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大腸内視鏡検診が大腸がんおよび関連死亡のリスクに及ぼす影響(解説:上村直実氏)

 日本人のがんの中で罹患者数が最も多く、死亡者数でも胃がんを抜いて肺がんに次いで第2位となっている大腸がんの集団検診における大腸内視鏡検査(CS)の有用性を検討するために、欧州4ヵ国において施行された国際的多施設共同の無作為化比較試験(RCT)の結果がNEJM誌に発表された。 一般住民を対象としたRCTの結果、CSを勧奨された群(勧奨群)は通常診療群に比べて、10年以上追跡調査した後の大腸がん発症リスクがわずかに低下するものの大腸がんによる死亡リスクには差がなく、一見すると日本の常識からは考えにくい成績である。ただし、実際にCSを受けたのは勧奨群のうち42%のみであるが、勧奨者全員が実際にCSを受けた場合の効果を推定する調整分析では、大腸がんのリスクは1.22%から0.84%に、大腸がん関連死のリスクは0.30%から0.15%に減少することが追記されており、リスク低下のためにはCS受診率が重要であることが示されている。 欧米の研究結果を解釈する際、大腸の検査法に関する評価が日本と異なることを知っておく必要がある。欧米では全大腸を観察できるCSの有用性は評価されるものの、糞便検査やS状結腸鏡検査(SS)に比べて侵襲性が高く、患者への負担が大きく、より多くの臨床資源を必要とする短所が強調される傾向にあり、最近になってCSに置き換わりつつあるものの、長い間、米国の内視鏡検診の主流は負担の少ないSSであった。 検診の評価で最も重要な死亡率の低下に関する報告では、日本の大腸がん死亡率が年々増加しているのに対して、米国では近年、死亡率の低下を認めている事実が重要である。わが国における一般的な大腸がん検診は便潜血陽性者に対してCSを勧奨する方法であるが、便潜血の受診率は検診対象住民の20%前後であり、その中の5%程度とされる便潜血陽性者のうちCS受診率は約半数のみである。一方米国は、糞便検査もしくはCSを選択できる大腸がん検診受診率は70%である。すなわち、検診受診率が非常に低率であることが、日本における大腸がん死亡率が低下しない大きな要因と思われる。 本研究結果から学ぶべき点は、大腸内視鏡検査自体は大腸がんの発見に対して最も有効な検査法であるが、1次検診の受診率および精密検査受診率が非常に重要であることを数字で明らかにした点である。わが国の胃がん検診や大腸がん検診に内視鏡が導入されつつあるが、侵襲性をはじめとする受診者の負担や検査にかかる臨床資源を考慮した慎重な評価も重要であるが、なんといっても検診受診率の向上すなわち国民の意識改革と行政による政策の改善が必要と思われる。

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第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?【統計のそこが知りたい!】

第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?今回は、前回紹介した、「順序尺度の相関関係を把握する解析手法」であるスピアマン順位相関係数(Spearman's rank correlation coefficient)の計算方法について解説します。まず、「タイ(tie)の長さ」を求めます。 タイとは同じ順位ということです。「トップタイ」なら1位が2人いて、その次の人が3位になるのは、とくに説明がなくてもわかると思います。事例として、あるクリニックの患者満足度調査(5段階評価)を行ったところ表1の結果が得られたとしましょう。受付スタッフの対応の満足度について、「やや満足」の「タイの長さ」を求めてみます。表1 患者満足度調査の結果一覧「タイの長さ」は下記(1)、(2)の手順で求めます。(1)まず、受付スタッフの対応の満足度のデータを降順あるいは昇順で並べ替える(2)同順位の個数を数える同じ順位の個数を「タイの長さ」と言い、“t”で表します。たとえば、受付スタッフの対応の満足度「やや満足」にあたる「4」は3個あるので、tは3になります。表2のようにまとめます。表2 受付スタッフ対応満足度のまとめ■スピアマン順位相関係数の計算方法上の計算式を活用し、スピアマン順位相関係数を求めるため、前述の回答で示した(1)、(2)に続いて以下の手順で計算を進めます。(3)t3-tを求め、合計Σ(t3−t)(タイ合計と呼ぶ)を求めます。その結果、受付スタッフの対応の満足度の合計は90であることがわかります。つぎに、(4)順位を求めます。同順位がある場合は、その平均を順位とします。たとえば、やや満足の「4」は7~9位に位置するので、「7、8、9」の平均である8を順位とします。(5)表3の右端の順位1は、No1~10の受付スタッフの対応の満足度の順位です。表3 受付スタッフ対応満足度の一覧画像を拡大する(6)受付スタッフの対応の満足度の順位を「順位1」、クリニック総合満足度の順位を「順位2」とします。また、順位1と順位2の差分を「d」とします。(7)dの2乗を求め、Σd2を求めると表4の通り103となります。表4 2項目の満足度の一覧画像を拡大する(8)ここで、受付スタッフの対応の満足度のタイ合計をx、クリニック総合満足度のタイ合計をyとすると、x=90、y=90(9)計算式に数値を代入し、TxとTyを求めるとTx=(n3-n-x)÷12=(1000-10-90)÷12=75Ty=(n3-n-y)÷12=(1000-10-90)÷12=75※nはサンプルサイズこの事例は同順位があるため、よって、受付スタッフの対応の満足度とクリニック総合満足度のスピアマン順位相関係数は0.3133になることがわかります。単相関係数は2変量に直線的な相関関係があれば適用されますが、そうでない場合やデータの順位しかわかっていない場合もありますよね。そんなときに有効なのがスピアマン順位相関係数なのです!■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第52回 相関比とは?「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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事例011 小児へのメラトベル顆粒処方で査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、発達障害に伴う入眠障害を家族が訴えたために患者に対してメラトニン(商品名:メラトベル顆粒)を処方したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。メラトベル顆粒は、発達障害の病名が無い場合には適応外として査定対象となるため、その査定と考えましたが、病名は記載されていました。査定事由が“B”であったために原因を探りました。添付文書を確認すると、「症状により適宜増減とするが、1日1回4mgを超えないこと」とありました。レセプト請求では処方量の上限を超えているために医師に確認したところ、「2.5mgで処方したはず。標準量を超えたのでコメントを記載した」と回答がありました。さらに調べるとカルテには「2.5g」と「g」処方で入力されていました。医師は、力価「2.5mg」を誤って「g」で入力されていたことに気付かれていませんでした。調剤時に「医師の処方が過量ではないか」と疑義紹介した結果が調剤記録に「2.5でOK」と記載されていました。調剤時の疑義紹介においても力価なのか、総量なのか不明瞭な問い合わせが行われたと言わざるを得ません。その結果として本来「1.25g」の処方に「2.5g」を投与、そのままレセプト請求されたために処方量の上限を超えた「0.5g」が過剰として査定になったものでした。医療安全上の観点から、医師の処方システムにおいて同薬剤の限度を超えた処方が入力できないように改修、調剤時の疑義紹介において単位の記載を忘れないよう求めて査定対策としています。

