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アリピプラゾール月1回製剤の治療継続率~4年間のフォローアップ調査

 治療継続性とは、処方されたとおりに薬物治療を継続する行為を指し、患者または医師の薬物治療に対する有効性、忍容性、受容性の判断材料となる。統合失調症患者は、抗精神病薬の継続率が低いことが多く、その要因として、効果不十分または無効、副作用、アドヒアランス不良などが挙げられる。このことは多くの場合、薬物治療だけでなく全体的な介入が有効であり、許容性、公正性、合理性、適切性、治療への期待が治療継続に影響すると考えられる。治療継続率が低いとされる統合失調症患者に対するアリピプラゾール月1回製剤(AOM)による治療は、イタリアの実臨床下でも用いられており、その研究では6ヵ月間の治療継続率が86%と比較的高いことが報告されている。 イタリア・シエナ大学のAndrea Fagiolini氏らは、統合失調症患者に対するAOMの長期治療継続率を調査するため、平均48ヵ月間のフォローアップ調査を実施した。その結果、AOM治療を6ヵ月継続していた統合失調症患者の多くは、その後4年間にわたり治療が継続されており(69.6%)、これはAOMの有効性、忍容性、受容性の良好なプロファイルに起因している可能性が示唆された。Annals of General Psychiatry誌2022年9月29日号の報告。 6ヵ月以上の治療継続を示した統合失調症患者におけるAOMの長期治療継続率を評価するため、多施設共同レトロスペクティブ非介入フォローアップ研究を実施した。本研究には、以前の研究に参加した統合失調症患者161例が含まれており、その86%がAOMによる治療を6ヵ月以上継続していた。非継続の定義は、すべての原因による薬物治療中止とした。AOMによる治療を継続した患者(継続群)のベースライン時の人口統計学的および臨床的特徴を、非継続群と比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は39.7±12.24歳、男性の割合は64.4%であった。・AOMによる治療継続率は69.6%であり、161例中112例は、最終フォローアップ時においてもAOMによる治療を継続していた。・最終フォローアップ時におけるAOMによる平均治療期間は、継続群で55.87±6.23ヵ月(中央値:56.17ヵ月、112例)、非継続群で32.23±15.09ヵ月(中央値:28.68ヵ月、49例)であった。・すべての患者における平均フォローアップ期間は、48.78±14.64ヵ月(中央値:52.54ヵ月)であった。非継続群のフォローアップは、AOM中止時点で終了した。・AOM 400mgで治療された患者は、AOM 300mgで治療された患者と比較し、すべての原因による薬物治療中止リスクが69.6%低かった(HR:0.314、95%CI:0.162~0.608、p=0.001)。・治療中止の主な理由は、効果不十分(30.6%)、患者/介護者の判断(18.4%)、医師の判断(16.3%)、アドヒアランス不良(12.2%)、不便さ(6.1%)であった。・忍容性が原因でAOM治療を中止した患者は、3例(6.1%)のみであった。

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ブースター接種はオミクロン関連入院に有効/BMJ

 米国では2022年の当初半年間における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのブースター接種者は、オミクロン変異株関連のCOVID-19の入院について、プライマリシリーズのみ接種者を上回るベネフィットを得ていたことが、米国疾病予防管理センター(CDC)のKatherine Adams氏らによる検査陰性デザイン・ケースコントロール試験の結果、示された。ブースター接種が推奨される中で、オミクロン変異株は2021年12月26日時点でSARS-CoV-2の優勢な変異株となっており、ブースター接種の有効性に関するデータ提示が必要とされていた。BMJ誌2022年10月11日号掲載の報告。オミクロン株優勢時の入院患者対象にケースコントロール試験 研究グループは、2021年12月26日~2022年6月30日の新型コロナウイルス・オミクロン変異株が優勢だった期間に、米国内18州の21病院を通じて、急性呼吸器症状で入院した成人4,760例を対象にケースコントロール試験を行った。被験者のうち2,385例(50.1%)がCOVID-19の検査確定例(ケース群)で、2,375例(49.9%)が検査陰性のSARS-CoV-2例(コントロール群)だった。 主要なアウトカムは、コロナワクチンのプライマリ+ブースター接種者とプライマリシリーズのみ接種者のCOVID-19関連入院に関する有効性。ケース群vs.コントロール群において、それぞれのレジメンでワクチンを受けた場合とワクチン未接種の場合のオッズ比を比較しワクチンの有効性を評価した。ワクチン有効性の解析は、免疫状態(免疫能正常、免疫不全)で層別化した。主要解析は、すべての種類のコロナワクチンの組み合わせで評価し、副次解析は特定のワクチンについて評価した。免疫状態を問わず、ブースターで対COVID-19関連入院の有効性増大 全被験者4,760例の年齢中央値は64歳(四分位範囲[IQR]:52~75)で、994例(20.8%)が免疫不全だった。プライマリシリーズ+ブースター2回接種者が85例(1.8%)、プライマリシリーズ+ブースター1回接種者が1,367例(28.7%)、プライマリシリーズのみ接種者が1,875例(39.3%)、ワクチン未接種者が1,433例(30.1%)だった。 免疫能正常群において、オミクロン変異株関連COVID-19入院の予防に関するワクチンの有効性は、プライマリシリーズ+ブースター2回接種群が63%(95%信頼区間[CI]:37~78)、プライマリシリーズ+ブースター1回接種群が65%(58~71)、プライマリシリーズのみ接種群が37%(25~47)だった(プライマリシリーズのみ接種群と比較したブースターレジメンプール群のp<0.001)。 ワクチンの有効性は、ワクチンの種類別にみてもプライマリシリーズのみ接種群よりもプライマリシリーズ+ブースター接種群で高かった。BNT162b2(ファイザー製)での有効性は、ブースター2回接種群73%(95%CI:44~87)、ブースター1回接種群64%(55~72)、プライマリシリーズのみ接種群36%(21~48)だった(p<0.001)。mRNA-1273(モデルナ製)でも、それぞれ、68%(17~88)、65%(55~73)、41%(25~54)だった(p=0.001)。 免疫不全群においても、ワクチン有効性はプライマリシリーズ+ブースター1回接種群が69%(95%CI:31~86)、プライマリシリーズのみ接種群が49%(30~63)で有意差が認められた(p=0.04)。

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降圧薬はいつ服用?朝vs.就寝前でCVアウトカムを比較/Lancet

