療法(56.8% vs.43.2%、p=0.016)を好んだ割合が最も高かった。・治療に対する好みの違いは、認知行動療法において年齢のみで認められた(p=0.008)。・治療を好む割合は、51歳以下の患者で最も高かった(67.2% vs.32.8%)。 著者らは「プライマリケア患者は、不眠症治療に対する認知行動療法および薬物療法を好むことがわかった。また、メンタルヘルスや睡眠の状態が悪化するほど、患者は認知行動療法を好む傾向が示唆された。患者の治療に対する好みを理解することは、意思決定の共有の促進につながり、治療満足度や治療への関与の向上に寄与すると考えられる」としている。

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医師が考える適正年収、満足度の目安は2千万円超え?/1,000人アンケート

 ケアネットでは、3月10日(木)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で、自身の業務内容・仕事量に見合うと思う適正年収について尋ねたところ、実際の年収が2,000万円未満の医師(76%)では、適正年収は「現状より高い金額」が妥当だという回答が過半数を占めた。実年収が2,000万円以上の医師(24%)は、「現状と同額」または「現状より低い金額」という回答が6割以上を占めた。全体の35%が、自身の考える適正年収は2000万円以上と回答した。年収帯2,000~2,500万円が実年収、適正年収ともに最多 今回のアンケートでは、実年収の年収帯で最も多いのが2,000~2,500万円(15%)であるのに対して、自身の考える適正年収で最も回答数が多かった年収帯も2,000~2,500万円(19%)であった。 年代別では、35歳以下では1,000~1,200万円と1,400~1,600万円という回答がともに16%で最も多かったが、36歳以上では各年代とも2,000~2,500万円という回答が最多であった(36~45歳:20%、46~55歳:24%、56~65歳:26%、66歳以上:15%)。若手の医師に顕著な男女差 調査のカテゴリー別で結果の差が大きかったのは「男女別」で、男性医師の考える適正年収のトップは2,000~2,500万円(20%)、次いで同率で1,400~1,600万円と1,800~2,000万円(12%)。一方、女性医師の考える適正年収のトップは800~1,000万円(17%)、次いで1,000~1,200万円(15%)であった。とくに「年代別・男女別」のカテゴリーで、35歳以下の男性のトップは1,400~1,600万円(17%)であるのに対し、同世代の女性では800~1,000万円が最も多く、34%を占めている。しかし、男女別の適正年収のギャップは、年代が上がるごとに差が減少している。 上記のほか、病床数別、勤務先別、診療科別で集計したグラフについても、以下のページで発表している。医師の年収に関するアンケート2022【第4回】適正年収

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初のSTAMP阻害薬アシミニブ、忍容性に期待/ノバルティスファーマ

 ノバルティス ファーマは、前治療薬に抵抗性または不耐用の慢性骨髄性白血病(CML)患者に対するSTAMP阻害薬であるアシミニブ塩酸塩(商品名:セムブリックス、以下アシミニブ)が3月に国内承認を受けたことを受け、4月19日にプレスセミナーを行った。セミナーでは、国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科の南 陽介氏がCMLの治療戦略とアシミニブへの期待について講演を行った。アシミニブは従来の分子標的薬とは作用機序が異なる 2020年の国内のCML罹患数は約2,000人で10年有病数は約1万2,000人。慢性期から移行期、急性期と進行し、できるだけ早期に白血病細胞の増殖を抑えることが肝要となる。かつては予後の厳しい疾患だったが、20年前に登場した分子標的薬(TKI)により劇的に治療成績が向上した。ただ、治療が長期となるケースが多く、治療抵抗性や不耐容が課題となっている。現在CMLに対して承認されたTKIは5剤でアシミニブは6剤目となる。アシミニブは従来のTKIとは阻害の作用機序が異なり、TKIに抵抗性または不耐容であった患者の選択肢として期待される。 今回のアシミニブの承認は、第2世代TKIであるボスチニブとアシミニブを比較した国際共同第III相検証試験(ASCEMBL試験)の結果に基づいたもの。2つ以上のTKIによる前治療歴を有する成人CML患者を対象とした本試験において、主要評価項目である24週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)率は、アシミニブはボスチニブのほぼ倍(25.48%vs.13.16%、共通リスク差12.2%、95%信頼区間2.19~22.3、p=0.029)となった。Grade3以上の重篤な有害事象はアシミニブ群12.2%、ボスチニブ群21.1%で発生し、治験中止に至った有害事象はアシミニブ群7.1%、ボスチニブ群25%で発生した。最も多く認められた有害事象は、アシミニブ群では血小板減少症(29.5%)および好中球減少症(23.1%)、ボスチニブ群では下痢(71.1%)、悪心(46.1%)などだった。 南氏は「作用機序が異なるアシミニブは、既存TKIで治療効果が低下した患者さんに対しても効果が期待できる。またSTAMP阻害作用はABLキナーゼを選択的に阻害するため、高い忍容性が期待できることも魅力だ」とした。