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11月14日 アンチエイジングの日【今日は何の日?】

【11月14日 アンチエイジングの日】〔由来〕「いい(11)とし(14)」(良い歳)と読む語呂合わせから、アンチエイジングネットワークが2007年に制定。生活習慣病を予防する予防医学の定着と、年齢を経ても「見た目の若さ」を保ち続ける方法の認知拡大が目的。関連コンテンツ第19回 噛む回数を増やすメリットと簡単実践方法【実践型!食事指導スライド】毎日の2つの運動でロコモを防ぐ【患者説明用スライド】男性の肥満のないNAFLD、テストステロン低下が要因か/日本抗加齢医学会筋肉量減少に、睡眠の満足感・夕食時刻・朝食の有無が関連/日本抗加齢医学会認知症リスク低下に寄与する1日当たりの歩数

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nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルによる末梢神経障害を比較

 乳がん治療におけるnab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルによる化学療法誘発性末梢神経障害の患者報告を比較したコホート研究の結果を、中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのHongnan Mo氏らが報告した。化学療法誘発性末梢神経障害はnab-パクリタキセル群よりパクリタキセル群およびドセタキセル群で有意に少なく、nab-パクリタキセルでは主に感覚神経障害である手足のしびれ、パクリタキセルおよびドセタキセルでは主に運動神経障害および自律神経障害が報告された。また、感覚神経障害よりも運動神経障害のほうが早く報告されていた。JAMA Network Open誌2022年11月2日号に掲載。nab-パクリタキセル295例、パクリタキセル514例、ドセタキセル425例で報告された末梢神経障害 本研究は、2019~21年に中国全土の9つの医療センターで実施された前向きコホート研究である。対象は、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルベースのレジメンで治療を受けた入院中の浸潤性乳がん女性1,234例で、overlap propensity score weightingによる重み付けで評価した。2021年12月~2022年5月のデータを解析し、主要評価項目は欧州がん研究治療機関(ERT)のQOL調査票(感覚神経、運動神経、自律神経スケールの20項目)を用いた患者報告による化学療法誘発性末梢神経障害とした。解析には、ベースラインの患者、腫瘍、治療の特性で調整した重回帰モデルを用いた。 乳がん治療におけるnab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルによる化学療法誘発性末梢神経障害の患者報告を比較した主な結果は以下のとおり。・1,234例の平均(SD)年齢は50.9(10.4)歳で、nab-パクリタキセルが295例(23.9%)、パクリタキセルが514例(41.7%)、ドセタキセルが425例(34.4%)だった。・主な症状は、nab-パクリタキセル群では感覚神経に関連する手足のしびれ(81.4%)が多く、パクリタキセル群およびドセタキセル群では運動神経障害(例として、脚力低下はパクリタキセル群47.2%、ドセタキセル群44.4%)、自律神経障害(例として、目のかすみはパクリタキセル群45.7%、ドセタキセル群43.6%)が報告された。・運動神経障害は、感覚神経障害より早い時期に報告され、症状発現までの中央値はnab-パクリタキセル群0.4週間(95%信頼区間[CI]:0.4~2.3)、パクリタキセル群2.7週間(同:1.7~3.4)、ドセタキセル群5.6週間(同:3.1~6.1)であった。・患者報告による化学療法誘発性末梢神経障害のリスクは、nab-パクリタキセル群に比べてパクリタキセル群(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.41~0.87、p=0.008)とドセタキセル群(HR:0.65、95%CI:0.45~0.94、p=0.02)で低く、感覚的不快感も、nab-パクリタキセル群と比べて、パクリタキセル群(HR:0.44、95%CI:0.30~0.64、p<0.001)およびドセタキセル群(HR:0.52、95%CI:0.36~0.75、p<0.001)で低かった。しかし、運動神経障害や自律神経障害を報告するリスクは、nab-パクリタキセル群に比べ、パクリタキセル群、ドセタキセル群が低くはなかった。

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生後6ヵ月からCOVID-19ワクチン接種推奨を提言/日本小児科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第8波が到来しつつある今、第7波で起こった小児へのCOVID-19感染の増加、重症化や今冬のインフルエンザの同時流行を憂慮し、日本小児科学会(会長:岡明[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「生後6ヵ月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表した。 これは先に示した「5~17歳の小児におけるワクチンの有益性」も考慮したうえで、メリット(発症予防)がデメリット(副反応など)を上回ると判断し、生後6ヵ月以上5歳未満の小児でも推奨したもの。 なお、厚生労働省では乳幼児(生後6ヵ月~4歳)の接種は「努力義務」としている。生後6ヵ月以上5歳未満の小児でも接種の方がメリットある 同学会ではワクチン推奨の考え方の要旨として以下4点にまとめている。1)小児患者数の急増に伴い、以前は少数であった重症例と死亡例が増加している。2)成人と比較して小児の呼吸不全例は比較的まれだが、オミクロン株流行以降は小児に特有な疾患であるクループ症候群、熱性けいれんを合併する児が増加し、また、脳症、心筋炎などの重症例も報告されている。3)生後6ヵ月以上5歳未満の小児におけるワクチンの有効性は、オミクロン株BA.2流行期における発症予防効果について生後6ヵ月~23ヵ月児で75.8%、24ヵ月児で71.8%と報告されている。流行株によっては有効性が低下する可能性はあるが、これまでの他の年齢におけるワクチンの有効性の知見からは、重症化予防効果は発症予防効果を上回ることが期待される。4)生後6ヵ月以上5歳未満の小児におけるワクチンの安全性については、治験で観察された有害事象はプラセボ群と同等で、その後の米国における調査でも重篤な有害事象はまれと報告されている。なお、接種後数日以内に胸痛、息切れ(呼吸困難)、動悸、浮腫などの心筋炎・心膜炎を疑う症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、新型コロナワクチンを受けたことを伝えるよう指導すること。