 降圧薬の服用は朝(6~10時)でも就寝前(20~24時)でも、主要心血管アウトカムは同等であることが、英国・ダンディー大学のIsla S. Mackenzie氏らによる前向き無作為化非盲検試験「TIME(Treatment in Morning versus Evening)試験」の結果、示された。先行研究では、降圧薬の服用は就寝前が朝よりもアウトカムが良好の可能性が示唆されていた。TIME試験は高血圧患者における通常降圧治療薬の就寝前服用が、朝の服用と比べて主要心血管アウトカムを改善するかどうかを検討する目的で行われたが、結果を踏まえて著者は、「患者には、望ましくない影響が最小限となるのであれば、都合の良い時間に定期的に服用可能であることをアドバイスできるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年10月11日号掲載の報告。降圧薬服用、6~10時vs.20~24時を検証 TIME試験は、18歳以上の高血圧症で、降圧薬1種以上を服用する患者を対象に、英国で行われたプラグマティックな前向き分散型並行群間比較試験。研究グループは被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け(制限、層別化、最小化はいずれもなし)、一方の群は服用中のすべての通常降圧治療薬を朝(6~10時)に、もう一方の群は就寝前(20~24時)に、それぞれ服用した。 被験者は、複合主要エンドポイント(血管死、非致死的心筋梗塞または非致死的脳卒中による入院)について追跡調査を受けた。エンドポイントは、被験者報告またはlinkage to National Health Serviceデータセットによって特定され、治療割り付けをマスクされた委員会によって評価された。 主要エンドポイントは、intention-to-treat集団(すなわち治療群に無作為に割り付けられた全被験者)における、イベント初発までの期間だった。安全性は、少なくとも1回のフォローアップ質問票に回答した全被験者で評価した。主要エンドポイント発生、両群ともに約3~4%と同等 2011年12月17日~2018年6月5日に、2万4,610例がスクリーニングを受け、2万1,104例が就寝前服用群(1万503例)、朝服用群(1万601例)に無作為に割り付けられた。試験開始時の平均年齢は65.1歳(SD 9.3)、男性1万2,136例(57.5%)、女性8,968例(42.5%)であり、白人が1万9,101例(90.5%)、黒人、アフリカ系、カリブ系、英国系黒人が98例(0.5%)だった。1,637例(7.8%)は人種不明。心血管疾患既往者は2,725例(13.0%)だった。 追跡調査は2021年3月31日まで行われ、追跡期間中央値は5.2年(四分位範囲[IQR]:4.9~5.7)。試験中断者は、就寝前服用群5.0%(529/1万503例)、朝服用群3.0%(318/1万601例)だった。 主要エンドポイントの発生は、就寝前服用群3.4%(362例、100患者年当たり0.69件[95%信頼区間[CI]:0.62~0.76])、朝服用群3.7%(390例、0.72件[0.65~0.79])で、両群で同等だった(補正前ハザード比[HR]:0.95、95%CI:0.83~1.10、p=0.53)。 安全性に関する懸念は特定されなかった。

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10月23日開催、第7回近視研究会学術集会【ご案内】

 文部科学省の2021年度「学校保健統計調査」によると、裸眼視力が0.3未満の小学生は過去40年間で、約3倍程度に増加しているという。2019年に発表された研究によれば、都内の小学校では76.5%が、中学校では94.9%が近視であり、中でも強度近視有病率が小学校、中学校でそれぞれ4%、11.3%に達していることがわかっている。世界でも、近視人口は2010年の19億5,000万人から、2050年には47億5,800万人に達し、そのうち9億3,800万人は強度近視になるという予測もある。強度近視が失明の重大なリスクとなり、増加する近視人口への対応が各国で急務となっていることから、研究や治療法の開発が進んでいる。 近視の原因は、遺伝的要因だけではなく、近年では生活習慣も関係していることが解明されてきた。とくに疫学研究に基づき1日に2時間の屋外活動をすることで、近視進行が抑制されたという報告が知られている。このような背景の中、日本国内においても、薬剤治療、光学的治療などが臨床研究として実施されており、さらには太陽光に含まれるバイオレットライトが近視進行抑制に効果的であるという研究に基づき、その背景にあるメカニズムの解明、さらには臨床応用に向けた治験なども進行している。 今回の近視研究会学術集会では近視進行予防に関する、最先端の研究内容のアップデートを網羅する。 開催概要は以下のとおり。【日時】2022年10月23日(日) 13:00~16:35【開催形式】現地およびオンラインによるハイブリッド開催※会場:慶應義塾大学三田キャンパス 北館ホール【主なプログラム】・近視疫学研究~高度近視眼の眼球形態と合併症~・強膜小胞体ストレスへの介入による近視進行制御の可能性 ・簡易視力測定アプリによる自己視力測定の重要性 ・近視進行抑制におけるバイオレットライトの可能性・Increased choroidal thinning associated with Accommodation and Retinal OFF-Pathway Overstimulation・Effect of Repeated Low-Level Red-Light Therapy for Myopia Control in Children: A Multicenter Randomized Controlled Trial【主催】近視研究会詳細はこちら:http://myopia.jp/guide/

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後見人制度~外部資料の活用例【コロナ時代の認知症診療】第20回

前回述べたように、後見人制度を使うと、自分の財産の額によって後見人に対して月々の支払いが生じる。このひと月の間に、後見制度を取り消しにしたいという2つの相談が私にクリニックにあった。いずれも資産家のご家族であり、「年間200万円以上のお金が出て行く。しかも自分が勝手に使えないから、好きな旅行にもいけない。どうにかしたい」と実に切実である。弁護士に、解消は可能なのかと尋ねてみたが、法制上かなり難しそうだ。このように後見制度に関わる問題には根深いものが多い。実際、認知症の専門学会も本制度に注目している。2022年11月の老年精神学会/認知症学会の合同大会において、後見人制度への医師の関わりとして「鑑定書作成の実際」が1つのシンポジウムのテーマになっている。介護保険認定調査結果など、外部資料はどう活用するかさて前回では、診断書作成、ランク(3類型)決定で用いることができる資料として診療録など手持ちの内部資料の意味を説明した。そこで今回は、外部資料として介護保険認定調査の結果などを説明する。まず介護保険認定調査(訪問調査)の結果である。1つのポイントは、これが医師の診療録と同様に公文書の扱いになっていることだ。周知のように介護保険の認定は、主に医師の主治医意見書と、この調査結果にもとづいて決定される。ご覧になった方も多いだろうが、この調査の内容は、第1群(身体機能・起居動作)、第2群(生活機能)、第3群(認知機能)、第4群(精神・行動障害)、第5群(社会生活への適応)、特別な医療とある。とくに第5群では、金銭管理や日常の意思決定という項目もある。それだけにこの評価結果を見れば、概要を簡潔に把握できる。ところでこの介護保険調査票の結果は見せてもらえるか? が重要である。都内のある区の介護保険課介護認定係へ確認してみた。調査対象者本人はもちろん、要介護認定の申請者でも開示請求ができる。さらに本人が亡くなった場合は法定相続人でもできるそうだ。もっとも自治体によって取扱いが異なる可能性があることには、ご留意いただきたい。なお公文書扱いではないだろうが、介護保険サービスとしてのデイサービス、デイケア等での看護・介護記録、あるいは家庭への連絡帳などが参考になるかもしれない。というのは、診断書や鑑定書の作成に役立つ他者との関係(ある意味、社会的な振る舞い)や集団の中での行動ぶりや発言内容などがときに記されているからである。また自治体によっては、介護保険主治医意見書の作成のために、当事者の実生活の状況を介護者が主治医に報告するためのシートも用意している。ここにも限られた診療時間内ではうかがい知れない情報が記載されていることがある。親が急死、財産調査の実際とは…さて、このような後見制度を使うべきタイミングを逸することも少なくない。以下は、50歳代女性の質問として聞いたものである。「7年前に母が亡くなった時に今後の遺産相続を考え、父に遺産の詳細を尋ねた。“まだ早い大丈夫”ということで教えてもらえなかった。ところがその父が最近急死した。葬儀の後、遺産の詳細を調べようとしたが、皆目、見当がつかない。どうしたらよいか?」という質問である。今さら、7年前に任意後見制度(前回紹介)など使えばよかったのに、などとは言えない。そこでこうしたことに詳しい知人に、死亡した親の財産調査についての実際を尋ねてみた。まず現金については、取引があったと思われる銀行に以下を持参して出向き、口座の有無を確認することだそうだ。1)口座名義人が亡くなったことが分かる戸籍謄本、2)手続きをする人が相続人だと分かる書類(戸籍謄本など)、3)手続きをする人の実印と印鑑登録証明書(発行より6ヵ月以内の物)。こうして口座が確認できたら、金融機関ごとに相続手続きに入る。次に証券類は? と質問したら、銀行と同様、目星をつけて問い合わせるしかないとのことであった。そのうえで、彼は「とにもかくにも1日も早く」と強調した。加えて、とくに兄弟姉妹がいる場合はかなりの時間と手間を覚悟する必要があると加えた。さて現金や証券と少し性格が異なるのが、不動産である。まず故人となった人宛てに毎年送付される固定資産税納税通知書を探し出すことだという。この通知書が見当たらない場合は、故人ゆかりの地の自治体で名寄帳を照会することになる。もっとも高齢の人なら、登記資料(権利証)を自宅の金庫や貸金庫に保管している場合もあるそうだ。しかし法務局によるこの権利証は、平成20年以降発行されていない。そして12桁のパスワードからなる『登記識別情報』の提供に変更となっている。この登記識別情報は、不動産の権利を表すのではなく、登記の申請人が登記名義人本人だと確かめる確認手段である。また権利証とは異なり、単に新規の不動産の所有者が、登記所に対し申請を行った際通知される情報にすぎない。しかし探し出すための端緒には成り得るかもしれない。いずれにせよ、遺族側は大変面倒なことだがやらねばなるまい。