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カロリー制限ダイエット、摂食時間制限ありvs.なし/NEJM

 肥満患者において、摂食時間を午前8時~午後4時の8時間に制限する時間制限食をカロリー制限に追加しても、1日の摂取カロリー制限と比較し、1年間の体重、体脂肪および代謝リスク因子の減少に関して効果は認められないことが示された。中国・南方医科大学のDeying Liu氏らが無作為化臨床試験の結果を報告した。これまで、体重減少における時間制限食の長期的な有効性および安全性は明らかにされていなかった。NEJM誌2022年4月21日号掲載の報告。摂取カロリー約75%+摂食時間午前8時~午後4時に制限 研究グループは、肥満患者139例を、1日の摂取カロリー制限に加えて摂食時間を午前8時~午後4時の間のみに制限する群(時間制限併用群)と、1日の摂取カロリー制限のみを行う群(カロリー制限群)に、無作為に割り付け、12ヵ月間観察した。 摂取カロリーは、参加者全員、男性で1日1,500~1,800kcal、女性で1日1,200~1,500kcalに制限した。いずれも摂取カロリーの40~55%が炭水化物、15~20%がタンパク質、20~30%が脂質とし、この食事療法はベースラインの参加者の1日摂取カロリーの約75%に相当した。 主要評価項目は、体重のベースラインからの変化における群間差、副次評価項目はウエスト、BMI、体脂肪および代謝リスク因子(血漿グルコース濃度、インスリン感受性、血清脂質、および血圧)等の測定値の変化とした。1年後の体重減少に差はなし 無作為化された139例中118例(84.9%)が12ヵ月間の介入を完遂した。 12ヵ月時の体重のベースラインからの平均変化量は、時間制限併用群で-8.0kg(95%信頼区間[CI]:-9.6~-6.4)、カロリー制限群で-6.3kg(-7.8~-4.7)であり、体重の変化量に両群で有意差はなかった(群間差:-1.8kg、95%CI:-4.0~0.4、p=0.11)。 ウエスト、BMI、体脂肪、除脂肪体重、血圧および代謝リスク因子の解析結果も、主要評価項目の結果と一致した。 主な有害事象は、疲労、めまい、頭痛、食欲減退、上腹部痛などで、発現頻度は両群で同程度であった。

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ニボルマブ+化学療法の非小細胞肺がん術前補助療法を申請/小野・BMS

 小野薬品工業は、2022年4月25日、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)について、化学療法との併用療法による切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法に対する効能又は効果に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。 今回の承認申請は、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、ニボルマブと化学療法の併用療法を評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate-816試験(ONO-4538-55)の結果に基づいている。 同試験において、ニボルマブと化学療法の併用療法の3回投与は、化学療法単独と比較して、本試験の主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。また、安全性プロファイルは、これまでにNSCLC患者を対象としたニボルマブおよび化学療法の各薬剤または併用療法の試験で報告されているものと一貫していた。

