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腎臓病と飲酒によるアルコール量との関係は?

 アルコールと疾患に関して過去のコホート研究では、アルコール摂取とタンパク尿と糸球体濾過量(GFR)低下を特徴とする慢性腎臓病との間に相反する関連性が報告されている。ただ、大量飲酒が腎臓に及ぼす影響を評価した研究は少なく、これまで一定の見解が得られていなかった。そこで山本 陵平氏(大阪大学 キャンパスライフ健康支援・相談センター)らの研究グループは、これまでに報告された疫学研究の結果を統合し、アルコール摂取量と腎臓病リスクの関係を解析した。その結果、1日60g程度(日本酒約3合)以上のアルコール摂取はタンパク尿リスクとなることを明らかにした。Nutrients誌2023年3月25日号に掲載。腎臓病とアルコール摂取量の関係をタンパク尿と低eGFRの発生率で評価  本研究では、アルコール摂取量と腎臓病のリスクを評価した疫学研究報告の網羅的な文献検索を行い、抽出された11のコホート研究結果をメタ解析の手法を用いて統合した。 研究対象者は1,463万4,940人。この系統的レビューでは、アルコール摂取とタンパク尿の発生率および60mL/分/1.73m2未満の低い推定GFR(eGFR)の用量依存的な関連性を評価した。 アルコール摂取量と腎臓病リスクの関係を解析した主な結果は以下のとおり。・非飲酒者と比較して、1日アルコール摂取量が12.0g以下の飲酒者ではタンパク尿の発生率が低かった(相対リスク[RR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.83~0.92)。・非飲酒者と比較して、1日アルコール摂取量が36.1~60.0gの飲酒者ではタンパク尿の発生率が高かった(RR:1.09、95%CI:1.03~1.15)。・アルコール摂取とタンパク尿発生のJ型カーブが示唆された。・低eGFR発生率は、1日アルコール摂取量が12.0g未満および12.1~36.0gの飲酒者では、非飲酒者よりも低かった(12.0g未満で0.93[95%CI:0.90~0.95]、12.1~36.0gで0.82[95%CI:0.78~0.86]、36.1~60.0gで0.89[95%CI:0.77~1.03])。・飲酒者は低eGFRのリスクが低いことが示唆された。

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2型DM患者、砂糖入り飲料多飲で死亡リスク2割増/BMJ

 2型糖尿病(DM)患者における飲料別の全死因死亡および心血管疾患(CVD)アウトカムとの関連が明らかにされた。砂糖入り飲料の多量摂取が全死因死亡およびCVDの発症・死亡と関連する一方で、コーヒー・紅茶・淡水・低脂肪乳の摂取は、摂取量と全死因死亡が逆相関であるという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のLe Ma氏らが、2つの大規模前向きコホート試験、Nurses' Health StudyとHealth Professionals Follow-Up Studyの解析結果を報告した。著者は、「示された結果は、成人2型DM患者におけるCVDおよび早期死亡のリスクを管理するうえで、飲料の健康的な選択が果たす潜在的な役割を強調するものであった」とまとめている。BMJ誌2023年4月19日号掲載の報告。1万5,000例の飲料摂取内容・量を2~4年ごとに調査 研究グループは、1980~2018年のNurses' Health Studyと1986~2018年のHealth Professionals Follow-Up Studyに参加し、ベースラインおよび追跡期間中に2型DMの診断を受けていた男女1万5,486例を対象に、飲料別の摂取と死亡およびCVDアウトカムの関連を調べた。飲料の摂取量は、食品摂取頻度に関する質問票を用いて評価し、2~4年ごとに更新した。 主要アウトカムは全死因死亡。副次アウトカムはCVDの発症と死亡とした。砂糖入り飲料の多量摂取、死亡リスク1.2倍 平均追跡期間18.5年の間に、CVDの発症は3,447例(22.3%)、死亡は7,638例(49.3%)が報告された。多変量補正後、各種飲料摂取量の5分類中、最高量群の最低量群に対する死亡に関するプール解析ハザード比(HR)は、砂糖入り飲料では1.20(95%信頼区間[CI]:1.04~1.37)だった。一方で、コーヒーでは0.74(0.63~0.86)、紅茶0.79(0.71~0.89)、淡水0.77(0.70~0.85)、低脂肪乳0.88(0.80~0.96)だった。 同様の関連は、各種飲料摂取量とCVD発症・死亡との間にも認められた。とくに、砂糖入り飲料については、摂取の最高量群の最低量群に対するCVD発症に関するHRは1.25(95%CI:1.03~1.51)、同じくCVD死のHRは1.29(1.02~1.63)と、摂取量と正の関連がみられた。一方で、コーヒー、低脂肪乳については、摂取量と同リスクに逆相関が認められた。 さらに、2型DMの診断後にコーヒーの摂取量が増えた人は増えなかった人に比べ、全死因死亡は低いことが観察された。同様の関連性は、紅茶と低脂肪乳についてもみられた。 砂糖入り飲料から人工甘味料入り飲料への変更で、全死因死亡やCVD死の有意な低下が認められた。砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料、フルーツジュース、全脂肪乳から、コーヒー、紅茶、淡水への変更でも、一貫して全死因死亡の低下が認められた。

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進行転移胆道がんの1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS改善(KEYNOTE-966)/Lancet

 未治療、切除不能な局所進行または転移のある胆道がんの1次治療として、ゲムシタビン+シスプラチンの標準化学療法と比較して、ペムブロリズマブを加えた併用療法は全生存期間(OS)を統計的に有意に改善したことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のRobin Kate Kelley氏らによる第III相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験「KEYNOTE-966試験」の結果で、著者は「標準化学療法+ペムブロリズマブの併用療法は、進行転移胆道がん患者の1次治療として新たな選択肢となる可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年4月16日号掲載の報告。ECOGパフォーマンスステータス0~1の18歳以上を対象に試験 KEYNOTE-966試験は、世界175ヵ所の医療センターで、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胆道がんで、RECIST第1.1版に基づく測定が可能で、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンスステータスが0または1の18歳以上の患者を対象に行われた。 研究グループは被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方にはペムブロリズマブ200mg(3週ごとに静脈内投与、最大35サイクル)、もう一方にはプラセボを、標準化学療法のゲムシタビン(1,000mg/m2、3週ごとに1・8日目に静脈内投与)+シスプラチン(25mg/m2、3週ごと1・8日目に静脈内投与、最大8サイクル)と併用投与した。 無作為化は中央双方向音声応答システムを使い、試験地域、病期、原発部位により層別化した。 主要評価項目はOSで、ITT集団で評価した。副次評価項目は安全性で、治療を受けた集団で評価した。治療関連有害事象発生率、両群で同程度 2019年10月4日~2021年6月8日に1,564例がスクリーニングを受け、適格とされた1,069例が無作為化を受けた(ペムブロリズマブ併用群533例、プラセボ群536例)。最終解析時の追跡期間中央値は、25.6ヵ月(四分位範囲[IQR]:21.7~30.4)だった。 OS中央値は、ペムブロリズマブ併用群12.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.5~13.6)、プラセボ群10.9ヵ月(9.9~11.6)だった(ハザード比[HR]:0.83、95%CI:0.72~0.95、片側検定のp=0.0034、有意性閾値のp=0.0200)。 治療集団におけるgrade3/4の有害事象発生は、ペムブロリズマブ併用群420/529例(79%)、プラセボ群400/534例(75%)だった。治療関連有害事象発生は、それぞれ369例(70%)、367例(69%)で、うちgrade3/4事例はそれぞれ31例(6%)、49例(9%)だった。また、治療関連有害事象による死亡は、それぞれ8例(2%)、3例(1%)だった。

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サル痘とは?(2023年4月更新版)

