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第143回 アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」FDA迅速承認を聞いて頭をもたげたある疑問、「結局高くつくのでは?」

満を持してエーザイが放つレカネマブは成功するか?こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。年末年始は愛知県の実家に帰省し、少々ボケてきた91歳の父親のマイナポイント申請と、買い与えたiPhoneの使い方指導を行って来ました。マイナポイントの申請はiPhoneを使ってなんとかできたのですが、超高齢者がスマホを使いこなすのはなかなかハードルが高いなと実感した次第です。最大の障壁はタッチパネルです。スマホに電話がかかってきても、タッチパネルをタップしてうまく受けられないのです。指の爪の部分でタッチしてしまったり、押す部分がズレてしまったり。ある日などは指先を怪我したとかで絆創膏を貼った指でタッチしようとしていました。電話を正しく取れる成功率は4割ほど。ま、認知症にもならず、90歳を超えてスマホを使ってみようという意欲だけは買いますが、この先どこまで使えるようになるか。ちなみに父親は万歩計代りにもなる「フィットネス」アプリ(何も操作しなくても歩いた距離と歩数が記録される)だけはいたく気に入ったようでした。さて、今回は1月6日(現地時間)に米食品医薬品局(FDA)が迅速承認した、エーザイと米国バイオジェン社が共同開発しているアルツハイマー病治療薬・レカネマブ(LEQEMBI)について書いてみたいと思います。2021年6月に米国で承認されたアデュカヌマブについては、本連載でも、「第62回 アデュカヌマブFDA承認、効こうが効くまいが医師はますます認知症を真剣に診なくなる(前編)」、「第63回 同(後編)」、「第91回 年末年始急展開の3事件、『アデュカヌマブ』『三重大汚職』『町立半田病院サイバー攻撃』のその後を読み解く」などで何度か取り上げました。薬価が高額だったことや治験データの不十分さなどから、保険適用が治験参加者に限られることとなり、普及は失敗に終わっています。アデュカヌマブの挫折を乗り越え、満を持してエーザイが放つレカネマブは果たして成功するのでしょうか。18ヵ月の治療で27%の進行抑制レカネマブは、アルツハイマー病(AD)の原因物質とされるアミロイドβプラークに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体で、アミロイドβの脳内への蓄積を抑制する効果があったとされています。今回の迅速承認は、レカネマブがADの特徴である脳内に蓄積したアミロイドβプラークの減少効果を示した臨床第II相試験(201試験)の結果に基づくものです。なお、昨年NEJM誌に掲載された早期ADを対象とした臨床第III相Clarity AD検証試験の結果1)では、レカネマブ投与は、投与18ヵ月時点における認知機能・全般症状の評価項目について、プラセボに対して悪化抑制を示し(18ヵ月の治療でCDR-SB[Clinical Dementia Rating Sum of Boxes]において27%の進行抑制など)、一方で有害事象は想定の範囲内だったとのことです。なお迅速承認が下りたその日のうちに、FDAに対し完全承認に向けた申請を行っています。Aβ検査がボトルネックに今回承認された適応症は、早期のアルツハイマー病(AD)の治療です。治療開始前にアミロイドβの病理所見が確認された患者に対し、10mg/kgを推奨用量として2週間に1回点滴静注するとしています。米国では「LEQEMBI(レケンビ)」の商品名で1月23日の週に発売を始めるとのことです。1月7日午後に東京で開かれたエーザイの投資家説明会で内藤 晴夫最高責任者は「MCI(MCI due to AD:アルツハイマー病による軽度認知障害)と軽度ADのうち、実際の医療機関で早期ADとの診断を受け、さらにアミロイドPET検査またはCSF腰椎穿刺検でアミロイドβ陽性と判定された患者が投与対象となる。米国では今後3年間で10万人が対象。2030年までに世界で250万人が対象になる」と述べました。内藤氏は同薬の普及にあたってはアミロイドβ検査がボトルネックになるとの見解を示し、「より簡便な血液検査の開発・普及に期待する」と話していました。年間卸業社購入価格を2万6,500ドル(約350万円)に設定この日の説明会で内藤氏は、米国における価格設定についてその考え方を説明しました。それによれば、レカネマブの米国における治療を受ける患者1人当たりの社会的価値は年間3万7,600ドルと見積もる一方、年間卸業社購入価格(WAC:Wholesale Acquisition Cost)を2万6,500ドル(約350万円)と1万ドル以上安価に設定したとのことです。内藤氏は「より幅広い当事者様アクセスの促進、経済的負担の軽減、医療システムの持続可能性への貢献を目指しての設定」と話していました。米国の高齢者向け公的保険メディケア加入者の実質的な自己負担額は1日あたり数ドル〜14.5ドルだそうです。QALY(Quality-Adjusted Life Year:質調整生存年)などを使った算出式は複雑過ぎて私にはよく理解できませんでしたが、アデュカヌマブの価格設定においては米国のアルツハイマー病の支援団体から批判が噴出したことから、相当神経を使って価格設定を行ったということは伝わってきました。日本でも「一日も早い申請」を目指す気になる日本での発売時期の見込みについて内藤氏は明言を避けました。ただ、PMDAとの話し合いはすでに進めているとのことで、「一日も早い申請」を目指すとのことでした。仮に日本で承認されたとしても、やはりPET検査や腰椎穿刺検などによる病理所見の確認が大きな障壁になりそうです。また、米国ではADによるMCIと軽度ADが対象ですが、日本でもMCIが保険適用になるかも注目ポイントとなります。日本の保険診療上、MCIは疾患ではなく現状使用できる薬剤はありません(MCIはドネペジルも保険で使えません)。そう考えると、承認後も広く使われる薬になるには、それなりの時間がかかりそうです。患者対応やケアはこれまで以上に後回しにされる危険性さて、アデュカヌマブが米国で承認された1年半前、私はこの連載の「第63回 アデュカヌマブFDA承認、効こうが効くまいが医師はますます認知症を真剣に診なくなる(後編)」で、「アデュカヌマブが承認されたとしても、医師たちは『どういう患者に使えるか』『アミロイドβの蓄積はどうか』といった診断面ばかりに目が行き、患者対応やケアはこれまで以上に後回しにされる危険性があります。『患者を診ず病気しか診ない』どころか、『患者を診ず検査値しか見ない』というわけです」と書きました。この心配はレカネマブについても当てはまります。患者の症状や行動を見ず、糖尿病のHbA1cのようにアミロイドβの値ばかり気にする医師が増えそうです。そしてさらに、内藤氏の「レカネマブの米国における治療を受ける患者1人当たりの社会的価値は年間3万7,600ドル」との発言を聞いて、新たな疑問も頭をもたげてきました。ADの罹患期間を長くしてしまい最終的に医療費・介護費は高くつくのではそれは、「ADの進行を遅らせるということは、結果その人のADの罹患期間を長くしてしまい、最終的にその人にかかる医療費は高くついてしまうのではないか」ということです。軽度ADの人のレカネマブ投与中の社会的価値は確かに上がるかもしれませんが、いずれ中等度・重度に移行し、上がった分は結局はチャラになってしまい、罹患期間が長くなることでむしろトータルの医療費・介護費はかさむ結果になると思うのですが、皆さんいかがでしょう。この疑問を、医薬品開発に詳しい知人の記者にぶつけたら、「アミロイドβをターゲットとした治療薬はそもそも根本治療ではないのだから、そうした疑問は昔からある。でも、今できるのはそこしかないので、次のAD治療薬のステージに行くためにもレカネマブ承認の意味はある」と話していました。全体として、投資家含め、医薬品産業畑の人たちはレカネマブ登場に好意的過ぎる印象です。私は父親のボケ抑制のために、せいぜいスマホ訓練を地道に続けようと思いました。参考1)H van Dyck C, et al. N Engl J Med. 2023;388:9-21.

