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新規抗体薬litifilimab、皮膚エリテマトーデスの疾患活動性を改善/NEJM

 皮膚エリテマトーデス患者の治療において、血液樹状細胞抗原2(BDCA2)のヒト化モノクローナル抗体製剤litifilimabはプラセボと比較して、治療開始から16週間後の皮膚疾患活動性の改善効果が優れ、有害事象の発生状況は同程度であることが、米国・ペンシルベニア大学のVictoria P. Werth氏らが実施した「LILAC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年7月28日号で報告された。世界54施設の無作為化第II相試験 LILAC試験は、皮膚エリテマトーデス患者の治療におけるlitifilimabの有効性と安全性の評価を目的とする16週の二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2016年10月~2019年11月の期間に、アジア、欧州、中南米、米国の54施設で参加者の登録が行われた(米国Biogenの助成による)。 対象は、年齢18~75歳、全身症状の有無にかかわらず、生検で組織学的に皮膚エリテマトーデスと確定され、活動性の皮膚エリテマトーデス(皮膚エリテマトーデス疾患面積・重症度指数-活動性[CLASI-A]尺度[0~70点、点数が高いほど活動性が高い]のスコアが8点以上)を有する患者であった。 被験者は、litifilimabの3つの用量(50mg、150mg、450mg)またはプラセボを、0週、2週、4週、8週、12週目に皮下投与する群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、ベースラインから16週までのCLASI-Aスコアの変化の割合(%)とされた。用量反応モデルを用いて、4群における反応の有無が評価された。また、安全性の評価も行われた。より大規模でより長期の試験が必要 132例が登録され、litifilimab 50mg群に26例(平均年齢43.3歳、女性77%)、同150mg群に25例(43.6歳、80%)、同450mg群に48例(44.0歳、75%)、プラセボ群に33例(43.4歳、91%)が割り付けられた。各群のベースラインの平均CLASI-Aスコアは、それぞれ15.2点、18.4点、16.5点、16.5点であった。全身性エリテマトーデス(SLE)を併存する患者が、それぞれ42%、48%、42%、42%含まれた。 CLASI-Aスコアのベースラインから16週までの変化率の最小二乗平均(LSM)は、litifilimab 50mg群が-38.8%、150mg群が-47.9%、450mg群が-42.5%、プラセボ群は-14.5%と、いずれも改善されたが、プラセボ群では改善の程度が小さかった。 したがって、16週時におけるCLASI-Aスコアのベースラインからの変化率の、プラセボ群との差のLSMは、litifilimab 50mg群が-24.3ポイント(95%信頼区間[CI]:-43.7~-4.9)、150mg群が-33.4ポイント(-52.7~-14.1)、450mg群は-28.0ポイント(-44.6~-11.4)であった。3つの用量とプラセボについて最適な用量反応モデルを用いて主解析を行ったところ、いずれの用量でも、プラセボとの比較で有意な効果が確認された。 一方、副次エンドポイントの多くは、主解析の結果を支持しなかった。 有害事象は、litifilimab群(3用量群99例)の72%、プラセボ群の67%で発現し、多くは軽度~中等度であった。頻度の高い有害事象として、鼻咽頭炎(litifilimab群10%、プラセボ群6%)、頭痛(9%、9%)、注射部位紅斑(9%、3%)、SLE(7%、12%)、関節痛(6%、6%)、上気道感染症(6%、3%)などが認められた。重篤な有害事象は、litifilimab群が7例(7%)、プラセボ群は3例(9%)で発現した。 litifilimab群では、過敏症が3例、口腔ヘルペス感染症が3例、帯状疱疹感染症が1例でみられ、litifilimabの最終投与から4ヵ月後に1例で帯状疱疹髄膜炎が発生した。 著者は、「皮膚エリテマトーデスの治療におけるlitifilimabの効果と安全性を明らかにするには、より大規模でより長期の試験を要する」としている。

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「BA.1対応型」で10月接種開始予定、小児へのワクチンは「努力義務」に変更/厚労省

 オミクロン株対応ワクチンについて、本邦では10月半ば以降、初回接種を完了したすべての住民を対象に接種を開始することを想定して「BA.1対応型」2価ワクチンの導入を進めることが、8月8日に開催された第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。また同会では、小児(5~11歳)の新型コロナワクチン接種について現行の取り扱いを変更し、努力義務の適用とすることも了承された。「BA.1対応型」ワクチンの導入が了承された背景 ファイザー社およびモデルナ社では、「オミクロン株対応ワクチン」(オミクロン株のスパイクタンパクを成分として含んだワクチン、従来型ワクチンとの2価ワクチンを含む)を開発中であり、6月28日のFDA諮問委員会に臨床試験等の結果を報告している。ただし、これらの結果はBA.1の成分を含むワクチンについてであり、FDAはBA.4/5の成分を含む2価の追加接種用ワクチンの開発を検討するよう、両社に勧告している。 これらの状況を受け7月22日、「新型コロナワクチンの製造株に関する検討会」が立ち上げられ、本邦での導入にむけた同ワクチンの構成について議論がなされた結果、まずはいち早く利用可能となる「BA.1対応型」を選択すべきではないかとの見解が示された。その理由として、現在の主な流行株はオミクロン株となっていることから、利用可能なオミクロン株対応ワクチンによる接種になるべく早く切り替えることが妥当であると考えられること、現在までに示されたデータの範囲内では、従来型ワクチンと比較して、ワクチンに含まれる成分と異なる亜系統のオミクロン株に対しても中和抗体価の高い上昇が見られ、オミクロン株に対するより高い有効性が期待されることなどが挙げられた。 「BA.1対応型」ワクチンについて、現時点で報告されている臨床試験結果は以下のとおり。ファイザー社・18~55歳対象、BA.1対応単価ワクチン(30μg) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.75倍※1・56歳以上対象、従来株+BA.1対応2価ワクチン(15μgずつ) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.56倍※1 BA.4/5に対する中和抗体価はBA.1に対する上昇よりは低い・56歳以上対象、従来株+BA.1対応2価ワクチン(30μgずつ) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.97倍※1 BA.4/5に対する中和抗体価はBA.1に対する上昇よりは低いモデルナ社・18歳以上対象、従来株+BA.1対応2価ワクチン(25μgずつ) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.75倍※1 BA.4/5に対する中和抗体価(接種前と比較して)5.44倍※2※1:幾何平均比、※2:幾何平均上昇倍率 なお、ファイザー社は8月8日のプレスリリースにおいて、従来株+BA.1対応2価ワクチンの承認申請を行ったことを発表した。同ワクチンは生理食塩水での希釈が不要なRTU 製剤とされている。小児に対する有効性・安全性のエビデンスが蓄積、「努力義務」へ 小児(5~11歳)に対する新型コロナワクチンの本邦での取り扱いについて、前回議論された2月10日時点では、小児におけるオミクロン株の感染状況(感染者、重症化の動向)が確定的でないことや、オミクロン株についてはエビデンスが必ずしも十分ではないことから、努力義務の規定は小児について適用しないこととされていた。しかし、この半年の間に海外および国内でのエビデンスが蓄積されている。 有効性について新たに報告されたデータとしては、オミクロン株流行下における、小児に対するワクチンの発症予防効果としては、2~4週間後 60.1%、5~8週間後には28.9%との報告があり、入院予防効果については、2回接種後約60日までで約80%の有効性を認めたとの報告がある。 安全性については、米国での約1,600万回の接種についての大規模解析において、安全性に関する懸念は認められておらず、2回目接種後7日間の追跡で認めた副反応は12~15歳よりも頻度が少なく、接種後の心筋炎の報告率は、12~15歳および16~17歳の男性における報告率より低いと報告されている。国内においても、約270万回の接種について、重大な懸念は認められていない。 複数の委員から「努力義務」という言葉の意味(義務とは異なり接種は強制ではなく、最終的には、あくまでも本人が納得した上での判断を促すもの)を丁寧にわかりやすく示す必要があるという指摘があったが、そのうえで、「努力義務」に変更することが了承された。