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BA.4/5対応2価ワクチン後、年齢別の副反応発生状況/CDC

 12歳以上における、ファイザー社およびモデルナ社の2価ワクチンによるブースター接種後の安全性データを、米国疾病予防管理センター(CDC)のAnne M. Hause氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月4日号に報告した。 米国食品医薬品局(FDA)は2022年8月31日に、12歳以上へのBNT162b2(ファイザー)および18歳以上へのmRNA-1273(モデルナ)COVID-19ワクチンの2価製剤を承認。これらのワクチンにはSARS-CoV-2のオリジナル株およびBA.4/BA.5のスパイクタンパク質をコード化したmRNAが含まれる。10月23日までの間に、約2,260万回の2価ブースターワクチンが投与されている。今回、同期間中の2価ワクチン接種者における、v-safe(スマートフォンを用いたアクティブサーベイランスシステム。接種後1週間の局所および全身反応と健康への影響が報告される)およびVAERS(CDCとFDAが管理する、ワクチン接種後の有害事象をモニタリングするパッシブサーベイランスシステム)に報告された事象および健康影響評価のレビューが行われた。 v-safeにおける主な結果は以下のとおり。・期間中に計21万1,959人の12歳以上のv-safe登録者が、年齢に応じた2価ワクチン投与を受けた。・12~17歳が1,464人(0.7%)、18~49歳が6万8,592人(32.4%)、50~64歳が5万9,209人(27.9%)、65歳以上が8万2,694人(39.0%)だった。・4回目接種者(9万6,241人;45.4%)または5回目接種者(10万6,423人;50.2%)が多くを占めた。・12万2,953人(58.0%)がファイザー社、8万9,065人(42.0%)がモデルナ社の2価ワクチン投与を受けていた。・登録者の1/3以上(8万4,450人;39.8%)が、少なくとも1つの他のワクチンの同時接種を受けたと報告した。8万3,005人(98.3%)がインフルエンザワクチンを接種していた。・投与後1週間での局所反応の報告頻度は、全体で60.8%、12~17歳で68.7%、18~49歳で72.9%、50~64歳で62.0%、65歳以上で49.7%だった。・投与後1週間での全身反応の報告頻度は、全体で54.8%、12~17歳で59.8%、18~49歳で67.9%、50~64歳で55.2%、65歳以上で43.5%だった。・多く報告された副反応は、注射部位の痛み(45.0~70.5%)、倦怠感(30.0~53.1%)、頭痛(19.7~42.8%)、筋肉痛(20.3~41.3%)、発熱(10.2~26.3%)だった。 VAERSにおける主な結果は以下のとおり。・期間中に2価ワクチン投与を受けた12歳以上から、5,542件(ファイザー社:2,928件、モデルナ社:2,615件)の有害事象に関する報告を受けた。・報告者の年齢中央値は60(12~101)歳で、64.2%が女性。939件(16.9%)の報告で、少なくとも1つの他のワクチンが同時接種されており、うち最も多かったのはインフルエンザワクチンだった(90.7%)。・ワクチン接種の過誤に関連する事象(製品の誤投与や用量間違いなど)が1,913件(34.5%)報告され、うち225件(11.8%)で健康上の有害事象が発生していた。・全体の95.5%(ファイザー社:2,762件[94.3%]、モデルナ社:2,530件[96.8%])が非重篤に分類された。※VAERSレポートでは、入院、入院期間の延長、致命的な疾患、後遺症、先天性異常、または死亡のいずれかが報告された場合、重篤と分類。・重篤と分類された報告は251件(4.5%)。ファイザー社:166件(5.7%)、モデルナ社:85件(3.3%)だった。うち5件は心筋炎、4件は心膜炎、20件はCOVID-19で、心筋炎を報告した人の年齢は12~78歳、心膜炎は46~78歳だった。・死亡は36件報告され、年齢中央値は71(46~98)歳。本レポート作成時点で十分な情報が得られたのは4件で、死因には心停止、認知症、転移前立腺がん、および心筋梗塞が含まれていた。CDCでは引き続き残りの死亡者の医療情報を収集している。 著者らは、本結果がBA.1対応の2価ブースターワクチンの承認前臨床試験の安全性データおよび1価ブースター投与後に報告された安全性データとおおむね一致しており、COVID-19による健康への影響より頻度は低く、深刻度も低いとしている。

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医療者も実は…?糖尿病のスティグマを見直す/日糖協の活動