サル痘とは?2023年4月版出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.サル痘とは? オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症 1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めての感染が確認され、中央アフリカ~西アフリカにかけて流行している。 国内では感染症法上の4類感染症に指定されている。 2022年5月以降、従前のサル痘流行国への海外渡航歴のないサル痘患者が世界各地で報告されているが、2023年3月時点では全体の症例の報告数は減少傾向にある。 国内では2022年7月に1例目の患者が確認され、その後散発的に発生が報告されていたが、2023年に入り患者の報告数が増加している。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.感染経路は? アフリカに生息するリスなどの齧歯類をはじめ、サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染する。 感染した人や動物の皮膚の病変・体液・血液との接触(性的接触を含む)、患者と接近した対面での飛沫への長時間の曝露、患者が使用した寝具などとの接触などにより感染する。 皮疹の痂皮をエアロゾル化することで空気感染させた動物実験の報告があるものの、実際に空気感染を起こした事例は確認されていない。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.発生状況は?<国内> 2022年7月25日に1例目の患者が報告された。 2023年以降、患者の発生が増加しており、2023年4月25日時点で120例が報告されている。<世界> 2022年5月以降の流行で8万6千人以上の感染例が報告されている(2023年3月24日時点)。 WHOによると、現在報告されている患者の大部分は男性であるが、小児や女性の感染も報告されている。※特定の集団や感染者、感染の疑いのある者等に対する差別や偏見は人権の侵害につながります。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は? 発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0~5日程度持続し、発熱1~3日後に発疹が出現する。 リンパ節腫脹は顎下、頸部、鼠径部に見られる。 皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。 多くの場合2~4週間持続し自然軽快するが、小児、曝露の程度・健康状態・合併症などにより、重症化することがある。 皮膚の2次感染、気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こすことがある。 手掌や足底にも各皮疹が出現する。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は?(続き)2022年5月以降の欧米を中心とした流行では、従来の報告とは異なる症状が指摘されている。 発熱やリンパ節腫脹などの前駆症状が見られない場合がある。 病変が局所(会陰部、肛門周囲や口腔など)に集中しており、全身性の発疹が見られない場合がある。 異なる段階の皮疹が同時に見られる場合がある。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q. 治療方法は? 対症療法(症状に応じた治療) 国内で承認された治療薬はない。 欧州では、特異的治療薬としてテコビリマットが承認されており、日本でも同薬を用いた特定臨床研究が実施されている。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.予防法は? 天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとされている。 流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切である。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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地域医療提供者による集中的な血圧介入は有用か?(解説:三浦伸一郎氏)

 わが国の高血圧有病者は4,300万人であり、治療中・コントロール良好な患者はわずか27%である一方、未治療・認知なしが33%、未治療・認知ありは11%も存在し、いまだに十分な心血管疾患の発症抑制にはつながっていないのが現状である。わが国は世界的に見ても、国民皆保険制度が確立し医師数も比較的多いが、医療制度が未熟な国々は多く存在し医師数も不足している。そのような国々では、医師以外の地域医療提供者の存在が欠かせない。  今回、He氏らは、Lancet誌にCRHCP Study Groupによる興味深い報告を発表した1)。医師以外の地域医療提供者主導による集中的な血圧介入が通常のケアと比較して、高血圧患者の心血管疾患および全死亡リスクを抑制するかを検討した、非盲検、エンドポイント盲検、クラスター無作為化臨床試験である。 介入群では、訓練を受けた非医師の地域医療提供者が降圧薬を開始し、簡単な段階的ケアプロトコルに従って漸増していた。その結果、介入群では、主要評価項目の心筋梗塞、脳卒中、入院を必要とする心不全、および心血管疾患による死亡の複合エンドポイントが、通常ケア群に比し有意に抑制されていた。この有用な抑制効果と共に、低血圧発症率が通常のケア群よりも介入群のほうで高かったが、低血圧による症状発現率に有意差はなく、安全性もある程度担保された結果となっていた。  今回の結果は、医療が十分に行き届いていない世界の国々において、いかに血圧を管理・治療し心血管疾患の発症抑制の方策を推進すべきかに、1つの戦略をもたらした。また、現在、わが国では遠隔医療を推進しており、地域への医療提供体制をさらに整えようとしている。オンライン診療において、医師‐患者(D to P)では情報不足となり、安全性の高いD to P with N(看護師)、D to P with H(ヘルパー)といったことを進めていく場合の参考にもなると思われる。今回のLancet誌への報告は、医師以外の地域医療提供者の活躍の可能性を広げた点において非常に興味深い結果であった。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その6【「実践的」臨床研究入門】第31回

検索式で研究デザインを限定するこれまで解説してきたように、検索式作成のポイントは、P(対象)とI(介入)またはE(曝露)の構成要素で構築する、ということでした。実際には、さらに「研究デザイン」を限定する検索式を加えることがよくあります(「研究デザイン」については連載第6回で簡単に説明しましたので、ご参照ください)。たとえば、システマティック・レビュー(SR:systematic review)では、「研究デザイン」としてランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)のみを対象とすることがよくあります。今回は、「研究デザイン」をRCTに限定する検索式について解説します。MEDLINE(PubMed)では、すべてのRCTが"Randomized Controlled Trial as Topic"というMeSH terms(連載第21回参照)が付与されるなどして、RCTとしてインデックス化されているわけではありません。そこで、コクラン・ハンドブックでは「研究デザイン」をRCTに限定する検索式(PubMedで検証済み)を、下記およびリンクのとおり2種類公開しています。Sensitivity-maximizing version (2008 revision); PubMed format(randomized controlled trial[pt] OR controlled clinical trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR drug therapy[sh] OR randomly[tiab] OR trial[tiab] OR groups[tiab] NOT (animals [mh] NOT humans [mh]))Sensitivity- and precision-maximizing version (2008 revision); PubMed format(randomized controlled trial[pt] OR controlled clinical trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR clinical trials as topic[mesh:noexp] OR randomly[tiab] OR trial[ti] NOT (animals[mh] NOT humans [mh]))それぞれの検索式のPubMedへのダイレクトリンク(Sensitivity-maximizing version、Sensitivity- and precision-maximizing version)も公開されています。本稿執筆時点(2023年4月)では、Sensitivity-maximizing versionおよびSensitivity- and precision-maximizing versionのヒット論文数は、それぞれ498万2,019件と140万7,761件でしたので、その名のとおり、感度はSensitivity-maximizing versionのほうが高いことがわかります。それでは、この「研究デザイン」をRCTに限定する検索式を、これまで改訂を重ねてきた、われわれのResearch Question(RQ)の関連研究レビューの検索式に加えてみましょう。検索結果は下記の表1および2のようになりました(本稿執筆2023年4月時点)。表1画像を拡大する表2画像を拡大する「研究デザイン」をRCTに限定するとヒット論文数は、Sensitivity-maximizing version(表1)で834件から291件、Sensitivity- and precision-maximizing version(表2)では166件に減っていることがわかります。ちなみに、PubMedでは、「Filterサイドバー」から、Clinical trialやRandomized Controlled Trialなど”article type”で「絞り込み検索」を行うこともできます。「Filterサイドバー」は、検索窓に何らかのキーワードを入力し、”search”をクリックした後に表示されるメイン画面左側に表示されます。しかし、この「絞り込み検索」が機能するには、対象となる論文にPublication type[pt]の「タグ」情報が付与されていることが前提となり(連載第23回参照)、付与されていない場合は漏れてしまいます。したがって、今回解説した、「研究デザイン」を限定する検索式を使用したほうが、より網羅的に検索することができるのです。