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オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請/ファイザー

 ファイザー社は8月8日付のプレスリリースで、オミクロン株対応の新型コロナウイルスワクチンを厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。今回申請したワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源株と、オミクロン株BA.1系統のスパイクタンパク質をそれぞれコードする2種類のmRNAを含む2価ワクチンで、生理食塩水での希釈が不要なRTU製剤となっている。 同社の2価ワクチンの効果については、6月25日付の米国でのプレスリリースによると、56歳以上を対象とした第II/III相試験において、現行のワクチンと比較してオミクロン株BA.1に対して大幅に高い中和抗体反応を示し、中和抗体価の幾何平均比(GMR)は、2価ワクチン30μgで1.56(95%信頼区間[CI]:1.17~2.08)、60μgで1.97(95%CI:1.45~2.68)であった。追加接種から1ヵ月後では、オミクロン株BA.1に対する中和幾何平均抗体価(GMT)が、30μgで9.1倍、60μgで10.9倍に追加接種以前より増加した。 なお、オミクロン株BA.4/BA.5に対しての効果は、56歳以上の被験者の血清で試験したSARS-CoV-2ライブウイルス中和アッセイによると、BA.1の約3分の1の力価でBA.4/BA.5を中和したという。 オミクロン株対応ワクチンについては、ファイザー社とモデルナ社が現在複数の種類の開発を進めている。厚生労働省は8月8日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、まずはいち早く利用可能となるBA.1対応型の2価ワクチンを導入するのが妥当であるという方針を示した。薬事上の承認が成された場合、9月中に輸入を開始し、10月半ば以降には接種を開始できる見込みという。

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DPP-4阻害薬は胆嚢炎発症リスクを増加させる(解説:住谷哲氏)

 DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい安全な血糖降下薬として多くの患者に処方されている。しかしこれまでにDPP-4阻害薬投与と、心不全1)、水疱性類天疱瘡2)、急性膵炎3)、重症関節痛4)との関連が示唆されてきた。とりわけ初回治療薬として処方される血糖降下薬の約70%がDPP-4阻害薬とされるわが国では5)、まれな副作用についても注意が必要である。 GLP-1が胆嚢のmotilityに影響することは以前から知られており、血中GLP-1濃度を上昇させるDPP-4阻害薬が胆道・胆嚢疾患の発症リスクを増大させるのではないかとの懸念は以前からあった。GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドが胆嚢・胆道疾患の発症と関連することはすでに報告されていたが、DPP-4阻害薬について報告がなかった。そこで著者らは、これまでに報告された82のRCTの結果を用いて、DPP-4阻害薬と胆道・胆嚢疾患発症との関連を検討した。 その結果は、胆嚢炎、胆石症、胆道疾患の複合アウトカムである胆嚢・胆道疾患の発症リスク増加(オッズ比[OR]:1.22[95%信頼区間[CI]:1.04~1.43])が認められた。さらに、複合アウトカム構成項目のなかで有意なリスク増加を認めたのは胆嚢炎のみであり(OR:1.43[1.14~1.79])、胆石症と胆道疾患には有意なリスク増加を認めなかった。 胆嚢炎の絶対リスク増加は15/1万人年であり、著者らはそのリスク増加は微小ではあるが、DPP-4阻害薬のもたらすベネフィットとのバランスの下で投与が判断されるべきである、とコメントしている。現在わが国でDPP-4阻害薬が投与されている2型糖尿病患者が何人かは正確には不明であるが、仮に800万人の患者の50%にDPP-4阻害薬が投与されていると仮定すると、年間に800万×0.5×15/1万=6,000となり、年間6,000人の胆嚢炎患者がDPP-4阻害薬投与により余分に発生している計算になる。 DPP-4阻害薬が心血管イベントリスクを増加しない安全な薬剤であることは複数のCVOTで証明されている。しかし発売後10年以上が経過した今日、諸外国と比較して多数の2型糖尿病患者にDPP-4阻害薬が投与されているわが国においては、DPP-4阻害薬のもたらすリスクとベネフィットとを考え直す時期に来ているのではないだろうか。

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あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回

第42回 あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?漫画・イラスト:かたぎりもとこ私たちが承継のお手伝いをしていく中で、「とにかく多くの物件を見ているのに、最終決断ができない」という方が一定数いらっしゃいます。このような方に共通するのは「自分にとっての成功・失敗の定義ができていない」ことです。このために不安に支配されてしまい、決断ができないのです。私たちはこうした方には「成功・失敗を数値で定義してみる」ことをお勧めしています。たとえば、下記のようなイメージです。自分にとっての成功:3年以内に年収を現在(勤務医時代)の2,000万円に戻し、5年以内に2,500万円にすること。自分にとっての失敗:3年以内に初期投資額である4,000万円を返済できないこと(3年間は年収1,500万円を維持する前提)。または、開業の軸として経済合理性以外の軸が重要である場合には、下記のようなものでも良いでしょう。自分にとっての成功:現在の年収1,500万円を下回ることなく、週のうち半分以上は家族と夕食を共にできる働き方を維持する。自分にとっての成功:年収1,000万円を下回ることなく、一人ひとりの患者さんに丁寧な診療(具体的には1人10分以上の診察時間を持てるような診療)を実現する。開業3年目までに実現できていれば成功。多くの物件を見ても意思決定できない方は、上記を整理・言語化できていない場合がほとんどです。これは本来ならば物件を見るより前に、自分の頭で一度整理してみるしかないことです。「決められない病」になってしまった方は、ぜひ「成功・失敗を定義する」という取り組みをしてみてください。

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薬学部の新設・定員増がとうとう原則禁止に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第94回