 近い将来、「糖尿病」という病名は使用されなくなるかもしれない。 日本糖尿病協会(以下、日糖協)は、都内開催のセミナーにて、「『糖尿病』という言葉を変える必要がある」と問題意識を明らかにした。現在、日糖協では「糖尿病にまつわる“ことば”を見直すプロジェクト」を推進しており、病名変更もその一環だ。 日糖協理事の山田 祐一郎氏(関西電力病院 副院長)は、「言葉を変える目的は、糖尿病に関するスティグマ(偏見)を減らすことにある。単なる言葉の入れ替えでは意味がない。医療従事者と糖尿病のある方とのコミュニケーションを変えることが重要だ」と述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。医療従事者も実は…? スティグマの発生源 世間的に「食べ過ぎ」「長生きできない」などのイメージが先行しやすい糖尿病だが、糖尿病のある人とない人で、総エネルギー消費量や摂取量は、実は変わらない1)。また、治療を受けていれば、平均余命にも有意差はない2,3)。 しかし、高度経済成長期に糖尿病患者数100万人を突破した本邦では、先述のようなスティグマが世間に定着し、今なお存在し続けている。実際、2022年に発表されたデータでも、糖尿病のある人はスティグマを受けている4)ことが明らかになっている。 注目すべきは、スティグマの主な発生源として、家族、友人以外に、本来患者の支援者である医療従事者も含まれる5)ことだ。 日糖協理事長の清野裕氏(関西電力病院 総長)は、「医療従事者は“そんなつもりはないのに”、無意識にスティグマを付与している可能性がある」と述べる。 「今回のHbA1cが上昇している。何か食べ過ぎましたか?」 「あの人は糖尿病だから、全然言うことを聞かない」 といった発言が代表的だ。しかし、糖尿病のある人の生活状況はそれぞれ異なる。実行不可能な治療法を示していないか、悩みを正しく理解しているか、医療従事者も省みる必要があるという。さらに「糖尿病」という病名自体がスティグマとなる可能性もある。病名「糖尿病」への抵抗感や不快感 日糖協が糖尿病のある人に実施した「糖尿病の病名に関するアンケート」の調査結果によると、回答者1,087人のうち、9割が「糖尿病」という病名に何らかの抵抗感や不快感を抱いており、7割が治療を受ける際に病名に対する抵抗を感じている、という。さらに回答者の8割が「糖尿病」の病名変更を希望した。病名変更を希望した人の38.6%が「だらしない」など負のイメージや誤解を受けることを懸念しており、31.8%は「尿」という表記に違和感や羞恥心を抱いていた。さらに、6割が何らかの形で糖尿病を隠して生きていることも明らかになった。日糖協理事の津村 和大氏(川崎市立川崎病院 病態栄養治療部長)は、「糖尿病の治療や予後が大きく改善した現代では、病名の持つ負のイメージを払拭することも必要だ」と述べた。糖尿病にまつわる“ことば”の見直し すでに現在、日糖協では「糖尿病」の病名変更に関する議論が進んでいる。加えて「糖尿病患者→糖尿病のある人」「血糖コントロール→血糖マネジメント(管理)」など、使用すべき医療用語の再考も検討されている。背景として、「糖尿病のある人」には、海外ではpatientを使用せず、person with diabetesという表現を用いること、「血糖マネジメント(管理)」は、コントロールが「こちら(=医療従事者)の意思通りに動かす」意味合いが強いのに対し、英語圏ではcontrolからmanagementへと表現が変わっており、世界的にも主体的表現へ変化しつつあることが挙げられる。ただし、“ことば”を入れ替えるだけでは不十分で、より主体的に糖尿病に関わる意識が重要とされる。関連企業やメディアの参画で医療現場にもインパクトを 日糖協の活動は企業にも広がっており、賛同企業が間接的支援を行う「企業委員会」も立ち上げられた。製薬・医療機器製造・食品関連企業33社が参画中だ。企業の提供する情報量は膨大で、医療現場へのインパクトも大きいと推察される。代表幹事の小山 由起氏(住友ファーマ)、郷田 秀樹氏(ノボ ノルディスク ファーマ)からも、スティグマを理解するための企業研修や日本糖尿病協会年次学術集会での啓発活動などの取り組みが紹介された。今後は、企業作成物の改訂、とくに糖尿病のある人に向けた資料の表現に配慮していくという。言葉の見直しは、今後「日本糖尿病学会・日本糖尿病協会合同 アドボカシー活動」の中で協議され、数年以内の提言実現を目指すという。 われわれメディアも“ことば”を多く扱う。病名に対する関心の喚起は「社会を動かす力」になる。最後に、スティグマの存在を正しく理解し、適切な情報発信に努めることを自戒として記載したい。 糖尿病のある人にスティグマを負わせないために、病名も、私たち自身の意識も変えなければいけない。

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VTE既往妊産婦への低分子ヘパリン、体重補正中用量vs.固定低用量/Lancet

 静脈血栓塞栓症(VTE)既往のある女性において、分娩前~分娩後に体重で補正した中用量の低分子ヘパリン投与は、固定低用量の低分子ヘパリン投与と比べてVTE再発リスクを低減しないことが、オランダ・アムステルダム大学のIngrid M. Bistervels氏らが行った多施設共同非盲検無作為化試験「Highlow試験」の結果、示された。妊娠に関連したVTEは、母体の罹患および死亡の主要な原因であり、VTE既往女性では分娩前および分娩後に血栓予防が適応となる。しかし同期間中のVTE再発予防のための低分子ヘパリンの至適投与量は明らかでなかった。Lancet誌オンライン版2022年10月28日号掲載の報告。9ヵ国70病院で無作為化試験、妊娠14週~分娩後6週まで各用量を投与 Highlow試験は、9ヵ国(オランダ、フランス、アイルランド、ベルギー、ノルウェー、デンマーク、カナダ、米国、ロシア)の70病院から、VTE既往の妊娠中の女性を集めて行われた。客観的診断によるVTE既往のある18歳以上で、妊娠14週以下の女性を適格とした。 適格女性を、1対1の割合でウェブベースシステムと置換ブロック無作為化法にて、妊娠14週前に、体重補正した中用量の低分子ヘパリン投与(体重補正中用量)群または固定低用量の低分子ヘパリン投与(低用量)群に割り付け、分娩後6週まで1日1回皮下投与した。 主要有効性アウトカムは客観的診断のVTE(深部静脈血栓症、肺塞栓症または非典型的部位静脈血栓症など)で、独立した中央判定委員会で確認を行った。評価対象はintention-to-treat(ITT)集団(投与群に割り付けられたすべての女性など)とした。 主要安全性アウトカムは、分娩前、分娩後早期(分娩後24時間未満)を含む大出血、および分娩後後期大出血(分娩後24時間以上~6週間)で、割り付けられた治療の投与を少なくとも1回受け、投与の終了が確認されたすべての女性を評価対象とした。VTE再発に有意差なし、安全性も同等 2013年4月24日~2020年10月31日に、1,339例の妊娠中の女性がスクリーニングを受け、適格であった1,110例が、体重補正中用量群(555例)、低用量群(555例)に無作為に割り付けられた(ITT集団)。 VTEの発生は、体重補正中用量群11/555例(2%)、低用量群16/555例(3%)であった(相対リスク[RR]:0.69[95%信頼区間[CI]:0.32~1.47]、p=0.33)。 分娩前のVTE発生は、体重補正中用量群5/555例(1%)、低用量群5/555例(1%)であり、分娩後のVTE発生はそれぞれ6例(1%)、11例(2%)であった。 安全性解析集団(1,045例)における治療期間中の大出血は、体重補正中用量群23/520例(4%)、低用量群20/525例(4%)であった(RR:1.16[95%CI:0.65~2.09])。