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入院経過は過不足なく簡潔に【紹介状の傾向と対策】第5回

<あるある傾向>入院経過が長々と書かれ、外来で読み切れない<対策>紹介状の記載は紹介目的に合わせ過不足なく簡潔に記載多忙な臨床業務の中で紹介状(診療情報提供書)の作成は負担の大きな業務の1つです。しかし、紹介状の不備は、依頼先(紹介先)の医師やスタッフに迷惑をかけるだけではなく、患者さんの不利益やトラブルにつながりかねません。このため、できる限り依頼先が困らない紹介状の作成を心がけたいものです。【紹介状全般に共通する留意点】(1)相手の読みやすさが基本(2)冒頭に紹介する目的を明示する(3)プロブレムと既往歴は漏れなく記載(4)入院経過は過不足なく、かつ簡潔に記載(5)診断根拠・診断経緯は適宜詳述(6)処方薬は継続の要否、中止の可否を明記(7)検査データ、画像データもきちんと引き継ぐ今回は上記の留意点(4)「入院経過は過不足なく簡潔に」について解説します。経過の短い患者の紹介状を作成するのは比較的容易ですが、長期にわたって入院していた患者が転院する時、その入院経過を簡潔にまとめるのは、容易ではありません。長期入院中にさまざまなイベントがあり、そのすべてを詳述しようとすると膨大な文章量になってしまいます。また、プロブレムがたくさんある患者では、プロブレム1つ1つにコメントをしていると、かなりの長文になってしまうでしょう。そのような時、筆者自身は『時間』を軸として、メインの疾患について文章を構成するようにしています。たとえば、「いつから、どのような症状や所見が出現し、何の検査を行い、どのような所見が得られたから〇〇と診断し、〇〇の治療を行った。その結果、□□となった」というような順番が、どの医師にもしっくりくると思います。そして、併発した疾患については、簡潔に触れていきます。また、紹介の目的により、表記の仕方や情報粒度は使い分けています。その際の情報の取捨選択の基準は、紹介する医師に伝えるべき、あるいは引き継いでもらうべき情報かどうかです。たとえば、不明熱の精査の依頼では、日単位で症状推移をこと細かに箇条書きに、使用薬剤と用量およびその薬剤への反応性は詳細に記載し、紹介先での情報欠落によるミスリードが起きないように留意します。一方、急性期治療を終えて、リハビリ病院に紹介する場合やかかりつけ医に紹介する場合の紹介状では、入院の概要を簡潔にまとめ、冗長化しないように意識しています。いずれにしても気を付けているのは、紹介先の医師がより迅速に情報を把握できることです。しかし、情報をコンパクトにまとめることを意識し過ぎると、本来は伝えるべき情報まで削ぎ落してしまうこともあります。情報過多も困りますが、情報不足や欠落はもっと困ります。このため、最初は丁寧な紹介状を記載し、より洗練させていくのが良いと考えます。紹介された際、最も困る情報は… なお、患者を紹介され、引き継ぐ時に最も困るのは、処方に関する情報です。すべての処方には、その薬剤が処方された根拠が存在するはずです。しかし、その処方が開始された根拠や診断根拠がわからないことが少なくありません。それにより、その薬剤が中止可能なのか、それとも継続するべきなのか判断に困ることがあります。そのような場合、紹介元に問い合わせるのですが、それなりの工数になります。このため、処方に関する内容は、どのような経緯でその薬剤を開始し、今後も継続していくべきか、あるいは適宜調整や中止が可能かどうかは明記すると親切です。受け持ち患者が多くなると、自ずと処理しなければならない書類も増えて、仕事が回らなくなってきます。できる限り無駄な工数を省き、効率よくポイントを押さえた紹介状を作成する業務上の工夫も重要になってきます。退院時にバタバタしないために筆者は患者の入院時にプロブレムと入院時サマリーを作成し始めます。そして、入院中に適宜書き足していき、退院時には入院時サマリーができ上がるようにしています。そして、その入院時サマリーを基に紹介状を書き、情報の欠落が生じないようにしています。場合によっては、紹介状に入院の概要のみ記載し、より詳細を記載した入院時サマリーを添付し、先方に適宜参照してもらうようにする場合もあります。そうは言っても、やはり肝心なのは、常にほかの医師や医療者から良いところを学び、自身の紹介状スキルをブラッシュアップさせていこうとする姿勢そのものだと思います。

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第158回 またまた医師退職問題を起こしていた京都府立医大、移植チームの体制整え1年ぶりに腎移植再開

