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中等度スタチン+エゼチミブ併用は高用量スタチンに比べて、心血管疾患再発予防に非劣性で、かつ有害事象は少ない:ただしわが国とスタチン用量が異なる点は注意が必要(解説:桑島巖氏)

 動脈硬化性疾患(ASCVD)を有する例において、2次予防のためにはLDLコレステロール値と再発予防の関係はthe lower, the betterが定着しつつある。本年度改定された、わが国の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」でも、2次予防のためにはLDLコレステロール値の治療目標値は70mg/dL未満としている。 その目標値達成のためには、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を最大量まで増量するか、あるいは中等度のスタチンと脂質低下機序の異なるエゼチミブを併用すべきか迷うところである。コレステロールの合成抑制と、消化管からの脂肪吸収抑制という異なる機序の薬剤を組み合わせることは、合理的と考えられるが、そのエビデンスが望まれていた。 スタチンとエゼチミブの配合剤はわが国ではアトーゼット(エゼチミブ/アトルバスタチン配合剤)とロスーゼット(エゼチミブ/ロスバスタチン配合剤)の2種類が発売されており、各々に低用量(LD)、高用量(HD)が用意されている。本試験では、併用群ではロスバスタチン10mgとエゼチミブ10mg、高用量スタチン群ではロスバスタチン20mg/日)が比較されている。しかし、わが国ではロスバスタチン(クレストール)は1日最大5mgまでしか認可されていない。 本研究での1、2、3年目でのLDL-C70mg/dL未満達成率は、中等度スタチン+エゼチミブ併用のほうが、高用量群よりも高く、主要エンドポイントである心血管疾患再発予防では非劣性であることを証明した。 副作用や不耐性などによる試験の中断は、併用群4.8%、高用量群8.2%と後者で多く、気になる肝機能障害、横紋筋融解なども高用量群に多く、併用療法のほうが有用であることを示した。

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1日1回投与に改良した高純度EPA製剤「エパデールEMカプセル2g」【下平博士のDIノート】第104回

1日1回投与に改良した高純度EPA製剤「エパデールEMカプセル2g」今回は、高純度EPA製剤「イコサペント酸エチルカプセル2g(商品名:エパデールEMカプセル2g、製造販売元:持田製薬)」を紹介します。本剤は、既存のエパデールカプセルおよびエパデールS(以下、既存薬)の消化管吸収を高めて1日1回投与にした薬剤であり、トリグリセリド(TG)高値を示す脂質異常症患者の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、高脂血症の適応で、2022年6月20日に承認されました。なお、既存薬は「高脂血症」と「閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善」の適応を有していますが、本剤の適応は「高脂血症」のみです。<用法・用量>イコサペント酸エチルとして、通常、成人には1回2gを1日1回、食直後に経口投与します。TG高値の程度により、1回4gを1日1回まで増量することができます。本剤は抗血小板作用を有するため、抗凝固薬や血小板凝集を抑制する薬剤との併用により、相加的に出血傾向が増大するため注意が必要です。<安全性>国内第III相試験において、副作用の発現頻度は本剤2g/日群で9.8%(6/61例)、本剤4g/日群で8.2%(5/61例)でした。2%以上に認められた副作用は、本剤2g/日群で下痢3.3%(2/61例)、本剤4g/日群で軟便3.3%(2/61例)でした。重大な副作用として、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、肝臓における過剰な中性脂肪の合成を抑制するとともに、余分な中性脂肪の代謝を促進することで、脂質異常症を改善します。脂質異常を改善することで、動脈硬化性疾患の進行を抑えることが期待できます。2.血が止まりにくくなることがあるので、手術や抜歯の予定がある場合は事前に相談してください。3.空腹時の服用では薬剤の吸収が低下するため、食後すぐに服用してください。4.軟カプセルの中には魚の臭いがする油状の成分が入っているため、噛まずに服用してください。5.脂質異常症の治療の基本は、食事・運動・禁煙などの生活習慣の改善です。本剤の服用中も継続して行うことが大切です。<Shimo's eyes>エパデールEMカプセルは、既存のEPA製剤であるエパデールカプセル、小型軟カプセルのエパデールSを消化管で吸収されやすくした高純度改良版です。既存薬は1日2回または3回の服用が必要ですが、本剤は1日1回の単回投与です。エパデールSと同様にアルミスティック包装となっています。既存薬からの切り替えの場合、既存薬1.8g(エパデールS900を1日2回)が、本剤2g 1日1回に相当するように開発されています。エパデールEMカプセル2gの薬価は113.00円、エパデールS900の薬価は62.7円/包(2包で125.4円)、エパデールS600の薬価は46.5円/包(3包で139.5円)ですので、1日薬価の負担は本剤のほうが少なくなっています。なお、本剤の粒子径(約6mm)は、既存薬のエパデールS(約4mm)と比較してやや大きくなっています。EPAの成分は脂肪酸であり、胆汁の主成分である胆汁酸がないと吸収が低下しますが、本剤は体内で脂質成分が界面活性剤と自己乳化することで吸収性が向上し、1日1回投与が可能になりました。本剤は既存薬に比べて食事の影響を受けにくい製剤ですが、食直後の服用でより吸収が高まるため、本剤も食直後の服用となっています。生活習慣病患者はしばしばアドヒアランスの不良が問題となりますが、本剤は1日1回の単回投与であるため、アドヒアランスの向上が期待できます。とくに併用される機会の多いHMG-CoA還元酵素阻害薬の主な用法が1日1回であることからも、本剤のニーズは高いと考えられ、TG高値を示す脂質異常症患者の選択肢を増やす薬剤として意義があるでしょう。

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CCUでの上級フェローによる後輩への指導【臨床留学通信 from NY】第36回