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日本人統合失調症患者における認知機能と社会機能との関係

 統合失調症患者の活動性低下、就労困難、予後不良には、社会機能障害が関連していると考えられる。統合失調症患者の社会機能には、注意力や処理速度などの認知機能が関連しているが、認知機能と社会機能との関連はあまりよくわかっていない。そのため、社会機能に影響を及ぼす因子を明らかにすることは、統合失調症の治療戦略を考えるうえで重要である。金沢医科大学の嶋田 貴充氏らは、統合失調症患者の社会機能に影響を及ぼす因子をレトロスペクティブに分析し、統合失調症患者の認知機能と社会機能との間に有意な相関が認められたことを報告した。Journal of Clinical Medicine Research誌2022年9月号の報告。 患者の背景、知能指数(IQ)スコア、統合失調症認知機能簡易評価尺度の日本語版(BACS-J)スコア、抗精神病薬の投与量、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコア、社会機能評価尺度の日本語版(SFS-J)の各サブスケールに影響を及ぼす因子を評価するため、単変量解析および多変量解析を用いた。ボンフェローニ補正を用いて、単変量解析の各因子との相関を評価した。多変量解析では、ステップワイズ法を用いて、独立変数を選択した。各モデルのサンプルサイズを考慮し、ステップワイズ法で抽出される変数を最大3つに設定した。また、SFS-Jサブスケールスコアと各因子の標準偏回帰係数(standard β)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者36例(平均年齢:57.8歳、平均罹病期間:34.8年、総入院期間:196.7ヵ月)のデータを分析した。・単変量解析では、7つのSFS-Jサブスケールとの有意な関連が認められた。多変量解析では、そのうち3つのみに有意な関連が認められた。・多変数モデルでは、BACS-Jの言語流暢性とSFS-Jのひきこもり、対人関係、就労との間に正の相関が認められた。・PANSSスコア、IQスコア、抗精神病薬の投与量には、SFS-Jサブスケールスコアとの明らかな関連は認められなかった。

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第134回 介護人材不足のツケは医療者に!?知っておきたい業界のリアル

 最近、医療・介護の人材不足に関連してさまざまなデータに触れる機会があった。その中であまりの介護人材不足に改めて愕然とした。2022年7月末現在の最新データによると、介護保険に伴う要介護(要支援)認定者数は697万1,000人。実に65歳以上の約19.0%、つまり高齢者の5人に1人は何らかの介護や介護予防が必要な状況である。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では65歳以上の高齢者は2042年のピーク時3,935万人まで増加の一途をたどる見込みで、当然ながら要介護(要支援)認定者数も当面は増加し続けることになる。そして実際の介護保険サービス利用者の現状と将来については、厚生労働省(以下、厚労省)が今年3月に社会保障審議会介護保険部会に提出した資料によると、2020年度の介護保険サービス利用者の実績値は509万人。将来の利用者は2025年度に577万人、2040年度に672万人と推計されている。この介護保険サービス利用者の将来予測に対して介護職員の必要数推計は、第8期介護保険事業計画策定時の試算で2025年度に約243万人、2040年度に約280万人。2019年度時点の介護職員実数が211万人なので、2025年時点で約32万人の不足となる。2025年度とはわずか3年後のことだ。もちろん厚労省の推計は、ある程度腰だめ的な側面もあるだろう。しかし、もはや“尻に火がつく”などというレベルを超えている。だが、厚労省が調査した最新版の「令和2年介護サービス施設・事業所調査の概況」を見ると、より深刻なことがわかる。介護老人福祉施設(いわゆる特養)の介護職員数を見ると、2019年度比で3,600人強増加はしている。ただし、2020年度の介護老人福祉施設数は8,306施設なので、概算すると1施設当たり平均で0.4人増。しかし、2019年度から72施設増なので、この点を加味すると、2019年度からある既存の介護老人福祉施設の平均では実質の人員増加はほぼゼロといっても過言ではない。さらに訪問介護で働く介護職員初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級)は、2020年度が21万7,049人だが、前年度の2019年度は23万3,322人で、1万6,000人以上も減少している。初任者研修は介護領域での入門資格で、この上位には介護福祉士実務者研修があるが、2020年度の訪問介護に従事する実務者研修修了者は2万8,100人と前年度比で約2,100人の増加に留まる。通所介護で働く介護職員はこの両年度間で微増に過ぎず、この初任者研修修了者の大幅な減少は単純な離職と考えるほか説明がつかない。これほど深刻な介護職の人手不足に対して厚労省が行っている主な取り組みを調べて列挙すると以下のようになる。介護に関する入門的研修実施人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度介護現場における多様な働き方導入モデル事業介護の仕事の魅力発信などによる普及啓発ちなみに一番上の入門的研修とは2018年にスタートした制度で、前述の初任者研修の一段階前のもので、この研修を修了すると初任者研修の一部が免除されるというものだ。だが、全体的に見てやや厳しい言い方となるが、どれも掛け声中心で介護人材確保の実効性には疑問符が付く。そもそも、介護が魅力的な仕事でなければ新たな人材確保は難しい。一応、厚労省の施策の最後にもそうしたものを意識した取り組みはあるが、前述の初任者研修修了者のかなりの減少を見れば、現実にはそうはなっていないのだろう。そんなこんなを聞こうとして、大学受験浪人時代からの友人にLINEで連絡を取ってみた。彼は介護福祉士の資格を有し、ほぼ一貫して介護業界で働いている。ちょうど今年の夏に有料老人ホームに転職したという話を聞いていたばかりだ。ところが彼からの一言目に「え?」となった。「ミスマッチで辞めたよ」と返ってきたからだ。勤務期間は3ヵ月に満たない。そんな彼の訴えを箇条書きにすると以下のようになる。「社則とか復唱するし、館内はゴキブリやねずみが頻発するし」「勿論、夜勤ありだよ。賞与は2ヵ月の話だったが、実際は1ヵ月ももらっていないと、現場の介護職員は言ってたよ」「夜勤の時は看護師はいない。ナースへのオンコールもなし。急変の時は地域の提携しているクリニックに上申はするけど」「夜勤は16時半〜9時半まで。朝食介助もして、居室にまた戻してと非人間的労働だわ」「3フロアなのに、2人夜勤だし。監視カメラあるし。でも、ずり落ちや転倒の事故は頻発だし」「自立の利用者で訴えが無視されていた人もいたよ」「(利用者の)朝食は7時半、夕食は5時15分には開始でおやつはなし」いやはや聞けば聞くほど暗澹とする内容ばかりだった。まあ、民営の有料老人ホームであるため、介護の質よりも経営効率が優先される悪質事例の典型だったのかもしれないが、それにしても酷すぎると感じるのは私の錯覚なのだろうか? 特養などで勤務する人などと話をしていてもやはり労働環境、介護の質に関する愚痴を聞かされることは少なくない。介護保険創設から20年が経過した今、厚労省も「科学的介護」という名称で介護の質的向上の取り組みはしている。だが、それだけに留まらず労働環境も含めた質担保に早急に取り組むべきではないだろうか? 医療に関しては驚くほど箸の上げ下げのようなところまで口を突っ込む割に、介護に対してはその点は緩いと傍目には映る。一応、前述の厚労省の取り組みを見ると、それっぽいものはあるものの、なんとも頼りない感じのものばかり。これでより多くの人材を確保しようなど土台無理な話である。そして介護保険創設は、それまで存在していた医療への過度な依存を軽減するのが大きな目的であったはず。だが、このままの質の担保が不十分な介護の付けを払わされるのは利用者と家族であり、また医療側である。