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どうする円安? アルバイトしまくって○○を買おう!【医師のためのお金の話】第61回

日本円の価値がかつてないほど下がっています。今年になって日本円の実質実効為替レートは、半世紀ぶりの低水準にまで沈みました。半世紀は50年ですから、多くの人にとってこれまでの人生の中で最も日本円の価値が下がっている状況。いわゆる円安ですね。これまでであれば、円安と言われても海外旅行に行くとき以外はあまりピンと来ないものでした。しかし、身の回りのモノやサービスの値上げラッシュがここまで続くと、円安のデメリットを感じずにはいられません。何となく世間も「これ以上の円安になるとヤバくない?」という風潮に変わりつつあります。もちろん私たち医師も例外ではありません。日本円で収入を得て、日本円で支払いをして暮らしているのですから。低下しつつある日本円の価値に一抹の不安を感じます。さすがに、生活に困窮するほどの円安がいきなり現実化することはないでしょう。しかし、このまま何もせずに円安の進行を傍観しているだけで良いのでしょうか。円安対策として、私たちにできることを考えてみましょう。円安だけれど、ドルの価値も激減している2022年に入って、先進国の中では日本円の独歩安が進行しています。このため、通貨価値が下がっているのは日本だけの問題だと考えがちです。しかし実際には、世界中の通貨価値が下落し続けています。中央銀行の利上げが続いて、ドル高が進行している米国といえども例外ではありません。他の通貨に対してはドル高ですが、米国内では10%近い強烈なインフレが続いています。インフレとは、モノやサービスの価格が上昇することです。一方、モノやサービスの価値は一定であると仮定すると、ドルの購買能力は明らかに落ちています。1年前に1ドルだったスナックが今年は1ドル10セントになった場合、「スナックの価値が上がった」とは誰も思わないでしょう。スナックの品質は今も1年前も変わりません。変わったのはドルの購買能力。ドルの通貨価値が下がったのです。つまり、日本円だけでなく、ドルも含めたほぼすべての通貨の価値が下がっているのです。違いは、「どの通貨の価値がより下がったのか」という点だけです。収入を増やすのが王道世界中の通貨価値が急激に下がっている中で、私たちはどうすればよいのでしょうか。何もしなければ、どんどん貧しくなるのは自明の理です。しかし、個人レベルでお金の価値が下がっていくことを止める術はありません。唯一の解決法は、自分の収入を上げることでしょう。価値が下がっていく日本円の埋め合わせは、収入を増やすことでしか補えないのです。そして幸いなことに、稼ぐことは私たち医師の十八番ではないでしょうか。稼げるうちに稼ぐ。これが私たちにできる最も手っ取り早い対策です。現時点では、医師のアルバイト単価はまずまずの水準です。時間の切り売りであるアルバイトに励むことの是非は議論のあるところですが、私はどんどんやるべきだと考えています。たとえ自分の時間との引き換えであっても、現在進行中の危機的状況ではやむを得ないのではないでしょうか。注意点は、アルバイトで得た収入を無駄遣いしないことです。貯蓄や投資に回すことができれば、アルバイトは時間の切り売りではなく、立派な投資活動になります。お金を「価値のあるモノ」に変換しようお金の価値は日に日に減少していく。これは古今東西、変わらない事実です。人類の歴史が始まって以来、価値が下がらなかった通貨は存在しません。「お金=価値がなくなっていくモノ」という認識が必要です。一方、「価値の下がらないモノ」も珍しくありません。たとえば、人の持つ知識や経験、鉄や石油などの資源、そして小麦などの食料です。これらは人間が豊かな生活を送るために必要不可欠です。本当に価値があるのは、お金ではなく、人間を豊かにしてくれる“モノ”なのです。このことを理解できると、やるべきことは自ずと決まります。価値がどんどん下がっていくお金を、早い段階で価値の下がらないモノに換えればよいのです。具体的には、人の集合体である株式、そして人が活動する拠点となる不動産です。一方、資源や食料を長期間貯蔵するのは現実的ではないので、代替品として資源株や農業関連株を検討するのも一法です。株式であればかさばらないし、いつでも換金できるメリットがあります。これら以外にも、本質的に価値のあるモノを探してみましょう。そしてアルバイトによって増えた収入で、価値の下がらないモノを買い集めるのです。地道な努力を続けることで、どんどん進む円安に対抗できると思います。ついに日本もインフレ社会に転換しました、これまでの常識は捨てて、新しい状況に適応しようではないですか。

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不整脈チームで試練の1ヵ月!【臨床留学通信 from NY】第39回