第36回:CCUでの上級フェローによる後輩への指導今回は、最近ローテートしたCCUの話です。私の勤めるMontefiore Medical CenterはAlbert Einstein College of Medicineの大学病院ですが、Moses病院とWeiler病院という2つの病院で形成されています。Moses病院はWeiler病院よりも倍ほど大きく、Weilerでは完結できないさまざまな処置が可能です。たとえば循環器領域だと、心臓移植、LVAD(左室補助人工心臓)といった処置はMoses病院でしかできません。そのMoses病院のCCUを、7月にローテートしました。平日は主に7時半から夕方5時半くらいまで勤務し、土曜は大体午後1~2時くらいまでで当直者に申し送りつつも、日曜の朝まで1年目フェローが捌けない事態には自宅から駆けつけて補助をします。CCUには、内科2年目レジデントと1年目レジデント(慣習的にインターンと呼びます)が、24時間常に誰かしらが患者を担当することになっており、フェローはその補助的な役割となります。朝7時半には夜間当直者より、新入院患者がいればその申し送りを受け、ラウンドの始まる8時半までに全体の把握を行います。CCUだけで12床あるため、時にECMO、ECMO+Impella (ECPella)、Imepall 5.5、LVAD、移植前後の患者さんなどがいて把握するのにも時間が掛かります。ラウンドも指導医によって時間が大きく異なり、2時間くらいで終わることもあれば4時間掛かることもあり、最後のほうには英語ばかりで頭が疲れてしまいます。つまるところフェローの立ち位置はレジデントと指導医の中間ですが、ラウンド中は患者さんの病状をレジデントがプレゼンテーションし、それに対してフェローが指導医と話し合って、最後に何か抜けがないか確認したり、指導医とは違う治療の仕方を提案したりします。徹底的に議論する中で、指導医からレジデントにフィードバックをしていくのがアメリカの常にある光景で、日本にはあまりない文化と言えるでしょう。手技では日本のレジデントのほうが優秀?フェローの大きな仕事の一つが、中心静脈カテーテルや動脈圧ラインを挿入することです。時折スワンガンツや経静脈ペーシングカテーテルをベッドサイドで入れることもあります。正直、経験の浅いフェローがベッドサイドで透視もなくスワンガンツや経静脈ペーシングカテーテルを入れるのは、合併症の懸念もあり私は個人的に反対です。日本が米国より優れているのはこうした手技の面で、研修医2年目であれば中心静脈カテーテルや動脈圧ラインは問題なく入れられそうなものです。しかし米国では、病院によりますが、レジデントでできる人は少なく、循環器フェロー1年目でもできないことが多いです。そのため、日中は1年目フェローを監督するのが2、3年目フェローの仕事です。逆に彼らを育てないと、スワンガンツや経静脈ペーシングカテーテルならまだしも、たかだか中心静脈カテーテルのために、夜間に上級フェローが呼び出されるということになり、それが多々あるのが現状です。さらに、指導医は自身がやるわけではないためか、結構不要なラインを要求することもあるので、感染のリスクを鑑みて、それをなだめるのもフェローの仕事かもしれません。それ以外に、基本的な心電図、心エコー、冠動脈造影の解釈についてラウンドの後などに教えたりするのも、われわれ上級フェローの仕事になっています。Column画像を拡大する7月の日本心血管インターベンション治療学会で、編集委員特別賞を頂きました。写真撮影がありますと言われましたが、NYからズーム越しの参加だったため、その時は自分が画面に大映しになっているとはつゆ知らず、後で送られてきた写真を見てびっくりしました。

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英語で「事前に教えてくれてありがとう」は?【1分★医療英語】第41回

第41回 英語で「事前に教えてくれてありがとう」は?I just want to let you know that Mr. Johnson was sent to the emergency room.(ジョンソンさんを救急外来に送ったので、知らせておくね)Thank you for the heads-up.(事前に教えてくれてありがとう)《例文1》I want to give you a heads-up that the next patient is coming in 30 minutes.(あらかじめ知らせておきますが、次の患者さんは30分後に来ます)《例文2》This is just a heads-up that I will be on vacation next week.(一応お伝えしておくと、私は来週休暇をいただいています)《解説》今回お伝えする“heads-up”という表現は、直訳すれば「頭を上げること」という意味です。「目の前に下を向いている人がいるシーン」を想像してみてください。下を向いたままで何かを伝えることは難しいですが、その人の顔を上げれば、メッセージや忠告を伝えることができますよね。そこから転じて、「あらかじめ伝えておく」「事前に知らせておく」といった意味合いで用いられる表現です。あるいは「注意喚起」や「忠告」というような意味合いにもなります。ここで用いられる“heads-up”は名詞なので、(慣習的にheadは複数形をとっているものの)厳密にはaやtheなどの冠詞を頭に付ける必要があります。動詞の“give”と相性が良く、“give you/him/her/them a heads-up”で「事前に知らせる」という意味合いになります。なお、“Heads up!”とだけ言うと“Watch out!”のような「危ない!」「気をつけて!」と言う意味の動詞になりますので、使い方には注意してください。この“heads-up”は日常会話だけでなく、メール上のコミュニケーションでもよく見られます。友人や同僚が事前に何かを知らせてくれた時に、“Thank you for the heads-up!”と返事をすると小慣れた感じになりますので、ぜひ活用してください。講師紹介

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第125回 気疲れは脳のグルタミン酸蓄積の仕業?

プロのチェス選手でさえ試合で4~5時間も経つと間違えをするように1日中試験や発表(プレゼン)で過ごした後で頭が回らなくなるという経験は誰しも覚えがあるでしょう。そういう気疲れ(精神的疲労)に神経伝達物質・グルタミン酸の脳での蓄積が寄与しうることが新たな試験で示唆されました1)。運動している時の筋肉がそうであるように、より頭を使う難解な課題で気疲れするのは簡単な課題に比べてエネルギーがより消費されて枯渇するのが原因とするというこれまでの通説とは異なる結果であり、その試験結果はちょっとした物議を醸しています2)。Cellの姉妹誌Current Biologyに結果が発表された今回の新たな試験で研究者は集中の維持や予定を立てるときに働く脳領域・外側前頭前野のグルタミン酸濃度が気疲れした時によくある振る舞い・克己心の欠如などと関連するかどうかを調べました。被験者40人は2つに分けられ、一方は気疲れを誘う難解な課題に取り組み、もう一方はより簡単な課題をしました。それら課題をしている6時間半の間に気疲れのほどや外側前頭前野のグルタミン酸濃度が何度か調べられました。気疲れのほどは、後で手に入る大金のために目先の小銭を我慢する自制心を問う質問などで評価されました。その結果、より難解な課題の群は簡単な課題の群に比べて克己心を失った衝動的な選択が10%ほど多く、外側前頭前野のグルタミン酸濃度が8%ほど上昇していました2)。より簡単な課題の群ではそのようなグルタミン酸濃度上昇は認められませんでした。今回の試験結果はあくまでも関連を示しただけであり、知能の酷使が脳でのグルタミン酸の有害な蓄積を引き起こすと結論づけるものではありません。米国・ブラウン大学の神経科学者Sebastian Musslick氏はグルタミン酸の上昇は気疲れの主因ではなく何らかの役割を担っていると考えています2)。われわれの脳は臓器と絶えず通信し、いつ食べたり飲んだり寝たりすればいいかを知らせてくれます。それと似たような脳内の保守に前頭前野のグルタミン酸も携わっているのではないかと同氏は想定しています。また、プリンストン大学のJonathan Cohen氏もグルタミン酸のような余剰物を気疲れの主因とする考えを疑っています。脳はより手の込んだ処理で膨大な情報を捌いているに違いなく、余剰物の上げ下げといった単純な仕組みで事足りる筈がない(It just can‘t be that easy)と言っています。今後の課題として、代謝の残り滓を洗い流して脳を掃除する睡眠や休息でグルタミン酸濃度が落ち着くかどうかを調べる必要があります。先立つ研究によると睡眠中にグルタミン酸がシナプスから取り除かれることはかなり確かなようです3)。脳疾患の多くでグルタミン酸の異常な伝達が認められており、うつ病治療に使われるエスケタミンやアルツハイマー病症状を治療するメマンチンなどの神経のグルタミン酸受容体を狙う薬がすでに存在します。また、最近のアルツハイマー病や脊髄小脳失調症(SCA)の試験で残念ながら効果を示すことはできませんでしたが、グルタミン酸除去薬troriluzoleも臨床試験段階に進んでいます。外傷性脳損傷(TBI)、多発性硬化症、新型コロナウイルス感染(COVID-19)後にも生じうるらしい筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)などの脳を酷使させる病気の研究に今回のような成果は重要な意義を持ち、その議論を前進させる筈とKessler Foundationの神経学者Glenn Wylie氏は言っています4)。参考1)Wiehler A, et al.Curr Biol. 2022 Aug 4:S0960-9822.01111-3.2)Mentally exhausted? Study blames buildup of key chemical in brain / Science3)Why thinking hard makes you tired / Eurekalert4)Neurotransmitter Buildup May Be Why Your Brain Feels Tired / TheScientist