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統合失調症に対するアリピプラゾールの適切な投与量~メタ解析

 薬理学の基本は、薬物の血中濃度と効果との関係であると考えられるが、多くの臨床医において、血中濃度測定の価値は疑問視されているのが現状である。そのため、治療基準用量の検討が、十分に行われていないことも少なくない。ドイツ・ハイデルベルク大学のXenia M. Hart氏らは、統合失調症および関連障害患者における脳内の受容体をターゲットとする抗精神病薬アリピプラゾールの血中濃度と臨床効果および副作用との関連を評価するため、プロトタイプメタ解析を実施した。その結果、ほとんどの患者において、アリピプラゾール10mgでの開始により血中および脳内の有効濃度に達することが示唆された。Psychopharmacology誌2022年11月号の報告。 アリピプラゾールの経口剤および注射剤についての関連文献をシステマティックに検索し、レビューを行った。3,373件の血中濃度データを収集し、薬物動態の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたコホート研究は、53件であった。・経口剤の血中濃度に関する研究が29件、注射剤の血中濃度に関する研究が15件、PETによる研究が9件であった。・血中濃度、有効性、副作用との関連について、相反するエビデンスが報告されていた。・集団ベースのリファンレンス範囲は、神経画像データおよび個別の有効性に関する研究から知見とほぼ一致していた。・統合失調症および関連障害の治療に対するアリピプラゾールおよび活性代謝物の治療基準用量は、それぞれ120~270ng/mL、180~380ng/mLであることが示唆された。・アリピプラゾールの経口剤および長時間作用型注射剤の治療モニタリングには、個人差の大きさやCYP2D6遺伝子型が影響すると考えられる。・ほとんどの患者において、アリピプラゾール10mgでの開始により、血中および脳内の有効濃度に達し、代謝不全患者の場合には、5mg程度で十分である可能性が示唆された。

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新経口薬camizestrant、ER+進行乳がんでフルベストラントに対しPFS延長/AZ

 アストラゼネカは2022年11月8日、次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるcamizestrantが、進行乳がんに対して内分泌療法による治療歴があり、エストロゲン受容体(ER)陽性の局所進行または転移乳がんを有する閉経後の患者を対象に、フルベストラント500mgと比較して、75mgおよび150mgの両用量で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したと発表した。なお、camizestrantの忍容性は良好であり、安全性プロファイルは過去の試験で認められたものと一貫しており、新たな安全性上の懸念は確認されていない。 camizestrantは、強力で経口投与可能なSERDかつERへの完全拮抗薬であり、ER活性型変異を含む幅広い前臨床モデルで抗がん活性を示している。第I相臨床試験(SERENA-1試験)では、camizestrantの忍容性が良好であり、単剤療法またはCDK4/6阻害薬パルボシクリブとの併用療法として投与したときに有望な抗腫瘍プロファイルを有することが示されている。 今回結果が発表されたSERENA-2試験は、ER陽性HER2陰性の進行乳がん患者を対象に、複数の用量のcamizestrantをフルベストラントと比較して評価する、無作為化非盲検並行群間多施設共同第II相臨床試験。主要評価項目は、フルベストラント(500mg)との比較によるcamizestrant(75mg)のPFS、およびフルベストラントとの比較によるcamizestrant(150mg)のPFSであり、Response Evaluation Criteria In Solid Tumours(RECIST)ガイドライン第1.1版の定義に従い評価される。240例をcamizestrant群またはフルベストラント群に無作為に割り付け、病勢進行が認められるまで治療を実施した。副次評価項目は、24週目の安全性、客観的奏効率および臨床的ベネフィット率(CBR)など。本試験の詳しい結果は、今後の医学学会で発表される予定となっている。 また、1次治療中にESR1遺伝子変異が検出されたHR陽性の転移乳がん患者を対象にcamizestrantとCDK4/6阻害剤(パルボシクリブまたはアベマシクリブ)の併用療法を評価する検証的第III相臨床試験であるSERENA-6試験や、HR陽性の局所進行または転移乳がんへの1次治療におけるcamizestrantとパルボシクリブの併用療法を評価する第III相SERENA-4試験などが実施されており、SERENA-6試験の適応症は米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック指定を付与されている。

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フォシーガ、心不全に関する新たなエビデンスをAHA2022で発表/AZ