第39回:不整脈チームで試練の1ヵ月!先月は主に不整脈チームに配属されて、病棟のコンサルテーションを担当しました。米国では、心房細動にアミオダロンが使えるところが日本と大きく異なり、それ以外に、dronedarone、dofetilideといった聞きなれない薬も使用したりします。私は大学病院にいた期間が実は短かったため、不整脈研修も短く、大学関連病院にいた際にはアブレーションが可能な施設ではなかったこともあり、心血管インターベンションの素地はあっても、不整脈の専門的な薬剤、植込み型除細動器(ICD)などのデバイスチェックなどは非常に苦手な分野のため、ある意味、試練の1ヵ月でした。たとえば術後の心房細動などは、過去の研究からはリズムコントロールとレートコントロールに差がないこと1)は知ってはいましたが、それでもリズムコントロールを推し進めるのを好む不整脈医もいます。そして日本と比べると、すぐに除細動をするのも多い印象で、とりあえず1回依頼があったら心房細動罹患期間が長くてもトライしたり、逆に、抗不整脈薬を導入する時は、訴訟対策なのか、経食道心エコーなどで左心耳の血栓をかなり慎重に確認したりすることも多いです。米国の医療システム、とくに外来は、日本に比べてはるかに貧弱です。心房細動の頻脈で心不全を来していないような比較的軽症例でも、外来では治療できず、救急外来からほぼ入院となってしまう背景があるため、早めのリズムコントロールをより好むのかもしれません(ただし、早めのリズムコントロールが好ましい、というデータは昨今出てきてはいます2))。私は今、一般循環器内科(general cardiology)フェローの身分ですので、電気生理学(electrophysiology)を選べば、米国で華麗に不整脈医に転身することもできますが、やはり苦手なのでやめておこうと思います。しかし、改めて不整脈を少しかじると、薬物治療ではほかの循環器医がタッチしにくい治療をしたり、増え続ける心房細動のアブレーション、重症心不全のCRT(心室再同期療法)、致死的な心室性不整脈のアブレーション、リードレスペースメーカー、突然死の1次・2次予防のICD、皮下植込み型除細動器(S-ICD)など多彩な仕事があったり、かつカテーテル治療医に比べて夜間に働く必要性が低いことから、本当に魅力的な領域だと思います。参考1)Gillinov AM, et al. Rate Control versus Rhythm Control for Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery. N Engl J Med. 2016;374:1911-1921.2)Kirchhof P, et al. Early Rhythm-Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation. N Engl J Med. 2020;383:1305-1316.Column最近私のグループから、妊娠中のコロナワクチン接種に関するメタ解析がJAMA Pediatrics誌に掲載されましたのでご覧ください。筆頭著者の先生から、1年前に直接私のメールアドレスをたどって連絡をいただきました。米国の集中治療(critical care)志望ということで、コロナ関連なら何か指導ができると考えました。そして指導してから3つ目でJAMA系とは、素晴らしいです。私は主にコンセプトと方法論を担当しました。共同筆頭著者の先生は、大学時代のテニス部のダブルスパートナーで小児科医のため、内容のサポートを頼みました。まさにダブルスペーパーと言えると思います。Watanabe A, Yasuhara J, Kuno T, et al. Peripartum Outcomes Associated With COVID-19 Vaccination During Pregnancy: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2022 Oct 3. [Epub ahead of print]

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第131回 ワクチン偽装接種で51歳医師逮捕、偽装を依頼した人だけではなく、接種希望者にも生理食塩水接種の言語道断

普通にワクチンの接種に来た人にも偽装を行っていた可能性こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今週末は、MLBの試合観戦は諦め、茨城県桜川市で無農薬の農園を営む大学の先輩宅へ、泊りがけで農作業の支援に行ってきました。台風で被害があったビニールハウスの補修やトマトの支柱の撤去などを行ったのですが、キャベツ畑に多数のモンシロチョウが乱舞していたのが印象的でした。モンシロチョウは春のイメージですが、キャベツに卵を産み付けるため、秋までは活発に活動するのだそうです。というわけで虫食いだらけのキャベツもお土産にいただいて帰ってきました。しかし、キャベツの芯あたりにヨトウムシというグロテスクな蛾の幼虫が何匹も入り込んでいたのには参りました。スーパーで売られているキャベツには、当然ヨトウムシなど入り込んでいません。それは農薬のおかげと言えます。無農薬農業が“言うは易く行うは難し”であることを実感した次第です。さて今回は新型コロナウイルスのワクチンの接種偽装を行った医師の事件を取り上げます。この事件、接種偽装を、依頼してきた人に対してだけではなく、普通にワクチン接種を受けに来た人にも行っていた可能性もあり、その動機は複雑です。母子3人にワクチンを接種したと偽って接種委託料を詐取10月4日付の全国紙各紙は、愛知県稲沢市の母子3人に新型コロナウイルスワクチンを接種したと偽り同市から接種委託料を詐取した、として警視庁捜査2課が王子北口内科クリニック(東京都北区)のF院長(51)を詐欺と公電磁的記録不正作出及び同供用容疑で再逮捕した、と報じました。各紙報道によれば、F院長は昨年10~12月、稲沢市に住む40代女性と10代の娘2人の計3人について、ワクチン接種をしたとする虚偽の予診票(接種記録)を作成し、同市から接種委託料計約1万4,000円を詐取し、同市経由で国のワクチン接種記録システム(VRS)に虚偽の接種記録を登録させた疑いがある、とのことです。F院長と女性は、数年前にワクチンに否定的な人が集まる投資セミナーで知り合ったそうです。セミナーの仲間内でワクチンを「殺人ワクチン」、接種済み証を「なんちゃって証明」と呼んでいたとの報道もあります。女性は捜査官に対し「人体に悪影響を及ぼすと思っていた。ワクチンを打ったことにしなければ色々な不利益を被ると考え、(接種偽装を)お願いした」と話したとのことです。約230人の接種記録があり、7割以上が北区以外の住民F院長が再逮捕であるのは、今年9月にすでに逮捕されているからです。各紙報道によれば、F院長は、9月12日までに新型コロナウイルスのワクチン接種をしたように装い、自治体から接種委託料をだまし取った詐欺などの疑いで逮捕されています。この時の逮捕容疑は再逮捕の時と同じです。昨年8~12月、札幌市の50代の女性ら家族3人にワクチンを2回ずつ接種したとする予診票を偽造し、国のワクチン接種記録システムに虚偽の接種記録を登録させるなどして、接種委託料計約1万4,000円をだまし取った疑いです。この女性とも投資セミナーで知り合ったとのことです。新型コロナワクチンの接種は、原則、住民票のある自治体で受けることになっていますが、調べでは F院長のクリニックでは2021年7~12月に男女約230人の接種記録があり、7割以上が北区以外の住民で、北海道や広島県などの人が接種を受けた記録があったとのことです。再逮捕の愛知県稲沢市のケースも、北区以外の接種者の中から警視庁が事件としてピックアップしたものと見られます。「接種希望者には生理食塩水を打ったこともある」と供述この事件、一筋縄ではいかないのは、F医師が接種偽装を希望する人だけではなく、一般の人にも本人に伝えず接種偽装をした可能性がある、という点です。毎日新聞等の報道によれば、最初の逮捕後の取り調べで、「接種希望者には生理食塩水を打ったこともある」と供述していたとのことです。F医師は調べに対し「さまざまな人に頼まれてワクチンを打ったことにして予防接種済み証を作った。ワクチンを受けたいという人がいたら、危険性を説明し、それでも受けたい人には生理食塩水を打った」と話していたとのことです。実際、北区保健所には今年1月、同クリニックで接種を受けた複数の区民から「接種したのに抗体値が低い」「生理食塩水を打たれたようだ」といった相談があり、保健所が区民約50人に抗体検査の案内を送ったところ、受検した11人のうち3人は抗体値が低く、接種券を再発行して対応したとのことです。なお、健康被害は確認されていません。容疑は詐欺と公電磁的記録不正作出及び供用接種偽装を頼まれてそれを実行するだけではなく、普通にワクチン接種を希望して来た人にまで、自らの主義、信条を押し付け、黙って生理食塩水を打つとは、医師としては言語道断の行為だと言えるでしょう。キャベツの栽培に農薬を使うかどうかは栽培農家の自由ですが、その栽培農家が「農薬を一切使わないキャベツしか国民は食べてはいけない」と主張し、周囲に押し付けはじめたら、世の中は混乱するでしょう。私自身は、無農薬農法の先輩の手伝いはしますが、ヨトウムシが住んでいるキャベツはさすがに食べる気はしません。農薬の有無よりもキャベツの美味しさを選びます。今から20年ほど前、『買ってはいけない』(週刊金曜日別冊)という書籍がベストセラーになりました。「買ってはいけない」商品の中には、少々強引なロジックでその理由を解説していたものもあったように記憶しています。今回、事件の発端となったワクチン反対派の投資サークルも、『買ってはいけない』を熟読していた人たちなのかもしれません。ところで、F院長の容疑は詐欺と公電磁的記録不正作出及び供用です。詐欺は接種委託料の詐欺です。一方の公電磁的記録不正作出及び供用は、国のワクチン接種記録システム(VRS)に虚偽の接種記録を登録させたことによる罪です。この公電磁的記録不正作出及び供用罪、この連載でも度々登場していますが、皆さんご記憶でしょうか。それは、「第36回 元准教授逮捕の三重大・臨床麻酔部不正請求事件 法律上の罪より重い麻酔科崩壊の罪」でも書いた、三重大の准教授がカルテを改ざんして問われた罪です。他人の事務処理を誤らせる目的で、それに使う電磁的記録を不正に作ったり供したりする罪で、刑法第161条の2に規定されています。電磁的記録不正作出及び供用罪そのものは5年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、10年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。病院の電子カルテであろうが、国のワクチン接種のシステムであろうが、不正に電子データをいじったりするとこの罪に問われることになるので、皆さんも気をつけて下さい。なお、医師としての罪はどうなんだ、ということになりますが、最終的には厚生労働省の医道審議会にかけられ、医師免許取り消し・停止などの行政処分が行われることになるでしょう。それは、これらの罪が確定した後となります。

