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コロナ重症化率と致死率、どの程度低下したのか/COVID-19対策アドバイザリーボード

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けについて議論が進んでいる。その判断には、病原性(重篤性)と感染力、それらによる国民への影響を考慮する必要があるが、病原性(重篤性)の参考となる重症化率と致死率について、12月21日に開催された新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで報告された。重症化率・致死率ともに昨年夏から大きく低下しており、病原性が低いとされるオミクロン株が流行株の主体となっていること、多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したことが要因と考えられている。 今回報告された重症化率と致死率は、石川県、茨城県、広島県のデータから、2021年7~10月(デルタ株流行期)、2022年1~8月(オミクロン株流行期)に診断された新型コロナウイルス感染者のうち死亡/重症化した割合と死亡した割合を算出している。参考データとしての季節性インフルエンザの重症化率と致死率は、レセプト情報・特定健診等情報データベースにおいて2017年9月~2020年8月までに診断または抗インフル薬を処方された患者のうち、28日以内に死亡または重症化した割合と死亡した割合を算出したもの。重症化の定義やデータソース、集計方法などが異なるため、比較する際には留意が必要である。■重症化率(60歳未満、60・70代、80歳以上の順)2021年7~10月:0.56% 、3.88%、10.21% 2022年1~2月:0.03%、1.22%、5.04%2022年3~4月:0.03%、0.79%、3.50%2022年5~6月:0.01%、0.34%、1.66%2022年7~8月:0.01%、0.26%、1.86%<参考>季節性インフルエンザ:0.03%、0.37%、2.17%■致死率(60歳未満、60・70代、80歳以上の順)2021年7~10月:0.08%、1.34%、7.92%2022年1~2月:0.01%、0.70%、4.57%2022年3~4月:0.01%、0.43%、3.12%2022年5~6月:0.00%、0.14%、1.53%2022年7~8月:0.00%、0.18%、1.69%<参考>季節性インフルエンザ:0.01%、0.19%、1.73%注)新型コロナウイルス感染症の数字は、療養および入院期間が終了した際のステータス、または期間終了日から30日以上経過した時点でのステータスに基づいて算出しているため、とくに致死率については過少である可能性がある。

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2022年を終えるにあたって【Dr. 中島の 新・徒然草】(457)

四百五十七の段 2022年を終えるにあたってついに2022年最後の「新・徒然草」になってしまいました。この1年、私にとって最大の出来事。それはWeb小説を書き始めたことです。思えば2020年10月のこと。日本脳神経外科学会第79回学術総会で「脳外科医として、モノ書きとして」という演題で発表をいたしました。その時に、座長の先生に「ぜひ、若い人たちに夢を与えるような脳外科の小説を書いてください」と言われたのです。以来、そのことはずっと頭の中に残っていました。そして、ついに今年の2月からWeb小説の執筆を始めたのです。サイトは「カクヨム」、ペンネームは「hekisei」。毎日1000字くらいずつ書いては投稿しております。が、正直なところ、毎日締め切りがあると苦しい!これまでに書いた量は約30万字、文庫本にして3冊分になりました。内容ですが、架空の脳神経外科医、「オレ」を主人公にした青少年向きのもの。還暦過ぎたジジイだと読者にガッカリされそうなので、「オレ」は40代半ばくらいの設定。もちろん、舞台もエピソードもすべて架空のものです。とはいえ、非医療従事者向けかつ毎日締め切りなので設定がガバガバ。ケアネットの「新・徒然草」の記事が細部まで何度も確認しているのとは対照的です。さて、「カクヨム」の中での私の位置付けですが、読者から評価された星がようやく200個を超えた程度。星の数が1万とか2万とかいう化け物のような小説がウヨウヨしている中では埋もれてしまっています。でも、そのくらいのほうが、戦い甲斐がありますね。読者の中で興味を持たれた方がおられたら、ぜひWeb小説も読んでみてください。我と思わん方は、書くほうにも挑戦してみてはいかがでしょうか。最後に1句追われたり 大晦日まで 締め切りに

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2022年の肺がん薬物療法の進歩を振り返る!【Oncology主要トピックス2022 肺がん編】【肺がんインタビュー】 第90回

1.ソトラシブの承認(CodeBreaK 100試験とCodeBreaK 200試験)KRAS遺伝子変異陽性は、EGFR遺伝子変異に次いで本邦では多い遺伝子変異である。このKRAS遺伝子変異のうち、KRAS G12C遺伝子変異陽性を対象としたソトラシブが2次療法以降での使用で日常臨床に導入された。ソトラシブの重要な試験としては、KRAS G12C遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(126例)を対象としたPhase II試験(CodeBreaK 100試験:Skoulidis F, et al. N Engl J Med. 2021;384:2371-2381.)において、奏効率37.1%、無増悪生存期間(PFS)中央値6.8ヵ月、全生存期間(OS)中央値12.5ヵ月であり、毒性も下痢・悪心・倦怠感・肝障害を認めるものの比較的軽度であった。また、ソトラシブとドセタキセルを比較したPhase III試験(CodeBreaK 200試験:Johnson ML, et al. ESMO 2022.)も報告され、PFS中央値はソトラシブ群が5.6ヵ月、ドセタキセル群が4.5ヵ月で、ハザード比(HR)は0.66(95%信頼区間[CI]:0.51~0.86)であった。奏効率はソトラシブ群が28.1%、ドセタキセル群が13.2%でp<0.001とソトラシブ群が有意に高かった。また、OS中央値はソトラシブ群が10.6ヵ月、ドセタキセル群が11.3ヵ月でHRは1.01(95%CI:0.77~1.33)で有意差は認めなかった(クロスオーバー率26.4%)。2.術前化学療法:ニボルマブ・プラチナ併用療法(CheckMate-816試験)本年度のトピックは周術期治療が中心であったと思われるが、切除可能非小細胞肺がん(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)に対するニボルマブ・プラチナ併用療法(3週間ごとに3サイクル)のネオアジュバント療法については、CheckMate-816試験(Forde PM, et al. N Engl J Med. 2022;386:1973-1985.)が報告されている。この試験は、ニボルマブ・プラチナ併用療法とプラチナ併用療法の術前化学療法を比較するPhase III試験で行われ、中間解析におけるイベントフリー生存期間(EFS)中央値は、ニボルマブ・プラチナ併用療法群で31.6ヵ月、プラチナ併用療法群では20.8ヵ月で、ニボルマブ・プラチナ併用療法群で有意に改善した(HR:0.63、97.38%CI:0.43〜0.91、p=0.005)。また、病理学的complete response(pCR)はニボルマブ・プラチナ併用療法群の24%に対し、プラチナ併用療法群は2.2%であった(p<0.0001)。OSのHRは0.57(99.67%CI:0.3〜1.07)とニボルマブ・プラチナ併用療法群で良好だが統計学的有意差は示しておらず、長期フォローアップの結果が待たれるところである。3.術後化学療法:アテゾリズマブ(IMPower010試験)完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)の非小細胞肺がん患者を対象とし、プラチナ併用療法による術後化学療法終了後のアテゾリズマブ療法(3週間ごと、1年投与)が日常臨床に導入された。術後化学療法アテゾリズマブの重要な試験として、完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)の非小細胞肺がん患者を対象とし、アテゾリズマブを支持療法と比較したPhase III試験(IMPower010試験:Felip E, et al. Lancet. 2021;398:1344-1357.)が報告された。その結果、PD-L1陽性のII-IIIA期(882例)における無再発生存期間(DFS)中央値は、アテゾリズマブ群で未到達、支持療法群で35.3ヵ月であり、HRは0.66(95%CI:0.50~0.88)と統計学的に有意に改善した。なお、DFSのHRは、PD-L1 50%以上では0.43(95%CI:0.27~0.68)と良好であったのに対して、PD-L1 1-49%では0.87(95%CI:0.6~1.26)であり、PD-L1の発現で効果が異なる傾向が示された。さらに、先日のWCLC 2022(Felip E, et al. WCLC 2022.)では、フォローアップ期間延長の結果が示され、36ヵ月時点での生存率はそれぞれ82.1%と78.9%であった(HR:0.71、95%CI:0.49~1.03)。4.術後化学療法:オシメルチニブ(ADAURA試験)完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)に対するEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象とし、3年間のオシメルチニブ療法(1日80mg[1錠])が日常臨床に導入された。術後化学療法オシメルチニブの重要な試験として、完全切除されたIB-IIIA期(TMS分類第7版)に対するEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象とし、オシメルチニブをプラセボと比較したPhase III試験(ADAURA試験:Wu YL, et al. N Engl J Med. 2020;383:1711-1723.)(682例)が報告され、EGFR遺伝子変異陽性のII-IIIA期における24ヵ月時点での無再発生存率は、オシメルチニブ群で90%、プラセボ群で44%、HRは0.17(99.06%CI:0.11~0.26)と統計学的に有意に大きく改善した。なお、EGFR遺伝子変異陽性のIB-IIIA期における24ヵ月時点での無再発生存率は、オシメルチニブ群で89%、プラセボ群で52%であり、HRは0.20(99.12%CI:0.14~0.30)で、統計学的に有意に改善した。さらに、先日のESMO 2022(Tsuboi M, et al. ESMO 2022.)では、フォローアップ期間延長の結果が示され、Stage II/IIIAのDFS中央値は、オシメルチニブ群65.8ヵ月、プラセボ群21.9ヵ月で、HRは0.23(95%CI:0.18〜0.30)であった。また、Stage IB-IIIAのDFS中央値はオシメルチニブ群65.8ヵ月、プラセボ群28.1ヵ月で、HRは0.27(95%CI:0.21〜0.34)であった。5.外科の切除 肺葉切除vs.肺区域切除2cm以内の小細胞はいがんにおける肺区域切除と肺葉切除を比較したPhase III試験(JCOG0802/WJOG4607L: Saji H, et al. Lancet 2022:399:1607-1617.)が報告された。登録患者は、無作為割り付けの後、肺葉切除術(554例)または肺区域切除術(552例)(肺区域切除術群では、22例が肺葉切除に変更)が施行されている。5年全生存率は肺区域切除術群で94.3%、肺葉切除術群で91.1%であり、HRは0.663(95%CI:0.474~0.927、非劣性p<0.0001、優位性p=0.0082)と肺区域切除術群が統計学的に有意に良好であった。また、5年無再発生存率は肺区域切除術群で88.0%、肺葉切除術群で87.9%であり、HRは0.998(95%CI:0.753~1.323、p=0.9889)であった。局所再発率は肺区域切除術群で10.5%、肺葉切除術群で5.4%(p=0.0018)であり、肺区域切除術群で高いものの、術後呼吸機能低下については肺区域切除術群のほうが肺葉切除術群より有意に軽いことが報告され、条件がそろった場合の縮小手術の有用性が証明された。6.HER2陽性非小細胞肺がんのトラスツズマブ デルクステカン(ADC)トラスツズマブ デルクステカンは、抗体にトラスツズマブ、薬物がデルクステカンで構成されている。HER2陽性非小細胞肺がんにおけるトラスツズマブ デルクステカンの有効性と安全性を確認したPhase II試験(DESTINY-Lung01試験:Li BT, et al. N Engl J Med. 2022;386:241-251.)が報告された。非小細胞肺がんでは初となる免疫薬物複合体(ADC)の有効性を示した報告である。91例の患者が参加しており、奏効率55%(95%CI:44~65)で、病勢コントロール率は92%(95%CI:85~97)であった。また、治療奏効期間は9.3ヵ月(95%CI:5.7~14.7)、PFS中央値は8.2ヵ月(95%CI:6.0~11.9)、OS中央値は17.8ヵ月(95%CI:13.8~22.1)であった。主な毒性は血液毒性であったが、死亡例も含む肺障害も報告されている。今後、日常臨床への導入が進むと思われるが、毒性にも注意を払う必要があるといえる。7.ICI+Chemo、ICI+ICIの5年生存の発表PD-L1 50%以上のペムブロリズマブの5年生存率が31.9%と報告(Reck M, et al. J Clin Oncol. 2021;39:2339-2349.)され、ドライバー遺伝子変異陰性非小細胞肺がんでも長期生存の期待が高まってきている中、今年はESMO 2022において、扁平上皮がんのPhase III試験であるKEYNOTE-407試験の5年生存率(Nivello S, et al. ESMO2022.)と非扁平上皮がんのPhase III試験であるKEYNOTE-189試験の5年生存率(Garassino MC, et al. ESMO2022.)が報告された。5年生存率は、PD-L1の発現に関わらない全体集団において、KEYNOTE-407試験ではペムブロリズマブ・プラチナ併用療法群で18.4%、KEYNOTE-189試験ではペムブロリズマブ・プラチナ併用療法群で19.4%であった。さらにPD-L1 50%以上、PD-L1 1-49%、PD-L1陰性におけるペムブロリズマブ・プラチナ併用療法群の5年生存率は、KEYNOTE-407試験では、それぞれ23.3%、20.6%、10.7%であり、KEYNOTE-189試験では、それぞれ29.6%、19.8%、9.6%であった。プラチナ併用療法は短期の病勢増悪を防ぐという意味では重要であるが、長期生存への寄与という点では十分でないのかもしれない結果であった。また、同時期にニボルマブ+イピリムマブ療法の5年生存の結果も報告された(Brahmer JR, et al. J Clin Oncol. 2022 Oct 12. [Epub ahead of print])。同試験ではPD-L1陽性の5年生存率は24%であり、その中でもPD-L1 50%以上の5年生存率は32%、PD-L1 1-49%の5年生存率は16%であった。それに対して、PD-L1陰性の5年生存率は19%であった。長期生存の観点からは、ニボルマブ+イピリムマブ療法はPD-L1陰性では良好な生存率を示したのに対し、PD-L1陽性ではイピリムマブの上乗せ効果が限定的である可能性が示されており、イピリムマブの効果を予測するバイオマーカーの開発が待たれるところである。免疫チェックポイント阻害薬の日常臨床導入により、一般臨床においても、ドライバー遺伝子変異陰性非小細胞肺がんでも長期生存が期待できるようになりつつあることは、意義が大きいことである。