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乳がんの予後、右側と左側で異なる?

 乳がんの発生率は右側より左側が多いと報告されているが、予後や術前補助化学療法への反応に違いはあるのだろうか。今回、米国・University of North CarolinaのYara Abdou氏らが左側乳がんと右側乳がんの予後や臨床病理学的、遺伝学的特性の違いを調査したところ、左側乳がんは右側乳がんと比べて遺伝子プロファイルが増殖的で、術前補助化学療法への奏効率が低く、予後がやや不良であることが示された。Scientific Reports誌2022年8月4日号に掲載。左側乳がんは右側乳がんより多いが臨床病理学的な違いは認められない 乳がんの側性に関しては、約80年前(1940年)に初めて左側乳がんの頻度が高いことが報告され、その後も一貫して左側乳がんのほうがわずかに高いことが報告されている。しかし、根本的な特徴の違いは十分に検討されておらず、その原因についても仮説として、左乳房が大きいこと、右利き女性の左側乳がんの早期発見、右母乳育児などがあるが証明されていない。 著者らは、Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースに1988~2015年に登録された乳がん患者88万1,320例(男性、18歳未満、両側乳がん、DCIS、Stage IV、Stage不明、生存患者を除く)の生存期間と臨床的特徴を調べた。また、Cancer Genome Atlas(TCGA)を用い、1,062例の遺伝子および臨床的特徴を探索した。さらにRoswell Park Comprehensive Cancer Centerで2009~13年に術前補助化学治療を受けた155例の単施設コホートでの後ろ向き調査を実施し、病理学的完全奏効(pCR)による特性をまとめた(pCRはypT0/isN0と定義)。 左側乳がんと右側乳がんの予後の違いなどを調査した主な結果は以下のとおり。・左側乳がんは右側乳がんより多かった(SEER:50.8% vs.49.2%、TCGA:52.0% vs.48.0%、単施設:50.3% vs.49.7%)。・左側乳がんと右側乳がんに臨床病理学的な違いは認められなかった。・SEERコホートでは、左側乳がんは右側乳がんに比べ、悪性度、Stage、腫瘍サブタイプの調整後も全生存が不良であった(ハザード比:1.05、95%信頼区間:1.01~1.08、p=0.011)。TCGAコホートおよび単施設コホートでは全生存に有意差は認められなかった。・G2Mチェックポイント、有糸分裂紡錘体、E2Fターゲット、MYCターゲットなどの細胞増殖および細胞周期関連遺伝子は、左側乳がんにおいて右側乳がんより有意に濃縮されていた。・術前補助化学治療を受けた155例の単施設コホートにおいて、左側乳がんは右側乳がんよりpCR率が低かった(15.4% vs.29.9%、p=0.036)。

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統合失調症の抗精神病薬治療、持続性注射剤と経口剤による臨床アウトカムの比較

 抗精神病薬の長時間作用型持続性注射剤(LAIA)と経口剤(OA)の比較において、臨床アウトカムの改善を評価したエビデンスは、アジア人集団および、65歳超の高齢者、物質使用障害患者、LAIAによる早期治療開始患者などの特定の集団に限られていた。中国・香港大学のYue Wei氏らは、香港の統合失調症患者を対象に、LAIAおよびOAの使用に関連する疾患再発、ヘルスケアの利用、有害事象のリスクについて比較を行った。その結果、LAIAはOAと比較し、有害事象リスクを増加させることなく、疾患再発および入院のリスクを低下させることが示唆された。著者らは、中国の統合失調症患者の治療において、とくに疾患の初期段階からLAIAの長期使用を検討する必要があると報告している。JAMA Network Open誌2022年7月1日号の報告。 2004~19年に統合失調症と診断され、LAIAまたはOAを処方された患者を、Clinical Database Analysis and Reporting System of the Hong Kong Hospital Authorityより特定した。データの分析は2021年5月~8月に実施した。主要アウトカムは、疾患再発(精神疾患による入院、統合失調症による入院、自殺企図)、ヘルスケアの利用(すべての原因による救急科受診および入院)、有害事象(身体症状症による入院、心血管疾患による入院、錐体外路症状)のリスクとした。LAIA治療期間とOA治療期間のアウトカムを比較するため、ポアソン回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者7万396例(女性:3万7,200例[52.8%]、平均年齢:44.2±15.8歳)のうち、2万3,719例(33.7%)がLAIAとOAの両方を処方されていた。・LAIA治療期間は、OA治療期間と比較し、以下のリスクが低かった。 ●すべての原因による入院(2万973例、発生率比[IRR]:0.63、95%CI:0.61~0.65) ●精神疾患による入院(1万9,283例、IRR:0.52、95%CI:0.50~0.53) ●統合失調症による入院(1万8,385例、IRR:0.53、95%CI:0.51~0.55) ●自殺企図の発生(1,453例、IRR:0.56、95%CI:0.44~0.71)・LAIAのみで治療を行った患者は、OAのみで治療された患者と比較し、以下の有害事象が低下した。 ●身体症状症による入院(1万5,396例、IRR:0.88、95%CI:0.85~0.91) ●心血管疾患による入院(3,710例、IRR:0.88、95%CI:0.81~0.96) ●錐体外路症状(2万2,182例、IRR:0.86、95%CI:0.82~0.91)・救急科受診のリスクに、有意な差は認められなかった。・高齢患者および物質使用障害患者においても90日超の治療期間に同様の関連が認められたが、LAIA使用開始90日までの高齢患者では錐体外路症状リスクのみ増加が認められた。・LAIAを早期に開始した患者は、後期に開始した患者と比較し、これらのアウトカムイベントが有意に低かった。