文部科学省が、2025年以降の6年制薬学部の新設・定員増を規制する方針を明らかにしました。方々から指摘されていたことではありますが、薬局や薬剤師の将来に大きく影響する決定です。今回は、この決定の背景と現状の薬学部の問題について考えます。薬剤師を養成する大学の6年制薬学部について、文部科学省は、2025年度以降の新設と定員増を原則として認めない方針を決めた。薬学部設置は大学が自由に申請でき、法令に適合すれば認可されるため、近年は薬剤師の供給過多の恐れが指摘されていた。早ければ22年度中に大学設置基準を改正する。(中略)ただ、薬剤師は都心部に偏在するため地域差が大きく、薬剤師不足の都道府県は例外的に新設・定員増を認める。(2022年7月22日付 日本経済新聞)これまで、薬学部の教育の質や薬剤師の需要・供給の未来予測などについては、文部科学省の「薬学系人材養成の在り方に関する検討会」、厚生労働省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」などで検討されてきました。その結果、ほぼすべての結論が「薬学部の新設抑制を勧める」というもので、2022年版の日本薬剤師会政策提言においても「薬学部・薬科大学入学定員総数の削減を行うべきである」と明言されています。ネガティブな結果ではありますが、国が本腰を入れるとこんなにスムーズに物事が動くのだなと感心しています。薬剤師を養成する場である6年制薬学部は、15年ほど前に新設が相次ぎ、2021年時点で77大学79学部あります。私立大学は58大学60学部と大多数を占めていますが、そのうち約30%は入学定員充足率が80%以下にとどまっています。さらに、私立大学では、6年で卒業して一発で国家試験に合格できる学生は60%未満で、合格率が50%以下の大学も10校以上あり、厳しい状況となっています。薬学部が多いため入学試験による学生の選別が機能せず、学力の基準に満たない学生が多く入学して国家試験に合格できない、という大学が複数あるということなのでしょう。文部科学省は、これまでも定員充足率や国家試験合格率が低い私立大学に改善を促してきましたが、今後は定員割れの大学は助成金の減額や不交付とすることも示唆しています。ゆくゆくは運営を継続できず廃部になる大学も出てくるのではないかと思います。薬剤師の供給過多により待遇悪化の懸念厚生労働省の推計によると、2020年に約32万人だった薬剤師数は、25年後の2045年には最大で約45万人となるとされています。薬局や病院で必要な薬剤師数は33~40万人程度で、供給が需要を上回る見込みです。今以上に薬学部が増えた場合、新卒薬剤師が就職できなかったり、待遇が悪化したりする恐れがあるため、文部科学省としては定員を抑制してそうした事態を防ぎたいという狙いがあります。しかし、厚生労働省の調査では、病院の薬剤師充足率は愛知県や兵庫県の98%に対し、群馬県や青森県は50%程度で、薬剤師は都市部に偏在しています。そのため、例外として2025年度以降も薬剤師不足の地域では新設や定員増を認めるとしていますが、その対象や期限については今後も検討が続けられます。私の個人的な意見としては、最近の薬剤師国家試験の結果は目に余るものがあると感じていましたので、仕方ないのかなと思います。薬剤師不足の地域では新設・定員増を認めるとのことですが、合格率の低い大学は地方に多い傾向にあり、薬剤師数を増やしつつ教育の質を向上させるのは簡単なことではないでしょう。定員割れ対策や薬学教育の充実には地道な努力が必要であることは間違いありませんが、今回の決定が今後の薬剤師にとってよい変化の1つになればいいなと思います。

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英語で「…と診断されたことはありますか?」は?【1分★医療英語】第40回

第40回 英語で「…と診断されたことはありますか?」は?Have you ever been diagnosed with diabetes?(糖尿病と診断されたことはありますか?)No, but last year, I was told I had pre-diabetes.(いいえ、でも去年、糖尿病予備軍と言われました)《例文1》I was diagnosed with lung cancer 3 years ago.(私は3年前に肺がんと診断されました)《例文2》Have you ever been told that you have diabetes?(糖尿病と言われたことがありますか?)《解説》「診断」という名詞は“diagnosis”、「診断する」という動詞は“diagnose”です。「diagnose 人 with~」で、「人を~という病気と診断する」という意味になり、“Have you ever been diagnosed with~?”で「~と診断されたことはありますか?」と聞くことができます。特定の既往歴があるかどうかを聞く場合の他の表現として、“Have you ever been told that you have~?”(~と言われたことがありますか)や、さらにシンプルに“Do you have~?”(~がありますか)といった表現もあります。また、関連する用語として「鑑別診断」は“differential diagnosis”、「前糖尿病」や「糖尿病予備軍」は“prediabetes” “borderline diabetes”と表現することを覚えておくと役立ちます。講師紹介

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第124回 ワルファリン解毒酵素が半世紀超を経てついに判明

1936年にデンマークの生化学者Henrik Dam氏が発見したビタミンKは同氏の母国語で凝固を意味するkoagulationにちなんで名付けられ、その由来の通り血液凝固を促します1)。ビタミンKがとる姿はいくつかありますが、血液凝固に携わるのは1つで、ビタミンKヒドロキノン(VKH2)と呼ばれる還元型です。VKH2へのビタミンKの還元には世界で最もよく使われている抗凝固薬ワルファリンによって阻害されるビタミンKエポキシド還元酵素(VKOR)またはワルファリンに邪魔されない別の還元経路が携わります。ワルファリンに阻害されない(warfarin-resistant)ビタミンK還元酵素は半世紀以上前にその存在が予想されましたが今までわからずじまいでした。ドイツ・ミュンヘンのヘルムホルツ研究所のチームによる新たな研究でVKH2の抗酸化作用がフェロトーシスと呼ばれる細胞死を防ぐ役割を担い、VKH2を維持してそのフェロトーシス阻止作用を支えるビタミンK還元酵素FSP1が同定されました。そしてその還元酵素FSP1こそ半世紀以上前にその存在が予想されたワルファリンに阻害されないビタミンK還元酵素であることが判明しました2,3)。高用量のビタミンKはワルファリン過剰による脳出血などの副作用(ワルファリン中毒)を食い止める解毒作用があります。そのビタミンKのワルファリン中毒解消作用をFSP1が介することもマウス実験で示されています。ワルファリン過剰投与FSP1欠損マウスをビタミンK治療してもプロトロンビン時間は非常に長いままであり、ほぼ全頭が主に脳出血により死なねばなりませんでした。一方、FSP1遺伝子があるマウスは高用量ビタミンK治療で救われ、FSP1はワルファリン中毒の解毒作用に携わることが裏付けられました。フェロトーシスの新たな抑制因子FSP1を発見した今回の成果はアルツハイマー病や急な臓器損傷などのフェロトーシスと関連するらしい病気の数々の新規治療の開発に役立つでしょう。また、フェロトーシスは原核生物や植物から哺乳類に至る種々の生物に備わり、どうやら最古の細胞死の一つらしく、ゆえにそのフェロトーシス阻止を担うビタミンKは自然界で最初に誕生した抗酸化成分の一つかもしれません3)。 参考1)Long-sought mediator of vitamin K recycling discovered / Nature2)Mishima E, et al. Nature. 2022 Aug 3. [Epub ahead of print]3)Vitamin K prevents cell death: a new function for a long-known molecule / Eurekalert