 アストラゼネカは2022年11月8日のプレスリリースで、第III相DELIVER試験において、フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)によって駆出率が軽度低下または保持された心不全患者の症状の負担感および健康関連の生活の質(QOL)を改善したと発表した。 第III相DELIVER試験の事前に規定された解析結果から、プラセボ群と比較して標準治療にフォシーガを追加した併用療法(フォシーガ群)で、症状負荷、身体的制限およびKCCQ平均スコアによる評価においてQOLが改善した。こちらは治療開始から1ヵ月という早期の治療ベネフィット達成となっていた。このベネフィットは8ヵ月時点でも維持されており、プラセボ群と比較して、総症状スコアで平均2.4点、身体的制限で1.9点、臨床サマリースコアで2.3点、全体サマリースコアで2.1点の改善が認められた(すべてp<0.001)。また、8ヵ月時において、プラセボ群と比較してフォシーガ群で大幅な悪化を示した患者さんは少なく、多くの患者さんで、評価したKCCQドメインすべてにおいて健康状態の改善を示し、スコアの軽度(5点以上)、中程度(10点以上)、大幅(15点以上)な増加が確認されている。第III相DELIVER試験におけるフォシーガの安全性および忍容性プロファイルはこれまでに報告されたプロファイルと一貫していた。 結果に関しては2022年米国心臓協会学術集会(AHA2022)で発表、Journal of the American College of Cardiology誌に掲載されている。

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高齢化率世界一の日本のコロナ禍超過死亡率が低いのは?/東京慈恵医大

 新型コロナウイルス感染症流行前の60歳平均余命が、コロナ禍超過死亡率と強く相関していたことを、東京慈恵会医科大学分子疫学研究部の浦島 充佳氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2022年10月19日掲載の報告。 新型コロナウイルス感染症は高齢者において死亡リスクがとくに高いため、世界一の高齢者大国である日本ではコロナの流行によって死亡率が高くなることが予想されていたが、実際には死亡率の増加が最も少ない国の1つである。本研究は、なぜ日本が超過死亡率を最も低く抑えることができたかを明らかにするため、コロナ流行以前(2016年など)における健康、幸福度、人口、経済などの50項目の指標と、コロナ流行中(2020年1月~2021年12月)の死亡率の変動との相関を調査した。 研究グループは、超過死亡率の判明している160ヵ国を人口の60歳以上が占める割合で4グループに分け、高齢者率が最も高い40ヵ国について、コロナ流行前の各国公表データとの関係を調査した。 主な結果は以下のとおり。・高齢者率が最も高いグループには欧米諸国、旧ソビエト連邦、東欧諸国、日本、韓国などの40ヵ国が含まれていた。総じて超過死亡率は高かったが、グループ内での開きがあり、超過死亡率がマイナスであった国は、ニュージーランド、オーストラリア、日本、ノルウェーの順であった。ロシアを含む旧ソビエト連邦や東欧諸国の超過死亡率は200を超えるなど桁違いに高かった。・50項目の指標で最も相関の強かった因子は「60歳の平均余命」で、相関係数は-0.91であった。・2番目は「2021年末までのワクチン2回接種率」で、相関係数は-0.82であった。・3番目は「国民1人当たりのGDP」で、相関係数は-0.78であった。国民1人当たりのGDPが大きい国では超過死亡率が低く、この傾向はスペイン風邪のときにも認められた。・上位3因子について多変量解析を行った結果、「60歳の平均余命」だけが有意で、他の「2021年末までのワクチン2回接種率」と「国民1人当たりのGDP」の有意性は失われた。よって、後者2因子は「60歳の平均余命」と超過死亡率との関係に対して交絡因子になっていると考えられる。・「30~70歳の心筋梗塞などの心血管疾患、脳卒中、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患で死亡する人口あたりの割合」は相関係数が0.90と極めて強い相関を示した。・「5歳未満の乳幼児死亡率」との強い相関は示されなかった。 同氏らは、「本調査の結果は、高齢時の長い平均余命が、質の高い医療システムとパンデミックを含む医療脅威からの回復力に関連していることを示唆している」とまとめた。

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治療抵抗性うつ病、psilocybin単回投与の有効性は/NEJM

 治療抵抗性うつ病治療への使用が検討されているpsilocybinについて、25mg単回投与は同1mg単回投与と比較して、3週時までのうつ病スコアが有意に低下したが、有害事象と関連していた。英国・COMPASS PathfinderのGuy M. Goodwin氏らが、欧州および北米の10ヵ国22施設で実施されたpsilocybinの第II相無作為化二重盲検用量設定試験の結果を報告した。NEJM誌2022年11月3日号掲載の報告。25mg vs.10mg vs.1mg単回投与の有効性/安全性を比較検証 研究グループは、2019年3月1日~2021年9月27日の期間に、臨床評価に基づき精神病性の特徴を伴わない大うつ病性障害のDSM-5診断基準を満たし、現在のうつ病エピソードに対してMGH-ATRQに基づく用量と治療期間(8週以上)による2~4回の適切な治療を行うも効果が不十分であった18歳以上の治療抵抗性うつ病患者を対象に、心理学的サポートに加えてpsilocybinの合成製剤であるCOMP360を25mg、10mgまたは1mg(対照)の単回投与を受ける群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、Montgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)合計スコア(範囲:0~60、スコアが高いほど重症度が高い)の、ベースラインから3週時までの変化量とし、25mg群と10mg群を1mg群と比較した。また、主な副次評価項目は、3週時の反応率(MADRS合計スコアがベースラインから50%以上低下[改善]した患者の割合)、3週時の寛解率(MADRS合計スコアが10以下の患者の割合)、12週時の反応持続率(3週時の反応が12週時まで持続した患者の割合)とした。 428例がスクリーニングされ、233例が無作為に割り付けられた(25mg群79例、10mg群75例、1mg群79例)。25mg単回投与、3週間でうつ病スコアが有意に低下 ベースラインの患者背景は3群で類似しており、MADRS合計スコア(平均値)は25mg群31.9、10mg群33.0、1mg群32.7であった。 主要評価項目であるベースラインから3週時までのMADRS合計スコア変化量(最小二乗平均値)は、25mg群:-12.0、10mg群:-7.9、1mg群:-5.4であり、群間差(vs.1mg群)は25mg群で-6.6(95%信頼区間[CI]:-10.2~-2.9、p<0.001)、10mg群で-2.5(-6.2~1.2、p=0.18)であった。 副次評価項目の反応率は25mg群37%、10mg群19%および1mg群18%で、オッズ比[OR](vs.1mg群)は25mg群2.9(95%CI:1.2~6.6)、10mg群1.2(0.5~3.0)、寛解率はそれぞれ29%、9%および8%(ORはそれぞれ4.8[95%CI:1.8~12.8]、1.2[0.4~3.9])、反応持続率は20%、5%および10%(オッズ比は2.2[95%CI:0.9~5.4]、0.7[95%CI:0.2~2.0])であった。 有害事象は25mg群66例(84%)、10mg群56例(75%)、1mg群57例(72%)に発現した。主な事象は頭痛、悪心、眩暈、疲労などであった。自殺念慮または自殺行為、自傷行為等の重篤な有害事象の発現率は、投与翌日(2日目)から3週時までが25mg群5%、10mg群5%、1mg群0%、3週以降12週までがそれぞれ5%、4%、1%であった。 著者は、研究の限界として実薬対照ではないこと、民族的に多様な被験者集団ではないこと、臨床的に自殺リスクが高い患者は除外されたことなどを挙げた上で、「治療抵抗性うつ病患者に対するpsilocybinの有効性および安全性を明らかにするためには、既存の治療法との比較を含めた、より大規模で長期的な臨床試験が必要である」とまとめている。