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EGFR陽性肺がんオシメルチニブ1次治療の肺臓炎、リアルワールド解析の結果(OSI-FACT)/Chest

 オシメルチニブは、進行EGFR変異陽性肺がん患者(NSCLC) の1次治療として位置付けられている。一方、オシメルチニブの潜在的合併症である薬物関連肺臓炎(DRP)については、信頼できるリアルワールドデータが不足している。 リアルワールドにおけるオシメルチニブ1次治療のDRP発現頻度、特徴を評価する多施設後ろ向きコホート研究が行われた。その結果が、2022年11月のChest誌で発表されている。 対象は2018年8月〜2019年12月に、1次治療としてオシメルチニブを投与された進行EGFR変異陽性NSCLC患者。主要評価項目は、独立審査委員会で特定された DRP発現率であった。 主な結果は以下のとおり。・18施設から452例の患者が登録された。・全GradeのDRPは80例(18%) 、Grade3以上は21例(4.6%)に認められた。・DRPの患者のうち、46%が一過性無症候性肺陰影(TAPO)であることが確認された。・多変量解析では、DRPの独立した危険因子として喫煙歴が特定された(ハザード比:1.72、95%信頼区間:1.01〜2.89、p=0.046)。・3ヵ月のランドマーク分析によれば、DRPの存在は治療効果の低さと関連していたが、TAPOの存在は治療効果に悪影響を及ぼさなかった。

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高齢者施設での新型コロナ被害を最小限にするために/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第112回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月28日に開催された。その中で「高齢者・障がい者施設における被害を最小限にするために」が、舘田 一博氏(東邦大学医学部教授)らのグループより発表された。 このレポートでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染すると死亡などのリスクの高い、高齢者・障害者を念頭に大人数が集まるケア施設内などでのクラスター感染を防ぐための対応や具体的な取り組み法として、健康チェック、ワクチン、早期診断と対応、早期治療、予防投与が可能な薬剤、リスク時の対応、保健所や医療機関との連携などが示されている。医療機関外での感染者対応が課題 はじめに「第8波のリスクと高齢者・障がい者施設を守ることの重要性」と題し、これまでわが国では、高齢者・障害者施設において多数のクラスターを経験、多くの命が失われたこと、現在は第8波の入り口であり、年末年始の諸行事により急激な感染者数の増加が生じるリスクが高まることを指摘する。そして、死亡者数が1日270人(2022年12月15日時点)と増加中であり、その多くが高齢者や基礎疾患を有する人で、とくに集団感染が生じやすい高齢者・障害者施設、慢性期医療機関がリスクの中心であり、その被害をいかに減らすかが重要となる。また、今冬はインフルエンザとの同時流行が懸念され、こうした施設内においても、COVID-19とインフルエンザが同時期に流行し両方の感染者が増大したことを想定した備えが必要になると注意を喚起しているほか、ワクチンなどの普及により軽症例や無症候例もあり、すべてが医療機関への入院ではなく感染者の状態に応じて施設内対応が求められる事例が増加しており、感染者や濃厚接触者への感染対策や治療を施設などでも行っていくことが求められるようになっている。高齢者や障害者の命を守ることができる施設対策へ 高齢者・障害者施設で求められる第8波対策は以下の通り。1)健康チェック入所者・職員の毎日の健康チェックが重要。発熱・咳・咽頭痛(違和感)・全身倦怠感などがみられた場合には感染の可能性を考えて迅速に対応。都道府県が実施している職員対象のPCR検査や抗原定性検査キットによる定期的検査を積極的に活用し、感染の早期発見に努めること。2)ワクチン接種オミクロン対応2価ワクチンが利用でき、それ以外の新型コロナワクチンの最終接種から3ヵ月を経過した時点からは次のワクチン接種が受けられる。施設利用者に対しては集団的接種などによる接種機会の確保を図るとともに、職員にも早めの接種を推奨する。また、インフルエンザワクチンとの同時接種も可能。3)早期診断・早期対応「風邪かな?」と思ったら、コロナやインフルエンザの可能性を考えて検査を実施することが必要。典型例を除き(インフルエンザ流行時の急激な発熱・筋肉痛など)、臨床症状だけで両者を鑑別することは困難。現在では、コロナだけでなく、インフルエンザも同時に診断できる簡易抗原検査キットが利用可能なので、施設ごとに協力医療機関などと連携の上で、検査キットを備えておくことが勧められる。4)コロナと診断された場合の早期治療これまでにコロナに対する治療薬として抗ウイルス経口薬(3種類)と注射薬(1種類)、中和抗体薬(3種類)に加えて、免疫抑制剤(3種類)が承認されている。高齢者や重症化リスクのある人には早期の治療開始が重要。しかし、高齢者・障害者施設においては、医師が常駐していないこともあり、施設特性や得られる医療支援に応じて、無理のない範囲で使用可能な治療薬の検討を行い、感染発生を想定した準備を行うことも重要。5)予防投与が可能な薬剤施設内で感染者が発生し、クラスターのリスクが高まっている場合、あるいは免疫抑制状態が強く重症化リスクが高い入所者において、曝露後に使用できる薬剤としてカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)が承認されている。オミクロン株の流行の中で中和活性の低下が報告されているが、中和活性に加えて感染細胞を排除する作用(エフェクター機能)があることも報告されており、他の薬剤が使用できない場合の投与が承認されている。施設内でのクラスター発生時、感染者周囲の曝露者に対して予防投与を早期に行うことにより発症および重症化を抑制できる可能性がある。施設の特性や得られる医療支援を考慮し、無理のない範囲で、予防投与の進め方に関して担当医師と相談しておくことも重要。6)クラスターのリスクが高まっている場面での感染対策の実際施設内で感染者が発生した場合に、施設内で隔離および治療を行わなければいけない場合も増加している。これまでの経験をもとに感染対策を実施し、他の入所者に感染を広げない対策が必要になる。施設内では人材・感染対策資材も限られており、ゼロリスクを求める対策は困難だが、施設で実施することが可能なリスクを減らす対策を組み合わせて対応することが必要になる。〔高齢者・障害者施設におけるエアロゾル感染対策の考え方〕(1)屋内における密集を避ける(2)換気扇を常時稼働させる(3)人数が増えたら窓を開ける(4)扇風機を外に向かって回す(5)パーティションは必要時に設置する(6)空気清浄機を活用する7)保健所・医療機関との連携の重要性クラスターの発生前から保健所や医療機関との連携が取れるように、日常から備えておくことが重要。とくに医師が常駐していない施設では、感染疑いの入所者・職員が出た場合の検査や治療の実施に関して事前に保健所や医療機関と相談をしておく必要がある。感染者が明らかとなった場合には、保健所・医療機関に速やかに連絡し、必要な治療を開始することが重症化抑制、クラスター対策として効果的。第8波を前に保健所・連携医療機関と対応の実際に関してお互いに確認しておくことをお勧めする。〔高齢者・障害者施設における感染対策のポイント〕・最終ワクチン接種後、3ヵ月を経過したら次の接種が可能(コロナとインフルエンザワクチンの同時接種も可能)・早期発見「かぜ」かな?と思ったら検査を実施(適宜、コロナ・インフルエンザ同時抗原検査を利用)・リスクを減らす対策を可能な限り組み合わせて対応・人との接触時(近距離・直接)はマスク着用と効果的な換気が基本(吸引などの場合はN95マスクを使用)・医療機関・保健所との連携の確認(早めの診断と治療、感染の拡大予防が可能になるよう前もって相談)