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コロナ感染後の心筋梗塞・脳卒中発生率、ワクチン接種者vs.未接種者/JAMA

 韓国・国民健康保険公団(National Health Insurance Service)のKim Young-Eun氏らが、新型コロナウイルス感染後のワクチン接種状況と急性心筋梗塞(AMI)および虚血性脳卒中との関連を調査した。その結果、新型コロナ感染後の急性心筋梗塞および虚血性脳卒中の発生率の増加は、血栓症のリスク増加に関連しており、ワクチンを完全接種することでワクチン接種が感染後の二次合併症のうちAMIおよび虚血性脳卒中のリスク低下に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版2022年7月22日号リサーチレターに掲載。ワクチン接種状況によるコロナ感染後の急性心筋梗塞および虚血性脳卒中の発生率 研究者らはワクチン未接種者とワクチン完全接種者(mRNAワクチンまたはウイルスベクターワクチンを2回接種)の新型コロナ感染後の急性心筋梗塞および虚血性脳卒中の発生率を比較した。研究には韓国の全国新型コロナレジストリ(感染と予防接種に関する)と国民健康保険公団のデータベースが使用された。対象者は2020年7月~2021年12月に無症候性感染を含む新型コロナと診断された18歳以上の成人。主要評価項目は新型コロナの診断から31~120日後に発生した急性心筋梗塞と虚血性脳卒中による入院の複合アウトカムとした。 新型コロナウイルス感染後のワクチン接種状況と急性心筋梗塞および虚血性脳卒中との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・研究期間中の新型コロナ患者59万2,719例のうち、23万1,037例が該当した。そのうち6万2,727例はワクチン接種を受けておらず、16万8,310例はワクチン完全接種をしていた。・ワクチン完全接種者は年齢が高く、併存疾患を有する者が多かった。その一方で、新型コロナの重症例はみられなかった。・複合アウトカムの発生は、ワクチン未接種群で31例、ワクチン完全接種群で74例であり、100万人日あたりの発生率はそれぞれ6.18と 5.49だった。また、調整ハザード比[aHR]は0.42(95%信頼区間[CI]:0.29~0.62)とワクチン完全接種群で有意に低かった。・急性心筋梗塞と虚血性脳卒中それぞれのaHRもワクチン完全接種群で有意に低かった(0.48[同:0.25~0.94]vs. 0.40[同:0.26~0.63]。・年齢区分で見た場合、40~64歳のaHRは0.38(同:0.20~0.74)、65歳以上では0.41(同:0.26~0.66)だった。・ただし、ワクチン接種者の転帰イベントリスクは全サブグループで観察されたものの、重症または重篤患者の一部では統計学的有意差が得られなかった。 本調査結果は「心血管疾患の危険因子を持つ人々へのコロナワクチン接種を支持する。しかし、患者の特徴にばらつきがあり、予防接種を受けるかどうかの決定には心血管リスクに関連する可能性のある複数の因子の影響を受ける」としている。コロナワクチン接種と心疾患 7月25日に開催された疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会でコロナワクチン接種と「死亡」との因果関係が初めて認められた1)。これまでもアナフィラキシーなどが理由で請求が認定されたのは850件にのぼるが、死亡一時金が支払われるのは今回が初めて。認定事例は90代女性で、死因は急性アレルギー反応と急性心筋梗塞。基礎疾患として脳虚血発作、高血圧症、心肥大を有していた。このようなニュースが報道されると心疾患のある方がコロナワクチン接種をためらってしまいそうだが、第7波の爆発的に感染が広がりいつ自分が感染してもおかしくない状況下では、上記の論文を踏まえ、ワクチンの推奨はやはり大切なのかもしれない。

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10代女性における不眠症と地中海食との関係

 これまでの研究で、食事の質の低さと睡眠障害との関連が示唆されている。地中海式食事療法は、高品質の食事療法であり、健康全体に対し有益な効果があるといわれている。イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのZahra Yaghtin氏らは、思春期女性における地中海式食事パターンのアドヒアランスと不眠症スコアとの関連を調査した。その結果、イランの思春期女性では、修正済み地中海式食事スコアのアドヒアランスと不眠症レベルとの間に逆相関が認められた。BMC Nutrition誌2022年6月29日号の報告。 12~18歳の思春期女性733人を対象に横断的研究を実施した。食事摂取量の評価には、147項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。地中海式食事スコアを、修正モデルとして0~9ポイントの範囲で算出した。不眠症の評価には、検証済み不眠症重症度質問票(ISI)を用いた。修正済み地中海式食事スコアと不眠症との関連を評価するため、線形回帰(crude model、adjusted model)を用いた。モデルIではエネルギー摂取量で調整、モデルIIでは身体活動、両親の教育レベルでさらに調整、完全調整モデル(モデルIII)では年齢、BMI、腹部肥満で調整した。 主な結果は以下のとおり。・線形回帰(crude model)では、地中海式食事スコアと不眠症スコアとの間に有意な逆相関が認められた(β=-0.091、95%CI:-0.392~-0.046、p=0.013)。・交絡因子で調整した各モデルにおいても同様の結果が認められた。 ●モデルI:β=-0.098、95%CI:-0.423~-0.045、p=0.015 ●モデルII:β=-0.092、95%CI:-0.410~-0.029、p=0.024 ●モデルIII:β=-0.082、95%CI:-0.385~-0.006、p=0.044

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関節炎発症前のメトトレキサート、関節リウマチの発現を抑制するか/Lancet