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誤嚥性肺炎と緩和ケア【非専門医のための緩和ケアTips】第42回

第42回 誤嚥性肺炎と緩和ケア誤嚥性肺炎は、主に高齢者を中心に誤嚥を契機とした肺炎を繰り返す病態です。プライマリ・ケアや在宅医療では必ず遭遇するでしょう。病院勤務をしていると、繰り返し入院してくる患者さんもいます。こうした誤嚥性肺炎に対する緩和ケアにはどのようなポイントがあるのでしょうか?今日の質問訪問診療で長年診ている患者さん。ここ1年で誤嚥性肺炎を2回発症し、入院しています。ときどき発熱もあり、そうした時に肺炎を起こしていたのかもしれません。すでに90歳、終末期の話し合いが必要かとも感じているのですが、何に注意するとよいでしょうか?球麻痺を来す神経難病や、脳血管障害のようにさまざまな病態が誤嚥性肺炎の原因となります。頭頸部がんや手術の影響で嚥下機能が障害されることもあります。ただ、今回のような訪問診療では、認知症とフレイルが進行した高齢者が、栄養摂取が困難となっている中での誤嚥性肺炎に最も多く遭遇するでしょう。「発熱の度に絶食し、抗菌薬の点滴治療」というのが、よくある対応でしょう。ただ、発熱の度に絶食をしていると栄養状態はどんどん悪化していきます。これは難しい問題ですよね。さて、ここで皆さんに質問です。あなた自身が、「食べたら肺炎を起こすかもしれないので、経口摂取は止めておきましょう」と言われたとしたら、どのように感じますか?「肺炎はつらいので食べるのは我慢します」と言う方もいれば、「いやいや、肺炎は気になるけど、できるだけ口から食べたいです」と言う方もいるでしょう。それはさまざまな経験や状況によっても変わるでしょう。嚥下機能の改善が難しい状況や、終末期を視野に入れた誤嚥性肺炎の緩和ケアでは、こうした「何を目指すか」を考えることが大切です。一言で言えば「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が大切です」といった感じですが、これってなかなか実践するのが難しいですよね。とくに、在宅医療の現場だと、言語聴覚士などの専門職の意見を参考にすることも難しい場面が多いでしょう。ここでは、急性期病院に入院した際の話し合いを在宅退院する際に共有する、などの工夫が求められます。そうした話し合いの先に、患者さんごとに、「この方の場合は、在宅での点滴加療が最善だろう」と関係者間で共有されます。誤嚥性肺炎の緩和ケアは、増悪を繰り返し、時に入院も要する疾患の特性上、医療機関を超えた地域レベルでの連携が求められる分野なのです。今回のTips今回のTips誤嚥性肺炎の緩和ケアは、複数の医療機関の多職種で連携しながら取り組むことがポイント。

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血液がん、今年押さえておくべき論文&学会発表【Oncology主要トピックス2022 造血器腫瘍編】

2022年に発表、論文化された造血器腫瘍の重要トピックを大阪医療センター 柴山 浩彦氏が一挙に解説。今年の造血器腫瘍領域におけるプラクティスチェンジの要点がわかる。1)Polatuzumab vedotin in previously untreated diffuse large B-cell Lymphoma. (Tilly H, et al. N Engl J Med. 2022;386:351-363.)未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する標準治療は、2000年代初頭に抗CD20抗体薬のリツキシマブが登場して以降、CHOP療法と併用するR-CHOP療法が、約20年間、標準治療であった。これまで、さまざまな治療法がR-CHOPと比較されてきたがR-CHOPを凌駕する治療法はなかった。抗CD79b抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のポラツズマブ ベドチン(Pola)をオンコビンと入れ替えたPola-R-CHP療法を二重盲検法でR-CHOPと比較したPOLARIX試験において、主要評価項目のPFSについて有意にPola-R-CHP療法が優る結果が示された。本試験の結果を基に、日本でも未治療DLBCLに対し、Pola-R-CHP療法が保険適応となり、新たな標準治療となる可能性が示された。2)Overall survival with brentuximab vedotin in stage III or IV Hodgkin’s lymphoma.(Ansell SM, et al. N Engl J Med. 2022;387:310-320.)未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対し、標準治療であったABVD療法と、抗CD30抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス)をブレオマイシンと入れ替えたA-AVD療法を比較した試験(ECHELON-1試験)にて、主要評価項目のmodified PFSは有意にA-AVD療法が優り、その結果は、NEJM誌に報告された。この結果によって、日本では未治療ホジキンリンパ腫に対するA-AVD療法が保険適用で使用可能となっている。その後、ECHELON-1試験は6年間のフォローアップが実施され、全生存期間(OS)についても、有意にA-AVDを受けた患者群がABVDを受けた患者群よりも優れていることが示された。この結果によって、A-AVD療法は未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対する真の標準治療とみなすことができると考えられた。3)Ibrutinib plus bendamustine and rituximab in untreated mantle-cell lymphoma.(Wang ML et al. N Engl J Med. 2022;386:2482-2494.)Efficacy and safety of ibrutinib combined with standard first-line treatment as substitute for autologous stem cell transplantation in younger patients with mantle cell lymphoma: results from randomized triangle trial by the European MCL network.(ASH 2022 #1:プレナリー演題)再発・難治のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対し、BTK阻害薬のイブルチニブは、保険適用での単剤治療が認められている。自家移植併用大量化学療法の適応とならない高齢未治療MCLに対し、BR療法との併用の第III相試験(プラセボとの比較、SHINE試験)の結果が約7年のフォローアップののちに2022年のASCOにて発表され、NEJM誌にpublishされた。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)においてイブルチニブ併用群が有意に優れているという結果であった。同様に、自家移植の適応となる未治療MCLに対し、自家移植を行わずとも、イブルチニブをR-CHOP/R-DHAP療法に併用し、その後、イブルチニブの維持療法を行うことで、FFS、OSともに差がみられなかったという結果が2022年ASHにおいてプレナリー演題として報告された。以上の2試験の結果、未治療MCLに対してはイブルチニブ併用の化学療法ののち、イブルチニブを維持療法として継続する治療が新たな標準治療となることが示された(日本では、2022年12月10日時点で未治療MCLに対するイブルチニブは未承認)。4)Triplet therapy, transplantation, and maintenance until progression in myeloma.(Richardson PG, et al. N Engl J Med. 2022;387:132-147.)自家移植併用メルファラン大量化学療法(Auto)の適応となる未治療多発性骨髄腫患者においては、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン併用療法(VRD療法)を3~4サイクル行い、自家末梢血幹細胞採取を行ったあと、Autoを行い、その後、レナリドミドやイキザゾミブによる維持療法を行うのが標準療法とされている。本試験(DETERMINATION試験)では、VRDを8サイクル行い、その後レナリドミドの維持療法を行う群と、3サイクル後にAutoを行い、その後2サイクルのVRDを追加したあとレナリドミドの維持療法を行う群にランダム化し、PFS、奏効率、OSを比較している。その結果、主要評価項目のPFSではAutoを行った群で有意に優れていたがCR以上の奏効率、OSには差を認めなかった。この試験の結果から、Up-frontのAuto治療は、全患者に画一的に行うより、患者ごとに決定することも許容されることが示された。5)Treatment of adults with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic Leukemia-from intensive chemotherapy combinations to chemotherapy-free regimens: A review.TKIが登場し、Ph+ALLの治療成績は格段に向上した。現在の未治療Ph+ALLの標準治療は、TKIと化学療法の併用治療を行い、血液学的寛解を得たのちに、適格症例においては同種移植を行うこととなっている。最近になって、TKI(ダサチニブやポナチニブ)とCD3XCD19二重抗体薬のブリナツモマブを併用したケモフリー治療によるPh+ALLに対する良好な治療成績が報告されている。本論文では、それらの臨床試験の結果をレビューしており、第1寛解期における同種移植の役割を疑問視している。今後、TKI+ブリナツモマブのケモフリーレジメンによる治療で、分子学的寛解が得られた場合は、従来の化学療法や同種移植は不要となる可能性が示唆されている。6)Second-line Tisagenlecleucel or standard care in aggressive B-cell lymphoma. (Bishop MR, et al. N Engl J Med. 2022;386:629-639.)Axicabtagene Ciloleucel as second-line therapy for large-B cell lymphoma.(Locke FL, et al. N Engl J Med. 2022; 386:640-654.)Lisocabtagene maraleucel versus standard of care with salvage chemotherapy followed by autologous stem cell transplantation as second-line treatment in patients with relapsed or refractory large B-cell lymphoma (TRANSFORM): results from an interim analysis of an open-label, randomised, phase 3 trial. (Kamdar M, et al. Lancet. 2022;399:2294-2308.)再発・難治性DLBCLに対し、現在、日本では3種類のCD19-CAR-T細胞治療(Tisa-cel、Axi-celLiso-cel)を保険適用で行うことができる。それぞれのCAR-T治療をDLBCLの標準的2次治療(自家移植併用大量化学療法:Auto)と比較する試験が実施され、その結果が発表された。対象となる患者背景に違いを認めたり、標準治療群で、実際に、Autoが実施できた患者の割合が異なったりしており、これらの試験を横並びに比較することはできないが、主要評価項目のEFS(Event-free survival)において、Axi-celとLiso-celは標準治療群よりも有意に優れていたが、Tisa-celは差がなかった。これらの試験結果より、一部の患者において、2次治療としてのCAR-T治療の有用性が認められることが明らかとなったが、CAR-T治療は高額であり、実施できる施設も限られていることから、どのような患者に2次治療としてCAR-T治療を行うべきか、今後の実臨床での症例の蓄積を待つ必要がある。7)Treatment outcomes after undetectable MRD with first-line ibrutinib (Ibr) plus venetoclax (Ven): Fixed duration treatment (placebo) versus continued Ibr with up to 5 years median follow-up in the CAPTIVATE study.(ASH 2022 #92)CLLの治療において、BTK阻害薬(イブルチニブやアカラブルチニブ)単剤治療が、抗CD20抗体と化学療法薬を組み合わせた免疫化学療法よりもPFSやOSが優れていることが示されている。ただし、BTK阻害薬単剤治療では、深い奏効が得られることは稀であり、長い期間治療を継続する必要がある。BTK阻害薬のイブルチニブとBCL-2阻害薬のベネトクラクスを併用することで、約1年間の固定期間の治療で、MRD陰性の深い奏効が得られ、MRD陰性が得られた症例では、継続治療が不要であることが、本年のASHにおいて、4~5年のフォローアップのデータとして示された。今後、とくに、若年のCLL患者に対しては、BTK阻害薬、BCL-2阻害薬、さらに抗CD20抗体薬を併用するケモフリーレジメンで、約1年程度の固定期間の治療を行い、MRD陰性を目指す治療法が標準治療となる可能性が示された。