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抗精神病薬治療の有効性を予測可能なタイミング

 抗精神病薬の初期の臨床効果が、その後の治療アウトカムにどの程度影響を及ぼすかは、明らかになっていない。中国・West China Hospital of Sichuan UniversityのYiguo Tang氏らは、2週時点での抗精神病薬の有効性が、6週時点の治療反応を予測できるかを評価した。また、治療反応の予測が、抗精神病薬や精神症状の違いにより異なるかも検討した。その結果、抗精神病薬治療2週時点でのPANSS合計スコアの減少率や精神症状の改善は、6週時点の臨床的な治療反応を予測することが示された。Current Neuropharmacology誌オンライン版2022年11月18日号の報告。 統合失調症患者3,010例を対象に、ランダム化比較試験(RCT)を実施した。対象患者を、5種類の非定型抗精神病薬(リスペリドン:2~6mg/日、オランザピン:5~20mg/日、クエチアピン:400~750mg/日、アリピプラゾール:10~30mg/日、ziprasidone:80~160mg/日)および2つの定型抗精神病薬(ペルフェナジン:20~60mg/日、ハロペリドール:6~20mg/日)のいずれかにランダムに割り付け、6週間の治療を行った。初期有効性の定義として、2週時点での陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの減少率を用いた。分析には、50%減少のカットオフ値、ロジスティック回帰、ROC解析、ランダムフォレストを用いた。 主な結果は以下のとおり。・7種類の抗精神病薬治療による2週時点でのPANSS合計スコアの減少率および精神症状の改善は、その後の治療反応を予測可能であった。・とくに、妄想、判断力と洞察力の欠如、思考内容の異常、猜疑心/迫害感が重要な指標である可能性が示唆された。

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HER2+乳がん脳転移例、tucatinib追加でOSを約9ヵ月延長(HER2CLIMB)/JAMA Oncol

 HER2陽性(ERBB2+)転移乳がん(MBC)患者の最大50%が脳転移を有し、予後不良とされている。脳転移症例を含むHER2+MBCに対するトラスツズマブ、カペシタビンへのtucatinib追加投与の有効性を検討したHER2CLIMB試験について、探索的サブグループ解析の最新フォローアップデータを、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のNancy U. Lin氏らがJAMA Oncology誌オンライン版2022年12月1日号に報告した。 今回の探索的サブグループ解析の評価項目は、脳転移症例における全生存期間(OS)およびCNS無増悪生存期間(CNS-PFS)、ベースライン時点で測定可能な頭蓋内病変を有する症例における頭蓋内奏効率(ORR-IC)および頭蓋内奏効期間(DOR-IC)、全症例における脳内新病変の非出現期間など。OSのみ事前に設定されていた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点で、612例中291例(47.5%)が脳転移を有していた。・脳転移症例の年齢中央値は52歳(22~75)、289例(99.3%)が女性だった。・追跡期間中央値29.6ヵ月(0.1~52.9)において、OS中央値はtucatinib併用群21.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:18.1~28.5)vs.プラセボ併用群12.5ヵ月(95%CI:11.2~16.9)となり、9.1ヵ月延長した。・tucatinib併用群ではプラセボ併用群と比較して、CNS-PFS(9.9ヵ月vs.4.2ヵ月)およびORR-IC(47.3% vs.20.0%)においてより高い臨床的有用性を示した。・DOR-ICは、8.6ヵ月(95%CI:5.5~10.3)vs.3.0ヵ月(95%CI:3.0~10.3ヵ月)だった。・全症例における脳内新病変の非出現期間中央値は、tucatinib併用群24.9ヵ月vs.プラセボ併用群13.8ヵ月となり、11.1ヵ月延長した。最初の進行部位となる新たな脳病変の発生または死亡リスクは、tucatinib併用群でプラセボ併用群に対して45.1%減少した(ハザード比[HR]:0.55、95%CI:0.36~0.85、p=0.006)。 著者らは、tucatinibとトラスツズマブおよびカペシタビンの併用は、新たな脳病変の発生リスクを低減しながらOSを改善することが明らかとなり、脳転移症例を含むHER2+MBC患者に対するこの治療選択肢の重要性がさらに支持されることになったとまとめている。

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adagrasib、既治療のKRAS G12C変異陽性大腸がんに有望/NEJM

 治療歴のある転移を有するKRAS G12C変異陽性の大腸がん患者の治療において、経口KRAS G12C阻害薬adagrasibは、単剤療法およびセツキシマブ(抗EGFR抗体)との併用療法のいずれにおいても、抗腫瘍活性が認められ、併用療法では奏効期間が6ヵ月を超えることが、米国・Sloan Kettering記念がんセンターのRona Yaeger氏らが実施した「KRYSTAL-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年1月5日号に掲載された。米国の非無作為化第I/II相試験 KRYSTAL-1試験は、米国で進行中の非盲検非無作為化第I/II相試験であり、今回はadagrasib単剤療法の第II相試験と、セツキシマブとの併用療法の第Ib相試験の結果が報告された(Mirati Therapeuticsの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、転移を有する切除不能の大腸がんで、KRAS G12C変異が陽性であり、治癒が期待できる治療や標準治療がなく、全身状態の指標であるECOG PSスコアが0または1の患者であった。 被験者は、adagrasib単剤療法の第II相試験では、同薬600mgを1日2回経口投与され、併用療法の第Ib相試験では、adagrasib(600mg、1日2回、経口)+セツキシマブ(初回負荷投与量400mg/m2体表面積、以降は250mg/m2を週1回静脈内投与、または500mg/m2を2週ごと)の投与を受けた。 主要評価項目は、単剤療法が担当医判定による客観的奏効(完全奏効、部分奏効)、併用療法は安全性(用量制限毒性を含む)とされた。併用療法は奏効率46%、奏効期間7.6ヵ月 データカットオフ日(2022年6月16日)の時点で、単剤療法群に44例(年齢中央値59歳[範囲:29~79]、女性50%、治療期間中央値5.9ヵ月、全身療法による前治療ライン数中央値3)、併用療法群に32例(60歳[41~74]、53%、7.3ヵ月、3)が登録され、追跡期間中央値はそれぞれ20.1ヵ月および17.5ヵ月であった。 単剤療法群(43例が評価可能)の客観的奏効率は19%(95%信頼区間[CI]:8~33)であり、盲検下の独立中央判定では23%(同:12~39)、最大の解析対象集団(FAS)(44例)における担当医判定では18%(同:8~33)であった。 また、単剤療法群の奏効期間中央値は4.3ヵ月(95%CI:2.3~8.3)、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.6ヵ月(同:4.1~8.3)、全生存期間(OS)中央値は19.8ヵ月(同:12.5~23.0)であった。 併用療法群(28例が評価可能)では、盲検下独立中央判定および担当医判定による客観的奏効率が46%(95%CI:28~66)、奏効期間中央値が7.6ヵ月(同:5.7~評価不能)、PFS中央値が6.9ヵ月(同:5.4~8.1)、OS中央値は13.4ヵ月(同:9.5~20.1)であった。 治療関連有害事象は、単剤療法群が93%、併用療法群は100%で発現し、このうちGrade3/4はそれぞれ34%および16%であった。頻度の高い有害事象は、単剤療法群が下痢(66%)、悪心(57%)、嘔吐(45%)、疲労(45%)であり、併用療法群は悪心(62%)、下痢(56%)、嘔吐(53%)、ざ瘡様皮膚炎(47%)、疲労(47%)であった。 有害事象による減量は、単剤療法群が39%、併用療法群はadagrasibが31%、セツキシマブが3%で認められた。また、有害事象による投与中止は、単剤療法群が0%、併用療法群はadagrasibが0%、セツキシマブが16%でみられた。Grade5の有害事象は、両群とも観察されなかった。 著者は、「これらの結果は、KRASとEGFRの双方の阻害が大腸がんに対する活性を有することを示しており、前臨床研究の知見と一致する。2つの薬剤の併用は相乗的な毒性作用をもたらさず、治療関連有害事象は各薬剤の単剤療法の報告と一致した」としている。