 関節リウマチの治療は、通常、関節炎が臨床的に明らかになってから開始される。オランダ・ライデン大学医療センターのDoortje I. Krijbolder氏らは、「TREAT EARLIER試験」において、関節炎の発症前に関節の不顕性炎症がみられる段階で、関節リウマチの基本的な治療薬であるメトトレキサートの早期投与を開始すると、臨床的な関節炎の発現を予防し、疾病負担が軽減されるかについて検討を行った。その結果、プラセボと比較して、2週間以上持続する関節炎の予防効果は認められなかったものの、MRI上の炎症所見や関連症状、身体機能障害が持続的に改善したことから、疾患の経過が修飾されたと考えられた。研究の詳細は、Lancet誌2022年7月23日号に掲載された。オランダの概念実証試験 TREAT EARLIER試験は、単施設(ライデン大学医療センター)でスクリーニング、フォローアップのための受診、エンドポイントの評価が行われた二重盲検無作為化プラセボ対照概念実証試験であり、2015年4月~2019年9月の期間に、オランダ南西地域の13のリウマチ専門の外来診療所で参加者が登録された(オランダ科学研究機構[NWO]の助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、臨床的に関節リウマチへの進展が疑われる関節痛を有し、MRIで関節の不顕性の炎症が検出された患者であった。 被験者は、グルココルチコイド単回筋肉内注射(メチルプレドニゾロン120mg)後に経口メトトレキサート(最大25mg/週)を52週投与する群、またはプラセボ単回筋肉内注射後にプラセボ錠剤を52週投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。フォローアップは、1年の治療期間終了後、さらに1年間継続された。 主要エンドポイントは、2週間以上持続する臨床的関節炎(関節リウマチ分類基準[2010年]を満たす、または2ヵ所以上の関節で炎症を認める)の発現とされた。副次エンドポイントは、患者報告による身体機能、症状、労働生産性で、4ヵ月ごとに評価が行われた。また、MRIで検出された炎症の経過も調査された。有害事象は既知の安全性プロファイルと一致 236例が登録され、メトトレキサート群に119例(平均年齢46歳、女性62%)、プラセボ群に117例(47歳、68%)が割り付けられた。メトトレキサート群で抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性例の割合が高かった(26% vs.20%)。フォローアップ期間中に、メトトレキサート群で3例(3%)、プラセボ群で5例(4%)が脱落した。 治療開始から2年の時点で、2週間以上持続する臨床的関節炎の発症は両群で同程度であり、メトトレキサート群が119例中23例(19%)、プラセボ群は117例中21例(18%)で認められた(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.45~1.48)。 身体機能は、最初の4ヵ月間はメトトレキサート群でより改善され、その後もプラセボ群よりも良好な状態が保持された(2年間の健康評価質問票身体機能障害指数[HAQ、0~3点]の平均群間差:-0.09点、95%CI:-0.16~-0.03、p=0.0042)。 同様に、関節痛(0[無症状]~100[考えうる最悪の症状]点で評価の平均群間差:-8点、95%CI:-12~-4、p<0.0001)、朝の関節のこわばり(0~100点で評価の平均群間差:-12点、95%CI:-16~-8、p<0.0001)、プレゼンティズム(疾病就業)(Work Productivity Impairment Scaleで評価した過去1週間の関節症状による労働生産性の低下の割合の平均群間差:-8%、95%CI:-13~-3、p=0.0007)、MRIで検出された関節の炎症所見(滑膜炎、骨炎、腱鞘滑膜炎の合計の平均群間差:-1.4点、95%CI:-2.0~-0.9、p<0.0001)も、プラセボ群に比べメトトレキサート群で持続的に改善された。 重篤な有害事象の発生は両群で同等であり(メトトレキサート群119例中13例[11%]vs.プラセボ群117例中13例[11%])、メトトレキサート群の有害事象は既知の安全性プロファイルと一致していた。フォローアップ期間中に死亡例はなかった。 著者は、「より長期の疾患の経過、疾患活動性、生物学的製剤(bDMARD)の必要性、臨床的に関節炎を発症した患者におけるDMARD-freeの寛解を評価するために、5年間のフォローアップを行う観察的継続試験が進行中である。また、今回のデータからは、有効性はメトトレキサートとグルココルチコイドのどちらによるものかが推定できないため、これを明らかにする研究が求められる」としている。

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第111回 限りある医療資源を有効活用するため、発熱外来のガイダンス発表/4学会

<先週の動き>1.限りある医療資源を有効活用するため、発熱外来のガイダンス発表/4学会2.紙レセ医療機関等以外はオンライン資格確認システムを義務化、早めの申し込みを/厚労省3.医療機関の宿日直許可申請についてFAQを都道府県に通知/厚労省4.コロナ感染の発生届け一部項目を簡略化、抜本的改正は秋の国会後に/厚労省5.子宮頸がん9価ワクチンの定期接種は問題なし/厚労省6.インフレで電気代3割増、ガス代6割増/四病協1.限りある医療資源を有効活用するため、発熱外来のガイダンス発表/4学会新型コロナウイルス感染症(第7波)が全国へ急速に拡大しているため、多くの医療機関において救急外来・発熱外来の逼迫、救急車の受け入れ困難事例の多発している状況を改善させるために、関連4学会(日本プライマリ・ケア連合学会、日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本感染症学会)では厚生労働省とも意見交換を行った上、医学的な立場から救急外来/救急車の利用および発熱外来受診にあたっての指針を発表した。この中で、症状が軽い場合は、65歳未満で基礎疾患や妊娠がなければ、あわてて検査や受診をする必要はなく、自宅療養とし、医療機関を受診することは避ける。また救急車の利用の目安については「救急車利用リーフレット(高齢者版、成人版、子供版)」を活用することも求めている。厚生労働省は8月4日、各自治体に対し、日本感染症学会など4学会が軽症なら受診を控えるよう呼びかけた緊急声明を参考にするよう通知した。(参考)「限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」公表にあたって(日本感染症学会)発熱外来「パンク状態」 受診の目安は? 医療逼迫改善へ例示(東京新聞)コロナ感染、厚労省も「軽症なら受診控えて」 学会声明を追認、自治体に通知 「37.5度4日以上」の目安は除外(同)「65歳未満で軽症・基礎疾患なし」は受診控えて 厚労相(日経新聞)2.紙レセ医療機関等以外はオンライン資格確認システムを義務化、早めの申し込みを/厚労省厚生労働省は、顔認証付きカードリーダーの2023年4月からの原則義務化を決めた。現在、医療機関・薬局に無償配布しており、全医療機関・薬局の61%が申し込み済み(7月24日時点)となっている。まだ対応していない約4割の医療機関・薬局について、2023年4月からの原則義務化に対応するためには、カードリーダーのメーカーは受注生産であり、申し込みから配送までに4ヵ月程度が必要なため、「遅くとも9月ごろまでに、顔認証付きカードリーダーを申し込む必要がある」とした。(参考)オンライン資格確認カードリーダー、9月までに申し込みを 厚労省、23年4月からの義務化に向け(CB news)オンライン資格確認等システム、2023年4月から紙レセ医療機関等以外は「原則、導入義務」へ-中医協総会(2)(Gem Med)3.医療機関の宿日直許可申請についてFAQを都道府県に通知/厚労省厚生労働省は、医療機関の宿日直許可申請について8月1日に全国の都道府県や病院団体に向けて「医療機関の医師の宿日直許可に関する取扱いについて」とする事務連絡を行った。これは令和6年度から医師に対する時間外労働の上限の適用について、各医療機関が医師の宿日直許可の申請をするにあたって必要な情報として提供をした。内容には宿日直許可された事例や申請前のチェックリストなど含んでおり、医師の時間外労働規制について対応が必要な医療機関は参考にされたい。(参考)医療機関の宿日直許可申請、「FAQ」を都道府県に周知 厚労省(Medifax)医療機関の医師の宿日直許可に関する取扱いについて(厚労省)4.コロナ感染の発生届け一部項目を簡略化、抜本的改正は秋の国会後に/厚労省新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関や保健所で業務が逼迫しているとして、全数把握を見直す意見が上がっているが、後藤茂之厚生労働相は5日の閣議後会見で、秋の国会以降になるとの見通しを示した。また、厚労省は、現場の負担軽減のため、重症化リスクが低い患者の発生届では、患者の診断日、ワクチン接種回数などの入力項目を削除すると発表したが、「健康フォローアップセンター」などを都道府県の設置が条件であり、根本的な改正にはまだ時間がかかる見込み。(参考)コロナ発生届け出簡略化、診断日など不要に 現場の負担軽減へ、厚労省(CB news)コロナ患者の全数把握見直し、厚労相「法改正して」 秋の国会以降か(朝日新聞)患者の全数把握、医療現場を圧迫 政府、簡素化で急場しのぎ(毎日新聞)5.子宮頸がん9価ワクチンの定期接種は問題なし/厚労省子宮頸がんなどを起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の9種類の遺伝子型に対応した「9価ワクチン(商品名:シルガード9)」の定期接種化について、厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、科学的に問題はないとする結論を出した。今後、専門部会でワクチンの開始時期や対象などを議論し、実施していく見通し。(参考)第82回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会子宮頸がん9価ワクチン、科学的に「問題なし」 厚労省(日経新聞)9価ワクチン定期接種「問題なし」 厚労省小委、HPVめぐり結論(中日新聞)6.インフレで電気代3割増、ガス代6割増/四病協四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)は8月3日、会員病院を対象に調査を実施し、その中間報告を発表した。ウクライナ情勢などにより、電気代やガス代が高騰し、前年同期に比べて電気料金の1キロワットアワー当たりの単価が約3割上昇し、都市ガス料金の単価も57.5%も上がり、病院経営に影響を与えているとした。これより先だつ6月23日に四病院団体協議会、可及的速やかな財政措置の充実を求める要望書を萩生田光一経済産業相に「医療機関における光熱費(電気・ガス・燃料)に関する要望」を提出した。(参考)3-5月の電気料約3割増、四病協調べ 都市ガス料金は約6割増(CB news)病院の光熱費、使用量の減少・微増にもかかわらず、前年に比べ「2-6割のコスト増」に-四病協(Gem Med)「医療機関における光熱費(電気・ガス・燃料)に関する要望」