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アルツハイマー病とレビー小体型認知症を鑑別するための描写機能分析

 アルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の早期鑑別診断は、治療や疾患管理において非常に重要であるが、依然として困難を極めている。コンピューターベースの描写機能分析がADとDLBの鑑別に役立つと考えられるが、この分野の研究は十分に行われていない。IBM東京基礎研究所の山田 康智氏らは、AD、DLB、認知機能正常(CN)において、描写プロセスを特徴付ける機能の違いを特定し、これらの機能を用いたADとDLBの特定および鑑別の有効性を評価するため、本研究を実施した。その結果、各群においてさまざまなタイプの描写機能に違いがあったことが認められ、これらの機能の組み合わせによりADとDLBの鑑別が促進される可能性が示唆された。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年9月20日号の報告。 対象は地域在住高齢者123例(AD群:47例、レビー小体病[LBD]群:27例、年齢、性別、教育年数が一致したCN群:49例)。デジタルタブレットとペンを用いて描写データを収集し、描写速度、筆圧、一時停止の観点から描写機能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・とくにLBD群において、描写速度および、速度と筆圧のスムーズさの低下が観察された。・AD群とLBD群の両方で、一時停止時間および合計持続時間の増加が観察された。・これらの機能の違いを用いた機械学習モデルにおけるAUCの比率は、AD群vs.CN群で0.80、LBD群vs.CN群で0.88、AD群vs.LBD群で0.77であった。

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FDA、小児へのモデルナとファイザーのBA.4/5対応2価ワクチンを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は10月12日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、小児への単回追加接種の対象年齢を拡大したことを発表した。モデルナの2価ワクチンは、これまで18歳以上だったものが6~17歳にも承認され、ファイザーの2価ワクチンは、12歳以上だったものが5~11歳にも承認された。それぞれ初回シリーズから最低2ヵ月の接種間隔を経て接種が許可されている。 今回の小児への2価ワクチン承認拡大に伴い、ファイザーの従来の1価ワクチンは、5~11歳に対する追加接種としての使用ができなくなる。ただし、モデルナおよびファイザーの1価ワクチンは、初回シリーズとして、生後6ヵ月以上を対象とした接種は引き続き承認されている。 今回のFDAによる承認は、両社のBA.1対応2価ワクチンの成人における追加接種の臨床試験で評価された免疫反応と安全性に関するデータに依拠している。また、モデルナのBA.4/5対応2価ワクチン単回追加接種の安全性については、12~17歳(約1,300例)、6~11歳(約1,300例)が参加した同社の1価ワクチンの臨床試験に基づいている。追加接種後に最も多く報告された副反応は、注射部位の痛み、発赤、腫脹、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、注射した腕のリンパ節腫脹、悪心/嘔吐、発熱などがあり、BA.4/5対応2価ワクチン接種者も、これと同様の副反応を経験する可能性がある。ファイザーのBA.4/5対応2価ワクチンについても、同社の1価ワクチン接種者と同様の副反応を経験する可能性があるとしている。 日本においては、ファイザーの日本法人が、10月13日付のプレスリリースにて、5~11歳の小児に対するBA.4/5対応2価ワクチンについて、厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。

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フルオロキノロン系抗菌薬で自殺念慮リスクが増大?/BMJ

 2016年、米国食品医薬品局(FDA)は、フルオロキノロン系抗菌薬の枠囲み警告(boxed warning)の改訂において、自殺念慮のリスク増大との関連を示唆した。米国・ハーバード大学医学大学院のJunyi Wang氏らは、この関連について検討し、フルオロキノロン系抗菌薬の使用は、自殺念慮のリスクを実質的に増加させないことを確認した。研究の成果は、BMJ誌2022年10月4日号で報告された。肺炎、尿路感染症を対象とする米国のコホート研究 研究グループは、フルオロキノロン系抗菌薬の投与開始と、自殺傾向による入院または救急診療部受診との関連の評価を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(米国・ブリガム&ウィメンズ病院などの助成を受けた)。 解析には、米国のIBM MarketScan databaseのデータが用いられた。対象は、年齢18歳以上、2003年1月~2015年9月の期間に、抗菌薬投与開始前の3日以内に肺炎または尿路感染症(UTI)と診断され、6ヵ月以上の抗菌薬の持続投与が予定されており、経口フルオロキノロン系抗菌薬または比較対象の抗菌薬の投与が開始された患者であった。 フルオロキノロン系抗菌薬は、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、gemifloxacin、オフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、besifloxacinが使用され、比較対象薬は、肺炎患者がアジスロマイシン、UTI患者はトリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)であった。 傾向スコアマッチング法を用いて、肺炎およびUTIコホートの2つの抗菌薬群に、1対1の割合で参加者をマッチさせた。 主要アウトカムは、治療開始から60日以内の自殺念慮または自傷による入院または救急診療部受診とされた。入院・受診に至らない自殺念慮への影響は排除できない 肺炎患者55万1,042例(フルオロキノロン系抗菌薬群27万5,521例[平均年齢51.44歳、男性48.6%]、アジスロマイシン群27万5,521例[51.69歳、48.7%])と、UTI患者220万5,226例(フルオロキノロン系抗菌薬群110万2,613例[43.66歳、8.4%]、TMP-SMX群110万2,613例[43.76歳、8.1%])が、解析に含まれた。 60日の追跡期間中に、肺炎コホートで181件(フルオロキノロン系抗菌薬群91件[0.03%]、アジスロマイシン群90件[0.03%])、UTIコホートで966件(フルオロキノロン系抗菌薬群491件[0.04%]、TMP-SMX群475件[0.04%])の自殺傾向による入院または救急診療部受診が認められた。 自殺傾向による入院または救急診療部受診に関するフルオロキノロン系抗菌薬群の補正後ハザード比(HR)は、肺炎コホートではアジスロマイシン群との比較で1.01(95%信頼区間[CI]:0.76~1.36)、UTIコホートではTMP-SMX群との比較で1.03(0.91~1.17)であり、いずれも有意な差はみられなかった。 傾向スコアマッチングを行う前の全体のコホート(肺炎コホートの補正後HR:1.06[95%CI:0.84~1.35]、UTIコホート0.98[0.88~1.09])、および高次元傾向スコアマッチング法による解析(肺炎コホート1.02[0.76~1.38]、UTIコホート1.05[0.92~1.19])でも、主解析と一致した結果であった。また、性別、年齢層別、精神疾患の既往歴の有無別のサブグループ解析でも、結果は同様だった。 著者は、「フルオロキノロン系抗菌薬が自殺傾向による入院または救急診療部受診のリスクを実質的に増加させることはなかったが、リスクのわずかな増加や、入院・救急診療部受診に至らない自殺念慮への影響を排除することはできない」としている。