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定量化が困難な冠動脈疾患、機械学習で可能に/Lancet

 冠動脈疾患のバイナリ診断では、疾患の複雑性が保持されず、重症度や死亡リスクを定量化できないため、冠動脈疾患の定量的マーカーの確立が求められている。米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のIain S. Forrest氏らは、電子健康記録(EHR)に基づく機械学習を用いて、動脈硬化と死亡リスクを連続スペクトルで非侵襲的に定量化し、過小診断された患者の特定が可能な冠動脈疾患のin-silicoマーカー「ISCAD」を開発した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年12月20日号で報告された。定量的マーカーとしてのISCADを評価するコホート研究 研究グループは、機械学習モデルに基づく確率から導出される冠動脈疾患の定量的マーカーの評価を目的にコホート研究を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 2つの大規模なバイオバンク(BioMe Biobank、UK Biobank)の参加者9万5,935人のEHRを用いて冠動脈疾患を検出する機械学習モデルを開発・検証し、ISCADスコア(0[確率が最も低い]~1[確率が最も高い])としてその蓋然性を評価した。 さらに、ISCADと臨床アウトカム(冠動脈狭窄、閉塞性冠動脈疾患、多枝冠動脈疾患、全死因死亡、冠動脈疾患の後遺症)の関連について検討した。高ISCAD/未診断者の46%が、ACC/AHAガイドラインを満たした 9万5,935人のうち、3万5,749人がBioMe Biobank(年齢中央値61歳、男性41%、冠動脈疾患診断率14%)、6万186人はUK Biobank(62歳、42%、14%)の参加者であった。 このモデルは、BioMe Biobankの検証セットとホールドアウトセットで、受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)がそれぞれ0.95(95%信頼区間[CI]:0.94~0.95、感度:0.94[95%CI:0.94~0.95]、特異度:0.82[95%CI:0.81~0.83])および0.93(95%CI:0.92~0.93、感度:0.90[0.89~0.90]、特異度:0.88[0.87~0.88])であった。また、UK Biobankの外部テストセットでは、ROC AUCは0.91(95%CI:0.91~0.91、感度:0.84[0.83~0.84]、特異度:0.83[0.82~0.83])だった。 ISCADは、既知のリスク因子、リスク予測式(pooled cohort equations)、多遺伝子リスクスコアから、冠動脈疾患のリスクを把握することができた。閉塞性冠動脈疾患、多枝冠動脈疾患、主要な冠動脈(左冠動脈主幹部、左前下行枝近位部など)の狭窄のリスクを含め、冠動脈狭窄はISCADの四分位数が上昇するに従って定量的に増加した(四分位ごとに12ポイントの増加)。 全死因死亡のハザード比(HR)と有病率は、ISCADの十分位数の上昇に従って段階的に増加した(第1十分位数のHR:1.0[95%CI:1.0~1.0]、有病率:0.2%、第6十分位数のHR:11[3.9~31]、有病率:3.1%、第10十分位数のHR:56[20~158]、有病率:11%)。冠動脈疾患の後遺症としての心筋梗塞の再発にも、同様の傾向が観察された。 高ISCAD(≧0.9)で冠動脈疾患の診断を受けていない26人と、傾向スコアでマッチさせた低ISCAD(≦0.1)で冠動脈疾患の診断を受けていない26人(全体の年齢中央値73歳、男性40%)で検討したところ、高ISCADの未診断者のうち12人(46%)が、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)作業部会による2014年版ガイドラインの冠動脈疾患の臨床的エビデンスを満たした。 著者は、「機械学習に基づく冠動脈疾患の定量的マーカーの導入は、患者の病態と臨床アウトカムの定義に有益で、疾患の検出を最適化し、過小診断を抑制する可能性がある」としている。

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アラーム付き間歇スキャンCGM vs. SMBG-試合前から勝負あり?(解説:住谷哲氏)

 持続グルコース測定器(continuous glucose monitoring:CGM)は大きく分けて3種類ある。現在わが国で使用できる機器も併せて記載すると、(1)リアルタイムCGM(real-time CGM[rtCGM]):そのときの血糖値が常に測定表示されるもの(Dexcom G6、ガーディアン コネクト)、(2)間歇スキャンCGM(intermittently scanned CGM[isCGM]、flash glucose monitoring[FGM]とも呼ばれる):患者がセンサーをスキャンしたときにのみグルコース値が表示されるもの(フリースタイルリブレ)、(3)professional CGM(pCGM):患者はグルコース値を装着中に見ることができず検査終了後に解析するもの(フリースタイルリブレPro)、になる。最も汎用されているのはフリースタイルリブレであるが、欧米ではすでに低血糖・高血糖アラーム付きのフリースタイルリブレ2にほぼ移行しており、他の新規医療機器と同じくわが国は周回遅れの状況である。 現在の糖尿病診療においてCGMの活用は血糖管理に必要不可欠のものとなりつつある。2019年にCGMデータ解釈に関するコンセンサスステートメントが報告されてから、TIR(time in range)やGMI(glucose management indicator)などの指標も次第に普及してきた1)。新規薬剤と同じく、その普及にはCGMの市場を広げたい企業の競争も大きく影響している。現時点ではrtCGMのDexcomとisCGMのAbbottが火花を散らしているが、アラーム付きのrtCGMであるDexcom G6が血糖管理においてはAbbottのフリースタイルリブレを一歩リードしている2)。そこにAbbottが送り込んだのがアラーム付きのフリースタイルリブレ2(本邦未発売)である。本来であればDexcom G6 vs.フリースタイルリブレ2の直接比較試験が望ましいが、本論文FLASH-UKは残念ながらフリースタイルリブレ2 vs.SMBGの比較試験である。その結果は、フリースタイルリブレ2群が24週後のHbA1cの低下度および<70mg/dLの低血糖時間に関してSMBG群に比較して優れていた。これまでのCGMの有効性に関する報告からこの結果は試験前から当然予想されたように筆者には思われるが、きちんとしたRCTで証明した点がNEJM誌に掲載された理由だろう。 2022年4月の診療報酬改定で、フリースタイルリブレがインスリン使用中のすべての糖尿病患者に対して保険診療で使用可能となった。さらに同年12月にはDexcom G6も保険診療上はフリースタイルリブレと同じ扱いとなり、今後は使用患者の増加が予想される。またCGMのデータをApple Watchに代表されるsmart watchで読み取ることも可能となりつつあり、血糖管理のハイテク化はまだまだ続きそうである。