昨年春から腎移植の手術ができなくなっていた府立医大こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は野球観戦三昧でした。MLBだけでなく、日本のプロ野球も時折観ているのですが、セ・リーグでは読売ジャイアンツの低調ぶりが気になります。原 辰徳監督の采配や言動、オフでの首脳陣人事報道などを読むと、素人目にも少々“古臭いのでは”と感じるのは私だけでしょうか。選手を信頼し、選手に一定部分を任せ切ったWBCでの栗山 英樹監督のマネジメント手法との違いは明らかです。ジャイアンツの岡本 和真選手がWBC終了後の記者会見で「野球ってこんなに面白かったんだなあと思いました」と語ったそうですが、今のジャイアンツの野球が「面白くない」と言っているようで、なかなか興味深かったです。次のジャイアンツの監督に誰がなるのかについて、早くもマスコミは騒ぎ始めています。上から目線の古臭い権威主義や指導方法は、スポーツの世界からも一掃されていく流れなのかもしれません。権威主義と言えば、その最たるものがアカデミア、とくに大学医学部の世界です。ということで今回は、京都府立医科大学附属病院(京都市)で昨年春から腎移植の手術ができなくなっていた問題を取り上げます。4月11日、同大は再開後の1例目となる腎移植手術を3月末に実施した、と発表しました。同病院では昨年、移植外科の医師5人が相次いで退職。春以降、腎臓の移植手術ができない状態になっていました。市立大津市民病院の大量退職と並行して起こっていた移植外科での退職府立医大に関連する医師退職事件としては、昨年にこの連載でも何度か取り上げた地方独立行政法人・市立大津市民病院(大津市)の医師大量退職が記憶に新しいところです。昨年2月に発覚したこの事件では、府立医大病院勤務後に、大津市民病院の理事長となった医師(府立医大名誉教授)が、同病院の複数の診療科の医師を、京大出身者から府立医大出身者に半ば強引に入れ替えようとして、京大出身医師の大量退職を招きました。30人近くの医師が退職意向を示したことで地域医療は大混乱、結局、理事長、院長の交代と相成りました(「第121回 大量退職の市立大津市民病院その後、今まことしやかに噂されるもう一つの“真相”」ほか参照)。府立医大病院での腎移植の手術中止は、まさに大津市民病院の大量退職が起こっていた時期と並行して起きていたわけです。懲りないというか、流石というか、患者や地域医療は二の次に、大学の体面(やジッツ拡大)を優先する府立医大のスタンスは相変わらず揺るぎないようです。移植外科に所属していた6人のうち5人が退職府立医大病院で腎移植ができなくなっていることが表沙汰になったのは昨年10月でした。10月15日付の大阪読売新聞の報道によれば、府立医大学病院の移植外科に所属していた6人のうち5人が退職し、昨年4月以降、腎移植手術ができなくなっていました。移植外科は2018年に教授が定年退職した後、教授不在が続いていました。2022年2月に医師1人が転職を理由に辞めた後、3~4月にも3人が転職や留学を理由に退職。5月には同科のトップだった准教授も退職して医師が1人になり、手術停止に追い込まれました。各紙報道によれば、府立医大病院における2020年の腎臓移植手術件数は27件で、府内全体の約9割を占めていたそうです。2022年3月時点で、25組が生体腎移植を希望し、一部は検査を終えて手術が決まっていたとのことです。また、亡くなった人から提供される腎臓の移植手術(献腎移植)の待機患者も約200人いたそうです。生体腎移植を希望する25組のうち14組は京大医学部附属病院に紹介し、11組は他病院での手術を希望するか、府立医大病院で手術再開を待つことになりました。「前任教授の退職後から現在まで新たな医師の受け入れはゼロ」同病院は腎移植停止が発覚した10月時点で、医師たちの退職理由を明らかにしませんでしたが、2022年12月8日付の京都新聞は「『患者不在』学内からも批判 京都府立医大病院 腎臓移植中断問題」と題する記事で、その背景や理由について報じています。同記事は「退職の背景に教授の不在があった」と書いています。移植外科では2018年に当時の教授が定年退職してから約5年間、教授ポストの空席が続いていました。その結果、大学や病院内での移植外科の地位が低下、「前任教授の退職後から現在まで新たな医師の受け入れはゼロだった。それまで実施していた肝移植もできなくなり、在籍医師のキャリア選択の幅も狭まった」とのことです。「医師4人の退職意向が分かった今年1月下旬から2月上旬にかけ、准教授は残った2人で手術の継続は難しいと考え、泌尿器科などから支援を受けられないか掛け合ったものの、病院幹部らは消極的だった」と同記事は書いています。准教授(病院教授という肩書は持っていました)が病院幹部から受け取ったメールには「(移植外科)OBの意向を無視して(泌尿器科の協力を得るのは)現時点では困難」と記され、対応してもらえなかったそうです。また、同記事によれば、准教授は4人の医師の一斉退職の責任を押しつけられる形になり、結果、退職に追い込まれたとのことです。退職後、准教授はパワハラなどによって精神的な苦痛を受けたとして大学に対して申立書を提出、これに対し学長ら学内の管理職でつくるハラスメント対策会議は11月中旬までに「業務目的を大きく逸脱した言動とは言えない」とパワハラに該当しないと結論付けています。同記事は「准教授の代理人弁護士によると、准教授は病院幹部らから『新しい移植体制では君をリーダーにすることはあり得ない』と責められた」とも書いています。泌尿器科内に移植チームを急遽立ち上げ腎移植停止が表沙汰になったことで流石に慌てたのか、各紙報道によれば、府立医大は泌尿器科内に急遽移植チームを立ち上げ、同科の3人の医師が移植手術を、腎臓内科をはじめとする複数科のスタッフが術後管理などを行う体制を整え、11月には日本腎臓学会に腎臓移植施設資格の再認定を求める申請書を提出しました。再認定後、2023年1月から新規の外来受け付けを再開、3月29日に再認定後1例目となる生体腎移植が実施され、4月11日の公表に至ったというわけです。メディアが報じる10月まで府立医大は腎移植停止を公表せずそれにしても、府立医大の関連病院である大津市民病院の医師大量退職事件とほぼ時を同じくして、“本丸”である府立医大病院でも退職問題が起こっていたとは驚きです。しかも、移植外科の医師退職と腎移植の停止は、メディアが報じる10月まで、その事実を公表していませんでした。それまで府内の腎移植のほとんどを手掛けており、患者にとってはまさに生きるか死ぬかの問題だったにもかかわらず、です。さらに、移植外科の准教授が病院幹部に対して泌尿器科への協力依頼を行っていたにもかかわらず、医局の都合を優先してか「現時点では困難」と判断していました(その後の報道で事態が表沙汰になってから、泌尿器科による移植チームを編成)。移植を待つ患者は二の次で、大学や医局の都合を重視するかのような対応からは、大津市民病院の医師退職の時の同病院元理事長の言動と共通するものを感じます。それはある意味、府立医大の“学風”と言えるかもしれません。准教授のパワハラの申し立てに対し、学長ら学内の管理職でつくるハラスメント対策会議が「パワハラに該当しない」と結論付けている点も気になります。少なくともこうした調査や判定は第三者によって行われるべきものです。自分たちもパワハラの当事者かもしれないのに、内部者だけで調査し、結論を下すのは言語道断でしょう。確か、大津市民病院の大量退職に際しても、一部の医師からパワハラとの主張があったものの、当初は病院内部の検証で否定されていました(その後、事件が大きくなってから第三者委員会を組織)。2010年代、度々世間を騒がせた府立医大2010年代、府立医大はディオバン事件(バルサルタン臨床研究:Kyoto Heart Study論文撤回)、暴力団総長の虚偽診断書作成事件(当時の病院長の指示で虚偽の診断書や意見書をつくったとされる事件。病院長は不起訴となるも総長との関係が指摘された当時の吉川 敏一学長は再任を辞退)、名誉教授強制わいせつ事件など、さまざまな事件を起こし、世間を騒がせました。そう言えば、暴力団総長の虚偽診断書作成は移植外科が舞台で、当時の移植外科の教授が病院長でした。この教授の退官後、移植外科の教授の空席が続き、残った准教授が、病院教授の肩書を持ちつつも移植外科の教授にはならないまま腎移植を切り盛りしていた結果、医局が破綻してしまったというのが今回の流れのようです。大学を去った元准教授はメスを捨て、京都の山奥の国保診療所で地域医療に従事しているという情報もあります。2020年代も府立医大は、本来の診療や研究以外の部分で世の中を騒がせ続けるのでしょうか。『白い巨塔』の世界のような古臭い権威主義は、医療の世界からそろそろ消えてもらいたいところなのですが……。

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実臨床におけるアリピプラゾール月1回製剤の評価~REACT研究

 統合失調症患者に対する長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬による治療は、さまざまなベネフィットをもたらす可能性がある。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らは、実臨床におけるアリピプラゾール月1回製剤(AOM)の有用性を評価するため、ドイツとカナダで実施された2つの非介入研究の結果を分析した。その結果、AOM治療は、性別、年齢、罹病期間、疾患重症度を問わず、幅広い患者に有効な治療法である可能性が示唆された。BMC Psychiatry誌2023年3月14日号の報告。 ドイツとカナダで実施された2つの非介入研究よりプールしたデータを分析した。実臨床下において、患者に対しAOM治療を行った。6ヵ月間のデータを分析した。簡易精神症状評価尺度(BPRS)のドメインおよび項目、患者サブグループ(性別、罹病期間[5年]、ベースライン時の疾患重症度)のBPRS総スコア、全対象患者およびサブグループにおける臨床全般印象度の改善度(CGI-I)の評価、全対象患者における併存疾患に関するデータを分析した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は409例。・併存疾患が認められた患者は65.5%であった。・すべてのBPRSドメインおよび項目で改善が認められた。・男女、罹病期間(5年以内または5年超)、ベースライン時の疾患重症度レベルの差異があったとしても、同様の改善が認められた。・若年、女性、短い罹病期間の患者において、より良好な結果が認められた。

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アトピー性皮膚炎、抗IL-13抗体薬lebrikizumabが有効/NEJM

 インターロイキン13(IL-13)を標的とするIgG4モノクローナル抗体lebrikizumabは、中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)の成人・青少年患者を対象とした2つの第III相試験において、16週の導入療法期間での有効性が確認された。米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らがNEJM誌2023年3月23日号で報告した。 研究グループが実施した「ADvocate1試験」と「ADvocate2試験」は、個別にデザインされた52週の国際共同第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、いずれも16週の導入療法期間と36週の維持療法期間で構成された。 中等症~重症ADの成人(18歳以上)および青少年(12歳以上18歳未満、体重40kg以上)を対象とし、lebrikizumab群とプラセボ群に2対1の割合で割り付けた。lebrikizumabの用量は、ベースライン時と2週目に500mgの負荷投与、以降は250mgとし、隔週皮下投与した。 本稿では、16週までに評価された導入療法期間の結果が報告されている。主要アウトカムは、16週時におけるIGA(Investigator's Global Assessment)スコア0または1(皮膚病変の消失またはほとんど消失)かつベースライン時からの2点以上減少とした。副次アウトカムは、16週時におけるEczema Area and Severity Indexスコアの75%改善(EASI-75)、2、4、16週時におけるそう痒NRS(Numerical Rating Scale)、16週時におけるそう痒による睡眠障害などであった。安全性も評価された。 主な結果は以下のとおり。・ADvocate1試験において、主要アウトカムを達成した患者の割合は、lebrikizumab群(283例)が43.1%、プラセボ群(141例)が12.7%であり、有意差が認められた(p<0.001)。EASI-75達成率はそれぞれ58.8%、16.2%であり、有意差が認められた(p<0.001)。・ADvocate2試験において、主要アウトカムを達成した患者の割合は、lebrikizumab群(281例)が33.2%、プラセボ群(146例)が10.8%であり、有意差が認められた(p<0.001)。EASI-75達成率はそれぞれ52.1%、18.1%であり、有意差が認められた(p<0.001)。・そう痒およびそう痒による睡眠障害の評価結果は、lebrikizumab治療による改善を示唆するものであった。・結膜炎の発生率が、プラセボ群(ADvocate1試験:2.8%、ADvocate2試験:2.1%)よりlebrikizumab群(それぞれ7.4%、7.5%)で高率であった。・導入療法期間中にみられた有害事象のほとんどは軽度または中等度で、試験中止に至ったものはなかった。