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第25回 救急車に抗原キットを常備する地域も、搬送困難例多発

搬送困難例がじわじわ増加皆さんの勤務する病院での救急受け入れ状況はどうでしょうか? 「ベッドの空きがないので受け入れ無理です」という医療機関がどうやら増えてきているそうで、冬に満床になりやすいという日本独自の事情がここにきて悪影響しているのかもしれません。新型コロナ疑いの事例は、救急要請があった時点で、相当の確率で入院が想定されるわけですから、隔離可能なベッドが確保されていることが条件になってしまいます。救急部での初療は可能かもしれませんが、帰宅可能ではなく入院が必要な新型コロナとなってしまうと、そこから再び転院の打診をするというのは非効率的と言わざるを得ません。過去のインフルエンザシーズンで、個室が無い場合、やむを得ずカーテン隔離した大部屋に入院いただくということもあったかもしれませんが、新型コロナの患者さんを一般病棟の大部屋に入院させるのは、まだ理解が得られないと思います。そのせいもあってか、第4波あたりから問題になっていたことがいよいよ表面化してきました。すでに平時から救急搬送が滞ってしまうようになりました。現在、都市部では結構搬送困難例が増えてきており、知り合いの救急隊員も「なかなか搬送できない」と嘆いていました。新型コロナ自体は軽症者が多いので、「重症コロナが搬送できず自宅で死亡」といったアルファ株・デルタ株の頃に苦しんだようなジレンマはありませんが、コロナ禍に入ってじわじわと救急搬送困難例が増えてきているのがグラフからもわかります(図)。波と波の間の平時でも、全国の救急搬送困難例は約2,000件あったわけで、救急隊員としても「どの病院もなかなか引き受けてくれない」感覚を持っていたことでしょう。画像を拡大する図. 各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査(抽出)の結果(各週比較)1)救急車に抗原検査キットを常備栃木県や大分県では、救急車に抗原検査キットを常備して、搬送前の患者が新型コロナに感染しているかどうか確認できる仕組みを導入しています。もちろん、抗原陰性で搬送してみたが、PCRは陽性だったという事態はありえるわけで、気休めにすぎないかもしれません。しかし、「車内での抗原検査は陰性です」という情報は、搬送を受ける側としてもありがたいかもしれません。ユニバーサルに搬送例全員の検査をするわけにはいかないので、たとえば大分県では、あくまで発熱や全身倦怠感などの感染症らしい所見がある搬送事例で、なおかつ医療機関から2回以上断られた場合に適用する取り決めとなっています。プレホスピタルで工夫しなければ、非コロナの患者さんすら搬送できないというのはやはり異常事態なので、政府として何らかの策を早期に現場に下ろさないといけないと思っています。参考文献・参考サイト1)総務省消防庁 各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査(抽出)の結果

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認知症リスクと楽器演奏~メタ解析

 高齢者の認知症予防には、余暇の活動が重要であるといわれている。しかし、認知症リスクと楽器の演奏との関連は、あまりわかっていない。国立循環器病研究センターのAhmed Arafa氏らは、高齢者における楽器の演奏と認知症リスクとの関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、楽器の演奏と高齢者の認知症リスク低下との関連が確認された。著者らは、高齢者の余暇の活動に、楽器の演奏を推奨することは意義があると報告している。BMC Neurology誌2022年10月27日号の報告。 楽器を演奏する高齢者におけるプールされた認知症リスクのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、ランダム効果モデルを用いた。研究全体の不均一性の評価にはI2、出版バイアスの評価にはfunnel plotの非対称性検定、バイアスリスクの評価には修正済みニューカッスル・オタワスケールを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3件のプロスペクティブコホート研究(米国:2件、日本:1件)が適格基準を満たした。・メタ解析では、楽器の演奏は、高齢者の認知症リスクの低下と有意に関連していることが示唆された(HR:0.64、95%CI:0.41~0.98)。・研究全体で、有意な異質性(I2=23.3%、p=0.27)または出版バイアス(z=-1.3、p=0.18)は確認されなかった。

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わが国の非小細胞肺がんの遺伝子検査は本当に普及しているのか?(WJOG15421L/REVEAL)/日本肺学会

 わが国の肺がん遺伝子検査、初回治療前のマルチ遺伝子検査が十分行われていない可能性が示唆された。 非小細胞肺がんでは、バイオマーカー検査の結果に基づき治療を選択する。近年、RET、KRAS、NTRK遺伝子が検査項目に加えられ、バイオマーカー検査はシングルプレックスからマルチプレックスに移行しつつある。西日本がん研究機構(WJOG)では、わが国の肺がん約1,500例のバイオマーカー検査の実施状況と治療の実態を調査し、肺がん診療の問題点を可視化することを目的とした後ろ向き調査WJOG15421L(REVEAL)試験を実施している。第63回日本肺学会学術集会では、同試験からバイオマーカー検査の実態について鳥取大学の阪本 智宏氏が発表した。 主な結果は以下のとおり。・2020年7月1日〜2021年6月30日に29施設から1,500例が登録され、そのうち1,479例を対象にバイオマーカー検査実施状況を後ろ向きに調査した。・マルチ遺伝子検査実施は1,478例中705例(47.7%)、単一遺伝子検査実施例は848例(57.3%)、そのうちマルチと単一、両方の検査を実施したのは280例(18.9%)であった。・マルチ検査の67.2%(705例中474例)はオンコマインDx Target TestマルチCDx(オンコマインDxTT)であった。・遺伝子別の検査実施率は、EGFR 84.2%、ALK 78.8%、ROS1 72.8%、BRAF 54.3%、MET 54.4%だった。・BRAFとMETの検査実施率は他の3遺伝子に比べて低かったが、ほとんどがマルチ検査であった。・オンコマインDxTTの成功率は、最も低いROS1で91.9%、最も高いALKでは99.1%で、すべて90%を超えていた。・遺伝子異常の陽性率は、EGFR 25.1%、ALK 2.9%、ROS1 1.6%、BRAF 1.1%、MET 1.7%であった。・陽性率を組織別に見ると、EGFRでは腺がん30.4%、非腺がん3.7%、ALKではそれぞれ3.3%と1.9%、ROS1では2.1%と0.3%、BRAFでは1.2%と0.8%で、いずれも腺がんで高かった。一方、METでは、それぞれ1.6%と2.1%で、非腺がんにも見られた。・マルチ遺伝子検査が行われない要素はPS3〜4、扁平上皮がん、合併症ありであった。 マルチ遺伝子検査の実施割合は約半数だった。しかし、扁平上皮がん、合併症有、PS不良例では実施割合が低い傾向にあり、マルチ遺伝子検査が十分に行われていない可能性が示唆されている。

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第Xa因子阻害剤による出血時の迅速な薬剤特定システムを構築/AZ