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人工知能なんてこんなもんさ?(解説:後藤信哉氏)

 各所で「人工知能」が話題になる。『鉄腕アトム』のように人間と会話できる「人工知能」ができれば素晴らしい。しかし、現在のニューラルネットワークによる「人工知能」は人間の脳とは異なる。ヒトの脳には「直感」という優れた能力があり、コンピューターは真似できない。また、コンピューターは単純な四則演算しかできないが、疲労せず、同じことを長期間繰り返せる。今の、しょぼい「人工知能」でも、結構診療の助けにはなる。 心電図を画像と理解しているヒトが多いと思う。実態は2 m/秒ごとに計測した電位の集積である。1枚の心電図には1誘導について1万くらいの電位の情報がある。1万次元の時系列計測情報として「ビッグデータ」ともいえる。この入力の「ビッグデータ」と診断Yes/No、未来イベントY/Nなど、定量的相関関係を見出すプロセスを「人工知能」と呼んでいる。知能といっても、革新的コンセプトを生み出すわけではない。単純に多次元情報と1次元アウトカムの定量的相関関係を見出す数学的プロセスに過ぎない。 われわれは心電図を用いた「人工知能」研究では先行していた。救急外来の1枚の12誘導心電図から緊急冠動脈造影の要否を予測する「人工知能」の論文を2019年にPLOS ONE誌に発表した(Goto S, et al. PLoS One. 2019;14:e0210103.)。メイヨーのグループは同様に心電図のデータから未来の心房細動の発症を予測する論文を2019年にLancet誌に出した。発表時期はわれわれが早かった。しかし、 Lancet誌の論文にはわれわれの論文はreferされていなかった。論文発表の時点では丹念な先行文献サーチが必要である。そうでないと、われわれのように出し抜かれた研究者の恨みを買うことになる。 本研究では「人工知能」が算出した値に基づいて洞調律の症例の心房細動発症リスク分類における、wearable deviceでの応用性を検証した。多次元の入力情報から1次元のイベントリスクを予測する今の「人工知能」という方法論は確立されてしまったので、臨床データをもっているグループが自分のデータでモデルを作り、他人のデータで妥当性検証を行うだけの時代になった。わかってしまうと「人工知能」なんてこんなもんさ! となる。コンピューターは膨大なデータでもハンドルできる。大事なことはしっかりしたデータベースを構築することである。

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066)皮膚科とフェイスシールドって【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第66回 皮膚科とフェイスシールドってゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆新型コロナ対策で導入されたフェイスシールド。皮膚科外来でも診察時は着用する旨、お達しがきております。フェイスシールドもメガネタイプの比較的シールドがクリアーなものはよいのですが、ゴムバンド形式の簡易的なものは視界が悪く、皮疹を診る皮膚科とは相性があまりよろしくないようです。結局は患部の診察のため、シールドを上げて直接診ることも少なくありません。顕微鏡を覗くにも障害となるフェイスシールド。「皮膚科とは相性がよくないわ~」などと思っていたのですが、爪切り処置だけは違いました。高齢患者さんの分厚い爪。まわりに飛び散らないよう、手でガードしながら切ってはいるのですが(掃除のことを考え)、集中しているうち、やはり飛び散ってしまうことも…。顔に向かって飛んでくることも多々あるのですが、そんなとき、フェイスシールドが飛来する爪からばっちりガードしてくれました。このときばかりは効果がバツグン!新型コロナが落ち着いてシールド不要となっても「爪切りのときだけは使おうかな~」などと思ってしまいました。顔が守られている安心感!ささいな診療小ネタですが、「フェイスシールド便利だな~」と思った皮膚科の処置のお話でした~。それでは、また〜!

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初のHSP90阻害作用を有するGIST治療薬「ジェセリ錠40mg」【下平博士のDIノート】第108回