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第52回 相関比とは?【統計のそこが知りたい!】

第52回 相関比とは?「相関比(correlation ratio)」は、カテゴリーデータと数量データの相関関係を把握する解析手法です。具体例で説明しましょう。15人の対象者からアンケートを取って、健康のために服用している好きなサプリメントと年齢の関係を調べることにします。好きなサプリメントは「カテゴリーデータ」、年齢は「数量データ」です。カテゴリーデータと数量データの基本的な解析方法は、カテゴリー別平均を算出することです。そこでカテゴリー別平均として、サプリメント別の平均年齢を求めます。15人の回答データをサプリメント別に分類し、サプリメント別の平均年齢を計算すると表1のようになりました。表1表データからサプリメント別の平均年齢に違いがあることがわかります。「違いがある」ということは、「ある特定の年齢層で特定のサプリメントへの志向性が高まっている」ということで、「年齢と好きなサプリメントには関連がある」と判断できます。しかし、カテゴリー別平均からは関連性の強弱まではわかりません。■相関比で関連の強弱をはかるカテゴリーデータと数量データの関連性の強さを明らかにする解析手法が「相関比」です。相関比は0~1の間の値で、値が大きいほど関連性が強くなります。今回の例では相関比は0.604となります(相関比の計算方法は次回ご説明します)。相関比の数値はいくつ以上あれば関連性があるという統計学的基準はありません。平均をみる限りでは、関連性があると思えても相関の値は大きい値を示さないことを考慮して、一般的には表2のような基準が設けられています。今回の例では、この相関比から「強い関連がある」と判断できます。表2 相関比の判断基準■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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熱中症の分類【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q27

熱中症の分類Q27熱中症は、暑熱環境が原因でおこる臓器障害の総称であり、症状や体温で分類されている。国際的な分類では軽症から、熱けいれん<熱失神<熱疲労<熱射病であるが、本邦での分類は重症度に合わせてIII度に分けている。本邦での分類はそれぞれ国際的な分類のどれに該当するか?

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事例005 遠隔モニタリング時の診療料の算定【斬らレセプト シーズン3】

解説2022年度の診療報酬改定ではオンライン診療の報酬組み替えが行われました。「オンライン診療」の項が廃止され、届け出を要件に、初診料、再診料、外来診療料と同様に算定できることになりました。あるクリニックより「レセプトチェックシステムにおいて指摘されなかったが、在宅酸素療法指導料を遠隔モニタリングと同時に行った情報通信機器を使用した再診料は、算定できるようになったのではないか」と問い合わせがありました。本事例では、在宅において酸素療法をしている患者に、情報通信機器を使用したいわゆるオンラインにて再診と指導が同日に算定されていました。「C103 在宅酸素療法指導管理料」の留意事項には、「療養上必要な指導はビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて、オンライン指針に沿って行う」とあります。同指導料の算定はできます。ただし、後段からは「なお、当該診療に関する費用は当該加算の所定点数に含まれる」と「オンライン診療」の文字が削除されました。このために、情報通信機器を使用した再診料は管理料に含まれないと解釈いただいたようです。しかしながら、「疑義解釈その1」において「算定できない」と明記されています。レセプトチェックシステムは正しく作動していました。あるクリニックには、情報通信機器を利用した再診料を請求すると査定の対象となることを説明しました。なお、「C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料」の注2に規定する遠隔モニタリング加算も同様に、情報通信機器を使用した再診料などの費用は管理料に含まれます。

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未接種者とブレークスルー感染者、臨床転帰と免疫の違いは?