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コロナ5類化、もう不要だと思う感染対策は?/医師1,000人アンケート

 5月8日より、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行となり、今後の感染対策は個人の判断に委ねられるものが増える。今後も必要、または、もう不要だと思う感染対策、5類移行に伴い懸念していること、新型コロナが収束したと思える状況などについて、会員医師1,000人を対象に『新型コロナ5類移行に伴う感染対策、まだ必要・やめてもよいと思うものアンケート』を4月10日に実施した。なお、本アンケートは、東京iCDC(東京感染症対策センター)リスコミチームによって実施された都民アンケート調査1)を参考に作成した。5類移行に伴いマスク着用は18%減少 「Q. プライベートでの新型コロナの感染対策について」という設問では、4月現在行っているものと、5類移行後も必要だと思う一般的な感染対策11項目についてそれぞれ聞いた。現時点で最も多かったのは「マスクの着用」(83%)、続いて「こまめに手を洗う」(76%)であった。一方、5類移行後については、「マスクの着用」が必要だと考える人の割合が18%減少して65%となり、「こまめに手を洗う」(72%)ことが必要だと考える人の割合と順位が逆転した。 年代別の結果では、ほとんどの項目で50歳未満よりも50代、60代以上と、年代が上がるにつれて一般的な感染対策が必要と考える人の割合が多くなっていた。とくに5類移行後のマスク着用について、50歳未満は60%弱であったが、50代は71%、60代以上は76%と、10%以上の差がみられた。もう不要な感染対策、1位はハンドドライヤーの禁止、2位はアクリル板 「Q. もうやめたほうがよいと思う感染対策は?」という設問では、とくにコロナ禍になって顕著に行われるようになった、飲食店などでのアクリル板やビニールの仕切りの設置、黙食、トイレのハンドドライヤー使用禁止、病院での面会禁止などの15項目の感染対策について聞いた。約半数の人が不要と思う感染対策としては、「トイレのハンドドライヤー使用禁止」(55%)、「飲食店などでのアクリル板などの設置」(51%)、「学校での授業中のマスク着用」(47%)、「黙食」(47%)であった。 この設問での年代別の傾向として、40歳未満よりも40代以上のほうが、項目に挙げた感染対策についてもう不要だと考える人の割合が全体的に多かった。また、病床数別の傾向では、0~19床の診療所では、「黙食」(53%)、「病院の面会の禁止」(47%)となり、20床以上の病院よりも10%ほど高くなっており、医療機関の規模により不要だと思う感染対策の傾向に若干の違いがみられた。 ちなみに、本アンケートの参考とした東京iCDCリスコミチームによる同様の項目についてのアンケート結果では、もうやめたほうがよい感染対策の上位は、多い順に「卒業式、入学式のマスク着用」(38.6%)、「授業中のマスク着用」(36.9%)、「黙食」(35.6%)といった学生に関わるものとなっており、続いて「トイレのハンドドライヤー使用禁止」(29.7%)、「飲食店などでのアクリル板などの設置」(29.1%)となっている。都民の結果と比べると、医師のほうが不要だと思う感染対策をやめることについてより積極的であった。半数が感染の再拡大を不安視、5類化により人々の意識が衝突か 「Q. 新型コロナが収束したと思える状況」については、全体の3分の1が「インフルエンザと同じような感覚で捉えられるようになったら」(33%)と答えている。続いて、「感染しても普通のことと思えるようになったら」(22%)、「治療薬が普及したら」(13%)の順に多かった。 今後の新型コロナについて、全体の半数の医師が「感染が再び拡大する不安がある」(51%)としている。また、新型コロナの5類への移行に伴い懸念していることとして、具体的に以下のような意見が挙げられた。<感染の再拡大>・さまざまな行事もコロナ以前の形式で再開して、ゴールデンウィークで人流が激しくなり、ちょうど5類になったところでコロナ患者がどっと増えると思う。(外科・50代)・基礎疾患のある人や高齢者の感染が増加して重症化しないか心配。(臨床研修医・20代)・後遺症を伴う人の増加や、バランスの取れない疾患対策。(精神科・40代)<病院の体制>・医療施設側がゼロコロナ対応を続ける限り、医療逼迫の問題はなくならない。(救急科・60代)<受診控え>・治療費が自己負担になることで未治療の感染者が増え、感染拡大につながる懸念がある。(精神科・50代)<人々の意識>・コロナに対する考えの違いによりトラブルが生じる可能性がある。(形成外科・30代)<情報の把握>・死亡者数、感染者数のリアルタイムでの報道がされなくなり、感染対策、予防が過小評価されることが懸念される。(総合診療科・30代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。コロナ感染対策、もう不要と思うものは?/医師1,000人アンケート

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輸血ドナーの性別、レシピエントの死亡率には影響せず/NEJM

 血液ドナーの特性が輸血レシピエントのアウトカムに影響を及ぼす可能性を示唆する観察研究のエビデンスが増えているという。カナダ・モントリオール大学のMichael Chasse氏らは「iTADS試験」において、女性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者と男性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者で、生存率に有意差はないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌2023年4月13日号で報告された。カナダの二重盲検無作為化試験 iTADS試験は、カナダの3施設が参加した二重盲検無作為化試験であり、2018年9月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた(カナダ保健研究機構の助成を受けた)。 赤血球輸血を受ける患者が、男性ドナーの赤血球を輸血する群、または女性ドナーの赤血球を輸血する群に無作為に割り付けられた。無作為化は、血液供給業者による過去の配分とマッチさせるため、60対40(男性ドナー群対女性ドナー群)の割合で行われた。 主要アウトカムは生存(無作為化の日から死亡または追跡期間終了の日まで)であり、男性ドナー群が参照群とされた。 8,719例が登録され、輸血前に男性ドナー群に5,190例が、女性ドナー群に3,529例が割り付けられた。ベースラインの全体の平均(±SD)年齢は66.8±16.4歳、女性が50.7%であった。入院患者が79.9%、外来患者が11.3%、救急患者が6.9%であり、入院患者のうち外科治療が42.2%、集中治療が39.7%を占めた。MRSA感染リスクは女性ドナー群で高い ベースラインの輸血前ヘモグロビン値は79.5±19.7g/Lであった。女性ドナー群の患者は平均5.4±10.5単位の赤血球の投与を受け、男性ドナー群の患者は平均5.1±8.9単位の投与を受けた(群間差:0.3単位、95%信頼区間[CI]:-0.1~0.7)。 平均追跡期間11.2ヵ月の時点で、女性ドナー群の1,141例、男性ドナー群の1,712例が死亡した。生存率は女性ドナー群が58.0%、男性ドナー群が56.1%で、死亡の補正後ハザード比(HR)は0.98(95%CI:0.91~1.06)であり、両群間に有意な差は認められなかった(p=0.43[log-rank検定])。 30日、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年時の生存率にも、両群間に有意差はみられなかった。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染の発生率は、男性ドナー群よりも女性ドナー群で高かった(HR:2.00、95%CI:1.15~3.46)。入院患者における平均入院日数は、女性ドナー群が21.0±26.6日、男性ドナー群は20.8±27.3日だった(群間差:0.2日、95%CI:-1.1~1.5)。 著者は、「サブグループ解析では、男性ドナー群の男性患者に比べ女性ドナー群の男性患者で死亡リスクが低く(HR:0.90、95%CI:0.81~0.99)、20~29.9歳のドナーから輸血を受けた患者においては男性ドナー群に比べ女性ドナー群の患者で死亡リスクが高かった(HR:2.93、95%CI:1.30~6.64)が、これらの知見は偶然によるものと考えられる」としている。

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過去のSARS-CoV-2感染に伴う再感染に対する防御効果:系統的レビューとメタアナリシス(解説:寺田教彦氏)