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071)医者の不養生…【Dr.デルぽんの診察室観察日記】(ブログより転載)

第71回 医者の不養生…(『デルマな日常』より転載)おっはよ~☆ オフの爽やかなデルぽんだよ〜☆当ブログは皮膚科医デルぽんのさりげない日常を日夜漫画にしてお送りする徒然絵日記です☆以後、お見知りおきを!さて本日のデル日は。『医師だけど自分の病気はないがしろになりがち』あるある(たぶん)でーす!どうぞ〜☆デルぽんお肌は弱い方じゃないんだけど、じつは耳の後ろと両膝・肘にあやしい湿疹が長年つづいているよ☆あやしいってどう怪しいかっていうとね。見た目が乾癬(かんせん)そのものだよ…☆ウフフ。※乾癬っていうのは、ガサガサした赤い局面ができる病気だよ☆痒みもあるので、イライラしたときにかいてしまったりしてるんだけど。(※痒みはストレスで悪化しやすいよ☆)これがなかなか、治りません。時々薬は塗ってるんだけど、、、時々だから、治らない…塗り薬っていうのは、治りかけがかんじんで、あっ良くなった〜でやめるとすぐぶり返す。そしてまた塗って良くなって止めてぶり返す。と、そのうち同じランクの薬が効きにくくなる(※長年続けた場合)。という具合に怠け半分にやると全然治らない訳ですが。(デルぽん身を持って知る!)きれいになった頃合いが特に大事で、きっちり塗りきって治しきるのが治療のコツだよ☆っと人には言うくせに自分が出来てないっ!けしからん!とお怒りのアナタ、ごもっともです。だからデルぽん、患者さんの『塗り薬めんど』って気持ち、すごくわかるよ、、、そんなデルぽんから。つい塗るのを忘れがちなアナタに送るオススメな方法はというと。洗面所の超目立つ場所に置いておいて、風呂上がり可及的速やかに塗る。朝は顔洗ったらすぐに塗る。これです。めっちゃ見えるとこにこれみよがしに置いとくのがポイント。忙しかったり余裕がないとなかなか塗れないのが塗り薬のむずかしいところ。出来れば5分でも、軟膏タイムをつくってね。デルぽんも今日からがんばるから!いっしょに塗り薬がんばろっ!!っと何故かいい話風に持って行ったところで今日のデル日はこれにておしまい!でわねー☆ばいちゃー!!※この記事は、Dr.デルぽんのご厚意により『デルマな日常』から転載させていただきました。(転載元:『デルマな日常』2016年07月10日 医者の不養生…)

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リフィル処方箋を応需した薬局は約半数、さらなる普及は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第103回

リフィル処方箋は2022年4月に始まりました。まだまだ手探り段階だと思っていましたが、実は意外と(?)普及しつつあるようです。しかし、不安や疑問があるのは私だけではないと思いますので、今回は日本保険薬局協会(NPhA)が行ったアンケートから、現状の普及具合や課題を探っていきましょう。このアンケートは、リフィル処方箋の応需実績と薬局における対応の実態を調査するために、2022年11月に会員薬局を対象として行われました。そして、12月15日にその結果が公表されました(回答4,352件)。NPhAは2004年の設立で、保険薬局の団体といえばNPhA!といった印象が根付いてきたな…と長年この業界にいる身としては嬉しく思います。以前はアンケート結果を会員だけに知らせることが多かったような気がしますが、ホームページで広く公表することは業界内外にとって良いことだと思うのでぜひ続けてほしいですね。手順書の整備ができている薬局は92.4%調査結果について見ていきましょう。まず、「リフィル処方箋応需の手順書整備や従業員への周知などの体制が整っているか?」という問いについて、「はい」と答えた薬局は92.4%でした。NPhAは2022年9月に手順書作成の手引きを公表するなど、業界全体としての底上げをしてきました。結果として90%以上の薬局が手順書を整備できているというのは素晴らしいと思うと同時にホッとしています。このコラムを読んでいる薬剤師は勉強熱心な方が多いと想像しますのですでに整備済みかと思いますが、もしまだであればNPhAの手引きを参考にして作成することをお勧めします。リフィル処方箋に反対の医療機関は32%「薬局が主に応需する医療機関のリフィル処方箋のスタンス」について尋ねたところ、「積極的に活用」「活用」「患者の希望があれば検討」を合わせて70%程度で、「活用に反対」は32%でした。これは、私が思っていたよりも悪くない数字で、希望がある結果ではないでしょうか。まだ様子見の医療機関も多くありますが、薬局の整備が進み、患者さんも希望し、利便性などを評価する声が増えていくことで、反対の声は少なくなってくると思います。問い合わせは少ないが、応需実績のある薬局は42%ちょっと気になったのは、「リフィル処方箋について患者さんから問い合わせがあったか?」という問いです。結果は「ない」が68%で、あまり知られていないようです。患者さんの病態にもよるので、大々的に紹介するのは難しいかもしれませんが、この患者さんならまず問題ないと思った場合は、「こういう制度もありますよ」とアナウンスするなどの地道な活動が必要かもしれません。「2022年4月から10月までにリフィル処方箋を受けたことがありますか?」という問いについて、42%の薬局が「はい」と回答しています。意外と多くてこの結果には驚きです。枚数はまだ少ないかもしれませんが、リフィル処方箋を出す側も受ける側も、1回でも経験したことがあるかどうかは大きな差ですので、リフィル処方箋という選択肢が根付くのに良いペースである気がします。個人的な感想としては、リフィル処方箋に関しては、この1年で想像を超える実績が得られていて、新しい制度導入の成功例になり得るような気配がしています。この調査結果には、薬局における困った事例や業務負担などについても数多くの意見が寄せられていますので、ぜひ皆さんの薬局の今後の対応のためにご一読ください。