 国内における新型コロナ感染流行の第7波においては、ワクチン接種後の感染、いわゆるブレークスルー感染も多数報告されている。ワクチン接種を受けた感染者の大半は軽症か無症状だが、入院を要する者もいる。ワクチン接種者またはワクチン未接種者で新型コロナ感染により重症化した患者について免疫および臨床的特徴を調べたイタリア・フローレンス大学のGiulia Lamacchia氏らの研究がJournal of Clinical Immunology誌2022年7月9日号オンライン版に掲載された。ワクチン未接種の新型コロナ感染者は有意に高い重症度指数を示した 本試験では、2021年11月~12月中旬のデルタ株の流行時に、イタリア・フィレンツェのカレッジ大学病院に入院した新型コロナウイルス感染症患者を、発症からの期間や重症度に関係なく対象とし、臨床データおよび検査データを収集した。ウイルスベクターまたはmRNAワクチンを完全接種した患者36例(うち4例はブースター接種まで完了)、ワクチン未接種者29例だった。最後のワクチン接種から感染までの平均時間は139±63日であった。 ワクチン接種者またはワクチン未接種者で新型コロナ感染により重症化した患者の症状を調べた主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種群の平均年齢は73歳、ワクチン非接種群は67歳だった。入院時、ワクチン接種群は併存疾患がワクチン未接種群と比較して有意に多かった(平均4.3 vs. 2.9)。一方で、ワクチン未接種群はワクチン接種群と比較して血清フェリチン値、乳酸脱水素酵素(LDH)が有意に上昇していた。肺機能障害、他の炎症マーカー(反応性タンパク質、IL-6、Dダイマー)レベルについては両群間に有意差はなかった。・ワクチン未接種者群はワクチン接種群に比べ、有意に高い重症度指数を示した。肺炎の発症率はワクチン未接種群93%(27/29)に対し、ワクチン接種群69%(24/36)、死亡率はワクチン未接種群31%(9/29)、ワクチン接種群11%(4/36)であった。・ワクチン接種の有無にかかわらず、生存例(52例)と死亡例(13例)の入院時の抗SARS-CoV-2免疫を比較したところ、抗N IgGおよび抗S IgMは両群間に差がなかったが、抗S IgGおよび中和Igは生存例で有意に高かった(生存例は死亡例よりも高いレベルの抗S IgGとスパイク特異的CD4+T細胞を示した)。・新型コロナ感染入院時、65例中6例(9.2%)が高い抗IFN-α抗体価を示した。6例中の5例が男性で、女性は最年長者(90歳)のみであった。平均年齢は79歳で、他のコホートの平均年齢70歳よりも高かった。高抗IFN-α抗体保有者6例のうち、ワクチン未接種群の3例は死亡し、ワクチン接種群の3例は生存して退院した。 著者らは「ワクチン接種者はワクチン未接種者より入院前の身体状態が不良であったにもかかわらず、転帰は良好であった。抗SARS-CoV-2特異的免疫の迅速な活性化は、感染症の治癒のために不可欠であり、ワクチン接種による事前の免疫獲得は疾患の悪化防止に大きく貢献し、高リスク因子(高齢、合併症、抗IFN-α自己抗体)の存在さえも克服することが可能である」としている。

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ニボルマブ+イピリムマブによる腎がんアジュバントの成績(CheckMate -914)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは2022年7月29日、限局性腎細胞がん(RCC)の術後補助療法として、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した第III相CheckMate-914試験のパートAにおいて、同併用療法が盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価による無病生存期間(DFS)の主要評価項目を達成しなかったことを発表した。 CheckMate -914試験は、根治的腎摘除術または腎部分切除術後の再発リスクが中等度から高度の限局性RCC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をプラセボと比較評価(パートA)およびニボルマブ単剤療法をプラセボと比較評価(パートB)した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験である。同試験の両パートの主要評価項目は、BICRの評価によるDFS、主な副次評価項目は、全生存期間(OS)および有害事象(AE)の発現率である。 ブリストル マイヤーズ スクイブは、CheckMate -914試験のパートAのデータの評価を完了させ、治験担当医師と連携して学会で結果を発表する予定で、本試験のパートBは進行中である。

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大気汚染と認知症リスク~メタ解析

 大気汚染と認知症リスクとの関連を調査した疫学研究の結果は、矛盾している。インド・National Institute for Research in Environmental HealthのVikas Dhiman氏らは、大気汚染による認知症発症リスクのプールされた推定値を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、微小粒子状物質PM2.5はすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症のリスク因子であり、オゾン(O3)はアルツハイマー病のリスク因子である可能性が示唆された。Neurology India誌2022年5-6月号の報告。 すべての原因による認知症、認知機能低下、アルツハイマー病、血管性認知症の発症リスクと大気汚染との関連を報告した2020年12月までの疫学調査を、PubMed、Google Scholar、The Cochrane Library、J-GATEPLUSのデータベースよりシステマティックに検索した。大気汚染には、微小粒子状物質(PM2.5、PM10)、O3、一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO2)、窒素酸化物(NOX)、二酸化硫黄(SO2)を含めた。メタ解析は、Meta-XLを用いたランダム効果モデルにより実施した。プールされたハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・すべての原因による認知症に対する大気汚染のプールされたHRは、以下のとおりであった。●PM2.5:1.03(95%CI:1.01~1.06、I2=99%、p<0.001)●NO2:1.00(95%CI:1.00~1.01、I2=96%、p<0.001)●NOX:1.00(95%CI:1.00~1.01、I2=61%、p=0.05)・アルツハイマー病に対する大気汚染のプールされたHRは、以下のとおりであった。●PM2.5:1.08(95%CI:1.01~1.15、I2=99%、p<0.001)●O3:1.02(95%CI:0.96~1.08、I2=100%、p<0.001)・血管性認知症に対する大気汚染のプールされたHRは、以下のとおりであった。●PM2.5:1.03(95%CI:1.01~1.06、I2=91%、p<0.001)・NO2、NOXでは、一貫した結果が認められなかった。・認知機能低下に関しては、評価方法が異なるため、メタ解析の実施が困難であった。

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トラネキサム酸、高用量で心臓手術関連の輸血を低減/JAMA