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埼玉県の熱中症リスクを把握する

 埼玉県環境科学国際センターは、GIS(地理情報システム)ソフトウェア国内最大手の ESRIジャパンのクラウドサービス ArcGIS Online を利用した暑さ指数(WBGT)の公開を開始した。県内20ヵ所の観測地点から約10分ごとに得られたデータはPCなどで簡単に見られるように地図化してウェブサイトで公開している。 埼玉県は全国的に見ても夏季に高温になる地域で、熱中症リスクが高まる。しかし、県内の熱中症のリスクには地域差がある。そこで、同センターが独自開発した暑さ指数計を用い、暑さ指数観測データをウェブサイトに掲載して、熱中症リスクを県内の地域ごとに把握できるようにしたもの。 ウェブサイトで簡単に熱中症リスクを把握できるようにするために、暑さ指数を観測し、インターネット経由でリアルタイムに情報収集が可能な観測装置(進化する百葉箱)を独自開発。進化する百葉箱で観測した暑さ指数を同センターのウェブサイト(PC 用とスマートフォン用)で公開している。ウェブサイトではWeb マップに各観測地点の現在の暑さ指数を表示する。また、PC 用のウェブサイトでは各観測点を選択するとその地点の暑さ指数の時間変化が表示される。情報提供期間は、2022年8月5日から9月中旬を予定している。

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HER2変異非小細胞肺がんへのトラスツズマブ デルクステカン、FDAが迅速承認

 FDA(米国食品医薬品局)は2022年8月11日、転移を有する既治療のHER2変異非小細胞肺がん (NSCLC) の成人患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン (製品名:エンハーツ)を迅速承認した。エンハーツはHER2変異非小細胞肺がんへの初の薬剤承認となる 今回のエンハーツの迅速承認は、多施設無作為盲検用量最適化試験であるDESTINY-Lung02に基づいたもの。 FDAはコンパニオン診断としてOncomin Dx Target Test(組織)と Guardant Guardant360 CDx(血漿)をエンハーツと同時に承認している。

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痛風発作、心血管イベントの一過性の増加と関連/JAMA

 痛風患者では、心血管イベントの経験者は非経験者と比較して、イベント発生前の0~120日以内に痛風発作を発症する確率が有意に高く、痛風発作後の心血管イベントの一過性の増加と関連する可能性があることが、英国・ノッティンガム大学のEdoardo Cipolletta氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年8月2日号に掲載された。イングランドの後ろ向き観察研究 研究グループは、痛風発作が痛風患者における心血管イベントのリスクを一過性で増加させるとの仮説の検証を目的に、後ろ向き観察研究を行った(ノッティンガム大学などの助成を受けた)。 解析には、1997年1月1日~2020年12月31日の期間にイングランドのClinical Practice Research Datalinkに登録された電子健康記録(EHR)のデータが用いられた。 観察期間中に痛風を発症した患者を対象に多変量コホート内症例対照研究(nested case-control study)を行い、痛風発作と心血管イベントを有する患者において、季節と年齢を補正した自己対照ケースシリーズ(self-controlled case series)による解析を実施した。 痛風発作は、次の3つの要件のうち1つ以上を満たす場合と定義された。(1)総合診療医の記録で痛風発作の診断コードの記載、(2)退院時の診断で、痛風による入院の記述、(3)プライマリケア施設で痛風と診断され、その日に非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはグルココルチコイド、コルヒチンを処方されている。 主要アウトカムは、心血管イベント(急性心筋梗塞、脳卒中)とされた。痛風発作後0~60日に、心血管イベントリスクが最も高い 新規に痛風と診断された6万2,574例(平均年齢76.5歳、男性69.3%)がコホート内症例対照研究に含まれた。このうち1万475例が心血管イベントを発症し、残りの5万2,099例(マッチさせた対照)は心血管イベントを伴わない痛風患者であった。 心血管イベントを発症した痛風患者は、これを伴わない痛風患者に比べ、痛風発作の確率が、過去0~60日以内(204/1万475例[2.0%]vs.743/5万2,099例[1.4%]、補正後オッズ比[OR]:1.93、95%信頼区間[CI]:1.57~2.38)、過去61~120日以内(170/1万475例[1.6%]vs.628/5万2,099例[1.2%]、1.57、1.26~1.96)の双方で有意に高かった。 これに対し、過去121~180日以内の痛風発作の確率は、心血管イベント発症痛風患者と非発症痛風患者で有意な差はなかった(148例[1.4%]vs.662例[1.3%]、補正後OR:1.06、95%CI:0.84~1.34)。 一方、自己対照ケースシリーズ(1,421例)では、1,000人日当たりの心血管イベントの割合は、痛風発作前の150日以内または発作後181~540日が1.32(95%CI:1.23~1.41)であったのに比べ、痛風発作後0~60日は2.49(2.16~2.82)、61~120日は2.16(1.85~2.47)、121~180日は1.70(1.42~1.98)と、高い値を示した。 また、痛風発作前の150日以内または発作後181~540日と比較して、痛風発作後0~60日以内における1,000人日当たりの心血管イベントの罹患率の差は1.17(95%CI:0.83~1.52)で、補正後罹患率比(IRR)は1.89(95%CI:1.54~2.30)であり、痛風発作後61~120日では、それぞれ0.84(95%CI:0.52~1.17)/1,000人日および1.64(95%CI:1.45~1.86)、121~180日では0.38(0.09~0.67)/1,000人日および1.29(1.02~1.64)であった。 著者は、「痛風は、NLRP-3インフラマソームの活性化に起因する好中球が豊富な急性炎症で特徴づけられる。好中球性炎症は、動脈硬化性プラークの不安定性や破綻をもたらす。プラーク内の活性化した炎症細胞は、メタロプロテイナーゼやペプチダーゼなどの宿主応答タンパク質のアップレギュレーションを引き起こし、酸化ストレスを促進するが、これらはすべてプラークの不安定化に寄与する。これは、心血管イベントと直近の痛風発作との関連の説明となる可能性がある」と指摘している。

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ウパダシチニブ、体軸性脊椎関節炎の症状を改善/Lancet