 アストラゼネカとSmart119は、12月14日付のプレスリリースで、医療機関と救急隊における第Xa因子阻害剤服用中の出血患者を対象とした情報共有システムを構築し、病院到着時に患者の服用薬剤を特定することで、迅速かつ適切な処置を目指すと発表した。 直接作用型第Xa因子阻害剤を含む抗凝固薬は、非弁膜症性心房細動患者の脳梗塞予防や静脈血栓塞栓症の治療・再発予防を目的として広く使用されている。その一方で、服用中は通常より出血が起こりやすい状態となるため、事故や転倒などのきっかけで、大出血につながるリスクが高くなる。抗凝固薬服用中の患者において大出血が発現した際、抗凝固薬の中和剤を止血処置の一環として投与することで、出血の増大を抑えられる可能性がある。中和剤を適切に使用するためには、患者の服薬情報の把握が必要となるが、現状、救急隊の病院到着時に約30%の患者で、服用薬剤が特定できないと報告されている。  この現状を改善する1つの策として、アストラゼネカとSmart119の2社は、あらかじめ患者の服薬情報をデータベースに集約し、出血発現時に救急隊がSmart119を通じ、これらの情報を把握、搬送先の医療機関と迅速に情報共有できるシステムを構築するという。このシステムの構築は、i2.JP(アイツー・ドット・ジェイピー:Innovation Infusion Japan)―「患者中心」の実現に向けて、医療・ヘルスケア業界はどうあるべきか、といった難題の解決策を探るべく発足―というオープンなコミュニティにおいて、Smart119が運用する救急医療情報システム「Smart119」を活用するというアイデアから生まれた。 アストラゼネカは、「患者中心」の実現を目指す中で、抗凝固薬服用患者に対して、有事の際に一刻も早く適切な処置を届けることができるようSmart119と協力しながら取り組んでいく、としている。

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周産期アウトカムに人種・民族性は影響するか/Lancet

 世界の20の高所得国と上位中所得国の、周産期アウトカムに関する人種および民族性の影響について解析した結果、母体特性を調整後、白人女性の産児との比較において、十分なサービスを受けていないグループで黒人女性の産児の周産期アウトカムが、評価した項目すべてで不良であることが示された。他のグループ(南アジア系、ヒスパニック系、その他)では、アウトカム項目によりリスクに差異があった。また、周産期有害アウトカムへの人種・民族性の影響について、地域差は認められなかった。英国・バーミンガム大学のJameela Sheikh氏らInternational Prediction of Pregnancy Complications(IPPIC)Collaborative Networkが、妊娠219万8,655例のメタ解析を行い、Lancet誌2022年12月10日号で報告した。これまで、妊娠アウトカムへの人種・民族性の影響に関するエビデンスは、特定の国および医療制度内で行われた個々の研究に限定されていた。新生児死亡、死産、早産、SGA児への人種・民族性の影響を評価 研究グループは、高所得国と上位中所得国の妊娠アウトカムへの人種・民族性の影響を評価し、格差がある場合はその大きさが地域によって異なるかを確認した。IPPICネットワークの妊娠合併症に関する試験データを用いて、個々の参加者データ(IPD)メタ解析を行った。 完全データセットは、94試験、53ヵ国の453万9,640例の妊娠から構成された。解析は、2以上の人種・民族グループ(白人、黒人、南アジア系、ヒスパニック系、その他)の周産期アウトカム(新生児死亡、死産、早産、在胎不当過小[SGA]児)を報告していた試験を対象とした。評価は2段階ランダム効果IPDメタ解析法にて行い、有向非巡回グラフ(directed acyclic graph:DAG)で選択した交絡変数(母親の年齢、BMI値、出産歴、教育レベル)に対する多重代入法を行った。 主要アウトカムは、新生児死亡と死産。副次アウトカムは、早産、SGA児であった。人種・民族と周産期アウトカムの関連を、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて推算。白人女性を対照群とするオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)値を報告し評価した。また、地域ごとの試験のサブグループ解析も行った。白人女性の産児と比べて黒人女性の産児は、新生児死亡・死亡リスクは2倍 20の高所得国と上位中所得国からの51試験、妊娠219万8,655例が、今回のIPDメタ解析の包含基準を満たした。 新生児死亡のリスクは、白人女性の産児と比べて黒人女性の産児は2倍高かった(OR:2.00、95%CI:1.44~2.78)。死産も同様であり(2.16、1.46~3.19)、また早産のリスク(1.65、1.46~1.88)、SGA児のリスク(1.39、1.13~1.72)も高かった。 ヒスパニック系女性の産児は、白人女性の産児と比べて新生児死亡リスクが3倍高かった(OR:3.34、95%CI:2.77~4.02)。南アジア系女性の産児は早産(1.26、1.07~1.48)、SGA児(1.61、1.32~1.95)のリスクが高かった。人種・民族性の早産およびSGA児への影響は地域による差異はみられなかった。

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中等症~重症アトピー性皮膚炎、抗OX40抗体rocatinlimabの効果/Lancet

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎(AD)の成人患者に対し、開発中のヒト型抗OX40モノクローナル抗体rocatinlimabは、プラセボと比較して症状スコアの有意な改善を示し、投与終了後もほとんどの患者で改善が維持された。忍容性は良好であった。米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らが国際多施設第IIb相二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2022年12月9日号掲載の報告。4用量設定で対プラセボの有効性と安全性を評価 試験は、中等症~重症AD成人患者におけるrocatinlimabの有効性と安全性を評価することを目的とし、米国、カナダ、日本、ドイツの65の2次または3次医療センターで行われた。試験適格は、ADが確認された(American Academy of Dermatology Consensus Criteriaまたは各国診断基準による)中等症~重症の患者。重症度はEczema Area and Severity Index(EASI)スコア16超、検証済みInvestigator's Global Assessment for Atopic Dermatitisスコア3(中等症)または4(重症)で定義し、スクリーニングとベースラインにおいて皮疹が体表面積の10%以上にみられ、局所治療では効果不十分または局所治療が不適当の治療歴(1年以内)がある患者とした。 適格患者は二重盲検下で無作為に5群に割り付けられ(1対1対1対1対1)、rocatinlimabを4週ごと(150mgまたは600mg)もしくは2週ごと(300mgまたは600mg)あるいはプラセボの皮下投与を18週目まで受けた(最終投与は16週目)。被験者は18週時点で、18週間の延長試験(18~36週目)に組み込まれ実薬が投与された(rocatinlimab群に割り付けられていた被験者は同じ用量を、プラセボ群に割り付けられていた被験者は2週ごと600mgを投与)。さらに、投与中止後に20週間のフォローアップを受けた。 主要エンドポイントは、16週時点で評価したEASIスコアのベースラインからの変化率(%)。EASIスコアは延長試験期間、フォローアップ中にも評価した。評価対象は、無作為化を受け試験薬を投与され、ベースライン後(16週時点またはそれ以前で)EASIスコアが得られた全無作為化患者とした。 安全性は、無作為化を受け試験薬を投与された全患者を対象に評価(無作為に割り付けられた試験群で解析)した。16週時のEASIスコアの変化率、プラセボ群-15.0%、rocatinlimab群-61.1~-48.3% 2018年10月22日~2019年10月21日に、274例(女性114例[42%]、男性160例[58%]、平均年齢38.0歳[SD 14.5])がrocatinlimab群(217例[79%])またはプラセボ群(57例[21%])に無作為に割り付けられた。 ベースラインから16週のEASIスコアの最小二乗平均%変化は、プラセボ群(-15.0%[95%信頼区間[CI]:-28.6~-1.4])と比較して、rocatinlimab全用量群で有意に低かった。rocatinlimab各用量群の同変化率は、4週ごと150mg投与群-48.3%(-62.2~-34.0、p=0.0003)、4週ごと600mg投与群-49.7%(-64.3~-35.2、p=0.0002)、2週ごと300mg投与群-61.1%(-75.2~-47.0、p<0.0001)、2週ごと600mg投与群-57.4%(-71.3~-43.4、p<0.0001)。 二重盲検試験期間中にrocatinlimab群で最も一般的にみられた有害事象(rocatinlimab全投与群の患者の5%以上でプラゼボ群よりも一般的にみられた有害事象)は、発熱(36例[17%])、鼻咽頭炎(30例[14%])、悪寒(24例[11%])、頭痛(19例[9%])、アフタ性潰瘍(15例[7%])、悪心(13例[6%])であった。死亡例はなかった。

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パーキンソン病に鉄のキレート剤は有効か?(解説:内山真一郎氏)

 パーキンソン病では黒質線条体ニューロンの鉄濃度が上昇しており、酸化ストレスや細胞死に関与していると考えられる。実際、初期の研究では鉄のキレート剤であるdeferiproneがパーキンソン病患者の鉄濃度を減少させることが示唆されているが、その効果については不明であった。FAIR PARK-II試験はドーパミン製剤をまだ投与されていない、パーキンソン病と新規に診断された372例においてdeferiproneの有効性と安全性を評価した第II相プラセボ対照無作為化比較試験であった。36週の観察期間においてプラセボ投与群と比べてdeferiprone投与群ではMRIで黒質線条体の鉄濃度は低下したが、パーキンソン病の評価スコア(MDS-UPDRS)が悪化したという否定的な結果であった。鉄はチロシン水酸化酵素に対するコファクターとしてドーパミン合成、ミトコンドリアの酸化的リン酸化、酸素輸送に関与しているという側面もあるので、パーキンソン病症状が悪化したのはdeferiproneがチロシン水酸化酵素の活性を低下させたためかもしれない。

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貼付薬承認とgantenerumabの試験結果【コロナ時代の認知症診療】第22回