 人工心肺を用いた心臓手術を受けた患者では、トラネキサム酸の高用量投与は低用量と比較して、同種赤血球輸血を受けた患者の割合が統計学的に有意に少なく、安全性の主要複合エンドポイント(30日時の死亡、発作、腎機能障害、血栓イベント)の発生は非劣性であることが、中国国立医学科学院・北京協和医学院のJia Shi氏らが実施した「OPTIMAL試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年7月26日号に掲載された。中国4施設の無作為化試験 OPTIMAL試験は、人工心肺を用いた心臓手術を受けた患者ではトラネキサム酸の高用量は低用量に比べ、有効性が高く安全性は非劣性との仮説の検証を目的とする二重盲検無作為化試験であり、2018年12月~2021年4月の期間に、中国の4施設で参加者の登録が行われた(中国国家重点研究開発計画の助成による)。 対象は、年齢18~70歳、人工心肺を用いた待機的心臓手術を受ける予定で、本試験への参加についてインフォームド・コンセントを受ける意思と能力を持つ患者であった。患者はいつでも試験参加への同意を撤回できるとされた。 被験者は、高用量トラネキサム酸または低用量トラネキサム酸の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。高用量群では、麻酔導入後、トラネキサム酸30mg/kgがボーラス静注され、術中は維持量16mg/kg/時がポンプ充填量2mg/kgで投与された。低用量群は、トラネキサム酸10mg/kgがボーラス静注され、術中は維持量2mg/kg/時がポンプ充填量1mg/kgで投与された。 有効性の主要エンドポイントは、手術開始後に同種赤血球輸血を受けた患者の割合(優越性仮説)とされ、安全性の主要エンドポイントは、術後30日の時点での全死因死亡、臨床的発作(全般強直間代発作、焦点発作)、腎機能障害(KDIGO基準のステージ2または3)、血栓イベント(心筋梗塞、虚血性脳卒中、深部静脈血栓症、肺塞栓症)の複合であった(非劣性仮説、非劣性マージン5%)。副次エンドポイントには、安全性の主要エンドポイントの各構成要素など15項目が含まれた。輸血:21.8% vs.26.0%、安全性:17.6% vs.16.8% 3,079例(平均年齢52.8歳、女性38.1%)が無作為化の対象となり、このうち3,031例(98.4%)が試験を完了した。高用量群に1,525例、低用量群に1,506例が割り付けられた。追跡期間中に48例(高用量群23例、低用量群25例)が脱落し、安全性の主要複合エンドポイントの評価から除外された。 手術開始から退院までに、少なくとも1回の同種赤血球輸血を受けた患者は、高用量群が1,525例中333例(21.8%)であり、低用量群の1,506例中391例(26.0%)に比べ、有意に割合が低かった(群間リスク差[RD]:-4.1%、片側97.55%信頼区間[CI]:-∞~-1.1、リスク比:0.84、片側97.55%CI:-∞~0.96、p=0.004)。 また、安全性の主要複合エンドポイントが発現した患者は、高用量群が265例(17.6%)、低用量群は249例(16.8%)と、高用量群の低用量群に対する非劣性が確認された(群間RD:0.8%、片側97.55%CI:-∞~3.9、非劣性検定のp=0.003)。 同種赤血球輸血量中央値は、高用量群が0.0mL(四分位範囲[IQR]:0.0~0.0)、低用量群は0.0mL(0.0~300.0)と、高用量群で有意に少なかった(群間差中央値:0.0mL、95%CI:0.0~0.0mL、p=0.01)。一方、新鮮凍結血漿や血小板、クリオプレシピテートの輸注量には両群間に差はなかった。 術後の胸部ドレナージによる総排液量、出血による再手術、人工呼吸器の使用期間、集中治療室(ICU)入室期間、術後入院期間にも、両群間で差は認められなかった。また、心筋梗塞の30日リスクや、腎機能障害、虚血性脳卒中、肺塞栓症、深部静脈血栓症、死亡の発生率にも有意な差はみられなかった。 発作は、高用量群が15例(1.0%)、低用量群は6例(0.4%)で発現したが、トラネキサム酸の用量が増加しても発作が有意に多くなることはなかった(群間RD:0.6%、95%CI:-0.0~1.2、相対リスク:2.47、95%CI:0.96~6.35、p=0.05)。 著者は、「トラネキサム酸の高用量と低用量のどちらを用いるかは、開心心臓手術と非開心心臓手術における手術関連の出血リスクによって決まる可能性がある」としている。

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COPDの疾病負担、世界的には低下傾向に/BMJ

 近年、慢性閉塞性肺疾患(COPD)による世界的な疾病負担は減少傾向にあるものの、この疾患はとくに社会人口統計学的指標(0[開発が最も遅れている]~1[開発が最も進んでいる])が低い国々ではいまだに主要な公衆衛生上の課題であることが、イラン・タブリーズ医科大学のSaeid Safiri氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年7月27日号で報告された。GBD 2019のCOPDデータを用いた系統的解析 研究グループは、1990~2019年におけるCOPDの世界、地域別、国別の疾病負担および寄与リスク因子を、年齢、性別、社会人口統計学的指標に基づいて検討する目的で、系統的な解析を行った(イラン・Shahid Beheshti University of Medical Sciencesの助成を受けた)。 解析には、「2019年度世界疾病負担研究(GBD 2019)」のCOPDのデータが用いられた。GBDは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成で進められている研究で、GBD 2019では、1990~2019年における世界の204の国と領域における369種の疾患と負傷、および87件のリスク因子について評価が行われている。COPDについてはGOLDの定義が使用された。 主要アウトカムは、COPDの有病者、COPDによる死亡、COPDによる障害調整生存年(DALY)と、寄与リスク因子とされ、その数と10万人当たりの発生割合が、95%不確実性区間(UI)とともに算出された。禁煙、大気の質の改善、職業的曝露の低減が重要 2019年における世界のCOPDの有病者数は2億1,230万人で、年齢標準化点有病率は10万人当たり2,638.2人(95%不確実性区間[UI]:2,492.2~2,796.1)であり、1990年から8.7%低下した。また、同年のCOPDによる死亡者数は328万600人で、年齢標準化死亡率は10万人当たり42.5人(95%UI:37.6~46.3)であり、1990年以降41.7%減少した。同年のDALYは7,443万2,400年で、年齢標準化DALYの割合は10万人当たり926.1年(95%UI:848.8~997.7)であり、1990年に比べ39.8%低くなった。 2019年に、COPDの年齢標準化点有病率が最も高かった国はデンマーク(4,299.5人/10万人)で、次いでミャンマー(3,963.7人/10万人)、ベルギー(3,927.7人/10万人)の順であった。また、調査期間中に年齢標準化点有病率が最も増加した国はエジプト(62.0%)で、ジョージア(54.9%)、ニカラグア(51.6%)がこれに続いた。 2019年に、COPDによる10万人当たりの年齢標準化死亡率が最も高かったのはネパール(182.5人)で、最も低かったのは日本(7.4人)だった。10万人当たりの年齢標準化DALYもネパール(3,318.4年)で最も高く、バルバドス(177.7年)が最も低かった。 一方、男性では、世界のCOPDによるDALYの割合は85~89歳まで上昇が続き、その後は加齢とともに低下したのに対し、女性は最も高い年齢層(95歳以上)まで上昇が続いた。この割合は、全年齢層で男性のほうが高かった。 地域別の解析では、社会人口統計学的指標とCOPDの年齢標準化DALYの割合には、1990~2019年にかけて全体的に逆V字型の関係が認められた。すなわち、年齢標準化DALYの割合は、社会人口統計学的指標の上昇に伴い指数関数的に増加したが、同指標が約0.4に達した後、減少に転じた。 COPDによるDALYの割合の増加に最も寄与している因子は喫煙(46.0%)であり、次いで環境中の粒子状物質による汚染(20.7%)、職業的な粒子状物質、ガス、煙/蒸気への曝露(15.6%)の寄与が大きかった。 著者は、「COPDの疾病負担をさらに減少させるために、予防プログラムでは、禁煙、大気の質の改善、職業的曝露の低減に焦点を当てるべきと考えられる」としている。

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