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英語で「最悪の場合」は?【1分★医療英語】第62回

第62回 英語で「最悪の場合」は?In the worst case scenario, he would not survive this.(最悪の場合、お亡くなりになることもあり得ます)I understand.(わかりました)《例文1》医師In the worst case scenario, you have to wait three more hours to be tested.(最悪の場合、あと3時間待たなくてはいけません)患者That is unacceptable.(それは困ります)《例文2》医師We have to prepare for the worst case scenario.(最悪の事態に備えておかなくてはいけません)患者Yes we do.(そのとおりです)《解説》“In the worst case scenario”(最悪の場合は)、この表現は医療現場に限らず使えるものですが、医療現場においてはとくにリスクや予後の説明をするときに有用です。治療がいつも上手くいけばよいのですが、残念ながら見通しが良くないこともあります。そのような時に、「最悪の場合」を想定した話をしておくことが非常に大切です。医師にとっても、患者さんや家族にとっても大変なコミュニケーションとなりますが、これも医師と患者間の信頼関係を築くために必要な過程でしょう。伝えにくい内容の前に“In the worst case scenario”を挟むことで、聞き手に心の準備をさせることができますので、そのような場面で使ってみてください。講師紹介

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第145回 家にいながらにしてのコロナ検査と治療の提供を米国が開始

家にいながらにして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の検査からその治療までの一通り全部を済ませるようにする無料の遠隔医療の試験運用を米国国立衛生研究所(NIH)が開始します1,2)。Home Test to Treatと銘打つその取り組みは去年2022年9月に同国政府が初めて表明し3)、検査で陽性だった人に抗ウイルス治療を施して重症化、入院、死亡を防ぐことを目指します。Home Test to Treatは今月中にまずはペンシルバニア州バークス郡の住民最大8千人を募って試験的な運用が始まります。運用指揮者はそれら参加者から集まった情報を使って最適な手順を確立し、より大規模な運用にも堪えうるようにHome Test to Treatの仕様を改善します。米国全域の他の地域もバークス郡に続いてHome Test to Treatに参加していく予定です。参加地域はそういう治療の需要のほど、医療の普及のほど、SARS-CoV-2感染(COVID-19)率予想、社会経済状況に基づいて選定されます。Home Test to Treatは各地の保健担当部門と協力して向こう1年間に米国人10万人ほどの手当てを賄うことを目指します。Home Test to Treatの運用は遠隔医療提供会社eMedが担います。目下のCOVID-19流行下で何百万件もの遠隔医療を取り仕切った経験を持つ同社は使い勝手が良いウェブサイトを準備し、参加者はそのウェブサイトに登録し、症状を報告し、遠隔診療を受け、必要に応じて抗ウイルス治療の配達を申し込み、必要な検査を手配することができます。Home Test to Treatの参加地域から集まった情報は家にいながらの検査や治療の意義、参加者のHome Test to Treatとの関わり方、治療の経過などの解析に使われます。それらの解析はeMedの協力を仰いでマサチューセッツ大学医学部(UMass Chan Medical School)が引き受けます。Home Test to Treatは目下のCOVID-19流行や将来の同様の事態で別け隔てなく救いの手を差し伸べ、人命救出に必要な最良の手順を見つけることを後押しするでしょう。各地域それぞれのチームが改善策を見つけて実行することはそれら地域、州、はては米国全体の求めに応えるよりよい体制作りを可能にします1)。参考1)NIH launches Home Test to Treat, a pilot COVID-19 telehealth program / NIH2)NIH launches pilot COVID telehealth program / Reuters3)Biden Administration Outlines Plan to Get Americans an Updated COVID-19 Vaccine Shot and Manage COVID-19 this Fall / White House

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肺臓炎発症例、オシメルチニブのリチャレンジの実施可能性/Eur J Cancer

 軽症肺臓炎を発症したEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブのリチャレンジを検証したリアルワールド試験の結果が発表された。 オシメルチニブは、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療の標準だが、治療に影響を及ぼすオシメルチニブの有害事象として、薬剤性肺臓炎が挙げられる。オシメルチニブの適正使用ガイドでは、肺臓炎発症後は全例治療中止が推奨されている。一方、症例報告や後ろ向き試験では、肺臓炎発症後のオシメルチニブリチャレンジの実施可能性や有効性についての報告がある。ただし、リチャレンジの主要評価項目とした多症例の検証はなかった。 和歌山県立医科大学の今地 美帆子氏らは、オシメルチニブの1次治療を受けた患者の多施設共同コホートから、肺臓炎を発症し同剤のリチャレンジを受けた患者を後ろ向きに検討した。主要評価項目は、リチャレンジ後の全Gradeの肺臓炎の発症率、副次評価項目は、オシメルチニブリチャレンジ後の治療効果であった。 主な結果は以下のとおり。・画像データが入手可能であった試験全体の患者452例中、肺臓炎を発症した患者は82例、そのうちオシメルチニブのリチャレンジを受けた患者は33例であった。・上記33例の肺臓炎の内訳はGrade1が26例、2が6例、3が1例であった。・オシメルチニブのリチャレンジ後、15%(33例中5例) が軽度の再発性肺炎を発現した。・上記5例中3例は、初期肺臓炎と再発肺臓炎の画像パターンが類似していた。・オシメルチニブリチャレンジ後の無増悪生存期間中央値は未到達であった。 筆者らはオシメルチニブによる軽症肺臓炎発症患者に対し、オシメルチニブのリチャレンジは治療選択肢となり得る、と述べている。

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パニック症やPTSDに対するデジタル治療の有効性

 これまでの研究で、パニック症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するデジタル治療であるCapnometry Guided Respiratory Intervention(CGRI)の臨床的ベネフィットが報告されている。米国・FreespiraのRobert N. Cuyler氏らは、実臨床におけるCGRIの治療アウトカムの報告を行った。その結果、これまでの研究結果と同様に、CGRIは、有意な症状改善効果と良好なアドヒアランスが期待できる治療介入であることが確認された。結果を踏まえ著者らは、パニック症患者およびPTSD患者に対するCGRIは、短い治療期間で良好なアドヒアランスを示し、臨床的ベネフィットに優れることから、有望な治療オプションとなりうるとしている。Frontiers in Digital Health誌2022年11月17日号の報告。 パニック症患者1,395例およびPTSD患者174例を対象に、CGRI治療前後の自己報告による症状変化、呼吸数および呼気終末CO2レベル、治療脱落率、治療アドヒアランスを評価した。CGRIは、呼吸数および呼気終末CO2レベルを測定するとともに、呼吸の正常化、ストレス、不安、パニック症状に対処する患者の対応力向上を目的として、28日間在宅療法として実施した。また、治療エピソード中、毎週のフォローアップによる初期トレーニングを提供するため、遠隔医療コーチングサポートを行った。遠隔データのアップロードおよびモニタリングにより、個別のコーチングと集計結果分析を簡便化した。主要アウトカムは、治療前後の自己報告によるパニック症重症度尺度(Panic Disorder Severity Scale:PDSS)およびDSM-5のPTSDチェックリスト(PCL-5)のスコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・パニック症患者では、治療前後のPDSS合計スコアが平均50.2%減少していた(p<0.001、d=1.31)。・パニック症患者における治療反応(PDSS合計スコア40%以上の低下)率は、65.3%であった。・PTSD患者では、治療前後のPCL-5合計スコアが41.1%減少していた(p<0.001、d=1.16)。・PTSD患者における治療反応(PCL-5スコア10ポイント以上の低下)率は、72.4%であった。・個人レベルでの治療反応の追加分析では、Reliable Change Indexを用いた治療反応率は、パニック症患者で55.7%、PTSD患者で53.5%であった。・ベースライン時の呼気CO2レベルが正常値または正常値未満の患者では、同等の効果が認められた。・28日間の治療期間全体では、平均アドヒアランス率は、パニック症患者で74.8%、PTSD患者で74.9%であった。・治療脱落率は、パニック症患者で10%、PTSD患者で11%であった。