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米国小児の円形脱毛症有病率は0.11%

 米国で電子健康記録データを用いた小児円形脱毛症(AA)の有病率と罹患率を調べた結果、2009~20年の有病率は0.11%、罹患率は10万人年当たり13.6例であることが明らかにされた。米国・フィラデルフィア小児病院のPaige L. McKenzie氏らによるコホート研究の結果で、「有病率は過去10年間で2倍になっていた。また、AAの診断を受ける可能性が2~3倍高いリスクを有する人口統計学的サブグループとして、アジア系およびヒスパニックの子供が特定された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年4月6日号掲載の報告。 研究グループは、米国の小児集団における小児AAの有病率および罹患率を時間経過、性別、年齢、人種/民族、地理的領域別に調べるため、5つの小児病院の協力を得て多施設共同コホート研究を行った。標準化された電子健康記録(PEDSnet database、version 4.0)からデータを集め(2009年1月~2020年11月)、小児AAの有病率と罹患率を調べた。 試験コホートには、AA診断コードが記録されている間に少なくとも2回医師の診察を受けていた、またはAAが記録され1回の皮膚科専門医の診察を受けていた18歳未満の患者が含まれた。 主要評価項目は有病率(患者母集団540万9,919例)、罹患率(同289万6,241例)。AAコホートに包含する5,801例の子供を特定し、2,398例(41.3%)が12ヵ月超のフォローアップを受け、罹患率の解析に包含された。 主な結果は以下のとおり。・AAコホート5,801例の平均年齢は9.0(SD 4.5)歳、3,259例(56.2%)は女子で、359例(6.2%)がアジア系、1,094例(18.9%)が黒人種、1,348例(23.2%)がヒスパニック系、2,362例(40.7%)が白人種であった。・全体の小児AA有病率は、0.11%であった。PEDSnet全集団と比べてAAコホートの小児は、年長者、女子、少数人種/民族集団の子供が多かった。・2009~20年の11年全罹患率は、13.6例/10万人年(95%信頼区間[CI]:13.1~14.2)であった。・年齢別に見た罹患率は正規分布が示され、ピークは6歳時に見られた。・罹患率は、男子よりも女子で22.8%高かった(10万人年当たり女子15.1例vs.男子12.3例)。さらにヒスパニック系の子供たちが最も高率だった(10万人年当たり31.5例)。

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HER2+進行乳がん2次治療におけるトラスツズマブ・デルクステカン(解説:下村昭彦氏)

 HER2+進行乳がんの標準治療が変わる。 3月24日のNEJM誌にDESTINY-Breast03試験の中間解析結果が掲載された。DESTINY-Breast03試験は、HER2+乳がん2次治療におけるトラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)とトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)を直接比較した第III相試験である。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は未到達 vs.6.8ヵ月(ハザード比[HR]:0.28、95%信頼区間[CI]:0.22~0.37、p<0.001)と、驚異的なハザード比でT-DXd群で有意に良好であった。また、副次評価項目の全生存期間(OS)はいずれの群も未到達であったが、12ヵ月時点の点推定値は94.1% vs.85.9%(HR:0.55、95%CI:0.36~0.86、p=0.007)であり、中間解析の有意水準である0.000265を上回っていたため統計学的有意差は付かなかったが、イベントが十分に起きた際には有意差が期待されるような結果であった(もちろん、主解析の結果を待って判断するべきである)。奏効率(ORR)も79.7% vs.34.2%であり、T-DXdで圧倒的に良かった。サブグループ解析も近年見ないような結果であり、全てのサブグループにおいてT-DXd群で良好であり、また信頼区間の幅も狭く1をまたいでいない。サブグループ解析の結果からは、T-DM1の方が良いかもしれない、という患者群の想定は難しい。 その一方で、グレード3以上の有害事象は45.1% vs.39.8%とT-DXdの方が多く、また自覚症状を伴う有害事象はT-DXdの方が多い傾向にあるため、実際に処方する際には十分な管理が必要である。とくに致死的な有害事象として注目されている間質性肺疾患(ILD)の頻度はT-DM1の1.9%に対し、T-DXdでは10.5%である。もともと肺病変が多発している、肺合併症を有しているなど、肺の予備能が低いと想定される場合はT-DXdの適応は慎重に判断する必要がある。ただ、DESTINY-Breast03試験で報告されたILDはいずれもグレード2以下であり、丁寧な診察で重症化する前に発見することが可能であるといえよう。先行試験では欧米人や他のアジア諸国と比較しても日本でILDの発症が多いことが示されており、私たちはT-DXdを用いた治療を実施する際に十分に注意する必要がある。とくに、ILDが後治療に影響することのないよう、有効性の高い治療だからこそ安全に実施することの重要性が増すと。 HER2+乳がんは多くの薬剤が開発されており、臨床応用が見込まれる。有効性の高い薬剤を、高い安全性で実施することによって、HER2+乳がんの予後はさらに改善することが期待される。

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日本からもこういう情報が欲しい!(解説:後藤信哉氏)