ドネペジルの貼付薬、使いどころは筆者は、コリンエステラーゼ阻害薬(ChE-I)の貼付薬を使うことが少なくない。ことに嚥下障害のある人、多剤・多量処方の人などではありがたい。また食欲不振の人で食欲が増すことを時に経験する。3種類のChE-Iのうち、リバスチグミンだけは貼付薬として流通している。本家のドネペジルでも以前から貼付薬開発の話があったが、容易でないという噂は前から聞いていた。この11月、帝國製薬のドネペジルを成分とする貼付薬であるアリドネパッチ27.5mgと55mgが承認された。適応は、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制とされる。資料によれば、「通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付する。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える」とされる1)。本剤の登場で治療の選択肢が増すことはありがたい。やはり嚥下障害のある人、多剤・多量処方の人がターゲットだろう。筆者は、心密かに、「食欲に悪影響しないドネペジル張り薬」であって欲しいと期待している。というのはリバスチグミン治験に関する強い思い出があるからだ。この薬は、最初は飲み薬として試された。ところが胃腸症状と食欲不振が実に多くの患者で認められた。これを克服すべく貼付薬にリフォームしてなされた2回目の治験が成功した。筆者はいずれの治験にも参加したが、びっくりしたのは、食欲がむしろ改善するという効果が少なからぬ例で見られたことである。同じ成分の薬で、経口か皮膚吸収かで反対の効果なんて! という予想外の経験をしたわけだ。gantenerumabの試験結果をどう読み解く?さてこの数年、世界レベルの大きな治験がなされ、有力な疾患修飾薬として期待されていたのがgantenerumabであった。2022年11月、MCIと早期アルツハイマー病患者を対象にIgG1 mabである本剤の効果を評価したGRADUATE I試験、GRADUATE II試験の結果が発表された2)。両試験とも臨床症状の悪化抑制を検証した主要評価項目で有意差が得られなかった。この主要評価項目とは116週時点のCDR-SB(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes)のベースラインスコアからの変化量である。CDR-SBでは、記憶、見当識、判断力と問題解決、地域社会活動、家庭生活および趣味、介護状況を含む6つの領域について、認知機能と日常生活能を評価されたが、有意な効果が認められなかった。さらに、アミロイドβの除去レベルは想定より低かった。なお本剤の忍容性は、皮下による投与を含め、良好であった。実薬群において、浮腫または滲出液を伴うARIA-Eの発生は25%にみられたが、ほとんどが無症候性であり、投与の中断に至った例は少数であった。以上の結果は、副作用は少なかったが、効果も得られなかったと要約される。これらにより本剤の開発は中止になった。さてlecanemabに続くかと期待されたこのgantenerumabの失敗があっても、これからは疾患修飾薬の治験結果の発表・申請が続々となされるであろう。そこで承認されたとしても、今後の課題は少なくない。とくに重要と考えられるのは以下である。1)薬価と保険収載の有無、2)適応となるアルツハイマー病患者の特性、3)新薬が効く者・効かぬ者(レスポンダーか否か)の投与前判断が挙げられる。1)については、以前にも書いたが、保険収載にならず、費用が噂される年間数百万円であるのなら、新薬は多くの患者さんにとって福音とはならない。2)については若年性、遺伝性、初期・前駆期が基本である。しかしこの3項目に絞っても、投与要件の選び方によっては、数十万人の患者さんが投与対象になるかもしれない。となると国家財政にさえ少なからぬ影響を与えると役所側が考える可能性もある。3)が、臨床家にとって今後の最大の責務になるだろう。経験的にアミロイドPETや遺伝性の有無、発症年齢、認知機能テストの成績などと治療効果が相関するわけではない。それだけにエビデンスある予測の実現は容易ではない。おわりに、最近の新薬開発では、これまできわめて低いとされた脳血管関門(BBB)通過率をいかにして高めるかが大きなポイントだと聞く。ここが改善されたら、薬剤製造コストは下がり治療効率は上がって、これらの問題の克服につながるのではと期待される。参考1)厚生労働省「令和4年11月25日医薬品第一部会 事後ブリーフィング資料」2)Roche discontinues clinical trials of gantenerumab, after GRADUATE studies fail to meet their primary endpoints / Alzheimer Europe

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2022年のプラクティスチェンジ【Oncology主要トピックス2022 泌尿器がん編】【Oncologyインタビュー】第42回

2022年に発表、論文化された泌尿器がんの重要トピックを国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤千紘氏が一挙に解説。今年の泌尿器がんにおけるプラクティスチェンジの要点がわかる。2022年のプラクティスチェンジ進行腎がんにおける標準治療は、免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の併用療法およびICIと血管新生阻害チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) の併用療法が主流になっている。2022年2月に、4種類目のICI+TKI療法である、ペムブロリズマブ+レンバチニブが適応承認となり、日常診療で用いられるようになった。この試験結果で、これまでの標準治療であったスニチニブと比較を行ったICI+TKI療法はすべて主要評価項目を達成したことになり、プラクティスチェンジとなったと結論付けられる。【CLEAR試験:307/KEYNOTE-581試験】また、腎がん領域では初となる術後薬物療法のペムブロリズマブが8月24日に保険適応を取得した。腎がんの術後薬物療法の開発は、TKIやmTOR阻害薬でこれまで評価されてきた。これらの薬剤は長期投与に伴う有害事象が問題となり、減量、中止をやむなくされることもあり、主要評価項目の無再発生存割合 (DFS)の延長は達成できても全生存割合 (OS)の改善までは示されず、各国で適応を取得するまでには至らなかった。ペムブロリズマブは、ICIで術後薬物療法の意義を検証した初の第III相試験であったが、DFSの延長という主要評価項目の達成のみで、保険適応を取得した。TKI単独療法と異なり、有害事象が比較的軽度であったことや、対象となる患者選択に成功した試験の結果を反映していると考えられる。【KEYNOTE-564試験】尿路上皮がんにおいて、ICIによる術後薬物療法として初となるニボルマブの保険適応が3月28日に承認された。尿路上皮がんのICIは、進行再発の2次治療としてペムブロリズマブが、1次治療のプラチナ併用化学療法後の維持療法としてアベルマブがすでに標準治療となっており、今回の保険承認は、さらに前の段階である術後における再発抑制効果を示したという薬物療法の歴史的な進歩の結果といえる。【CheckMate 274試験】非筋層浸潤性膀胱がんの術前化学療法では、長らくMVAC療法が無治療に比べてOSを改善する治療のエビデンスがあるとされてきた。しかしながら、毒性の強さには問題があることから、進行再発症例にて用いられるゲムシタビン+シスプラチン (GC)療法を用いることもガイドライン上では勧められてきた。進行再発症例におけるエビデンスとして、dose-dense MVAC療法は、MVAC療法に比べて安全性が高まり、病理学的奏効(pCR)割合が増加する治療法として注目され、術前化学療法での役割を期待された。2022年3月にJournal of Clinical Oncologyに出版された、筋層非浸潤性膀胱がんにおける術前療法としてのdose-dense MVAC(dd-MVAC)療法とGC療法のランダム化比較第III相試験の結果は、術前化学療法を考えさせられる重要なエビデンスであった。【VESPER試験:GETUG/AFU V05試験】【CLEAR試験; 307/KEYNOTE-581試験】1)2)CLEAR試験は、進行淡明細胞腎細胞がん患者を対象にレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法(Len+Pem)および、レンバチニブ+エベロリムス併用療法(Len+Eve)をスニチニブ単剤(Sun)と比較するランダム化比較第III相試験であり、1069例の対象症例が各群に1:1:1でランダム化割付された。主要評価項目は独立中央画像判定による無増悪生存期間(PFS)であり、2つの試験治療群のSunに対するハザード比(HR)は0.714と設定されていた。Len+Pemには90%の検出力および両側α=0.045を、Len+Eveには70%の検出力および両側α=0.0049で統計設定された。3群に割り付けられた患者背景に偏りはなく、Len+Pem群のIMDC予後因子分類ではFavorable/Intermediate/Poor riskに27.0/63.9/9.0%が含まれていた。PFS中央値は、Len+Pem群は23.9ヵ月、Len+Eve群は14.7ヵ月、Sun群は9.2ヵ月であり、Len+Pem群のSun群に対するHRは0.39(95%信頼区間[CI]:0.32~0.49、p<0.001)、Len+Eve群のSun群に対するHRは0.65(95%CI:0.53~0.80、p<0.001)であり、いずれも優越性が示された。Key Secondary endpointのOSにもαが配分されており、中間解析時点においてLen+Pem群でα=0.0227、Len+Eve群でα=0.0320が優越性の基準とされていた。観察期間中央値26.6ヵ月の時点のOS中央値は、Len+Pem群 到達せず、Len+Eve群 到達せず、Sun群 30.7ヵ月であり、Len+Pem群のSun群に対するHRは0.66 (95%CI:0.49~0.88、p<0.001)、Len+Eve群のSun群に対するHRは1.15(95% CI:0.88~1.50、p<0.30)であり、Len+Pem群のみ優越性が示された。客観的奏効割合(ORR)は、Len+Pem群で71.0%、Sun群で36.1%であり、奏効期間中央値はそれぞれ25.8ヵ月および14.6ヵ月であった。安全性において、Grade3以上の重篤な有害事象がLen+Pem群は82.4%、Sun群は71.8%であったが、プレドニゾロン換算で40mg以上のステロイド使用は15%と比較的少ない印象の結果となっている。【KEYNOTE-564試験】3)4)この試験は、腎がん術後で再発ハイリスクの定義にあてはまる症例を、ペムブロリズマブあるいはプラセボで1年間治療を行い、主要評価項目はDFS、HR:0.67を片側α=0.025、検出力95%で検証する統計設定であった。また1回目の中間解析において、α=0.0114を消費することとしていた。報告は、1回目の中間解析、観察期間中央値24.1ヵ月時点のものである。994人の患者が2群にランダムに割り付けられた。再発ハイリスクの定義は、T2で核異型度4あるいは肉腫様分化あり、T3以上、N1、転移巣切除後(M1 NED)であったが、実際のペムブロリズマブ群の患者背景はintermediate-to-highリスクのT2-3N0M0が86.1%、high riskのT4あるいはN1が8.1%、M1 NEDが5.8%であり、プラセボ群もほぼ同等の割合であった。DFSは両群ともに中央値に到達しなかったが、HR:0.68(95%CI:0.53~0.87、p=0.002)であり、ペムブロリズマブはプラセボと比較し再発のリスクを32%減少した。OSの結果はイベント数が少なく比較は困難であった。安全性に関し、重篤な有害事象はペムブロリズマブ群で32.4%、プラセボ群で17.7%とペムブロリズマブ群で多く認めたが、死亡はそれぞれ0.4%と0.2%と大きな差はなかった。なお、観察期間中央値30.1ヵ月時点のアップデートの結果が報告されたが、intermediate-to-highリスクのHRは0.68(95%CI:0.52~0.89)、highリスクのHRは0.60(95%CI:0.33~1.10)、M1 NEDのHRは0.28(95%CI:0.12~0.66)であり、いずれのリスクでも効果は十分ありそうだが、とくにM1 NEDにおいては治療の意義が大きいことが示唆される結果であった。【CheckMate 274試験】5)この試験は、筋層浸潤性尿路上皮がんの術後薬物療法として、ニボルマブとプラセボを比較したランダム化第III相試験であり、主要評価項目をDFSとし全体集団とPD-L1陽性(腫瘍のPD-L1発現;TPSで1%以上と定義)集団の両者に設定した。全体集団において、87%の検出力で両側α=0.025としHR:0.72、PD-L1陽性集団において、80%の検出力で両側α=0.025としHR:0.61を検証する統計設定となっていた。1回目の中間解析で全体集団ではα=0.01784、PD-L1陽性集団ではα=0.01282を消費することがあらかじめ決められていた。1回目の中間解析において、709例の患者がランダムに2群に割り付けられ、PD-L1陽性は282例であった。観察期間中央値は20.9ヵ月の時点であったが、全体集団のDFS中央値はニボルマブ群で20.8ヵ月、プラセボ群で10.8ヵ月であり、HR:0.70(95%CI:0.55~0.90)、p<0.001であった。またPD-L1陽性集団においては、HR:0.55(98.72%CI:0.35~0.85)、p<0.001と良好な結果を示した。なおOSの結果は現時点で報告はない。安全性においては、重篤な有害事象はニボルマブ群で42.7%、プラセボ群で36.8%であったが、新たなシグナルは認められなかった。本試験は、術後のニボルマブを検証した試験であったが、これまでの術後治療の試験にはない広い対象症例を含んでいた。シスプラチンに適格となる筋層浸潤膀胱がんでは術前化学療法(NAC)を行うことが標準であるため、このような集団では術後にypT2以上の残存病変がある場合に本試験に適格となった。一方シスプラチンに不適格となる筋層浸潤膀胱がんでは、NACのエビデンスはないため手術をまず行い、術後にカルボプラチンを含む化学療法を行うことを検討する。また上部尿路がんは術前の組織診断や病期診断が困難であるため、まず手術を選択することが多い。これらの手術先行症例においては、pT3以上であった場合にこの試験の対象となった。日常診療において、ニボルマブを必要な患者に届けるためには、術前からの治療計画を医療者だけでなく患者にも共有し、適切に治療を進めることが大切と思われる。【VESPER試験; GETUG/AFU V05試験】6)7)フランスで行われた周術期化学療法のランダム化比較第III相試験である。転移のない筋層浸潤性膀胱がんの患者をDose-dense MVAC療法(メトトレキサート30mg/m2 day1、ビンブラスチン3mg/m2 day2、ドキソルビシン30mg/m2 day2、シスプラチン70mg/m2 day2、G-CSF day3~9、2週ごと)6サイクルと、GC療法(ゲムシタビン1250mg/m2 day1、8、シスプラチン70mg/m2 day1、3週ごと)4サイクルの2群にランダムに割り付け、術前の症例は化学療法後に膀胱全摘術を行い、術後の症例は膀胱全摘後に化学療法を行った。主要評価項目は3年PFSであった。493例がランダム化され、PFS中央値はddMVAC群で64%、GC群で56%、HRは0.77(95%CI:0.57~1.02)、p=0.066であり、ネガティブな結果であった。副次評価項目であるpCR割合は、ddMVAC群で42%、GC群で36%(p=0.20)、OSはimmatureな段階ではあるが、ddMVAC群に良好な傾向(HR:0.74、95%CI:0.47~0.92)を認めていた。安全性では、重篤なものは両群同等であったが、ddMVAC群で多かったのは、貧血と無力症、消化器毒性であった。手術関連の合併症はGC群で20例、ddMVAC群で14例であった。NACかAdjuvantかを層別化因子に設定していたが、患者背景はAdjuvant症例においてリンパ節転移陽性がGC群73%、ddMVAC群60%、NAC症例ではcT4がGC群1.8%、ddMVAC群4.1%などと偏りがみられた。3年PFSにおける予後因子の多変量解析において、術前後の選択と化学療法の違いにinteractionがあったことから、Adjuvant症例とNAC症例は区別して検討することが望ましいと判明した。NAC症例においては、3年PFSはddMVAC群で66%、GC群で56%、HR:0.70(95%CI:0.51~0.96)、p=0.025であった。この結果を受けて米国National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインでは、ddMVAC療法をPreferred regimenに指定した。このレジメンを実際に適用する場合には、本試験に登録された患者背景から、63歳前後(最高でも68歳まで)であることも考慮して十分な副作用対策を講じる必要があると考える。参考1)Motzer R, Alekseev B, Rha SY, et al. Lenvatinib plus Pembrolizumab or Everolimus for Advanced Renal Cell Carcinoma. N Engl J Med 2021, 384:1289.2)Motzer R, Alekseev B, Rha SY, et al. Lenvatinib plus Pembrolizumab or Everolimus for Advanced Renal Cell Carcinoma. N Engl J Med 2021, 384:1289.3)Choueiri TK, Tomczak P, Park SH, et al. Adjuvant Pembrolizumab after Nephrectomy in Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 2021, 385:683.4)Powles T, Tomczak P, Park SH, et al. Pembrolizumab versus placebo as post-nephrectomy adjuvant therapy for clear cell renal cell carcinoma (KEYNOTE-564): 30-month follow-up analysis of a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Oncol 2022,23:1133.5)Bajorin DF, Witjes JA, Gschwend JE, et al. Adjuvant Nivolumab versus Placebo in Muscle-Invasive Urothelial Carcinoma. N Engl J Med 2021, 384:2102.6)Pfister C, Gravis G, Fléchon A, et al. Dose-Dense Methotrexate, Vinblastine, Doxorubicin, and Cisplatin or Gemcitabine and Cisplatin as Perioperative Chemotherapy for Patients With Nonmetastatic Muscle-Invasive Bladder Cancer: Results of the GETUG-AFU V05 VESPER Trial. J Clin Oncol 2022, 40:2013.7)NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, Bladder Cancer. Version 2.2022