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アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病の初回治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、アカラブルチニブ(製品名:カルケンス)が、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応症で厚生労働省より承認されたと発表した。 今回の承認は、国内第I相試験および、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)を対象とした国際共同第III相試験(ELEVATE-TN試験)の結果に基づくもの。 ELEVATE-TN試験では、アカラブルチニブの単剤投与またはアカラブルチニブとオビヌツズマブの併用投与が、標準化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。本試験の中間解析データは、2020年にThe Lancet誌で発表されている。 また、今回の適応拡大の承認では、未治療の日本人CLL患者を対象に含む第I相試験も評価された。この試験では、アカラブルチニブとオビヌツズマブの併用による全奏効率は100%(9/9例)であった。 2022年米国臨床腫瘍学会(ASCO)および2022年欧州血液学会(EHA)年次総会においては、ELEVATE-TN試験の約5年追跡の最新結果が発表された。アカラブルチニブはクロラムブシルとオビヌツズマブ併用投与に対して統計学的に有意なPFSのベネフィットを維持し、安全性および忍容性プロファイルはアカラブルチニブの既知のプロファイルと一貫していることが示されている。

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デュピルマブ、12歳以上の好酸球性食道炎にも有効/NEJM

 好酸球性食道炎患者において、デュピルマブ週1回皮下投与は組織学的寛解率を改善するとともに、嚥下障害症状を軽減することが、オーストラリア(4施設)、カナダ(4施設)、欧州(25施設)および米国(63施設)の96施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で認められた。米国・ノースカロライナ大学のEvan S. Dellon氏らが報告した。デュピルマブは、好酸球性食道炎に重要な役割を果たしているインターロイキン(IL)-4とIL-13のシグナル伝達を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体で、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎や気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の治療薬として承認されている。NEJM誌2022年12月22日号掲載の報告。デュピルマブ300mgを週1回または隔週皮下投与とプラセボを比較 本研究の対象は、内視鏡生検で好酸球性食道炎と診断され(高倍率1視野当たり好酸球数が15以上)、ベースライン時の嚥下障害症状質問票(DSQ)スコアが10以上(スコアの範囲:0~84、スコアが高いほど嚥下障害症状が高頻度または重度)の12歳以上の患者である。パートAとして、適格患者81例をデュピルマブ群(300mgを週1回)とプラセボ群に1対1の割合で(それぞれ42例、39例)、パートBとして240例をデュピルマブ300mgの週1回または隔週、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け(それぞれ80例、81例および79例)、24週まで皮下投与した。 その後は引き続きパートCとして、パートAを完遂した適格患者は全例52週までデュピルマブ300mgを週1回皮下投与し(パートA-C群)、パートBでプラセボ群に割り付けられた患者は、デュピルマブ300mg週1回または隔週群に1対1の割合で無作為に割り付け、パートBでデュピルマブを投与された患者は同じ用法用量で、それぞれ52週まで皮下投与を継続した。なお、パートCは現在進行中である。 パートAおよびBの主要評価項目は、24週時の組織学的寛解(高倍率1視野あたりの好酸球数が6以下と定義)を達成した患者の割合(組織学的寛解率)、およびDSQスコアのベースラインからの変化量であった。週1回皮下投与で、組織学的寛解率60%、嚥下障害症状も有意に改善 組織学的寛解率は、パートAではデュピルマブ群60%(25/42例)、プラセボ群5%(2/39例)で、デュピルマブ群が有意に高かった(補正後群間差:55ポイント、95%信頼区間[CI]:40~71、p<0.001)。パートBでは、デュピルマブ週1回群59%(47/80例)、隔週群60%(49/81例)、プラセボ群6%(5/79例)であり、デュピルマブ週1回群はプラセボ群との比較で有意差が認められたが(補正後群間差:54ポイント、95%CI:41~66、p<0.001)、デュピルマブ隔週群とプラセボ群との比較では階層的検定で有意差はなかった(56ポイント、43~69)。 ベースラインの平均(±SD)DSQスコアは、パートAで33.6±12.41、パートBで36.7±11.22であった。24週時のDSQスコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均変化量)は、パートAではデュピルマブ週1回群がプラセボ群と比較して有意に大きかった(-21.92 vs.-9.60、群間差:-12.32[95%CI:-19.11~-5.54]、p<0.001)。パートBでも、デュピルマブ週1回群がプラセボ群と比較して有意に大きかったが(-23.78 vs.-13.86、-9.92[-14.81~-5.02]、p<0.001)、デュピルマブ隔週群とプラセボ群との間に有意差は認められなかった(-14.37 vs.-13.86、-0.51[-5.42~4.41]、p=0.84)。 重篤な有害事象は、パートAまたはBにおいて9例(デュピルマブ週1回群7例、デュピルマブ隔週群1例、プラセボ群1例)、パートA-Cにおいて1例(パートAではプラセボ群、パートCではデュピルマブ週1回投与群)に発現した。