 活動性のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の治療において、ヤヌスキナーゼ阻害薬ウパダシチニブはプラセボと比較して、疾患の徴候と症状を有意に改善し、有害事象の発生率は同程度であることが、米国・オレゴン健康科学大学のAtul Deodhar氏らが実施した「SELECT-AXIS 2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年7月30日号で報告された。23ヵ国の無作為化第III相試験 SELECT-AXIS 2試験は、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の治療におけるウパダシチニブの有効性と安全性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年11月~2021年5月の期間に、日本を含む23ヵ国113施設で参加者の登録が行われた(AbbVieの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、臨床的に活動性の、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎と診断され、国際脊椎関節炎評価学会(Assessment of Spondyloarthritis International Society:ASAS)の2009年の分類基準を満たし、仙腸関節のMRIで活動性の炎症の徴候が1つ以上認められるか、高感度C反応性蛋白が正常上限値(2.87mg/L)を超えている、あるいはこれら双方がみられる患者であった。強直性脊椎炎の改訂ニューヨーク基準のX線基準を満たす患者は除外された。 被験者は、ウパダシチニブ(15mg、1日1回、経口)またはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、二重盲検下に52週間の投与を受けた。その後、プラセボ群を含む全例に、非盲検下でウパダシチニブ(15mg、1日1回、経口)を52週間投与する継続試験が行われた。 今回の解析の主要エンドポイントは、14週の時点でASAS40(ASAS基準でベースラインから40%の改善)を達成した患者の割合とされた。解析は、最大の解析対象集団(無作為割り付けの対象となり、試験薬の投与を少なくとも1回受けた全患者)で実施された。14週時ASAS40達成割合:45% vs.23% 313例(平均年齢42.1歳、女性59%、平均症状持続期間9.1年、平均診断後経過期間4.4年)が登録され、ウパダシチニブ群に156例、プラセボ群に157例が割り付けられた。295例(94%)(ウパダシチニブ群145例、プラセボ群150例)が14週間の投与を完遂した。 14週時にASAS40を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ群が45%(70/156例)と、プラセボ群の23%(35/157例)に比べ有意に優れた(群間差:22%、95%信頼区間[CI]:12~32、p<0.0001)。 また、14週時のASAS20(p<0.0001)、ASAS PR(部分寛解)(p=0.0035)、BASDAI50(Bath Ankylosing Spondylitis Disease Activity Indexのベースラインから50%以上の改善)(p=0.0001)も、ウパダシチニブ群で有意に良好であった。 さらに、14週時の全背部痛(p=0.0004)、夜間背部痛(p=0.0001)、BASFI(Bath Ankylosing Spondylitis Functional Index)(p<0.0001)、ASQoL(Ankylosing Spondylitis Quality of Lifeスコア)(p<0.0001)なども、ウパダシチニブ群で有意に改善した。 14週時の有害事象の発生率は両群で同程度であり、ウパダシチニブ群が48%(75/156例)、プラセボ群は46%(72/157例)であった。重篤な有害事象は、ウパダシチニブ群が3%(4例)、プラセボ群は1%(2例)で発現し、試験薬の投与中止の原因となった有害事象も、それぞれ3%(4例)および1%(2例)で認められた。 重篤な感染症は、ウパダシチニブ群が1%(2/156例)、プラセボ群は1%(1/157例)で発現し、帯状疱疹もそれぞれ1%(2例)および1%(1例)でみられた。好中球減少の発生率は、それぞれ3%(5例)および0%だった。また、ウパダシチニブ群では、日和見感染症や悪性腫瘍、主要有害心血管イベント、静脈血栓塞栓症、死亡の報告はなかった。 著者は、「これらの知見は、ウパダシチニブが活動性のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の新たな治療選択肢となる可能性を支持するものである」としている。

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第112回 世界の科学論文、中国が世界一に、日本は低落傾向明らかに/文科省

<先週の動き>1.世界の科学論文、中国が世界一に、日本は低落傾向明らかに/文科省2.コロナ検査キット、インターネットでの販売を審議/厚労省3.看護職員らの処遇改善、今年10月から/中医協4.マイナ保険証、追加負担引き下げ、10月から新たな加算へ/厚労省5.特定保健指導の見直し、アウトカム評価を導入へ6.海外で腎移植、臓器売買で入手か、術後に日本人が重篤に1.世界の科学論文活動、中国が世界一に、日本は低落傾向明らかに/文科省文部科学省の科学技術・学術政策研究所は、8月9日に日本の科学技術活動について、研究開発費、研究開発人材、高等教育と科学技術人材、研究開発のアウトプット、科学技術とイノベーションの5つのカテゴリー分類で評価した「科学技術指標」を公表した。これによると、日本の研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の7ヵ国)中第3位であるが、日本の論文数(分数カウント法)は世界第4位から第5位へ、注目度の高い論文数のうち引用上位1%に入るトップ論文数は第9位から第10位と低下し、いずれもインドに抜かれたことが明らかとなった。また、トップ1%補正論文数で中国が初めて米国を上回り、世界第1位となった。日本の博士号取得者数は2006年度をピークに減少傾向にあり、韓国、中国、米国では2000年度と最新年度で比較すると2倍以上になっていることと対照的な結果となっている。(参考)「科学技術指標2022」 [調査資料-318]論文被引用率、中国が世界1位に…日本は?(日刊工業新聞)中国、最上位論文数も世界一 日本の低落傾向続く―文科省(時事通信)中国、科学論文で世界一 「質」でも米抜き3冠(日経新聞)2.コロナ検査キット、インターネットでの販売を審議/厚労省厚生労働省は、8月10日に開催された新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいて、新型コロナウイルスの抗原定性検査キットのOTC化について説明をした。これまで専門家から提言もあり、「医療現場への供給を優先することを前提にOTC化の検討を進める」として、具体的な検討を進めることとした。なお、キットのメーカーの在庫は8月1日時点で、約1.65億回分あり、自治体や医療機関、薬局に対して在庫に余裕のある製品への切り替えを依頼している。今後は、8月17日の厚生労働省の審議会において議論を進める見込み。(参考)抗原定性検査キットの確保などについて(新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード)コロナ抗原検査キットのネット販売、検討表明 厚労省(日経新聞)コロナ検査キットのネット販売、17日審議 厚労相表明(同)3.看護職員らの処遇改善、今年10月から/中医協厚生労働省は、8月10日に中医協総会を開催した。看護職員の賃金を引き上げる答申を行った。賃上げ対象となる病院の条件は、救急医療管理加算の届け出施設で、救急搬送を年200台以上受け入れる医療機関、あるいは三次救急病院。これらに勤務する看護師や助産師らが対象。詳しい内容は9月上旬に官報で告示される。(参考)個別改定項目について(中医協総会)看護職員処遇改善評価料を答申、10月開始(日経ヘルスケア)【看護職員処遇改善評価料】を答申、病院ごとの看護職員数・入院患者数に応じた点数を設定-中医協総会(2)(Gem Med)看護職員処遇改善評価料、最大で1日340点に 165通りの点数設定、中医協が答申(CB news)4.マイナ保険証、追加負担引き下げ、10月から新たな加算へ/厚労省厚生労働省は8月10日に中央社会保険医療協議会(中医協)の総会を開催し、マイナンバーカードを健康保険証に代用した患者に上乗せされてきた追加の医療費負担が、今年10月から引き下げられることとなった。逆に、マイナンバーカードの代わりに、従来の健康保険証を利用した際は自己負担が9円から12円に引き上げられる。(参考)マイナンバーカードの健康保険証 追加の医療費負担軽減へ(NHK)医療DXの推進で「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設-10月改定(医事新報)現行の電子加算を廃止し、医療情報・システム基盤整備体制充実加算を新設(医療経営研究所)5.特定保健指導の見直し、アウトカム評価を導入へ厚生労働省の「第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」のワーキンググループは特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法について、取りまとめを12日に公表した。この中で、特定保健指導の成果を重視したアウトカム評価の導入すべきであり、あわせてプロセス評価(保健指導実施の介入量の評価)も併用して評価するとした。また「見える化」の推進やICTを活用した特定保健指導の推進も行うとした。(参考)特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等について(議論のまとめ)特定保健指導の見直し、WGで取りまとめ アウトカム評価を導入(Medifax)6.海外で腎移植、臓器売買で入手か、術後に日本人が重篤に東京都内のNPO法人が海外での生体腎移植手術を仲介し、移植手術後に重篤な状態になっていたことが明らかとなった。ドナー(臓器提供者)は経済的困窮を抱えるウクライナ人で、他のルートから同様に移植手術を受けていたイスラエル人は死亡していた。このため当初は4人が腎移植を受ける予定だったが、残りの日本人への手術は中止された。日本国内の腎移植は家族が臓器提供を行わない場合は、待機期間が14年と長く、ドナー不足のため海外での移植を希望する患者も多く、今回は氷山の一角と言える。今後、海外での臓器売買に対する批判の高まりもあり、国内での臓器移植推進のために新たな方策が望まれる。(参考)海外での移植手術で臓器売買か、都内NPOが仲介…術後に日本人患者が重篤に(読売新聞)臓器売買疑惑のNPO「貧乏な人から買ったと言われる」…虚偽のドナー脳死証明書も用意(読売新聞)国内の腎移植は「14年待ち」、深刻なドナー不足…海外で移植希望する患者も(読売新聞)