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読みやすくて診療に集中しやすい紹介状【紹介状の傾向と対策】第3回

<あるある傾向>紹介の目的や意図がわからない、または文末に書かれている<対策>紹介目的や先方の医師にして欲しいこと(検査、診療引継ぎなど)は冒頭に明示!多忙な臨床業務の中で紹介状(診療情報提供書)の作成は負担の大きな業務の1つです。しかし、紹介状の不備は、依頼先(紹介先)の医師やスタッフに迷惑をかけるだけではなく、患者さんの不利益やトラブルにつながりかねません。このため、できる限り依頼先が困らない紹介状の作成を心がけたいものです。【紹介状全般に共通する留意点】(1)相手の読みやすさが基本(2)冒頭に紹介する目的を明示する(3)プロブレムと既往歴は漏れなく記載(4)入院経過は過不足なく、かつ簡潔に記載(5)診断根拠・診断経緯は適宜詳述(6)処方薬は継続の要否、中止の可否を明記(7)検査データ、画像データもきちんと引き継ぐ今回は上記の留意点の中の「冒頭に紹介の目的を明示する」について解説します。2022年2月にケアネットが実施した紹介状についてのアンケートで、不満の1つに「紹介の目的が不明」を挙げる医師が多くいらっしゃいました。筆者自身も時折、紹介の目的がわかりにくい紹介状に遭遇します。紹介目的の書かれていない紹介状は、こちらが何をすればわからず大変困ります。詳細に書かれているのに、結局こちらに何をして欲しいのかわからない紹介状は困ります。患者さんにどうして、こちらに紹介されたか聞いてみても、患者さん自身もわからないことが多く、検査の依頼なのか、診療そのものを引き継いでほしい依頼なのかなど、紹介状の送り主に確認に電話を入れなければならないこともあります。とにかく、「紹介の目的、相手の医師に依頼したいこと」は紹介状の冒頭に明記すべきです。しかし、惜しい紹介状も時々見かけます。それは、依頼内容が文末に書かれている紹介状です。冒頭部分に依頼目的を記載せず、臨床経過の詳細から記載が始まり、文章の最後に依頼事が書かれている紹介状です。このような場合、紹介状の最後まで読んで初めて、依頼の目的がわかる書き方になっています。バイタル情報を事前に知ると、診察も変わる少し紹介状の話からそれますが、患者さんのバイタル情報を知ってから診察するのと、診察してからバイタル情報を知るのでは、診察の仕方や注意深さが変わってくると思いませんか? 仮にバイタル情報で“発熱がある”という情報を知らされない状況では、漫然とした診察になってしまう可能性が高いと思います。しかし、先に“発熱がある”というバイタル情報があれば、熱源を探すことを意識し全身を注意深く診察するはずです。たとえば、感染性心内膜炎を疑う際には「心雑音はあったか」あるいは「ツツガムシ病を疑う皮膚の刺し口はあったか」「脾腫の有無は?」といったようにです。つまり、先に発熱の情報を知っておくことで、最初から発熱を伴う疾患を鑑別診断として挙げながら診察ができますので、後から発熱を知って、もう一度丁寧な診察をやり直すという無駄を減らすことができます。このように、頭にインプットされる情報の順番により人の思考や行動は変化します。このため情報インプットの順番はとても大切なのです。紹介状の話に戻しますと、冒頭部分に紹介が目的を明示された紹介状は、読み手が紹介目的を認識した上で、そのあとに書かれた文書の内容を読むことができます。同じ文章でも依頼内容がわかっている状態で読むのと、依頼内容がわからないで読むのでは、読み手の思考や理解がまったく変わってきます。前者では二度の読み直しが不要になります。これは紹介状に限らず、院内の他科依頼(コンサルテーション)でもまったく同様のことが言えます。よりスムーズな情報伝達のために、一度ご自身の紹介状のスタイルをご確認いただければ幸いです。

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第140回 次のパンデミックに備え感染症法等改正、そう言えば感染症の「司令塔機能」の議論はどうなった?