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首・腰痛、姿勢療法は医療費増大/JAMA

 急性または亜急性の頸部痛/腰痛を有する患者において、集学的な生物心理社会的介入または個別化姿勢療法は、いずれも経過観察と比較して3ヵ月後の疼痛関連障害スコアをわずかではあるが統計学的に有意に改善した。ただし、個別化姿勢療法では1年間の脊椎関連医療費が経過観察より有意に増加した。米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のNiteesh K. Choudhry氏らが、米国の33施設で実施した3群の実用的非盲検クラスター無作為化試験「SPINE CARE試験」の結果を報告した。JAMA誌2022年12月20日号掲載の報告。急性/亜急性の頸部痛/腰痛患者を対象に、33施設でクラスター無作為化試験を実施 SPINE CARE試験の対象は、持続期間が3ヵ月以内の頸部痛または腰痛を主訴に来院した18歳以上の患者であった。過去3ヵ月間に、連続して7日以上麻薬を服用、あるいは6回以上の理学療法・カイロプラクティック治療・鍼治療・姿勢療法などを受けたことがある患者、過去6ヵ月以内に脊椎の手術・注射または神経根切断術を受けたことがある患者などは除外した。 研究グループは、参加したプライマリケア診療所33施設を、集学的な生物心理社会的介入(identify, coordinate, and enhance [ICE] care model、ICE)群、個別化姿勢療法(individualized postural therapy、IPT)群または通常ケア群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、各施設の適格患者に割り付けられた治療を行った。 ICEケアモデルとは、STarT Backスクリーニングツールを用いて、理学療法、ヘルスコーチによる痛みを軽減するためのカウンセリング、およびかかりつけ医へのコンサルテーションを組み合わせ、適切な介入を行うケアモデルである。また、IPTは、エゴスキューメソッドを用いて標準化された方法で、自己効力感と自己管理を重視し、脊柱の筋肉の再調整とリバランスによって痛みを治療する試みである。通常ケア群では、介入を行わなかった(経過観察のみ)。  主要評価項目は、Oswestry Disability Index(ODI、0~100点、点数が高いほど疼痛関連障害が重度)スコアのベースラインから3ヵ月後までの変化量(臨床的に意義のある最小変化量を6と定義)、および1年間の脊椎関連医療費とした。各治療群と通常ケア群との比較では、有意水準を両側0.025とした。疼痛関連障害スコアは2介入とも有意に改善、ただし姿勢療法では医療費が増加 2017年6月~2020年3月に2,971例が無作為化された(通常ケア群992例、ICE群829例、IPT群1,150例)。最終追跡は2021年3月であった。2,971例(平均年齢51.7歳、女性1,792例[60.3%])のうち、2,733例(92%)が試験を完遂した。 平均ODIスコアは、ICE群ではベースラインの31.2点から3ヵ月後には15.4点に、IPT群では29.3点から15.4点に、通常ケア群では28.9点から19.5点に改善した。3ヵ月後における平均ODIスコアの通常ケア群との絶対差は、ICE群で-5.8(95%信頼区間[CI]:-7.7~-3.9、p<0.001)、IPT群で-4.3(-5.9~-2.6、p<0.001)であった。 1年間の平均脊椎関連医療費は、ICE群1,448ドル、IPT群2,528ドル、通常ケア群1,587ドルであり、通常ケア群と比較しICE群では139ドル減(リスク比:0.93、95%CI:0.87~0.997、p=0.04)、IPT群では941ドル増(1.40、1.35~1.45、p<0.001)であった。

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悪性新生物の死亡確率、男性3割・女性2割/厚生労働省

 厚生労働省は12月23日、「令和2年都道府県別生命表」を発表した1)。都道府県別生命表は、国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)による日本における日本人の死亡数、出生数を基に、1965年から5年ごとに作成され、今回が12回目となる。本結果によると、2020年の全国の平均寿命(0歳の平均余命)は、男性が81.49年、女性が87.60年で、2015年よりも男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。また、死因別死亡確率では、男女ともに最も多かった死因は、悪性新生物(腫瘍)であり、男性で28.13%、女性で20.05%を占めていた。平均寿命、男女ともに全都道府県で延びる 2020年の全国の平均寿命は、男性が81.49年、女性が87.60年であった。平均寿命を都道府県別にみると、男性では、滋賀が82.73年で最も長く、次いで長野の82.68年、奈良の82.40年の順となっている。女性では、岡山が88.29年で最も長く、次いで滋賀の88.26年、京都の88.25年の順となっている。また、男女ともに青森が最も短くなっており、男性が79.27年、女性が86.33年であった。平均寿命の最も長い都道府県と最も短い都道府県との差は、男性3.46年、女性1.96年となっている。 平均寿命を2015年と2020年で比較すると、男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。男女ともに全都道府県で平均寿命が延びていた。大きな延びを示した都道府県は、男性では、鳥取(1.17年)、富山(1.13年)、和歌山(1.09年)の順となっており、女性では、京都(0.89年)、和歌山(0.88年)、兵庫(0.84年)の順となった。 ただし、2022年7月に発表された「令和3年簡易生命表」によると、2021年の日本人の平均寿命は、新型コロナウイルス感染症の影響で男女ともに前年度よりそれぞれ0.09歳、0.14歳短くなり、男性81.47歳、女性87.57歳となり、10年ぶりに前年度を下回っている2)。死因別死亡確率、悪性新生物が男性3割、女性2割 全国の死因別死亡確率では、男性では、悪性新生物(腫瘍)(28.13%)、心疾患(高血圧性を除く)(14.33%)、肺炎(7.21%)、脳血管疾患(7.03%)、老衰(6.92%)、不慮の事故(3.06%)の順に多く、女性では、悪性新生物(腫瘍)(20.05%)、老衰(17.69%)、心疾患(高血圧性を除く)(16.45%)、脳血管疾患(7.78%)、肺炎(5.50%)、不慮の事故(2.31%)の順となった。死因における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、男性で0.53%、女性で0.39%であった。 都道府県別で悪性新生物による死亡確率が高かったのは、男性では、北海道(30.82%)、福岡(29.91%)、鳥取(29.75%)の順となった。女性では、北海道(22.72%)、福岡(21.83%)、青森(21.26%)の順に高かった。 男性において、都道府県別で心疾患による死亡確率が最も高いのは愛媛(16.92%)、肺炎が最も高いのは埼玉(8.89%)だった。女性では、老衰の死亡確率が最も高いのは静岡(23.39%)、心疾患が最も高いのは愛媛(18.85%)だった。

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クロルタリドンとヒドロクロロチアジドの心血管合併症予防効果に差はない。(解説:鳥羽梓弓氏)

 これまでのランダム化比較試験、メタ解析においてクロルタリドンに代表されるサイアザイド類似薬は、ヒドロクロロチアジドに代表されるサイアザイド薬と比較し降圧効果や左室肥大退縮効果に優れているという結果が多かった。クロルタリドンはヒドロクロロチアジドと比較し半減期が長く、24時間を通しての降圧、夜間血圧の降圧に優れているという報告もある。しかし、ヒドロクロロチアジドとクロルタリドンの心血管合併症発症に及ぼす影響を比較した本研究は両治療群に差がなかったという結果を示した。本研究ではヒドロクロロチアジド内服中の高血圧患者を継続投与群(1日25または50mg)とクロルタリドンへ処方変更群(1日12.5または25mg)とに無作為に割り付け、主要心血管アウトカムのイベントまたは非がん関連死、安全性を評価した。結果としてクロルタリドン群はヒドロクロロチアジド群と比較し主要アウトカムには差が見られず、低カリウム血症が多く見られた。 本研究の特徴としてはプラグマティック試験で非盲検という試験デザインにあり、実臨床に近い環境で二種の薬剤を比較したところにある。解析の手法としてintention to treat(ITT)解析が用いられており、薬剤の変更や中止にかかわらず割り付けられた治療群として解析する。それゆえにクロルタリドン群では15.4%がヒドロクロロチアジドへ切り替えていた。理由としては第一にベースラインでヒドロクロロチアジドを内服して特段副作用のない患者群を対象としたため、第二にクロルタリドンへ変更後に安全性確認のため血液検査が普段より頻繁に行われ低カリウム血症を同定しやすかったことが挙げられる。 また、以前の大規模研究ではヒドロクロロチアジド50mgまたはクロルタリドン25mgの最大用量を用いて心血管イベントへの効果を検討していたが、本研究ではそれぞれ25mg、12.5mgと実臨床に即した用量が多数を占めていた。 クロルタリドンが薬効的にはヒドロクロロチアジドよりも降圧効果が強いとしても、カリウム低下の副作用のため継続が難しい場合や、他の降圧薬併用にて血圧管理が良好な場合には、クロルタリドンとヒドロクロロチアジドの心血管イベントに対する効果には差がないことを示している。

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