 新型コロナウイルス感染禍は2年以上持続している。テレビのニュースでは各県の新規感染者数が発表される。日本のような小さな国で、各県、揺らぎの大きい毎日の感染報告者数を発表されても正直何もわからない。科学の世界では数値情報が必須である。世界の誰とも共有できるように、科学的方法に基づいて数値をまとめてほしい。 北欧諸国は日本と同様に比較的サイズの小さい国である。社会主義的傾向があるのでNational Databaseが充実している。本研究は新型コロナウイルス発症日を起点として、発症前の時期と静脈血栓症、肺塞栓症、重篤出血イベントの発症リスクを示している。ウイルス感染であるため、感染後ウイルスは増殖するが、免疫により駆逐される。新型コロナウイルスは血管内皮にも感染して血栓リスクを増加させるとされているが、リスクの増加はいつまでも持続するわけではない。血栓イベント予防を目指してヘパリンなどの抗血栓薬を使用するのが一般的なので重篤な出血合併症も増えると想定される。 新型コロナウイルスに感染すると静脈血栓リスクは速やかに上昇し、1週間から1ヵ月でリスクは5倍以上と最大になる。3ヵ月後には激減し、6ヵ月でコントロールに戻る。肺塞栓症のリスクは発症直後から激増し、2週間で46倍ともなる。その後1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月とリスクは激減する。重篤な出血イベントリスクは発症直後が5倍と最大で、その後は、急速にリスクは低下する。 日本のニュースで発表される情報が臨床的見地から役に立たないのに対して、スウェーデンでは新型コロナウイルスの血栓症、その重篤なイベントである肺血栓塞栓症、抗血栓薬の合併症の好発時期に対して臨床に役立つ情報を提供している。 継続的に集積されているイベントデータなので、ワクチン接種の有無による変化、ウイルス株による血栓性の変化も定量情報として取得できる。 厚生労働省内部に「論文出版課」を作れば、日本でも役所が仕事として科学論文をシステムに出版するようになるかもしれない。科学論文を作ろうとすれば、データを科学的にまとめるだろう。厚労省から科学的数値データが出れば、数値データに基づいた政策ができるだろう。読者がいたらまじめに考えてほしい。

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英語で「頓服」は?【1分★医療英語】第25回

第25回 英語で「頓服」は?I still have pain in my left arm.(まだ左腕に痛みがあります)Take this medication as needed.(この薬を頓服してください)《例文1》Take this painkiller as needed for breakthrough pain.(突発的な痛みがあるときに、この痛み止めを服用してください)《例文2》Please contact us as needed basis.(必要に応じてご連絡ください)《解説》日本語の「頓服」とは「必要に応じて」という意味であり、英語では“as needed”と表現します。処方箋の表記は“PRN”(ラテン語のpro re nataの略)です。患者さんに説明するときは、具体的にどのような場合に服用が必要なのか、という情報が必要です。《例文1》のように“breakthrough pain”と説明したり、“Take it ‘only’ when you start feeling pain.”とonlyを強調して伝えたりすることで、飲み間違いが起こらないようにします。また、“short acting”(短期即効性のある薬)の頓服薬を“rescue medication”と呼び、服用状況の確認のため“Keep a record when you take your rescue medication.”(頓服薬をどれくらい飲んだか記録してください)と患者さんに伝えることが多いです。“Call me as needed!”(必要なときに電話して)とスタッフ同士のやりとりでも“as needed”はよく用いられる表現なので、“必要に応じて”使ってみてください!講師紹介