改正感染症法案、岸田文雄首相の約束通り今国会で成立こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、友人の版画家、宇田川 新聞氏の個展「木版画パラダイス」を観に、池袋のB-galleryに行って来ました。「宇田川新聞」と言われても、ピンと来ないかもしれませんが、テレビ東京系で放映されている「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」1)で、赤色、緑色、黒色を使った特徴的なイラストを描いている(厳密には彫っている)版画家と言えばおわかりかと思います。芸能人の表情を絶妙にとらえたシンプルでほのぼのとした版画は、いつ見てもほっとします。彼女(女性です)との付き合いはもう25年近くになりますが、最近の売れっ子ぶりには頭が下がります。ただ、ギャラリーで「オリジナルの作品より、出川番組関連の版画の方が多いんじゃない?」と本音を言ったら、しょぼんとうなだれていました。芸術家は扱いが難しいです。あの独特の版画の実物を見たい方はぜひ覗いてみて下さい2)。さて、今回は先ごろ成立した感染症法改正と、検討が進められている(はずの)、「司令塔機能」について書いてみたいと思います。改正感染症法案は、参院選前の岸田 文雄首相の約束通り、今国会で成立しました。もう一つの“公約”とも言うべき、一元的に感染症対策を行う新しい「司令塔機能」については、その後、あまり報道もありません。一体どうなっているのでしょうか。地域医療支援病院や特定機能病院などと協定を結び医療の提供を義務付け新型コロナウイルス対応の教訓を活かし、今後の感染症のまん延(パンデミック)に備えるための改正感染症法などが11月2日、参院本会議で可決され、成立しました。都道府県は地域医療支援病院や特定機能病院などとあらかじめ協定を結び、病床確保や発熱外来といった医療の提供を義務付けることになります。協定に沿った対応をしない医療機関には勧告や指示を行うほか、場合によっては承認の取り消しもあり得るとされています。施行(協定を締結する規定も)は来年、2023年4月1日付です。医療の提供が義務付けられるのは、自治体などが運営する「公立・公的医療機関」(約6,500施設)、400床以上で大学病院中心の「特定機能病院」(87施設)、200床以上で救急医療が可能な「地域医療支援病院」(685施設)です。また、都道府県は上記を含む全国すべての医療機関と、医療提供を事前に約束する協定を結べるようになります。都道府県は平時から計画をつくり、病床、発熱外来、人材派遣などの数値目標を盛り込み各医療機関への割り当てを決めます。医療機関は協議に応じる義務はありますが、実際に協定を結ぶかは任意です。付則には、新型コロナの感染症法上の位置付けについて速やかに検討するよう政府に求める文言も加わりました。これについては、法案成立直前の11月29日、加藤 勝信厚生労働大臣は会見で、新型コロナを感染症法の「2類相当」から「5類」に見直す検討を本格的に始める方針を示しています。なお、感染症法とあわせて医療法や予防接種法、新型インフルエンザ等対策特別措置法、検疫法なども一括で改正されています。特別措置法では、厚生労働大臣が協力を要請した時に限って、歯科医師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士にワクチン接種を認めました。検疫法では、水際対策により実効性をもたせるため、入国後の個人に自宅待機などを指示できるようにしたうえ、待機中の体調報告に応じない場合の罰則が設けられました。一般の民間病院や診療所については、協定締結は任意この3年間あまりの医療機関のドタバタぶり、個々の医療機関に対する国の権限のなさ(お願いしかできず命令できなかった)を考えると、地域医療支援病院や特定機能病院などへの病床確保や発熱外来といった医療提供の義務付けは、とても意味のあることで、特定機能病院などの承認を取り消す行政処分も含まれていることから、相当の強制力を持つことも確かです。ただ一方で、一般の民間病院や診療所については、都道府県との協議に応じなければならないものの、協定締結は任意のため、どの程度協力を得られるかは不透明です。今回のパンデミックでも、とくに民間病院や診療所の対応に批判が集まったことからも、協議から協力に至るプロセスをもう少し明確にしておく必要がありそうです。岸田首相がぶち上げたもう一つの大きな計画さて、今回の感染症法等の改正は、岸田首相が今年6月15日、通常国会の閉会を受けて行った記者会見で語った「新型コロナをはじめとする感染症に対する新対策」の中に盛り込まれていたことです。岸田首相はこの時、「昨年の総裁選で約束したとおり、国・地方が医療資源の確保等についてより強い権限を持てるよう法改正を行う。医療体制については、(2021年)11月の「全体像(次の感染拡大に向けた安心確保のための取り組みの全体像)」で導入した医療機関とあらかじめ協定を締結する仕組みなどについて、法的根拠を与えることでさらに強化する」と語っていました(「第114回 コロナ新対策決定、協定結んだ医療機関は患者受け入れ義務化、罰則規定も」参照)。当時は参議院選挙を睨んだパフォーマンスと見る向きもありましたが、岸田首相は感染症法改正については、約束を守ったと言えるかもしれません。岸田首相はこの時、もう一つの大きな計画をぶち上げています。それは、一元的に感染症対策を行う「内閣感染症危機管理庁」の新設と、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して「日本版CDC」をつくるというものです。そう言えば、この計画について、最近は話をあまり聞きません。「内閣感染症危機管理庁」を内閣官房に設置し司令塔機能を強化岸田首相の6月15日の会見では、新型コロナウイルスを含む今後の感染症に対応する「内閣感染症危機管理庁」を内閣官房に設置し、司令塔機能を強化することを表明していました。内閣感染症危機管理庁は、感染症の危機に備えて「首相のリーダーシップの下、一元的に感染症対策を行う」組織で、同庁の下で平時から感染症に備え、有事の際は物資調達などを担う関係省庁の職員を同庁の指揮下に置き、一元的な対策を行うとしました。トップには「感染症危機管理監(仮称)」が置かれる予定とのことでした。さらにこの時は、厚労省における平時からの感染症対応能力の強化も表明しています。その施策の目玉は、研究機関である国立感染症研究所と、高度な治療・研究の拠点である国立国際医療研究センターを統合、米疾病対策センター(CDC)をモデルとした、いわゆる「日本版CDC」を厚労省の下に創設するというものでした。この2つの計画は6月17日、新型コロナウイルス感染症対策本部において正式決定しています。新型コロナウイルス感染症対策本部が公表した司令塔機能の具体的な姿その後、内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策本部は9月2日、「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」を公表し、その中で、司令塔機能の具体的な姿を提示しました。それによれば、司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁(仮称)」については、2023年度中の設置を目指すとして、以下の組織、業務等にするとしています3)。1)感染症対応に係る司令塔機能を担う組織として「内閣感染症危機管理統括庁(仮称)」を設置し、感染症対応に係る総合調整を、平時・有事一貫して所掌する。総理・官房長官を直接助ける組織として内閣官房に設置し、長は官房副長官クラス、内閣官房副長官補を長の代行とし、厚生労働省の医務技監を次長相当とする等、必要な体制を整備する。2)統括庁は、平時から、感染症危機を想定した訓練、普及啓発、各府省庁等の準備状況のチェック等を行う。3)緊急事態発生時は初動対応を一元的に担う(内閣危機管理監と連携して対応)。4)特措法適用対象となる感染症事案発生時は、同法の権限に基づき、各府省庁等の対応を強力に統括する。各府省庁の幹部職員を庁と兼務させる等により、政府内の人材を最大限活用する。これら有事の際の招集職員はあらかじめリスト化し十分な体制を確保する。5)平時・有事を通じて厚生労働省の新組織(いわゆる日本版CDC)とは密接な連携を保ち、感染症対応において中核的役割を担う厚生労働省との一体的な対応を確保する。6)必要となる法律案を次期通常国会に提出し、2023年度中に設置することを目指す。――これらの案から見えてくるのは、今回のコロナ禍にあって、統率がとれなかった各省庁を強力にコントロールしたい、という内閣の強い意思です。とくに、厚生労働省(今回官邸の言うことを聞かなかった、対応がグダグダだったという批判もありました)とそこにつくる新組織(日本版CDC)をきちんと統括したい、という強い思いが伝わって来ます。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合した「日本版CDC」この「具体策」では、国立感染症研究所と、国立国際医療研究センターを統合して作る新組織、「日本版CDC」についても提示しています。それによれば、新組織については、1)厚生労働省における平時からの感染症対応能力を強化するため、健康局に「感染症対策部(仮称)」を設置し、内閣感染症危機管理統括庁(仮称)との連携の下、平時からの感染症危機への対応準備に係る企画立案や感染症法等に係る業務を行う。2)国立感染症研究所と国立研究開発法人国立国際医療研究センターを統合し感染症等に関する科学的知見の基盤・拠点国際保健医療協力の拠点、高度先進医療等の総合的な提供といった機能を有する新たな専門家組織を創設する。3)必要となる法律案を次期通常国会に提出し感染症対策部の設置及び厚生労働省の一部業務移管は2024年度の施行、新たな専門家組織の創設については2025年度以降の設置を目指す。――などとなっています。専門家組織をきっちりコントロールしたい厚労省内閣感染症危機管理統括庁と、厚生労働省、日本版CDCが整備されれば、機動的かつ科学的な対応が100%可能になるかのように書かれてある点が気になります。今回のパンデミックで機能してきた「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」のような、ある意味“第三者”の立場で検討・提言する組織についての記述は、日本版CDCの中に「新たな専門家組織を創設する」と書かれています。ただ、厚労省傘下にしっかり置いて、専門家組織をきっちりコントロールしようという意図が透けて見えます。また、専門家組織が感染症の専門家ばかりで、臨床や医学研究の分野に偏りそうな点も気がかりです。危機管理やIT、経済対策、メディア対策など、医学以外の分野の専門家もしっかりとメンバーに入れておくべきだと思いますがいかがでしょう。さらに、現在、国立感染症研究所は国立の機関、国立研究開発法人 国立国際医療研究センターは国立研究開発法人と、組織形態が異なります。仮に、組織が圧倒的に大きい国立国際医療研究センターに国立感染症研究所が身を寄せる形で統合するとなれば、組織は国立研究開発法人ということになります。国からは一応は独立した組織になるとすれば、危機管理統括庁や厚生労働省がどういう形で影響力を及ぼすかも今後の大きな検討課題でしょう。現在のところ、厚労省が中心となって、これらの新組織の詳細を詰めているとのことです。内閣感染症危機管理統括庁は2023年度中の設置、日本版CDCは2025年以降の設置を目指すとされていますが、実際の稼働まで、まだまだひと悶着、ふた悶着ありそうです。参考1)出川哲朗の充電させてもらえませんか?/テレビ東京2)宇田川新聞個展《木版画パラダイス》(12/13(火)〜12/25(日)、池袋B-gallery、14:00〜18:00、月曜休廊)3)新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策/新型コロナウイルス感染症対策本部