 本研究は、2022年9月31日まで(原文ママ)に報告されたプレプリントを含む、後ろ向きコホート研究、前向きコホート研究および検査陰性症例対照研究の中で、SARS-CoV-2罹患歴の有無によるCOVID-19感染のリスクを比較した研究を特定し、システマティックレビューおよびメタ解析を行っている。 結果の要約は、「コロナ感染による免疫、変異株ごとの効果は~メタ解析/Lancet」で紹介されているが、簡潔に研究結果をまとめると、「再感染や症候性再感染は、初期株、アルファ株、ベータ株、デルタ株に対しては高い予防効果を示したが、オミクロンBA.1株では再感染や症候性再感染の予防効果が低かった。ただし、重症化予防効果については、既感染1年後までアルファ株、ベータ株、デルタ株、オミクロンBA.1株のいずれも維持していた」と筆者は論じている。 現在、SARS-CoV-2の主流株は世界でも本邦でも、オミクロン株であり、COVID-19患者が増加した際の対策を考える場合は、オミクロン株を対象に想定するべきであろう。 さて、医療現場の感覚としても、本研究結果のとおり、オミクロン株では、COVID-19に罹患してから数ヵ月で再感染するケースが増えたことを実感しているのではないだろうか。また、オミクロン株の1年以内の再感染患者で、高齢者などの余力が乏しい患者やワクチン未接種のリスク患者でなければ、重症化することがほとんどなくなったことも感覚と合致するのではないだろうか。 今後のCOVID-19再流行に備える場合に、本研究を参考にすることができる事項として、(1)新型コロナワクチンの追加接種タイミング、(2)抗ウイルス薬の投与判断、(3)病院や高齢者施設における感染対策があると考える。 1つ目の、新型コロナワクチンの接種タイミングについて考える。 直近の本邦における、COVID-19に対するワクチン接種は、「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論を踏まえた方針」を参考にすると、高齢者(65歳以上)、基礎疾患を有する者(5~64歳)、医療従事者・介護従事者等(5~64歳)を対象に5~8月以降の追加接種が議論されている(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001069231.pdf)。WHOの方針では、高優先集団である高齢者や高度な免疫不全のある若年者や医療従事者では4回目以降の追加ブースターは12ヵ月おき、超高齢者や重症化リスクのある高齢者、月齢6ヵ月以上の小児と中等度以上の免疫不全を伴う成人では6ヵ月おきでの定期接種を推奨している(WHO SAGE Roadmap for prioritizing uses of COVID-19 vaccines.https://www.who.int/publications/i/item/WHO-2019-nCoV-Vaccines-SAGE-Roadmap,(参照2023-04-02).)。 新型コロナウイルスワクチンの効果は、感染予防効果や発症予防効果もあるが、オミクロン株流行以降はこれらに対するワクチンの効果も時間経過とともに低下し、重症化予防効果を期待して接種する面も大きいように思われる。本研究の結果を参考にすると、オミクロン株流行下におけるCOVID-19罹患後は、再感染時の重症化リスクは低下していると考えられる。本論文の筆者も指摘しているように、ワクチンのメリットと副反応のデメリットを勘案のうえ、COVID-19に罹患した場合、その患者のリスクの程度によってはワクチン接種をするタイミングを遅らせるという選択肢もでてくるのではないかと考える。 次に2つ目の抗ウイルス薬治療対象の判断について考える。 NIHガイドラインでは、軽症から中等症Iで治療薬の使用を優先させるべきリスク集団として3つの優先度を設けている(Prioritization of Anti-SARS-CoV-2 Therapies for the Treatment and Prevention of COVID-19 When There Are Logistical or Supply Constraints. https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/overview/prioritization-of-therapeutics/ Last Updated: December 1, 2022, (参照2023-04-02).)。このガイドラインでは、ワクチン接種の有無はリスク評価に用いられているが、COVID-19罹患歴はリスク評価に用いられていない。抗ウイルス薬のニルマトレルビル/リトナビルやモルヌピラビルは、重症化予防効果を期待して投与されているが、本研究を参考にすると、COVID-19罹患後は、1年近く重症化予防効果が低下することを期待できる。抗ウイルス薬の投与目的が、重症化予防効果である場合は、過去の感染歴の有無も抗ウイルス薬投与の判断時に参考としてよいかもしれない。 さて、上記の2つについては重症化リスク軽減の観点のみから議論を展開したが、COVID-19がインフルエンザなどの他のウイルス感染症と異なる点として後遺症や自己免疫疾患のリスク増加(Chang R, et al. EClinicalMedicine. 2023;56:101783.)といった問題がある。後遺症に関しては、オミクロン株になり、デルタ株より頻度は低下したものの(Antonelli M, et al. Lancet. 2022;399:2263-2264.)、生活に影響を与える後遺症のために通院を要する患者もいる。COVID-19後遺症は、ワクチンや(Tsampasian V, et al. JAMA Intern Med. 2023 Mar 23. [Epub ahead of print])、抗ウイルス薬(Suran M. JAMA. 2022;328:2386.)(Xie Y, et al. JAMA Intern Med. 2023 Mar 23. [Epub ahead of print])の効果も報告されている。現時点では、COVID-19罹患後後遺症を主目的にワクチン接種や抗ウイルス薬の投与はされていないと思うが、今後、COVID-19罹患後後遺症や免疫異常のハイリスク患者グループが特定され、ワクチンや抗ウイルス薬に伴う明らかなメリットが判明したり、薬剤の費用が安価になったりする場合は、重症化予防効果以外の目的で投与されることがあるかもしれない。 最後に、病院や高齢者施設における感染対策について考える。 かつては、COVID-19感染後、3ヵ月間は再感染しないと考えられていた時期があった。しかし、プレプリントではあるが、デンマークのグループから、オミクロン株であるBA.1やBA.2では1ヵ月以内でも再感染を起こしうることが報告された(Stegger M, et al. medRxiv. 2022 Feb 22.)。同時期頃から本邦でも、短期間で再燃を来す患者の診療をする機会がみられるようになったように感じている。PCR検査は、COVID-19の診断に有用な検査ではあるが、一度罹患すると、高齢者や幼児、細胞性免疫が低下している患者で、陰性化にしばらく時間がかかることがある。かつてのように、原則90日間は再感染しないと考えることができた場合は、罹患後90日以内の発熱、感冒様症状はCOVID-19以外を考えることができたが、短期間で再感染すると考える場合は、PCR検査だけではなく、患者の症状や行動歴、COVID-19接触歴などを把握し、他の鑑別疾患も考慮しながら総合的に判断する必要がでてくる。 今後、オミクロン株の再流行がみられた際には、2~3ヵ月以内に感染を起こしたからといって、安易にCOVID-19の再感染ではないだろうと考えるのは、病院や高齢者施設の感染管理としては避けたほうがよいだろう。 さて、本邦の第8波も落ち着いてきたが、今後はXBB.1.5を含めたXBB系統などの株が流行する可能性もあるだろう(CLEAR!ジャーナル四天王-1648「2022年11月以降の中国・北京における新型コロナウイルス流行株の特徴」)。米国(Vogel L. CMAJ. 2023;195:E127-E128.)やシンガポール(Ministry of Health,Shingapore. UPDATE ON COVID-19 SITUATION AND MEASURES TO PROTECT HEALTHCARE CAPACITY. 15 OCTOBER 2022.)でXBB.1.5が流行したころのデータからは、重症化リスクに大きな変化はなさそうだが、再感染を起こしやすい株であることが想定される。新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株となって、重症化リスクは低下したとはいえ、感染力はインフルエンザなどの呼吸器感染症よりも強く、また高齢者、免疫不全者を含めたハイリスク患者ではいまだに重症化しうる感染症であることも考えると、医療機関では、新型コロナウイルス感染症が院内で流行することがないよう、適切な感染対策を継続する必要がある。

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薄味なアメリカンコーヒーと、内容が濃いNEJMのCPCを楽しむ【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第59回