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第109回 12ヵ国が小児の原因不明の急な肝炎を報告

英国や北アイルランドで発端不明の急な肝炎が幼い小児に多発していることを世界保健機関(WHO)が今月15日に発表して以降その数は増えており、21日までに12ヵ国で少なくとも169人に認められています1,2)。注意の高まりでいつもなら未発見のままの発生例がより検出されているだけで発生率は上昇していないかもしれず、肝炎が実際に増えているのかどうかは定かではありません。原因の調査は進行中ですが、今のところアデノウイルスの関与が示唆されています。肝炎小児の年齢層は生後1ヵ月から16歳で、169人のうち17人(約10%)は肝臓移植を受けました。少なくとも1人は死亡しています。小児の多くは腹痛、下痢、嘔吐などの胃腸症状を急な重症肝炎に先立って被っており、肝酵素・ASTやALTの500 IU/L超への上昇や黄疸を生じています。一方、ほとんどは発熱していません。急な肝炎の原因として知られるA~E型肝炎ウイルスはどの小児からも検出されていません。把握済みの情報によると外国への旅行や国外要因の寄与は認められていません。アデノウイルスは少なくとも74人から検出されており、分子レベルの検査記録がある小児のうち18人からはアデノウイルスF亜群41型(F type 41)が検出されています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は20人に認められ、19人からはSARS-CoV-2とアデノウイルスの両方が検出されています。報告数のほとんどを占める英国では新型コロナウイルス感染(COVID-19)流行の初期には少なかったアデノウイルス市中感染が最近になって有意に増加しています。また、オランダも同様の傾向を報告しています。アデノウイルスは免疫学的に50を超える種類があり、少なくとも18人から見つかっている41型の主な症状として知られているのは下痢、嘔吐、発熱であり、しばしば呼吸器症状を伴います。免疫不全小児のアデノウイルス感染肝炎の報告はありますが、アデノウイルス41型が健康な小児の思いもよらない肝炎の原因と見られたことはありません。COVID-19流行中にアデノウイルスと疎遠だった幼い小児のその後の易感染性、新たなアデノウイルスが発生していないかどうか、アデノウイルスとSARS-CoV-2の同時感染などの要因調査が必要とWHOは述べています。英国はアデノウイルスのゲノムに変化が生じているかどうかの調査を始めています3)。WHOに報告されている小児のほとんどはCOVID-19ワクチン非接種です。報告数が最も多い英国の12日までの医療機関受診例に認められた原因不明肝炎の小児108人にCOVID-19ワクチン接種者は1人もおらず、COVID-19ワクチンとは無関係と判断されています3)。参考1)Multi-Country - Acute, severe hepatitis of unknown origin in children / WHO2)WHO says at least one child has died after increase of acute hepatitis cases in children / Reuters3)Increase in hepatitis (liver inflammation) cases in children under investigation /UK Health Security Agency

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抗精神病薬の治療歴とその後の代謝関連副作用との関係

 抗精神病薬治療によるさまざまな有害事象が報告されているが、重篤な副作用が頻繁に認められるわけではない。中国・Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのYe Yang氏らは、抗精神病薬の治療歴が現在の抗精神病薬誘発性代謝関連副作用と関連しているかを確認するため、検討を行った。BMC Psychiatry誌2022年3月21日号の報告。 抗精神病薬未治療患者115例、代謝関連副作用リスクの低い抗精神病薬による治療歴を有する患者65例、同リスクの高い抗精神病薬による治療歴を有する患者88例を対象に、ケースコントロール研究を実施した。すべての患者に対し、オランザピン治療を実施した。体重、BMI、血糖値、脂質パラメータ、ベースラインより7%以上の体重増加が認められた患者の割合、脂質異常症の割合を評価した。すべての評価は、ベースライン時、治療開始4週目および6週目に実施した。 主な結果は以下のとおり。・オランザピン治療により、抗精神病薬未治療患者は他の2群と比較し、体重とBMIの有意な増加が観察された(それぞれp<0.05)。・代謝関連副作用リスクの高い抗精神病薬による治療歴を有する患者では、他の2群と比較し、脂質レベルが有意に高かった(それぞれp<0.05)。・抗精神病薬の治療歴と体重増加との間に有意な関連は認められなかった(すべてのp>0.05)。・抗精神病薬による治療歴を有さない患者と比較し、同治療歴を有する患者では、3.37mmol/L-1以上の高LDLコレステロール値が観察された(aOR:1.75、95%CI:1.07~3.52)。・とくに、代謝関連副作用リスクの高い抗精神病薬による治療歴を有する患者では、他の2群と比較し、3.37mmol/L-1以上の高LDLコレステロール値リスクが高かった(aOR:2.18、95%CI:1.03~3.32)。 著者らは「抗精神病薬治療歴、とくに代謝関連副作用リスクの高い抗精神病薬による治療歴を有する患者では、現在使用している抗精神病薬により誘発される代謝関連副作用との関連が示唆された」としている。

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乳がん術後化学療法後、長期QOLが悪化しやすい患者の特徴/JCO