初のHSP90阻害作用を有するGIST治療薬「ジェセリ錠40mg」今回は、Heat Shock Protein 90(HSP90)阻害薬「ピミテスピブ錠(商品名:ジェセリ錠40mg、製造販売元:大鵬薬品)」を紹介します。本剤は、世界初の選択的HSP90阻害作用を有する医薬品であり、標準治療薬に不応または不耐と判断された消化管間質腫瘍(GIST)患者の新たな治療選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、がん化学療法後に増悪したGISTの適応で、2022年6月20日に製造販売承認を取得し、同年8月30日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはピミテスピブとして1日1回160mgを空腹時に投与します。5日間連続経口投与したのち2日間休薬し、これを繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量することができます。<安全性>国内第III相試験(10058030試験/CHAPTER-GIST-301試験)の盲検投与期間および/または非盲検投与期間において、75例中70例(93.3%)で臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。主なものは、下痢54例(72.0%)、食欲減退22例(29.3%)、血中クレアチニン増加21例(28.0%)、倦怠感20例(26.7%)、悪心19例(25.3%)、腎機能障害10例(13.3%)などでした。なお、重大な副作用として、重度の下痢(16.0%)、眼障害(夜盲[12.0%]、霧視[5.3%]、視力障害[5.3%]、網膜静脈閉塞[1.3%]、網膜症[1.3%]、後天性色素障害[1.3%]など)、出血(腹腔内出血[1.3%]、出血性十二指腸潰瘍[1.3%]など)が報告されており、副作用のグレードによって休薬・減量基準が定められています。<患者さんへの指導例>1.本剤は、がん細胞の増殖や生存などに関与するタンパクの働きを阻害することで、抗腫瘍効果を示します。2.5日間服用し、2日間休薬するというスケジュールで服用します。服薬スケジュールは自己判断せず、医師の指示をしっかり守ってください。3.食事前1時間から食事後2時間の服用は避けてください。4.強い腹痛を伴う下痢、激しい下痢、長く続く下痢などが生じた場合、一旦服用をやめてすぐにご連絡ください。5.夜になると目が見えにくい、全体的にかすんで見える、遠くや近くのものが見えにくいことなどの症状が現れた場合はご連絡ください。6.吐しゃ物に血が混じる、黒い便や血の混じった便が出ることなどがあればご連絡ください。7.(妊娠可能年齢の女性やパートナーが妊娠する可能性のある男性に対して)この薬を服用中および服用終了後一定の期間は、適切な方法で避妊を行ってください。<Shimo's eyes>GISTは、胃や小腸などの消化管壁に発生し、転移・再発を起こす悪性の肉腫です。日本における年間罹患数は、約1,500~2,500例と推定されていて、希少がんの1つです。「GIST診療ガイドライン」では、組織診断でGISTと確定した場合は外科的治療が第1選択となり、初発GISTでは完治の可能性もあります。切除不能または転移性GISTの場合はイマチニブが第1選択となり、イマチニブ耐性GISTの場合はスニチニブやイマチニブ増量、スニチニブ耐性GISTの場合はレゴラフェニブが検討されます。GIST患者の多くはKITまたはPDGFRAに変異を有していますが、いずれもKITやPDGFRAなどのチロシンキナーゼを阻害する薬剤であり効果が得られにくかったり、副作用のため使用できなかったりする患者も存在するため、既存薬とは作用機序の異なる治療薬が望まれていました。本剤は、既存薬と異なりHSP90を阻害することで、HSP90が関与するKITやEGFRなどのタンパクを減少させて、がん細胞の増殖抑制やアポトーシスを誘導することで抗腫瘍効果を示します。なお、イマチニブ、スニチニブおよびレゴラフェニブによる治療が行われていない患者は本剤による治療の対象とはなりません。副作用では、重度の下痢、眼障害、出血に注意が必要です。下痢は国内第III相試験において72.0%と高頻度で報告されていて、グレード 3以上の下痢も16.0%となっています。脱水による重篤な腎障害の発現にも注意が必要です。眼障害はHSP90阻害作用に由来する副作用であり、本剤投与開始前および投与中は定期的に眼の異常の有無を確認し、必要に応じて検査を行う必要があります。腹腔内出血や出血性十二指腸潰瘍なども現れることがありますが、GISTは原疾患由来の消化管出血の頻度も高く、約30%〜40%の患者で生じるとされています。食後に本剤を投与した場合、CmaxおよびAUCが上昇して副作用の恐れが高まるため、食事前1時間から食事後2時間の服用は避けます。服薬指導の際は、「夕食が19時の場合、18~21時は服用を避ける」など、具体的な指導を行いましょう。

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英語で「~する気分です」は?【1分★医療英語】第50回

第50回 英語で「~する気分です」は?Do you want to walk in the hallway?(廊下を歩いてみますか?)No, I don’t feel up to it today.(いいえ、今日はそんな気分ではありません)《例文1》医師I think you can go home today if you feel up to it.(もし良ければ、今日退院でも良いと思います)患者Sure I do! (はい、そうします!)《例文2》医師What is bothering you?(何が気になりますか?)患者Breathing feels heavy. I do not feel up to going out today.(息苦しい感じがします。今日は外に出たくないです)《解説》“feel up to it”は「~をやれそうに思う」といった意味の表現で、一般的には否定形やifを伴う条件文の中で使われます。“want to”(~したい)に似ていますが、「~をする気分だ」という、より感情に寄り添った希望を表す表現です。臨床の場面では、医学的にはどちらでもよい選択肢を提示する時や、何かを提案する時に“if you feel up to it”(~したければ)と付けることで患者さん側に決めてもらうことができます。強制力が弱いので、さまざまな場面で使いやすい表現です。友人同士の会話でも、何かを控えめに誘うときなどにも使えますので、ぜひ使ってみてください。講師紹介

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10月18日 統計の日【今日は何の日?】

【10月18日 統計の日】〔由来〕わが国最初の近代的統計である「府県物産表」に関する太政官布告が公布された日にちなみ、統計の重要性に対する国民の関心と理解を深め、統計調査に対する国民のより一層の協力を求めることを目的に、1973年に閣議了解で定められた記念日。関連コンテンツ統計のそこが知りたい!わかる統計教室臨床研究で役立つ統計解析 ~生存分析を中心に~【お役立ち】感度、特異度、的中率(検査精度の指標)【患者説明用スライド】新型コロナワクチンの有効率とは【患者説明スライド】

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第134回 コロナ感染から1年後も続く症状は1年半後もおよそ解消せず/オミクロン株ワクチンは無駄ではない

コロナ感染から1年後も続く症状は1年半時点でもおよそ解消せずそのまま新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状、いわゆるコロナ後遺症(コロナ罹患後症状)はジャニーズ事務所のアイドルも自身のその病状を今や公言するなど1)、世間に広く知られるようになりました。COVID-19流行は2019年の後半から始まっておよそ3年が経ち、コロナ罹患後症状の長期追跡の結果も報告されるようになりました。英国でのそのような長期追跡の新たな報告によると、コロナ罹患後症状が感染から1年後もあるようならその半年後までの解消はおよそ期待できず1年半時点でもそのまま持ち越されるようです2-4)。試験では英国・スコットランドの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者3万3,281人とそうでない6万2,957人が18ヵ月間追跡されました。発症した感染者3万1,486人のうち1,856人(6%)は最後の観察時点(most recent follow-up)で症状がまったく回復しておらず(非回復)、半数近い1万3,350人(42%)はある程度ましになったものの完全回復には至っていませんでした(部分回復)。感染後6ヵ月と12ヵ月時点での記録がある3,744人に限った解析での非回復、部分回復、完全回復は6ヵ月時点ではそれぞれ295人(8%)、1,766人(47%)、1,683人(45%)、12ヵ月時点でもほぼ変化なしのそれぞれ303人(8%)、 1705(46%)、1736人(46%)でした。また、感染後12ヵ月(1年)時点と18ヵ月(1年半)時点での記録がある197人に限った解析での非回復、部分回復、完全回復は1年時点ではそれぞれ21人(11%)、100人(51%)、76人(39%)、1年半時点ではそれぞれ21人(11%)、101人(51%)、75人(38%)でした。今回の結果によると感染から1年後に不調の人のほとんどはその半年後の1年半時点でも回復しないままのようです。無症状の感染と罹患後症状やその他の有害転帰(生活の支障、入院、救急受診、死亡)の関連は認められず、罹患後症状は感染症が重度だった人により生じていました。感染前のワクチン接種で罹患後症状を予防しうるとの一文で報告は締めくくられています2)。オミクロン株ワクチンは無駄ではないModerna社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株BA.1対応ワクチンmRNA-1273.529を追加接種した人の抗体を解析した試験報告5)によると、どうやらオミクロン株対応ワクチンは将来の新参株と戦う準備をも免疫系に備えさせる働きがあるようです6)。試験では26人のリンパ節検体と15人の骨髄検体が解析され、使いまわしのB細胞ではなく新品のB細胞をおそらく起源とするBA.1認識抗体が検出されました。その結果によると、BA.1のような変異株へのワクチン接種は先立つワクチン接種で備わったいわば使い古しのB細胞に免疫が固執(imprinting)してしまうのを乗り越え、新品のB細胞を手配して変異株に順応できるようにする働きがあるようです。また、元祖ワクチン接種を済ませたもののオミクロン株に感染した6人を調べた別の研究7)ではそういう順応が時を経るにつれて成熟していくことが示されています。オミクロン株感染から1ヵ月時点でのそれら6人の抗体はオミクロン株BA.1より元祖株にもっぱらより結合しましたが、感染から半年経つと6人のおよそ半数のB細胞は元祖株よりオミクロン株BA.1により結合する抗体を作るようになっていました6)。つまり感染後の免疫は時とともに成熟しました。新たな流行を引き起こす新参の次世代ウイルス株はその直前に流行った先代株やその先代株へのワクチンの抗原に元祖株より似通い、新参株に直面した免疫はその新参株に最も近い抗原に応じる既存のB細胞をまずは活性化します。よって、目下流行中のウイルス株へのワクチンを用意することは、その上手を行く新参株がやがて出現するにせよ価値があるでしょう6)。参考1)藤ヶ谷太輔、コロナ後遺症に悩むリスナーにメッセージ「僕も不安になりました」/マイナビニュース2)Hastie CE, et al. Nat Commun.2022;13:5663. 3)Long COVID at 12 months persists at 18 months, study shows / Reuters4)Long COVID Features Many Lasting Effects, Study Says / WebMed5)SARS-CoV-2 Omicron boosting induces de novo B cell response in humans. bioRxiv. September 22, 2022. 6)Omicron boosters could arm you against variants that don’t yet exist / Nature7)Evolution of antibody immunity following Omicron BA.1 breakthrough infection. bioRxiv. September 22, 2022.