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急性期脳梗塞、血栓回収術単独療法の非劣性は確認されず/Lancet(解説:中川原譲二氏)

 脳主幹動脈閉塞に起因する急性期脳梗塞に対する血栓回収術単独療法の有効性については、静脈内アルテプラーゼ+血栓回収術(併用療法)と比較して、その非劣性は確認されず、単独療法による再灌流の成功率が有意に低いことが、Urs Fischerらのthe SWIFT DIRECT Collaboratorsによる無作為化非劣性試験によって示された。研究の詳細は、Fischer U, et al. Lancet. 2022;400:104-115.で報告された。多施設無作為化非盲検評価者盲検試験で検証 欧州とカナダで行われたこの多施設無作為化非盲検評価者盲検試験では、血栓回収術のデバイスとして、ソリティア ステント レトリーバーが用いられ、有効性の主要エンドポイントは、治療後90日の時点での修正Rankin scale(mRS)スコア0~2点の達成とされ、血栓回収術単独治療の併用療法に対する非劣性が評価された(Mantel-Haenszel リスク差の片側95%信頼区間[CI]の下限12%を非劣性マージンとした)。主な安全性評価項目は、すべての症候性頭蓋内出血とされた。血栓回収術単独療法の非劣性は確認されず 2017年11月29日から2021年5月7日までの間に、5,215例の患者がスクリーニングされ、423例がランダムに割り当てられた。そのうち408例(201例は血栓回収術単独療法、207例は併用療法)が、主要な有効性の分析に含まれた。血栓回収術単独療法に割り当てられた201例のうち114例(57%)が、併用療法に割り当てられた207例のうち135例(65%)が、治療後90日の時点でのmRSスコア0~2に達した (調整リスク差-7.3%、95%CI:-16.6~2.1、片側95%CIの下限-15.1%、-12%の非劣性マージンを超える)。症候性頭蓋内出血は、血栓回収術単独療法201例のうち5例(2%)、併用療法202例のうち7例 (3%)に発生した(リスク差-1.0%、95%CI:-4.8~2.7)。再灌流の成功率は、血栓回収術単独療法で少なかった(単独療法201例のうち182例(91%)vs.併用療法207例のうち199例(96%)、リスク差-5.1%、95%CI:-10.2~0.0、p=0.047)。血栓回収術前の血栓溶解療法の除外に利益なし 著者らの無作為化非劣性試験によって、脳主幹動脈閉塞に起因する急性期脳梗塞に対する血栓回収術単独療法の有効性については、静脈内アルテプラーゼ+血栓回収術(併用療法)と比較して、その非劣性は確認されず、単独療法による再灌流の成功率が有意に低いことが明確となった。以上より、適格患者に対して血栓回収術前の血栓溶解療法を除外することは、再灌流の成功率の低下につながることから、推奨されないと結論付けられた。 本試験と同時に報告されたTrevoデバイスを用いた「DIRECT-SAFE試験」(Mitchell PJ, et al. Lancet. 2022;400:116-125.)のサブグルーブ解析(アジア地域の患者)においても、同様の結果が認められ、著者であるPeter J. Mitchell氏は、「この試験で得られた付加的エビデンスは、血栓回収術前の血栓溶解療法を除外することによる利益を示すエビデンスはない(とくにアジア地域の患者で)との結論を支持するものである」としている。 これらの新たな知見は、今後の脳梗塞治療ガイドラインの改訂に際して、併用療法を標準治療として推奨するための有益な根拠になると考えられる。

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実は変わってますよ! WHOの「がん疼痛ガイドライン」【非専門医のための緩和ケアTips】第33回