第59回 薄味なアメリカンコーヒーと、内容が濃いNEJMのCPCを楽しむ米国には魅力的な都市がたくさんあり、それぞれ個性を発揮しています。政治の中心がワシントンD.C.、ビジネスの中心がニューヨークです。その中でも、自分が一番好きな都市はボストンです。米国北東部に位置する6つの州をニューイングランド地方と呼び、その中のマサチューセッツ州の州都がボストンです。ボストンと京都市は、歴史的な古都としての位置付けが似ていることから姉妹都市です。両都市には大学の街・学問の街としての共通点があります。ボストン大学のほか、郊外にハーバード大学、マサチュ-セッツ工科大学などの名門大学を擁しています。ボストン大学は1839年に設立されたボストンでも最大規模の私立大学で、留学生が多い大学として知られます。マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)は、1865年創立の世界トップクラスの工科大学です。MITの近代的な建築の校舎群の中を散策したことがありますが、有名な芸術家のオブジェも多く配置され、キャンパス歩きが美術館巡りのように楽しめます。何と言っても有名なのがハーバード大学です。1636年に設立されたアイビーリーグ大学です。多くのノーベル賞受賞者や著名人を輩出している、世界大学ランキングの上位が定席の名門校です。ここもキャンパスを散策するとアカデミックな雰囲気に浸ることができます。医学領域でも、ハーバード大学医学部は世界に君臨しています。ハーバード大学附属病院という名称の病院はありません。複数の病院が連携してハーバード大学附属病院群として役割を担っています。その中でも、もっとも有名なのがマサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital: MGH)です。MGHは、世界中の医学生に最も有名な病院です。日本の医学生もMGHという名前を知っていると思います。医学誌の最高峰といわれるThe New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されているCase Records of the Massachusetts General Hospitalの抄読会が、医学生の共通の学習手段となっているからです。NEJM誌は、ハーバード大学医学部の医師たちが中心となり1812年に創刊された、世界で最も権威ある週刊の総合医学雑誌です。Journal Citation Reportsが公開するインパクトファクターにおいて、NEJM誌は176.079(2022年6月28日発表)ときわめて高い水準です。日本では江戸時代後期にあたる時代に米国で創刊された医学雑誌が、200年を超えて発行され、今も世界で最も権威ある医学雑誌であり続けていることに敬意を表します。病院において残念ながら患者さんが亡くなられた場合には病理解剖をお願いします。病理解剖とは、病気のために亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を直接観察して詳しい医学的検討を行うことです。病理解剖をさせていただいた場合には、その後に病院の中でCPCと呼ばれる会が開かれます。CPCはclinico-pathological conferenceの略語で、臨床病理検討会とも訳されます。病理解剖で得られた所見から、精度の高い病理診断ができ、死因を正しく解明することができます。患者さんの経過を振り返り医者同士で批判的に検討し合うのです。その患者さんに関わった医者だけでなく、関与しなかった他科の医者も加わります。もっと良い治療法がなかったのか、この患者さんが死に至ることは本当に避けられなかったことなのかを検証するために白熱した議論がなされます。CPCが定期的に開催されていることは、その病院の医療レベルを推し量る一つの材料とされます。NEJM誌の中でも不動の人気コンテンツが、1924年から連載開始になったCase Records of the Massachusetts General Hospitalです。具体的には、MGHで開催されているCPCを提示したもので、一流医師が診断に難渋した症例でどのように診断を進めたのか、その思考過程を学ぶことができます。このコンテンツに触れることで、医学的知識が豊富になるだけでなく、日常臨床における論理的思考法を身に付ける上で役に立ちます。国内外の大学や病院において、医学生の勉強会・論文抄読会の教材として活用されており、多くの医師の支持を得ています。ぜひともNEJM誌を手に取り、このMGHのCPCに眼を通していただくようお願いします。このコンテンツのタイトル部分には、古い建築物のイラストが描かれています。これはMGHの創立時から現存する建物のブルフィンチ棟で、その最上階がエーテル・ドームと呼ばれ、1846年に世界最初のエーテル麻酔を行った場所です。今もこの講堂でCPCが開催されているそうです。NEJM誌の「Case Records of the Massachusetts General Hospital」のタイトル部分に描かれているMGHブルフィンチ棟のイラスト(左)と、現在のブルフィンチ棟(右)英文雑誌の抄読会は、継続して参加することが大切で、そこには大きなエネルギーが必要です。ここで紹介した、NEJM誌やMGHのウンチクを知っていると少しは楽しく感じるようになるかもしれません。さらに追加でウンチクを紹介します。ボストンで起きた大事件が1773年のボストン茶会事件です。東インド会社に紅茶の専売権を与える茶法に反対して、ボストン港で東インド会社の茶葉を海中投棄したことから起こった反英闘争で、アメリカ独立戦争のきっかけです。英国の植民地だったことから、アメリカ人にとって紅茶はとても馴染み深い嗜好品でした。ボストン茶会事件などを契機に不買運動が広がり、紅茶の代わりにコーヒーが普及するようになったのです。その一方で、紅茶への愛着も強いものがありました。コーヒーを薄味にして、ミルクや砂糖を加えるなど、紅茶の味に似せようとした工夫が現在につながるアメリカンコーヒーの誕生秘話だそうです。NEJM誌の内容は非常に濃いのですが、薄味なアメリカンコーヒーの原点がボストンにあるのは不思議です。

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コロナ後の情報提供、MRの役割はどう変わる?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第109回

今や医療や調剤に関する情報収集は主にインターネットを用いるようになりました。医療用医薬品の添付文書は原則として製品への同梱が廃止されてPMDAのホームページで最新版を確認するようになり、勉強会もオンラインになりました。以前はMRさん主催の勉強会でお弁当を食べながら製品紹介を受ける、というのが薬局全体の底上げに一役買っていましたが、コロナ禍になってMRさんの訪問が規制されてほぼなくなりました。変わり続ける医療業界において、MRさんの役割も激変しそうです。MR認定センターと日本製薬工業協会が、「MRの果たすべき役割」をまとめた同名の冊子の改訂に向けて、月内に検討を開始する。製薬協が内部で検討し、1997年に初めて公表した冊子は、現在は認定センターが継承・発行しており、2017年の現行版を最後に改訂されていない。今回、MRを取り巻く現状などを確認しながらその中身について検討する。まとまった内容は26年度スタートの新たなMR認定試験制度で活用する見通し。関係者は25年2月の公表を視野に、8年ぶりの改訂へ取り組みを進める。(2023年4月17日付 日刊薬業)コロナ禍になり、製薬会社からの情報提供が急速にインターネット中心に移行しました。また、情報提供の内容も良くも悪くも規制が強化されたり、販売促進とは異なる中立的な立場のメディカルアフェアーズ(MA)が活躍したりするなど、MRさんの役割や業務が大きく変わりました。つい最近、「私はWeb担当のMRなんです」という方が現れてビックリしました。私が薬剤師になった約20年前は、4年制卒の薬剤師が大手製薬企業へ就職する場合の職種はMRがほとんどでした。2023年度においては、MR職を最も多く採用した会社でも30人未満で、一時期よりもずいぶん減少しました。新卒のMR採用を一切しないという判断をしている一部の外資系大手製薬企業もあるようです。MR認定試験は製薬会社以外の人にも門戸が開かれていますが普及しておらず、製薬会社がMRを採用しないとMRは減る一方でしょう。製薬会社自体がMRを経由しない情報提供を推進しようとしていると考えられます。冒頭の記事には「MRを取り巻く現状などを確認しながらその中身について検討する」とあり、MR認定センターと製薬団体が協力し合って何か新しい役割を提唱していくのでしょうか。オンラインの勉強会や情報収集だけだと薬局のスタッフの底上げが難しいと感じますので、医療機関や薬局への訪問や情報提供がどのように変わっていくのかとても興味があります。しかし、今からその議論を開始して、そのスタートは2026年とのこと。そのスピード感は大丈夫なのか…と少し不安にもなります。

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がん治療を続けるための悪液質治療 シリーズがん悪液質(10)【Oncologyインタビュー】第44回