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基礎疾患がある若年者、コロナワクチン後の抗体陽性率高い/成育医療研究センター

 国立成育医療研究センター 感染症科の庄司 健介氏らによって、免疫抑制状態を含む基礎疾患を有する12~25歳の患者における新型コロナワクチン接種後の安全性と抗体価が調査された。その結果、基礎疾患のある患者であっても、ワクチン2回接種後の抗体陽性率は高く、その抗体価は12~15歳の患者のほうが16~25歳の患者よりも高いことが明らかになった。これまでの新型コロナワクチンに関する調査は主に健康な人を対象としており、基礎疾患を有する小児や青年での安全性や抗体価の情報は限られていた。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2022年9月21日掲載の報告。 本調査の対象は、何らかの基礎疾患のある12~25歳の患者で、2021年7~10月にBNT162b2(ファイザー製ワクチン)を2回接種した429例であった。年齢中央値は15.0歳(四分位範囲:13.0~18.0歳)、12~15歳が241例(56.2%)、16~25歳が188例(43.8%)、男性が204例(47.6%)であった。最も多かった基礎疾患は遺伝/染色体疾患/先天奇形(67例、15.6%)で、内分泌/代謝疾患(55例、12.8%)、神経疾患(47例、11.0%)、肝疾患(43例、10.0%)と続いた。なお、基礎疾患が複数ある場合は、主たる基礎疾患を研究者が1つ選択した。免疫抑制状態の患者は138例(32.2%)であった。 安全性は、接種後1週間以内の副反応を紙媒体もしくはウェブを用いたアンケートによって調査し、接種後1ヵ月以内の入院を要する副反応は電子カルテを用いて調査した。抗体価は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に対する抗体をワクチン接種2週間~4ヵ月後に測定した。年齢(12~25歳、16~25歳)や免疫不全の有無などで比較検討を実施した。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン2回接種後、1週間以内の38℃以上の発熱は、12~15歳では35.7%、16~25歳では28.0%であった。免疫機能が正常な患者では36.2%、免疫抑制状態の患者では24.1%であった。・重篤な副反応で入院を要したのは、1回目接種後は0例、2回目接種後は12~15歳で1例(0.4%)、16~25歳で2例(1.1%)であった。いずれの患者も回復して退院した。・ワクチン2回接種後の抗体陽性率は、抗体価を測定した397例中393例(99.0%)であった。12~15歳では552例中221例(99.5%)、16~25歳では175例中172例(98.3%)、免疫機能が正常な患者では264例中264例(100%)、免疫抑制状態の患者では133例中129例(97.0%)であった。・抗体価の幾何平均抗体価は、12~15歳が1603.3 U/mL(95%信頼区間[CI]:1321.8~1944.7 U/mL)、16~25歳が949.4 U/mL(同:744.2~1211.1 U/mL)であった。免疫機能が正常な患者では2106.8 U/mL(同:1017.5~2314.7 U/mL)、免疫抑制状態の患者では467.9 U/mL(同:324.4~674.8 U/mL)であった。・ステロイドや生物学的製剤などの複数の免疫抑制薬を服用している患者では、より低い抗体価を示す傾向があった。 同氏らは、「BNT162b2は、基礎疾患のある小児や青年において、許容可能な安全性を有しつつ免疫原性を高めた。この集団におけるワクチン接種後のまれな副反応を評価するためにはさらに大規模な調査が必要である」とまとめた。

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HER2低発現とHER2ゼロ乳がん、予後に違いはあるか?

 HER2低発現(ERBB2-low)乳がんについて、HER2ゼロ(ERBB2-0)乳がんと比較してその予後や従来の治療法への反応にどのような違いがあるかはほとんどわかっていない。フランス・Institut de Cancerologie de l'OuestのOmbline de Calbiac氏らは、HER2低発現乳がんとHER2ゼロ乳がんの転帰を比較することを目的にコホート研究を行い、JAMA Network Open誌2022年9月15日号に報告した。HER2低発現乳がんはHER2ゼロ乳がんと比較してOSがわずかに良好 本研究では、2008~16年にフランスの18の総合がんセンターで治療を受けた転移乳がん(MBC)患者を対象とし、データ解析は2020年7月16日~2022年4月1日に実施された。主要評価項目はHER2低発現(IHCスコアが1+もしくは2+でISH陰性)およびHER2ゼロ(IHCスコア0)の患者における全生存期間(OS)、副次評価項目は1次治療下での無増悪生存期間(PFS1)とされた。 HER2低発現乳がんとHER2ゼロ乳がんの転帰を比較した主な結果は以下のとおり。・解析対象とされたMBC患者1万5,054例のうち、4,671例(31%)はHER2低発現、1万383例(69%)はHER2ゼロだった。・年齢中央値は60.0(22.0~103.0)歳。・ホルモン受容体陽性患者(1万2,271例)のうち4,083例(33.0%)がHER2低発現だったのに対し、トリプルネガティブ乳がん患者(2,783例)では588例(21.0%)だった。・追跡期間中央値49.5ヵ月におけるOS中央値は、HER2低発現群38.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:36.4~40.5ヵ月)vs.HER2ゼロ群33.9ヵ月(95%CI:32.9~34.9ヵ月)だった(p<0.001)。・年齢、内臓転移、転移部位の数、de novo疾患、治療期間、およびホルモン受容体の状態で調整後、HER2低発現群では、HER2ゼロ群と比較してOSがわずかに良好だった(調整ハザード比[HR]:0.95、95%CI:0.91~0.99、p=0.02)。・一方、PFS1はHER2の発現状態によって違いはみられなかった(調整HR:0.99、95% CI:0.95~1.02、p=0.45)。・ホルモン受容体の状態と1次治療の種類による多変量解析では、OSとPFS1に有意差はみられなかった。 著者らは、HER2低発現MBC患者ではHER2ゼロMBC患者と比較してOSがわずかに良好だったが、PFS1に差はみられなかったとし、治療選択の助けとなる可能性があるとまとめている。

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