 乳がん術後補助化学療法後のQOLの長期的経過は個人差が大きい。今回、フランス・Gustave RoussyのAntonio Di Meglio氏らが術後補助化学療法を受けた乳がん患者のQOLの長期的経過の特徴を調査し、関連する健康行動パターンを特定した結果、ほとんどの患者は経過が良好だったが、QOLが著しく悪化し、診断後4年間は治療前の値に回復しなかった集団が特定された。このグループでは、過体重、身体的不活動、喫煙がとくに多く、その他のリスク因子として、若年、併存疾患あり、低所得、内分泌療法ありが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年4月21日に掲載。 本研究の対象は、CANTO(CANcer TOxicity)試験において化学療法を受けているStageI〜IIIの乳がん患者。QOL(European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire-C30 Summary Score)の経過と各グループの患者との関連は、それぞれ、グループを基にした経過モデルと多変量多項ロジスティック回帰の反復推定によって調べた。 主な結果は以下のとおり。・QOLの経過によって、大変良好(51.7%)、良好(31.7%)、悪化(10.0%)、悪い(6.6%)の4グループが特定された(4,131例)。・QOLが悪化したグループは、ベースラインのQOL(平均:78.3/100、95%CI:76.2〜80.5)が良好で、1年目(平均:58.1/100、95%CI:56.4〜59.9)で著しく悪化し、診断後4年目(平均:61.1/100、95%CI:59.0~63.3)まで治療前の値に回復しなかった。・健康的な行動は、より良い経過のグループの患者と関連していた。診断時における肥満(痩せに対する調整オッズ比[OR]:1.51、95%信頼区間[CI]:1.28〜1.79、p<0.0001)および現在喫煙(非喫煙に対する調整OR:1.52、95%CI:1.27〜1.82、p<0.0001)はQOLが悪化したグループの患者と関連しており、4年目まで過体重で身体活動が不十分な患者が多く、化学療法中にもしばしば喫煙していたことも特徴としてみられた。・悪化したグループの患者に関連するその他の因子として、若年(1歳低下による調整OR:1.01、95%CI:1.01~1.02、p=0.043)、併存疾患あり(なしに対する調整OR:1.22、95%CI:1.06~1.40、p=0.005)、低所得(裕福な家計に対する調整OR:1.21、95%CI:1.07〜1.37、p=0.002)、内分泌療法あり(なしに対する調整OR:1.14、95%CI:1.01〜1.30、p=0.047)などがあった。