出演:北海道大学病院 腫瘍センター化学療法部 CancerBoard部 小松 嘉人氏がん悪液質イコール終末期、不可逆的。このイメージが変わったと北海道大学の小松 嘉人氏は言う。変わった理由は何だったのか。また、がん治療を継続するために、がん悪液質を治療するという、同氏の考え方について解説いただいた。

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英語で「治療方針には影響しません」は?【1分★医療英語】第77回

第77回 英語で「治療方針には影響しません」は?What do you think about sending more tests to rule out Disease A, B, and C?(検査を追加して、疾患A、B、Cなどを除外してはいかがでしょうか?)We could do it, but its results will not change our management. So, I cannot agree with that idea.(そうすることはできるけど、その結果は治療方針には影響しないから、その考えに同意はできません)《例文1》Don't worry, your positive COVID test will not change our management of your cancer.(心配しないで、あなたが新型コロナ陽性であることは、あなたのがんの治療方針には影響しません)《例文2》Let's not consult ID team for now. Screening of that infection will not directly affect our current management.(感染症科へのコンサルトはまだ控えましょう。その感染症をスクリーニングすることは、現在の治療方針に直接的には影響しませんから)《解説》日本でも同様だと思いますが、医療費が高額な米国では、日本以上に患者の経済負担軽減に意識的になることが重要です。また、一つひとつの検査の意義を事前に十分に把握していることは、良医の条件でもあると思います。“it will not change our management”は医師同士、時には医師と患者さんとの会話でも頻用される表現です。医学生や研修医、もしくは患者さんから、必要のない検査を提案されたときに、この返答が有効になることが多くあります。この言葉の後に、検査結果が陽性の場合、陰性の場合で、具体的にどのような状況になるのか、補足説明するのもよいでしょう。逆に、一見関係がなさそうに見える検査でも、“this test result can change our management”(検査結果で、治療方針が変わります)と、自信を持って意見を述べることで、周囲に検査の重要性を認識してもらうことができるでしょう。講師紹介

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第160回 アミノ酸服用がコロナ疲労に有効

たかがアミノ酸、されどアミノ酸。6種類のアミノ酸とその誘導体を成分とする経口薬の新型コロナウイルス感染症罹患後症状(以下、コロナ後遺症)改善効果が被験者41例の無作為化試験で示唆されました1)。コロナ後遺症は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染からずいぶん経つにもかかわらず疲労などの不調が続くことを特徴とし、いくつか示唆されている原因にはミトコンドリア機能低下や細胞のエネルギー生成障害が含まれます。SARS-CoV-2は自身の複製のためにミトコンドリアを乗っ取り、そのせいで代謝がより不効率な解糖系に切り替わってしまって慢性の疲労が現れると考えられています。その仮説に一致し、アミノ酸などを原料とするエネルギー生成障害がコロナ後遺症によく似た病態である慢性疲労症候群(CFS)の患者に生じることが知られています。今回紹介する試験で検討されたのは米国のバイオテクノロジー企業であるAxcella Therapeutics社がAXA1125という名称で開発している経口薬で、アミノ酸5つ(ロイシン、イソロイシン、バリン、アルギニン、グルタミン)とアミノ酸誘導体1つ(N-アセチルシステイン)を成分とします。AXA1125はより燃費のよいエネルギー生成反応である酸化的リン酸化の原料を生み出すβ酸化を促し、ミトコンドリア機能を改善します。試験には疲労を主徴とするコロナ後遺症患者41例が参加し、AXA1125を1日2回4週間服用する群とプラセボ群におよそ均等に振り分けられました。試験の一番の目的であったミトコンドリア機能指標の変化はAXA1125とプラセボで差がありませんでしたが、CFQ-11検査に基づく疲労の程度がプラセボに比べてAXA1125投与群のほうがより改善しました。CFQ-11検査は11の質問によって疲労の程度を見積もります。11の質問のうち7つは肉体的疲労、残り4つは精神的疲労を調べるものです。それぞれの質問への回答は0~3の4択で、患者は無症状なら0、最も重症なら3を選びます。すなわちCFQ-11合計点数の幅は0~33点で、点数が大きいほど深刻であり、24点以上は中等症~重症と判定されます。AXA1125投与群のCFQ-11合計点数の平均は投与開始前は中等症~重症域の26.2点でしたが、4週間の投与後にはその水準を脱して21.0点に落ち着きました。一方、プラセボ投与群ではほとんど変化がなく中等症~重症の水準のままでした。AXA1125投与のかいあって肉体的疲労が改善した患者ではミトコンドリア機能や6分間歩行距離(6MWD)の改善も認められました。プラセボ群ではそのような関連はありませんでした。Axcella社はより大人数を募る第IIb/III相試験の準備を進めており、本年2月にはその試験の開始が米国FDAに許可されています2)。となればすぐに始めたいところですが、いかんせん懐具合が寂しく、さらなる開発には救いの手や提携が必要との苦しい胸の内を同社が最近明かしています3)。資金難を乗り越えてAXA1125の開発が前進することは今回の試験を担った英国・オックスフォード大学のチームも望んでおり、コロナ後遺症に広く有効なことがさらなる試験で判明することを期待しています4)。 参考1)Finnigan LEM, et al. eClinicalMedicine. April 14, 2023. [Epub ahead of print] 2)Axcella Announces FDA IND Clearance Supporting Regulatory Path to Registration of AXA1125 for Long COVID Fatigue / BusinessWire3)Axcella seeks 'light speed' swing at long Covid, but needs cash / Endpoints4)Trial investigating potential treatment for fatigue relief in people with long COVID reports results / University of Oxford

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間質性肺疾患の緩和ケア、日本の呼吸器専門医の現状を調査

 間質性肺疾患(ILD)は症状が重く、予後不良の進行性の経過を示すことがある。そのため、ILD患者のQOLを維持するためには、最適な緩和ケアが必要であるが、ILDの緩和ケアに関する全国調査はほとんど行われていない。そこで、びまん性肺疾患に関する調査研究班は、日本呼吸器学会が認定する呼吸器専門医を対象とした調査を実施した。その結果、呼吸器専門医はILD患者に対する緩和ケアの提供に困難を感じていることが明らかになった。本研究結果は、浜松医科大学の藤澤 朋幸氏らによってRespirology誌オンライン版2023年3月22日号で報告された。 日本呼吸器学会が認定する呼吸器専門医のうち、約半数に当たる3,423人を無作為に抽出し、ILDの緩和ケアの現状に関するアンケートを郵送した。アンケートは、「緩和ケアの現状や実施状況(5項目、27問)」「終末期のコミュニケーションの最適なタイミングと実際のタイミング(2問)」「緩和ケアに関するILDと肺がんの比較(6問)」「ILDの緩和ケアにおける障壁(31問)」で構成された。解析はアンケートに回答した医師のうち、過去1年以内にILD患者を診療した医師を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・1,332人(回答率38.9%)がアンケートに回答し、そのうち、1,023人が過去1年以内にILD患者を診療していた。・大多数の医師が「ILD患者はしばしば、あるいは常に呼吸困難や咳の症状を訴える」と回答したものの、「緩和ケアチームへ紹介したことがある」と回答した医師は25%にとどまった。・緩和ケアチームへ紹介したことのない医師のうち、48%は「緩和ケアチームを利用できる環境にあるが、紹介したことはない」と回答し、33%は「緩和ケアチームを利用できる環境がなかった」と回答した。・終末期のコミュニケーションについて、実際のタイミングは最適と考えるタイミングよりも遅れる傾向にあった。・ILDの緩和ケアは、症状の緩和や意思決定において肺がんと比較して困難であった。・ILD患者は肺がん患者と比較して、呼吸困難に対してオピオイドが処方される頻度が少なかった。・ILDの緩和ケアに特有の障壁として、「予後を予測できない」「呼吸困難に対する治療法が確立されていない」「心理的・社会的支援が不足している」「患者やその家族がILDの予後の悪さを受け入れるのが難しい」といった意見が挙げられた。

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