第33回 実は変わってますよ! WHOの「がん疼痛ガイドライン」今日は緩和ケアにおけるメジャートピックである、がん疼痛に対する鎮痛アプローチのお話です。皆さんはWHOの「がん疼痛ガイドライン」って、聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?この中の「WHOラダー」は、実際の臨床に活用している方も多いと思います。実は最近このアプローチが大きく変わってきているので、一緒に学んでいきましょう。今日の質問がん疼痛における基本指針といえば、WHOラダーですよね。私も長年、ラダーに従って実践してきたのですが、最近、変更があったと聞きました。どういった点が変更されたんでしょうか?ご質問者のおっしゃる通り、WHOのがん疼痛治療が変更になりました。そして私たち、長年緩和ケアに関わってきた医療者にとって非常になじみ深かった、「WHOラダーの推奨」が削除されることになりました。え! と思われた方も多いかもしれませんので、その背景をお話ししていきましょう。1990年代から2000年代に緩和ケアを学んだ方は「がん疼痛といえばWHOラダー!」と教わったと思います。「がん疼痛を見たら、まずはNSAIDsを使用し、弱オピオイドを導入、その後は強オピオイドを用いる」というアプローチです。この「ステップを踏んでいく」のが、ラダー(梯子)の名称たるゆえんです。ただ、最初から強い痛みを訴えるがん患者さんに対し、ラダー通りに「手順を踏む」よりも、最初から強いオピオイドを使用したほうがよいのでは? というのは長く議論されていた点でした。そして、2019年にがん疼痛のWHOガイドラインが改定され、従来の「がん疼痛の5原則」から「ラダーに基づいて」の項目が削除され、4原則となりました。この変更はわれわれにとってどういった意味を持つのでしょうか? ここからは私見になりますが、「今まで以上に、個別の患者さんごとに、最適ながん疼痛への対応が求められる」のだと感じます。「ラダーに従えば、次は弱オピオイドなので、とりあえずそれで処方しよう」といった実践ではなく、痛みの程度や経過の予測を踏まえて、適切な介入が求められているのだと思います。緩和ケアに関わるほとんどの方が耳にしてきた「WHOのガイドライン」もこうして時代に合わせて改定されます。目の前の患者さんにベストの治療を提供するためにわれわれもアップデートしていく必要性を感じます。今回のTips今回のTipsWHOのがん疼痛への鎮痛アプローチが変更されています。これまで以上に個別の患者さんごとに、最適ながん疼痛への対応が求められるでしょう。

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術前化学療法におけるHER2低発現乳がんの特徴

 術前化学療法におけるHER2低発現乳がんの臨床像、病理学的完全奏効(pCR)、予後について後ろ向きに評価したところ、ホルモン受容体(HR)の有無により臨床像や治療への奏効が異なることが示された。中国・鄭州大学人民病院のYingbo Shao氏らが、Annals of Surgical Oncology誌オンライン版2022年8月6日号で報告。HER2の発現がHR+乳がんにおける病理学的完全奏効の独立した予測因子 本研究では、2017年1月~2019年12月に術前化学療法を受けたHER2陰性乳がん患者314例をHER2低発現患者とHER2ゼロ患者の2群に分け、後ろ向きに評価した。 術前化学療法におけるHER2低発現乳がんの臨床像、病理学的完全奏効、予後について評価した主な結果は以下のとおり。・HR陽性(HR+)乳がん患者におけるHER2低発現患者の割合は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における割合より高かった。・HR+乳がん患者において、HER2低発現患者はHER2ゼロ患者に比べてリンパ節転移が少なく(p=0.023)、Stageが早期だった(p=0.015)。ただし、TNBC患者においてはHER2低発現患者のStageが進行していた(p=0.028)。・病理学的完全奏効をypTis/0ypN0と定義した場合、コホート全体、HR+乳がん、TNBCで、HER2低発現患者とHER2ゼロ患者の病理学的完全奏効率に差はなかった。しかし、病理学的完全奏効をypT0ypN0と定義した場合の病理学的完全奏効率は、コホート全体(24.3% vs.36.4%、p=0.032)およびHR+患者(18.7% vs.32.1%、p=0.035)において、HER2低発現患者においてHER2ゼロ患者より有意に低かった。・多変量解析により、HER2の発現(低発現vs.ゼロ) が、HR+乳がんにおける病理学的完全奏効の独立した予測因子であることが示された(p=0.013)。・コホート全体、HR+乳がん、TNBCにおいて、HER2低発現患者と HER2ゼロ患者で、3年無病生存期間と全生存期間に統計学的有意差は認められなかった。

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TROP2を標的としたADC(DS-1062)の非小細胞肺がんに対する第Ib相試験の結果を世界肺がん学会(WCLC2022)で発表/第一三共

 第一三共とアストラゼネカは、再発・進行非小細胞肺がん患者(NSCLC)を対象とした、TROP2に対する抗体薬物複合体(ADC)DS-1062(Dato-DXd)とペムブロリズマブの併用の第Ib相臨床試験TROPION-Lung02の中間解析データを世界肺学会(WCLC2022)で発表した。DS-1062関連と判定された間質性肺疾患は4例 同試験は、actionableな遺伝子変異のない再発・進行NSCLC約120例を対象に、DS-1062とペムブロリズマブの2剤併用療法と、DS-1062、ペムブロリズマブ、プラチナ製剤の3剤併用療法の安全性および有効性を評価するグローバル第Ib相臨床試験である。 DS-1062とペムブロリズマブの2剤併用群およびDS-1062、ペムブロリズマブ、プラチナ製剤の3剤併用群におけるGrade3以上の有害事象はそれぞれ40%と60%にみられた。また、DS-1062関連と判定された間質性肺疾患は4例で、内訳はGrade1が1例、Grade2が1例、Grade3が2例であった。 全患者集団における客観的奏効率(ORR)は、2剤併用群38例において37%、3剤併用群37例において41%であり、病勢コントロール率(DCR)は、両群ともに84%であった。また、前治療歴のない対象患者のORRは、2剤併用群(13例)で62%、3剤併用群(20例)で50%であり、DCRそれぞれ100%と90%であった。

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幼児のいる親はコロナ重症化リスクが低い~300万人超の分析

 米国・Kaiser Permanente Northern California(KPNC)のMatthew D. Solomon氏らが、幼児と接する機会の有無が、成人のCOVID-19重症化リスクに影響するかどうかを、300万人超の大規模なリアルワールドデータで調査した。その結果、家に0~5歳の幼児がいる成人では、家に幼児がいない成人に比べて重症化率が有意に低いことが報告された。これまで、小児では、過去のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの曝露による交差免疫が、COVID-19の重症化予防に寄与している可能性が示唆されている。そこで、5歳未満の幼児のいる成人ではウイルスへの曝露機会が増加することから、成人のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの交差免疫の有無を小児との接触と推定して、コロナ重症化リスクを評価することにした。Proc Natl Acad Sci USA誌2022年8月16日号に掲載。幼児のいる成人に比べコロナによる入院率が子供不在群は有意に高かった 本調査の対象は、2019年2月1日~2021年1月31日にKPNCデータベースに登録されていて、2020年2月1日時点で18歳以上の成人312万6,427人。家に0~5歳(最年少の子の年齢)の幼児がいる成人(27万4,316人)を研究群とし、対照群を6~11歳の子供がいる成人(21万1,736人)、12~18歳の子供がいる成人(25万7,762人)、家に子供のいない成人(238万2,613人)とした。研究群と3つの対照群をそれぞれ1:1に割り付け、年齢・糖尿病や高血圧の有無・BMIなどのCOVID-19重症化リスク因子で調整した。主要評価項目は、PCR検査によるSARS-CoV-2感染の確認、COVID-19による入院、COVID-19によるICU利用で、フォローアップは2020年2月1日~2021年1月31日まで行われた。 幼児のいる成人のコロナ重症化リスクを評価した主な結果は以下のとおり。・各群の子供の年齢が上がるほど、成人の平均年齢は上昇し(幼児群:36.2歳、6~11歳群:41.4歳、12~18歳群:44.6歳、子供不在群:50.8歳)、高血圧と糖尿病の有病率も上昇した。BMIは各群で同程度であった。・コロナ重症化リスク因子による傾向分析において、幼児群に比べ、6~11歳群および12~18歳群のSARS-CoV-2感染率は高かった(6~11歳群の発生率比[IRR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.05~1.12、p<0.0001、12~18歳群のIRR:1.09、95%CI:1.05~1.13、p<0.0001)。一方、SARS-CoV-2陽性者の入院率およびCOVID-19によるICU利用率に有意差は認められなかった。・幼児群に比べ、子供不在群のSARS-CoV-2感染率は低かった(IRR:0.85、95%CI:0.83~0.87、p<0.0001)。一方、SARS-CoV-2陽性者の入院率およびICU利用率は有意に高かった(入院率のIRR:1.49、95%CI:1.29~1.73、p<0.0001、ICU利用率のIRR:1.76、95%CI:1.19~2.58、p=0.0043)。 Solomon氏らは、本調査の結果により、SARS-CoV-2以外のコロナウイルス曝露による交差免疫は、COVID-19の重症化を抑制する可能性があるとまとめている。