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NSCLCの術前補助療法、ニボルマブ追加でEFS延長(CheckMate-816)/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法において、PD-1免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブと化学療法の併用療法は化学療法単独と比較して、無イベント生存期間が有意に延長し、病理学的完全奏効の割合は有意に高率であり、ニボルマブ追加による有害事象や手術の実行可能性の妨げとなる事象の増加は認められないことが、米国・ジョンズホプキンス大学KimmelがんセンターのPatrick M. Forde氏らが実施した「CheckMate-816試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年4月11日号で報告された。14ヵ国の無作為化第III相試験 本研究は、NSCLCの術前補助療法における、化学療法へのニボルマブ追加の有用性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、東アジアの4ヵ国(中国、日本、韓国、台湾)を含む世界14ヵ国の施設が参加し、2017年3月~2019年11月の期間に患者の登録が行われた(米国Bristol Myers Squibbの助成を受けた)。 対象は、Stage IB(腫瘍径≧4cm)~IIIAの切除可能NSCLC(American Joint Committee on Cancer[AJCC]第7版の病期判定基準に準拠)で、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス(0~4点、点数が高いほど身体機能の障害度が高い)のスコアが0または1で、がんに対する治療歴のない成人患者であった。 被験者は、根治手術を受ける前に、ニボルマブ(360mg)+プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法、またはプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法のみの投与を、3週(1サイクル)ごとに3サイクル施行する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。手術は、術前補助療法終了から6週間以内に行われ、術後補助療法は化学療法、放射線療法あるいはこれら双方を最大4サイクル実施してよいこととされた。 主要エンドポイントは、無イベント生存期間(病勢進行、再発、死亡までの期間)と病理学的完全奏効(切除肺とリンパ節に生存かつ増殖可能な腫瘍細胞が存在しない)とされた。根治手術施行率:83.2% vs.75.4% 358例が登録され、ニボルマブ併用群に179例(年齢中央値64歳、女性28.5%、アジア人47.5%)、化学療法単独群に179例(65歳、29.1%、51.4%)が割り付けられた。術前補助療法を完遂した患者の割合は、ニボルマブ併用群が93.8%、化学療法単独群は84.7%、術後の補助化学療法はそれぞれ11.9%および22.2%、後治療は21.2%および43.6%が受けた。 最も短い追跡期間が21ヵ月の時点で、無イベント生存期間中央値はニボルマブ併用群が31.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:30.2~未到達)と、化学療法単独群の20.8ヵ月(95%CI:14.0~26.7)に比べ有意に長かった(ハザード比[HR]:0.63、97.38%CI:0.43~0.91、p=0.005)。1年無イベント生存率はそれぞれ76.1%および63.4%、2年無イベント生存率は63.8%および45.3%であった。 また、病理学的完全奏効の割合は、ニボルマブ併用群が24.0%(95%CI:18.0~31.0)であり、化学療法単独群の2.2%(0.6~5.6)よりも有意に高かった(オッズ比[OR]:13.94、99%CI:3.49~55.75、p<0.001)。 無イベント生存期間と病理学的完全奏効の結果は、ほとんどのサブグループが化学療法単独群よりもニボルマブ併用群で良好であった。 根治手術は、ニボルマブ併用群が83.2%、化学療法単独群は75.4%で行われた。R0切除(遺残腫瘍なし)は、根治手術例のそれぞれ83.2%および77.8%で達成された。 一方、事前に規定された1回目の中間解析では、両群とも全生存期間中央値には到達せず、統計学的有意性の判定基準(p<0.0033)は満たされなかった(HR:0.57、99.67%CI:0.30~1.07、p=0.008)。 Grade 3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ併用群が33.5%、化学療法単独群は36.9%で発現した。治療中止の原因となった全Gradeの治療関連有害事象は、それぞれ10.2%および9.7%で認められた。全体として免疫介在性有害事象の発生頻度は低く、多くがGrade1/2であり、ニボルマブ併用群で最も頻度が高かったのは皮疹(8.5%)だった。 手術関連有害事象(手術合併症)は、ニボルマブ併用群が41.6%(うちGrade3/4は11.4%)、化学療法単独群は46.7%(同14.8%)で認められた。Grade5の手術関連有害事象(発症後24時間以内に死亡)はニボルマブ併用群で2例(肺塞栓症、大動脈破裂)にみられたが、いずれも試験薬との関連はないと考えられた。 本試験の結果に基づき、米国では、ニボルマブとプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法の併用が、切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)NSCLCの成人患者の術前補助療法として承認された。

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第98回 診断遅滞で研修医寝たきり、鹿児島大などに約3億円の賠償命令