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維持期うつ病治療の抗うつ薬比較~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、維持期の成人うつ病の治療に対する抗うつ薬の有効性、許容性、忍容性、安全性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、維持期の成人うつ病に対する抗うつ薬治療において、妥当な有効性、許容性、忍容性が認められた薬剤は、desvenlafaxine、パロキセチン、ベンラファキシン、ボルチオキセチンであることを報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2022年10月17日号の報告。 PubMed、Cochrane Library、Embaseデータベースより、エンリッチメントデザインを用いた二重盲検ランダム化プラセボ対照試験(非盲検期間中に抗うつ薬治療で安定し、その後、同じ抗うつ薬群またはプラセボ群にランダム化)を検索した。アウトカムは、6ヵ月後の再発率(主要アウトカム、有効性)、すべての原因による治療中止(許容性)、有害事象による治療中止(忍容性)、個々の有害事象発生率とした。リスク比および95%信用区間を算出した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、20種類の抗うつ薬およびプラセボに関する34件の研究が含まれた。・対象患者数は9,384例(平均年齢:43.80歳、女性の割合:68.10%)であった。・抗うつ薬には、agomelatine、アミトリプチリン、bupropion、citalopram、desvenlafaxine、デュロキセチン、エスシタロプラム、fluoxetine、フルボキサミン、levomilnacipran、ミルナシプラン、ミルタザピン、nefazodone、パロキセチン、reboxetine、セルトラリン、tianeptine、ベンラファキシン、vilazodone、ボルチオキセチンが含まれた。・6ヵ月後の再発率に関して、プラセボよりも優れていた薬剤は、アミトリプチリン、citalopram、desvenlafaxine、デュロキセチン、fluoxetine、フルボキサミン、ミルタザピン、nefazodone、パロキセチン、reboxetine、セルトラリン、tianeptine、ベンラファキシン、ボルチオキセチンであった。・すべての原因による治療中止率に関して、プラセボよりも優れていた薬剤は、desvenlafaxine、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシン、ボルチオキセチンであった。ただし、セルトラリンは有害事象による治療中止率が高かった。・プラセボと比較した個々の有害事象発生率については、ベンラファキシンではめまいの発生率が低く、desvenlafaxine、セルトラリン、ボルチオキセチンでは嘔気/嘔吐の発生率が高かった。

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乾癬とうつ病併存、脳構造と脳内コネクティビティの特徴は?

 先行研究で乾癬患者の最大25%にうつ病の併存が認められるとの報告がある中、英国・マンチェスター大学のGeorgia Lada氏らは、うつ病併存に関連する乾癬の脳構造と脳内コネクティビティ(connectivity)を調べる脳画像研究を行い、乾癬による局所脳容積や構造的なコネクティビティへの影響はみられないこと、乾癬とうつ病併存で右楔前部の肥厚が認められ、自殺傾向に関連している可能性があることなどを明らかにした。 患者に共通する神経生物学的およびうつ病脳画像のパターンなど、併存疾患のドライバについてはほとんど解明されていない。一方で、慢性の全身性炎症皮膚疾患である乾癬について、脳と皮膚間における免疫が介在したクロストークが仮説として示唆されていた。Brain, Behavior, & Immunity - Health誌2022年12月号掲載の報告。 調査は、測定した脳容積値等におけるうつ病と全身性炎症の意味を調べる初となる検討で、研究グループが知りうる限り最大の乾癬患者サンプルデータとしてUK Biobank登録者1,048例の脳MRIデータを用いて行われた。調査では、乾癬における関節の関与と、炎症状態がより高いことを示す乾癬性関節炎(PsA)併存の影響についても探索的評価が行われた。 調査対象の1,048例の内訳は、乾癬とうつ病併存患者が131例、年齢・性別で適合した非うつ病の乾癬患者131例、うつ病対照393例、非うつ病対照393例である。アプリオリに定義された関心領域(ROI)の容積・厚さ・表層、白質トラクトおよび安静時コネクティビティ評価に適切な55×55偏相関マトリックスにおける乾癬とうつ病の相互作用の影響を、一般線形モデルを用いて調べた。また、線形回帰法を用いて、C反応性蛋白質(CRP)値および好中球数と脳測定値の関連性を試験した。 主な結果は以下のとおり。・局所または全体の脳容積や白質統合度における差異は、乾癬患者と非乾癬/非PsA対照との比較において認められなかった。・対照と比較してうつ病が併存している乾癬患者のみにおいて、右楔前部の肥厚が認められた(β=0.26、95%信頼区間[CI]:0.08~0.44、p=0.02)。・さらなる解析で、PsAを有する乾癬患者では、安静時コネクティビティにおける前頭後頭部の非連動(decoupling)が、非PsA対照(β=0.39、95%CI:0.13~0.64、p=0.005)および対照(0.49、0.25~0.74、p<0.001)と比較してそれぞれ有意であることが示された。このことはうつ病併存とは無関係であった。・楔前部の肥厚と前頭後頭部のコネクティビティは、CRP値や好中球数では予測できなかった。・うつ病乾癬患者における楔前部の肥厚は、繰り返される自殺傾向と、わずかだが相関性が示された。 研究グループは、UK Biobankデータを使用した検討では重症疾患を有する集団の結果の一般化を限定する可能性があり、重症疾患およびより大規模なPsA集団で今回の所見が再現されるか、さらなる検討が必要だ、とまとめている。

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進行悪性黒色腫、TIL療法でPFSが延長/NEJM

 進行悪性黒色腫の治療において、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いた養子免疫細胞療法は、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)抗体であるイピリムマブと比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させ、病勢進行と死亡のリスクが半減したとの研究結果が、オランダがん研究所(NKI)のMaartje W. Rohaan氏らによって報告された。研究の成果は、NEJM誌2022年12月8日号に掲載された。欧州2施設の無作為化第III相試験 本研究は、進行悪性黒色腫の1次または2次治療におけるTILとイピリムマブの有用性の比較を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2014年9月~2022年3月の期間に、2施設(NKI、デンマーク国立がん免疫療法センター[CCIT-DK])で参加者の登録が行われた(Dutch Cancer Societyなどの助成を受けた)。 対象は、年齢18~75歳、StageIIICまたはIVの切除不能または転移を有する悪性黒色腫の患者であった。被験者は、TILまたはイピリムマブ(3mg/kg[体重]、3週ごと、最大4回、静脈内)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 TIL群は、骨髄非破壊的リンパ球除去化学療法(シクロホスファミド+フルダラビン)を施行された後、5×109~2×1011個のTILを1回注入され、次いで高用量インターロイキン-2(60万IU/kg/回、8時間ごと、最大15回)の投与が行われた。 主要評価項目は、PFSであった。PFS、奏効割合が2倍以上に 168例が登録され、TIL群に84例、イピリムマブ群にも84例が割り付けられた。全体の年齢中央値は59歳(範囲26~77)、男性が100例(60%)であった。前治療歴のある患者は89%で、残りの11%は未治療だった。149例(89%)は、全身療法(術後抗PD-1療法が40例[24%]、抗PD-1療法による1次治療が105例[62%])を受けたのち病勢が進行した患者であった。追跡期間中央値は33.0ヵ月。 PFS中央値は、TIL群が7.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~13.1)と、イピリムマブ群の3.1ヵ月(3.0~4.3)に比べ有意に延長した(病勢進行と死亡のハザード比[HR]:0.50、95%CI:0.35~0.72、p<0.001)。6ヵ月時のPFS率は、それぞれ52.7%(95%CI:42.9~64.7)および21.4%(14.2~32.2)であった。 客観的奏効の割合は、TIL群が49%(95%CI:38~60)、イピリムマブ群は21%(13~32)であった。このうち、完全奏効がそれぞれ20%および7%、部分奏効は29%および14%であった。 全生存期間(OS)中央値は、TIL群が25.8ヵ月(95%CI:18.2~未到達)、イピリムマブ群は18.9ヵ月(13.8~32.6)であった(死亡のHR:0.83、95%CI:0.54~1.27)。2年OS率は、それぞれ54.3%および44.1%だった。 Grade3以上の治療関連有害事象は、TIL群が全例、イピリムマブ群は57%で発現し、TIL群は主に化学療法関連の骨髄抑制であった。重篤な治療関連有害事象は、それぞれ15%および27%で認められた。TIL群では、前処置としてのリンパ球除去化学療法によるGrade 3以上の好中球数減少が全例で、インターロイキン-2関連の毛細血管漏出症候群(全Grade)が30%で発現した。 著者は、「本試験では、前治療歴のない集団、術後補助療法として抗PD-1療法を受けた集団、1次治療で抗PD-1療法を受けた集団において、無増悪生存期間中央値に大きな差はなかった。これは、TIL療法の1次治療としての可能性を示唆するが、治療法の選択では、患者や疾患の特性(脳転移、血清乳酸脱水素酵素の高値、全身状態不良)、潜在的な毒性などが重要な役割を担う」としている。

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進行期CKDにRA系阻害薬は有益か?―STOP ACEi試験が教えてくれた―(解説:石上友章氏)

 CKD診療は、心血管イベント抑制と腎保護を両立させることを目標としている。RA系阻害薬は、CKD診療の標準治療の1つである。一方で、内因性のレニン・アンジオテンシン系には、腎血行動態の恒常性を保つ作用があり、RA系阻害薬の使用により、血清クレアチニンが上昇し、推定GFRが低下することが知られている。こうした変化は、腎血行動態上の変化であって、機能的であり、一過性の変化であることから、必ずしも有害ではないのではないかと許容されてきた。 本邦の高血圧診療ガイドラインであるJSH2014においても、「RA系阻害薬は全身血圧を降下させるとともに、輸出細動脈を拡張させて糸球体高血圧/糸球体過剰濾過を是正するため、GFRが低下する場合がある。しかし、この低下は腎組織障害の進展を示すものではなく、投与を中止すればGFRが元の値に戻ることからも機能的変化である」(JSH2014, p.71.)とある。一方で、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学校のSchmidt M氏らが、RAS阻害薬(ACE阻害薬、ARB)の服用を開始した12万例超について行ったコホート試験の結果は、こうした軽微なCrの上昇・推定GFRの低下が、必ずしも無害ではないことを示している(Schmidt M, et al. BMJ. 2017;356:j791.)。 2022年、New England Journal of Medicine誌に掲載されたBhandari S氏らによるSTOP-ACEi試験は、この疑問に迫った臨床試験である(Bhandari S, et al. N Engl J Med. 2022;387:2021-2032.)。被験薬であるRA系阻害薬を中止するという介入は、RA系阻害薬を継続した対照に対して、3年後の推定GFR値が回復することはなかった。進行期CKDに、RA系阻害薬の継続が有害であるとは結論できない結果であり、腎機能の保持を目的にして、RA系阻害薬を中止する必要があるとまでは言えない結果である。有意差はつかなかったが、追跡期間中の推定GFRは、常に継続群を下回っている(Figure 2)。 本試験における、そもそもの仮説を支持しない結果であるが、進行期CKDであれば、生理的なRA系の作用が必ずしも機能していない可能性がある。心血管イベントに対する効果は、エンドポイントとして採用されていないので、Schmidt氏らの結果を検証するまでには至っていない。心なしか、もやっとする結果になってしまっている。

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