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アスピリン潰瘍出血、ピロリ除菌での予防は一時的?/Lancet

 Helicobacter pylori(H. pylori)除菌は、アスピリンによる消化性潰瘍出血に対する1次予防効果があるものの、その効果は長期間持続しない可能性があることが、英国・ノッティンガム大学のChris Hawkey氏らが英国のプライマリケア診療所1,208施設で日常的に収集された臨床データを用いて実施した、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Helicobacter Eradication Aspirin Trial:HEAT試験」の結果、明らかとなった。アスピリンによる消化性潰瘍は、H. pylori感染と関連していることが知られていた。Lancet誌2022年11月5日号掲載の報告。H. pylori陽性者約5,300例を除菌群とプラセボ群に無作為化 HEAT試験の対象は、アスピリン(1日325mg以下、過去1年で28日分の処方を4回以上)の投与を受けている60歳以上の高齢者で、スクリーニング時にH. pylori C13尿素呼気試験が陽性の患者であった。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)または胃保護薬の投与を受けていた患者は、除外された。 適格患者を、H. pylori除菌群(ランソプラゾール30mg、クラリスロマイシン500mg、メトロニダゾール400mgを1日2回7日間投与)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、試験終了(2020年6月30日)、同意撤回または死亡まで追跡調査した。試験期間中、患者、担当医師および医療従事者、リサーチナース、試験チーム、判定委員会および解析チームは、治療の割り付けに関して盲検化された。追跡調査は、プライマリケアおよび2次医療施設における電子データを用いて実施された。 主要評価項目は、definite/probable消化性潰瘍出血による入院または死亡までの時間とし、intention-to-treat集団を対象にCox比例ハザードモデルを用いて解析した。 2012年9月14日~2017年11月22日の期間に、計3万166例がH. pyloriの呼気検査を受けた。陽性者は5,367例で、このうち5,352例が無作為化された(除菌群2,677例、プラセボ群2,675例)。追跡期間中央値は、5.0年(四分位範囲[IQR]:3.9~6.4)であった。消化性潰瘍出血による入院/死亡、最初の2.5年未満は除菌群で65%低下 主要評価項目の解析の結果、Schoenfeld検定で比例ハザード性の仮定からの有意な逸脱(p=0.0068)が認められた。すなわち、Kaplan-Meier生存曲線が治療群間で早期に分離したが、その差が時間の経過と共に減少した。そこで、無作為化後2.5年未満と2.5年以降に分けて解析した結果、主要評価項目のイベント発生率は2.5年未満において、対照群と比較し除菌群で有意に低下した。definite/probable消化性潰瘍出血と判定されたエピソードは、除菌群6件(1,000人年当たり0.92[95%信頼区間[CI]:0.41~2.04])vs.対照群17件(2.61[1.62~4.19])だった(ハザード比[HR]:0.35[95%CI:0.14~0.89]、p=0.028)。 この有益性は、死亡の競合リスクで補正後も維持されたが(p=0.028)、追跡期間が長期になると消失した(無作為化後2.5年以降でのHR:1.31[95%CI:0.55~3.11]、p=0.54)。 有害事象は5,307例から報告され、最も多かった有害事象は味覚障害(787例)であった。

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妊娠高血圧症候群と長期的な児への影響(解説:三戸麻子氏)

 妊娠高血圧症候群は母児ともにadverse pregnancy outcomeの合併が多く、死亡率も高い代表的な妊娠合併症である。その影響は周産期のみならず出産後長期的な健康にも及び、妊娠高血圧症候群に罹患した女性では、将来高血圧や糖尿病などの生活習慣病や脳心血管病のリスクが高い。またその児においても、メタボリック症候群や免疫系の異常、精神神経疾患のリスクが高いことが報告されている。しかし児の出生後長期的な全死亡についてはほとんど報告がなかった。 本研究によると、妊娠高血圧症候群、なかでも重症妊娠高血圧腎症、HELLP症候群、子癇は、児の出生後長期的な全死亡と関連が認められ、その原因として心血管系疾患や消化器系疾患などが挙げられた。胎内で母体の妊娠高血圧症候群に曝露することが、児のそれらの疾患や死亡とどのように関連するか、詳細な機序は明らかではない。しかし何かしらの関連があるのは確かであると思われる。 妊娠高血圧症候群と将来の脳心血管病のリスク因子は重なる部分が多い。また長期間にわたる縦断的な研究が少ないことなどから、妊娠高血圧症候群が独立して脳心血管病のリスクとなるのか否か、また児への影響は依然として不明な部分も多い。今後は、それらの詳細な機序の解明と、妊娠前または出産後の介入によって、将来の疾病の発症を抑えることができるかどうかのエビデンスが待たれるところである。

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