<先週の動き>1.診断遅滞で研修医寝たきり、鹿児島大などに約3億円の賠償命令2.新型コロナワクチン接種、4回目は対象者を絞って実施へ/厚労省3.新型コロナ治療薬としてパキロビッドパックを推奨/WHO4.第6波のコロナ受け入れ体制、国の要請に応じる余力なしと判明/医労連5.膨らみ続けるコロナ対策、予備費の用途に透明性を求める声1.診断遅滞で研修医寝たきり、鹿児島大などに約3億円の賠償命令研修医の男性が、鹿児島大学病院と鹿児島生協病院の医師らが適切な診断と治療をしなかったため、寝たきりになる後遺障害を負ったとして、同病院に対して慰謝料など約4億1,200万円を求めた訴訟の判決が20日、鹿児島地裁で下された。裁判長は医師らの過失を認め、病院を運営する鹿児島大と鹿児島医療生協に対して約3億2,700万円の支払いを命じた。判決によれば、鹿児島生協病院の研修中だった男性が、2007年12月、診療中に頭痛を訴え、同病院の内科を受診。頭部CT検査などから異常を認め、鹿児島大学病院の脳外科に精査を求めたところ、「膠芽腫」の可能性があると診断されたが、すぐに手術が必要とは判断されず生協病院で入院継続となった。男性は嘔吐を繰り返し、4日後に意識消失のため鹿児島大学病院に緊急搬送され、別の医師の診察で「脳膿瘍」による脳ヘルニアと判明した。治療開始が遅れたため、開頭手術をしたが意識障害や運動障害が残り、現在は要介護状態である。裁判長は、ただちに治療していれば後遺症の発生を避けられた可能性を指摘した。(参考)診断ミスで寝たきり 鹿児島大などに3.2億円の賠償命令 地裁(毎日新聞)誤診で後遺症、3億2700万円賠償命令 鹿児島大学病院と生協病院に 地裁判決(南日本新聞)2.新型コロナワクチン接種、4回目は対象者を絞って実施へ/厚労省政府は、新型コロナウイルスワクチンの4回目接種について、60歳以上と基礎疾患のある者を対象として検討している。これまでは子供から高齢者まで積極的なワクチン接種の推奨を行ってきたが、3回目の接種率が伸び悩んでいることや死亡率の低下、治療薬の普及を踏まえ、接種対象をハイリスク患者に絞る方針。先に4回目接種が承認された米国でも対象者は50歳以上とされるなど、海外の影響もあると考えられる。今月27日の厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会で議論予定。(参考)ワクチン4回目接種、60歳以上と基礎疾患者を軸に検討 政府(毎日新聞)ワクチン4回目接種 3回目から5か月間隔での実施を検討 厚労省(NHK)4回目接種、全員に必要?「高齢者の重症予防に」―専門家指摘・コロナワクチン(時事通信)3.新型コロナ治療薬としてパキロビッドパックを推奨/WHO世界保健機関(WHO)は22日、新型コロナウイルス感染症について、ワクチン未接種や高齢者などの軽症患者の治療薬としてファイザー製の内服治療薬「パキロビッドパック」を強く推奨するとした。わが国では2月に重症化リスクが高い軽症~中等症の患者を対象として特例承認されたものの、報道によれば、累計投与数は約4,000人(4月12日時点)にとどまる。これは同剤に含まれるリトナビルがCYP3Aの強い阻害作用を有するため、投与前に他剤との相互作用について確認する時間が必要であり、処方が進まない1つの原因と考えられる。安全性について慎重なのは大事だが、再び感染拡大となった場合は、本剤が必要とされる人への投与がもっと検討されるべきだろう。(参考)ファイザーコロナ薬、投与は感染者の0.12% 奪い合いから一転(朝日新聞)WHO recommends highly successful COVID-19 therapy and calls for widegeographical distribution and transparency from originator(WHO)4.第6波のコロナ受け入れ体制、国の要請に応じる余力なしと判明/医労連日本医労連は、新型コロナウイルス感染症の第6波(2022年1月以降)における医療現場の実態調査を公表した。調査は3~4月、医労連に加盟する全国の国立病院や赤十字病院、民間病院などを対象に行い、176病院から回答を得た。2021年中に政府から「ウイルスの感染力が第5波より2倍になっても対処できる医療提供体制の整備」が要請された後、重症病床を増やしたかどうかに対し、実際に「増やした」と回答したのは176施設中14施設だった。また、今年1月以降に救急搬送(コロナ以外も含む)の受け入れを断ったことがあるのは61病院(35%)で、最大で1日16件を断った病院もあった。医労連は、回答した医療機関は国公立病院が中心であり、そのほとんどが第5波までにコロナ患者をすでに最大限受け入れていたため、第6波に備えてさらなる受け入れ態勢拡大を要請されても応じられなかった状況があるのではないかと推測した。さらに離職者について、2021年度は2020年度と比較して50施設(28.4%)が増えたと回答しており、とくに多かったのは圧倒的に看護師だった。(参考)重症病床増の病院1割のみ コロナ5波後、医労連調査(東京新聞)コロナ救急搬送受け入れ、公的病院の3割超が断る…最大で1日16件のケースも(読売新聞)第6次「新型コロナ感染症」に関する実態調査(医療)結果(医労連)5.膨らみ続けるコロナ対策、予備費の用途に透明性を求める声政府が新型コロナウイルス感染症への対応で用意している2022年度補正予算について、国会審議を経ずに閣議決定のみで予算執行されることを問題視する報道が相次いでいる。日本経済新聞によれば、12兆円余りの用途について、医療・検疫体制向けの4兆円のほか、地方自治体に支出した地方創生臨時交付金は3.8兆円だが、最終的な用途を特定できたのはわずか8,000億円余り(約6.5%)と不透明であり、今後の補正予算のあり方について国会のチェック機能も含めた改善が求められる。(参考)予備費乱用の恐れも 異例の補正予算編成―緊急経済対策(時事通信)社説:予備費の乱用 立法府の自己否定だ(朝日新聞)コロナ予備費12兆円、使途9割追えず 透明性課題(日経新聞)

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