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コロナ関連死リスク、BA.1株はデルタ株より低い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低い。英国・Office for National StatisticsのIsobel L. Ward氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていた。しかし、オミクロン株とデルタ株で、死亡診断書から特定されるCOVID-19関連死のリスクを比較した研究は不足していた。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。死亡診断書で特定したCOVID-19関連死について解析 研究グループは2021年12月1日~30日の期間に、国民保健サービス(NHS)Test and Trace(Pillar 2)のPCR検査が陽性で、Lighthouse研究所における分析にてオミクロンBA.1またはデルタ株の感染が確定し、国家統計局(ONS)公衆衛生データ資産にリンクできた18~100歳の103万5,149例(2021年12月の検査陽性成人全体の約44%)を解析対象とした。 主要評価項目は、死亡診断書で特定されたCOVID-19関連死で、性別、年齢、ワクチン接種状況、感染歴、感染日、民族、貧困状態(複数の剥奪指標のランク)、世帯貧困、学位、キーワーカーの状況、出生国、主要言語、地域、障害、併存疾患で調整した死因別Cox比例ハザードモデル(COVID-19関連死以外の死亡は打ち切りとする)を用いて解析した。また、変異株と、性別、年齢、ワクチン接種状況、併存疾患との交互作用についても検討した。オミクロンBA.1によるCOVID-19関連死のリスクは、デルタ株より66%低下 潜在的な交絡因子を調整したCOVID-19関連死のリスクは、デルタ株と比較してオミクロンBA.1で66%低下した(ハザード比[HR]:0.34、95%信頼区間[CI]:0.25~0.46)。デルタ株と比較したオミクロン株のCOVID-19関連死リスクの低下は、18~59歳(死亡数:デルタ株46例vs.オミクロン株11例、HR:0.14[95%CI:0.07~0.27])において、70歳以上(113例vs.135例、0.44[0.32~0.61]、p<0.0001)より顕著であった。変異株と併存疾患数との間にリスク差は確認されなかった。 著者は、すべてのSARS-CoV-2感染者が対象ではないこと、病院での検査(NHS Pillar 1)でCOVID-19変異株を特定したデータを利用できず症例数が少ないことなどを研究の限界として挙げた上で、今回の結果は「デルタ株と比較してオミクロンBA.1では、入院に関して重症化リスクが低いことを示唆する以前の研究を裏付けるものである」と述べている。

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早期パーキンソン病、α-シヌクレインに対するprasinezumabは効果なし/NEJM

 パーキンソン病の発症に重要な役割を担っているα-シヌクレインの凝集化を標的とするモノクローナル抗体prasinezumabは、プラセボと比較してパーキンソン病の進行に関して全般評価や画像評価に意味のある効果を示さず、注入に伴う反応(インフュージョンリアクション)が認められたことが、スイス・Roche Innovation Center BaselのGennaro Pagano氏らにより欧州および米国の57施設で実施された第II相無作為化比較試験「PASADENA試験」の結果、示された。prasinezumabは、α-シヌクレイン症のマウスモデルにおいて神経細胞内のα-シヌクレイン凝集体蓄積とシナプス減少を抑制し、第I相試験では健康成人およびパーキンソン病患者において脳への移行性と遊離血清α-シヌクレイン濃度のベースラインからの用量依存的な低下が示されていた。NEJM誌2022年8月4日号掲載の報告。prasinezumab 1,500mgまたは4,500mgの4週ごと投与をプラセボと比較 PASADENA試験の対象は、Hoehn-Yahr 重症度分類(1~5度、5度が最も重症)が1~2度で、パーキンソン病の症状に対する治療歴のない早期パーキンソン病患者である。モノアミン酸化酵素B[MAO-B]阻害薬の安定用量の投与を受けている患者は、登録可(MAO-B阻害薬を継続)とした。対象をprasinezumabの1,500mg群、4,500mg群またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、4週ごとに52週間静脈内投与した。 主要評価項目は、運動障害疾患学会パーキンソン病統一スケール(MDS-UPDRS)のパートI~IIIの合計スコア(範囲:0~236、スコアが高いほど障害が大きい)の、ベースラインから52週までの変化量とした。 副次評価項目は、MDS-UPDRSパートI~IIIの各パートスコアのベースラインから52週までの変化量、123I-イオフルパンSPECTで評価した線条体結合比(striatal binding ratio:SBR)、モントリオール認知評価(MoCA)スコア、臨床全般印象度改善度(CGI-I)スコア、患者による全般印象度改善度(PGI-C)などとした。 計316例が登録され、プラセボ群105例、prasinezumab 1,500mg群105例、4,500mg群106例に割り付けられた。MDS-UPDRSスコアや線条体結合比の変化量に有意差なし ベースラインの平均MDS-UPDRSスコアは、プラセボ群32.0、1,500mg群31.5、4,500mg群30.8で、ベースラインから52週までの平均変化量(±SE)は、プラセボ群9.4±1.2、1,500mg群7.4±1.2(プラセボ群との差:-2.0、80%信頼区間[CI]:-4.2~0.2、p=0.24)、4,500mg群8.8±1.2(-0.6、-2.8~1.6、p=0.72)であった。 SBRのベースラインから52週までの変化量は、実薬群とプラセボ群との間に大きな差はなく、副次評価項目のほとんどが実薬群とプラセボ群とで類似していた。 有害事象の発現率はプラセボ群82.9%、1,500mg群93.3%、4,500mg群91.5%、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ4.8%、6.7%、7.5%であった。インフュージョンリアクションはそれぞれ16.2%、19.0%、34.0%に認められた。

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